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1955-11-09 第22回国会 参議院 商工委員会 閉会後第4号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十年十一月九日(水曜日) 午後一時三十七分開会
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
吉野
信次
君 理事 古池 信三君 高橋 衛君 山川 良一君
委員
深水 六郎君 松平
勇雄
君 上條 愛一君 栗山 良夫君 小松 正雄君 藤田 進君 上林 忠次君 河野 謙三君 白川 一雄君
苫米地義三
君 石川
清一
君 国務大臣
通商産業大臣
石橋 湛山君
事務局側
常任委員会専門
員
山本友太郎
君
説明員
通商産業省通商
局次長
佐藤
清一
君
通商産業省重工
業局長
鈴木
義雄
君
通商産業省鉱山
局長
松尾 金藏君
通商産業省石炭
局長
齋藤 正年君
—————————————
本日の
会議
に付した案件 ○
経済自立方策
に関する調査の件 (
日英通商協定
に関する件) (
鉄鋼輸出制限
に関する件) (
国産自動車工業
の
振興
に関する 件) (
石油資源開発株式会社
に関する 件) (砂糖の
価格
安定及び
輸入
に関する 件) (
石炭鉱業合理化法
に関する件) ○小
委員会設置
の件
—————————————
吉野信次
1
○
委員長
(
吉野信次
君) それでは昨日に引き続きまして
商工委員会
を開会いたします。 まず
日英通商協定
に関して大体の
経過
を
政府
の方から御
説明
願います。
佐藤清一
2
○
説明員
(
佐藤清一
君)
日英通商会談
につきまして概略御
説明
申上げます。 今回の
日英支払協定
及び
貿易
取りきめの
改訂交渉
は、
日本側代表外務省
の朝
海公使
と
英国側パーシバル商務次官補
との間に、六月二十三日に開始されまして、十月十七日に妥結をみた次第でございます。 今回の
会談
におきましては、昨年の一月ロンドンにおきまして
日英
間に行われました
会談
の当時とは、その
バック
・
グラウンド
が非常に異っております。それを付言して申し上げますれば、昨年の一月の
会談
の際におきましては、
日本
の
手持ちポンド
は約二千五百万
ポンド
、それは、その前年の五二年の十二月におきましては、八千九百万
ポンド
あった
手持ちポンド
が、一
年間
に二千五百万
ポンド
まで減っておった。それから
日英両国
の
輸出入状況
を見ますと、一九五二年におきましては、わが方の
スターリング地域輸出
は一億七百万。
ボンド
に対しまして、
スターリング地域
からの
輸入
は三億四百万
ポンド
、著しいわが方の入超であったわけでございます。ところがこのような
状況
のもとにおきまして、わが方といたしましては、もっぱら
英国側
に対しまして、
イギリス
の
植民地市場
の開放と、
ポンド
による
金融
の便宜を供与してもらいたいという点で、強く
交渉
を行なったのでございます。しかるところ、今回の
会談
の
バック
・
グラウンド
として見まするならば、大体五四年は
前回
の
会談
の結果、
英側
が
日本
からの
輸入
を著しく緩和いたしました
関係
上、わが方の
輸出
としては非常に伸びておりまして、一九五四年の実績で見ますならば、わが方の
輸出
が一億七千九百万
ポンド
に対しまして、
輸入
が一億四千万
ボンド
、逆にわが方の
出超
になっております。しかも
手持ちポンド
は著しく
増加
いたしまして、約一億
ポンド
に近くなっております。このような
状況
におきまして、
前回
とは全く
彼此立場
を逆にしたというような形になっておるわけであります。 そこで今回の
会議
におきましては、わが方の
輸出傾向
は相変らず好調を保っておる
状況
にありますので、
前回
のように
金融面
につきまして
交渉
をする
心要
もございませんし、また
貿易面
につきましても、こちらが積極的に
先方
の
輸入緩和
を要望いたしまするよりも、むしろ逆に
先方
といたしましては、わが方の
手持ちポンド
が非常に多いこと、あるいは
貿易
の
傾向
が
日本側
の
出超傾向
になっておるというようなことからいたしまして、むしろ
前回
におきましては
英側
がわが方の要望にこたえて
輸入
の
制限
を緩和したのであるから、今回は
竹本側
としてはそれに報ゆるべき段階であると称しまして、非常に膨大なる対
日輸出計画
をわが方に提示したわけであります。そこでこちらといたしましても、
スターリング地域
の
貿易
の
状況
は先ほど申し上げた
通り
といたしましても、まず第一に、わが方に
相当
な
需要
がなければ、
先方
の大きな
要求
を消化することはできないわけでございまするし、またかりに
需要
があるといたしましても、
国内産業
に対する
影響
も考慮いたさなければなりませんので、とうてい
先方
の当初提示いたしました膨大なる
見積り数字
は、これを受諾することはできないということで、非常に難関に到達いたしまして、その間八月初旬には、
パーシバル代表
は一応
本国
へ打ち合せのために帰国するというような
状況
であったのでございます。その後、再開されました
交渉
におきましても、依然として
相当
困難なやりとりがあったのでございますが、わが方といたしましても、結局現存の
貿易状況
から見て、これを将来とも、この
輸出
の好調を継続して参りますためには、
先方
が先に一九五二年にとりましたような大幅な
輸入
の
制限
をとらせないということがまず第一義であろう、さらに現状を継続するのみならず、これを一歩進めまして、
拡大均衡
の線に持って行くべきであるという
考え方
から、
先方
の
要求
のうち、ある程度当方としてものみ得るというものにつきましては、極力これをのむことといたしまして、同時にわが方といたしましても従来以上に
輸出
の増進をはかるために、
先方
の
措置
をも要望いたしたのでございます。このようにいたしまして三カ月余にわたりました
会談
も、一応のちに申し上げますようなラインでまとまった次第でございます。 そこで新らしい
貿易
取りきめの概要につきまして申し上げますならば、この
協定期間
は一九五五年十月一日から一九五六年九月三十日までの一カ
年間
と相なっております。 そこでその
協定期間
中におきましては、
日本
が
スターリング地域
への
輸出
によりまして獲得した
ポンド
の額まで、
日本
の
スターリング地域
からの
輸入
についての道を開くように
措置
をするということが
約束
をされたのでございます。この点は、今回の
交渉
を開きますにつきまして
イギリス側
が最も強く主張したところでございまして、冒頭
説明
申し上げましたように、わが方の
ポンド手持ち
が一億になんなんとしておるということは、全般の
ポンド
から申しまして
英側
といたしましては、これは過大であるというふうに考えております。できるだけこれを少くしていこうというような見方で来たのでございますが、少くとも今後この
日本
の
ポンド累積
というものは、今後これが
増加
を続けるというようなことは、
先方
としてとうてい
承知
できないというようなことから、少くとも
日本
が獲得した額だけは必ずこれを使うというようなことを
約束
することになった次第でございます。 そこでこの獲得した
ポンド
を使うための方法といたしまして、さしあたり本
年度
の下期、すなわち一九五五年十月から一九五六年三月に至ります
外貨予算
におきましては、
貿易外
を含めまして一億二千七百五十万
ポンド
以上を
スターリング地域
からの
輸入
に計上するということを
約束
いたしまして、そのように
措置
をいたしております。で、これは半年分でございますので、来年の二月にこの半年分の成果につきまして
日英両国
間でレヴィユーを行いまして、その結果を参酌いたしまして、明年四月から九月まで、すなわち
昭和
三十一
年度
上期の
外貨予算
をそこで討議をするということになった次第でございます。 そこで
スターリング地域
と
日本
との間の大きな
ワク
につきましては、ただいま御
説明
申し上げたようにいたしたのでございますが、なお、
スターリング地域
の中には、御
承知
のように
英本国
、それから
英国
の
植民地
、そのほか
ドミニヨン
、すなわち
自治領地域
というふうに分れておりますが、この
イギリス本田
につきましては
英国
が
面接責任
を持って
交渉
し得る
立場
にあります。また
植民地諸国
に対しましては
本国
の
相当
強い
統制力
が及ぶわけでございますが、
ドミニヨン地域
につきましては、これは
独立国
でございますので、
英代表
といたしましては、この
ドミニヨン地域
を代表してはっきりした取りきめを結ぶ
立場
にはございませんので、大きな
ワク
がそこできまりましたその範囲内におきまして、
英国本国
及び
植民地
と
わが国
との
貿易
につきまして具体的な取りきめが行われたわけでございます。
英本国
及び
植民地
と
日本
との間の
輸出入計画
につきましては、お手元の
資料
の終りから二枚目の紙の後半にございますが、まず今回の
協定
におきましては、
日本
から
英本国
への
輸出
は一応二千二百六十二万
ボンド
と
推定
をいたしております。そのうち
サケ
、
マス
・
カン詰
といたしまして四百七十二万
ポンド
というものが特掲されております。これを
前回
の
協定
による
見積り金額
と比較いたしますと、
前回
の
協定
におきましては、
日本
から
英本国
への
輸出推定
は千四百五十万
ポンド
ということになっておりますので、ここでも
英本国
に対する
わが国
の
輸出推定
は非常に伸びた計算になっております。それから
サケ
、
マス
・
カン詰
につきましては、
前回
の
協定
では二百万
ポンド
を見積っておりますので、これも二倍以上の
増加
になっております。 次に、
日本
の
英本国
からの
輸入推定
につきましては千八百七十八万七千
ポンド
ということになっておりますが、これは
前回
の
協定
による
見積り
では千六百万
ポンド
ということになっておりまして、ここも若干
増加
いたしております。その
内訳
といたしまして、
毛製品
二百八十万
ポンド
、ウィスキー及び
菓子類
四十三万五千
ポンド
、それからC・K・D、これは
自動車
の
部品
でありますが、これが十万
ポンド
の追加ということになっております。これを
前回
と比較いたしますと、
毛製品
は
前回
は二百万
ポンド
、これが八十万
ポンド
の増。それからウイスキー及び
菓子類
につきましては、
前回
は
米ドル地域
との
共通ワク
といたしまして四十万
ポンド
となっておりますのを、今回は
英本国
のみで四十三万五千
ポンド
ということになっております。 それから
日本
の
英植民地
との
関係
でございますが、
日本
の
英植民地
への
輸出推定
は一億八百二十万
ポンド
ということになっておりまして、
前回
の
協定
の九千百五十万
ポンド
に比べ大幅の
増加
になっております。
日本
の
英植民地
よりの
輸入推定
といたしましては四千五百五十八万
ポンド
になっておりまして、
前回
の三千二百五十万
ポンド
に比べまして、やはり
増加
になっております。その
内訳
といたしまして、
原綿
が百十万
ポンド
、そこに「羊毛」となっておりますが、ミスプリントでございまして「
原綿
」でございます。
原綿
が百十万
ポンド
、それから塩が二十万
ポンド
、
コーヒー豆
が三十三万
ポンド
と、こういうふうに計上されております。 この表でごらんになりますように、
わが国
と
英本国
及び
英植民地
との間の
貿易
はいずれも
輸出入共
に
拡大均衡
という
考え方
で
協定
をされた次第でございます。 なお、そのほか
ポンド地域
からの
自動承認品目
及び
雑輸入等
も、今回の
協定
におきまして
相当
拡大
いたしまして
措置
をするということを
約束
をいたしております。 また、
スターリング地域
からの
輸入
を容易にいたしますために、同
地域
からの
輸入担保率
もできるだけ引き下げるというような
措置
をとっております。 なお、
石油
の
輸入
につきましても、
英系
の
石油会社
に不利な取り扱いをしないということで
約束
をいたしまして、このようにいたしまして、
日本側
といたしましても、できるだけ
ポンド地域
からの
輸入
を促進するという
措置
を講じました次第でありますが、他面また
英国側
といたしましては、香港、シンガポール、アデン及び
マレー連邦地域等
の諸
中継ぎ
港の所在する
政庁
に対しましては、この
協定期間
中に
日本
からの
輸入
を無
制限
に認めることといたしました。その再
輸出
につきましても、原則としてこれを
制限
しないということを、それらの
政庁
に通知をいたすということにいたしました。 また
中継ぎ
港以外の各
植民地
の
政庁
に対しましても、
協定期間
中には、先ほど申し上げました
日本
からの
輸入見積り金額
、すなわち一億八百三十万
ポンド
に対しまして、
日本
からの
輸入
についていかなる
商品
についても、非
スターリング地域諸国
からの
輸入
される
商品
と同じ
商品
については、
同種
の
商品
については
同種
の
輸入
を認める。つまりほかの
地域
から
繊維
なら
繊維
が
輸入
される場合に、
日本
からの
繊維
を締め出しをしないというようなことを通告をいたさせた次第であります。 なお、
英本国政府
といたしましては、
日本
から
英国
への
輸入
につきまして現在行なっております0・G・L、0・I・L、
グローバル・クォータ等
の
輸入制度
につきましても、これをそのまま継続するということにいたしまして、
日本
からの
輸入
を容易にするという
措置
をとった次第であります。 このように
両国
いずれの側におきましても、できるだけ相手方からの
輸入
を容易にし、これを促進するという
措置
をとりまして、終局のところ
拡大均衡
に持っていくということを狙った次第でございます。 なお最後に、今回の
日英会談
が
わが国
の
経済
にいかなる
影響
を及ぼしたかということを、ごく簡単にまとめてみますと、
輸出面
におきましては、大体昨
年度
の
日英協定
におきまして、
日本
からの
輸出
を容易にするような諸
制度
が
英国側
においてとられたのでございますが、今回の
協定
におきましても、同様これらの諸
制度
を継続いたすことといたしまして、
日本
の対
英輸出
を順調に進めていく段取りを確保したわけでありますが、そのほかに特に
英本国向け
の
日本
の
輸出
、なかんずく
サケ
、
マス
・
カン詰
の対
日輸入ワク
の
拡大
を、先ほど申し上げましたように
前回
の
協定
では二百万
ポンド
であったのを四百七十二万
ポンド
という画期的な
数字
にまで
拡大
することを認めさした次第であります。なお
植民地
の対
日輸入
総
ワク
につきましても一億八百万
ポンド
、従来の
協定
に比べまして一千七百万
ポンド
の
増加
ということが見積られたということは、今後の
輸出伸張
に大きな道を開いたものと考えられるのであります。特に
植民地向け
の
輸出品
の構成を見ますれば、
繊維品——綿製品
及び
化繊関係
を主といたしますが、この
繊維品
の
輸出増加
が今後期待される次第でございます。 他方わが方の
輸入面
におきましては、さしあたり
外賃予算
で一億二千七百五十万
ポンド
の
予算措置
を講じたのでありますが、これによって
ポンド地域
からの
輸入
を促進することといたしました。なお
自動承認品目
の
拡大
であるとか、あるいは
担保率
の
差別撤廃
というようなことで、できるだけ
スターリング地域
からの
輸入
も容易にするということで、
相互
に
拡大均衡
をはかることといたしたのでございますが、ただ個々の
品目
について見ますと、若干
わが国
の
生産品
と競合いたすものもございますし、また
品目
として見ます場合に、奢侈的な
品物等
もあるのでございますが、この
わが国
との
競合品目
につきましては、できるだけ
わが国
の
競争力
の強い
品目
を選びまして、
国内産業
に対する
影響
もできるだけ少くするということに努めておりまするし、また
奢侈的品目
につきましても、これは単にこちらが一方的にこういうものを
輸入
するのみでなく、同様の性質の
品物
を
先方
にも
輸出
するということに努めまして、
相互
に
拡大均衡
という線に一歩でも近づける。また
ポンド
の
累積
もこれを避けることといたしまして、全般的には過去の苦い
経験
をなめましたような、
英国側
が強い対
日輸入制限
をする、その結果
わが国
の
輸出
がにわかに半減というような過去の苦い
経験
を繰り返さないということに
重点
をおきまして、結末を見た次第でございます。 きわめて簡単でございますが、一応今回の
日英協定
の大筋につきまして御
説明
申し上げた次第であります。
吉野信次
3
○
委員長
(
吉野信次
君) 次に、
鉄鋼輸出制限
について。
鈴木義雄
4
○
説明員
(
鈴木義雄
君)
鉄鋼
の最近とりました
輸出制限
について簡単に御
説明
申し上げたいと思います。 実は
鉄鋼
の
状況
は、昨年は非常に不況でございましたが、今年になりましてから、
海外
の
好況
に引きずられまして非常に
状況
がよくなって参りました。実はこの春そういった
状況
に当面しまして、本
年度
は
鉄鋼
の
輸出
をできるだけ促進しますとともに、
鉄鋼
の二つの面と申しますか、一面において鉄は
輸出産業
でございますが、同時に
基礎産業
として
国内
の
需給
の安定をはかるという使命もございますし、そういった観点から、本
年度
の問題は、
鉄鋼
について見ますと、何といいましても、
原料対策
が一番問題であるということで、春以来そういう点に特に
重点
をおきまして、問題の
原料対策
ということについて手を打って参ってきたわけでございます。 その
方策
としましては、
輸入スクラップ
についてできるだけ
外貨
を節約して、
輸入
をはかり、同時に
国内
におきましては
スクラップ
の
価格
の安定をはかるために七
業界
で
スクラップ
・
カルテル
を結成いたしまして、これによって
スクラップ価格
の安定をはかるとともに、
鉄鋼
の
価格
をできるだけ長期に安定させる、これによって
国内
の
鉄鋼
の
価格
及び
需給
の安定をはかるというふうなことでやって参ってきたわけでございます。ところが大体そういった
方策
で、この春以来
相当輸出
も伸びましたし、
国内
の
状況
もこの夏ごろまでは、われわれの目から見ますと、比較的安定してきたのでございます。こういう
状況
であったのでございます。ところがその後だんだんと
海外
の
状況
はさらに
好況
を呈し、そういった
関係
で
輸出
の引き合いが多くなり、それにつれて
生産
もそれに引っ張られる。それが
原料
の
供給限度
以上に
相当生産
も引き上げられるというふうな
状況
を生じまして、その
関係
で
原料関係
を中心として、ある程度の
鉄鋼界
に
混乱
が生じてきたというのが、この一カ月前くらいまでの
状況
でございます。
数字
的に申し上げますと、今
年度
は実は当初の
鉄鋼
の
生産計画
は、
鋼材
で
年間
五百八十万トンでございましたが、その後
輸出
が伸びましたので、六百四十万トンというふうに
計画
を変えてみたのでございます。が、その際の大体
輸出計画
は、
契約高
にしまして、二百三万トンであったわけでございます。上期までの
輸出契約
を見ましても、
契約高
は百三十万トン、
相当
多く上っております。さらに今後
相当
の
契約高
を予想されたわけでございます。こういったような
状況
から
輸出契約
に引きずられ、
生産
も上り、先ほど申し上げました
通り
、
原料関係
に
相当
の
混乱
を生じ、あるいは
スクラップ
の買いあさりというふうな状態が起りまして、その結果、春以来
効果
を挙げて参りました
スクラップ
・
カルテル
が実際
上効果
を挙げるということができなくなって来た、こういうふうな
状況
に立ち至ったわけであります。 そこでわれわれが心配しました点は、そういった
スクラップ
の
状況
の変化から、さらに
鋼材
の
価格
の
混乱
が生じゃしないか。さらにそれを通じて
需給関係
にも大きな問題が起るのじゃないか、こういうふうな点から考えまして、実はそういった点のことを考慮し、ここに
緊急手段
としまして、先般十月の十七日に一部の
鉄鋼品種
につきまして
輸出
の
停止処置
をとったわけであります。 これが従来の
経過
でありまして、ただこれはあくまでも
臨時的措置
でございまして、
業界
が現在さらにこういう
原料対策
あるいは
鉄鋼
の
生産措置
、
輸出等
につきましての
対策
を目下
研究
中でございまして、これらの対案ができまして、
通産省
といたしましても、これを大いに促進し、これによって
鉄鋼
の
需給
の
安定措置
並びに
価格
の安定の
見通し
がつきますれば、これは一刻も早く解除したい、こういうふうな考えで来ておる次第でございます。 なお、この
輸出停止措置
によりまして、
相当
国際的にも
影響
がございますので、いろいろ
研究
しました結果、
契約
でLC、あるいはLAが開設されたものにつきましてはこれは
輸出許可
を行う。さらにそのほか特に
海外
の
市場
に対して重要であるような
契約
につきましては、できるだけ
十分考慮
を払うというふうにしまして、
国際的影響
をできるだけないように努力したわけでございます。
目下鉄鋼界
におきましては
緊急対策委員会
を設けまして、
原料対策
、
生産対策
、
輸出対策
ということについて案を練っております。
原料
につきましてはあるいは
輸入スクラップ
の
共同買付
あるいは
共同資金
による
国内くず
の
買付
とか、あるいはいろいろ
国内
の
共同購入
、
機械
の
設置
とか、
いろいろ案
が出ております。そのほかいろいろ目下
研究
中でございまして、これが早急に具体化しますれば、われわれとしましても、これを適当と認め、これが
鉄鋼
の将来の
需給
並びに
価格
の安定に資するという
見通し
がつきました場合には、この
措置
は先ほど申し上げました
通り
、できるだけ早い
機会
に解除したい、こういう
方針
でございます。
吉野信次
5
○
委員長
(
吉野信次
君) つかんことを伺いますが、どういう
根拠
でこういう鉄の
輸出承認
を与えるのですか。
通産大臣
は
鉄鋼
の
輸出制限
をする、
法的根拠
はないのですか。
鈴木義雄
6
○
説明員
(
鈴木義雄
君)
貿易管理令
からいうと、従来とも
輸出承認
をしておりましたので、ただ従来はどちらかといいますと、十分に
輸出制限
するということでなしに、できるだけ
輸出
を伸ばすという意味から、大体許可して承認しておったのでありますが、この際、そういう
方針
をとっただけでございまして、従来から
輸出承認制度
というものは
貿易管理令
でやっておったのであります。
吉野信次
7
○
委員長
(
吉野信次
君) 将来の
見通し
はどうですか。
臨時
だというが、いつ頃まで……。
鈴木義雄
8
○
説明員
(
鈴木義雄
君) それは今
説明
で申し上げました
通り
、
業界
でいろいろ
対策
を練っておりまして、その
対策
ができましてそれが実行に移される、それによって
鉄鋼
の、
需給
及び
価格
が安定するという
見通し
がつきましたならば、できるだけ
通産省
といたしましても、早くこういう方向にもって行きたいと考えておりますので、今
業界
が非常に急いでおりますし、われわれもこれを促進しておりますので、できるだけ早く解除したい、こう考えております。
吉野信次
9
○
委員長
(
吉野信次
君) それでは
国産自動車工業
の
振興
に関する件について。
鈴木義雄
10
○
説明員
(
鈴木義雄
君)
自動車工業
の
振興
に関する件につきまして、
資料
がお配りしてございますので、その
資料
によりまして簡単に御
説明
さしていただきたいと思います。 御
承知
の
通り自動車工業
は
年間生産額
が千八百億、
機械工業
の中では第一位を占めている
工業
でございます。原材料あるいは
部品工業
の
関連産業
も非常に広く、
雇用人口
もいろいろ言われておりますが、百万人というふうに言われております。しかもこれの使用する
設備
、材料、
部品
はいずれも
相当
の品質、及び規格を要するものでありまして、
自動車工業
の発達は
日本
の
機械工業
の水準の
向上
にも大きな刺激を与えるわけであります。そこで従来から
通産省
といたしましては、
国産自動車工業
の
振興
に対しまして、いろいろと手を打ってきておるわけであります。従来は
相当
膨大な
輸入車
がございましたが、それも最近では
相当制限
されてきております。また
駐留軍人
、軍属からの譲り受けの
車量
も
国内
の
輸入
について
相当制限
をしておりますほか、また
政府
としては
自動車工業
の
設備
の
近代化
のためにいろいろ
資金
を供給する。さらに
乗用車
につきましては、
技術
の
向上
をはかりますために
外国技術
の導入ということをいたしておりまして、現在これを実施しているわけであります。現在の
状況
ではトラック、バスについてはもはや
輸入
を要しません。これらの車はむしろ今後
輸出
する機運にあるのでありまして、最近でも大体
年間
、
資料
にございますが、昨年は六百五十万ドル、今
年度
はおそらく七、八百万ドルの
輸出
をあげることになると存じておる次第でございます。また
乗用車
におきましても
国内
の
乗用車
も
相当
よくなって参りまして、今後大いに進歩を期待されるわけでございます。これはいろいろ諸
外国
との
競争
も
相当
激甚な事業でありますし、今後
貿易
の
自由化
、いろいろな問題に備えてできるだけ早い
機会
に、この
自動車工業
の確立をわれわれとしてははからなければならんと考えておる次第でございます。 そこで
通産省
としましてはいろいろ今後の
対策
も考えておるわけでございますが、一番問題はやはり
自動車工業
と申しますと何といいましても大量
生産
の事業でありますので、できるだけそういった面から
自動車工業
を考えなければいけないわけでございます。それについて考えられなければなりませんのは、
国内
需要
が比較的少いという面から、
輸出
をおもに考えけなればいかんということもございますし、同時にまたそういった事情から考えて現在は、
資料
にも書いてありますように、比較的
生産
が数社に細分されているという点も若干あり、こういうことについてのコストの低下とか、品質の
向上
に対して限界があるわけであります。そこで今後の問題としましては品質、性能の
向上
、コストの切り下げということを大いにやって参りますと同時に、国際
競争力
を強化するがためには、企業内部の合理化ということだけでなしに、規格の統一とか、企業形態のあり方というふうな点についても問題があるわけでございますが、
通産省
としましては、さしあたりここに書いてありますように、従来の諸施策に加えまして、内外
市場
の
拡大
、
部品
、材料等の規格統一、試験
研究
機関の拡充、良質低廉なる原材料の確保、低利
資金
の確立等につき、いろいろの
措置
を
研究
中であるわけでございます。 第一は、
部品
等の規格統一でございますが、これはここに書いてございますように、できるだけこういった方向で
研究
すべく現在社団法人
自動車
技術
会に二百万円の予算をもってこの規格の統一の試験
研究
を進めておるところでございます。 それから簡単に申し上げますが、材料の確保につきましても、これは
自動車工業
としては特別の品質の原材料が
要求
されるわけでございまして、これらにつきましても規格の
研究
と同時に、
業界
で購入についての共同態勢というようなことについて目下考究をいたしておる次第でございます。灘今後
自動車
の普及をはかる上におきましては、何といいましても税の問題があるのでございますが、これは物品税、
自動車
税等いろいろございます。これについても
国産自動車工業
の発達のためになるべく早い
機会
に、ここに書きましたようなことについて、できるだけ早く検討の上実現をはかりたいと考えおる次第でございます。
資金
の問題でありますが、従来
設備
の合理化につきましては、
通産省
といたしまして
自動車工業
の合理化
資金
につきあっせんをいたしまして、開銀等の融資をいたしております。また世界銀行に対しても二社につきてまして借款の要請をしておる次第であります。また
自動車工業
は
部品工業
が
相当
多く、これにつきましては中小
金融
金庫の今年から始まりました直接貸等につきましても、いろいろとあっせんをいたしまして、できるだけ目的に沿うように努力中でございます。 試験
研究
機関の拡充でございますが、これは従来
機械工業
振興
費というところからいろいろと
研究
についてわれわれとしましては考究してきておりまして、今
年度
も標準悪路試験道路の建設について千五百万円、競輪からの上りの
機械工業
振興
費において支出したわけでありますが、来
年度
は、ここに書いてございますように、
自動車
の
研究
組合の設立のための予算
要求
をいたしております。これは全額で十六億円でございますが、初
年度
として六億円程度、これの半額補助ということで目下大蔵省に予算の
要求
をしておるわけでございます。この種の
自動車工業
としましては、かような試験
研究
機関を
相当
強力にして、今後のいろいろの
技術
上の問題について
研究
をさしてゆく必要がぜひあるとわれわれとしては考えておる次第でございます。 国産車の愛用と外車の抑制、これはできるだけ官庁としては国産車を使用するという
方針
でやっておりますし、また先ほど一番初めに申し上げました
通り
、従来から
輸入
制限
あるいは払い下げの
制限
ということで努力してきておる次第でございます。詳しいことはここに書いてございますが、いろいろ
説明
いたしますと長くなりますので、簡単にこれで省略さしていただきます。
河野謙三
11
○河野謙三君 大臣がお見えになりましたところで、
自動車工業
の
振興
につきましていろいろな抱負、経綸をお持ちになっておるようでありますが、私は一群
日本
の
自動車工業
の
振興
に欠けておる点は、この
工業
の性質上、大企業でなければできぬもんだと思うんですが、それをほとんど中小企業的か
自動車工業
がばっこしておる、というのはおかしいですが、存在しておるところに
日本
の
自動車工業
の
振興
の一番のガンがあると思うんです。
鈴木
さんは
外国
のことはよくお知りだが、
英国
でもフランスでもドイツでも、またアメリカはもちろんのこと、
自動車工業
というのは大体数社に限られたものです。そこで大企業で大量
生産
をするところに初めてコストの低下ということがあると思うんです。
日本
はその要素に欠けているわけですね。そういう点についてはどういうようにお考えになりますか。
鈴木義雄
12
○
説明員
(
鈴木義雄
君) 先ほどの一番初めの
説明
にふれた問題でございますが、お話の
通り自動車工業
は大量
生産
を特色とする事業でございますから、できるだけ
生産
単位は少い方がいいわけです。しかし
日本
では大体現在比較的大きな会社が組み立てを、組み立てといいますか、
部品
は小さい所で作っておりますが、最後の段階の製造と申しますか、組み立ての段階は大きな会社がやっております。ただその場合に、車種が若干多いんではないかという疑問があるわけでございます。そういう点につきましては、今後これをどういう形に持って行くか、自由
競争
の形で、適者が生存して、アメリカの例で見ますように——アメリカは、昔は八十も
自動車
会社があったそうです。それが十になって、最近ではさらに五つになり、現在では大きなゼネラルモータースとフォードですね。ほかの方がだんだん下へ下ってきて、自由
競争
という過程で、そういう体制が作られるか、あるいは、そういうことを予想して、ある段階になって、
業界
の大勢がそういうふうに持って行くかというふうなことで、問題が片づいていくのじゃないか。今すぐにそれを急に
機械
的に合同していくというようなことでは、とても目的は達しないんじゃないか。そこで
技術
上の切磋琢磨と、そういう
状況
にできるだけ持って行かれることを、私どもは希望しておるわけであります。
河野謙三
13
○河野謙三君 私はその点を
通産大臣
に伺いたいんですが、今重工
業局長
からお話があったように、アメリカのようなあれだけの大きな
需要
にこたえて、あれだけの大量
生産
をしておるところで、わずか二社か三社にしぼられておるわけですね。それらの国と
競争
していく場合に、将来の問題として残す問題ではなくて、ここに何か基本法でも作って、
自動車工業
を大企業による大量
生産
、集約的な
生産
をやるということに、法的な
措置
を講じなければ、今そのほかのいろいろな部分品をどうするとか、こうするとかというような、そういう末梢的な問題で国際
競争
ができるわけじゃない。いたずらにコストの高いものを使わして、そして
外国
車の
輸入
を
制限
するというようなことで、私は決して行けるものじゃないと思うのですが、
自動車工業
については、根本的に
自動車工業
法とか何とかというようなものを作って、根本的に
外国
と十分
競争
のできるような基本
方針
を立てるべきだと思いますが、そういうことを
通産大臣
はお考えになり、同時に来たるべき国会に提案なさるというような御決意はございませんか。
石橋湛山
14
○国務大臣(石橋湛山君) まあ
自動車工業
は大規模でなければならぬということは、お説の
通り
だし、今
局長
が言った
通り
ですが、現状において、これを法律をもって縛って、今の会社を整理するということは、今は少くともその時期でないと思います。ですから、もう少し様子を見たい。現状において、とにかくトラック、それからバスにおいては
相当輸出
もある程度できて、あるいは近ごろジープ類のようなものも
外国
品と
相当
競争
のできる程度になっておる。問題は
乗用車
だけなんです。
乗用車
の方は、特にボデーがめんどうで、あれが型でも変ると
相当
資金
が要るものですから、そういう点に困るところがあるようでありますが、これは各会社も
相当
考えておりまして、ことにトヨタとか日産とかいう純国産車の業者は言うまでもなく、ほかの組み立て車の方の
外国
車を入れてやっておる連中も、そういう点を考えんじゃない、考えておりますから、もう少しやはり時期を待った方がいいと私は思います。今力ずくでこれをねじ伏せてどうするということも少し行き過ぎじゃないかと考えておりますから、この次の国会にという考えは持っておりません。
河野謙三
15
○河野謙三君 これは
局長
に伺いたいんですが、一体
自動車
の
価格
が、
乗用車
の場合、国際
価格
というものは、順次
日本
のコストと
外国
のコストというものは縮まりつつあるんですか、開きつつあるんですか。国産車の
生産
コストというものは、
外国
のコストと比較して、だんだん
外国
のコストに近寄っているんですか、それとも開いておるんですか。
鈴木義雄
16
○
説明員
(
鈴木義雄
君) その点は、
外国
のコストの問題にもなりますが、われわれとしては
外国
のコストに近づきつつあると、こういうふうに見ております。
河野謙三
17
○河野謙三君 その近づきつつあるという
数字
を具体的に——今でなくていいですから、過去五年なり十年にわたって、過去十年前にはどのくらい開いておった、五年前にはどうなっておる、現在はどこまで来ているという
数字
を具体的に
資料
として出していただけますか。
鈴木義雄
18
○
説明員
(
鈴木義雄
君) なかなか比較がむずかしいと思いますが、何かの形でそういうふうな
資料
をできるだけ御趣旨に沿うように作ってみたいと思います。たとえば原価自身も、向うのコストを調べるのはむずかしいので、売価とか何か、そういうようなことがわかりますような
資料
を出したいと思います。
河野謙三
19
○河野謙三君 はなはだ失礼なことを言うようですが、作った
数字
でなくて、正直なものを出して下さい。私はそんなに近づいていないと思う。たとえばアメリカでも、十のやつを五つにし、二つにするというところまでしぼってきて、大量
生産
をやってコストの引き下げをやっておるので、
日本
だけがまごまごしていてコストが下るわけはないんです。これは私が断定すべき問題でないので、一つ
資料
を正直に出してもらいたいと思います
白川一雄
20
○白川一雄君 今
局長
から大体の御
方針
、きわめて抽象的な点をお聞きしたのですが、実情は必ずしも今申されたようなことではないんじゃないかと、河野
委員
が今お尋ねになりましたが、少くも現在販売しておる
価格
から見ますと、
日本
のコストが三倍近くになっておる。
輸出
すると言いましても、コストを下げることを先に積極的にやらなければ、
自動車
を
輸出
するというようなことは、現在の段階では夢想だにできない実情ではないか。こう考えますと、各工場で大体作る数量というものがある
数字
に達しなければ、原価を引き下げるということができないのじゃないか。現在
日本
の
需要
する
自動車
が大体
年間
二万台といたしますと、現在国産が三社でございますが、外車の組み立てをやっておるのが三社、一つはダブっておりますから、五社として考えてみまするならば、一つの工場の
生産
数量というものは五、六百台になってしまうわけですが、それでは今日の
自動車工業
の原価を下げる
数字
には達しないんじゃないか。私は一カ月二千台くらい作る
数字
にならなければほんとうに原価を下げる
生産
数量にはならないと、こういうように考えてみますと、先ほどおっしゃられたように、
競争
さしてやらすような体制をとるということは、この産業の性質として、民主主義はけっこうだけれども、これは民主主義でやるべき性格でない産業ではないかと私は思う。この休会中に、私工場をずっと回ってみました。実情からいきましても、非常にその点が困っておるんではないか。そこに三十二年の十月まで外車組み立てを二百台ずつやらしておる。これを終ったときには、やはり国産車としてやらすつもりか、また現在利益をあげておるのを食い逃げさしてしまうつもりなのか、その辺の当局のお考えを一応承わりたい。少くも今日の保有台数は、十三万八千台
日本
にありまして、大型車の
外国
車が八万台ある。官庁の方で使っておるのがそのうちで一万台あって、一万五千台が観光客のために使われておると、こういう実情であって、国産車の
生産
を多数の工場に分けて総花的にやらすという事柄では、立ちおくれておる
自動車工業
を世界の水準に近づけるということは、言うだけのことで、実際はできないんじゃないかというのが現実の姿だろうと、こう思いますのですが、メーカーの今の外車の組み立てというものが三十二年十月に終ったときには、どういう処置をとらるるつもりか、その点をちょっと承わりたいと思います。
鈴木義雄
21
○
説明員
(
鈴木義雄
君) ただいま国産
自動車
の
競争力
についての御質問と、それから
輸入
組み立て車について将来どう扱うかという御質問でしたが、先ほど大臣からお話し申し上げましたことを敷衍するわけですが、トラックとかバスについては、現在
日本
国内
でも
相当
のものができて、
相当輸出
もされておるという
状況
で、これは
相当
競争力
もあるのではないかと、こうわれわれも見ておるわけでございます。それから、問題は
乗用車
でございますが、御指摘の
通り
、それは確かに大量
生産
を目的とする事業でございますから、単位は大きければ大きいほどいいわけでございます。しかし、現在御指摘のように、五社それぞれが
相当
たくましい意欲で、大いに
自動車工業
をやろうということで進んでおるわけです。これにはそれぞれ歴史がございまして、
輸入
の三社は、
外国
からよい
技術
を導入して、その型の車を
日本
で作って大いに売り込もうという努力を三年来続けてきているわけであります。またトヨタ、ダットサン——日産は、これは自分の
技術
も
相当
使ってやろうというような強い気持でやってきているわけでございまして、お話の
通り
将来大量
生産
の実を上げるためにどういう形に持っていくべきかという問題を考えます場合に、今直ちに
機械
的に会社をどうこうして持っていくということが果していいかどうか、ある程度やはりこういった
技術
の切磋琢磨とも関連しながら、そういう方向に
状況
を見ながら指導することが適当ではなかろうか、こういうふうにわれわれとしては先ほどの御
説明
を繰り返すことになりますが考えているわけであります。 そこで
輸入
組み立て車の方は、会社によりまして程度は違いますが、大体現在で、ある会社は五〇%、ある会社は四〇%程度国産化が行われてきております。三十二
年度
中にはこれを九〇%以上は国産化するという目標で、それぞれ
設備
その他を現在進めているわけでございます。このときになりますれば、これらの
輸入
組み立て車は完全に国産車となる。そうなると、ほかの会社と同じ条件において
競争
するということになります。そうでありますから、従って二年後には、あるいは来年からもうすでにそういうことになると思いますが、
相当
激烈な
競争
が行われてくる。そこでどの車がよいか、どの会社が伸びるかということの
状況
がだんだん出てきますと、そこにある程度のそういったふうな
国内
の態勢というものが御指摘のようなところにだんだん近づいていくのではないかというふうに、われわれとしては考えているわけでございます。
白川一雄
22
○白川一雄君 どうも今の御
説明
を聞きまして、われわれが国産
自動車
育成ということについて考えていることと、あまりに懸隔があり過ぎて驚くような気持がするのですが、各会社が熱意をもってやっているから、大いにこれを保護しなければいかぬことはわかりますが、それよりまず国として
自動車
をどうやったらほんとうのいい車ができるかということを先に考えるべきではないか。ですから、かりにこの組み立て工場にしましても、
外国技術
の導入が目的であったとしましたならば、現在の段階ではある程度それに達していると考えますれば、そういう方の損失を補償するという方法もまたあるのではないか、たとえば一方に集中して安く車を作らすということができれば、一台について幾らという金を出さして外車組み立てを中絶するという処置も考えられぬことではなかろう。現在
自動車
工場はやはり土曜日も休みにしなければいかぬように工場を閉めてやっている所が多いようでありますが、こういう格好でこのおくれている
自動車
を世界の水準に持っていくという行政指導をされたのでは、私は百年河清を待つごとしということが当てはまるのではないかというような気がするのでございますが、たとえば外車にいたしましても、官庁がほんとうに積極的にやろうと思われるならば、一万台観光客に使っている外車を国産単に切りかえましたら、ガソリンだけ計算いたしましても年に三十億円のガソリンが違ってくるはずです。そういう各方面いろいろありますが、実行面において何ら進まないで、各業者を
競争
させ、この
資料
の中にも
部品
の規格を統一しなければいかぬとありますが、おのおの設計が違うのですから、設計の違う
部品
の規格統一を、品質だけ統一するならよろしいのですが、規格ということになってきますと、おのおの多種多様に分れるので、ほんとうにやろうとすれば、設計なんかは国がもって同じ車をなんぼかの会社に幾ら作れという指図でもできる段階になれば、規格の統一ということも簡単にゆきますけれども、各社でいろいろな形の車を作らす態勢においたのでは、なかなか規格の統一はできないのじゃないか、今度工場を回ってみまして、たとえば最も多量に使う
原料
の鉄板にいたしましても、あのドローイング・プレスをかけておるのをみますと、大体一割以上はきれが出てきます。裏にしわが寄るというような形で、真に
自動車工業
を育成しようとするならば、
年間
に要る
自動車
の鉄板というものをどこかの製錬工場にそれに向く鉄板を作らすという指導もしなければいかぬのではないか、普通の鉄板の中からあれこれをより取ってきて現在やっておるようでは、一割から一割五分くらいのロスが出ておる実情で、それだけ
原料
の部面においては高くなってゆく、コストの上においては高くなってゆく、これが非常に大きな部分を占めておるようにみてきましたが、大臣も今押えつける——押えつけるのではなくして、
自動車
をほんとうに
日本
人がみんな乗るようなものを作るというためには、業者に無理のない
重点
的な三社なら三社で育成するとかいうような格好に持ってゆかないと、私はそうあっちこっちの方々がいってくるやつを片っぱしから熱意があるというので取り上げてゆくような性質の産業ではないというように考えられるのでありますが、そういう決定した御
方針
をとっていただくわけにはゆかないのでございましょうか。
石橋湛山
23
○国務大臣(石橋湛山君) さっきもちょっと申し上げましたように、お説ごもっともでありますが、今急にこれをやるということは私はちゅうちょするのであります。もう少し様子をみたいのです。今
局長
の言いました
通り
、各社とも一生懸命に今かかって、もうしばらく、もう一、二年待ってくれれば何とかなるというておるような、これはそうなるかならぬか、そのときにならなければわかりませんが、とにかく当業者としてはそのつもりで苦しい中を一生懸命やっておるさなかでありますから、これはもう少しやらしてみて、その結果によって一つ当業者の間にいろいろ話し合いもつくでありましよう。その上で一ついたしたい、こう思っております。
上林忠次
24
○上林忠次君 私この間中国の
状況
をちょっと見てきましたが、特に目立つのは
自動車
の少いこと、あれだけの物資を
生産
してこれを動かすということになると、
相当
今の汽車だけに依存できない
状況
を見てきましたが、果して
日本
の
自動車
がこれにどんどん出てゆくか、国際
競争
で中国に入ってゆくかということを考えますと、今の
日本
の
自動車
業界
の
状況
ではとても
競争
できないのじゃないか、先ほどから何とかしてしっかりした
競争
のできるような経営にしたいのだといわれますけれども、今のままでゆけば何も助成もしてないし、遠大な
計画
もない、このままで自然の
競争
で落ちるものは落ちるというような状態でありますが、まあ何とか近い中国の
市場
を確保するために、少くとも見本でもダンピングしてでもいいから今から
輸出
の道を講じておく、将来への発展の水を向けておくということが必要ではないか、果して
自動車
をココムの
制限
を解いて出すような努力がどの程度やられておるのか、その点と、それから見ておりますと、
英国
の
自動車
も
相当
入っておる。これは
乗用車
でありますが、ソ連の
自動車
が大部分でありますけれども、
英国
の車が
相当
入っておる。脇道から入っておるのじゃないか、こういうふうな脇道があるならば、われわれもそれを一つならったらどうか、そうして販売
市場
を今から溝をつけておくということが必要じゃないか、特に向うで必要なものはトラックでありまして、トラックはほとんど見えない。そういうふうな状態で、ソ連もこのトラックの供給が十分できない、実質的な力がないのじゃないかというような気がするのですが、何とかこの際に少しでも今から将来の開拓のために無理をしてでも出してゆくということをやらなくちゃいかぬのじゃないかと考えますが、もちろんほかの物資も皆足らぬものは多いですが、ぜいたく品はもちろん向うは入れない。
自動車
のような建設に必要なものはすぐほしいのじゃないか、公けの
輸出
ができないならば、
英国
式の裏の手を使ってでも今のうちに出しておかなければいかぬのじゃないか、
日本
の部分品がどんどん要るということになりますれば、将来の
日本
品の
需要
というものもふえてゆく、そういうものを少しでも出してゆく、こういうふうなことにつきまして、
貿易
はどういう工合に、今ココムの
制限
なんかを排除するためにどの程度の努力をされておるのか、将来
制限
の解除されるような
見通し
があるのかないのか、そういうような点を、現状をお話をしていただきたいと思います。
石橋湛山
25
○国務大臣(石橋湛山君) ココムの問題は少し厄介でありまして、実はまあこれは全く私の推測でありますから、表に出ると厄介かもしれませんが、この間フーヴァー国務次官が来たときもその話が出たのですが、ちょっとフーヴァー氏の言うのには、前に重光外務大臣がワシントンに行ったときにも、ダレス長官もその問題は一つ真剣に検討しよう、こう言ったからまあ必ずしも望みなきにあらずというようなふうな調子に見えました。そのことがちょっと新聞に漏れたら、すぐに大騒ぎをして取り消しをする、こういうようなことで、今アメリカの国会及びアメリカの一般の世論でありましょうから、支那の問題は非常に神
経過
敏だから、
日本
は支那との交易についてアメリカの世論を刺激しないように一つ注意してくれということは繰り返して言っておりましたが、そういう
関係
からか、非常にアメリカの
政府
も神
経過
敏でありますが、しかし何とかその話を特免とか何とかいう形で持っていけば、全然望みがないというのではないように思われます。従って今、外務大臣ともそのときから常に申しておりまして、続けてやっておりますが、今度は
通産省
からもまた別なものがココムの方に参ります。そういう手を通じてできるだけ一つココムの解除に幾らかずつでもやっていくように努力を現在はしておりますし、また今後も就けてやるつもりであります。 それによって果して
自動車
が出るか出ないかわかりませんが、これは今お話のようにトラックなどはもし出せるということになれば
相当
有望じゃないかと思いますから、これは努力はいたしたいと思います。
苫米地義三
26
○
苫米地義三
君 今材質の問題が出ましたけれども、
日本
の
自動車
というものはまあ後進産業でありますから、どうせ従来の大量
生産
におっつくわけにはいかない。だからそれを避けるには、
日本
独特の、どういうところに特色をおいた
自動車
を作るかということが一つのポイントじゃないかと思う。たとえばヨーロッパの車、
イギリス
の車でも、ドイツの車でも
相当
堅牢で、そうしてアメリカの車に対しては優秀だというような評判があるわけですわ。それはどこにあるかといいますというと、私の聞くところによれば、まあ設計や加工の差もありますけれども、材質の点にあるというふうにも伺っているのです。そういう面からいいますというと、
日本
には
日本
独特の材質もあるわけですから、だからそういうべースの——基礎の点から考えて、
日本
はどういう特色のある
自動車
を作るか、それによってその特色を生かして、
海外
市場
にも
競争
していくという基本的な態度といいますか、
研究
といいますか、それを
政府
が考えて、ある程度の助成をしていくという大きな方向をきめることが必要じゃないかと思うのですが、どうでしょう、それは。
石橋湛山
27
○国務大臣(石橋湛山君) それはごもっともでして、一体
自動車
に限らず、
日本
の
機械
類は材質などが悪いということは昔からの評判ですので、ですから材質の改良ということにはむろん力を汁がなければならぬし、またそのつもりで
通産省
も、まあ十分とは言えないかもしれませんが、そういう点については
相当
考慮をして、いろいろの手を打っているつもりであります。
苫米地義三
28
○
苫米地義三
君 そういう点が、先ほど白川
委員
が言われたように、同じプレートでも非常にむだが出るとかあるいはしわが寄るとかいうようなことは、これは
商品
全体の上の声価に及ぼす問題です。ですからはっきりこの優秀な材質が
日本
にあるのは、大臣も
局長
もよく御
承知
なんですから、そういう点を生かして、将来この
自動車工業
でも何か活路を兄出すというふうに覚悟していただいたらけっこうだと思います。
藤田進
29
○藤田進君 この
自動車
問題について二点ほどお伺いしたいのです。 参議院の方で実は来
年度
予算を組むに当って、国産車をやはり奨励する毒味で今回は一つ国産車を主として購入することにしようというので、今折衝をしておるわけなんです。これは国会で十台や二十台買いましても、これで直接どうこうじゃありませんが、いわば連鎖反応として、これが将来民間なり官公署なりそういうところの手本になれば、非常にこれがきっかけになるだろうという目途なんです。しかし他の、今
政府
が
関係
を持つ直接の省なり関連する官公署なりにおいて、そういういわば国産車を使っていくという
計画
を何か
通産省
あたりでお立てになって、奨励せられる意思はあろうかどうであろうかという点が一つ。 それから第二の点は、ココムの
制限
の緩和の問題ですが、特免等を折衝したいという意向が今表明されておりましたが、しかしいつも御努力はなさるように聞きますけれども、どうも実効がそれほどこういうものについては上らないということなんですが、かなり重光、ダレス会見等も引用せられて、
状況
もよくなったとも思われるわけですが、実際の
見通し
等についてどういうふうになるか、お聞かせいただきたいと思います。まずその点……。
石橋湛山
30
○国務大臣(石橋湛山君) この諸官庁の
自動車
は、買いかえる場合には国序章にするという
方針
は、もう鳩山内閣ができましたときからきめておりまして、とにかく
通産省
においてはそういうふうに実行しております。現に私は、今役所で使っておりますのはほかならぬ外車でありますが、うちではトヨタを使っているんですが、いいでよ、なかなか、決して悪くないです。ですから使いつければ、まあ国産車の中型以下ですから大きくないから、見たところは堂々としないけれども、ガソリンは要りませんし、みんなが使えば、私は今の国産の
乗用車
でも
相当
使えるんじゃないか。値段も、だいぶさっきお話がありましたが、外車に比較して近ごろはだいぶ下っておりまして、ついこの間までは外車を買った方が得だというような
状況
であったのでありますが、今はそうでないようですから……、なおメーカーも勉強して、さらにトヨタでももう一つ新型を出すと言っているんです。まあそういうことで、役所の方では国産車を使うという
方針
をきめてやっておりますが、なおまあ各省が果してどれだけ実行してくれるか、一々心得ておらないのですが、これはなお一つ十分やってもらうように再確認をしてもらうようにしてもらいたいと思います。 それからココムの方が、さっき申し上げましたようなわけでまことにデリケートな問題になって、先行きどうだという見当をなかなかつけにくいのです。つけにくいのですが、ココムの係の何という人でしたかに私会いました。それで今まで特免を
要求
しましても、なかなか時間がかかって、半年くらいかからないとそれが決定しないということがありましたが、そういう点も、今後ぜひ一つ
要求
した場合には至急に決定をしてくれるようにということを事務
局長
にも頼んでおきましたが、それはできるだけやるということを書っておりましたが、まあ
状況
はだんだんよくなりつつある、こういうこと以上にはどうも今具体的にどうこうということは申し上げられません。
栗山良夫
31
○栗山良夫君
自動車
関係
で今藤田
委員
から質問があった点、私実は非常に関心を持っておる。第一点の役所の
自動車
を国産車に切りかえたらいいというのは、私は前から言っていたことで、鳩山内閣になってから政策として発表されたので、私は非常に敬意を表していたんです。ところが今のお話のように、大臣の御答弁になったことは、われわれことしの春伺っているんですが、実際伺いたいのは、その実績がどの程度上っているかということになるのです。これを伺いたいと思います。 それで私、実はこの間ある国産車の発表会に行きましたときに、ある役所は、はっきり
数字
を覚えておりませんが、十何台でありましたか、確かに買い付けがしてありました。これは出してありました。それでそういう点で実行はされておると思いますが、実は私が非常に疑問を持っているのは、最近国会において、
政府
の代行機関である公社のようなものがたくさん生まれておるのですね。ああいうところは必ず車を買われると思うのです。そういうときにほんとうに内閣の
方針
に従って国産車を買っているのか、あるいは何とか手を回して少し古いような外車を買っているのか、こういう点は、やはり閣議で決定されたことですから、閣議の問題として特別チェックをされることが私は必要じゃないかと思うのです。間もなく
臨時
国会も開かれますので、ぜひあの
方針
に従って一体何台賢い、何台外車を買い、新しく生まれた役所なりあるいは
政府
の代行機関である公社のようなところは、どういう車を新しく買ったのか、そういう点はやはり非常にこまかい問題ですけれども、とにかく閣議で決定されたことだから、
考え方
としてはそうこまかい問題ではないので、
資料
をぜひとも一つ整えてこの
委員
会に提出をせられたいということをお願いしておきます。
石橋湛山
32
○国務大臣(石橋湛山君)
承知
いたしました。一つチェックいたしまして……。
栗山良夫
33
○栗山良夫君 それから第二点といたしまして、これは
鋼材
の方のことをちょっと……、よろしゅうございますか。
吉野信次
34
○
委員長
(
吉野信次
君) ちょっと申し上げますが、大臣はきょう五時半までおられるそうですから、きのうの
石油
の問題が残っておりますし、それからどうでしょう、砂糖の問題ちょっと
説明
だけ聞きまして、あと栗山さんのおっしゃった
鋼材
なんか一括して大臣に対する質問を願っては……。
藤田進
35
○藤田進君 きのうの質問から順次……。
吉野信次
36
○
委員長
(
吉野信次
君) ですから砂糖の分も
政府
の
説明
だけ一つ開きまして、そうして順次適当に御質問願ったらどうかと思います。
栗山良夫
37
○栗山良夫君 今の自動動車のことでもいいですか。
吉野信次
38
○
委員長
(
吉野信次
君) では栗山君の質問から先に……。
栗山良夫
39
○栗山良夫君
自動車
の単価を、
生産
原価を引き下げるという考えは、やはり
自動車
の材料を下げるということが一つと、それから白川
委員
のお話のように、原価を下げ得る程度に、特定なやはり
生産
台数というものを保証していくという、この二つがなければ下らないと思うのです。ところが今メーカーではいろいろな
マス
・プロの
設備
、能率化をやって、努力は非常にしておる。私も工場を見てよく知っております。ところが最近非常に憂うべき現象としては、せっかく三万円下げるとか五万円下げるとか、非常に神経を使って
生産
者の皆さんがやっておいでになるのに、ゴムの方は簡単に値上りしてしまって、タイヤが上る、また
鋼材
はどんどん上ってしまうということでは、幾ら努力しても、この努力が消されてしまうことに材料の面でなると私は思う。従って、
自動車
に限ったわけではありませんが、基礎物資に対してもう少し
政府
は
価格
安定ということについて熱心でなければいかんのじゃないかと、私は最近痛切に感じている。本来ならば、社会党は今度統一いたしましたときの政策の中にも、
鉄鋼
業のやはり国家統制ということをはっきり入れております。なぜかというと、
日本
の
工業
のやっぱり中心になるのは
鉄鋼
であるわけですね。その
鉄鋼
が時の
経済
界の
影響
によってこういう変動をするということでは、とても
日本
のような弱い産
業界
において安定した
計画
というものは立たないのじゃないかと私は思う。特に最近造船ブームだというので、造船会社が非常にうけに入っているように一応言われておりますが、内輪に入ってみると、
鉄鋼
がどんどん上ってしまったので、せっかく注文を受けて、三、四年苦しんできて、ことしはまずまず少しゆとりのある正月をと思っておったところが、実際取ってみたところがなかなかゆとりが出ていない。こういうことを聞いておりますが、これはやはり造船
業界
の人が一生懸命になって注文を取り、外航
輸出
船の仕事を確保したにかかわらず、
鉄鋼
の値上りによってその努力は一ぺんに消されてしまう、こういう現象が出ている。大臣はこういう点を産業政策としてどういうふうにお考えになるのか、これをどういう工合に始末しようとしているのか、伺っておきたいと思います。
石橋湛山
40
○国務大臣(石橋湛山君) お話のように、
鉄鋼
は、まあ結局
原料関係
が最近のような
状況
で、これは押えがたい
状況
になりましたので、やむを得ず——これはあまりいい政策ではありませんが、この間
輸出
の一部を一時とめたというようなことであります。なおどうしても、
スクラップ
等の
関係
から参りましたので、これは
スクラップ
を入れようとしても実は入れようがないものですから、やむを得ないものですから、銑鉄をもう少し
輸入
して、スチールの
生産
を円滑にしたいというようなさしずめの施策をとっております。しかし長い目で見た
鉄鋼
政策というものは、なお今後十分検討して、
原料関係
をどうするか、まあどうしても
鉄鋼
については
原料関係
から片づけて参らなければなりませんので、鉄鉱石の
輸入
先、あるいは粘結炭等の問題については今いろいろ検討をいたしております。まあ
国内
の生地というものは急にふやすことはでませんから、インドとかマレーとか、あるいはフィリピンあたりの鉄鉱石等を
輸入
するということで、現在インドと話をしているようなわけであります。 そういう方向で一つ
日本
の
鉄鋼
業というものを確立し、なおかつ
価格
の安定をはかるように鋭意いたしておるわけでありますが、急に間に合わないので、今目先においてはごらんのようにこの問
鉄鋼
がちょっと上った、こういうことになっております。
栗山良夫
41
○栗山良夫君
鉄鋼
の値上りのために、少くとも二次、三次製品というものが全部
影響
を受けていると思うのです。そういう
影響
がどの程度に実際に出ているか、こういうことを
通産省
としてもうすでにチェックしておられるかどうか、この点はやはり
局長
から一ぺん伺っておきたいと思います。 それから第二としまして、今私が大臣に御質問いたしましたのは、従来ありきたりの
考え方
、あるいはありきたりの政策として
鉄鋼
を見る場合には、今おっしゃった程度のことよりはできないと思うのです、実際問題として……。しかし甘木はあらゆるものについて品質の改善を加えて、
輸出
増進をしなくちゃいけない。こういう絶対絶命の窮地に追い詰められている今日においては、やはり二次、三次の製品メーカーが安心して努力を払っていかれるようにするためには、何としても
鉄鋼
価格
の恒久的な安定ということ、あるいは引き下げということをこれはやらざるを得ないと思うのです。それでなければ、せっかく努力をしていいものをこしらえても、材料がぼっと上げられたので、それですべてむだになってしまうということがないとは言えない。 従って
鉄鋼
事業というものは、そのもののやはり性格、経営性格というものを内閣がはっきり——私は必ずしも国労にせられたいとか、あるいは公社にせられたいとか、そういう突き詰めたことは申しませんが、普通の二次、三次の製品と同じように、完全に自由気ままな営業形態、経営形態に放置しておくということは、甘木の産業のために私はよろしくないのじゃないか。 今あなたは、鉄鉱石の材料をどうするとか、あるいは
輸出
をとめたとか、いろんなことをおっしゃいましたが、これはやっぱり一つの国策、小さい意味の国策になるわけですから、それをもう一歩突き進んで、
鉄鋼
事業そのものについて、そういうくつの上からかくというようなことでなくして、面接かゆいところをかくというような態勢を整えられるということが一番大切なのじゃないかと私は思います。これはそういろいろなものは必要としないと思います。
鉄鋼
と石炭と電力と、これくらい
基礎産業
として国の恒久安定政策というものを考えておれば、あとのものはもう……、私どもの考えは少し違うかもしれませんが、保守党の内閣においてはまあほかのことまでもおやりにならなくても、大体みんなが安心して仕事ができる。今一番大事な
鉄鋼
が、石炭がぐらぐらするというのではこれがなかなかできない。その点をどうお考えになっているか、この点を重ねてお伺いしたいと思います。
石橋湛山
42
○国務大臣(石橋湛山君)
鉄鋼
の問題について申し上げたいと思います。これは私どもは国営とか公社とかいうことは考えておりません。が、大体
鉄鋼
に関してはいわゆる
カルテル
化と申しますか、現在のメーカーの十分協力のもとに、
鉄鋼
価格
の不当な
競争
によって
原料
を買い上げる、あるいは勝手に
生産
をして勝手に
輸出
をするといういうことがないように、そして
国内
の鉄の
価格
を安定するような
方針
で指導しておるわけであります。まあそういうことで今行こうとしてやっております。
鈴木義雄
43
○
説明員
(
鈴木義雄
君) 先ほど
機械工業
に対する
影響
についての御質問でございましたが、
機械工業
の
原料
の使用割合によっていろいろ違うわけであります。かりに二割
鋼材
を使っておりますところは、
鉄鋼
が最近五、六%上ったとなりますと、それだけ
影響
があるわけでありますが、
機械工業
は同時に直接ばかりでなしに、
部品
として購入のものも多いわけでありますから、
相当
まあ
影響
があり得るとわれわれは見ております。具体的に個々の
品目
について幾らといった
数字
は、今ここに持ち合せておりませんので申し上げられませんが、ただわれわれとして考えておりますのは、
日本
の
鉄鋼
の
価格
のレベルをできるだけ、ちょうど
日本
の
競争
相手というヨーロッパ諸国の
需要
者が使っている
鉄鋼
のレベルに大体持っていきたい。もちろん
鉄鋼
については
価格
についてコストの面も考えなければいけないけれども、そういうふうなことを考える。この春に値が上りました場合にも、大体そのときのレベルは、ヨーロッパの中庸
価格
というふうに見ておりました。それから最近値が上りましたが、これはその間においてヨーロッパも
イギリス
も、アメリカもみなそれぞれある程度値しりをして、世界的の
傾向
にあるわけであります。といいますのは、やはり
原料関係
にいろいろ関連するわけでありまして、現在の
価格
も、われわれとしましては、
日本
の
鉄鋼
の
価格
は大体ヨーロッパ並みの
価格
であるというので、非常に
日本
の各業者が特別にほかの国よりも極端に不利な
状況
にはなっていない、こういうふうに考えているわけであります。 さらに
鉄鋼
業の合理化としましては、いつも
説明
しておりますが、第一次合理化
計画
で千百億の投資をいたしまして、たとえばコークス・レシオも、従来はトン当り九百キロぐらいであったのが七百キロに下っておる。あるいは燃料消費もトン当り百五十万キロ・カロリーであったのが現在は百万以下に下っている。こういうふうに広い合理化が進んでおるわけであります。われわれも合理化を通じて、
日本
の
鉄鋼
業者もほかの国に劣らないような方向に持っていくように努力していくつもりであります。
吉野信次
44
○
委員長
(
吉野信次
君) さっき申し上げた砂糖の件は、
政府
の方から特別に
説明
するほどのことはないそうですから、従ってきのうの残りの件と砂糖、その他御随意に大臣に対しては御質問を願ってけっこうでございます。
藤田進
45
○藤田進君
自動車
産業に直接
関係
を持つ燃料政策の問題ですが、大臣にお伺いしたいと思います件が六件ばかりありますので、一件ずつ……。 燃料政策の一環として帝石の問題が論じられ、先国会で特殊会社ができたわけですが、開発会社の発足がかなり急速な設立と、その機能が発揮せられることを期待しておりましたところ、いまだ設立せられるに至っていない。このことについては昨日多少の
経過
は承わったわけでありますが、どうも聞いていて了解しがたいのは、すでに三カ月になって、十二月の初旬という一応のめどは昨日習われておりますけれども、何かここにやはり問題があったのではないか、大臣は、どういう点が理由でかように停滞したのか、所見を承わりたい。
石橋湛山
46
○国務大臣(石橋湛山君) その問題は、この
委員長
も御
承知
と思いますが、別段私は隠れた理由があるとは思いません。ただ、これは
説明
が多分昨日あったと思いますけれども、鉱区を新会社に譲ることについて、八割以上の鉱区が移るということで、帝石にとっても非常に重大な問題でありますので、その評価とか何とかということで手間取り、さらに帝石が株主総会を開かなければならないのでおくれておるのだと私は思います。従って帝石が株主総会を開く段取りになっておるのでありますから、これが開かれれば、あとは大した時間を要せずに、十二月、早ければごく最初のうち、おくれましても初旬中には新会社が発足する、かように考えております。
藤田進
47
○藤田進君 この点鉱業権の評価、そのほか問題があったでありましょうが、この点今後も予定を繰り上げて、たとえば予告期間等も場合によっては繰り上げができるように昨日承わっておりますから、早く調べ出していただきたいと思います。 それから、これはどうも
政府
の財政投融資の問題と関連いたしまして、多分各方面の
要求
もあることですから容易でないと思いますけれども、こうして
通産大臣
の所管のもとに開発会社ができたわけであります。いまだ不明確だと思うことは、
政府
の燃料五カ年
計画
のうち、この初
年度
を三十
年度
に置くとすれば、三十
年度
はその第一
年度
の実績をあげていかなければならないと思う。それがどうしても了解できない。三十一
年度
を第一
年度
とお考えになっておるのかどうか、その辺もはっきりいたしませんので、この際五カ年
計画
の初
年度
をいつに置いていくのかということを……。
松尾金藏
48
○
説明員
(松尾金藏君) 御
承知
の五カ年
計画
は、三十五
年度
百万キロ・リッターの目標で
計画
を立てております。しかし三十
年度
は、計算から申しますれば三十一
年度
から三十五
年度
までの五カ年ということになるわけでありますけれども、三十
年度
はその間新会社の設立等はございましたけれども、当然開発について決して手をゆるめるわけではございません。現在新会社の設立はもう間近に控えておりますけれども、この間帝石の方に事務の代行を願いまして、そこでやはり調査、試掘等も引き続きやってもらって、その結果は新会社に引き継いで、三十一
年度
以降の実績の中に織り込んでいくような仕組みになっておるわけであります。
藤田進
49
○藤田進君 それでは三十一
年度
ないし三十五
年度
の五カ年
計画
の内容について、その後多少検討せられた結果修正等があるとすればその内容を、これは文書でよろしうございますから御提出いただきたいと思います。 それから第三の点ですが、常に開発会社に対して二分の一以上の持株ということになっておると思います。ところがこれが初
年度
、この法案を審議する過程に具体的な
数字
も出たわけですが、出発の早々はこれは実施せられると思うわけですけれども、しかし三十一
年度
の財政投融資等についてどういう具体的な内容をもってその実現を試みられておるのかという点、この点をお伺いいたしたいと思います。
石橋湛山
50
○国務大臣(石橋湛山君) 三十一
年度
以降の財政投融資については、まだ大蔵大臣の方と十分協議しておりませんが、少くも
石油
開発会社については当初の予定の
通り
にぜひ一つやってもらいたい、かように考えておるわけであります。これは予算の審議までには決定をして、御報告ができるようにいたしたいと思います。
藤田進
51
○藤田進君 それでは既定
方針
の、
政府
投資については確保するという、こういう態度で間違いありませんか。
石橋湛山
52
○国務大臣(石橋湛山君) さようでございます。
藤田進
53
○藤田進君 それからそうなりますと、これは法案審議の際にも若干問題にはなってきたわけですが、残る帝石ですね、この株を全部引き揚げるわけですね、
政府
は。そして新らしい開発会社にこれを肩がわりすることになる。そうすれば精製等を帝石に今度ゆだねることになると思うわけですが、開発会社の探鉱し、採油したものを、油は帝石に一部やはり精製させることにもなるかと思いますが、いずれにしても帝石に対する従来の監督権というか、株主というか、そういう持株のない
立場
に
政府
はなってくる。一般の、いわゆる
通産大臣
としての監督権に立ち返ってしまうということになるわけですが、この従来特殊な会社としてでき、発展してきて、そこに新しい会社ができたために、かなり性格も変ることはやむを得ないとしても、帝石に
政府
はやはりある程度の株は保有して、監督権を維持せられることの方が望ましいのではないかというふうに考えるわけですが、こういう点についての御
方針
はどういうことなのか、承わりたいと思います。
石橋湛山
54
○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところでは当初の
計画
通り
政府
の持株は帝石に対して一応なくなるわけですが、直接の所有権はなくなるわけですが、お話のように、
政府
としての監督権が今までと違ってくるというわけであります。まあ帝石は布石として一つの、今までの開発は帝石がやめまして、そして全くの一つの純然たる民間会社として出すか、その他でやっていく、こういう
方針
になっておるのでありますから、特に
政府
が帝石に対して強い監督権を持つ必要はないかと私は考えております。今のところでは当初の
方針
通り
にやっていこう、こう考えております。
藤田進
55
○藤田進君 この点についてなお御検討いただきたいと思います。 次に鉱業権ですが、同じ鉱業権の中に開発会社があり、あるいは帝石というような、複雑な状態になるのではないかどうかと思われるわけです。それに他の鉱業権もこれに関連するのでしょうけれども、この際、鉱業権を一貫的に運営する意味で、新らしい開発会社にこれを移譲せしめるようにして、統一せられることの方が、将来開発会社としての運営も円滑にいきますし、政策としてもその方がいいように思うわけですが、この点についての
方針
はいかがですか。
松尾金藏
56
○
説明員
(松尾金藏君) 現在帝石の持っております五千余りの鉱区につきまして、これをどういうふうに新会社の方に移譲するかということについては、審議の過程ではいろいろ意見があったのであります。先般結論を得ました案では、約八割の鉱区を新会社の方に移してしまう。同じ鉱区について両方が手をつけるというような状態をなくするということで、はっきり分けるというようなことで結論を得ております。
藤田進
57
○藤田進君 あとの二割というのはどうして統一できないのですか。
松尾金藏
58
○
説明員
(松尾金藏君) あとの二割は、将来ガスを帝石にやっていただくわけでございます。ガスの開発をして、主としてガスの出ることが期待できるような鉱区が約二割、これが布石の鉱区として残るということで、大体二割、八割ぐらいの比率で両会社に截然と分れてしまうということで、同じ鉱区について両会社が試掘を同時にするというようなことは避けるようなことに結論がすでに出ております。
藤田進
59
○藤田進君 そうすると重複する鉱業権ということはなくして、やはり統一しておるということになるのですね。
松尾金藏
60
○
説明員
(松尾金藏君) そうです。
藤田進
61
○藤田進君 最後に一点お伺いいたしたいんですが、十二月上旬に開発会社が正式に発足いたしますと、これに伴って従業員の異動等もあるわけであります。これはやはり帝石から横すべりというか、そういう形になるようでありますが、これに関連していろいろな労働条件とか、重要なことがさらに円滑にいかなければなりませんが、めんどうになるかもわからない。こういう点はすでに予想せられたので、法案審議の過程の質疑において石橋
通産大臣
は、やはり帝石、新しい開発会社、これに当該従業員で組織する組合員、三者構成等によって協議会などを作って、円滑に話を運ばせたいということについては考慮するということを伺ったわけですが、この点についてやはりいまだそういう形態は見られていないで、ただ法人設立の事務的な面だけにむしろ力を注がれて、
技術
的な面がなおざりになっているような気がいたします。これについてはぜひ円滑に進んでいきますために、三者構成等による協議会を設けていくべきだと思うわけでありますが、その点行政指導をせられて、特段の御努力を、開発会社に対してサゼストをせられて、早急にこれらの問題に着手していただきたいと思うのです。その点どのようなお考えであるわけですか。
石橋湛山
62
○国務大臣(石橋湛山君) 人事の問題も並行して進行しておるのでありまして、これは当初からそういう問題を予想しておりましたので、会長には鮎川君を頼むとかということで、人事の問題の円滑な引き継ぎと申しますかをやるようにいたしておりました。それはいろいろ組合の方からも受けておる
要求
などもございますから、大体円滑にいく見込みでおる次第であります。
藤田進
63
○藤田進君 先ほど指摘いたしましたし、過般の審議中もお話の出た、いわゆる帝石、新会社、当該従業員で構成する、組合との三者で構成する協議会というものを設けて、そういうところで話し合ったらどうかという
考え方
についていかがですか。
石橋湛山
64
○国務大臣(石橋湛山君) 特に協議会を作るということはいたしておりませんが、組合員側からの
要求
は
十分考慮
してやるようになっております。ただ組合員の中で、何か協議会で人のポジションをきめるのに協議してくれという話もあるそうですが、これはそこまでいきましては、また新会社の経営その他において差しつかえを生じますから、あまり深入りをして、人事に組合が干渉するということは避けたいと、こう考えております。
藤田進
65
○藤田進君 それは内容が、いろいろ議題になり協議せられれば、おのずから解決するわけで、そういうことがあるかもしれないからということでそういうものを持たないというのではなしに、円滑に進めていくという建前の手段としてやはり持ってもらいたいと思うわけです。 それからこれは再三非常に、二十二国会当時熱心に出されておったわけでありますし、付帯決議もあったわけでありますが、異動するに伴ってのいわゆる労働条件一般の切り下げは行わないということでありましたが、この点は現在も変りありませんか。
石橋湛山
66
○国務大臣(石橋湛山君) 変りございせん。
河野謙三
67
○河野謙三君 それじゃ大臣に砂糖の問題その他を一つ、お考えがお変りになったのだか、変らないのだか、それを一つ伺いたいと思います。
石橋湛山
68
○国務大臣(石橋湛山君) 私としては大体変っておりませんが、しかしこれは農林省その他の
関係
がありますから、実はもっとよく協議をして、今度の国会までには皆さんの御審議をわずらわすなり何なりの結論を出したいと思いますが、その相談はまだ結論に達しておりません。いずれ農林大臣、大蔵大臣等と十分打ち合せました上で結論を出したいと、こう考えております。
河野謙三
69
○河野謙三君 そうしますと今日の「
日本
経済
か」何かに出ておりましたが、一部に、砂糖が非常に安くなったので、超過利潤をとる余地もないので、あの法案提出は取りやめになるだろうというようなことが書いてありましたが、今
通産大臣
に関する限りお考えがお変りにならぬということは、前国会に提案された法案そのままか、もしくはそれに一部修正されたものでも、とにかくあのお考えに基いて法案を提出するという御意思に変りはないと、こういうことですか。
石橋湛山
70
○国務大臣(石橋湛山君) その新聞記事は知りませんが、私の今の考えは、お話の
通り
前の考えをそのまま持っております。
河野謙三
71
○河野謙三君 私はお考えが変らなければいいのですけれども、この
機会
にさらにはっきりと一つ大臣のお考えを伺いたいのですが、あの砂糖の法案というものは、目的が超過利潤をとるというのではなくて、あれは一つの手段であって、目的そのものは必要最小限度の
外貨
で砂糖の
価格
を安定させようということが目的であって、だから相場のことでありますから下ったり上ったりいたしますし、だから超過利潤が生まれることもあるでしょうし、逆の場合もあるでしょう。それとあの
考え方
とは別個であって、私はどこまでも砂糖の
価格
安定のためにあれをやるべきであると、こういうふうに思うので、その点は大臣にさらに念を押す必要はないと思いますが……。 それともう一つ、私はこれは砂糖に限らず、
通産大臣
として一つ根本的な考えを伺いたいのは、
外貨
の割当の問題です。今度の砂糖が上ったからといって簡単に十万トンの砂糖の
外貨
の割当を追加した、そして砂糖を下げた、こういう
価格
安定方式も一つの
考え方
でしょうけれども、私はそういうふうな
考え方
に基くならば、
通産省
が担当しておる
外貨
割当そのものを全体に通用しなければいかぬと思う。むしろ砂糖あたりの
外貨
は、ある程度他の方法によって
価格
を押えても、もっと必要資材で
外貨
の足らぬものはたくさんあるわけです。ですけれども、必要資材にも
外貨
を追加し、砂糖にももちろんやる、全部に今後は量的に
価格
の安定をはかるという
方針
ならば別でありますけれども、まさかそういう安易な
考え方
ではないと思うが、これは砂糖以外の問題でも、もし今後この
外貨
に関する物資で
価格
の上った場合には
輸入
の数量を追加することによって
価格
の安定をはかる、こういう一本でいかれるわけですか。
石橋湛山
72
○国務大臣(石橋湛山君) いや、それ一本でいくというのも言い過ぎと思いますが、しかし本年においてはとにかく
外貨
事情も、まあこれがどれだけ続くか続かないか疑問もありますが、とにかく
輸出
が予期以上によくなって、
外貨
もたまっている
状況
ですから、従って必要物資についてはできるだけ必要な分量を入れて、
国内
の物価の引き下げをはかるということを大体の
方針
として
外貨予算
を組んでおります。ですからあの作られました
外貨予算
も、必要なだけは、これはむしろ言葉が少し荒っぽいかもしれないが、惜しみなく
外貨
を出して、そして
輸入
をする、こういう建前でありまして、ですから何もかもかまわずにやるという意味でもありませんが、たとえば鉄にいたしましても、先ほど申し上げましたが、鉄の値段が非常に高騰するという場合には銑鉄の
輸入
をはかろう、こういうことが現在においては考えておることでございます。
河野謙三
73
○河野謙三君 しからば具体的に伺いますが、砂糖が高くなったから十万トン
輸入
するというなら、私は農村のまん中におるのですが、農村は肥料を少しも安いと思ってはいない、高いと思っている。しかも
外国
から全量
輸入
を仰いでおるカリ肥料なり燐酸肥料というものは高いのです。ところが高いものを安くするためにどうしたらいいか、役所の
価格
指導などというそういう中途半端なものでなくて、たとえば過燐酸なら、燐鉱石を十万トン入れたら
日本
の過燐酸の
価格
というものは全く姿が変る、メーカーの困るほど安くなる。しかもそれに要する
外貨
というものは幾らだというと、わずか十万トンのものを入れれば足りる。だから砂糖もそれは必要資材でありますけれども、もっと
生産
資材である過燐酸の
原料
である燐鉱石とかカリというもののなぜ
外貨
の割当にちゅうちょされておるか、こういうことで私は納得がいかない。これは必要ならば燐鉱石でもカリでもどんどん
輸入
されますか。
石橋湛山
74
○国務大臣(石橋湛山君) 私はカリ、燐鉱石のことは実は具体的によく知りませんが、それを入れれば農村の肥料が安くなるというならば入れていいと思います。それは入れますよ。
河野謙三
75
○河野謙三君 そういうふうに終始一貫しておればいいのですが、農林省だとか他の省のことは知りませんが、もとは
通産省
が全部
外貨
については握っておる。これについてはもう少し
生産
必要資材の
外貨
についても細心の注意を払われて、同時にこれに積極的に
通産大臣
の御意思を働かせてもらえばいいのですけれども、そうじゃなくて、何とか少しやかましいやつらの方にはちゃんと適当にやっておくというようなことで、これは大臣にはなはだ失礼な言い分かもしれませんが、だからこの間の毎日新聞に、砂糖はまた狂い始めたということが書いてありました。私はこういう点について、結論として、砂糖をああいうふうにやるなら、これはよく御調査願えばよくわかりますが、燐鉱石を十万トンか五万トン
輸入
したらすぐ
価格
は安定します。カリにしてもしかり。それをなぜやらないで、そして
通産省
に行ってがあがあ言うやつだけは
外貨予算
をもらえてどうのこうのということは……。
石橋湛山
76
○国務大臣(石橋湛山君) 必要なものを
外貨
の
関係
で入れないということを
通産省
は言ったことはありません。農林省が入れないでもいいといった場合に入れなかったことはございますけれども……。
河野謙三
77
○河野謙三君 通商局の
佐藤
さんがおいでになりますが、燐鉱石はなぜ入れないのですか。
佐藤清一
78
○
説明員
(
佐藤清一
君) 燐鉱石の
計画
は、当初の
計画
は、下期で六十五万五千トンと見ておりましたが、これを改訂いたしまして七十二万一千トン
増加
して入れることになりました。それからカリにつきましても、大体上期より
増加
をいたして組んでおりますが、カリの方は、
先方
の供給者の方が
カルテル
がございまして、なかなか
価格
が下らない。従いまして
価格
を下げる意味におきまして、これをアメリカからも入れるというようなことにいたしまして、できるだけ
価格
を下げるという努力をいたしております。なお非常に不足で一あるという場合には、ただいま大臣からお話の
通り
、追加の割当もできると思います。
河野謙三
79
○河野謙三君 私は
外貨
割当をふやして
輸入
量をふやすことによって
輸入
価格
が下るとは思いません。
輸入
価格
と
国内
価格
の開きが非常に多過ぎる。これはお認めになりますね。この
国内
価格
と
輸入
価格
の開きが大きいということは、
外貨
が足りないということですから、この幅を常に見ておって、この幅を縮めようと思うのには、今私が申し上げるように、それは燐鉱石やカリの
輸入
量は、農林省が
要求
したか、どこが
要求
したか知りませんが、とにかく今の
輸入
価格
と農家の消費者
価格
の間に非常に開きのあることは間違いない。これを縮めるということは簡単なことです。それをちっともやらない。これは私はどこでどういうようなことを言っておるか知らぬけれども、
通産省
の方は、いかに農林資材であろうと、
国内
価格
と
輸入
価格
というものを常に見ておられて、この開きの大きいものには
外貨
の割当をやったらいい、
要求
があろうがなかろうが……。
通産大臣
はそういうことは事務当局から
資料
をもらって、その
価格
の開きのある本のはどういうものかということは、調べればすぐわかることでありますから、私はぜひやってもらたいと思います。
石橋湛山
80
○国務大臣(石橋湛山君) それはけっこうですからやります。
小松正雄
81
○小松正雄君 私はこの際、前国会の末期に通過いたしました
石炭鉱業合理化法
に関連いたしまして、今日まですでに七十日を
経過
しておりますが、その後の合理化法について、
買付
炭鉱等に対する進捗
状況
をまず鉱山
局長
からお聞きしたい。
齋藤正年
82
○
説明員
(齋藤正年君) 合理化法の施行
状況
につきましては、ごく概略を
資料
としてお配りしてございますが、事業団につきましては十月一日付で通知をいたしました。それから十一月一日付で各支部の
設置
が終りました。それでその前に合理化審議会で買い上げ炭鉱の基準、あるいは買い上げ数量というようなものがきまりした。で、あときめなければなりませんのは、事業団の業務方法に関する問題でございます。一番中心は、評価の方法なり基準なりの問題でございます。それが現在検討中でございまして、中旬くらいには審議会にかけてきめて、それがきまりますれば、大体事業団が発足するに必要な準備がおおよそが完了するという予定になっております。
小松正雄
83
○小松正雄君 そういたしますと、今月の二十日以後でないと
買付
に対する手は打たれない、こういうことなんですか。
齋藤正年
84
○
説明員
(齋藤正年君) 評価問題が、実はおそらく申し込みをされる方におきましても非常に重要な問題ではなかろうかと思われますので、その問題が片づかないと最終的に売り渡しなり何なりの意思をきめられることも不可能じゃなかろうかと思いますので、現在でも事業団本部も支部も正式に成立して、まだ人員の充員が十分できておりませんけれども、足りないところは役所からも応援いたしまして、受付程度の仕事はできるようにはなっておりますから、申し込みすることは可能でございますけれども、はっきり最終的に意思決定をきめて申し込みをされるには、業務方法の問題がきまらないと、申し込みをされる方もはっきりしたことができないのじゃないか。それから事業団側としても業務方法がきまりませんと、扱いがはっきりいたしませんので、事業上業務方法がきまって動き出すということになるのであります。
小松正雄
85
○小松正雄君 まず
政府
としてもこの
買付
炭鉱に対する代償として、先国会中にもお話しがございましたように、トン当り二千三百五十円を一応その代償としょうというようなことでお話があったと思いますが、その二千三百五十円の割り振り、要するに
設備
資金
にその二千三百円をどういうふうに持っていくとか、埋蔵炭量にどれだけ持っていくとか、そういう内容はもうすでにできておりますか。
齋藤正年
86
○
説明員
(齋藤正年君) 現在それを検討いたしておる段階でございます。
小松正雄
87
○小松正雄君 そういたしますと、
政府
は石炭合理化法によって三百万トンの過剰炭を足正しよう、そうしてそれには
政府
の
資金
を持ち、あるいは残る炭鉱でこれらを整理する
資金
を出して、この三十
年度
にはすっきりした形にして、三十一
年度
からの
需要
に対する燃料政策というものを健全に建て直し、健全に進めていこう、こういうふうなことから発足せられておって、これができたために、買い付けられるものなりとして待っておる炭鉱というものは
相当
あると思います。 それは一つの例として申しまして、もう一ぺん石炭
局長
にお伺いしますが、埋蔵炭量を一応買い付けていただきたいということで、その山元から炭層別にどれだけ残っておるということが
資料
として出された、その場合に炭鉱がつぶれておったのではどうにも調べようがない、こういうようなことの
考え方
があろうというようなことで、炭鉱としては、その埋蔵炭量を見てもらうために、炭鉱の水を排水をしながら——何ももうつぶれても差しつかえない炭鉱である、非能率であるという建前から、この法案が通ったためにそういうふうに持っていこうと労使ともに話し合いをつけて待っておる。ところがそれがつぶれてしまっても、この埋蔵炭量というものは、その事業主から出された壁をそのままのみ込みができるということになりますかどうかを一ぺんここで伺っておきたい。
齋藤正年
88
○
説明員
(齋藤正年君) 小松
委員
の御質問は、保坑の問題ではなかろうかと思うのでございますが、これは法律にもございますように、買い上げの対象となりますものは、申し込みの期日前六カ月間に作業を休止あるいは廃止したものでないということが条件になっておりますので、それを逆に読みますれば、申し込みが正式に受け付けられれば保坑をやめてもよろしいということになるわけでございます。これは法律的にもそうなりますし、事実問題としても、それで買い上げ事務に支障がなければやめていただいてけっこうなんでありますが、ただ、今小松先生から御指摘がありましたように、もし保坑をやめることによって坑内の調査なり何なりができないということになりますと、埋蔵炭量ばかりでなしに、坑道もやはり買い上げ対象になっておりますから、そういうものの評価ができなくなるという意味で、一つ保坑はそういうことの支障のない程度には保坑しておいていただきたいというふうに、現地側にも連絡しております。 ただ先生も御指摘のように、これが予定より——われわれが国会でお答えいたしましたよりも、実は若干おくれておりまして、大へん申しわけないと思っておりますが、人事問題が非常に実は難航いたしましたので、それで非常におくれております。はなはだ申しわけないと思って、今できるだけ早く取り返すようにいたしまして、あと、先ほどお答えいたしましたように、業務方法さえ最終的にきまりますればそれでエキサイトできる、その間に職員の充員も大体間に合うというようにやりたいというふうに思っております。
小松正雄
89
○小松正雄君 今
局長
からお話のございましたように、少くとも九月の末までには事業団というものが発足して、そうして予定
通り
にやっていくというようなことをはっきりここで御答弁されたと思うわけです。それが十月も過ぎ十一月も過ぎようと、またそれに関連して、どうしてもいけないから、これを
政府
としても強制的にまで買い付けようというのでなくても、一応非能率という点からくれば買い付けられるだろうということから、こういうようなことを労使とも話し合って、九月の末には対象になる、十月一ぱいには何とか代償金ももらえ、諸般の問題も完備して、そうして整理が終っていけるものなりと考えておるのが、それが今
局長
のおっしゃるように、事業主としてもこの坑内の坑道を対象とし、あるいは埋蔵炭量を調べてもらう上にも排水をしなければならん、排水するだけですから、何も石炭は出ていない、そういう炭鉱というものは
相当
あるわけです。窓口があかないから申し込みもできない。何回福岡へ行ってみてもだな、そういうことでもって今日まで延び々々して、延び々々してこらせられるその事業主というものの負担というものはこまかくない。電力料なんかすでに取付にあって、電力はこない、こないけれども無理に今月一ぱいだけの金でも作ったというようなことで、個人的の
資金
のできないものは無理やりに作って、そうして納めて、やっと排水を十月一ぱいやった。十一月もまだそういうことがとり行われないということになると、自然これはもう排水のできないという炭鉱が
相当
できると思う。できたとしても、これは
政府
の責任になると私は追及するが、どうです。
齋藤正年
90
○
説明員
(齋藤正年君) 今申しましたような事情で、特に人事
関係
の問題でおくれまして大へん申しわけないと思っておる次第でございます。結局できるだけ早く業務のできるようにするという努力をいたす以外に方法がないのでありますが、先ほどお答えいたしましたように、ただ保坑の問題は、法律的には今申しましたような
状況
でございます。従ってその点どの程度の保坑をすればいいのか、具体的な、山によりまして事情が非常に違っておりますので、そういう点非常に、できるだけ簡易な方法で、どうか支障のないような保坑をやってもらうようにやりたいと思います。 それから申し込みの件でございますが、正式に支部も開設いたしましたので、現在は申し込みの受付をなし得る態勢になっております。申し込みの方はすぐにしていただいてもいいような
状況
になっております。
小松正雄
91
○小松正雄君 大臣にこの締めくくりというとおかしいのでございますが、埋蔵炭量等が対象になる一番事業主としてのおもなところでございますので、今
局長
の話を聞けば、時間的にズレが出てきてもいかんとも仕方がないというようなことであるので、事業主の方としても対象としてもらいたいということで排水をしながら待っているけれども、いつできるかわからないということであるために、先ほど申し上げましたように、九月一ぱいでできるものができない、十月は排水をするのにも電気はとめられて、その間に無理に金を作って犠牲を払って、十月一ぱいを継続して排水して、賠償の対象になってくると思うから、坑内、坑外を見てもらおうと思って待っていた、これもでなきい。いかんせん、十一月の電力代が払えないということになれば、いやでも排水はできなくて、自然に満水しなければならないということになるので、幸いに窓口もあいたということでございますので、どういたしましてもこの買い取りをしてくれという申し込みをした以上には、坑内の中に入られて調査をされるということは、これは当然一回あるわけなんですから、それで諸般の問題が解決していなくても、少くとも坑内の中の
状況
の調査だけを一番先に、申し込んだらすぐしてもらうという態勢を、出先機関の鉱山局等の人たちの加勢を得てでも、申し込まれた炭鉱の坑内の情勢だけでもぜひ一つ調べてもらっておくということにしてもらいますれば、それによって二十日や二十五日延びましても、坑内
状況
は水をためてもいいのですから、要らんところに無理な金を入れて、何もならないこの排水の施設をしてじっと待たなくてもいいわけでございます。排水するためには坑道の維持も
相当
しなくちゃならない、石炭は出ていない。もう全くどうにもならないで待っておるという炭鉱が
相当
あるわけです。そういう意味におきまして大臣からここではっきり私は御答弁願いたい。というのは、窓口ももうはっきりできたのですから、どうしても一回は坑内
状況
を調べなくてはならないということは、これはもうきまったことでございますので、大臣としては諸般の問題が、最終的にどういうふうにしようということがまだきまってないといたしましても、申し込んでいったらば坑内の
状況
だけはもうその日に御調査をしてもらうというように一つあなたのお考えがあってほしいと思い、またあなたからそういう指令を出してもらえるようにしていただきたいと、かように考えますが、いかがでございますか。
石橋湛山
92
○国務大臣(石橋湛山君) お話ごもっともで、おくれておりますのはこちらの手落ちでございますから、一つ事務的にさような連絡をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
小松正雄
93
○小松正雄君 それから、大臣にここでこんなことを申し上げるのはどうかと思いますが、九月末から私どもの筑豊炭田で九月末、十月、それと十一月にかけまして石炭の
需要
が
相当
増大しつつある
状況
にあるわけですね。たとえば低品位炭であろうと何であろうと
相当
な母が動くわけです。それでお問い申し上げるわけですが、来年、
昭和
三十一
年度
もこういう形でもって増強といいますか、
需要
の増量になるという
見通し
ですかどうか、その点を一つ伺っておきたい。
石橋湛山
94
○国務大臣(石橋湛山君) これは最近幸いに幾らか石炭が動いて、もう不当な、何といいますか、マイナスのやみ値というものがまたなくなってきたということはけっこうだと思います。これは大体
経済
界の
状況
を見ますと、明
年度
においてもこの
状況
は続いて参るものだろうと私は考えております。
小松正雄
95
○小松正雄君 それでは大臣は三十一
年度
はこの
傾向
で石炭の
需要
も増量するだろう、かように考えておるということですね。
石橋湛山
96
○国務大臣(石橋湛山君) 著しく増量するということはどうかと思いますが、とにかく底をついて、一応安定する
状況
になってきた、幾らかでも増量の方向に向いているのじゃないか、かように考えております。
小松正雄
97
○小松正雄君 そういたしますと大臣は三十一
年度
の
需給
計画
に伴って、どういう理由のもとにそういうふうに
需要
が増量され得るようになったのか。たとえばこの三十
年度
の、渇水期であったために、電力会社が火力をよけいたいた、こういうような意味から増量になってきたのか、一時的の増量である、かように私どもは考えているのだけれども、大臣から、来
年度
も
相当
な量が増量されるだろうということになりますと、これはまた炭鉱をやっている人たちは
相当
考え直すことができると思う。かようなこともありますので、念のために大臣に間違いない御意見を一つ伺っておきたいと思います。
石橋湛山
98
○国務大臣(石橋湛山君) どうも
経済
界の前途は非常になかなかむずかしいのですが、最近の
状況
は、御
承知
のように
外国
の
経済
界の事情がよくて、従って
日本
の
輸出
も、われわれのこの春の予想と非常に違って
輸出
もふえる、こういうような
状況
でございますから、全体に産
業界
が幾らか動いている。そこに従って石炭の
需要
が幾らかよくなってきている、こういうわけでありますから、幸い、さっきも申しましたように、三十一
年度
においてさらに非常な景況が現われて、石炭も非常に、きわめてよくなるということはなかなか予想はつきませんが、まあ現在の、ごとき
状況
が三十一年も続く、悪くはならぬというくらいのことは言えるかと思います。
小松正雄
99
○小松正雄君 なかなか過分なことをここにまた申し上げるようになりますが、さっきから大臣にお願い申し上げたことですが、坑内の
状況
の調査については、申し入れと同時に調査に出ていくというように、まあ明日でもさっそく出先機関に御通達をしていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。
山川良一
100
○山川良一君 きのうかきょうの新聞でしたか、造船
鋼材
が足りないから
外国
から
輸入
するような意向が
政府
にあるようなことをちょっと聞きましたが、そういう
傾向
になっていますか
石橋湛山
101
○国務大臣(石橋湛山君) それはさっきも申しましたのですが、とにかく銑鉄を一つ入れよう、銑鉄は一つ増量して入れて、そして
原料
の補給をしたいと思います。
山川良一
102
○山川良一君 そうするとそれは
原料
を
輸入
するという意味なんですね。それを誤まり伝えたと、まあ造船
鋼材
が足りないということは原因ではあるけれども、そう単に造船
鋼材
だけをねらっているわけではない……。
石橋湛山
103
○国務大臣(石橋湛山君) そうじゃございません。必要があれば
鋼材
を入れてもいいのですが、
鋼材
を入れるといってもそう入らんと思います。
吉野信次
104
○
委員長
(
吉野信次
君) ちょっと速記を、とめて。 〔速記中止〕
吉野信次
105
○
委員長
(
吉野信次
君) 速記を始めて。
白川一雄
106
○白川一雄君
国産自動車工業
の
振興
に関して参議院の
商工委員会
の方で小
委員
会を設けて、そこで十分検討したいという——皆さんの御意向もそうだと思いますので、お諮り願いたいと思います。
吉野信次
107
○
委員長
(
吉野信次
君) お聞きの
通り
、白川
委員
から、国産
自動車
の
振興
について本
委員
会で小
委員
会を設けて、さらに掘り下げて
研究
したいという御発言がありましたが……。
藤田進
108
○藤田進君 先ほど来国産
自動車
に関連しての質疑等も重ねられて、なお重要なやはり事態にあると思いますしいたしますので、ただいまの提案の
通り
小
委員
会を設けられ、これが打開について検討を加えることに賛成をいたします。
古池信三
109
○古池信三君 私もけっこうなことと思い賛成いたします。
河野謙三
110
○河野謙三君 私も結論は賛成です。と申しますのは、
通産省
の先ほどの話では、いかにもあまっちょろいので、ああいうことでは
政府
にまかしておけないということで、われわれは一段と勇気をふるって小
委員
会で成案を得るというくらいのことで、小
委員
会を作ることには賛成です。
吉野信次
111
○
委員長
(
吉野信次
君) ちょっと伺いますが、小
委員
の構成はどういうふうにいたしますか。
白川一雄
112
○白川一雄君
委員長
に御一任申し上げた方がいいと思うのですが……。
吉野信次
113
○
委員長
(
吉野信次
君) ただいま白川君の御発言について皆さん御賛成でございますか。 〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
吉野信次
114
○
委員長
(
吉野信次
君) それでは御異議がないと認めますから、本
委員
会内に国産
自動車
の
振興
に関して小
委員
会を設けることにいたします。なお、小
委員
会の構成等についてはどういたしましょうか。 〔「
委員長
一任」と呼ぶ者あり〕
吉野信次
115
○
委員長
(
吉野信次
君) それでは一任ということでございますから、私の方で適当に取り計らうことにいたします。 本日はこの程度で散会いたします。 午後三時五十三分散会