運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-11-09 第22回国会 参議院 商工委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十一月九日(水曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     吉野 信次君    理事            古池 信三君            高橋  衛君            山川 良一君    委員            深水 六郎君            松平 勇雄君            上條 愛一君            栗山 良夫君            小松 正雄君            藤田  進君            上林 忠次君            河野 謙三君            白川 一雄君            苫米地義三君            石川 清一君   国務大臣    通商産業大臣  石橋 湛山君   事務局側    常任委員会専門    員       山本友太郎君   説明員    通商産業省通商    局次長     佐藤 清一君    通商産業省重工    業局長     鈴木 義雄君    通商産業省鉱山    局長      松尾 金藏君    通商産業省石炭    局長      齋藤 正年君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○経済自立方策に関する調査の件  (日英通商協定に関する件)  (鉄鋼輸出制限に関する件)  (国産自動車工業振興に関する  件)  (石油資源開発株式会社に関する  件)  (砂糖の価格安定及び輸入に関する  件)  (石炭鉱業合理化法に関する件) ○小委員会設置の件   —————————————
  2. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは昨日に引き続きまして商工委員会を開会いたします。  まず日英通商協定に関して大体の経過政府の方から御説明願います。
  3. 佐藤清一

    説明員佐藤清一君) 日英通商会談につきまして概略御説明申上げます。  今回の日英支払協定及び貿易取りきめの改訂交渉は、日本側代表外務省の朝海公使英国側パーシバル商務次官補との間に、六月二十三日に開始されまして、十月十七日に妥結をみた次第でございます。  今回の会談におきましては、昨年の一月ロンドンにおきまして日英間に行われました会談の当時とは、そのバックグラウンドが非常に異っております。それを付言して申し上げますれば、昨年の一月の会談の際におきましては、日本手持ちポンドは約二千五百万ポンド、それは、その前年の五二年の十二月におきましては、八千九百万ポンドあった手持ちポンドが、一年間に二千五百万ポンドまで減っておった。それから日英両国輸出入状況を見ますと、一九五二年におきましては、わが方のスターリング地域輸出は一億七百万。ボンドに対しまして、スターリング地域からの輸入は三億四百万ポンド、著しいわが方の入超であったわけでございます。ところがこのような状況のもとにおきまして、わが方といたしましては、もっぱら英国側に対しまして、イギリス植民地市場の開放と、ポンドによる金融の便宜を供与してもらいたいという点で、強く交渉を行なったのでございます。しかるところ、今回の会談バックグラウンドとして見まするならば、大体五四年は前回会談の結果、英側日本からの輸入を著しく緩和いたしました関係上、わが方の輸出としては非常に伸びておりまして、一九五四年の実績で見ますならば、わが方の輸出が一億七千九百万ポンドに対しまして、輸入が一億四千万ボンド、逆にわが方の出超になっております。しかも手持ちポンドは著しく増加いたしまして、約一億ポンドに近くなっております。このような状況におきまして、前回とは全く彼此立場を逆にしたというような形になっておるわけであります。  そこで今回の会議におきましては、わが方の輸出傾向は相変らず好調を保っておる状況にありますので、前回のように金融面につきまして交渉をする心要もございませんし、また貿易面につきましても、こちらが積極的に先方輸入緩和を要望いたしまするよりも、むしろ逆に先方といたしましては、わが方の手持ちポンドが非常に多いこと、あるいは貿易傾向日本側出超傾向になっておるというようなことからいたしまして、むしろ前回におきましては英側がわが方の要望にこたえて輸入制限を緩和したのであるから、今回は竹本側としてはそれに報ゆるべき段階であると称しまして、非常に膨大なる対日輸出計画をわが方に提示したわけであります。そこでこちらといたしましても、スターリング地域貿易状況は先ほど申し上げた通りといたしましても、まず第一に、わが方に相当需要がなければ、先方の大きな要求を消化することはできないわけでございまするし、またかりに需要があるといたしましても、国内産業に対する影響も考慮いたさなければなりませんので、とうてい先方の当初提示いたしました膨大なる見積り数字は、これを受諾することはできないということで、非常に難関に到達いたしまして、その間八月初旬には、パーシバル代表は一応本国へ打ち合せのために帰国するというような状況であったのでございます。その後、再開されました交渉におきましても、依然として相当困難なやりとりがあったのでございますが、わが方といたしましても、結局現存の貿易状況から見て、これを将来とも、この輸出の好調を継続して参りますためには、先方が先に一九五二年にとりましたような大幅な輸入制限をとらせないということがまず第一義であろう、さらに現状を継続するのみならず、これを一歩進めまして、拡大均衡の線に持って行くべきであるという考え方から、先方要求のうち、ある程度当方としてものみ得るというものにつきましては、極力これをのむことといたしまして、同時にわが方といたしましても従来以上に輸出の増進をはかるために、先方措置をも要望いたしたのでございます。このようにいたしまして三カ月余にわたりました会談も、一応のちに申し上げますようなラインでまとまった次第でございます。  そこで新らしい貿易取りきめの概要につきまして申し上げますならば、この協定期間は一九五五年十月一日から一九五六年九月三十日までの一カ年間と相なっております。  そこでその協定期間中におきましては、日本スターリング地域への輸出によりまして獲得したポンドの額まで、日本スターリング地域からの輸入についての道を開くように措置をするということが約束をされたのでございます。この点は、今回の交渉を開きますにつきましてイギリス側が最も強く主張したところでございまして、冒頭説明申し上げましたように、わが方のポンド手持ちが一億になんなんとしておるということは、全般のポンドから申しまして英側といたしましては、これは過大であるというふうに考えております。できるだけこれを少くしていこうというような見方で来たのでございますが、少くとも今後この日本ポンド累積というものは、今後これが増加を続けるというようなことは、先方としてとうてい承知できないというようなことから、少くとも日本が獲得した額だけは必ずこれを使うというようなことを約束することになった次第でございます。  そこでこの獲得したポンドを使うための方法といたしまして、さしあたり本年度の下期、すなわち一九五五年十月から一九五六年三月に至ります外貨予算におきましては、貿易外を含めまして一億二千七百五十万ポンド以上をスターリング地域からの輸入に計上するということを約束いたしまして、そのように措置をいたしております。で、これは半年分でございますので、来年の二月にこの半年分の成果につきまして日英両国間でレヴィユーを行いまして、その結果を参酌いたしまして、明年四月から九月まで、すなわち昭和三十一年度上期の外貨予算をそこで討議をするということになった次第でございます。  そこでスターリング地域日本との間の大きなワクにつきましては、ただいま御説明申し上げたようにいたしたのでございますが、なお、スターリング地域の中には、御承知のように英本国、それから英国植民地、そのほかドミニヨン、すなわち自治領地域というふうに分れておりますが、このイギリス本田につきましては英国面接責任を持って交渉し得る立場にあります。また植民地諸国に対しましては本国相当強い統制力が及ぶわけでございますが、ドミニヨン地域につきましては、これは独立国でございますので、英代表といたしましては、このドミニヨン地域を代表してはっきりした取りきめを結ぶ立場にはございませんので、大きなワクがそこできまりましたその範囲内におきまして、英国本国及び植民地わが国との貿易につきまして具体的な取りきめが行われたわけでございます。  英本国及び植民地日本との間の輸出入計画につきましては、お手元の資料の終りから二枚目の紙の後半にございますが、まず今回の協定におきましては、日本から英本国への輸出は一応二千二百六十二万ボンド推定をいたしております。そのうちサケマスカン詰といたしまして四百七十二万ポンドというものが特掲されております。これを前回協定による見積り金額と比較いたしますと、前回協定におきましては、日本から英本国への輸出推定は千四百五十万ポンドということになっておりますので、ここでも英本国に対するわが国輸出推定は非常に伸びた計算になっております。それからサケマスカン詰につきましては、前回協定では二百万ポンドを見積っておりますので、これも二倍以上の増加になっております。  次に、日本英本国からの輸入推定につきましては千八百七十八万七千ポンドということになっておりますが、これは前回協定による見積りでは千六百万ポンドということになっておりまして、ここも若干増加いたしております。その内訳といたしまして、毛製品二百八十万ポンド、ウィスキー及び菓子類四十三万五千ポンド、それからC・K・D、これは自動車部品でありますが、これが十万ポンドの追加ということになっております。これを前回と比較いたしますと、毛製品前回は二百万ポンド、これが八十万ポンドの増。それからウイスキー及び菓子類につきましては、前回米ドル地域との共通ワクといたしまして四十万ポンドとなっておりますのを、今回は英本国のみで四十三万五千ポンドということになっております。  それから日本英植民地との関係でございますが、日本英植民地への輸出推定は一億八百二十万ポンドということになっておりまして、前回協定の九千百五十万ポンドに比べ大幅の増加になっております。  日本英植民地よりの輸入推定といたしましては四千五百五十八万ポンドになっておりまして、前回の三千二百五十万ポンドに比べまして、やはり増加になっております。その内訳といたしまして、原綿が百十万ポンド、そこに「羊毛」となっておりますが、ミスプリントでございまして「原綿」でございます。原綿が百十万ポンド、それから塩が二十万ポンドコーヒー豆が三十三万ポンドと、こういうふうに計上されております。  この表でごらんになりますように、わが国英本国及び英植民地との間の貿易はいずれも輸出入共拡大均衡という考え方協定をされた次第でございます。  なお、そのほかポンド地域からの自動承認品目及び雑輸入等も、今回の協定におきまして相当拡大いたしまして措置をするということを約束をいたしております。  また、スターリング地域からの輸入を容易にいたしますために、同地域からの輸入担保率もできるだけ引き下げるというような措置をとっております。  なお、石油輸入につきましても、英系石油会社に不利な取り扱いをしないということで約束をいたしまして、このようにいたしまして、日本側といたしましても、できるだけポンド地域からの輸入を促進するという措置を講じました次第でありますが、他面また英国側といたしましては、香港、シンガポール、アデン及びマレー連邦地域等の諸中継ぎ港の所在する政庁に対しましては、この協定期間中に日本からの輸入を無制限に認めることといたしました。その再輸出につきましても、原則としてこれを制限しないということを、それらの政庁に通知をいたすということにいたしました。  また中継ぎ港以外の各植民地政庁に対しましても、協定期間中には、先ほど申し上げました日本からの輸入見積り金額、すなわち一億八百三十万ポンドに対しまして、日本からの輸入についていかなる商品についても、非スターリング地域諸国からの輸入される商品と同じ商品については、同種商品については同種輸入を認める。つまりほかの地域から繊維なら繊維輸入される場合に、日本からの繊維を締め出しをしないというようなことを通告をいたさせた次第であります。  なお、英本国政府といたしましては、日本から英国への輸入につきまして現在行なっております0・G・L、0・I・L、グローバル・クォータ等輸入制度につきましても、これをそのまま継続するということにいたしまして、日本からの輸入を容易にするという措置をとった次第であります。  このように両国いずれの側におきましても、できるだけ相手方からの輸入を容易にし、これを促進するという措置をとりまして、終局のところ拡大均衡に持っていくということを狙った次第でございます。  なお最後に、今回の日英会談わが国経済にいかなる影響を及ぼしたかということを、ごく簡単にまとめてみますと、輸出面におきましては、大体昨年度日英協定におきまして、日本からの輸出を容易にするような諸制度英国側においてとられたのでございますが、今回の協定におきましても、同様これらの諸制度を継続いたすことといたしまして、日本の対英輸出を順調に進めていく段取りを確保したわけでありますが、そのほかに特に英本国向け日本輸出、なかんずくサケマスカン詰の対日輸入ワク拡大を、先ほど申し上げましたように前回協定では二百万ポンドであったのを四百七十二万ポンドという画期的な数字にまで拡大することを認めさした次第であります。なお植民地の対日輸入ワクにつきましても一億八百万ポンド、従来の協定に比べまして一千七百万ポンド増加ということが見積られたということは、今後の輸出伸張に大きな道を開いたものと考えられるのであります。特に植民地向け輸出品の構成を見ますれば、繊維品——綿製品及び化繊関係を主といたしますが、この繊維品輸出増加が今後期待される次第でございます。  他方わが方の輸入面におきましては、さしあたり外賃予算で一億二千七百五十万ポンド予算措置を講じたのでありますが、これによってポンド地域からの輸入を促進することといたしました。なお自動承認品目拡大であるとか、あるいは担保率差別撤廃というようなことで、できるだけスターリング地域からの輸入も容易にするということで、相互拡大均衡をはかることといたしたのでございますが、ただ個々の品目について見ますと、若干わが国生産品と競合いたすものもございますし、また品目として見ます場合に、奢侈的な品物等もあるのでございますが、このわが国との競合品目につきましては、できるだけわが国競争力の強い品目を選びまして、国内産業に対する影響もできるだけ少くするということに努めておりまするし、また奢侈的品目につきましても、これは単にこちらが一方的にこういうものを輸入するのみでなく、同様の性質の品物先方にも輸出するということに努めまして、相互拡大均衡という線に一歩でも近づける。またポンド累積もこれを避けることといたしまして、全般的には過去の苦い経験をなめましたような、英国側が強い対日輸入制限をする、その結果わが国輸出がにわかに半減というような過去の苦い経験を繰り返さないということに重点をおきまして、結末を見た次第でございます。  きわめて簡単でございますが、一応今回の日英協定の大筋につきまして御説明申し上げた次第であります。
  4. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 次に、鉄鋼輸出制限について。
  5. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 鉄鋼の最近とりました輸出制限について簡単に御説明申し上げたいと思います。  実は鉄鋼状況は、昨年は非常に不況でございましたが、今年になりましてから、海外好況に引きずられまして非常に状況がよくなって参りました。実はこの春そういった状況に当面しまして、本年度鉄鋼輸出をできるだけ促進しますとともに、鉄鋼の二つの面と申しますか、一面において鉄は輸出産業でございますが、同時に基礎産業として国内需給の安定をはかるという使命もございますし、そういった観点から、本年度の問題は、鉄鋼について見ますと、何といいましても、原料対策が一番問題であるということで、春以来そういう点に特に重点をおきまして、問題の原料対策ということについて手を打って参ってきたわけでございます。  その方策としましては、輸入スクラップについてできるだけ外貨を節約して、輸入をはかり、同時に国内におきましてはスクラップ価格の安定をはかるために七業界スクラップカルテルを結成いたしまして、これによってスクラップ価格の安定をはかるとともに、鉄鋼価格をできるだけ長期に安定させる、これによって国内鉄鋼価格及び需給の安定をはかるというふうなことでやって参ってきたわけでございます。ところが大体そういった方策で、この春以来相当輸出も伸びましたし、国内状況もこの夏ごろまでは、われわれの目から見ますと、比較的安定してきたのでございます。こういう状況であったのでございます。ところがその後だんだんと海外状況はさらに好況を呈し、そういった関係輸出の引き合いが多くなり、それにつれて生産もそれに引っ張られる。それが原料供給限度以上に相当生産も引き上げられるというふうな状況を生じまして、その関係原料関係を中心として、ある程度の鉄鋼界混乱が生じてきたというのが、この一カ月前くらいまでの状況でございます。  数字的に申し上げますと、今年度は実は当初の鉄鋼生産計画は、鋼材年間五百八十万トンでございましたが、その後輸出が伸びましたので、六百四十万トンというふうに計画を変えてみたのでございます。が、その際の大体輸出計画は、契約高にしまして、二百三万トンであったわけでございます。上期までの輸出契約を見ましても、契約高は百三十万トン、相当多く上っております。さらに今後相当契約高を予想されたわけでございます。こういったような状況から輸出契約に引きずられ、生産も上り、先ほど申し上げました通り原料関係相当混乱を生じ、あるいはスクラップの買いあさりというふうな状態が起りまして、その結果、春以来効果を挙げて参りましたスクラップカルテルが実際上効果を挙げるということができなくなって来た、こういうふうな状況に立ち至ったわけであります。  そこでわれわれが心配しました点は、そういったスクラップ状況の変化から、さらに鋼材価格混乱が生じゃしないか。さらにそれを通じて需給関係にも大きな問題が起るのじゃないか、こういうふうな点から考えまして、実はそういった点のことを考慮し、ここに緊急手段としまして、先般十月の十七日に一部の鉄鋼品種につきまして輸出停止処置をとったわけであります。  これが従来の経過でありまして、ただこれはあくまでも臨時的措置でございまして、業界が現在さらにこういう原料対策あるいは鉄鋼生産措置輸出等につきましての対策を目下研究中でございまして、これらの対案ができまして、通産省といたしましても、これを大いに促進し、これによって鉄鋼需給安定措置並びに価格の安定の見通しがつきますれば、これは一刻も早く解除したい、こういうふうな考えで来ておる次第でございます。  なお、この輸出停止措置によりまして、相当国際的にも影響がございますので、いろいろ研究しました結果、契約でLC、あるいはLAが開設されたものにつきましてはこれは輸出許可を行う。さらにそのほか特に海外市場に対して重要であるような契約につきましては、できるだけ十分考慮を払うというふうにしまして、国際的影響をできるだけないように努力したわけでございます。  目下鉄鋼界におきましては緊急対策委員会を設けまして、原料対策生産対策輸出対策ということについて案を練っております。原料につきましてはあるいは輸入スクラップ共同買付あるいは共同資金による国内くず買付とか、あるいはいろいろ国内共同購入機械設置とか、いろいろ案が出ております。そのほかいろいろ目下研究中でございまして、これが早急に具体化しますれば、われわれとしましても、これを適当と認め、これが鉄鋼の将来の需給並びに価格の安定に資するという見通しがつきました場合には、この措置は先ほど申し上げました通り、できるだけ早い機会に解除したい、こういう方針でございます。
  6. 吉野信次

    委員長吉野信次君) つかんことを伺いますが、どういう根拠でこういう鉄の輸出承認を与えるのですか。通産大臣鉄鋼輸出制限をする、法的根拠はないのですか。
  7. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 貿易管理令からいうと、従来とも輸出承認をしておりましたので、ただ従来はどちらかといいますと、十分に輸出制限するということでなしに、できるだけ輸出を伸ばすという意味から、大体許可して承認しておったのでありますが、この際、そういう方針をとっただけでございまして、従来から輸出承認制度というものは貿易管理令でやっておったのであります。
  8. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 将来の見通しはどうですか。臨時だというが、いつ頃まで……。
  9. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) それは今説明で申し上げました通り業界でいろいろ対策を練っておりまして、その対策ができましてそれが実行に移される、それによって鉄鋼の、需給及び価格が安定するという見通しがつきましたならば、できるだけ通産省といたしましても、早くこういう方向にもって行きたいと考えておりますので、今業界が非常に急いでおりますし、われわれもこれを促進しておりますので、できるだけ早く解除したい、こう考えております。
  10. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは国産自動車工業振興に関する件について。
  11. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 自動車工業振興に関する件につきまして、資料がお配りしてございますので、その資料によりまして簡単に御説明さしていただきたいと思います。  御承知通り自動車工業年間生産額が千八百億、機械工業の中では第一位を占めている工業でございます。原材料あるいは部品工業関連産業も非常に広く、雇用人口もいろいろ言われておりますが、百万人というふうに言われております。しかもこれの使用する設備、材料、部品はいずれも相当の品質、及び規格を要するものでありまして、自動車工業の発達は日本機械工業の水準の向上にも大きな刺激を与えるわけであります。そこで従来から通産省といたしましては、国産自動車工業振興に対しまして、いろいろと手を打ってきておるわけであります。従来は相当膨大な輸入車がございましたが、それも最近では相当制限されてきております。また駐留軍人、軍属からの譲り受けの車量国内輸入について相当制限をしておりますほか、また政府としては自動車工業設備近代化のためにいろいろ資金を供給する。さらに乗用車につきましては、技術向上をはかりますために外国技術の導入ということをいたしておりまして、現在これを実施しているわけであります。現在の状況ではトラック、バスについてはもはや輸入を要しません。これらの車はむしろ今後輸出する機運にあるのでありまして、最近でも大体年間資料にございますが、昨年は六百五十万ドル、今年度はおそらく七、八百万ドルの輸出をあげることになると存じておる次第でございます。また乗用車におきましても国内乗用車相当よくなって参りまして、今後大いに進歩を期待されるわけでございます。これはいろいろ諸外国との競争相当激甚な事業でありますし、今後貿易自由化、いろいろな問題に備えてできるだけ早い機会に、この自動車工業の確立をわれわれとしてははからなければならんと考えておる次第でございます。  そこで通産省としましてはいろいろ今後の対策も考えておるわけでございますが、一番問題はやはり自動車工業と申しますと何といいましても大量生産の事業でありますので、できるだけそういった面から自動車工業を考えなければいけないわけでございます。それについて考えられなければなりませんのは、国内需要が比較的少いという面から、輸出をおもに考えけなればいかんということもございますし、同時にまたそういった事情から考えて現在は、資料にも書いてありますように、比較的生産が数社に細分されているという点も若干あり、こういうことについてのコストの低下とか、品質の向上に対して限界があるわけであります。そこで今後の問題としましては品質、性能の向上、コストの切り下げということを大いにやって参りますと同時に、国際競争力を強化するがためには、企業内部の合理化ということだけでなしに、規格の統一とか、企業形態のあり方というふうな点についても問題があるわけでございますが、通産省としましては、さしあたりここに書いてありますように、従来の諸施策に加えまして、内外市場拡大部品、材料等の規格統一、試験研究機関の拡充、良質低廉なる原材料の確保、低利資金の確立等につき、いろいろの措置研究中であるわけでございます。  第一は、部品等の規格統一でございますが、これはここに書いてございますように、できるだけこういった方向で研究すべく現在社団法人自動車技術会に二百万円の予算をもってこの規格の統一の試験研究を進めておるところでございます。  それから簡単に申し上げますが、材料の確保につきましても、これは自動車工業としては特別の品質の原材料が要求されるわけでございまして、これらにつきましても規格の研究と同時に、業界で購入についての共同態勢というようなことについて目下考究をいたしておる次第でございます。灘今後自動車の普及をはかる上におきましては、何といいましても税の問題があるのでございますが、これは物品税、自動車税等いろいろございます。これについても国産自動車工業の発達のためになるべく早い機会に、ここに書きましたようなことについて、できるだけ早く検討の上実現をはかりたいと考えおる次第でございます。  資金の問題でありますが、従来設備の合理化につきましては、通産省といたしまして自動車工業の合理化資金につきあっせんをいたしまして、開銀等の融資をいたしております。また世界銀行に対しても二社につきてまして借款の要請をしておる次第であります。また自動車工業部品工業相当多く、これにつきましては中小金融金庫の今年から始まりました直接貸等につきましても、いろいろとあっせんをいたしまして、できるだけ目的に沿うように努力中でございます。  試験研究機関の拡充でございますが、これは従来機械工業振興費というところからいろいろと研究についてわれわれとしましては考究してきておりまして、今年度も標準悪路試験道路の建設について千五百万円、競輪からの上りの機械工業振興費において支出したわけでありますが、来年度は、ここに書いてございますように、自動車研究組合の設立のための予算要求をいたしております。これは全額で十六億円でございますが、初年度として六億円程度、これの半額補助ということで目下大蔵省に予算の要求をしておるわけでございます。この種の自動車工業としましては、かような試験研究機関を相当強力にして、今後のいろいろの技術上の問題について研究をさしてゆく必要がぜひあるとわれわれとしては考えておる次第でございます。  国産車の愛用と外車の抑制、これはできるだけ官庁としては国産車を使用するという方針でやっておりますし、また先ほど一番初めに申し上げました通り、従来から輸入制限あるいは払い下げの制限ということで努力してきておる次第でございます。詳しいことはここに書いてございますが、いろいろ説明いたしますと長くなりますので、簡単にこれで省略さしていただきます。
  12. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣がお見えになりましたところで、自動車工業振興につきましていろいろな抱負、経綸をお持ちになっておるようでありますが、私は一群日本自動車工業振興に欠けておる点は、この工業の性質上、大企業でなければできぬもんだと思うんですが、それをほとんど中小企業的か自動車工業がばっこしておる、というのはおかしいですが、存在しておるところに日本自動車工業振興の一番のガンがあると思うんです。鈴木さんは外国のことはよくお知りだが、英国でもフランスでもドイツでも、またアメリカはもちろんのこと、自動車工業というのは大体数社に限られたものです。そこで大企業で大量生産をするところに初めてコストの低下ということがあると思うんです。日本はその要素に欠けているわけですね。そういう点についてはどういうようにお考えになりますか。
  13. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 先ほどの一番初めの説明にふれた問題でございますが、お話の通り自動車工業は大量生産を特色とする事業でございますから、できるだけ生産単位は少い方がいいわけです。しかし日本では大体現在比較的大きな会社が組み立てを、組み立てといいますか、部品は小さい所で作っておりますが、最後の段階の製造と申しますか、組み立ての段階は大きな会社がやっております。ただその場合に、車種が若干多いんではないかという疑問があるわけでございます。そういう点につきましては、今後これをどういう形に持って行くか、自由競争の形で、適者が生存して、アメリカの例で見ますように——アメリカは、昔は八十も自動車会社があったそうです。それが十になって、最近ではさらに五つになり、現在では大きなゼネラルモータースとフォードですね。ほかの方がだんだん下へ下ってきて、自由競争という過程で、そういう体制が作られるか、あるいは、そういうことを予想して、ある段階になって、業界の大勢がそういうふうに持って行くかというふうなことで、問題が片づいていくのじゃないか。今すぐにそれを急に機械的に合同していくというようなことでは、とても目的は達しないんじゃないか。そこで技術上の切磋琢磨と、そういう状況にできるだけ持って行かれることを、私どもは希望しておるわけであります。
  14. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はその点を通産大臣に伺いたいんですが、今重工業局長からお話があったように、アメリカのようなあれだけの大きな需要にこたえて、あれだけの大量生産をしておるところで、わずか二社か三社にしぼられておるわけですね。それらの国と競争していく場合に、将来の問題として残す問題ではなくて、ここに何か基本法でも作って、自動車工業を大企業による大量生産、集約的な生産をやるということに、法的な措置を講じなければ、今そのほかのいろいろな部分品をどうするとか、こうするとかというような、そういう末梢的な問題で国際競争ができるわけじゃない。いたずらにコストの高いものを使わして、そして外国車の輸入制限するというようなことで、私は決して行けるものじゃないと思うのですが、自動車工業については、根本的に自動車工業法とか何とかというようなものを作って、根本的に外国と十分競争のできるような基本方針を立てるべきだと思いますが、そういうことを通産大臣はお考えになり、同時に来たるべき国会に提案なさるというような御決意はございませんか。
  15. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) まあ自動車工業は大規模でなければならぬということは、お説の通りだし、今局長が言った通りですが、現状において、これを法律をもって縛って、今の会社を整理するということは、今は少くともその時期でないと思います。ですから、もう少し様子を見たい。現状において、とにかくトラック、それからバスにおいては相当輸出もある程度できて、あるいは近ごろジープ類のようなものも外国品と相当競争のできる程度になっておる。問題は乗用車だけなんです。乗用車の方は、特にボデーがめんどうで、あれが型でも変ると相当資金が要るものですから、そういう点に困るところがあるようでありますが、これは各会社も相当考えておりまして、ことにトヨタとか日産とかいう純国産車の業者は言うまでもなく、ほかの組み立て車の方の外国車を入れてやっておる連中も、そういう点を考えんじゃない、考えておりますから、もう少しやはり時期を待った方がいいと私は思います。今力ずくでこれをねじ伏せてどうするということも少し行き過ぎじゃないかと考えておりますから、この次の国会にという考えは持っておりません。
  16. 河野謙三

    ○河野謙三君 これは局長に伺いたいんですが、一体自動車価格が、乗用車の場合、国際価格というものは、順次日本のコストと外国のコストというものは縮まりつつあるんですか、開きつつあるんですか。国産車の生産コストというものは、外国のコストと比較して、だんだん外国のコストに近寄っているんですか、それとも開いておるんですか。
  17. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) その点は、外国のコストの問題にもなりますが、われわれとしては外国のコストに近づきつつあると、こういうふうに見ております。
  18. 河野謙三

    ○河野謙三君 その近づきつつあるという数字を具体的に——今でなくていいですから、過去五年なり十年にわたって、過去十年前にはどのくらい開いておった、五年前にはどうなっておる、現在はどこまで来ているという数字を具体的に資料として出していただけますか。
  19. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) なかなか比較がむずかしいと思いますが、何かの形でそういうふうな資料をできるだけ御趣旨に沿うように作ってみたいと思います。たとえば原価自身も、向うのコストを調べるのはむずかしいので、売価とか何か、そういうようなことがわかりますような資料を出したいと思います。
  20. 河野謙三

    ○河野謙三君 はなはだ失礼なことを言うようですが、作った数字でなくて、正直なものを出して下さい。私はそんなに近づいていないと思う。たとえばアメリカでも、十のやつを五つにし、二つにするというところまでしぼってきて、大量生産をやってコストの引き下げをやっておるので、日本だけがまごまごしていてコストが下るわけはないんです。これは私が断定すべき問題でないので、一つ資料を正直に出してもらいたいと思います
  21. 白川一雄

    ○白川一雄君 今局長から大体の御方針、きわめて抽象的な点をお聞きしたのですが、実情は必ずしも今申されたようなことではないんじゃないかと、河野委員が今お尋ねになりましたが、少くも現在販売しておる価格から見ますと、日本のコストが三倍近くになっておる。輸出すると言いましても、コストを下げることを先に積極的にやらなければ、自動車輸出するというようなことは、現在の段階では夢想だにできない実情ではないか。こう考えますと、各工場で大体作る数量というものがある数字に達しなければ、原価を引き下げるということができないのじゃないか。現在日本需要する自動車が大体年間二万台といたしますと、現在国産が三社でございますが、外車の組み立てをやっておるのが三社、一つはダブっておりますから、五社として考えてみまするならば、一つの工場の生産数量というものは五、六百台になってしまうわけですが、それでは今日の自動車工業の原価を下げる数字には達しないんじゃないか。私は一カ月二千台くらい作る数字にならなければほんとうに原価を下げる生産数量にはならないと、こういうように考えてみますと、先ほどおっしゃられたように、競争さしてやらすような体制をとるということは、この産業の性質として、民主主義はけっこうだけれども、これは民主主義でやるべき性格でない産業ではないかと私は思う。この休会中に、私工場をずっと回ってみました。実情からいきましても、非常にその点が困っておるんではないか。そこに三十二年の十月まで外車組み立てを二百台ずつやらしておる。これを終ったときには、やはり国産車としてやらすつもりか、また現在利益をあげておるのを食い逃げさしてしまうつもりなのか、その辺の当局のお考えを一応承わりたい。少くも今日の保有台数は、十三万八千台日本にありまして、大型車の外国車が八万台ある。官庁の方で使っておるのがそのうちで一万台あって、一万五千台が観光客のために使われておると、こういう実情であって、国産車の生産を多数の工場に分けて総花的にやらすという事柄では、立ちおくれておる自動車工業を世界の水準に近づけるということは、言うだけのことで、実際はできないんじゃないかというのが現実の姿だろうと、こう思いますのですが、メーカーの今の外車の組み立てというものが三十二年十月に終ったときには、どういう処置をとらるるつもりか、その点をちょっと承わりたいと思います。
  22. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) ただいま国産自動車競争力についての御質問と、それから輸入組み立て車について将来どう扱うかという御質問でしたが、先ほど大臣からお話し申し上げましたことを敷衍するわけですが、トラックとかバスについては、現在日本国内でも相当のものができて、相当輸出もされておるという状況で、これは相当競争力もあるのではないかと、こうわれわれも見ておるわけでございます。それから、問題は乗用車でございますが、御指摘の通り、それは確かに大量生産を目的とする事業でございますから、単位は大きければ大きいほどいいわけでございます。しかし、現在御指摘のように、五社それぞれが相当たくましい意欲で、大いに自動車工業をやろうということで進んでおるわけです。これにはそれぞれ歴史がございまして、輸入の三社は、外国からよい技術を導入して、その型の車を日本で作って大いに売り込もうという努力を三年来続けてきているわけであります。またトヨタ、ダットサン——日産は、これは自分の技術相当使ってやろうというような強い気持でやってきているわけでございまして、お話の通り将来大量生産の実を上げるためにどういう形に持っていくべきかという問題を考えます場合に、今直ちに機械的に会社をどうこうして持っていくということが果していいかどうか、ある程度やはりこういった技術の切磋琢磨とも関連しながら、そういう方向に状況を見ながら指導することが適当ではなかろうか、こういうふうにわれわれとしては先ほどの御説明を繰り返すことになりますが考えているわけであります。  そこで輸入組み立て車の方は、会社によりまして程度は違いますが、大体現在で、ある会社は五〇%、ある会社は四〇%程度国産化が行われてきております。三十二年度中にはこれを九〇%以上は国産化するという目標で、それぞれ設備その他を現在進めているわけでございます。このときになりますれば、これらの輸入組み立て車は完全に国産車となる。そうなると、ほかの会社と同じ条件において競争するということになります。そうでありますから、従って二年後には、あるいは来年からもうすでにそういうことになると思いますが、相当激烈な競争が行われてくる。そこでどの車がよいか、どの会社が伸びるかということの状況がだんだん出てきますと、そこにある程度のそういったふうな国内の態勢というものが御指摘のようなところにだんだん近づいていくのではないかというふうに、われわれとしては考えているわけでございます。
  23. 白川一雄

    ○白川一雄君 どうも今の御説明を聞きまして、われわれが国産自動車育成ということについて考えていることと、あまりに懸隔があり過ぎて驚くような気持がするのですが、各会社が熱意をもってやっているから、大いにこれを保護しなければいかぬことはわかりますが、それよりまず国として自動車をどうやったらほんとうのいい車ができるかということを先に考えるべきではないか。ですから、かりにこの組み立て工場にしましても、外国技術の導入が目的であったとしましたならば、現在の段階ではある程度それに達していると考えますれば、そういう方の損失を補償するという方法もまたあるのではないか、たとえば一方に集中して安く車を作らすということができれば、一台について幾らという金を出さして外車組み立てを中絶するという処置も考えられぬことではなかろう。現在自動車工場はやはり土曜日も休みにしなければいかぬように工場を閉めてやっている所が多いようでありますが、こういう格好でこのおくれている自動車を世界の水準に持っていくという行政指導をされたのでは、私は百年河清を待つごとしということが当てはまるのではないかというような気がするのでございますが、たとえば外車にいたしましても、官庁がほんとうに積極的にやろうと思われるならば、一万台観光客に使っている外車を国産単に切りかえましたら、ガソリンだけ計算いたしましても年に三十億円のガソリンが違ってくるはずです。そういう各方面いろいろありますが、実行面において何ら進まないで、各業者を競争させ、この資料の中にも部品の規格を統一しなければいかぬとありますが、おのおの設計が違うのですから、設計の違う部品の規格統一を、品質だけ統一するならよろしいのですが、規格ということになってきますと、おのおの多種多様に分れるので、ほんとうにやろうとすれば、設計なんかは国がもって同じ車をなんぼかの会社に幾ら作れという指図でもできる段階になれば、規格の統一ということも簡単にゆきますけれども、各社でいろいろな形の車を作らす態勢においたのでは、なかなか規格の統一はできないのじゃないか、今度工場を回ってみまして、たとえば最も多量に使う原料の鉄板にいたしましても、あのドローイング・プレスをかけておるのをみますと、大体一割以上はきれが出てきます。裏にしわが寄るというような形で、真に自動車工業を育成しようとするならば、年間に要る自動車の鉄板というものをどこかの製錬工場にそれに向く鉄板を作らすという指導もしなければいかぬのではないか、普通の鉄板の中からあれこれをより取ってきて現在やっておるようでは、一割から一割五分くらいのロスが出ておる実情で、それだけ原料の部面においては高くなってゆく、コストの上においては高くなってゆく、これが非常に大きな部分を占めておるようにみてきましたが、大臣も今押えつける——押えつけるのではなくして、自動車をほんとうに日本人がみんな乗るようなものを作るというためには、業者に無理のない重点的な三社なら三社で育成するとかいうような格好に持ってゆかないと、私はそうあっちこっちの方々がいってくるやつを片っぱしから熱意があるというので取り上げてゆくような性質の産業ではないというように考えられるのでありますが、そういう決定した御方針をとっていただくわけにはゆかないのでございましょうか。
  24. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) さっきもちょっと申し上げましたように、お説ごもっともでありますが、今急にこれをやるということは私はちゅうちょするのであります。もう少し様子をみたいのです。今局長の言いました通り、各社とも一生懸命に今かかって、もうしばらく、もう一、二年待ってくれれば何とかなるというておるような、これはそうなるかならぬか、そのときにならなければわかりませんが、とにかく当業者としてはそのつもりで苦しい中を一生懸命やっておるさなかでありますから、これはもう少しやらしてみて、その結果によって一つ当業者の間にいろいろ話し合いもつくでありましよう。その上で一ついたしたい、こう思っております。
  25. 上林忠次

    ○上林忠次君 私この間中国の状況をちょっと見てきましたが、特に目立つのは自動車の少いこと、あれだけの物資を生産してこれを動かすということになると、相当今の汽車だけに依存できない状況を見てきましたが、果して日本自動車がこれにどんどん出てゆくか、国際競争で中国に入ってゆくかということを考えますと、今の日本自動車業界状況ではとても競争できないのじゃないか、先ほどから何とかしてしっかりした競争のできるような経営にしたいのだといわれますけれども、今のままでゆけば何も助成もしてないし、遠大な計画もない、このままで自然の競争で落ちるものは落ちるというような状態でありますが、まあ何とか近い中国の市場を確保するために、少くとも見本でもダンピングしてでもいいから今から輸出の道を講じておく、将来への発展の水を向けておくということが必要ではないか、果して自動車をココムの制限を解いて出すような努力がどの程度やられておるのか、その点と、それから見ておりますと、英国自動車相当入っておる。これは乗用車でありますが、ソ連の自動車が大部分でありますけれども、英国の車が相当入っておる。脇道から入っておるのじゃないか、こういうふうな脇道があるならば、われわれもそれを一つならったらどうか、そうして販売市場を今から溝をつけておくということが必要じゃないか、特に向うで必要なものはトラックでありまして、トラックはほとんど見えない。そういうふうな状態で、ソ連もこのトラックの供給が十分できない、実質的な力がないのじゃないかというような気がするのですが、何とかこの際に少しでも今から将来の開拓のために無理をしてでも出してゆくということをやらなくちゃいかぬのじゃないかと考えますが、もちろんほかの物資も皆足らぬものは多いですが、ぜいたく品はもちろん向うは入れない。自動車のような建設に必要なものはすぐほしいのじゃないか、公けの輸出ができないならば、英国式の裏の手を使ってでも今のうちに出しておかなければいかぬのじゃないか、日本の部分品がどんどん要るということになりますれば、将来の日本品の需要というものもふえてゆく、そういうものを少しでも出してゆく、こういうふうなことにつきまして、貿易はどういう工合に、今ココムの制限なんかを排除するためにどの程度の努力をされておるのか、将来制限の解除されるような見通しがあるのかないのか、そういうような点を、現状をお話をしていただきたいと思います。
  26. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ココムの問題は少し厄介でありまして、実はまあこれは全く私の推測でありますから、表に出ると厄介かもしれませんが、この間フーヴァー国務次官が来たときもその話が出たのですが、ちょっとフーヴァー氏の言うのには、前に重光外務大臣がワシントンに行ったときにも、ダレス長官もその問題は一つ真剣に検討しよう、こう言ったからまあ必ずしも望みなきにあらずというようなふうな調子に見えました。そのことがちょっと新聞に漏れたら、すぐに大騒ぎをして取り消しをする、こういうようなことで、今アメリカの国会及びアメリカの一般の世論でありましょうから、支那の問題は非常に神経過敏だから、日本は支那との交易についてアメリカの世論を刺激しないように一つ注意してくれということは繰り返して言っておりましたが、そういう関係からか、非常にアメリカの政府も神経過敏でありますが、しかし何とかその話を特免とか何とかいう形で持っていけば、全然望みがないというのではないように思われます。従って今、外務大臣ともそのときから常に申しておりまして、続けてやっておりますが、今度は通産省からもまた別なものがココムの方に参ります。そういう手を通じてできるだけ一つココムの解除に幾らかずつでもやっていくように努力を現在はしておりますし、また今後も就けてやるつもりであります。  それによって果して自動車が出るか出ないかわかりませんが、これは今お話のようにトラックなどはもし出せるということになれば相当有望じゃないかと思いますから、これは努力はいたしたいと思います。
  27. 苫米地義三

    苫米地義三君 今材質の問題が出ましたけれども、日本自動車というものはまあ後進産業でありますから、どうせ従来の大量生産におっつくわけにはいかない。だからそれを避けるには、日本独特の、どういうところに特色をおいた自動車を作るかということが一つのポイントじゃないかと思う。たとえばヨーロッパの車、イギリスの車でも、ドイツの車でも相当堅牢で、そうしてアメリカの車に対しては優秀だというような評判があるわけですわ。それはどこにあるかといいますというと、私の聞くところによれば、まあ設計や加工の差もありますけれども、材質の点にあるというふうにも伺っているのです。そういう面からいいますというと、日本には日本独特の材質もあるわけですから、だからそういうべースの——基礎の点から考えて、日本はどういう特色のある自動車を作るか、それによってその特色を生かして、海外市場にも競争していくという基本的な態度といいますか、研究といいますか、それを政府が考えて、ある程度の助成をしていくという大きな方向をきめることが必要じゃないかと思うのですが、どうでしょう、それは。
  28. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはごもっともでして、一体自動車に限らず、日本機械類は材質などが悪いということは昔からの評判ですので、ですから材質の改良ということにはむろん力を汁がなければならぬし、またそのつもりで通産省も、まあ十分とは言えないかもしれませんが、そういう点については相当考慮をして、いろいろの手を打っているつもりであります。
  29. 苫米地義三

    苫米地義三君 そういう点が、先ほど白川委員が言われたように、同じプレートでも非常にむだが出るとかあるいはしわが寄るとかいうようなことは、これは商品全体の上の声価に及ぼす問題です。ですからはっきりこの優秀な材質が日本にあるのは、大臣も局長もよく御承知なんですから、そういう点を生かして、将来この自動車工業でも何か活路を兄出すというふうに覚悟していただいたらけっこうだと思います。
  30. 藤田進

    ○藤田進君 この自動車問題について二点ほどお伺いしたいのです。  参議院の方で実は来年度予算を組むに当って、国産車をやはり奨励する毒味で今回は一つ国産車を主として購入することにしようというので、今折衝をしておるわけなんです。これは国会で十台や二十台買いましても、これで直接どうこうじゃありませんが、いわば連鎖反応として、これが将来民間なり官公署なりそういうところの手本になれば、非常にこれがきっかけになるだろうという目途なんです。しかし他の、今政府関係を持つ直接の省なり関連する官公署なりにおいて、そういういわば国産車を使っていくという計画を何か通産省あたりでお立てになって、奨励せられる意思はあろうかどうであろうかという点が一つ。  それから第二の点は、ココムの制限の緩和の問題ですが、特免等を折衝したいという意向が今表明されておりましたが、しかしいつも御努力はなさるように聞きますけれども、どうも実効がそれほどこういうものについては上らないということなんですが、かなり重光、ダレス会見等も引用せられて、状況もよくなったとも思われるわけですが、実際の見通し等についてどういうふうになるか、お聞かせいただきたいと思います。まずその点……。
  31. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) この諸官庁の自動車は、買いかえる場合には国序章にするという方針は、もう鳩山内閣ができましたときからきめておりまして、とにかく通産省においてはそういうふうに実行しております。現に私は、今役所で使っておりますのはほかならぬ外車でありますが、うちではトヨタを使っているんですが、いいでよ、なかなか、決して悪くないです。ですから使いつければ、まあ国産車の中型以下ですから大きくないから、見たところは堂々としないけれども、ガソリンは要りませんし、みんなが使えば、私は今の国産の乗用車でも相当使えるんじゃないか。値段も、だいぶさっきお話がありましたが、外車に比較して近ごろはだいぶ下っておりまして、ついこの間までは外車を買った方が得だというような状況であったのでありますが、今はそうでないようですから……、なおメーカーも勉強して、さらにトヨタでももう一つ新型を出すと言っているんです。まあそういうことで、役所の方では国産車を使うという方針をきめてやっておりますが、なおまあ各省が果してどれだけ実行してくれるか、一々心得ておらないのですが、これはなお一つ十分やってもらうように再確認をしてもらうようにしてもらいたいと思います。  それからココムの方が、さっき申し上げましたようなわけでまことにデリケートな問題になって、先行きどうだという見当をなかなかつけにくいのです。つけにくいのですが、ココムの係の何という人でしたかに私会いました。それで今まで特免を要求しましても、なかなか時間がかかって、半年くらいかからないとそれが決定しないということがありましたが、そういう点も、今後ぜひ一つ要求した場合には至急に決定をしてくれるようにということを事務局長にも頼んでおきましたが、それはできるだけやるということを書っておりましたが、まあ状況はだんだんよくなりつつある、こういうこと以上にはどうも今具体的にどうこうということは申し上げられません。
  32. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 自動車関係で今藤田委員から質問があった点、私実は非常に関心を持っておる。第一点の役所の自動車を国産車に切りかえたらいいというのは、私は前から言っていたことで、鳩山内閣になってから政策として発表されたので、私は非常に敬意を表していたんです。ところが今のお話のように、大臣の御答弁になったことは、われわれことしの春伺っているんですが、実際伺いたいのは、その実績がどの程度上っているかということになるのです。これを伺いたいと思います。  それで私、実はこの間ある国産車の発表会に行きましたときに、ある役所は、はっきり数字を覚えておりませんが、十何台でありましたか、確かに買い付けがしてありました。これは出してありました。それでそういう点で実行はされておると思いますが、実は私が非常に疑問を持っているのは、最近国会において、政府の代行機関である公社のようなものがたくさん生まれておるのですね。ああいうところは必ず車を買われると思うのです。そういうときにほんとうに内閣の方針に従って国産車を買っているのか、あるいは何とか手を回して少し古いような外車を買っているのか、こういう点は、やはり閣議で決定されたことですから、閣議の問題として特別チェックをされることが私は必要じゃないかと思うのです。間もなく臨時国会も開かれますので、ぜひあの方針に従って一体何台賢い、何台外車を買い、新しく生まれた役所なりあるいは政府の代行機関である公社のようなところは、どういう車を新しく買ったのか、そういう点はやはり非常にこまかい問題ですけれども、とにかく閣議で決定されたことだから、考え方としてはそうこまかい問題ではないので、資料をぜひとも一つ整えてこの委員会に提出をせられたいということをお願いしておきます。
  33. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 承知いたしました。一つチェックいたしまして……。
  34. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから第二点といたしまして、これは鋼材の方のことをちょっと……、よろしゅうございますか。
  35. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと申し上げますが、大臣はきょう五時半までおられるそうですから、きのうの石油の問題が残っておりますし、それからどうでしょう、砂糖の問題ちょっと説明だけ聞きまして、あと栗山さんのおっしゃった鋼材なんか一括して大臣に対する質問を願っては……。
  36. 藤田進

    ○藤田進君 きのうの質問から順次……。
  37. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ですから砂糖の分も政府説明だけ一つ開きまして、そうして順次適当に御質問願ったらどうかと思います。
  38. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 今の自動動車のことでもいいですか。
  39. 吉野信次

    委員長吉野信次君) では栗山君の質問から先に……。
  40. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 自動車の単価を、生産原価を引き下げるという考えは、やはり自動車の材料を下げるということが一つと、それから白川委員のお話のように、原価を下げ得る程度に、特定なやはり生産台数というものを保証していくという、この二つがなければ下らないと思うのです。ところが今メーカーではいろいろなマス・プロの設備、能率化をやって、努力は非常にしておる。私も工場を見てよく知っております。ところが最近非常に憂うべき現象としては、せっかく三万円下げるとか五万円下げるとか、非常に神経を使って生産者の皆さんがやっておいでになるのに、ゴムの方は簡単に値上りしてしまって、タイヤが上る、また鋼材はどんどん上ってしまうということでは、幾ら努力しても、この努力が消されてしまうことに材料の面でなると私は思う。従って、自動車に限ったわけではありませんが、基礎物資に対してもう少し政府価格安定ということについて熱心でなければいかんのじゃないかと、私は最近痛切に感じている。本来ならば、社会党は今度統一いたしましたときの政策の中にも、鉄鋼業のやはり国家統制ということをはっきり入れております。なぜかというと、日本工業のやっぱり中心になるのは鉄鋼であるわけですね。その鉄鋼が時の経済界の影響によってこういう変動をするということでは、とても日本のような弱い産業界において安定した計画というものは立たないのじゃないかと私は思う。特に最近造船ブームだというので、造船会社が非常にうけに入っているように一応言われておりますが、内輪に入ってみると、鉄鋼がどんどん上ってしまったので、せっかく注文を受けて、三、四年苦しんできて、ことしはまずまず少しゆとりのある正月をと思っておったところが、実際取ってみたところがなかなかゆとりが出ていない。こういうことを聞いておりますが、これはやはり造船業界の人が一生懸命になって注文を取り、外航輸出船の仕事を確保したにかかわらず、鉄鋼の値上りによってその努力は一ぺんに消されてしまう、こういう現象が出ている。大臣はこういう点を産業政策としてどういうふうにお考えになるのか、これをどういう工合に始末しようとしているのか、伺っておきたいと思います。
  41. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お話のように、鉄鋼は、まあ結局原料関係が最近のような状況で、これは押えがたい状況になりましたので、やむを得ず——これはあまりいい政策ではありませんが、この間輸出の一部を一時とめたというようなことであります。なおどうしても、スクラップ等の関係から参りましたので、これはスクラップを入れようとしても実は入れようがないものですから、やむを得ないものですから、銑鉄をもう少し輸入して、スチールの生産を円滑にしたいというようなさしずめの施策をとっております。しかし長い目で見た鉄鋼政策というものは、なお今後十分検討して、原料関係をどうするか、まあどうしても鉄鋼については原料関係から片づけて参らなければなりませんので、鉄鉱石の輸入先、あるいは粘結炭等の問題については今いろいろ検討をいたしております。まあ国内の生地というものは急にふやすことはでませんから、インドとかマレーとか、あるいはフィリピンあたりの鉄鉱石等を輸入するということで、現在インドと話をしているようなわけであります。  そういう方向で一つ日本鉄鋼業というものを確立し、なおかつ価格の安定をはかるように鋭意いたしておるわけでありますが、急に間に合わないので、今目先においてはごらんのようにこの問鉄鋼がちょっと上った、こういうことになっております。
  42. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 鉄鋼の値上りのために、少くとも二次、三次製品というものが全部影響を受けていると思うのです。そういう影響がどの程度に実際に出ているか、こういうことを通産省としてもうすでにチェックしておられるかどうか、この点はやはり局長から一ぺん伺っておきたいと思います。  それから第二としまして、今私が大臣に御質問いたしましたのは、従来ありきたりの考え方、あるいはありきたりの政策として鉄鋼を見る場合には、今おっしゃった程度のことよりはできないと思うのです、実際問題として……。しかし甘木はあらゆるものについて品質の改善を加えて、輸出増進をしなくちゃいけない。こういう絶対絶命の窮地に追い詰められている今日においては、やはり二次、三次の製品メーカーが安心して努力を払っていかれるようにするためには、何としても鉄鋼価格の恒久的な安定ということ、あるいは引き下げということをこれはやらざるを得ないと思うのです。それでなければ、せっかく努力をしていいものをこしらえても、材料がぼっと上げられたので、それですべてむだになってしまうということがないとは言えない。  従って鉄鋼事業というものは、そのもののやはり性格、経営性格というものを内閣がはっきり——私は必ずしも国労にせられたいとか、あるいは公社にせられたいとか、そういう突き詰めたことは申しませんが、普通の二次、三次の製品と同じように、完全に自由気ままな営業形態、経営形態に放置しておくということは、甘木の産業のために私はよろしくないのじゃないか。  今あなたは、鉄鉱石の材料をどうするとか、あるいは輸出をとめたとか、いろんなことをおっしゃいましたが、これはやっぱり一つの国策、小さい意味の国策になるわけですから、それをもう一歩突き進んで、鉄鋼事業そのものについて、そういうくつの上からかくというようなことでなくして、面接かゆいところをかくというような態勢を整えられるということが一番大切なのじゃないかと私は思います。これはそういろいろなものは必要としないと思います。鉄鋼と石炭と電力と、これくらい基礎産業として国の恒久安定政策というものを考えておれば、あとのものはもう……、私どもの考えは少し違うかもしれませんが、保守党の内閣においてはまあほかのことまでもおやりにならなくても、大体みんなが安心して仕事ができる。今一番大事な鉄鋼が、石炭がぐらぐらするというのではこれがなかなかできない。その点をどうお考えになっているか、この点を重ねてお伺いしたいと思います。
  43. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 鉄鋼の問題について申し上げたいと思います。これは私どもは国営とか公社とかいうことは考えておりません。が、大体鉄鋼に関してはいわゆるカルテル化と申しますか、現在のメーカーの十分協力のもとに、鉄鋼価格の不当な競争によって原料を買い上げる、あるいは勝手に生産をして勝手に輸出をするといういうことがないように、そして国内の鉄の価格を安定するような方針で指導しておるわけであります。まあそういうことで今行こうとしてやっております。
  44. 鈴木義雄

    説明員鈴木義雄君) 先ほど機械工業に対する影響についての御質問でございましたが、機械工業原料の使用割合によっていろいろ違うわけであります。かりに二割鋼材を使っておりますところは、鉄鋼が最近五、六%上ったとなりますと、それだけ影響があるわけでありますが、機械工業は同時に直接ばかりでなしに、部品として購入のものも多いわけでありますから、相当まあ影響があり得るとわれわれは見ております。具体的に個々の品目について幾らといった数字は、今ここに持ち合せておりませんので申し上げられませんが、ただわれわれとして考えておりますのは、日本鉄鋼価格のレベルをできるだけ、ちょうど日本競争相手というヨーロッパ諸国の需要者が使っている鉄鋼のレベルに大体持っていきたい。もちろん鉄鋼については価格についてコストの面も考えなければいけないけれども、そういうふうなことを考える。この春に値が上りました場合にも、大体そのときのレベルは、ヨーロッパの中庸価格というふうに見ておりました。それから最近値が上りましたが、これはその間においてヨーロッパもイギリスも、アメリカもみなそれぞれある程度値しりをして、世界的の傾向にあるわけであります。といいますのは、やはり原料関係にいろいろ関連するわけでありまして、現在の価格も、われわれとしましては、日本鉄鋼価格は大体ヨーロッパ並みの価格であるというので、非常に日本の各業者が特別にほかの国よりも極端に不利な状況にはなっていない、こういうふうに考えているわけであります。  さらに鉄鋼業の合理化としましては、いつも説明しておりますが、第一次合理化計画で千百億の投資をいたしまして、たとえばコークス・レシオも、従来はトン当り九百キロぐらいであったのが七百キロに下っておる。あるいは燃料消費もトン当り百五十万キロ・カロリーであったのが現在は百万以下に下っている。こういうふうに広い合理化が進んでおるわけであります。われわれも合理化を通じて、日本鉄鋼業者もほかの国に劣らないような方向に持っていくように努力していくつもりであります。
  45. 吉野信次

    委員長吉野信次君) さっき申し上げた砂糖の件は、政府の方から特別に説明するほどのことはないそうですから、従ってきのうの残りの件と砂糖、その他御随意に大臣に対しては御質問を願ってけっこうでございます。
  46. 藤田進

    ○藤田進君 自動車産業に直接関係を持つ燃料政策の問題ですが、大臣にお伺いしたいと思います件が六件ばかりありますので、一件ずつ……。  燃料政策の一環として帝石の問題が論じられ、先国会で特殊会社ができたわけですが、開発会社の発足がかなり急速な設立と、その機能が発揮せられることを期待しておりましたところ、いまだ設立せられるに至っていない。このことについては昨日多少の経過は承わったわけでありますが、どうも聞いていて了解しがたいのは、すでに三カ月になって、十二月の初旬という一応のめどは昨日習われておりますけれども、何かここにやはり問題があったのではないか、大臣は、どういう点が理由でかように停滞したのか、所見を承わりたい。
  47. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その問題は、この委員長も御承知と思いますが、別段私は隠れた理由があるとは思いません。ただ、これは説明が多分昨日あったと思いますけれども、鉱区を新会社に譲ることについて、八割以上の鉱区が移るということで、帝石にとっても非常に重大な問題でありますので、その評価とか何とかということで手間取り、さらに帝石が株主総会を開かなければならないのでおくれておるのだと私は思います。従って帝石が株主総会を開く段取りになっておるのでありますから、これが開かれれば、あとは大した時間を要せずに、十二月、早ければごく最初のうち、おくれましても初旬中には新会社が発足する、かように考えております。
  48. 藤田進

    ○藤田進君 この点鉱業権の評価、そのほか問題があったでありましょうが、この点今後も予定を繰り上げて、たとえば予告期間等も場合によっては繰り上げができるように昨日承わっておりますから、早く調べ出していただきたいと思います。  それから、これはどうも政府の財政投融資の問題と関連いたしまして、多分各方面の要求もあることですから容易でないと思いますけれども、こうして通産大臣の所管のもとに開発会社ができたわけであります。いまだ不明確だと思うことは、政府の燃料五カ年計画のうち、この初年度を三十年度に置くとすれば、三十年度はその第一年度の実績をあげていかなければならないと思う。それがどうしても了解できない。三十一年度を第一年度とお考えになっておるのかどうか、その辺もはっきりいたしませんので、この際五カ年計画の初年度をいつに置いていくのかということを……。
  49. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) 御承知の五カ年計画は、三十五年度百万キロ・リッターの目標で計画を立てております。しかし三十年度は、計算から申しますれば三十一年度から三十五年度までの五カ年ということになるわけでありますけれども、三十年度はその間新会社の設立等はございましたけれども、当然開発について決して手をゆるめるわけではございません。現在新会社の設立はもう間近に控えておりますけれども、この間帝石の方に事務の代行を願いまして、そこでやはり調査、試掘等も引き続きやってもらって、その結果は新会社に引き継いで、三十一年度以降の実績の中に織り込んでいくような仕組みになっておるわけであります。
  50. 藤田進

    ○藤田進君 それでは三十一年度ないし三十五年度の五カ年計画の内容について、その後多少検討せられた結果修正等があるとすればその内容を、これは文書でよろしうございますから御提出いただきたいと思います。  それから第三の点ですが、常に開発会社に対して二分の一以上の持株ということになっておると思います。ところがこれが初年度、この法案を審議する過程に具体的な数字も出たわけですが、出発の早々はこれは実施せられると思うわけですけれども、しかし三十一年度の財政投融資等についてどういう具体的な内容をもってその実現を試みられておるのかという点、この点をお伺いいたしたいと思います。
  51. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 三十一年度以降の財政投融資については、まだ大蔵大臣の方と十分協議しておりませんが、少くも石油開発会社については当初の予定の通りにぜひ一つやってもらいたい、かように考えておるわけであります。これは予算の審議までには決定をして、御報告ができるようにいたしたいと思います。
  52. 藤田進

    ○藤田進君 それでは既定方針の、政府投資については確保するという、こういう態度で間違いありませんか。
  53. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) さようでございます。
  54. 藤田進

    ○藤田進君 それからそうなりますと、これは法案審議の際にも若干問題にはなってきたわけですが、残る帝石ですね、この株を全部引き揚げるわけですね、政府は。そして新らしい開発会社にこれを肩がわりすることになる。そうすれば精製等を帝石に今度ゆだねることになると思うわけですが、開発会社の探鉱し、採油したものを、油は帝石に一部やはり精製させることにもなるかと思いますが、いずれにしても帝石に対する従来の監督権というか、株主というか、そういう持株のない立場政府はなってくる。一般の、いわゆる通産大臣としての監督権に立ち返ってしまうということになるわけですが、この従来特殊な会社としてでき、発展してきて、そこに新しい会社ができたために、かなり性格も変ることはやむを得ないとしても、帝石に政府はやはりある程度の株は保有して、監督権を維持せられることの方が望ましいのではないかというふうに考えるわけですが、こういう点についての御方針はどういうことなのか、承わりたいと思います。
  55. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) ただいまのところでは当初の計画通り政府の持株は帝石に対して一応なくなるわけですが、直接の所有権はなくなるわけですが、お話のように、政府としての監督権が今までと違ってくるというわけであります。まあ帝石は布石として一つの、今までの開発は帝石がやめまして、そして全くの一つの純然たる民間会社として出すか、その他でやっていく、こういう方針になっておるのでありますから、特に政府が帝石に対して強い監督権を持つ必要はないかと私は考えております。今のところでは当初の方針通りにやっていこう、こう考えております。
  56. 藤田進

    ○藤田進君 この点についてなお御検討いただきたいと思います。  次に鉱業権ですが、同じ鉱業権の中に開発会社があり、あるいは帝石というような、複雑な状態になるのではないかどうかと思われるわけです。それに他の鉱業権もこれに関連するのでしょうけれども、この際、鉱業権を一貫的に運営する意味で、新らしい開発会社にこれを移譲せしめるようにして、統一せられることの方が、将来開発会社としての運営も円滑にいきますし、政策としてもその方がいいように思うわけですが、この点についての方針はいかがですか。
  57. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) 現在帝石の持っております五千余りの鉱区につきまして、これをどういうふうに新会社の方に移譲するかということについては、審議の過程ではいろいろ意見があったのであります。先般結論を得ました案では、約八割の鉱区を新会社の方に移してしまう。同じ鉱区について両方が手をつけるというような状態をなくするということで、はっきり分けるというようなことで結論を得ております。
  58. 藤田進

    ○藤田進君 あとの二割というのはどうして統一できないのですか。
  59. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) あとの二割は、将来ガスを帝石にやっていただくわけでございます。ガスの開発をして、主としてガスの出ることが期待できるような鉱区が約二割、これが布石の鉱区として残るということで、大体二割、八割ぐらいの比率で両会社に截然と分れてしまうということで、同じ鉱区について両会社が試掘を同時にするというようなことは避けるようなことに結論がすでに出ております。
  60. 藤田進

    ○藤田進君 そうすると重複する鉱業権ということはなくして、やはり統一しておるということになるのですね。
  61. 松尾金藏

    説明員(松尾金藏君) そうです。
  62. 藤田進

    ○藤田進君 最後に一点お伺いいたしたいんですが、十二月上旬に開発会社が正式に発足いたしますと、これに伴って従業員の異動等もあるわけであります。これはやはり帝石から横すべりというか、そういう形になるようでありますが、これに関連していろいろな労働条件とか、重要なことがさらに円滑にいかなければなりませんが、めんどうになるかもわからない。こういう点はすでに予想せられたので、法案審議の過程の質疑において石橋通産大臣は、やはり帝石、新しい開発会社、これに当該従業員で組織する組合員、三者構成等によって協議会などを作って、円滑に話を運ばせたいということについては考慮するということを伺ったわけですが、この点についてやはりいまだそういう形態は見られていないで、ただ法人設立の事務的な面だけにむしろ力を注がれて、技術的な面がなおざりになっているような気がいたします。これについてはぜひ円滑に進んでいきますために、三者構成等による協議会を設けていくべきだと思うわけでありますが、その点行政指導をせられて、特段の御努力を、開発会社に対してサゼストをせられて、早急にこれらの問題に着手していただきたいと思うのです。その点どのようなお考えであるわけですか。
  63. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 人事の問題も並行して進行しておるのでありまして、これは当初からそういう問題を予想しておりましたので、会長には鮎川君を頼むとかということで、人事の問題の円滑な引き継ぎと申しますかをやるようにいたしておりました。それはいろいろ組合の方からも受けておる要求などもございますから、大体円滑にいく見込みでおる次第であります。
  64. 藤田進

    ○藤田進君 先ほど指摘いたしましたし、過般の審議中もお話の出た、いわゆる帝石、新会社、当該従業員で構成する、組合との三者で構成する協議会というものを設けて、そういうところで話し合ったらどうかという考え方についていかがですか。
  65. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 特に協議会を作るということはいたしておりませんが、組合員側からの要求十分考慮してやるようになっております。ただ組合員の中で、何か協議会で人のポジションをきめるのに協議してくれという話もあるそうですが、これはそこまでいきましては、また新会社の経営その他において差しつかえを生じますから、あまり深入りをして、人事に組合が干渉するということは避けたいと、こう考えております。
  66. 藤田進

    ○藤田進君 それは内容が、いろいろ議題になり協議せられれば、おのずから解決するわけで、そういうことがあるかもしれないからということでそういうものを持たないというのではなしに、円滑に進めていくという建前の手段としてやはり持ってもらいたいと思うわけです。  それからこれは再三非常に、二十二国会当時熱心に出されておったわけでありますし、付帯決議もあったわけでありますが、異動するに伴ってのいわゆる労働条件一般の切り下げは行わないということでありましたが、この点は現在も変りありませんか。
  67. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 変りございせん。
  68. 河野謙三

    ○河野謙三君 それじゃ大臣に砂糖の問題その他を一つ、お考えがお変りになったのだか、変らないのだか、それを一つ伺いたいと思います。
  69. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私としては大体変っておりませんが、しかしこれは農林省その他の関係がありますから、実はもっとよく協議をして、今度の国会までには皆さんの御審議をわずらわすなり何なりの結論を出したいと思いますが、その相談はまだ結論に達しておりません。いずれ農林大臣、大蔵大臣等と十分打ち合せました上で結論を出したいと、こう考えております。
  70. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと今日の「日本経済か」何かに出ておりましたが、一部に、砂糖が非常に安くなったので、超過利潤をとる余地もないので、あの法案提出は取りやめになるだろうというようなことが書いてありましたが、今通産大臣に関する限りお考えがお変りにならぬということは、前国会に提案された法案そのままか、もしくはそれに一部修正されたものでも、とにかくあのお考えに基いて法案を提出するという御意思に変りはないと、こういうことですか。
  71. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) その新聞記事は知りませんが、私の今の考えは、お話の通り前の考えをそのまま持っております。
  72. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はお考えが変らなければいいのですけれども、この機会にさらにはっきりと一つ大臣のお考えを伺いたいのですが、あの砂糖の法案というものは、目的が超過利潤をとるというのではなくて、あれは一つの手段であって、目的そのものは必要最小限度の外貨で砂糖の価格を安定させようということが目的であって、だから相場のことでありますから下ったり上ったりいたしますし、だから超過利潤が生まれることもあるでしょうし、逆の場合もあるでしょう。それとあの考え方とは別個であって、私はどこまでも砂糖の価格安定のためにあれをやるべきであると、こういうふうに思うので、その点は大臣にさらに念を押す必要はないと思いますが……。  それともう一つ、私はこれは砂糖に限らず、通産大臣として一つ根本的な考えを伺いたいのは、外貨の割当の問題です。今度の砂糖が上ったからといって簡単に十万トンの砂糖の外貨の割当を追加した、そして砂糖を下げた、こういう価格安定方式も一つの考え方でしょうけれども、私はそういうふうな考え方に基くならば、通産省が担当しておる外貨割当そのものを全体に通用しなければいかぬと思う。むしろ砂糖あたりの外貨は、ある程度他の方法によって価格を押えても、もっと必要資材で外貨の足らぬものはたくさんあるわけです。ですけれども、必要資材にも外貨を追加し、砂糖にももちろんやる、全部に今後は量的に価格の安定をはかるという方針ならば別でありますけれども、まさかそういう安易な考え方ではないと思うが、これは砂糖以外の問題でも、もし今後この外貨に関する物資で価格の上った場合には輸入の数量を追加することによって価格の安定をはかる、こういう一本でいかれるわけですか。
  73. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) いや、それ一本でいくというのも言い過ぎと思いますが、しかし本年においてはとにかく外貨事情も、まあこれがどれだけ続くか続かないか疑問もありますが、とにかく輸出が予期以上によくなって、外貨もたまっている状況ですから、従って必要物資についてはできるだけ必要な分量を入れて、国内の物価の引き下げをはかるということを大体の方針として外貨予算を組んでおります。ですからあの作られました外貨予算も、必要なだけは、これはむしろ言葉が少し荒っぽいかもしれないが、惜しみなく外貨を出して、そして輸入をする、こういう建前でありまして、ですから何もかもかまわずにやるという意味でもありませんが、たとえば鉄にいたしましても、先ほど申し上げましたが、鉄の値段が非常に高騰するという場合には銑鉄の輸入をはかろう、こういうことが現在においては考えておることでございます。
  74. 河野謙三

    ○河野謙三君 しからば具体的に伺いますが、砂糖が高くなったから十万トン輸入するというなら、私は農村のまん中におるのですが、農村は肥料を少しも安いと思ってはいない、高いと思っている。しかも外国から全量輸入を仰いでおるカリ肥料なり燐酸肥料というものは高いのです。ところが高いものを安くするためにどうしたらいいか、役所の価格指導などというそういう中途半端なものでなくて、たとえば過燐酸なら、燐鉱石を十万トン入れたら日本の過燐酸の価格というものは全く姿が変る、メーカーの困るほど安くなる。しかもそれに要する外貨というものは幾らだというと、わずか十万トンのものを入れれば足りる。だから砂糖もそれは必要資材でありますけれども、もっと生産資材である過燐酸の原料である燐鉱石とかカリというもののなぜ外貨の割当にちゅうちょされておるか、こういうことで私は納得がいかない。これは必要ならば燐鉱石でもカリでもどんどん輸入されますか。
  75. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 私はカリ、燐鉱石のことは実は具体的によく知りませんが、それを入れれば農村の肥料が安くなるというならば入れていいと思います。それは入れますよ。
  76. 河野謙三

    ○河野謙三君 そういうふうに終始一貫しておればいいのですが、農林省だとか他の省のことは知りませんが、もとは通産省が全部外貨については握っておる。これについてはもう少し生産必要資材の外貨についても細心の注意を払われて、同時にこれに積極的に通産大臣の御意思を働かせてもらえばいいのですけれども、そうじゃなくて、何とか少しやかましいやつらの方にはちゃんと適当にやっておくというようなことで、これは大臣にはなはだ失礼な言い分かもしれませんが、だからこの間の毎日新聞に、砂糖はまた狂い始めたということが書いてありました。私はこういう点について、結論として、砂糖をああいうふうにやるなら、これはよく御調査願えばよくわかりますが、燐鉱石を十万トンか五万トン輸入したらすぐ価格は安定します。カリにしてもしかり。それをなぜやらないで、そして通産省に行ってがあがあ言うやつだけは外貨予算をもらえてどうのこうのということは……。
  77. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 必要なものを外貨関係で入れないということを通産省は言ったことはありません。農林省が入れないでもいいといった場合に入れなかったことはございますけれども……。
  78. 河野謙三

    ○河野謙三君 通商局の佐藤さんがおいでになりますが、燐鉱石はなぜ入れないのですか。
  79. 佐藤清一

    説明員佐藤清一君) 燐鉱石の計画は、当初の計画は、下期で六十五万五千トンと見ておりましたが、これを改訂いたしまして七十二万一千トン増加して入れることになりました。それからカリにつきましても、大体上期より増加をいたして組んでおりますが、カリの方は、先方の供給者の方がカルテルがございまして、なかなか価格が下らない。従いまして価格を下げる意味におきまして、これをアメリカからも入れるというようなことにいたしまして、できるだけ価格を下げるという努力をいたしております。なお非常に不足で一あるという場合には、ただいま大臣からお話の通り、追加の割当もできると思います。
  80. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は外貨割当をふやして輸入量をふやすことによって輸入価格が下るとは思いません。輸入価格国内価格の開きが非常に多過ぎる。これはお認めになりますね。この国内価格輸入価格の開きが大きいということは、外貨が足りないということですから、この幅を常に見ておって、この幅を縮めようと思うのには、今私が申し上げるように、それは燐鉱石やカリの輸入量は、農林省が要求したか、どこが要求したか知りませんが、とにかく今の輸入価格と農家の消費者価格の間に非常に開きのあることは間違いない。これを縮めるということは簡単なことです。それをちっともやらない。これは私はどこでどういうようなことを言っておるか知らぬけれども、通産省の方は、いかに農林資材であろうと、国内価格輸入価格というものを常に見ておられて、この開きの大きいものには外貨の割当をやったらいい、要求があろうがなかろうが……。通産大臣はそういうことは事務当局から資料をもらって、その価格の開きのある本のはどういうものかということは、調べればすぐわかることでありますから、私はぜひやってもらたいと思います。
  81. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはけっこうですからやります。
  82. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はこの際、前国会の末期に通過いたしました石炭鉱業合理化法に関連いたしまして、今日まですでに七十日を経過しておりますが、その後の合理化法について、買付炭鉱等に対する進捗状況をまず鉱山局長からお聞きしたい。
  83. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 合理化法の施行状況につきましては、ごく概略を資料としてお配りしてございますが、事業団につきましては十月一日付で通知をいたしました。それから十一月一日付で各支部の設置が終りました。それでその前に合理化審議会で買い上げ炭鉱の基準、あるいは買い上げ数量というようなものがきまりした。で、あときめなければなりませんのは、事業団の業務方法に関する問題でございます。一番中心は、評価の方法なり基準なりの問題でございます。それが現在検討中でございまして、中旬くらいには審議会にかけてきめて、それがきまりますれば、大体事業団が発足するに必要な準備がおおよそが完了するという予定になっております。
  84. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、今月の二十日以後でないと買付に対する手は打たれない、こういうことなんですか。
  85. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 評価問題が、実はおそらく申し込みをされる方におきましても非常に重要な問題ではなかろうかと思われますので、その問題が片づかないと最終的に売り渡しなり何なりの意思をきめられることも不可能じゃなかろうかと思いますので、現在でも事業団本部も支部も正式に成立して、まだ人員の充員が十分できておりませんけれども、足りないところは役所からも応援いたしまして、受付程度の仕事はできるようにはなっておりますから、申し込みすることは可能でございますけれども、はっきり最終的に意思決定をきめて申し込みをされるには、業務方法の問題がきまらないと、申し込みをされる方もはっきりしたことができないのじゃないか。それから事業団側としても業務方法がきまりませんと、扱いがはっきりいたしませんので、事業上業務方法がきまって動き出すということになるのであります。
  86. 小松正雄

    ○小松正雄君 まず政府としてもこの買付炭鉱に対する代償として、先国会中にもお話しがございましたように、トン当り二千三百五十円を一応その代償としょうというようなことでお話があったと思いますが、その二千三百五十円の割り振り、要するに設備資金にその二千三百円をどういうふうに持っていくとか、埋蔵炭量にどれだけ持っていくとか、そういう内容はもうすでにできておりますか。
  87. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 現在それを検討いたしておる段階でございます。
  88. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと、政府は石炭合理化法によって三百万トンの過剰炭を足正しよう、そうしてそれには政府資金を持ち、あるいは残る炭鉱でこれらを整理する資金を出して、この三十年度にはすっきりした形にして、三十一年度からの需要に対する燃料政策というものを健全に建て直し、健全に進めていこう、こういうふうなことから発足せられておって、これができたために、買い付けられるものなりとして待っておる炭鉱というものは相当あると思います。  それは一つの例として申しまして、もう一ぺん石炭局長にお伺いしますが、埋蔵炭量を一応買い付けていただきたいということで、その山元から炭層別にどれだけ残っておるということが資料として出された、その場合に炭鉱がつぶれておったのではどうにも調べようがない、こういうようなことの考え方があろうというようなことで、炭鉱としては、その埋蔵炭量を見てもらうために、炭鉱の水を排水をしながら——何ももうつぶれても差しつかえない炭鉱である、非能率であるという建前から、この法案が通ったためにそういうふうに持っていこうと労使ともに話し合いをつけて待っておる。ところがそれがつぶれてしまっても、この埋蔵炭量というものは、その事業主から出された壁をそのままのみ込みができるということになりますかどうかを一ぺんここで伺っておきたい。
  89. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 小松委員の御質問は、保坑の問題ではなかろうかと思うのでございますが、これは法律にもございますように、買い上げの対象となりますものは、申し込みの期日前六カ月間に作業を休止あるいは廃止したものでないということが条件になっておりますので、それを逆に読みますれば、申し込みが正式に受け付けられれば保坑をやめてもよろしいということになるわけでございます。これは法律的にもそうなりますし、事実問題としても、それで買い上げ事務に支障がなければやめていただいてけっこうなんでありますが、ただ、今小松先生から御指摘がありましたように、もし保坑をやめることによって坑内の調査なり何なりができないということになりますと、埋蔵炭量ばかりでなしに、坑道もやはり買い上げ対象になっておりますから、そういうものの評価ができなくなるという意味で、一つ保坑はそういうことの支障のない程度には保坑しておいていただきたいというふうに、現地側にも連絡しております。  ただ先生も御指摘のように、これが予定より——われわれが国会でお答えいたしましたよりも、実は若干おくれておりまして、大へん申しわけないと思っておりますが、人事問題が非常に実は難航いたしましたので、それで非常におくれております。はなはだ申しわけないと思って、今できるだけ早く取り返すようにいたしまして、あと、先ほどお答えいたしましたように、業務方法さえ最終的にきまりますればそれでエキサイトできる、その間に職員の充員も大体間に合うというようにやりたいというふうに思っております。
  90. 小松正雄

    ○小松正雄君 今局長からお話のございましたように、少くとも九月の末までには事業団というものが発足して、そうして予定通りにやっていくというようなことをはっきりここで御答弁されたと思うわけです。それが十月も過ぎ十一月も過ぎようと、またそれに関連して、どうしてもいけないから、これを政府としても強制的にまで買い付けようというのでなくても、一応非能率という点からくれば買い付けられるだろうということから、こういうようなことを労使とも話し合って、九月の末には対象になる、十月一ぱいには何とか代償金ももらえ、諸般の問題も完備して、そうして整理が終っていけるものなりと考えておるのが、それが今局長のおっしゃるように、事業主としてもこの坑内の坑道を対象とし、あるいは埋蔵炭量を調べてもらう上にも排水をしなければならん、排水するだけですから、何も石炭は出ていない、そういう炭鉱というものは相当あるわけです。窓口があかないから申し込みもできない。何回福岡へ行ってみてもだな、そういうことでもって今日まで延び々々して、延び々々してこらせられるその事業主というものの負担というものはこまかくない。電力料なんかすでに取付にあって、電力はこない、こないけれども無理に今月一ぱいだけの金でも作ったというようなことで、個人的の資金のできないものは無理やりに作って、そうして納めて、やっと排水を十月一ぱいやった。十一月もまだそういうことがとり行われないということになると、自然これはもう排水のできないという炭鉱が相当できると思う。できたとしても、これは政府の責任になると私は追及するが、どうです。
  91. 齋藤正年

    説明員(齋藤正年君) 今申しましたような事情で、特に人事関係の問題でおくれまして大へん申しわけないと思っておる次第でございます。結局できるだけ早く業務のできるようにするという努力をいたす以外に方法がないのでありますが、先ほどお答えいたしましたように、ただ保坑の問題は、法律的には今申しましたような状況でございます。従ってその点どの程度の保坑をすればいいのか、具体的な、山によりまして事情が非常に違っておりますので、そういう点非常に、できるだけ簡易な方法で、どうか支障のないような保坑をやってもらうようにやりたいと思います。  それから申し込みの件でございますが、正式に支部も開設いたしましたので、現在は申し込みの受付をなし得る態勢になっております。申し込みの方はすぐにしていただいてもいいような状況になっております。
  92. 小松正雄

    ○小松正雄君 大臣にこの締めくくりというとおかしいのでございますが、埋蔵炭量等が対象になる一番事業主としてのおもなところでございますので、今局長の話を聞けば、時間的にズレが出てきてもいかんとも仕方がないというようなことであるので、事業主の方としても対象としてもらいたいということで排水をしながら待っているけれども、いつできるかわからないということであるために、先ほど申し上げましたように、九月一ぱいでできるものができない、十月は排水をするのにも電気はとめられて、その間に無理に金を作って犠牲を払って、十月一ぱいを継続して排水して、賠償の対象になってくると思うから、坑内、坑外を見てもらおうと思って待っていた、これもでなきい。いかんせん、十一月の電力代が払えないということになれば、いやでも排水はできなくて、自然に満水しなければならないということになるので、幸いに窓口もあいたということでございますので、どういたしましてもこの買い取りをしてくれという申し込みをした以上には、坑内の中に入られて調査をされるということは、これは当然一回あるわけなんですから、それで諸般の問題が解決していなくても、少くとも坑内の中の状況の調査だけを一番先に、申し込んだらすぐしてもらうという態勢を、出先機関の鉱山局等の人たちの加勢を得てでも、申し込まれた炭鉱の坑内の情勢だけでもぜひ一つ調べてもらっておくということにしてもらいますれば、それによって二十日や二十五日延びましても、坑内状況は水をためてもいいのですから、要らんところに無理な金を入れて、何もならないこの排水の施設をしてじっと待たなくてもいいわけでございます。排水するためには坑道の維持も相当しなくちゃならない、石炭は出ていない。もう全くどうにもならないで待っておるという炭鉱が相当あるわけです。そういう意味におきまして大臣からここではっきり私は御答弁願いたい。というのは、窓口ももうはっきりできたのですから、どうしても一回は坑内状況を調べなくてはならないということは、これはもうきまったことでございますので、大臣としては諸般の問題が、最終的にどういうふうにしようということがまだきまってないといたしましても、申し込んでいったらば坑内の状況だけはもうその日に御調査をしてもらうというように一つあなたのお考えがあってほしいと思い、またあなたからそういう指令を出してもらえるようにしていただきたいと、かように考えますが、いかがでございますか。
  93. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) お話ごもっともで、おくれておりますのはこちらの手落ちでございますから、一つ事務的にさような連絡をいたしまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  94. 小松正雄

    ○小松正雄君 それから、大臣にここでこんなことを申し上げるのはどうかと思いますが、九月末から私どもの筑豊炭田で九月末、十月、それと十一月にかけまして石炭の需要相当増大しつつある状況にあるわけですね。たとえば低品位炭であろうと何であろうと相当な母が動くわけです。それでお問い申し上げるわけですが、来年、昭和三十一年度もこういう形でもって増強といいますか、需要の増量になるという見通しですかどうか、その点を一つ伺っておきたい。
  95. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) これは最近幸いに幾らか石炭が動いて、もう不当な、何といいますか、マイナスのやみ値というものがまたなくなってきたということはけっこうだと思います。これは大体経済界の状況を見ますと、明年度においてもこの状況は続いて参るものだろうと私は考えております。
  96. 小松正雄

    ○小松正雄君 それでは大臣は三十一年度はこの傾向で石炭の需要も増量するだろう、かように考えておるということですね。
  97. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) 著しく増量するということはどうかと思いますが、とにかく底をついて、一応安定する状況になってきた、幾らかでも増量の方向に向いているのじゃないか、かように考えております。
  98. 小松正雄

    ○小松正雄君 そういたしますと大臣は三十一年度需給計画に伴って、どういう理由のもとにそういうふうに需要が増量され得るようになったのか。たとえばこの三十年度の、渇水期であったために、電力会社が火力をよけいたいた、こういうような意味から増量になってきたのか、一時的の増量である、かように私どもは考えているのだけれども、大臣から、来年度相当な量が増量されるだろうということになりますと、これはまた炭鉱をやっている人たちは相当考え直すことができると思う。かようなこともありますので、念のために大臣に間違いない御意見を一つ伺っておきたいと思います。
  99. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) どうも経済界の前途は非常になかなかむずかしいのですが、最近の状況は、御承知のように外国経済界の事情がよくて、従って日本輸出も、われわれのこの春の予想と非常に違って輸出もふえる、こういうような状況でございますから、全体に産業界が幾らか動いている。そこに従って石炭の需要が幾らかよくなってきている、こういうわけでありますから、幸い、さっきも申しましたように、三十一年度においてさらに非常な景況が現われて、石炭も非常に、きわめてよくなるということはなかなか予想はつきませんが、まあ現在の、ごとき状況が三十一年も続く、悪くはならぬというくらいのことは言えるかと思います。
  100. 小松正雄

    ○小松正雄君 なかなか過分なことをここにまた申し上げるようになりますが、さっきから大臣にお願い申し上げたことですが、坑内の状況の調査については、申し入れと同時に調査に出ていくというように、まあ明日でもさっそく出先機関に御通達をしていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。
  101. 山川良一

    ○山川良一君 きのうかきょうの新聞でしたか、造船鋼材が足りないから外国から輸入するような意向が政府にあるようなことをちょっと聞きましたが、そういう傾向になっていますか
  102. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) それはさっきも申しましたのですが、とにかく銑鉄を一つ入れよう、銑鉄は一つ増量して入れて、そして原料の補給をしたいと思います。
  103. 山川良一

    ○山川良一君 そうするとそれは原料輸入するという意味なんですね。それを誤まり伝えたと、まあ造船鋼材が足りないということは原因ではあるけれども、そう単に造船鋼材だけをねらっているわけではない……。
  104. 石橋湛山

    ○国務大臣(石橋湛山君) そうじゃございません。必要があれば鋼材を入れてもいいのですが、鋼材を入れるといってもそう入らんと思います。
  105. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと速記を、とめて。   〔速記中止〕
  106. 吉野信次

    委員長吉野信次君) 速記を始めて。
  107. 白川一雄

    ○白川一雄君 国産自動車工業振興に関して参議院の商工委員会の方で小委員会を設けて、そこで十分検討したいという——皆さんの御意向もそうだと思いますので、お諮り願いたいと思います。
  108. 吉野信次

    委員長吉野信次君) お聞きの通り、白川委員から、国産自動車振興について本委員会で小委員会を設けて、さらに掘り下げて研究したいという御発言がありましたが……。
  109. 藤田進

    ○藤田進君 先ほど来国産自動車に関連しての質疑等も重ねられて、なお重要なやはり事態にあると思いますしいたしますので、ただいまの提案の通り委員会を設けられ、これが打開について検討を加えることに賛成をいたします。
  110. 古池信三

    ○古池信三君 私もけっこうなことと思い賛成いたします。
  111. 河野謙三

    ○河野謙三君 私も結論は賛成です。と申しますのは、通産省の先ほどの話では、いかにもあまっちょろいので、ああいうことでは政府にまかしておけないということで、われわれは一段と勇気をふるって小委員会で成案を得るというくらいのことで、小委員会を作ることには賛成です。
  112. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ちょっと伺いますが、小委員の構成はどういうふうにいたしますか。
  113. 白川一雄

    ○白川一雄君 委員長に御一任申し上げた方がいいと思うのですが……。
  114. 吉野信次

    委員長吉野信次君) ただいま白川君の御発言について皆さん御賛成でございますか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  115. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは御異議がないと認めますから、本委員会内に国産自動車振興に関して小委員会を設けることにいたします。なお、小委員会の構成等についてはどういたしましょうか。   〔「委員長一任」と呼ぶ者あり〕
  116. 吉野信次

    委員長吉野信次君) それでは一任ということでございますから、私の方で適当に取り計らうことにいたします。  本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十三分散会