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山下義信君 修正案は御手元に案文が配付してございますので、朗読を省略さしていただきたいと思います。修正の要点を申し上げますと、原案の十五条の
改正規定を削りまして、そうして十五条の
改正規定と申しますというと、原案のほとんどおもなる点が十五条
関係でございますので、その点をすべて削ることにいたしまして、新たに第三十九条と申します一条を設けるわけでございます。この第三十九条はすなわち
優生保護法の附則の
規定でございますので、本問題を
優生保護法の本文の中に置かずしてこれは附則による
規定を置きますことが立法体裁上至当であろうと存じまして第三十九条という一条を設けたわけでございます。そういたしましてこの
受胎調節指導員に必要な
医薬品を
販売させますることは恒久の制度と認めるのでなくいたしまして「当分の間」、今日の実情に応じまして当分の間かかる措置を認めようこういう
考え方で「当分の間」ということを入れたいと存ずる次第でございます。
それから第三十九条の二項にこの
販売に当りまする
指導員の心がまえ、すなわちその
販売に当りまして
注意をしなければなりません点・違反しては相捻りません点を十分明確にいたしておきまして、すなわち
厚生大臣が指定しまする
医薬品でしかも
薬事法に明らかにその規格を定めました品物以外は売ることができないようにいたしましたのが一号、それからその品物以外の
医薬品を売ってはならないということを念のために戒しめておりますのが二号、それから
受胎調節の実地
指導を受ける者以外の他の
一般の者に前の一号・二号の品物を売ってはならぬ、売る人はきまっておるぞと
注意してございますのが三号でございます。そういたしましてこれらの
規定に違反をいたしました場合の処罰といたしましては、
指導員の資格を取り消しをするという
行政処分に変えたのでございます。従いまして
行政処分でございますから、これは原案にもございますが、すなわち第三項にヒヤリングを許しまして、その異議の申立てのことだけは人権尊重上とどめおきましたのでございます。従いまして、第二十九条以下は不必要となりますので、この
改正規定を削る。これが大体修正の要点でございます。
実は私も昨日
質疑いたしまして感じましたことは、原案におきましてはいろいろ疑義がたくさんございまして、われわれといたしましても、納得いたしかねる点がございますが、第一番に、原案におきまして納得いたしがたいと思います点は、
販売に関しまする手続が繁雑でございまして、いわゆる
指導員の
指定証をまず交付して、その
指定証に今度は
販売の許可証を捺印したり、いろいろ繁雑な手続をいたしますが、それらの繁雑な手続が何の利益があるかと申しますと、ただ、それらを
販売に当って持たせる。
販売の許可を受けたという証明書になるだけのことでございまして、かかる繁雑なる、手続は、本
改正案の
目的上大した利益を与えませんことでございますので、すべてそういう繁雑なる手続を省略いたしまして、
受胎調節の
指導員には、との種の限られた
医薬品の
販売品の
販売を許す、こういうふうに簡明にいたしました次第でございます。そのかわり、原案におきましては、
薬事法に違反いたしました場合には単に
販売関係の処罰だけでございまして、
受胎調節指導員たる身分には何らの影響がないことになって分離してございます。もっとも回り回りまして体刑等禁固以上の刑に処せられましたときの影響は間接的にはございましても、一応本
法律上におきましては
関係がない。しかるに、との
受胎調節関係の
医薬品を
販売するということは、
指導員としての
立場でやるのであって、
指導上密接不可分の重要な施策であるという建前をとります以上は、この
医薬品の
販売に違反事項がありましたならば、ただ
販売の資格が失われるというととでなくいたしまして、
指導員たる本来の身分に影響があって取り消されるということが至当でございますので、その処分を密接不可分に一体にいたしたのございます。
それから
薬事法との
関係につきましては、われわれといたしましては、あくまでも
例外規定である。すなわち
薬事法が重きか、
受胎調節上かかる施策が必要なのかということの両者いずれの問題をとるかということになるわけでございまして、今日私
どももこの点につきましては、党といたしまして慎重に今朝来機関に諮って検討を加えたのでございますが、今日
受胎調節の必要なことは国論でございます。この施策を強力に推進いたしますために、
薬事法の
原則の
除外例を認めることは、ある段階、ある時期においては必要ではないかと
考えますので、
薬事法の
除外例を本
優生保護法の中におきまして認めるわけでございます。しかしながら、その
除外例たるや、あくまでも
除外例でありまして、しかも今日のこの時期に当面するいわゆる暫定的の施策でなくてはなりませんので、あくまでも恒久制度として
薬事法の定める
原則以外に新たなる医薬
販売業者を認めようとするのではないのであるということを明確にいたします。すなわち限られたる
対象者・限られたる
医薬品及び限られたる
場所において、その他しぼるだけしぼってやるということになりますというと、
薬事法が戒めております弊害等は、可能な限り少ない
範囲に防止し得るのではないかと
考えるのでございます。従って原案におきましては、あくまでもその趣旨で
除外例としてこの
取扱いをいたそうとするにかかわらず、いわゆる
薬事法に、非常に何と申しますか、
薬事法を尊重すると申しますか、遠慮すると申しますか、そういう建前で、
薬事法の全体の取締
規定をかぶせるということになりますと、こういう特殊の
除外例の場合に、
薬事法において定めたる
一般の取締
方法をここに総体的にかぶせまするというと、昨日本員等の
質疑におきまして明確に相なりましたように、実際におきましては、この
薬事法が認めておりまするような
監督、立入り
検査等が不可能なことは明白なことであります。従ってとういうような取締
規定を、しかも立法体裁上
薬事法がすっかりとこちらに、移るかの
ごとき異様な感を与えまする
規定を定めまするよりは、
優生保護法の中におきまして、この
販売上に違反事項がありましたときには、
優生保護法自体においてこれを戒める、
薬事法に御迷惑をかけないという建前をとりまする方が、私は施策を行いまする上におきまして立法上妥当な
考えではないかと、かように
考える次第でございます。従いまして、
薬事法の取締
規定をすべて省きまして、
優生保護法におきまして、この
販売に当りまして違反事項が起きました時分には
行政処分をする、こういうことに修正の趣旨が相なっておるのでございます。
なおかつ、原案におきましては、いわゆるややもすると流れがちでありまする営利に走るという弊害につきましての配慮が、原案においてはなされてございません。その点を
十分注意いたす必要があると存じますし、
販売上におきます
注意は先ほど申し上げました
通り、また違反に対しまする制裁が
指導員たる身分に及びますることは、すなわちとの
取扱い上、十分その
関係者が
注意をいたしまするような
考え方に基きますのでございます。
大体以上のような
考え方をもちまして、実は修正案を提起いたしまするには、少しく何と申しますか、根本的な修正のような形になりまして、原案者に対しましては相済まないように存ずるのでございますが、しかしながら
薬事法関係との間の重大性、またこれらの多数の
受胎調節指導員の今後の活動の重大性、それらを彼此勘案いたしまして、また、
優生保護法という
法律の建前の上から申しまして、との程度の条件、この程度の
方法をもっていたしますることがまず現状においては妥当ではないかと
考えまして、ここに修正案を提出いたしました次第でございます。
何とぞ慎重御審議を賜りたいと存じます。