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政府委員(久下勝次君) それでは御指名によりまして私からこの
資料につきましての概略の御説明を申し上げることにいたします。なお一括して差し上げましたもののほかに、別に高野
委員からの御要求がございまして、結核医療費が全医療費中に占める
資料、これは政府管掌の健康保険だけでございますが、これも一枚別に差し上げております。これは先刻
追加してお配りしてあるはずでございますが、念のために申し上げておきます。
ごく簡単に申し上げることにいたしますが、お手元に差し上げました
資料は、政府管掌健康保険の医療費の内容を分析をいたしましたものでございまして、特に文章による説明を省略いたしましたのは、この内容は精細にごらんをいただきますと、いろいろな解釈が成り立つと思いましたので、あえて実は説明を省略いたしたのであります。このうち特に御
注意願いたい点を、まず私からおもな点だけを申し上げたいと思います。
まず第一枚目の被保険者の受診件数のところでございますが、ここで御
注意願いたいのは、入院受診率が各年別の数字が出ておりますが、非常に増大をしておる点でございます。
昭和二十四年度に被保険者千人当りの受診件数が八十二件でございましたのが、
昭和二十九年には百八十八件に上っておるわけであります。その増加率は約二・三倍くらいになっております。これに比較いたしまして、入院外はそれほどふえておりません。それから一部負担のございます被扶養者につきましては、同じ入院がふえてはおりますけれ
ども、一部負担のない被保険者に比較いたしますと、そのふえる率はわずかに五割程度でございまして、非常に差が少いという点に御
注意を願いたいのでございます。この傾向は組合管掌健康保険につきましても同様でございます。
それからその次の表は診療一件当りの点数、言葉をかえますれば金額でございます。これもごらんをいただきますると、最も顕著なのはやはり入院でございまして、入院の一件当りの点数が
昭和二十四年度に五百八十一点でございますのが、二十九年度には一千二十二点になっておりまして、約二倍に増加をいたしておるのでございます。これまた被扶養者の方と比較をしていただきますると、その増加の比率は、被扶養者の方におきましては比較的に少いということも御
注意願いたいのであります。
それからもう
一つ被保険者の歯科診療の点数が、他に比較いたしまして一件当りの点数が五割程度の増加を示しておりまして、これもこの表の顕著な事例でございます。
なお組合管掌健康保険と同じものが比較してございますが、やはり同じような傾向でございますが、組合管掌健康保険は組合財政の
関係もございまして、政府管掌よりも一般に前から高かったということもこれでごらんをいただけると思います。医療費のそれぞれの原因につきましては、たとえば入院のふえたのは、ベッドの増加、あるいは新しい抗生物質その他の高価薬の
使用がふえた、入院点数の引き上げ、完全看護、完全給食の増加というようなことがこの原因であるということも御了承いただけると思います。
第三表は一件当りの金額でございますが、これはただいまの点数と同様のものでございますから説明を省略いたします。
第四表は、完全看護、完全給食、寝具設備の年次別の増加の傾向が数字で示してございます。完全看護の欄の一番下に増加指数というのがございまして、
昭和二十五年度を一〇〇といたしますと
昭和二十九年度は二八八になっておりまして、二二・九倍に近い増加を示しております。これが先ほど申し上げました入院の点数増加の
一つの原因でございます。完全給食の増加比率も、やはりその完全給食の欄の一番下に二十五年を一〇〇として二十九年が二三五で二・三五倍の増加であるということが示されてございます。寝具設備というのは
昭和二十八年の暮から実施しているものでございますので、二十八年はごくわずかで、二十九年に非常な率としては大きな増加を示しております。
それからその次の表は
昭和二十八年十月の精密
調査の結果をごらんに入れたのでございまして、これは全政府管掌健康保険の各診療行為別の点数、件数を入院、外来に分けまして書いてございます。これはごらんをいただきますると、まず一番左の入院というところの点数をごらんいただきますと、点数に(1)、(2)と区別がございますが、(1)の項は、ずっとその欄をたどって参りますと、合計一〇〇となっております。これはそのすぐ上に入院料が六二%七、入院料を除く入院患者に対する治療
関係が三七%三ということで、その合計が一〇〇になるわけでございます。つまり言葉をかえますと、入院の患者のために支払っております総点数のうち、いわゆる入院料として支払われるものは六二%——六割二分でございまして、入院料を除く入院患者に対する投薬あるいは注射、手術等の経費は三割七分にすぎないということが示されるのでございます。その右の欄の、入院料を除いて——六割二分を占めまする入院料を除きまして入院患者に対する治療行為だけをやはり百分比で表わしたものがこの点数の欄の(2)でございます。これをごらんいただきますると、入院患者の治療に対して一番大きな部分を占めますものは注射料の四割一分である。それからその次に大きなものは手術料の二割六分であるというふうなことをごらんを願いたいのであります。以下同様の
意味で
昭和二十八年十月の各診療行為別の比率を示したものでございます。これは一年だけの数字でございますから、これで御了承願いたいと思います。
それからその次に結核
関係の
資料の御要求がございましたので、二十四年五月、二十五年十一月、二十八年十月、この三表の同じ形式のものを差し上げてございます。これは結核患者に対しまして入院、外来に分けて百分比を示したものでございます。これは年次別に変っております傾向が御了解をいただけると思いまして差し上げたものでございまして、たとえば薬治料が
昭和二十四年にはこういうパーセントを占めていましたのが二十五年にはこう、二十八年にはこう変っているというようなことをいろいろな角度からごらんをいただけると思いまして差し上げたのでございます。このうち特に御
注意を申し上げたいと思いますことは、
昭和二十四年五月にはいわゆる抗生物質というものがきわめてわずかでございます。これは注射料の欄の結核非特異抗菌性製剤というのが、入院の点数、先に(1)(2)に分けてございますが、そのいずれも〇・五九%、一・八二%にすぎないのでございますが、これがもう一枚の二十八年の数字をごらんいただきますと、この注射料の中のストマイだけが、すでに、入院患者に対する治療の面だけで見ますと、二八%を示すように激増しておるというのに御
注意を願えると思うのでございます。その
意味合いの
資料で、各入院と入院外に分けて診療行為別に示したものでありますので、これを詳細に傾向をごらんいただきますれば、いろいろな結論が出てくると思いまして差し上げた
資料でございます。
それからその次に、同じような
資料を歯科につきまして差し上げたものがございます。「
全国平均一件当点数及び診療行為別点数百分率」というのが、歯科について
昭和二十五年、二十八年、二十九年の三カ年に分けまして、百分比の傾向を示してございます。ここで御
注意をいただきたいと思いますことは、一件当りの平均点数は、ごらんいただきまするように、七十六、百四、百二十四点と順次上っておりますけれ
ども、その上っておりますもののそれぞれの中で占めております各診療行為別の比率の傾向が書いてございます。この比率の傾向で御
注意いただきたいと思いますことは、上の薬治料でございます。あるいは抜髄、根管充填等のいわゆる治療行為と申しますか、これは各年ほとんど変化なく、むしろ逆に減っておる傾向を示しておりますけれ
ども、インレー以下の補綴保全等に類する行為は、たとえば最も顕著なのは鈎でございますが、
昭和二十五年八月にはわずか七・二%の比率にすぎなかったのが、
昭和二十九年十月には一六%を示しましたように、ふえております。インレーは八・六%から一一・三%にふえておるというような工合に、この方面のいわゆる補綴的な行為が歯科におきましては漸次ふえておるということに御
注意を願いたいと思うのであります。
それからその次には「治療指針等の設定経過」、これはいろいろいわれております診療費が上った要素にもなっておるものでありますから、各年次別に治療指針として正式に
厚生大臣の告示で出ましたものと、その解釈的な通牒で示したものと、それぞれの通牒、疑義解釈等を示したものを各年次別に掲げましたものでございます。
それからその次には、「診療内容の中抗生物質及び結核化学療法剤の占める割合」というのを差し上げてございます。これは抗生物質と結核化学療法剤というものを、全内服薬と全注射とにつきまして、どの程度のこれが比率を示しておるかということをごらんいただきますために、入院、入院外に分けて書いてございますが、一例を申しますと、入院の被保険者分につきまして点数をごらんいただきますと、最も内服薬で一番大きな要素を示しておりますものはパスでございます。全内服薬の四〇%はパスが占めておるというのが、ごらんをいただくとわかるのでございます。それから注射薬でごらんいただきまして、ストレプトマイシンが全注射薬の三四%を占めておるということに御
注意を願いたいと思うのでございます。こういうような
意味で差し上げました表であります。
それから最後が「社会保険医療担当者監査の実績、年度別実施数及び処分内容」と、それから返還金額等を加えましてお示しいたした表でございます。
別の一枚刷りの
資料は、先ほどお手元に差し上げてございますが、これは結核とその他の疾病件数、日数、点数のそれぞれを比較したものでございます。それから医療給付費の中で結核の占める部分は、
昭和二十八年の十月の精密
調査の際の数字を示してございます。これもいつも言われておりまするように、入院が全入院の場合には、結核患者のための入院料は六二%を占めておるのだということをごらんいただけるわけであります。
きわめて簡単に要点だけを申し上げたのでございますが、こういうような点に御留意をいただきまして、この
資料をごらん願いたいと思います。