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1955-06-13 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十三日(月曜日)    午後二時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            加藤 武徳君            常岡 一郎君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            松岡 平市君            横山 フク君            阿具根 登君            河合 義一君   国務大臣    厚 生 大 臣 川崎 秀二君   政府委員    厚生政務次官  紅露 みつ君    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省薬務局長 高田 正巳君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君   説明員    国立予防衛生研    究所細菌部長  福見 秀雄君   参考人    東京衛生局長 与謝野 光君    東京衛生局予    防局長     高橋 末雄君    前東京衛生局    予防部防疫課長 山下  章君    前東京衛生局    立川保健所長  井之川孝雄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度に関する調査の件  (赤痢予防注射等に関する件)   —————————————
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  本日は、社会保障制度に関しまする調査を議題といたしまして、赤痢予防注射等に関する件を問題に供します。本日は本問題に関しまして、委員会の決定に基き参考人出席お願いしております。これより参考人方々から意見を聴取することにいたします。  この機会委員会を代表いたしまして、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位におかれましては、御多用中のところ御出席下さいまして、まことにありがとうございました。今回起きました赤痢予防注射副作用によりまする発病につきましては、国民保健上重要な問題といたしまして、当委員会におきましてはこれを取り上げ、これを調査することになったのでありまするが、直接この問題に関係しておられまするところの各位からその実情を聴取いたしまして、調査上の参考に資したいと存じまするから、当委員会の意のあるところを御了承下さいまして、意見発表下さいまするようにお願い申し上げます。  次に、御意見発表をしていただきまする事項につきましては、先般文書によりまして御通知いたしておきましたが、時間の関係もございまするので、一人当り十五分以内で御発表を願い、のちほど委員各位から質疑がございまするので、これに対しましてお答えお願い申し上げたいと存じます。  なお委員方々にお諮りいたしますが、時間の関係もございまするので、参考人意見発表が全部終了いたしましてから御質疑を願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議がないようでございます。  それではまず、東京都の衛生局長をしていらっしゃいます与謝野光君からお願いをいたします。
  4. 与謝野光

    参考人与謝野光君) 今回当委員会におきまして、赤痢予防注射に関しまして、当面の執行の責任者であります私どもをお呼び下さいまして、意見を申し上げる機会を与えていただきましたことを深く感謝を申し上げる次第でございます。先ほど委員長から非常に御丁重なごあいさつをいただきましたのですが、私どもも与えられました時間を有効に使いまして、私ども考えをお聞き取り願いたいと思っております。本日は東京都の衛生局関係から四人の参考人をお呼び下さいましたので、重複を避けまして、私から大要につきまして申し上げて、細部にわたりましては、他の参考人から申し上げさしていただきたいと思っております。私が最初にこの計画の始まりから、この与えられました課題につきまして意見まで一通り申し上げさしていただきます。  最初に申し上げたいことは、今回東京都で赤痢予防接種をいたしましたのは、本年の初めになりまして厚生省、これから申し上げます厚生省と申しますのは、予防衛生研究所等を含みました私どもから見ました広い意味厚生省と解していただきたいと存じます。厚生省から本年の赤痢予防対策一環としまして、かねて問題でありまする予防接種によりまして免疫を与えて、しょうけつをきわめる赤痢防疫効果を上げようという考えから、本年は三十万人の人に赤痢予防接種をやる、そのうち五万人を東京都でやってほしいというお話がありました。このときに与えられた条件と申しますか、それは術式は〇・四CCを三回接種する術式でありまして、接種の薬品は厚生省検定済のものを厚生省から渡されまして、無料で地方へ渡されたものでございます。しこうして接種をいたします対象につきましては、厚生省から与えられた条件学童についてやれということでございます。この趣旨により私ども東京都といたしましても、一万有余を数える多発状況にある赤痢予防対策一環といたしまして、これを実施に移す計画を立てまして、都といたしましては学童五万人ということでございますので、全域にわたっていたしますよりは、目下赤痢発生率の高い三多摩地区を選びまして、三多摩地区には五カ所の保健所がございまするので、五カ所の保健所管内市町村関係者お話しをいたしまして、希望者をそれぞれ各市町村で求めて、また希望する町村に対しまして、この厚生省の指示された方式に従いまして予防接種をいたす計画を立てたわけでございます。その間東京都といたしましては、従来昭和二十七年から皮内接種方式によりまして、三年間の実績を持っておりますのですが、いずれも大した副作用はなく、また私も実験台の一人になったわけでありますけれども免疫効果もありますので、私といたしましては、今回の接種はいわゆる副作用のあるなしを知る試験ではなくして、予防接種によって免疫を与えて防疫効果を実際に表わすという意味の試みであろうと解していたした次第でございます。それで三多摩地区において、学童に対して厚生省から与えられた薬を厚生省の指示した方針に従ってやる計画を立てまして、各市町村都合を聞きまして、それぞれ保健所ごとに日程を組んだわけでございます。その際に三多摩地区全域からの希望者の総数が五万をちょっと上回る程度でありましたので、丁度厚生省から与えられた人数と合いましたので、この計画実施するということにいたしたわけでございますが、その際に私ども厚生省を信用しておったわけではありますけれども、一応私どもといたしまして、皮下接種は初めてでございますので、本庁内で職員を三十数名につきまして、〇・四CCの接種をいたしてみたわけでありますが、その際相当反応を示しまして、強度の発熱を示したものがちょっとわれわれの予測以上に多いものですから、さらに重ねて半量の〇・二CCを接種をしたところが、〇・二CCの術式では反応が見るべきものがありませんでしたので、そこで実施に移る計画を立てます際に、特に第一回の接種は〇・二CCを打つことにいたしたわけであります。不幸にいたしまして、ちょうど五月二十四日の日が村山砂川二つの町が地元都合がよろしいということでまず最初にこの二つの町の学童に打つことになったわけでありますが、御承知のようにあとから詳しい数その他はほかの人から申しますが、相当高率に強い高度の発熱嘔吐、その他相当激しい中毒症状を起したものですから、二つの町では非常に大きなセンセーションとなり、また社会問題となりましたことについては、まことに遺憾に存じております。で、これらの事故に対応しましては、東京都といたしまして、極力医療班を派遣いたしましたり、あるいはその他の必要な措置を講じたわけでございますが、その間非常に二つの町におきまして問題になりましたことが幾つかありまして、一体この接種が何がゆえに行われたのかという点で非常に問題にされました。当時厚生省から係の人も見えて、学者の方方がいろいろ率直な御意見をお述べになったので、無理もないのでありますが、その際お話しの中に実験という言葉があった関係もあって、一、二の新聞に実験接種というふうに大きく出ました関係もありまして、地元印象といたしましては、防疫対策一環であるという考えよりは、何か自分らの子弟がこの実験動物に使われたのではないかという非常に強い印象を受けまして、この点が非常に私ども責任を問われた一つ事項でございまして、で、私どもといたしましては、厚生省考えはどうであったか知りませんが、少くとも私どもは、厚生省が今まで三カ年の間全国にわたって十五万の人に対して接種をやって、もう副作用はないのだというお話でございましたので、副作用試験ではないと思っておりましたものですから、先ほど申し上げましたように、防疫対策一環として取り上げたわけでございましたので、その点はほぼ了解してもらえたのではないかと思っております。その間町民大会等が開かれまして、非常に私どもは何べんかこの方々お話し合いをしたわけでありますが、残っております問題は、医療費については、一応私ども医者にかかった人の医療費は見ようと思っておりますけれども、こういった事故のためにあるいは氷を買った、氷袋を買った人もある、あるいは体温計を買った人もあるというようなことで、各家庭相当の出費をした。また、ちょうどあの辺は狭山でございますので、狭山茶の今ちょうど葉をつむときでありますので、子供が寝たための無形のみならず有形においても収入の上に響いた、従ってある程度見舞金をよこしてもらいたいということがありまして、私どもといたしましては、この問題は軽々にお答えができないものですから、まだ最後的な返事を保留しておるような次第でございます。現在のところ、その後の経過はよくいたしまして、先週の初めからもう欠席児童もなくなりまして、一応今回の注射によりまする副作用と申しますか、反応は一応解消いたした次第でございますし、現在のところその意味におきましては、おさまっておるわけでございまして、残っている問題はこの見舞金の問題でございます。地元の要求といたしましては、見舞金学童のうちで注射を受けた者全員に対しまして一人当り千円、私どもの計算したところのベースで計算いたしますと百二十万円余になるわけでございますが、百二十余万円をよこしてもらいたいという希望を述べておられます。これらにつきましては、私どもの気持といたしましては、できればこれは国の方針に従って私どもがいたしたのでございますから、何らかの形で国からごめんどうをみていただきたいと思っております。東京都といたしまして見舞金を出すことは非常に困難でございまして、その点も御賢察願いたいと思っております。  なお、この第四の問題は、御質問がありますが、今後の予防接種施行についてでありますが、私どもは、ことに私は長い間赤痢予防接種については興味を持っておりました。従前から実験に参加したことも昔あったのでございまして、赤痢免疫はできるものと思っております。従って今後も、赤痢予防注射をできるだけ学者の方に改善工夫をしていただいて、実施をいたしたいと考えておりますが、これについての意見といたしましては、今回のような副作用の強いものは困る、ことに行政上の措置に移す場合には、いま少し厳重にこれらの点を御研究願いまして、地方庁が安心して使えるようにしてもらいたいと思っております。  それから予防接種施行する場合に、今後において新しい予防接種赤痢に限らず新しい仕事を医学の進歩公衆衛生進歩の上においてやっていく場合に、やはりわれわれは神様ではありませんので、予期しない事故があるわけでございまして、その際にはやはり国が一つ責任を持ってやってもらいたい。そうでなければ、こういうふうにいたしませんと、地方庁側だけが町村に対しまして責任を持つという形にされましては、やはり危なくて、今後厚生省から頼まれても一切お断りいたしたいと思っております。  以上、私の申し上げたいことはこの辺で終る次第です。どうもありがとうございました。
  5. 小林英三

    委員長小林英三君) ありがとうございました。  次は、東京都の予防部長高橋君にお願いいたします。
  6. 高橋末雄

    参考人高橋末雄君) 私は第二と第三の、いわゆる経過並びに結果、第三の監督上とった善後措置、この二項目について申し上げたいのであります。  経過並びに結果。接種人員並びに接種時の状況、一、実施日時は五月二十四日午後一時から三時まで。実施状況申し込み人員は、砂川小学校村山小学校二つに分けますが、砂川小学校申し込み人員千二百六十五名、そのうちの八百二十三名いたしました。村山小学校は三百八十二名のうち三百六十一名、両方合せまして千六百四十七名の申し込みがありまして、千百八十四名実施いたしました。接種医者予防部から一名、立川保健所から一名、これは砂川小学校でありますが、村山小学校国立村山の病院の医者を一名お願いいたしました。  まず使用ワクチン及び接種量、これは使用ワクチン武田薬品工業株式会社光工場製造赤痢クロームワクチンでございます。接種量は、ただいま局長が申し上げましたように、〇・二CCを皮下接種いたしました。  接種時の状況、まず禁忌者の除外、これはことに有熱者、特に低学年児童に対しては検温を行いました。有熱者とか、その他心臓並びに血管系、腎臓その他内臓に異常のある者、結核、糖尿病、病後衰弱者胸腺リンパ体質の疑いある者、アレルギー性体質者等禁忌疾患ある者は除外いたしました。  第二に消毒ですが、(1)、注射部位砂川小学校はヨードチンキ、村山分校はアルコールで消毒いたしました。(2)、注射針は、一人ごとに消毒した針を取りかえ、注射器は一個使用ごとに消毒した筒と取りかえております。それから三、注射技術注射に当っては皮下にせん刺後軽く吸引を行なって、針先が血管内にせん入していないことを確認してから薬液を注入いたしました。  反応発生状況砂川小学校接種人員八百二十三名のうち反応者は二百四十二名、村山小学校接種人員三百六十一名、反応者は二百八十九名となっております。それで千百八十四名の接種者に対して、五百三十一名が異常な症状を呈しました。反応状況は、注射後早い者はおおむね七時間ないし八時間後に反応を呈したが、大半は二十四時間前後に反応を呈しております。その症状は次の通りであります。全身症状発熱頭痛食思不振倦怠感を主として、悪心、嘔吐腹痛がこれに次ぎ、下痢けいれん、うわごとを呈した者が少数例ありました。この場合約五十七、八人が三十八度以上四十度くらいあった者があります。けいれんを起した者が二、三というような状態であります。非常に頭痛を訴えたという者が非常に大きいところであります。局所症状といたしましては、発赤、硬結、疼痛、熱感を主として、腋窩リンパ腺腫脹等ありましたが、これは一過性で一日ないし数日でほとんど常態に復し、特に非常に重いいわゆる重篤症状を呈した者もないし、あるいは後遺症を残した者もありません。もとより死亡者はありません。  以上の状態でありますが、監督者としてとった善後措置といたしましては、第一に救護班の派遣、五月二十五日朝、立川保健所から、砂川小学校及び村山小学校二分校接種児童が多数欠席している旨の報告があったのでありますから、直ちに都、厚生省予研から係官が現地に急行いたしまして、家庭を訪問、調査いたしましたところ、注射反応ということがはっきりここで判明いたしました。そこで翌五月の二十六日救護班東京都において十四班を編成いたしまして、砂川小学校及び村山の第二分校に派遣し、健康診断及び治療を行なったのであります。さらに四班を砂川小学校内に駐在させまして昼夜を問わず救護に従事し、六月一日まで継続いたしました。  第二は、赤痢予防接種の中止、五月二十五日事故発生と同時に、都下各保健所に指令してありました保健所、または市町村において計画中の赤痢予防接種を中止させました。  第三、町当局に対する処置、町及び学校当局並びに町民に対しては、数次の会合を通じまして、今回の赤痢予防接種実施趣旨説明して、当局の真意を了承させるよう努めました。反応を呈した児童に対しましては、関係当局と協議して、適当な何かの慰謝的の方法を講ずるような考えを持っておる次第であります。  以上であります。
  7. 小林英三

    委員長小林英三君) ありがとうございました。  次は、東京防疫課長山下君にお願いたします。
  8. 山下章

    参考人山下章君) 私は第一番の予防接種施行前の手配につきまして申し上げます。  今回の村山砂川小学校実施いたしました赤痢予防注射施行前の手配につきましては、大体次の通りでございます。  すなわち先般、局長が申し上げましたことと重複する点も二、三ございますが、順序がございますので申し上げたいと思います。厚生省で、本年度赤痢多発地区小学校学童対象といたしまして、約三十万名に三回式皮下注射を行う計画を立て、東京都に対しましても、約五万名程度ワクチンのワクを与えられましたので、都では赤痢予防対策一環といたしまして、現在赤痢発生率の高い三多摩地区に重点を置きまして、希望者に対し実施することにしたわけでございます。  そこで三月上旬、立川保健所では十日でございましたが、例年実施しております市町村衛生主任防疫研修会の席上、赤痢予防に関連いたしまして、赤痢ワクチンにつきまして都の防疫課長でありました私が、おおむね次のような説明を行いました。赤痢はここ数年、全国では約十万名の届出と約一万名の死亡があり、東京都でも一万数千名の患者と七百名に近い死者が出ている。しかも一向に減少の傾向が見られない。しかし幸いにも、最近赤痢ワクチンの研究が進み、東京都でも昨年もお話ししたように、昭和二十七年から赤痢クロームワクチン皮内注射実施しているが、これは反応も少く免疫効果もあるので、本年も昨年同様集団発生を起しやすいような対象、すなわち集団施設、島嶼などには実施する予定であるが、市町村でも実施必要性があり、しかも希望する対象があったら、ワクチンの許す限りあっせんしたい。なお、本年は厚生省学童対象皮下三回式の注射を約三十万人分用意されているが、この皮下注射東京都では初めてであるが、昭和二十八年から他府県ですでに十数万人実施済みであり、反応もむしろ腸チフスパラチフスより少く、免疫効果もあるので、これも学童希望者に対しては、実施することをお勧めしたい。なお、希望があったら、その学校名実施学校数を取りまとめ、保健所までなるべく早く申し出られたい。ただ希望があまり多い場合は、ワクチンの量にも限りがあるのですべて御希望に沿い得るかどうかわからない。全体の希望数がまとまり次第実施できるかどうかは、保健所を通して連絡する。大体以上のような説明を行いました。  その後四月上旬までに、三多摩保健所希望が全部集まりましたが、その結果は立川保健所管内が十三校いずれも分校を含んでおります。一万九百二十三名、府中保健所管内が二十八校、二万四千八百十四名、八王子保健所管内が二校、千四十名、青梅保健所管内小学校十九校、一万四千七百二十名、中学校が六校、三千四百三十五名、五日市保健所武蔵野保健所管内希望者なし、合計いたしますと、小学校が六十二校、中学校が六校でありまして、五万四千九百三十二名でありました。そこで希望者全部に実施可能の見込みがつきましたので、四月十一日関係保健所実施可能の旨と、ワクチン交付申請をするよう電話をいたしました。四月下旬この申請もおおむねまとまりまして、いよいよ実施することになったので、さらに五月九日立川八王子保健所、五月十日府中青梅保健所でそれぞれの管内関係市町村衛生主任学校医養護訓導などの集合を求め、都から防疫課長保健所から保健所長予防課長防疫係長などが出席して実施上の打合せを行いました。その際防疫課長説明は次のようでございます。  一、今回使用する赤痢クロームワクチン安藤博士の製造されたもので、赤痢菌クロームで処理することにより吸収を緩徐にし、反応を少くしたものであること。  二、このワクチン副作用は、発熱頭痛全身倦怠嘔吐下痢腹痛などを認めることもまれにはあるが、一般には腸チフスパラチフス予防注射反応よりもむしろ少い。しかし皮内では少数の者に局所に水疱または膿疱ができるのが欠点である。  三、免疫効果については、すでに学会にも発表され確実のあるものと確信する。  四、本予防注射は法によるものではないので、必ず希望者だけに実施すること。  五、接種人員の多いところは、人手の許す限り保健所と都が応援するが、その他は校医等お願いしてやってほしい。  六、禁忌は腸、パラに準じてやってほしい。  七、被接種者が罹病した場合は、その菌型を知りたいので、被接種者氏名を明かにしておき、赤痢にかかった者はその氏名、菌型を保健所へ報告してほしい。  大体以上のようなものでありました。その後国立予防衛生研究所からワクチンが入荷し、その使用書にも、接種量は〇・四CCと書いてありますので、そのまま〇・四CC実施するつもりで、ワクチンは〇・四CCの量を各保健所に配付したのでありますが、何しろ都といたしましては皮下注射は初めてでありますので、念のために、身近なものなど三十数名に実施してみましたところ、一過性ではありますが、三十八度以上の発熱者が七名もありましたので、この由を厚生省予研等に報告いたしまして、予防接種を将来発展させるためには、最初予防接種は何よりも反応が少いことを念願いたしましたので、今回はその量を半減することの許可を得ました。さらに〇・二CCを二十名ばかりに実施したところ、翌日の検診の結果、一名の発熱者もなかったので、〇・二CC実施に決定いたしまして、緊急に各保健所へ〇・二CCにするよう連絡いたしました。  接種日につきましては市町村並びに学校に一任いたしましたところ、最初の日すなわち五月二十四日に砂川村山小学校が当ったわけであります。このうち砂川小学校対象が多かったので、都並びに保健所から一班ずつの応援を出しましたが、村山小学校対象が少かったので、村で医師に依頼いたしまして実施したわけであります。  予防接種施行前の手配につきましては以上の通りでございます。
  9. 小林英三

    委員長小林英三君) ありがとうございました。  次は、前立川保健所長井之川君にお願いをいたします。
  10. 井之川孝雄

    参考人井之川孝雄君) 今回の予防接種の件に関しまして、現地におります者として一番困りました点は、こういうふうなことが起ろうとはゆめにも思っておりませんでしたので、また私も医者であります関係上、十分そういうふうな文献その他は読んでおりますし、また今度のワクチンの〇・二につきましても、自分子供が長男が中学一年、二男が小学校の一年でございますが、いずれも〇・二皮下接種をまずやってみました。自分でも二十七年から実際実施をしております。ところが子供二人ともが何ともなかったものですから、〇・二という指示をいただきまして、まあ大丈夫だろうということで注射をしようということになったわけでございます。  そこで、先ほど防疫課長からお話しがありましたように、まず市町村都合を聞こうということでございまして、先方からの申し入れの希望をとりましたところが、ちょうどこの二十四日が砂川村山最初にやってほしいということで、日が当ったわけでございます。従って現地では初めこの実験接種をやったんだろう、三多摩はそういうことを言わないからやったんだろうというふうなことで、ずいぶん責められましたけれども市町村の申し入れに対しまして、最初にやったことでありまして、そういう意味一つもございません。またそういう気持もございません。  そこで二十四日の当日行ってみましたところが、実施上のことにつきましては、予防部長お話し申し上げましたように、全然手落ちというものは考えられません。二十五日の朝になりまして現地にまず九時に行ってみましたところが、もうどうにも収拾がつかないような状態になっておりますので、そこで本庁の方に連絡をいたしまして午後から検診班が来ていただきますと同時に、私の方も医者が三人おりますので、全部を出しまして救護に当ったわけでございます。ところが副作用の、副反応と申しますか、この点につきまして計算をしてみますと、砂川では申込者が千二百六十五名、そこで接種が八百二十三名でございますが、これは先ほど予防部長が申し上げましたように、七度以上の熱がありますとか、その他医学的に見ましてこれはいけないというふうなものは全部除きまして、従って八百二十三名になったわけであります。また、村山に関しましても、三百八十二名の申込者に対しまして三百六十一名、この反応でございますが、それは先ほど予防部長お話しした通りでございますが、大体砂川が二九%前後の反応が出ております。また村山に関しましては八〇%という高い副反応が出ておりますが、これは校長が当日四、五人高熱者がありましたので、これではいかぬということで、学校を全部休ませまして帰したわけであります。従って異常のなかった者も含まれております関係でこういうふうに高くなったわけでございます。  なお、現地ではいろいろなことがございましたけれども、全部了承をしていただきまして、相当なまあ悪感情というふうなものはなくなったのでございますが、村山のPTAから四項目にわたりますことを要求されておったわけであります。それは今度のワクチンはどの程度にどういうふうに研究されておったかということ、二番目が今度の副反応の原因がどこにあったか、第三番目が今後の予防接種法による予防接種をした場合に、反応が起きた場合にどういう補償をしてくれるか、それから最後が今度の予防接種に対しての補償を何とかしてくれと、こういう四項目でございます。われわれとしては、現地としては上に指示を仰ぐ以外に方法がございませんので、まず現地の一応副反応がありますいろんなものを、回復して一日も早く学校へ出れるというふうなことを考えまして、そこに全力を注いでやったわけであります。  まあ幸いに、非常な不幸も見るということがなかった点は、非常にありがたいことだと思いますし、ほんとうに不幸中の幸いだとは思いますが、現地といたしましては、今後なおよく予防接種の意義といったようなものから、さらに厳重な検定をしていただくということ、安心してやれること、それからまた予防接種法に載せられるものならば載せる、そういうふうなことでやっていただきたい。また、くれぐれもこれは申し上げますけれども最初にやったために、実験だということを非常に一部から非難を受けましたけれども、これは最初申し込みがちょうど村山砂川に当ったためにこういうことになったわけでございますので、この点は御了承願いたいと思います。  以上でございます。
  11. 小林英三

    委員長小林英三君) ありがとうございました。  次に、赤痢ワクチンの製造に関する工程の実情につきまして、厚生省予防衛生研究所の細菌部長であります福見厚生技官から説明を聴取いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 小林英三

    委員長小林英三君) 異議ないものと認めます。それでは福見技官。
  13. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) 今回予防接種ワクチンは、先ほどちょっと東京都の高橋部長からお話がありましたが、武田薬品工業株式会社の製品ではないのでありまして、これは予防衛生研究所の試験製造品であります。予防衛生研究所の試験製造のことに当っておりますのは私でありまして、今からその製造の過程につきまして御説明申し上げますと、このワクチン赤痢クロームワクチンという名前がついております通りに、赤痢菌を、簡単に申し上げますと、クロームで処理して作ったものでありますが、まず赤痢菌を適当の培養基にふやしまして、これを遠心沈澱してよく洗って、かき集めまして、それを一%のホルマリンで殺してから、それに〇・〇五%になるように、クローム明礬を加えて、いわば細菌をクロームで固めてしまう、そういう工合にして作ったのであります。そういたしましてから、それを五日間二十二度の孵卵器に置きまして、毎日適当の間隔でよく浸透いたしまして、クロームと菌とがよくくっつくようにいたしております。その過程で菌の濃度を測定したり、菌液のPHを測定したり、あるいはマウスに対する毒性を測定したり、そういうようなチェックをしながら製品を完了して、これを最後に望む稀釈、つまりわれわれの試験基準では窒素量が四・〇ミリグラム・パー・デシリットルというところになるように、そういう工合に調節してあります。製造いたしましてからあとで、これをもう一度さらに無菌試験、それから安全試験、これはモルモットの腹腔内試験によりましてモルモットが死亡するかどうかという反応でありますが、それからモルモットの体重が減少することはないか、そういう試験でありますが、そういうことをやりまして、それからマウスの体重減少試験、そういうものをやりまして、そのワクチンが従来の製品からいきまして安全であるかどうか、そういうことを検査いたします。それからさらにこのワクチンを適当にうすめまして、これをマウスに注射いたしまして、マウスにあとから赤痢菌を感染させる、この感染を防御するかどうかということを試験しまして、確かにわれわれが従来経験しておりますように、マウスの防御試験があれば、人間に対して効果があるだろうというような基準にまで行っておるということを確かめております。そういう工合にして製造し、そして検査をしたあとで、これを五〇ccのびんに無菌的に詰めて、そしてこれを予防衛生研究所の試験製造品として各所に配っておるわけで、くれぐれも申し上げますが、ただいまの用いましたワクチンは、予防衛生研究所の試験製造品でありまして、武田の製造品でないのであります。この点御了承願います。  大体の製造過程はそういうことであります。
  14. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは、ただいままでに参考人並びに福見説明員の述べられましたこと及びこれに関連いたしまして、厚生省当局に対する質問をいたしたいと思います。
  15. 高野一夫

    ○高野一夫君 ちょっと簡単に高橋さんにお伺いしたいですが五万人の学童にこれだけの注射をするのに何名の医者が動員されたか。そして五万人に医者がそれぞれ何カ所かに分れて注射されたわけでしょうが、そういう場合の注射器の消毒なんというものは、どういうような措置であったか。
  16. 高橋末雄

    参考人高橋末雄君) これは非常に終戦後は、進駐軍が参りましてからうるさくなりまして、たとえば千人の予防接種をするということになれば、二百から三百本ぐらいの注射器を用意するのである。針は千本から、千二、三百本用意いたしまして、一人やるごとに針をかえていく、液が二CCなら二CC入りますれば、それが終りますれば、次の注射器を使って、また次のそれを消毒をするというようなことで、針だけは一人々々にやるということが立前になっておるわけであります。
  17. 高野一夫

    ○高野一夫君 この注射の場合に、よく看護婦なんかに代行させる場合がしばしば起るわけでありますが、この場合はどうであったのですか。
  18. 高橋末雄

    参考人高橋末雄君) 医者関係でありますが、東京都の場合におきましては、看護婦が注射針あるいは注射器を消毒し、液を入れるまでが保健婦並びに看護婦の仕事でありまして、それから注射針を体に入れるということは、絶対医師の免許がなければできないという方針をとっており、またその通りやっておるわけであります。
  19. 高野一夫

    ○高野一夫君 もう一つ高橋さんに伺いたいのですが、ただいま厚生省予防課長ですか、御説明によると、製品は予研の製品であったということであるし、先ほどあなたが、武田の光工場の製品であるというようなお話であり、さらにまた、こにおいでの榊原委員も午前中の本会議における質問において、武田の光工場の製品である、こういうことを断定されて質問があった。またあなたもそういうお話であった。そこでこれは武田であろうと、どこにかかわらず、こういうような場合に、出所というものはよほど確かめないというと、そして予研の製品であるか、業者の製品であるかという場合には、万一業者の製品であるものならば、どしどし処罰すべきものはその法規に従って処罰する。もしそうでなかった場合には、これは業者に対する不当なる圧迫を感じさせることになる。この点は何か、武田の製品であるということを言明なさるについては、どういう根拠があって、そういう先ほどの御説明になったわけですか。何か根拠がおありになったと思いますが。
  20. 高橋末雄

    参考人高橋末雄君) これは、私もただいま福見部長が異様な発言をされたような気がしたのでありますが、大体この製品は、話によりますると、兵庫県の衛生試験所と、それから武田の製薬会社と、それともう一カ所は予研ですか、この三カ所で作っておるということを私は聞いておりますが、その五万人分ですか、とにかくトラックの小さいやつに一台積んで来たのは、この武田の薬品の会社から積んで来たのでありまして、われわれは常識として、そのものじゃないかということを大体考えておるのですが、それを武田を通じて予研がそのトラックを借りてやられたのなら私はわかりませんがその点は常識として判断していいじゃないかと思っております。
  21. 高野一夫

    ○高野一夫君 今の問題について、あなたは予研の製品だとおっしゃる。そうするとこの責任厚生省が負わなければならぬ。そして武田の製品というならば、何か取締法があるならばこれはおっしゃる通りに、また武田の方を調べなければならぬ。この点ははっきりさすべきだと思いますので、はっきりしたところを一つ……。
  22. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) このワクチンは、予防衛生研究所の試験製造品というレッテルがはってあります。その過程は、予防衛生研究所の——少し前から申しますというと、厚生省の科学研究補助金で赤痢ワクチンの研究委員会というものがありまして、その方でクロームワクチンとそれからホルマリン・ワクチンとそれからアルコール感作ワクチンと、そういうものを何とか実用の域に達するまで研究してみたいというようないきさつがありまして、私が委員長になりまして、過去三年間研究を続けて参ったのでありますが、そういう場合に、実際問題としましては、製品はこれはわれわれが責任を持ってやるわけでありますから、一メーカーの製品であるというのではなくて、予防衛生研究所の試験製造品として、予防衛生研究所で責任を持った上に作るべきであると、こういう私、委員長としての考えから、一応予防衛生研究所の製品として取り扱おうということでありまして、私は委員長であると同時に、予防衛生研究所の細菌部長でありますから、今度は細菌部長として製造に当ったわけでありますが、実際を申しますと、予防衛生研究所は規模が大きくございませんので、試験衛生工場というものはないわけであります。それで技術その他のものは私が全部やりまして、試験製造工場として武田の工場を一部借りて、私が監督をして作らせたということになっております。
  23. 高野一夫

    ○高野一夫君 この問題は私は軽々に看過することができない問題だと思う。そしていかなるところに欠陥があったかわかりませんが、医学上、薬学上調べてみなければなりまませんが、もしも製品そのものに欠陥があったとするならば、これを製造した者、あるいは試験監査の証明を与えた者、それがどういう処罰の対象に値するかどうか、そうするとこの責任厚生省の予防衛生研究所の責任においてなされたものであるか、あるいは午前中本会議で榊原委員がおっしゃった通り、あるいは高橋参考人がこの席であっしゃった通り、一業者の製品であるということならば、業者を処罰しなければならぬ。ただ軽々にどうだったからこうだ、ああだったからああだ、トラックがどうであったからこうであったということをここで証言するということになれば、これはゆゆしい問題になる、場合によってはこれは刑事問題になるかもしらん。だからこれは厚生省においても、大臣がおいでになるからまたあとで大臣にお願いしなければならぬが、この処置並びに責任のあり場所、それから製品のあり所、これについては十分徹底的に厚生省で御吟味おきを願いたい。それで一応大臣なり政府委員から、責任ある答弁を聞いてから私はあらためて問題にしたい。
  24. 榊原亨

    ○榊原亨君 ただいまの問題につきましては、あらかじめ予防研究所において、実際このワクチンをお作りになっておるかどうか、場所を見せていただくために、私は厚生省の人の案内を受けて予防衛生研究所に参ったわけであります。ところが、その案内される厚生省のお方は、クロームワクチンは日本におきましては武田の光工場でなければ作っておりません、従って今日先生が予研にいらっしゃいましても、その工場を見るわけにはいかぬと、こういうお話でございました。またそれは、その場所においでになった方々もそれを確認しております。従いまして、これはもちろんこういうものをやるのはその予防衛生研究所の御責任ではございましょうが、現実において操作をされて製造されておるのは、何と申しましても武田製薬の光工場であるということは、私は疑うことができぬと思うのでありますが、ただいま福見先生のお話によりますと、何か予研で作っていらっしゃるのですか。それでは先日私が参りましたときに、私はだまされたわけなんでありますが、この点は非常に重大でありますから、福見先生のはっきりした御答弁をお願いいたします。
  25. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) 先ほど申しましたように、予防衛生研究所では試験工場がありませんから、一時武田の工場と設備を借りて作りましたけれども、その最後の仕上げは、ちゃんと予研で安全試験、無菌試験、それから力価試験を全部やっておりますから、その点で予防衛生研究所は責任を負うというだけで、予防衛生研究所に所属しております。
  26. 高野一夫

    ○高野一夫君 一つの研究所なら一つの研究所に、実験あるいは試験、そのほか製造の設備がない場合に、民間の設備を借りるということはあり得ることであります。実際製造の過程並びに結果において何人が責任を負うかということによってきまるわけです。そこで業者の責任であるならば、業者が製造の許可を受けて、その業者の責任において市場に出ているはずです。今のお話によれば、施設を借りたのであって、その製造並びに監査については、厚生省予研責任を持って当っておられる。しかも業者においては何ら許可も受けておらない、タッチしておらない、こういうことでありますから、これは榊原さんやら高橋さんたちのお考えであり、またおっしゃっておることと完全に違うと思う。この事態は、ただ私が申し上げるだけでなく、もっと責任の所在、責任のあり方については、十分私は厚生省として御吟味を願いたい。ただ私の見解は、何人が責任を持って何人がその衝に当ったかと、こういうことでありまして、そして許可を業者が受けておるかいないかと、こういうことであります。これはゆゆしい——非常に今日の発言というものは重大な発言だと思っておりますので、その点十分一つ徹底的に御吟味を願いたい。
  27. 山下義信

    山下義信君 関連してお尋ねしたい。今論争されたメーカーのこの製品についての政府の責任の問題は、福見細菌部長が、政府が作ったのだ、責任は政府にあるのだと、そして工場は結局借りてやっておるのだと、こういうことで、しろうとでよくわかりませんが、結局これは予研の方でできた製品の、いろいろな各種の検査をするということで責任を負うのですね。
  28. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) そうでございます。
  29. 山下義信

    山下義信君 ちょっと待って……、そこで工場を借りたと、こう言うけれども、何も政府がいろいろな借り入れの契約というか、借りたというあり方というものはどういうことになっておるのか。あなたの方から係官が行ってその監督のもとに借りた、工場で製造過程の監督をしておるのか。そうではなくて、一定の基準で製造を命じて、できたものを納めさせて、それで検査をやっておるのを工場を借りた借りたと言うのか。その工場を借りたということは、政府との関係はどういう形になっておるのですか。その点を明確にしておいていただきたいと思う。
  30. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) 工場の話は私よくわかりませんが、実際上の問題は、一応予研の方で、こういうような処方でこういうような作り方で作ってくれということで、その工場の人と場所に頼んでそれを作っていただいたのを、適宜いろいろと相談に乗って、しかもときどきその中間製品を予研の方で吟味しながら、最後に予研の方に納めさせて、細部の検査をしておるということであります。
  31. 山下義信

    山下義信君 ですから、製品を納めさせているというだけで、その工場の製造過程には何もタッチしていないのでしょう。監督もしていないのでしょう。係官も行っていないのでしょう。
  32. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) 係官は行っていません。
  33. 山下義信

    山下義信君 よくわかりました。
  34. 榊原亨

    ○榊原亨君 ちょっと、私どなたでもけっこうなんでありますが、先ほど試験実験とを区別されまして、実験は終っておるのだけれども試験はまだだというお話でありますが、それはよくわかるのでありますが、この試験をするのだということを、全然学校当局は一言も聞いておりません。今度のワクチン試験のためにやるのだということを、一向学校当局は聞いておらないのでありますが、その点はどなたか学校当局にお電話ででもいいのですが、これは試験をやるのだぞということを、何かお話しになった方がいらっしゃいましたでしょうか。
  35. 山下章

    参考人山下章君) 私は先ほど申し上げましたように、試験という言葉は一言も使っておりません。私自身が試験あるいは実験、研究というようなことは毛頭思っておりません。行政的に使って一向差しつかえないワクチンであると信じてやったのであります。
  36. 榊原亨

    ○榊原亨君 そうしますと、もう試験をしなくてもよいものを、なぜ法定の予防注射薬としないでやっていらっしゃるのでしょうか。これはおそらく私は、免疫はからだに得ておりますけれども、実際感染というものについては、どれくらいのパーセント感染するのかということを試験しておられるのじゃないかと思うのでありますが、そういうことを試験する必要は何もないと、ただ子供の予防のためにやったと、こういう御見解でありますか。
  37. 山下章

    参考人山下章君) 研究と申しますか、試験と申しますか、各個人にやりまして、この者にこの注射をして危険であるかどうかという段階はもうとうに過ぎておると思います。ただ、それを厚生省当局は集めて何かの参考にされるかもしれませんが、各個人にする試験という段階は過ぎておると私は思います。
  38. 榊原亨

    ○榊原亨君 また、くどいようでございますが、先生ももうよく御存じだと思うのでありますが、こういうワクチン効果を決定いたしますには、免疫体がからだの中にできるかどうかという実験をやらなければなりませんし、副作用があるかどうかという実験もしなければなりません。それが大丈夫だという段階を経ましても、これが果してどういうパーセントで感染するか、予防することができるかということはやはり試験をしてみなければわからぬわけでございまして、そういう試験を今度されたのではないのでございますか。
  39. 山下章

    参考人山下章君) 私自身は、そのあとどうなるということは全然関係しておりませんので、国があとで資料を集めまして、また先ほど申し上げましたような研究を書き、だれが発病したかということを書いて国に報告することになっておりますから、それを集めて何かの資料にするかもしれませんが、免疫効果が、個人の抗体も上昇しておると聞いておりますし、発病防御もありますが、ただその程度は統計学的にはっきり出ていないようでありますが、あるということは確信しております。
  40. 榊原亨

    ○榊原亨君 もう一つお尋ねいたしますが、どなたでもけっこうでありますが、現に村山小学校におきましては、そのワクチンをやる、予防接種をするという会議にも列席さしてもらわないで、ただ電話でこういうことがきまったから予防接種をするようにというようなことでありまして、学校の先生はそれでも、これはまだ伝染病の予防接種法にない薬だから、一応家庭の方に聞いてみなければいかぬ、家庭の承諾を得なければいかぬだろうと、こういうことを言いましたところが、いや、そういうことをするというと予防注射をする人が少くなるから、従ってデータを集める上においても非常に不便だから、一つそういうことはせずに、副作用も何もない薬だからやってくれということを現に言われた方があるのでありますが、そういたしますると、この問題は非常に問題だと思うのでありますが、何かそういうことに対してお感じか、あるいはお聞きになったことはありませんでしょうか。
  41. 井之川孝雄

    参考人井之川孝雄君) その面に関しましては、現地でございますが、五月の九日に予防接種の打合会を開きました。そのときに、村山から来ましたのは、諸井という町役場の衛生主任、それから学校医の藤野先生、それからいま一名の山崎先生、三人お出になっております。そうして学校の方からも金野さんという学校の担任の先生が来ていらっしゃいまして、そうして山下課長のお話を聞いたわけでございます。そこで学校と打合せしたものと思いますが、私の方には、とにかくこれだけやりたいということでございまして、決してそういうふうな、今榊原先生のおっしゃるようなことは全然聞いておりません。従って何らかの意味があるのかわかりませんが、現地の私たちとしては、そういう言葉は全然聞いておりません。
  42. 山下義信

    山下義信君 参考人の御陳述になりましたことで、関連して、ちょうどこの席でいいのじゃないかと思いますから、私は厚生大臣も忙しいのだろうと思うから、一つだけ聞いておきたい。もし本会議で御答弁になっておりましたなら、おっしゃっていただきたいと思うのですが、この原因の究明ですね、研究の結果はいつごろに厚生省ではおわかりになるのでしょうか。そうして今與謝野局長が、実はこのたびの副作用の起きた関係者から見舞金やらいろいろなことを要求されておる、百二十万円ほど要求されている、できれば国で一つあとを見てもらいたい、都ではそれをすぐ出すということはむずかしいのだ、国でやってもらいたいのだ、こういう意見が出たのでありますが、この点は厚生大臣はどう御処理なさるという御方針でありましょうか、この機会に承わりたいと思います。  なお関連して、将来予防接種のこの種のことに対する何か国の責任でも法律などで明確にされようというようなお考えはありませんか。それはまた別途の問題ですか。そういう点について御意見をこの席で承わっておきたいと思います。
  43. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 先ほどから非常に関心深く参考人お話ども聞いておったのであります。この際感想なども述べたいとは思いまするが、せっかく御質問がありましたので、御質問の点だけにお答えを申し上げておきます。この点につきましては、私自身、非常に公衆衛生局長に対し、その後の経過はどうであるかということをしばしば聞いておりますが、今日までの研究では、従来他県において使用しておったところのワクチン、つまり昭和二十七、二十八、二十九と三年間でありますか、行いました他県において使用したもののワクチンとの間に差のない結果を示しておるので、なお違いがあったからこういう結果を生んだのではないかと思って、さらに研究を進めておるわけであるという、そういう報告を接受いたしております。なお、これに対して衛生局長より補足いたすことがありますればいたしてもらいたいと思っております。こういう次第であります。  ただいまの見舞金の問題につきましては、御承知のごとく私は先般、これが人命に関するというような重大な事態に立ち至りますれば、国家としてはこれを見のがしておくわけにいかず、地方公共団体とも話し合いをした結果、また財政当局とも話し合いをして、適当なる措置をいたすことをはっきり言明をいたしておりまするが、幸いに——まあ不幸中の幸いでありまするか、その事態には立ち至らなかったのでありまして、今日のところ、だれにどういう損害を与えたかということについては、明確なる結果というものが出ておらないと感ずるのであります。従って、まことに申しわけない次第ではありまするが、今日、国家としてこれらに対して見舞金を出すという段階にはないと考えておるのであります。  なお医療費の問題につきましては、東京都とともに相談をいたしまして、十分な措置を講じたい、かように存じております。
  44. 山下義信

    山下義信君 将来予防接種法の施行の上で、何か損害を被接種者に与えたような場合に対する国の責任を法律の中に明確になされようというお考えはございませんか。この点を先ほどお尋ねしたのでありますが、重ねてお答えを願いたい。  なお関連して、私はこの事件がどういうことか、学者でないから、専門家でないからわかりませんが、赤痢の予防薬としての非常に信用を失墜して、それがひいては赤痢予防対策上に非常に不利益になるという事態に相なってはならぬのでありまして、この事件がかえって将来の予防対策上の非常に有益な教訓になって、さらに積極的に、各委員から御意見のありましたような諸点にかんがみられて、政府は勇を鼓して積極的に赤痢対策をお立てにならなければならぬと私は思う。すでに時期も、われわれがしろうとでよくわからぬが、赤痢のしょうけつ期といいますか、そういう時期を目前に控えておるのであって、政府が赤痢予防対策に後退をし、しり込みをし、ちゅうちょするようなことがあってはならぬし、また協力すべき国民が非常に不信と危惧の念を持ってはならぬと思うのでありまして、この際、この赤痢の予防ワクチンというものは、もうこの検討が済むまでは手控えるということは、全体の赤痢予防対策が消極化するのか、政府は将来赤痢予防対策としてはどうする考えであるかということを、この委員会を通じて、本日の機会を通じて、私ははっきりと表明をされる必要があるのではないかと思いますから、当局の御方針をあわせて承わっておきたいと思うのです。
  45. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 山下議員お尋ねの前段の、予防接種法の中に、予防接種において損害を与えたる者に対しては、これに対し補償の道を講ぜよ、法的措置をとれというお話でございましたが、この点につきましては、過般来いろいろな事故もありまするし、政府としても十分に考慮をいたさなければならぬ点もありますので、御指摘の通り、十分に研究をいたし、善処してみたいと思っております。  それから第二の問題は、これは衆議院におきましても、山下議員の御指摘のようなことがしばしばなされておりまして、本日は特に明快なる示唆も山下議員からあったのでありまして、これは全く私といたしましては同感であります。すなわち、先ごろアメリカにおいては、あのような小児麻痺に対するところのワクチンの問題が発生をいたし、アメリカ全土にわたりまして、死者は少数ではありましたが、大規模なる犠牲者を出しまして、そのために国会を初め各方面の問題になり、大統領等もこれらの問題の解決のために奔走し、一時接種を中止するというような事態が突発をして、アメリカにおける国内最大の問題になったとさえ伝えられておりますが、その際においても、やはり先進国は、これらの問題について意気がくじけることなく、全米から将来小児麻痺を駆逐するために、積極的な施策を講じたいということを言っており、最近においては再びこれが中止を解除したような状態をも聞き及んでおりますので、決してアメリカのまねをするわけではございませんが、日本のような、非常にこれらの問題について、ともすれば消極的な雰囲気に巻き込まれがちな状況にありますことは、はなはだ遺憾でありまして、今度の赤痢ワクチンの問題につきましても、過去一、二年はほとんどこれらの接種によって事故が起ったためしはない。たまたま東京都の一地域におきまして起ったことでありまするが、いろいろ今日反省すべき点はありまするけれども、これらの予防が徹底をいたしますれば、それによって得るところのものは、予防接種をしなかったよりもはるかに大きな好影響を受けることは確かなのでありまするから、こういうことにめげずに、積極的な施策を前進をしたいと思います。ただその際において人命に影響のあるようなことになりますれば、これはまた一そう重大な結果を引き起しますので、多少の副作用程度は別にいたしまして、非常に重大なる人命に影響を及ぼすようなことがあっては大へんでありまするから、これに慎重な顧慮を払いつつ、積極的に前進をいたしたい、かように存じておる次第でありまして、政府の所信を明らかにいたしておきます。
  46. 山下義信

    山下義信君 先ほどお尋ねしましたあの第一の点に対する大臣の御答弁で、ちょっと不明確な点があります。で、この問題の、政府における検討はいつごろ結論が出るのかということをお尋ねしたいのですが、もし今日までの研究の結果があれば、経過報告でもしていただきたい。いつごろその研究の結果がわかるのかということですね。今どこまで研究してみて、諸原因についてどの程度までわかっておるのかということです。
  47. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 細部にわたりますので、公衆衛生局長より答弁いたさせます。
  48. 山口正義

    政府委員(山口正義君) ただいま山下先生のお尋ねの点である、原因と思われるワクチンにつきましてのその後の検討の経過でございますが、これは非常に問題が重要でございますので、さっそく関係者が予防衛生研究所に集まりまして、予防衛生研究所の所員、ここにおられる福見所員はもとよりのこと、赤痢のそれぞれの権威者が、予研、伝研、国研あるいは地方の衛生研究所の方が集まられて、これの検討を早急にやらなければならぬということになったわけでございます。で、その際に今回発熱の非常に多かった——そういう結果を来たしましたワクチン二種類、それからそのほかの先ほど大臣が申し上げました、今までやって何も反応のそう強くなかったワクチンとを比較検討して、いろいろな検査方法を実施してもらっているわけでございます。現在までのところ、実施試験の種類は、私ども手元にいただいておりますその協議会できまりました種類でも十三種類あるのでございますが、現在まで数種類実施されまして、その結果では、先ほど大臣から申し上げました——特にいわゆる対象考えましたワクチンと差を見出し得ないというような状況でございます。ただこまかく申し上げますと、その許容限度の幅の上下、これがかなり上の方にある、あるいはその方が下の方にあるというような程度は出ておるのでございますけれども、まだはっきりした結論を得るところまではなっていないのでございまして、私どもといたしましては、先ほど山下先生から御注意がございましたように、現在一時赤痢予防接種を中止いたしているわけでございますが、これをさらに積極的に予防対策として取り上げていくというような方向に進みますためにも、できるだけ早急にその結果を出してもらわなければならないというふうに考えておりますので、その衝に当っておられる専門家の方々に急いでもらっているわけでございますが、すでに事件が、個々の検討に着手されましてから二週間もたっております。少くともあと一週間ないし二週間の間には、はっきりと成績を出していただきたいと、そういうふうに考えているわけでございます。
  49. 榊原亨

    ○榊原亨君 ちょっとただいまの厚生大臣の御発言に対しまして、私からお尋ねいたしたいのでありますが、先ほど小学校児童のいろいろ副作用を起したものについては、国家は補償する必要はない、死亡すれば別だが、というようなお話があるのでありますが、私どもがやかましく申しておりますのは、こういうものを注射いたしますときには、たまには副作用があるということは当然だと思うのでありますが、その注射をいたしますときに、家族の承諾をとっておらないのであります。家族の承諾をとっておりまして、副作用が少々起って人命に関係しなければ、それは当然でありますが、現実面において、家族の承諾をとらないで、予防注射が行われているということになりますというと、しかもこれがまだ試験の域を脱しておらない、実験という意味ではございませんが、一応先ほど私がお聞きいたしましたように、試験の域を脱しておらないで児童にやるのでありますから、当然これは家族の人の十分なる理解を経てからやるべきものであると私は思います。ところがそういう理解を経てなしにやっておるのでありますから、たとえそれが生命に危険がなくても、それは当然国がその点については責任をとらなければならぬと思うのでありますが、それが厚生大臣のお考えとは少し何か行き違いがあるように考えますが、その点が一点。  もう一つは、先ほど、私は本会議で申し上げましたが、かような試験の品物は、直接国が管理をいたします工場で作っていただかなければいかぬ、こういうことを私は申し上げたのでありますが、ああいう所でありますので、厚生大臣のお感じが違いまして、これはまだ一般に作らせるのは早いのだというような、結局私どもと同じような考えを御答弁になったようでありますが、こういう試験のものは、先ほど光工場のいろいろ話がありまして、問い詰めていきますと、やっぱり光工場が作っていらっしゃるらしい。そういうことでなしに、当然これは予研なり伝研なりの監督のもとに、国家の機関において作られる。そうしてこれが一般化された場合には、それらの業者にまかすべきものだと思いますが、これが午前中の答弁と少し違っておりますので、この二点についてあらためてお尋ねいたします。
  50. 川崎秀二

    ○国務大臣(川崎秀二君) 第一の問題は、学校行政の問題にもかかってくると思いますので、文部省と十分打ち合せして検討してみなければなりませんけれども、確かに今度のあれは、村山小学校でありますか、それから砂川小学校でありますか、二つのうち一つは、ほとんど家族の承認を経ずして行なったというような、はなはだ遺憾なことが出ていることは事実であります。その場合において、確かに国は、ことに義務教育の学校でありますから、従ってこの手段方法について間違いが起り、その結果、重大な事態か招来したというようなことなら、国家の補償を十分しなければならぬと考えておるのであります。私が原則的に申し上げたことと、その場合々々におきます措置は、これは別に考慮いたさなければならぬと思っております。  なおこういう薬品の製造については、特殊な一業者にまかすべきでなく、できるだけ広範囲にやれと、しかしながら武田光工場以外に、それならば、今日ワクチンに対しては十分に権威を持ち、また製造の能力を持つものがあるかというと、ただいま御指摘のようなこともありますので、その間において国が予防衛生研究所等において十分なる設備をいたしますれば、これはその過渡期においては、御指摘のような設備によって行うことが適当だろうと思います。しかしこれには本年の予算措置というものは伴っておりませんので、従ってこれらにつきましては、今後十分に検討をいたしてみたいと思っております。  なお、薬事法の改正といいますか、薬事法に製造基準を設けて、将来これを一般の業者にも適用するというような措置は、先ほど本会議場において御答弁を申し上げた通りであります。
  51. 高橋末雄

    参考人高橋末雄君) これは参考人として言うべき言葉であるかないか、ちょっとよくわかりませんが、ただいま大臣がこの予防接種に対して、いろいろなお話がありましたが、私も大体同感であります。熱が出たといって一一賠償したら大へんじゃないかということは、これは常識でありますが、この際は、ただよけいに出たというだけで、それで一つ見舞金、そういうことは言っているわけなんでありますが、しかしいろいろ考えまして、向うの言い分におきましては、これが予防接種法に載っている品物であったらば、われわれは何もあんたたちに言うなにはないんだ、たとえ相当反応があっても、それは一応見のがさにゃいかんじゃないか、ただ予防接種にないものでやって、こういう結果を生じたということに対して、われわれは大いに不満を持っているんだということで、私らはこの村山あるいは砂川の町会からも非常にもう数回つるし上げを食っている。最初行ったときには、私を暴力で一つやろうというような立ち上ったような状態もあったのでありますが、まあその点はいろいろ弁解いたしまして、事なく済んだのでございますが、今回も十八日にイエスかノーかというような返事をやれということで、局長も行かれるようでありますが、私も実際この点について困っているのであります。そういう点で、それといって東京都でやったのだから東京都の責任だ、あくまで実施したところの責任はあるのでありますが、そういう点で私らも東京都の当局に対しまして、ああじゃないこうじゃないと言っていろいろ弁解もしているのですが、この点非常にどうも実際は窮地に陥っているわけなんでありますが、何か見舞金はどうとかこうとかということはないのですが、何か医者にかかった費用とか、あるいは氷袋を買ったというようなことが相当にあるようでありますから、この点何かお認めになっていただかなければ、ここで言う話か何かわかりませんが、一つ参考のためにぜひ御考慮願いたい、かように考えております。
  52. 横山フク

    ○横山フク君 私は、申しわけありませんが、席を少しはずしていましたので、その間にあったかわかりませんが、厚生省の方から〇・四CC、それをしかし都の方では三十何人かに試験をして、そうしてその結果反応が多かった。ことに前立川保健所長は、お子さん二人にして、その結果を見たということでありますが、予研方々においては、先ほどモルモットのテスト、マウスのテストはしたけれども、そのほか人体等についても将来そのくらいの、実際に当る東京都の人もそこまで気を配っておられるので、〇・四CC、ことに初めての薬でございますので、そういう点にもっと最大の関心を持たれることが必要であった、この点私は非常に遺憾であったように思うのでございます。
  53. 福見秀雄

    説明員(福見秀雄君) ちょっとお答え申し上げますが、この仕事は、過去、もうすでに昭和二十八年と二十九年に二年間やっておりまして、今年が三年目であるのであります。それで今おっしゃられましたようなことは、すでに昭和二十八年度にやっておりまして、それで一応こういうような製法でやれば安全なものであるというようなことを人体でやって、それを今実際上の方へ移そうとしているわけでございまして、製法はことしも去年もおととしも同じことをやっておりますから、一応そういうことは学問的常識からいって許されることじゃないかということで、ことしは特に人体実験はしなかったということになっております。
  54. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日の本件に関しまする質疑はこの程度にいたしたいと思います。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 小林英三

    委員長小林英三君) 御異議ないと認めます。  なお参考人方々におかれましては、長い間ありがとうございました。   —————————————
  56. 小林英三

    委員長小林英三君) 次に、昭和三十年度厚生省関係予算及び厚生行政方針に関する質疑は、時間の関係上、次の機会に譲りたいと思います。
  57. 高野一夫

    ○高野一夫君 その前に、資料のことで確かめておきたい。それじゃ、私はきょう厚生大臣に数点お尋ねしたいことがあるのですが、次回に譲ることにいたしますが、その前に、厚生省政府委員にお確かめしておきたいのは、私は資料を要求しておるのでありますが、それは先般も申し上げておいたのでありますが、医療費が年々非常なる——四百ないし五百億増額する、何ゆえに増額するのか、その内容を分析して、これは非常に国民経済上重大問題だから、詳細に分析された資料がほしいと、こういうことを申し上げておる。これがいつでき上りますか。私はこれをもとにして質問しなければならぬことがございますので、速急にお願いしたい。ついては、前回つき添い婦の参考人を招致して意見を聴取した当時、また厚生省にも質問を申し上げたわけでありますが、つき添い婦の組合が不当不正なる水増し請求をやって、その多額の金を組合の金庫内に保管しておったというような事実が相当至る所にあった、こういうわけでございますが、これについて、今日まで厚生省で、あるいは会計検査院でお調べになった実態について、その内容をやはりこれにつけ加えて、やはり一連の医療費の問題でありますから、つけ加えて資料として出していただきたい。これがいつ出るかを一つ今日伺いたい。  もう一つは、これは前回の国会のときに、社会保険小委員会においてわれわれがきめている線に沿うた資料でございます。保険医に対する監査、取締りの実情、そのほか監査した結果はどうなっておるかというようなこと、これのいろいろな取締り、監督の法的の根拠、こういうものについての資料も要求してある。これがまだ出ません。これはいつ出していただけるか。この二つの問題を今はっきり伺っておきたい。
  58. 小林英三

    委員長小林英三君) 高野委員、ちょっと申し上げますが、今資料要求に対する所管の者が来ていないそうでして、はっきり今ここで申し上げられぬと言っておりますが、どうしますか。
  59. 高野一夫

    ○高野一夫君 それじゃ明日午前の委員会ではっきりお打ち合せになった上で……。
  60. 小林英三

    委員長小林英三君) 明日政府から……。
  61. 高野一夫

    ○高野一夫君 できるならなるべく今週中にちょうだいしたい。
  62. 山下義信

    山下義信君 議事進行を発言しておきたいと思うのですが、この問題は委員会の決議によって議題として取り上げて、ここまで審議してきたわけです。今後の扱い方をどうするかということを話し合いしておかなきゃならぬと思う。私思うのに、委員会としての所見を各委員と御相談申し上げて打ち出していかなきゃならぬと思いますので、その取扱いを委員長理事会で一つ練っていただく、おまかせする、取扱い方を。それでそれに榊原委員が入っていただいて一つ本問題に関する委員会の態度といいますか、所見といいますか、そういうものの結論のつけ方について、一つ委員長理事会並びに榊原委員に御参加を願ってやっていただく、こういうことにして、一応この問題の委員会の審議はこの程度でおきたいと思いますが、いかがでございましょう、お諮りを願いたいと思います。
  63. 小林英三

    委員長小林英三君) ただいま山下委員から、お聞きの通り本問題に対しまする取扱いにつきまして、委員長理事並びにそれに榊原委員が参加して、それらの人々によっておまかせを願いたいという動機がございましたが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 小林英三

    委員長小林英三君) それじゃそういうふうに決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会    ————・————