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1955-05-23 第22回国会 参議院 社会労働委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十三日(月曜日)    午後一時四十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     小林 英三君    理事            加藤 武徳君            竹中 勝男君            山下 義信君    委員            榊原  亨君            高野 一夫君            谷口弥三郎君            横山 フク君            高良 とみ君            森田 義衞君            阿具根 登君            藤原 道子君            山本 經勝君            相馬 助治君            有馬 英二君   国務大臣    労 働 大 臣 西田 隆男君   政府委員    労働政務次官  高瀬  傳君    労働大臣官房会    計課長     澁谷 直藏君    労働省労政局長 中西  実君    労働省労働基準    局長      富樫 総一君    労働省婦人少年    局長      藤田 たき君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君    常任委員会専門    員       磯部  巌君    常任委員会専門    員       高戸義太郎君    参     事    (委員部第二課    課長補佐)   斎藤 喜久君   説明員    労働大臣官房総    務課長     堀  秀夫君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国務大臣出席に関する件 ○労働情勢に関する調査の件  (昭和三十年度労働省関係予算及び  労働行政方針に関する件)   ―――――――――――――
  2. 小林英三

    委員長小林英三君) それではただいまから委員会開会いたします。
  3. 榊原亨

    榊原亨君 議事進行先ほどこの委員会開会します前に、委員部の方には大臣はきょう御出席がないという御報告があったそうでありますが、さようでありますか。一つ委員長あるいは委員部の方からお答え願いたいと思います。
  4. 小林英三

    委員長小林英三君) 先ほど委員長がこの部屋へ入りましたのがちょうど正一時でありましたので、そのときに委員部斎藤君が、政府委員室連絡事務官からの話だというので、今日は労働大臣が午後病院へ行かなくちゃならぬので欠席をされる、いさいは政務次官に聞いてもらいたい、こういう報告があったのであります。
  5. 榊原亨

    榊原亨君 先ほど政務次官から承わりますと、何か富士山ろくか何かの基地の問題の陳情その他の陳情があるから、急に打ち切ることができぬから、大臣がこの委員会お出ましにならないというお話がありましたのでありますが、その点は、ただいままで大臣が御出席なかったのは、そういう陳情がありましたからでございますか、大臣にお尋ねをいたします。
  6. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私はここ三週間前から実は黄だんにかかっておりまして、議会が休めないわけですから、病院に通いながら出ております。今日午後から病院に行く予定にしておりました。一時から予算委員会が始まるというのでやって来たら、予算委員会から質問通告を受けておりますので、予算委員会に出れば、当委員会出席できないだろうと思うから、政務次官一つかわって勤めてもらいたい、こういうことを申しておったのですが、病院に行くひまもなければ、飯を食うひまもない、今まで富士モータースの三千八百人ばかりのにわかの首切りの問題と、名古屋の小牧空軍基地問題で、政府委員室一ぱいで出ようとしても出られない始末でありまして、二つ陳情を受けて、実は今参ったのであります。
  7. 榊原亨

    榊原亨君 大臣は、今日午後一時からこの委員会があることをあらかじめ御承知であったと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  8. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) それは公報を見ておりますから、承知いたしております。
  9. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、その陳情を受けるために、この委員会に御出席ができなかったとわれわれは了承いたしましてよろしゅうございますでしょうか。
  10. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 陳情を受けるために欠席したのではなくて、陳情に押しかけられて出られなくなってしまって、結果においては陳情を聞いたために来れなかったという結果でございますが、決して委員会に出るのをいやがって、陳情だけを聞いておったというわけではないのですから、その点は御了承願いたいと思います。
  11. 榊原亨

    榊原亨君 先ほど政務次官お話とは違いますから、政務次官をここへお呼び下さいまして、その点をはっきりさしていただきたいと思います。
  12. 高野一夫

    高野一夫君 その間にちょっと伺いますが、今大臣公報を見て、今日の委員会のあることを承知しているというお話でありますが、これは委員長にお伺いしますが、今日午後一時から社会労働委員会を開くことについて、大臣が御出席ができるかどうかということをお確かめになって、約束ができて委員会開会するということにきまったものでありますか。それとも公報だけで大臣が御承知になるというような仕組みになっておったか。
  13. 小林英三

    委員長小林英三君) お答えいたします。大体この委員会の運営につきましては、皆さん要求皆さんと御相談申し上げて次回の委員会の日程をきめまして、国会委員部を通しまして、それぞれ大臣あるいはその他の関係政府委員に伝達いたしまして、もし出られないということの、都合が悪ければ、委員長の手元に前もって通知があるはずであります。それがないということは、大臣も出られることになっておると委員長は信じておったわけであります。
  14. 高野一夫

    高野一夫君 大臣に別にいやがらせを申し上げるわけではありませんが、大臣は今日午後一時からの委員会は御承知であったはずだし、先ほど予算委員会のあることは承知しておった、こういうお話だったけれども、この社会労働委員会があるということを知っておったというお話はなかった。今、榊原委員からの質問によりまして、それに対する御答弁では、まあ公報承知したというお話であるけれども、それでは社会労働委員会が軽視をされているような感じを持つのですが、これは大臣、どうですか。今日お出になるということを前もってちゃんと確かめてあって、この委員会を開かれたものだと思って、われわれは一時から来て待っておったのですが、そうではなかったのですか。今の委員長の話と違いますか。
  15. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。私、今日病院に行きますので、午後一時から行くことになっております……十二時から。この前も委員長にお願いして参りましたように、行く予定になっておりましたが、ところがその間に病院に出かけるひまなしに陳情見えてとっつかまってしまったので、予算委員会の方は午前十時からあるべきものが午後一時からになるということで、質問通告を受けておりますので、この委員会がありましても、予算委員会には出なければなりませんから、予算委員会ひまのある間は当委員会に出ますけれども、その間は政務次官に勤めてもらいたい、こういうことで話をしておったわけであります。決して参議院の方の社会労働委員会を軽視したという考え方は毛頭持っておりません。
  16. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、今日は午後一時から、まああなたは病気ですから別にそういうことを追及するわけではありませんが、病院おいでにならなければならないと思いますけれども、午後一時から病院おいでになる予定であった、そうすると一時から社会労働委員会出席する予定があったのかなかったのか、これはどっちのほうが先になっておるのか。委員長病院おいでになる約束ができておって、そのあとにこの委員会を開かれることになったのか、その前になのか。お約束はどうなっておりましたのか。
  17. 小林英三

    委員長小林英三君) これは公報にもありまして、皆さんにも、御承知のように、今日は本会議予定されておりましたから、先週皆さんと御相談をして、午後一時から当委員会を開くということが、こういうことが公報にも載っておりますし、私もそのつもりで来ておったのであります。
  18. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私、一時から病院に行くということになって……、十二時から病院に行くことになっておりますので、一時までには国会の方に帰ってくる予定にいたしておりましたところが、行かない前に陳情にとっつかまってしまった、こういうことであります。
  19. 高野一夫

    高野一夫君 先ほど来一時々々とおっしゃったが、今十二時に御訂正になりましたから、それで差しつかえありません。私の質問はやめますけれどもう、今後一つわれわれをこういうふに待たせないで、御都合が悪ければ悪いように、事前に、ずっと前にお知らせを願わなければ、全くむだになりますので、われわれとしては、この委員会を非常に軽視されているような印象を強く……、この前もそうでありますけれども、第一回のときも大臣がお出になるお約束になっておってお出にならなくて、取りやめになった。もう今日で二回であります。
  20. 榊原亨

    榊原亨君 先ほど大臣お答え政務次官お話とが食い違っておるのでありますが、その点は政務次官、もう一回ここで速記をとってお話を願いたいと思います。
  21. 高瀬傳

    政府委員高瀬傳君) お答えいたします。実は大臣病院に行かれるということは、私は存じなかったのですが、で、今日はちょっとわれわれの党の打ち合せがありまして、グランド・ホテルの方に参っておりまして、一時に委員会が開かれるから、開かれましたら、すぐこちらの方へ参るから、政府委員室から即刻連絡してもらいたいということで、一時五分ぐらいに連絡がありまして、それですぐに私が自動車でこちらへ伺ったようなわけなんであります。参りましたところが、大臣がたくさんの陳情の方に面接しておられまして、私がかわって先へ伺ったような、五分か十分遅れたと思いますが、一時には必ずこちらへ参る所存でおりました。
  22. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますと、政務次官にお尋ねいたしますが、大臣陳情のために軟禁されておられたのですか。
  23. 高瀬傳

    政府委員高瀬傳君) まあ軟禁というわけではありませんが、この小牧空軍基地拡張反対陳情が非常に熱烈であるということ、それからもう一つは、富士モータースの争議の問題で、まあどちらかといいますと、大臣が、たびたび私もお越しを願うようにお願いしましたが、これはやはりわれわれも人間ですから、この委員会を軽視したわけでは毛頭ないと思いますけれども、やはり人情でなかなか出られず、立てなかったようにお見受けいたしました。
  24. 榊原亨

    榊原亨君 人が一ぱいでどうしても、大臣がこの委員会へ出ようと努力をされたにかかわらず、ここにお出ましになるということが、御病気でもございますし、お出ましになることができなかった状態でありますか。それともまあ人情から、今政務次官のおっしゃるように、人情だから委員会は待って、陳情を聞いてから行こうと、そういうふうな状態だったか、その点をはっきりさせていただきたいと思うのであります。
  25. 高瀬傳

    政府委員高瀬傳君) 私は、はたからお見受けしておりましたところ、次々といろいろ順々に質問、要望がありまして、私が話をとめてもらって、大臣にこちらへお越しを願うにもなかなかむずかしいような状態でございましたが、大臣としても、なかなかお立ちになれなかった。
  26. 榊原亨

    榊原亨君 大臣はそのとき、一時から委員会があるのだからこれから行くということをおっしゃって、来られればいいと思うのでありますが、どんな状態か、私はその点を今お聞きするのでありますが、はっきりわかりませんが、とにかくその人たちを打ち切って、この所へお出ましになることができると私は思うのでありますが、そうでなければ、軟禁されたという状態だ。一体陳情というものが大事なのか、この委員会に御出席になるということが国務の上から大事なのか、その点はいかがですか。
  27. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 申すまでもないことですが、決して委員会を軽視したわけではありません。途中で立って出かかりましたけれども、陳情に来ていた人たちが、御承知のように非常に狭い政府委員室でして、通路に立ってまた押し返されて、また陳情を聞いたというのが実情でございますが、別にこれは軟禁とか暴力をふるったとかいうことじゃございませんから、この程度で一応御了解していただきたいと思います。
  28. 榊原亨

    榊原亨君 御病気のことでありますが、大体この委員会を初めから通告されたはずであります。従いましてお出ましになることができないなら、できないとはっきりあらかじめ御通知になっていただけば、われわれといたしましても、非常に忙しいからだを、ここで長らく、四十分以上待たすということにつきましては、たしか先ほど政務次官は、陳情があるからその方も聞かなければならぬから、しばらく待て、とんでもない話だと私は思うのであります。こういう点において、そういうお考えであるならば、それでわれわれとしても覚悟はありますが、その点をもう一回はっきり政務次官から御言明を願いたい。
  29. 高野一夫

    高野一夫君 私関連して。だんだん政務次官お話大臣お話も食い違ってくるように思うのであります。先ほど政務次官は、陳情が来ているから、きょうの委員会は出られませんと言われなかったか、そこまでははっきり言われなかった、出られそうもありませんとあなたはおっしゃった。予算委員会もあるから、予算委員会に待機していなければならんので、この委員会には出られそうもありません。――ちょっと待ってくれとはおっしゃられなかった。それじゃやめてしまおうじゃないか、こう言ったわけなんでして、その点どうなのか、今のお話とは違いますよ。
  30. 高瀬傳

    政府委員高瀬傳君) 私は、実は先ほどから政府委員室で伺ったのは、予算総会が明日開かれるから、土曜日には大臣がそちらの方へ出られる。従って当委員会においては、私がかわって出ることになったから、そのつもりで用意しておれというようなお話でありました。大臣からではございません。政府委員、つまり労働省からの……。そこで私は大臣のかわりにここに出る予定にいたして最初からおったわけであります。
  31. 高野一夫

    高野一夫君 まあ、しつこくしてもどうかと思いますが、しかし後日のこともありますから、はっきりしておきたい。私はそういうようなことをあなたの御答弁要求しているのではないのでありまして、問題は、あなたが榊原委員質問に対するお答えとして、ちょっと待ってもらいたい、こうおっしゃった、そういうように御答弁された。さっきおいでになったときは、陳情が来ていて来ないかもしれん、来ない。予算委員会も待機していなければならないから、きょうの委員会には出られない、それで私がかわって出るがどうか、こういうお話であったから、ちょっと待ってくれというのは違いますか。病院に行くからきょうの委員会には出られぬという通告が来ている、そうして一時から病院に行くというお話があった。私はいろいろお尋ねしていると、一時からじゃなくて、十二時に行くので、この委員会には出るんだと、こう御訂正になった。けれども、委員部の方から、きょうの委員会に出られませんと、こういう通告が来ておる。だからお話は違ってくる。まあ大臣の方はよろしいのですが、政府委員、どうなんです。あなたがさっき出られそうも、出られぬとおっしゃったのですか。
  32. 高瀬傳

    政府委員高瀬傳君) 実はそういうふうに、最初から大臣委員会の方へ出られる予定になっておる。その間私がかわってこちらに伺うという予定にしておりましたから、速記をとらない非公式のお話で座談的にさよう申し上げただけであります。
  33. 榊原亨

    榊原亨君 次にお尋ねしたいのでありますが、労働省政府委員の方は、きょう一時にどうしてここにお見えにならなかった。これもまた陳情でございますか。どういうわけでございましょうか。一つ政府委員からのはっきりしたお答えを願いたい。
  34. 堀秀夫

    説明員堀秀夫君) 各政府委員は一時に参りまして政府委員室で待機しておりました。で、この委員会が開かれればすぐ参る予定でおりましたのですが、議事進行の問題で、きょう開かれるかどうか今協議しておるからというお話でございましたので、いつでも出られるように全部来て待機しておった次第でございます。
  35. 榊原亨

    榊原亨君 そういたしますると、この労働委員会におきましては、委員が全部そろってから政府委員お出ましを願うということで、お待ちを願うということでありますか。
  36. 堀秀夫

    説明員堀秀夫君) そういうことではございませんので、この委員会が御審議をお始めになります前に、もちろん全部顔をそろえておるのが当然常識の問題でございまするが、本日はちょっと、この委員会自体ょうやるかどうかわからぬというような状況でございましたので、待っておりました。
  37. 榊原亨

    榊原亨君 それでは、そういうことを誰が政府委員の方へ通告されたのですか。委員部の方ですか。その責任をはっきりさせていただきたい。
  38. 斎藤喜久

    参事斎藤喜久君) 私の方ではそういうことは何にも申しておりません。
  39. 榊原亨

    榊原亨君 それじゃ今の話しとは違うじゃありませんか。
  40. 堀秀夫

    説明員堀秀夫君) 私の方はそのように了解しでおりましたので、連絡食い違いがあったのだと思いますが、私の方では別に悪意があったわけじゃございませんので、ただいまのような趣旨に誤解しておったのだろうと思います。その点了解が十分つかなかったことは、御了承願いたいと思います。
  41. 榊原亨

    榊原亨君 誤解じゃないです。速記を読んで見たまえ、釈明したまえ。
  42. 堀秀夫

    説明員堀秀夫君) ただいまも申し上げますように、私の方といたしましては、もちろん委員会の御審議を始められます前に各政府委員が出まして、それでこの部屋で待機しておるというのが通例でございまして、初めからそのつもりでございました。ただ本日政府委員がこの委員室に出るのが遅れました理由といたしましては、今のような事情でありまして、私どもといたしましては、全然この委員会を軽視するというつもりはなかったということを申し上げておきます。
  43. 高野一夫

    高野一夫君 総務課長に伺いますが、あなたは今榊原さんの質問に対して、先ほど答弁はどういう答弁をなすったか覚えていらっしゃいますか。それは、きょうの委員会はわれわれはないかもしれないと思ったと、それはどういうところからお思いになったのですか、誤解に基いたと今おっしゃったその誤解が、委員部からは何も連絡しておらない、どういうところからそういう誤解が起ったか、そうして、どういうようにしてきょうはないとお考えになったか、そのよってきたところを一つ御説明願いたい。
  44. 堀秀夫

    説明員堀秀夫君) その点でございますが、これは率直に申し上げますると、専門員の方及び委員部委員付の方から、本日の委員会委員各位が若干お集まりになっておる、その席で大臣おいでになるかどうかという問題について、今いろいろ議論しておられる、そういう点で、この委員会大臣おいでにならなければ、開会ができない状態であるというようなお話を実は受けましたわけなんでございます。そういう点に基きまして、私の方といたしましては、先ほど私が申し上げたように、一応とったのでございまするが、ただいまお話を聞いてみますると、その点に連絡食い違いがあったように思うのでございます。
  45. 高野一夫

    高野一夫君 そうすると、委員部から座談的な何か知らぬけれども、あやふやながらそういうような話し合いがあったというお話ですね、それはたしか……。そうすると、今度は委員部の方から、その関係委員部の方から一つ伺いたい。そういう連絡をしましたか。労働関係委員部の方から。
  46. 斎藤喜久

    参事斎藤喜久君) 私の方といたしましては、大臣出席要求を十九日の日にいたしております。それでその以後の結果を、何べんとなしに、土曜日にも、それからけさも結果を、出席していただくようにということを連絡いたしておりますが、けさ回答といたしましては、十時ごろには、予算委員会との関係もありますが、出席いたしますというような回答をいただいております。それで出席されると思っておりましたところが、一時になりまして連絡員岡部事務官新田目事務官と二人が私のところへ参りまして、きょうはからだ都合が悪いので出席できかねる、それで政務次官出席はいたしますという御連絡がございましたものですから、委員長にすぐに御報告を申し上げたのであります。しかし、その後政務次官見えませんし、委員の方がお集まりになっておりますので、私直接参りまして、それで政府委員室へ早く出席をしてほしいということを申し入れたのでありますが、そのときに委員の方からも、委員長委員の方がお見えになっておりますので、至急に出席願いたいということだし、もし大臣出席なり、あるいは政務次官出席願えないということになりますと、委員会がすぐ開かれるという状態になるかどうかわからないような状況になるということは申しました。それでそういう意味で申したわけでございます。
  47. 磯部巌

    専門員磯部巌君) ただいま総務課長お話の中で、専門員という言葉がございましたので、一言申し上げますが、問題の要点は、きょう委員会が開かれるかどうかわからないというようなことを私が申したかのように、先ほどお話があったのでございますが、私はそういうことを申した覚えはございませんが、私はただ、委員会が非常に今皆さんたくさんお集まりになって、出席の問題について言っておられるので、早く労働大臣がお出になるか、あるいは労働大臣からだのお工合が悪いならば、こうこうこういうわけできょうは出られないが、事前にそれを連絡しなかったことは非常にまずかったというごあいさつをなさるべきであると、私は御親切に申し上げたのでございまして、何かその責任というか、専門員が言ったというふうに言われたことは、はなはだ心外でございます。  〔高野一夫発言許可を求む〕
  48. 山下義信

    山下義信君 発言許可を受けました。  あまり事務局人たちまでを追及するのはどうかと思う。大体様子が私はわかったと思う。要するところ、問題は労働大臣出席がおくれたということなんで、責任労働大臣にある。いろいろ途中の連絡の仕方のまずかったことや、関係者人たちの行き違いがあるが、そこまでしておりましては、責任を下にだんだん転嫁することになる。私は労働大臣責任だと思う。(「その通り」と呼ぶ者あり)きょうの大臣出席が遅刻したことをかくのごとく委員会が重大に扱っていることは、これはよほど労働大臣または労働省幹部諸公もお考え願わなければならぬ。先ほどから政務次官はにやにや笑っておったが、榊原委員笑いごとじゃないと言ったが、笑いごとじゃない。これはいわゆる西田労働大臣大臣就任後初の委員会であって、労働省労働政策をこの委員会が重大視しておればこそ、大臣出席の遅刻も重大に取り扱っておるのであって、本意はよくわかりませんけれども、時あたかも重大な質疑のまっ最中なんだ。そういう場合には、委員会出席十分連絡を緊密になさらんければならぬ。きょうの御出席が遅刻したことは、何としても連絡がまずかったということだけは事実なんだ。でありますから、いろいろ前後のいきさつは承わってわかりましたが、一応大臣がすべての責任をおとり下すって、委員の納得するような御釈明を願って、そうしてこの場をおおさめ下さるのが私はいいと思う。今後は御注意下さればいいと思う。  それからいま一つは、お責めすることはお責めするけれども、大臣病気ということも事実なんで、病気を押して努力しておいでになることも、これもわかっておることなんだ。それで病院へ行かなければならぬことを行かさぬということも、これも人道的には考えなければならぬ、ことに社会労働委員会であるから。きょうでも病院に行かなければならぬのかどうか、これからでもどうしても行かなければならぬのであれば、いつごろ行くかということもここで明らかにしておいて、それならば議事を進める余裕がなけらねば、きょうはやめておかなければならぬ。しかし委員会が済んでからでも、病院おいでになるのが、それでもよろしいということであるならば、これから議事にお入りを願いたいと思う。私は大臣が本日の事態については御釈明下すって、将来も御注意下さるように御発言を願いたいと、こう思う。
  49. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 山下委員のお言葉、ごもっともでありまして、本日当委員会を紛糾させました原因は、私が委員会出席がおくれたことに原因いたしております。しかし、さっきから申しますように、私自身委員会に出て来まいとしてのひまをとったわけではございませんで、陳情、しかも緊急事を要する陳情で狭い部屋で面接を受けておりましたものですから、つい時間がたっておくれまして、まことに申しわけございません。今後は出席できない場合は、事前委員長なり委員各位に御了解を求めることといたします。一つ本日のところはお許しを願いたいと思います。   ―――――――――――――
  50. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは労働情勢に関しまする調査を議題といたしまして、昭和三十年度労働省関係予算及び労働行政方針につきましての、前回に引き続き質疑をお願いいたします。
  51. 高野一夫

    高野一夫君 私は先般、これは榊原委員からもそうだったと思いますが、各産業に関する就業状況の資料を要求いたしておりましたが、労働省の方では、これは政府委員に伺いますが、その資料はできておりますか。今日配布ができますか。詳細微細な点にわたるものでなくてもけっこうであります。大づかみのものでもけっこうなんですが、できているなら今日御配布を願いたい。
  52. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 今日頭で申し上げてよろしゅうございますか。
  53. 高野一夫

    高野一夫君 数字をちゃんと見て、そうしてそれをもとにして質問しなければならぬかもしらぬ。
  54. 小林英三

    委員長小林英三君) できなければ次回に……。
  55. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 鋭意あれから調査をいたしまして資料の作成に努めました。けさやっとタイプができ上りましたのでございます。皆さんにお配りするだけの時間がございませんでした。次回には必ず配布いたすようにいたします。
  56. 山本經勝

    ○山本經勝君 前回の御質問申し上げた点に関連をしまして本日資料を出していただきましたので、続いて御質問申し上げたい。  大体前回の御答弁の中でお話があったように、本年度の三月現在で賃金の不払い、未払い、こういった状況が五千件で十六億円ということになっていたようでありますが、ところでこの不払いを解消する対策についてのお話は、基準局長の方から簡単な話があっただけで、労金融通等についての簡単なお話があっただけにとどまっております。そこで労働大臣にお伺いしたいのは、一応今日までいろいろな形で経営困難あるいは事業場閉鎖、こういった状態から賃金が不払というのが打ち切りになってしまった状態が、あるいは協約等の定めによる退職金の規定に基く退職金の支給も出ておらない、こういう状態が幾多あっておるわけでありますが、こういった賃金の不払い、あるいは協定の定めによって当然支払わなければならぬ給与について支払いがなされておらない状態について、どのような対策をお考えになっておるか、この点をまず第一点大臣の方にお伺いしたい。
  57. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 賃金不払いの問題ですが、事業主にして支払い得る力を持っておるにもかかわらず支払わないというような事態に対しましては、労働省ではこれを支払わせるあらゆる手段方法を講じておりますが、支払い能力の全然ない者に対しまして、労働省としてはこれはどうしようもございませんので、特にこの前も御説明申し上げましたが、事業を継続しておりながら支払わない者というようなものに対しましては、悪いことであるかもわかりませんが、租税公課その他の支払いの延期によって、労働賃金の方の支払いを優先的にやらせるような具体的な措置はとって参りました。しかし、御承知のように、もう企業自体がつぶれてしまっておるというような賃金の未払いに対しましては、労働省としましては、何とも手の施しようがありませんと考えております。
  58. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうなりますと、事業主というものは、労働者を使って生産をして利潤を上げてやっておりますが、経営が不振になって事業主が支払い能力がなければ、賃金は払わなくてもいいということになりますか。
  59. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。賃金を払わなくてもいいということでなく、実際に払えない状態になっておりますので、今のどの立法から考えましても、労働省としてこれを払わしめるという方法はないわけでございます。
  60. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで支払い能力がないからどうしてもとる方法がないではないかということですが、この場合に働いた労働者はどういうふうになるか、またその実態は御想像が十分できると考えるのでありますが、それに対する対策というようなものは大臣はお考えになっておらないか。
  61. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) これは山本さんも御承知のように、立法措置も何もできていない日本の現実、それから自由企業である日本の産業の実質から考えまして、新たにこれを立法でもして、何とか国家的な保護を加え、国家的な強制力を持たしめるということ以外には、労働者の賃金をして当該支払い能力のない事業にさせるというような具体的な方法はないと考えます。
  62. 山本經勝

    ○山本經勝君 そうましすと、大臣の方ではやむを得ん状態であるから見送りになる考えですか。それとも労働行政の立場から立法措置を講じてもこれを救済せなければならんというようなお考え方にはなれないのですか、その点お伺いしておきたい。
  63. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。もし賃金未払いの問題がどんどんどんどん累増していって日本の労働階級の大多数の人に迷惑を及ぼすとか、日本産業の将来の維持発展に非常な悪影響を及ぼすというようなことが考えられまする場合においては、これは国としては立法措置に戻って資本と労働との間の何と申しますか、アジャストと申しますか、調整と申しますか、ということでもしなくてはならない段階に来るであろうと考えております。
  64. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで今の賃金不払い、遅払いというような状態が起る要素が今日まで解決つけられて来ておるとお考えになっておるか。本日出していただきました資料を見ましても、若干は減少をしておるようでありますけれども、この数は私もどの現在の状態から判断をいたしますと、更に増大こそすれ、私はこういう方法でもって救済されていく、あるいは立ち直っていくという考え方は持てんのでありますが、その点についての判断はどのようにお考えになっておりますか。
  65. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。御承知のように一つの目的を表明するものとしましては、経審で立てました経済五カ年計画によりますと、三十一年度からは拡大均衡に移ることを目標にしておりますので、従ってだんだん賃金の不払い等は少くなっていってもらわなければならないし、またそうしたいと考えております。三十年度におきまして、しからばこの賃金の未拡いが現在の額よりは減るかふえるかという問題に具体的になって参りますというと、まあ基礎固めの年でありますから、だんだん企業の実態はよくなっていってもらわなければならないし、またよくなっていくことが望ましいことでございますけれども、その点具体的に、はっきり減るとも申せませんし、ふえるとも私今のところ申し上げられません。
  66. 山本經勝

    ○山本經勝君 大臣お話を伺っておると、全くどうも私ども納得が参らんのでありますが、そういう状態であればなお更この三十年度の労働対策として方針の中にそれらの問題が、もう少し親切に、しかも具体的な問題が現に起っておるのでありますから、それらを取り上げて政策の面で打ち出していくということができないのか、あるいは故意になさっておらんのか、その点を御発表願いたい。
  67. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。自由雇用の原則に基いて現在は雇用関係が成立しておりますので、雇用関係が成立したのちにおいて労働行政の面において賃金を払うか払わんかというようなことは、干渉もできませんし、拘束する権利も持っておりません。従って払わないという現実の段階が生じた場合に、それに対して労働省としてはどうするかということだけが労働省の許された仕事になっておりますので、決して払わないようにするとか、払えないでよろしいとかいう考え方は毛頭持っておりません。
  68. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこでちょっと話が変るのでありますが、この労働者は働くことによって生活をすることは御承知通りであります。そこで賃金がもらえなければ生活ができないという現実に追いつめられるのですが、この場合に救済する何らの方法も講ずることなく、しかも支払い能力がないのだからやむを得んのだということで見送っていかれるという西田さんはお考え方を持っておいでになりますか。
  69. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。賃金が長期にわたって支払われないという状態になれば、その企業で働く人はおそらくなくなってしまうだろうと思います。従ってそれは失業者の形で現われて来る、この失業者に対しましては、労働省としましては、失業対策事業によって労働者の生活のある程度のことは保証するという建前で失業対策事業費を今年度も増額して実は計上いたしておるのであります。
  70. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで大臣も経営をなさって多数の労働者を使っておいでになりますが、私はそういう事実もよく知っておる。そこで今お話のような筋から申しますと、要するに賃金は払えなければ払わなくてもいいのだ。そこでその場合には長期にわたって賃金の支払いを受けなければ労働者が生活ができないから職場を去るであろう。そこで去った労働者は当然失業者であるから、だから失業者を救済する方法を考える、こういう筋に伺ってよろしゅうございますか。
  71. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 必ずしも長期にわたるとは申し上げておりませんが、労使間で雇用契約に基いて成立しております関係から、もし賃金の不払いということが一カ月のうち一日か二日であれば、これは先にもらえるという見通しに基いてその企業に働く。しかしある程度長期にわたって賃金の不払いをされるということは労働者自身生活ができないということになりますから、その職から離れざるを得ないだろうと思いますが、そういう場合においては国としてこれを援助する場合に、その企業が継続して行けるということになればそれは国としてもある程度の援助、指導、補助を与えるということが現実にもやられておりますし、またそうしてやってもなお継続していけないというようなことになった場合においてはこれは当然失業者という状態に置かれることになります。その場合には国として労働行政の面において、失業対策事業に失業者を吸収をすることによって失業者の生活をある程度保護していく、こういう考え方を持っております。
  72. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで私は労働者というものは、すでに憲法でも規定され、あるいは基準法でも明白に規定されておるように、当然働いた賃金は一定の期日に受ける権利を持っておると思うのですが、この権利はどういうふうにして守られておるか、その点を私は大臣から、もっと懇切丁寧にお教え願いたい。それで私たちは過去一年間にわたって昨年度特に顕著に出ました賃金不払い、未払いに対しまして債権を明白な形で労使間の協議でこの使用者は当然責任があるはずなんだから、一定の担保なりあるいは債権として将来に残して、よくなったときにでも払うというところまで押したわけなんですが、こういう点について具体的な解決が実際には金の問題ですが、非常に困難でありますが、こういう場合に労働金庫等からの融資その他の、あるいは労働者の生活扶助のための融資等による方法をお考えになる今後意思があるかないか、この点をはっきり確かめておきてたい。
  73. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。今のような段階の場合においては当然、労働者と申しますか、労働者の団体である労働組合と申しますか、労働金庫に対して借り入れを申し込んで労働金庫が適当と認めた場合においては、労働金庫は何と申しますか、生業資金と申しますか、そういう意味合いにおいてもこれは当然融資をするであろうと考えております。従って労働者が全然賃金が受けられないという場合において無保護な状態に置かれておりません。労働金庫等によってある程度の救済がなされておると思います。そういう段階において、それでもなおいけないという場合においては、失業者という形で現われて来るものに対しては、労働省としては失業対策事業を考えて、それに吸収するという計画を持っておりますと、かように申し上げたのです。
  74. 山本經勝

    ○山本經勝君 ちょっと関連して。私ちょっと理解しかねるのですが、労働者は労働力を売って賃金を受けるのですよ。そこで働いた賃金がもらえないということは労働者が請求権を持っておる、その請求権は保存されねばならん、あるいはある甲なら甲という経営者、事業主が事業をやっておる、あるときの情勢では経済界その他の変動等によって経営が困難であるかもわからない、しかし再びその事業をやって建て直したということも考え得るのですが、その場合には債権は消えてなくなるということにならないと思うのです。その人そのものを中心にした債権の保存が必要だろうと思う。そうでなかったならば労働者は決して働けないということである。大臣お話によりますと、経営不振で支払い能力がなければやむを得ん、失業者として救済されるというお考えならば、労働者の基本的な権利というものは一向に守られていない、働いた賃金さえもとれないという現実に追い込まれるから、このような点については債権をどのようにお考えになっておりますか、そこら辺をお伺いしたいわけです。
  75. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) あなたの質問されておりますことはこういうことですか、労使間においてその企業が継続していけない状態で、経営者が支払い能力を全然喪失した場合の労働者の賃金というものは、その経営者が再び立ち直った場合にとれるような、債権としての権利を法的に認めたらどうか、こういう質問でございますか。
  76. 山本經勝

    ○山本經勝君 留保させるようにできないものですか。
  77. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 現在の法律ではそういうことは規定されておらんように私は承知しておりますが、将来の問題としては、これは、そういうことは一つ一つの企業に、どういう関連になるかわかりませんけれども、考えなきゃならない問題のようにも考えます。
  78. 山本經勝

    ○山本經勝君 これは政府の方で用意されておる石炭合理化法案と関連を持つと思うのでありますが、いわゆる労働者の生活権を守るという立場から、この法的な見地から見て参りますというと、いろいろ、私ども専門家ではありませんから非常にわかりにくい点もたくさんあるのですが、現実的に生きていかなければならんという状態をまず基礎にして考えますと、何らかの応急措置を講じておかなければ、つまり人間をどんどん必要なときには集めて使うが、困難になってやりくりができんということになると、何どきでも街頭に投げ出してもいいという逆な結果を生むと思いますが、そういうところを考慮の中に入れて、今後大臣としてはそういう事態が起らないように、予防措置といいますか、適当な措置を講じ、また起った状態に対する救済をお考えになるお考えがあるかどうかということを伺っておきたいということです。
  79. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私は失業者の一人もないという経済実体ができ上ればこれは一番いいと思っておりますが、実際の現実の経済の運営の面におきまして、そういうことは考えるだけで、実際に世界どこの国に行きましても、多少の失業状態が起って来るということは現実でありましょう。従って、私はかりに日本なら日本の国におきまして、現実に発生しておる失業者を今立法措置で全部救い上げるというようなことは、日本の財政、経済の状態から非常に困難であろうと考えております。従って山本さんの言われるような事態がどういう数、どういう形においてこれから現われて来るかもわかりませんけれども、そういう面こそ社会保障制度の拡大強化によって私はこれを救助していくという考え方になると思います。  それからもう一つ、具体的な問題として合理化の問題をお取り上げになりました。これは国が立法することによって当然予測される失業者という者に対して、今までは何らこれに法的な措置、あるいはこれを救済する善後措置がこれに並行して行われておりませんでしたことは御承知通りであります。今後石炭合理化促進法案というものが国会に提案されます場合においては、その当時において予測される失業者に対しては、失業状態に陥らないで済むような、ある程度の長期にわたる対策を樹立する、これによって職場の転換という意味合いで、継続雇用の状態においてそういう失業をした人を吸収する考え方を根本的に持っていかなければならないということで、実は現在議論をしておるまっ最中であります。
  80. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 関連質問先ほど大臣の三十一年度から拡大均衡に日本の経済が移行する、そうすると今この第一年目、三十一年度では一体現在の雇用量に対してどれくらいの雇用量が増大するという政府はお考えですか。
  81. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 数字的なことは職安局長からお答えいたさせます。
  82. 江下孝

    政府委員(江下孝君) お答え申し上げます。就業者の数でございますが、二十九年度三千九百七十二万という数字でございますが、三十年度におきましては四千五十五万という一応の想定を終えているのでございます。
  83. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 三十年度ですね。
  84. 江下孝

    政府委員(江下孝君) はい、そうであります。
  85. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 先ほどの山本さんの御質問なんですが、現在の日本の不払い、未払いというものは特殊な意味を持っていると思います。非常にこれが病的に多くなっている、病的に多くなっているということは、日本の産業及び日本経済が非常に脆弱になっているということにほかならないのですが、こういう事情に立ち至っていながら、やはり労働大臣はこれは自由契約であるからして雇用主には責任がないという考えをどこまでも貫かれるというお考えですか。
  86. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。私は事業主に責任がないという考え方を持っておりません。支払いの責任は当然事業主にありますけれども、実際問題として企業がつぶれてしまって、支払い能力が皆無だというものに対しては、これは払えと言っても方法はありませんし、国がこれを保証して払ってやろうという制度も現在ありませんし、何とも現実の情勢では仕方がない、かように申し上げたわけでございます。
  87. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 この企業が、もうこわれてしまって、実体がないという場合は、これはしばらく別の問題になりますが、支払い能力が非常に微弱になっているために、未払いになっているというものに対してはどんなお考えを持っておられますか。
  88. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。それは今までも融資あっせんその他によって、できるだけの措置はとって来たつもりでおります。
  89. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 どれくらいの程度融資あっせんというものは出ておりますか、そういう未払い分に対して。
  90. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。私が具体的に労働大臣になりましてやりました仕事は、この石炭鉱業の弱小企業が労金の未払い、資材代金の未払い、あるいは健康保険料、労災保険料等々の未払い、支払いができませずに差し押えをくったり、そのために貯炭を差し押えられ、あるいは炭代の受け取りを差し押えられる、こういうことによって企業経営ができないというような状態になりますことによって労働賃金が遅配、欠配になる、こういった事態にありましたので、先々月の半ばごろから先月の初めごろにかけまして、約十六億円ばかり銀行も金を貸さないというような経営の実態でありましたけれども、国が徴収いたしますものを一時延期をいたしまして、それの延期の措置によって労金の支払いに充当させるというような方法をとって、石炭合理化法案がどうなるかわかりませんけれども、これが制定されるまでのつなぎとしてやらせて来たという実例を持っております。
  91. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 関連質問が多くなって恐縮ですが、そうすると労働大臣は、やはり労働権に対して一定の企業経営者はやはり責任をむろん負っているわけですが、国も同時にそれのあっせんをするという立場においては、労働権を確立するということについて責任を感じておられるわけですね。
  92. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) もちろん労働大臣としましては、現実にそういう問題が起きました場合、これを放任しておいていいとは考えておりません。そういうことを起きないようにすることが先決問題でございますけれども、起きました場合においては、何とかして賃金の支払い、資材代金の支払い等には企業を継続していくのに支障のないようにしてやらなければならん、かように考えております。
  93. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 そうしますと、すでに起きているのですね、この表に見ているほど。非常にこれはまあほかの国の産業状態よりも深刻にこういう未払い、不払いという事実が起っている。これは日本のやはり特殊な戦後の経済の崩壊から立直らないという事実から出ているのであって、これは相当深刻なやはり社会問題であるし、労働者の生活権の問題なのでありますからして、政府はそれに対して、もっと積極的なこの労働対策というものを考えられるのが当然だと思います。労働大臣も多分そういう心持でおられるのじゃないかと思いますが、先ほどの御答弁によると非常に消極的な御答弁であったので、これをもう少し明確にしていただきたいということが一つの点ですが、もう一つは、すでにこの前私欠席しましたので、要求されておるかと思いますが、いわゆる政府の経済五カ年計画というのですか、六カ年計画というのですか、次第に拡大均衡に移っていく日本経済のこの拡大再生産のプログラムを、一つ、なるたけ数字によってお示し願いたいと思います。各産業別によって、第一年度にどれくらいの雇用量がどれだけ増大するか、第二年度にはどう、六年目にはどういうように日本の完全雇用という方向が進められるのか、という資料を一つ委員会にお出し願いたいと思うのですが、大臣、お願いできますか。
  94. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 第一の御質問につきましては、今まで労働省は賃金の未払い、遅欠配の問題に対してどういうことをやってきたかということは、事務当局から御答弁いたさせます。それから第二の資料の問題につきましては、この前も請求がありましてやっておりましたが、労働省としては、できるだけ資料をまとめまして当委員会に出す予定にしております。
  95. 富樫総一

    政府委員(富樫総一君) 賃金の不払いにつきましては、たとえば労働金庫に対する金融のごときは、われわれと同時に、特に労政局が尽力いたしておる。特に今期のごとき場合におきましては、大蔵省に連絡をして政府資金を労働金庫に流し、それから未払い賃金に融資するというようなことをやっております。われわれの方の労働基準監督という面におきましては、先ほど大臣から申されましたように、法律上支払う義務があるのであります。また、現実に支払う能力のあるのに払わないというような場合には、処罰することになっておって、現に昨年一カ年の間に監督署から送検した件数も百三十件に上っておるような状況であります。なお、そこまでに至らず、本当に、実質的に支払い能力がないという場合に、あるいはお話しの微弱な場合、こういう場合が非常にむずかしい問題でございます。監督官におきまして労働金庫、中小企業関係の金融機関、あるいは信用保証機関などと連絡するようにいたしまして、できるだけ解決していく。あるいは債権の保全につきましては、御承知の民事訴訟法の督促手続、あるいは公証人による、公正証書による強制執行というようなことも、それぞれ当地と連絡してでき得る限りやっておるのであります。問題は、非常に一件々々の解決が実際問題として困難な情勢にあることは申すまでもございませんが、あるいは御不満かも存じませんが、それでもわれわれとしては、御配付した資料によっておわかりになりまするように、この表の二の、右から二番目をごらんになりますれば、昨年の暮れ、十二月におきましては十三億の未払い賃金問題を解決して、正月以来毎月五、六億の解決をみるというようなことでございまするので、この間におきまするわれわれの方の、微力ではございまするが、できるだけ努力しておるということは御了察いただきたいと思うのでございます。昨年の当初におきまする労働基準監督基本方針におきましても、特にデフレ化の進行状況を予測いたしまして、この賃金未払いの予防、実態の把握、解決ということに最重点を置いて地方に指示しておるのでありますが、今年におきましても同様の方針をもって地方に指示しておるのでありまして、今後ともできるだけの努力をいたしたいと思います。
  96. 山本經勝

    ○山本經勝君 そこで、さっきの問題でもう一点だけお伺いしておきたいのですが、かりにこういう実例があるわけであります。六カ月間にわたって賃金が全く現金で支払いができなかった。そこで金券の発行とか、あるいは現物の若干を給付することによって辛うじて食いつないで、しかも作業は続けておった。しかるに、先ほど労金融資の話がありましたが、労金に融資を申し込みましても、この場合労金は貸し付けすることを拒みまして、その理由は、回収ができないかもしれないということから起っておる。こういう場合は大臣はどのようにお考えになりますか。昨年もたくさん私の方の組織の傘下に起った事例でありますから、具体的にこういう場合の措置を大臣はどうお考えになっておるか、この点を伺っておきたいと思います。
  97. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 今のお話は、企業は……、労金の……未払いを……。
  98. 山本經勝

    ○山本經勝君 経営は継続されておって賃金は未払い、しかも全然現金の支払いというものができなかった。しかもその期間は、長いもので六カ月に及んでおる。それで現物の給与と、それから米、麦、醤油といったような、生活必需物資若干を補給して、金券の発行をやっておったような事例は大臣もあるいは御存じかもしれません。
  99. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 知っております。
  100. 山本經勝

    ○山本經勝君 たくさんできたのです。そういう場合、さっき労金の融資の話がありましたが、労金に借り入れを申し込みましても、労金は貸してくれない。これは回収ができるかできないかわからぬような状態でありますので、そういう状態が起っておる。こういう場合にはどう処理していただけるか。
  101. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) それは個々の企業の内容を詳細に調査しなければ、私結論は生れないと思うのですが、労働金庫の方で回収見込みなしとして貸付けなかったという最後のお話しですが、そういうことがあれば、これは国家的に何とか面倒を見てやるということ以外、個々の企業と普通の……、今の立法の様式観念からゆきまして、何とも施すすべはないという結論になると思います。従ってそういうことが起きた場合は、個々の企業の問題として、労働省としてあっせんできる段階であれば、労働省として全力を尽してありせんしてやらなければならぬと思いますが、私、そういう問題が起きまして、付保険の問題ですが、県の信用保証協会の信用拡大をやって、そして、福岡は特に炭鉱、鉄の県ですから、県自体が多少危険負担をすることによって、そういうところは金融をつけてやられるような方法をとったらどうかということを、去年暮れごろから盛んに申し上げております。現在県会の選挙が終りましてどういうことになりますか、県会の選挙前に、県の信用保証の拡大ということをやってないというので、承知いたしておりません。
  102. 山本經勝

    ○山本經勝君 今のお話しですが、具体的に私も昨年県とも相談し、労働金庫と直接相談をしております。損失を補償する方法を県が講じてくれるなら、労金は融資してもよろしい、ところがそれをしてくれない。これは労働省連絡をしていただいたか、組織の方から代表が要請に来たか、どちらかの方法をとられておるはずです。ですからこういう状態をどういうふうにするかということについては、当然損失を補償される方法ががとられぬ限り、労金融資も結局金はあってもできないという現実に追いやられて、従って餓死する、餓死せぬまでも、長い間にわたって賃金をもらえないので、生活が窮乏し、いわゆる欠食児童を出したり、あるいは人身売買まで起るような悲惨な社会問題を起しつつあるから、こういうような問題についてどのように取り組んでいかれる心組みなのか、そこら辺を明白に承わっておきたいと思います。
  103. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) さっきから申しますように、私自体としては県の信用保証協会の拡大によって、一応そういうコマーシャル・ベースに乗らないものに対する金融をやるということは、一つの段階だろうと思います。そういうことがもし信用保証協会の関係でできないということになりますれば、これは国としてそういうことに対して、何とか救済される処置をとるということでやらなければならぬ、うっちゃっておいてよろしいという問題ではないと考えております。
  104. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の山本さんの質問に対する大臣答弁に関連して一つお伺いしたいと思うのです。大臣は福岡県の例をとられて、賃金の未払い事件が生じたときには、また生じそうになった場合には、信用保証協会というものが動いて、そうしてこれを解決することが一つの道だ、こういうお話しですが、考え方としては非常にけっこうだと思いますが、具体的にこれをするならば、県会が承認して、ある一定の金額を信用保証協会に差し出して、それを見合いとして初めて労金でも、信用組合でも、市中銀行でも金を出す、こういう形になるとこういうふうに考えます。その場合には現実に今の地方財政の規模をもってして可能であるかと言えば、私は不可能だと思うのです。ところが今大臣お話しでは、そういうことを県にやらせてもやれないときは国がみる、話が逆だと思う。財政規模の小さな県にそういうことを要求しても、もう初手からこの問題は困難であって、かりに県にそういうことをやらせるならば、国自体が呼び水的な金を出すか、ないしは何らかの立法措置によって国自身が積極的に保障するのでなければ問題にならないと思うのです。で個人の西田さんがそういう名案を考えられたのですから、労働大臣ですから、それを国に拡大して、この際積極的な方法、具体的に言うならば、一定規模の財政を投資して、それを地方財政を通過してくるのですから、そうしてその預託制度をやって、それを見合いにして金融をつけるというようなことをする以外に、今日手がないと、こう思うのですが、そこまで積極的にお考えであるかどうか、これを一つ承わっておきたいと思います。
  105. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 現在の県の信用保証協会なんかの問題の場合におきましても、資金の足りない場合は、政府資金を預託いたしております。預託いたしまして、そうして県の信用保証協会の資金網を充実するといいますか、一つ一つの個々のケースの場合に応じて、最近もやったことがございます。県の保証協会の限度は御承知のように非常に範囲が狭いものでございますから、預託金が十分に回せないという実情にあるわけです。従ってその県で信用保証の限度を広げてくれますというと、それに応じた預託ができる。あなたのおっしゃるように県自体が非常に困っているのだからそんなことは無理じゃないか、なるほど無理なんです。しかしそういう場合において、もしわれわれといたしまして未払いとか遅欠配とかいうようなことが莫大に、年百年じゅうあるということは大体好ましくない状態で、想定いたしておりません。現在の程度の段階であればそういう方法ができる。これで県の自治体の財政に非常に悪影響を及ぼすということであれば、これは法律を作って国の再保険をするというようなことにでもやれば、県自体の負担としてはそう大した負担にならずに、これは非常に悪い状態ですから、そういう状態のときだけはこういう方法でいけるのではないかと考えております。これは私個人的に考えておりますが、詳しく知りませんが、保険法で国が再保険することもできるようになっていなければ、改正すればいいと考えております。
  106. 相馬助治

    ○相馬助治君 ノーマルな場合はそういう形で解決されるのですが、賃金不払いなんというと、その条件だけで信用保証協会から相手にされないのです。これは各府県の現実です。従って私の言うのはひもつきの財政投資をしなければだめです。これは賃金不払いというものに充てるための一つ金を貸し出しやれというぐらいで、ひもつきの国家財政をそちらへ持っていくということにしなければ、私は解決しないと思うので、個人としての見解でなくて、一つ労働大臣としてそういうふうな積極的な御意思であるかどうかを私は問題にしているので承わっておきたいと思います。
  107. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。私個人として申しましたが、個人としての意見が鳩山内閣の意見として昨年の年末ごろにそれが実施されました。これは金融面で大蔵省の関係で預託するだけの問題でございます。私から意見を申し上げまして、そうして今あなたの言うひもつき、これはどういう程度にどの炭鉱に幾ら一つ流してくれということで年末にやらせましたが、銀行といたしましてもコマーシャル・ベースの問題にひっかかりまして、なかなか手に渡らないのであります。従って一応資金を県に回しまして、そうして県の方から銀行に預託をするという形を二段にやらせまして、ある程度の年末の資金の窮屈なやつを、十二億三千万円でしたか緩和した実例もございました。そういうふうな状態で、県の保証協会の限度が拡大されていきますというと、金額もそれに従って一旦緩急の場合は、相当な資金が流せるというので、私自身としましては各県の人たちに向って保証限度の拡大をやってくれるようにということを話しておりますけれども、なかなかこれは相馬さんの言われたようにむずかしい問題でして、まだどこの県も保証協会の信用保証の拡大をやったということは聞いておりません。従って国が再保険でもするというようなことになりますと、県自体としても危険負担の程度が非常に軽くなりますから、これは信用保証保険の拡大ということもあるいは成り立つかとも考えております。
  108. 阿具根登

    ○阿具根登君 同様な意見なんですが、今山本君の質問は、そういう場合に金を貸してあげる金は仮にあったとしても、これは払う見込みがないから貸さない。そういう場合に国が損失補償か何かしてくれる何かあるか。こういうことを国で何かしてくれというのが山本委員の意見だと思うのです。これに対しまして西田労働大臣はどうお考えになっておるか。
  109. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 非常にむずかしい問題だと思うのです。企業経営する者が企業主の自由にやり、雇用契約も自由に結び、金が払えなくなった場合に、国がこれを払うという義務を負えという意味合いだろうと思うのですが、義務を負うということになりますと、なかなかそう簡単に片のつかない問題だと思います。従ってもし国がすべてのものに対して責任を負うという結果になりまする以上は、もう少しその前に私としては国が責任を負える態勢に持っていくような制度を確立しなければ、私は今の段階で非常にそこまで持っていくということは、これはちょっとできにくいと私は考えております。
  110. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこが山本委員の当初からの質問の焦点だと私は思うのです。先ほども言っておったように、賃金不払い、遅配、欠配で、そうして人身売買までやって問題になっておるじゃありませんか。そういう人に対して労働金庫もあるんだ。それで組合も会社も一緒になってそれから借りたいと言っておるけれども、借りられない現実を言っておる。そういう場合に、労働者は労働の対価として取る権利があるにもかかわらず、自分の妻子を売らねばできない。それを国ではどう見るかということになっているのに、それは重大な問題であって、自由契約でやっておるからできないというならば、労働者の権利は労働大臣は認めておらない、こういう結論になるから、どう考えるかと言っておるんです。
  111. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) いや、労働大臣は決して労働者の権利を認めてないのではなくて、現行制度のもとにおいては、そういうことを国がどれもこれも面倒をみて支給をするというようなことは法制上できておりませんので、そういう問題をもし国が最終責任を持つということになれば、その前段階としてそういう責任を持てるような機構を先に実施して、その結果国が責任を持つということにならない限りできにくかろう、かように解しておるわけであります。
  112. 阿具根登

    ○阿具根登君 押し問答になるようですが、そうすると結果から言えば、法律でも認められた労働者が正常な労働を提供しておりながら、そうしてその対価を求めることもできずに悲惨な姿になっておるということは仕方ないんだ、今の制度ではそういうのを救うものがないのだ、そういうことになると思うのですが、そうなるならば労働行政の責任者としてそれに対して何かの対策を立てるべきではありませんか。結局働いて食えない、身売りしておるというこの現実を、何も今の規則ではそういうものがないのだと言って突っ放されたのでは、その責任はひとり弱い労働者のみに負わされるのではないか。これを打開していくのこそ、私は労働大臣の大きな職務の一つなんじゃないかと思うのですが、それに対する何か対策はないのですか。
  113. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。労働大臣は内閣総理大臣の十倍ぐらいの強い権限を持たしてもらうといいのですが、なかなか現実はそうもなっておりませんし、理念的に申しますと、阿具根さんの言われることは、ちっとも不都合考えておりません。お説の通りだと思いますが、この遅配、欠配のことを今も基準局長も説明しておりましたが、だんだん幾らかずつでも減っていっておるというこの実情は、自然に解決したものでなくて、これは労働省自体がその問題にタッチして、介入することによってこういうような結果が生まれておりますので、これもなまぬるいじゃないか、抜本的な方法を今すぐ立法化せよということであれば、これは別個の問題として考えなければならぬと思いますけれども、総体的な全体の問題としてお尋ねになれば、私としてはできるだけ努力をやって、労働省としては善処してだんだん数字を少くしておりまするし、そういうことを法制化してどの企業でも賃金の払えないものに対しては、国が最終的な責任を負うというような法的な手段をとるよりも、そういう手段をとらないでも、労働者が困らないで賃金をもらえるという経済実態を作り上げるということに私自身としては現在専念した方がいい、かように考えております。
  114. 阿具根登

    ○阿具根登君 労働省もこれに力を入れられて、そうしてそういうのを解決していっておると言われることもわかりますけれども、これは放っておいても、食えない人は何らかの方法で食っていく、これもまたあり得るのでございます。それを抜本的にあなたの、今ここで私が迫っても、それはおそくないと思うのですけれども、先ほどの労働金庫等の問題からも考えて、預託を相当していただくとか、あるいはその欠損に対する何かの国の施策を講じていただくとかするならば、実際助かる人間がたくさんおるではありませんか、こういうことなんです。それを何かあまりにも大きく考えられて、私はまたそれを望みますけれども、それが一挙にできるとは私は思っておりません。しかしそういう実情があるということは、特にこれがしわ寄せされておる福岡県の炭鉱につきましては、その専門家であられる西田労働大臣は、何かの対策もお考えになっておるということも考えておりますので、労働金庫について先ほどの関連質問で申し上げたわけでございますから、労働金庫に対して何か名案ございましたら、お示し願いたい。
  115. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 労働金庫の預託の問題は、予算委員会でも取り上げられておりますし、回り道せずに直接預託できるようにせよという意見が予算委員会にだいぶん出ておりました。大蔵大臣はそうしなくても資金に困るようなことはないように善処いたしておるからという答弁をしておりましたが、これは実際問題としまして現在の法律を変えない限り、預託ができないことになっておりますが、現在の状態のままで労働金庫は必ずしも資金的にしょっちゅう行き詰まっておるとは考えておりません。潤沢に預託ができて資金が回転するようになれば、労働金庫としては資金的に行き詰まりをきたさないで運営ができると考えております。阿具根さんの言われる全般的な問題については、そういう事実がたくさんあるということも私は承知いたしております。しかし私の基本的な考え方を申し上げますというと、国全体の問題とその一部に起きておる現象形態とを考えあわせて、そうして法制というものはすべきであって、一部のもの一部のものについて特別な法制をしていくということは、これは法制上現在の情勢下においてはどうかと考えております。しかし状態として何%かあるいは何十%かのものが常にそういう状態におかれるという経済実態の見通しがそういう見通しになれば、これは多数の人の生活ができないということを救う意味においては、これは国の最終負担において何らかの法的措置も講じなければならぬかとも考えておりますけれども、今ここでは十六億程度の遅配、欠配のあれがあります。全体的にみれば僅少であるかもわかりませんが、遅配、欠配の影響を受けておる人からみれば、これは非常に重大な問題と考えております。従ってこういうものに対しまして将来何らか法的措置をせねばならないという必要性は私感じないわけじゃございませんけれども、現段階としましては今すぐに立法措置をやって、こういう問題を一切解消してしまうという方法が、永久にいいか悪いかという末長い問題としてまだ私はっきりした決意をいたしかねております。
  116. 高野一夫

    高野一夫君 さっきの山本委員の御質問に関連してくると思うのですが、山本委員の御質問に対して労働大臣の御答弁の中に、現在の失業者を法律等によって全部救済することは不可能である。何かほかの社会保障の面で解決するよりほかあるまいと、こういうような御答弁でありたように記憶しております。ちょっとメモも取っております。ところで失業対策もわれわれは社会保障の一面だと思うのでございますが、単に社会保障といっても、いろいろな面がある。いろいろなやり方があるわけでありますから、この現在失業対策なんかで救済する、そのほかの救済が不可能であるから社会保障の面でやるということは、社会保障のあれとしてどういうようなやり方で、どういうような社会保障のやり方でやったらば救済することができるであろうというふうにお考えであるか、大ざっぱな問題として御意見を伺っておきたいと思います。
  117. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。  私は失業対策事業で吸収できないものを社会保障でやれとはお答えはしなかったと思っておりますが、しかし失業対策事業は御承知のように社会保障の一環でございまして、今までやられてきた失業対策事業と申しますのは、失業者になったらみな失業対策事業の対象にしておった。そういうことが多かったように私は承知いたしております。私の基本的な考え方は、社会保障と申しましても、その中の生活保護法によるあれでございますか、失業者であっても労働能力の非常に悪い人、言いかえて申しますならば十のものを必要とする場合に二か三しかないという人までも失業対策事業の対象人員として考えることは少し無理ではないか。そういう人は生活保護法の適用を受けることの方が妥当であって、失業対策事業とはいいながら、これはただ生活させるだけの金を働かないでもやるという考え方に基いてではなくて、やはり一種の労働の対価として賃金を給与する。そうしてこういう人たちが失業対策事業でなくてまた他の機会に雇用の機会が認められた場合においては、完全な労働力を持った人として雇用契約が成立するような人をまず第一対象にすべきである。そうして一〇〇%でなくても、八〇%ある人には八〇%程度の失業対策事業を考えるべきである。六〇%ある人には六〇%程度の失業対策事業を考えるべきである。従ってはっきりした線をどこに引くかということは、現在はまだ徹底しておりませんけれども、まあ半分以下の労働能力しか持たないような人たちを失業対策事業の対象として考えることは、少しこれは無理があるのじゃないか、こういうふうな考え方を私自身持っております。
  118. 高野一夫

    高野一夫君 先ほどお話を今分析されたわけなんでしょうが、先ほどは労働にたえる者とたえない者とに区別して御説明がなかったように私は思うのですが、その点労働にたえないような者、あるいは半分くらいしか労働能力のないような者は全部生活保護法に吸収してしまえと、こういう簡単なるやり方のようにうかがうわけです。ところで、今度はしからば労働にたえるような者はどういうような方法でやったらばいいとお考えになるわけですか。
  119. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。今あなたの言われたほど的確に私は申し上げておりませんが、まあ五〇%以下の労働能力しかない、持たないような人たちは、結局労働力を使わないでいい地方の独自のと申しますと語弊があるかもしれませんが、地方独特の、東京都で申しますならば公園の清掃事業とか何とか、あまり労働力を使わないで済むような軽い意味の失業対策事業に収容すべきであるし、また一〇〇%労働能力を持っておるような者とか、今回の予算で特別対策事業費として計上いたしておりますような、要するに重労働と申しますと語弊があるのでありますが、とにかく一〇〇%労働力を発揮して生産効率がうんと上って賃金をよけい払えるような事業を失業対策の対象といたしまして、そうしてそこに労働力をよけいに持った人を吸収する。労働力の差も現段階でははっきりはいたしておりませんけれども、八〇%、七〇%というような程度の労働力を持った人はこれは一般失業対策事業として比較的重労働でない労働に従事させるというような観点に立って失業対策事業というものを区分し、考える。そのためには失業者の内容、素質、質と申しますか、そういうものを詳細に調査をして的確につかんでいくことがこれは必要であるという観点に基いて、現在そういう調査をやらしておるのでございますが、そういうふうにいたしまして失業対策事業といえども、生産効率の上るような、将来の日本経済のために役立つような方面にできるだけ素質を持った労働者は収容していきたい、こういうふうに実は考えておるのであります。
  120. 高野一夫

    高野一夫君 そこで労働にたえない者は生活保護で救済する、それから多少の労働力のある者は清掃事業そのほかの軽い仕事を与えるように努力する。さらに労働にたえるような者はその能力のパーセンテージは別として、もっと重労働の仕事を与えるようにすると、こういうようなことで、それで失業対策事業として一般そのほか特別失対の事業があるけれども、この方は十九万人中わずか三万人にすぎないわけなのですが、さような段階を設けましてもそういうような考え方でもって、あなたが非常に御心配になっている現在の失業者を救済することができるかどうかということについて、その御調査の結果でないとわからぬかもしれませんけれども、大体の見当はおつきになると思うのですが、大体の御見当でけっこうなのですが、現在の失業者を今あなたのおっしゃるようなそういう段階的の方法で一つ対策を講じてやるということにして、救済ができるとお考えになりますか。
  121. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 今度の予算に計上しております金額の対象となっておりますのは、二十九年度に比較いたしまして三十年度で労働人口が八十数万ふえるだろう、この八十数万ふえる労働人口を経済六カ年計画の線に沿ってどれだけ各産業に吸収できるかという目安をつけまして、その結果として二十万人程度の、これは新旧つきまぜてですが、三十年度に二十九年度の六十二万の完全失業者より二十万人程度失業者がふえることが予見されている。従って二十万人を対象としてこれをどう吸収をするかということを一応検討した結果が、この三十年度の予算になっておるわけでありますが、特別失対事業で三万人、一般失対事業で十九万人それから建設省の中で緊急就労対策事業費と昨年度まで言われておりましたものを、道路事業整備という名目に変っておりますが、この中で前年度九億円だったものを五十億円にして、四十一億増加しております。それからそれと鉱害復旧事業が九億であったものが、十三億二千万円計上しております。これを両方合せまして、四十五億二千万円増加しております。この金額をもちまして、二十九年であげた実績そのものをこれで掛けまして、そして約四万五千人の一日の就労ができると、こう考えております。それと国勢調査、統計調査によりまして、この知能労働者と言っては語弊があるかもしれませんが、知能的な事務屋さん的な人たちを約一万人ぐらい吸収いたしたい。それから職業補導というものをだいぶふやしました。職業補導費の増加によりまして、年間五万ないし六万の職業補導を施し、予算に計上しておりますのは二十五日でありますが、大都市を除きまして二十一日で換算いたしますと約十四万人、これに職業補導所に収容する者の五万ないし六万を加えますと、どうにか二十万人の失業者が増加した程度ならば切り抜けていける、こういう大体予定に基きまして三十年度の予算を計上した。
  122. 高野一夫

    高野一夫君 私が前回お尋ねしたのは、ただいま大臣が御説明になった一端にありますところの、各種産業がどの程度労働力を吸収し得るかと、この点を伺いたい思って実は前回も、しつこくお尋ねしたわけなのですが、しかしそれについては的確なる御答弁を得なかったわけです。それで一応今後の質問を申し上げるその資料がほしいので、基本の資料を今要求しているわけなのです。失業者の救済事業にいたしましても、各種産業の労働者の吸収条件にいたしましても、前回の私の質問はその基本になると考えます。ところで今お話を伺っておりますと、非常に詳細なる数字をずいぶん御承知のようでございまするしいたしますのですが、その資料なくして私がお尋ねしても、十分御答弁ができるのじゃないか知らんと私は思うのですけれども、この間はそうでなかった。きょうは非常に詳細なる御答弁ができるように思いますが、どうしましょうか、資料が出てからお尋ねしましょうか。それとも時間もありませんけれども、何だったらお尋ねしましょうか。
  123. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。この次にお出しするように準備いたしておりますので、これは経済六カ年計画に伴って、労働省としてこれに対してどういう計画を立てるかという概括的の計画の数字でございますけれども、御請求がありましたので、今準備をしております。資料が出ましてから、お尋ね下さってよろしゅうございます。
  124. 山下義信

    山下義信君 関連しまして私も資料をお願いしたいのですが、今の御説明の中に労働能力を調査して、何というか普通の労働に従事させる。それから労働能力の欠除しておる者、低い者については軽易な作業をやらせるという構想、それについては失業者の労働能力を調査をして、そして分類してやるのだという今度のあなたの失業対策の、これは一つの重大なポイントとも考えております。議論はきょうはしませんが、その労働能力の調査というのはまだできていないということをさっきおっしゃったが、できていなければ計画が立たぬのであって、これは相当前から、私どもは労働のことはよくわからぬけれども、耳にしておるところでは、だんだんと政府は俗にいうニコヨンと言われる人たちについても、相当労働能力についての調査をずっと前からしておるように仄聞しておる。私が聞いておるのが間違いならば私の聞き間違いであるが、そこで失業対策を立てるときには、すでにそういう労働能力の、失業者の一部の人たちが対象となるべきもののその調査というものはほぼまとまっていなければならぬと思う。先ほど高野委員も、どうか、その調査ができておるかというふうに言及されたようであったが、まだできてないと言われたが、おそらくある程度できていて、どの程度、今大臣は五〇%云々と言われたが、たとえば老齢者とか婦人とかといったそういう労働能力の低い対象は失業者の中でも大ずかみだが、六〇%あるいはそれ以上と言われておる。それで調査の結果がどういうふうであったかということがすでにつかんでおいでにならなきゃならぬと思うのですが、政府の方でその失業者の労働能力の調査ができておれば、その大体の現在までキャッチされておるその状況を資料として出していただきたい。それからまだ調査ができていないのか。それならばできていなければ、いつごろできるのかということを承わりたいが、大体できておるのだろうと思うから、それに関する資料を一つ出していただきたい。それからそのやり方というものは、私はその資料について関連して伺うのですが、今のように二種類かあるいは三種類か知らぬが、二種類に分けるというのは、従来からあるいわゆる日雇労働者というか、その対象にのみなされるのか。今御説明があった今年度のいわゆる新しい失業者と見られるいわゆる各方面へ吸収した雇用量をオーバーした新しい失業者と思われる者が約二十万と言われた。それにもやはりそういうふうなシステムでいこうとするのか。その辺はどう考えておられるのでしょうか。
  125. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。山下さんのお話しでございますが、これは私労働大臣になりまして、そういう調査ができておるかどうかということを労働省の職安局長に聞きましたところが、できてないということでございますから、それではいけない、各職安を通じて早急に各職安別の労働実務の内容、技術者がおれば技術の内容、ある程度そういうものが加味されて失業対策事業の資料に使われるそういう数字がわかってなくて失業対策事業はできるものでない。一応三十年度予算は大体の見当に基いて予算を作るとして、早急に調査して、事業を実施する場合においてはそういう内容をつかんだ上で一日も早く実施できるように準備をせよ、こういうことを命じておりますが、まだまだ実際はその資料等ができておりません。それからあとの問題は、三十年度で完全失業者が二十万人近くふえるであろうという人たちも対象の中に入れて三十年度予算を作ったのであります。
  126. 山下義信

    山下義信君 その基礎調査ができてないということになりますと、これは議論にならぬのですが、そうすると、たとえばこれも私の質問の時間になったときにでも詳しく承わらなければならぬが、たとえば建設関係あるいは運輸方面に失業者を回すというから、今あなたがおっしゃったような軽易な作業をやらせる、こういうふうに分類する、そういう場合における賃金はどういうふうに考えておられますか。
  127. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 詳細の数字は職安局長からお答えさせますが、特別失業対策事業の一人当りの労銀と一般失業対策事業の一人当りの労銀とは相当差がついております。詳しい金額は職安局長からお答えさせます。
  128. 山下義信

    山下義信君 労働省が従来一般であろうと特別であろうと何であろうと、直轄に全部労働省でもって統括してやっておった。今度は何ですか、ただ仕事をさせる現場の指図とか使い方という、ものだけを建設省とか運輸省とかいうものといわば協力というか、あなた方のプランで言えば総合的にと言われるのだが、ただそれを向うへまかせるというだけなんですか。賃金とか何とかそういうものはもとよりあなたの方ですべて立てて、その建前でただ現業の面のみを建設、運輸にやらせるのでしょうか。ですから賃金というものをあなたの方ですべて立てるのでしょうね。その賃金が従来と同じなものというのならば、失業対策にいわゆる新政策を加味したという意味が私は非常に薄いと思う。でありますから、その分類とか建前とかいったものはよくわかるのだが、その裏付けはやはり普通の労働者というか、その能力に応じた面の仕事をさせてそれを回すというならば、賃金の内容というものも変ってこなければならぬ、私はそう思う。そういう方面の構想はどうなっておりますか。
  129. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 御説の通りでございまして、本年度の特別失業対策事業につきましては、賃金の面も資材、材料の面も相当金額をふやしております。そして十分に建設的な事業がやっていかれるだけの、万全ではありませんけれども、これならやっていけるという金額は組まれておりまして、予算面では一人当り材料費と事務費と人件費を加えますと、六百円近い金額が計上をされております。
  130. 山下義信

    山下義信君 配付せられました予算の資料を見ると、特別失対あるいはその他においての事務費というか、物件費というか、そういうものの単価は出ているのですが、賃金の単価が出ていないのです。それで私は承わっているのです。もし従来のような賃金単価ならばおかしいので、新しい賃金単価をお立てにならなければ予算の積算ができないはずなんです。今のようにたとえば物件費だけを、資材費だけを少し上げたというのならば賃金に食い込むことになるので、ですから今回やろうとなされる失業対策の賃金についてのいわゆる何というか、賃金表というか、そういうものを一つ承わりたいと、こう思うのです。
  131. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 現在実施いたしております一般の失業対策事業の賃金は、これは全部の平均でございますが、一日二百八十円でございます。今回の特別失業対策事業は特に建設的な重労働が多いのでございますので、それより若干高くいたしまして、三百三十六円という単価になっております。
  132. 山下義信

    山下義信君 そうすると、今の軽易な作業をやらせるという分の賃金はどうですか。これは従来の通りですか。
  133. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 一般の失業対策事業につきましては、従来と同様でございます。ただこの二百八十円と申しますのは、全国平均の賃金でございますので、実際これを各地におきまして支払います場合には、おのおのその労働者の能率、あるいは労働力に応じまして、上と下に相当差をつけて出すわけでございます。
  134. 山下義信

    山下義信君 私は職安局長または労働大臣、これは困るのです。軽易な作業をさせると称して、われわれの方では、これは賃金を切り下げるのだな、婦人や老人には、お前は労働能力が低いからというので従来よりは賃金を切り下げる考えを持っているなというふうにこれを私は邪推している。その邪推でないことをここではっきり言明しておいてもらいたい。ことに従来の日雇いのその人たちが大義名分はいかにももっともらしいのですよ。君たちはからだも悪いのだし、老齢でもあるのだし、作業能力は低いから、こういう軽い仕事を、衛生掃除なんかしたら疲れなくていいだろう、やさしいように見せておいて、そうして賃金を半分にしようというのでは、失業対策にも何にもなるのではなくて、ますますそのものを生活困難な境地に陥れて、あとは生活保護法でしてもらえ、そうじゃないでしょう。ですから軽い作業をさせるけれども、賃金は従来より落さぬのだということでなければ、ほんとうのよい意味の失業対策にはならない。失業者を困らせるというのじゃ失業対策にはならぬ。ですから作業は軽いのを与えるというのは、その能力に応じて与えるのであって、従ってその賃金を切り下げるというのじゃ、私はその者をまた救済しなければならぬ、失業対策のまた救済対策が要る。それじゃ困った悪循環で、そういう賃金の切り下げをやらないということをこの場で言明していただかなくちゃ何ともならぬと思うのですが。
  135. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 私が今失業対策事業と申しますのは、社会事業の一環になっておりますので、労働者の賃金の一〇〇%だ、二〇%だ、倍率によってきめようということは決して考えておりません。が具体的な問題は、私どういうふうに今までやられておったかしりませんけれども、具体的な一番安かった賃金と、一般失業対策の一番高かった賃金はどういうようになっておるかは職安局長から。
  136. 山下義信

    山下義信君 それでは局長答弁を聞きますが、前提を議論しておってはきりがないのですが、しかし現在の賃金で十分だという考え方ならば、それは重い者の方にしわ寄せして、軽い者は少々割り引きするという考え方で、今だって足りないのだから。だからこれを軽易作業にしたら安くてもいいという理論は成り立たない。そういうような理論に合わないような答弁は職安局長はしないようにあらかじめ注文しておきますから、理論に合うような答弁をしていただきたい。
  137. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 実は失業対策事業の方の賃金のきめ方でございますが、御承知通りの緊急失業対策法によりまして、その地方々々に行われております職種別賃金と比較いたしまして、それを基礎に決定をするわけでございます。考え方といたしましては、今先生のおっしゃったように全部同じだという考え方ももちろんとれないことはございませんけれども、しかしながら従来私どものやって参りましたやり方といたしましては、応能性賃金、すなわちやはり仕事の内容によりまして、それぞれその個人につきまして差を設けて賃金をきめておるというのでございます。失業対策事業といいましてもなかなか内容がいろいろございまして、一番高いものはほんとうの意味の重作業というものも相当ございます。他面におきましては、ごく簡易な草むしり、あるいは掃除というようなものもございます。これを実は全部一緒ということは結局私どもの方からいたしますと、どうも労働者を働かせない、どうもニコヨンがこのごろさっぱり働かないというような声も一面に上っておりますので、どうしても格差をつけることは、これはやむを得ないと思います。ただ民間とは違いまして、これはやはり一種の広い意味の社会保障制度の一環にもつながるものでございますので、あまりそういう大きな格差はつけないということで、現在まで指導いたしておるのでございます。東京都あたりでは、相当建設的な道路事業等もやっておるし、そういう地方におきましては、相当高い賃金が払われておるのでございます。各県、各都市によりまして、全部賃金が違っておるのでございまして、今私それを全部ここで申し上げる資料を持っておりませんけれども、考え方はそういうような考え方で従来実施いたしております。
  138. 山下義信

    山下義信君 この問題は他日に保留しておきますから、それで政府に資料を要求いたしますが、できるだけあなたの方の計画の具体的な、詳細な構想を資料としていただきたいと思います。委員長よろしくお願いいたします。
  139. 相馬助治

    ○相馬助治君 私はきょうは質問する熱意を失っておるのです。それはなぜかというと、重大な資料がここに配付されていないからです。私がきょう政府を責めない理由は、榊原高野委員から要求した資料というものは、きわめて膨大にして、しかも克明なものであると私自身予想しているからです。紙っぺらの五、六枚が配られると思っていないから、当然それだけの余裕がなくちゃならないと思って、きょうは私は政府を責めない。そこで私はこの際、一回労働大臣に明確にしておいていただきたいと思うことは、きょう質問をやっていても食い違いがあるのじゃないかと思うことは、この間資料を要求した榊原高野委員を初めとして、質問をした人々は、この労働省の今年度の予算は、総合経済六カ年計画の初年度の計画の予算であるという一応の前提に立ってものを聞いておると思う。このままでいくというと、六年後には完全雇用で、民主党の公約によれば完全雇用が確立される。ところが今年の予算を六年積み上げてみても、完全雇用になるとはさらさら考えられない。むしろ私は日本の憲政史上始まって以来、最も悪質な予算がわれわれの前に出ていると、ちょっと大げさな表現をすればそういうふうに考えておる。そこで私は労働大臣にはっきり伺っておきたいことは、今年度の労働省予算は、総合経済六カ年計画に基く初年度計画の予算だ、若干大蔵省から、け飛ばされたという点はあるが、そういう性質のものなのであると、かように限定されているか、あるいはしからずか。しからずであるというならば、これは審議に値しない、国民を欺く予算であるからして、われわれは考え直さなくちゃならぬと考えておる。それをお尋ねするのが一つ。  第二には、榊原高野委員から要求になっている資料というものは、労働省だけでできると私は思っておらないのです。ただいま山下委員質問に対しても、基礎資料が不十分であるということを西田労働大臣は率直にお答えしております。態度はきわめてけっこうだが、どうも内容的にきわめて不満です。そこでこの総合経済六カ年計画の数字がわれわれの前に近い将来の他日に示されるわけだが、それは各省に連関して鳩山内閣の施政をうかがうに足る規模と内容を持っていると期待しているのである。という理由は、失業の対策について、ただ単に年間、本年は二十万と仰せられたが、それを全部ニコヨンにして、草むしりさせて働かせて、それで給料をくれると私は考えていない。農林業に関してはどれだけの失業が出て、どれだけ救済されるということが計画されて、初めて総合計画だと私は考えておるのでございますが、御承知のように、農林予算を見ますと、土地改良費というのは、自由党時代より大幅に減額されておることは、大臣も御承知通りでございます。そこで今作っている資料は、ただ単に労働省の事務官があっちこっちから数字を拾い集めて作っているのではなくて、鳩山内閣の一つの施政を示すところの規模と内容を含んでいるものが提示されるものと期待しているが、それで差しつかえないかどうか、この二点を念のために伺っておきたいと思います。
  140. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) 第一点の御質問お答えいたします。この前もちょっと申し上げたと思いますが、さっきから申し上げますように、失業対策事業といたしましても、相当生産効率の上るように、日本経済に将来とも寄与できるような観点に立って、国自体が直接に国の負担において行うべきもの、地方は地方の特有によって生ずる失業者もありましょうし、また地方は地方でやらなければならない仕事もありましょうし、そういう地方自体の観点に立ってそれを重点的に考えてやる失業対策事業、こういう大体二つに分けて失業対策というものを考えた方がいいのじゃないか、従って国がやる失業対策事業といたしましては全額国庫負担、そうして国の計画に基いて生産効率の高い、将来経済に寄与できるようなものを失業対策事業として失業人員の吸収をはかるというのが一つの方法である、こういうふうに考えまして、大蔵省に予算を請求いたします場合においては、特別失業対策事業というのに、的確な資料を持っておりませんが、今までの話を聞きまして調査を命じました。調査のでき上るのを待って予算の請求をしたのでは間に合いませんので、一応目安をつけまして大蔵省と折衝いたしました。その結果として現在提出しております予算がまとまったわけでございます。これに対して大蔵省は、全額国庫負担というのを、五分の四程度でがまんしろ、材料費につきましては、四十何円かというのを二百十円に上げました。これは認めてくれました。それから失業の人員に対しましても、これはお互いに御理解願えると思うのですが、労働省としましては、経済六カ年計画で二十万程度の失業者はふえるであろうという表現で出しております。しかし労働省自体としては二十万ふえるならば、二十一万、二十二万ととった方が楽でありますので、十分にできるという人数を予算に要求いたしました。それが特別対策事業で三万人、一般対策事業で十九万人というふうに限定されて予算が減っております。相馬さんのおっしゃる経済六カ年計画の初年度としての労働対策を考えて立てたのかという御質問に対しましては、経済六カ年計画に基いて初年度想定される増加する失業者、完全失業者、それから二十九年度までで実際におる完全失業者の職を求めに来て職を与えた実数、この二つのものを関連せしめまして、そして失業対世事業によって吸収する人員というものを一応想定したのが、この予算になっております。  それからお尋ねの鳩山内閣の全体の施政に関するものとしての資料を要求されておりますが、そういう意味合いにおける資料ならば、実に膨大なものになるだろうと思います。私どもとしましては、経済六カ年計画で一応指示された抽象的と申しますか、総括的と申しますか、あなた方もお読みになったと思いますが、その表現に基く労働行政担当の面だけを考えまして、そしてそれが実際面として個々の産業にどういうふうな状態で吸収されるだろうかということを労働省自体として一応研究をして、案を作って、かくかくになるであろうという推定をいたしました数字を当委員会に御提出をしたものと、考えております。
  141. 相馬助治

    ○相馬助治君 今の御答弁は、この限りにおいてはきわめて誠意のあるものだと、私は思って聞いておきますが、内容はどうも私の聞きたいことにぴんと触れていない。もう一応念を押したいと思いますが、一枚の紙っぺらをこの前配られて、総合経済六カ年計画の目標年次における主要経済指標というのがありますが、昭和二十八年度から三十五年度にぽっと飛んでおりますが、この資料の元をなしたものは、労働省自身のこれは資料ですか、それとも経審その他との連携をとったもっと膨大なものがあって、それを抽出したものがこれなのですか。そのことだけをちょっと伺っておきたい。
  142. 江下孝

    政府委員(江下孝君) お答えいたします。最終年度だけあげております。この年度の中間分につきましては、一応経審で考えましたものを基礎として考えたのでございます。
  143. 榊原亨

    榊原亨君 ただいま相馬委員がいろいろ御質問になりました通り、私は政府から総合経済六カ年計画の詳細な資料が出ました上で質問いたしたいと存じておりますが、ただ一点だけ労働大臣質問いたしたいと思います。それは鳩山内閣がお考えになっていらっしゃいます完全雇用と申しますのは、労働人口の何%が完全失業者で、並びに潜在失業者が何%である状態を完全雇用とお考えになっていらっしゃるか、その点を一つ念のためにお伺いしておきます。
  144. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。非常にむずかしい問題でございますが、経済六カ年計画で一応対象にしておりますのは、完全失業者だけを対象にいたして経済六カ年計画では表現しております。その表現によりますと、最終年度において総労働人口の一%、総労働人口が四千三百五十万人と想定しまして、四十三万五千の完全失業者の状態で食いとめたい、こういうふうな表現を経済六カ年計画ではやっております。
  145. 山下義信

    山下義信君 関連して私も後学のために承わっておきたいんですが、通常の産業摩擦における失業者の率はどうですか。私ども大体二・五%か三%がノーマルな状態だ、それを一%にするということは開闢以来のこれは理想的――理想的でけっこうで、悪いことではないですが、通常の産業摩擦における失業者の率はどういう工合に考えていますか。
  146. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 委員のおっしゃいますように、私の浅学な知識でございますが、失業者の摩擦失業の率といたしましては、仰せの通り三%程度ということが一応諸外国の例になっておるようでございます。日本の場合最終年度におきまして、六カ年計画の最終年度におきまして一%といたしておりますが、これにつきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、一応完全失業者を対象といたしておりまするので、率といたしましては非常に僅少になっております。
  147. 藤原道子

    ○藤原道子君 私も今日は質問を申し上げるつもりではないのでしたが、ちょっと関連して一点だけお伺いしておきたい。もしお答えができなかったら、資料といたしまして御提出を願いたいと思うのでございますが、先ほど来質疑応答を伺っておりまして、私非常に不満足なのでございます。きれいごとでは私は解決できない事態に立ち至っておると思います。しかも今の政治の悪いしわ寄せ、その犠牲は弱い面へ、弱い面へと集約されております。賃金が不払いであるため、あるいは失業者の家庭であるため、今どんな困難な状態であるかということは、ここで質疑応答をしておるような状態ではないと思うのです。妻を売り、子供を売り、まことに悲惨な状態になっておるということは、もう大臣も御承知だろうと思うのです。だからこうして質問応答をしておるときにも、何人かの人がその肉体を売られ、あるいは生活苦から自殺していっておるというような今日の差し迫った状態だと思うのでございますが、私は今日お伺いしておきたいのは、そうした政治の貧困の犠牲になって、さらに生活の最終の犠牲になっておる身売りされた女性たち、この間も福岡では身売りをした妻のところへ行って、夫がその遊廓でダイナマイト心中をしておる。ここまでも犠牲はそういう深刻な状態まできておるわけでございます。ところがその一番最後の弱い犠牲者の肉体を搾取する業者の存在することは大臣も御案内の通りなんです。ところが従来は、芸者置屋というものに対してあまり手が打たれていなかったと思うのですが、昭和二十九年の十月十三日ですか十五日ですか、労働省の職業安定局長から指令が出ておりますが、従来芸者置屋ですか、検番ですか、これをいわゆる有料の職業安定事業として許可の対象としておいでになる。けれどもその実情がこの安定事業の許可を悪用して、合法の陰に隠れていろいろ好ましくない行為が顕著になってきたというような理由で、これを職業安定事業の対象からおはずしになる、そうして将来は、これを芸者の保護とか何とかというような意味からして、労働基準監督機関がこれを扱うというような指令をお出しになられているのでございますが、今後は許可の対象にしない、これはわかるのです。ところが今日厳然として置屋というものが悪質な周旋をやっておることも、また御案内の通りです。今まで許可したものは認めておいでになるのか、これももう認めないで処罰の――取締りの対象にされるのか。今日その後の置屋、検番なるものがどういう状態にあるかということを御調査になられておるか、そうしてそれに対してどういう手を打っておいでになるかという点をお伺いしたい。  それから労働基準監督局でどの程度に芸者を保護しておいでになるか。ことに児童福祉法違反が続々として起っております。これは調べればどんな置屋でも出てくるだろうと思うのですが、どの程度の熱意をもってこれに当っておいでになるかということについて私はお伺いをし、もし調査が不行き届きでございましたら、一つ資料としてお出し願いたい。
  148. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。労働基準局関係がおもなように考えますので、どういうふうな取扱いをして来たかという問題について労働基準局長から御答弁を申し上げます。
  149. 富樫総一

    政府委員(富樫総一君) お尋ねの件でございますが、お話通り芸妓置屋から芸妓が客席にはべりますことなどにつきましては、これは主として希望によって処置したのでございますが、有料職業紹介事業の範囲に入れまして、許可の対象といたしたことがございます。しかしながらその後実施の過程を経て見ておりますと、現実にはその通牒に書いてありますように、労働大臣許可ということを表看板に置いて売淫等の行為が行われる、労働大臣がこれを認可するということはどう考えてみましても適当でない。これについてはむしろそういう実際上法的にも疑問のある措置は打ち切りまして、むしろ労働基準監督署あるいは警察機関等と一体となって、実態を把握して適切な取締りをした方がいいであろう、こういう考え方でやめたのでございます。  やめました後の問題でございますが、これにつきましては、今申し上げましたように労働省の各出先機関がそれぞれ一体となりまして、各現場の調査等について措置をいたしておるのでございますが、今おっしゃいました資料というのは、どういう資料でございますか。
  150. 藤原道子

    ○藤原道子君 許可の対象にしないことに決定しているという通牒が出ているけれども、厳然としてその職業が続けられておるが、これを見逃しておいでになるのか、すでに許可したものは、そのままお許しになっておられるのか、これも対象にされたかという点。
  151. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 一応現在許可をしておりますものも、全部許可の対象からはずしたのでございます。
  152. 藤原道子

    ○藤原道子君 そうすると、許可の対象からはずしただけで、その後相変らずずっと職業をやっておることについてどういう手をお打ちになったか、また、将来どうされるおつもりですか。
  153. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 先ほど申し上げましたように、これは職業安定所だけの力ではなかなかむずかしい問題でございます。私どもとしても、この人身売買的なものといたしましては、政府の関係機関が全部横縦の連絡を十分とりまして、協力一致取締りを行うというほかには方法がございませんので、その点につきましてはお手元の通牒にも若干触れておいたのでございます。なお、この監督署等におきましても、十分その点について監督をいたしておると思いますが、具体的にどういう事例と言われましても、今ちょっとここで御説明できないのでございますが……。
  154. 藤原道子

    ○藤原道子君 この通牒の出たのは去年の十月なんです。今月は五月で、相当の日時が経過しておりますが、その後にそれならどういう状態にあるか、それから関係機関と協議され、そうしてその対策を樹立されたのか、何回くらいおいでになったか、これを伺いたい、通知の出しっ放しでは困るのです。
  155. 江下孝

    政府委員(江下孝君) 先ほど申し上げましたのは、職業安定局といたしましては、これは法的に規制すべき範囲でないので法的な措置をはずしたというのでございます。もちろん政府のほかの機関におきましては、当然その法律に違反いたしますものについては、それぞれ対策を講じておるということでございます。
  156. 藤原道子

    ○藤原道子君 そうすると、基準監督局長が来ておりますが、これは……。
  157. 富樫総一

    政府委員(富樫総一君) 芸者置屋の問題を中心といたしますそういう悪質事案、これは基準法にも関係がございますが、お話のように児童福祉法の違反の方がなかなか多いようであります。その方は私ども所管でないのでよく実情を存じません。ただ、基準法に関する限りにおきましては、あるいは前借金の相殺とか、あるいは中間搾取とか、あるいは所定の労働時間違反とかという問題は、わかり次第これは厳重に処分しております。ここに資料は持って来てございませんが、大体、私の記憶におきまして、たとえば、接客業におきまする婦女子に関する中間搾取についての毎年の取締り件数として上っておりまする件数は、年に二、三百件くらい私の方でも取り上げておる、こういうような状況でございます。なお、先般来問題になっておりまする芝神明の事件につきましては、目下厳重に警視庁と連絡しつつ、基準法違反の容疑を取調べ中でございます。特別この方面に御関心の先生に今後ともいろいろ教えたり何かしていただきたいと思います。
  158. 藤原道子

    ○藤原道子君 私もこれで質問をやめますが、中間搾取とか前借金の問題等は調べれば全部だと思うのです。一年に二百件やそこらだというのでは、どうも私は納得できないのですが、労働基準監督の上から見まして、労働時間というのはどの程度見ておりますか。
  159. 富樫総一

    政府委員(富樫総一君) ここに法規を持って来ておりませんが、基準法に定めまする九時間ですか、接客業など、それから一般の女子につきまする深夜業の禁止というような事柄でございます。で、確かにお話のように、実際上二、三百件じゃあるまいということにつきましては、私も常識的に、私その方の実情はあまり存じませんが、相当たくさんあるかとも存じまするが、何分業態の性質上把握しにくいので、まあ難渋しているような状態でございます。
  160. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は質問を今日はこの程度にいたしますが、法の指令さえ出せばそれでうまく行えるというような従来のルーズのやり方では、この状態の取締りはできません。置屋も検番も指令をお出しになる前と何ら変っていない。それから前借金の相殺問題でも下部末端までは徹底していないようであります。前借金は払うものだという解釈を下しているところは多々ございます。そういうこともございませんように、法の権威が守られるように今後御指導なさることを強く要望いたし、それからあわせてこの次にもう少し具体的に伺いたいと思いますので、御勉強をしておいで願いたい。
  161. 竹中勝男

    ○竹中勝男君 大臣もお疲れのことと思いますが、われわれも疲れておりますので、一言希望にあわせて大臣から御意見を伺っておきたいのですが、先ほどからの賃金の遅欠配の問題ですが、早急に今年中にこの状態が好転するとは私ども考えておりませんので、相当やはり賃金の遅欠配はあると思います。それにつきまして、これはまあ最後の社会政策的な、現在の段階としては政府資金の府県に対する預託、これはやはり相当大幅に今年は準備をしていただきたいと思うのですが、これはどういうふうになるか、私どもも財政的な措置のことはわかりませんけれども、この点に労働省としては十分腹をきめて、この遅欠配の問題を少しでも緩和するという決意をしていただきたいと思っておりますが、大臣の御決意を伺いたい。
  162. 西田隆男

    国務大臣西田隆男君) お答えいたします。  今回の予算の編成に当りましても、国民金融公庫とか、あるいは中小企業金融公庫、その他等の中小弱小企業に対する原資の問題は、大蔵省といたしましても相当取り上げておりまして、原資の少い割りにかかわらず、ある程度の預託をするような予算が編成されておりますが、これでもって十分とは考えておりません。御承知のように予算書を見ていただくとわかると思いますが、財政投融資の面において実に窮屈な今度は予算を編成しております。もし予算実行の過程において足りないということがありました場合においては、労働省といたしましても一生懸命に一つそういうことがないように、解消できるように努力いたしたいと思っております。
  163. 小林英三

    委員長小林英三君) 本日の質疑はこの程度にいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  164. 小林英三

    委員長小林英三君) それでは本日はこの程度で散会いたします。    午後三時五十九分散会