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衆議院議員(楯兼次郎君) お手元へ印刷物として差し上げてありますが、衆議院の方では各党から一名出まして、これを四つに分けまして
提案をいたしました。しかし軍復をする点がたくさんございますので、国土開発縦貫自動車道建設要綱について、私
提案説明をさせていただきたいと思います。
これは第一に目的がうたってあるわけですが、ただいま小澤
提案者代表から御
説明のありましたものを要約をいたしてあります。国土の普遍的開発をはかり、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大を期するとともに、産業発展の不可欠の基盤たる、近代高速交通体系を新たに形成させるため、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設し、及びこれと関連して新都市及び新農村の建設等を促進する。これが目的でございます。
第二に
計画の概要でございまするが、一番目として、北海道から九州に至る約三千キロ延長の高速幹線自動車道を国土を縦貫させ、重要経済地域を最短距離、最短時間で結ぶとともに、既開発及び未開発の地帯を貫通させて建設する。二番目といたしまして、前記は国土開発縦貫自動車道と称し、国が建設する。総
事業費約六千五百億円。ただし、一部について一般自動車道
事業として免許するととができる。三番目といたしまして、国土開発縦貫自動車道を幹線路線として、表、裏
日本を肋骨状に連絡する主要な道路または一般自動車道合計延長約二千五百キロを整備し、あわせて高速自動車交通網を形成させる。所要経費約一千二百億円であります。四番目として、以上の高速自動車交通網配置図は、別掲のとおりである。五番目といたしまして、これら自動車道の建設と並行して沿線地帯の資源開発、耕地牧野草地改良、鉱工業立地条件整備、新都市および新農村建設等の開発
事業の
計画的
実施を促進する。六番目といたしまして、農耕地の潰廃をできるだけ避け、移転等のやむなくする住民に対しては、定住地設定等の補償
事業を同時に行う。
第三項目といたしまして、
計画実施による経済社会効果でありまするが、第一番目としまして、わが国土の縦長なこと及び背稜山脈の存在が近代高速交通を妨げていたのに対し、時間距離を従来の三分の一ないし二分の一に短縮し、重要都市に東京または大阪からおよそ一日行程で到達できることとなるわけであります。
二番目に、近代高速交通路として、輸送コストの引き下げおよび物資交流の迅速化による産業発展の基盤となる。三番目に、交通利便によって電源および資源地帯に適地産業を立地させることができ、鉱工業の立地条件の適正化による企業合理化の促進に寄与することができる。次に、沿線地帯における開拓適地、牧野草地の開発により酪農牧畜中心の農業生産の画期的振興を期することができ、総合的な食糧増産をはかり、国際収支の圧迫を緩和するとともに、増加する農村二、三男をここに吸収するととができると思います。次に、交通利便によって大都市圏に衛星都市を、
地方に産業都市を建設し、人口の大都市への過集中を防止することができるわけであります。次に、国際観光ルートの完成による外貨収入の増加を期待することができる。また最有効の就労
対策事業ともなるわけであります。
第四項目といたしまして、
実施方法を簡結に申し上げますると、国土開発縦貫自動車道建設、これに連絡する主要な道路または一般自動車道整備、沿線の開発
事業等について国が総合
計画を樹立し、これに基く効率的
実施をはかる。次に、国土開発縦貫自動車道については、
昭和三十一
年度よりの二十カ年
計画によるものとし、年間約二百一億円ないし三百億円の
財政投融資をはかる。次に、国土開発縦貫自動車道
建設法を制定し、
予定線および建設線の決定、継続
予算制の
実施、
資金融通等をはかる。次に、国において国土開発縦貫自動車道を建設する場合には、
日本国有自動車道公社(仮称でありまするが、)を設立し、国土開発縦貫自動車道にかかわる国営自動車道
事業、同自動車運送
事業および関連開発
事業も能率的経営に当らしめる。
次に、第一期の
事業といたしまして、東京、大阪間、いわゆる中央自動車道と言われているのを建設をし
ようというのでございます。これが四百五十キロでございまして、
昭和三十
年度、本
年度調査をいたしまして、来年から三十五年まで五カ年の
事業計画によって
実施をいたします。で、同
事業費は約千三百五十億円という
ように計算をいたしておるわけでございます。で、この
事業によりまして、
地方の青年を年間約十万人、この
事業に吸収をいたしまして、技術的訓練を与えつつ、近代的土木
施工に当らしめ、厳正
施工、能率
施工を期するとともに、有為な
地方青年の就労自立
対策といたしたいと思います。
次に、財源の問題でございまするが、
提案者といたしましては、
電源開発に引き続く産業発展のための重点
事業としての重点的
財政投融資をいただく、こういうふうに
考えております。それからなお、国土開発縦貫自動車道
事業債券の発行による民間その他資本の導入。それから
事業の経営は有料制による収入によってこれを返還をし、維持をしていこう。なお、就労
対策事業といたしましても、国庫負担をお願いをいたしたい。
で、いろいろ
計画の表がございまするが、ただいま読み上げました以下の表には、やや数字的なものが載っておりまするので、ごらんを願いたいと思うわけでございます。
次に、
建設法でありまするが、
建設法の条文につきまして、もはや申し上げる必要はないかと思いまするが、順序でございまするので、なるべく簡潔に早く一条ごとに申し上げてみたいと思います。
第一条は、この
法律の目的でございまするが、
提案趣旨に申し述べた
通りでございますが、第一第一に、国土を縦貫する高速幹線自動車道を開設すること、第二に、これとあわせてその支線となるべさ主要な道路または一般自動車道の整備を促進し、その組み合せで、道路網、
鉄道網に次ぐ、第三陸上交通路としての高速自動車交通網を新たに形成することがうたってあります。第三に、この高速自動車交通網の形成をもとといたしまして、国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大をはかるため、その集約として、沿線地帯における新都市及び新農村の建設を促進すること。以上が目的でございます。
第二条は、定義でございまして、この
法律で、国土開発縦貫自動車道とは、「もっぱら自動車の交通の用に供する道」たる自動車道を言っておりまして、道路運送法の
適用を受けるものでありまして、これは運輸及び建設両省の共管事項に属するものであります。従いまして、道路法の
適用を受ける「一般交通の用に供する道」たる道路とは区別されるものであります。
第三条は、本
法案中最も重要な条項でございまして、国土開発縦貫自動車道すなわち高速幹線自動車道として、国において建設すべき路線を、
予定路線として設定しておるのであります。中央自動車道ほか六自動車道を
予定路線とし、別表に、その路線名、起点、終点及び主たる経過地を定めております。その経過地につきましては、一県に一ケ所くらいとしましてきわめて大筋のルートを決めているのでございます。国土開発縦貫自動車は、わが国の重要地域を最短距離・最短時間で結ぶとともに、既開発及び未開発の地域を貫通する
趣旨によりまして、おのずから行くべき道は明かとなると思うのでありますが、なお
予定路線のルートの基礎は一応ペーパー・ロケーションができておるのでありますが、具体的な路線決定をいたします際には、当然この大筋のルートの
範囲で十分に検討すべきものであることは申し上げるまでもないことであります。なお、国が国土開発縦貫自動車道を建設する場合は、道路運送法中の国営自動車道
事業の規定によって行うこととなるのであります。
第四条は、前条により国が建設すべきものと定められている
予定路線であっても、その一部について、民間、
公共団体等国以外の者に対しまして、一般自動車道としての建設を免許することができるとしまして、その建設を促進することといたしておるわけでございます。ただし、この際、第五条及び第八条によりまして、
政府は必要な
資金の融通あっせんをすることができることといたしております。なお、この場合の免許は、いわゆる解除規定でありまして、被免許者は、道路運送法に定める一般自動車道
事業の免許により
事業実施をしねければならないことは当然であろうかと思うのでございます。以上の
予定路線中の免許路線につきましても、当然、高速幹線自動車道として、一貫した機能を発揮しなければならないものでありますから、自動車道の構造上またはその
事業経営上、一定の規格または基準によらしめる必要があるのでありますから、その条件を付することのあることを規定しておるのでございます。
第五条は、国土開発縦貫自動車道の建設は、陸上交通需要またはその調整上はもとより、国土総合開発上、また国家
財政資金計画上重要な意義を持つものでありますから、その所掌は運輸及び建設の両省にあるわけでありますが、そのいずれの路線をいずれの規模でいずれの時期に建設するかの建設線の基本
計画の
立案を内閣総理
大臣の責任といたしまして、
関係大臣、衆参両院議員代表及び学識経験者からなる国土開発縦貫自動車道建設審議会の議を経て、これを決定する
ようにいたしてございます。これは、産業の拡大発展の重点
事業として
電源開発に続くものと
考え、
電源開発促進法における
電源開発の扱いと同様の扱いをしているわけでございます。この内閣総理
大臣の決定いたしまする建設線の基本
計画を、運輸及び建設両省で
実施することとなるのでございます。
第六条は、前条の高速幹線自動車道の建設と並行しまして、第一条の目的を達成するためには、高速自動車交通網を形成させるため、これに接続する主要な道路または一般自動車道の建設を促進し、また国土の普遍的開発、画期的な産業の立地振興及び国民生活領域の拡大をはかるため、新都市及び新農村の建設を促進する必要があるのでありますから、内閣総理
大臣に、基本
計画に照らして、これらの事項に関する
関係省の
計画の
立案及び
実施、免許等の処分について総合調整する権限を与えておるのでございます。
以上本条及び前条によりまして、内閣総理
大臣に新たな任務が課せられておるのであります。従いまして、総理府に、この重要な行政事務を行うセクションが新たに必要となると
考えられます。とのセクションは又審議会の事務局ともなるわけであります。
第七条及び第八条は、経費に関する
措置を定めたのでございまして、国の
予算の場合には
財政法第十四条の二の「特に必要がある場合」としまして、継続費の設定を、建設線の基本
計画に照らして重要な一般自動車道
事業を経営する者に対しては、
資金の融通あっせんのできることを定めております。
第九条は、国土開発縦貫自動車道の建設に伴う犠牲者に対し、正当な補償を行うことと相待って行う必要があると認める生活再建及び環境整備のための
措置について、
政府がその
実施に努めるべきものとして、
事業の円滑な
実施と犠牲者のすみやかな回復を期待しておるのでございます。
第十条は、内閣総理
大臣が建設線の基本
計画を
立案いたしますため必要な基礎調査を
政府各機関がすみやかに
実施すべきことを定めております。その
実施方法は、内閣総理
大臣が調査基準の決定、
実施上の調整及び調査結果の統合を行い、また必要な
予算を一括計上しまして、これに基いて、必要な経費の移しかえを受け、運輸及び建設両省または
関係省がその分担に従い
実施するものとすることが最も効果的であると
考えられます。高速自動車道の建設は、総合的な技術の集積が必要であり、また国土総合開発の重要なきめ手となるものであるからであります。
第十一条から第十四条迄は、国土開発縦貫自動車道建設審議会に関する規定でありますが、本審議会は、本
法案におきましては、内閣総理
大臣の議決機関として重要な役割をになっておるのであります。
第十五条は、
政令への委任事項であります。
以上、本
法案の要旨について申述べたわけであります。
さらに、お手元に国土開発縦貫自動車道建設準備室設置案というプリントが参っております。ただいま私が読み上げました第六条のいわゆるいろいろな仕事を行うセクションの、われわれ
提案者といたしましては構想をこのプリントに刷りまして、
皆さん方に御審議をお願いするために
提案をいたしたわけでございます。すなわち、全部の
関係者が総力をあげてこの画期的な仕事をいたしまするためには、やはり総理府の審議室内にこの
ような準備室を設けまして、運輸、建設あるいは通産あるいは農林、経審、労働、厚生等の
関係各省から係官を出向をさせまして、仕事をしていくのが最も適当であろう、こういうふうに
考えまして、一応
提案者の構想をこのプリントにまとめたものでございます。
以上、簡単でございまするが、
提案説明をいたしました。本
法案は非常に、何といいまするか、
関係者の関心を呼びまして、ぜひ
一つ本
国会において通過をさしていただきたいという
ような御要請も参っておりますので、
一つ慎重御審議の上、本
国会においてぜひ
一つ通過をする
ように、
提案者を代表いたしましてお願いをいたしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。