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説明員(
鎌田隆男君) 世界中全部調べたわけではございませんが、大体ヨーロッパ、アメリカその他の国々の
住宅政策を調べてみますと、
建設費補助をやっておる所はあまりないようでございます。日本の場合には、
地方公共団体が財政的にそう諸外国の
地方公共団体ほどしっかりしていないというようなことから、日本の場合は
建設費補助をしまして
建設資金をそこで解決すると同時に、また
家賃問題にまでこれを及ぼしておる、
家賃の
補助のごとくまた取り扱う、こういう二つの、一石二鳥の
方法をとっておりますのは、日本だけのようでございます。この
方法につきましては、実はイギリスあたりでも日本はどういう
方法をとっておるかというようなことを聞かれまして、日本の場合はこういう
事情からこういう
方法をとっておるということを話しましたところ、まあ非常にうまい
方法だといって、実はイギリスのある、やはり
住宅研究者でありますが、そういう方も日本の
方法をなかなかうまい
方法だと、こういうふうにほめてくれたこともございます。
イギリスは、御
承知のように、ほとんど
公営住宅によってやっておりますが、イギリスの場合には
建設費補助はございませんで、
地方公共団体が自分の
資金をもって
建設をいたしまして、それが足りない場合には国から非常に低利の
資金を借り入れるようになっておるのでございます。低利の
資金、大体三分くらいの利回りの、借り入れの期間は六十年、そういう非常に長期の低利の金を借り入れまして
建設をいたします。それでなおかつ、その
地方の
一般家賃水準といいますか、そういうものと、今度今、六十年償還の三分の利回りというようなことで合わない部分、そういうものから出しました
家賃が合わない部分につきまして、国が
家賃補助という形をとっております。大体におきまして一戸当り——
地方公共団体が
建設をいたしまして、その
建設計画が国から許可されますと、一戸当り二十二ポンド毎年
補助を受けるような
規定になっております。もっとも特別な
住宅につきまして、たとえば
地方開発的なものとか、あるいは特別な場合、農業開発その他もありますが、そういうような特別な目的のためのものには、三十六ポンドまで
補助をするようになっております。大体そんなようなのがイギリスの
公営住宅のやり方でございます。
それからフランスにおきましては、全額国庫
補助の
住宅をやっております。これは一部でございます。この第二次世界大戦によって滅失しました
住宅を、この損傷を国が補てんをしてやるというような立場から、これは今まで私の
住宅でありましたものが戦争によって破壊を受けたという場合、これはもとと同じ原形に復帰するだけの費用を国が個人
補助をいたしております。これはいわゆる国設
住宅みたいなものでございますけれども、そういう特別な例はございますが、フランスにおきましても、大体市町村に
補助というような
関係は、やはり
家賃の
補助とかそういうことはありますが、
建設資金の
補助はございません。ただ低利の
資金を
地方公共団体に貸し付けるようなことはやっております。
それからドイツでございますが、ドイツはこれは
地方公共団体といわず、また特殊な協会といわず、あるいは民間でできました
政府が認可いたしました
住宅会社、そういうものを一律に
考えまして、ドイツの第一
住宅建設法に基きまして低利の
資金を貸し付けるようになっております。で、その貸付金によりまして
住宅の
建設経営を行なっておりまして、で、坪当り
幾らという
家賃の
制限をいたしております。最近になって多少そのやり方は変ったかもしれませんが、大体そういう第一
住宅建設法という
法律、これは一九五〇年でございましたか、出しましたのがそういうことになっております。
それからイタリアでございますが、イタリアは御
承知のファンファーニ法によりまして、
政府が出します分、それから
勤労者の雇用主が積み立てます分、それから
勤労者自身がこれは
住宅の要る人と要らない人とを問わず義務貯金で貯蓄いたします分、この三つの
資金をもって
住宅建設を促進しております。
なお特殊な例としまして、ドイツとイタリアには、例のマーシャル・プランその他によりましてアメリカの援助
資金がございますが、そういうものが
政府資金として
住宅建設に回っております。
いろいろ申し上げましたが、これを総括いたしまして、国が
建設費を直接
補助をしているという例はあまりございません。ただ非常に低利の長期の
資金を国が提供しているというのが大部分でございます。それで合わない場合には、
家賃補助をやる。こういうやり方が多いようでございます。