○国務大臣(
竹山祐太郎君) 東北、九州、四国の
災害及び新潟の火災、それぞれわざわざおいでをいただきまして実情をごらん下さり、また御激励をしていただきましたことに対しまして、
建設省はもとより政府といたしまして心からお礼を申し上げます。なお、いろいろ御注意をいただきました点については、よく私にも了解をいたした点もありますし、また注意をいたしませんでしてうっかりしておったような点もありまして、非常に教えられるところがありましたので、この機会にお礼を申し上げますと同時に今
委員長からの御注意の点も含めまして、ごく簡単に東北、九州、四国、山口及び新潟の問題について、私の知る限りにおいて今日までの処置について御
報告、御答弁を申し上げたいと思います。
新潟を最後に、
災害を先に申し上げたいと思いますが、第一に、今
委員長からお話しのありました点につきましては、私もこの間その
あと九州を一巡をいたしまして、ことに南九州のいわゆる住宅建築の
災害のはなはだしいのを、予想はいたして参りましたが、一そう驚きましたわけであります。これに対してはこの前もごくあらかじめの考え方を申し上げましたように、当然公営住宅の
災害住宅についての
対策はやらなければなりませんので、住宅局の者を回しまして必要な処置を連絡をいたさせたわけであります。その際どうも多少役人同士の間といいますか、町村当局と県庁それぞれの間に理解の十分でなかった点等がありまして、
委員長の御注意のようか問題が私の耳にも入りましたので、すぐ住宅局長から県の方へ直接連絡をとらせまして、いわゆる
災害住宅の建築について農村側の
希望に沿わないようなことのないように十分な手配をいたさせましたから、
委員長のお耳に入りましたような点はまず大体解消をいたしたと考えております。それはお話の
通り、どうも今までの
災害の住宅が都市を対象に、常識的に考えられておったものですから、今度のような場合農家対象の公営住宅を建てるとなると設計が第一合わない、また、集団して建てるという習慣を役人の方で、県庁の方で何か既成観念のように思っておったものですから、町村にはそういう印象が残ったようでありますが、決して何もそういう法律規則が厳然とあるわけではないのでありますから、設計もまた農家に合うように、坪数の制限はありますけれ
ども、その範囲で実際に合うようにしたり、また、集団を無理にしたって決して意味はないのでありますから、必要な分散はするように、またそれに伴う起債の問題も考慮するように大体手配をいたしましたので、公営住宅に関する限りは、これはもちろんこれで十分と申すわけではありませんが、許された限度におきましては、ちょうど今
希望を全部集めましても、準備いたしました現在の
予算で間に合う
程度の戸数でありますので、これで進めて参るつもりであります。
それから、もちろん公営ではどうにもなりませんから、これに対してはお話しのように住宅融資保険の問題も、私も
現地で知事や何かと話し合ってみましたが、これはなかなか農村については無理であります。しかし、
地元にその熱意があるなら私の方も十分協力はするがと申したのでありますが、これはなかなか銀行が農家の住宅に融資しろといっても、まず私は期待は持てないと思いましたから、そこでお話しの
通り、回ってみまして感じますことは、既存の住宅が相当ひどいのでありますから、
程度から申すとはなはだ何ですが、今度もさしあたりやるとすれば、いわゆる増改築の資金
程度のものが一番償還には手頃だと思いましたから、
鹿児島からすぐ住宅局長に電報を打ちまして、今度御承知の公庫の増改築資金の中で
災害地に特別に
一つこの際ゆとりを持って考えろという手配をいたしておきまして、今それを事務的に進めておりますから、この分が公庫から相当いき得るのじゃないかと考えております。
それから私が行ってみて感じましたのは、お話しの自作農の資金、今度前国会で通過をいたしました二十億の自作農の資金が、こういう場合を予想してやったわけではありませんけれ
ども、やはりこの際一番手頃じゃないか。これはお話しもありましたが、決して他の金融機関に担保としてやるのじゃなくて、農林漁業金庫がやるわけでありますから、決して土地を人に取られる心配はありませんから、この資金で
一つ、長期の五分の一番安い金利でありますから、農家の復興には当然役立つべきものだと考えますから、その点も実は手配を公庫に直接依頼の電報を打ちまして、連絡をさせて、県にもよくその手続を早くとるように、よその所管ではありますが、注意を喚起をいたしまして、なお閣議の際にも私はそのことを特に申しておきましたから、このことも相当利用され得べきものだというふうに考えておりますが、なおその他いろいろ
一ついろいろな方面から協力をして参りたい。
なお、お話の出ました澱粉工場につきましても、これは通産大臣にすぐ話しまして、農協のものが約六十何棟、それから業者いわゆる農協外の工場が十棟くらいだったと思いますが、この少い方の分については通産省から話をしてもらいまして、中小企業の方の資金の手当をすぐとりましたから、私が参りましたときはもうどんどん工場の
復旧をやっておりまして、資金の裏打ちがついたからということを申しておりましたから、もちろん農協の方は農林中金から裏打ちをいたさせましたから、澱粉工場の
復旧は予想以上に早く進んでおりまして、農協も二十五円の仮渡しで、どんどん私の行きましたときももう工場にイモを運び込んでおるような
状態でありましたので、御心配の点はまず解消いたしたと考えております。
なおその節も私も聞きましたし、お話しにも出ました今後の
復旧について、いわゆる暴風に耐えられるような耐火建築というような問題については、農家ももとよりそういうことは望ましいのでありますが、第一に気のつきますことは学校でありまして、これが全壊をいたしておる。これをまた借金で建てるといってもなかなか勇気が出ない。そこでこれだけでもせめて
一つ耐火建築にしたいというのが
地元の熱望であり、無理からぬことだと思いまして、これも閣議の席上大蔵大臣、文部大貫に、ああいう
地帯の
復旧については特に耐火建築のものを考えるべきだということを申しておきまして、文部大臣も考えようということを申しておるようなわけでありますので、このことについてもできるだけのことは今後も努力をいたして参りたいと考えております。大体
災害地帯の住宅の問題は今までとりました処置はさようなことでありますが、なお
一つ御注意をいただいて努力をいたして参りたいと思っております。
それから一緒に申して恐縮でありますが、
轟ダムの問題については、私もこの前と今度と二回にわたって
現地を見まして、いろいろよく実情は承知をいたして参りましたが、結論を申せば、これは御承知のように今
宮崎県に、知事を
中心としてこの
ダムに対する特別
委員会が作られておりまして、それぞれ公正な立場の
委員によってこのことの処理をいかにするかという審議会が今継続中であります。で、私はこの前も参りましてこの結論を早く出すようにということを申して参りまして、なお帰りましてから省といたしましても、知事に正式に早く
一つ結論を出して処理の方式を進めるようにということを申しておきまして、できるならば今月中にでもその結論を出すようにということを申しておきましたので、できるだけ早く事態の処理展開に
一つ努力をいたしたいと考えております。
東北の
災害につきましては、私は実は
岩手以外は参りませんでしたが、御
報告の
通り東北についてはいろいろまた東北特有の気の毒な事情がありますので、これについてはできるだけのことをいたして参りたいと考えております。その後青森県の上北に
部分的な突風で非常にひどい
状況等もあります。概して申せば東北の方の
河川は常襲
地帯と違って
河川そのものに対する手当が十分でないものですから、非常に
雨量の少いにもかかわらず、すぐに荒されるといったような
状況が
ほんとうに気の毒だと思います。
なお、
岩手の北上の総合開発についての御注意、まことにごもっともでありまして、決して総合開発あるいは
多目的ダムを軽視をいたしておるつもりは毛頭ありませんが、
湯田ダムにつきましては御承知のように
地元の補償の問題が非常に難航をいたしまして、一時はとても手がつけられないのではないかということを憂慮いたしまして、特に優秀な所長をやって
地元のよく納得のいくように努力をいたしたかいがありまして、先般私が参りましたときも、
関係者全部が寄ってくれまして、いろいろ話がありましたが、私はそれに対しても誠意をもって
一つ対処することを申しまして、おかげで最近は非常に好転をいたしまして、もう補償の問題も難関は突破したと考えられますから、できるだけ早く着工をいたしまして、総合開発の実を上げたい。お話しの
通り北上につきましては
ダムで防ぐ以外には狭窄部には処置がないわけでありますから、これは
一つできるだけ早く竣工をして、御注意のようなふうに参りたい、かように考えております。
それから四国につきましては、私は山口に参っただけで四国にはついに参れませんでして申しわけありませんが、
河川局長にすぐ四国を詳しく調べさせまして、
報告はよく承知をいたしております。あわせましてこれもできるだけ努力をいたしたいと思っております。
なお御注意のありました
道路につきましては、なおよく検討いたしますが、海岸の問題は私も山口の海岸
堤防を見まして全く御注意の
通りに感じました。そこで
河川局長も参りまして、いろいろお話しの
通り何種類かの
ダムが錯綜をいたしておりますので、これを今度
復旧をするにつきましても、やはりそれぞれ所管を違えて
復旧をしなければならぬ、それが原形をもとにしてやるということになると、また違った
堤防を直さなければならぬということになりますので、これを
一つ新しいといいますか、この機会に改めるという意味で
河川局長が提案をいたしまして、各地県ごとにといいますか、県で
堤防に関するあらゆる
関係機関の
委員会を作ってもらいまして、そうしてそれは農林省であろうが港湾であろうが、
関係するもの全部の
委員会を作ってこの際
復旧をする
堤防についての企画とかその他の問題を統一をしようということを、今法律に根拠がありませんが、行政措置でそういうことをすぐにその場で作らせまして、今それで進行をいたしております。これでやれば会計検査院に対しても、形式的にただそれぞれ思いつきでやったのじゃなくて、統一した
復旧計画というものを背景にして、
一つ合理的に主張をし、大蔵省に対してもそういう
復旧の方式構造を
一つ主張したいということで進めております。実は会計検査院につきましては、余談となって恐縮でありますが、たまたま山口にこの前の
災害で私の方の
査定官がきめてきた件数を
あとから会計検査院が行って、それは長過ぎるからちょん切れというわけでちょん切ってしまった。そうしたところが、そのちょん切ったところで切れましてえらい
被害が起りました。まあそういう例もありますから、この間防災課長にこの
災害現地を見させまして慎重に調べました上で、会計検査院に事実こういうことがあったじゃないかということを申し入れいたしまして、あらためてやることにいたしましたが、まあそういうことを海岸
堤防でも二度と繰り返さんように今度はいたしたい。同時にこの際前にこちらでも御審議をいただいた因縁のあります海岸保全に関する立法措置についても、これはもう国会に御迷惑をかけるまでもなく、政府みずからが内部の統一をはかって
一つ進めるべきじゃないかということを私としては考えて、今事務当局の一応作りました原案を
関係各省に提示をいたしまして、でき得るならば海岸法といったようなものを通常国会までにはぜひ
一つ出して御審議をいただいて、今後そういうことを繰り返さんように、お話しの
通り新潟の例もありますけれ
ども、責任を明確にいたした処置を講ぜられるような法的措置を考えておるような次第であります。
それから新潟の火災復興につきましては田中さんの御注意、よく了承いたしました。私もその後参りまして、全くお話しの
通りの印象を受けて参りました。都市評画等につきましては御注意の点を十分取り入れてやることと考えております。なお、お話しの中で住宅復興について公庫あるいは公団等の連絡等で決して私も十分でないと考えて、その後注意をいたしまして、お話しの古町
通りでありますかには、
一つ公団住宅をやったらどうかという話を双方ともにいたさせておりますが、これは無理に押しつけるべき性質のものでもないと思いますので、具体的にできるだけ
一つ地元で具体案をまとめてくれ、公団の方からも
一つやるからということで、これも積極的に進めて参って、御趣旨のような点を
一つこの際十分というところまでいくかどうか、これはまあ個人の
関係もありますから無理にはいかんと思いますが、この際
一つ実現をいたしたい、かように考えております。
なお立ちました機会に、
災害全体に対しまして、今日までの経過をごく簡単に申し上げますと、本年度の、お手元に差し上げましたように、二十五号、二十六号というのまで参りましたが、おかげで大した
被害もなくて済みまして、今日までのところは、第一表でごらんのように、都道府県
関係の
被害額は約二百四億九千万円ということでありまして、このほかに直轄があります。それから現在までにつなぎ融資を出しましたものは第二表にございますが、これは今までの分でありまして、三億五千万円出ておりますが、ここ二、三日のうちに
大分、
鹿児島、山口、広島の分が出ます。山口、広島等も実はきまっておるのですけれ
ども、御注意の点があって、私
どもの方でがんばって大蔵省の金額は足りないからということでがんばっておるものですから、ちょっとおくれましたけれ
ども、これもこの二、三日中には全部片づけるつもりであります。それから現在までに予備費の出ました分は第三表でございますが、直轄
関係では五億七千万円ほど出ておりまして、都道府県の分がこの表のように六億二千六百万円北海道外十八県出ております。これも
あと十二月中までには全部完了する予定で、きまったところからどんどん予備費で出して参りますし、大体今のところ現在の予備費の中で
建設省の負担法に基く分は支出が可能ということでありますので、事務的にどんどん進めておるような次第でございます。
大体以上いろいろごたごた申し上げましたが、なお御質問によってお答えいたします。