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1955-11-07 第22回国会 参議院 建設委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十一月七日(月曜日)    午前十一時十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            石原幹市郎君            小沢久太郎君            酒井 利雄君            宮本 邦彦君            横川 信夫君            田中  一君            湯山  勇君            村上 義一君            堀木 鎌三君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   事務局側    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省河川局長 米田 正文君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○派遣委員報告建設事業並びに建設計画に関する  調査の件(災害対策に関する件)   —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから委員会を開会いたします。  本日の委員会は、公報によって申し上げてあります通り派遣委員報告をお願いすることにいたしておりますが、この際お諮りしておきたいことは、住宅問題に関する件につきまして、日本住宅公団総裁加納久朗君を参考人として出席要求いたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議ないと認めまして、さように決定をいたします。   —————————————
  4. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 最初に東北地方水害状況視察をされて参られました宮本委員から御報告をお願いいたします。
  5. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 御報告申し上げます。私は北委員とともに去る六月下旬東北地方を襲った豪雨による被害状況視察のために、八月二十三日から二十八日までの六日間、山形秋田及び岩手の三県を回って参りました。その視察調査の結果を簡単に御報告申し上げます。なお詳細は別途書類をお回し申し上げますから、それをごらんいただきたいと思います。  私どもが見て参りましたところの災害山形秋田岩手とも、概況は地域的な豪雨というものでもって起ったところの災害でありまして、従いまして、大河川災害でなく、中小河川がその災害中心となっております。そういった関係で、部分的な災害というような概況でございます。しかし部分的ではあるけれども、その災害状況は非常な、何といいますか、あの地方ではいまだ経験したことのないというような豪雨であったために、被害は相当激甚でございました。ただ、御存じのように、本年は非常な好天候でございまして、農作物などはその後非常な回復をいたしまして、私どもの参りましたときも、直接被害を受けましたところの埋没流失田は、これは相当な惨害をなお残しておりましたけれども冠水程度のところはほとんど回復しておって、災害の跡をとどめないというような状態のところが多うございました。特にその一例では、八郎潟災害直後、県並びに農業団体あたり報告がほとんど全滅というような報告であったのでありますが、現地に行って参りますというと、それが全く回復してしまって、全滅がどこにも見えなかったというような回復状況を示しておりました。そういったことはございましたが、私どもはともかく直接被害を受けましたものの本質的なものを見て参ろうというようなつもりで各県を回って参ったわけでございます。ちょうど私どもが参りましたときに大蔵省並び建設省から査定官が行っておりまして、査定の済んだところもあり、済まないところもあり、案内された県の方にはだいぶ御迷惑をかけたような次第でございますが、御多忙のときにあがりましたもので。けれども、そのまじめな査定というものを対象にして私ども視察し得たことは、これは非常に便宜だったと思っております。  まず各県の概況を御報告申し上げたいと思います。  山形県について申し上げますというと、その北部、特に鳥海山系において積算雨量が約八百ミリというような豪雨でございまして、最上川の中下流の、主として支川が非常なはんらんを起して、飽海、田川、最上地方一帯は激甚な被害をこうむっておりたわけでございます。この被害額は当時報告されたものが公共土木施設並びに農林施設災害総計二十二億五千万円というような状況でございました。また京田川の多目的ダムは今回の水害には相当の効果を現わしたということを私ども聞いて参り、こういった事業がやはり促進されなければならないということを痛感して参ったわけでございます。また砂防関係では、日向川はひどくやられておりましたが、砂防堰堤はだいぶ破壊されておりますのですが、これは部分的なものはそれほど大きな効果がない、やはりやるならば根本的に小さい川でも一貫してやるべきである。特に先決問題としては、砂防工事というものの効果が適切に現われておったということを認めて参ったわけでございます。  山形県の中小河川としては改修は十本やっておりますが、一本で千五百万円程度不足であって、なかなか工事が進捗しない、そういうようなことを地元で漏らしておりましたが、今私が申しましたように、一貫して工事完成していくというようなことからいきますと、これはまずいじゃないかということを痛感いたしました。  それからなお本県には過年度災害が相当残っておりまして、これに対しても地元の県は非常に難渋しているということを漏らしておりました。非常に小災害が多うございましたので、私どもは小災害に対する考え方もやはり考えていかなければならないのじゃないかなということを痛感いたして参りました。  また当時大きな種子購入費だとか、あるいけ応急農林施設だとかいうようなものに対して相当の経費が出された、そういうものに対して地元が非常に、何といいますか、もし取れなかったときというようなこてともあり、またそういったものに対する助成とか、あるいは補助というようなものに対しても相当気を使っておられたことを私どもは見て参りました。  また新庄へ参りましたが、この付近最上川中心としたところの鮭川、大沢川、小国川がはんらんしまして、そうしてその付近の沿岸を荒したというような状態でございまして、局部的な災害ではありますけれども警戒水位が二メートル五十のところを最高が五メートル五十にも及んだというようなことも、これもやはり地域的な豪雨の典型的な一つの例であろうと私どもは思って見て参りました。  それからこのようにひどい災害をこうむりました地域的な問題を考えますときに、大きな河川を考えると同時に、こういった地域的な小河川災害復旧は、やはり河川全体というものを考えながら、災害復旧と同時に、河川の恒久的な施策を考慮しながら復旧されるということの必要を痛感いたした次第でございます。  それからその次に、私どもはそういった同じような状況を、やはり酒田へ参りまして、酒田土木出張所長からこの付近に起きましたところの戸沢村だとかその他の町村もどういうような災害状況であるかということを説明を聞いて参ったわけでございます。特に酒田出張所長からの話によりますというと、この付近に降りましたところの雨は七百七十五ミリの雨だった。これもやはり先ほど申しました八百ミリの雨とやや近いような豪雨でございまして、いずれも記録的な豪雨であったそうであります。ただ、この地方災害を見ましたときに、橋梁流失というものが相次いで、一つの渓流の橋梁全部押し流しておる。その押し流しておる橋梁のもとが、腐朽橋梁があってそれが流れたために、まだそれほど腐朽していない橋梁まで押し流してしまったというような実例を見て参ったわけでございまして、やはり腐朽橋梁というようなものは特に水害のときには弱いのでございますから、こういうものを残しておくことによって、新たにかけかえいたしましたところの新橋まで流してしまうというような実例を実はここで見て参ったわけでございまして、これらも今後の一つ災害対策の根本問題として考えておかなければならない問題じゃないかと思っております。  なおこの地方では日向川流域下黒川橋等被害個所を私どもは特に時間をさいて奥に入って見て参りましたが、この地方災害国有林が荒れて上流から土砂を流す。で、国有林砂防工事をともかく実施してほしい、これをやらなかったならばこの温海町その他のやはり災害というものは今後も保障されないのだというようなことを地元の町長が言っておりました。こういった問題も今後考えていただいて、やはり国有林、それから中小河川一体になって総合的に対策を立てるというようなことも、横の連絡としては大事な問題だというようなふうに考えて参りました。  それから次に秋田県の状況を簡単に申し上げますが、秋田県は雄物川、米代川、子吉川の本支流がやはり部分的な豪雨のために増水はんらんを受けたのでございまして、秋田市内外八郎潟、能代、大館、本荘と広範な地域にわたって災害をこうむっておりました。特にこのうちでもって私ども一つ注意を喚起して参ったのでございますが、秋田市内洪水が、やはり秋田市内を流れておる河川の幅員が足りないというようなことで、あそこの水害がひどかった。その狭い河川に、なおかつ、これは私どもの泊った旅館でございましたが、旅館の裏で河積を狭めて、私どもが泊っている最中に、練り積みの大きな石垣を突き出して築いておった。これは県がまあやむを得ずやらせているのだというような、目をつぶってやらせておるのだというような答えをしておりましたのですが、どうもそういった河川処理に対する厳重な一貫した監督というようなものに私どもは不備があるのじゃないかというようなことを考えまして、まあ強い言葉ではありませんけれども、こういったことはおもしろくないということだけは漏らして参ったようなわけでございます。どうもその裏には多少何か関係があるようでございましたので、詳しいことは私どもは申しませんで、ただ河川の立場からそういう意見を漏らして参ったということをここでつけ加えておきたいと思います。  それから本荘地方視察いたしましたが、この地方は八月十日から査定が始まり、大体要求通り査定が行われた。最近そういうところを見ましても、私どもは何といいますか、府県の災害復旧計画というものが非常にまじめになってきた。本省から行かれた人の査定が相当厳格であっても、査定が申請と大きな開きがないというように私どもは見て参ったのですが、そういったことは相当地方のまじめな態度も感知できるようになり、こういったまじめな地方態度というものは、建設省一体となってこういった事業に対して努力しておるということも私ども認めて参ったわけでございます。  それから同県におきましても、やはり過年度災害というものに対しては相当のやはり要求を私どもに持ち込んでおりました。その災害というものは三、五、二の割合によってするということが原則ならばその通りにぜひ一つやってほしい。どうも災害復旧事業をやった河川がまだ未完成ということのために、災害が拡大されておるということを私ども現地でも見、また現地で働いておられる技術者人たちは特に遺憾な顔をして、あれは困るのだというようなことをほんとうに痛感しながら私どもに訴えておりました。やはり災害復旧というものは、部分復旧だけを完成して、あと予算のないものはそのままにほうっておくというようなことでは、ほんとう効果の現われないことは当りまえなわけであって、すでに復旧したものさえも無意味なことに相なるようなことがしばしば私ども災害現地で発見いたしましたわけでございます。こういった意味合いにおいても、三、五、二という少くともこれくらいな原則は、今後の災害復旧費は堅持いたしたいと思って参りました。  それから、ごく簡単で恐縮なのでございますが、私どもはこれからさき岩手県の方へ回ったのでございます。岩手県へ回りましたのですが、岩手県は特に湯田川北上川支流である湯田村を流れている湯田川和賀川等を実は見ました。これはやはり前申しました秋田山形の二県と同じように、部分的な災害であって、災害状況災害の性質はほとんど同じだと申し上げてもいいんじゃないかと思っております。いずれも急流な河川であって、そうして集中した部分的な豪雨があったために、その河川が急に増水して流れてきた。やはりそういうところも同様な被害状況を示しております。  なお私どもは最後に、北上川狭さく部である問題の一関の狐禅寺といいますか、この地帯を見て参りました。あの地帯を見ましたときに、私どもが痛感したことは、やはり本当の水害対策というものは、部分的な水害対策でなく、やはり多目的ダム計画されておったあのダム完成ということが一日もおろそかにできないということを痛感いたして参ったわけでございます。特に地元人たちも、この問題に対してはどうも中央の政府というものが、多目的ダムというようなものを新しく言い始めたときには、政治的に非常な力となり、新しい方法がたちまち推進されて、国の政策がそっちの方で解決してくれるんだというような希望を持たせながら、工事を始めるというと、この工事は停滞いたしておって、地元人たちをいらいらさせるばかりだ。こういうことに対して、非常に何といいますか、強い不満と希望を私どもは聞いて参ったわけでございまして、現に四十四田といいますか、御所、湯田、これらのダム建設が予定されているそうでございますが、これらに対するダムの確実な旅行を急いでほしいというようなことを、強く地元関係者、それから代表者要求いたしておりました。私ども狭さく部を見て、それから水害あとを見て、そしてそれらの説明を聞いたときに、こういったものは、国の毎年々々の単年度の予算のいかんにかかわらず、やはり大事業であるなら、一定の方向を決定したならば、確実にこの工事は進行されなければいけないのじゃないかということをここで申し上げておきたいと思うわけでございます。  で、私の報告ほんとうに簡単でございますが、詳しい数字その他は書面をお回しいたしますから、それをごらんいただきたいと思います。  結論として私のここで申し上げたいと思うことは、やはり洪水による被害というようなものは、おそらく今後も防ぐことはできないのじゃないか、ただ人力が自然を征服することができなといいうことの必然性よりも、むしろ人力の総合的な施策の努力が欠けているために災害を大きくしているという量がかなり災害地において目立ったということだけを、特に強く申し上げまして、私の御報告を終りたいと思います。
  6. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 次に台風第二十二号、第二十三号による水害視察報告でございますが、これは私から御報告申し上げたいと思います。  今回の台風による災害状況視察のために、私ども江田農林水産委員長高野社会労働委員のお二人とともに、三名で鹿児島宮崎大分の三県に派遣されまして視察をして参りました。これは主として常習災害地として、皆さん御承知の鹿児島県、宮崎県、大分県にわたるものであります。視察市町村視察個所は、その災害を最も強く受けております鹿児島県、特に鹿屋市及び肝属郡地方、志布志町及び囎唹郡地方を合せまして十四市町村であり、それに垂水港並びに肝属川災害状況宮崎県におきましては、都城及び大淀川児湯郡、西米良村、東臼杵郡椎葉村及び一ッ瀬川等災害状況等につきましての九カ市町村大分県におきましては、主として大野川及び大分川の災害状況であります。また県庁を初め関係市町村地方建設局初め出先機関関係団体等から災害状況対策、現在の復旧計画進捗状況等につきまして、つぶさに事情並びに意見を聴取し、さらに地元要望等につきまして聴取をしたのであります。  被害概況は、公共土木施設関係におきまして、鹿児島県が六百七十カ所、五億百七十余万円、その他一切の被害総額は、二百三十九億千二百万円程度に達するといっております。宮崎県は千九百三十四カ所であり、六億八千九百万円であります。被害総額は百四十一億五百万円に達します。大分県は千百三カ所、三億七千四百万円でありますが、被害総額は、五十八億七千三百万円という多額に上っておるわけでございます。  で、各県における被害概況は、鹿児島県におきましては、大隅地方住家の倒壊が非常に激甚でありまして、河川海岸等は比較的雨量が少かったために、台風通過時と満潮時とは三時間ばかりのずれがありましたので、比較的軽度に済みました。宮崎県におきましては、山間地帯において四百ミリから六百ミリにわたる大雨量があったのでありまして、従いまして、大淀川欠壊を初め、河川道路等被害、またエロージョン等によって、土木農地山林等施設被害が非常にはなはだしい状況であります。大分県におきましては、一般に被害は小規模でありましたが、二十二号の災害がちょうど満潮時と接近しておりました関係上、海岸地方潮害による災害が出ております。また台風二十三号の影響は大分県だけでありましたが、この被害は軽微に済みました。  以下建設関係被害につきまして、河川関係住宅関係被害について申し上げてみたいと思います。  なお本調査につきましては、別に調査報告書を提出されておりますので、それをごらん願いたいと思います。  河川災害概況について申し上げます。  大淀川についてでありますが、今次の台風によりまして堤防が四カ所、護岸七カ所、洪水はんらん面積は二千四百二町歩にわたります。その他道路農業施設等被害を出しておりますが、昭和十八年から二十八年にわたる十一年間に、四百町歩以上一千町歩以下のはんらんは実に二十九回に及び、一千町歩以上のはんらんだけでも十五回に及び、被害の累計は農地関係で約九億三千万円に達しておるということであります。このように被害累積されて参りますのは、霧島盆地一万七千町歩集水が、ことごとく大淀川に集中されるほか、流域一帯シラス地帯のために流出土砂が非常に多くて、盆地じょうご口、河口の最狭さく部九州電力大淀川第一発電所、いわゆる轟ダム建設されておりまして、完全にその狭さく部によって制約をされているためといわれております。このため、宮崎霧島盆地水害対策委員会においては、以下申し上げるような理由をもちまして、轟ダム撤去を非常に強く要求して、現在紛争を惹起している状況であります。これを技術的の理由として申しますと、はんらんを起さざる堰堤における流量四百五十立米であり、昭和十八年九月十九、二十日台風によりまして、当時雨量四百四十三・三ミリの際は、はんらん三千四百町歩堰堤における最大流量は二千八百立米に達したのでありまして、堤防をオーバーしない程度の場合でも八百五十立米を流下させるだけで約五百町歩はんらんをみるということであります。かかる流量消化能力では、大淀川上流洪水量とは全くけた違いの莫大な被害を巻き起しておるわけであります。二の地理的理由として、かような狭さく地における堰堤はすみやかに撤去して、急速な流水量増大をはかるべきであるということであります。第三は社会的の理由として、この盆地に住んでおる住民十八万に及びますが、特にそのうち十万に及ぶ農民の年々こうむる災害は非常に莫大でありますので、社会的にもこれを見のがすことができないという状況にあるということであります。宮崎県議会におきましては先般この趣旨を認めまして、この轟ダム撤去を決議しております。しかして大淀川直轄改修工事昭和二十九年度末におきまして全工事量進捗率は一九・一%、今年度の予算におきましては全工事量に対してわずかに三・九%程度進捗率しか見られないというような計画になっておるということであります。かような進捗率で参りますと、二十年以上あるいは二十五年もかかるのではないかということを非常に地元では心配しておるわけであります。  次に肝属川、これは直轄河川でありますが、これは昭和十二年改修着工以来、全工事量に対して四五%程度進捗率になっておるようでありまして、中流から上流においてほとんど洪水の脅威を感じなくなっておりますが、工事が重点的に施行されておりますために、改修前よりかえって局部的に悪化しておるところ、特に中流の高山町ではそういうことでありました。  第三には一ッ瀬川であります。これは準用河川でありますが、昨年の台風第十二号による災害復旧がいまだできておりませんで、また応急工事破壊等も出て参りましたので、上流地帯が河床が二メートルないし二・五メートル上昇しております。さらに今次台風によりまして大崩壊を来たしまして、ほとんど手の下しようのない事態に立ち至っております。このため児湯西米良九州電力槙口発電所堰堤及び村所発電所堰堤などはいずれも流出土砂、砂利によって埋没し去っている状況であります。また道路流失欠壊橋梁流失等被害も激甚でありまして、なかんずく二級国道第二百十九号線宮崎・熊本間は十月二十二日ようやく応急工事を終り開通した状況でありますが、九州中部を横断する重要な単一国道線である上に交通量増大して参っておりますので、すみやかに災害復旧をいたしまして、そうして改築修繕等の整備をやっていただかねばならぬと認められました。さらにこれに関しまして、本線上一ッ瀬川本流に架橋された村所橋昭和七年架橋のつり橋でありまして、すでに命数が尽きておりまして非常な危険の状況にあります。鋼索等もほとんどゆるんでおりまして、まさに危機一発の状況になっておることを見ておりまして、非常に私どもは心配しておるわけでありますが、かような常襲地でありますから、すみやかにこの村所橋永久橋へのかけかえは焦眉の急であろうと認めざるを得なかったのであります。  次に大野川について申し上げますが、大野川直轄河川でありますが、大分郡大南町に溢流堤がありますが、この溢流堤におきまして非常な被害をこうむっておるようであります。現在下流の乙津川の引堤、堤防補強を実施中でありますが、すみやかに改修を急がれまして、そうしてこれらの堰堤から起る大災害を防止してもらわねばならぬというように痛感いたしました。  以上申し上げました通り、特に準用河川において非常に荒廃その極に達している状況であります。最近非常に準用河川中小河川というものの被害が局部的でありますが、深刻な被害が各地に起っておりますが、やはりこの付近もその例に漏れません。災害による復旧も従いましてほとんど手がついておらない。従いまして災害累積をいたしまして、増破に増破を重ねていくというような状況でありますので、このままでおきますると、将来非常な大災害を呼び起すのではないかということを痛感した次第であります。これらの最大原因は、もちろん国家予算窮乏から起っておる点もありますが、特に地方公共団体公共施設改修維持管理を怠っておるというように見受けるのでありますが、河川改修そのもの重点的施行でありますために、河道の整理、治山施設植林等総合的計画をもち得ないため、大部分の川がいわゆる天井川となってしまいまして、二百ミリ程度降雨量でありましても、直ちに洪水はんらんを起すというような状況になっております。そういたしまして、これの改修はまた災害を待ってやるというような形になっておりますので、従って維持補修等も手のつけようがない状況であり、特に地方財政窮乏が深刻でありますために、これらの災害累積が悪循環を起す原因ともなっているように見受けました。  地方財政の窮状は、地方自治の拡充による機構の拡大と、これに伴う人件費増大及び戦時中の荒廃、それに続く災害復旧費増大等が、これらの地方自治体の財政を窮迫のどん底に追い込んでおる原因であると思います。鹿児島宮崎大分とも歳出総額のそれぞれ九%、一六%、一四%というような大きな比率になっております。また河川改良事業あるいは国庫負担の対象外の小災害がそのままになっておりますので、これらの災害復旧はやはり各県ともほとんど財政的に手を出すことができないというような状況にありますことは、非常に遺憾であります。戦前は災害復旧費は歳出総額の五ないし六%であり、普通建設費の三分の一程度であったことを考えますと、最近の災害累積されました現況から考えますると、実におそるべき財政負担になるということがわかるわけでございます。さらにまた人件費は、税収入及び平衡交付金額に対しまして八〇%ないし九〇%に達しております。一方税収入は歳入総額に対して一四%ないし一五%にしか達しておりませんような状況でありますので、その窮乏さもおよそ察せられます。従いまして、今回の調査に当りまして地元側から要望のありました事項は、すべてこの災害累積地方財政窮乏の悪循環に結びついたものであるということを非常に強調されておりました。  次に、国庫負担の対象とならない少額災害についてでありますが、台風の常襲地帯でありますこの地方の補助につきましては適当の措置を講じていただかなければならぬと思います。  次に、今回の災害復旧費国庫負担法の一部改正等によりまして、連年災害における国庫負担率の特例及び緊要な災害復旧事業に関する三カ年復旧原則が確立されたのでありますが、この法律の適用を受けないその他の小災害、公共災害等につきましても、すみやかにこれらの立法の趣旨に沿うような措置を講じていただく必要があると思います。  次に、台風災害地帯における普通交付税の算定方法につきましても、台風の常襲して参ります地区に対する台風度補正係数等を勘案されまして、特にこれらの地帯には政府におかれましては補正の必要があるということを考えますので、御検討を願いたいと思います。  次に、住宅関係被害についてあらましを申し上げます。  このたびの災害は風水害でありまして、非常に風害が強く、場所によりましては秒速六十メートル以上の強風でありました。これは前代未聞だといわれておるのでありますが、従いまして、その風害による倒壊家屋は非常な多数に上りまして、鹿児島県は全壊家屋五千九百七十六戸、半壊は一万五千百十七、流失は十二でありましたが、床上浸水千五百二十七、一部破壊の住宅は十五万に達します。また非住家の倒壊は二万六千百八十五戸、被害の総計が百三十四億三千七百余万円、総被害額の約五六%に当ります。宮崎県は全壊が千二百六十戸、半壊二千六百二戸流失三十一戸、床上浸水が千百十二戸、一部破壊が三万七千四百十七、非住家の倒壊は二万九千百四十三、被害の総計は七十三億八千百万余円に達します。これまた被害総額の五二・五%に当ります。大分県は全壊四百三十九戸半壊千七百八十三戸流失二戸床上浸水九百二十二戸非住家二千九百二十九戸というようなおそるべき広範にわたる住宅、非住宅の倒壊を見たのであります。大分県の被害総額は住宅におきまして七億九千万円であります。  今次の台風は、初めに申し上げました通り、住宅被害が非常に激甚でありまして、最も住宅被害の大きかったのは鹿児島県肝属郡でありました。全半壊流失戸数が吾平町では七〇%、田代町は四〇%、根占町は三四%、東串良町は二八%、その他囎唹郡大崎町が四七%を占めているという状況であります。これに対しまして、第二種公営住宅の建設については次のような要望がありました。  (一)現在の五戸以上の団地建設原則では農家には利用の術がないので、農耕に便利なような住宅の建設のためには、この団地建設では適用ができないというので、非常に困っております。でありまするから、この団地建設に関しては、農村のこういうふうに全面的にわたり倒壊いたしました付近に対しましては、検討を加えられまして、団地でなくして、二戸別に建て得るような措置を講じてもらわなければならぬということであります。  (二)災害公営住宅建設に対する自治体負担分の起債については、この際全額の起債を承認されてほしいという強い要望がありました。  しかし個人住宅の復旧、特に農家住宅の復旧につきましては次の緊要な問題があり、事情困難な状況であります。一般個人住宅につきましては、住宅金融公庫、あるいは住宅融資保険法に基く融資のほかはとるべき道はないのでありますが、この保険法については、台風による連年災害により負担能力を失っておりますようなこの地方の被災農家はほとんど消費資金でありますので、よほど上長期でなければならない。長期融資でなければ意味がないということになります。特に小口の住宅融資については、実際の運用は著しい制約を受けておりまして、この保険制度が金融機関の貸し出しを刺激することにはならないから、円滑な運用を期するためには、受託金融機関に対して政府資金の預託をぜひしてほしいという強い要望がありました。  また住宅復旧対策ないし復旧計画として単に融資面に限らず、台風常襲地帯における防災建築等の建設的方面においても十分に対策を講ずる必要が認められました。すなわち一例をあげますれば、耐風耐火建築としてシラス、ボラを活用してブロック建築を普及する。次には台風常襲地帯における住宅金融公庫の貸し出しは、対象を耐風耐火建築に限定をする。先般北海道に実施しましたような、いわゆる耐風耐火のブロック建築を立法的に研究をされまして、この地帯にも適用ができるようにしたらどうかと思うのでありますが、このシラスやボラを活用すれば、建築費においても木造建築と大差がないというように地元でもいわれております。またこの地方は非常に白アリがばっこしておりまして、あらゆる家屋が白アリの被害を受けております。特に鹿児島宮崎大分は非常に白アリの繁殖地帯であるそうでありますから、これらの撲滅の方法にも万全の措置を講じますと同時に、これらの建築に対していわゆるブロック建築による住宅の耐久度を高めることがこの際必要じゃないかと思うのであります。  また農家住宅については、住宅金融公庫の融資対象地帯を全県下に適用することとする必要があるというように考えられました。なお農家住宅については農林省の農業災害補償法による建物共済の加入の道があるのでありますが、これはほとんどこれらの地方には利用されておりません。これらは連年の常襲災害のために非常に貧困のどん底に陥っております農村地帯でありますだけに、思いながらもこれに加入することができないという悲惨な状況なのですが、これに対しましても特別な考慮を払い、特に地元民に啓蒙宣伝の必要があるということを痛感したわけであります。  以上大体の御報告を申しましたが、詳細は別に調査報告書を作らせておきましたから、これをごらん願いたいと思います。  この際一言申し上げたいのは、大淀川轟ダムの撤廃の問題、ただいま申し上げました農家住宅の復興に関する問題等を、いずれ政府にいろいろお伺いしたいこともあると思いますが、報告は一応この程度で簡単でありますが終りといたします。  次に、新潟火災につきまして田中君から御報告を願います。
  7. 田中一

    ○田中一君 私は去る十月十八日から三日間の日程で、地方行政委員会の館議員、社会労働委員会の河合議員と、新潟市大火の被害状況並びに復興状況等を視察して参りました。  まず十九日朝新潟市に着きましてから、県庁並びに市役所において、知事を初め関係者各位から、罹災状況及び再建途上の各般の問題について事情を聞き、次いで焼失地域の復興状況視察し、さらに、これは火災には関係はいたしませんが、新潟市の将来に重要な関係をもち、かつ現に復旧工事を進めております海岸侵食の状況視察して参りました。  以下調査して参りました概要について申し上げます。  一、火災の被害状況。  すでに御承知のように、新潟市の大火は十月一日午前二時五十分ごろ、新潟県庁第三分館、教育庁木造モルタル塗り二階から出火し、折柄佐渡沖を通過した二十二号台風による二十数メートルの強風にあおられ、午前十時五十分鎮火まで七時間余にわたり延焼し、市街地の中心部約七万八千坪を焼失しておるのであります。  この焼失面積は新潟市の旧市、すなわち町村合併前の市街地面積約六百十二万坪の一・二%の比率に当るわけで、被害状況を見ますと、罹災人口では全市の二・二%、戸数で一・七%の割合で、全体から見た罹災率は比較的に低いのであります。しかし内容的には、新潟市の商業街の壊滅的な被害で、損害見積額は直接被害約七十五億、間接被害を入れて総額約百五十億円といわれ、火災保険金総額のみでも約十五億円に達し、鳥取市の場合よりも大きいのであります。  新潟市は比較的財政のよかったところでありますが、市の収入の一番の財源地区を失ったわけでありまして、減収は約七、八千万円と推定され、かなりの痛手となっております。  罹災跡の現状は、さすがに商店街だけあって、すでに相当のバラックが建ち、営業を始めておりまして、復興の力強さを示しております。  二、復興計画については、焼失面積七万八千坪につきましては、土地区画整理事業で復興をはかることにし、焼失区域及びその周辺約十万八千坪を施行区域として十月十三日建設大臣の認可を得て、目下土地区画整理法に基き手続を進めておりますが、仮換地も大体十月二十五日に終る目標で、昼夜にわたって努力を傾注しているところでありました。この計画によりますと、区画整理面積は、新潟市街地面積の約一・六%で、整理後におきましては、街路は約二三%の増率、水路は約八五%、宅地は約九%の減歩となり、また公園緑地を新たに約三千坪、施行地積に対して約二・八%を創設することになっております。この公園新設には墓地約三千坪を一千六百坪に減じ、墓碑約二千基を七カ所の納骨堂に整理する案を立てておりますが、今次の火災で焼失した寺院は六つ、これに三寺院を区画整理事業区域に加え、九つの寺院があるわけで、現状は所有地を一般に貸与している状態でありますので、かなりの困難が伴うものと思われます。また西堀、東堀、一番堀などの水路の一部を埋め立て街路を拡幅する計画でありますが、近代都市への改造は単に道路の拡幅とか空地の造成でその性格を発揮するものではありません。新潟市の場合、この堀割の周辺の構成等が将来の近代都市化への要素として待つところが多いと思われますので、新都市建設の構想とは別に、旧市街の伝統は保存するよう再考を促したいと思います。  新潟市将来の都市計画としては、裏日本における新潟港は、アジア貿易の表玄関としての重要度は、好むと好まざるとを問わず大きくなるものと考えられますので、背後地の広い信濃川の右岸にむしろ形成さるべきではなかろうかと思われます。  次に、防火建築帯でありますが、新潟は万代橋から東西に幹線一号街路が防火建築帯に指定されておりますが、これにクロッスするいま一本が必要ではなかろうかと思われます。この点については、古町通りを住宅公団の店舗併用共同住宅の建設によって実効を上げていきたいとのことでありましたので、政府はそれに対する積極的な鳥取市に見た熱意以上の関心を持たれることを要望いたします。  住宅につきましては、公営住宅第二種住宅百四十戸、公庫住宅三百六十戸を計画しておりますが、災害救助法に基く一戸五坪の応急仮設住宅十棟百戸を市内白山総合グラウンド敷地内に建築し、すでにほとんど竣工している状態でありました。応急仮設住宅は一時収容を目的とするものでありますけれども、過去の実例ではこれがスラム化し将来の禍根となっている場合が多く、新潟市の場合もきわめて憂慮されるものがあります。ことに新潟の場合は、ぎりぎり救助を必要とするものがわずか六十世帯くらいのものでありますから、救助法に基き単にもらえばいいという安易な考えではなく、将来をあわせ考えた耐久的な建設を行うべきではなかったかと思われます。この点は特に委員長において厚生大臣に対して善処方を要望するよう希望いたします。  都市の防災は、何と申しましても、建物の不燃構造化にあることは言うまでもありません。罹災地商店街の共同建築化は、新潟の土地柄からなかなか困難のようでありますけれども、行政機関、住宅金融公庫、一般金融機関等が積極的に協力すべきものと思います。この点に関連して、中小企業に対する銀行融資が当初一千万円とのことでありましたが、通牒で百五十万円を限度と制限されたことは、復興をきわめて困難にするものであるとの不満の声が上っておりました。この点も自治庁並びに大蔵大臣に対して同様の善処方を要望していただきたいと存じます。  三、火災跡地の借地、借家権について。  焼失区域は罹災者の約七割が商工業者で占められ、これら業者の再建の悩みは土地の問題であり、地主側は民法上の借地、借家法に基いて契約を解除する等、すでに両者の間に相当数の紛争が生じ、今後なお続出することが予想されております。すなわち十日現在、新潟簡易裁判所民事部に提起された借地関係事件は四十五件、弁護士会、政党、商工会議所等の相談機関に持ち込まれた件数は二百五十五件に上っております。市の調査によりますと、十月一日現在土地家屋の自己所有者は四百四十四人で全体の三五%、借地借家は六百二十人で五〇%、借地は百五十人、一二%、借家四十四人の三%で、借地、借家関係者が七五%を占めている状態で、すでに県及び市議会においては、罹災都市借地借家臨時処理法第二十五条の二の災害及び同条の規定を適用する地区を定める法律の制定の請願を可決している実情であります。  最後に、地元側の要望としまして、県、市ともに巨額の災害復旧費を要する上に、一億あるいは七、八千万円の減税が見込まれ、財政の逼迫が顕著であるので、本年度特別交付税に対する特別措置、短期資金の融通、災害関係公共事業負担金、単独事業に対する金額起債、市庁舎再建、海岸決壊工事地元負担金の金額起債、復興資金における特別金融等が要望され、また住宅金融公庫の新潟出張所の設置等、適切な措置が望まれております。  以上で新潟大火の報告を終ります。
  8. 石川榮一

    委員長石川榮一君) この際お諮りしますが、二十二号、二十三号災害視察に湯山委員から、並行してでありましたが、視察されております。これは湯山委員予算委員として他の地方に出張なさっていらっしゃるのですが、実は委員会として正式に湯山委員においで願うことをきめたところが、議連の方の申し合せによりまして、他の委員会から視察に出られた方があった場合、本委員会から再び出張することは困る、こういう話がありましたので、個人の立場から参加の形をとりまして、そうして正式の委員の方々と一緒にこの委員会委員として視察をされたのでありますが、この際やはり湯山委員から御報告を願う方がいいと思うのでありますが、どうでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異議がないようですから、湯山委員からあなたの視察なさいました山口、愛媛、高知県にわたる災害状況視察報告をお願いいたします。
  10. 湯山勇

    ○湯山勇君 それではただいま委員長のお話しにありましたような立場から、十月二十二日以降八日間にわたりまして高知、愛媛、山口を視察して参りました。高知県では中村市、宿毛市等県下の各被害市町村を見て参りましたし、愛媛県では南宇和郡、宇和島市、北宇和郡、東宇和郡、喜多郡、松山市、それから松山市の興居島という島、さらに山口県では岩国市、光市、柳井市、下松市、徳山市、山口市、宇部市、小野田市、下関市及びこれら付近の町村を順次視察して参ったのでございます。  被害状況等につきましては、前回の委員会において大臣からの御報告もありましたし、さらにただいま委員長からの報告等、その性質においては重複するものが多々ございますから、それらの重複を避けまして、要点だけ御報告申し上げたいと存じます。  今回の被害の特徴的なものは、高知県におきましては、特に西南部において室戸台風以上のそれに匹敵する豪雨がございました。そのために、渡川の木支流を初め高知県西南部の諸河川が一斉に増水はんらんいたしまして、公共施設その他に甚大な被害を及ぼしております。愛媛、山口におきましては、山間部に豪雨の見られたところもありますけれども、それよりも高潮とそうして風の関係で非常に特異な被害状況を呈しております。  以下それらにつきましての概要を申し述べますと、高知県におきますものでは、公共施設関係被害河川関係で百八十八カ所、三億六千五百六万一千円に及んでおります。それから愛媛県におきましては土木工作物関係河川、海岸、砂防、道路橋梁、港湾を合せまして一千三十五カ所、四億一千七百三十五万八千円に及んでおります。また山口県におきましては河川、海岸、砂防、道路橋梁、港湾等の国庫負担工事関係で十六億八千五百七十四万で、公共団体単独工事が四千四百二十九万四千円、こういう状況に達しております。  これらに対して現地並びに県の要望事項を概略取りまとめて申し上げますと、今石川委員長の方で御報告のありましたことと大部分は重複をいたします。特につなぎ資金の問題、それから海岸災害がきわめて特徴的な様相を呈しておりますので、冬波による被害が予想されますから、これらに対する早期復旧の要請がございました。  さらに、地盤沈下等々との関連において、原形復旧ではとても次の災害に対する保障ができない、どうしても改良復旧をしてもらいたいという要請もありましたし、現地の実情も、そういう必要をわれわれとしても認めざるを得ない状況にありますので、これは早急にそういう対策を立てなければならないと存じます。  さらに、今回被害のあった海岸地帯は、主として人工海岸、つまり海岸を埋め立てて宅地にしておりますとか、工場敷地にしておりますとか、あるいは道路にしておる、そういう人工海岸が非常に多い関係上、その海岸の所属が明瞭になっておりません。そして今回の被害に対してどこがその責任者になるか、そういうことも明瞭でないところがありますので、これらの点につきましても、すみやかにその所属分担を明確にして、対策を立てる必要があると存じます。なお、今申しましたように、非常に各種の人工海岸が錯綜しておりますから、これの復旧対策につきましても、単に道路あるいは海岸というようなことではなくて、総合的に対策を立てる必要も痛感された次第でございます。  さらに、先ほど来御指摘のありましたように、あの台風常襲地帯の海岸は戦前の工事もあれば、あるいは二十年の工事もあり、あるいは二十六年の工事もあるというふうに、各災害別の工事がずっと並んでおります。それらを見ますと、もう一息やっておけば今回の災害は阻止されたのではないか、あるいは今回残っている分にいたしましても、これはもうその次の台風にはとうてい耐えられないというような部分も考えられますので、これらに対する対策もぜひやらなければならないことだと痛感いたしました。  次に、台風とは直接関係のないことでございますけれども道路関係をついでに見て参りましたし、陳情を受けましたが、それによりますと、松山高知間の国道の中で、特に宿毛城辺間、あるいは宇和島と城辺間、これらの国道は海岸を通っておる関係もありますし、現在の交通状況から見て、すみやかに改修整備の必要があると感じました。また、山口県の国道関係につきましても、多くは国道が海岸を通っておるという関係もありますし、しかもあの由宇町というところでしたか、そのあたりには国道でしかも非常に狭くて、五トンという制限のついた木橋が今日も残っているというような状況等もありまして、これらは早急に改修しなければならないと考えました。なお特に高知県におきましては、今回の災害が渡川流域に大きかったことを考えまして、この支流である中筋川、後川それらの改修をすみやかにすることによって、今日のような災害を防止することができるのと同時に、広大な耕地の確保も可能になり、食糧増産にも非常に稗益するところが大でありますので、この改修をすみやかにされたいという陳情を受け、妥当であると考えたわけでございます。また、愛媛県におきましても、たびたび被害を起す肱川の改修、特にこの川に今建設されつつあります肱川ダムにつきましては、これができることによってあの下流地帯災害が防止できますので、三十年度においては少くとも十億以上の予算を計上されて工事をやってもらいたいという陳情がありましたが、これも妥当であって、ぜひその対策をお願い申し上げたいと、こう感じたわけでございます。なお、これとつながりを持っております肱川の支流にあります小田川、柿原川、これらにつきましてもやはりすみやかな改修によって今後の災害を防止する必要があるということを痛感いたしました。  非常に簡単でございますけれども、以上をもって報告にかえます。なお、詳細につきましては、資料及び報告書がございますから、これによって御了承をいただきたいと存じます。
  11. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 以上をもちまして視察報告を終ります。  次に、まだ時間がだいぶおくれましたが、引き続いて視察状況につきまして政府に質疑がありますようでありましたら、御質疑を願いたいと思います。  私から、実は二、三申し上げて政府の所信をお伺いしたいのですが、先ほど御報告申し上げましたうちに特に大きく取り上げてみたいものは、今度の鹿児島宮崎大分の各県にわたる被災農家の復興の問題、それから大淀川改修に関しまして、特に轟ダムをめぐる紛争の問題、その他数項あるのでありますが、時間がありませんから次回にこまかいことをお願いすることにしまして、この二つの問題だけでも伺っておきたいのですが、御報告申し上げましたように、この三県における農家の災害は目もあてられたい状況でありまして、その農家はほとんどが非常に弱い小さな農家でありまして、中にはカヤぶきの、ちょっと見ましても六畳一間ぐらいしかないのではないかと思うような小さな農家がたくさんあります。この農家の状態を見ますと、私ども全国的に各地を視察しておりますが、この地帯ほどこんぱいの極に達しておる農村はないということを痛感しました。それはもちろん地質的にシラス、ボラ等の火山灰による耕地でありますから、生産能率も上らないのはもちろんでありますが、そのほかに加えまして年々歳々の常習的な風水害にやられておる。本年も初めて全国的に未曾有の豊作をうたわれておったときでありますが、この地区におきましては、ほとんど全部が倒壊しておりまして、大体三割ないし三割五分の減収だということを言われておる。その他おもなる作付は、サツマイモ、ジャガイモ、あるいはアワ等でありますが、これらのものもやはり減収を見ておるようでありますが、特にサツマイモの主産地として、主食をサツマイモによって頼っておるようでありますが、このおもなるカンショのようなものに対しましても、これを処理するところの澱粉工場が各村に三、四ヵ所あります。この澱粉工場は全部倒壊しました。従ってこれを消化することの機能が停止されております。すでにカンショを掘らなければならない時期になっておるのにかかわらず、手のつけようがないという状況でありまして、あのままにしておきますと、あるいはカンショは腐ってしまうのじゃないかという心配さえ起るのであります。これはもちろん農林行政の方でやると思いますが、こういうようなわけでありますので、倒壊されましたこれらの数万に及ぶ農村の復興にほとんど手をつけておりません。小さな家に二世帯も三世帯も二緒の農家の中に住んでおるというような状況で、ぼう然自失の状況です。陳情に参ります多数の農民の方々は実に気の毒な身なりをしておりまして、くつたびなんかはいている人は珍しい。ほとんどはだしで陳情に来るという状況で、目も当てられないような疲弊こんぱいの中に立っておる農民が、おしなべてばたばた倒れていく。特に厩舎、畜舎、非常にその地方では多角的な考え方をとりまして、畜舎に力を入れておったのですが、この畜舎の復興もできないということで、とほうにくれておる。県当局にしましてもこれに対する対策がほとんどない。国でもこれらの小さなものを対象としての研究をしていないというような状況で、非常に悲惨のきわみでありますから、この多数の倒壊しましたもの、半壊したものに対する特別な復興計画一つ政府は考えていただかなければならないと思うのであります。これには金融公庫の融資の道もありましょう。あるいは先般作りました融資住宅の保険法もありましょうが、その地方における金融機関はほとんどオーバーローン、また農村の唯一の金融機関であります農業協同組合の資金のごときはほとんど枯渇し切っております。でありまするから、資金が全然ありませんので、それらのいわゆる融資保険法に該当するような資金を持たないというような状況であります。特に対象とされるところのこの農家が年々歳々の災害において貧困のどん底に落ち込まれたあとがその家屋の倒壊を見たのでありますから、ただちにこれを定期的にきちんきちんと償却し得るかどうかということも疑問であります。従って、金融機関においても相当にこれらの融資に対しては深刻な研究をしてかからねばならないというような状況にも追い込まれておりますので、これに対しては特別に政府で何か適当な一時的臨措置を講じてもらいまして、これらの数万に及ぶ農家の復興について御検討を願いたい。特に申し上げたいのは、この場合そう長くおくことはできませんから、なるべくすみやかに、できますことでしたらば、若干法的にはどうなるかわれわれにはわかりませんけれども、行政措置として可能な限りの最大限の措置を講じて下さいまして、われわれ、できれば国家融資を国家の財政からこれらの金融機関に対しまして相当額の預託をしてもらいまして、それを通しましてこれらの復興資金に充てていただくというととも一つの方法ではないかと思うのです。また自作農維持創設資金を利用しようという空気もずいぶんありますが、これらの問題はもし自作農維持創設資金の放出がかりにできたといたしましても、この自作農の対象としますものは結局土地の担保になりますので、土地の担保によりますと、この土地があるいはこういう常襲地でありまするから、この農村の手から離れてしまうというようなことも心配されるわけでありまして、とにかく非常に広範にわたる激甚な農村の住宅、非住宅の倒壊を復興させますためには、いろいろと考究をしなくちゃならぬ問題がたくさんあると思いますから、どうかこれらの地帯に対する住宅復興、特に農村における住宅復興に対しまして、政府の方でできる限りの御検討を下さいまして、すみやかにこれらの復興が進み得ますような御処置を願いたいと思いますが、建設省におきましては何かこの地帯における住宅復興に関するお考えがありましたならば、この際伺っておきたいと思います。
  12. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 東北、九州、四国の災害及び新潟の火災、それぞれわざわざおいでをいただきまして実情をごらん下さり、また御激励をしていただきましたことに対しまして、建設省はもとより政府といたしまして心からお礼を申し上げます。なお、いろいろ御注意をいただきました点については、よく私にも了解をいたした点もありますし、また注意をいたしませんでしてうっかりしておったような点もありまして、非常に教えられるところがありましたので、この機会にお礼を申し上げますと同時に今委員長からの御注意の点も含めまして、ごく簡単に東北、九州、四国、山口及び新潟の問題について、私の知る限りにおいて今日までの処置について御報告、御答弁を申し上げたいと思います。  新潟を最後に、災害を先に申し上げたいと思いますが、第一に、今委員長からお話しのありました点につきましては、私もこの間そのあと九州を一巡をいたしまして、ことに南九州のいわゆる住宅建築の災害のはなはだしいのを、予想はいたして参りましたが、一そう驚きましたわけであります。これに対してはこの前もごくあらかじめの考え方を申し上げましたように、当然公営住宅の災害住宅についての対策はやらなければなりませんので、住宅局の者を回しまして必要な処置を連絡をいたさせたわけであります。その際どうも多少役人同士の間といいますか、町村当局と県庁それぞれの間に理解の十分でなかった点等がありまして、委員長の御注意のようか問題が私の耳にも入りましたので、すぐ住宅局長から県の方へ直接連絡をとらせまして、いわゆる災害住宅の建築について農村側の希望に沿わないようなことのないように十分な手配をいたさせましたから、委員長のお耳に入りましたような点はまず大体解消をいたしたと考えております。それはお話の通り、どうも今までの災害の住宅が都市を対象に、常識的に考えられておったものですから、今度のような場合農家対象の公営住宅を建てるとなると設計が第一合わない、また、集団して建てるという習慣を役人の方で、県庁の方で何か既成観念のように思っておったものですから、町村にはそういう印象が残ったようでありますが、決して何もそういう法律規則が厳然とあるわけではないのでありますから、設計もまた農家に合うように、坪数の制限はありますけれども、その範囲で実際に合うようにしたり、また、集団を無理にしたって決して意味はないのでありますから、必要な分散はするように、またそれに伴う起債の問題も考慮するように大体手配をいたしましたので、公営住宅に関する限りは、これはもちろんこれで十分と申すわけではありませんが、許された限度におきましては、ちょうど今希望を全部集めましても、準備いたしました現在の予算で間に合う程度の戸数でありますので、これで進めて参るつもりであります。  それから、もちろん公営ではどうにもなりませんから、これに対してはお話しのように住宅融資保険の問題も、私も現地で知事や何かと話し合ってみましたが、これはなかなか農村については無理であります。しかし、地元にその熱意があるなら私の方も十分協力はするがと申したのでありますが、これはなかなか銀行が農家の住宅に融資しろといっても、まず私は期待は持てないと思いましたから、そこでお話しの通り、回ってみまして感じますことは、既存の住宅が相当ひどいのでありますから、程度から申すとはなはだ何ですが、今度もさしあたりやるとすれば、いわゆる増改築の資金程度のものが一番償還には手頃だと思いましたから、鹿児島からすぐ住宅局長に電報を打ちまして、今度御承知の公庫の増改築資金の中で災害地に特別に一つこの際ゆとりを持って考えろという手配をいたしておきまして、今それを事務的に進めておりますから、この分が公庫から相当いき得るのじゃないかと考えております。  それから私が行ってみて感じましたのは、お話しの自作農の資金、今度前国会で通過をいたしました二十億の自作農の資金が、こういう場合を予想してやったわけではありませんけれども、やはりこの際一番手頃じゃないか。これはお話しもありましたが、決して他の金融機関に担保としてやるのじゃなくて、農林漁業金庫がやるわけでありますから、決して土地を人に取られる心配はありませんから、この資金で一つ、長期の五分の一番安い金利でありますから、農家の復興には当然役立つべきものだと考えますから、その点も実は手配を公庫に直接依頼の電報を打ちまして、連絡をさせて、県にもよくその手続を早くとるように、よその所管ではありますが、注意を喚起をいたしまして、なお閣議の際にも私はそのことを特に申しておきましたから、このことも相当利用され得べきものだというふうに考えておりますが、なおその他いろいろ一ついろいろな方面から協力をして参りたい。  なお、お話の出ました澱粉工場につきましても、これは通産大臣にすぐ話しまして、農協のものが約六十何棟、それから業者いわゆる農協外の工場が十棟くらいだったと思いますが、この少い方の分については通産省から話をしてもらいまして、中小企業の方の資金の手当をすぐとりましたから、私が参りましたときはもうどんどん工場の復旧をやっておりまして、資金の裏打ちがついたからということを申しておりましたから、もちろん農協の方は農林中金から裏打ちをいたさせましたから、澱粉工場の復旧は予想以上に早く進んでおりまして、農協も二十五円の仮渡しで、どんどん私の行きましたときももう工場にイモを運び込んでおるような状態でありましたので、御心配の点はまず解消いたしたと考えております。  なおその節も私も聞きましたし、お話しにも出ました今後の復旧について、いわゆる暴風に耐えられるような耐火建築というような問題については、農家ももとよりそういうことは望ましいのでありますが、第一に気のつきますことは学校でありまして、これが全壊をいたしておる。これをまた借金で建てるといってもなかなか勇気が出ない。そこでこれだけでもせめて一つ耐火建築にしたいというのが地元の熱望であり、無理からぬことだと思いまして、これも閣議の席上大蔵大臣、文部大貫に、ああいう地帯復旧については特に耐火建築のものを考えるべきだということを申しておきまして、文部大臣も考えようということを申しておるようなわけでありますので、このことについてもできるだけのことは今後も努力をいたして参りたいと考えております。大体災害地帯の住宅の問題は今までとりました処置はさようなことでありますが、なお一つ御注意をいただいて努力をいたして参りたいと思っております。  それから一緒に申して恐縮でありますが、轟ダムの問題については、私もこの前と今度と二回にわたって現地を見まして、いろいろよく実情は承知をいたして参りましたが、結論を申せば、これは御承知のように今宮崎県に、知事を中心としてこのダムに対する特別委員会が作られておりまして、それぞれ公正な立場の委員によってこのことの処理をいかにするかという審議会が今継続中であります。で、私はこの前も参りましてこの結論を早く出すようにということを申して参りまして、なお帰りましてから省といたしましても、知事に正式に早く一つ結論を出して処理の方式を進めるようにということを申しておきまして、できるならば今月中にでもその結論を出すようにということを申しておきましたので、できるだけ早く事態の処理展開に一つ努力をいたしたいと考えております。  東北の災害につきましては、私は実は岩手以外は参りませんでしたが、御報告通り東北についてはいろいろまた東北特有の気の毒な事情がありますので、これについてはできるだけのことをいたして参りたいと考えております。その後青森県の上北に部分的な突風で非常にひどい状況等もあります。概して申せば東北の方の河川は常襲地帯と違って河川そのものに対する手当が十分でないものですから、非常に雨量の少いにもかかわらず、すぐに荒されるといったような状況ほんとうに気の毒だと思います。  なお、岩手の北上の総合開発についての御注意、まことにごもっともでありまして、決して総合開発あるいは多目的ダムを軽視をいたしておるつもりは毛頭ありませんが、湯田ダムにつきましては御承知のように地元の補償の問題が非常に難航をいたしまして、一時はとても手がつけられないのではないかということを憂慮いたしまして、特に優秀な所長をやって地元のよく納得のいくように努力をいたしたかいがありまして、先般私が参りましたときも、関係者全部が寄ってくれまして、いろいろ話がありましたが、私はそれに対しても誠意をもって一つ対処することを申しまして、おかげで最近は非常に好転をいたしまして、もう補償の問題も難関は突破したと考えられますから、できるだけ早く着工をいたしまして、総合開発の実を上げたい。お話しの通り北上につきましてはダムで防ぐ以外には狭窄部には処置がないわけでありますから、これは一つできるだけ早く竣工をして、御注意のようなふうに参りたい、かように考えております。  それから四国につきましては、私は山口に参っただけで四国にはついに参れませんでして申しわけありませんが、河川局長にすぐ四国を詳しく調べさせまして、報告はよく承知をいたしております。あわせましてこれもできるだけ努力をいたしたいと思っております。  なお御注意のありました道路につきましては、なおよく検討いたしますが、海岸の問題は私も山口の海岸堤防を見まして全く御注意の通りに感じました。そこで河川局長も参りまして、いろいろお話しの通り何種類かのダムが錯綜をいたしておりますので、これを今度復旧をするにつきましても、やはりそれぞれ所管を違えて復旧をしなければならぬ、それが原形をもとにしてやるということになると、また違った堤防を直さなければならぬということになりますので、これを一つ新しいといいますか、この機会に改めるという意味で河川局長が提案をいたしまして、各地県ごとにといいますか、県で堤防に関するあらゆる関係機関の委員会を作ってもらいまして、そうしてそれは農林省であろうが港湾であろうが、関係するもの全部の委員会を作ってこの際復旧をする堤防についての企画とかその他の問題を統一をしようということを、今法律に根拠がありませんが、行政措置でそういうことをすぐにその場で作らせまして、今それで進行をいたしております。これでやれば会計検査院に対しても、形式的にただそれぞれ思いつきでやったのじゃなくて、統一した復旧計画というものを背景にして、一つ合理的に主張をし、大蔵省に対してもそういう復旧の方式構造を一つ主張したいということで進めております。実は会計検査院につきましては、余談となって恐縮でありますが、たまたま山口にこの前の災害で私の方の査定官がきめてきた件数をあとから会計検査院が行って、それは長過ぎるからちょん切れというわけでちょん切ってしまった。そうしたところが、そのちょん切ったところで切れましてえらい被害が起りました。まあそういう例もありますから、この間防災課長にこの災害現地を見させまして慎重に調べました上で、会計検査院に事実こういうことがあったじゃないかということを申し入れいたしまして、あらためてやることにいたしましたが、まあそういうことを海岸堤防でも二度と繰り返さんように今度はいたしたい。同時にこの際前にこちらでも御審議をいただいた因縁のあります海岸保全に関する立法措置についても、これはもう国会に御迷惑をかけるまでもなく、政府みずからが内部の統一をはかって一つ進めるべきじゃないかということを私としては考えて、今事務当局の一応作りました原案を関係各省に提示をいたしまして、でき得るならば海岸法といったようなものを通常国会までにはぜひ一つ出して御審議をいただいて、今後そういうことを繰り返さんように、お話しの通り新潟の例もありますけれども、責任を明確にいたした処置を講ぜられるような法的措置を考えておるような次第であります。  それから新潟の火災復興につきましては田中さんの御注意、よく了承いたしました。私もその後参りまして、全くお話しの通りの印象を受けて参りました。都市評画等につきましては御注意の点を十分取り入れてやることと考えております。なお、お話しの中で住宅復興について公庫あるいは公団等の連絡等で決して私も十分でないと考えて、その後注意をいたしまして、お話しの古町通りでありますかには、一つ公団住宅をやったらどうかという話を双方ともにいたさせておりますが、これは無理に押しつけるべき性質のものでもないと思いますので、具体的にできるだけ一つ地元で具体案をまとめてくれ、公団の方からも一つやるからということで、これも積極的に進めて参って、御趣旨のような点を一つこの際十分というところまでいくかどうか、これはまあ個人の関係もありますから無理にはいかんと思いますが、この際一つ実現をいたしたい、かように考えております。  なお立ちました機会に、災害全体に対しまして、今日までの経過をごく簡単に申し上げますと、本年度の、お手元に差し上げましたように、二十五号、二十六号というのまで参りましたが、おかげで大した被害もなくて済みまして、今日までのところは、第一表でごらんのように、都道府県関係被害額は約二百四億九千万円ということでありまして、このほかに直轄があります。それから現在までにつなぎ融資を出しましたものは第二表にございますが、これは今までの分でありまして、三億五千万円出ておりますが、ここ二、三日のうちに大分鹿児島、山口、広島の分が出ます。山口、広島等も実はきまっておるのですけれども、御注意の点があって、私どもの方でがんばって大蔵省の金額は足りないからということでがんばっておるものですから、ちょっとおくれましたけれども、これもこの二、三日中には全部片づけるつもりであります。それから現在までに予備費の出ました分は第三表でございますが、直轄関係では五億七千万円ほど出ておりまして、都道府県の分がこの表のように六億二千六百万円北海道外十八県出ております。これもあと十二月中までには全部完了する予定で、きまったところからどんどん予備費で出して参りますし、大体今のところ現在の予備費の中で建設省の負担法に基く分は支出が可能ということでありますので、事務的にどんどん進めておるような次第でございます。  大体以上いろいろごたごた申し上げましたが、なお御質問によってお答えいたします。
  13. 田中一

    ○田中一君 新潟市の都市計画の問題ですが、知事を呼んで聞いてみますと、大体昭和十六年で人口が十六万、現在は二十六万になっておるそうです。大体五十万人口を目標として都市計画をしたい、こう言っておったのです。御承知のように民主党でも今日ソ交渉をロンドンでやっております。従って、もはや北鮮、中共、日ソの友好関係、いわゆる貿易の再開というものは火をみるよりも明らかなんです。そこで、新潟港について調べてみますと、戦時中といいますか、一番忙しい時分に二百万トンの水揚げがあったそうです。ところが、戦後十年たちまして、ようやく今二百万トン、戦前と同じ水準にまで達したということです。これにはむろん北鮮とか中共とかソ連貿易というものは含まれておりません。そこで、考えてみる場合に、将来新潟港そのものは、少くとも五百万トンぐらいの水揚げの量があるのではなかろうかということは想像にかたくないのです。太平洋を越えてのアメリカとの貿易も必要ですけれども、しかし、近距離の日本海貿易もこれは早晩行われてくるじゃないか。ことに只見川の電源開発によるところの電力が相当近くにある、地下のガスもある、石油もある。そうして信濃川流域は湿地帯が多い。この信濃川の浚渫によってこれを埋めて、そこに工場地帯を設けるのは当然のことだと思うのです。いわゆる裏日本の一番大きな都市になるような客観情勢が備わっているのではないか。従って五十万程度のものを考えていたのではいけない。少くとも、百万、百五十万の計画を立てなければならないのではないかというような意見を申し上げておいたのです。今回の災害を受けたところの地区は、御承知のように、もう伸びる余地がない所です。これはこれとして、伝統的な新潟市としての色とにおいを持った旧都市として残し、かつ新市街というものはこれは湿地帯に伸ばすという構想を持たなければならぬじゃないか。私が伺いたいのは、建設省は、このアジア貿易の表玄関の新潟港、新潟市というものに対する都市計画というものは、年々歳々変更しておる、変えておるということを聞いておりますけれども、そういうような構想があり、かつまたそういうような事実があったかどうか、この際伺っておきたいのです。そして新潟港に対する見解、新潟市に対する見解ですね、工場地帯としての新しい市街地に持ってゆくかどうかという問題、先般も建設大臣は抜本的な措置をとるとおっしゃっておりますが、私はそういう構想をもって新潟を考えております。ですから、御説明願えないものかどうか。今それができなければ次回のときまでに構想をまとめて御答弁願いたいと思うのです。
  14. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 御注意の点はまことに同感でありますが、港湾については私の所管でもありませんので、軽率にかれこれ申すのもいかがかと思いますから、よく打ち合せをいたしまして適当な機会に……。
  15. 田中一

    ○田中一君 それから三十一年度予算が省議としてはもうぼつぼつコンクリートされつつあるのではないかと思うのです。そこで、これもできるならば通常国会の前に、臨時国会中にもその機会があるかもわかりませんけれども、もし一応省議の決定があるならば、その大綱でも御説明願える機会を持ちたいと思うのです。これは今ここで御答弁できると思うのです。いつごろそういうものの説明ができるかということをお伺いしたい。
  16. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) これは、この前予算を組みます際の大体の方針を申し上げましたあれに基いて予算の事務的な編成をいたして大蔵省に出しております。なお、一方経済六カ年計画というものが今審議されております。それらと見合って漸次進んでいくことでありますし、実は事務的には主計局に説明を一応終りまして、むしろ主計局側が整理の段階にあるわけでありますので、まあ申し上げて別にどうということはありませんけれども、今何らそれ以上具体的な進展を見ませんので、委員会からの御要求とあれば事務的なことを申すことは何ら関係はございませんけれども、変った情勢はございません。
  17. 田中一

    ○田中一君 もう一つ伺いたいのは、昨年の暮に、私、臨時国会で、仕越し工事の支払い遅延の問題にりきまして緊急質問をいたしました。これは竹山さんも大臣でおられたはずですね。幸いにしてあなたの熱意によって、三重県その他の大きなところ、これは大体支払いが完了したように聞いております。私は今大体地方的に調べつつあるのですが、百億程度現在で未払金、仕越し工事を含めて未払金が今あるのではないかという見当をつけております。もう今は十一月、それから来月になればもう年末になります。従ってこれに対して今からその支払いを全部完済しょうというような実態調査、実情を握らなければ措置がとれんと思うのです。そこで年末に際しまして、仕越し工事を含む工事費の完全支払いという点について御努力を願いたい。また現在そのような調査をしておるかどうかという点も関係局長がいらっしゃるから御答弁願いたいと思うのです。そして、少くともこの問題だけは所管の大臣が責任を持ってやるのだと、あるいはどうも困るのだったら困るのだと、何とか一つ責任のある答弁をこの際伺っておきたいと思うのです。
  18. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 仕越し工事に対する処置はできるだけ努力をいたしておるつもりでありますが、それぞれ県によって事情が違いますから、特別に調査ということをいたさなくても、情勢はそのつど検討いたしていくつもりであります。今後も努力いたすつもりでありますが、これも特に今の段階で締めくくってどうということを申し上げるほどの変った事情もありませんから、今後も努力いたしたいと思います。
  19. 田中一

    ○田中一君 実態を調べるということはしておるのですか。
  20. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) これはやっております。
  21. 田中一

    ○田中一君 大体現在でどのくらいのものが残っておるかお示し願いたい。
  22. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) それは今年度の予算の実行等につれて変って参りますから、現在のをきょうは取りまとめて持って参っておりませんが、また状況に応じていつでもまとめまして……。
  23. 田中一

    ○田中一君 くどいようですが、もう一つ念を押しておきたいのです。昨年あなたが善処をして下さって末端の労働者まで名建設大臣という名がうたわれております。そのように本年度も努力をしてくれるということを期待してよろしいのでございますか。
  24. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) なかなか、七百億からの借金もありますし、努力をしても全部解決するということはもちろん不可能と思いますが、最大の努力を続けて参りたいということには何ら変っておりません。
  25. 湯山勇

    ○湯山勇君 今大臣から御説明のありました緊急融資の問題につきましてですが、これは査定額と融資決定額との間にはかなり開きがありますが、何かこれには比率か何かございますでしょうか。
  26. 米田正文

    説明員(米田正文君) お手元に今差し上げております二ページの一番おしまい、計のところで申し上げますと、こういうふうに、被害額、融資あっせん申請額、融資所要額、その次に融資決定額が書いてありますが、それはどういうことかと申し上げますと、被害額というのは、その県の全体の被害であって、それに対して県が融資あっせん申請してきますその数字をなまのままをあげてあるのですが、その融資を申請されましたときに、建設省と大蔵省で内容を審査して、査定をします、こちらの書類上の査定を。で、きめました金額がこの場合には十八億六千二百万円、こうなっております。そのようにしましたものを、最終的に大蔵省の理財局に持ち込みます。理財局は最後にこれで決定しましたのが三億五千万、こういう経過をたどって出てきた数字でありまして、これについては申請額の何%とか、何割とかいう趣旨ではありません。どこまでも現地の実情を基礎にして必要な額をできるだけ融資をするという建前になっております。ただ実際の資金ワク、資金操作等の関係から、大蔵省はわれわれの要求する金額と相当離れた数字で決定をしておりますが、これは率があってやっておるものではございません。
  27. 湯山勇

    ○湯山勇君 そうすると、所要額は大蔵省も立ち会いの上できめるわけでございましょう。
  28. 米田正文

    説明員(米田正文君) そうです。
  29. 湯山勇

    ○湯山勇君 大蔵省も立ち会いの上できめた所要額が今度は決定額になったときに、その何割、半分にも足りない非常に少い額になっておる。このことが今回回りましても非常に問題になっておりました。今年度のような場合には、大臣のお話しにもありましたように、大体大蔵省の方との話もついておるし、郵政省関係との話も大体ついておるというようなお話しでしたのですが、被害が少かったような関係もありますから、大体審査額ですか、査定された額程度はいくようになるお見込みでしょうか。第一次、第二次と順々にいって、どのくらいのところまでいくお見込みでしょうか。
  30. 米田正文

    説明員(米田正文君) これは実は先ほど大蔵省と申し上げましたのは、初め所要額をきめるときの立ち会いは主計局であります。最後は理財局にいくものですから、大蔵省の中で主計局と理財局の考え方というものは相当違ってきております。これは最終的にこういう場合資金繰りの関係を主としてきまりますが、そのきめるときに、少くともこちらの要求額を基礎にしてきめておりますから、それで少くとも比率等でアンバランスは起きておりません。全体が圧縮されておるときには、全体が一応の比率で圧縮しておるという形になっておりますという点を申し上げておきます。今後幾らにするかという問題は、実はもうわれわれとしてはできるだけ出して、まだ今後も融資を出すように話はしておりますけれども、実はもうできるだけ予算で出したい。そのために査定を急いでおります。もう相当査定も進んで参りましたので、今月うちにももう決定額になります県も相当あります。決定額が出てくれば、先ほどの法律の趣旨、改正法の趣旨で支出をしていくという立場をとりたい、そういう方針でやっておりますので、逐次決定次第にできるだけ予算で流していこう、手続等もできるだけ予算で流す方が県としても楽だ、こういうことであります。
  31. 湯山勇

    ○湯山勇君 今局長がおっしゃった通り予算で出すことが一番いいと思いますが、大体予算で本年度どのくらいな割台で出されるお見込みでしょうか。まだそういう点までは御検討になっていらっしゃらないのでしょうか。
  32. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 今予想しておりますのは、今までの分を含めまして三十五、六億を考えております、法律の通り実行いたしますと。
  33. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから次に改良復旧につきましていろいろお話がありましたわけですが、特に中国、四国のような地盤沈下地帯の改良復旧につきましては、これは関連事業の補助では今日なかなかできないのではないかと思います。そこでこれは関連事業といいながら実際は災害だとも考えられますから、高率補助の適用がなされるかどうか。つまり災害復旧並みの補助率ですね、そういうことができるものかできないものか、そういう点について御検討いただいておるかどうか。いかがでしょうか。
  34. 米田正文

    説明員(米田正文君) お話しのように、災害復旧とそれからそれの助成費というもの二つつくわけですが、それで一つ工事になるわけです。そういう場台が相当ある。そういう場合に補助率は災害復旧としての補助率と助成費なりあるいは関連事業費なりとして、それに改良部分をつけます分はこれは改良事業費としての補助率になりますから、補助率は違う、こういうことになります。
  35. 湯山勇

    ○湯山勇君 そこで私は非常に問題があると思いますのは、たとえば今大臣がごらんになった山口県のように戦前の工事でこわれたのと、それから二十六災なら二十六災で一部こわれたのがつながっておりますそのときに、戦前にこわれたのは石垣積みの分は、これは原形復旧ですから、その三分の二なら三分の二負担する。それからお隣りのはまた二十六災で、ほとんど完全なものができておったものの半分、それと同じようにするとなれば、古い工事復旧は非常に地元負担が大きくなると思うのです。そうなると、事際はそうしたいけれども、やむを得ず原形にとどめなくちゃならないという事態が私は各所にできるのではないかと思うのですが、こういうものは何とかその一連のものの中の最高のところまでは災害補助を適用するというような方法はないものでしょうか。
  36. 米田正文

    説明員(米田正文君) 実はそれはまあ個々の具体的のものについてでないとはっきり申し上げられない点があるのですけれども、従来からいろいろな海岸堤防があって、高さもそれぞれまちまちでありますような場合に、これは趣旨は原形復旧ですけれども、ある程度の幅はもって査定をしております。従ってそれを完全原形といかぬでも、既往の復旧をするという趣旨から、ある程度の幅は持っております。ただ、それはあまり程度を越すといかんので、程度の問題は具体的な事例できめていっておりますから、具体的なあれになればはっきりいたしますが、そうでない場合に、まあ原形復旧とはいいますが、多少の幅をもって査定しておるということを御了承願います。
  37. 湯山勇

    ○湯山勇君 もう一点お尋ねしたいのは、今の人工海岸の所属の問題ですね。これは山口県あたりでは工場の敷地になっておるところがありますし、それから岩国あたりでは基地になっておるようなところがあります。そういうものの復旧につきましては、どこがやっているか全くわからない。それらにつきましては海岸保全法ができれば明確になると思いますけれども、冬波を控えてそれまで待っておれないと思うのです。ただいまの段階においてはこれに対してどういうお考えを持っていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  38. 米田正文

    説明員(米田正文君) 先ほど大臣から申し上げましたが、そういうようないろいろ所管の明かでないものもありますので、山口県ではさっそく総合的にそれを復旧計画を立てるという趣旨のもとに対策委員会を、正式には災害対策委員会という名称でございます。それを県に作りまして関係の者が皆木省からも委員に入りましてその対策を練って、それで今のような問題もその委員会に提案をされて各省と打合せを委員会ですることにしておりますが、まあ今のお話しの例は、あれはおそらく所有権は会社のものだ。現在の制度では各府県が条例で海岸の認定をいたしております。で、県管理の海岸はこれからこの区域だと、あるいは市町村市町村のまた区域を認定をいたしております。それぞれそういう所要の手続をしておりますものは、これは県管理なりあるいは市町村管理として処分上もはっきりいたしております。で、そうしてないものは処分の上から見れば県管理でも市町村管理でもないというものであって、おそらくその提防を建設したものが財産権もありますので、その管理だと、こういう建前になると思います。で、私はこの前行ったときに、この問題は対策委員会でもう一度研究してもらいたいとは言っておきましたが、おそらくこの復旧はやっぱり所有権者が復旧する、その管理者が復旧するのが建前ですからして、会社の場合には会社が復旧するのが建前だと思いますが、ただその復旧する場合に、依然として前の通り復旧をしたのでは意味がないと、また災害の危険にさらされるではないか、そこでこの際、これを適当な管理者、市町村なりあるいは県の管理にこの際移すと、移しますと、今度は改良工事はそこでやれる。そこで前の復旧工事と今度の改良事業と合せてやる方法になるではないか、私は私見を申し上げておきます。が、それからはこの委員会でなおよく研究すると思います。
  39. 湯山勇

    ○湯山勇君 なお今の点に関連をもちまして、個人で海岸へ宅地造成をやっておるようなものがこわれたのがあります。これは個人ではもうとうてい復旧の能力がありません。そういうのもありますし、それから今の工場なら工場にしましても、それがこわれれば当然農地に影響を持ってくるし、一般住宅にも被害が及んでくるというような場所もたくさんありますから、これはどうなんでしょうか、海岸法ができるのを待たないでですね、建設省の方でそういうものに対しては明確な指示をする必要があるんじゃないかと思うんです。ことに冬波が来だしますと、それをそのままほうっておくわけにはいかぬし、そうかといって将来そういう海岸法ができて、所属が明確になれば、やってくれるからといって放っておくということもあるかもしれませんし、ことに個人のものはそういう傾向があると思いますから、何か緊急なこういうものに対する処置をおとりいただく方がいいんじゃないかと思うのですが、いかがなもんでしょうか。これは、県の委員会がやりましても、とてもそういうところまではできないと思うんです。
  40. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) ごもっともなんで、それは、今は法制上根拠がないものですから、現在の行政処置として県に一応作らしておりますが、これは本省や地建ももう実質的に参加はしまして指導をしていくつもりでありますから、決して責任回避でなしに、各省もそれに一つ協力をしてもらっておりますから、現実の問題としては、そこで具体的な処理をきめさして、そしてそれに対する処置をとることを大蔵省と話をするというのが一番手っとり早いので、今それでやっておりますが、なお、これは決して制度的には十分ではありませんけれども、今の段階ではそれ以上なかなかやりようがなかろうと思いますから、それで参っておりますが、なお御趣旨のように努力いたします。
  41. 湯山勇

    ○湯山勇君 それから大臣にお伺いしたいのは、海岸保全法ですね、これは各県とも非常に期待を持っております。ところが、新聞で見ますと、なかなか難航するんじゃないかということも言われておりますが、これはぜひやっていただきたいと思うんですけれども、現在のお見込みですね、これはどういうのでしょうか、あるいは障害点があるとすれば、どういう点でしょうか。
  42. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) これは、実はそう私は楽観的に申すわけじゃありませんけれども、それぞれ各役所が自分の立場で熱心に主張をするからむずかしいように考えますけれども、日本中の提防をみんなが責任を持っているということでありますから、これこそ欲をかいてみたところで、金の裏打ちのないものだけを、責任だけたくさんしょってみたところでどうというととはありません。私は十分話し合えばできるものだと思います。難航をするというのは、今までそういうこともあったようでありまするが、これは誠意をもって話せば、そんなに別に決定的な困難な問題はない、率直に申して農林省、通産省あるいは運輸省、それぞれまあお互いの責任を明確にし、そのもとで知事が責任をまた明確にしていくということですから、私は話せばわかると思っておりますが、まだ実は事務的にこちらの案を各省に送って検討してもらっている段階でありますから、まだ論議をするというところまでいっておりませんですから何ですが、これは誠意をもって話せば私はできると思います。
  43. 小沢久太郎

    小沢久太郎君 もう時間がありませんから、私は特別失対について政府から資料を一つ提出を求めたいと思います。この特別失対については、九月の二十一日に建設委員会を開いたときに、官房長は九月一ぱいに大体妥結できるというお話だったのであります。私その後各府県を回ったのですが、なかなか妥結もしていないようだし、問題も相当多いのです。たとえば失業救済としてやる場合と、効果を重点にしてやる公共事業の場合と競合して、非常に現地では困っているというような問題もあるし、また朝日新聞でもこれを取り上げて問題にしているようでありますので、実はこの施行の方法とか要領、それから両省間の協定と申しますか、申し合せをどういうふうにしていくかへあるいは窮状状態はどうなっているかということを一応御提出願いたい。それからまたいろいろ御意見を伺いたい。そういうふうに思っております。
  44. 竹山祐太郎

    ○国務大臣(竹山祐太郎君) 重要な問題点の御発言でありますから、御答弁をすることはまたこの次に詳しく申し上げますが、お話しの通り現状は決して問題がないわけではないわけでございます。しかし努力をいたしまして、大体は片づきましてそれぞれいっておりますが、今まだ完全に具体化さない分が約一億ほどあります。これはどういうわけでそういうことが起ったかといいますと、初め計画を立てる時分には、こっちが勝手に計画を立てたわけじゃなくて、労働省の方で大体こういう都市ということの都市別をもらったものですから、それに応じてこちらでは一般公共事業費と関連して考え、計画を立てたのでありますが、だんだんやっていってみると、そこにそれ相応の労働者がいなかったりなんかして、それは困る。しかしこっちにしてみると、そう急に勝手にぐらぐら変えるわけにいかないというような点で、これは私は両方とも言うことは、一応立場上当然だとは思いますが、やはりそういう点でなかなか調整もつかない分が今残っておる。でまあ私としては、無理やりにどうでも効果をはずしたような仕事をするというようなわけには、国費であります以上そういうことはいたしてはいけないと思います。でありますから、失業者の方の状況が変ったのなら、それに応じてまた内容を、考えられるだけ考えていくということで、今検討をさしているような状態で、事実お話しの通り問題があります。これについては今後の問題もありますから、慎重に一つ私としても対処して参りたい。御注意の資料は、さっそく現状をもとにいたしまして提出をいたします。
  45. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ここでおはかりいたしますが、まだ視察報告に関する質疑も終っておらないようであります。本日は一応この程度で会議を終りまして、次回は十八日に建設委員会を開きまして、そうしてきょうの質疑の足りませんものや、その他につきまして質疑応答もし、また特別失対事業等につきましても、小澤委員よりの御発言もありますから、これらも上程し、それから継続審議になっております法案の審査並びに手続等につきましても、一応休会中にその手続を完了しておきたいと思います。そういう考え方から、次回を十八日に開会いたしたいと思いますが、そのときにはなるべく関係各省に渡りをつけまして、政府の各省にわたる部面にわたりましても質疑ができますようにいたしたいと思いますから、さように御了承願います。きょう大臣から御答弁いただきました点につきまして、特にまた轟ダムの問題につきましても、御答弁があったのでありますが、この問題は私ども大臣のいらしたあとでありますが、非常に深刻な様相を呈しておるようでありますから、少くとも建設省といたしましては、年々災害を呼ぶ霧島盆地災害を根絶するためにはどうするかということに関しまして、相当な御研究はあると思います。先ほどお話を伺いましたように、現地でも知事はあらゆる権威者を集めてこの委員会を作った、おそらく十一月のうちには結論は出ましょうということでありますが、今までで申しますと、そういう権威のある方々の結論を得ようとしますると、なかなか微妙なものがありまして、結論をよう出さないというような場面もあるのでありますから、これは建設省としてほうっておけない問題と思うのでありまして、建設省自体として河川局を中心として、この問題をどう取扱うかということにつきまして、次回に御計画等ありましたら、率直に意見の発表を願いまして、そうしてそれを中心にしてやっていただきたい。何だかめんどうだから、委員会に付議しておるから、その様子でというようなことになりますと、おそらく十一月一ぱいでも結論は出ないと思います。これはいろいろな関係がありますから、それだけでも困難なことだと思います。建設省としても、あの広範な地域にわたる災害が年々起っておるのでありますから、この点等ももう少しお伺いしたいと思います。これらを含めまして十八日に委員会を開会したいと思います。  本日はだいぶおそくまで皆さんに御勉強を願いましてありがとうございました。これにて散会をいたします。    午後一時二十三分散会