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1955-05-17 第22回国会 参議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十七日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————    委員の異動 五月十三日委員大倉精一君辞任につ き、その補欠として大和与一君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石川 榮一君    理事            石井  桂君            赤木 正雄君            近藤 信一君            武藤 常介君    委員            小沢久太郎君            西岡 ハル君            酒井 利雄君            宮本 邦彦君            北 勝太郎君            村上 義一君            湯山  勇君            田中  一君            永井純一郎君   国務大臣    建 設 大 臣 竹山祐太郎君   政府委員    建設政務次官  今井  耕君    建設大臣官房長 石破 二朗君    建設省計画局長 渋江 操一君    建設省河川局長 米田 正文君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○法案の取扱に関する件 ○建設事業並びに建設計画に関する  調査の件  (昭和三十年度建設省関係予算に関  する件)   —————————————
  2. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ただいまから建設委員会開会いたします。  先ほど委員長及び理事打合会において決定いたしましたことを、一応御報告申し上げておきます。田中一君ほか一名の提出にかかります国設住宅法案ほか二法案が、本委員会に本審査として付託をされております。この法案は二十一日ごろ政府から提案される同種の法案と並行して審議することにして、来たる二十四日の定例日にこの提案理由を聞き審査に入りたいということになったのでありますが、別に御異存はありませんか。
  3. 田中一

    田中一君 これはちょっと、もう日もないですから、提案理由説明を一緒にして、それの参考人なんか呼ぶということをきめもしないでいいですか、今日は。
  4. 石川榮一

    委員長石川榮一君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  5. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 速記を始めて。  それからただいま大蔵委員会付託になっております地方道路税法案、及び地方行政委員会付託されております地方道路譲与税法案は、本委員会にとりまして密接な関係がありますので、両委員会に対しまして連合審査会開会を申し入れることに先ほど申し合せましたが、この件もさようにいたしまして御異存はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異存がないようでありまするから、さようにいたします。  で、この連合委員会開会に関する日時、一切の件は、両委員長が協議をいたしまして決定いたしたいと思いますが、委員長に御一任願いたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 御異存ありませんければ、さようにいたします。
  8. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本日は昭和三十年度建設省関係予算に関する件を議題に供します。  ただいま政府から出席されている方々は、河川局長計画局長官房長鎌田住宅建設課長、これは説明のために参っております。石破官房長は、ただいま住宅建設局長が療養中でありますので、事務代理をすることになっておりまするから、公式に局長代理説明を聞くことができます。  御質疑のあります方は、順次御発言を願いたいと思います。
  9. 石井桂

    石井桂君 私は、今度の住宅を作るために公団を作られるようでありますが、公団法の法律が出ておりませんからよくわかりませんが、そこに使う技術人員というものがどのくらいあって、どういうところから動員するか、お考えがあれば、お聞きしたいと思います。
  10. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 公団に使います職員の数とか質につきましては、まだ十分最終的に決定いたしておりませんが、初年度二万戸の住宅建設と、それから百万坪程度宅地造成をやりたいと考えております。従いまして、これに要する人員は、大見当まあ六、七百名は要るんじゃなかろうかと考えております。そのうち技術人員につきましては、特に多いのは建築土木に関する技術職員を多く要することと思われますがもともとこの公団は金を融資しますとか補助するとかいう性質のものでありませんで・みずから建設し、みずから宅地造成をやることを建前にいたします関係上、相当職員が要るだろうと思います。これらの職員の数等につきましては、案ができ次第、御説明申し上げたいと思います。  この技術人員をどこから採用するかという問題でありますが、これにつきましても、目下のところはどこといってきめておるわけではありませんので、広く適任者を得たいと、かように考えております。ただ実際問題といたしましては、やはり役所的な仕事になると思いますので、従来公営住宅を作っておりました者でありますとか、官庁営繕をやっておりました者でありますとか、あるいは区画整理をやった経験を持っておるとか、こういうものはやはり相当数を従来の政府機関なり地方公共団体に求めなきゃいけない、かように考えております。これらの点を配慮いたしまして、十分とは申せませんけれども恩給の通算の問題などにつきましても、ある程度の法制的の準備もいたすつもりでおります。
  11. 石井桂

    石井桂君 それにつきまして、ちょっと聞きたいことがあるんですが、それは、建設省営繕局または地方建設局営繕部の人が、大量どうしても整理されるようなふうに聞いておりまして、それをまあ整理された場合に、どの程度実質的に出血なく吸収されるかということも、あわせ考えられておるだろうと思うのですよ、実際に具体的に。住宅局長代理ではあるが、本職は官房長であられるのですから、建設省方々のいわゆる首切りですか、そういうものと・それから日本住宅公団に対する受け入れのことを具体的に研究されておると思うのですが、もし研究されておりましたら、最終的な決定でもちろんないでしょうけれども、輪郭をお聞きできれば大へん幸いだと思います。
  12. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 建設省定員減少公団の設立とは、もちろん因果関係はありません。けれども、幸い公団法が通過成立いたしますれば、建設省定員減少に伴う行政整理も比較的円滑に行くんじゃなかろうかと、こう期待いたして一おります。  そこで建設省の本年度行政整理予定でございますが、前年度来引き続きの行政整理、これは六月までに完了する予定の分でございますが、これを三十年度実施予定の数は大体三百名程度であります。さらに、その上に今年の十月末まで、あるいは十二月末まで、あるいは来年の三月まで、若干の段階はつけておりますが、通計いたしまして若干の増がありますから、差引百九十三名の行政整理をいたすことにいたしております。それは、官庁営繕仕事が前年に比べまして相当大幅に減少することに相なっております関係上、営繕関係で二百二十名減少し、その他の部門で二十七名増員いたします。差引百九十三名の整理になると思います。で、先ほど御説明申し上げました通り公団法が通過成立いたしますれば、営繕関係職員の二百名前後の者につきましては、今具体的な案は持っておりませんが、いずれも技術優秀あるいは仕事経験を持っておる者でございますので、特別の支障がない限りは営団に吸収することができるであろう、かように期待はいたしております。
  13. 田中一

    田中一君 関連して。今百九十三名と言いましたけれども、二百二十名の整理、増が二十七名ということでありますね。そうすると、結局どうなんですね、実質的に首切り百九十三名、それであと残りの者は配置転換という意味ですか。
  14. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お答えいたします。はっきり配置転換全部きくとは、実は参らぬのであります。と言いますのは、今度増員になります分は、災害の査定官でございますとか、道路関係の特別の職員でございますとか、理論的に申しますとやはり配置転換全部いく、二十七名についてはいくとははっきり申し上げかねますけれども、何とかできるだけ差し繰りいたしまして、実際の整理の人数を二百二十名よりか下回ってやりたい、かように考えております。
  15. 田中一

    田中一君 そうすると、実質的に出血はどのくらいになるのですか。
  16. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) これから具体的に整理段階に入って考えませんと、確たる見通しは申し上げかねると思います。できるだけ実際の出血を少くするように努力いたしたいと考えております。
  17. 石井桂

    石井桂君 この整理の問題につきましては、私の記憶に誤りがなければと思うのですが、この前の国会かその前に、営繕職員増員のときに、同僚の田中委員から、たしか増員について、むやみに増員したような場合には、そのしわ寄せが整理の場合に臨時職員の形態の人に及ぶのじゃないかというような趣旨の質問があって、たしかこの前の国会かその前だと思うのですが、そういう増員のことについての御質問があったように思うのです。今日のように定員法や何かすっきりきまって、そうしてその職にある者は安んじて仕事ができるように保障されておる時代に、こうそのつどそのつど、仕事がふえたとか減ったとかによって、あるいは入れ、あるいは首切るような、ひんぱんにそういうことがあることは、役所の能率を非常に妨げるのじゃないかと私は思うのです。内閣がかわって方針が変るから、しようがないようなものでありますが、次官以下はとにかく今までやってきた人なんです。そうすると、あるときには急激に人をふやし、あるときにはまた急激に人を切ってしまうということは、入った人からいえば、これは、その職で十分一つ国のために尽そうと思って腰を落ちつけて仕事にかかっている者もあるし、そういうものに対する定員法などの取扱いに対して、官房長、どういうふうにお考えになっておるか。やむを得ないというふうにお考えになるのか、仕事が減ればどんどん首を切ってもしようがないのだというふうにお考えになっているか、その辺ですね。
  18. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お尋ねの点まことにごもっともでありまして、私ども特に直接人事を担当いたしておるといたしましては、正直に申し上げて、まことに困っております。ただ御承知通り営繕は最近数年間非常に忙しくなりまして、そのために人員の増加もいたしたのでございますが、御承知通り、その仕事の大きな部分は安全保障諸費に基く事業あるいは防衛庁関係工事、こういうものが多かったのでございまして、いわばそれらは一時的臨時の業務とも申すべきものであったのでございます。戦前予算でございますと、本定員臨時定員というものではっきり分れておりまして、まあ実際整理することのむずかしいことはいずれも同じでございますけれども戦前でございますと、本定員臨時職員というふうに分れておりまして、建設省でそういう仕事を実際にやっている人でも、これは臨時定員自分はやっているのだというような点がはっきりしておりました関係もありまして、その仕事が終りますれば、これを減らすということもある程度やむを得ないというような観念が、事前にもあったろうと思うのでございますが、最近におきましては、御承知通り定員に本定員臨時定員がございませんので、これらのものを毎年、仕事増減に応じて減らしたりふやしたりすることは、まことに困った問題だと考えます。この点につきましては、大臣もかねてから、こういう公務員制度につきましては根本的に一つ考え直したいということは申してはおりますけれども、実際から申しまして、仕事がないのにこれを雇っておくというわけにはやはり原則として参りませんので、仕事が減りますれば一人でもこの定員を減らすというのが、これはやむを得ぬ、措置であろうと思います。従いまして、減らすのはやむを得ませんけれども、これらの人の配置転換なり就職につきましては、でき得る限りの努力をいたしまして、生活の道を失うというようなことのないように、万全の措置を講じたいと考えております。
  19. 石井桂

    石井桂君 仕事増減によって人を整理したりふやしたりするのでありますから、一人の一年に分担する量というようなものが具体的にあるはずだと思うのです。それのきめようによっては、これは非常に忙しいとかひまだとか、人間が要らないとかいう算定ができると思うのです。その算定の仕方によって、非常に忙しい場合でもひまだと称して切れるのは、私は標準のとり方によると思う。だから、一人のいわゆる一年間の責任量というようなものが、実際客観的に妥当であれば、これは忙しいかひまかがはっきりするだろうと思うのですが、その点建設省では、営繕職員あるいは土木職員負担能力というものは、どのくらいに考えてやっておられるか。実際に切る場合に、二百二十人多いというのならば、その仕事に比べて、人を二百二十人切れるだけの仕事がなくなったのかどうか、その辺ですね。そういう負担能力考え整理をされるか。あんまり突然で資料が出てこなければ、あとでもいいのですけれどもね。
  20. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 具体的のこまかい過年度との比較等を持っておるのでございますが、ここにちょっと今見当りませんので、概略を御説明申し上げますと、まあ今年の予算でございますけれども建設省工事仕事のうち、特に営繕につきましては、建設省所管予算にはっきりと計上されております分と、実施に当って支出の委任を受ける分と、両方あるわけでございますが、それらを合計いたしますと、三十年度の当初、前年度から繰り越される工事の量が、これはまだはっきり確立的な数字とは申し上げかねますけれども、約八十億前年度来の工事を持ち越すかと思います。そのほかに、三十年度予算によりまして建設省が実際に担当するであろうと考えておりますのが約五十億、合計百三十億ばかりでございますが、それらの仕事につきましては、今年だんだんにこれが減って参りまして、今年の八月ごろを最盛期とし、自今ずっと減っていく見込みでございます。しかも前年度から三十年度に繰り越されました工事の量は、先ほど申し上げました通り、八十億に上ったのでございますけれども、今年度末におきまして、工事消化見込みはこれはほとんど予算計上——もちろんそれは建前はそうでございますが、実際の見通しといたしましても、去年のような不手ぎわはありませんで、今年の末には大体実際にも片づくだろうというような状況に相なっております。前年度とのその関係の対比でございますが、前年度は三十年度に繰り越しました分が八十億あったわけでございまして、工事の量も非常に多かったのでございますが、今年はそれに比べますとはるかに減るだろうと考えております。従いまして、建設省営繕関係職員は全国で定員法上の職員が約千六百人おります。そのうちで二百人前後の者を整理いたしましても、仕事にはもちろん差し支えがない。かように考えております。  一人当り仕事消化の量でございますが、これも資料ではっきり御説明申し上げたいと思いますけれども、私の口から申し上げるのは大へん恐縮でございますけれども、やはり各省でも営繕職員相当持っておりますが、それらのいずれと比較しましても、建設省営繕職員の一人当り消化の量は決してひけをとらない、それよりは多い量を持っておるのは事実だと思います。
  21. 石井桂

    石井桂君 一人当り消化能力の基準はあとでまた、お調べになって、お聞きしたいと思いますから、その整理をする前に、一応日本住宅公団というようなものへ吸収させるというお考えの前に、一応その営繕職員にそういう仕事を、現在の身分のまま、委託工事かなにかで与えられるような方法は、お考えにならなかったのかどうか。
  22. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 公団法を立案しますなり三十年度予算を編成するに当りましては、お尋ねのような点につきましては、実は十分検討いたしました。いたしましたけれども、まあもともと営繕という職員は、官庁営繕を本来の任務といたしております関係上、やはり整理する方は整理する、別の仕事ができれば新しい方で所要の人間を採用するという方が、今後長年に−実は公団という仕事は長年にわたる仕事でございますので、この際はっきりした、官庁営繕仕事が減ればそれだけ整理をする、公団は新しい仕事ができればそれに必要な職員を雇うというふうに、すっきりして、公団仕事をいつまでも営繕に担当させるというようなことはやらぬ方がいいだろうと、実は考えたわけです。  なお公団仕事は、公団の性格でございますが、これが官庁的な政府機関ででもありますれば、また考える余地があったかと思いますけれども公団と申しますのは政府機関でありませんで、公法上のまあ特殊法人という程度考えておりますので、その辺も考え合せまして、営繕でこれを将来受託のままでやっていくというのは、適当でなかろうと考えたわけでございます。
  23. 石井桂

    石井桂君 大体筋はわかりましたが、そういたしますと、まあ二百何名かの営繕職員が今年度首を切られるわけですが、官房長は、初めに言われましたように、首を切られる人々について十分配慮をしておるというふうなお話であります。大体公務員というものは、一般の他の職業の人に比べまして、非常に安い給与仕事をしているのが普通でありまして、そのかわり、何年かたてば恩給がつくというようなことになっておると思うのです。私ども役人生活をしている経験があるので十分わかっておりますが、あと何年たてば恩給だというようなことは、非常にまじめに考えておられるようです。そういう職員がとにかく何名かでも整理対象になるというようなことでありまするので、そういうまじめな公務員方々にとっては、非常に大きな問題だと思いますので、十分、一つそれらの馘首の対象になられる人々に対しては、公団に移るときの恩給の継続だとか、あるいは待遇上の問題だとか、そういうことをお考えの上一つやっていただくように希望いたしておきます。
  24. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) ただいまの御注意、まことにありがとうございます。私ども自分らの腹づもりでは、営繕関係職員が、まあほとんど全部と言っていいほど、公団ができますればこれに就職をあっせんしよう。かように考えております。  なお先ほど申し落しましたが、二十九年度営繕仕事消化の量と、それから三十年度営繕仕事消化の量と比較いたしますと、ごく大ざっぱに申し上げまして、昭和二十九年度には、翌年度に繰り越した分を抜きまして、約百八十億の仕事消化いたしております。今年の予定は百三十億、先ほど申し上げました通り約百三十億を消化いたす予定にいたしております。営繕職員は現在千六百余名でございます。その中から、こういう仕事の量の減少に応じまして、約二百名の人員減少しよう、かように考えている次第でございます。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 多少、今の人事のことですが、関連して聞きたいのです。人事院ができましてから、技術者に対する給与と言いますか、それがむしろ戦前のときよりも悪くなっている。戦前におきましては、技術者地位はそう上の地位にはいかなかったが、むしろ給与の方でこれを優遇するという傾向があったのです。しかし人事院ができてから、すっかり、そういうことはあまり考えられていません。それについては、この委員会でも私一度質問したのですが、かりに、課、長、局長にならなくても、一生懸命に河川なら河川、あるいは橋梁なら橋梁、とにかくその仕事を熱心にやる人は、よし職付地位にならなくても、十分優遇してその機能を発揮してもらうのが、国家一般の要請だと思う、それが、人事院ができたために、一向考えられていない。そういうことについて、その後建設省としては、人事院に対して、そういう技術に精進して、それによってほんとうに益する人を、何とか優遇する道を要請しておられたでしょうか。その点からまずお聞きしたい。
  26. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お尋ねのごとく、現在の公務員給与制度は、局長課長課長補佐、係長、こういういわゆる役付と申しますか、そういうものにならないとまあ給与は上っていない。そういう役に応じて給料が定められているということに相なっております。従いまして、お示しの通り、長年ある仕事に打ち込んで、その仕事には非常にひいでておって、余人をもってかえがたいというような人でありましても、これが課長になり局長になるというふうな一定の職につかない限りは、特別の昇給の道は開かれていないというのが現在の制度でありまして、特に技術官庁であります私ども官庁におきましては、その点非常に人事上も困っております。  人事院に対しましては、お尋ねでもありましたが、ここで具体的の数字などを用意いたしておりませんけれども、たとえばほかの役所にありません土木専門官でありますとか、営繕監督官でありますとか、もちろんこれは給与を上げる目的ではありませんが、それ相応の仕事があり必要があってそういう職を置いたものでありますけれども、まあそういうものを若干でもふやしまして、結果的には、できる限り現行制度におきましても、技術、特に技術職員給与改善ということには努力いたして参っておるつもりでございますが、いまだ十分とは実は申せないと思います。今後とも十分努力いたしたいと思いますが、なお、それらの普通の役所にない職で、特に建設省で設庁ております職の名前でございますとか数につきましては、資料として次回に提出さしていただきたいと思います。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 今建設省の御答弁では、まだ根本的に人事院がわれわれの要望通りやっていないことははっきりいたしますから、この点を今後とも十分折衝してほしい。  その次には、同じ建設省におきましても、かりに非常に不便な所で仕事をする人については、以前には給料の点において、いろいろな名前相当優遇されてあった。このことも私この委員会で聞きましたが、どうも今日の制度では、非常に不便な所におっても一向優遇されていない。はなはだしい場合は、地域給関係がありますから、かえって都会におった方が、地域給の点で、給料は上になっている。一つの例を言うならば、かりに富山県の常願寺川砂防がある。あの常願寺の方は大へん不便な所であります。しかしあの常願寺川の実際仕事をやっている現地は、富山市と違いますから、地域給はほとんど一つかない。それで主任のごときも、むしろ仕事すべき精神から言うならば、当然山の奥に入って仕事すべきでありますが、地域給がつかんというような関係から、富山市に住んでいる。こんなことでは、仕事に熱が入るはずがない。主任がそういうふうならば、勢いその部下もそうなる。主任が率先して、まず山の奥に自分から住んで、仕事をするようにしなければならぬ。しかし地域給関係から、実際においてこれは二重生活になりますから、できないのであります。こういう事実は、これはほかにもあります。私は今そういう一つの具体的な事実を話したのですが、それでわれわれが山の上に行って仕事をしますといっても、それは一カ月のうちに二、三回行くだけのことで、仕事いかんにおいては、専心、山の奥に住んで仕事をすべきでありながら、実際にやらない。こういうことが方々にありますので、その観点から、これは砂防のみならず、道路問題でも同じように、非常に山の奥にいる人もありましょう。またダムの仕事にしてもそうでありましょう。そういうものについて特に配慮されているかどうか、この点を承わりたい。
  28. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この問題も実は、長年当委員会におきましてもいろいろ御意見もあり、私どもも何とかして改善をしたいと努力はいたしておるのでございますけれども、最近、特にこれらのお話のありましたような点につきまして、実は予算上の改善措置を講ずることができないで、今日に至っておりますことは、まことに申しわけないと思います。お話通り、根本はやはり地域給の点にも大きな原因があるかと思います。お話通り砂防でございますとかダムでありますとかの工事現場は、かえって都会地よりか生活物資の価格は高いというようなのが実情でございます。これらの点を若干でも補うためには、実は今年の三十年度予算につきましては、非常に職員が多くおるのであります。ダム建設現場等のためには、特別の手当制度も実は考えまして、いろいろ折衝したのでありますけれども、いろいろほかとの関連におきまして、これを三十年度予算に実現できなかったことは、まことに申しわけないと考えております。今後とも十分努力はいたしたいと思いますが、今回御審議願っております三十年度予算にそういう措置が講ぜられなかったことにつきましては、まことに申しわけないと考えております。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 この問題が、ほかとの関係で、うまくいかなかったとおっしゃいましたが、それは予算全般としてのお考えでありましょうが、あるいはほかの省にもこれに類したものがあるからうまくいかなかった、あるいはそれ以外にうまくいかない原因があるのか。かりにほかの省でもそういう不便な所があるが、しかし、ほかの省において要求していないという省があるならば、またほかの省も同じように、そういう不便な所があるならば、これは考えなければならぬし、どの点が一番支障になっているのか、それを承わりたいと思います。
  30. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) これは、ダム手当の問題は、もう今年だけではありませんで、二十九年度予算編成のときにも実は問題になったのでございますが、いろいろこれが実現に至らなかった理由につきましては、いろいろの理由もあり、またそのときどきに応じたいろいろの理由もあります。当初要求しましたときには、建設省が要求しておりましたのですけれども、同じような仕事をしております農林省関係において要求していないというような関係があって、そういう点のバランスをとりたいというようなことを実は大蔵省事務当局は申しておったのでありますが、最近におきましては、これは一つ給与体系根本の問題であるから、それらの問題とにらみ合せて解決したいと、こう申しておるようでございます。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 お話通り給与体系全般のものでありますが、これは一日もゆるがせにすることのできないことで、実際仕事をする者からいうならば、いつ自分らの位置が安全に仕事をし得るようになるか。都会にいて予算の折衝をしておられるときはずいぶん苦労なさいましょうが、実際山の奥で仕事をする者のことを考えるときには、そんなにぼんやりしておられないのです。だから、予算を折衝してもけられておるようですが、この問題について大臣から、あるいは人事院の方に申し入れるとか、再びこれに対して協議をするとか、そういうふうな努力をなさる意思があるかないかを承わりたい。
  32. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) この点につきましては、私からはっきり申し上げておきたいと思いますが、できるだけの努力をいたしまして、給与の不均衡になりませんように、仕事の難易に応じ、また生活費の高下に応じて、給与体系が合理的にいきますように、あらゆる努力を払いたいと、かように申し上げます。
  33. 赤木正雄

    赤木正雄君 やはり前の委員会でこの問題を論議したときに、例を引かれて、山の奥に砂防の人がおりますが、相当手当がいい、こういうふうなことのお話があったんです。なるほど表からいうと、相当手当がいいはずなんであります。しかし実際の問題は、その費用は、どういうものか知りませんが、直轄の問題でありますが、局の中のほかの方に使われて、現場にいる人には事実答弁されたように優遇されていないという実際の事実を私は知っております。でありますからして、私はもう一度この山間部の人については、どういうふうに現在においては優遇の道がなされているか、それを数字において、この次の機会でもけっこうですから、一応示してほしい。それに基いてもう一ぺんこの問題を私は大臣質問いたしたい。
  34. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 承知いたしました。
  35. 湯山勇

    ○湯山勇君 今の問題と関連してですが、特殊勤務手当の僻地手当というのが給与の中にあるはずです。これは今のような非常に不便な場所に勤務している人については適用されているのかいないのか、されていないとすれば、どういう理由でされないのか。
  36. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 現在僻地手当を支給しております現場は、建設省におきましては、ないと記憶いたしております。御承知通り、僻地手当を支給するにつきましては、相当厳格な条件がついておりますと心得ておりますが、私の方の現場では僻地手当を支給しておる例はないと、かように覚えております。
  37. 湯山勇

    ○湯山勇君 それは勤務地の条件がそれに合わない、基準に合わない、そういうことのためですか、それとももっとほかの理由によってでしょうか、ちょっともう少し−…。今砂防なら砂防の現場というのは、僻地手当をつけるのに必要な条件を備えている場所があると思うのです。ところが、それを統括する事務所なら事務所、そういうものはかなり便利な所にある。そういう事務所から派遣された形になってつかないのか、その辺はどうなっていますか。
  38. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 後段にお話しになっております通り、事務所は比較的便利な所に置いておるのが例でございます。そちらから派遣になっているという格好をとっております関係上、僻地手当は支給していない、かような次第でございます。
  39. 湯山勇

    ○湯山勇君 それじゃ、その事務所から派遣されておるということになれば、派遣の旅費ですね、そういうものは規定通り出されているのかいないのか、それほどうなっていますか。
  40. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) お話通り、規定通り出しております。ちょっとここで申しかねるのですけれども、その辺を指図いたしまして、やっておるわけであります。
  41. 田中一

    田中一君 河川局長に伺いますが、この資料でお出し願った災害復旧の仕越し工事費の問題ですが、この表に現われておる愛知県十八億、和歌山県十七億、三重県十六億、福岡県八億というのは、これは県負担分が幾らで、それから国の負担分が幾らというような、仕訳はしていないのですか。これは全部国の負担すべきものなんですか、総額でございますか。
  42. 米田正文

    政府委員(米田正文君) それは事業費として融資をした額ですから、そこでこの中には国の補助と地元の負担とが二つ入っているわけですが、御承知のように、和歌山県では非常に災害が多かったので、国の負担をする分は九割数分になるので、地方分担金は入っておりますけれども、ごくわずかでございます。
  43. 田中一

    田中一君 そこでちょっと区分けをして下さい、愛知県十八億の内容を。
  44. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 数字は今手元に持っておりませんが、あとでお届けしてよろしゅうございますが、要するにそれは融資を受けたものは事業費であって、それで工事をやるわけです。かりにその中で一千万なら一千万の工事をやるといたしますと、それにはあとで国が補助する場合には、たしか和歌山では九割六分ぐらいだと思いますが、九割六分というものを補助をして、あとの残りの四分を地元が負担する、こういうことになります。それで各県とも率が違うわけであります。
  45. 田中一

    田中一君 そうすると、実際のこの金というものは、短期融資その他でもって支払い済みだというのですか。それとも、これだけの仕越し工事をやって、予算がないから実際に支払っていないという金額ですか。
  46. 米田正文

    政府委員(米田正文君) その関係は、この十八億の金については、県が仕越しをした総額であって、その中では金の支払いがまだできていない分があると思いますbですから、その中の十八億の仕越しの中には、資金調達不可能のために未払いの分が含まれております。
  47. 田中一

    田中一君 それじゃ、今のこの四県はとりあえず数字が出ておりますから、この内訳をお調べになって報告されたい。  それから佐賀県、熊本県等も相当大幅な仕越し工事並びに金を支払ってないものがあるんですが、この推定される百億程度というものから見ると約半分になります。あと残余のものは、大きなものはどこにどれくらいあるかわからぬですか。
  48. 米田正文

    政府委員(米田正文君) その資料は、実はもう始終動いているものですから、今もまだ調査をいたしておりますが、もう絶えず資料がまちまちで、実はこの席に配付するような正確なものが作れぬものですから、良心的に資料は作れないでおりますが、今も調べております。始終動くんです。
  49. 田中一

    田中一君 そうすると、税金が入っておれば逐次払っているということなんですか。
  50. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 県としては、その仕越しについては極力国の起債にたよるということ、それがまあ中心ですが、あとは地場の銀行等にも融資を依頼して、それで支払いをするというようなことをやっております。けれども、和歌山県のごとき、額が県の予算に比較して非常に大きいために、なかなか全部の調達ができないで、今年の暫定予算相当の支払いをしておるというような現状であります。
  51. 田中一

    田中一君 資料の二の、直轄関係事業進捗について御説明願いたい。
  52. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 資料二の「過年度災害及び昭和二十九年災の事業進捗率」でございますが、これは二十八年度、二十九年度の災害を書いてございますが、その二十八年度には、直轄が総額六十四億でございまして、これは非常に九州の災害で多かったのでございまして、筑後川を中心とする災害額でございます。それを二十八年度に三十五億支出をした、それから二十九年度に二十六億支出をした。合計して二十八年度、二十九年度で六十一億支出をした。で、直轄の六十四億のうち六十一億を支出したのであります。三十年度予定として一億を支出をする。残が、三十一年度以降に残りますものが一億二千四百万という残額になるのであります。二十九年度災害、これは昨年度の直轄災害は、二十四億の総額に対しまして、昨年十億出しましたので、残b十四億あるわけでございまして、それを三十年度に九億五千万支出をする。で、三十年度以降に残ります分が四億九千五百万、こういう内訳になっておりまして、総額といたしましては、二十七年災までは、直轄は全部完了いたしておりますので、総額としては、二十八年災、二十九年災で八十八億の総額に対しまして、三十年度まで支出を全部終りますと、来年に持ち越します分が、一番右の一番下の欄にあります六億一千九百万円というものが、来年度に持ち越す、こういう結果であります。
  53. 田中一

    田中一君 この二十七年度までにすっかり終った、完了したといううちには、打ち切ったものが、どれくらいあります。
  54. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 直轄については、災害のつど正確な設計書を作って査定をいたします関係上、これは打ち切りという問題はございません。
  55. 田中一

    田中一君 では、補助工事はどのくらいあります、二十九年度に打ち切ったもの。
  56. 米田正文

    政府委員(米田正文君) これは実は災害が年々非常に多くなりまして、総額が非常にふえて参りましたので、まあ非常に災害査定等についても、従来から問題がありました。従来は机上査定等をやっておった関係がありまして、会計検査等でも指摘されるのは、机上査定でやった分が非常に多かった。そこで最近は、去年以来実査主義をとっております。まあ去年以来は非常に正確になって参りましたが、従前の分についてはそういう事情がありましたので、再査定をしますということで、昨年来大蔵省とわれわれの方でもって共同調査をやりました。その結果、約一五%に相当するものを圧縮するといいますか、打ち切るといいますか、というような措置を講ずるということに結論はなったのであります。その理由はいろいろ調査してみましたところが、その程度は超過工事があるという、あるいはその他の適当でないものもあるというようなことで、そういう率が出たものを、一五%を打ち切りをしようという結果になったのであります。
  57. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで聞くのですが、この一五%を、従来の机上査定から実地の査定主義に改めて、一五%を圧縮したと、こういうのですけれども、これは実際はそうではなくして、われわれが考えるのは、特に二十八年災害のときに、予算の総ワクを大蔵省が縮めた。たとえば二十八年度はたしか五百三十億ぐらいだったと思いますが、あの災害復旧の国庫予算の計上、それに合せるために再査定、あるいは再々査定というようなことを、大蔵省や会計検査院が一緒になってやるということで、逆算して一五%が出たのであって、そのために実際災害復旧を要する個所、あるいは過年度災害なども、そのときに相当打ち切られてしまっておるわけです。ですから、補助事業については、市町村、府県工事等においても、経費の出しどころがないというので、非常に困っている。それは結局一五%圧縮したというのは、建設省だの農林省の意に反して、無理やりにそういうことになっているのが実情だと思うのですが、そこはどうですか。
  58. 米田正文

    政府委員(米田正文君) われわれの方にいたしましても、農林省にいたしましても、災害直後査定を実施するわけであります。特に建設省としては、本省が直接査定をする制度になっております。ただ従来、査定官の数が非常に少いために、全部実地の査定をすることはできなかったのであります。そのために机上査定と称する制度がございまして、それは書類審査をするという意味でございますが、そういう制度でやっておりました。その書類審査の方が、実地の査定をする分よりずっと多いというような実情であります。まあその後、会計検査が非常に各地で精査をする。そうしますと、やはり机上で査定した分にいろいろ問題がある。実地に査定した分には、ほとんど従来から問題がありません。そこで先ほど申しましたように、実地査定に去年から変えてきております。本年度もさらに定員の増加をはかって、実地査定をぜひ励行したい、こういうように考えております。  そこでまあ先ほどのお話のように、事業官庁の方の意思に反して、大蔵省側の、財務当局側の意見で非常に変えられたじゃないかというお話ですが、この問題についてはまあ今申しましたように、机上の査定をやった分については、これはもう従前からあります。適当でないものがあることは認めざるを得ません。それから今度共同査定をしました結果毛、やはり一五%程度は減じても、最小限の仕事はできる。ただ従来とっておりましたような十分な、超過工事と申しますガ、超過工事はとれないけれども、最小限の災害復旧はできるという額が一五%になったので、実は内輪の話をしますと、内部ではいろいろ意見がありました。率がもっとずっと下回る意見の、六〇数パーセントでいいじゃないかという意見の人も実はありました。いろいろ内部では意見がございましたけれども、統計をとってみて、実際の現地の査定、設計書を深く検討した結果、一五%という数字が出たのであります。先ほどおっしゃられる財務当局で押えられたということにもなりませんので、実は、ある意見では非常にまだ高率といいますか、切る方からいえば高率でございますが、そういう意見もあったのですけれども、そこへおさまったようなわけであります。
  59. 永井純一郎

    永井純一郎君 それで、その点はまだいろいろ意見があるのですが、こういう結果、三番の表の仕越しの百億というやつですが、これは和歌山県なんか非常にたくさんあるのですが、結局そういったような査定で非常に圧縮をしたために、災害府県の予算は前年度年度末に、非常にたくさんの減額補正をやらざるを得なかった。当初の査定では建設省、農林省の予算を見込んで県の予算に組んでおったわけです。ところが、再査定をやり、再々査定をやるというようなことで、だんだん、だんだんと減ってきて、そうして二十九年の年度末の府県会では、非常に大きな減額補正をやっているのですね、各府県が……。そうすると、それは結局、査定の結果補助の対象にもならなくなっておるので、補填する道というものは、この仕越しの分については補填の道のないものが相当出るのじゃないかと思うのです。そういうわけで、結局査定が非常に過重であったために、仕越しができているその仕越しの中の相当部分は、補助の対象にもならなくなってしまうというものが、相当あるのじゃないですか。
  60. 米田正文

    政府委員(米田正文君) まだ詳細には各県の事情を承知いたしておりませんけれども、今一五%圧縮いたしますのは、その一五%というのは全国平均であって、各県で実は内訳では、内容が実は違います。ある県では一五%以下のところもあるし、ある県では一五%以上のところもあるというように、一五%というのは全国平均でございまして、内容的にはいろいろ違います。が、今すでに仕事をやっておるようなものは、大体において建設省と打ち合せをしてやっておりますから、今やっておるものについてはさほど問題はないと思います。今後残っておるものについては、そこに問題がある。現在やっておるものはほとんど問題はないと思っております。
  61. 永井純一郎

    永井純一郎君 やっているものは、当初、災害直後建設省と農林省の現地査定で大体の見当を、査定の結果を内示を受けて予算に組んだのですから、その後再査定、それから再々査定というのをやっております、大蔵省と会計検査院と一緒になって……。そのときに非常にたくさんの打ち切りを事実しておる。その打ち切ったのが一五%の減額という結果になってきていると私は思う。そうすると、そのために、府県の災害復旧の予算は、二十九年度の一月、府県会等で非常にたくさんの減額補正をやらざるを得なくなっているのですね。また事実減額補正をしていますがね。そういうものは補助の対象にならなくなるものが当然あるはずですよ。それは、その救済はどうするのですか、そういうものがあった場合は……。
  62. 米田正文

    政府委員(米田正文君) その救済の前に、今の大蔵省なり会計検査院なりが共同査定をしたというお話は、そういう事実はあったようでございます。しかしここで私が申し上げておる一五%という基本の数字は、どこから生まれたかと申しますと、建設省で査定をした当初の査定金額が基本になっておる。会計検査院等がいろいろやっておりますけれども、それは直接事務的な数字となってわれわれのところの問題に現われておるわけではありません。今私が申し上げておるのは、二十八年度のときに建設省が査定をしたときのもとのなまの数字がございます。その数字に一五%を今度は掛けるわけです。ですから、いろいろあったかもしれませんが、そういうものは最後にわれわれのところで再調査をした結果、各県平均大体一五%という数字が減額しても、まあまあ最小限の災害復旧はやれるという数字が出たのでありまして、中間にいろいろな査定があったようですが、それはわれわれの中には直接は入っておりません。まあ一般的に見れば、そういうものも全部入っておるだろうと、こう見られますし、考えられもしますけれども、直接の数字の扱いとしてはそれは入っておりません。
  63. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでは補助関係のこの資料について伺いたいのですが、これは石破君かもしれませんが、あるいは河川局長かしれません。特に二十八年災害関係ですが、これで二十八年は一八・三%しか進捗率がなくて、二十九年度が二〇・五%、両方合せて三八・八%しかないのですが、これは災害のときにとにかく三・五・二で実際上組んで行くという約束があったんでしたが、これはどうしてこんなにこういう小さい−三・五・二の三カ年計画になっていないのですがどうしてですか。
  64. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 三・五・二のお話は、建設省といたしましては従来から、災害の統計上から見て、三・五・二の割合で復旧していくのが最も適当だと、工事の、翌年の水害に備えて、それから現地の実情から見て、三カ年完成。その三カ年の割合は三・五・二でやるのが最も工事促進の見地からは妥当な率であるというのを、かねてから主張している。そこでそれを政府部内でも主張して参っておりますけれども、残念ながら財政の都合で、その理想の案である三・五・二比率というものが実行できないという実情から、こういうふうになっております。特に二十八年災については、御承知のように、途中で予算化はできないけれどもそのかわりに融資で考えようというのがございます。で、その融資の関係も実は極力やったので、二十八年には相当に融資もその当時いたしたのでございます。しかしまあこれは、融資はやはりどこまでも融資で、どうせ返さなければならぬ金でございますので、そのときの一時的な救済にはなりましたけれども、何年かにわたる場合には、これはほとんど意味がないことで、どうせその間に予算で返していく問題でございますから、全体の進捗としては直接の関係はない。ただ後年でやるべきものを繰り上げてやれたという効果はあったと存じます。
  65. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、その融資の分を入れると、大体三・五・二になったんですか、現在。
  66. 米田正文

    政府委員(米田正文君) いや、 きちっと三・五・二とまでは実はいきませんでした。が、まあそれになるべく近づくように努力はいたしましたが、その理想の率にはならずして、こういう結果になったのであります。起債を入れてもそうはなりません。三・五・二にはなりません。
  67. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、さっきの仕越しにまた戻るのですが、補助事業からいって結局三十年度は、この補助関係資料で見ると、今度はわずかに一六・三%が予算に組まれて、そうして二十八年、二十九年、三十年度合せて五五という進捗しか見ないわけですね。しかしながら、この三十年度の一六・三%の百五十億三千四百万円、これが支出されていくと、当然この仕越しの分はなくなるんですか。
  68. 米田正文

    政府委員(米田正文君) これをまあ全部仕越しに使うとすれば、かりに使うとすれば、なくなるわけでございますけれども、しかし県の事情では、今までの仕越しだけに今度いく予算を払ったんでは、まだ災害が非常に重要なる所が残るので困る。そこで、今受けている起債を実は払わないで、もう少し先に持ち越して、今年の予算工事に使いたいという希望が非常に強いのです。それで、まあわれわれといたしましても、財務当局の起債関係には、できるだけ起債の償還をあとに送るように話をしておるわけであります。で、この百五十億の予算で、最初百億という仕越しがあると申し上げたのでありますが、かりにまあ百億を全部払うとすれば、あと五十億しかない。五十億では、各県も今年それだけの予算工事をやるのでは非常に困る。もう少し進捗させたい。その他にもいろいろ理由がございますが、要するに、あと残りの五十億程度工事をやるのでは困るという希望が非常に強く、そのためには借りておる起債の償還を極力延ばしてもらうという方策をとらなければいかぬ、こう思っております。
  69. 永井純一郎

    永井純一郎君 そこで、私がその点をおかしいと思うからこういうふうに聞いておるのですが、仕越しが百億あるというのに、三十年度予算がたった百五十億しかない。そうすると、もうこの仕越しを埋めてしまったら、ほとんど三十年度事業費というものはなくなってしまう。しかも、全体としてまだ半分しか進まない。そういう災害復旧に対する予算の組み方というものはないと思うのです。私は建設省考え方は非常に間違っていると思う。百五十億しか組んでいないのに、百億の仕越しがあるというのですよ。そういうことであるならば、結局この仕越しの分は補助の対象にも、再査定、再再査定によって打ち切られるときにも、救済にならないものが必ず相当含んでおるから、百五十億と百億というようなことにこれはなっておるのだが、百五十億の中で百億全部救うということは、起債の償還をかりにあとあとに延ばしていくといったって、全部それが三十一年度でそれでは救うのかというと、三十一年度予算というものはどうなるかわからない。三十年度でさえたった百五十億しかないのですからね。その辺が、答弁を伺っていても非常にはっきりしないのです。ですから、もしそういう事態が起って救済の道がなくなるようなことは、少くともこれはあってはならぬ。同時に、普通の災害でも三・五・二で復旧していくのですから、二十八年度のようなああいう大災害を、三年たってもまだ五五%だと、しかも三十年度予算が百五十億で仕越しが百億もあるということは、どうしても、資料を見ても、納得がいかないのです。ですから、その起債で一体それではどういうふうにやって、この五五%しかいかないものをですよ、仕越しの分も救い、なおかつ三十年度で起債によって何%——五五%に何%加えて、あるいは九〇なんぼになるほど起債を認めていくのか。その起債の計画というのはどういうものですか。
  70. 米田正文

    政府委員(米田正文君) まあわれわれの方としては、起債の関係はどこまでも各県に対する協力援助の形でやっておるので、起債はまあ大蔵省の財務当局の所管になっておりますので、われわれの立場はどこまでも協力援助ということになっております。そこで数字的な説明といたしましては、ここに差し上げてあるような予算的な措置として申し上げてあるのが、正式のお答えでございます。ただ、われわれとしても、かねてから三・五・二と言っておる手前もあり、これが理想の姿ですから、極力その線に近づけたい。それには政府部内において、そういう起債関係も極力県に有利になるように、協力援助をするという形をとっております。ですから、起債で、何%と計画を立てるというようなはっきりした計画というものは、立ちがたいと思っております。
  71. 永井純一郎

    永井純一郎君 この問題は結局、起債は予算に組まなかったら——予算を見返りにして貸すわけですね。だから、起債の計画はありようがない。聞いてみても、ないと思いますよ。大蔵省はそういうことはちっとも考えないし、建設省でさえそういうふうに消極的だから、結局起債はできません。そうすると、三十年度の百五十億と今までの仕越しの百億という数字を比べてみただけで、ほとんど二十八年災害というものはこの辺でしり切れトンボだ。完な復旧はとうてい、ここ一年のうちにはできないという結果になるのではないですか。ここのところを一つ率直に答弁を願いたい。
  72. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 昔の災害復旧というものは一年か二年で、長くても二年で、安定をしておったものです。大正時代から昭和の初めにかけては……。で、建設省としては極力、まあ少くとも災害の発生した年を入れて三年ということで、行きたいというのが理想でございます。しかしこの終戦後の国の財政から見て、それがどうしてもできない現状でございまして、現に従来二十四年災、三年災にいたしましても、大体六年ぐらいかかっておる。そこでわれわれは、この六年現在かかっておるという災害を、一、二年でも早く解決をしたいというので、三・五・二の理想の旗じるしを掲げておる次第であって、これは部内におけるわれわれの効力が足りない点も多々あると思いますけれども、われわれとしてはこの線に極力近づけたい、こういう進め方をいたしております。  そこで、その線よりまだ長くかかるのじゃないかというお話については、これはわれわれの努力も非常に足らぬ点もあり、かつは国の財政として、全般から見て、どうしても能力がないという面もございます。現実の問題としては、われわれもどうも解決の理想に遠いことを非常に残念に思っております。
  73. 永井純一郎

    永井純一郎君 そうすると、あなたの方の事務的な——これは大臣がおられたら非常にいいのだが、おられないので、一応河川局としての二十八年災害の復旧は、あと三年たちますと、三十一年、三十二年、三十三年までには、一体完成をするという予定ですか。
  74. 米田正文

    政府委員(米田正文君) この表にもございますように、過年災が全部で大体、国費として、一千億ございます。で、今年、三十年度にその一千億に対して二百七十八億支出をする予定をいたしております。それだけ見ますと、まあ一千億ですから、全残額に対しては二八%支出になるわけです。この率でいけば、今年を入れて三年とちょっとかかる、こういう割合になりますが、それを私どもは、全体から見ると、今年を入れて三年で済ましたい。全部の残りの災害を三年で済ましたいというのが、今の方針でございます。
  75. 永井純一郎

    永井純一郎君 それでもう一つ資料を、これはほかの委員のお方はもらっておるでしょうが、私は新しいので持っていないが、治水対策協議会が作った一兆八千億という予算の内容の計画ですね、あれをもらいたいのですがね。
  76. 米田正文

    政府委員(米田正文君) よろしゅうございます。
  77. 湯山勇

    ○湯山勇君 これは急を要する問題ですから、次官にお尋ねしたいと思うのですが、地方財政計画、これは閣議ではまたやり直すということになったそうですが、そうでございますか。
  78. 今井耕

    政府委員(今井耕君) その問題については、閣僚懇談会で今いろいろ検討中で、まだきまっておりません。
  79. 湯山勇

    ○湯山勇君 それで、これは災害復旧関係ですが、今度の地方財政計画で発表になったものを見ますと、地方財政計画の災害復旧関係では六十七億の減になっておったのです、これからどうなるか存じませんけれども。今のようにこれだけ仕越しがあるし、今、永井委員から御質問になったような状態で、それじゃ起債でどうこうとおっしゃいますけれども、起債のワクは百十億縮んでおります。そうすると、今局長いろいろ御答弁になりましたけれども、地方はもう災害に関しては手をあげるよりほかにないじゃないかというような懸念があるのですが、この点についてはどうお考えになっておられるでしょうか。それは局長からでもけっこうだと思うのですが……。
  80. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) 実は私も、建設省の直接の所管でありません関係上、正確なお答えはできないのでまことに遺憾でございますけれども、先ほど来河川局長が申し上げました通り、いわゆる災害復旧のための特別の起債と申し上げましたのは、先ほど御意見もありました通り、正式な起債になりますとやはり、国庫負担の対象になっております分につきましては、国の予算と見合いにしなければ、正式な起債というものは許されぬもの、かように考えております。先ほど河川局長が申し上げましたのは、いわゆる短期の起債で転ばしていくという解決方法をとらざるを得ないということを申し上げたのではないかと思います。  なお、ただいま御質問の、災害復旧に要する地方債のワクが、地方財政計画における災害復旧に要する経費の見込みの量が、前年に比べて減っておるというお話がありましたが、これも建設省だけでありません。農林省毛ありますし、よくわかりませんけれども、大体の勘といたしましては、建設省所管の予算を二十九年度と三十年度を比較しましても、過年災処理部分だけについて見ましても、減に相なっておるようなわけでございまして、農林省所管のものもおそらく減に相なっておるものと思います。従いまして、地方の全災害復旧所要の額というものは減ってきておる、かように考えております。
  81. 湯山勇

    ○湯山勇君 こういう財政計画の決定にあたってはですね、建設省の方へは自治庁からは相談があるわけですか。あるいはこちらから要望されるわけですか。
  82. 石破二朗

    政府委員石破二朗君) いわゆる正式に事務的な協議という形式はとっておりませんけれども、それぞれの所管の局で連絡はいたしております。なお閣僚懇談会等におきましては、建設大臣も出席いたしておりますので、発言の機会はあるわけで、関係いたしておるわけでございます。
  83. 湯山勇

    ○湯山勇君 それでは要望したいのですが、今のように、地方財政計画がまだ固まっていない段階でございますから、これだけ仕越しもあるし、進捗率も非常に低い。こういう段階におきましては、災害復旧関係の地方財政計画の再検討につきまして、大臣から十分一つ強く要望していただいて、これのまず、まあ十分とはいかないまでにいたしましても、災害復旧に差しつかえることのないように御尽力を願いたい、こういうふうにお願いしたいと思います。
  84. 今井耕

    政府委員(今井耕君) ただいまの点につきましては、極力善処するように努力いたします。
  85. 永井純一郎

    永井純一郎君 それに関連して、政務次官がおいでになっているのだから、あるいは石破君も聞いておいてほしいのだが、今言ったように、起債でやろうといったって、できないのです、これは予算の見返りがないのだから。そこで大臣と相談しておいてもらって、今度大臣が見えたら改めて質問いたしますけれども、この治山治水全体の計画資料をいただいてから、もう一ぺん改めて大臣にやりますけれども建設省は、この資料から見れば、起債もすることはできない、予算もたった百五十億しかないというようなことで、災害復旧に対する、あるいは防災計画というようなものに対して、どういう全体の計画を持っておるか、その計画を示してもらいたい。それによって質問しますから、一つ大臣によく政務次官からも相談しておいていただきたい。この予算では全く、何もやらないで手をあげている。今湯山君のおっしゃっておるような状態にしかとれませんから、今申し上げておきます。
  86. 今井耕

    政府委員(今井耕君) ただいまの点につきましては、よく協議いたしまして、善処いたします。
  87. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 この表は、実は永井さんからだいぶ御質問があったが、私のわからぬと思う点をちょっと。この災害の「総額」という数字がありますね。この数字の総額というのは、これは当初査定されて、二十五年、二十六年、二十七年、とずっとあるこの当初の査定額でございますか。
  88. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 総額欄の「総額」というのは、先ほど申し上げましたように、再査定の結果、減額をするものは減額をして、最終の決定の金額をもってここにあげてあります。
  89. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 その最終の金額というのは、二十五年度災害なら二十六年度においてまた修正しておりますか。それとも、修正せずに、二十五年の災害は二十五年の中に決定された総額であるか。その後いじってあるかどうか。
  90. 米田正文

    政府委員(米田正文君) これは災害年によりまして、古いものは、著しい物価の変動等があればこれを是正して、総金額は変更をする建前になっております。ですから、みんな現在の時価でその工事はできるという建前であります。
  91. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 先ほどお話を伺っておれば、一五%程度は、何というか、減るだろうという。その修正はこれにやってありますか、やってありませんか。
  92. 米田正文

    政府委員(米田正文君) やってあります。
  93. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうしますと、この最後の二十九年度まで支出額というのがありますね。その後の三十年度あるいは三十一年度以降というこの数字は、現実にこれはやらなけりゃならぬ数字でございますか。一五%がこれに影響しておるかいないかという問題なんです。
  94. 米田正文

    政府委員(米田正文君) この数字は、今後この金額は実施しなければならぬ金額であります。
  95. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 もう一つ承わっておきたいのですが、先ほど二十九年度以降はだいぶ確実な数字になっている。その確実な数字になったという根拠には、災害の査定の方針が——あるいは方針というか、規則というか、そういうようなものが変更になったことがおありか、ありませんか。従来の机上査定のときの基準と同じですか。
  96. 米田正文

    政府委員(米田正文君) これは内容の問題になりますので非常に説明しにくいのですが、まあこれは査定をする主観というものが相当にあります。工事の復旧設計をするについての査定をする場合にも、その査定官の主観というものが相当従来も入っておる。そういうことが、各省から再査定をするといういろいろと意見の出るもとになります。そこで、従来やっておりました査定の基準は、文章で書いた規定、内規に書いた点では、変更をいたしておりません。が、技術的な取扱いにおいて極力原形に近くする、超過工事をなるべく少くするというようなしぼり方をいたしておりますので、ちょっと、内規等に書いてある基準では違っておらぬけれども、内容の取り扱いにおいては違ってきておる、こういう意味でございます。
  97. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 もう一つ、先ほど一五%というようなお話があったのですが、それは皆さんの方で、まあ会計検査院というようなそういうところから指摘されたというようなことが、大きな原因になっておいでになるようですが、あの会計検査院の報告書では、不正とか不当というようなことがあるのですが、ああいうものに該当するものが多いということなんですか。
  98. 米田正文

    政府委員(米田正文君) まあそういうものもございますが、全体から見れば、超過工事のとり方が大部分でございまして、まあ全部の中にはああいうものも入っておりますけれども、全体として見れば、査定をする内容的基準が主原因でございます。
  99. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 超過というような一そういうことになりますと、改良というものがありますね、災害に伴う改良工事というのが。その方の予算は、それによって変えておりますか。
  100. 米田正文

    政府委員(米田正文君) それは変えておりません。現在の建設省で所管し  ております土木災害国庫負担法においては、原形復旧が困難あるいは不適当と認められるものについては、必ずしも原形によらずして適正な設計をして、それで採決をしてよろしいという精神になっておりますから、そのままいっております。あれを今のようなお話でするならば、この改良と災害原形復旧とを明確に区分して、改良分に属する部分は改良費で支出するという、昭和二十五年にとりましたあの方法にはよっておりません。従来のやり方に従っております。
  101. 宮本邦彦

    ○宮本邦彦君 そうすると、あれじゃないですか、一五彩にしっぽなしでもって、その原形復旧を中心にしてやるだけだということになると、災害復旧のせっかくのチャンスをなくして、工作物が改善されるということでなくて、この一五%の査定によって、程度の低い復旧ができたということに終ってしまって、質の悪い工事ができることになりやせぬですか。技術的にですよ。たとえば、もう少し堤防をここまで上げたならよくなる、ここまでコンクリートを張ったらよくなるのだというやつが、これが一五%と査定されたために、原形復旧になってしまった。そうして改良に持っていく新しい予算というものが要求されていなければ、できたものの質が落ちることになりやせぬですか。だから、必ずしも一五%というものは、余分な工事じゃなくて必要な工事が、ただ原形復旧を原則とするために切られたということは、質が落ちるということになるのじゃないですか。
  102. 米田正文

    政府委員(米田正文君) 私の説明が少し不足しておりましたが、今の災害査定は、従来の方針としては変りはないということは申し上げましたが、しかし私どもも超過工事をとらないという方針に、技術的な内容ではそうなりまして、結果はまた、従来よりもその災害の中に含まれている改良部分というものは少くなるという結果にはなりますが、しかしそういうことをすると非常に困るところが起きてくるだろうという。お話通りでございまして、この点についこて、この予算にも計上してございますが、災害関連事業費という、項目を設けまして、どうしても改良費的なものをそれにつけ加えてやらぬというと、千仭の功を一簣に欠くというようなものがございますから、そういうものにつけるために災害関連事業費という項を設けまして、その中で抱き合せで工事をやるという方法をとっておりますので、特にそういう工事程度が落ちるというようなものは、これでカバーできるということかと思います。
  103. 永井純一郎

    永井純一郎君 大臣がお見えになりましたので……。先ほどから災害復旧のことについてお尋ねしておったのですが、河川局長なり官房長から大体お伺いいたしたのですが、なお資料を要求しておりますので、その資料が来てから、また大臣に改めてお伺いするということにしておったのですが、大体お尋ねをしたいということをまとめて、せかっくお見えになりましたから、一応申し上げておきたいと思います。  それは、災害関係資料をいただいたわけなんですが、それを見ますると、たとえば二十八年災害は御承知通り非常に大きな災害です。この総額を見ても、九百二十億と断然大きいんですが、たとえば、これで見ましても、従来の普通の災害では、二丁五・二の比率で災害復旧を政府でやっていくのが通常であったのに、二十八年の異常な災害に対しても一八%の予算しかとっておらないし、二十九年度が二〇%というような程度でありまして、そうして三十年度はわずかに百五十億の一六%しか予算をとっておらない。そうして二十八、二十九、三十年度でわずかに半分、五〇%ちょっとの進捗率しか災害復旧ができないというような建設省予算の組み方になっておるわけなんです。そこで、一方、この前から問題になっております仕越し工事資料をもらって見ますると、大体百億程度と推定されると、こうなっておる。和歌山県などは非常に大きな災害で、十七、八億も和歌山県だけであるのですが、そういたしますると、三十年度の災害復旧の予算はたった百五十億しか組んでいない。仕越しが百億とするならば、それをとったならばたった五十億しか三十年度事業分量というものはないじゃないか。一応この資料を見ると、そういう感じを受ける。しかし、それはそういうことにはならないのだという河川局長説明がありましたが、それはなかなか納得がいかないのでございまするが、こういう数字から見ますると、政府はこの重大な災害復旧という、地方の農山漁村の生活の基礎であるこういう土地の復旧の問題、河川の問題、そういったような基礎になる災害復旧の事業に対して、非常に消極的であって、三十年度はわずか百五十億、しかも仕越しが百億あるとして、それを三十年度予算整理してしまったら、五十億しか残らない。しかしそういうことでなしに、起債の方を伸ばしていくようにするから、百五十億の事業分量はそんなに減らないのだというような話ですが、起債は御承知通り予算の見返りがなければできないわけですから、結局私はこの数字から見ると、建設省は災害復旧が三十年度あたりでほとんどもう力が入らないというような状態にあるように見られるわけなんです。そこで、全体の治山治水計画資料をいただくと同時に、建設省としては、この災害復旧がこういうふうに非常に滞っておりまするが、あと何年ぐらいで二十八年度、特に二十八年度の災害復旧を中心とする復旧計画を、何年度ぐらいで完全に復旧しようとしているのか。同時に、防災改良工事といったような計画も、あわせて建設省計画というものを伺いたい。こういう趣旨のことでありまするので、この次の機会で結構だと思いまするので、詳細にお答えをいただきたい、こう思うのです。
  104. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) 災害の問題については、それぞれ、これは事務的な問題が主でありますから、私よりも、お聞き下さった通りが実情だと思いますが、私の今度の予算編成及びその後の処置に関して考えておりますことは、今永井委員からお話しの通り、仕越し工事の問題もあります。これもその数字よりは幾分好転していると思いますが、あることは事実であります。また三・五一二の比率をそのまま守れなかったということも事実であります。しかし、これは私としては最善の努力をいたして参ったのでありますけれども、三十年度予算で、今までのたまった借金を一切きれいに清算するということはなかなか容易なことでありませんので、少くとも昨年の進捗率以上の線を確保するということで、今年度予算の最後の決定をいたしたようなわけで、これは水掛論になるかもわかりませんが、総額においては減少はいたしておりますが、この額で、残事業に対する進捗率は前年度予算よりもよくなっているつもりであります。まあ、決してこれで満足をいたしているのではあbませんが、そういう目途をもって、最小限度といいますか、最大限度といいますか、予算を組みましたが、決してこれで満足をいたしているわけではありませんので、これについては、従一乗から本委員会でもいろいろ御意見が出ておりますように、災害の問題はそのつど処理をするということも、本来の性格上いたし方ありませんし、同時に、これをもっと、ある意味において継続的な制度で処理をしなければ、なかなかこういうものはあとで始末はできません。そういう意味から、従来の御意見をもとにして、災害を継続的に処理をするという法律的な建前と、これを裏打ちする予算的処置ということについて、大蔵省と話を進めております。実は今年度予算にそれを実現いたしたかったのでありますが、私の就任後、日が浅かった等の関係で、自分考えを実現することはできませんでしたが、事務的には相当話が進んでおりまして、一応三カ年計画で、この残事業整理をするということを前提にした法律と予算処置を、明年度予算を目標に実現をいたしたい。できるならば、法律は本国会にも提出いたしたい目標を持って努力をいたしているようなわけでありますので、いずれまた別の機会にこれらの考え方についても御検討をいただきたいと考えております。
  105. 永井純一郎

    永井純一郎君 補足してちょっと申し上げておきますが、三十年度は去年よりも減っているのです。災害復旧に必要な予算総額の比率というものは、非常に災害復旧が、三十年度は消極的に取扱われると思うのです。片一方、住宅政策等で相当国民生活の安定ということを言っても、これは農山漁村については災害復旧が一番の生活安定の基礎なんです。こういうところで、片一方では建設省予算が削られている。削られているというか、圧縮されているという状態であると思う。この次にいただきたいというのは、今のお話のような継続事業費にしていくとかいうようなことに対する法的措置もけっこうだと思いまするが、三十三年度なら三十三年度までの、こういう計画でこういうふうにこれを解消していくのだという具体的なものをいただきたい、こういう意味でありますので、よろしくお願いいたします。
  106. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) 今の点はよく了承いたしました。同時に、私の申した意味は、絶対予算額は減っておりまするが、残事業に対する進捗率は、三十年度予算及び二十九年度予算と実質的に対比いたしますと、残事業の処理をするパーセンテージは前年度予算よりもふえておる。幾分でありますけれども、ふえておるということは、またあとから資料的に御説明申し上げますが、そういう意味で申したわけであります。
  107. 石井桂

    石井桂君 先ほど私、石破官房長とのやり取りで、建設省関係営繕職員が二百二十名減ずることに対する対策は非常に誠意のある御答弁であったのですが、重ねて、大臣が御出席になっておりますので……。どうぞ職員整理されるような場合には、整理される者の身になりまして、恩給の通算の年限の心配だとか、あるいは待遇の問題だとか、そういうことを十分遺憾のないようにぜひ御配慮していただきたいと思うのですが、大臣、それに対するお考えをいただきたいと思います。
  108. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) 実は、この問題は就任後突然私は聞きました。非常に遺憾といいますか、むずかしい問題でありますが、何分御承知のように、終戦後、建設関係、ことに建築関係の機構というものがいろいろに変りまして、軍部の跡始末をした諸君、いろいろありまして、それが最後に営繕にかたまったのでありますが、一時、非常に膨大な占領軍の仕事をやっておりましたときには、非常な無理をさせてきたにもかかわらず、今年度以降さようなことが急激に減少をいたしますために、何としてもこれだけの定員を維持するということが、予算の裏打ちからいって理屈が通りません。人情まことに忍びがたいわけでありますと同時に、これは私の感じから申せば、こういう建設関係その他、まあ土木もそうでありますが、この技術者というものが仕事に応じてうまく、何といいますか、つなげていくということが、今の定員法制度とぴったりしません。  機械的に定員をきめていくものですから、生きている人間をつなげることとの非常なこれは矛盾だと思いまして、私は閣議にしばしばこういう点で、定員法の根本的な改革を主張いたしておりますが、今回は実はそれが間に合いません。そんなわけで、できるだけ最小限度にとどめたいということで、大蔵省とも折衝をいたしましたけれども、どうも最小限度やむを得ない諸君の、この際の処理をいたさなければならぬということになりまして、しかし、これについてはしばしば閣議で私も主張いたしまして、御承知のように、厚生、特別調達庁等、前年度以来待命制度等の特別処理等もありますので、これらと比較をいたして遜色のないといいますか、政府のやり得る最大限度の処置をいたすように主張をして参bまして、今回の予算にもさような用意はいたしておりますし、同時に一方、実はそのために考えたのでは毛頭ありませんけれども、一方において、いずれ御審議をいただく日本住宅公団方面においては、住宅建設相当技術者を必要といたすわけでありますが、これを今の制度として役人のまま置いておくということも、やり得ればいたしたいのでありますが、どうもそこまでは無理だと考えまして、今後実施の面におきまして、優秀な技術者を一層国家国民のために働いていただけるような処置は十分とりたいし、またとり得ることに予想をいたしまして、いろいろな処置を考えております。その一例は、今お話のありましたように、今度の日本住宅公団に移り得る場合において、恩給の継続ということは実はこれは非常なむずかしい問題で、このために法案の決定が約二週間ほどおくれましたけれども、私は最後までねばってそういうことにいたしたようなわけで、まことに私としては遺憾でありますが、今後一つ、こういう技術陣営をほんとうに一つの機構としてその技術を発揮するためには、もう一段、一つ政府全体として検討を要すると思いますが、今回の処理については今御注意の点をよく考えまして、若い諸君に意欲を落さないように、万全の処置を講じたいと考えております。
  109. 近藤信一

    ○近藤信一君 大臣が来られたので、せっかくですから、ちょっとほかのことですが、質問したいと思います。  それは、第一次鳩山内閣が政権を担当されると間もなく、鳩山内閣はマージャン、ゴルフを追放して、そうして官紀の紊乱したのを今後戒めていきたい、こういうような声明がなされたのです。その後、私どもがずっといろいろあれしておりますると、四月の十日の日に、これは日曜でございますが、しかも建設省の某局長、某課長の車、さらに他に一台の車、この三台の車で、そこにゴルフの道具もうんと積み込んで、ゴルフに行かれたそうです。それはまあ日曜でございまするから、これが単なる家族のレクリエーションとこういうことであれば、私は何も言わないのでございますが、やはりそういう局長課長建設省の車で、たくさん、男女合せて十数名の人が乗ってゴルフ場に行かれた。こういう事実があるということですが、そのことについて建設大臣は何か聞いたことがありますか。
  110. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) 全く初耳でありまして、私もつい国会その他でごたごたしておって、そういうことを聞きませんでした。しかし、お話とあれば事実だと思いますが、まことに問題を提供したということについては相済まんと思いますけれども、私の想像するところ、決してそれがいわゆる業者の諸君と一緒に行ったゴルフとは想像はされませんが、いずれにいたしましても、世間に誤解を生むようなことはこれは決して好ましいことではありませんので、よく今後は注意をいたし、自粛自戒をいたしたいと考えます。
  111. 近藤信一

    ○近藤信一君 決算の会計監査の報告を見ましても、保安庁、建設省、農林省というような所が、非常に不正不当行為が多いんです。そういう点からいきましても、私どもはやはり、これが単なる家族だけで行ったということであれば私はいいと思うんだが、もしそういう中に、今大臣が言われましたように、業者の人と行ったということであれば、私はゆゆしき問題だと思うんだが、この点一つ大臣はすみやかに調査をして、そうして何らかの処置を講ずべきじゃないかと私は思うんです。
  112. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) よく取調べます。
  113. 湯山勇

    ○湯山勇君 私、先ほど次官にはお願いしたんですが、直接大臣がお見えになりましたから、ぜひお願いしたいと思います。それは先般新聞で発表になりました地方財政計画、これはまだ確定していないそうですから、特にこの際お願いしたいと思うんですが、災害復旧全般の計画等につきましてはいろいろ意見もありますけれども、当面地方財政計画の中における災害復旧が、これは農林省の部分も入っておると思いますけれども、第一次に発表されたもので見ますと、約六十七億減になっております。それから起債の問題につきましても、百十億とにかく起債のワクは縮むような計画になっております。そういたしますと、今の仕越し等の関係もありまして、地方における災害復旧というのはこのまま、今大臣いろいろお話がありましたけれども、停頓してしまうんじゃないかという心配がありますので、総合的な計画等につきましてはまたの機会にいたしまして、幸いこういう地方財政計画で、いけないという各大臣の御意見でやり直しということになったようでありますから、ぜひこの際、少くとも災害復旧というようなすでに事が起っておる問題につきましては、今になってこれを減額するとかなんとかいうことじゃなくて、やはり昨年あるいはそれ以上の工事ができるように、一つ御尽力を願いたい。これをぜひ、直接重ねてお願いを申し上げる次第でございます。
  114. 竹山祐太郎

    ○国務大臣竹山祐太郎君) よく私も申しておりますから、努力をいたしますが、減額の分はおそらく、先ほどから申しております本予算の減額と同じような性質において、前年度に比べて減っておるというわけでありまして、昨年よりも実質的に悪くするということは考えておりませんから、よくなお努力をいたします。
  115. 石川榮一

    委員長石川榮一君) 本日はこの程度で閉会いたしたいと思います。    午後零時三十八分散会      —————・—————