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田中一君 その点はまことに御説の
通りであります。しかし、まあ
予決会計令というものが今日の段階で万全なものではない、あるいはこれがこれでいいのだという前提のもとに
考える場合、これは現在われわれもそう
考えております、この
法律がございますから。しかしながら、
業者が多いから、多い
業者は減らせばいい。その方の整理をしていかれるなら、あるいは登録制にしたらいいじゃないかというような御議論は、ちょっとこの問題と別なんです。ということは、われわれがこれでもって規制するのは
——御指摘と同じように、
請負業者は御
承知のように多い。
登録業者は六万ぐらいおるでしょう。そのほかにまだ未登録の人が何十万おると思います。これもみんな将来の清水とか大林とか、大
業者を目ざして働いておると思いますけれども、何といっても現在六万以上の者があるということは現在の事実なんです。従って、多い問題につきましては、この人間をもうやめさすか、あるいは何というか、
制限をつけて失格さすかということ以外にはないと思うのであります。従って、その問題は
一つ、私は現在憲法できめられたところの職業選択の自由というものは、依然として憲法にございますから、どう
請負人が幾らふえようとも、一向差しつかえないと思います。しかしながら、
制度そのものが悪いために
業者がふえるという場合なら、先ほど
小林さんの御指摘の
通り、その面で規制する。しかし現在の
請負人の持っておる業態自体が正しい
仕事をして正しい利潤をあげたい、あるいは下請その他に対して正しい報酬を支払いたいというような純粋な
考えからいった場合に、
制度上の欠陥があるならば、この欠陥を直すのは当然だと思います。もしそうでないならば、二十五年の九月十何日かの
中央建設業審議会の
答申をそのまま地方に流して、地方全部やっておるのです。やらせておるのです。
地方公共団体に対してはその資料を流しまして、実行させておるのです。私の手元にあるだけでも相当ございます。あるところでは十分の九、建築
工事の場合には十分の九以下は無効であるという条例を定めてきめておる所もございます。またこの建前は、会計令の建前というものは、どこまでも、自由
競争であり、最低
入札制度をとれ、こういうことを言っておるのであります。ところが、今言う最低
入札もできますし、また大正九年に
道路執行令を作りまして、十分の八または三分の二以下の
価格というものは、
入札価格というものは無効だということを宣言しておるのです。これは私はたしか三年前だったと思いますけれども、この不当をなじりまして、執行令を廃止さしたことが記憶にございます。これも
速記録に残っております。現に最低
制限をつけるということのよしあしは、会計令とは背反しております。背反しておりますが、大正九年から
政府は実行しておるのです。それが三分の二が正しいのであって、十分の八は不正だということにはならぬと思うのです。ましてや、
政府は責任をもって
地方公共団体に対しまして、これは国の
補助金を流しておるところの
工事の
担当者、知事、各地方の長に回って、この
答申に基いて善処しろというような形の通告をしたでございましょう。正確な資料を持ちませんが、おそらく全部がこれをやっておると思います。もし詳細を言えと言われれば申し上げますけれども、やらぬ府県はまずないと見てよろしいのでございます。現にやらしておるのです。
それが非常に疑問に思うのは、たとえば先般の日本経済新聞における
汚職の温床になるのじゃないかというようね点が新聞に書かれておりますけれども、これは全然問題外です。御
承知のように、今
石破官房長が言っておるように、
業界の育成のために
前払金保証制度を立法化いたしました。そうしてこの
保証会社が
保証するならば、三割以内の
前払金をこの会社が
保証するならば、国あるいは
地方公共団体、あるいは先ほど読み上げました十四の業種というものは、会社が
保証するならば
前払金を出してやる、こういう
法律も出ております。この
法律は現在では、
予定価格の八割五分以下というものに対しては
保証いたしません。では、
予定価格を何で発見するか、これは会計令にはっきり書いてございます。
予定価格というものをもって
入札場なりに臨んで、そうして本来なら面前開札をして、そうして示すのが正しいのであります。これは会計令にございます。そういうことをしないで、特定の
自分の好きな者、弱い者やなんか
入札の資格のない者を、これはたしかクラスがありまして、一級から五級ぐらいまであるわけです。弱い者も縁故でもって入れてやらすということが、不正なりあるいは
汚職を生むものでございます。
東京都の場合は、この
前払金保証制度というものがあるにもかかわらず、
東京都はこの前払
保証金
制度を採用しておりません。そうしてこの
制度を承認いたしますと、だまって
請負に金が集まっていきます。
請負人ばかりではございません。全部が金融梗塞になっているけれども、それに入っておりますれば、その会社の
保証があれば金が借りられる。ところが、この貸し付けに加入しておらないのです、
東京都は。そうして
自分の特定なりあるいは、私はここで
東京都の
汚職問題をばらすわけではございませんけれども、知事とか知事の兄弟とか、特定な縁故者の
請負人には
前払金を払っている。そういう問題が
汚職を生むのであって、このような最低
入札制度そのものが
汚職を生むのじゃないのです。
前払金保証会社の
制度を利用しない
東京都が、
自分のふところ勘定で縁故には
前払金を払う。ある場合にはやらない。
業者育成の
法律を利用しないから
汚職が生まれる、こう私は見ておるのであります。
従って、いろいろ申し上げましたが、私は会計令の本当の精神というものと違っている措置を、
通牒として
政府は全国の
地方公共団体に流しております。すでに大正九年には最低
入札制限というものを執行令でもってきめております。また国鉄は十分の八までロアー・リミット制を採用しております。しかし
補助金を受けておる
地方公共団体にそれをさせておきながら、国がなぜできないというのでございましょう。そうしてまた安い値段でとってもむろん
工事の間違いがない。りっぱに
契約通り、図面
通り完成しているということは、これはその請け負ったととろの
業者の力であって、国が幾ら
考えても、三割安いものをとったものが、それが業態の何といいますか、五〇%になる場合には、これは欠損でつぶれるのは当然でございます。そういう危険な
状態に追い込まないようにとの
法律を作ったというわけでございます。従って、会計令に違っているのじゃないかということの御議論は、大正九年に
道路執行令で、はっきり前もって実行しておりますから、その非難は当らぬと
考えておるのであります。