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委員長(
山田節男君) 大体質問も尽きたようでありますし、まだ他の
委員から御
質疑があるかもしれませんが、時間もだいぶ経ちましたので最後に私から一言、これは
総裁に対する質問というよりもむしろ意見あるいは希望を申し上げたいと思います。
過日の
運輸省の会計検査
報告の
審議に際しまして、三木運輸大臣がここに来たのでありますが、三木大臣は今回
十河総裁が出馬されるについては非常な
努力をされている、いよいよ新しく
十河総裁が出られたそのとき、各
委員からの
国鉄に関する質問に対しまして、三木運輸大臣としては、今回のような不祥な事件が続発したということについて、
国民が
国鉄に対して非常な
批判の的になっておる。これはまことに申し訳けないことだ、そこで三木運輸大臣はその監督官庁の最高
責任者として、この際、先ほど
総裁も言われた調査
委員会を作って徹底的に
国鉄の経営を刷新したい、また人事の
方面においても根本的な刷新をするものであります、すべてこの
国鉄の抜本的な改革については、この際機を逸してはいけない、かように自分としては固い決意を持っておる、こういう意見の披瀝があったわけです。
前回に続いて今日の
委員会におきましても、
十河総裁からいろいろ
国鉄の今後の経営の刷新、
合理化についてるる御
説明があったわけです。また
委員長の要求に基きまして、今日文書で個条書きにお出しになっておるわけであります。先ほどから各
委員の
質疑に対する御答弁等を伺ってみますると、
就任まだ日なお浅い事情もありましょうが、この決算
報告審議の資料としましては、まことに抽象的なうらみがある。これまた私はある程度やむを得ない事情であると思う。しかしながら
総裁はかって
国鉄関係に勤務されたことがあるやに私どもは
承知をいたしております。今回のこの
総裁みずからの言葉を通じても、
国民に見放されたこの
国鉄をどうするのだ。これに対してあなたが老躯をひっさげて奮起されたということについては、われわれ
国民を代表としてこれを高く評価いたします。しかしながら先ほど来各
委員の
質疑によっても
総裁がその一端をおわかりになったことと思いまするが、当
委員会としまして、十九
国会以来、この
国鉄の問題、ことに
鉄道会館問題に端を発しまして、本
決算委員会におきましては、
国鉄に対する
審議はかなり慎重にやってきておるわけであります。
衆議院とは違いまして、参議院の
決算委員会におきましては、まことに真摯な態度で先ほど来、各
委員の御質問がございましたが、とにかくわれわれの
国鉄に対する忌憚なき
批判を言えば、とにかくマンネリズムに陥っておる。それにはいろいろ理由があります。人的な要素もある。また
鉄道運送自体がすでにアナクロニズムになっておる。原子力の時代、自動車の時代、航空機の発達した時代におきまして、日本の道路が除々に
改善され、国内航空が発達すれば、これは
鉄道そのものの運送の性格が、これは
一つの革命を起す前夜に来ておるわけです。しかるに従来の官営、国営から公社に移ったものの、依然としてその職員は、極言すれば、森の中におって木を見ないという
一つの大きなマンネリズムに陥っておる。その根本はやはり
国鉄はそういう人的要素また経営のよろしきを得ない。また時代的な推移のために
一つの悪循環の様相を呈しておる。これはこの悪循環のリングをどこかで立ち切らないでは、
国鉄は結局やっていけない。この
委員会におきまして過去三年間にわたりまして慎重
審議した結果が、
国鉄の根本的刷新は
国鉄が今襲われておる悪循環をどこかの一端でこれは切断しなければ、決してこれは刷新できない。こういう結論に達しておるわけです。かようなことから先ほど申し上げましたように、三木運輸大臣としても悲壮な決意をしておる。
十河総裁も悲壮な決意をしている。しかし事はこれは抽象的であってはならない。私たちは本日も
総裁から、具体的な刷新の項目を実は期待しておったわけです。しかしなお、これは研究中であるからということでありますから、きょうはあえてこれを求めませんけれども、たとえば今の
鉄道会館を初めとしての民衆駅問題、これはわれわれがみれば、明らかに日本の停車場というものは構内営業化してしまっておる。たとえば
東京駅に参りまして、八重洲口に行けばこれはどうもステーションとは見えません。バンホーフじゃない。こういったようなあり方がはたして正しいかどうかということが、十九回
国会以来問題になっている。たとえ
資金がないにしても、あれほどのことをして、一体この乗客、パッセンジャーというものは一体どこにあるか、待合室はどこにあるかということを当
委員会において各
委員から強く指摘されまして、そこで名店街の一角に待合室を――これはある株屋の事務所です。これをあけさせまして待合室の一部に充当せしめたということ、こういうようないき方が正しかどうかという、根本的な問題を
総裁として
考えなければならぬ、われわれは
鉄道会館なり、民衆駅の問題、これを法的に
考えてどうすべきか、私契約か公契約かということを
考えましても、われわれ慎重に継続調査しているわけであります。
それからさらに
外郭団体の問題、これにいたしましても、これは
総裁としても根本的な改革をなさるなれば、この外郭問題をどうするのだということについて、あなた一言お触れになることだろうと私は思った。しかしきょうの話を聞くと、これまたきわめて不明であります。しかしこのことを、やがてこれを
総裁が取り組んで、この
国会に対して何らかの具体的な御
報告をなさなければならぬ義務があると私は思う。こういうような点におきましてはなはだ失礼ですけれども、まだ御
就任日なお浅く、しかも
国鉄の当面しておる難局がきわめて大でありますから、あなたの腹もまだ固まっていらっしゃらないということもきわめて無理もないと思います。当
委員会が
国会開会中のみならず、閉会中といえども、
決算委員会を開いているわけでございます。どうぞきょうここにお述べになった抽象的な根本方針というものを具体化して、当
委員会に
一つ御提出あらむことを強くお願い申し上げます。それからなおきょうの
総裁からるる御
説明がありまして大体の抽象的な御方針はわかりましたが、各
委員の御要求はもっと具体的なものを示せということに私はあると思います。これは
出席の各
局長なり、これはもう前からやっておられる老練な
局長諸君であられますから、新しい
総裁のもとにおいて、一体どうするのだということは、これは
一つ総裁と知恵をしぼって、当
委員会にできるだけ早く御提出あらむことを強く要請いたします。
まだ本件に関しましては、批難
事項の個別的
説明が残っておりまするが、いずれ次回におきまして個別的
説明を求めて、そうして
質疑を続行したいと思いますが、御
異議ございませんか。
〔「
異議なし」と呼ぶ者あり〕