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説明員(
大沢実君) 三百三十一ページから簡単に申し上げたいと思います。まず最初に
事業損益について書いてありますことは、ただ
事業損益の内容を申し上げたのでありますが、ただ一言お断わりいたしておきますのは、三百三十二ページに回りましたところに、各部門別の、鉄道、船舶、自動車の部門別の
損益を
記述したのでありますが、これは
国鉄の方も正確な部門別の計算をまだされていないので、取替補充費というのは二百七十億あるのでありますが、それを減価償却の配分した結果はこういう
数字になるのであります。これを見ますと自動車は非常に損しているという格好になっております。しかしながら
国鉄の方で言われるのは、自動車の方は取替補充費がそう違ってないので、さほど大きな損は出てないと言っておられます。正確な
数字は出ておりませんが、傾向としましてはやはり自動車が損になっておるというのは確かでありますが、傾向としましてはここに出ている
金額はそうした仮定上の計算から出ておるということをお含みおき願いたいと思います。
次に連絡運輸収入及び貨物後払運賃の未収金の問題を掲げてありますが、これは二十七
年度の
検査報告にも掲げまして、ここでいろいろ御意見のあったところでありますが、二十八
年度末の
状況を見ましても、二十七
年度末を見まするとさほど好転しているとは思えない、何とか抜本的な処置を講ずる必要があると思うのでありまして、このうち後払運賃に関しましてはこの前もこの席で
お話がありましたように、昨年の暮に
国鉄とされましても相当強硬な回収措置と申しますか、おくれれば後払契約を取り消すという処置をとられたので、将来こうした事例は減ると思います。ただ問題は現在この未回収額を
早期に回収するというのが残された問題だと思います。連絡収入の方はまだなかなかいろいろな問題がありまして、依然としてはかばかしくないように思います。
次に三百三十三ページに工事の進捗
状況についてというのが書いてありますが、これは大体におきまして
予算の配付といいますか、こういう仕事をするという本庁からの
予算の配付は比較的早く出しておられる、
年度の前半期にほとんど大半のものが
予算の示達は出しておられる、ところが実際に各現場現場で契約をする、その他債務の負担をする
実績を見ますると、これが第四・四半期におきまして全体の三六%というものがようよう債務負担されておるという
状況でありまして、
年度末工事におそ出しということが依然として改まっていない、これはせっ
かく予算の示達もありますのですから、もっと設計その他を急がれて、
予算の適正な使用にもう少し努力される必要があるのじゃないかと思っております。この頃の
最後に、なお書きで書いてありますのは、たとえば
一つの建設線の工事をするという場合には、一人の請負業右が長いトンネルを掘ったりいたしますのに、その
年度の
予算だけではとてもできない。ところが
国鉄におきましては現在継続費制度を法令上は認められておりながら、
予算上まだ計上しておりませんので、やむを得ずといいますか、
一つのトンネルを掘るのに一括しまして入札しまして、そのうち当該
年度の
予算のある分だけを切り離しまして契約しまして、あとは覚書を締結しまして、この分でこの段階を将来やるのだという覚書をかわして工事を施行しております。しかしこの覚書制度というのは別に
予算上、あるいは法令上認められた制度ではなくて、ただ便宜上、ほんとうに分割してしまえばあるいは契約が高くなる危険があるので、一括して入札してみてやって行くという便宜の
方法をとっておるのでありますが、むしろそうするならば一歩進んで、特に建設線のような重要な施行は継続費として要求されて、そして翌
年度分も合せて正規な入札をして、正規な契約を締結して行くことが、
予算執行上適正ではないか、こう
考える次第であります。
次に三百三十四ページから五ページにかけまして、
災害応急工事の請負契約についてとありますが、これは特に痛感しましたのは、二十八年の九州
災害あるいは和歌山の
災害というのを見ますと、どうしてもこれは一日も早く復旧しなければならぬというので、即座に請負人を選定しまして工事に着手しました。そしてあとになりまして予定価格を算出しまして、そして契約するという手続をとっておるわけであります。これはやむを得ないかと思いますが、われわれから
考えますと、その場合に予定価格と言いましても、これはどうしてもはっきりとつかめないのでありますから、工事が始まりましたら概算契約でどこそこを誰に請負わせる、大体このくらいの
金額であると、昨年の結果によるというか、概算契約をさせて、そして工事現場に監督を派しまして、材料の搬入
状況あるいは人夫の出づらというものも実際に監督させて、そしてそれに適正な単価を付して、いわゆる実費精算、それに適正な経費率と利潤を加える形で
最後に精策する、こういう
方法をとらなければこの
災害応急工事の請負というものがまあいわばいろいろな危険といいますか、思わない出費を内蔵しておりますので、そういうのを全部予定価格に繰り込んで、一括予定価格で契約するということになりますと、請負人も勢い危険率を多く見て契約価格に応ずることになりますので、かえって不利になるのではないかというふうに感ずる次第でございます。
それから次に三百三十五ページから六ページにかけまして、工事施行に関する部局間の連絡についてと書いてありますのは、各部局間でもう少し連絡をよくすればあるいは施行をおくらしてもよかった工事もあったろうし、重複してしなくてもいい工事もあったろうということでありまして、具体的にはのちほど述べます二千二百十二号などがその例でありますが、そのほかにもたとえば建設線の
予算が来たので、まず事務所のいろいろな工事施設、現場の詰所とか倉庫などを契約する、ところが実際におきましては契約した
年度末におきましては翌
年度の
予算が計上されましてばっさりと新線建設の
予算が削減されて、おそらくその新線は継続施行の
見込みは当座のところはないんだということが本部の方がわかっておったであろうころに契約されて、いろいろな倉庫や詰所を作る、それが結局
予算が打ち切られたために、そのままになって、何といいますか、
一つの未稼動の施設のままで残ってしまうというような
事態があります。また同じ線を電化工事のために工事しまして、直ぐあとこれをレールを長尺化するためにまたせっ
かくした工事を直ぐ取りはずしてしまうというような
事態もありまして、こうしたものは長尺化ということを計画的にするならば電化と並行してレールの長尺化をはかっておけば二重工事の必要はなかったと思われるような例もあるのであります。
次に資材の過大調達について、これは全般的な問題でありますが、大黄観察をしました結果によりますると、東京、関東
方面あるいは大阪を中心とした関西
方面の資材部の手持ち材料を見ますと、一年間の払い出し以上に
年度末の在庫をしているという例が相当あるのであります。この例をここに計数的に掲げてあるわけでありますが、これは需給計画をはっきりしてこの過大調達にならないようにという努力、これは相当されてはいるのでありますが、さらに一そう努力が必要であるのではないかと、こう
考える次第でございます。
以上総論的に掲げてありますことの御
説明を終りまして、次には相当件数もありますが、おもなものだけ御
説明したいと思います。最初に三百三十七ページに書いてありますもので、二千二百十号は、関東
地方資材部で、購買課の
職員一人がほとんど契約から支払いから全部を担当しておったために、いろいろな支払い
関係番数を偽造するなどしまして架空払いをしまして、この報告には三百四十一万三千円と書いてありますが、その後調べました結果、正規に決議があって契約をして物が入ったというものが、確認されましたものが、このうちの五十一万二千円ほどが出てきまして、結局、実際に架空払いをしたのは二百九十余万円ということになっておりますが、こうしたものが一
職員のために消費されてしまった。これは、結局、内部における牽制組織が十分に行われていなくて、一人が全部の仕事をやっておったためにこうした結果になったのでありまして、われわれ
検査のときに、あまりにもいろいろな帳簿が、あるいは鉛筆書きで書いてあったりして、おかしいので調べた結果出てきたのでありまして、はなはだ遺憾なことであると思っております。なお、この二百九十万という
金額は、たしか三月末でありましたが、全額
当人から回収しました。これは家屋を売ったり、あるいは親戚から出して回収したそうでありますが、
当人は懲戒免職になっております。なお、その他の
関係者の懲戒処分もされております。
次に二千二百十一号は、読んでいただきまして、なお必要に応じましてあとから御
説明することにしまして、二千二百十二、十三は飛ばしまして、三百四十一ページの二千二百十四号、これは名古屋の電気工事事務所で、電化した電線を引っぱるための装置を、滑車式張力自働調整装置という装置を浜松から名古屋のそばの稲沢の間に施行したのでありますが、まず、その材料におきまして、滑車の材料というものを図面計算したのでありますが、その計算を誤まったために、まず
根本的に滑車に要する銑鉄材料というものを誤まって計算した。そして、その価格も当時の市価に比べると高いもので単価を算定した。そのために材料費が相当高くなった。またこれを装置するための歩がかりというものも他の例から比べますと、他の例といいますのは、ここに例にあげておりますのは、東京の山手線を電化しましたときに、同じような工事をやったわけでありますが、その例から比べると、歩がかりが相当甘いのではないか。
本件が大体一個
当り金額に換算しまして一万六千円
程度の労務費を見ておるのでありますが、山手線の場合には一万円
程度のものでやっている。もっとも、これは山手線と東海道線ではちょっと違いまして山手線の方は夜間が完全に電車が運行を休止する時間が数時間あります。その間は何ら電車に心配なく工事ができる。ところが、東海道の方は夜間でも貨物列車や客車が運行しておりますので、とうてい数時間も工事ができる時間がないという違いはありますが、あまりにもその開きが多いのではないかと
考える次第であります。これは少し予定価格の算定が甘きに失したのではないかという感じがするのでありまして、
検査院の計算では、七百四十万円くらい違うのではないかというように計算しましたが、これはあとから
考えますと、多少きつ過ぎる計算でありまして、たとえば浜松から稲沢の間の工事でありますから、その間は人夫は宿泊をしなければならぬ場合があるのであります。これも一応歩がかりに計算しなければならぬ。東京の場合は、これは宿泊を要せずに、山手線ですから、工事ができるというような
関係がありまして、これは多少七百四十万円という
金額がきつ過ぎたと思うのでありますけれ
ども、少くとも数百万円は高価に失したのではないかと
考える次第であります。
次の二千二百十五号、十六、十七は一応省略いたしまして、三百四十七ページの二千二百十八号、これがただいま
総裁からもちょっとお述べになりました石炭荷役でありますが、これはどういうようにして契約をされているかといいますと、各港で、これは大体石炭荷役をしておる港が三十六カ所ほどあるのでありますが、その各港の石炭荷役の予定価格というものを作られて、そして、予定
数量、どのくらい扱うという予定
数量をそれにかけて、それを全国の
金額を合せたものを
一つの予定価格としまして、そして、入札させるのであります。全国のものを全部扱うという入札でありますので、結局参加者は、
日本海陸運輸株式会社、
日本通運が参加しかかってやめたように記憶しておりますが、結局、これ一社がほとんど入札して契約したという
状態でありますが、その内容を各港について調べようと思いまして、二十八
年度におきましては、全国三十六ヵ所のうち十六カ所、個所にすると約半数でありますが、取扱い
数量にしますると約七四%の取扱い
数量を扱っている港港を一応実情を調査したわけであります。その結果、特に著しいと思いましたものをここに掲げたのでありまして、そのほかの点も、これは安過ぎると思われる点、安いと思われる点はちょっと見
当りませんでした。このうち(1)に書いてありますのは、
国鉄川崎埠頭、そこの荷役を見ますると、
国鉄の
機械で船から貯炭場まで持ち上げて落しているのでありますが、その予定価格をつくるときには、船内荷役料、いわゆる港湾作業法に基いてきまっておりますところの船内荷役料と沿岸荷役料、これを加えたものに一応基準として、それから
機械荷役の方の割引を幾らというようにして計算されているのでありますが、これは
国鉄の
機械を使って一貫作業をしているのだから、もっと安い料金で、いわゆる特別料金と言いますか、そうしたものを設定してやる余地があったのではないかというように
考える次第でありまして、隣の三井川崎埠頭におきましては、一貫作業の分を、船内荷役と貯炭場までの料金と合せまして、トン
当り三十三円であった。まあ直接それに行かないとしても、相当安い料金を設定して、予定価格をもっと引き下げる余地があったのではないかというように
考える次第であります。
次に(2)は、隣の三井川崎埠頭でありますが、これは今のように、
機械荷役の方は料金を安い
値段にしておるのでありますが、今度は、夜間荷役というものを非常に大きく見ておる。全体の
数量七〇%以上のものを夜間に荷役するということで予定価格をはじいておられます。これは、夜間荷役料を払うというのは、荷主の都合によって夜間荷役を要請するという場合に夜間荷役は割増しがあるのでありますが、
国鉄の場合として、そうまで夜間荷役を要請する必要はないのじゃないか。会社の実態は、何か仕事の都合で夜間に荷役をしているようでありますが、それは会社の都合でありまして、予定価格積算の場合には、そうした点は、そういう七〇%以上の夜間荷役というような考慮をする必要はなかったのじゃないか。それからもう
一つは、一応、揚げるのに、本船から直接引き揚げるのと、一度、はしけ取りをして揚げるのと両方の荷役
方法があるので、はしけ取りで二三%揚げるという計算で荷役料を計策しておるのでありますが、実際に行なっているのを見ますると、七%
程度のものしかはしけ取り荷役は行なっていない。そうした点からも予定価格は甘いのではないか。こういうふうに
考える次第であります。
それから(3)の西戸崎港における船積炭、これは九州の例の志免鉱業所から出てくる炭を船積みする荷役でありますが、これは全部出てくる炭は中塊炭の沿岸荷役料を一応計算の基準としてやっておられる。ところが志免鉱業所の石炭というのは、非常に粉炭が多いのであり産して、実際に二十八
年度のここで荷役した炭を見ましても、その四〇%は粉炭だけを扱っておる。そうすると港湾作業の料金できまっております荷役料というのは、中塊炭と粉炭では粉炭の方が非常に安いのでありますから、むしろ実情に応じた予定価格、つまり粉炭の率が多いということを考慮した予定価格をもって臨むべきではなかったかと、こういうふうに
考える次第でありまして、(1)(2)(3)を総合しまして、多少われわれの計算はきついかと思うのでありますが、それによって見ますと、約二千二百万円
程度のものはもう少し引き下げ得たんではないか。必ずしもこれに引き下げなくても、そうした予定価格を置けば、もっと有利な契約ができたんではないかというように
考える次第でございます。
三百五十ページに右のほかとして、(1)、(2)、(3)に書いてありますのは、今まで申しました具体的な事例を全般的に及ぼす必要があるのではないかと
考える次第でありまして、(1)に書いてありますのは、夜間荷役は全体で三一%もの夜間荷役を全国平均やっておるのでありますが、これをもっと夜間荷役の率というものを引き下げ得るのではないか。それから
機械による一貫作業による場合には、特別な料金というものを設定するように交渉して、料金を引き下げ得るのではないかというような点を
記述してあるわけであります。
それから次の三百五十一ページの二千二百十九号石炭がらの処理当を得ないもの、これは東京鉄道管理局管内の各個所で発生する石炭がらの取り捨て作業でありますが、これを見ますると、大体において貨車に積み込む、それから貨車からおろすと、その料金を一応計算しまして、この取り扱いの
数量の中の二五%相当額のものは一立米六十円でその請負業者が売れるであろうということを想定しまして、その
金額を、基準としました
金額から差し引いたものを全体の所要経費と見まして、それを取り扱い
数量で割って、一応予定価格を策定した、大体その予定価格と同じくらいな
金額で契約しておると、こういう
事態でありますが、いろいろと話を聞きまして、この近郊の実情を調査してみますると、この請負人の方はその鉄道から出た石炭がらというのはほとんど全量を
需要者に売却しておるような
状態であって、自分が捨て場を持って捨てているという例はわれわれの調べたところではないような
状態であります。結局この東京近郊は住宅の敷地、埋め立てその他に相当石炭がらの利用が多いのでありますから、これは全部売れてしまったのではないかというように
考えております。もしもこれが全部六十円で売れたという計策になりますると、この石炭がらの処理の請負料金というものは相当低価になったのではないか、われわれの計算でしますると約三百二十円ほど低価に契約できたのではないかというように
考えられる次第であります。なお、これに関連しまして各駅の実情を見ますと、まあいわば簡単に言いますれば請負人まかぜになっておる。保線区長が証明すべきものを請負人が証明していたり、駅長が発行すべきものを請負人が勝手に発行していたりというように、ほとんど請負人まかせにして石炭がらというものが処理されておるという
状態でありまして、もっとはっきりした契約をきめて、この石炭がら処理というものの
根本的な対策を講ずる必要があるのではないかと
考える次第であります。なお
本件につきましては、その後東京鉄道管理局におかれましてもわれわれの
考えを相当考慮に入れまして、この点は相当
改善をはかっておられるようでありますが、まだわれわれとしては十分満足し得られないところがありまして、二十九
年度も引き続き
本件については検討を重ねておるような次第であります。
次に二千二百二十号に書いてありますのは、これは大阪の方でございますが、これは結局石炭がらを請負人が積み込んで持って行って取り捨てるといいますか、所要の所へ持って行くという契約をしながら、実際におきましてはその積み込みを
国鉄の
職員が
国鉄の
機械を使って積み込んでおる、それに対して価段の減額をしていないという
事態でありまして、契約のときにもっとはっきりして、
国鉄の
職員が積み込むものはそれだけの積込賃は払わぬのだと、当然こうすべきであったかと思うのでありますが、つっくるめて積込費はこれだけだという計算をしておりますために、その分まで請負人に払っておるという結果になっておる
事態でありまして、契約の
方法あるいはその
検査の
方法というものが妥当でないと
考えられる次第であります。
次の二千二百二十一号は、これは高砂工場といいまするが、もとの陸軍の造丘廠でありましたか、それの跡を
国鉄の工場にしておるのがあるのでありますが、そこの倉庫のはいがえ作業というものを見ますと、非常に事実とかけ離れまして、一年の間に数回も物を動かしておる。その
程度ならいいのでありますが、はなはだしいのになりますと一月の間に全
数量を三十五回もはいがえしたというようなはいがえ料を払っております。これは事実に全然合わないではないかというので調べてみたのでありますが、実際に何に使ったかということは記録がないのでわかりませんが、ただ工場側で言われるのは、その他の庫入れだとか庫出しだとかいろいろな作業がある、そういうものを全部一々正確にしておけばよかったやつを、皆はいがえというようなことでやってしまったからこうなってしまったのだということですが、事実の点がはっきりいたしませんので、経理としてはきわめて妥当でない経理である。というように
考えた次第であります。
あとの点はお読みいただけば大体おわかりいただけるものと思います。なおまた御質問に応じてお答えいたすことにいたしまして、大要だけを簡単に御
説明申し上げた次第であります。