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1955-06-16 第22回国会 参議院 決算委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十六日(木曜日)    午後二時二分開会     —————————————    委員の異動 六月十五日委員亀田得治君辞任につ き、その補欠として荒木正三郎君を議 長において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            大谷 瑩潤君            西川彌平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            飯島連次郎君            三浦 辰雄君            白川 一雄君            市川 房枝君   国務大臣    郵 政 大 臣 松田竹千代君    労 働 大 臣 西田 隆男君   政府委員    郵政省監察局長 青木  亮君    郵政省貯金局長 小野 吉郎君    郵政省簡易保険    局長      白根 玉喜君    郵政省経理局長 八藤 東禧君    労働大臣官房会    計課長     澁谷 直藏君    労働省職業安定    局長      江下  孝君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    郵政大臣官房資    材部長     西村 尚治君    労働省労働基準    局労災補償課長 松永 正男君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大沢  実君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)     —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第十六回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  並びに昭和二十八年度政府関係機関決算報告書 を議題といたします。  本日は郵政省所管の部と、労働省所管の部を審議いたします。  まず郵政省の部から審議いたします。検査報告批難事項は、第千九百九十七号から第二千十五号まででございます。郵政省の方からは、松田大臣が、後刻約三十分ぐらいしてこちらへ見えるそうであります。ただいま見えておりまするのが、向って左から西村資材部長青木監察局長小野貯金局長、八藤経理局長、四名が見えております。会計検査院側は、大沢検査第四局長が見えております。大臣説明を求めるわけでありますが、大臣が後ほど見えますまで、まず会計検査院側から批難事項に対する説明を求めます。
  3. 大沢実

    説明員大沢実君) 検査報告の二百八十ページ以降郵政省所管検査報告について御説明申し上げます。  二百八十ページに書いてありますのは、最初事業損益を書いてあるだけでありまして、ごらんいただけばわかると思うのでありますが、次の「収入および支出の調停時期について」というのが書いてあります。これは言わんとしますところは、郵政事業特別会計は、いわば企業会計としまして、原則として発生主義会計経理をして、年度区分は事実の発生のときによって区分するということになっておるのでありますが、郵政事業特別会計法施行令におきまして、年度区分支出あるいは収入調査決定した日をもって年度区分をするということになっております。ところがその調査決定をいっしろということが法令上はっきりしておりませんので、特に年度末のあるいは三月分あるいは二月分などにいろいろな経費当該年度決算したりあるいは翌年度決算したり、その点の取り扱いがまちまちになっているという点を述べているのでありまして、カッコの一は後ほど述べますところの個別の事項で詳細に申し上げますが、カッコの二と三に書いてありますところは、三月分の専用自動車郵便逓送料なり、あるいは特定局舎借り上げ料なり、その他のものを、ある郵便局とかある郵政局では三月分を当該年度決算している、ところがほかのところは三月分は翌年度、つまり本件でいいますと、三十九年度決算しておる、そういうことになりますると、その間に一貫性がない。各機関損益を明確にします上からいきましても、その点は継続性原則上同じ方法で通さなければおかしいのじゃないか、つまり三月分は全部翌年度なら翌年度にする、あるいは当該年度決算するなら決算する、どちらかの方針で押し通していかなければ、最初に述べました本年度におきまして利益が幾ら出たのかといいましても、その内容が非常にまちまちなものが入ってくる結果になりやしないか、これを統一する必要があると考えられる次第であります。  次に「物物品購入等契約方式について」と書いてありますのは、郵政事業契約を見ますると、ほとんど大部分随意契約で購入されている。これはもちろん法令根拠は一応あるのでありまして、事業上必要な物品随意契約で買えるということになっておるのでありますが、内容を見ますると、自転車とか、各種の用紙とか、被服だとか、靴とか、こうもりがさだとか、こうしたものは特に郵政事業のために何か新規格なものを作って随意契約をするということではないのでありますから、こうしたものはむしろ競争入札によって購入することが適当ではなかろうか、こういうように考える次第であります。  次に個別の事項に入りまして、一百八十二ページに書いてあります問題でありますが、これは二十九年の一月以降の特殊勤務手当労働組合との協定によりまして、二十九年の四月一日において支給するということに協約をいたしましたために、全部この二十九年度決算される結果になった。その金額が六千五百万円ほどございます。なぜこういうことになったかは、これはいろいろ扇情はありましょうが、これをもしも二十八年度決算すると予算総則にきめてありますところの給与総額を超過することになる。まあそのために繰り延べた。というのは、あるいは言葉が言い過ぎるかもしれませんですが、とにかくこうしたものを翌年度の方へ回してしまうと、これは先ほど申しました発生主義原則からいいましても、この一月、三月間の特殊勤務に対する報酬というものは当然その月に属する年度損益決算すべきではなかろうかと考える次第でありまして、もしもこれが妥当であるということになりますれば、あるいは、これは一月から以降でありますが、これをさらにさかのぼらして、十月以降は翌年度払い、あるいはさらにさかのぼって七月以降は翌年度、前年度分を翌年度に払うということも協約ができれば差しつかえないということになりますれば、この郵政事業損益というものは非常に乱れて来やせんか、むしろこうしたことは復元といいますか、元に返して、やはりその月に属する分はその年度決算するという方向に持っていくべきではないか、そうすべきではないか、と考える次第でありまして、この六千五百万円を翌年度へ繰り延したということは、労働協約の結果とはいいながら、妥当な処置とは考えられないと思う次第であります。  次に千九百九十八号の「物品を過大に調達したもの」といいますのは、郵便局間で現金を送りますところの現金袋、それにかけるところの錠前というものを各郵政局に配付しますに当りまして、各郵政局所要数を徴したのでありますが、十郵政局のうち、七郵政局は、大体今使っておるものといたんだもの、これの取りかえを要するもの、それから多少の予備というものを要求してきたわけであります。ところが大阪と広島と松山の三郵政局では、それよりか非常に多いものを要求してきた。といいますのは、この現金袋の(乙)というのが新しい型でありまして、その方が扱いが都合がいいといいますか、古いものは全部この際使えるものでもやめてしまって、新規のものに切りかえようというような意図で多量な数量のものを要求してきたわけでありますが、それを本省におかれまして十分に検討されれば、これはどうも要求が間違っている、いわゆる破損の取りかえの程度を越えているということがわかったろうと思うのでありますが、それをまあそのままではありませんが、ほとんどそれを基準にして購入して各郵政局に配付されたために、非常に多くのものが必要になった。もしも十分にその際に調査すれば、現金袋で約七十数万円、錠前で約三百三十万円、合せて四百万円のものは、少くとも当該年度では購入調達し、配付する必要はなかったんではないかというように考える次第であります。  次に、郵便貯金崎別会計のことは概要を記述してあるのでありますが、ここで言わんとしますことは、一つは、この郵便貯金特別会計決算上は、当該年度におきまして相当欠損が出ておりまして、四十三億八千万円という欠損になっておるのでありますが、そのほかに予算が足りないために、本来ならば利子として計上して元加すべき七億四千万円というものが、支出予算が足りないために、表面に出ずに決算されてしまった。これは二十九年度におきまして補正予算によってこの額を要求されまして、そして穴埋めといいますか、元加に充当しておるのでありまして、この郵便貯金特別会計が、本来の姿でいえば、欠損は四十三億ではなくて、五十一億の欠損であったということを一応ここに示しておるのであります。それからこの郵便貯金特別会計というもののこうした欠損が出るのはなぜかということを次に書いてあるのでありますが、結局いいますれば、預金者に払う利子よりも安いからどうしても損になる、こういうことになっております。これは郵便貯金というものの性格からいいまして、あるいはやむを得ないのかもしれませんですが、何か抜本的な方策を講じなければ、この特別会計はいつまでもいつまでも欠損が累増する結果になりはしないかというおそれがあるのであります。  次に、簡易生命保険概要も書いてあります。これは特に書いてありますことに加えることもないのでありますが、二十八年度におきまして相当これは剰余金をあげております。しかしながら傾向を見ますると、そのうち、この保険料のうちで、諸経費に充てるべき割合というものが比較的多い。つまりそういうような契約が多ければ、この会計としては相当有利になるべきところの契約が、だんだんと減少して付加率も多い。つまり事業経費に充てらるべき割合が少いものがだんだんと多くなっていると、いうことになりまして、このままでいくとだんだんとこの剰余金が減ってくる危険があるということを考える次第であります。なお、どうしてこういう剰余金が出るかという内容をさらに分析してみますると、この保険料の中の死亡のためのいわゆる保険金支払に充てるべき率、この死亡率がだんだん低下したために非常に採算上有利になっておる、経費に充てらるべき割合は食い込んでおるのでありますが、死亡の率が低くなったために、今会計剰余金をあげておる、こういう状態であります。本来からいえば、これを一応保険料を再検討して、死差益に相当するものは現状に合せて減少し、あるいは損金に充てるべき付加損というものに該当するものは現状にマッチするように改訂して、保険料というものをもう一度再検討をすることが必要じゃないかというように考える次第であります。  次に、二百八十九ページ以降、神田ほか四十八郵便局不正事項を書いてあるのでありますが、これは会計検査院検査の結果発見したというのではないのでありまして、それぞれあるいは郵政監察局で監査の結果発見されたもの、あるいはそれが回って貯金局なり簡易保険局へいった段階において発見されたもの、そうしたものが含まれているのでありますが、この原因といいますか、態様を見ますと、大体三つに分れるのでありまして、一つ集金に出かけていった外務員が、金を受け取りながら受け取らなかったようにして、その間その金をふところへ入れた、まあそれに類似の例、もう一つは、窓口で同じように、たとえば郵便貯金預け入れに来たのに、相手方には一万円入れれば一万円の預金通帳を渡しながら、郵便局内部の伝票には千円なら千円の受け入れしかしていないとか、あるいは全然受け入れをしていないというようにしてその差額を領得し、あるいはこれに準ずるようなもの、もう一つ第三番目には、特定郵便局長自身自分のところの資金をほしいままに領得している、大体大きく分けるとこの三つになるのであります。これの防止対策一いうものをどうしたらいいかということを、郵政省におかれましてもいろいろ考究されておりますし、われわれ検査する立場からいっても、いろいろとこうしたらいいんじゃないかというような意見も申し上げ七おるのでありますが、結局一人の人に初めから終りまでやらせるというところに窓口事故、あるいは集金中の事故というものが非常に多く出ている、ですからちょっと大きな郵便局だと、同じ貯金を扱うのでも、現金を受け取る口と通帳に記入して返す口とは違っておるというようなことで、お互いが牽制されているので、こうした事故が比較的ないのでありますが、小さい郵便局で、一人の事務員が両方やるというところには事故が相当出ている、人の増員ということにもからむかもしれませんが、できるだけ一人でやらせずに、二人以上でチェックしてやるということをさらに励行する必要があるんじゃなかろうかと考えます。それから集金に出る者、これは一人で行かざるを得ない場合が多いのかと思いますが、その場合に、きょうは何枚受取証を持って出かけて行って、何枚使って、何枚はまだ使っていないからこれだけ返すというように、毎日の収納票授受を正確にする、あるいは郵便局に備えつけてあります徴収原簿、これは各人が幾ら取ったかということを記入する原簿でありますが、これをはっきりすると、きょうは何人分だから、ここに何人分の徴収原簿がこの集金人の分に該当するといって分けておいて、それに入ったものは正規に消し込むということを別の人が担当すると、比較的こうした事故はないと思うのでありますが、集金人自身が帰って来て、たとえば金を千円受け取って来て、そうして相手方には千円の領収証を渡しながら、帰って来てこれは百円しか入らなかった、あるいは全然入らなかったということにしておきまして、しかも一方徴収原簿の方は自分は千円入ったということにして整理するというようなことで事故が起きているのがあるのでありまして、これは徴収原簿の保管なりその取扱い、あるいはその受取証授受というものを正確にすれば、絶無は期し得られないとしても、もう少しこうした不正事故は減少されるのではないかというように考える次第であります。特定郵便局長自身がやるというのは、これは論外でありまして、これは特定郵便局性格からいっても、こうしたいわば郵便局長というのは、ほとんど総括的な独裁権限を持っております。これの防止ということは、結局当人の品格と申しますか、それに待つ以外にはないと思うのでありますが、こうした特定郵便局長自身不正行為を行うという事例が昨年もありましたし、依然としてまだあるのははなはだ遺憾に存ずる次第であります。  以上簡単でありますが、一応検査説明を終ります。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 三十八年度決算に対しましては、後ほど松田郵政大臣出席の上、総括的な説明を求めることになっておりますが、大臣が来られる前に、ただいま会計検査院から指摘された批難事項について説明は出ておりますが、なおこれに対する補足的な説明が、要があると認めれば説明願います。
  5. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) お許しを得まして、ただいま会計検査院から種々御説明、御報告ありましたことについて、郵政省見解を申し述べます。  まず最初に、お手元の報告書の二百八十ページの部分でございますが、第一点の「収入および支出調定時期について」、法規的な根拠はあるものの、その取扱い統一を欠いている。そのために財務諸表その他についての継続性を害することがある。これは改善しなければならぬというお話でございますが、まことにごもっともと思っております。ここにあります例もあったのでございますが、今日までありませんでした調定時期の明確なる全国的統一を、各支出収入のそれぞれの項目に従いまして決定いたしまして、去る二月全国に通達いたしました。調定の時期を全国的に統一するようにいたしました。改善をいたした次第でございます。  また物品購入契約方式につきまして、これも法令上の根拠はあるものの、随意契約運用の仕方について、さらに慎重を期すべきであるという御意見でございました。私どもまことにごもっともと存じます。事業本来の需要物品の取得につきまして、価格のみならず、品質その他、安全性等も考慮いたしまして、極力随意契約運用につきましては、慎重を一そう期するように留意いたしました。今後ともその趣旨で参りたいと思っております。  不当事項といたしまして御批難を受けました千九百九十七号、三百八十二ページの問題でございますが、これにつきまして君子詳細に申し上げたいと思うのでありますが、検査院側の、この件に関します御見解のおもな点は二点あるのでありまして、第一点は、先ほどの調定時期というものが、そのつど変るのでは、会計上の継続性原則が破られるのではないかというふうなこと、第三点は、給与総額というものについて、これを逸脱するようなことがあってはいけないじゃないか。従いまして結論として、こういうことがあるとするならば、将来大へん異常な処置をとって、その年のものを払わんで何々をするというふうな事態を発生するやもしれないというような御心配というのが、結論になっておるようであります。この件につきまして、御指摘の六千五百万円でございますが、これが大体案件内容で申しますと、二つに分れておりまして、五千五百万円が、ここにあります内務者手当という問題のことでありまして、あとの一千万円の方は、珠算手当従業員に支給します手当の問題であります。この最初の五千五百万円ほどの問題でございますが、実は御承知のように、郵政省貯金及び保険というものの新規募集ということで、非常な困難を突破しつつ毎年相応の保険契約募集し、貯金預け入れを勧めて実績を上げて参っておりますが、しかし外部におきまして、いろいろと苦心を払う従事員に対しまして、一定の割合をもって募集手当というものをまあ支給しておる次第でございます。これが実は二十九年までの間におきまして、郵便局現場人たちの間において、実際に外でそういうものを募集してくれるという人に対して、こちらが支給する金額のうちの若干の部分を、郵便局内部で同僚間において、まあ自分たち外でばかり働いたから成績が上るのじゃないのであって、中でいろいろと集めてきた金を整理し、契約の書類を作ってやってくれる人たちも、やはり募集成績の上ったことには協力、貢献していてくれるのだからというので、実際上の労働慣行的なことといたしまして、募集者の、外務者のもらった金の若干を、内部において働いておる人に分け与えていたという慣行があった次第であります。しかしこれは給与法の原則から申しますると、こういう分けに認めているというようなものといい切れない筋がありまして、かようなことが、やはりその収入税金関係もございましょうし、また公労法関係適用になってから、ことに給与体系というものを整然と一応筋を通さなければいけないという私どもの考え方でございまして、この年の十一月でございますか、労働組合と再三にわたり折衝をいたしまして、さような現場において募集手当の何がしか内勤者に分け与えるというようなことはやめてもらいたい。その代り一つ組合官側とはっきり公企労法に基く団体協約を結んで、制度として公けに認めようじゃないかというふうな話が、再三の折衝の結果でき上りました。それを内務者手当と名前をつけまして、支給することにきまった次第であります。そうしますると、大体今までは、帳簿上の表面のもらう人は外勤者である。外勤者が何がしかの金を内勤者に分かち与えていた。それを事実上としてはやめる禁止を一月からしたわけであります。従いまして新しい制度は一月一日から実施すればあれでございますが、当時の財政一般の状況から考えまして、四月一日から実施する。財政一般と申しますか、何にせ、いろいろ金額にも多少がありまするし、募集成績をいろいろ計算するのも、一月心々で割るよりも、一期分々々々にまとめた方がいいだろうというようなことで、在来いろいろ慣行上としても、毎月分けていたものを、三月分一ぺんにまとめてやることにしよう。ついては十一月のころでもありますので、新しい公認された制度は新年度からやるということにきめた次第であります。一方、募集する人たちには、現場におきまして、毎月毎月の成績に応じて、先ほど申し上げました募集手当を支給しておるのでありますが、これは一期一まとめにしてやるということはできませんので、毎月やることにいたしましたが、在来労働慣行として、大体一割くらいの金を内勤者に与えていたのですが、そういうことは事実上禁止した結果、その一割くらいの金を内勤者にそのまま出すということをしないで、外勤者に今まで上げることになっておった金額から一割ほど落すということで、一月一日から処置いたしました。その金が今申し上げました五千五百万円でございます。これを要約いたしますれば、外勤者がたとえば五千五百万円の九分の十をもらっていたことになっておったが、実際上はこの五千五百万円、落した金額をもらっていた。実際上もらうことを禁止した。その代り、新しい制度は、四月一日から一期取りまとめて支給することにきめた。であるから内勤者諸君は、一月からすでに禁止したのだから、一割に該当する金額はもう上げませんよということに決定したのであります。それが五千五百万円、この金が、結局当時年末におきまして、一般公務員公企労法職員のボーナスの比率が〇・二五違うというようなことを中心にして、相当大きな労働不安が生じました。国会等からの御決議もありまして、十一月末において国家公務員並みに出す、その上に、その御決議内容に従って、さらに現業職員に対しては、勤勉の度合いについて考慮しようということでありまして、その方の原資に五千五百万円等を回したということになった次第でございます。あとの一千万円と申しますのは、実はそろばん手当でございますが、これは大体そろばんは、私ども郵便貯金保険には非常に貴重な技術でございますので、職員技術を増させるために、はなはだ僅少な、一人当り日額十円か、二十円、それをそろばんの技能のよしあしの等級を分けた額によりまして、支給しているのでございますが、これを二月分まとめて、この際やるということにあわせて改善いたしましたが、その一千万円が年度内には支出にならないで、翌年の四月一日に支出になる、かようなことになった次第でございまして、検査院の御心配になるような、財政上と申しますか、給与政策上、会計の正確さや、継続性を無視しても、何らかアブノーマルな方法をとる危険性があるというような意思や企図は、私どもとしては全くないのでございまして、こういうふうな公労法適用についても、団体交渉によりまして、在来人事院規則によって一本になっておったところの給与体系というものを、逐次各省の団体交渉によって筋を通し、あるいは改善して参っている途中でございまして、さような給与体系改善の途上における一つの現象として、今申し上げましたような、六千五百万円の事実が出たわけでございまして、しかしながらこの二十八年度給与総額全体といたしますれば、四百九十七億、合法的に与えられておったのでございますが、四百九十七億七千万円ほどでありますが、実際に支出いたしましたのは四百九十七億六千六百万円で、約五百万円ほど給与総額全体の幅としては、黒字と申しますか、残を残しておるのでございまして、その限りにおきまして給与総額というものの上に出たというふうなことにはならないと思う次第でございますが、そのほかその二十八年分二月には、国鉄、電通、専売、まあよく言われます現業の五現官庁と三公社というものの、年度手当闘争というものがありまして、それぞれ数千円の金が出たのでございますが、私どもの方では、財政上とてもその年末手当に他の現業官庁公社並みに出せませんので、一人当り八百、九十円でございましたが、約二億ほどの金を三月末において支給したというわけでございまして、それを支給いたしましても、まあ五百万円ほどの残額は残った次第でございます。  以上ははなはだこまか過ぎたというあれでございますが、かようなことになった経緯を申し述べた次第でございまして、私どもといたしましては、ちょっとこれは決して給与準則というもの、あるいは給与総額というものを無視し、軽視するものではない。むしろ私どもといたしましては、給与総額及び準則というものを、組合と交渉する上においての、ほんとうに唯一の手がかりとして考えて、大いに検討する次第でございまして、今後とも決してお叱りを受けるような、不当なる支出方法とか、使用であるということはいたさないような決心でいる次第でございます。  なお、あとの千九百九十八号につきましては貯金局長、なほ、郵便貯金特別会計につきましては、貯金局長より、不正事項につきましては監察局長より簡単に御説明させることをお許し願いたいと思います。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) 今八藤経理局長の御説明があったわけでございますが、大臣が見えるまで、ただいま会計検査院から批難事項として指摘された事件について、郵便貯金特別会計、この問題に関しては、会計検査院としては、この現状に顧みて、抜本的な方策を立てる必要がある、これは委員の質疑に入ります前に、そういうことに関連して、概略御説明願いたいと思います。次は白根観場保険局長、これまた簡易生命保険及び郵便年金特別会計についての今の死亡率の減少、払い込みの問題は非常に根本問題もありますから、これまた委員の質疑の参考になるように、概略御説明を願いたいのでございます。
  7. 小野吉郎

    政府委員小野吉郎君) まず物価の過大調達の関係につきまして御説明申し上げたいと思います。二百八十三ページの千九百九十八号として指摘されました、現金を運搬いたしますために所要な入れものの袋でございます。これの調達が非常に過大になっておる。しかも各郵政局からの必要数の要求が非常にアン・バランスで、特にそのために、十のうち三つ郵政局につきまして、著しい過大な配備の現状が出てきたという御指摘でありますが、まことに私ども事実に対しまして遺憾千万に存ずるわけであります。そういった間から、予算の使用の面におきましては、かなりの不経済を生じましたことは、何としても相済まないわけでございまして、心から遺憾に存じます。ただこの問題の将来の問題につきましては、郵政局方面から要求をいたします、その要求の基準を明確にいたしますとか、あるいはまたその基準に従って郵政局から要求がありまして際に、われわれといたしまして、その内容審査により一段慎重を期する、こういうような配慮をいたしまして、将来この種事例を再発せしめないように努力いたして参りたいと思います。まことに生じました事態につきましては遺憾に存じ上げる次第であります。  次に、郵便貯金特別会計現状につきまして、会計検査院からきわめて有益なる御指摘を受けたわけであります。私どもも同様な気持から、この会計のあり方等につきましては常に心をくだいておるわけでありますが、御指摘のごとく昭和二十八年度におきまして、一応特別会計の歳入歳出の面におきましては、四十三億八千百余万円の欠損を生ずることに相なっております。これはその前年あたりからの欠損を集積いたしますと、非常に大きな額になるわけであります。しか予算編成の関係から申しまして、支払い利子の不足のために、年度中途で七億四千三百万円の補正をいたしておりますので、これを加えれば、この年度のみにつきましても五十一億の赤字になる、こういうことはこれは事実その通りでありますが、ただわれわれ非常に悩みに思っておりますのは、郵便貯金特別会計の今日の性格そのものが、本当にこういった郵便貯金を合理的に運営し得る限度、これはこれだけだということがはっきり性格上現われておらないのであります。この会計特別会計として誕生をいたしました当時は、各種の預託の事業につきまして、その預託金に対しては一律平等な五分五厘という利子を付されたわけであります。その限りにおいて事業を運営して行く、こういうことに相なっておったのでありますが、当時資金運用部の利回りも非常に低かったわけであります。また郵便貯金といたしましても、そういう状況でありますので、五分五厘の予定の利率をもってこの事業を運営することは、とうてい不可能なわけでありますが、一応歳入といたしましては五分五厘の歳入をもらえる。下足いたしまする部分は、欠損金として一般会計から補てんを受ける、こういうことで運営して参ったわけてあります。正確にそういったこの事業の合理的な運営をいたします上から申しますと、この事業をほんとうに合理的に運営する標準的なコストというようなものを計算いたしまして、それを——これは歳入の形は資金運用部の預託金の関係でもよろしいでありましょうし、また一般会計の金でもいいと思うのでありますが、それをあるいはオーバーし、あるいはそれ以内で済んだという場合に経営の点から黒字が出てくる、あるいは赤字になってくるということであれば、この特別会計運営には非常に実質的な意義を持つと思うのでありますが、ほんとうはさような運営になっておりません。ただほかの預託金と同様に、ある一定の率をもって歳入を計算いたしまして、それで不足があれば欠損に立てるわけであります。そういった面からいたしまして、性格的に非常にこの欠損のほんとうの意義を追及する上におきまして、非常にまだ十分でないものがあるように感じられるのであります。それはいずれにいたしましても、できるだけ予定の収入の範囲内において運営し得ることは、非常に理想には違いないのでございまして、そのよりな方向にもっていくべく最善の努力はいたしますが、そのような見地から考えますと、この事実に必要な経費は大別いたしまして、預入者に対する支払いの利子とその他の事務貿になっております。そういった面から企業一般の合理化に通じますそういった能率的な、合理的な運営をはかっていくということがまず一点考えられるわけであります。そういった面から申しますと、いろいろわれわれも努力をいたしまして参ったのでありますが、預金者に対する支払いの利子の面におきましては、これを低下すれば貯金のコストは下るわけでありますが、これは一般の金利全般の均衡の上から申しまして、さほど郵便貯金事業の運営の事情のみから上げ下げし得るものでもないと思います。そういう点で昭和二十七年度におきまして、一般の銀行方面の金利とも調整をとりまして、かなりの引き上げをいたしたわけであります。これは郵便貯金事業の運営に非常に負担になっておることは事実でありますが、これを郵便貯金の運営の事情のみから金利を下げる、こういうことは非常に不可能な状況であります。従ってこの分野におきましては、当面の問題といたしましては手を触れることができないのであります。そういたしますと、その他の事務費でありますが、この事務費も非常に操作し得る範囲は狭いのでありまして、昭和二十八年度におきましては、こういった事務費が百二十五億くらいあったわけであります。そのうちの八割に近いものは人件費でありますので、定員を減らすとかあるいは給与を下げる、こういうことでないと、これはその面からは命が出てこないわけであります。ところが現在の定員事情等から見ましても、非常に切り詰めた定員を配慮しておるのみでありますので、これに減員を期待するようなことばとうてい不可能であります。してみると、あと残りの三十億そこそこの物件費について極度に節約をして参るということでありまして、この方面にはいろいろ鋭意努力をいたしておりますが、これは何しろ膨大な四十億から五十億に上る欠損を解消する対策といたしましては全く焼け石に水のような状況であるわけであります。そういう面から考えますと、やはりここで積極策として考えられますことは、郵便貯金の現在高を増加して参るということよりほかないように思うのであります。そういった見地から年年かなりの膨大な目標をもちましてそれを消化して参っておるわけであります。過去二十五、六年ころからの状況を申し上げますと、二十六年度におきましては郵便貯金の運営のコストは七分二厘二毛、こういう状況に相なっておったのであります。このコストが一般の支払い利子の率と経費の率に分かれるわけであります。経費の率で申しますと、二十六年度は四分八厘六毛であったのでありますが、漸次そのような物件費関係の節約に点を用い、こういう方面の合理化一般の消極策をとりますと同時に、郵便貯金の現在高を積極的にふやして事業の運営の改善に資する、こういう面に努力いたしました結果、二十七年度におきましては、四分五厘三毛に下っております。さらに二十八年度におきましては四分一厘六毛、二十九年度におきまして三分五厘九毛、さらに三十年度の現在の見込みで申しますと三分三毛程度、漸次そういった事務費と申しますか、経費率はかえって低下して参っておるわけであります。こういった面から、将来もそういった積極策を大いに進めて参ることによりまして、事業の赤字を解消して健全運営をいたす目安も、近い将来とは申しませんが、ここ相当長期の計画をもつていたしますと考え得ることであります。これにはもちろん一般の経済事情が今日より悪く変らない。特にこの事業で最も経費として大きな率を占めております人件費方面におきまして、あるいは給与のベースの引き上げとか、そういったことがなしにすまし得る、また非常な物価の騰貴がない、こういうようなことを前提にいたしますと、経費率は今日におき航してもさように下っておりますのが、将来もこれを下げ得ることは努力次第でできるわけであります。そうなって参りますと、今日の心配せられております欠損金の関係は漸次解消して参り得る、かように考えているわけであります。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) 松田郵政大臣が御出席になりましたので、松田郵政大臣から二十八年度決算につきまして、郵政省所管の分に関して総括的な説明を求めます。
  9. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 郵政省といたしましては、国民の多くの人々の金を預かり、また貴重な郵便物その他のものを預かっておりますので、これらの事業運営に当りまして何らそこに不正行為であるとかあるいは間違った行き過ぎであるとかいうようなことのないように格別の注意をいたして参っておるのでございます。これまでにも当委員会におきましていろいろ御注意を賜わりまするごとに、さらにそれらの注意すべき事柄に対して一段と力を加えてやって参っておりまして、幸いに省内から不正の者を出すというようなことも漸次減少の方途を辿ってきているのでございまするが、しかしなお一そう今後もこれらのことに対して少しも間違いの起ることのないようにと、努めてやっていかなければならぬと考えておりまして、かようにやっておりましても、やはり多くの中には不心得の者も出て参りまして、まあまことに汗顔の至りでございますけれども、経理の面におきましても、その他の点につきましても、特に注意をいたして万遺憾なきを期して参りたいと、かように考えておるような次第でございます。
  10. 山田節男

    委員長山田節男君) 各委員にお諮りいたしますが、今松田郵政大臣から総括的な御説明がありましたのですが、先ほど来、八藤経理局長小野貯金局長の各所管の説明を聞いたのでありますが、大臣もおられます席上で御質問を願って、白根簡易保険局長、青木監察局長西村資材部長にあわせて御質問をしていただくようにした方が時間的に経済ではないかと思いますが、いかがいたしましょう。なお、続いて白根簡易保険局長、青木監察局長等の説明を求める方がいいか、それともすぐ御質問に入るか、どちらがよろしうございますか。大臣は暫く御在席願えますね。
  11. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) ええ、暫く……。
  12. 山田節男

    委員長山田節男君) どうですか、大臣がいらっしゃる間に御質問していただいてもいいじゃないですか。
  13. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 私は大臣も御多忙でしょうから、委員大臣に直接御質問のある方は先にやっていただいた方がいいのじゃないかと思います。
  14. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょうど大臣の御出席が劈頭にお願いできなかったので、非常に変則的になったわけです。  それでは大臣も御多忙のことであろうと思いますので、大臣出席を仰いでおりますから、大臣に御質問願い、なおまた、それに対する補足的説明は各所管の局長からいたすと、かようにいたしたいと存じます。  それでは松田郵政大臣に対する御質疑を願いたします。
  15. 岡三郎

    ○岡三郎君 これは大臣に特別ということにならぬかもわかりませんが、しかし例年、ここに私昭和二十七年度決算も持っておりますが、例年不当事項不正事項が相当起っております。で、これについては先ほど総括的に大臣の方から説明があったわけですが、先ほど第四局長に開いたところ、本年度は昨年度に比較して総トータルが少し減ってるというので、私は差し控えようと思ったのですが、しかしここに専門員の方からの報告にあるように、千九百九十九から二千十五、被害金額合計二千五百七十七万八千九百四十円、二千六百万円に近い不正事項不当事項があるわけです。で、その表が二百九十ページから三百九十二ページ、二百九十三ページにかけてあるわけですが、非常に多額な金額を取り扱うので、そういった特定郵便局等に事故が起るのもやむを得ないと言ってしまえばそれまでのことでありますが、しかしこの面においてやはり何とかこの改善をして、もう少し顕著なる対策を立てられないものかという点を絶えず考えておるわけなんです。その他の面についてもありまするが、特に私としてはその点について、先ほど第四局長が言ったように、特定郵便局長がやるということになれば、これはちょっと手がつかぬということになって、それは特定郵便局長の品性の問題であるというふうに指摘されたわけですが、特定郵便局長についてもやはり日ごろの監察というものが行き届いておれば、おのずからそういった点についてはわかってくると思うわけです。それから外勤者集金してくる場合においても、また部内において窓口において現金を取り扱う場合にしても、やはりおのずから行動というものをある程度まで精査するというふうにできておれば、程度の問題でありましょうけれども、予防措置というものが十分講ぜられるのじゃないかというふうに私見として持っておるわけです。そういう点について松田郵政大臣は、当然部内に御忠告があったと思うわけですが、一つこういった問題を本年度に限って特段に善処してもらうために決意とそれに対する方策の、こまかい点はよろしゅうございますから、その点をここで簡潔に言われるとともに、郵政省全体に対して、特に特定郵便局に対しても何らかの方法をもってこの措置をとってもらいたい、私は希望と御意見を伺いたいと、こう思うわけです。
  16. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) まことに仰せの通りでございます。むろん郵政省といたしましては非常に多くの従業員のおるところであり、またいろいろ口数の多い、しかも多額の金を扱っておるところでございまするから、これくらいのことはしようがないではないかというような考えはいささかも持っておりませんのでございまして、いやしくも国民の金銭、貴重なものを預かる、これを処理しておる郵政省でございまするから、全く一件といえどもそういうものを出さぬようにしなければならぬ、不正行為を出さぬようにしなければならぬ、こういう心がまえを常に持って、そうしてむろん私はすべての地方へ行くわけではありませんけれども、機会あるごとにその点に対しましては特に注意を省内外を問わずいたしているような次第でございまして、そのために監察制度の方に対しましても特に留意いたしまして、いろいろ華の起った場合には、大体監察官の注意によって摘発されるというような場合が多いのでございまして、これをさらに徹底いたしまして、完全に一つ御指摘のような、いやしくも間違いは一切起しては相済まぬという気持をもって、この制度の運営に当っていきたいと、かように考えている次第であります。
  17. 岡三郎

    ○岡三郎君 これも大臣に直接言うことになるというと、こまかくなりますかわかりませんが、事務の取扱い上において、いろいろとさつき経理局長の方から話があったわけですが、結局個人で何もかも処理できるいうなシステムがやはり問題を起す一つ発生原因じゃないか、こういわれているわけであります。第四局長もその点においては何らか事覇上の措置として具体化しなければならぬのじゃないかとも言われているわけです。その点について、この前の二十七年度のときも同じようなことを私は言われたのではないかと考えているわけです。ここに書いてあるように「これらの不正行為が例年繰り返されて長期間にわたり行われることは、不正行為者が遵法精神に欠けていたことはもちろんであるが、」云々と書いてあって、条項が幾つかあるわけです。私はそのこまかい点には触れたくありませんが、松田郵政大臣の郵政行政に対して、一つこの面においてある程度顕著なる改革が行われたというふうな事例が昭和二十九年度決算に現われてくるように、特段の一つの御努力をお願いして、私としての質問を終りたいと思います。
  18. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 実は郵政省の、たとえば特定郵政局のこと一つにいたしましても、いろいろだんだんと調べてみまするというと、いなかの地方の小さな特定局などでは、昔の請負制制度の時代と異なりまして、自由任用の郵便局長として何しておりましても、あの請負制度の時代と違いまして、全くある一定の、夜間は人がいないような場合ができる、やむを得ないというような場合ができるそうであります。そういうことを考えますとまことに心配にたえないのでありまして、これらのこともどう改革すればよろしいか、いかにして——現業庁でありますから、特別会計として、それをどういう方法でやっていけばいいかということに対しましては、いろいろと研究を進めておりまするけれども、理想案というものはなかなか得られぬのでございまして、日夜苦慮いたしているような次第でございまして、これはせっかく研究を進めまして、そうして最善の道を見出してやって参りたいと、かように考えている次第でございます。
  19. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の問題に関連して、私も大臣の所見をただしたいと思います。これは私ども決算を過去三年近くやって参っておりますが、郵政局所管では不正行為が漸次減少しているという大臣のさっきのお話でありましたけれどもしかし他の官庁に比して決して郵政当局の不正案件が減っているとは申されない。他の官庁に比べればきわめて二十八年度においても多い。で、こういうことを繰り返しておったのでは、零細な国民の貯金に関する信頼が失われるだけでなしに、私はそこにせっかくの従来つないで参りました郵便貯金に関する信頼の度合が低下してくるのではないかということを、実はおそれるわけであります。われわれ決算委員会に報告されておるようなこういう内容を国民大衆がひとしく知らされる機会がもしあるとすれば、これは重大な不信を招く行為であることは疑う余地のないところでありますので、そこでわれわれといたしましても、決算委員会で同じことを毎年毎年繰り返して、大臣あるいは関係の局、部長の方々から同じ答弁を聞いておったんでは何ら改善の余地がありませんので、そこで私は大臣に特に注意を喚起すると同時に、なかなか事務当局の手だけでは改善ができないと考えられますので、私はお尋ねをしたいと思う。  それはさっき指摘されました二十八年度不正行為が、会計検査院の報告を見ると十七件になっている。しかし直接郵政局の監察局で摘発された件数は二千三百八十三件、金額にすれば実に一億二千万円余りの金額に上っておるわけでありますが、こういう機構があって、しかもこの犯罪の事実は全国の一万数千の郵便局において発生しておるわけでありますから、これは単なる事務の取り扱いの改善であるとか、あるいは監督の励行ということだけではこの不正事実を根絶するということは、過去の決算の事実あるいは批難の傾向から見て、われわれは困難であるというよりもむしろ不可能だということを判断せざるを得ないところであります。  そこで郵政省の監察局におきましては、常時これが防犯対策に苦心をしておられることだと思いますが、これはおのずから事務当局には能力の限度があります。この犯罪防止、並びに国民から貯金に関する、従来のつないで参りました郵便貯金に対する信頼を一そう高めるという見地から、大臣としてはこれが改憲あるいは是正について何かはっきりした御見解をお持ちであるかどうか、ただいまのお答えでは、どうもはっきりした見解をお持ちにならないように私は感じましたので、この点についてはまだ研究途上にあるのか、もし研究の途上にあるとすれば、事務当局としては一体、特に監察局から責任者がおいでになっておることと思いますが、大臣の私の質問に対する答えが不十分であるとすれば、事務当局からさらに補足を願いたいと思う。
  20. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 全くお説の通りと思いますので、私どもも決して郵政省の犯罪は少くなっておるとは考えておりません。私はできるだけこれはなくしていかなければならん。ただ数年間漸次減少の方に進んで参ったところ、昨年度、二十八年度ですね、二十八年度はまたまた相当ふえてきたということに対して非常に心痛いたしておるような次第でありまして、おっしゃるように決してこれは当局を激励するばかりではいかず、監察制度をどう改善したらいいかという、今のところではわれわれは特別に名案というもの、この現在の制度以上にまあ名案を持っておらないのでありますが、要するにそのところに人を得、厳に注意を促しながらやっていくという以外にただいまのところでは私としては考えを持たないのでございますことを遺憾としておる次第でありまするが、今後ともこれらのことについて特に研究を進めて、万遺憾なきを期していきたいと考えておる次第であります。
  21. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) ただいまの大臣のお話に関しまして若干補足さしていただきます。  先ほどの大臣の御答弁の中に研究中というお言葉があったのでございますが、実はその研究いたします中に、私ども、監察局でなく、経理局の会計検査としての研究の本年度のあり方を簡単に申し上げたいと思いますが、全国にやはり郵政局ごとに経理部がありまして、そこから現業の会計検査に毎年相当の日数と人手を要して検査しているのでありますが、その毎年の会計検査の方針というものを毎年きめるわけでございます。  在来もちろん防犯とか犯罪等についても留意はしておったのでありますが、不正とか不当とかの摘発審査にも重点を置いておったのでございますが、企業体として企業監査と申しますか、予算の効率的な運用とか、物品とか資材の不経済な使用の方法の是正とかの方面も相当力を入れて、犯罪の防遏とあわせてやってきておったのでございますが、本年度松田大臣からの御命令によりまして、かくのごとく毎年不正事故が出てくるということは、それぞれ会計検査や監察で摘発するというだけではこれはとても防ぎ切れない。よって何か制度上、法令上に大改善を加えて、犯罪の、不正の発生というものを制度的に何かこれを改善する方法はないか、これを根本的に研究せよという御命令がありましたので、本三十年度会計検査計画といたしましては、在来の企業監査的な方面を若干犠牲にいたしましても、被疑事項の原因探究、探究いたしまして、それを制度と結び付けて制度的にどうこれを改善すべきかという点を、全国的に一つ三十年度は全力をあげてそれにぶち込んでいこうじゃないかというふうに、三十年度会計監査計画は定められまして、ただいま全国にわたりまして会計検査はそういう方向から一つ制度的に、法令的に、犯罪の、不正の発生の余地なからしめるような改善方途を現実に即して見つけよう、こういうような方法でやっておりまして、どの程度までの結論を得ますか、私ども必死になって、一つ何らかの結論を得たい。それをもちまして大鹿の一つ制度法令上の改革的なことを申し上げられるならば仕合わせだと、こう存じて勉強しておる次第であります。
  22. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 ただいまの大臣の御意図が事務当局にまで浸透して、目下対策を企画立案中であるということで、私はこのことに対しては非常な敬意を払いたいと思いますが、その今の大臣の御意図の調査研究、あるいは企画なり立案というのは、大体の見通しとしてはいつごろまでにできるんですか。
  23. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 三十年度のこの根本方針によります結論というものが出て参ります。大体本年内、最終の会計検査が実施されますのはどうしても明年の三月にあるいは入るものもあるかもしれません。極力多数の手をかけてやりまするので、その間においても私ども一つ結論を得たいと思っておるのであります。幸いにしましてと申しますか、実は本年に入りまして、会計検査院の方からも制度的にこういう点に留意しなくてはいけないんではないかという四局長名の勧告書がございました。その中には、たとえば保険外務員保険料徴収のための書類の持ち出し、格納の方法についてとか、いろいろそういうふうな積極的な御勧告もございましたし、このあたりを中心といたしまして、一つできるだけ早く三十年度会計検査のそういう方向での結論はこうだというものを出したいと、こう思っておる次第であります。
  24. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の不正事項を未然に防ぐという見地からいたしまして、監察局には監察局としての考え方なりあるいはそれについての御意見があると思います。特に二十九会計年度における監察局によって摘発された件数、そのうち検挙された件数というのはどのくらいございますか。
  25. 青木亮

    政府委員青木亮君) ただいまのお尋ねの監察局として何か本年度特別の実施方針と申しますか、そういうことはないかというお尋ねでございますが、ただいま経理局長からお答えいたしましたものと重複するかと存じますが、私ども監察局といたしましては、当然未然防止の観点から御案内の通りに年次考査、業務考査というものを会計検査と並行的にやっております。そのほか不幸にして事故、犯罪が発生いたしました場合には、犯罪捜査に着手して早く検挙するということに努力いたしておるのでありまして、そういう関係で考査あるいは犯罪捜査の仕事を通しましていろいろ業務取り扱い上の欠陥が発見されるわけでございます。そういうものを千分中心にいたしまして、業務改善ということに私ども自身の意見を関係部局に勧告いたしますと同時に、先ほど経理局長から申し上げましたように会計検査院から御勧告なり御指示なりがございましたそれぞれのこまかいこともあわせ研究いたしまして、業務の上にそれぞれ参考にいたしておるわけでございます。  なお第三のお尋ねの二十九年度の検挙件数でございますが、二十八年度が三千三百八十三件に対しまして、二十九年度は遺憾ながらふえまして二千七百七十五件になっております。それから部内犯罪は七百七十三人で、二十八年度の七百四十四人に対しましてこれも若干ふえております。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大臣に私はもう一点お伺いをしたいと思います。それはやはり例年郵政省決算事項でいつも問題になりますのは物品に関する問題であります。これがただいまの経理局長のお話によりまして、多少私どもはわかった点もありますけれども、まだわれわれさっきのお答えでは十分の了解が得られない。それは今年も相変らず資材部関係の契約総額が二十九億余りという、その中の九割五分に当る二十七億余りが随契でなされておる。これは先ほど会計検査院局長からも御指摘がありましたように、必ずしも是が非でも随意契約によらなければならないという性質のものではないものがこの中にかなり含まれておるはずなんです。とかく巷間の声を聞きましても、そういうことがわれわれの耳にも入ってくる現状等からすれば、当然改善さるべき時期にもう到達していると私どもは考えられる節が決して少くないわけであります。たとえば自転車であるとか被服であるとか、くつであるとか等々のものに関しては、必ずしも随契でなくてもいいのではないかというふうなことが考えられますので、これらについては会計法の原則に従って競争入札に待つ方がよろしいと考えられる点は、私は大臣のもとにおかれましてもこの際的確にこれらを改善されることが必要だと考えますので、従来の決算委員会を通じてこの点は私は大臣もお考えがあることと思います。この点に関しては大臣から直接承わりたいと思います。
  27. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 全く御説明のように、今日においては大体大きな額のものは少くとも競争入札ということにする方がよいのではないかというようなことでありまして、私は就任間もなく、その点のことについて資材部長を呼んで話をしたこともあるような次第でありまして、しかし毎年同じような御叱責をたまわることは恐縮でございますが、郵政省は永い間の伝統をたっとび、それが少くとも今日の時世から考えてそぐわないものでないということでございまするならば、努めてそのよい伝統は維持していきたい、かような考えを持っております。昨日私はようやく多年の私の友人である一人が、何十年、五十年というそういう父祖の代から郵政省に物を納入しているということを聞きましてそういうものも中にあるのであります、そういうことでありますが、むろんそこに人情ということもわいて参りますけれどもしかし公けのことを人情、情実で処理すべきでないことはきわめて当然のことでありまするが、往々この長く続いていろいろきまったものを買って納入していると、また納入し、それを買っているということは、大体成績がよいということが基礎になって長続きをいたしているのでありまして、そこに微塵でも間違った行過ぎた行為があるものは、これはもう長く続くべきものではない。そういう点もございまして、今御指摘たまわりましたように多くのものが競争入札によらないでやってゆくということになっておりまするけれども、そういう点もございまするけれども、努めてこれからは大きな金額のものはとにかく競争入札、むろんその中にはあれもこれもというわけには参りますまい。いわゆるオープン・ビッドということになったらまたかえって弊害の多いことと思いまするけれども、相当数のやはり競争者をして競争せしめてゆくということが当然であろうというふうに考えております。
  28. 西村尚治

    説明員西村尚治君) 大臣のお話を補足してお話しを申し上げたいと思います。  随意契約が多過ぎるという点につきましては私ども会計検査院から指摘されて大いに反省させられたわけであります。また本年度に入りましてからは、松田大臣からも特にその趣旨のお話がございまして、競争入札に切りかえられるものは鋭意そのように切りかえて参っております。  二十八年度は六三%に相当するものは競争入札もいいのではないかと、この報告に出ているのでありますが、このものにつきまして二十九年度の実績を申し上げますと、二十九年度中ごろ、九月ごろでしたか、会計検査院のこの趣旨の注意勧告がございましたので、さっそくしさいに検討いたしまして、それ以後は鋭意検査院御指摘の趣旨に沿ってやっておるのではございますが、二十九年度以降、この六三%の内容に相当いたしますものにつきまして、それの約六〇%というものは現在競争契約の方に持っていっております。ただ私どもの方は、これは事業官庁でございまして、事業専用の物品というものが相当多いのでございます。それで競争契約になりますと、品質の確保ということより、むしろ価格競争に偏するという弊害がございますので一々よく検討しておりますが、どうしても随意契約によった方が得策だ、またそれが必要だというものは随意契約に残しておるわけでございます。大体しかし昨年以来大半のものを競争契約に切りかえておりますので、御了承願いたいと思います。
  29. 白井勇

    ○白井勇君 大臣に伺いますが、会計検査院の報告によりますと、二十八年度末なお五十三、三億の赤字を持っておるわけですが、申し上げるまでもなしに、郵政事業特別会計は、企業的にこれを経営するということになっておるわけでありますから、これはできるだけ早く解消しなければならぬ筋合のものだと思いまするが、現在どういうかっこうになっておりますものか、なお赤字がありといたしますれば、今後どういう改善策によってそれを解消していくというお考えでありますか。
  30. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) その点につきましては、十分従業員の方からも、せっかく働いても赤字々々ということではまことに遺憾であるという気持も反映いたしまして、当局においてもそれぞれ考えて、その解消の方途を講じておるはずであります。あとは経理局長から御説明いたさせます。
  31. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) ただいまの大臣の御説明を補足させていただきます。  御指摘の郵政特別会計として持っておる五十数億の欠損金というもの、これの解消策についてというお話でございますが、二十九年度決算はただいま進行中でございまして、毎年の例によりますと、六月一ぱいはどうしても全国から集まりまする決算の整理にかかりますので、正確に出ておりません。六月を過ぎますると、正確な決算書となるわけでございますが、二十八年度決算書におきまして、御指摘の通り、郵政事業会計欠損金というものが、貸借対照表上五十三億出ておるのでありますが、これに見合いまするものは何でございますかと申しますと、この貸借対照表の貸し方の方におきまして、他会計からの繰入金というものが百二十三億あるのでございまして、これが結局この欠損金の原因となるわけでございます。この百二十三億の他会計からの繰入金というものは、実は逓信省時代、御承知のように二十四年から電気通信省と郵政省に分れましたが、戦後逓信省時代におきましても、非常なインフレーション、一方におきまして従事員の給与関係の矢つぎ早なベース・アップ勧告というのがありまして、非常に事業全般が赤字に襲われたのであります。その際にたびたび郵便料金の改訂の問題等が出たのでございますが、これはやはり公共事業料金といたしまして、結局右から左へと、いうわけに参りません。ただいまの十円、五円という料金の改訂は二十八年の十一月でございましたか、初めて改訂されたわけでございますが、それ以前におきましてベース・アップその他の関係で非常な赤字が出るのでございまするが、これは郵便料金を改正しない、一般会計から繰入金をもって補てんするという法律をもちまして、まあそういうふうなことで、合計いたしまして百二十三億繰り入れてもらったわけでございます。これが結局そのまま右から左へ従事員の給料関係に渡りますので、こちらの借り方、資産関係といたしますとそれだけ穴があいておったわけでございまして、それが御指摘の欠損金でございます。二十七年度から先ほど申し上げましたような現行料金にかわりましてから、初めて利益を生ずるように好転いたしました。二十八年度は結局十四億何がしの利益、二十七年度において八億足らずの利益ということになりまして、その利益によりまして、この欠損金は大体においてその年度々々ごとに利益金によって落していった。ただいまの見込み決算では、二十九年度も大方六億から七億の間の利益金が生ずるかと思うのでありまするが、そういたしますとまたそれだけ二十八年度決算の五十二億からその二十九年度の利益金だけまた欠損金が減るわけでありますから、減っていくわけであります。結局法律によりますれば、この百二十三億は将来郵政省でもって予算をもって一般会計に返すということが書かれておって、無利息であり、無期限ではございまするが、将来郵政省において欠損金を補てんし、かつ、利益金が出た場合においては、これを予算をもって一般会計へ返していくということになるのでございます。  大臣のお話しがありました通り、私どもといたしましては、極力経費の経済化はもちろんのこと、各方面の増収をはかるというところから勉強いたしまして、御心配欠損金の解消ということに努力をしていきたいつもりでございます。ただ気がかりになりますることは、二十八年をピークといたしまして、二十九年、実は郵便関係の物数が、いいかえますならば国民の出しました郵便物の数の伸び方が減って参りまして、それまでは相当いいときは前年と比較して三割方物数がふえた。いいかえれば売上高がふえたのでございますが、二十八年度と二十九年度といわゆる売上高が減ってきておるというふうな現象があるのでございますが、しかしながら国民の出す通数につきましては、極力それは勧奨はいたしまするものの、通信の特殊性からそう急激な伸び方は今後ない。しからばわれわれとしては、極力内部経費というものの効率的な使用ということに鋭意努力していかなければいけないんじゃないか、かような決心でやっております。
  32. 白井勇

    ○白井勇君 もう一つこれは大臣に、つまらぬことですけれども、十二月になりますと、東京駅の中央郵便局の前にいち早く何といいますか、門松が立ったりクリスマスの飾りものができまして、はがきの売り出しが始まる。われわれの家庭にも郵便配達人を通じましてはがきの割当がくる。これはせめて年賀状だけでも通信をしようということですから、悪いことでないと思うんですが、去年あたりから見ますと、去年あたりはさらに電報、これを日本橋から銀座まで街頭に進出をして、まあそでを引いて、どうですかというようなかっこうになっているわけです。これは年末の一つの風情としまして必ずしもそれは非難すべきものでないんじゃないかという気もしますが、ただ今の内閣がマージャンを廃止をし、公邸を廃して、しかも国民の新生活運動をやっていこうというようなことを非常に高く掲げておりまする政府のもとにおりまする公社としましてのやり方としましては、どうかというような感じがしますが、大臣はどうお考えになりますか。
  33. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) 今お話しの光景は、私はみずからこれを見たことないのでありまして、直接の感じにはピンときておらんのでございますが、むろん郵政省といたしましては、一般世間的に見てかんばしからぬ、そういう程度のそういうやり方は公共事業体の何としてふさわしくないというような、そういうことは特に注意をしていきたいと思います。私はお話しのことはよく頭へ入らぬのでございます。
  34. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の郵便貯金特別会計のことについて私はもう一点伺いたいと思いますが、これはつまり貯金利率と、それから預託金利とのその関係ですね。二十八年度においては一・四三%の逆ざやになっている。それが二十九年以降においてはどういう状況になっておりますか。
  35. 小野吉郎

    政府委員小野吉郎君) この預託利率のきめ方は先ほど申しましたごとく郵便貯金特別会計を作りました、これは三十六年度でございましたのですが、そのときには一切の扱った金に対する預託の率は五分五厘ということになっております。その後いろいろ折衝いたしまして、昭和二十七年に特別立法をいたしました。その特別会計は、将来五年間郵便貯金については預託利率に特別の配慮をせい、こういう内容のものでございます。初年度昭和二十七年度を一般の五分五厘よりも一分上げました六分五厘にいたしたわけであります。そして将来五年の間に漸次逓減いたしまして、元の五分五厘に返る、こういういきさつになっておったわけであります。ちょうど昭和二十八年度におきましては、会計検査院の御指摘になっておりますごとく、この預託利率は六分三厘五毛ということに相なったわけであります。それで、そういった関係から申しまして、一方では昭和二十七年四月から郵便貯金利子をかなり大幅に引き上げたわけであります。収入として入るものは前年度よりも率が減じ、片方支払い利子の面では率が上って参りましたので、そこで、そういった逆ざやを生じたわけであります。その後、二十九年度におきましては、預託利率としては特別立法の漸年逓減の方針によりまして、この率が下っております。六分三厘五毛が二十八年度でございますが、二十九年度においては六分三厘、更に三十年度予算におきましては、さらに一厘下げまして六分二厘、こういうことに相なっておるわけであります。支払い利子のほうは大体昭和二十八年度の率とそう大差ございません。従ってその逆ざやの部分は一応そういった面から多少変っては参っておるのでありますが、やはり預託利子がそのように下っておりますので、赤字が依然生じておるというような現状でございまして、会計検査院の御指摘もこれはわれわれとしては非常にありがたいのでございますが、そういった支払い利子の面でサービスの改善をいたしまして、経費が高くつくにかかわらず、預託利子はだんだん下げられる、こういう点に欠損の原因がある。これを改善しようということでありまして、われわれとして非常にありがたいところでございますが、現在の資金業務の状況からみましても、これも漸次内容は変遷をいたし、改善に向いております。最近のことで申しますと、大体平均の利回りが、六分四厘から五厘近いものになっておると思うのでありますが、そういった面から申しますと、その平均利回りをフルに郵便貯金の預託利子にもらいますならば、今日の段階で完全に欠損金をゼロになし得る段階には参りませんが、四十数億の赤字というものがその限度でかなり改善されるわけであります。そういった面も将来いたし、なお、それで足らない部分におきましては、いろいろ事務費のさらに合理化をはかり、また、一段の積極策といたしましては、郵便貯金の増加をはかりまして、現在高がふえることによって、そういったコストの面で改善して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  36. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は遅れて参りましたので、どういう質疑応答が行われたか、内容的にはわかりませんが、お話の中に結局人間性の問題だというような御答弁があったように今承わりました。そういう角度から一つ聞きたいのですが、私もほんとうにそう思うのです。もう幾ら法律で金縛り、ぎりぎり締めつけていきましても、やはり最初で最後の問題は人間性の問題だ。そこでこの仕事を進める上において職員あるいは従業員に対する事務的な指導、そういうことは相当やられておるのじゃないかと思いますが、人間的な修練、練成、という言葉はちょっと古い言葉かもしれませんが、そういう点についてどういうことをおやりになっておりますか、ちょっと三……。
  37. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 私から簡単に。おっしゃいます通り二十五万の従事員でございますが、従事員全部がほんとうに立派に向上していただくということは重要な問題だと思っております。郵政省におきましては、郵政職員の再訓練ということと、新規採用者の訓練ということと、まあ二段の訓練制度をただいまもっております。全国十の地方に郵政研修所というものを設けまして、個々に、それぞれの事業現場、第一線から人間を、短いもので一週間、あるいは長いもので数カ月というものを集めまして、郵政事業に関する法規、経済、その他の教育並びに郵政職員としての心がまえ等についての再訓練をやっておる次第でございます。そのほかに、毎年高校を卒業いたします者を相当数採用いたしておりまして、これは現在のところ一年その研修所に収容いたしまして、直ちに現場に配属することなく、一年間研修所に収容いたしまして、ここで高校卒業生に対しまして新たに郵政職員としての必要な知識とか、心がまえとかいうことについて訓練をし、その途中におきまして現場へも見習いの実習をさせる。卒業しました者につきましては、これをそれぞれの性態に応じて配属すると、かような制度をやっておるのでございますが、さらに高級幹部の養成といたしまして、研修所とあせて東京に研究部というものを置きまして、毎年三十名から四十名の間、最も優秀な者を、一般に広く職員に志願者の競争試験をいたしまして、採用して、これに対しては二カ年間の高度の中堅幹部としての訓練を与えて、それぞれまた現場に帰すというふうなことが制度として、いわゆる研修所というものをもっておる現状でございます。  なお、このほか、私ども会計検査に参りますのには、会計検査というのは、雑草をむしりにいくものでなくて、極をまきにいく心がまえでいきたいものだ、毎年現業においての不当事項を摘発するのは雑草をむしるのではなくて、種をまきにいくのだということで、できるだけ現業の職員一人々々にこの事業の重要さというものと、その他一般の心がまえとを、一人でもいいから同志を獲得するようにやってもらいたいというととが、私どもはなはだ僭越な言葉でございますが、会計検査に当る者の心がまえとして指導しておる次第でございます。以上簡単でございますが。
  38. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは大臣にお伺いしたいのですが、私はこの問題は単に郵政省だけの問題ではないと思います。全官庁、全企業体の大きな問題であろうと思います。技術的な、事務的な方面の指導監督に重点がおかれて、ややもするというと人間としての指導、育成という点が欠けているのじゃないか。ここに全官庁を通じての官紀の遅緩であるとか、頽廃であるとかいう問題があって、これは私は政府としてもこの問題について根本的な考え方をなされるべきではないかということを感じておりますが、大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  39. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) お話の点はまさに今日の事態における最も大きな、根本的な問題と思います。私も郵政大臣として二十数万の人を指導していかなければならぬ立場におる者といたしまして、その点は一番頭にあるのでございますが、この点につきましては、私も相当の年輩であり、いろいろ人と接し、いろいろのことをやってきた人間でございますが、むろん若き人人に対して面接の機会があるときには、特に注意をする。まずみずから慎むという心がけを基礎として、多くの人々に臨んでいくことが最善であると考えております。
  40. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは会計検査院の方Yとこちらの監察関係の仕事をなさっておる方の両方の方にお伺いしたいと思うのですが、とかく監察であるとか検査であるとか申しますと、非違の摘発、処断に眼が奪われまして、そしてまじめにやっておる者、よくやっておる者、模範的な者の発見ということに目が届かないのじゃないか、向けられないのじゃないかということを私はおそれる。会計検査院としても、監察関係の仕事をなさっておる方としても、模範的な職員、模範的な従業員を各部署において発見することにお努め願う。同時にこういう不正不当の報告だけでなしに、優良な官公署、優良な職員、優良な事務官というものについても、非違の摘発と同じように扱うべきじゃないかと思う。信賞必罰ということを、言葉だけで言っておったのではだめなので、私はそういう考慮も払うべきであるということを絶えず考えておりますが、これは両方のお考えを承わりたいと思います。
  41. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) まことにありがたいお考え、お話であると考えております。当然のことでありまして、単に一言簡単に信賞必罰の言葉をもって足れりとすべきものではない。私も今申し上げた、みずから慎む、身をもって多くの人に臨むということを信条といたしておるということをお答えした。その中にはそれらのこともおのずから含んでいる。それができなければ、人間社会、どういうイデオロギーのもとにおいて政府が行われる国におきましても、その点がはやり最も、よきをよきとし、悪しきを悪しきとすることが、特に上に立つ政府の行政官庁においては、先んじて最も力を入れてやるべきものではないかと、かように存じております。
  42. 野本品吉

    ○野本品吉君 検査院の方とこちらの監察の仕事をなさっている方から両方一つあわせて。
  43. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大臣の御答弁に補足いたしますが、おっしゃる通り、信賞必罰の見地から、賞の方でございまするが、私の郵政省といたしまして、それぞれ現場の長にそのつどよい者があったらばこれを表彰するということを、現場局長の表彰制度、並びにこれに必要なる予算の裏づけということは、乏しい予算の中ではございますが、極力やっております。そのほかに年に一回郵政記念日というのがございまして、四月二十日でございますが、このときに各郵政局長がその管内において現場局長から表彰されたような者の中から選んで、郵政局としての、地方としての優秀な人を表彰する。また中央におきまして、大臣が各郵政局長の表彰した人間の中で、また特に優秀な者を全国的なものとして表彰するのだというふうな意味においての表彰制度は、決して十分ではございませんが、極力やっておる次第でございまして、そのほかにもちろん火事あるいは天災地変等におけるときの模範となるべき者についても表彰制度をやっておる次第でございます。なお、お言葉の通り、今後ともよき者はまさにますます伸びるように十分表彰していきたいと思っております。
  44. 大沢実

    説明員大沢実君) ただいまの御意見でございますが、会計検査院としましては、常に会計経理の適正を期し、その是正をはかることを目的としておりますので、その手段といたしまして、経理の適正なる者を表彰するという言葉はちょっとあれですが、それを推奨するということにはやぶさかでないのであります。ただ検査報告の記述事項は、検査院法にきめてありますように、そうしたことを記述することになっておりませんし、またそこへ書くほどしっかりしたものはないので、こうした公文書には公表しておりませんが、実地検査に参りまして、各部局の部局長以下を、最後に検査の終りましたあとで、講評というのをやっております。その場合に、その庁の経理が適正ならば、実施検査に参った者からその点をほめまして、なお、さらに将来一そうの努力を要望するということにいたします。それからまたいろいろな同じような経理を通覧しまして、たとえば病院経理がどうなっている。あるいは現金の出納状況がどうなっている、そういうのを通覧しまして、比較的にここではこういうことをやっていて、非常にうまくいっているらしい。だからこういうようにやったらいいじゃないかというようなことも、各庁にそれぞれ比較表をつけて申し上げた、そうして改善に資している。こういうような方向でやっておりまして、御意見の点は十分に尊重してやっておるつもりでございます。
  45. 野本品吉

    ○野本品吉君 お気持十分了解できたわけです。最後に希望でございますが、私はやはり検査官が来たとか、あるいは行政監察、あるいは部外監察の方が来たというときに、逃げるような、あるいはやかましいおやじが来たというような気持を持っているという状態においては、ほんとうにいい行政はできない。能率も上らない。だからぜひそういう面にも十分御注意下さいまして、今後とも一段とそういう角度からものを見、人を見、仕事を見るという気持を強めてもらいたいということを希望申し上げておきます。
  46. 石川清一

    ○石川清一君 ただいまいろいろと御答弁を聞いておりましたが、私のずっと前から聞いているところでは、この郵政省関係は一番政治性のない現場でありまして、かりに切手あるいははがきの売りさばきにしても、その場合に、その一日の終ったときに、現物の精算をした場合に、きちんと合う人がない。それが非常に珍しい。こういうように聞かされております。われわれが切手、はがき等を買った場合でも、一人の人が計算をして二回、三回することはありますが、そのまま渡して現金と引きかえになって、その現金もあまり計算ができないようであります。また貯金の受け払いにしても、そういう私が今申し上げたような形でやられている。あるいは二人の手に渡ることが非常に少いような形で記入をされ、あるいは払い出し、受け取りをしているようです。その間違いが起きた場合に、私の聞くのでは、特定郵便局等では個人の負担になりまして、給料で差し引かれている。給料で負担をする。そういうようなことがずっと前もありましたし、今もあるように私は聞いております。それが大きな銀行その他であれば、やはり金額が大きいだけに二人、三人の決済を経て、大ていは支店長、あるいは次長の判が押されているようです。ところが郵便局等ではそういうことが非常にないようになっております。従ってそういう間違いが、その現場の一番尖端におる職員の全責任にかかって、これが個人負担になる。そのことがやはりいろいろな犯罪といいますか、こういうようなことを長い年月の晴に自分で負担をし、カバーしておる、そういうものが積り積って、最終的には損害賠償をするというような形で、こういう犯罪が絶えないのではないか、こう思われますが、そういうことは今ありませんか。それともあるとしたら、どういうように処理をされておりますか。
  47. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) お答え申し上げます。現場におきまして、それぞれ非常に少い人手で数多くの現金関係を扱いますので、その毎日々々の日締めにおきましても、非常に苦心しているが、まま現金の合わないということが発生することは御指摘の通りだと思います。これにつきまして、それぞれの証拠書類の検査組織などがありまして、もしも当人が気づかずして、あるいは当人がかくしてやった場合には、犯罪となった場合は犯罪として検挙される、また犯罪の意思がない場合において、気づかずしてやった場合には、それぞれの検査機関をもって現場において調査する、それが犯意がない場合には、本人の過失となって本人の責任において弁償するということは、おっしゃいます通りの制度になっておるのであります。これにつきまして本当に現場職員の苦労はわかるのでありまして、そういうような多数のものを扱う場合に、犯意がなくて、犯罪を犯す意思がなくて犯罪を犯すということも、あやまちがあることも予想されるのでありまして、はなはだ金額としては大きくはございませんが、現金出納手当と申しまして、現金関係を扱う者に関しましては少額ながらそういうふうな手当類を出すというふうな制度はあるのでございます。しかし仕事に熱心なあまり、自分が気づかずして何か計算が合わないという場合に、私どもあるいは管理者が知らないうちに、当人が自発的にそれを埋めているというようなことも決して絶対にないとは私ども申し上げられないのでございます。結局問題は、そういう場合には現金出納手当というものの金額全国平均してそういうもので十分カバーしておるかどうかという点でございますが、これはなかなか数字でどのくらいの金を現金出納に当っておる人間にやったらいいかということが出ませんので、まあ在来の経験から一定の金額を支給しておるというような状況でございます。さような事実は決してないことはないのであって、発生しておる。また当人の過失によった場合は、やはりある程度まで弁償する責任はとってもらわなければならぬというような実情にあることは仰せの通りであります。
  48. 石川清一

    ○石川清一君 現在の郵便局のそれぞれの責任のある人等の経歴を見ても、一応は切手売りから貯金の扱い等を経て現在の地位、いわゆる現在の機構が構成されておると、私は現業の末端の機関はそういうように承知をしております。しかし今度の犯罪をずっと見ましても、やはりそういう相当の年歴を経ておる人が非常に多く犯罪を犯しておる。そういう点について、私が申し上げたように表に出ておらない、いわゆる個人が内輪で解決をしておるものが非常に多いのじゃないかと想像をされます。このことは私も協同組合長をしておりまして、貯金業務の相当の人数を扱っております。その場合のことと、郵便局等の現業を見ておりますと、当然相当の間違いが起きるのじゃないか。それに対してまあ温い、政治的と申したら変でありますけれども、もう少し間違いを寛容に見、再び繰り返さないように協同で何とかするという措置がとられないと、こういう犯罪は私は根本的に絶えないのじゃないか、こういうように考えておりますが、今までの制度の中で抜本的にこういうところに本当のガンがあるのだというお考えつきになったのはありませんか。
  49. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 実はその点に関しましてこの前の前でございましたか、山田委員長からかと思いますが、アメリカ等でやっておりまする現金出納関係の保険制度がある。その制度がありますると、当人といたしましても、いざ弁償になっても、犯罪でない場合に相当その保険者は救われるということはあり得ると思います。これはいろいろ私どももその点徹底的に研究したわけではございませんけれども、これは郵政省限りだけで、さような現金出納管理の保険事業というものが計算的に成り立つかどうかという点も、なかなか見きわめがつかないものでございますので、その点もまだ研究をするという程度の段階になっておりまして、ほかにこれぞといって御心配のようなことをほんとうに当人が苦しまないでということも、なかなか財政予算の方の関係もありますし、またいろいろ指導の方法等も考えなければならないのでありますが、これといったきめ手はない。現金出納手当というものがどの程度まで現状をカバーできるかという点を研究する程度にとどまっている次第であります。
  50. 石川清一

    ○石川清一君 私は郵便局郵政業務が消極的に窓口で処理されている段階はそれで私はいいと思う。しかしながらもう街頭に全部進出しているという、こういうような形であります。先ほどお話がありましたように、郵便貯金の加入獲得の増加にしても、簡易保険の新しい勧誘にしても、全部街頭に出ているようであります。従ってその間残っている、日常業務する人々の仕事の手薄になるのは私は当然だと思う。それが先ほどお話がありましたように、一千万円前後の一応一割ぐらいの手当というようなものでカバーされるものでない、それ以上のあやまちといいますか、間違いと損失が当然起きてくると私は考えられる。従って一つの政治の方向として、郵便零細貯金の獲得を国の一つの力として、いわゆるデフレの大きな政策の一環として行うような場合には、やはりその街頭に出る人々の留守を担当している、いわゆる総体を含めて増加拡張といいますか、そういう方向にいくときには、当然そういう措置が内部にもとられなければならない。いわゆる全部の体制がそういうようにいかないと、非常に何といいますか日常の業務の留守部隊に間違いが起るのではないか。私の今まで聞いているいろいろなものは、大かたそういうような手薄のときにやはり起きているように聞いております。その点は十分いわゆる犯罪予防の面からも、事務の確実、正確を期する面からもお考えあってしかるべきものだと考えます。
  51. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 大臣にお聞きしたいのですが、その前に保険局長に一言その前提として聞きたいのですが、最近こういう世の中になっても、生命保険というのは割合にいい状態の中の一つだと言われている。それはいわゆる医薬等の進歩によりまして、生命の残年数が延びている。平均にしても十年、こういったように一口に言われている。そこで簡易生命保険は生命の残年数がとにかくふえているという現状に照応して、どういうようないわゆる加入者等に対してのサービスと申しますか、あるいは還元というものが考えられているのか、この点一つ
  52. 白根玉喜

    政府委員(白根玉喜君) おっしゃるように現在の簡易保険加入者の死亡率は非常に低下いたしております。現在の保険料の算定基礎になっておりますのは、御承知のように簡易保険経験表でございます。これは戦前の経験表でございます。それを予定死亡率と申しますが、その予定死亡率に対しまして実際の死亡率は約四〇%程度でございます。従いまして死差益というのは相当出ているわけでございます。そこでそれぞれの死差益保険の性質から見まして、まず保険料の低下の財源に充てる、しかもそれでなお余力があれば利益配当の財源に回す、こうあるべきものだと、かように存じているわけでございます。そこでその死亡率の面につきましては、終戦後おっしゃるように十年以上延命になっております。死亡率の安定の度合いも考えなければならない。また公式にその死亡率を認定する公式なものがなければならない。もうここら辺になりますと、死亡率も相当程度安定いたしましたし、そこで今回簡易保険保険料の引き下げの法案を国会に御提出申し上げまして、衆参両院で可決していただきまして、ただいまその実施の準備段階でございます。その基礎になる死亡率は、最近の公式の死亡率でございまして、これは厚生省で調べました第九回生命表でございます。第九回生命表は、御承知のように昭和二十五年十月から二十七年九月までの二カ年間の国民死亡と、昭和二十五年十月に行われました国勢調査の結果をもちまして、厚生省で策定されたのでございます。公式の死亡生残表はごく最近のはこれでございます。そこでこの国民死亡率が簡易保険の加入者にふさわしいかどうかということをよく昨年ごろから研究いたしました。ところが結核の関係で、簡易保険の逆選択その他の関係で、結核死亡率が多いと、これはちょっと国民死亡率によりがたいのでありましたが、御承知のように、結核死亡率が非常に低下いたしまして、実際の死亡率とにらみ合せて見ましても、この第九回生命表によっても簡易保険の実際経験死亡率に合っておりますので、それを基礎におきまして、保険料引き下げの法案を提出いたしまして、御可決を得た次第でございます。
  53. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 その点けっこうだと思うのです。私巷間で聞くと、だんだん近ごろせちがらくなって、狡猾のやつがだいぶできて、そうして、難い簡易生命保険の方は、いわゆるからだを見ないで入れてくれる。それから保険勧誘員の方に対するいわゆる奨励金の関係もありまして、一人の人で限度ぎりぎりを何枚もやれるということで勧誘している向きがあるやに聞くのです。そうなりますと、私どもこういった社会保障といっては大げさかもしれないけれども、いわゆるこの限度のようやくかける人たちの犠牲において、そういった狡猾なものが、特に都市方面においているということが、狡猾のやつがうまいことをやるというようなことが考えられるのであって、私はこの点は何とかしてある程度防げるような形、何もからだを一々調べろというわけじゃないけれども、防げるような形をいたしませんと、それだけの思いやりをせっかくやりかけても、まだまだ足らないサービスあるいは足らないところの改善であって、他の一般相互保険等におきますところの、ともかくああいった目に見えた医師の増というものに対して、何か立ち合い負けをするような感じもするのです。その点についてどういうふうに思うかということを私はお聞きしたいのです。
  54. 白根玉喜

    政府委員(白根玉喜君) お話は簡易保険の超過奨約の問題であろうと存じます。なるほど二十四年以後そういうケースをある程度聞き及んで参ったのでございます。やはりこういうケースがあってはならないということで、三年くらい前から相当それを取り締って参っておるのでございますが、最近、昨年からは郵便局には保険契約徴収原簿がございます。そこで郵便局でまず超過契約を洗いまして、そういう超過契約があるものはそれに応じない。従いまして、加入者にいかに御希望があっても、その御希望のある面は、簡易保険の最高制限額がもしふさわしくないような状況であれば、国会の御審議をお願いいたしまして、最高制限額を上げていただくようにお願いする。しかし一たびきまった法律上の最高制限額を脱法するということは厳に取り締りたいということで、まず郵便局で洗いまして、それでそういう超過契約の出たものにつきましては、加入者がいかに御希望なさいましてもお断わりする。にもかかわらず、そこまでいかないで、多少御趣旨は今先生がおっしゃられたような不当なものもありますので、第一次のその監査だけではだめだ、従いまして、原簿官庁は御承知のように全国に七カ所、地方簡易保険局というのがございます。そこで証書をお渡しすると契約が成立するわけであります。従いまして何しろ四千万件もあるようなわけでございますが、できる限り手を尽しまして、見つかったものにつきましては証書をお渡しいたさないで、契約の成立を防いでいただくと同時に、そういう常習犯的なものは、これは場合によりましてはやはり外勤者から内勤者に回すと同時に、内応性あたりの関係で、不注意でそういうものがある程度あった場合におきましては、それらの一件でも出たら、簡易保険成績が非常によくても、これははずすということで、ただいまのところではできる限りの防止策を講じている次第でございます。
  55. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それはそれくらいにして、先ほど経理局長の御説明の中に、この収入及び支出については、その収入及び支出についての調査決定をした日の属する年度ということについて決定したと、これはいろいろの方で関係しているようですが、これは決定したとあるが、どういうふうに決定なさったのですか。
  56. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 御承知のように郵政事業特別会計法とその政令によりまして、調査決定した日をもって、調定した日が支出及び歳入になるということになっているのでありますが、検査院からも御指摘がありました通り、いろいろとそのつど局所によりまして、同じ種目も翌月払いするものもあれば、当月払いするものもあるということもありましたので、本年二月十五日付をもちまして大臣決済をいただきまして、収入及び支出のそれぞれの項目について、毎月調定すべきもの、あるいは翌月十日までに調足すべきもの、当日調定すべきもの、あるいは二十五日、それぞれ金の性質によりまして、毎月入るものもありますれば、年に数回入るものもある。あるいは支払い法につきましても、年度末に支払うものもあれば毎月支払うものもあり、そのつど支払うものもあるわけであります。それらのものを全国的にそれぞれの収入支出の項目別に調定すべき月日を一斉にそろえた通牒を出したのでありまして、後刻お手元に差し上げまするが、相当いろいろ項目がたくさんございまして、その項目別に当月のもの或いは当日のものと、それぞれ分れている次第であります。これらによりまして全国的に統一した次第であります。
  57. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうすると、かなり大きい問題として考えられる、昨年の年末闘争の尾を引いたとも考えられる特殊勤務手当、この特殊勤務手当はどういうふうな決定なんですか。
  58. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) この六千五百万円のことについて申し上げます。六千五百万円のうち、その内務者手当にいくものが五千五百万円、そろばん手当にいくものが千万円と考えまして、それぞれそれが明年度四月以降に支払われるものが合計六千五百万円でございます。これが御承知のように公労法適用職員の年末手当一般公務員より〇・二五カ月分だけ予算上少く積算されているのでございます。これはこの年ばかりでなく、本年度もさようでありますが、それでいよいよ年末になりましたときに、一般公務員が一・二五——一カ月と〇・二五分だけ年末手当がもらえるのに、予算上は現業職員は一月分しかもらえないという予算の積算になっているわけであります。これはひとり郵政省だけではありませんで、各現業官庁共通でございます。この際、二十九年度におきましても、公務員並みにぜひとも、最低限度公務員並みに支給せよという、広範な全国的な年末闘争が起ったのでありまして、これに基きまして、国会におきまして公務員と同じ率の支給をする上に、現業官庁は現業官庁の特殊性に応じて、動労の度合に応じて、さらに手当のプラス・アルファについて考慮すべしというような御決議をいただきました。二十七年十二月でございますが、結局弾力条項等によりまして補填した、約十三億足らずの金を予算積算以上にその際差し繰って出したのであります。その差し繰りましました内容は、予算総則にきまっておりますところの八条と十条の弾力条項及び業績手当、すなわち予算以上に収入のあった場合、それに伴って必要な経費支出してよろしい、ただし、それは大蔵大臣の承認を必要とするという予算総則がございまして、それに応じて、当時郵便その他の収入予算以上にありましたのと、それの弾力条項と業績手当の発動によりまして、合計十三億足らずの金を今申しました〇・二五分プラス・アルファに回したのでございまして、その弾力条項及び業績手当というもののほかに、成立予算の中で節約できたもの、または他の方で支出残のあったものは同じく原資としてまとめて出したわけであります。その中にただいまの六千五百万円というものを総額十三億中にやはり差し繰り原資として入れた、かような次第であります。
  59. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それは、まあその当時の御説明をお聞きしているようなものですが、一体この特殊勤務手当というのは、元来外勤者に渡していた。ところがやはり内務をやっている人たちとの不均衡の問題があって、その一部を、元来なら役所の人たちがとやかく口を出さなくてもしかるべき性格のもの、言葉をかえていえば、外勤者が当然取るべき権利のものを、それを二割とか何とか一部を割いて渡したという、この問題は、今お活の十三億の中だというが、会計検査院の見方から言えば、これはいわゆる予算総則の八条、あそこのところから元来その支払った年度というものへ入れるとすれば、それをとび出しちゃうという見方もできるのだという指摘もあるわけですね。ところが、あなたの方の、郵政事業特別会計法の第五条では、いわゆる予算決算及び会計令というものの考え方と違って、支払いの事実にかかわらず、財産の増減及び異動の事実に基いて行う、とあり、そしてさらに、その施行令のところで、「調査決定をした日の属する」ということになっている。だからして、会計検査院が御指摘するようなことには必らずしも当らない。自分の従うべきところの特別会計法でいえば当らないというお話があったのですね。ところで、それにしても、同じような費目のものが、あるいは年度内に、あるいは年度をこえて整理されているというようなことから、その点については一定をした、その一定の仕方というものは、一般の会計令のように、その発生した——支払いなら支払いの発生したその日の属する会計年度というような行き方でなくて、費目ごとに実情に合せるように設定した、こういうお話になっている。私のお聞きしたいのは、今のこの労働組合ですか、従業員組合との協定で、毎四半期分を取りまとめて、そうして次の最近の俸給日に支払うということになっておるこの特殊勤務手当というのは、どういうふうにおきめになったかということを伺ったのです。
  60. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 大へんお尋ねの趣旨を間違えて恐縮でございました。これは結局この協定通り翌期分のときに調定するということに決定しております。すなわち、第一・四半期なら第一・四半期が終ったならば、翌朝の最初の支給日のときに調定する、こういうことに決定いたしました。これは今申し上げました各項目は日常的なものでございます。日常的なものと言いますか、特殊なものでございまして、いわゆる給与準則にあたる協定と私どもは解釈いたしております。大臣の定めた給与準則で調定の日はその一期分が過ぎた翌月において調定するものとはっきり全国的にもちろんきまったということでございます。
  61. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今経理局長との間にいろいろと私も質問したのですが、会計検査院の立場からみて、この公企労法による企業体の会計関係の省令等もお考に入れながら、一体今のきめというものに対して会計検査院はどういうふうにお考えになられますか。
  62. 大沢実

    説明員大沢実君) この二十八年度検査報吉に指摘しました事項は、ただいま経理局長からも御説明がありましたように、二十九年度においても依然として一月分以降を翌年度、つまり三十年度に出すことにきめておらるるようでありますが、会計検査院といたしましては、今の内務者手当中、貯蓄奨励内務手当というのでありますが、これは、その募集額に応じまして金額を算定して出す、また有技者手当、そろばん手当、日額であったと思いますが、きまって出す、そうすれば、たとえば一月分のこうした手当というものは、当然一月分として整理すべきであって、それを労働協約があっても翌年度に繰り延べるということは妥当ではないじゃないかと考えられる次第でございます。給与準則の問題でありますが、給与準則は、もちろん組合との間の協定でできるのでありますが、これは、法律に明定されておりますように、当該年度予算の範囲内でなければならぬということになっておりまして、いわば、本件のような場合は、予算の総額をこえてやるので、やはりやり方としては妥当でないと会計検査院では考えておる次第であります。
  63. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私ども何も会計検査院の方にひいきをしようとは思わない。ことに、公企労法によってやるところの企業会計は、そういう企業会計の中の特殊な事情に基いてやはり能率の上るようにやられるのがこれはまあ当然なんだけれども、大ワクの縛り方というものの中には縛られなければならないと思うのですが、そういうふうな点からみますと、私も今会計検査院大沢局長の言われた方が正しいのではないか、ただ、これをやっていこうとすると、ある年にはこの部分が二重に計算されなければならぬという問題ができるのですね。それはおそらく経理局長等も非常に頭痛の種であるし、かたがた労働協約ができてるんだから、まあまあというようなことでやっちゃったんじゃないかと思う。私はその他いろいろと問題も起りやすいこういった種類の会計は、やっぱり一時はずいぶん頭を下げる、今の機構からいえば、大蔵省方面にずいぶん無理な頭を下げなければならぬときもあるだろうと思う。一通り下げたんじゃ、なかなかうんと言ってくれないと思うけれども、私はなるべく早い機会に従業員組合の諸君にも理解を求めて、この会計のあり方をやっぱりそのワクの中にはめていくというふうに改憲をされるべきじゃなかろうか、大蔵省の方がおられれば、これについての意見も聞きたいと思うのですが、どうですか、私の考え方は今の実情に合いませんか。
  64. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) まことに御理解のあるお言葉でございまして、私どもといたしましても、決して給与総額を逸脱してまでも従業員組合協約を結んで支給していこうというふうな考は毛頭ないわけでございます。やはり組合といたしましても、また私ども管理者側といたしましても、この給与総額ということが結局大きな土俵でございまして、この土俵を無視しての相撲ということは、これはちょっと論外になることでございます。従ってもしも公労法によりまして予算上、資金上可能なる限度という、それ以上出たらば政府は拘束されないということになっておりますので、私どもといたしましても、予算上、資金上不可能な場合におきましては協定を結びませんし、結んでもまたこれは無効というようなことになると思う。ただこの場合に、会計検査のお考えと私どもと違っておりますのは、はなはだちょっと理屈めいて恐縮でございまするけれども郵政事業特別会計法によって、支出というものは調定した日をもって支出とするのだということが法律、政令をもってきまっておりますので、また今度はこの協定によって調定日は期を超えた翌月において調定するのだときまっておりますので、調定以前のものはやはり支出にならないといたしますれば、結局給与総額の範囲内にこれを支出しないでおいて、それが他の方の給与に回ってきても、その翌月の調定があるまでは支出になっていないのだから、やはり給与総額は割っていないのだと、こういうふうな考え方を私どもは持っておるわけであります。これが会計検査院の先ほど大沢局長のお話になりました半年も一年も場合によったらそういうことをしたらどうなるかという御心配、これも私どももごもっともと思う次第であります。またそういうことで法律上可能だからと言ってたびたび故なくしてやるということがあったら、これまた大問題でございます。決して私ども給与総額の土俵を割る意思はございません。これが今までの給与体系改善上唯一の過渡期に起った、この項目については過渡期に起ったことであります。この結果、毎年毎年押せ押せで次々と順繰りに参って行くのでございますから、その際六千五百万円が不要になったのだから、それはそのままでもって残しておけばよかったろう、こうたとえばおっしゃったといたしましても、私どもとすればこの項目としては六千五百万円余ったけれども、給与関係を組合側と交渉する場合においては、給与総額においてはこの項目は翌月回しになったのだから、六千五百万円余っているけれども、資金としては可能である、また現実に調定しなければ支出できないので、支出したものがいわゆる給与総額の範囲内に当てはまっていればよろしいのではないか。従って私ども給与総額は三十八年度において五百万円むしろ余しているのだから、給与総額を割っていないのだ、こう解釈している次第であります。この点はどうも……。
  65. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 確かに私はこういったあなたの方の会計令になっていることを初めて承知したのですが、まことに便利な、ある意味では非常に便利で、極端にいえば、融通無碍な扱いもときにはできるといった形である。私はずいぶんあなたの力もいわゆる出先の特定局等に至るまで非常な数が多くある。出先のことですから、なかなか三月三十一日できちっとということには困難な実情だということはわかるのですが、私の知っている同じようないわゆる公企労法による五現業の一つの林野などは、やっぱりずいぶんこいつは山の奥で仕事をしておって、ずいぶんと不便を忍んで、やっぱりどうも今の予算決算会計令で、いわゆる発生主義といいますかで縛られてやっているのです。こういうふうにあなたの方のように仕事の支出の種類によって、言葉をかえれば、集計するのになかなか困難なものは翌年、比較的早いものは無理しても年度内ということで、おそらく良心的に検討された結果、種類で分類したのだと思うのですけれども、そういうことは非常に現業に合うとはというけれども、それはやはりそういう問題があるということは使用者といいますか、管理者である本庁方面の人はもう非常な見識もあり、非常な堪能の士でもあられるから、間違いはないと思うのですけれども、数多くの出先きの機関の方までだんだん参りますと、こういった年度区分が、まあはっきりしてない部分をもっているような制度では、何かしっかりした会計に対する一つ年度の線というものがぼやかされているというような感じからいたしまして、執務態勢というようなものにまで、そのぼやかし方というものはだんだんしみ込んでいって、それでなくたって現場というものはどっちかといえば便宜主義でやりたい、その方が能率が上るんだから。そこへもっていって、こういったぼやかし方の線を引いてることによって、利害という問題ですね、私は害ばかりのことは言わない。利害ということから見て、どうもこの制度が疑問で、少し画一過ぎるかもしれないが、あなたの方は非常に便利にできちゃっているこの特別会計法の第五条のところを、むしろ一時しばって行くという方が、この際いいといったような感じすらするのです。これはまああまり研究もしないで、自分の感想などを交えた質問をするのは、大へん恐縮なんですが、そうも思う。もししかし皆さんの御指導によって、実際に本当に合って、しかもその年度の区分が多少ぼやけるというようなことによって間違いが、そんなことは起きないんだということになるのであれば、同様現業の官庁はこれにならった方がいいと言えるんですね。そこで、一つ大沢局長さんにこの問題についてどういうふうにお考えになるか、先ほどお尋ねしました際は、どうもふに落ちないので、やはり三月三十一日でぴたりとやりたい方の側のように拝察されたのですけれど、どういうもんでしょうか。前回済んだ、たとえば実例をいえば、林野のああいったように山に手数百、少くとも二千人に近いようなたしか事業場をかかえている、そうして仕事をやっている、しかもそれは交通不便の地である、こういうのにはぴたりと、こう三月三十一日というやつでもってやらせ、それから比較的、これはずいぶん数多くこの会計もありまするけれども、比較的まあどっちかといえば交通の開けているところにおいて、お手のものの通信の機械も持ち、こういうようなところにきわめて融通無碍と言っちゃ怒るかもしれないけれど、実情に合った現業に合ったことで法令がはっきり出されていることを一体どういうふうにお考えになりますか。私はこれは今後の研究に待つことではあるけれども一つお考えをお聞きしたい。
  66. 大沢実

    説明員大沢実君) この郵政事業特別会計法施行令には、ほかの特別会計にないことで、今の調査決定した日で年度区分するという規定があるのでありますが、おそらくこれを初めて作ったときの趣旨は、調査決定する日も、もう客観的にあるときがきまっているということが前提でおそらく作られたのじゃないかと思うのであります。ところが実際においてこれを運用されて行く上において、まあその政令の文句通り調査決定した日でやっているそうすると、今の便宜主義といいますか、今年予算が足りなければ、来年度調査決定することもできる、あるいは今年が非常に景気がよければ、従来来年度で決定しておったやつを年度内に決定して、その年度内の決算に計上できるということは、どうしてもこれは期間損益の明確なる区分ではまずいので、やはりこれは調査決定した日の属する年度という制限をきめた。このこと自体は今変えるということは別として、この趣旨にのっとりますれば、やはりこの調査決定する日というのが客観的にきまってなければならぬ、こういうように考える次第であります。
  67. 八藤東禧

    政府委員(八藤東禧君) 先ほどの先生のお話とただいまの大沢局長の話は、まことに私ども同感だと思っております。ことに一万数千の現業局を全国に持っております中央においてあいまいがありますと、いわゆる便宜主義になる、便宜主義が全体を混乱させる、あるいは間違いを起すということになりますので、この点は厳に戒めなければならぬと思いますので、たびたびの御指摘によりまして、先ほど御報告申し上げましたように、各項目について全国一斉に同じ調定期日においてするということを明確に通達をもって出しましたので、今後現場において、現場の長の裁量によってこれを所属する年度をかえる、あるいは支払期日をかえるというようなことはできないようにいたした次第でございます。この給与総額の問題は、これも結局現場においてもしもこういうことが許されると、結局現場の長も困りますし、組合もまた困る。ただしこれは給与準則と申しますか、一定の法典としてはできておりませんが、大臣決裁によって給与はこうするぞといってきまって全国に流されたのでありまして、大臣決裁によってこの項目は毎期翌月払いときまったということになるのでございまして、この点もあらゆる給与についてもその現場の長の都合によって変更できないので、大臣の定めた給与準則によって支払うということにこの制度もなっておるわけでありまして、この改正によりましていわゆるそのつど都合主義による部面はなくなった、消滅したというふうに考える次第であります。
  68. 山田節男

    委員長山田節男君) 先ほど来、西田労働大臣が病気で、実はお待ちになっておりますが、順序として郵政省の所管が終ってから労働省の……、大体御質問も尽きたとみてよろしうございますか。  最後に委員長から一つ大臣にお尋ねいたします。  過日大蔵省から本委員会に提出されました二十八年度の国有財産の増減及びその計算書の報告書が当委員会で審議されております。そのときに、大蔵省が国有の有価証券として持っておる中で、国際電信電話株式会社の株二百八十万ばかり金額において十四億円、この国有の有価証券に関しては、これを日本電信電話公社に移管するということについて郵政省の了解を得ている、こういう答弁があったのです。この次第について郵政大臣は大蔵省当局からこういう協議を求められ、それに対して了解を与えておられるのかどうか。まずこの機会に、詳しく御存じであるかどうか、この点をお伺いします。
  69. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) その点につきましては伺っております。それは国際電々株式会社の株が、現在一般に出ておらない株が現在大蔵省に保有されておるわけであります。約三分の一ぐらいと承知いたしておりますが、これを早く法律によって売りさばいて、そして電々公社としてはこれを必要なる建設資金の方へ回していかなければならぬのでございますが、証券市場と申しますか、一般の経済界の状態においてこの株は売れないで、現在大蔵省の手元にあるというわけであります。これを早くこの法の規定するところに基いて一般に売りさばいていくことができれば、それが最もよろしいと思うわけでございまするが、現在それは売れないで大蔵省が保有しておる。これをこういう状態では、むしろ章々公社をして安定株主として保有せしめる方がかえってよろしいのではないかというような意見が、これは郵政省から出たものではございませんけれども、逓信委員会においてそうした意見がもり上って、議員立法によってそうした処置をとっていこうとしていることを承知いたしているわけであります。そこで私の方といたしましては、大蔵省に対しいこういう働きのあることをお知らせして相次をいたして、大蔵省の意見を問うた次第でありまするが、大蔵省としては、これを章々公社に持たしめるということに、別に大した異論がないようであります。そこで郵政省といたしましても、これを章々公社に持たしめることがよいことであると、強い理由をもっていたしまするならば、これは郵政省としてみずからそうした法律を提出して御協賛をお願いしたいのでございますが、そうした主導的に出たものではないのでございます。まだこの法律は実際には処理されておりませんけれども、そういう状態になっていることを承知していることだけを申し上げておきます。
  70. 山田節男

    委員長山田節男君) これは、その際、私からも大蔵省当局に質問いたしましたが、これは御承知のように、国際電信電話株式会社法が制定する過程におきまして、いろいろこれは審議されまして、公社は国際電々株式会社の株を持つことができないことになっていました。ところが今回そういったような大蔵当局の処置によって自由党内閣のたしか佐藤榮作君が電通大臣をしておったとき、私もその立法当時審議に参加いたしました。私ども委員の中には、国際電信電話株式会社も当然公社にすべきた、こういう議論もあったわけです。しかるところ多数決をもちまして、これは純然たる民間会社にすべしということになった。これが吉田内閣の下における根本方針であったわけです。ところが今回そういったような、根本的な、純粋に民間経営にするということに対して、法で許してない公社が株を持つということは、これはもし鳩山内閣が、これが賛成をするということになれば、この章々公社法並びに国際電信電話株式会社法というものに対して根本的な政策が変ることになってくるわけです。しかるに郵政大臣が、この問題に関して政府提案としての改正法案を出さない、議員立法で出すということは、これはその所管の最高責任者である郵政大臣としてどうも解しかねるのです。で、通日、私、大蔵省の窪谷管財局長にここで質問いたしましたところ、かような処置原則として反対であります、しかし今大臣のおっしゃったように、株の処理というものについて何しろ二百八十万余株、金額にして十四億円のものであります、額面を割ってでなければ、これは処分できないというので、そういうような処置またやむなし、この処置は決して正常の処置じゃない、しかし郵政当局にもこれを了解をいただく、こういう御発言をしているわけであります。今、大臣の御答弁を伺うと、どうもそこが非常に消極的に、郵政省としては消極的のように考えざるを得ない。で、あなたは鳩山内閣の郵政大臣として、この法の根本精神を、根本趣旨を変革をきたすということになる。ことにこれは今回国会法が改正されまして予算の裏づけのない、そういう国有財産十四億円に関するものが移管をするというような処置が、しからば議員立法でできるかどうかということです。これは今回の国会法の改正によりまして、非常な疑問があるわけです。この点はいまだに私具体的にこれを伺いませんが、過日大蔵省当局に対して国有財産の移管の問題につきまして、この項について質問したが、どうもこの点についてはっきりしないままに一応議決いたしましたけれども、郵政大臣におかれまして、なぜ議員立法でやるということに対して、議員立法にまかせて、郵政省しかるべき措置をして政府提案として出さなかったか、実はこういう疑問が起るわけです。この点に関して郵政大臣の態度と申しますか、御所信を伺っておきたいのであります。
  71. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) その点につきましても、郵政当局として相談をいたしたのであります。それからまた私も国際電々株式会社の当局にも意見を叩いたわけであります。そうすると、国際電々株式会社の方としてもそういうことになっても、私の方としては別にかれこれ言うベき筋がありません、事柄ではない。これは当然しかるべくさようなことであろうと私も了承いたしたのでありますが、そこで一方章々公社の実情といたしまして、御承知のように、この国際電々株式会社の方のその出資は章々公社の方の現物出資によってできておって、その株式の幾分かが、今日三分の一程度が売れないで残っていると、こういう状況である。さらにまた一面国際電々株式会社の建設資金をこれを自己資金にのみよってはこの通信事業がなかなか進展しない。どうしても外部資金を仰いでやらなければならぬ実情にあるのでありますが、これはなかなか事思うようにまかせない。そこで現在大蔵省の保有するところの株券を公社の方が株主としてそれを保有するならば、国際電々株式会社の方の当局の意見でもあるいは株式が上るかもしれという意向である。もしそういうことになれば、現在は額面を割っているわけでありますが、これがそういうことになれば、最初予定された株式が全部一般の手に売れていくということでありますならば、それによって法律の指定する通りの結果が生まれてくるわけでありますから、私もそれならばけっこうなことではないか、かような考えを持っている。それならば、委員長のおっしゃるように、なぜ郵政省がみずから政府提案としてこれを提案しないのかということは、まことにごもっともでありって、初めからそういう実情を私も検討できておりますれば、そういうことにいたしたわけでありまするけれども、そのときにはすでにもうそういう議員立法の方が進んでおりまして、今日でもまたさらに出せんこともないでありましょうけれども、議員立法を出すという手配の方がまずさきに立ってしまったという実情でございます。
  72. 山田節男

    委員長山田節男君) そこが今私の説明していただきたいと思ったところなんです。今大臣がおっしゃるようなことになれば、結局、当時立法したことが、今度鳩山内閣において根本的に方針が変ってくる、法律改正をしたことになる。これはあなたが議員立法を御承認なさるということは、これは吉田内閣のやった立法を改正することになる、そういうことに違いない。それならば、あなたは鳩山内閣の郵政大臣としてそういう根本的なことに関して、あなたもこれは認めた方がいいと、かような御所信ならば、国会法の建前から申しましても、これは政府提案として出すのが当然なんです。そのことは今大臣のおっしゃったことは、吉田内閣当時、佐藤榮作君が電通大臣のとき提案し、これを多数で押し切ったわけです。今の議員立法を御承認なさることはやむを得ないというのではなくて、やはりそれが法律になれば、事実として生きて来るわけです。政府のいわゆる鳩山内閣の、電々公社法並びに国際電信電話株式会社法に対して、そういう態度は政策が変ってきたのだ、こういう結果になると思う。これについては松田郵政大臣は賛成であるのみならず、それも鳩山内閣の方針として何ら異議をはさまない、こういう御趣旨かどうかということをお伺いしたい。
  73. 松田竹千代

    ○国務大臣松田竹千代君) これはむろん民主党の政調会にも党の代議士を通じて一応はかってもらったわけでありますが、しかしおっしゃるように、これは党の方針からそういうことに出たものであるというわけではないのでありまして、先ほど申し上げましたように、むしろこれは自由党の議員の方からこの問題が発展して参ったわけであります。
  74. 山田節男

    委員長山田節男君) もう一度私申し上げますが、大体経過を今大臣から伺ってわかりましたが、この問題は私たち立法府の建前として第二院としての参議院の建前からいえば、相当これは慎重に研究しなければなりません。ことに今お伺いすると、鳩山内閣の閣僚である郵政大臣がこれに対してイニシアチブをとられたのではなくて、自由党の各委員がイニシアチブをとった、これを大臣すらも認めた方がよかろうというような、こういう立法の経過、これはたとえ衆議院であるといえども、第二院の立場から見れば、まことに筋の立たないような感じを受けるわけです。大臣がこれをお認めになった方がよい、こういうお考えならば、むしろ議員立法というような、そういう国会法において疑わしいような、疑問のある措置をさせないで、政府がみずから提案すべきものと私はかように考える。従ってこの問題が今後衆議院からさらに参議院に回って来ることと予期しまして、松田郵政大臣はこの問題に対してはっきりした態度を示されないと、立法府の信を国民より失う。政府対国会というものの立法に関して一つの混乱を来たすということは、憂いを後世に残すことになる。これは希望になりますけれども、この問題につきましては、一つ松田郵政大臣は、行政府の最高責任者である松田郵政大臣として、この問題に対しまして、一つはっきりした態度をお示しになることを私は強くお願い申し上げまして、一応この問題につきましては質疑を終ります。  速記を止めて。   〔速記中止〕
  75. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。  二十八年度決算郵政省所管の部検査報告批難事項、第千九百九十七号から第二千十五号までの質疑は、一応終了したものとすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めまして、本件に関しましてはさように決定いたします。郵政省所管の二十八年度決算の審議はこれをもって一応終了いたすことといたします。     —————————————
  77. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に、労働省所管の部を審議いたします。検査批難事項は第二千十六号から第三千二十九号までであります。  まず西田労働大臣の御説明を求めます。
  78. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) 昭和二十八年度労働省所管決算に関しまして批難されました事項は、失業対策事業補助金の経理に当りその精算が適正を欠いている点についてでありますが、これはいずれも会計検査院の御指摘の通りでありまして、まことに遺憾に存ずる次第でございます。補助金等の効果的使用と精算の適正なる処理につきましては、鋭意努力いたして参ったのでございますが、今後ともなお一そうの指導監督に努め、このような御指摘を受けることのないように十分注意いたします。  また労働者災害補償保険特別会計及び失業保険特別会計財政の健全化等につきましては、御要望の趣旨にかんがみまして、適切な対策を講ずるよう善処いたす所存でございます。  批難事項の善後処置につきましては政府委員から詳細に説明をいたします。
  79. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に会計検査院側から批難事項に対しましての概略の御説明を求めます。
  80. 上村照昌

    説明員(上村照昌君) 二十八年度の労働省関係の事案は十四件でございまして、失業対策事業の補助金の精算に関するものが三件でございまして、これらはいずれも実際事業に使わない資材あるいは労力費を含めて精算をしておったり、あるいは実際は事業が行われていないのに事業を実施したというふうに精算が行われておったものでございます。失業対策事業でここに掲げてございますのは、精算関係は三十六年度と二十七年度でございまして、二十七年度の失業対策事業の御所数から申しますと八百十四カ所くらいございまして、検査院として見ましたのはそのうち百二十五カ所、で、そのうち不当と認めましたものがこの三件、こういうふうなことになっております。  次は労災保険保険料の徴収の不足になっておりますものが三件、失業保険について同様の事態が八件を掲記してございます。これも大体例年同じような調べ方をいたしまして、徴収不足の発見せられたものでございまして、特に御説明申し上げることもないと思います。
  81. 山田節男

    委員長山田節男君) 大臣は病気を押して御出席になっておりますが、政府、委員の補足的な御説明があると思いますが、一応大臣に対する御質疑をお願いいたしたいと思います。
  82. 江下孝

    政府委員(江下孝君) ちょっと補足説明いたします。  指摘番号の二千十六番でございますが、岩手県に発生いたしました事件でございます。このことは昭和二十六年度に岩手県の県営事業といたしまして、盛岡市内で道路整備事業を実施いたしたのでございますが、これに、この事業に要します資材費を国庫から補助を受けたのでございます。ところが現実には当該年度のその事業にはその資材費のうちセメント代として購入いたしました分は要らなかったのでございます。ところが現実にはセメントを購入いたしまして、翌印度のその継続事業で初めてそのセメントを使ったということでございます。これは明らかに不当な支出でございますので、これについての返還を命ずるべきでございます。  次の二千十七番、福島県の事例でございますが、これは昭和二十七年度県の直営事業といたしまして実施いたしたのでございますが、不当の点が三つございます。補助を受けましたものにつきまして、まず労力費の額の計算が間違っておった、あやまって労力費をよけいに集計しておったというのと、ダブって、事務費と労力費にダブってこの経費を計上しておったということでございまして、その不当な部分があるのでございます。  いま一つは同じ事業で資材費の不当な使用があるのでございます。それは二十七年度の第一、第二・四半期事業といたしまして実施いたしました際、公共事業と並行して失対事業による街路整備事業を実施しましたが、必要に迫られまして、特に公共事業へ失対事業で買った資材を回したと、こういうことでございます。この二つの点で不当な支出があったのでございます。  二千十八番の静岡県の吉原市の問題でございます。吉原市は昭和二十七年度に失業対策事業といたしまして、公共風致の整備事業と、水道整備事業を計画いたしたのでございましたが、後者につきましては実際上用地買収等の理由で実施ができなかったにもかかわりませず、国に対しましては補助金を申請してもらい、あたかも水道整備事業を実施したごとく措置した、その金は一方の公共風致整備事業の方に使ったと、こういうことでございます。  この三件につきましてはこの不当支出金額につきまして返還の手続をとりまして、二千十六と二千十八の、この二つの分につきましてはすでに返納済みでございまして、福島県につきましても近く返納の予定でございます。  それから少し飛びまして、失業保険保険料徴収の不足の問題でございますが、二千二十二番から二千二十九まででございます。これにつきましては、ここに掲げております八個の件のうち、福岡県と佐賀県の、あとで申します金額を除きまして、全部徴収済みになっております。で、福岡県ではなお四十三万五千二百四十三円、佐賀県では四十九万六百十五円、これだけの金額がまだ収納未済になっております。  福岡県につきましては、事業所は二つでございまして、ともに炭鉱でございますが、約束手形を取りましたのでございますが、これが不渡りになりまして、目下差し押え物件を公売するという段取りになっております。この暁には収納ができると考えております。  佐賀県の事件は、これも二つとも炭鉱でございます。で、非常に中小炭鉱が不振でございまして、この分につきましては、差し押え物件を二度公売いたしましたが、振れませんで、現在までまだ収納できないでおる事態でございますが、私どもといたしましては、計画を立てまして、分割納入ということで、現在収納を督促しておるという実情でございます。
  83. 山田節男

    委員長山田節男君) 御質疑ございませんか。
  84. 松永正男

    説明員(松永正男君) 次に労働者災害補償保険特別会計関係につき片して御説明申し上げます。批難事項としてこの報告に載っておりますのは二千十九番と二千二十番と二千二十一番と三件でございます。  これはいずれも保険料等の徴収不足でございますが、このうち二千十九番と一千二十番の北海道、神奈川関係につきましては、すでに全額納付済みでございます。未完納の分は福岡県の分でございますが、これはこの炭鉱におきまして自然発火の事故がございまして、そのためにこの会社の経営が非常に不振の状態にございます。で、事務手続といたしましては、差し押えをいたしましたのでごいますが、滞納処分を行うことがかえってこの会社の事業の継続を著しく阻害するおそれがあると認めまして、現在執行を猶予いたしておる状態でございます。今後におきまして、会社の経営の回復に伴いまして、順次実情に合った納付をさせて参る所存でございます。  なお労災保険保険料の算定基礎になります賃金総額の完全適正な把握につきましては、従来とも努力をいたしておるのでございますが、今後におきましても、ここに掲げられましたと同様な件につきましては十分職員を動員いたしまして、予算の許す限り実地調査を行いまして、完全把握に努める所存でございます。
  85. 山田節男

    委員長山田節男君) 私から大臣にちょっと御質問申し上げたいと思うのですが、この二十八年度決算において指摘されておる批難事項の中で、労災保険特別会計が御承知のように赤字になっている。それから失業保険特別会計におきましては、これは多額な積立金がございます。これで十分まかなっていけるということも考えられますが、ただいま松永課長並びに江下職業安定局長からも御説明がありましたが、これはこれだけ膨大な保険経理ということになれば、やはり抜本的な検討を必要とするのではないか。これは昭和二十一年の決算の審議の際もこのことは問題になったわけです。今松永課長の御説明を聞くと、実地の把握を十分にするというようなことも言っておられますが、これではまことに何といいますか、根本的な問題ではないと思うのです。この点について労働大臣として西田さんは、この問題について何か具体的な抜本的な一つの対策を立てようとか、あるいは立てるならこういうようにしたらよかろうとか、またそういうふうにするための何か研究をしておいでになるかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  86. 西田隆男

    ○国務大臣(西田隆男君) まず当面の問題についてお答えいたします。今庄で労災保険、失業保険等に赤字が出ておることは委員長のおっしゃる通りであります。これに対しまして、労災保険の方は料率の引き上げを行いまして今年の四月一日から実施いたしました。従って当面の問題といたしましては、この料率の引き上げによって三十年度保険経済には一応赤字が出ないという見通しを持っております。将来の問題につきまして、日本の社会保障的な各秘の保険経済というものが根本的に検討されなければならぬ段階にきておるということも、委員長のお考えのごとく私も考えております。せっかく今どのようにして、どのような基本的な構想で、この社会保障の制度を確立するかという問題については、労働省といたしましても検討いたしております。厚生省その他との関係もありますので、関係各省でよく連絡をとって、基本的な、委員長は抜本的と言われましたが、私は基本的な問題を検討して、早急に解決しなければならぬ、かように考えております。
  87. 山田節男

    委員長山田節男君) 他に御質疑はございませんか。——ちょっと速記をとめて。    午後五時八分速記中止      —————・—————    午後五時二十分速記開始
  88. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記をつけて。  ほかに御質疑ございませんか。——御質疑ないと認めます。  それでは昭和二十八年度決算労働省所管の部、検査報告批難事項第二千十六号から第二千二十九号までの質疑はこれをもって一応終了することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めます。それではさように決定いたしました。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二十一分散会