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説明員(
大沢実君)
検査報告の二百八十ページ以降
郵政省所管の
検査報告について御
説明申し上げます。
二百八十ページに書いてありますのは、
最初は
事業損益を書いてあるだけでありまして、ごらんいただけばわかると思うのでありますが、次の「
収入および
支出の調停時期について」というのが書いてあります。これは言わんとしますところは、
郵政事業特別会計は、いわば
企業会計としまして、
原則として
発生主義で
会計経理をして、
年度区分は事実の
発生のときによって区分するということになっておるのでありますが、
郵政事業特別会計法の
施行令におきまして、
年度区分は
支出あるいは
収入を
調査決定した日をもって
年度区分をするということになっております。ところがその
調査決定をいっしろということが
法令上はっきりしておりませんので、特に
年度末のあるいは三月分あるいは二月分などにいろいろな
経費を
当該年度に
決算したりあるいは翌
年度で
決算したり、その点の取り扱いがまちまちになっているという点を述べているのでありまして、
カッコの一は後ほど述べますところの個別の
事項で詳細に申し上げますが、
カッコの二と三に書いてありますところは、三月分の
専用自動車の
郵便逓送料なり、あるいは
特定局舎の
借り上げ料なり、その他のものを、ある
郵便局とかある
郵政局では三月分を
当該年度で
決算している、ところがほかのところは三月分は翌
年度、つまり本件でいいますと、三十九
年度で
決算しておる、そういうことになりますると、その間に
一貫性がない。各
機関の
損益を明確にします上からいきましても、その点は
継続性の
原則上同じ
方法で通さなければおかしいのじゃないか、つまり三月分は全部翌
年度なら翌
年度にする、あるいは
当該年度で
決算するなら
決算する、どちらかの方針で押し通していかなければ、
最初に述べました本
年度におきまして利益が幾ら出たのかといいましても、その
内容が非常にまちまちなものが入ってくる結果になりやしないか、これを
統一する必要があると考えられる次第であります。
次に「
物物品購入等の
契約方式について」と書いてありますのは、
郵政事業の
契約を見ますると、ほとんど大
部分が
随意契約で購入されている。これはもちろん
法令の
根拠は一応あるのでありまして、
事業上必要な
物品は
随意契約で買えるということになっておるのでありますが、
内容を見ますると、自転車とか、各種の用紙とか、被服だとか、靴とか、こうもりがさだとか、こうしたものは特に
郵政事業のために何か
新規格なものを作って
随意契約をするということではないのでありますから、こうしたものはむしろ
競争入札によって購入することが適当ではなかろうか、こういうように考える次第であります。
次に個別の
事項に入りまして、一百八十二ページに書いてあります問題でありますが、これは二十九年の一月以降の
特殊勤務手当を
労働組合との協定によりまして、二十九年の四月一日において支給するということに
協約をいたしましたために、全部この二十九
年度で
決算される結果になった。その
金額が六千五百万円ほどございます。なぜこういうことになったかは、これはいろいろ扇情はありましょうが、これをもしも二十八
年度で
決算すると
予算総則にきめてありますところの
給与総額を超過することになる。まあそのために繰り延べた。というのは、あるいは言葉が言い過ぎるかもしれませんですが、とにかくこうしたものを翌
年度の方へ回してしまうと、これは先ほど申しました
発生主義の
原則からいいましても、この一月、三月間の
特殊勤務に対する報酬というものは当然その月に属する
年度の
損益で
決算すべきではなかろうかと考える次第でありまして、もしもこれが妥当であるということになりますれば、あるいは、これは一月から以降でありますが、これをさらにさかのぼらして、十月以降は翌
年度払い、あるいはさらにさかのぼって七月以降は翌
年度、前
年度分を翌
年度に払うということも
協約ができれば差しつかえないということになりますれば、この
郵政事業の
損益というものは非常に乱れて来やせんか、むしろこうしたことは復元といいますか、元に返して、やはりその月に属する分はその
年度で
決算するという方向に持っていくべきではないか、そうすべきではないか、と考える次第でありまして、この六千五百万円を翌
年度へ繰り延したということは、
労働協約の結果とはいいながら、妥当な
処置とは考えられないと思う次第であります。
次に千九百九十八号の「
物品を過大に調達したもの」といいますのは、
郵便局間で
現金を送りますところの
現金袋、それにかけるところの
錠前というものを各
郵政局に配付しますに当りまして、各
郵政局に
所要数を徴したのでありますが、十
郵政局のうち、七
郵政局は、大体今使っておるものといたんだもの、これの取りかえを要するもの、それから多少の予備というものを要求してきたわけであります。ところが大阪と広島と松山の三
郵政局では、それよりか非常に多いものを要求してきた。といいますのは、この
現金袋の(乙)というのが新しい型でありまして、その方が扱いが都合がいいといいますか、古いものは全部この際使えるものでもやめてしまって、
新規のものに切りかえようというような意図で多量な数量のものを要求してきたわけでありますが、それを本省におかれまして十分に検討されれば、これはどうも要求が間違っている、いわゆる破損の取りかえの程度を越えているということがわかったろうと思うのでありますが、それをまあそのままではありませんが、ほとんどそれを
基準にして購入して各
郵政局に配付されたために、非常に多くのものが必要になった。もしも十分にその際に調査すれば、
現金袋で約七十数万円、
錠前で約三百三十万円、合せて四百万円のものは、少くとも
当該年度では購入調達し、配付する必要はなかったんではないかというように考える次第であります。
次に、
郵便貯金崎別会計のことは
概要を記述してあるのでありますが、ここで言わんとしますことは、
一つは、この
郵便貯金特別会計の
決算上は、
当該年度におきまして
相当欠損が出ておりまして、四十三億八千万円という
欠損になっておるのでありますが、そのほかに
予算が足りないために、本来ならば
利子として計上して元加すべき七億四千万円というものが、
支出予算が足りないために、
表面に出ずに
決算されてしまった。これは二十九
年度におきまして
補正予算によってこの額を要求されまして、そして穴埋めといいますか、元加に充当しておるのでありまして、この
郵便貯金特別会計が、本来の姿でいえば、
欠損は四十三億ではなくて、五十一億の
欠損であったということを一応ここに示しておるのであります。それからこの
郵便貯金特別会計というもののこうした
欠損が出るのはなぜかということを次に書いてあるのでありますが、結局いいますれば、
預金者に払う
利子よりも安いからどうしても損になる、こういうことになっております。これは
郵便貯金というものの
性格からいいまして、あるいはやむを得ないのかもしれませんですが、何か抜本的な方策を講じなければ、この
特別会計はいつまでもいつまでも
欠損が累増する結果になりはしないかというおそれがあるのであります。
次に、
簡易生命保険の
概要も書いてあります。これは特に書いてありますことに加えることもないのでありますが、二十八
年度におきまして相当これは
剰余金をあげております。
しかしながら傾向を見ますると、そのうち、この
保険料のうちで、諸
経費に充てるべき
割合というものが比較的多い。つまりそういうような
契約が多ければ、この
会計としては相当有利になるべきところの
契約が、だんだんと減少して
付加率も多い。つまり
事業経費に充てらるべき
割合が少いものがだんだんと多くなっていると、いうことになりまして、このままでいくとだんだんとこの
剰余金が減ってくる危険があるということを考える次第であります。なお、どうしてこういう
剰余金が出るかという
内容をさらに分析してみますると、この
保険料の中の
死亡のためのいわゆる
保険金支払に充てるべき率、この
死亡率がだんだん低下したために非常に採算上有利になっておる、
経費に充てらるべき
割合は食い込んでおるのでありますが、
死亡の率が低くなったために、今
会計は
剰余金をあげておる、こういう状態であります。本来からいえば、これを一応
保険料を再検討して、
死差益に相当するものは
現状に合せて減少し、あるいは損金に充てるべき
付加損というものに該当するものは
現状にマッチするように改訂して、
保険料というものをもう一度再検討をすることが必要じゃないかというように考える次第であります。
次に、二百八十九ページ以降、神田ほか四十八
郵便局の
不正事項を書いてあるのでありますが、これは
会計検査院が
検査の結果発見したというのではないのでありまして、それぞれあるいは
郵政監察局で監査の結果発見されたもの、あるいはそれが回って
貯金局なり
簡易保険局へいった段階において発見されたもの、そうしたものが含まれているのでありますが、この原因といいますか、態様を見ますと、大体
三つに分れるのでありまして、
一つは
集金に出かけていった
外務員が、金を受け取りながら受け取らなかったようにして、その間その金をふところへ入れた、まあそれに類似の例、もう
一つは、
窓口で同じように、たとえば
郵便貯金の
預け入れに来たのに、
相手方には一万円入れれば一万円の
預金通帳を渡しながら、
郵便局内部の伝票には千円なら千円の
受け入れしかしていないとか、あるいは全然
受け入れをしていないというようにしてその差額を領得し、あるいはこれに準ずるようなもの、もう
一つ第三番目には、
特定郵便局長自身が
自分のところの資金をほしいままに領得している、大体大きく分けるとこの
三つになるのであります。これの
防止対策一いうものをどうしたらいいかということを、
郵政省におかれましてもいろいろ考究されておりますし、われわれ
検査する立場からいっても、いろいろとこうしたらいいんじゃないかというような
意見も申し上げ七おるのでありますが、結局一人の人に初めから終りまでやらせるというところに
窓口の
事故、あるいは
集金中の
事故というものが非常に多く出ている、ですからちょっと大きな
郵便局だと、同じ
貯金を扱うのでも、
現金を受け取る口と
通帳に記入して返す口とは違っておるというようなことで、お互いが牽制されているので、こうした
事故が比較的ないのでありますが、小さい
郵便局で、一人の
事務員が両方やるというところには
事故が相当出ている、人の増員ということにもからむかもしれませんが、できるだけ一人でやらせずに、二人以上でチェックしてやるということをさらに励行する必要があるんじゃなかろうかと考えます。それから
集金に出る者、これは一人で行かざるを得ない場合が多いのかと思いますが、その場合に、きょうは何枚
受取証を持って出かけて行って、何枚使って、何枚はまだ使っていないからこれだけ返すというように、毎日の
収納票の
授受を正確にする、あるいは
郵便局に備えつけてあります
徴収原簿、これは各人が幾ら取ったかということを記入する
原簿でありますが、これをはっきりすると、きょうは何人分だから、ここに何人分の
徴収原簿がこの
集金人の分に該当するといって分けておいて、それに入ったものは正規に消し込むということを別の人が担当すると、比較的こうした
事故はないと思うのでありますが、
集金人自身が帰って来て、たとえば金を千円受け取って来て、そうして
相手方には千円の領収証を渡しながら、帰って来てこれは百円
しか入らなかった、あるいは全然入らなかったということにしておきまして、
しかも一方
徴収原簿の方は
自分は千円入ったということにして整理するというようなことで
事故が起きているのがあるのでありまして、これは
徴収原簿の保管なりその
取扱い、あるいはその
受取証の
授受というものを正確にすれば、絶無は期し得られないとしても、もう少しこうした
不正事故は減少されるのではないかというように考える次第であります。
特定郵便局長自身がやるというのは、これは論外でありまして、これは
特定郵便局の
性格からいっても、こうしたいわば
郵便局長というのは、ほとんど総括的な
独裁権限を持っております。これの
防止ということは、結局当人の品格と申しますか、それに待つ以外にはないと思うのでありますが、こうした
特定郵便局長自身が
不正行為を行うという事例が昨年もありましたし、依然としてまだあるのははなはだ遺憾に存ずる次第であります。
以上簡単でありますが、一応
検査の
説明を終ります。