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説明員(大沢実君)
運輸省所管の中の
船舶建造利子補給金
関係だけは、第四局長、私が
検査担当いたしておりますので、概略申し上げます。
二十九年度現在におきまして、
船会社全部で建造の利子補給を間接につけておる
船会社が五十四社あります。十一次造船を含めますと五十六社になります。そのうちで現在までに二十四社ほど実際に各
船会社の経理状況を見まして、
あとことしじゅうにもう少しやってみたいと、大体の方針といたしましては、一年に半分ずつ、二年で一回り回るように
検査したいと、こういうように思ってやっております。
現在までに、ただいま
委員長からまとまっておるかというお話でありますが、実は現在
検査施行中でありまして、最後の締めくくりのまた数字はまとまっておりません。概略申し上げますと、前にも一度ここでお話し申し上げたかと思うのでありますが、いわゆるリベート、現金で
船会社が造
船会社から現金のリベートを受けたということを、
船会社を
検査の結果発見したものは、われわれの
検査した範囲においてはありません。しかしながら、現金ではリべートを受けなくても、
工事でリベートを受けておる。言葉はおかしいが、いわゆる無償の
工事を造
船会社に
請負ってもらって、金を払わないで無償の
工事をやっている。これはいわば
工事のリベートと
考えて、それだけ船価が低減になったものと
考えていいんじゃないか。その
考えをもちまして、その線から
検討いたしました。また初め造船契約でやるべきことになっておりました
工事を、途中で
設計変更で取りやめまして、そしてほかの
工事をやったという場合に、取りやめた切りなら、取りやめっぱなしなら、これは当然船価がそれだけ減りますから、それだけ減ったものとして利子補給を計算します。取りやめたかわりにほかの
工事をやった場合、その場合、船価が低減したものとみなすかどうかということをいろいろ
検討した結果、大体におきまして取りやめた
工事にかわる
工事が、船の初め作るということに必要不可欠のものならば、これは
工事がかわっただけで、船価の
内容に入れても差しつかえないのではなかろうか。ただ、余分な
工事とか、ぜいたくな
工事をかわりにやった場合には、これは余分な
工事、この分は船価の低減と見るべきではないかというような
見地から
検討しました。
そうした
見地から
検討しまして、ただいままでに調べました
船会社の間で、大体船価が低減したと
考えなければならんのじゃないかとわれわれが思います
金額は、船価にいたしまして三千八百万円ほどであります。なおそのほか、これはわれわれだけの一存ではいけないので、どうしても
運輸省の
意見を合致したところで実際に補給額を減らさなければなりません。
運輸省と大体
意見が合致したものが三千八百万円、そのほかに現在書類をもちまして、
運輸省の方に
意見をたたいておりますのがやはり三千八百万円であります。これは当然いわゆる船価が、それだけ減るべきものと
考えております。そのほか実際に、いろいろの
調査から見ますと、契約の船価はかかっているけれ
ども、融資した金をその造
船会社に払わずに、
船会社がほかの資金に流用しておるというのが
相当あるのであります。これは
法律の建前からいうと、それだから利子補給をやめるということは出てはおりませんのでありますが、精神から
考えますれば、金融機関が建造資金を融資したものに対して利子補給をするのだから、融資した金を
船会社が建造資金として造
船会社に払わずに、自分の運転資金に使っておれば、これに対してまで国が利子補給する必要はないのじゃないかという
見地から、いろいろこれは
運輸省の
当局と話合いまして、これはある
程度のやはり利子補給額は減額させるべきじゃないかというような、原則的には
意見が合致しております。ただいまその計数の整理をいたしておるのでありますが、大体われわれの調べたところによりますと、そうした意味におきまして、非常に支払いをおくらしている。だからわれわれとして、それは利子補給額は減らすべきじゃないかと
考えております。
金額はこれは親金で申し上げても仕方がないのでありますが、利子補給額に換算いたしまして約百万円くらいはあるのじゃないかと
考えております。
こうした点が現在
検査中でありまして、いずれ二十九年度の
決算の総締めの場合には取りまとめたいと思っておるのでありますが、なお根本的に現在のところまだ海運市況がさほど好転したと言えませんので、問題はないのでありますが、いわゆる利益を生じた場合にもう利子補給を停止する、あるいは返納させるという問題があるのでありますが、この
船会社の利益ということが、
法律的にただ
決算上計上した利益という言葉になっておりまして、いわば
船会社が作った分による利益ということになっております。ところが実際に
船会社の経理を見ますると、やはり税務
関係の面もありましょうが、不当に利益を隠蔽しているものもありましょうが、逆に株価維持のためでありましょうか、不当に損失を隠蔽している
船会社もあります。そうした
船会社の作った
決算そのままで利子補給の停止をきめるということは少しおかしいのじゃないか。むしろ
運輸省なり、あるいは税務署が、その
船会社の損益をもう一度修正計算してみて、これが
決算であるというところをもって利子補給の可否といいますか、それを決定するように持っていくのが筋ではなかろうかというので、これも原則論的には
運輸省の方でももちろんその
意見には賛成しているのでありますが、実際問題として、まだそうした補給金を停止するとか返納するとかという問題は出ておりませんので、もう少し時間をかしてくれということで、われわれの
意見は申し上げて、現在一応研究しております。
まあこういう
状態であります。一応ただいままでの造船利子補給の
検査の概要を申し上げました。