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1955-06-13 第22回国会 参議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十三日(月曜日)    午後二時十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            石井  桂君            大谷 瑩潤君            西川彌平治君            白井  勇君            長島 銀藏君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            大倉 精一君            小林 亦治君            木島 虎藏君            市川 房枝君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸大臣官房会    計課長     梶本 保邦君    運輸省海運局長 粟沢 一男君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省港湾局長 黒田 静夫君    海上保安庁長官 島居辰次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    運輸大臣官房考    査室長     多田 寿夫君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大沢  実君   —————————————   本日の会議に付した案件昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第十五回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  を議題といたします。  本日は運輸省所管の部を審議いたします。検査報告批難事項は第一千八百九十八号から第一千九百九十六号までであります。  ただいま出席の方は、運輸大臣三木君、大臣官房会計課長梶本君、考査室長多田寿夫君、海運局長粟沢一男君、船舶局長甘利昂一君、港湾局長黒田静夫君、海上保安庁長官島居辰次郎君、会計検査院よりは小峰第三検査局長がお見えになっております。まず運輸大臣より説明を求めます。
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 昭和二十八年度の会計検査院からの批難事項相当な数運輸省にあるということを私は報告を受けまして、これはまことに遺憾の至りでありまして、私もしばしば今後この種事件の絶滅を期されたい、会計検査院批難をするということとは、相当なこれは事件である、こういうことが跡を断たないということでは、行政に対しての国民の信頼は失われるであろう、今後は絶対にこのようなことのないように注意してもらいたいということを申しておる次第であります。過去のできごとに対してはまことに申し訳のないことでありまして、私としては今後この種事件が引き続いて起らないように最善の注意を払って参りたい、こういう考えでございます。
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 会計検査院側の概略的な御説明をお願いいたします。
  5. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 運輸省の二十八年度の検査結果につきまして御説明を申し上げます。  歳出総額が二百五十四億円余りになっておりますが、会計検査院では従来に引き続きまして海上保安庁それから地方公共団体港湾に関する工事補助、これに重点をおきまして検査をしたわけでありますが、従来とかくいろいろな問題が検査報告に載りました海上保安庁が二十八年度は全然載っていないのでありまして、改善の跡が相当見るべきものがあることは御同慶の至りであります。  補助工事でありますが、これは従来のようなものが相当に見つかりまして、十万円以上、補助金を除外すべき額十万円以上というのが百五十七件、国庫負担金にいたしまして五千百余万円に上っておるのであります。  それから農林省のときにも御報告いたしましたが、二十八年は未曽有の大災害でございまして、港湾関係でも相当に大きな被害を受けたのであります。従って災害復旧費もたくさん出る、こういうことになりまして、早目に査定が終りました工事、また手をつけていない工事、これに対しましても査定内容調査を行ったのでありますが、農林省では八十何億というような大きな金額が出て参りましたが、運輸省では二億八千三百余万円、これが私ども注意によりまして当局査定減、再査定の結果減らした、こういう額になっております。  それから歳入につきまして地方海運局でモーターボートの競走の納付金というのを二億九千八百余万円徴収決定をしておりますが、これはまことに収納ぶりが悪いのであります。一億五千六百余万円収納しただけで、一億四千百万円ばかりは入って来ない、こういう状態であります。これは現在ではたしか七千万円くらい入っていたはずでありますが、現在でも七千万円余りまだ残っております。  次は補助事業でありますが、これは昨年は青森ほか二十九都府県、千二百十二カ所ほど実地検査したわけであります。港湾関係工事農林省あたりと違いまして、何といっても数が少いのでございますから、全体に対して会計検査院が現地の検査のできる比率というのが高いのでありまして、これをやりましたところ、先ほど申し上げましたように、補助金を除外すべき額十万円以上のものが百五十七工事、五千百余万円と出たわけであります。  不当の内容は、従来と同じようなものが多かったのでありまして、工事出来高が不足している、しかも地元負担をしていない、請負人に手を抜かれているというようなものが数は非常に多かったのであります。それから二十八年災は、御承知のように、高率国庫負担ということで、昨年よりも非常に高い国庫負担金を出したのでありますが、相変らず請負代金補助金以下で工事をやるというのが非常に多くて、やはり運輸省でもその種のものがかなり見えているのであります。せっかくたくさん負担するにもかかわらず、わずかばかりの自己負担をしない、それで工事の手を抜かれる、こういうものがあったのであります。それからまた一つ目立ちますのは、あとで申し上げますが、今までは大がい町村工事補助金を余らしていたのが多かったのでありますが、県が国庫補助金だけの工事をしないで、補助金を余らして、そうしてそれを県道改修費に使うというような非常に珍しい例が出ております。  それから百五十七工事のうちで二十万円以上のもの、これが九十八件、四千三百三十六万円になっておりますが、これはおしまいのほうに別表第四として表にして掲げてございます。  二、三事後検査の具体的の案件を御参考に御報告しておきます。たくさんございますので、四件ほど拾って御説明いたします。  二百七十四ページの二番の島根県の簸川郡岐久村の小田東港の災害復旧であります。これは三百七十二万円の工費、国庫負担が三百二十三万円でありますが、これは工事出来高が少い、それからまたくずれました防波堤の石は使えるのにそれを新らしく買うことにしている、こういう関係で三百七十二万円という設計に対しまして、かかった金が二百二十九万円、国庫負担金三百二十三万円を相当に下回っているのでありまして、村は負担したとしている四十八万円を全く出していないばかりでなくて、九十四万六千円補助金を残してしまった、こういうケースであります。  それから(3)は飛ばしまして、(4)の高知案件でありますが、これが先ほど申し上げました県が国庫負担金を余して県道補修費などに使った案件であります。五百四十七万円で港の地盤変動対策、これは内港の岩盤が隆起した、これを掘さくする、こういうことでやったのでありますが、掘さくの量、やったとして補助金をもらった量よりも非常に実際の量が少い、こういうことで、工事費のうち百三十七万円を残してしまった、そうして県道補修工事に七十五万八千円、それからトラックの燃料、写真機購入代自動車修理代などに三十九万円を使いまして、二十二万円を検査当時まだ手元に持っておった、こういう案件であります。県がこういうことをやるというのは、ちょっと今までは見つけておりません。  それから次が(5)の長崎県北松浦郡福島町でありますが、これは二百二十三万円で全額国庫負担、御承知と思いますが、排土法、二十八年に新しくできました排土法という法律がありますが、あれによって国が全額国庫負担するというのでありますが、これは災害復旧でございますから、ある深さ、もとの深さまで掘ることしか認めないわけでありますが、さらにそれ以上掘りたい、こういうことで、町の単独工事を同じ場所でやっていた、深くする工事をやっていたわけでありますが、その深くする方の分をこの補助金工事にのせてしまった、こういう案件であります。二百二十三万円全額国庫負担で出しましたところが、実際は七十七万円、設計通りのものをやるとすれば七十七万円で済んだ、そうして百四十六万円余ってしまった、こういうケースであります。三分の二余ったわけであります。  それから最後にもう一つ、大分県坂ノ市町でありますが、これは地元負担分として大蔵省の資金運用部から百八十万円貸したのでありますが、これをまるきり工事に使っていないでほかへ使っておった、こういう例であります。  事後検査の分はそのくらいにいたしまして、事前調査、早期の査定内容調査の結果を御報告いたします。先ほど申し上げましたように、二億八千万円ほど減ったのでありますが、これはただ額の多かった三重県、愛知県、和歌山県、こういう十一府県の調査をしたわけであります。その結果、四十億の査定額に対しまして私どもが三十七億円ほどを見たのでありますが、二億八千三百万円ほどこれが調査の結果減った、こういうことであります。これを二つ、三つ具体的なケースを御報告しておきます。  まず重複査定であります。一つ防波堤復旧に対しまして建設省運輸省からダブって査定がついてしまった、こういう案件であります。これは三重県北牟婁郡引本町、ずっと南の方の港でありますが、七百七十七万円、国庫負担が七百五十九万円でありますが、それで防波堤復旧するということにしていたのでありますが、同じ場所建設省が二千三百二十四万円の査定を受けていた。それで両方どちらが一体悪いのかといって調査いたしましたところ、運輸省の方が取り消した、こういう案件であります。  それからあと便乗工事でありますが、便乗工事のうち一つ御紹介しておきます。また高知県が出て参りましたが、高知県の室戸の室津港、これは天然海岸防潮堤なんかない岩盤のところでありますが、そこへ防潮堤を作るということで申請を出したところが査定が通ってしまった、こういう案件であります。査定額が千五万円、国庫負担金が九百三十五万円でありまして、もともと防潮堤なんかない岩の場所であります。そういうところへ災害復旧として防潮堤を作るというのはちょっと行き過ぎかと思うのであります。  それから設計過大の例を一つ申し上げます。和歌山県の有田郡の湯浅町の港でありますが、これはやはり排土法の適用を受けて五百五十三万円の全額国庫負担であります。港内に堆積した土砂一万五千八百立米を浚渫することになっていましたが、実際行ってみましたら、実際に要するのは一万八百立米でよろしい。そして結局今の五百五十三万円のうち百六十五万円が設計過大になっていた、こういう案件であります。  一応御説明を終りまして、もし御質問がございましたらお答えいたします。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) 時間の制約もございますので、三木運輸大臣に御質疑を願いたいのでありますが、委員長から最初に二つだけ御質問申し上げたいと思います。  ただいま二十八年度の決算に対して運輸大臣からまあきわめて抽象的な御説明があったわけです。三木運輸大臣として御就任以来いろいろ改革される御意図もあるというように考えますが、われわれ手元に預りました二十八年度の内部監査実績等を見ましても、ただいまの会計検査院説明を聞きますと、まだまだ努力していただかなくちゃならん点が多いのであります。もとよりこの事案は運輸大臣就任以前のことでありますけれども、まあ責任大臣としてこういう内部監査についてはもっと積極的な、具体的な御意見も私はお持ちだろうと思うのです。審議に入る前に、一応大臣からさっきの御説明に加えて、もっと具体的な内部監査に対する一つ施策があればお伺いしたいと思います。  それから第二点は、これまた三木運輸大臣が最も意を払われておる例の国鉄の問題であります。国鉄の問題につきましては、当委員会は第十九国会以来継続調査として今日まで残っておる課題があるわけであります。そういうような関係もございますので、三木運輸大臣が、第二点としては国鉄公社に対する経営あるいは監督、こういったようなものに対して、今後どういうような施策を行われる所信を持たれるか、具体的に御説明を願いたいと存じます。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今会計検査院から指摘を受けました主として港湾のことについてでありますが、これは係官がやはり地方——直轄工事にはこの批難された事項はないのですが、地方補助港湾と申しますか、こういうものについていろいろ問題が指摘されてございます。これは私もいろいろこういう公共事業は、大体において補助事業になっておるわけでありますから、こういうものが単に運輸省のみならず、いろいろ各省にもこういう批難されるような事項が起っておると思うので、実際にこの補助金を渡しても、その補助金というものが補助金を渡した目的に沿うて適正に使用されておるかどうかということの監査というものが、全体として非常に手薄だと思います。それは財政投資の面でもそうだと思うのです。いろいろ国の税金を使っておるわけでありますが、そういう場合にでもそれがやはり経理監査というような面が手薄なので、いつか私は閣議でも申したのですが、こういう問題について一つの、各省単に省々というのではなくして、やはり政府として何らかの監査制度というようなものを設ける必要があるのではないか、ことに財政投資の面にはそういう必要があるのじゃないかということも申したこともあるので、一つ内閣として研究の題目にはなっておるのであります。この今問題になっておる港湾などについても、これは非常に各地方多岐にわたっておりますから、これは単にまあ運輸省だけがこれに対して、何と申しますか、補助を与えた事業進捗状態、いろいろなことについてそれを一々見回って、その進捗状態あるいは工事のやっておる工合等運輸省の方として監督義務があるわけですけれども、非常にこれは多岐にわたっておるわけで、目を通すことの困難な場合もあるので、これはまあ単に運輸省のみならず地方の、ことに今度の批難事項の中には県庁が介在しておる事件相当にある。これはやはり県も協力をしてもらって、いやしくもこういう補助金会計検査院批難を受けるような事態を起さないように、一応行政庁のやはりこれは協力も得なければならんと思います。こういうことについては一段と運輸省の方としても気をつけますが、これは今後新しい傾向として、これに県が関与しておるというような新しい事態に対して、これは県庁側とも十分なこういう点について連絡をとっていきたいと思っております、港湾の問題について。  国鉄でありますが、いろいろ運輸省関係国民疑惑を受けるようなことが多かったわけであります。そういう点で、これはこの内閣としても綱紀の粛正ということを内閣の大きな政治の目標にしておるわけでございます。私も就任以来、いやしくも運輸省あるいはその監督下にある国鉄などに再び世間の疑惑を受けるような事件を、これは絶対に起さないことにしなければならんということで、私としては十二分の監督をいたしておるつもりでございますが、今御指摘国鉄などについても、たとえば請負制度あるいはまた物資購入、こういうものについて、まあ請負とか物資購入などについては国有鉄道法に規定がございます。原則としてはこれは一般競争入札、あるいは緊急やむを得ない場合であるとか、それが競争入札が無理な場合とかあるいは政令できめられた場合、政令できめられた場合と申しますのは非常に高度な技術を要する工事であるとかあるいはまた船舶や車両の安全に関するような事項、こういうものはまあ一つ指名入札制度になっておるわけでございます。しかし一般競争入札の場合には、一つの何と申しますか、公正な協議というか、必ずしも最低なものに落ちないのですね、一つ標準金額というものがあって、そういうところはなかなかむずかしい点だと思います。一般指名入札の場合などには、これはもう最低に落ちるわけです。ABCくらいのクラスに分けて、信用のある工事能力を持ったものの中から指名入札をするわけです。一般競争入札の場合は、今言ったような公正な協議をしなければならんということが国有鉄道法四十九条であったかに規定されておる、まあこういうことで工事請負物資購入についても法制的な欠陥があると私は思っていない、しかし実際の運用の場合にもう少し合理的な方法はないだろうか、世の疑惑を受けることのないようにしなければならん。ことに国鉄の場合は工事にしてもあるいは物資購入にしても、相当金額でございますために、これはいやしくも世の疑惑を受けるようなことがあってはならんということで、法律の改正をする必要は認めておりませんが、実際のやり方についてはこれは検討を加えていきたい。そのためについ一週間ほど前に閣議了解によって、今度作ることになりました日本国有鉄道経営調査会というのを今度作りまして、その中の諮問をする事項を私は申してあるのです。その諮問の中にこの物資購入方式請負制度方式請負を出す場合の方式物資購入方式についてもこれは検討を加えていきたい。世の中の人が工事請負物資購入について疑惑を持つようなことをなからしめたい。そういう意味においてこの調査会において諮問をして、何とか改善を加えていきたいという考えでございます。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) 三木運輸大臣に対して御質疑をお願いいたします。
  9. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 私少し見当がはずれるかもしれませんがお伺いいたします。  去年の年末からことしの春にかけまして、国鉄その他の運輸機関において非常に事故が多かったのであります。それに対しましてことにわれわれが心痛いたしましたのは、これから日本を背負って参ろうという学童と申しますか、学生の交通事故によって失われた生命が非常にたくさんあるわけであります。こういうことを考えますと、果してこういうことが運輸省責任かどうかということは、これは私もよくわかりませんけれども、将来こういうことがあっては、日本人的損害と申しますか、非常な大きなものがあると思います。また経済面から言うても国損に帰するものが相当たくさんあると思います。第一に伺いたいのは、学童等がそういう災難をかりにこれから先受けました場合に、国家的に何か補償をしてやるというようなお考えがあるかないか承わりたいと思います。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国鉄、たとえば紫雲丸事件、この間の高松の事件のようなものに対しては、私も従来の例にとらわれないで最高の弔慰の方法を講ずべしということで、大体話がまとまりかかっておることを報告を受けております。従ってそういう場合には、これは相手国鉄でありますから、それだけのことはできるのでありますが、たとえば相模湖における転覆事件、こういうふうになって参りますと、船会社になかなか資本能力がないものですから、ほとんどそういうものの場合に対して補償方法がない。こういうことで、これは一つの私は将来の課題と思うのは、相手によって被害を与えたものが補償する。補償能力があれば、やはりこれは個々にするのが本当だと思います。個々会社ないし国鉄責任の場合は国鉄補償をするのが本当だと思いますが、なかなか日本の場合はそういう経営、それだけの補償能力のない場合があって、これは何か一つ保険制度と申しますか、国民傷害保険などのようなことで、何かこういう場合の不測の被害に対して全然補償金もないようなものをカバーできないか、こういうことは私も今考えておるのでございますが、しかし今結論は、こうしたらいいんだという結論はまだ出ておりませんが、何らかやはりこういうものに対しては考えなければならぬ。今度は自動車がひき逃げなんかをしたような場合に、自動車損害賠償保障法という、今御審議を願っておりますが、こういうものに対しては、まあ金額は三十万円程度でございますが、全然人間をひいて逃げちまったような、どうにもならんというような場合に、最小限度こういうことでこの保障をしたいという、まあ社会保障的な性格を帯びた保険制度を今度作ることにしまして、御審議を願っておりますが、何らかやはり考えてみなければならん一つ保険制度、まあ社会保障という見地に立った保険制度として考究の一つ課題だとは考えておるのでございます。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 今の点についてですね。結局この旅行をする場合において、文部当局あたりが適切なる指導をすることも非常に重要だと思いますが、交通機関がますます発達して非常に事故の回数が多いということになるというと、まあ今のようなごく少部分の問題ならばいいのですが、非常に災害なり事故が大きくなると、やはり非常に負担が大きくなる。そういったことで、まあ諸外国にも児童災害保償法というようなものがあるわけなんです。で、これについては特に学童その他に事故が起らないということを一つの鉄則にして、修学旅行をやめさせるという論議は行き過ぎだと思うので、やはりこれを順調にやらせるために、文部当局あるいは運輸省、こういったところが連携して、やはり事故の発生を防止し、かりに不運にも起った場合においては、国家がこれを補償するというふうな考えで、ある程度厳格に監督し、これを順調に運営していくという方式の点についてお考えを願っておきたい。これは私の希望ですがね。まあかりに児童災害保償なら国家補償的な見地で、保険的な形でなくして、いわゆる義務制程度の子供を対象にするかあるいはわかりませんが、そういったものが社会的な事故のためにおこってきたというときには、まあ児童災害保償法というふうな観点でこれを扱う方法がいいんではないかと、まあ私は考えておるわけです。十分御検討をわずらわしたいと、こう思うわけであります。  それで、もう一点私がお話ししたいことは、国鉄外郭団体の問題ですね。まあ汽車に乗るというと、いろいろとサービスをしてくれることはいいのですが、非常に新聞なら新聞を売るという場合に、組み合せて幾らという形で売ったり、あるいは、まあこまかくなりますが、中にありますところの食堂自体についても、もっと改善する考えはないのかというふうないろいろな意見を聞くわけです。それから駅売りの場合においても、もちろんそれぞれの意見があるわけですが、しかし悪いところばかり見て、いいところを見逃すわけでないので、いいところはわれわれも認めるところは多いのですが、しかし国鉄のそういったような外郭団体ですね。こういったものに対して適宜運輸当局として監督し、指導するということは重要なことだと思うわけです。そういう点についてどの程度外郭団体というものを認め、あるいはこれを整理し、これを監督指導するのか。こういった点については非常にむずかしい点もあろうかと思うのですが、先般まあ運輸大臣外郭団体については思い切ってこの際何とかしなくてはならないのではないか、こういうふうに言われておったかとお見受けしたわけです。この点についてあらためて国鉄外郭団体について運輸大臣の所見を少し聞いておきたいと思うのです。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように日本国有鉄道法は、運輸大臣日本国有鉄道を監督すると、こういう規定だけなんですね。そうして、必要な指示は与えることができるわけですが、たとえば今問題になりました請負制度にしましてもですが、物資購入にしても、これは何も権限がないわけなんです。やはりどういう請負をしようが運輸大臣の認可を必要としない。外郭団体にしても、どういう外郭団体補助を与えるようなことがありましても、そういうことは運輸大臣のところへは打ち合せも必要でなければ認可も必要でない、こういう関係一つの公社という形態が、運輸大臣と国有鉄道というものを世間がお考えになるほど密接には結びつけてはいないわけです、法律上には。しかし一条として条章の中に広範に監督するという一つの抽象的な規定があるわけでございまして、そういう点から私は外郭団体についても今申されるような便利も非常にあると思います。しかし弊害の訴えも私のところへ相当参るのであります。こういう弊害があるというその弊害の面は、非常に独占排他的で、そのために一般の公衆の利便を害しているような面がある。たとえば今御指摘新聞にしても、なかなか頼んでも気にいらなければ新聞を売らしてくれないんだ、あるいはこういう品物は安いから一つ売ってくれといっても、なかなかそういうところで売ってもらうような商品に加えてもらうことがなかなか困難だといういろいろな訴えがございます。それでこの際に、国鉄というものは、おそらく国鉄が開設以来今日ほど国鉄に対して世の人々の非難を浴びた時代はあるまい——一番信用が失墜した時代であると思います。そういう点でこの機会こそ国鉄を再建するためのこれは絶好の機会である。それは私はできるかどうか疑問でございますけれども、これをやってみようという意欲をふるい起すには必要な時期である、こういうことで、相当野心的な意図のもとに、国鉄経営調査会というものを今回設けまして、その設けた中に今申したような請負制度というものにも再検討を加えたい、一方外郭団体もこれを一ペん検討してみよう——外郭団体個々についてこれを一つ再検してみよう、今まではそういう機会がなかったし、運輸大臣としても外郭団体などは大体権限の外でありますから、だからそういう国民の側からそういう訴えがあった場合に、それでそれを調査する程度で、外郭団体全体に対してこれを再検討する機会というものは最近なかったわけです。それで今度やってみたいということで、今のところ、この外郭団体をどうしよう、あるいはこの外郭団体をどうしようという結論が出ておるわけではございませんが、これを今まで何らも検討されていない国鉄外郭団体に対して、今度は再検討を加え、内容に対してどういう状態になっておるかということに対して検討を加えるんだということを、新聞などに申したことをごらんになったんだと思いますが、これがもう今週あたりから発足をいたしまして、委員の方々もおざなりでなしに、これは六カ月という期限を限って、だらだらとやらないで、六カ月間にやはりそういういろいろな世の批判を受けている点にもメスを入れるということで、国鉄経営調査会を設けた次第でございます。そのときの重要な諮問事項一つが、外郭団体の再検討ということであるのでございます。
  13. 岡三郎

    岡三郎君 つまり紫雲丸とかいろいろな事件、こういう事件が起きますというと、当面の責任者でないけれども運輸大臣責任問題が云々されるのが現状だと思う。そういう点でまあ話は違いますが、何かするというと国鉄経営上においてすぐ運賃の値上げ等の問題が起ってくる。ところが一般のこれは印象ですから、明確にいろいろと指摘している部面もありますけれども国鉄のいわゆるいろいろな外郭団体なり、あるいは国鉄の所有している土地、建物その他もう少し合理的に従来の慣例を断ち切っていけば、相当国鉄自体の収入も増加するであろうし、国鉄の運営も合理化されるであろうというふうにしばしばいわれておると思うわけなんです。そういうような面については、なかなか今までは監督もできない。それで責任を問われるということになるならば、やはり運輸省当局も現状に照らして、もう少し監督権というものを主張できるような法規の改正なり何なりして、ある意味において国鉄自体が軌道に乗るという段階になったならば、これをはずしてやるというふうな暫定的措置をとってでも、ある程度これを整理したり、あるいはキチンとこれをやるというふうなことが私は必要じゃないかと思うわけです。そういう点で、ただ単に監督するだけであっては、その責任運輸大臣としても十分とり得ない立場にあると思うので、そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 非常にこれはむずかしい課題に触れてくるわけでございまして、二つ考え方があるのです。もっと自主性を国鉄に認めてやれ——それは今は御承知のように運賃の値上げも国鉄の予算も全部これは国会の議決によって縛られておるわけでありまして、あるいは国鉄の従業員についても、定員法でちゃんと縛られておる、こういうことで、あまりにも公共企業体として自主性がないじゃないか、手も足も出ないじゃないかという——それで公共企業体としてこれを伸ばしてゆくためには、もう少し自主性を認めるべきだという有力な議論と、もう一つは、今御指摘になりましたように、これは世間から見れば、運輸省国鉄監督するというふうに見えるが、実際日本国有鉄道から見れば、オペレーションに対しては全然——全然とも申せませんが、ほとんどないのですよ、監督権が。ただ運賃とか予算などが、いわゆる国鉄予算を通じて確かに縛っておるわけですけれども国鉄を運営する一つの意味における運輸大臣が関与する権限はほとんどない、こういう点では、これは今国鉄が非常にいろいろな問題で世間の非難を浴びているときには、むしろ過渡的な処置としては、監督権を強化すべきじゃないか、運輸大臣の。これにも有力な意見がございまして、これが国鉄を今後どうしてゆくかということについて公共性と、企業性のこの二つを公共企業体に求められておる。公共性の側に立って考えれば、もう少しやはり監督権を強化してよろしい、また企業性の上に立ってみれば、あれは私企業のよさを公共企業体というものに取り入れたいというのに、今のようにほとんど名は公共企業体でも縛りつけたならば、その私企業のよさは出てこないじゃないか、この二つの問題が——今両極端の意見が対立しつつあるわけでございます。国会の御議論などもこれは二つに分れております。そこでやはり今私が調査会という点を申し上げたのも、この公共企業体としての国鉄のあり方、国鉄経営形態、これをこの際掘り下げて考えてみよう——私の考えとしては、今御指摘のような考えに近いのです。やはり将来とも自主性を認めてゆきたい、公共企業体というものは、やはり相当自由にやれる余地を残していいのだ、それは建前としてはそうだ、しかし何分にも次々に国鉄経営については、国民疑惑を招くようなことが起っておるから、その信用を回復する過渡的な処置としては、監督権の強化もやむを得ないじゃないかというのが、私の考えは、そういう考えであります。方向としては、そうでありますが、そういうことで、ある程度一つ監督権と申しますか、運輸大臣の認可事項というものをもう少しふやしてもいいじゃないかという心境でございますが、そのために日本国有鉄道法の改正を今国会にも提案しようかと準備したのでございます。しかしながら一方においてそういう調査会も作って、国有鉄道の経営というものをどう持って行くかというこの調査機関もできておりますので、ときどきこの小きざみな改正をしないで、その結論も六カ月という期間を限った調査会でございまするので、結論の出たときにまとめて日本国有鉄道の改正の御審議をしていただきたいということで、小きざみな案は出さないことにいたしましたが、その中でもう少し財産権——日本国有鉄道の財産の管理処分については、運輸大臣の権限を少し強化したいという考えで用意はしたのですが、今申したような事情で、これを繰り延べたわけでございますが、確かに一つの御指摘のことは日本国有鉄道の将来の大きな方向として考えなければならぬ示唆に富む御議論であると考える次第でございます。
  15. 小林亦治

    ○小林亦治君 調査会をただいま設けられて、しかも短期間に仕上げを準備せられる、まことに多とするのであります。だがこの後半の御説明を伺うと、まあ大臣に対してはなはだ失礼なんですが、やはり野に置けといったような気持がするのです。あなたあたりが運輸大臣になった機会に、もう少し考えるというか、断行するという線に持って行っていただきたいと思うのであります。それがまあ伺う大前提です。それからこの国鉄に関するところの大臣の権限の問題なんですが、抽象的に監督権しかないと、こうおっしゃるけれども、具体的にきまってないところで、その監督権というものは非常に大きいと私はむしろ思うのです。ですから御遠慮なさらずに、たとえば国民主権といっても、個々国民は何ら権限はないのです。持っておるものは所管大臣と、こうなっておるのですけれども、ただ単に抽象的に監督権というものがあるのは、これは非常に大きいのであって、要するにその監督権を行使するところの大臣いかんなんであります。あなたあたりがやらなければ誰もやれない。今そういうおとなしいことをおっしゃると、先ほど申したように、やはり野に置けということに帰するので、はなはだ心もとないと思うのであります。そういうことでなくて、法規はせっかく監督権ありとなっておるのですから、その抽象的なものの中にどのように具体的に持って行くかは、これは大臣の手腕、力量いかんです。そういうふうに一つ張り切ってもらいたいというのが私のお願いです。国鉄に関する点は以上なんでありまして、たとえば一昨年以来私どもが当決算委員会におきまして外郭団体に対しては相当のメスを加えたのであります。幸いにして、たとえば交通公社が政府に対する納付金をたなあげせずにすみやかに還付するような傾向になりかかったことと、弘済会の経理が非常に緊張してやや立ち直りかけておる趨勢にあるということ、それから国鉄当局が構内営業規則の改正によって、世論の非難に対して相当の反省を加えて参った、ただその実施が緩慢であって、法規は作ったが、いまだ効果が上っておらないというような状況にありまするので、この点も監督権の上に乗せて具体的に御処理を願いたい。問題は運輸省なんです。ここに多数の局長さんがお見えになっておられるかもしれぬが、この局長さん方も取りかえなければいけない。昨年以来、問題となっておったいろいろな行政事件なりでも圧倒的に運輸省が多く、かつ問題が大きかったということは、これは御承知通りなんです。まあ具体的に申し上げればたくさんな材料があるのでありますが、許可権がないのに潜在的な威力を地方に発揮して、そうして地方の許可権を左右しておった局長の御連中が、だんだん空気が腐って運輸省そのものがボス化しておるというのが現状なんです。内容がそうなっていないなら結構なんですが、われわれの目から見ると、そういうものがままあるのです。まず直接監督権のある、最もやりやすいところの運輸省の各部局を今の大臣就任せられた機会に一新していただかないと、いろいろな問題がまたわれわれの手によって爼上に上せなければならないということになりますから、この点を一つ十分お考えおきを願って御善処願いたいと思います。
  16. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) お言葉でございますが、運輸省がボス化しているとは考えませんが、空気の一新の必要は認めてこれは実行いたしたいと考えております。
  17. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと今の問題に関連してお伺いしたいのですが、空気の一新はぜひともやってもらいたいと思うのですが、これはうわさなら私はいいのですが、どうも内閣がかわると、上の方の頭が言うことをきかないからやめてもらうということで、いわゆる言うことをきくやつにかえてもらうということで、こういうことで部内に動揺があるということをちらっと聞いておりますが、そういうことはありませんか。
  18. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は部内に動揺があるということは聞いておりません。またないと信じております。
  19. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうことのないように一つやっていただきたいと思います。  それじゃついでにもうちょっとお伺いするのですが、専門員の方から出ている資料を見ますと、平和回復善後処理費の項、あるいは照明施設の項、あるいは安全保障諸費の項の中で翌年へ繰り越される金額が非常に多くなっておりますが、これはどういう原因ですか。
  20. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 安全保障費と平和回復善後処理費の港湾関係について申し上げますが、平和回復善後処理費は繰り越しはほとんどないと考えるんですが、安全保障費につきましては多少ございます。これは事業を実施いたしているのですが、相当短期間に量をたくさんやらなくちゃいかないので、それを一時にやりますと跡始末の人の問題とか、あるいは配置転換等の問題に困りますので工事ができないことと、それから工事態勢を能率よくやっていくという意味で、安全保障費におきまして一部の繰り越しがある現状でございます。
  21. 大倉精一

    ○大倉精一君 この資料を見るというと、平和回復善後処理費の滑走路等整備費という目がございますが、これが支出済みの金額が千九百万円、これに対して翌年へ繰り越しが三億六千万円、あるいは照明施設の整備費で支出済みの金額が六百六十万円、翌年へ繰り越しが四千二百万円、安全保障費の港湾関係で支出済みが二十三億四千二百万円、翌年へ繰り越しが十三億余り、あるいは改修費でもって支出済みが五億五千万円、翌年へ繰り越しが三億円、船舶建造費では支出済みが二億二千四百万円、翌年へ繰り越しが二億七千七百万円、こういう工合になっているのですが、今のお話ですと大した繰り越しはないというお話ですが、この資料によりますと、そういう繰り越しがあるのですが、これはどういうわけですか。
  22. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 今のお話のうち港湾関係について御説明申し上げたいと思いますが、安全保障費が二十三億のうち十三億が繰り越しになっているのですが、これはおそらく二十九年度から三十年度への繰り越しだろうと思うのですが、安全保障費の事業が二十八年度なりあるいは二十九年のおそくきまったものですから、翌年の大体上半期までには、おおむね、これを完了いたしておるというような実情でございます。平和回復善後処理費は、航空局関係になりますので、そちらの方の担当の方から御説明があると思います。
  23. 大倉精一

    ○大倉精一君 この点に関して、専門員室でいろいろ御研究になっておると思うのですが、専門員の一つ意見があったら聞かしてもらいたいと思うのですが。
  24. 池田修蔵

    ○専門員(池田修蔵君) お許しを得まして、ちょっと申し上げますが、今の港湾関係ばかりじゃなく、ほかの項目にも相当繰り越しがあるのでありますが、先ほど、大倉委員からおっしゃいましたのは、二十八年度から二十九年度への繰り越しでありまして、支出金額に比して繰り越しがあまり多過ぎるのじゃないだろうかという御疑問だろうと思います。そこで、どうしてそういう支出よりも繰り越しが多いというふうな事情が起ったかという御疑問をおもちになっておると思いますが、その原因として考えられますことは、もともと支出できないような過大な予算を積算してあるのじゃなかろうかということも一応考えられますし、予算そのものは過大ではなかったけれども、事務の支障その他の関係で繰り越しが多過ぎたということであれば、その事務の停滞したのはどういうわけであったろうかというふうなこともお考えの中にあると思います。それから、もっともこの中で大部分は明許繰り越しとしまして、国会の承認を得て翌年度に繰り越しますからという要求をしまして、その承認を経た科目が大部分と思いますが、たとえ、国会の承認を得て繰り越しのことを承認を得ておる科目ではありますが、これは運輸省ばかりではございませんが、大体からいいますと、明許繰り越しが少し多過ぎやせんだろうか。たとえば一年度内にこれだけの金が要りますからといって要求しながら、あるいはそのうち翌年度に繰り越すかもしれませんという要求をする、その割合が多過ぎやしないだろうか。一年度内に要る経費は、大体これくらいは一年度内に使いますからという積算でやってやるのですから、多少の繰り越しを予想することは、これはやむを得ないけれども、大体、その割合が多過ぎやせんだろうかということも、多分、大倉委員の御疑問の中にあるのではなかろうかと想像いたしますので、御参考に申し上げます。
  25. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の専門員の発言の点について、一つ当局の御意見を聞きたいと思うのですが、私はこういうようなたくさんなその年度内に使えないお金は、こういう予算は、むしろ、国庫債務負担行為、こういうことでもやれるのではないか。あえて、この乏しい予算の中から、こういうたくさんの使い切れないような金額を計上する必要がないのではないかと、どうもそういう疑問ももつわけですが、そういう点について、もう少し御説明を願いたいと思う。
  26. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 港湾の場合におきましては、大体、安全保障費は接収を受けております施設のかわりの施設を安全保障費によって建設するという場合が比較的多いのでございまして、この場合におきましては、いろいろ予算の折衝をいたすのでございますが、予算の折衝が多少のびのびになりまして、当初は、おおむね、その年度内に完成する見込みで折衝をいたしておるのでございますが、その後過程が長引くに従いまして、翌年に繰り越さざるを得ない、かたがた非常に膨大な工事を短期間にやるということは、港湾工事におきましては技術的に相当むずかしい点がありますので、明許繰り越しで翌年の大体上半期にこれを完成させておるといったような現状でございます。
  27. 山田節男

    委員長山田節男君) 今衆議院の運輸委員会、それから参議院の予算委員会から三木運輸大臣に対する出席の要求がきておりますので、あまりもうおとめすることができないと思いますので、大臣に御質疑のある方は、一つ簡単にお願いいたします。
  28. 大倉精一

    ○大倉精一君 それじゃ大臣一つお伺いしますが、どうも防衛分担金あるいは防衛庁の関係とか、こういう安全保障諸費あるいは平和回復善後処理費、これの繰越金が非常に多いんですな。これは先般の決算委員会においても私が指摘をしたのですが、こういうようなものは、今私が申し上げたように国庫債務負担行為でもできることでもあるし、毎年々々こういうふうなたくさんな繰越金を出すということはどうもふに落ちないところがあるのです。大臣とされまして、やはりこういう予算の編成等について携わっておられると思うのですが、こういう点に対する大臣の御意見一つ承わっておきたいと思います。
  29. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今までありました安全保障諸費というのは、今年度からはもうなくなっているわけです。だから安全保障諸費によって公共事業をやったりするという制度は、もう運輸省関係する限りはなくなっておるのですから、今までのことについて、それは私も今お話を聞きまして、そう必要以上の経費をどうして確保したのか私もよくわかりませんが、しかしいろいろな、それはどういう事情が、そのときどきの事情があったでありましょうから調べてみてよろしいですが、今後は、運輸省に関する限りは、完全保障費によって公共事業をやるという制度は今年からなくなっておるのでございます。
  30. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は大臣にお伺いしておることは、これはやはり予算の決定あたりは閣議でおやりになるので、その相談にものっておられると思うのです。防衛庁関係は、現に本年度は二百三十億の剰余金が出るという見通しであるということも言われておるわけなんです。ですから私は、今の安全保障費とかそういう名目は変っても、そう防衛関係の費用が毎年々々だんだん剰余金が残っていく、二百三十億もの費用が残る、こういうような予算の編成、予算の内容について、こういうような、あまりに本年度に使わないような費用をあえて計上しなくてもいいじゃないか。しかも二百三十億が、片方の方では分担金を二百三十億減らしてもらうと大騒ぎしている。どうも私はこういう点ふに落ちないところがある。従って大臣としまして、先般の予算としまして、翌年にたくさんの繰り越しの金が残るような予算は、これは当初から計上の金額の上において考慮しなければならないのじゃないか。それを考慮するならば、もっと予算は少なくて済む、あるいは住宅関係やそちらの方に回せる金がたくさんあるのじゃないか、こう考えるのですが、大臣一つ考えを伺いたいと思います。
  31. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それはやはり今お話のように、まるまる会計年度に二百何十億もの剰余金が出るという形ではなくして、年度にまたがるいろいろ発注をしてある。それがまたできないがためにそういうことになるような仕組みになっていると私は解釈するのですけれども、全然その当時に使うべきひまがないのに予算だけをとるということは、これはあり得ないことなんで、やはり次年度にまたがってそれが完成しないために支払いがおくれて剰余金の形をとっておると、まあ私はそう解釈しておるのですが、お話のように、これはそうまるまるその年に使わないような剰余金が何百億も残るというような予算のやり方はよくないと私は思っている。それはそういうことではなくて、やはりまたがっておる防衛庁関係費、やはりいろいろな施設の発注などには、そういう形態がやむを得ないものが相当あるのではないか、こう考えておるわけであります。
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういうまたがっておるものは、これは初めからわかっておると思うのです。たとえば、来年度予算で支出をするのだということはわかっておると思いまするが、そういう問題については、いわゆる予算外契約と言いますか、予算外契約をやる。いわゆる国庫債務負担行為でもってやって、本年度のお金はもっとよその方へ有効に使う、こういうことができるのじゃないか、それが本年度に払わないということが初めからわかっておりながら、本年度予算において計上していく、それがために予算外契約ということもあるのですから、翌年のお金で払う、そういうようにわかっておるものは、これは予算外契約によっておやりになって、そして本年度の予算のお金は、これはほんとうに本年度に使用するように予算計上すべきだと思うのですが、その点のお考えはどうですか。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはよく検討してみます。ただ私運輸省関係で見ましても、たとえば外航船舶計画造船をするにしても、やはり昨年度からずっと繰り越しをしてくるのです。だからことしでも百六十億の財政資金を計画造船にもらっておるわけです。それを三十八億は来年に繰り越してくる。一年を限って考えれば、そういうことになりますが、前年度からずっと繰り越しになってきまして、だから考えようによって、一年を限って考えれば、百六十億もらっておって、三十八億来年度に繰り越すというのはおかしいじゃないかということになりますが、ただ船ができ上らないものですから、それは支払いは来年度になっていくのですね。船のような場合で、割合いに長期にそれが完成するようなものには、そういうことがありがちです。防衛庁にもそういう性質のものが相当にあると思いますが、しかしお話の趣旨は私にもよくわかります。今後の予算編成にはやはりこれは研究をしなければならぬ問題の一つだと思います。
  34. 大倉精一

    ○大倉精一君 私そう何遍も繰り返してもいけませんけれども、防衛庁関係でも、たとえば本年度の防衛分担金のやりくりの場合におきましても、予算の中で未契約分がある。特に船舶建造に対する未発注分がある。その金を今度はこっちへやりくりするのだ、そんなものが相当あるようです。いわゆるまたがるというよりは、むしろ予算をとっておいて、まだ発注していないもの、発注できないものがある。そういうものまで予算をとる、こういうことを非常に私は疑問に思ったわけなんです。特に今ここに指摘されるように、支出済みの金額よりも翌年に繰り越した金額の方がうんと大きい、ものによっては三十倍もある、これではどうも納得がいかないのです。従ってこういうようなことについて、将来十分一つ考え願う必要が私はあると思います。
  35. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 決算には直接関係ございませんが、お願いをしておきたいと思います。  御承知通り戦争の犠牲になりました戦傷者でございますが、これがいまだに列車のなかで物ごいをいたすわけであります。これは私ども汽車に乗りましてみるたびごとに、断腸の思いと申しましょうか、御同情は申し上げますけれども、いかにも白衣の勇士といわれた人がああいう姿をして人に物をこうというのは、見るに忍びない。どうか一つ運輸省の方も御監督権があるのでありまするから、将来は一切これを禁止していただく、そのかわりに傷害の補償は厚生省とよく御相談願って、あの人たちの生活のなり立ちまするように御協力を願いたい、こう思いますものですから、どうぞ一つ
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 全くそのように……。最近は私らも一ぺんも経験がないのです。しかし前にはそういう事態相当にございました。これはお話のような非常に複雑な印象を受けることは事実でございます。厚生省ともよく相談をいたしまして、そういうことは何らかほかの方法で……。
  37. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 中にはにせものがずいぶん……。
  38. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 生計の道を考えるようにいたすべきだと、こう考えます。
  39. 岡三郎

    岡三郎君 最後に一つ。最近紫雲丸の犠牲者に対して、これは国鉄当局に聞くのが妥当かとも思いまするが、個個に当ってなしくずしにやろうというようなうわさをちょっと聞いたわけです。それで運輸大臣にお願いしておきたいことは、やはりああいうふうな犠牲になった方に対して、どの程度補償すべきかは、これは非常にむずかしい問題と思いますが、やはり個々になしくずしという形がほんとうだとすれば、そういうことがあってはならんと思うので、大体どの程度ということの限界はむずかしいと思いますが、これについて運輸大臣としてどのようにお考えになり、御指導になっているか、ちょっと聞きたいと思うのでございます。
  40. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは交渉する場合に、どうしてもやはり被害を受けられた遺族の方と個々に交渉する形をとらざるを得ないわけです。それはなぜかといえば、被害者が県も幾つかに分れておるわけです。島根県があったり、愛媛県があったり、高知県があったり、広島県があったり、その人たちが遺族代表というような方々を選出して、団体で交渉するということも、なかなかこれは地域的にも離れておってやりにくいわけでございますから、交渉は個々にする形をとりますが、私が申しておるのは、最高の弔慰の方法を講ずるということと、人によって不公平があってはいけない、もし一番初めに交渉をされた方がある金額で御承諾をされて、その後のいろいろな情勢によって、その金額に変化が起ったときには、最初承諾をされてもうこれで異議がないという捺印をされておるような方にも、その最後に決定をした利益というものはやはりこれは均分するようにしなければならんという指示を与えておりますので、個々に交渉して、初めに妥結をしたがために不利益をこうむるということはいたさない方針でございます。
  41. 岡三郎

    岡三郎君 大体その見込み日数はどの程度でしょうか。
  42. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まだ詳細な報告は聞いておりませんが、十四日に合同慰霊祭がございますので、それまでにこの決定をして、そうして皆さんに、まあこれは償いはできないですけれども、せめてもの償いとして、十四日の慰霊祭までには片づけたいというので、もうほとんど妥結に近いという報告を聞いておりますが、ここでまだ金額はこのようになりましたということを申し上げるのには、ちょっとそういうわけにも参らんと思いますが、大体お話し合いをしまして——遺族の方が上京されたのです、それが先日国鉄と話し合いをして、ほとんど妥結に近いという報告を受けておるわけでございます。
  43. 山田節男

    委員長山田節男君) 大臣はそういうたびたび御出席を願うことができませんから、私からちょっと御質問申し上げます。先ほど御質問申し上げたように本委員会としては、第十九国会以来、国鉄の民衆駅の問題が継続調査一つになっておったのです。で、これは本委員会が非常に慎重に審議いたした結果、この民衆駅の問題については、国鉄当局として民衆駅運営委員会あるいは固定資産の管理規程を改廃したり、いろいろいたしましたが、民衆駅というものが、国鉄当局として資金がない半面、老朽の駅舎が年々ふえてくる、これを改築あるいは新しく建て直したいために、いろいろ資金上困るからというので民衆駅という制度を始めたわけなんです。ところがわれわれ再三本委員会として注意を喚起いたしましたが、たとえば東京駅のごときも、あれほど人のたくさん出る、夕方の八時から十時くらいになると乗客がたくさん腰を下して待っておるわけです。そこでいすもなければ、待合室らしいものもないじゃないかというので、われわれが指摘して、名店街のたしか証券会社だと思いますが、それをあけさせて、休憩所の増設をやらしたわけです。ところが、大臣も御存じだと思いますが、民衆駅制度というものを国鉄が実行いたしますと、たとえば東京ステーション、京都、金沢、富山、札幌、あるいは東京都におきましては秋葉原、池袋、高円寺、これをわれわれは実際に行ってみたわけであります。どうも乗客本位の駅ではなくて、全くイコール構内営業ということになっちゃって、いわゆる乗客に対するサーービスというものが、とかく、ないがしろになってしまうのじゃないか。これは本委員会として幾度も問題になったわけです。これは監督機関である運輸大臣として、こういう民衆駅制度に対する、これは民主党並びに鳩山内閣運輸大臣として、これを一体どうなさるというお考えか、きわめて簡単でよろしうございますから、一言伺っておきたいと思います。
  44. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はこういう考えを持っておるのです。民衆駅制度そのものが悪いとは思いません。国鉄の資金も駅の改築などにはなかなかないものですから、ああいう民間の資本を入れるという形は、そのもの自身としては悪いと思っておりませんが、しかしながら、これは、たとえば東京などに次々にああいう民衆駅という形でデパートなどと組み合せて駅を作るということに対して、私は消極的な意見なのです。それはなぜかというと、一体、東京の都市交通というものは将来どうなっていくのか。これが非常な大きな計画があって、これは将来東京の人口がどれくらいに伸びていくかということも考えられるわけです。すでにやはり都市交通の問題というものは大きな問題を投げかけていると思います。そういうふうな将来の都市交通をどこへもっていくという、これは単に運輸省のみならず、ほかの省とも関連がございますから、そういうふうな交通計画と申しますか、都市交通の計画ができ上って、そういう上に立ってこの民衆駅ということも考えないと、今御指摘のように、ただいろいろなデパートなどを中心にして駅というものを作っても、それがどういうふうに、都市の交通量がこれだけにわかに増大したものをさばいていくという計画の上に立たないと、それは一つの永久の建造物でありますから、非常な不便が出てくるのじゃないかと思います。そういう点で、これは都市の交通の将来のあり方という青写真ができて、その上に立って民衆駅というものも考える必要があるのじゃないかということが一つ。  それからもう一つは、これは駅ができると大ていデパートということになるのですが、ただ民衆駅ができるからそれによってデパートでいいというものでもなかろうと思う。デパートというもののあり方も、これは、やはりいろいろ中小商工業者の見地からも考えなければならぬ。そういう点で、原則として民間資本を入れてやろうという考え方は、これは悪いものではございませんけれども、ただ民衆駅、民衆駅ということで、駅が新しくなって、美しくなっていったらいいというような考え方だけでは、これはできないのじゃないか。いろいろな角度から、今後民衆駅というものについてはもっと慎重に検討を加えていくべきものであるというふうに考えておるのでございます。
  45. 山田節男

    委員長山田節男君) 運輸大臣としては、将来の国鉄、私鉄を含めて、ああいう鉄道の交通が一体どうなるか、これはまだ日本は道路が非常に悪くて、国内航空も発展してないという現状で、鉄道輸送に対する依存力が非常に強いわけです。ところが将来やはりどうしても道路をよくしなければならぬ。国内航空を発展させなければならぬ。そういうことになれば、鉄道による、ことに乗客の輸送、これは時代の趨勢から見れば当然悪くなるのは当りまえのことです。そういう全般的に見て、鉄道というものが、貨物輸送においてもそうでありますが、ことに乗客の輸送については、将来はますます減るということは当然なのです。そういう趨勢にあって、いかに老朽の駅舎とはいえ、そういったような複雑な、しかも私契約か公契約かわからない、法的に疑問になっておるようなものを、どんどん動産、不動産というものに対して契約をしてゆくということが、国鉄の行き方としてこれがいいかどうかということは、これは運輸省として十分高い見地から考えなくちゃいけない。こういう点に対する御答弁はなかったわけですが、本委員会で問題になっておる一つは今大臣のおっしゃったことと、それから今私の申し上げたことが将来どうするのか、国鉄の自主的な経営としてそういうことをしていいのかどうか、もっとやり方があるのじゃないかということが、本決算委員会としていろいろ意見も出、また勧告も出たわけです。この点は一つ大臣として長い目で見て、一体これをどうするのだということを御研究願って、なお国鉄決算は迫って二回にわたってやる予定でおりますから、国鉄当局意見もあると思いますが、運輸大臣としてこれをどうするのだということは十分一つ御研究願って、その具体案ができましたならば、一つ委員会にもお示し願うようにお願い申し上げます。  それでは三木運輸大臣には……。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 せっかくの機会ですから、私は大臣に大まかなお考えだけをお伺いしておきたいと思いますが、最近における交通運輸関係状態が、私は非常に憂慮すべき状態が出てきておると思うのです。たとえば卑近な例は、東京都におけるところのタクシー料金のダンピング競争、あるいは依然としてあとを断たない名義貸しの問題、あるいはまた自家用車の全国的なやみ輸送がはびこっておる。あるいはまた相次ぐ交通事故の頻発、これは私は運輸行政上何かよってきたるものがあるような気がするのです。従って運輸大臣といたされまして、こういうような問題について、一体どういう原因がそこにひそんでおるのか、そうしてこういうものを根本的に、輸送秩序を確立ぜんがためには、どういうような将来構想なりあるいは措置をしてゆこうかというような一つのお考えがあったら、この際お聞かせ願いたいと思います。どうも最近は、端的にいうならば、監督官庁は業者からなめられておるというような形が見えるのです、極端な言い方をすれば……。だから、料金を五十円に値下げする、平気でそれをやっておる。これがだんだん発展すると、たとえば定額料金とか認可料金をもらっておるものが、平気で、二割割り引きますといって町の中を走っておっても、監督官庁としてどうにもならない。あるいは名義貸しを大ぴらにやっておることは運輸省はよく知っておる。知っておってもどうにもならない。こういうようなことをどんどんやっておって、ただ、ときどき町に立って摘発するだけで、どうもお手あげで処置なしというような現状だと思います。ですから、私はこの際、ますます交通量のふえる現状下におきまして、こういうような原因について一つ運輸大臣としても、どこにこういう原因があるか、これをどうしたらいいかというお考えがあったら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 原因というものについては、やはり考えられるのは、需給のアンバランスということがあると思います。需給のアンバランスといいますのは、やはりいろいろな点で生活がなかなかほかにいい仕事もない。人口過剰からくる生存競争の激しさというものが、やはりほかにもう少し安定した仕事が簡単にありますれば、これは皆各事業というものが本当の経済的な正当な競争、フェア・コンペティションでゆけるんでしょうけれども日本のような苦しい経済条件のもとにおいては、何かやはり簡単な仕事というものは、じきに過剰になる、これがちょっといけるというと、ぐっとそういう方面にそういう営業をされる人たちがふえまして、根底には日本経済の持っておる弱点のしからしめるものだと私は思っております。しかし、そういっては済まされないので、自動車の問題については、タクシーもいろいろダンピング競争などがあって、御迷惑をかけておるわけでございますが、こういうものに対しては、近く全業者を呼んで、たとえば駐車場の制度を設けていろいろやるとか、あるいはまた需給の調整もある程度しなければなるまい。無制限に車をふやしてゆくような状態はますます競争を激しくしますから、需給の調整あるいはまた駐車場の制度、こういうものを通じて、このタクシーやハイヤーの事業というものが、企業としてできる限り安定してやってゆけるような方法を講じたい、近く全業者を呼んでそういう方法で指導してゆきたいと思うのであります。何分にも、道路運送法で運輸大臣監督をしておるのですけれども、ああいうタクシー、ハイヤーの料金というものは認可制度になっております。だから向うから申請が出て来ないとどうにもできない。運輸大臣がちょっと運賃などを指定することは少し無理な気がするのです。道路運送法はそういうことができるのでありますけれども、それは公共の福祉のために業務命令を出すことができるのですけれども、なかなか運賃を、たとえば運賃を適正に上げたり下げたりするということを公共の福祉と結びつけることが、なかなか法律解釈としてもむずかしい点があったりして、向うから書類が出てこないとどうにもできない。監督権はあるのだけれども、書類を出さんと言われたら、それまでだということで、道路運送法に対しても今検討を加えておりますけれども、そういう点からいって、なかなかちょっと混乱を始めると、運輸大臣の権限というものが、それをおさめる権限が非常に不備な点もあるわけでございます。そういう法制的なあるいは検討を加えなければなりませんが、根本的にいえば、もう少しやはり需給の調整をある程度やるということと、もう少し影響が、何と申しますか、日本のようなガソリンもみな輸入するような国で、みな国民の方々には御便宜な点もあると思いますが、あんなにブウブウ走り回っていいものであるかどうか、もう少し駐車場制度などによって営業がやれないものであろうか、いろいろなことを考えて、これは政府が強権的にというよりも、好ましいのは、自主的に、業者自身も結局は自分の首をくくることでありますから、自主的にそういう企業が安定するような方策をみずから考えることが好ましい。そういう自主的ないろいろな点も業者の案も聞き、また監督官庁としての運輸省の見解も述べて、これをできる限り安定した企業に持ってゆきたい、こう考えておる次第であります。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも私も。
  49. 山田節男

    委員長山田節男君) 簡単に願います。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 疑問を持っているところが解明されないと思うのです。それで今大臣のお話の要点は、需給のアンバランスから生じてくる、これはひいては国民経済の問題だというお話があったのですが、このタクシーあるいはトラック、これについては、いわゆる需給のアンバランスにならないように、不当競争にならないようにということで免許制度ができておるわけです。あるいは認可制度ができておるわけです。従ってあの制度を、あの精神にのっとって審査をして、免許をし、あるいはこれを却下をするということをやっておれば、そういうアンバランスは出てこないわけです。それで、ちゃんと法律があって、それをおやりになっておって、しかもこういう混乱が出てくるというところに、私は何かそこに根本的原因があるのじゃないか、たとえば運輸審議会において審議される、そうして免許あるいは却下を決定される、そういうことをおやりになっておって、そうしてこういう問題が出てくる。私は逆に言いますと、こういうような需給アンバランスができて、不当競争が起ってそうして業者も迷惑をする、あるいは一般国民も非常な危険な思いをして迷惑をする、こういうことにならんように、免許制度というものがあって、十分審査をなすって免許をなさる、免許のあとでこういうような事態が起る、一体この責任はどこにあるのだ。業者にあるのか、免許をする方にあるのか、どこにあるのかということになってくるわけです。私はまあ免許される一つの権限といいますか、そういう任務がおありになれば、それに対するところのやはり結果に対するところの責任もおありになると思う。従って私がお伺いしておるのは、この交通運輸関係は非常に公益性がある大事なものであるから、需給のアンバランスにならないようにという法律に基いてなされておったのですが、それがどうにもならない、名義貸しもふえておる、ここに私は何か原因があるのじゃないか。そうして、それに対する運輸省責任ということもやはり伴ってくるのじゃないか。こういうことに対する大臣の見解をお伺いしておるのです。きょうはその見解をもう一ぺんお伺いして終りますけれども、もう一ぺんお願いします。
  51. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この需給ということの一つのむずかしい要素は、そのときの経済状態も影響するのです。やはりインフレ的な傾向を帯びたときには需要が多いのです。デフレ傾向を帯びると利用度が少くなって、需要というものが算術で割り切るような計算にはいかんと思うのです。しかしまあ今のような経済、横ばい状態の経済状態のもとにおいては、私は新しい車、増車は認めない方針をとりたいと思います。現在のデフレ、今のタクシーやハイヤーをこれ以上ふやすという方針はとらない。そして、今までには多少やはり、今まででも車は多い感じがあります。しかしこれはやはり、これを減らすというような権限はないのであります。今まで免許したものを、そいつを減らすという権限を持っておりませんから、そういうものは、やはり、ある程度業界の自主的なもので車のある程度の需給調整ということは考えられるでしょうが、あまりこれが極端になると、国民に対して、非常に利用者に対して不便を与えるわけでありますから、だから、私が監督の立場にあるものの立場としては、これを当分、将来新しい必要が起ってくれば別ですが、新車とか増車というものはこれを認めない方針でいきたい。そういう形で、たださえ、今でさえ多いと言われているのに、さらに無制限にああいうタクシー、ハイヤーの車がふえてくるような事態は、ますますそういう企業の安全を阻害していきますから、そういう方針のもとで業者と話をして、これが合理的な経営をできるように指導をしていきたい。権力というものはほとんど、運輸省が指示する権限というのはほとんどないのですから、これはやはり業界の自主的な立場、それが公正なものであれば、われわれも協力して、これを安定ある企業として持っていくというほかに方法はないのです。そういうことについて私ができることは、新車や増車はしない、そういう一応今の車の範囲内においてこれをどう安定していくかということについて、業者の意見も聞き、われわれの協力のできる面は協力をしていきたい、こういう考えでございます。
  52. 山田節男

    委員長山田節男君) どうでしょう……。長島君のは関連質問でございますか。
  53. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 私のはごく簡単に。
  54. 山田節男

    委員長山田節男君) 大臣に対する質問はこれを最後の質問にいたしますから。
  55. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 大臣がせっかくいらしておられるので、ちょっと一つだけ承わってみたいのですが、今、大臣の口から大衆の福祉のためにというお言葉がありましたので、その点で伺いたいと思うのですが、私は住んでおるところが近いために、たびたび東京都内を往復するのでありますが、この間乗りました幾つかの例、汽車の中の例でございますけれども、熱海近辺から非常にたくさんの二等車の切符を持って乗客が一ぱいになってふえるのであります。各列車ごとに、その列車に乗りまする車掌と申しますか、検札と申しますか、その方があまり大勢の場合に、自主的に、これは皆さん立ってお乗りになっておるから、お気の毒であるから払い戻しいたしましょうと言って、ずっと回って歩く。そうしてその証明書あるいは伝票を切っておる人があります。そうかと思うと、幾ら混んでおっても知らん顔をして、前に腰かけておる人が三等の切符で乗りまして、そのほかにたくさん二等の切符を買って立っておる人があるにもかかわらず、この伝票を切りかえまして、そうして二等車で立っておる人をしり目にして三等車を二等車に切りかえて料金を取っておるというような現状を見るのでありますが、そこで大臣は、この大衆の公益のためにというお言葉でございましたので、どういう御指導方針をとっていらっしゃるか。道徳的にどういう方針をとっておるかということを一つ承わりたいと思います。
  56. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは先ほどお見えにならんときに申し上げたのですが、そういう実際列車の運営についてわれわれがやはり監督の立場におりますけれども、そういう場合の処置などについて、これは国鉄に任してあるわけでございますが、やはりこれはある程度定員ということを考えないと、二等並みの高い料金を払って、そうして、すし詰めにされるということは不合理があって、良識としては最初一人の車掌がそれを払い戻しするという方が良識だと思います。なかなかしかし、それはどの程度混んだときにそうするかということになって来ると、なかなかむずかしい問題で、あるいは駅においても二等は満員だから一つ三等を買ってくれという指導をする方が良識かもしれません。駅において満員なのに切符を売ったりしないで、これはやはり一つの基準をきめて、この場合には払い戻しが適当であり、その場合には適当でないというよりかは、やはり駅の切符売場などにおいてもそういう状態を見てこれは処理しなければならん問題もあって、なかなか一概に基準をきめては申しにくい問題だと思います。これはしかし良識で処理をすべき課題一つであって、非常な不愉快な状態で乗って、まだ二等料金を取るということの不合理は、お話の通りだと思います。こういうことについては国鉄注意を与えることにいたします。
  57. 山田節男

    委員長山田節男君) 御苦労様でした。どうぞ御退席願います。  先ほど御報告申し上げましたように、運輸省からは、政府委員として梶本会計課長多田考査室長、甘利船舶局長、粟沢海運局長、島居海上保安庁長官、海運局海運監査室長鈴木君等がお見えになっておりますので、御質疑を願いたいと思います。なお運輸省側におかれて、先ほど運輸大臣説明をされたのですが、その説明に対して補足的な御説明の御希望があれば説明をお願いいたします。ございませんか……。それでは順次御質疑をお願いいたします。
  58. 白井勇

    ○白井勇君 私、会計検査院にちょっと伺いますが、御指摘になりましたその約百件ばかりの不当事項ですね。それに対しまして政府から説明書を、その説明書の何か特別に未解決の問題これこれはこういうふうになりましたという報告運輸省からありましたかどうか。それからまた、特にその後その処理につきまして督励を加えられましたようなことがあるかどうか。
  59. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 説明書はここに運輸省から出まして、お手元に行っておるはずであります。これは別に会計検査院とは意見の対立を来たしておるものはないと思います、運輸省は。それから私ども検査で見つけまして、金を返しますとか手直しをするとか、こういう報告があるのであります。それで、従来はそのままに実はしていたわけであります。向うの言明を信頼しまして、そのままにしておったのですが、ところがどうも、あとで翌年の事後検査などのときに、たまたま前年度に見つけました工事などを見ますと、偶然でありますが、たまにですが、そういうのを見ますと、手直しをいたしますとか、あるいはいたしましたとか、さっぱりしていないというようなのも、ぼつぼつ実は出たのであります。それで昨年から……今年もいたしましたが、手直しをした、あるいは手直しをする、こういうものを拾いまして、これは運輸省に限りませんが、農林省建設省運輸省各省の分をまとめまして、事後検査なり、査定調査などに行きましたが、片手間に見るということはできないのでありますが、専門に事後処理の再検査と申しますか、そういうようなことをやっておるのであります。運輸省も実はあまりそう成績がよくないのであります。運輸省の例から申しますと、手直しをしましたというのが百三十一件ほどあったのですが、この中から五十六件ほど選びまして、一回りくらい回ったわけでありますが、このうち完全に手直しをし工事の完了していたというのが二十五件、約半分であります。あと工事中それからまだ未着手というような状態、これなどはまあしかし、ほかの省に比べると、この比率はいい方でありまして、ほかの省はもう少し悪いように承知しております。結局手直しをしますと言いましても、実はなかなか手直しをすると金がかかりますし、なかなかやりかねるという面があるようであります。今のような状態、しかも工事中の中には、会計検査院で行きますという通知を出してから急いで着手したというようなのもぼつぼつ見られるようであります。
  60. 白井勇

    ○白井勇君 運輸省に伺いますが、今の問題と関連して、説明書の中にあります、あなたのほうの政府側の説明でありますが、そのうち完了したという言葉があるわけでありますが、完了したというのは、これは運輸省としまして、直接現場というよりも、確かめまして、なるほど完了したというふうに御確認をされるのでありますか。あるいはそうじゃなく、県なり事業主体からただ報告をそのまま受けましたものを、そういうふうに政府側に報告をしましたものが、ここに説明書になりますのですか。
  61. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 府県が市町村を監督しておるのでございますが、報告に基きましてその判定を下すわけでございます。
  62. 白井勇

    ○白井勇君 判定を下すということが、あなたの方で現場に行って、なるほど報告と間違いないということを御確認されたものか、そうじゃなしに、原則的には、特にそれがひどいのは確認されることがあるかもしれませんけれども、大体通念としては、県なり事業主体から報告がありますれば、それをそのまま信用して集計したものがこういう説明書になりますものですか。
  63. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 御説の通りでございまして、府県を平素督励いたしておりまして、府県からの申達はおおむねそのまま了承しておる次第でございます。
  64. 白井勇

    ○白井勇君 その点はわかりましたが、もう一つ運輸当局に伺っておきたいと思いますが、この説明書の中に、三月二十日で完了すべき予定とか、あるいは手付け中で近く完了する所がたくさんあるのですが、このうち完了してしまった、片がついたというのが相当あるのですか、一々お話願う必要はありませんけれども、大体どういう傾向にあるのですか。
  65. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 完了さすように督励はいたしておりますが、いろいろ報告を自後の実際の模様を聞いておりますとおおむね半分程度だというふうに聞いております。
  66. 山田節男

    委員長山田節男君) 海上保安庁長官にお伺いしますが、海上保安庁決算は前に比べて非常に改善されたように言われているのですが、これは相当職場が、職場と申しますか監督しなくちゃならん場所が非常に多いということ、それから監督の対象が移動性を持っているという特性がある、こういったようなことに対して、最近何か特別の、海上保安庁だけの事務監査といいますか、内部監査といいますか、何か新しい方法を考案されているかどうか。現在行なっていらっしゃることで、参考になるような点があれば一つお示し願いたい。
  67. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 今年は何もございませんで、まことにけっこう、ほめられておるのでありますが、昨年まではいろいろ御指摘のような問題もございましたので、当時からわれわれ幹部の者も下の者も一致して、何か名誉挽回しなくちゃいけないというので、会議のつど長官から訓示をやりますと同時に、監察官制度というものを設けたのであります。それは年一回また二回、全国にわたりまして、綱紀の粛正やら、あるいは会計の監査はもちろんでありますが、いろいろな各分担をきめてわたって内部監査をやっているのであります。また一面、会計の事務におきましては、海上保安庁ができました当時は不なれなものが多かったので、いろいろと事故もおきましたので、中央に呼びまして講習をやりました。こういうこともやりました。また、もちろん現場におきましては、現場をしていろいろな内部監査をやるというような、いろいろな方法を講じて、できるだけ事故の絶滅を期しまして、やっと本年何もないような結果を得たようなわけであります。
  68. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  69. 大倉精一

    ○大倉精一君 この一般会計指摘の中で、モーターボートの納付金について、だいぶ未納の額があるようですが、現在この分についてはどうなっていますか。
  70. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 現在もやはり相当の未収のものがございますが、これは運輸省の会計課長が徴収官ですが、私の方も監督官庁の立場といたしまして再三今までに、すでに五、六回通牒も出しております。あるいは現地の施行者の幹部を呼んで口約をとり、あるいはいろいろな注意をし、あらゆる手を尽しておるのですが、依然としてまだ芳ばしくないのであります。その原因は、私たちが考えますのに、ほかの競輪等に比べて一般に売上高が少い。従ってまあ、いろいろな競走会の経費に回すもの、あるいは主として、このあがりから、いろいろな道路あるいは学校等の建築もやっておりますが、いろいろのものに回す方に急で、国庫納付金に回すのがあとになるというような実情もありましょうし、また競輪に比べて幾分悪いのは、率が一律に売り上げの百分の三ということになっていますが、競輪の方は売上高に応じて百分の一・五から百分の四ですか、こういうふうにいろいろ段階をつけております。こういう点が未収納の幾分なりとも多くなっている理由じゃないかと思いますので、こういう点についても今後研究して、できるだけ早急に過去の未収納金を早く納めさすと同時に、今後かようなことのないようにしたいと考えております。
  71. 大倉精一

    ○大倉精一君 この二億九千八百余万円の査定と、それから近畿海運局決定額三千二百余万円、これは現在全部完納されておりますか、どうなっておるのですか。
  72. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 六月一日現在においてまだ残っております。
  73. 大倉精一

    ○大倉精一君 どんなものですか。
  74. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 私からお答えいたします。  近畿海運局の分がその中でも一番多うございまして、収納未済額が非常に大きいのでございますが、申し上げます。滋賀県が八百二十万。長浜市が百十四万。彦根市が百十六万。大津市が百三十万。大阪府郁市競艇組合というのがございますが、これが千九百万。それから武生、三国のモーターボート競走施行組合というのがございますが、六百八十万。これが近畿海運局の総合計でございます。ここが一番中でも大きい額を占めております。  以上であります。
  75. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の聞いておるのは、九十八万が昨年の十一月現在の収納額である。その後において、現在においてこれがどれだけ納まったか。そうして、その金額の二億九千八百余万円、これに対して一億五千六百余万円が収納してあるといっておるのですが、現在においてこれがどれだけ未納になっておるか。こういうことを一つ伺いたいのであります。
  76. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) お手元会計検査院から出ておりますのは中間報告でございますので、その後ごく最近に調べました数字を申し上げます。徴収決定額が総合計が三億八千六百四十四万三千五百十一円、これが徴収決定額でございます。そのうちで納入になりました分が二億七千四百八十四万八千六百六十一円、従ってまだ未済の額が一億一千百五十九万四千八百五十円、こういうことになっております。従って、最も新しい数字といたしましては納入未済のものが一億一千百万円、こういう状態になっております。
  77. 大倉精一

    ○大倉精一君 今のお話しは、会計検査院指摘の二億九千八百余万円とどういう関係にあるのですか。
  78. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 徴収決定額と申しましたのは、三十七年度と二十八年度と、今までモーターボート競走が始まって以来の分を申し上げましたので、従って、この報告書は二十八年でございますので、今までの総合計を私が今申し上げたわけでありますので、ですから数字があるいは少し違っておるかも知れません。
  79. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、こういう多額な未納がなかなか解決がつかないということなんですが、これは納めなかったらどうなるのですか。
  80. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 一般の税と同じような方法がこの納付金についてはございませんので、結局何回も何回も督促をして納めるようにさせるということしか、今のところ方法が残されておりません。
  81. 大倉精一

    ○大倉精一君 督促をして、なおかつ、なかなか納めない、また督促をする、まだ納めない、また督促をする、もう少し待ってくれ、こういう状態がずっと続いた場合、運輸省として何かこれに対する処置がおありになるのでしょうか。
  82. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) ただいまおっしゃる通り、もういろいろこれを繰り返しておるわけなのでございまして、本省から出向いて行って、直接組合へ行ったり、市へ行ったり、また出先きの近畿海運局、この場合は近畿海運局が一番多いのでございますが、他の海運局を通じまして、直接行ってかけ合いをさしたり、まあ、ありとあらゆる手を使っておる、尽しておるつもりなんでございますけれども、もうすでに船券として売り出して水揚げになったものをほかの方へ回してしまっておるというふうなことで、われわれとして一生懸命やっておるのでございますが、実に弱っております。
  83. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもおかしいと思うのですが、ありとあらゆる方法なんて、そんな方法はないと思うのです。ありとあらゆる方法ということは、ただいまあなたがおっしゃるように、方々へ行って一つ納めてくれと頼んでくるだけがあるだけで、ありとあらゆる方法なんというのは私はないと思う。そこで、これは明らかに昭和二十六年法律第二百四十二号によってきめられておるものであって、これは明らかに法律違反です。何ら処置なしということであれば、これは納めない方が勝ちだと、こうなれば納めない方が勝ちだ。特に三千二百余万円のうちわずかに九十八万円納めて涼しい顔をしている、あるいは二億九千八百余万円のうち一億五千六百余万円納めているだけで、そうして知らぬ顔をしておる。運輸省としては処置なし、結局お手上げの格好ですか、簡単に言って。それとも、もっと、ありとあらゆるほかの方法がおありになるというのか。その点がどうも納得のできないところがあるのですが。
  84. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) 非常にどうも私の表現がまずかったかもしれませんが、この法律で強制的にあれをするとか、たとえばそれを差し押えするとかいうふうな、他の租税等について認められているような方法がございませんものですから、そのほかの方法で結局いろいろの手を尽していると、こういう意味でございますので、結局お手あげというあれじゃございませんのですけれども、督促するがなかなか納めないと、こういう状態でございます。
  85. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは、はなはだしい滞納の場合、それを中止させるということはできないものですか。監督者として、そういう権限あるいは措置はないものですか。
  86. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) この法律に、施行者なり、競走会あるいは競走会連合会が、この法律あるいはこの法律に基く命令等に違反した場合には、そういう団体に対して、あらかじめ戒告をした上、勝舟投票券の発売の停止その他必要な措置を命ずることができるということでありまして、発売停止をすることができるわけなんですが、しかし納めない者にさらに発売停止したら、ますます納めるもとがなくなるものですから、こういう法律としては、結局、今、会計課長が申しましたように、再三注意をし、あるいは戒告をする程度で、終局の目的としては、どうしても納めない者に対して最後の手を打つことはなかなか困難でありますが、実際問題として、現地の競走地に徴収官が行っておりまして、そこで現金収入のあるものでありますから、そこで最初に国庫納付金を取り上げればいいのでありますが、そういう措置が法的に裏づけができてないものでありますから、ここに非常に困難があるのでありますが、実際私たちも、この措置に関しては困っておるし、現に責任者を呼んで会議をしますと、いついつまでに納めますと言って帰るわけです。そうしてその時期になって催促しても納めないというのですから、相当悪質には考えるのですが、今申しましたようなことですから、今後またこういうことであれば、一段と、もう一ぺんほかの手を一ついろいろ考究してみたいと考えております。
  87. 大倉精一

    ○大倉精一君 今の発言の中で、私は非常に重要だと考えることは、発売を停止すればますます納まらないことになる。だから、それもできぬというお話ですが、これはちょっと根性がきたないのじゃないか、そういうことで、こういうものをみすみす見のがしておいて、そしてちょっとでも取ってやろうというようなことであったら、もうそれこそ私は監督官庁はなめられてしまうと思う。そういう、りっぱな法律があれば、こういうはなはだしいものに対しては厳然とした態度をもって臨んでもらう、それによって初めてモーターボート競走に対する取締りなりあるいは戒告ができる。それが現地に行って上の権限でにらんでおって、そうして引っさらってこようというような、そういう考え方の監督指導方針が非常に問題になると思う。一般事業者では、これは税金を納めなければ差し押えをやられるというひどい目に会っておるのだが、こういうものだけが特権階級として治外法権として、そうして納めない方が得なんだ、そういうことになったら大へんなことだと思う。ですから、私は九十八万円納めて、あと、とれないでもしようがないと思う。社会秩序のために、それを発売停止すると、ますます入ってこないといったような、そういうことになれば、ますます秩序は混乱し、ますますその滞納の金額が多くなってくる。こういうふうに思うのですが、今の御答弁で、どうもその辺が私は納得いかないのですが、どうですか。その辺は。
  88. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) たしかに先ほどの答弁ちょっと私も失言と思いますから取り消します。ただ先ほど申しましたように、非常に困難な事情にありまするが、私自身も、大倉委員のおっしゃる通りに、不合理を平素から感じておるものでありますから、皆ともう一ぺん相談しまして何らかの措置をとりたいと、こういうふうに考えております。
  89. 大倉精一

    ○大倉精一君 最後に一言だけお伺いしておきたいのですが、そういう法律があって、今までずっとこの法律ができてからこういう現象ができておるのですが、そういう発売停止なり何なりという措置が少しも発動できなかったという原因は、ほかに何かおありになるのですか。
  90. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 別段発動できなかった原因はありません。ただし、なかっただけでありますが、十分考えた上で、一つ、もしやむを得ない場合にはこういう措置もとって、今後のあれにしたいと考えております。
  91. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで、やむを得ず今までやってきたのだが、今後は発売停止をする、七億円という国損が出るということになれば、もっと早くその措置をやっておけばよかったのだが、こういう、さっきおっしゃったような考えもおありになるとすれば、そんなようなことで、当然なすべきことを監督措置をやらなかったということで国損を生ずる、その責任はどこにあるのですか。
  92. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 従来たびたび督促して、取れるものと思っておったのですが、どの程度まで督促して取れるか、あるいは今後督促して取れないのか、それのけじめが、はっきりいたしませんので、そういう点は、今まで停止しなかったから取れないというのでなくて、その辺は、なかなかむずかしいところだろうと思いますが、十分研究いたしまして、措置をとりたいと思います。
  93. 大倉精一

    ○大倉精一君 滞納利子はどうなっておりますか。
  94. 梶本保邦

    政府委員梶本保邦君) それが非常にお叱りを受けるかもしれませんが、利子がつかないのです。そこにやはり問題があるのじゃないかとも思います。
  95. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の問題に関連して。私は、せっかくこれだけ決算委員会で問題になっているのですから、この問題の処理として、当委員会に皆さんから率直な意見を出していただきたい。それを要望しておきます。つまり抽象的な意見でなしに、実際の実務者として困っておるのは、法律にこういう点が不備なんだ、そういうことを明確に出していただきたい。それから特にここに名前が上っておる問題でも、近畿海運局の成績がきわめてよくない。今の会計課長の話を聞くと、なかんずく滋賀県関係が非常に悪いが、それは一体どこに特殊の原因があるのか、その二点をお尋ねします。
  96. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 今のあとの方の御質問に対しお答えしますが、今ここにあげられておる近畿海運局の関係は、一般にほかに比べて非常に売り上げが悪いのであります。たとえば彦根、長浜、大津、これらは二十九年六月以降、片方は四月以降競走を停止しております。それから大阪府都市競艇組合、武生、三国モーターボート競走施行組合、これらはいずれも経営難であります。そういう事情で、国庫納付金が納められない、そういうことも一つの理由になっております。
  97. 石川清一

    ○石川清一君 今の飯島委員の御発言で大体尽きると思いますが、私は先ほどの答弁を聞いておりましても、ほんとうに誠意がないと思う。今御質問に答えられたように、一定の艇券の売り上げがなければ納付するだけのベースに乗らないのだ。だから乗るまである程度待っておるのだ。あるいは主催者側に協力するのだ。どこの競艇場はこの程度の売り上げがあってべースに乗ったから、だんだんふえてきた、こういうような一つのやはり企業ですから、それを見守るだけの態度と責任を持った説明があってしかるべきだと思う。  もう一つは、やはり未納のところは、その法の脱法を、どこか自治体か議会が扇動して、納めぬ方が得なんだ、こういうような点もやはり一つの世論を聞いて明らかにする必要があると思う。それからまた、同じように、特定の職員が請求に行っても効果があがらないのだ、だから、それは何回か人を変えてやったら効果があがったのだ、こういうような、とった態度の具体性を、私はやはり今の質問に対しては示すべきだと思う。ただ寄って研究するというが、もう四年目でしょう。そういうとった例はないでしょうか。
  98. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) たとえば名古屋の海運局の例なんかをみますと、これは本省から督促にいくというような通牒を発しただけで特に納めたということであります。これはわれわれとして具体的にそういう措置をとって、納めた例でありますが、ただ今問題になっておる大阪地区は、これは市長なり、関係者をたびたび呼んで強硬な措置をとったのですが、依然として納めません。またほかの同じような都市、片方では相当収益が上っておる、片方は上らないから納められない。結局競走会の宣伝なり、その方法が悪いのですが、片方はこういうような方法でやっておるから、お前の方ではどうかといろいろ指示もしておりますが、今の大阪管内は全般として比較的最近にできた競走場ですが、地勢その他の関係もきっと悪かったのではないかと思います。今申し上げたように適当な措置によって納めたところもありますから、いろいろそういう方法を講じて、もう一ぺん督促いたしまして、その結果について、もし納めなければ、また先ほど申しましたように、どういう措置をとるかということをさらに研究した上でとりたいと思います。
  99. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと、ふに落ちないところがありますから、もう一ぺんお尋ねしますが、べースに乗らないからベースに乗るまでもう少し見てやるということもあったのですね、一つの方針として。そうしますと、徴収決定額はだれが何を基準にきめるのですか。
  100. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 経営不振だから納付金が納められないというのはちょっとおかしな言い方ですが、納付金は売上高の百分の三と法律にはっきりきまっておるのですから、売り上げが少なかろうが、多かろうが、あるいは経営不振であろうが、当然納めるべきものであります。
  101. 大倉精一

    ○大倉精一君 ですから、ベースに乗る、乗らぬということは論外だと思います。ことに、その月、その年の売上高の何分の一を納めればいいということだと思います。ですから、経営に乗るとか乗らぬということは、これは納付金とは別なのですね。関係ありますか。
  102. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 私の申し上げたのは、経営不振の場合には、競走会の費用、差し当ってやむを得ない費用の方に支出するために、どうしても納めずらくなるということなのです。そういう意味で申し上げたので、法律の建前からいけば、いかに支出が多くても、まず最初に国庫納付金を納めるべきだということは言い得ると思います。
  103. 大倉精一

    ○大倉精一君 運輸省としては、大体経営状態も勘案して、優先納付すべきものだが、やむを得ない場合にはほかに回してもよろしい、極端に言えば、そういうこともやむを得ないという方針をとっておられますか。
  104. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) そういう方針はとっておりません。
  105. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうも先ほどのお話を聞いておると、まあ、それもやむを得んじゃないかという人情味がある御発言のように思われるのです。それで、そういうふうになると、滞納も無理からぬことだ、こういうようにも考えられるのですから、これはあなた方が義理人情とは別な意味で、法律できまったものですから、やはり監督者の責任として、国家に対する責任として、これは優先的に収納しなければならぬと、私はそう考えるのですが、今のあなたの御発言ですと、経営難の場合には、ほかに回しても仕方ないというお考えがあるように思うのです。もう一ぺんそこのところをはっきりして下さい。
  106. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 先ほど申しましたように、直接の徴収官は会計課長なのですが、われわれ監督官庁としていろいろとり得るだけの措置をとっておるわけです。いろいろ言葉の中に経営難云々というようなことを申し上げたかもしれませんが、決してそういうことを理由にしてしんしゃくしておるわけじゃなくて、徴収官とともにできるだけの措置をとっておりますし、決してなまぬるい措置はとっておらぬつもりであります。
  107. 大倉精一

    ○大倉精一君 なまぬるい措置はとっておらぬと言われても、現場を見ておらぬからわかりませんけれども、どうも今の御答弁を総合してみますと、つじつまが合わぬところがちょいちょい出る。ですから、私は、なまぬるいというのは、非常に人情味のある措置をしておられると思いますが、そのことがかえって国損を生ずるということになって、その責任もおのずから政府に帰さなければならぬという問題を心配するわけです。これはさっき飯島君がおっしゃったことをはっきりした方がいいと思います。ぜひ一つお願いします。
  108. 石川清一

    ○石川清一君 私はまた質問したいんですが、所得税やその他のものでも、情状を見て分割支払いというような措置をとられている。今、大倉委員が言われたら、その通りですという——私はこういうような事業は、やはり何年もたっているんですし、滞納をどうするという決算委員の建前に立っているんですから、やはり分割支払いするという——支払いだけでもするような合理性を出さなければいかんと思う。私の言うのは、いわゆるべースに乗るようにならなかったら、合理性を出して分割支払い、それにも応じられぬというなら、券の発売を停止し、かりにその事業体が中止をしておっても、それは停止をくわしたほうがいいと思う。そういうように分割払いもするように、何とかベースに乗って支払えるようにしても、なおできないときにはするというようなことが、やはりほかのほうも生かすことだ、大倉委員が言うと、その通りです、私が言うと、その通りですということは、やはり真剣に合理的に回収をしよう、こういう積極性が私はないと思うのですよ。国税、所得税でも、やはりそういうような措置を、適当にその人を相手に、企業体を相手にしてとっているのですから、当然これらは、いわゆる滞納という事実をどういうふうにして解決するかという場合には、当然とられなければならぬと私は思うのです。
  109. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 先ほど申しましたあらゆる措置というのは、やはり今お話がありましたような分割払いとか、いろいろそれは考えてやっておるんですが、それでも納まらんのですから、われわれとしては、その点で従来あらゆるできるだけの措置をとってきたというお答えをしておるわけであります。
  110. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 会計検査院にお尋ねしたんですが、今のモーターボートの納付金の徴収未済、これはさっきお尋ねしましたが、直接担当者として努力に若干欠けているんじゃないかと思われる点が今の答弁だけからは考えられるんですが、われわれ国会審議でもかなり問題をはらんだ法案であって、しかもああいう必ずしも満場の賛意を表して、これは通過した法律じゃなかったはずです。実施してみて、しかもこういう不成績であるということであれば、われわれ国会の責任においてこれは根本的に考えなければならぬ問題だ、そこで、実際やった経験者の立場から、法律上に関するいろいろな不備なり、あるいはこういう点を改善すべきである、そういう意見をお持ちだと思うので、私はさっきああいう発言をしたわけですが、たとえば徴収未済の金額に対して延滞の利子がついてないということは、どう考えたってこれは常識を越しておる。結論は、それなら納めないほうが得だ、納めるにしても、だらだら引き延ばしておいて、極限まで先に送るというふうに傾向としてはなる。そういう傾向が全国的にびまんしてくれば、この徴収未済の金額というのは、年を追うて多くなるだけだ。それらのことから考えて、一体、検査を担当された検査院の立場からの対策というか、改善意見というものがあったら一つ……。
  111. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) モーターボート競走、これは割合に歴史が浅いのでありますが、どこも税金として政府へ納める成績が——納付金の成績が悪い、だんだん仰せの通り、先ほど伺っておりますと、また一億ほどふえているようなふうに聞えたのですが、この状態でゆくと、どんどんたまる一方じゃないか、また、ためたほうが得だというようなふうにも見えるのでありますが、何かその辺、たとえば延滞金は相当きつい——税金の場合なんかずいぶんひどい延滞金を取られているわけですから、こういうようなものについて延滞金を取るとか、あるいは租税徴収の例に応じて強制執行なり何なり強い処置を取るとか、何かその辺お考え願ったほうがいいのじゃないだろうか、こういうふうに私どもとしては考えております。
  112. 石川清一

    ○石川清一君 この法案は確か参議院が否決をした法案で、衆議院が三分の二でこれは復活をした法案です。従って衆議院では真剣につぶすつもりで審議していなかったのじゃないかとも思われる点がある。一体そういうような経過を考えまして、運輸省では、これは当然つぶしたほうがいいと今までのこの未納の経験からお考えになりますかどうですか。これは生かさなければいかんからということで、こういう法を守る積極的な気持があるかどうですか。これは速記をとめてでもいいですから……。
  113. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 速記はとめて下さい。
  114. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  115. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。
  116. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 簡単なことですが、私は港湾災害復旧についてちょっと伺いたいのです。港湾災害復旧も、他のいろいろの災害復旧のように、一ぺんに直せないものですから、何かある一定の比率をたとえば三分五厘とか、あるいは何とかというようなことを目標にして、なるべく早い機会にその港湾災害復旧については御努力しておられるであろうとは存じますが、そういう大かたの比率というものをお持ちなのかどうか、この点一つ……。
  117. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) お尋ねのように、港湾施設の災害につきましても、目標といたしましては三、五、二の比率で復旧を目標といたしまして、早期完成に努力いたしておるのでございますが、予算の災害のワクというものが三、五、二でやるほど十分でない場合には、どうしても緊急のものから先になって、あまり急がないようなものはあとに残る、あとに残ったようなものは再査定のときにこれを打ち切るというような方法を講じておりますが、まあ、おおむね三年の後にはある程度復旧はできるということを目標に工事を進めております。
  118. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 そうしますと、大かたにおいては二十四年度災というものは二十五年度災より早く終るし、二十六年度災というのは二十五年度災、あるいは二十四年度災よりも長く復旧にかかるということが一般考えられますか。
  119. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 一般的に申しますと、年度の若い災害が早く終るはずなんですが、しかしその施設の中で急ぐものにつきましては、おおむね三、五、二を目標としてやっておりますので、その災害の起きた前の災害より早く完成するようなケースも、ないことはないのでございます。大体の本年度の予算で、災害復旧率の目標でございますが、二十七年度災以前のものは残事業量が少し残っておりますが、それの三分の一を考える。それから二十八年災につきましては、全事業量の六五%を完成する目標にしておる。二十九年災につきましては全事業量の五五%を完成するというようなつもりで、ただいま予算要求をやっておるのでございます。
  120. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 まあ場所によって、あるいは古い、若い年度の災害がある程度長びいて、そしてそれよりあとで起きた災害の方が完成するということは、それは私わかりますが、ここでお聞きしたいのは、この会計検査院から指摘されている二百七十四ページの(二)の島根県の例です。これは二十五年度災、そこで、これはいわゆる出来高不足、それから設計過大事業主体負担不足ということであって、あなた方の方では、この設計過大相当する国庫負担額というものは、後年度の交付予定分で調整しようという考えなんですね、この数字について、私ちょっと、ついでだからお答えのときにお聞きしたいのですけれども、この一応会計検査院報告によるこの号は、五百四十三ページにありますね、千九百四十号です。まあこれで見ると、四十万八千円がいわゆるこの過大見積りに相当する国庫負担額のようなんですから、私はこれを後年度交付予定分として調整すべきだと思うが、政府のお答えの方には四十万一千円という数字になって違っていますが、この点は今お聞きする問題と合せてお聞きしたいのだが、これはとにかく返す、後年度で調整する、そこで二十六年度災は、一応この会計検査院報告によると、今の五百四十三ページを見ると、お終いから三つ目の千九百四十二は、これは手直しをして一応終っている。しかしこれはまだ二十九年度でも出したのか出さないのかわからないが手直しをしている。その次の千九百四十三、四十四というのは、いずれもすでに工事が終ったものだと思いますが、これは還付させる、こういうふうに説明がしてあるわけなんです。そうすると、この二十六年度災の千九百四十三号と同じく千九百四十四号というのは、もうこれで終ったと、二十八年度で終ったと解釈していいのですか。
  121. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 今お話の千九百四十三号と千九百四十四号は、それで一応終ったのでございまして、終ったものにつきましては還付させております。千九百四十号につきましては、設計過大になっておりまして、二十九年度以降交付予定額の百六万一千四百円のうち四十万一千七十円を減額いたしております。出来高不足につきましては、二十九年五月二十三日に手直し工事に着手いたしまして、九十七万一千円をもって二十九年七月二十日にこの工事を竣工させております。
  122. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 今の千九百四十号の分ですね、これは四十万八千七百五十七円というものが二十九年度以降交付予定額中減額する、つまり差し引きをする金だと書いてあるのですね。ところが、あなたの答えだと、今お読みになったように四十万一千七十円、こういわれるのはどういうわけですか、こまかいことなんだが。
  123. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) お尋ねの件でございますが、この千九百四十号は内容二つあるのでございまして、会計検査院の御指摘は、設計過大出来高不足という二つの件があるのでございまして、そのうち設計過大につきましては四十万一千七十円を減額いたし、出来高不足については手直し工事を命じたのでございます。
  124. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 一応この案件はわかりましたが、私は今後の配分の仕方において、なるべく実地調査をされて、こういった設計過大のようなことは避けなければなりませんが、さらに、こういった、たとえば二十七年度以前の災害だって、その残量の三分の一、二十八年の災害は六五%、二十九年度発生は五五%、こういうふうにして、非常に災害復旧が希望のような額がとれないために、ずいぶん引っぱりだこというか、自分の工事をどのくらいの規模で続けてくれ、この工事あと一年で完成してくれといったような非常な強い要望があり、しかもそれを完成しなければその復旧としては役に立たないというか、非常に残念な、今までのせっかく復旧した部分が活用されないといったような関係のところが相当にあると思われる。でありますから、私は妙なことをお聞きしましたけれども、こういった設計過大であり、しかも出来高不足である、こういったところに対しては十分あとの経費配賦の際に戒めて、ただ単に県なり公共団体がまことに参りましたというばかりでなしに、さらに類似の行為というものが後年他に起らないような、できるだけ峻厳な態度というものが私は必要だと思う。  で、先ほどから言っているように、二十七年度以前の災害でさえ残りの三分の一といったような苦しい配分を続けておられるのですから、そういったようなことをおやりになっているところもあるかと思うのですが、そういう例ありますか。つまり非常な不正だとかあるいは出来高の不足だとか、設計をまことに過大にして、翌年度の工事にいわばもうすでにつばをつけておいて、それだけではこれは継続としてもさすがに半端な工事だから、それにいやいやながらもくっつけて工事を完成しなければならないとか、あるいはどこどこまでやらなければこれは意味がないから、これはやらせなければならないといったような、いわゆるつばをつけて、間違いなく足りもしない復旧経費の中からわが港に持っていきたいといった、いわばきわめて狡猾なずるいやり方を、しゃくだとは思いながら、やはりどうしてもその残額程度でやれといったって、これはあまりに技術的に見れば無益であるものだから、やはりそれに継ぎ足して相当多くやらなければならない、こういったようなことがあろうと思うのです。私はしかし先ほど申し上げたように、そういうのは多少とかく言われても、断然そこに戒めの意味で押えちゃう、こういった線をお出しになるのがしかるべきじゃないかと思うのですがね。それについてどういうふうにお考えになりますか。
  125. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) お説まことにごもっともでございまして、私どもといたしましても、大体二十七年災以前のものは三分の一見るということは、まあおおむね八割以上完成しているものが多いものですから、残事業がそうないから、まあ三分の一程度でもうそれで将来いいのじゃないかという見解を持っておるのですが、しかしながらいろいろなその関係で、具体的にどこそこというような資料は今持ち合わせございませんが、全体的に申しまして、まあ相当、二十四年災はほとんどないのですが、二十五年災程度では一部残って、それをやらなければまた再度の災害が大きくなるというような懸念のあるところは、これはそういう事例のあった場合は別ですけれども一般にはあとの残事業はある程度計上してやる必要があるのじゃないかと見ておるのですが、一般的に申しましては、お説がありましたように、災害の不正の防止をやるという意味合いから、実は昭和二十九年におきまして会計検査院からこういうようないろいろな御指摘がありまして、まことに遺憾に存じておりましたので、二十九年に全災害の再査定をやりまして、そういったような不要不急のものとか、あるいは設計過大のものとか、工法の適当なものでないとかいうようなものを整理いたしまして、大体十四億円ほどこれを削減して、個所によって、個所は千二百五十件となっておりますが、そういったような災害復旧工事の醇化をはかっておるような次第でございます。
  126. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 まあ二十九年度でそういった非常な御注意で再査定をされたと、まことにけっこうでございます。その二十九年度の再査定をした結果、さらに二十七年度以前のものについてまだまだ残量の三分の一をやらなければならんというふうに考えたのは……。
  127. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 二十七年以前のものにおきましては、二十七年度の災害もございますし、六年もございますし、五年が割にあるのでございますが、この原則は農林、建設と歩調を合わせまして、大体こういう比率をとったのでございまして、もちろん運輸省のいたしました再査定の結果に基いてもそういったような一定の比率ではじいておるわけであります。
  128. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 ちょっとわからないのですが、その二十九年度にいわゆるそれ以前の災害については十月以上もたってそれから両査定をした、見直したと、そして十四億何がしといったような、いわゆるしなくてもいい工事と認めて切ったと、そこまでわかっているのですが、その切ったあげく、さらに二十七年度以前災害というものはまだ三十年度に三分の一しかやれないと、こういうことに解釈するのですか、どうですか、この点だけ聞きたい。
  129. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) これはこういうことなんでございます。私の説明がまずかったせいかもしれませんが、二十七年災までは相当災害復旧ができておりまして、大体八割ぐらいできているんじゃないか、残りの二割に対して三分の一を見てやると、残りの残事業が二割くらいになっておりますから、その二割の残事業に対して三分の一の災害復旧工事を進めるということなんで、二十七年災以前のものが全体で三分の一しかできていないということではなくて、二十七年災までの残事業量の三分の一ですから、二十七年災までは大体八割ぐらいは工事ができておるのでございます。
  130. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 その点はわかっているのですが、この三分の一というのは再査定を二十九年におやりになって、そうしてあるものは切ってしまい、あるものは認める、いわゆる再査定の結果、やらなければならないという残量の三分の一やったという意味だと思うのですよ。で、私はそうだとしても、およそこういうものの復旧というのはある程度までいったらやっちゃわないと、そこからいわゆるアリの穴でもないけれども、せっかく今までしたやつが思わない災害にかかってしまって、非常に今までのせっかく直した国費がむだになるという心配があるので、この古い、そしてもう少しで直るというようなところは、これはいっそ直してしまった方がいいじゃないかというふうに考えたものですからこれをお聞きするのです。その点はどうなんです。
  131. 黒田静夫

    政府委員黒田静夫君) 大体古い災害はもうちょっとやってやればいいというところもございますし、そう急がないんだというところもございまして、もうちょっとやればそれが完成して、自来災害に対して防禦ができるというものに対して三分の一を計上しているのでございます。
  132. 山田節男

    委員長山田節男君) 会計検査院にお聞きしますが、二十八年度の決算の中で船舶建造及び改造の貸付金、それから利子補給の問題に関する報告がまだ完了してないのですが、二十九年度、今年に入って、大体それに対する決算上の検査は済んでおるのじゃないですか。
  133. 大沢実

    説明員(大沢実君) 運輸省所管の中の船舶建造利子補給金関係だけは、第四局長、私が検査担当いたしておりますので、概略申し上げます。  二十九年度現在におきまして、船会社全部で建造の利子補給を間接につけておる船会社が五十四社あります。十一次造船を含めますと五十六社になります。そのうちで現在までに二十四社ほど実際に各船会社の経理状況を見まして、あとことしじゅうにもう少しやってみたいと、大体の方針といたしましては、一年に半分ずつ、二年で一回り回るように検査したいと、こういうように思ってやっております。  現在までに、ただいま委員長からまとまっておるかというお話でありますが、実は現在検査施行中でありまして、最後の締めくくりのまた数字はまとまっておりません。概略申し上げますと、前にも一度ここでお話し申し上げたかと思うのでありますが、いわゆるリベート、現金で船会社が造船会社から現金のリベートを受けたということを、船会社検査の結果発見したものは、われわれの検査した範囲においてはありません。しかしながら、現金ではリべートを受けなくても、工事でリベートを受けておる。言葉はおかしいが、いわゆる無償の工事を造船会社請負ってもらって、金を払わないで無償の工事をやっている。これはいわば工事のリベートと考えて、それだけ船価が低減になったものと考えていいんじゃないか。その考えをもちまして、その線から検討いたしました。また初め造船契約でやるべきことになっておりました工事を、途中で設計変更で取りやめまして、そしてほかの工事をやったという場合に、取りやめた切りなら、取りやめっぱなしなら、これは当然船価がそれだけ減りますから、それだけ減ったものとして利子補給を計算します。取りやめたかわりにほかの工事をやった場合、その場合、船価が低減したものとみなすかどうかということをいろいろ検討した結果、大体におきまして取りやめた工事にかわる工事が、船の初め作るということに必要不可欠のものならば、これは工事がかわっただけで、船価の内容に入れても差しつかえないのではなかろうか。ただ、余分な工事とか、ぜいたくな工事をかわりにやった場合には、これは余分な工事、この分は船価の低減と見るべきではないかというような見地から検討しました。  そうした見地から検討しまして、ただいままでに調べました船会社の間で、大体船価が低減したと考えなければならんのじゃないかとわれわれが思います金額は、船価にいたしまして三千八百万円ほどであります。なおそのほか、これはわれわれだけの一存ではいけないので、どうしても運輸省意見を合致したところで実際に補給額を減らさなければなりません。運輸省と大体意見が合致したものが三千八百万円、そのほかに現在書類をもちまして、運輸省の方に意見をたたいておりますのがやはり三千八百万円であります。これは当然いわゆる船価が、それだけ減るべきものと考えております。そのほか実際に、いろいろの調査から見ますと、契約の船価はかかっているけれども、融資した金をその造船会社に払わずに、船会社がほかの資金に流用しておるというのが相当あるのであります。これは法律の建前からいうと、それだから利子補給をやめるということは出てはおりませんのでありますが、精神から考えますれば、金融機関が建造資金を融資したものに対して利子補給をするのだから、融資した金を船会社が建造資金として造船会社に払わずに、自分の運転資金に使っておれば、これに対してまで国が利子補給する必要はないのじゃないかという見地から、いろいろこれは運輸省当局と話合いまして、これはある程度のやはり利子補給額は減額させるべきじゃないかというような、原則的には意見が合致しております。ただいまその計数の整理をいたしておるのでありますが、大体われわれの調べたところによりますと、そうした意味におきまして、非常に支払いをおくらしている。だからわれわれとして、それは利子補給額は減らすべきじゃないかと考えております。金額はこれは親金で申し上げても仕方がないのでありますが、利子補給額に換算いたしまして約百万円くらいはあるのじゃないかと考えております。  こうした点が現在検査中でありまして、いずれ二十九年度の決算の総締めの場合には取りまとめたいと思っておるのでありますが、なお根本的に現在のところまだ海運市況がさほど好転したと言えませんので、問題はないのでありますが、いわゆる利益を生じた場合にもう利子補給を停止する、あるいは返納させるという問題があるのでありますが、この船会社の利益ということが、法律的にただ決算上計上した利益という言葉になっておりまして、いわば船会社が作った分による利益ということになっております。ところが実際に船会社の経理を見ますると、やはり税務関係の面もありましょうが、不当に利益を隠蔽しているものもありましょうが、逆に株価維持のためでありましょうか、不当に損失を隠蔽している船会社もあります。そうした船会社の作った決算そのままで利子補給の停止をきめるということは少しおかしいのじゃないか。むしろ運輸省なり、あるいは税務署が、その船会社の損益をもう一度修正計算してみて、これが決算であるというところをもって利子補給の可否といいますか、それを決定するように持っていくのが筋ではなかろうかというので、これも原則論的には運輸省の方でももちろんその意見には賛成しているのでありますが、実際問題として、まだそうした補給金を停止するとか返納するとかという問題は出ておりませんので、もう少し時間をかしてくれということで、われわれの意見は申し上げて、現在一応研究しております。  まあこういう状態であります。一応ただいままでの造船利子補給の検査の概要を申し上げました。
  134. 山田節男

    委員長山田節男君) この件について運輸省の主管局はどちらですか。
  135. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 海運局です。
  136. 山田節男

    委員長山田節男君) 海運局長ですか。今の会計検査院の中間報告のようなことがあったのですが、海運局長として今会計調査院大沢局長の言われたようなこと、これはまあ事務監査内部監査というようなことは言えないかもしれないけれども、やはり事前、事後において検査し、また一旦決定した利子補給とか資金貸付というようなものにつきましても、変更をするとか何とかということがあり得るだろうと思う。それはあなたの方でどういうような機構でおやりになっておりますか。
  137. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 先ほど検査院の御説明にちょっと漏れておりましたが、私どもの方でも、あるいは御承知かと思いますが、海運監査室というものを設けまして、それが定員二十数名で、昨年から実際に会社の会計検査を現地に参りまして帳簿その他を調べてやっております。昨年度も三十数社実施いたしました。その結果出て参りました事項につきまして、先ほど大沢局長からお話がありましたようなお打ち合せをいたしておるわけであります。ですから、あの計数金額の中には私ども監査で掘り出しましたものも入っておるわけであります。なお、先ほどお話がありました、リベートというお話がございましたが、御承知かと思いますが、昨年事件が起りまして、リベートの容疑で起訴を受けました会社が三社ございます。なお、ほかに私どもの調べました結果、リベートがあったという事実も一件ございます。この一件につきましては、明らかに資金を造船のために使っておりませんで、利子補給金は返納いたしまして、将来の分も停止させております。それからなお、ただいま申し上げました起訴になりました三社につきましては、書類その他全部押収を受けておりますので、的確に調べる道がまだないのでありまして、事件が決着いたしますまでは利子補給金を留保するという措置をとりまして、過去に払いました分は振りかえによりまして返納させていただくということにいたしました。また今後の分は留保しておりますので、これは実際に交付いたしておりません。実際にそういう手続であります。
  138. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  139. 大倉精一

    ○大倉精一君 海上保安庁の方にちょっとお伺いしたいのですが、海上保安庁で行われておるところの気象業務関係についてちょっとお伺いしたいのですが、中央気象台の行う気象観測と、海上保安庁の行う気象観測、この間の関連性といいますか、それはどういうことになっておりますか。
  140. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 一般の気象観測はもちろん中央気象台でおやりになっておりますが、海洋関係の一部につきましては、私どもの方も協力的に海洋に出た場合にその気象状況を報告するということで、ある程度協力的な立場に立っておるわけであります。
  141. 大倉精一

    ○大倉精一君 聞くところによると、先般の洞爺丸事件のときも、気象業務についておのおの所管官署が違っておるので、気象関係といいますか、そういうことについていろいろ不便があったということを気象台の人からも聞いておるのですが、そういうことはございませんか。
  142. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 洞爺丸事件のときのお話でございますと、つまり燈台、航路標識事務所がございますが、航路標識事務所からその近傍における気象状況を、函館の気象台でありますが、そちらの方に連絡することになっております。そういうようなわけで、その分野は違うわけでございまして、別にその間に不便ということはむしろなくて、こちらの得意とするところは向うさんでは非常にやりにくいことでございますので、両々相待って一つの効果を出しておるように存じております。
  143. 大倉精一

    ○大倉精一君 たとえば波の上の観測等につきまして、これは燈台あるいはその他によってあなたの方でおやりになっておると思うのですが、ああいう場合にむしろ船が転覆するということは、風の関係よりも波の関係が多いと思う。従ってあの場合に、波のうねりに関する通報といいますか、指導というか、そういうものが所管官署が違っておるために非常に不十分であったというようなことを聞いておるのですが、それがあったかどうかわかりませんけれども、そういうようなことも起り得ると思いますが、私ははやり気象業務に関しては方々に分散せずに、一つの系統立った官署によって行われることがいいのではないか、あなたの方としてもいいのではないか、あるいは中央気象台としてもいいのではないかと思いますが、その辺の御見解を一つ参考のために聞いておきたい。
  144. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 実は燈台等のあるようなところは、普通の官署はないのでございまして、航路標識をやるかたわらといいますか、同時にその気象業務をやっておるわけでございます。それから海洋の関係でございますが、手前みそになるようでございますが、普通の船は暴風時期には待避するわけでございます。私どもの船はむしろ暴風時期に救助のためにその暴風の中に突っ込んでいくようなわけで、そういう場合の気象というよりも波の関係、あるいは風の関係というものは、私どもがとった方が、何人も行かぬので、また普通の船ではなかなか参られないわけでございますので、そういうような場合には従来よりもより一そう協力的にいかなければならないと、気象台の方からも、そういう場合においていろいろな計器を私どもの船に備え付けなければならんものでありますから、備え付けて上げましょう、それからいろいろな訓練ということもして上げましょうということで、お互いに協力的にいった方が、相欠けておるところを持ち寄った方がより効果が上るのではなかろうかと、こういうふうな態勢でいっているわけであります。
  145. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは決算、予算に非常に影響があるかと思うのでありますが、この気象業務関係が私は方々に分散をされておるがために非常に不便といいますか、不十分なところがある。たとえば燈台の関係なんかは、これはあなたの方でおやりになることは当然だと思いますが、しかし海洋気象あるいはその他の気象業務につき、あるいはあなたの方と気象台の方と何か業務分担のなわ張り争いのようなこともなきにしもあらずというようなことが起ってくると、たださえ予算で窮屈な気象業務がだんだん窮屈になってくる。たとえば今計器というお話がありましたけれども、これは予算がないので計器の検定もほとんど九〇%が検定されていない。あるいは不合格なものを使っておるというようなこともあるのですが、これは将来気象業務については、もっとあなたの方と、あるいは海上自衛隊の方もあるかもしれませんが、そういう面と総合的に一つ考える必要があるのではないか。  たとえば定点観測の問題にしても、あなたの方から船を借りる、船の指揮命令権はあなたの方にある。それから船に乗っておる観測業務は気象台の方にあるということで、船長はどっちの命令を聞いてよいかわからんというようなこともあるようです。だから定点観測のようなことも、聞くところによると、海上保安庁の方で船を持ってやった方がいいのだという意見もあるようですが、その辺の調節はうっかりするとなわ張り争いになって、肝心の気象業務というものがちぐはぐになるおそれもあると思うのです。ですから気象台の方にお伺いしておるのですが、あなたの方としても、気象業務についての将来のあり方、それについて御意見があったら参考のためにお伺いしておきたいと思います。
  146. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 御指摘のところでございますが、今までは非常に仲よくうまくいっておるわけでございます。別になわ張りといったって、同じものはやっておりませんので、できるだけ相欠けているところを補っていっておるわけでありまして、それでよくいっておるわけでございますが、今の定点観測の問題でございますが、南方の方へは従来の海防艦を改造した船でもってやっておるようなわけでございますが、私の方の船長も、目的は一般のその場合においては警備救難業務ではございませんので、気象関係のもっぱららの命令によって動いておるわけであります。ただしその場合に、非常な台風とかいうようなものが参りましたときには、船の保存上一時退避ということもあるわけでございます。できるだけしかし今後もその間における調整といいますか、より仲よくやっていくと、今までもやっておるわけでございますが、より一そうスムーズにそれがいくようなことを私どもも心がけてやりたいと考えております。
  147. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはたとえば去年でしたか、十何号台風であったか覚えておりませんが、あつみ丸が南方定点観測に出向いておって、そうして台風が起ったので逃げて帰ってきた。途中で海難救助をやって新聞でもほめられたというようになっておるのですが、これは私は定点観測船が海難救助をやるということは全然任務が違うと思うのです。しかもあつみ丸という船は終戦直前にできた船であって、おそらくは海上保安庁あたりがごらんになっても、暴風の中で定点観測ができる船ではないと思うのです。あれは大きな金づちでがんとたたけば穴があくのです。そういうような船で南方定点観測をやって、暴風が来るとどんどん逃げてきてしまって、九州の陸地が見えるようなところまで帰ってきて、そうして海難救助をやっておる。こういうようなことは、私はどうしても腑に落ちないのです。ですからそういう点が心配になるのでちょっとお伺いしたのですが、そういう点があると思うのです。船をあなたの方で持って、こちらの方で観測をするということになると、そういう不便があると思うのですが、そういう点はございませんか。
  148. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 別に言葉じりではございませんけれども、大倉委員のおっしゃる逃げて帰ったというのは、はなはだ何でございますけれども、それは私的に言わしてもらえば、決して逃げたのではないのであって、いかなる台風のときにも、非常な台風が来ますと不沈艦というものはないのでございまして、ああいう、重大なときには、船はある程度いわゆる台風をよけるということでございますので、その点一つ何分御了承を願いたいので、私どもの船は実は必死にやっておるのでございますので、どうか船員の名誉のために一つ御了承願いたいと思うのであります。  それから今の気象業務と警備救難業務というものはもちろんおっしゃるように別でございますが、気象台との関係におきましても、そこに気象をやりながら人名の救助も、そこに人が遭難しそうであって、船がともかくも人命の救助を頼まれた場合においては、一時そちらの方に行くということも了解しておるようなわけでございますからして、その点あまり例もたくさんございませんけれども、気象業務というような場合の人命の救助につきましては、その場合場合によってできるだけ善処したいと思っておりますので、どうかその点一つ御了承願いたいと思います。
  149. 大倉精一

    ○大倉精一君 まあ退避と逃げるのとは、これは日本語のあれで、私はあまり何しませんが、今問題になるのは、定点観測をやっておる、そこでたとえば数マイル離れたところに海難船がおる、そこに観測船が行く。定点観測というのは、一定の定点で観測をする、一点におけるところの資料を提供する、これによって初めて効果があるわけです。しかもこれは連続して観測をしなければならぬ。こういう場合にはあなたの方で海難救助の命令を出されると、とにかくそれが優先になってしまうということもあり得ると私は思うのです。この問題は私きょうは突っ込んでお聞きするのが趣旨ではございませんので、将来一つ御研究を願いたい。  それからもう一点伺いたいのですけれども、海難救助の場合に、海上保安庁の方へ保護を要請して、たとえば岩内の大火があったときに、やっと百五十ぱいくらいのスケソ船を編成をして、これがほとんどぼろ船を無理に編成をしたのである。非常に危険を覚悟しながら出漁する、出漁しなければ食ってゆけない。この場合海上保安庁の方へ保護を要請しておるのですが、むろん船が足りないという場合があるのでしょうが、そういう場合どういうような処置をされるわけですか。
  150. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) まことにある意味においては非常にありがたいお話でございまして、今巡視船で外洋に出られるのが九十五隻程度でございまして、とてもこんなものじゃ足りないのでございます。それでことにこのごろは、海上保安庁に頼めばすぐやってきてくれるというのが非常に評判、ある意味においてはいい効果でございますが、遠きは二千マイルくらい遠いところからSOSを打ってくるわけです。そこでその往復に非常な日数がとられまして、本当は百五十隻くらいが出られるのでなければいけないのでございますが、そういうふうに非常に足りないのでございます。そういうわけで三十年度の予算には航空機、つまりヘリコプターではございません、航空機を要請しておるようなわけであります。これも一つよろしくお願いするようなわけでございますが、よく漁船からSOSを打ってくるのでございますが、その計器のやはり不十分なところもございまして、その打ってくる地点に行ってもなかなか見当らない、そういうようなことで相当時間をとったりするようなわけでございまして、航空機でやれば非常に哨戒が早い、それで航空機で見ておいて、そこで海難巡視船を誘導していって、これまた両々相待って効果を上げよう、こういうわけでございますが、先ほどおっしゃいましたような点も実際は正直なところあるわけでございます。そういう場合は航空機を利用しますか、あるいはできるだけ近傍の船を集めてやっておりますが、北海道にしけが起りましたときは、サケ、マス漁業の場合におきましては、二隻または三隻をあの辺から集めて、その海域に派遣しておる。そうして小さな漁船はやはり資金の関係上そういう計器を持っておりませんので、花咲から東南方に出まして、花咲へ帰ってくるつもりが、どうか紛れて国後の方へ着いてくる。それでその場合巡視船をその辺へ置いておきまして、お前の行っているのはそっちじゃないのだというわけで、ずいぶん隠れた功績で、指導して向うへ着かずに無事に花咲へ着いたというような例が多々あるわけでございます。そういう例は新聞に出ませんが、これは手前みそではございませんが、隠れた縁の下の力持ちをして、漁船救助の効果を上げておるようでございます。今後とも予算のときにはよろしくお願いいたします。
  151. 大倉精一

    ○大倉精一君 結局船が足らず、大へん海上保安庁の方もお困りになっておると思うのですが、今までに船の建造に対する予算の中で、その年度内に建造ができず、あるいは未契約分で翌年に繰り越しになったというような費用はありませんか。
  152. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 多少はあるということでございますが、大体その年度内に建造しておる状況でございます。
  153. 大倉精一

    ○大倉精一君 その船舶建造費の翌年に繰り越しの金額は大体どのくらいありますか。
  154. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) きょうは実はその資料を持ってきておりませんが、大体のところでは二十九年度から三十年度で千五百万円くらいだと……、大した数ではございません。大体年度内に仕上げるようにしております。
  155. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 海上保安庁関係で私は一点だけお伺いしたい。それはさっき二十八年度の批難事項がないということでありますが、私はその点は非常に意を強くすると同時に、われわれ決算委員の一人としてはありがたく思いますが、実は私は昨年海上保安庁関係の、決算委員会から現地調査に行って、宮城、岩手、青森関係の若干の現地を見て回ったのですが、そのときに批難されておる事項のうちで、つまり海上保安庁の本来の任務である海難の救助に、警報に伴って急遽出動しなければならないけれども、住宅が遠隔の地にあるために、なかなかその所定の時間に参集がおぼつかないというような事例、たとえば青森県の龍飛岬のレーダーの所在地のごときは、ああいう海風の強い、しかも遠隔の地にあって、特殊任務に従事しておりながら、やはり所定の住宅がないために、氷結したつららのあの道をよじ登って、ほとんど命を賭してああいう困難な業務に従事しておるというような実情を見て、私はやはりまず第一に与えるべきものは住宅ではないかということを感じて、帰って参りましたときの調査報告には、強くその点を要望しておいたのですが、その後これらに対する住宅の緩和の状況というものはどういうことになっておりますか。
  156. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) 昨年現地を御調査いただきまして、ことに非常に御鞭撻をいただきましたことにつきまして、まことにこの席からお礼を申し上げるわけでございます。おかげをもちまして、いろいろやはり去年の決算委員会で御鞭撻あるいは御指示をいただいたこと、あるいはまた現地でいろいろ御指導いただいたことなどによりまして、二十八年度は全く無事故だったということにつきまして、私のほうから深くお礼を申し上げなければならぬわけであります。ことにまた今住宅の問題につきまして非常にお手厚い御質問でございますが、従来の事故も住宅がないのが非常な原因だったのでございます。ところが、なかなかこれが大蔵省の関係で全官庁的にきめられるものでございますので、なかなか割当も思うようにはできませんが、毎年大体百戸以内ぐらい割当がございまして、三十年度、今年は七十二戸の割当だということでございます。しかしその割合は、都会地よりもむしろ北海道とか東北とか、そういうふうな方面に多いように割当になっております。われわれとしても、まず現地の第一線から割り当ててやりたいというふうに考えております。
  157. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 青森の龍飛岬には、その後、住宅は増しましたか。わかりませんか。
  158. 島居辰次郎

    政府委員島居辰次郎君) ちょっと今ここへ持って来ておりませんのでわかりませんので、またあとから……。
  159. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 わかりましたら一つ……。
  160. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかにございませんか。
  161. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 簡単に……。運輸省から三十年一月十日付で昭和二十八年度監査実績調をもらっているわけなんですが、これは官房長がおられるから、官房長から御説明を聞いた方がいいと思うのですが、この一覧表を見ますと、二十八年度監査業務実績総括表及び、あるいはさらにその内訳を見ますと、大臣官房の考査室、これは主として監査業務をやるようにも見えるのですが、これは監査が主なんだと思うのですが、考査官が三名いて、二名がともかく監査に従事したというのですから、これは監査相当やられる機構なんですか。
  162. 多田寿夫

    説明員多田寿夫君) ただいま三名おりまして、相当でなくて一応やることになっております。
  163. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 相当でなくて一応、まさに一応とさえ言えるかどうか私は疑問だと思うのです。というのは、私は数字のこれは間違いじゃないかと思ったのだが、この配られている別紙の一のところを見ると、人件費九十二万なにがし、使用額の欄ですね。旅費が二万四千五十円、それで物件費がちょっとこれまた解せないのですが、四万八千円、こういうのがあって、こうやって延べ二十日間やったという報告になっておって、うしろの内訳を見ても、この数字はやはり加えて二十日になっているのですが、こういったもので一応といった今お話なんですが、一応ということがやれるのかやれないのか。運輸省の組織及び監査機構図を見ても、これはやはり大体附属機関以外は、会計課のそのときに命ぜられるところの監査官、それから、これがまあ二十八年度十名、考査室考査官三名のうち、今言った二名、その二名がこういった六カ所、二十日、こういうことで、私は実は、これはむしろ大臣がおられたときに聞くのが本当かと思うのだけれども、この会計検査院一般会計についての報告を見ても、依然として改まらないものが相当あるのですが、これは一体そういった機構をどういう……、この二十八年度はこういうことで一応と言えるか言えないかわからぬくらいですが、二十九年度はどのくらい拡充し、どのくらいおやりになったのですか。
  164. 多田寿夫

    説明員多田寿夫君) やはり同じでございます。それで、実は考査室としては定員は三名でございますけれども、原局の応援を得まして、結局この考査をしなければいけないという事情でございます。またそういうふうに考えております。
  165. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 この人件費の書き方が悪いのかもしれないから、人件費とその旅費とを比較して物を言おうとは思いませんが、この旅費が二十八年度一年中かかって二万四千五十円ですね、これは一体いつから始めたのかちょっとわかりませんが、これがまた二十九年度も同様だということになれば、一体こんなことで、連絡のためだけだって、そんな旅費で果してやれるのか、多くの各機関をそれぞれ内部監査的に指導するにしても、こんなもので一体一応なんていう言葉が使えるのかどうかということが一つと、それから二十八年度物件費というものがあるのですが、旅費が二万四千円なのに物件費が四万円というものを使って、何か特殊な事情があるのですか。
  166. 多田寿夫

    説明員多田寿夫君) 旅費並びに物件費は、御存じの大蔵省のほうの人につくところの定額的な旅費でございまして、毎年実は私のほうで旅費並びに物件費の特別要求をいたしておりますが。われわれの努力の至らないせいか、いつも落されておる次第でございます。
  167. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 それは、私はあまり今政府部内のやり方を知りませんが、こういった考査室なんという特別の目的のために作った官房は、旅費なんというものは他の部局との流用というといろいろ見方がありますけれども、とにかく最低やらなければならない仕事を何とかやるだけの程度のものは何とかするものなんです。それで、ですから、ただ形式的に、たまたま人員が三人だから二万四千円しかないからというのか、実際は、しかしもっと実はほかの費目でやっておるのだと、こういうことに解釈していいのか、その点だけ一つ
  168. 多田寿夫

    説明員多田寿夫君) 先ほど申しましたように、ほかの人に応援を求めてゆく場合には、その応援を求めてゆく人の所属の部局において出していただきまして、これ以外にも考査関係で旅費が出ておる、こういうことになるわけであります。
  169. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 はっきりわからぬですが、考査室というものはこういった監査などを主としてやるところだと思いますが、その点はどうなんですか。
  170. 多田寿夫

    説明員多田寿夫君) その通りでございます。ただ機構が非常に小さいために、むしろ連絡調整をするということに主体を置いて、ゆくゆくは実質的にそういうところまで進まなければいけないと思っております。
  171. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 どうなんです。会計検査院のほうから見て、今の二万四千円はあまりどうも妙なんで、今でも解せないので、そんなことは解せないのですが、一体これだけの運輸省、こういった監査官がともかくどの程度監査をされて、非常に会計検査院の御指摘に対しては恐縮で、今後改めますといっておられるのですけれども、何も定員を直接増せとか何とかいうことは別として、あるいは彼我融通するといったような問題もありましょうし、どういうふうに思われますか。あまりこの数字を見て私はちょっと解せないと実は思っておったのです。
  172. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) 運輸省の考査室はたしか数年前にいろいろ問題を起しましたときに、その前でございましたか、かなり内部監査としては古い歴史を持ったところなんでありますが、初め私どもも実は大きな期待を持って、また当時ほかに、たとえば農林省あたりは考査室ができましたのは昨年でございます。ほかの一般官庁では、あまりそういうものはない時代に、内部監査をするようにお作りになったわけでございます。会計検査院としては、当時の主管局長などもこれに非常な期待を持っていたわけであります。私も実は大きな期待を持って見ていたのでございますが、どうも今その二万四千円というのは、実は初めて伺いましたが、まあ、その程度のものよりなっていないようであります。それで会計検査院との連絡、それから行政管理庁との連絡、こういうようなことを主としておやりになっているように見受けられるのでありまして、どっちかというと、私どもから見ますと、折角作った内部監査機構で、むしろこれを大いに助長しなければいかぬ時期だと思うのでありますが、私どものちょっと期待する方向に向って進んでいるようには実は拝見していないのであります。
  173. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  174. 岡三郎

    岡三郎君 途中休みましたので、重複するかもわかりませんが、この運輸省当局で「公共事業に対する国庫負担金の経理当を得ないもの」の中で、「不当事項対策を次のように進めている。」という、この二、三ですね。つまり机上査定を極力排除した結果、昭和二十九年災害については約八五%以上を実地査定した。それから中間検査昭和二十九年度より確実に励行すると、こう書いてあるのですが、これは会計検査院に伺いますが、二十九年度の傾向はどうですか、この運輸省に関して。
  175. 小峰保栄

    説明員小峰保栄君) この災害復旧の場合には査定が一番問題になるわけであります。ことに机上査定というのが、私どもから見ておりますと、まあガンと申しますか、いろいろな不正等が生れる一番大きな原因でございます。数年前までは、これは建設省あたりでも二割くらいしか実施査定していなかったのでありますが、最近はこれはもうえらい勢いで実査をやっておるのであります。私どもびっくりするくらい、九五%くらいあのたくさんの災害復旧事業でやっておるのであります。農林省はこれはあまりのびないのでありますが、それでも四割方は実施査定をやっております。運輸省は従来から個所が、検査報告を御覧になりますとわかりますが、何といっても少いのでありまして、実地査定の率が比較的前から高いのであります。最近特にこれがうんと伸びたというふうには見ておりません。それから検査の結果でありますが、査定調査も昨年に引き続きましてずいぶんいろいろな御批評も受けましたが、査定調査を昨年まあ強行したわけであります。今年も昨年の経験にかんがみましてやったわけでありますが、農林省建設省とも非常にこれは減っております。二十八年度ほど災害もなかったのでありますが、三分の一ぐらいの災害量でありますが、査定調査の結果、私どもがこれはいかぬというので御注意して直してもらうというのが、非常に減っておるのでありますが、運輸省は実はその割合に減らないのであります。これは今まとめておりますが、私ども奇異の感を持っているのでありますが、割合に減り方が少いように見受けられるのであります。一体どこに原因があるか、私どもちょっと申し上げる段階になっておりませんが、今日初めて申し上げるのは、はなはだ恐縮ですが、全国一帯をまとめてみますと、減り方がどうも少い。もっと減っていいのじゃないかという感じがいたします。しかしながら先ほど港湾局長から御紹介がありましたように、過年災の再査定をおやりになっているようでありまして、これは非常にいいことでありまして、古い災害で三年も四年も手をつけずにほったらかしておくというのは、やらないでいいのが多いのであります。先ほど二十七年度災で二割というので、いろいろお話がありましたが、二十七年以前のような災害で今までほったらかしているというようなのは、やらないでいい所が実は多いのでありまして、どうしてもやらなければいかぬというところは、いわゆる仕越し工事補助金がこなくても金を融通しまして、何とかやってしまうところが多いのであります。過年災について再査定をやったということは非常に結構なことだと思います。  事後検査の結果についてはまだわかりませんが、おそらくは従来よりはいい結果を示すのではなかろうかと、こういう予想をいたしておるわけであります。
  176. 岡三郎

    岡三郎君 時間がありませんので、当局に一言言っておきますが、この不当事項対策において、こういうふうに一号から四号まで、立てられた点について、国会に対する説明書に書いてあるわけですが、やはり毎年々々まあこういうふうな件についての審査を行なっておるわけですが、やはりわれわれの目的とするところは、やはり対策を立てて、その実効を期すると、要するに、改善あとがどういうふうになったかということが当決算委員会の主目的だと思うのです。その当該事項について精査するとともに、それが次にどう反映されてきたかという当局の実績がわれわれとしては非常に関心を持っているわけなんであります。そういう点で、まあこういうふうに机上査定を極力排除する方式あるいは中間検査をやるということになれば、激減するというふうにわれわれは常識的に見るわけです。それが今会計検査院の方から言わせるというと、まだその効果がそれほどでもないという点で、奇異に思ったのですが、この点については、一つその原因が検査報告にも後刻載ると思いますが、当局においてもどういう点に激減しない問題があるのかというのを一歩進めて御検討を願いたいと思うわけであります。それで、結局二十九年度、三十年度、災害のない年は比較的少いと思うのでありますが、とにかく実績をあげるように当局に私としては一言ここにお願いしておきたいと思います。またその実績を見てわれわれとしては苦言を呈したいと、こう思います。
  177. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  178. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは私は質問ではありません。資料の要求をしたい。これはさっきのモーターボートのことに関して、各場所ごとの徴収決定額と、それから未収額で、二十九年度もそれがわかっておれば二十八年度と合せて、額を一つ資料にして提供願いたい。
  179. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑がないものと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  180. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて。  昭和二十八年度決算運輸省所管の部、検査報告批難事項第一千八百九十八号から第一千九百九十六号までの分についての質疑を一応終了したこととすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  181. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないものと認めます。さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会