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1955-06-10 第22回国会 参議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十日(金曜日)    午後二時十五分開会   —————————————    委員の異動 六月八日委員大倉精一君及び久保等辞任につき、その補欠として加瀬完君 及び矢嶋三義君を議長において指名し た。 本日委員矢嶋三義君及び加瀬完辞任 につき、その補欠として久保等君及び 大倉精一君を議長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            石井  桂君            小沢久太郎君            大谷 瑩潤君            鹿島守之助君            西川彌平治君            白井  勇君            飯島連次郎君            奥 むめお君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            大倉 精一君            久保  等君            近藤 信一君            木島 虎藏君            白川 一雄君   政府委員    大蔵省管財局長 窪谷 直光君    農林省農林経済    局長      大坪 藤市君    農林省畜産局長 原田  伝君    林野庁長官   柴田  栄君    水産庁長官   前谷 重夫君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総長      池田  直君    会計検査院事務    総局検査第三局    長       小峰 保栄君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○本委員会の運営に関する件 ○昭和二十八年度国有財産増減及び現  在額総計算書内閣提出) ○昭和二十八年度国有財産無償貸付状  況総計算書内閣提出) ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第十四回決算委員会を開会いたします。  議題に入る前に理事会の協議の結果を御報告申し上げてお諮りいたします。第一に防衛庁視察の件でございますが、過日防衛庁の本庁並びに練馬の陸上自衛隊視察いたしましたが、横須賀の海上自衛隊視察が残っておるわけでございますが、防衛庁から送って参りましたスケジュールによりますと、朝九時半から出て、夕方の五時東京着という実は日程を作って参っておりますが、各位に諮りましたところ、のちほどこれはお諮りいたしますが、農林省建設省架空二重査定工事補助金関係参考人を呼ぼうということもございますので、むしろその方を先にして、海上自衛隊の方は一応一般会計の各官署の決算報告に対する審議が済みましたのちにいたしたらどうだろうか、かような実は結果になったわけであります。御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさよう取り計らいます。  第二には今申し上げました農林省、この間問題になりました農林省補助金関係架空二重査定の問題でございますが、理事の方々からも建設省関係にもやはり補助金関係でこういう問題がたくさん出ておるのであるから、できれば建設省の方の審議が済んだのちに、農林省建設省補助金関係架空あるいは二重査定批難事項を三件ずつぐらいこれをより出しまして、そうして午前午後というふうに分けて、これを一日かかって御審議願ったらどうであろうか、そうしてこれは地元の人はもちろんでありまするが、これに関係する地方事務所あるいは県庁、こういうようなものもやはり責任者と言いいますか、決定者と言いますか、これに関与している者も呼んだ方がいいのじゃないか、こういうような御意見がございまして、大体一日に午前午後と分けて、農林、建設、三件ぐらいの参考人を呼んで聴取したらどうだろう。かような議にまとまったわけであります。御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさよう取り計らいいたします。これも先ほど申し上げましたように、一般会計決算報告に対する質疑が済みましたのちに日程を組みたいと思いますので、さよう御了承願いたいと思います。  それからこれも前回決算委員会におきまして、病変米の問題に関しまして、病変菌の学説と申しますか、意見厚生省において統一されていない。その統一されていない病変菌に対する学者見解を、ここで聴取したらどうであろうか。こういうような御意見も出たわけでございますが、理事会に諮りましたところ、この問題は本委員会におきまして異った説を聞きましても、本委員会として結論を出すわけにいきませんし、判断をするのに苦しむ。もちろんそのことによりまして、この病変菌に対する異った説が国会において述べられたということによる、病変米に対する国民の一般の心理的な影響を考えてみると、むしろこれは暫時見送ってその推移をみて、適当な時期に取り上げた方がいいのじゃないか、こういうような御意見がございまして、さように理事会としては意見が一致したわけでございますが、さように取り計らうことに御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 白井勇

    白井勇君 その今のお説に別に異議はありませんけれども、この間問題になっておりました黄変米の問題につきまして、そのほかの何か御相談はないわけですか、理事会としまして。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) 黄変米に関してですか、このことに関してですか。それは今申し上げたような結論になっております。
  7. 白井勇

    白井勇君 それはこの前のどなたかからのお話に対しましての理事会の御相談ですね。そうじゃなしに、あの問題について、また全部農林省の話も終ってないわけですが、それをどういうふうに扱いますか、それともまた、この前の厚生大臣お話と、それから農林大臣の話と、そこに食い違いがあるように思うのですが、その辺のことにつきまして、理事会に、それではどう取扱っていいかというような……。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) この取扱いにつきましては、先ほど私は、推移をしばらくみることにしました。病変米につきましては、本委員会としては継続調査になっている。しかもこれは十九国会から継続審査になっている。この問題について結論を出すためには、病変菌に対する科学的な一致した結論が出れば、非常にこれはやりやすいわけです。しかしそれがない限りにおいて、病変米の今日まで継続調査してきた気持からいうと、それが先決である。しかるにこれが半年たち、一年ぐらいたたなければ結論が出ないということであります。一体継続調査として今日まで残されている病変米取扱いをどうするかということになるわけです。先ほど申し上げましたように、向うでは、六カ月ぐらいたてば一応の結論が出るのではないかというので、過日私は、食糧庁長官と、厚生省楠本環境衛生部長と二人に会いましたし、食糧庁の方では、厚生省病変菌に対する見解がまとまりますれば、それによって処理をいたします。片方ではなかなか意見がまとまらん、これによって九十何億のものがそのままになっている、これに対する倉敷料でも大へんだ、なるべく早く食糧庁の便宜をはかって結論を出すようにしてもらいたいということを申しております。でありまするから、継続調査となっている病変菌の問題は、このまま一つ継続調査としておく。なお、農林省関係、これは食糧庁関係も含めてでありますが、一応終了ということになっておりますけれども、もちろんこの問題は質疑が完了しているわけではないので、一般会計、あるいは特別会計決算審議が終った後に、また取り上げてやる、こういう実は前提で……。
  9. 白井勇

    白井勇君 この間、厚生省事務当局の話によりますと、前回厚生大臣がここで話したときは、確かに厚生省としましては、その反対学者意見も徴して、その意見を含めた決議として、とにかくつき直せばこれは被害はないのだという結論になった、ただそういうものを配給する責任の地位にある農林大臣として、配給に回すということが、それはどうかと思う、こういう決議をつけて回した、こういうような話です。農林省はそれによって、農林大臣がどこかで、いやそういう厚生省の話もあるから配給には回せませんということを農林大臣言明をしたから、これはもう黄変米の問題は解決ついたのだというふうに厚生大臣はここで言明をされておる。ところがこのあいだ事務を担当しておりまする環境衛生部長ですか、楠本氏の話によりますと、むしろ今は実験中なんで、六カ月先にその結果を出すのだ、こういうような話なんですね。食糧庁としてはその結果を待っているような話にもなる。どうもその辺いろいろ入り組んでいるように私は思います。
  10. 山田節男

    委員長山田節男君) ですから今私がお諮りいたしたことは、この問題をここで打ち切ってしまうのじゃなしに、このあいだ川崎厚生大臣が来て絶対配給せんということを言っているけれども、これは食糧庁は、厚生省結論が出なければ私たち一存では何ともいきませんということを申しておりまして、ですから食い違いがあるようにも、これはもちろん考えられまするから、先ほど申し上げたように、この審議が終えたのじゃないのだ、継続調査としてこの件が残っておるわけです。日程としては先ほど申し上げた政府関係特別会計決算報告審議が済んだのちに、また他にも、農林省ばかりではございません、建設省もございましょう、あるいは運輸省もございましょう、ありますから、そのつど日程にのせて、その推移を見ておって、再び取り上げる、かようにいたしたい。
  11. 白井勇

    白井勇君 私の心配しますのは、非常に参議院の決算委員会としてはあの問題は真剣に取り組んだわけですね。そうしますと、今のような状態でこれが推移して、かりに六カ月先なら六カ月先の情勢を考えてみますと、御承知通りに十五万一千トンも現在ある。今後全然ふえないと仮定をいたしましても、去年の手持ち以来の保管料、金利に対して、さらにもしこれが配給に回せる結果になればいいわけですけれども、かりにいわゆる配給に回せない、加工用にしかならないのだということになりますと、十五万何千トンという外米を処分しようと思いましても、非常に現業的に困難であるということは誰が見たってわかっておる。そういう問題もよく飲み込んで、厚生省なり農林省でそれを処置すればいいのですけれども、その辺のことも、まあ委員会としましても相当関心を持ってしかるべきじゃなかろうかということを考えますので、とくに申し上げておくわけです。
  12. 山田節男

    委員長山田節男君) ごもっともです。この間の前回食糧庁関係の御審議のときも御意見が出ました。なお、私の申し上げたのは、もちろん今白井委員のおっしゃったことを母体としての考え方理事会にお諮りして、理事会もやはりそういう含みでもって御了承をいただきました、よろしうございますね、この病変米の取り扱いについては。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山田節男

    委員長山田節男君) それではさよう取り計らいいたします。
  14. 白井勇

    白井勇君 昨日やりました内閣それからこちらとの連合委員会ですか、あの法改正につきまして、あの問題は、これからどういうふうに扱われるわけですか。
  15. 山田節男

    委員長山田節男君) これは昨日連合審査会が済んだあと新谷委員長と話しまして、これがまた仮審査であって、本審査になったらもう一回——もう一回とは言いません、次回は本審査になってから連合審査をする、こういうように打ち合せで了解してもらっております。
  16. 白井勇

    白井勇君 とくに私委員長にお願いしておきたいと思いますことは、ただ連合審査で型通り審査をいたす、そこでこちらの十分な発言も許されないような格好で、すぐその連合審査によって採決へ持っていかれるような格好連合委員会でなしに、十分に時間のゆとりをもって、一つ連合委員会を開催されるようにお計らい願いたいと思います。
  17. 山田節男

    委員長山田節男君) 承知いたしました。  それでは理事会報告はこれで終ります。   —————————————
  18. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に昭和二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書、  国有財産無償貸付状況計算書、  以上二件を議題といたします。御質疑をお願いいたします。  なお、今日出席されている政府委員窪谷管財局長天野国有財産第一課長がみえております。
  19. 白井勇

    白井勇君 私、まことにうかつなことをお尋ねするようですが、これだけを切り離して先に採決に持っていかなければならんということは、これはむしろ専門員の方から伺いたいのですが、どういう関係なわけですか。
  20. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと速記をやめて下さい。   〔速記中止
  21. 山田節男

    委員長山田節男君) 速記を始めて下さい。  それでは委員長からちょっと質問いたしますが、これほど膨大な国有財産増減それから現在の総額というものを、トータルをお作りになったのは大変な御努力だと思うのです。こういうような各省にまたがった国有財産管財局がおまとめになるのですが、これは形式的にいえば、どういうことになるのですか、毎月の月報のようにしてやるのか、あるいは半年ごとにやるのか、あるいは一年ぽっきりで何月までに出せというような方法ですね、これを一つ承わりたいと思います。
  22. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは御承知のように、各省庁が使います行政財産各省大臣管理をいたしておるわけであります。行政財産と申しておりますが、それから大蔵省自体管理いたしておりますものは、大蔵省個有行政に使いますもののほかに、その処分をすべき財産普通財産というのがございます。そのいずれも毎年一回所管大臣からその年間におきます増減報告を受けまして、その報告を集計し、さらに審査をして誤謬があるかないかを確めまして、誤謬の点を訂正をいたしまして、一年一回まとめるということに相なっておるのでございます。
  23. 山田節男

    委員長山田節男君) それから次にお出しになっておる昭和二十八年度末の現在における国有有価証券の問題でありますが、相当多額の有価証券を保持しておられるわけですが、この中で、国際電信電話会社の株が二百八十万株余あって、価格にいたしますと十四億円余のものがあるわけですが、衆議院の方で、これを議員立法でこの株を日本電信電話公社の方へ移管させようと、移管といいますか、これを日本電公社に買わせようという法律案議員提案として出ているということを聞くのでございますが、この点に関して、大蔵省管財局長として何かこの点について御相談を受けられたか、またそういう処置に対する御意見を承わっておきたいと思います。
  24. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 国際電信電話株式会社は御承知のように、資本金は三十三億ということに相なっておりまして、この中で大部分のものは政府特別会計が持っておりましたものを出資をいたしたわけでございます。その株は一般会計に一応引き渡す、一般会計ではその株を一般証券市場状況をにらみ合せをいたしまして、できるだけすみやかに処分をして、その代金交付金として電信電話公社に払い込むという建前に現在相なっておるのであります。国際電信電話会社が設立されました直後処分をいたしましたのが約三百七十三万株でございました。その処分代金が十八億六千五百万円ということに相なっておりました。これはすでに電信電話公社の方に交付済みでございます。  それからその後、昨年の三月でございましたか、第二次の処分をいたしたのでございますが、当時証券界が非常に不況でございまして、なかなか当初から処分は円滑にいくまいという予想をいたしたのでありますけれども、その予想をさらに下回りまして、百万株ばかり実は売り出しをいたしたのでございますが、処分ができましたものは、わずかに二万一千株というふうな状況でございまして、その代金といたしましては千百万程度のものに過ぎなかったのでございます。これは同様にすでに電信電話公社の方にその売り渡し代金の方は交付済みでございます。現在残っておりますものは、委員長から先ほど仰せられました二百八十万株というものが残っておりまして、額面におきまして約十四億ということに相なっております。これもやはり現在の建前におきますと、証券市場状況をみて、すみやかに処分をするという建前に相なっているのでございますが、その後に、先ほど申しました後におきましても、ずっと証券市場状況その他をにらみ合せて機会を待っておったのでありますけれども、なかなか今日までその適当な機会をつかまえることができないのでございます。なお、また今後少くとも三十年度中はどうもなかなか処分はむずかしいのではなかろうかというふうなことを考えておったのでございますが、たまたま先般衆議院の方におきまして、この株を、どうも売れないのであれば、もとの電信電話公社に返したらどうだろうというお話が出て参りまして、郵政省を通じまして大蔵省にも御相談がございました。私どもでもいろいろ検討いたしましたところ、いろいろ考え方はあると思うのでありまして、当初国際電信電話会社ができました際には、一応国内電信電話国際電信電話との事業分野を分けまして、国際電信電話の方は純粋の民営の形で、それに対して政府が適当な監督を加えていくという態勢で経営をやっていって、その両社の間に適当な協調関係を保っていくという態勢であったのであります。従って公社国際電信電話株式を持って、一種のその支配関係に立つということは、適当でなかろうというふうな御配慮から、株は一般会計に持ってくるというふうなことに法律が制定された模様でございますが、その後状況を見て参りますと、国際電信電話会社の方もだんだん基礎が堅実になり、新事業も軌道に乗って参りました。両社関係もきわめて円滑にいっているということであります。それからさらに一般会計で持っておりましてもなかなか処分の見通しも立ちかねるというようなことから、むしろこの際一般会計で持っております株式電信電話公社の方に返還をいたしまして、国際電信電話会社の方から見ますれば、一つのまとまった安定株主としてやることが適当ではないかというふうなことが議員立法の御趣旨のようでございました。郵政省の方からも大体そういうお話を承わったのであります。いろいろ設立の経緯を見ますと、わずか二年だけでございますので、この際切りかえるのはいかがかという考え方もございましたが、いろいろ諸般の状況考えてみますと、やはりそういうふうなことも一案ではなかろうかということから、大蔵省としてもその案に対して別に反対は申し述べないようなことの態度を決定をいたしまして、郵政省の方へ御返事を申し上げておるような次第でございます。
  25. 山田節男

    委員長山田節男君) そういたしますと、この国際電信電話会社株式会社にするという当時の吉田内閣がこの法案を法制化しまして、純然たる株式会社にしたわけなんです。しかるに今日において二百八十万株、十四億といえばほとんど四割に近い額ですね、これがさらに今度大蔵省から公社に転換されるということは、少くとも政治的に考えますというと、これは非常に大きな問題をかもしておるのじゃないかと思う。それからもう一つ国際電株式会社が非常に赤字の出ておるような会社ならよろしゅうございますけれども、いろいろもうかっておる、配当を八分もしておる。しかしあの利益からいえば一割二分ないし一割五分ぐらいは配当できる利潤を上げておるわけです。しかも今日株は上場株になっていないわけです。政府が、今窪谷局長の御説明のようにこれを一ぺんに放出すると額面をはるかに下回るようになって収入が減る、取る金が減るということはいえますが、会社がこれを公開しましても、これはあれだけの利潤があるものならば、額面を割るというようなことはないと思う。これは窪谷局長も御存じだろうと思いますが、これを株式会社にするときにも、金融関係にこの株を売り出せばあるいは額面を多少越えるのじゃないか、こういう点を勘案されて、いろいろ苦慮されておることはわかるのですけれども、この会社状態が非常にいいのであって、上場株にしても額面以上にゆくのではないか、それをことさらそういう処置をするという、こういう株の操作において大蔵省としてもう少しこれは慎重におやりになるのがいいのじゃないかという、この二つの懸念がいたしますので、今も御質問申し上げたのでありますが、今のお話によりますと、大蔵省郵政省に対して今窪谷局長のおっしゃったことを、決定的にそういうふうにしましょうというように御回答になったのじゃないというふうに解してよろしゅうございますか。
  26. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) 私の語尾が少し明確でなかったかもしれませんが、そういう議員立法なんかについては、大蔵省としては反対はしないということを明確に返事をいたしておるということでございます。
  27. 山田節男

    委員長山田節男君) そういたしますと、たとえば他に日本航空株式会社とかあるいは日本銀行もそうでありますが、その他相当株を保有しておりますが、これらの他の株においても同じような処置が今後行われるということを考え得るわけでございますね。
  28. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) この国際電信電話会社の株は一般会計の現在は所属になっておりますけれども、実質上は電信電話公社所有分だということに考えておりますので、そのほかのたとえば日本航空等はこれは特別会計ではございませんで、一般会計から出資をいたしておりますので、一般会計出資をしたものは全部大蔵省管理をするということの方針は変更するつもりはございません。それから現在におきましても特別会計で、資料でごらんになりますように、ごくわずかのものでございますが持っておるのがございます。これは特別会計管理する大蔵大臣のところで管理いたしております。従いまして電信電話会社株式も形式的には一般会計所属になっておりますけれども、実態は電信電話公社のものだと、従って売り払い代金はこの電信電話公社交付金として払い込むというようなことになっておりますので、この株の処分を今申し上げましたようにいたしましたといたしましても、ほかの方の株式管理に対する考え方というものは変更を来たす筋合いのものでないと思います。またそういうふうな考えは持ってはおらないのでございます。
  29. 山田節男

    委員長山田節男君) この場合、国際電信電話株式会社日本電信電話公社とは、業務の内容においてもお互いに相互関係があって、非常な密接な不即不離の関係にあるものは、これはよくわかる。この場合におきましては今の窪谷局長のおっしゃることも了承し得るのでありますが、たとえば原則論として公社がいわゆる民間の株式会社の株券をと、こういったような事例が他にあるのでしょうか。またそういうようなことが、これは大蔵省の御見解を伺うことは少し無理かもしれませんけれども、公社が、たとえば国鉄がその外廓団体の株を持つとかいうようなことは大蔵省としてはどういうようにお考えになるのか。
  30. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは原則的には望ましい姿ではないと思います。この国際電信の方も本来一つ事業体でありましたものを、現物出資をいたしました株式でございますので、そういうつながりがあるのでございますが、そのほかの例といたしましては、国鉄で、東京の地下鉄でございますが、これに対して出資をいたしております。それでこれはやはりその出資国鉄の方で管理をいたしておるのでございます。そのほかには現在出資金はないはずだというふうに考えております。
  31. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。
  32. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 ちょっとお伺いしますけれど、私ども通俗的に伺っておるので、法規上のことははっきりしないのですけれど、日本銀行にダイヤモンドとか金銀というようなものがある。あれは国有財産になっておるのでございますか、その点。
  33. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは御承知のように占領後に、占領軍が直接の行動といたしまして接収をいたしたのでございますが、その接収の意味は、そのものの管理を強制的に奪って、強制管理をいたしておるという状況でございます。従いましてこれはそれぞれこの所有するところに返還をすべき性格のものであるというふうに考えております。現在のところではもちろんこの中に国のものが接収されたのもございます。それからなお日本銀行の昔の金準備等も接収されておりまするが、さらにまた民間からも接収されております。しかもそれらが、すべて個人別の整理というのはいたしていないのでございます。すべてが混在をいたしておるという格好に相なっておりますので、これを国の所有のものはやはり国に返す、それからなお特殊のものといたしましては、たとえば交易営団の形式的所有になっておるのがあるのでございますが、これは御承知のように戦時中に国民が貴金属、まあ金銀その他ダイヤモンド等を供出をいたしたのであります。その場合に交易営団がその業務の代行をいたしたのであります。従って国民としては別に交易営団に供出をいたしたわけではないのでありまして、国に供出をいたしたのであります。従ってそれは形式的には交易営団に所有はありますけれども、実質は国の所有であるというような観点から、これもやはり今回御審議を願いたいと思っております法律案におきましては、法律をもって明確に交易営団の所有ではあるけれども、それは国のものである、実質は国のものであるという建前から国に帰属させるというふうな処置をとる考えでおりますが、それに基きましてぴしっと処理をいたしましたあとは、それは本来国のものであるもの及びこの法律によって国に帰属するものにつきましては、これは当然今度は国の財産として管理をいたすことに相なるのでございますが、現在のところではすべてが国有財産というところまでは参らないわけであります。いろんなものが混在をいたしておるという状況でございます。
  34. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 大体わかりましたけれども、この調書によってちょっとお伺いしたいのですが、二百七十一ページに大蔵省所管で貴金属特別会計というのがございまして、そこに有価証券その他、これは数字でいうと二千二百二十五万というわけでございます。ここにございますが、先ほどどのそのダイヤなり貴金属が日本銀行にあるのが国有のもあるし、民間のもあるというようなお話でございますが、いま少しはっきり国有はどれくらいというふうには何かわかりませんでしょうか。
  35. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは駐留軍、当時の占領軍、が接収をいたします際に、必ずしも非常に詳細な領収書を発行をいたしておらないのでございまして、その領収書が非常にはっきりいたしておりまして、しかもその接収先別に品物が管理されておるということになりますと、割合簡単と申しますか、明確に区分ができるのでございますが、それらの手続がとられていないために、きわめて明瞭にどうだということは言えない状態でございまして、従いましてそのへんの法律関係なり事実関係がきわめて複雑をいたしておりますので、法案におきましてもこの処理を単純な普通の行政手続で処理することが適当でないということから、審議会を設けまして、審議会の議を経て大蔵大臣処置をするという建前にいたしておりますが、従いまして今日におきましては、非常に明確にどの程度になるということを御答弁申し上げることができないのでございますが、ごく概略を申し上げますと、おおよそこういうことになろうかというふうに考えております。これも勿論問題は評価の方法によりまして、非常に差異が出て参るのでありますが、たとえば金銀等につきましては国際市場価格で一応計算をしてみる、それからダイヤモンド等につきましても卸売の国際市場価格と申しますか、というふうなところで見当をつけ、さらにまた接収をされましたものの中には美術品といいますか、金銀に加工されたものがあるのでございます。これなんかの価値をどう評定するかということはなかなかむずかしい問題でありますので、それをかりに地金の価格で計算をしてみるというふうないろいろな評価の前提をおいて考えますと、総体で約七百億円くらいのものになろうかと思います。それでその中で金の地金が約三百二十五億円、それから金貨が五十一億円、それから銀の地金が二百三億円、銀貨が十億円、それから白金の地金が九億円、合金の地金が三十七億円ダイヤモンドでございますが、これは数量にいたしますと十六万一千カラットばかりありまして、装飾用のダイヤモンドでありますが、これもこの評価はまた非常にむずかしいのでございますが、当時占領中に一度まあ向うの専門家と申しますか、というものが来て評価いたしましたところだと約七十二億円のものであろうというふうな評価をいたしておりますが、そういうものを合せますと、約七百億円ということに、総体としては相なります。これが、この中で国のものが幾らかということでございますが、これはもう非常に大胆な推定でございまして、これは非常に慎重な手続きで最後的には確定をされるべきものでございますが、一般会計に何と申しますか、本来一般会計のものであるもの及び先ほど申し上げました交易営団等のものであって、国の所属にいたすことを適当とするものというふうなものを合せまして、約二百四十億円くらいに相なろうかと思います。それから特別会計があるのでありますが、特別会計は造幣局特別会計、これは貨幣の地金として持っておりましたのが接収されたのが大部分でございますが、これが約五十七億円程度、それから貴金属特別会計でありますが、これは内容は金と銀が主なるものでありますが、これが約六十九億円、それから日本銀行から接収されたものがございますが、これが約三百億円、それからそれ以外に民間から出て参りましたものを集計をいたしますと三十億円足らずのものというふうなことに相なるのではなかろうかというふうに推定をいたしておりますが、これは明確には法律案の成立を待ちまして慎重な手続きを経た上で、それぞれの所属決定しなければ、明確なことは申し上げかねるような状況でございます。
  36. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 そうしますと、ここにあります二千万円ばかりのものはこれはまあ僅かなものでありまして、これ以外の今お話しの日本銀行にあるところの金銀、ダイヤ等は、今回のこの二十八年度の今日議題になっております財産の中にはあれはまだ入っていないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  37. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これはまさに結論を申し上げますと、その通りでございますが、一般的にこういうふうな金属類は物品でございまして、国有財産法の適用は受けていないわけでございます。御承知のように国有財産法の適用を受けておりますのは土地、建物その他の不動産類でございます。それからさらに不動産でないものといたしましては、有価証券はこれは国有財産として国有財産法の適用を受けておるのでありますが金銀等につきましては物品、本来物品でございますので、物品の扱いになっておりますので、物品特別会計によって、物品会計規則によって管理をされているものでございまして、従いましてこの国有財産報告書にはそういうものは載らないわけでございます。これは決算のたしか報告書には参考書類として金をいくら持っておって、その評価がいくらあるかということは貴金属特別会計からの報告書が参考書類として添附されておりますので、こちらの報告書には載らない建前になっております。
  38. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 今局長お話のように、法規上そういう形になっておれば、私はそれでよろしいかと思いますけれども、しかしとにかく金額が何百億というような大きなものが、とにかく国有になっているものがあって、それからこちらの方には貴金属特別会計所属という項目がこういうように出ていて、ここにそういうものが載らないというのは非常に……。私ほかの、別の方を読まないので悪いのかもしれないが、なんかはっきりしておかないと、国の財産が多いのか少いのかわからないというふうになるのですが、この貴金属特別会計というのは、そうするとどういうことになるのですか。
  39. 窪谷直光

    政府委員窪谷直光君) これは貴金属特別会計所属しております。国有財産のちう普通財産というものがこういうものだということでございまして、この二千二百二十五万円の内訳といたしましては、帝国鉱業開発株式会社株式を二十万株、それから朝鮮鉱産振興株式会社株式二十五万株というものを、それぞれ額面で計上いたしております価格が、ここに載っているのでございます。従いましてこの報告書の中には国有財産法の適用を受ける財産を計上いたしているということでございます。従って貴金属特別会計所属をいたしております物品類はこのもののほかにあるわけでございます。これについての状況は片方の方の決算報告書の方の参考書の中に計上いたしている、こういうことでございます。
  40. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 いま一点だけ。大体わかりましたのでありますが、そうしますと、二十八年度の国有財産検査報告という会計検査院から出てきたものには、今のようなものは載らないで、そういうものは別の報告において生きておる、こういうふうに考えておるのでございますか。これは会計検査院にお伺いいたしたい。
  41. 池田直

    説明員池田直君) ただいまお話の貴金属類は、国有財産検査報告には全然載っておりません。会計検査院の検査といたしましては、いろいろの一般会計なり特別会計なりにおきまして貴金属数を従来所有していた関係がございまするが、それはそれぞれの会計の検査の面におきまして検査を了しております。その報告関係は特に不当の事項がなければ検査報告には掲載しないという例になっております。御承知通り貴金属ばかりでなく、物品会計はいろいろの資材類等国の所有しておりまする額は相当の額に上っておりますが、これはそれだけものを全部集計して、これだけのものが国のもっておる財産物品であるというふうな報告を現在国会報告するというような取り扱いにはなっておりませんので、特に違法または不当の取り扱いがない限りは、会計検査院といたしましては現在御報告いたしておりません。ただ一部特別会計等におきまして財務諸表類にそうした財産のある程度の価格のわかるものは、財務諸表によってそれを知り得るというような取扱いになっております。
  42. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。ほかに御発言もないようでございますが、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないものと認めます。ではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はまず賛否を明らかにして御討論願います。(「意見なし」と呼ぶ者あり)じゃほかに御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。昭和二十八年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和二十八年度国有財産無償貸付状況計算書の二点については、すべて御異議がないと議決することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 山田節男

    委員長山田節男君) 満場一致をもってこの二点につきましては議決決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告の内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他事後の手続きにつきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないと認めます。よってさように決定いたしました。  それから報告書には多数意見者の署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は何とぞ順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     青柳 秀夫  谷口弥三郎     野本 品吉  岡  三郎     中川 幸平  石川 清一     石井  桂  小澤久太郎     大谷 瑩潤  鹿島守之助     西川彌平治  白井  勇     飯島連次郎  奥 むめお     島村 軍次  三浦 辰雄     大倉 精一  久保  等     近藤 信一  木島 虎藏     白川 一雄
  47. 山田節男

    委員長山田節男君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れないと認めます。
  48. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算  昭和二十八年度特別会計歳入歳出決算  昭和二十八年度政府関係機関決算報告書  を議題といたします。  本日は農業共済再保険特別会計、漁船再保険特別会計国有林野事業特別会計、国営競馬特別会計審議いたします。  まず会計検査院側から説明を求めます。
  49. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 農業共済から御説明を申し上げます。検査報告の二百三十九ページであります。  昭和二十八年度に各府県、それから農業共済組合連合会、これに対しまして一般会計から事務費の負担金を出しておりますが、これが二十四億円、それから共済再保険特別会計から再保険金百八十六億円、大きな金を支出しておるわけでございます。従来、この農業共済保険につきましては、会計検査院といたしましてあまり検査をしたということはなかったわけであります。ところが御承知のように方々でいろいろな問題を起しまして、新聞にも載りますし、何とか全国的に一つ見てみよう、こういうことで昨年初めてやったわけでありますが、県の数にいたしますと九県、組合の数で百二十九組合、非常にわずかなあれしかできなかったわけであります。わずかしかできないことが予想されましたので、一地方に固めてやったのでは意味がない、こう思いまして、北海道を除きまして、東北から九州まで、大体各ブロックごとに県を二つあるいは三つぐらいずつ選びまして、こういう標準点をおとすようなやり方で実はやってみたわけであります。大体全国的な傾向が一応うかがえるのじゃないだろうか、こういうわけでありますが、今のようなやり方をいたしましたので、傾向的な結果が出たのじゃないだろうかと、こう考えておるわけであります。  検査の重点は、まず第一に掛金の徴収が適切に行われているかどうか、それからまた特別会計から出しました再保険金が果して組合員、被害者のところにまともに届いておるかどうか、この二点に重点を置いて検査してみたわけであります。そういたしますと、まず第一に掛金でありますが、掛金の徴収が制度に規定しております通りに適切に行われているという組合はほとんどないというようなことがわかったのであります。共済金の支払いのない無被害無災害のときには掛金は取らない。被害が発生して共済金の支払いが行われると未収掛金を相殺していく、こういうようなことが大体どの組合でも行われておるようであります。  それから次に損害評価の問題でありますが、いろいろ水増しが行われているとか、過大評価が出るとかいろいろなうわさを聞くのでありますが、これをあとに参ります関係でわかりにくいのでありますが、後ほど具体的なケースをお話しいたしますが、やはり過大報告を出しておるように思われる節が相当に見受けられるのでありまして、県の連合会としてはその修正に非常に苦心をしているようであります。  それから最後に共済金の支払いでありますが、先ほど申し上げましたように掛金、まず共済金の支払いがありますと、掛金その他未収金の差引を行い、それから余りますと翌年度分あるいは次の年度分の掛金の引き当てに組合でとって置くというようなことを相当にやっているのであります。ひどいのはすでに共済事故が発生したのに支払い保険金が全く被害地に届かないというのがあったのでございます。大体共済金を組合員に全く支払わないものが三組合ほどありました。それから共済金の一部を組合員に支払わないもの、これが十八組合、それから共済金を補償対象多の被害三割未満の耕地をも含めて平均に支払い、これは被害が三割以上ございませんと共済金を払わないのでありますが、その三割以下のところも含めて耕地反別割か何かで平均して払ってしまった、これが三十一組合、金額にいたしまして一億五千百万円というものが不当支払いということになったわけであります。  次に具体的な実例でありますが、ここに千八百六十五号から千八百七十一号まで相当たくさんひどいのを出してございますが、たくさんでございますから一つ二つお話しするにとどめたいと思います。  まず千八百六十六号これは水増し評価の代表的なケースであります。兵庫県の加古郡天満村、ここでは二十八年産の水稲の保険金を請求いたしますときに組合員から申告しました三割以上の被害面積というのが百四十二町、共済金額百六十四万円だったのでありますが、組合でこれを三百八十町、七百四十三万円、金額で申しますと四倍以上に水増しして県連に報告を出したわけであります。連合会では一生懸命で査定したのでありますが、査定した結果が四百二万九千円、組合員から申告しました百六十四万円の二倍以上四百二万円ということの査定になったわけであります。それで保険金は三百六十二万円やってしまった、こういうことそれから大部分は組合員に均等割で配分しております。被害割で配分したのはごくわずか、こういうことになっております。  それから千八百六十七号でありますが、これは愛媛県でやはり同じような、これは水増しの事実は私どもわからなかったのでありますが、これは金をやはり余らせまして、組合員に払わないで余った分を二十三人の架空名義の預金通帳ということにしていたわけであります。これが百七十二万円を二十三名の実在しない人の名前で預金をしていた、こういう例であります。  千八百六十八号、これも同じ愛媛県でありますが、全然保険金を払っていないという例であります。三十八年産の水稲保険金百六万円を受領したのでありますが、実際は全く支払っていない。それから掛金も全然受取っていない。それで結局金が余ってしまいまして、いろいろなものに使った。たとえば病虫害防除機具購入費助成金とかいろいろなものに払っておりまするが、余った金は百九万八千円、これは組合長個人名義預金で別途保有している、こういうような状態であります。これはこの中でもきわだって特異のケースであります。  それから共済金はそのくらいにいたしまして、漁船再保険の千八百七十二号でありますが、これは船が行方不明になってから後に保険に入った、こういうケースであります。福島県でありますが、漁船のみどり丸(九十七トン)の再保険金として百八十万円払ったのでありますが、これは二十八年の八月二日消息が絶えてしまったのであります、実際そうして八月一日に保険金額二百万円の引き受けをした、こういうふうに書類はできていたのでありますが、いろいろ調べて参りますと、二日に消息が絶えて六日になって大急ぎで保険に入った書類は八月一日に入ったように作っておった、こういうケースであります。  それから次に国有林野に参ります。国有林野の二十八年度の決算額は、歳入が四百四十九億、歳出が三百三十二億、前年度に比べて歳入歳出とも相当にふえているのでありますが、かなり大きな会計であります。この国有林野につきましては従来から、立木、林野加工品の処分、これの検査に重点をおきまして、それに、臨時的の仕事であります国有林野整備臨時措置法による林野の売り渡し状況、こういうもの、さらに林道の料規開設、こういう点に検査の重点をおいて検査を二十八年度はやったわけであります。従来から林野事業におきましては随意契約で売るものが多いということがしばしば問題になっておりますが、これはだんだんに競売にいくものの割合がふえております。二十八年度におきましては、六三%を随意契約で売っておるのでありますが、これは水害の応急用とか、あるいは、今までは用途のあまりない船材用の新規用途の開拓、こういうような意味で売ったものも入っておりますので、こういうものを除きますと、随意契約で売った比率は従来よりもよくなっております。  次に千八百七十三号以下の関係について御説明いたします。まずここに表で三件、千八百七十三から七十五まで並べましたのは、営林局でやります林道の工事の出来高不足であります。補助工事等には非常にこの出来高不足が多いのでありますが、これは国の直轄の工事としては、出来高不足は完全にこれは請負人にそれだけごまかされておるわけで、おもしろくないのでありますが、三つほど林道について出ております。それから千八百七十六号、これは国有林野整備、先ほど申しました林野整備のケースであります。林野整備で売りました国有林というのは、立木は転売をするという例が相当に多いのであります。これはいろいろな関係がありまして、買いました町村が転売を、全部でなくても一部は転売してしまうというのが多いのであります。これはあとの処分をしっかりやってもらえばいいわけであります。ところが千八百七十六は、土地ごと売ってしまった、元も子も全部売ってしまって、結局町村の基本財産をふやすという意図のもとに売ってやったのに、土地ごと高い値段でそっくり売ってしまう、こういうケースであります。花巻の営林署の管内でありますが、岩手県の湯本村、ここで国有林八十六町歩の立木を随意契約で五百七十六万円で売ったのでありますが、立木の材積の見積りを誤まりまして、少く見積り過ぎたということで、二百十五万円ほど安くなっているのですが、それ以外に、先ほど申し上げましたように、湯本村の農業協同組合に譲渡しまして、寄付という名前で金を千二百万円もらっているのであります。全国で土地ごと売ってしまったというのは、昨年は、私どもいろいろ調べましたが、これ一件でありました。ほかは立木は売っておりますが、土地ごと売ったというケースはございません。  それから、千八百七十七号、これは用途を指定して、随意契約で売った素材をほかへ転売されてしまった、こういう案件であります。秋田営林局管内の六つの営林署でありますが、二十六年九月から二十八年十一月、二カ年余りにわたりまして、四千八十七石を千二百万円余りで売ったのであります。そうして随意契約で、売る条件として輸出向きの繊維機械製作用材に使う、こういうことで売ったのでありますが、買受人は条件に違背してこれを木材業者に転売してしまった。それが一部検察庁に見つかりまして、詐欺罪の容疑で起訴されておる、こういう案件であります。申請書などには東北繊維機械工業会というような、ありもしない架空団体の名前を使いまして申し込んでいるのであります。これは一回や二回でしたら、まあこういうことも仕方ないと思うのでありますが、二年余にわたりまして六つの営林署でやられたわけでありまして、この点にこの問題のポイントがあると思うのでありますが、林野庁は農林省の中では、私ども検査しておりまして、もっとも経理のいい方でありますが、その中でこういうケースが出るというのははなはだおもしろくないような印象を実は受けたのであります。  それから最後に、不正行為でありますが、これは熊本の営林局、上田営林署、中山の競馬場、これで金を盗まれたとか、立木を盗まれた、こういうケースであります。  御質問がありましたらお答えいたします。
  50. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に、農林署側から御意見があればお述べ願いたいと思います。ありますか。
  51. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 国有林野事業特別会計関係におきまして御批難を受けました点につきましては、当時多少やむを得ない事情もあったといたしましても、取扱いその他にまことに不十分な点がございまして、弁解を申し上げる何ものも持たんのでございますが、当時、本特別会計が発足いたしましたのは昭和二十二年度からでございまして、特別会計制度自体もいろいろ検討を要する問題が多く、これだけの膨大な特別会計を運営しながら、実は内部監査の制度を持たなかったのでございまするが、順次特別会計事業も進んで参りますし、会計法自体の改善事項等も充実しつつ、外部監査等との関係から、早急に内部監査制度を強化いたさなければならん、こういうことで昭和二十七年の八月に機構改革、行政機構改革の機会に、内部監査制度を確立せられたのでございまして、ちょうど昭和二十八年度はようやく内部監査制度を初めて実施するという程度に過ぎなかったのでございますが、従いまして、ただいま御指摘をいただきましたような非常に不備な点が多々あったのでございまして、その後会計監査院の御指導、あるいは監査制度の整備、監査事項の拡充等によりまして、漸次これらの過誤を是正し、あわせて本特別会計の能率化と改善、経営の合理化等を進めて参っておる次第でございます。それぞれの案件に関しましても、内部監査制度を活用いたしまして、その後の過誤を絶滅する方向に進めつつありますること、今後におきまして、さらに一そう過誤を防除いたしまして、本特別会計の正常な運営をいたすべく努力いたしておるという点だけを申し上げさしていただきたいと思います。
  52. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま農業共済組合の業務ならびに会計のことにつきまして、相当多数の事例につきまして、不当事項を指摘されましたことにつきましては、まことに恐縮に存じておる次第でございます。今後、農業共済団体の業務ならびに会計に関しまする監査を一そう厳重にやりまして、適切な指導を加えまして、こういう事態のないように万全の措置をとって参りたい、かように考えておるのであります。  御指摘を受けました不当事項の大部分は、農作物共済につきまして、組合と組合員との間の共済関係が当然成立しておるにもかかわりませず、ちょうど共済責任の始まる時がいわゆる田植え時期と申しますか、農家に現金が非常に払底しておる時でありまして、それらの関係で掛金の徴収がはなはだ困難であるというような事情が考えられるのであります。しかしながら農業共済関係におきまして、掛金を完全に徴収しますることと、被害がありました場合にその災害の保険金を完全に支払うということが前提をなしておるのでありまするので、今後は掛金の完全徴収並びに保険金の完全支払い、こういう点に特に重点をおきまして指導をして参りたい、かように考えておるのであります。  なお現在の共済組合は町村単位にできておりまして、相当弱小と申しまするか、区域、あるいは組合員等の数も非常に少くて、いわゆる事務費がなかなか捻出できないというような組合も相当あるのであります。この点につきましては、われわれといたしましては、そういうような弊害を今後起さないように、合併が各町村で進行いたしておりますので、合併後の町村を目途といたしまして、合併を指導して参っておる次第であるのであります。相当大きな区域を組合の地区といたしまして人員並びに事務費等につきまして遺憾のないような措置をとりまして、共済組合が農業災害補償制度で考えられております、いわゆる農民が天災や不慮の事故によりまして損害を受けました場合に、完全にその災害を補償し、農業の再生産力を維持していくように、今後十分なる措置を講じて参りたいと、かように考えておるのであります。
  53. 前谷重夫

    政府委員(前谷重夫君) 漁船再保険特別会計につきましては、会計検査院の御指摘の通りでございますので、非常に遺憾に思いまして、直ちに、無効契約に基く保険金の支払いでございますので、昨年の十月に全額を返還さしたわけでございます。今後の問題といたしまして、各全国の府県及び組合に対しましてこの事実を通知いたしまして、厳重なる注意を喚起すると同時に、われわれといたしましては、保険契約の成立月日と、それから保険事故の発生の時期と接近しておるものにつきましては、これ以後全部について実地調査をいたしまして、事故の絶滅を期しておる次第であります。
  54. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 競馬の特別会計に属しまする東京競馬事務所中山競馬におきまする保険金事故の件でございますが、この点につきましては、現金を取り扱いまする職場でございますので、間違いの起きませんように、平素事務の方法、監督の方法等につきましていろいろ苦心をいたしておったのでございまするが、会計検査院の御指摘の通り、はからずもかような不祥事件を発生いたしましたことにつきましては、まことに遺憾に存じておる次第でございます。不正行為をいたしました両名につきましては、すでに東京高等裁判所におきまして判決が確定いたしまして、懲役一年六カ月、執行猶予四年ということに相なっておるのでございまするが、国の受けました損害につきましては、これと別途民事訴訟上の和解が成立いたしまして、分割弁償をなさしめることになったのでございまして、被害額七十四万円のうち、すでに現在までに二十二万四千円というものを弁償せしめておる次第でございまして、今後におきましても、本人はもとより、本人の父あるいは母という者も連帯して責任をとらしめることにしておりますので、和解の条件に従いまして完全なる弁償をいたさしめたいと、かように努力いたしておる次第でございます。  なお、その後におきましての措置につきましては、かような不祥事件が二度と発生いたしませんように、事務の処理方法等につきましていろいろ改善工夫をいたしまして、厳にかような事故の再発を防止いたしますように努力をいたして参っておる次第であります。
  55. 山田節男

    委員長山田節男君) これをもちまして会計検査院側並びに農林省側の説明は終了いたしました。  本日は、向って右から原田畜産局長、前谷水産庁長官、柴田林野庁長官、大坪農林経済局長、小峰会計検査院検査第三局長、吉田農林検査第一課長が出席しております。   順次御質疑願います。
  56. 白井勇

    白井勇君 農業共済組合ですか、これはこの会計検査院の報告にもあります通り、その組合には一応農林省から事務助成というものがあるようであります。たしか年間二十三、四億ぐらいの金が流れておるのではないかと思いますが、そうしますと、災害を受けますまでの間の事務というものは一体組合としてどういうことがあるのですか。
  57. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業共済組合は、先ほど申し上げました通りに、現在までのところ、大体市町村を単位といたしまして成立いたしております。役員は別問題といたしまして、大体職員といたしましては二人ないし三人のような状態になっておるのであります。この職員の平素の仕事でありまするが、これはいわゆる農家の土地につきまして、たとえば水稲、麦数、それから養蚕、それから家畜、大体農業災害補償制度でこの四つの種類の保険事業を行うということに相なっておるのであります。事務といたしましては非常に、相当数量の事務があるのでございまして、保険の引き受け並びに保険金の支払い、損害の調査こういうような相当な事務の量があるのであります。従いまして、政府といたしましては大体その二人の者を対象といたしまして、現在まで全国約一万足らずの組合がありまするが、これにつきまして年間二十四億ほどの補助をいたしておる、かような格好に相なっておるのであります。
  58. 白井勇

    白井勇君 そういうふうに災害が起きましてからの事務ということはよくわかりましたが、常時一体どういう仕事をその二人の職員がやっておるものか。私は会計検査院の検査というものは、これが対象になりますものは、全部やっておるわけではない、全体の二割か三割ぐらいしかやっていない、やり方はどういうふうにやられるものかということを非常に私は疑義を持っておったのですが、今局長お話によると、今回初めてやりますこの農業保険事業についての検査というものは、先ほどのお話ですと、割合に科学的に国全体の実態というものをつかむような検査のやり方が行われたように承わってあります。その結果がこの二百三十九ページにあります通り、まず掛金の徴収から始まってきそうなものですが、それが全然行われていないということになりますと、常時は組合の形態というものはなしていないものであるというものじゃないかと思うのですが、検査院といたしましても、二百四十ページの最後の方に「農民から遊離しているばかりでなく、保険は、組合と上部機関との間で空転し、組合その他の機構を維持するために存在している感さえするものがある。」なんていやに、何といいますか、遠慮深く書いておるようでありますが、こういう実態じゃないかと思うのですが、これに対して農林省説明文の百十六ページですか、こういうものは非常に問題のある点だから極力近い機会に制度的の改正を行うということがあるわけですが、制度の改正によってこういう点が改善されるという見通しがあるわけですか。
  59. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいまのお話でありまするが、農業共済制度をどういうふうに改善を加えていったならば、真に農業災害補償法の精神がつらぬかれてゆくかという点につきましては、衆参両院等におきましても長い間御論議があっておるのでありまして、目下農林省に衆参両院の議員の方を中心といたしまして、農業災害補償制度の協議会が設けられておるのでありまして、協議会におきまして、いわゆる掛金に関しまする点、あるいは保険の引き受けに関しまする点、あるいは農業共済組合の団体としての機構の点、これら相当の点につきまして、どういうふうにやったらばいいかということが目下調査研究中であるのであります。一部の事項につきましては、すでに中間答申が出ておるのでありまして、私どもといたしまして、その中間答申の線をどういうふうに持っていったならば、今後農業共済組合制度が真にその意図しておるところを達成し得るかという点につきまして、目下検討を続けておるのであります。これらの点にきつましては、制度として検討を加えております。  ただ一方、制度としての問題でありまするが、他面には行政指導といたしまして、いわゆる掛金の完全徴収並びに共済金の完全支払い及び共済団体をできるだけ相当広範な区域に合併をいたしまして、組合がいわゆる事務費等の負担にたえ切れないで、法律の意図している目的が達成できないような事態が起らないように、目下のところ行政上の指導を加えている次第であります。
  60. 白井勇

    白井勇君 政府説明によりますと、この個々の問題になりますと、いついっか支払いは完了したということになっておりますが、これはあれですか、完了したということはどこで押えるわけですか、末端の町村でやるわけですね。町村が組合員に正規の支払いをするということなんですか。
  61. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 町村の組合を府県を中心といたしまして指導をいたしまして、正規の手続、正規の支払いをさしておるのでございます。
  62. 白井勇

    白井勇君 私がお尋ねしますのは、これは一応農林省で支払いを完了したという確認をしたことだと思うのですが、それならば書面報告がありますれば一応終ったのだと、こうとっておるのですか。
  63. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 不当事項が会計検査院の検査によりましてはっきり出ておりまするので、その不当事項を農林省といたしましても認めまして、府県を督励いたしまして完全に再支払いを命じておると、かような格好になっておりまして、その点につきましては、報告によりましても完全に支払われておるのでございます。この点は間違いはないと信じております。
  64. 白井勇

    白井勇君 これは会計検査院じゃいわゆる昨日委員長からのお話しの、事後監査ですか、事後処理ですか、あれで一々やはり確認をされるわけですか、現場へ行って……。
  65. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 農業共済組合は先ほど農林省の方からお話しありました通り、大体市町村単位で全国に九千何百かございます。従来私ども全然記録を受けなかったわけでありますが、従って確認ということも全然できなかったわけであります。昨年初めて百数十でありますが、わずかばかりやりまして、こういう結果が出てきたので驚いているわけでありますが、その後引き続き今年は五月末までに百八十一ほどやっております。九月くらいまでこれを続けて、なるべくたくさんのいろいろな事実を見たい、こう思っておるわけであります。
  66. 白井勇

    白井勇君 千八百七十六号ですね、これの政府側の説明にございまする何といいますか回答で、これはどういうことをやって、森林生産組合を作って云々しておるということは、万全を期したいという、これはやったのかやらないのか、さっぱりあいまいであると思う。この点どうであるのか。
  67. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) この案件につきましては、大へん遺憾な点が多くて恐縮に存じておりまするが、ちょうど一つには非常に降雪期を控えまして、町村合併促進のために買い受けを急がれたというような関係もありまして、調査を急いだために材積の見方に非常に見落しがあった。これを再検討いたしまして、調査を正確にいたしまして、その差額は徴収をいたして処置いたしたのが一つ特に御指摘を受けまして、御批難になっておりまする転売という問題でございまするが、実は湯本村というのは非常に豊かな村でございまして、農業協同組合が非常によく発達しておる村で、しかも森林組合を持たないという村でありました関係上、ほとんどの村民がはかられて、町村合併に伴って合併町村に持って参るものと、ぜひとも財産区として残したいというものの管理を農業協同組合で引き受けさせたいというようなことになって、形の上では非常に不適正な引き受けのような格好になっておりますが、さような意味におきまして、実は農業協同組合が一部引き受けたということになっております。いずれにいたしましても、森林経営の主体としては適当ではない。しかも営林署にほとんど事後処理を相談なしにかようなことを進められたということで、非常に私ども遺憾に存じまして、合併町村関係者全部にもお集りを願いまして、今後の処理を的確にしまして、国有林払い下げの、売り払いの目的を十分に達成させるということで、実は湯本生産森林組合というものを本年に入りましてから設立させた次第でございまして、ほとんど全村が加わりまして、生産組合によりまして、地域も湯本村一円ということで管理形態を明確にいたしておる次第であります。
  68. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと私この再保険の問題で聞きたいのですが、掛金を組合員からとっているわけであります。そうしてこの共済金だけは頭からおりてきて、一体これどうなっているのか。保険といったようなものは、生命保険でも何でも掛金を払わなければとれないでしょう。その点一体どういうふうになっておるのか。これは帳面づらだが、あるいは報告書だけは、紙だけ出しておけば金をくれるのか、非常に便利な機関のようにも見えるし、その点よく聞かしてもらいたいのですが、掛金、賦課金等を組合員から全く徴収せずに……、これは会計検査院に先に聞いておきたいと思いますが、この共済組合が掛金をとらなくても金を納めておりますか。
  69. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 現在の農業共済保険制度は制度として見ると非常にいい制度なんであります。今義務加入といたしまして、水稲なり麦なりを作っておりますといやおうなしに法律上保険制度に入らされるわけであります。それともう一つの条件は、掛金を必ず納めるということが条件であります。これは生命保険の例をお引きになりましたが、保険ですから掛金を掛けないでゆこうというものはないわけであります。この農業共済も義務加入であると同時に、掛金を必ずかけるということになっておりますが、実際歩いてみますと、まともにとっておるところはあまりない。赤字経営、ほかから金を借りましてそうして掛金を出したことにいたしております。先ほどちょっと申し上げましたが、共済金がおりてきますと、共済金から来年の分の掛金を天引きしてしまうというようなことをやっておるところもあります。来年の分の掛金としてあらかじめ今年の共済金をそれだけ引いておく、来年の分はそれでそっくりそのまま組合の名前で納めるわけであります。一応形だけは整えてあるわけであります。赤字経営をやっておる組合が相当多いようであります。
  70. 岡三郎

    ○岡三郎君 そうするというと共済組合が、最近問題になっておる競馬ののみ屋みたいな、納まっていないやつを納めておいたとして、何かあるとそれをとると、災害が起らんと赤字になってしまうと、こういうことなんですか。その点一つ
  71. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま御指摘になりました事例につきましては、御承知のように農業共済組合は、各組合が成立をいたしますというと、一定の面積以上を耕作しておる農民は当然組合に加入いたすことに相なっておるのであります。従って組合員としての資格につきましては、当然加入でありますから、加入の関係がそこで発生をしてくる。で保険関係は、いわゆる水稲でありますというとちょうど本田植えつけ時期に保険にかけると、こういう問題になって参るのでありますが、ちょうどその時分はいわゆる農家といたしましても非常に現金の少いときで、しかも多数の組合員から一々金をとることが非常に困難なために、場合によりましては組合で組合員から保険金を徴収していないという事例があったことを御指摘になったのであります。  しかしながら、一方今度連合会に対しましていわゆる再保険をするのでありますが、その再保険関係につきましては、いろいろ組合で持っておりました金でありますとか、あるいはよそから借りてくるということで、組合と連合会の関係におきましてはもうすでに保険事項として再保険金の支払いも済んでおる、ただ組合と組合員との関係におきましては、ただいま御指摘になりましたように、往々にして先ほど申し上げましたような事情で保険金の徴収が行われておらない事例があると、こういう関係に相なっておるわけでございます。
  72. 岡三郎

    ○岡三郎君 大体よくわかったけれども、そうするというと、結局まあその災害があったときに結局災害が起るのを待っておるような制度ですね。今の部面から言うと、極端に言うと。これはまあ農家に金がないということもわかりますが、結局再保険というものをやはり今後いい制度として伸ばしてゆくために、こういうやり方をまあ是正してゆかなければならぬのですが、さっきの小峰局長の言葉を借りるというと、大ざっぱに科学的だけれども、調べただけでもこれだけあったということになると、これは相当のものだというふうに予想ができるわけです。だからもっと極端に言うと、農林省が一応その経理とか何とかいろいろなことを言ったけれども、現実にはのみ屋にひとしい、ダフ屋というものじゃない、のみ屋にひとしい行為をある程度肯定してやっているように見える。これは農林当局の方に厳重なる責任を追及されてもやむを得ないじゃないかと思う。こういう点をどのように是正しておるか、是正しておる状態を知らせてもらいたいと思う。つまり組合員が掛金をしないものはこれは一切、途中において再保険したといってもそれは実際は違法だと私は思うわけです。この違法な事項をどのように是正しているか、その是正状況をちょっと聞かせてもらいたいと思う。これはゆゆしき問題だと思うから。
  73. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま御指摘のありましたように相当多数の組合につきまして不当事項が指摘されておるということにつきましてはまことに遺憾に存じておるのであります。私どもといたしまして、検査院等の御指摘がありましたときに、直ちに府県の課長会議を招集いたしまして、不当事項を一々列挙いたしまして、こういうようなことの今後絶対ないように現場を指導してもらいたい。なおさらに連合会の会長会議を開催いたしまして、同様同じような事項を指示いたしておるのであります。ただいま御指摘の通りいわゆる保険でありまするから、保険金の掛金の完全なる支払いというものと、事故の起りました場合に保険金を完全に支払っているということは、これは大きな共済組合の三大支柱でありますので、今後はこういうことのないように指導して参りたいと、かように考えておるのであります。
  74. 岡三郎

    ○岡三郎君 終りますが、今の点、是正してきたその実際の状況を、まあ内部監査の制度もあると思うので、どの程度内部監査をして、どの程度共済組合のこういった不法問題を是正したか、そういう状況の資料があったら一つ出してもらいたいと私は思うのです。これは委員長からお願いしていただきたいと思うのです。
  75. 山田節男

    委員長山田節男君) 私からそれに関連してちょっとお尋ねしますが、今の岡君の伺われることは、もう一歩進めると、要するにこの保険経理といいますか、各再保険組合の保険経済といいますか、自分のこの醵出すべき金を出さないでやるということになると、保険経済というものが立たないと思うのです。これはどのように扱ってこられたか。やはり架空で、これはちゃんと掛金を収納したものだというような工合にして、これを帳面をごまかさないと、保険経済というものはこれは具体的にならないわけです。この点は一体どのように扱っていらっしゃったか。
  76. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいま御指摘の点でありまするが、いわゆる県の検査員並びに農林省の検査官等も参りまする場合に、従来におきましては会計検査院のように徹底した検査を行なっていなかったきらいがあるのでありまして、帳面上は一応保険金を徴収して、従って再保険金も払ってある。また事故がありました場合に、いわゆる保険金も農家に支払っておると、帳面上はそういうことになっているが、実際は中には、組合によりましては、ただいまのようなからくりを組合がやった、こういうような事態であるのであります。なかなかそういう点につきましては徹底いたしました検査をいたしませんというと、そのうらはらの点につきましての調査が困難でありますので、私どもも、県の当局等もよく招集いたしまして、検査につきまして相当こまかい綿密な今後は検査をして参るように指導をいたしておるのであります。  それでごく最近の検査になりますと、その点は従来の検査に比べまして相当立ち入った検査をしている、かように私ども考えておるような次第であります。
  77. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して、今の資料を出してもらいたいことと、これから検査院にお願いしたいことは、まあ初めてやったと、いかにもうかったという点を私は言いたいのですが、会計検査院にしてもこれだけの事項を初めてやったというにしては、ちょっとロスが多かったのじゃないかと思うわけなんです。それで大体この検査院の方としても、今後ともこの点には重点を入れて、これは徹底的にこの方式によってのみ屋行為的なものは徹底的にやるという点で、一つ今後ともこれについてはわれわれ注目しておりますので、二十九年度の状況もちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  78. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) この制度は二十四年度から現在のようになっておるわけであります。昨年まで手がないとは言いながら、ほったらかしておいたことは私どもとしてはなはだ申しわけないと思っております。昨年は先ほど申し上げましたように、百二十九市町村をやったわけでありますが、今年はできたら昨年やらなかった、昨年は九県しかやらなかった残りの県は一通り全部歩いてみたい、こういうことでやっておりますが、あるいは北海道とかいくつかは残るのではないかと思っておりますが、大体全国一応検査をしてみたい、と申しますのは県によって非常にいい悪いがあるのであります。昨年やりました中でもたたとえば静岡県、宮崎県のようなところは比較的いいのであります。ところが悪い県もさっき具体的に申し上げました愛媛県あたりは相当悪いのでありまして、いい県もございますから、一応全国的に傾向をみたい、こう考えております。先ほど私、今年になって百八十一組合と申し上げたのは、古い資料を見ておりました。最近になりますと、二百五十六組合やっております。その中で検査院から指摘事項の出た組合が二百二十七組合、二百五十六組合のうち二百二十七組合出ております。それで保険金の半分くらいしか払っていないという県も出ておるのでございます、六千六百万円の共済金が参りまして、そのうち三千二百万円しか払っていない、組合に行っておらぬ。しかも組合に行ったとは言いながら、このうち記載しておりますような被害割で、まともに配ったのは七百万円しかない。あとは平均割でやっておる。こういうひどい県もありますが、中にはそれほどでもないところがぼつぼつ見えるのでありまして、いずれにいたしましても、事故のない県は今のところありませんが、二百五十六組合ありまして、三十組合ばかりはともかくも検査院で同じような標準の検査をしておりますが指摘事項がないというものも出ております。昨年は実は初めてやったので、検査もあまりうまくなかったのであります。初めのうちは東北方面なんかあまりたくさんいろいろな問題が出てないのであります。関東東北からスタートしたのであります。だんだん検査がうまくなって来まして、水増しなんか初め見つからなかったのでありますが、あとで参りますと、初め参りましたところは、水増しなんか見つからなかったのでありますが、今年は最初参りましたところから、ひどいところは相当分っております。割合に全国的な傾向を知るには、今年一ぱいやりましたら相当詳しい事実が分るのではないか、そうしてまことに驚くべき現状というものも分るのじゃないかと思っておるわけでありまして、決して手をゆるめるようなことはしないつもりでおりますから、どうぞ御了承願いたいと思います。
  79. 大倉精一

    大倉精一君 今いろいろお話を承っておると、どうも腑におちないものがあるのですが、たまたま会計検査院から指摘をされて、それから各所長を集めて訓示をされる、もし指摘をされなかったら、そのままになっておる、こういうふうになるだろうと思うのですが、これは監督指導の責任はどこにあるのですか。
  80. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農林省の経済局であります。
  81. 大倉精一

    大倉精一君 大体責任者は今おいでになっておりますか。
  82. 山田節男

    委員長山田節男君) 今大坪君の言われたのは、あなたが最高責任者ですか。
  83. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その通りであります。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私はあなたにお伺いしたいのですが、その当時重要な農業共済保険について相当適切なる指導あるいは監督をしなければならんと思うのですが、その当時におけるところのあなたの監督指導方針はどういうような方針をとっておられて、そしてその実際にどういう工合に実施しておられたか、概要についてちょっと承っておきたいと思います。
  85. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業共済保険制度は農民にとりましてはきわめて重要な制度でありますので、農林省といたしましても、常時監督をいたしておったわけでございまするが、特に会計検査院等からの指摘の点もありましたので、さらに改めていろいろ県の課長を急遽招集するなり連合会の会長を招集するなり、また地方に出かけて行って、ブロック会議等も開催いたしまして、監督を厳にいたしておる、さようなわけであります。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 それは私の求める答弁にはなっておらぬと思うのです。常時厳重な監督をしておられて、なお百五十六中、百二十七という批難事項がある。そうすると、常時監督をしておってそうであるとすれば、これは結論として経済局長の監督というものは不可能になるというのですか、どういうことになるのですか。そういう責任を負わされても困る、それは不可能なことである、こういうことになるのですか。
  87. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) これはただいままでの事態につきましての検査の結果であるのであります。私どもといたしましては、今後はこういうことのないように指導して参りたい、かように考えておるわけであります。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 私のお聞きしたいのは、こういう批難があるというと、必らずまことに遺憾である、今後こういうことのないようにやりますというのは、大体決算委員会の常用語になっておる。私どもはこの監督責任者の監督の責任というものについて大きな関心を持たなければならぬと思う。それでこれは昭和二十四年度から始ったというさっきお話でございましたが、批難されたのは、二十八年度に批難されておる。しかもこれは初の検査である。こういうことになれば、この結果から言って、ほとんど放置されておったとも見えるわけです。もう一ぺん重ねてお伺いしたいのですが、常時監督しておった、常時監督しておったについては、その監督方針なり、その方法というのはどういう方法によって、どういう方針で監督をせられたか、それについてもう一ぺん伺います。
  89. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 府県に検査官がおりまして、検査官は組合の経理の状態並びに事業の内容につきまして、第一線で検査を行っております。ただ先ほど申し上げましたように、その検査が従前往々にして徹底しなかった、こういうことになるのでありまして、その点につきましてはまことに遺憾でありますので、今後は県の検査等につきまして、さらに刷新を加えまして、徹底した検査ができるような指導をして参りたいと、かように考えております。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 私は今後のことは伺っておりません。今までのことを聞いておるのですが、地方に検査官がおって、それが実情をあなたに報告しておる。大体こんな実情にあったということはその当時把握しておられたか、全然お知りにならなかったか。
  91. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) もちろん組合の中には十分でない、不当な組合が、一万もありまする中にはあるということは了承いたしておったのでありますが、そうたくさんあるということにつきましては、私どもといたしましては一向に認識は持っておらなかったのであります。府県等によりまして、ただいま会計検査院からもお話がありましたように、相当いい府県もあるのでありまして、全部が全部悪いということではないのであります。中には相当立派に運営しておるという組合もあるのであります。私どもといたしまして、ただ相当多数の不当組合があるということにつきましては、これはまことに遺憾でありますが、中には相当いい組合もありますので、今後われわれといたしましては、いい組合を育てあげますと同時に、悪い組合につきましては、さらに徹底した指導を加えて参りたいと、かように考えております。
  92. 大倉精一

    大倉精一君 どうもお尋ねしようと思う中心がはずれるのですが、まあ会計検査院も全部がそうだとは言っていないわけで、全部がそうだったら大へんなことになるわけですが、先ほど岡君の質問にあなたがお答えになっておったところによると、そういう時期は農民は金のない時期であるとか、相当詳しいことを御承知になっているような御答弁があったのですが、それと今のお話とちょっと違うようなんです。私は、この当時において地方の検査官を通じてあるいはその他の何か相当詳しいことをお知りになっておっと思うのですが、またお知りになっていなければ、指導監督の責任は果せないと思うのですが、この点はどうなんですか。
  93. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 組合といたしましては、ちょうど保険の責任の開始期間が水稲の本田植付時期等にひっかかって参りますので、農民の側といたしましては、なかなか現金の手持がない時期でありまするので、中には組合で保険金の支払いを延入をしているということにつきましては、私どもこれはまことに遺憾な次第でありますので、常時注意をいたしておった次第でございます。
  94. 大倉精一

    大倉精一君 私は、監督指導の責任者がどうもそういう実情を十分につかめなかったとは言えないと思うのです。責任者というものはつかんでおるのが責任者であり、監督指導をするにはつかんでいなければ監督指導はできぬと思う。しかも零細農民の多い日本の農業では、この共済保険制度というのは非常に農民にとって重要な制度です。その監督指導をする責任も非常に重要である。これは何か、この実情をつかんでおるようなつかんでおらないような、あるいは各県に検査官があるが、どうやらこうやらというようなことで、実際にはほとんど指導監督の実績というものがないように思うのです。その点が私は非常に重要な問題だと思う。先ほども、今後においてはということをよく言われましたけれども、これが指摘されて各地方の所長を集めて訓示を与えた、これは今までやっておられたと思うのです。指摘をされる前に訓示をされていなかったら変だと思うのです。毎年そういうような訓示というようなことはおやりになっておられたと思うのですが、これはどうですか。
  95. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業共済制度は非常に重要な制度でありまするので、必要のあるごとに、私どもといたしましては、県の課長なり、あるいは部長なり、あるいは連合会の会長なりを招集いたしまして、所要の訓示をし、かつ監督を厳重にしてもらうように常時指導をいたしておるのでございます。ただ今回の報合におきましては、相当多数の事例が出て参りましたので、さらに具体的事例を一々指摘いたしまして、こういようなことのないように注意をしてもらいたいたということを強く要望いたしたのでありまして、一般的な事項につきましては、機会あるごとに私どもといたしまして農業共済保険制度のいわゆる内容並びにこれの運営につきまして、遺憾のないような措置につきましての指導はやっておりますが、今回特にこういうたくさんな事例が出て参りましたので、詳細指導をいたしたような次第でございます。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 私は集めて訓示の作文を読んでみても、それは指導だとは思わぬのです。それは指導の原則を言ってみたり、精神訓話をやっているのではいけないと思うのです。私はそれではだめだと思うのです。具体的の事例を指摘されたので、具体的事例をあげていろいろ指導されたとおっしゃったが、しかしながらその指摘をされる前でも、具体的事例を示すだけの資料はお持ちになっておったと思う。これはお持ちになっていなかったら大へんなことだと思う。会計検査院が検査しただけでも、これだけのたくさんの事例がある。この前はなかったかあったか、揺籃期においてはもっとあったかもしれない。その具体的事例を引っぱり出して訓示をされていないのですね、今のお話からみると。こうなるというと、具体的事例をつかんでおられたのかおられぬのか。とするならば、一体指導監督は具体的にどうしておられたのか。年に一回所長を集めて訓示をして、それがいわゆる指導監督というのか、この辺の実情はどうであるか、お伺いします。
  97. 山田節男

    委員長山田節男君) 大坪経済局長はいつ現職につかれたのですか。それからこの二十八年度の、今までの審議の対象になっておったときはだれが局長であったか、お答え願います。
  98. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 私は昨年の暮でありまして、現在まで約半年の間この関係の仕事をいたしております。前局長は、今の農業改良局長でございます。
  99. 山田節男

    委員長山田節男君) それが二十八年度の今の審議のこの当時の局長ですか、今の改良局長が。
  100. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その通りだと思いまするが、はっきり日時の点につきましては、これはあらためて調査をいたして御報告申し上げたいと思いまするが、大体そうじゃないかと思っております。
  101. 大倉精一

    大倉精一君 今あなたは、検査院に比難事項を指摘されたので、具体的事例に基いて所長を集めて訓示を与えた、こうおっしゃったのですが、そうしますと、二十八年にはおいでにならなかったわけですね。
  102. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 二十八年には現職ではなかったのであります。訓示をいたしましたのは今年の三月、各県の主務課長並びに連合会の会長等を招集いたしたのであります。
  103. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、今の私のずっとお尋ねしておったことは、これは妙な格好になるのだが、ここでお尋ねする必要はないことになるのですが……。(笑声)
  104. 山田節男

    委員長山田節男君) もう一つお聞きしますが、今の小倉農業改良局長、これは何ですか、同じ局長でもポストから言えば農業経済局長よりか農業改良局長の方が上ですか、栄転しているんですか。
  105. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) その点は、私といたしましては、同格じゃないかと思っております。
  106. 山田節男

    委員長山田節男君) 下じゃないわけですね。
  107. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) もちろん下でもない上でもない。
  108. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ過去のことは、これは非常に重要問題だと思いますので、いずれ資料が出てからお尋ねしたいと思います。  あなたが御就任になって訓示を与えられて、それからその実行といいますか、その現在の結果を何かの方法で把握されることをやっておられますか。訓示を与えたが、その結果どうなっているか、現状はどうなったか、こういう実情をやはりつかむ努力というか、そういうことをおやりになっておりますか。
  109. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 農業共済組合の問題につきましては、会計検査院はもちろんといたしまして、最近特に各方面からいろいろ論議せられているのでありまして、私どもといたしましても、その点につきまして深く責任を感じているのであります。県の主務課長並びに連合会の会長等の会議におきましても、相当各方面からいろいろと論議の対象になっているのであります。この際、農業共済制度というものは非常な困難なる事態にある。従ってその責任の衝に当る人はその点をよく自覚してもらって運用してもらいたいということを口をすっぱくして申し上げているのであります。私といたしましては、最近は、これらの点につきましては相当認織を加えてきているようでありますので、従来のような異常な不等事項というものはだんだんと私は少くなりつつあるのじゃないか。かように考えているわけでございます。
  110. 大倉精一

    大倉精一君 私のお聞きすることは、先ほども申しましたように、現在、実際状態がどうなっているかということを、現場を指導監督される方々が把握されないというと、実際問題として指導監督の効果が現われないのじゃないか。従って訓示を言いっ放しで、それでもって指導監督だということになれば、あるいはまた書類を書いてプリントを流して、それが指導監督だということであれば、これは私は非常に不十分であると思う。従って今私がお尋ねしていることは、どういう方法でもって訓示後の実態について把握をされているのかということですね、そういうことをやられているのか。そうして実際に末端の共済保険の組合の運営にぴんとくる、中に入り込むような、実際末端において効果の上るような効果的な指導というものは、どういう工合におやりになっているのか、それをお尋ねしているわけです。
  111. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 御承知のように、農業災害補償制度につきましては、組合員が組合にいわゆる加入する、そうして組合は県の連合会に再保険をする。連合会は政府に再保険をするという形になっておりまするので、事業の内容等につきましては、これは常時詳細に把握いたしているつもりであるのであります。ただ第一線で検査をいたしませんというと、表面上の帳簿だけでは、いわゆるからくりがありました場合に、その点がなかなか発見することができないということになるのでありまして、この点につきましては、今後十分注意をいたしまして、いわゆる帳面上の再保険関係、これが現実の問題といたしましても、はっきり組合員につながって行く、こういう点につきまして、今後特に注意して参りたい、かように考えているわけであります。
  112. 久保等

    久保等君 この会計検査院の御報告を伺っても、この農業共済再保険の問題は、非常に広範囲な、しかもまた軒並みにこういった事例があるのではないかと推則される問題でありまして、根本的にこの制度そのものについての、できるだけ近い機会に制度の改正を行いたいという、批難事項に対する農林当局の方からの説明がなされているのですが、しかし当面先ほど来のいろいろの御説明なりを伺っておって、ぜひ今後なくしたいと言われるのですが、私はそう簡単に局長の言われるように、直ちに今後はこういった批難事項の再び起きないようにいたして参りたいと局長が確約せられるのには、事が非常に大きな問題ではないかと思うのです。と同時に、今あなたの御説明等を伺っておっても、それならば、当面の監督指導の面で、果して十分に出先の検査員ですか、機関そのものが、果してこういった事項を防止できるほど的確に、かつまた非常に有効な指導ができるどうか。その点私は局長として確信がおありなのかどうか。今後こういったことが絶無とまではいかないにしても、大半こういったことが再び起きないように検査員あるいは出先機関等を動員して、指導監督がやり得るとあなたはここでおっしゃることができるかどうか。ただ単に気持として今後できるだけ出先機関を督励して、不当事項の起きないように一つ指導したいという程度の御答弁では、やはり実は批難事項に対する責任者としての御答弁にはならないと思うのです。やはり今後そういった事項の起きないようにやって参りたいというからには、具体的の措置なりあるいは確信をお持ちでなければ、やはりこの場所で適当に言葉の先だけで答弁をしておけば済ませるということでは相ならぬと思います。また単にたまたま起きて参る不正事項と違ったこの場合の共済再保険の問題は、全国それこそ漏れなく義務加入となっておりますために、非常に広範囲なしかも非常に大きな問題だと思う。しかも会計検査院自体としても、今までお調べになったことからみると、十中八、九くらいまであるのではないかと推察されるような状況にあるならば、私は簡単にここで直ちに今後はこういったことのないようにということを確約せられるには、余りに事態そのものは深刻な状態にあるのではないかというふうに考える。その点局長としてたとえば検査なら検査という問題、また検査を通じての指導監督という面をとられても、果して現状の状態であなたが随時東京なら東京に全国の関係課長なり関係官を呼んで打ち合せをする、あるいはまた訓示をするというような程度のことで解決する問題でないと私は思う。果して現在の機構あるいは末端のそういった出先機関等によって十分にそういう指導監督ができるかどうか。またする確信をお持ちなのかどうか、この点を一つ率直に実情をお伺いしたいと思う。ただ単に適当にこの場所で答弁しておくという問題でなく、やはり現実に存在する大きな問題として率直に、やはりここで、もちろん結論が出ておらなければ結論が出ないことはやむを得ない、その状況を承りたい。
  113. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) 今後の監督についてでありますが、私どもといたしましては、かかる事例のないように、今後指導して参る責任と義務があると思うのでありまして、全力を上げまして、今後こういう事態の起らないように努力してみたい、かように思うのであります。ただ農業災害補償制度につきましては、制度自体に非常に何と申しますか、組み立ての点につきましても、いろいろな問題があるのでありまして、この点につきましては、先ほども申しましたように、衆参両院の議員方が中心となりまして、制度自体の改善につきましては研究を重ねられておるのでありますが、その間、新らしい制度ができまする間の期間におきましては、この組合を今後十分指導して行く責任と義務があると思うのであります。この点につきましては、全力を上げまして遺憾のないように措置して参りたいと思っております。
  114. 山田節男

    委員長山田節男君) 大坪局長に申し上げますが、先ほど来、岡、大倉また久保委員からいろいろあなたに対して質疑をしておられる。私もこうして聞いておりますと、二つの私はやはり不可解な点がある。その一つは、なるほどあなたは立派な精神家らしい。人格も立派な精神家であると思う。指導するという言葉を使う、訓示するということを言われますが、もう一つは末端においてそういうことをやっていることはなかなかわからないということを言う。これも指導して行くということを言われる。これは各省の会計決算審議をここでやっておるおそらく各委員とも、今あなたのおっしゃる御答弁では具体的にそれじゃ行政責任者はどうするのだ、ただ精神指導だけでいいのか。また摘発主義でもやって、大体は無知な農民が多いのですから、そこまで行かなくては実績が上らないじゃないかと、各委員政府全体の各省決算審議されるとき、こういう一種の疑問が起る。ですから、精神的指導でできるかということを、しきりに大倉委員から言われたことも、あなたは行政責任者としては、あなたのような立派な精神家なら、悪うございました、再びやりませんと言うかもしれない。しかし全国二万の農業再保険の組合に対して、いかにあなたが立派な人であっても、行政的にはどのくらい効果があるか、もっと内部監査をやり、また各県におる検査官が——外部者である会計検査院がはじめてやって、これだけのことがわかっているのだから、二回の二十九年度を見て、もっと数がふえているということになれば、あなたとしては経験者なんだから、会計検査院よりかもっと実態を把握しているはずだ。それをなぜ指導なり是正することをしないかというところに各委員の疑問がある。ですから、精神指導ということは非常に立派なことですけれども、相手と数とそれから、金額というものから、それだけでは不十分じゃないかという不安があるから、こういうような御質問が出るのだろうと思う。このことについては、これは今まで監査をどういうふうにしておやりになっておったのか、どういうふうにして今後おやりになるのか、具体的のことが今お途べできなければ、また後日でもよろしゅうございますが、今のあなたの御答弁では非常に抽象的で、われわれが首肯するような御答弁でないわけです。この点は一つ私からも、御質問じゃなくて、もし具体的に行政化する案が今おありにならなければ、一つ至急お作り願って、今のような批難事項が再び起らないように、最小限度でとどめるという御努力を願いたいのが本委員会の希望であります。私から一言申し上げておきます。
  115. 久保等

    久保等君 私もあまり繰り返し申し上げることは控えますが、ただ、ただいまも私質問いたした、さしあたって応急的な措置としてやらなければならない問題と、それから制度的な、根本的に考えなければならない問題と二つあると思う。そこでその制度的な問題そのものについても、やはり実情というものが的確に把握されておらなければ、制度そのものに対する考え方も私は出て参らないと思う。局長の御説明だと、現在の全国的な実情というものは的確に把握しているのだといわれるのだけれども、その把握たるや、やはり間接的な把握であって、検査院そのものの検査報告にしても、それはきわめてつっ込んだものではないのだというような御説明をされている。そしてこれは全国の実態を把握しているということにならない。ただ全国からの報告書をまとめた、ただ一括した調書というものはでき上っているという程度の把握の仕方であっても、実態の把握ということになっておらないと思う。従って根本的な問題を今後どうするかという問題も非常に私は大きな問題だと思う。特に農村で各県、県によって比較的富裕な県もあれば、又非常に何といいますか、そうでない県、そういったような農村のふところ工合によっては、相当やはり私は実情が違ってくるのじゃないかと思うのです。従ってそういう面における、たとえば掛金の徴収の問題にしても、いつごろどういう方法でやるかという問題も、これはやはり全国画一には参らない問題じゃないかと思うのです。従ってそういうような問題も考え合せた根本的な制度をやはり考えて参るという問題は、先ほど来の御説明によると、国会における方面でも検討が加えられているからというお話ですが、私はやはり何といっても直接担当しておられる責任者の方面で、こういったような問題についても、十分に下部の実態を把握願って、しかもその上からこういう面をこういうような方向に是正して参ることが、全国の農村における実情等からいって適切じゃないかというような、やはり何らかの結論が早急に出されなければならないと思う。  それからもう一つは当面の応急的な問題として、末端の検査院なりあるいは検査機構、あるいは指導機関等の問題をやはり具体的に何とか考えて参らないことには、私はただ単に従来ある機構そのままを年に一ぺんや二へん東京に招集して打ち合せをやる、あるいは指導するというような程度では、この問題はそう簡単に解決するとは思えない。局長が簡単にここで今後こういったようなことのないようにと言われるのは、気持としては、われわれはわかるし、ぜひそうでなければならないと思う。しかしその程度の御説明では、果してそれならば、二十九年度の問題は、かりにもうすでに新局長の問題としては既成事実としてでき上っておったから、それじゃ三十年度については、来年あたりの決算報告が出てくる場合には、よほどよくなってくるかという問題になると、そういうことを期待するのは私ははなはだ甘いのじゃないかと思う。従って具体的にやはり現在の検査院の人員の問題なり、あるいは指導機関の問題にしても、何とか人のやりくりなり、それからまた局長責任の範囲内において改良を加える方法もあり得るかと思う。それをただ慢然と、というか、ただ口頭禅に終るような訓辞だとか、指導だとかいう程度では、おそらく改善の跡がみられない結果になるのじゃないかという気がするのです。従いまして、そういった面についての御説明が具体的にここである程度なされますならば、われわれも二十八年度の決算報告のこの批難事項は、今後はまあ相当逓減して参るのじゃないか、まあ改善せられて参るのじゃないかという見通しなり、またわれわれとしても非常に安心できるのですが、まあそうでない限り、私は今度の問題は非常に大きな問題でありまするので、よほどの腹を固めて、ただいま申し上げたように根本的な制度の問題と当面の問題という二つに分けて、さしあたっての問題等についても一つ具体的な研究を願って、何か結論を出したものを早急に実施に移すという形でない限り、先ほど来の御説明程度では非常に心もとないというふうに考えるのです。ぜひ一つそういうことについて、もし結論が出ておらないのであれば、早急に一つ何らかの結論が出されるように御尽力を願わなければならぬと思うのです。会計検査院の方面におかれては、まあ二十九年度のものについて、さらに一段と広範にやられておるというお話なのですが、そういったところから私はある程度全国的な、それこそ的確な実情が把握できるのじゃないかと思うのですが、同時にやはり制度的な問題なり、当面の緊急的な措置等も、そういった状況の中からある程度、最終的な結論ということは無理にしても、ある程度の結論は出て参るのじゃないかと思うのですが、そういうところで私ども非常にその結果を期待いたしたいと思うのですが、ぜひ一つ、ただいまのような問題は、単に一般ありふれた不正あるいは不当事項と違った、非常にちょっとケースの違った問題じゃないかという印象を私はもつわけなのですが、そういう点について一段とまあ一つ、全国の状況が今申したように、当該責任者の方から十分な状況ので握ができておらないような状況でありまするだけに、よけい私は検査院という立場で、その実情をでき得る限り一つ的確に把握できるような結論を出していただくような御尽力を願いたいと思うのです。
  116. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 共済制度の問題についていろいろ御質疑がなされましたが、私は局長の答弁、あるいは御質疑をなさっている方々の間でも若干足りない点がありはしないかと思う。それはどういう点かというと、被保険者である農民の立場が一向取り上げられておらないという点であります。それは、基本的にこの制度の一番土台をなしておる農民は、この制度に関しては結論的には必ずしも喜んでおらないということ、すなわちその理由としては、共済掛金や賦課金等が高率であるということ、それから二つには、共済金が満足にもらえたとしても、現在程度の共済金ではその受けた被害が償えない。それから第三には、共済金の支払いがいつも非常に遅れておるという点、それから第四には、被害を受けない場合には共済掛金がほとんどかけ捨てになっておるということ、これらの点からいたしまして、この制度に関しては農民は必ずしも喜んでおらないのが実情なのであります。しかし、喜んでおらないということは不必要だということにはならない。この必要性については私はおそらく喜んでおらない農民自身もよく承知しておることだと思います。そこに私は不正不当の発生する基本的な問題が潜在しておると思うのであります。つまり、こういう意味から喜んでおらないがゆえに、掛金を徴収するに当って、あるいは忙しいとか、あるいはその時期当を得てないという、まあその他幾多の理由によりまして、なかなか掛金が時間的に正確に徴収されないという事実が、それは確かに多いのであります。  それからまた一方、先ほどの検査院の御報告に基く昭和二十八年度の幾多の事例から見ると、これは、この義務加入の制度はほとんど有名無実というふうな検査院の報告の文字が使われておるし、またさっきお話のありましたように、全くこれは農民から遊離しておるだけでなしに、中間機関と農民の間でこの機構はほとんど空転しておるというふうな酷評さえこれは受けておる。で、この酷評は私は必ずしも百パーセント当っているとは思わないけれども、しかしやはり調査をされた事例からすれば、そういうことを否定するわけにはいかんだろうと思う。そこで、この制度に関する基本的な改善策は、これは政府において抜本的な方策をできるだけ速やかに立てていただくことが必要でありますけれども、私は、われわれが決算委員という立場において与えられた、われわれの任務としては、現在もこういう不当不正の事実が刻々行われておることを残念ながらこれは考えざるを得ない。こういう当面の事態に対して、いかなる改善策をもって対処されようとするのか、実は私ども決算委員がひとしく知らんとするところはその点だと思うのです。できたことをそう、しつっこく追及しようということが、われわれ決算委員の必ずしも百パーセントの任務じゃない。その点に関して今までの局長の御答弁では、おそらく質問されたあるいはお聞きとりの委員長初め委員の各位は、満足された方は皆無と言って差しつかえないと思う。これは即答がおそらくむずかしいとあれば、日を改めて、われわれが納得できる対策なり、改善意見というものをここで具陳をされることを私は希望いたします。  それからもう一つ、会計検査院にはわれわれがこの審議を終るに当って必要な資料を私は求めたいと思う。それは昭和二十八年度のこの百二十九組合を調査された。その調査案件と同じ、つまり不当事項別の項目に従って、昭和二十九年度の現在まで二百五十六組合ですか、調査をされたという御報告でありましたが、同一の不当事項別の分類に従って、できるだけ分類を細かくしていただいて、大きな分け方と細かい分け方と両方の分類方式をとっていただいて、これを私は必ずしも二百五十六そっくりとは申しませんから、この審議を結了するに当って、なるべくすみやかな機会に資料としてわれわれに御提出をいただければ、これによって私どもとしても、局長の改善意見と併せて、この審議に対する重要な参考資料に資したいと、こう思います。これはいつ頃までに大体できますか、その見通しを伺います。
  117. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) ただいまの飯島さんの御要求でありますが、二百五十六組合、組合別でございましょうか、それとも県別……、県別程度であれば、これはすぐにお出しできますが、二百五十六組合全部ということになりますと、ちょっと時間がかかると思うのでございますが。
  118. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は県別というのでなしに、つまり、たとえば共済金を組合員に全く支払わなかったもの、あるいはその一部を払わないもの、あるいはその三割未満の被害者にもこれを配分した等々の種別に従って、たとえばAのカテゴリーに属するやつが二百五十六組合のうちの何組合であるか、そういうふうにですね。
  119. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) ただいまの事項別に分類いたしまして、そこに何組合あったという件でございますれば、すぐにお出しできると思います。数日御猶予願えればお出しできると思います。
  120. 石川清一

    ○石川清一君 私も資料をお願いしたいのですが、これは農林省の方へは、共済制度ができましてから国がどれだけ持ち込みをしたか。その中には、昭和二十四年か、五年でしたか、食管の中からもたしかに出したように思っておりましたが、それも含めて、国がどれだけ特別会計の中に持ち込んだか。  いま一つは、どれだけ掛捨ての連合会ができておるか。今まで保険金をもらったよりも、積み立て、あるいは掛けたのが多いところがあるかないか。この点、両方でお願いしたいと思います。  それから会計検査院には、一昨年から農家の契約が一筆単位のと農家単位の二つがとられておるように思うておりまするが、これについては相当問題があるように思いますが、そういう二つの方法をとっておる中で、どちらのほうが不正が多いか。できれば、調査した組合の不正の中には、農家単位のが幾らあって、幾らそうでないのがあると、そのパーセンテージちょっと知りたい。飯高委員の表と、ついでにそれをあわせてお願いしたい。
  121. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) ただいまの御要求でございますが、この農家単位は、先の一筆単位、これが原則であります。それに対しまして、今試験的に農家単位で保険というのをやっておるわけであります。これは非常に数がまだ少いのでありまして、私どもとしては、ちょっと一筆ごとの原則的な場合と、農単を標準とする例外的な場合との比較というのは、やっていないのでございます。やるほどまだケースが多くないのでございます。その点でちょっとお出しできないかと思うのでありますが、御了承を願います。
  122. 石川清一

    ○石川清一君 それでは会計検査院の検査状況に、にらみ合せて、農林省からそれについて農家単位を採用している共済組合の内容について意見を付していただきたいと思います。
  123. 大坪藤市

    政府委員(大坪藤市君) ただいまの資料の点でありまするが、私どもといたしましては、今般の会計検査院等の指摘事項とも関連いたしまして、農業共済組合の運営整備要綱というものを急遽編成いたしまして、この要綱によって一つ実施してもらいたいということを県並びに組合の方に要望したのでありまして、その要綱も同時に御提出申し上げたいと思うのであります。さらに検査等でやっておりまする具体的な資料も作りまして、御報告申し上げたいと思うのであります。なお、ただいまの資料の点でありますが、二十四年度以来一般会計等から繰り入れました金額につきましては、これは直ちに資料を編成いたしまして御提出申し上げたいと思うのでありますが、掛捨ての点につきましては、あるいは資料が不十分じゃないかと思いまするが、帰りましてよく検討いたしましてできるものであれば提出いたしたいと、かように考えております。
  124. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 時間が大へんたっておりますが、農林省関係は、きょうでまあ一応終るというような予定になっておりますので、簡単に、競馬の問題が出ておりますので、畜産局長にちょっとお伺いしたいのでありますが、それは競馬の特別会計というものも、もう廃止になった。それで国営の競馬がやめになりまして、日本中央競馬会の方で競馬をやっていく。その場合における国の実質上の収入というものは、直接国営のときと中央競馬会が施行される場合において、大体同じようにお見込みになっておるかということが第一でございます。  それからその次は、御承知のように、中山とか府中とかいう、こういう競馬はもちろん国が全部所有されておりましたが、戦後できました二つの競馬場は会社組織になっておって、これに対しては国と会社との間で一定の契約というか、その間の事情があって参りましたが、それは中央競馬会になってもやはり国の方針を踏襲されていくのが大体筋道だと思いますが、その点に対する御見解、それから国は中央競馬会に対して、どういう指導なり監督なりする権限を持っていくものか、それをお伺いしたいのです。
  125. 原田伝

    政府委員(原田伝君) お尋ねの点につきましてお答え申し上げます。  第一点の、いわゆる中央競馬が国営から民営に移管になりました場合に、国営時代と、民営になりましてからの場合と、国に入りまする収益が同程度であるかどうかという点でございますが、国営時代の国の実際の収益というものを基礎といたしまして、民営になりましてからの国庫納付金の率をさだめてあるのでございまして、若干経過的な意味をもちまして、昨年の九月の十六日から民営になりまして、その後ちょうど一カ年間は馬券の売り上げ高の一〇・五%というものを国庫に納付せしめるようにいたしてございます。その次に、本年の九月十五日までがそういう率でございまして、その後におきましては一一%を国庫に納付せしめると、こういう方式になっておりますので、国営時代に比べまして、国に入りまする収益は、ふえることはありましても減ることはないという建前になっておるわけでございます。  次の競馬場の施設の問題でございますが、お話のように、阪神と中京の施設は、施設の所有会社がございまして、そこから国営競馬として借り入れをいたしておったものでございますが、この施設をただちに中央競馬会としてどうするというわけにも参りませんので、大体におきまして国営時代の方針を踏襲いたしまして、適切な条件をもちまして借り入れを続けて参る、こういう状態になっておるわけでございます。その場合、競馬会といたしましても、やはり企業上の観点等もございますので、諸般の事情を考慮いたしまして、民営競馬の運営上、できる限りその使用料というものを経済事情に合せたいという努力は、これはいたさなければならない次第でございますが、何分相手のあることでございますので、双方の観点から、経済的に妥当な使用料というものがきめられるのがよろしいというふうに、私どもは考えておる次第でございます。  次に第三の監督の点でございますが、これは日本中央競馬会法にいろいろ規定がございまして、まず事業の計画というものを定めました場合に、農林大臣の認可を受けさせる。また収支の予算というものも認可を受けさせる。人事の面におきましても、主要な人事は、農林大臣があるいはこれを任命し、あるいはこれに対して認可を与えるというような監督をいたしておるのでございまするが、そのほかに業務の遂行上必要な監督命令も出し得る。かようなふうにいろいろ監督の規定が設けられておる次第でございます。
  126. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 簡単に要点だけを申し上げますが、よくわかりました。  そこでお伺いしたいのは、私は中京競馬について申し上げますと、これは国会通りまして、国が国費は一円も出さないで、全部地元で、会社組織でこの施設を作って、国が運営をされている、そういうわけでございますので、当時の事情から言えば、地方で運営できるだけのものは国が面倒を見るという建前で進んできておるわけでございます。それで施設その他の経費約四億円ばかりに対して、いろいろその状況から、二十八年の九月にでき上りましたときには、八千六百六十万円というものを国が使用料としてきめられた。ところが中央競馬会に、二十九年の九月になりますと、六千万円にこれが減額になる。さらに三十年の一月になると、いろいろの事情で五千万円にする、こういうふうにだんだんその交付が下って参りますると、地方ではその出資を皆している。その出資している人に対して、約束の履行もできぬ、会社もつぶれる——まあ、つぶれてもいいという方針ならば私はいいと思いますけど、この中央競馬会に変ったために、非常に打撃を受けるというのでは、私は始めの国という大きなものに対する信頼が、全く、何と言いますか、裏切られたようになるわけでございまして、非常に遺憾に思うわけでありますが、その点に対してはどういうふうにお考えになっておりますか。  なお、これは他との比較でございますが、戦後できました京阪神の会社に対しましては、むしろ増額されて、交付金が行っておる。そのために一割二分の配当もやっておる。中京の方は、これはまあ愛知県知事が社長になっておりまして、きわめて質素にやっておりまして、決してそのむだを使ってはおりません。そのために全然償還がもうできぬ、利息もなかなか払えぬというような苦況に立ち至っておるのでありますが、私はこういうことに対して、畜産局長はどういうふうにお考になっているか。国にかわって施設をした所がやって行けるようにするのが、私は国の行き方じゃないか。きょうのこの審査の国費というものは、非常に、まあむだと言ってはあれでございますが、ずいぶん濫費されておるようにも思いますが、片一方では非常にきびしくて、ほとんどこういう——まあこれは会社とは言いますけれども、ほとんど国の施設と同じものである。それがやって行けないように一面でして行く。非常に不公平ではないか。かように思うわけでございますが、国は今後どういう方針で、この中央競馬会に対して行かれるのか。その点をお聞きしたいわけであります。
  127. 原田伝

    政府委員(原田伝君) 中京の競馬施設の使用料につきまして、ただいまお話のございましたように、国営時代から民営時代にかけまして、使用料の変化があったという点でございますが、この点につきましては、私どもといたしまして、競馬場の施設を維持される側の立場も、もちろんあるのでございますから、その点を全然考えないというような行き方は適当でないというふうに考えておる次第でございます。ただ競馬開催主体の側という立場もございまして、この開催主体といたしましては、やはりその運営をできるだけ合理的に、また現実的なものにいたして参る必要がある、こういうふうに考えておるわけでございまして、この使用料の決定につきましては、十分にこの経済事情というものを考えまして、無理のないきめ方で御相談を進めることが適当である、かようなふうに思考いたしておるわけでございます。
  128. 青柳秀夫

    青柳秀夫君 これでもう質問はやめますけれども、この六千万円というのでも、非常にまあ、これはやって行けない。それが五千万円というのでは、実質的に全くもう会社はつぶれてしまうということになると思います。そこで会社という言葉が非常にこれはまずいのでございますけれども、これはほとんど公営の施設と言ってもいいような性質を御理解願って、いま一度再検討されたい。で、初めに伺いましたけれども、国費の方をどんどん一一%にして取って行くというようなことでなしに、これはむしろやって行けるようにして、残りを取るとか何とかしなければ、先に……、まあ国庫収入も大事でございますけれども、初めに取り方をきめて、それで片方が死んでもかまわぬということは、非常に私は政府の行き方としては無理じゃないか。もちろん、むだを使っているとか、そこが悪いというのなら、そこを御指摘になるのはいいと思うのでありますけれども、初めに国庫収入の方をたくさん取って、それで、もうやりようがないのだ、こういう行き方は私はまずい。かように思いますので、どうか一つ再検討ということを特にお願いしたいのでありますが、いかがでございますか。
  129. 原田伝

    政府委員(原田伝君) この料金の問題につきましては、申し上げましたように、私どもといたしましては、設備の所有側、使用側、双方の事情を十分に考えまして、無理のない妥当な線に持っていくべきである、かように考えておりますので、ただいまお話のような点につきまして今後とも十分に研究して参りたい、かように考えております。
  130. 大倉精一

    大倉精一君 千八百七十七号についてちょっとお伺いいたします。検査院にお伺いしたいのですが、「長期間二十回にわたり」という「長期間」というのは、どのくらいですか。
  131. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 冒頭に、昭和二十六年九月から二十八年十一月までの間にあります二カ年余で、長期間と書いてあるのであります。
  132. 大倉精一

    大倉精一君 そこで指定外用途に転売したのは、この間、何回くらいですか。
  133. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 営林署関係といたしましては、青森が一例ですし……。
  134. 大倉精一

    大倉精一君 質問の要点が違う……検査院にお伺いするのですが、橋本某という男が二カ年にわたって、二十回にわたって営林署に申請しておるのだが、二カ年間に橋本某が指定外用途に転売したのは何回ですか。
  135. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 全部で二十回であります。そのうち検察庁でも詳細がわかりませんのが六回ございますが、その回数にいたしますと全部で二十回ということになります。
  136. 大倉精一

    大倉精一君 私はそこで不審に思うのですが、二カ年間にわたって、そうして橋本某という架空団体の代表者が二十回にわたって不正転売しておる、これが気がつかなかったという原因はどこにあるのでしょうか。検査院として何かお気付きになった点があったら。
  137. 小峰保栄

    説明員(小峰保栄君) 用途指定をいたしまして売ります場合でも、いちいちその用途に使ったかどうかということを調べるということはなかなか容易でないのでありまして、これはたまたま詐偽の問題で検察庁にあがりましたので、そのことがわかったのでありますが、なかなか私どもとしましても、林野庁としてもそうでありますが、先の先まで見ていくということは、実際問題としましても、数も多うございまして、実際問題としてなかなかできにくいというのが事実であります。
  138. 大倉精一

    大倉精一君 私はそういうことはわかったのですが、不審に思っているのは、橋本某という架空団体の代表者、この架空団体の代表者ということを二年間も気がつかずに、しかも二十回にわたってそういう行為をやらしている、それが全然発見されなかった、ここに私は非常に重要な問題があると思うのですが、どういう原因でしょうか、こういう架空団体が発見されないということは。
  139. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) ただいま小峰局長からお答えを申し上げましたように、本来から申しますれば、特殊用途の売り払いに関しましても、行方を追及いたすというある程度の責任はあるわけでございますが、件数も多いし、特殊用途になりますると、しかもこの案件は、実はイラン、パキスタン方面の輸出用繊維機械用材、こういうことで、通産局長からの証明もございまするし、さらにこれが機構の下請機関等の業態一覧表まで添付して出されておったのでございますから、特に輸出振興に力を入れなければならないという考え方から、正しい用途として実は処分いたして参ったわけでございますので、これが詐偽行為として摘発されるということになって、大変うかつだと言えばうかつということになりますが、初めてその調査が疎漏であったということになって、まことに申しわけない結果になっておりますが、信用しすぎた、しかも通産局長の証明というのは、あとで調査いたしますると偽造であったようでございます。現在告発されまして審理中でございますので、なお明確になれば、これに対しまする行政措置も講じなければならぬと思っておりますが、まだ詳細が明確になっておらないという点もあるような次第でございます。
  140. 大倉精一

    大倉精一君 詳細にわかれば行政措置を講じなければならぬという答弁ですが、私の問題にしているのは、橋本某というどこの人だかわからぬような架空団体の名義の代表者にあなたのほうが振り廻されて、二年間も大手を振ってあなたのほうに出入りして、二十回にわたってこういうことをしたという、ここに私は何か根本的な欠陥があるのじゃないかと思うのです。私はこの点は、この点だけで指摘したいと思うのですが、ほかにもあると思う。こういうことは、私はただ遺憾であったというについては、あまりにもこういう事件は不思議だと思うのです。偽造されたものを持ってきた架空団体の代表者である橋本某が、二年間にわたって、二十回も同じことを繰り返している、気がつかなかったというようなこと、ここに何かお役所の根本的な欠陥がありませんか。何か御意見があったらお聞かせ願いたいと思います。
  141. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 御指摘のように、架空の団体の代表という、これもまあ今から考えますれば、さような団体といいますか、機関を、徹底的にもっと調査すればよかったということになると存じますが、輸出振興ということが相当重要な国策であるということで、輸出振興に関しましては、特に特定の用途として特売をするという方針がきまっておりまして、この用途に当てはまるものとして形を整えて、これは従来地元の特売といいますと、身元もわかっておりまするし、信用あるいは業態等も明白になっておりますが、特定用途の場合には、形態が整い、かつ通産局長あたりの証明書がついているということで、実は信用しすぎて、同じ事態を依然として続けておられたということを、あとから考えますると、非常に御批難を受けて、まことに驚いたというような格好で、申しわけないということでございますが、翻ってみますると、偽造ということになりますと、これはまことに困るわけでございますが、団体自体をもっと追及すべきであった。さらにこれは私どもが十分に手をつくすということになりますれば、かような重要な用途に特定して特売をするという場合には、その行く先を追及するということを、今から考えますると怠っておったということに相なるわけでございますが、かような案件に関しましては、その後厳重に過誤のないように追及をできるだけさせて、誤りなき処理はいたしておりますが、さようなところにまことに手落ちがあったということを痛感いたしまして、早速是正させているような次第でございます。
  142. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、私がここで追及してみても、これから気をつけてもらわなければならぬというふうに思うのです。思うのですが、民間会社だったらこんな馬鹿なことはないと思うのです。二年間も一ぱい食わされておった。こういうことは不思議なことなんですが、これは将来ぜひ気をつけてもらわなければならんと思います。  この際ちょっと関連してお伺いしておきたいのですが、北海道のこの前の十五号台風で、風倒木の問題について、あれは結局、風倒木は、国有関係は何石になりましたか、総計は。大体の数字で結構です。
  143. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 十五号台風と、実は昨年は、五月の十日にも局部に突風がございまして、それの被害と重なった次第でございます。総体でございますと、五月の台風では約五百万石でございます。これは国有林や道有林、あるいは大学演習林、民営林を合計いたしまして、その際にも国有林が大部分でございまして、国有林が約四百七十万石程度でございます。それから十五号台風の、現在まで判明いたしておりまするのが、総計で五千八百五十万石余でございます。その際におきまする国有林が約五千万石でございます。
  144. 大倉精一

    大倉精一君 これは国有林の年間の伐採量に対してどのぐらいの割になるのですか。
  145. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 全国有林の年伐調整量が約四千七、八百万石でございまするので、全国の年伐調整量からいいましても、一年以上を一度にということになりますが、北海道だけに比較いたしますると、約三年分が一ぺんに倒れてしまったという程度になります。
  146. 大倉精一

    大倉精一君 それで、その後、この風倒木に対する当局の処理方針、並びに処理経過はどうなっているのですか。わかるのだけお知らせ願いたいと思います。
  147. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) まあ、風害木で一つ一番考えなければならんことは、早く処理いたしませんと、虫害、菌害等のために利用不可能になる、こういう問題があるわけでございまするので、早急なるべく短い期間にこれを利用するということなのでございまするが、なにしろ非常にかたまって被害を起しておりまするので、あるいは手段を講じましてもなかなか急速には出て参らないということで、一応計画を立てましたのは、二十九年度、すなわち災害を起しまして、ただちに準備をいたしまして、二十九年度中に総体の二〇%を処理する目標で計画を進めて、大体目標量を完了いたしました。さらに三十年度に四〇%、三十一年度に四〇%、かような目標で現在伐出を進めております。  これと関連いたしまして、ただいまも申し上げましたように、非常に北海道といたしましては数年分を一度に被害を生じたということでございまするので、後年度の伐採調整等も相当重大になって参るという関係上、従来立木で売払っておりました、従いまして三十年度計画予定でおりましたものを振りかえて、風倒木でその用途に振り向けるというような処置をできるだけ講ずるということにいたしたのが一つと、それにいたしましても、なんとしても相当増量いたさなければならん、北海道の地元の需給から考えますると、三十年度の実行を計画通りにいたしますると、台風被害によりまする応急復旧用材等の多少需要増をみましても、三十年度におきまして約三百三十万石程度は余るという需給の推算になるわけでございます。そこで三百三十万石をいかに有効に利用するかという問題で実はいろいろ悩んでおるわけでございます。そこで、これを処理いたしまする考え方といたしまして、一つには、このえぞ松、とど松という特殊の樹種が一時に相当量、三百三十万石程度も増量されるということになりますると、これを内地に持って参りまして新らしい需要に充てるといたしましても、需給の関係上いろいろな混乱を生ずる、さらに価格の面におきましては、よほどうまく売っていかないと非常に混乱するという見地からいたしまして、増量する分については、従来まあ北海道では立木売りを主体といたしまして、直営伐採は従ということでやっておりましたので、総量に対しまして、直営伐採が四〇%、それから立木売りが六〇%ぐらいの程度でやっておりましたが、ちょうど増量分をほとんど直営伐採に切りかえるという措置をとりまして、逆に直営伐採が六〇%近くまで増加いたしております。そのことは、一つには、特に非常に大きな伐出事業をいたします場合に、民間にゆだねますれば、非常に一時に資金がねるという問題が一つ、まあその点もございますし、さらに、たくさんの売り手が生じまして、市場が不活溌になりますると、投げ売りという問題が起ってくる。ただちに市場を混乱させる。そこで調整できるようにということで、国がまず一応全部持つという考え方で直営伐採を増加いたしたわけでございます。そうして、この三百三十万石程度と見込んでおりまする需要超過量に対しまする消化の方法を、大体ただいま計画いたしておりまするのは約半分、百六十五、六万石程度を内地に送って、各需要地に直接需要を大体対象として輸送販売をいたそうという計画をいたしております。この目標が、まあ、ただいま実行いたしておりますのは九月までを計画いたしておりますが、八十万石という目標で、ただいま内地で約十一ばかりの市場に、主として製材用材を対象として、各需要地の業界の団体と話し合いをいたしまして、具体的な需要者を決定いたしまして、価格等につきましては、北海道の現在の市場価格、内地の市場価格等を睨み合せまして、大きなアンバランスのないという程度で御相談をいたしまして、決定して、輸送に着手いたしておるのでございます。  さらに九月以降におきまして、当初の目標は六十万石というつもりでおったわけでございますが、実はまあこれは今後のことでございますが、現在の市況からいたしますると、非常にこれが消化には困難な見通しであって、苦慮いたしておるということでございます。  そこで、さらに来年度も継続いたしますので、来年度、年度初めにも、ただちにその仕事が継続いたしますようにという考え方で、二十五万石に埠頭に貯蔵するということで、内地輸送を計画しております。その残り半分は、北海道内におきまして今後の需給の調整のために約百六十六、七万石を貯蔵するという計画を立てております。早期に配材可能な見通しのものは陸上貯材をするつもりで、ただいま使っております貯木場以外に、相当長期に貯蔵できる所を調査いたしまして、約百二十万石程度を陸上貯材する。さらに沼、池等をお借りいたしまして水中貯材をして、これは長期に貯材できるような計画で、現在約五十三万石というものを計画いたしておるわけでございます。この際、何といたしましても早く出して妥当に消化いたしたいという考えでおるわけでございますが、住宅対策等に活用してはどうか、この程度でどれくらいの役に立つかというような、実はいろいろな御批判があるわけでございます。現在百五十六万石程度を輸送いたしましても、直ちに金詰まり、あるいは消化不良というようなことで、次の契約が進んでこない、実際に住宅建築用材にという計画は、まだ具体化はいたしておりませんが、一向に伸びて参らないという関係で、少し足らんのではないかというお話もあるかも知れませんが、具体的には進まない。従って山のほうだけはできるだけ進めまして、もし使われるならば応急に出し得るという態勢は進めて参りたいという考えで、先刻申し上げました百六十七、八万石の貯蔵用のものは、いつでもそのほうに向け得る。さらに山元で生産過程にございますものを繰り上げますれば約三百万石乃至三百五十万石ぐらいは進め得るという準備はいたしておりますので、その方面で需要が増大いたしますれば、しかも国が持っておりまするので、適正な価格で、しかも計画的な輸送等には最も便利ではないかということで、さような準備をいたしております。一面、最も風倒木処理で苦慮いたす問題は、害虫防除の関係でございます。従来も風倒木等が出ました場合に、直ちにこれに続いて起って参りまするのが虫害でございまして、これをおろそかにいたしますると、樺太におきまして昭和十一年に起りました風倒の例等からいたしますと、実は風倒被害よりも虫害被害のほうが多くなっているというような実例もございまして、非常に困難な仕事ではございまするが、農薬関係も大分進歩いたしておりまするので、この風倒関係の地域が約二十一万町歩に及んでおりまするが、それに対しまして約十七万町歩ぐらいまでは虫害防除の薬剤散布を実施することにいたしまして、ただいますでに着手をいたしております。大部分はやはり人の手で防除いたしまするが、一部は航空機の利用等もいたさなければならん、かように考えております。さらに、北海道は御承知のように火災に対しましてはただいまは実に危険な時期でございますが、非常な危険があるわけでございます。これについても、従来とは全く違った、ほとんど完全防除体制というつもりで地元の方たちとも御相談いたしまして、従来火災防除はややもすると地元の義務というような取り扱いをして、一部大変申訳ない点もあったと思うのでございます。今度はあくまでも妥当に働いていただけるという体制を整えまして、万全を期するという体制をとっております。さらに今後に生じまする問題は、一時に莫大な疎開個所を生じましたので、これを再造林、再植林をいたすということに対する対策でございますが、やはり六割程度は人工植栽によって更新を急がなければならんということで、苗木の養成には直ちに着手いたしておるというような現況でございますが、何しろ私どもも全く経験したこともありませんし、日本の林政史の上にもいまだかつて記録がとどまらないような大きな被害でございまするので、林野庁はもちろん全力をあげまして、一丸となりまして、対策本部を組織いたしまして、万全を期しておるわけでございますが、さらに外部の協力を得るためにそれぞれの審議機関を置きまして、実は御相談を申し上げておるという状況でございます。
  148. 大倉精一

    大倉精一君 予想石数はどのくらいになりますか。
  149. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) これはなかなか見方はむずかしいのでございますが、今ちょっと積算した資料を持っておりませんので……、これは私どもも積算自体にも批判はあると存じますが、積算してみたのはございますので、何でしたら数字で書面でお答えさしていただきます。
  150. 大倉精一

    大倉精一君 ええ、結構です。ではこの件は特に一つ善処方を要望しまして、必要に応じて質問は保留いたしておきたいと思います。
  151. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  152. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは速記をとって下さい。  ほかに御質疑はないものと認めます。では、これをもちまして農業共済再保険特別会計検査報告批難事項第一千八百六十五号から第一千八百七十一号まで、漁船再保険特別会計検査報告批難事項第一千八百七十二号、国有林野事業特別会計検査報告批難事項第一千八百七十三号から第一千八百七十九号まで、国営競馬特別会計検査報告批難事項第千八百八十号の質疑は、一応終了したことにすることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 山田節男

    委員長山田節男君) 御異議ないものと認めまして、農業共済再保険特別会計ほか三件の質疑はこれをもって一応終了いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時三十一分散会