○
説明員(小峰保栄君) 農業共済から御
説明を申し上げます。検査
報告の二百三十九ページであります。
昭和二十八年度に各府県、それから農業共済組合連合会、これに対しまして
一般会計から
事務費の負担金を出しておりますが、これが二十四億円、それから共済再保険
特別会計から再保険金百八十六億円、大きな金を支出しておるわけでございます。従来、この農業共済保険につきましては、会計検査院といたしましてあまり検査をしたということはなかったわけであります。ところが御
承知のように方々でいろいろな問題を起しまして、新聞にも載りますし、何とか全国的に
一つ見てみよう、こういうことで昨年初めてやったわけでありますが、県の数にいたしますと九県、組合の数で百二十九組合、非常にわずかなあれしかできなかったわけであります。わずかしかできないことが
予想されましたので、一地方に固めてやったのでは意味がない、こう思いまして、北海道を除きまして、東北から九州まで、大体各ブロックごとに県を二つあるいは三つぐらいずつ選びまして、こういう標準点をおとすようなやり方で実はやってみたわけであります。大体全国的な傾向が一応うかがえるのじゃないだろうか、こういうわけでありますが、今のようなやり方をいたしましたので、傾向的な結果が出たのじゃないだろうかと、こう
考えておるわけであります。
検査の重点は、まず第一に掛金の徴収が適切に行われているかどうか、それからまた
特別会計から出しました再保険金が果して組合員、被害者のところにまともに届いておるかどうか、この二点に重点を置いて検査してみたわけであります。そういたしますと、まず第一に掛金でありますが、掛金の徴収が制度に規定しております
通りに適切に行われているという組合はほとんどないというようなことがわかったのであります。共済金の支払いのない無被害無災害のときには掛金は取らない。被害が発生して共済金の支払いが行われると未収掛金を相殺していく、こういうようなことが大体どの組合でも行われておるようであります。
それから次に損害評価の問題でありますが、いろいろ水増しが行われているとか、過大評価が出るとかいろいろなうわさを聞くのでありますが、これをあとに参ります
関係でわかりにくいのでありますが、後ほど具体的なケースを
お話しいたしますが、やはり過大
報告を出しておるように思われる節が相当に見受けられるのでありまして、県の連合会としてはその修正に非常に苦心をしているようであります。
それから最後に共済金の支払いでありますが、先ほど申し上げましたように掛金、まず共済金の支払いがありますと、掛金その他未収金の差引を行い、それから余りますと翌年度分あるいは次の年度分の掛金の引き当てに組合でとって置くというようなことを相当にやっているのであります。ひどいのはすでに共済事故が発生したのに支払い保険金が全く被害地に届かないというのがあったのでございます。大体共済金を組合員に全く支払わないものが三組合ほどありました。それから共済金の一部を組合員に支払わないもの、これが十八組合、それから共済金を補償対象多の被害三割未満の耕地をも含めて平均に支払い、これは被害が三割以上ございませんと共済金を払わないのでありますが、その三割以下のところも含めて耕地反別割か何かで平均して払ってしまった、これが三十一組合、金額にいたしまして一億五千百万円というものが不当支払いということになったわけであります。
次に具体的な実例でありますが、ここに千八百六十五号から千八百七十一号まで相当たくさんひどいのを出してございますが、たくさんでございますから
一つ二つ
お話しするにとどめたいと思います。
まず千八百六十六号これは水増し評価の代表的なケースであります。兵庫県の加古郡天満村、ここでは二十八年産の水稲の保険金を請求いたしますときに組合員から申告しました三割以上の被害面積というのが百四十二町、共済金額百六十四万円だったのでありますが、組合でこれを三百八十町、七百四十三万円、金額で申しますと四倍以上に水増しして県連に
報告を出したわけであります。連合会では一生懸命で
査定したのでありますが、
査定した結果が四百二万九千円、組合員から申告しました百六十四万円の二倍以上四百二万円ということの
査定になったわけであります。それで保険金は三百六十二万円やってしまった、こういうことそれから大部分は組合員に均等割で配分しております。被害割で配分したのはごくわずか、こういうことになっております。
それから千八百六十七号でありますが、これは愛媛県でやはり同じような、これは水増しの事実は私どもわからなかったのでありますが、これは金をやはり余らせまして、組合員に払わないで余った分を二十三人の
架空名義の預金通帳ということにしていたわけであります。これが百七十二万円を二十三名の実在しない人の名前で預金をしていた、こういう例であります。
千八百六十八号、これも同じ愛媛県でありますが、全然保険金を払っていないという例であります。三十八年産の水稲保険金百六万円を受領したのでありますが、実際は全く支払っていない。それから掛金も全然受取っていない。それで結局金が余ってしまいまして、いろいろなものに使った。たとえば病虫害防除機具購入費助成金とかいろいろなものに払っておりまするが、余った金は百九万八千円、これは組合長個人名義預金で別途保有している、こういうような
状態であります。これはこの中でもきわだって特異のケースであります。
それから共済金はそのくらいにいたしまして、漁船再保険の千八百七十二号でありますが、これは船が行方不明になってから後に保険に入った、こういうケースであります。福島県でありますが、漁船のみどり丸(九十七トン)の再保険金として百八十万円払ったのでありますが、これは二十八年の八月二日消息が絶えてしまったのであります、実際そうして八月一日に保険金額二百万円の引き受けをした、こういうふうに書類はできていたのでありますが、いろいろ調べて参りますと、二日に消息が絶えて六日になって大急ぎで保険に入った書類は八月一日に入ったように作っておった、こういうケースであります。
それから次に
国有林野に参ります。
国有林野の二十八年度の
決算額は、歳入が四百四十九億、歳出が三百三十二億、前年度に比べて歳入歳出とも相当にふえているのでありますが、かなり大きな会計であります。この
国有林野につきましては従来から、立木、林野加工品の
処分、これの検査に重点をおきまして、それに、臨時的の仕事であります
国有林野整備臨時措置法による林野の売り渡し
状況、こういうもの、さらに林道の料規開設、こういう点に検査の重点をおいて検査を二十八年度はやったわけであります。従来から林野
事業におきましては随意契約で売るものが多いということがしばしば問題になっておりますが、これはだんだんに競売にいくものの割合がふえております。二十八年度におきましては、六三%を随意契約で売っておるのでありますが、これは水害の応急用とか、あるいは、今までは用途のあまりない船材用の新規用途の開拓、こういうような意味で売ったものも入っておりますので、こういうものを除きますと、随意契約で売った比率は従来よりもよくなっております。
次に千八百七十三号以下の
関係について御
説明いたします。まずここに表で三件、千八百七十三から七十五まで並べましたのは、営林局でやります林道の工事の出来高不足であります。補助工事等には非常にこの出来高不足が多いのでありますが、これは国の直轄の工事としては、出来高不足は完全にこれは請負人にそれだけごまかされておるわけで、おもしろくないのでありますが、三つほど林道について出ております。それから千八百七十六号、これは
国有林野整備、先ほど申しました林野整備のケースであります。林野整備で売りました
国有林というのは、立木は転売をするという例が相当に多いのであります。これはいろいろな
関係がありまして、買いました町村が転売を、全部でなくても一部は転売してしまうというのが多いのであります。これはあとの
処分をしっかりやってもらえばいいわけであります。ところが千八百七十六は、土地ごと売ってしまった、元も子も全部売ってしまって、結局町村の基本
財産をふやすという意図のもとに売ってやったのに、土地ごと高い値段でそっくり売ってしまう、こういうケースであります。花巻の営林署の管内でありますが、岩手県の湯本村、ここで
国有林八十六町歩の立木を随意契約で五百七十六万円で売ったのでありますが、立木の材積の見積りを誤まりまして、少く見積り過ぎたということで、二百十五万円ほど安くなっているのですが、それ以外に、先ほど申し上げましたように、湯本村の農業協同組合に譲渡しまして、寄付という名前で金を千二百万円もらっているのであります。全国で土地ごと売ってしまったというのは、昨年は、私どもいろいろ調べましたが、これ一件でありました。ほかは立木は売っておりますが、土地ごと売ったというケースはございません。
それから、千八百七十七号、これは用途を指定して、随意契約で売った素材をほかへ転売されてしまった、こういう案件であります。秋田営林局管内の六つの営林署でありますが、二十六年九月から二十八年十一月、二カ年余りにわたりまして、四千八十七石を千二百万円余りで売ったのであります。そうして随意契約で、売る条件として輸出向きの繊維機械製作用材に使う、こういうことで売ったのでありますが、買受人は条件に違背してこれを木材業者に転売してしまった。それが一部検察庁に見つかりまして、詐欺罪の容疑で起訴されておる、こういう案件であります。申請書などには東北繊維機械工業会というような、ありもしない
架空団体の名前を使いまして申し込んでいるのであります。これは一回や二回でしたら、まあこういうことも仕方ないと思うのでありますが、二年余にわたりまして六つの営林署でやられたわけでありまして、この点にこの問題のポイントがあると思うのでありますが、林野庁は
農林省の中では、私ども検査しておりまして、もっとも経理のいい方でありますが、その中でこういうケースが出るというのははなはだおもしろくないような印象を実は受けたのであります。
それから最後に、不正行為でありますが、これは熊本の営林局、上田営林署、中山の競馬場、これで金を盗まれたとか、立木を盗まれた、こういうケースであります。
御質問がありましたらお答えいたします。