運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-05-25 第22回国会 参議院 決算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十五日(水曜日)    午後一時五十四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君            石川 清一君    委員            鹿島守之助君            木内 四郎君            西川彌平治君            白井  勇君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            市川 房枝君   国務大臣    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    防衛政務次官  田中 久雄君    防衛庁人事局長 加藤 陽三君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 龜夫君    建設省営繕局長 木村 惠一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修藏君   説明員    防衛庁次官   増原 惠吉君    大蔵省主計局司    計課長     柳澤 英藏君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   ―――――――――――――
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第八回決算委員会を開会いたします。  昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、同じく特別会計歳入歳出決算、同じく政府関係機関決算報告書を議題といたします。  前回に引き続きまして、保安庁の部を審議いたします。ただいま防衛庁よりは杉原長官壇原次長石原経理局長久保装備局長並びに木村営繕局長が見えております。なお会計検査院側上村検査第二局長が見えております。  杉原長官は、衆議院の予算委員会の方へ招かれておられまするので、途中で退席を要求されております。従いまして総括的な質疑のおありの方は、まず杉原長官に御質疑のおありになる方からお始め願いたいと存じます。それから本日、前回委員会から要求しました防衛庁に対する資料提出でありますが、本日お手元に今差し上げてありますが、本部の方のはここに出されておりますが、地方関係のものは若干時日を要するというので、本部で集め得る資料だけを今日御提出願っております、なおこの問題は、杉原長官退席後、防衛庁側から一応御説明を願いたいと存じます。  御質疑ありませんか……。
  3. 岡三郎

    岡三郎君 前の決算委員会に、出張で欠席しておりましたので、重復することになるかもわかりませんが、杉原長官にお伺いしたいと思います。  それはしばしばこの委員会において述べられておるわけですが、非常に繰越金が多いわけです。でこれについて一応説明がありたわけでありますが、この多額なる繰越金が特に保安庁関係においては多い。その理由については会計検査院報告書にも載っておるわけですが、過般のアメリカ政府との防衛分担金削減の問題をめぐって、政府相当額削減を要請したが、非常にこじれてなかなかうまくいかなかった。当初政府は、内政費分担金を回したいと、こういうふうな考えを持たれて、選挙等においてもこれも述べられてきたわけですが、それがアメリカの意図によって分担金内政費に回すことはならぬという点で、これが防衛庁関係費等に一応ワク付けられてきたと思うんですが、その交渉過程の中において、かりにアメリカ政府防衛分担金削減してくれない場合は、防衛庁費関係相当額節減して、これに充当する方法もやむを得ないときには考えられるというふうなことも、一応新聞その他においては述べられておったやうに見ておるわけです。まあ結局いろいろないきさつの結果、膨大な防衛庁関係費が決定されたわけですが、こういうふうないきさつ等を考慮して、またこの毎年の繰越額をにらんでみたときに、防衛庁関係費というものは非常に膨大な額である。その取扱いというものが、非常に運営をうまくしてもらわないと乱費のおそれが非常にあるんではないかという点をわれわれは今まで指摘してきたわけです。そういうふうな関係から見て、防衛庁長官として、この問題については実施者等からいろいろとお聞きしておる点もあると思うのですが、その根本的な問題の第一としては、事情の雇う米軍の画一的な編成装備表をそっくりそのまま直輸入して当てはめてきておるんではないか、こういうふうな点と、第二に、調達実施担当者である調達実施部も、また部隊と緊密な連絡をとることなく、部隊実情をしっかりつかまずに調達実施している点等があって、こういうふうな不当事項が発生しておるのではないかと、こういうふうに会計検査院指摘しておるわけです。こういう点について、長官の今後にわたるところのこういった諸物品の購入筆考え、なおこういうふうな一兆億円予算の中においてこういう膨大な経費使用しようとする際において、これらの指摘せられておる欠陥をどういうふうにお考えになり、今後善処されるか、この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  4. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 防衛庁経費相当多額に上っておる。保安庁時代、今御審議を願っておりますこの決算、二十八年度当時におきましても、相当多額の、それから繰り越し多額に上っておる。申し上げるまでもなく、国民のいわば血税とも言うべき大事な額がかかるわけでございますから、いやしくも乱費などということのないようにしなくちゃならぬということは当り前の話で、また特に会計検査院から指摘されるまでもなく、われわれ局に当っておる者が予算の適正な、またできるだけ効率的な使用ということに最大の努力をしていく責務があるわけであります。そういう点私も、実はこれは前任者以来もそうでございますが、私も実はその点非常に大事な点だと考えて、責任の重大を感じておる次第でございます。  ただいま御指摘の点、第一は編成装備表のことでございまするが、これにつきましても確かによく実情とにらみ合わして検討を要するものがありと認めまして、実は昨年の秋くらいにおいて、これらの検討のための特別の委員会を組織いたしまして、各装備品の部門にわたって六つの分科会を作り、それぞれ熱心に検討を加えて参っております。そうしてそれと並行いたしまして、実施に移し得るものについてはすでに実施に移す、こういうことでやって参っております。  それからの今ことと非常に関連を持つわけでございまするが、何と申しましても部隊実情というものをよく把握してやるということがきわめて大事なことでございますので、そういう点特に注意いたしまして、今御指摘の点、御趣旨に合うように努力いたしておる次第でございます。
  5. 岡三郎

    岡三郎君 現在防衛庁になってから調達実施本部が一本にまとめて統一実施するような仕組になってきておるという点から、なかなか膨大な費用を完璧にとはなかなか行かないと思うのですが、私が懸念するのはこの昭和二十七年度決算報告ですね、この実態をこう、ずっと見て参っておるわけですが、これと昭和二十八年度を通しての様子を見るというと、それほど改善の実が急速にあがっているようには、残念だが見られないのですがね。これは会計検査院の方として、昭和二十七年、八年を通してここに一応明確なる報告があるわけですが、その欠陥についても原因を十分ここに記述して大体承知しておるわけですが、具体的に契約するときに随意契約なりあるいは入札方式なりいろいろあると思う。そういった点について何か会計検査院の方でお認めになったような点がございませんでしょうか。つまりこういうふうな国費に掛を与えたような不当な買い入れ方をしたいと思われるようなものが三億九千八百余万円に上っておる。こういうふうなことと関連して何かもう少し欠陥というものが具体的に指摘されるのじゃないかと思うのですが、これは私の方でどうこうという問題よりも、会計検査院の方で、実際の契約、そういったものが、こういうふうな不当な買い入れ方ということと関連があるというふうにまあ聞いたことがあるものですから、もしなかったらまあ一番いいと思うのですが、その点何か会計検査院の方で、購入方法についてお聞きしたいと思う点が何かあったらお聞かせ願いたい。
  6. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいまの御質問のお答えになるかどうか多少懸念いたしますが、購入方法につきましては、二十八年度検査報告に記載してありますように、予定価格を立てて、予定価格範囲内で競争あるいは随意契約で購入しておられるわけでございますが、防衛庁の実際買われておりますものは、物の性質、あるいは部隊性質等でございましょうと思うのでありますが、随意契約によられるものが相当多いわけであります。従いまして一般予定価格を立てて入札に付するよりもなお慎重にやらなければ間違いが起るということは、これは当然のことだと思いますが、ところが実際を見てみますと、その予定価格の立て方が必ずしも的確にいっていないというような点が、相当物の買い方について不経済な点を来たしているのじゃないか、こういうふうに実は考え検査報告にも記載しているわけでございます。
  7. 岡三郎

    岡三郎君 あとまあ具体的な事項について述べる点は述べたいと思うのですが、第四部長今日はおいでになってるいでしょうか、防衛庁調達業務に関する指導監督を第四部長がやっておるというふうに聞いたのですが。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) 出席しておりませんが、しかし第四部長にかわって答弁をしていただけると思いますが、経理局長装備局長営繕局長が来ておりますから……。
  9. 岡三郎

    岡三郎君 指名競争か、または随意契約にする場合、どういうものをどういうふうにするかという点は非常にまあ問題があると思いますが、大体の状況をお聞かせ願いたいと思うのですが。
  10. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) もちろん私どもといたしましては、契約の場合はできる限り一般競争を原則とするということについては、その方針を堪持しているわけでございますが、何分防衛庁使用するものにつきましては、特殊な規格、特殊な技術を要するもの、あるいは非常に大量のものというようなことがございまして、やむを得ぬものにつきまして指名競争、または随意契約ということをいたしているわけでありまして、随意契約をいたします場合の考え方は、一番はっきりいたしておりますのは、特許とかそういった関係、それからその次にはこれは輸入品等に多いわけでありますが、海外の製造権販売権等々持っている特定の会社、しかもその規格のものをどうしても使わなければならないという判断を私どもが下しました場合、それから製造権とまでは至りませんが、その特殊な規格のものにつきまして、技術なりあるいは経験なり、あるいは設備なり、そういった面からどうしてもいいものを確実に得るためには、特定技術、設備の優秀なところでなければならんという判断をいたした場合に、大体そういった場合に限っておりますが、これは前回申し上げましたように調達実施本部契約担当官が、随意契約にするかどうかということにつきましては非常に慎重な手続きをとりまして、随意契約審査会というものを作りまして、そこに関係官が、各幕僚監部、それから調達実施本部、それから内局も参加いたしまして十分に討議いたしまして、今申し上げましたような趣旨に十分かなっておるか、またその相手方としてふさわしいかということを十分に審査いたしまして、その審査の結果に従いまして契約担当官随意契約をする。また同時に額の多いもの、一千万円以上のもの、もっとも特許等につきましては二千万円以上のものにつきましてすべて随意契約をいたす場合には、随意契約をやるということ、それから相手方をさようにきめるということにつきまして一々長官の決裁を受けて承認をいたしておる、こういう慎重な手続きもとっておる次第でございます。
  11. 岡三郎

    岡三郎君 今言った点について、まあ結局個々の具体的な点について言った方が早いと思うのですが、先ほど言いました通り、これは長官にお願いすることになると思うのですが、やはり決算委員会の使命としては、できた結果をわれわれが追及することとともに、累年その結果がよくなってきておるかどうか、この点が非常にまあわれわれとしては関心が深いわけです。それで累年増加しつつあるところの予算が十分に消化しきれないとか、あるいはその消化の仕方が非常に粗雑であるとか、こういうことになってくるというと、国費経済的使用という観点からいってやはり相当これは追及していかなければならん点が多分に出てきておるし、今後も増加が見込まれるような懸念もなきにしもあらずと思うわけです。従ってこういう点については昭和二十九年度、また本年度と、逐次まあわれわれは検討を加えたいと思うわけですが、十分に一つ、結局このポイントが、まあ国民にこういう状態であるということがいわれることが最もこれは工合が悪い点じゃないかと思うのです。特にアメリカやイギリスにおいても軍事費関係というようなものは非常に問題にされつつあるという点もわれわれは承知しておるわけです。そういう点で長官としては非常に困難な問題でしょうけれども、重要な問題なので、今後ともこの点についてはよい結果を得られるように方法を立てて、一つ決算委員会の方にもこうこうであるという実施計画一つ適当な機会に御提出できたらしてもらいたいと思うわけです。つまり予算を効率的に実施するという点についてその跡は見られるわけですけれども、それをさらに内部監査等を十分検討せられて、よい結果が得られるような実施方法を、会計検査院指摘された事項を参酌せられて当委員会に御提出願いたい、こういうふうに思うわけです。
  12. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいま仰せの点まことにごもっともでございまして、私もその通り考えております。とにかく今まで遺憾の点がありました点に対しては私は申しわけない次第でございますが、それをその責任を実際的に果す上からいたしまして、どうしても改善という実をあげるということことが望ましい、大事だと私ども考えております。  それにつきましては、今予算の執行の点につきましても今までいろいろその改善策を講じておりますけれども、なおこの上とも私は、この点は特に一つ自身注意をいたしまして、御要望のように一つやっていきたい、こう考えております。  それからまたさらに今おっしゃいましたことは、予算編成にも非常に関係することであると思いますので、たとえば繰越金が非常に多い、これは申すまでもなく、繰越明許ということは、これは例外の制度に違いないし、これはできるだけ厳格にしなければならないと思います。それも当然でございます。そういう点実はこの三十年度予算編成に当りましても、私は特に留意いたしておる次第でございます。  繰り越しの生じますおもなるものは、大体分けて申しますると器材費関係施設整備費の面、それから船舶の問題、こういうふうになるわけでございまするが、本年度の、三十年度予算編成に当りましても、今までの消化実績等を十分考慮いたしまして、実はそれぞれ器材費関係におきましては、たとえば器材費の中で特に繰り越しの生じやすい車両とかそれから飛行機、こういうものに関する分につきましては特に従来の、ことに前年度消化実績を見まして、それとあまりかけ隔たらない、大差ないように実は計算して予算を計上いたしております。それから施設整備費につきましても、これは実は昨年度歳出予算よりもずっと減じまして、四十六億くらい減じております。そしてさらにその中でも前年度国庫債務負担行為系統の分も相当ございまして、繰り越し施設整備関係で生じます原因は土地の取得の関係が非常にむずかしいという点がございますが、そういう点につきましては実は昨年度債務負担行為系統の分も相当含まっておりまして、新しくそういうものが出たので省ける点がございます。それから船舶建造関係、これは非常に生ずる原因があるのでございます。これらにつきましても、今年の歳出予算は、三十年度の新迅の計画予算の中でも特に歳出予算とそれから国庫債務負担行為等割合等は、実ば今までの従来の消化実績を見まして、本年度は前年度に比しまして特に歳出予算計上額をずっと割合を減らしておるような次第でございまして、今後も一つ努力して参りたいと思っております。
  13. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の岡委員質問関連して大蔵省予算編成上の態度を知りたいのですが、たとえば二十八年度におきまして約二百六十億、それから二十九年度においても二百三十五億の繰り越しがある。これはもとより明許繰り越しであって、これは法律上はどうもできないのでありますが、これはやはり大蔵省としては予算編成予算査定の場合にこういう特殊の防衛庁施設、あるいは艦船建造費というものは、大蔵省として予算編成査定する場合にもう少しやり方があるのではないかと思いますが、その点について大蔵省は従来どういう態度でこういう多額繰り越し防衛庁にさせるような工合になっておるのを黙認といいますか、その間にいろいろ事情はあると思いますが、それについて大蔵省からその点についての一つ説明を願いたいと思います。
  14. 柳澤英藏

    説明員柳澤英藏君) 私から申し上げまして、あまり正確なことは申し上げかねますが、事務的に申し上げますというと、防衛庁繰り越しにつきましては多少ではありますが、年年少しずつ減って参っております。これは昭和二十七年度は二百八十一億の繰り越しがございましたが、二十八年度におきましては二百五十三億、二十九年度の見込みにおきましては二百三十五億という状態になっておりまして、多少ではありますが減りつつある状況にあります。もちろん予算編成につきましては、できる限り当年度で使い終る件について予算を積算するということはもちろんでございまして、繰り越して使うような経費につきましては極力これを避けるべきではありますが、何分にも防衛庁の設立されましてから日が浅い関係もございまして、調達その他のことが動きまして、多少整備が十分でなかったというような点もございましたような関係繰り越しが比較的多くなっておるということでございますが、これは防衛庁のいろいろその後整備によりましてだんだん少くなるものと確信いたしておるわけであります。  なお防衛庁予算の積算につきましては、ほかの予算と同様に、いわゆる積み上げ計算をやっておるわけでありまして、防衛庁経費だからといいまして、特に甘い査定をやっておるというような事実は決してないわけでありまして、一応私ども計算をやりまして、固い数字でもって計算をいたしておるような次第であます。  なおそのほかの全体の繰り越しの問題につきましても、やはり二十七年度あたりが最も多かったのでありますが、今度徐徐に全体としましても減る傾向になっております。しかもこの繰り越しの大部分を占めますのは明許繰り越しのものでございますが、明許繰り越しにつきましてはあらかじめ国会の御議決を経まして、その範囲で繰り越すわけでありますが、実際の繰り越しにいたしましては、詳細個個の問題につきまして審査をいたしまして、それで繰り越しをいたしておるというような状況でありますので、この明許繰り越しにつきましてもある程度必要ではございますが、できる限り今後におきましても引き締めてやっていきたいと、かように考えておるわけであります。
  15. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ありませんか。
  16. 市川房枝

    市川房枝君 長官にちょっとお伺いしたいのですが、防衛庁保安庁が非常な予算を取っておいでになるといいますか、その費用は、これは国民の税金でありますが、そのことについて国民の中に相当多数まだ納得していない者があるということは長官自身御承知の通りだと思いますが、その防衛庁予算の使い方について会計検査院から批難されました事項、それに関連しての金額というものが相当の額に上っている。前の委員会会計検査院から御指摘もありましたけれども、三百数億の中で国損が八億以上に逃しているという状態、その一つ一つの内容は報告書の中にある通りでありますが、このことが国民にはっきり具体的に一つ一つ知らされるとしますと、国民の間から相当保安庁、いや自衛隊に対してといいますか、不信の念が出てくるのじゃないかと思います。そういうことについて長官はどういうふうに考えておりますか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  17. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいま市川先生からおっしゃられました点は、私も実はその点が最も大事なことだと、そう感じております。今までもちろん防衛庁におきましても関係官一般には非常な努力をしていることは、私自身内部でも認めますが、しかしそれにもかかわりませず批難を受けるような、不正はもちろん、不当ということもいけません。そうしてまたこれは、先ほども申しますように、会計検査院から指摘されてというようなことであってはならん、みずからこれは全くそういうことのないように最善の努力をしなければならん。そうして今市川委員のおっしゃいますように、こういうことがひいて自衛隊そのものに対する不信というようになることを最も深く考えなければならんことだとそう私も考えております。そうしてこれをまた実行上において改善していくということが、何より責任を果たす上からして大事だと思います。そういう点、先ほども申しますように、一つ誠心誠意をもってその改善具体策雲行に当っていきたい、こう考えております。
  18. 市川房枝

    市川房枝君 長官の今の答弁を伺いましたが、そういうお考えおいでになりますとすれば、会計検査院から指摘された批難事項関連しての関係者処分の問題でありますが、ここに処分調一覧表をいただいております。保安庁は件数が多いからかもしれませんけれども、これを拝見しますというと、ほとんど全部検討中とございます。「昭和三十八年度決算検査報告に関する関係者処分調について」という書類をここにいただいております。ほとんど検討中とあって、ただその中で一件だけ戒告といいますか。訓告というのがある。それから四件だけ処分しないというのがありますが、その他は全部検討中となっております。それでこの前の委員会で取り上げました法務省の批難事項に対しての関係者処分を拝見しますと、六件ありますが、その中で二件だけは検討中となっております。しかし四件はすでに責任者処分がはっきりきまって、報告として私ども拝見したのでありますが、どういうわけで保安庁の力は関係者処分の方がおくれているといいますか、一体どういう段階にあるのか、それをちょっと伺いたい。
  19. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 責任者処分につきましては慎重に検討いたしまして、実は一つ原因を今調べておりますもの一件を除きましては、あとは全部処分済みでございます。具体的にはさらに説明させます。
  20. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ただいま長官がお述べになりました通り会計検査院批難事項の中で、第四十六番、粗悪な火工品を購入したという件につきましては、その責任を究明するに当りまして、ただいまのところ使用者の点におもなる原因があったのか、あるいは製造過程において原因があったのか、あるいは検査方法が悪かったのか、受け取りました後の保管の方法に問題がふったのかという点につきまして、まだこれといって結論は出せないのであります。非常に残念でありますが、検討しておる段階でありますので、これは処分を保留しておりますが、その他の件については処分をいたしました。  処分の結果は、減給処分をいたしました者が一名でございます、戒告処分をいたしました者が八名でございます。訓戒処分をいたしました者が十五名、注意いたしましたのが四名、こういうふうになっております。件数が多いので、しかもこの中には同一人で数件にわたっておるものがございますので、件数別に述べてみますると、減給処分をいたしましたものが一件、戒告が十件、訓戒が二十四件、注意が十件でございます。
  21. 市川房枝

    市川房枝君 今当局から御報告をいただきましたものは書類としてあとでちょうだいしたいのですが、私が今申しましたのは五月二十三日に配付を受けましたものについて実は申し上げておるわけです。
  22. 山田節男

    委員長山田節男君) 今、私の手元にいただいておるのは、今市川委員の言われたように二名戒告、一名訓戒、あとは全部検討中というので、最近の資料一つお出し願いたいと思います。
  23. 市川房枝

    市川房枝君 今、処分のことを伺いましたが、はっきりしたメモをとれませんでしたけれども、しかし伺った感じでいいますと、戒告とか訓告というようなことで概して軽い。これだけ多額国損を来たした事件、その責任者に対して非常に軽いという実は感じを受けております。その点について当局の御意見を伺いたい。  それからもう一つ、これは会計検査院批難事項に対してでありますが、防衛庁自身の内部監査による御報告をいただいておりますが、それによりますと、処分の数字がここに出ておりますが、公務長江による懲戒処分として免職が三件で人員が七名、停職が件数五件で人員が五名、減給が四件で人員が五名、戒告が四件で人員が八名、こういう数字が出ております。免職というのは一番重いわけですが、この部内監査による事件の内容は、実はここにいただいておりまする書類ではあんまりはっきりしないのですが、これは今の会計検査院批難事項に対する処分と私は比較してみたいと思います。それでどういう事件であるか、内容を少し伺いたいのですが、これは私はむしろ書類にして拝見して、今伺った会計検査院批難事項に対する処罰とあわせて考えて、そしてまたお伺いしたいことがあるかもしれませんが、これは委員長にお願いを申し上げておきます。
  24. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 最初の会計検査院批難事項に対する処分の点でございますが、これは市川先生も御承知の通り防衛庁関係批難事項では不正事項はないのでございます。いずれも職務の怠慢と申しますか、そういうことに起因するのでございます。私どもも人を処分するに当りましては慎重に事情を調べまして、情状の酌量すべきもの等がありますれば十分に酌量した上で最後の決定をすることにしておりますが、国家公務員法におきましては、御承知ごとく懲戒処分を受けるということは本人の将来の経歴にもなり、非常に重い処分だと私は考えておるのでございまして、不当事項で、その本人自身には悪意がなかった、ただ仕事のやり方が非常にまずかった、非常に悪いことでございますけれどももそういう点につきまして免職という処分を一名も出さなかったのでございます。
  25. 市川房枝

    市川房枝君 まあ本人に手落ちがなかったのだ、手落ちといいますか……。
  26. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 手落ちじゃなく、手落ちはあったのでございます。ただ故意というものがなかったということを申し上げたのであります。
  27. 市川房枝

    市川房枝君 故意があったのじゃないという今御意見ですが、それはそうかもしれぬと思うのですけれども、われわれの側から見れば、とにかくこういう膨大な国民の税金の金額を国損を与えておるという事態は、やはり当事者には責任を私はやっぱりとってもらっていいのじゃないか。単に当面の執行者だけでなく、監督者にもっと責任をとってもらいたいという気持がするのですが。そういう点で故意はなかったということで非常に軽い、もちろん本人の将来の問題もありまするけれども、私から言えばそういうふうな考え方といいましょうか、そういう、こういう事件に対しての当局の処分そのものがやっぱりこういう事件を再び三たび繰り返すというか、いわゆる保安庁に、これは今までの委員会でも委員の方々からも質問があり、当局からもお話がありましたが、どこかに心のゆるみがあるのだというような点が私はそれに関連して来るのじゃないか。だからこういう問題についてはもっと厳格にといいますか、もっときびしくといいますか、特に私は、本人はもちろんですけれども、その上の責任者責任をとってもらいたい。まあ防衛庁だけでなく、私はほかの官庁全般の問題についてもそう考えるのですが、ただ今後気をつけます、悪うございましたというだけでは、私は国民としては済まされないという実は気持を持っておるわけなんでありますが、この点はあとで資料をいただきましてからお伺いしたいと思います。
  28. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の市川君の質問関連して、杉原長官並びに壇原次長がおられるから、私も御腰聞いたしたいのですが、二十八年度において八億五十万の国損を生じたという政治的責任は、これは何としても私は防衛庁としては許すわけにいかない。しかし一面から、根本問題として考えますと、これは軍隊じゃない。しかし警察予備隊から自衛隊になり、保安隊になり、防衛隊になった。漸次性格においては軍隊に近づきつつあるということは否定できないわけです。防衛庁予算を見ましても、たとえば人員関係において制服と平服とにお分けになっておる、おそらくこの会計事務を扱っておる者は、予算の執行事務に当っておる責任者はいわゆる平服ではないかと思う。しかし今日の防衛隊の性格、あるいはステータス、防衛隊員のステータスそのものも、これは軍人じゃないという点に立っておりますが、しかし先ほど市川委員からも御指摘になったように、防御隊は正式の軍隊ではない。しかし一般より、軍律というか、いわゆるディスプリンというものがより厳重でなければこういったような組織は動かない。われわれは決して今の自衛官に対して葉隠れ武士の精神をつぎ込めということは申しません。少くともこういう集団的な防衛の任に当る者は、一応何といっても軍隊的な組織、精神、軍律というものが確立してないとこれに精神的な弛緩を来すのではないか。ですからたとえ正式な軍隊でなくても、こういう任務を帯びた国家の一つの機関、いわゆる軍律に準ずべき厳重な戒律というものがなくちゃならない。従ってこういったような莫大な国損を生じたという担当官に対しては、これはより一そう私は厳重にやるべきだと思う。もしこれを、ユニホームを着ておった場合ということになれば、責任は他の官庁よりもよりきびしく扱って、私はこれは何ら酷じゃないと思う。こういったような根本的な問題について杉原長官なり増原次長は、現状やりにくい点があると思うけれども、今市川君が言われたように、より厳重にやるという、いわゆる軍律というか、そういうようなことをもっと確立されれば、こういう莫大な国損を出さなくとも済んだんじゃないか、こういう点についても何かお考えになっておることがあるかどうか。長官並びに増原次長から所信をお伺いしたい。
  29. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) ただいま市川委員並びに委員長から仰せの点、私もかねて実はいやしくも公務員が、国家の大事な公務を扱っておる者の責任、これは非常にシリアスに考えなければならん問題だ。かねてから実は私はそういう工合考えている。さらに今また委員長指摘になりましたけれども自衛隊の場合におきましても、また特にそういう点は深く考えてやっていかなければならぬことだと実は思っております、今後また具体的の個個の事情につきましては、これは十分よく実情というものに即して考えなければならぬわけであります。御趣旨の点は私も同感に実は感じております。今後そういう点十分私一つ考慮してやっていきたいと思います。
  30. 山田節男

    委員長山田節男君) 防衛隊の要員が今ような平服と制服と分れておるようなやり方が、日本の国情において今の防衛庁の精神的弛緩ということ、どうでしょう。全部ユニホーム化した方がいいじゃないでしょうか。昔の経理将校なら経理将校というシステムを置いて、ユニホームの者がすべてこういうものを扱うということが、私はこういう予算執行の面におけるほんとうに精神的な弛緩を防止する道じゃないかと思うのですが、この点についてどういうようにお考えになりますか。
  31. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 自衛隊部隊の規律を操作しなければならないという委員長の仰せは、まことにごもっともでありまして、便宜から申し上げましたように、私どもも十分その点は一つ留意いたしておる点であります。いわゆる制服と制服にあらざる者との問題は、一つには通常内局と称しております、長官の補佐機関として、防衛庁の基本的な施策を長官がきめられる場合に、これを補佐するという任務を持っておりまする者が、制服にあらざる者として少数の者がございます。しかし制服にあらざる者はそれ以外に相当数ございます。これは警察予備隊発足当時は割合に少なかったのでありますが、目後次第に部隊の仕事を最も効率的に行うのはどうすればいいかということを研究をし、実際とにらみ合いまして、だんだんに制服にあらざる職員が、いわゆる内局というもののほかにもできて参ったわけでございます。たとえば部隊で連隊とか大隊とかいうふうな部隊でありましても、ボイラーをたいておる者、電気施設等の修理、保守をなす者というものは、二年とか一年とかというような期限をもって入って参りまして、また、その後だんだんといわゆる陸曹という昔の下士官のようなところに上っていきます者にやらせますよりも、制服にあらざる者で技術を身につけ、相当長期に亘って仕事をやらせることのほうがむしろ効率的に仕事を行うことができる。制服員でありますと、ボイラーをたかしておりましても、やはり最小限一週間に何時間というようなものは銃を持たせ、機関銃を持たせて、訓練に出させるということがまた必要になって参りまして、そうした仕事の能率をあげる上においては、あるいは技術を向上せしめる上においては必ずしも適当でないものを、制服にあらざる君でだんだんと補充して、全体の人数、全体の構成を見ますと、最も効率的なものだという考え方で、制服にあらざる者を少数ながら部隊そのものにも持っておるというわけでございます。  そして調達関係は、先般の委員会にも申し上げましたように、当初は第一幕僚監部、第二幕僚監部にそれぞれ調達関係の部門がございました。このたび指摘をされておりますものは、その多くのものが第一幕僚監部、すなわち陸の幕僚監部に属するものでありますが、当時の陸の調達の内容は、調達課でありましたが、当初出発をしました際にはほとんど全員が制服であったわけであります。しかしやはり調達補給計画というような、原価計算というような問題は、やはりそういう事態になれて、平素この大砲、機関銃等を持ちまして訓練をすることはいたしませんで、そういうことに専念をしていく者の方が、知識、技能も上達をして、能率的に行えるという見解で、だんだんと陸上幕僚監部に属するものでも、制服におらざる者の数をだんだんふやしていったわけでございます。調達実施本部になりまして、付属機関となりました際に、さらに制服にあらざる者の数がふえまして、三十年度予算でお願いをしております分では、従来は半々くらいでありましたものを、大体四対一くらいの割合で、四の方々制服にあらざるものというふうにしまして、この方が、やはり調達補給というふうな仕事をいたしまするのには、組織、経験、技能等を発揮するのに適当であろうというふうな考え方をもって今進んでおるわけでございます。しかしこの点は規律審査の問題ももとよりございまするが、先ほど質問のありました部隊実情の連絡ということがもとより問題になるわけでございます。このたびの批難事項の中には、いわゆる調達と申しましても、契約をし、原価計算をする部面のみの手落ちでなくて、いわゆる部隊側に嘱する調達要求の方にも手落ちがあったものもあるわけでございます。従いましてこの調達実施本部は四対一で原価計算なり契約の方式なり、あるいは事後の検査なりというふうなものを、制服にあらざるものが主としていたしまするが、調達要求自体は部隊の方から出て参るわけでございまして、部隊の方で実情を把握せしめることに一そう具体的な留意をいたさせまして、この調達要求を出す、これを受けまして調達実施本部で仕様書を見、原価計算を行い、契約をやり、検査をして、収納をするというふうな措置にいたしたいと考えておるわけでございます。これはしかし、いわゆる中央におきまして全般的に統一をして、調達することを適当と認めるものについて行なっておるわけでございまして、各部隊部隊において、いわゆる地方調達、これ比較的金額その他も少いものでありまするが、そういうものは各部隊々々において調達をいたしております。この部面の経理担当のものはすべて制服員でございまして、せんだっての機会に二十八年度延千名、三十九年約七百名というふうな経理担当者の教育訓練をやっておるように申し上げました中には、そうした部隊の制服で経理に当っておるものも入っておるわけでございます。そういうことで、部隊におきまする調達はやはり制服をもってあてる。中央調達というふうなものは、やはりその知識、技能、経験等を最も活用する意味におきましては、やはり相当部分が制服にあらざるもので占める方がよろしかろう。そうしてこの人たちがだんだんとやはり熟練をし、技能を身につけて参りまして、次第にその成績を上げ得るようにはなっておると存じておるわけであります。しかしやはり制服部隊全体が大きく制服部隊でありまするので、制服の人たちが調達実施本部にも入っておりまして、部隊実情を人的な構成の上からも的確に反映せしめるという考慮は必要でありまするので、大体この四対一くらいの考え方、多少あるいはこれよりも制服員が減少するということもまたいいという結論が出るかもわかりませんが、三十年度におきましては、そういうことでやって参りたい。そうして全体につきまして指揮規律を審査することは、制服非制服を問いませず、十分大切な事柄でありますので、その点についてはなお、一そうの努力を払いたいと思っておる次第でございます。
  32. 岡三郎

    岡三郎君 ちょっと、人事局長の言葉尻ではないのですが、防衛庁には不正事件がないというので、不当事件でこのような処分状況だという話がありましたが、物事によっては、不当事件というものですね、これは不正事件よりも悪質なものが私はあるんではないかと思うわけです。実際の問題としては、ここに指摘されておる二十四から四十七の件の中においても、購入に当って「比較的大口なものにおいてさえ、業者側の見積をそのまま採用して予定価格を算定し、これに基いて契約を締結しているためその価格が必ずしも妥当とは認められない事例が見受けられる」、つまり物品を購入する際に、結局価格をどうするかということがあいまいならば、業者に不当な利益を与えるということは見えすいておることなんです。そういうことをわからなくて、そういうふうにしたというなれば、まことに頼りないことであって、そういった点がまあ詳細に考えれば、これは憶測になるかとも思うけれども、要するに業者との契約において随意契約が多いということは、もう先ほど述べられたことではなくして、ここに示されておるように車両等については殆んど随意契約年度初めに年間を通じての購入計画を立ててやっておる、このことの事態は別としても、ずいぶんこういった面についてあなた方の方が留意しないと、不正事件というものよりも不当事件というものの中に問題の本質があるいはあるのではないかとさえ私は考えるのです。だからそういう点で、不正事件と不当事件というものについてどういうふうに人事局長考えられておるか、その見解を聞きたいと思う。
  33. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ごもっともでございます。先ほど市川先生が法務省の事例を言われましたですが、これに比べて防衛庁のことを御批判になりました。私も防衛庁会計検査院批難事項に対する処分を一応構想いたしました後におきまして、他の省との処分状況と比べてみたのでございます。その際に、いかにもなるほどこれでは防衛庁の方が軽きに失する、形の上でですよ、というふうに思われる節もありまして、それから他の省の所管に属する事項についても、処分の内容につきまして若干調べてみたのでございます。その際に、免職になっておりまする事件につきましては悪意のあったものが多かった、それが頭にあったものでございまするから、市川先生の御質問に対しまして、そういうことが不用意に出たのでありまして、私は決して不当と不正と、不当の方が軽いのだという意味ではないのでございまして、免職に相当するものは不正の方が多い、不当の中でももちろんその重大な責任を問われるものはあるということは、これは否定すべきものではないのでございます。その点若干言葉が足りなかったようでございます。
  34. 岡三郎

    岡三郎君 特に物品購入に当っては、私はこの不正事件というものがまあ比較的少額の部面かだいぶあるわけです。ところが何億何十億というふうな契約に際しては、少しの価格の見積りの誤り、これが意識的か無意識的かわからんけれども、そういったものだけによる損失というものの方が、非常に金額が大きくなるという事例をしばしば見てきたわけです。だからそういうところから考えるというと、不当事項というものの中に非常に問題があり、改善する点がずいぶんあるのではないかというふうにまあ考えてきたわけなんです。一つの商社が言えば、まあ会計員なり会計の者が五十万なり、百万の不正を起すという点ならば、その限度内においてとどまりまするけれども、また一つの品物を買うとするならば、その会社なら会社に、たとえば会社が立ち得ないまでのものすごいことになりがちなのが現実の世の中だと思うのです。そういうふうなことを考えていった場合に、非常に予算が多い、その使用方法としては不正事件というものも十分あるのですが、不当なやり方というものに対する根本的な改善施策というものがない限り、膨大な物資調達というものについては非常に心配される点が多いと思う。で、そういうふうな点で今まあ人事局長説明を聞いて一応了解をしたのですが、不当事項というものの性格というものを十分検討して、今後同じような誤りというものが繰り返されないようにするということ自体が、私はまあ経済的効率的使用が根本的になると思う。そういう点でありがたいことに、国費の場合においては、防衛庁がそれによって倒れるということがないので、割合にのんきに考えられて、おると思うけれども、一事業会社にしたならば、そういうことによって会社自体が破綻を起すということが出際にあるわけなんです。つまり生命線にかかわるということは、不正事件もあるけれども不当事項というものに一つの根本的な問題が私はあると思う。つまり帳面づらをごまかしていると言っては失礼ですけれども、帳面づらは記載して、その裏で実際大きな事件というものが起っておるわけなんです。それが摘発されるかされないかというところの限界が、私は非常に問題の点が多いと思う。つまり、相当の量の物品を購入する場合、価格をどうするかというところで、業者の言いなりになった価格で購入しても、防衛庁というものは事業体ではないから、だからそれによってすぐ赤字が出たらどうするかということはないけれども一つの業者で他の原料なら原料品を買い込む場合に、不当な価格のものを仕入れた場合に、それを加工して出すような場合は、かりに事業会社なら、これは収捨つかぬような場合があると思う。私はそういう点で、まあ少し語気を強めたわけですが、十分そういうふうな点について、不正な事件と不当な事件というものは、逆に紙一重である場合のものもあるし、また逆に不当事件の方が不正事件よりももっとわれわれとして追及しなければならぬという部面があるということを一言、私はここで言っておきたいと思う。  それとともに、これは昨年の間々出た例たが、練馬の米の持ち出し事件とか、それに伴うところの責任者の処罰の問題、あるいはこの明大出身の野球選手だった松井某の起したところのいわゆる事件、こういったものが新聞紙上に登場したことも御存じのことと思う。そういったようなことから見て、防衛庁内部の経理というものは非常に粗雑ではないのかという疑問を、相当国民にも与えたと思うわけなんです。こういう点については、二十九年度決算にあるいは出てくるかもわかりませんけれども、そういうふうな点から考えて、そういった点は不正事件として一応登場して来たのですが、私としてはそういった点も十分検討してもらうとともに、不当事件の解明というものを防衛庁が十分検討して、こういうものの起ってこないようにやってもらいたいということを一言ここで総括的に言っておきたいと思う。これは人事局長のもう一ぺん意見を十分聞いておきたいと思う。
  35. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはただいまの御趣旨、私もよく了承するのでございまして、最初の私の説明が、先ほど説明しましたようなことが頭にあったものでございまするから、いきなり不正事件というふうなことを申し上げまして、誤解を、誤解と申しまするか、十分真意を伝えなかったようなことになったのであろうと思うのであります。不正事件につきましては、いやしくも私は仮借しないという態度で、今までも来ております。ただしかし、事柄として見ますると、不正事件の中でも不当事件に劣らず重大な意味を持っており、責任も追及されるべきものがあるということは、私もよく了承しておるのでございます。今後におきましては、不正事件はもとより、私どもは極力防止をして行きますとともに、不当事件につきましても、これは本人の責任ということももちろんでありまするけれども、機構そのものの、運営等につきましても、不当の方につきましては研究し、検討すべき余地のあるものが多いように思いまするので、そういう点も併せ考えまして、かかる国民の疑惑を招くがごとき事件のないように全力を尽して行くつもりでございます。
  36. 野本品吉

    ○野本品吉君 私はこの前の委員会でこの批難事項の十八の、工事の竣工しない前に竣工したものとして代金の全額を支払ったこのことにつきましてお伺いしたのですが、その説明がどうもはっきり頭に了解できかねますので、まあこのことだけについて少し考えてみた。そこでこの問題を考えてみるよりどころになる法律及び政令に基いてこの問題な考えてみよう、それについて御意見を承わりたいとこう思っております。この問題を考える根拠の法令は、会計法の第二十一条の前金払いと概算払い、この規定がこの問題を考えるよりどころになる法律と、こう考えてよろしゅうございますか。
  37. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 一昨日野本委員のお尋ねのございました際にお答えをいたす機会がなかったかと思われまするので、まず十八番の指摘事項、十八番の趣旨について申し上げます。これは会計検査院指摘せられておりまするごとくに、この二十八年という年は比較的雪の早かった年のようでございますが、工事が進行いたしておりまして、十二月の末日をもちまして完成引き渡しをいたしまする予定に相なっておったわけでございます。しかしこの年は比較的雪の深い年であったようでありまして、早い年であったようでありまして、十二月末日をもちまして業者側として完了したという話を持って参ったのでありますが、こちら側といたしまして、細かいところまで確認をいたしますることが事実上不可能でございまして、そこで弁明書に書いてございますように、もし万一お前はできたと申しておるが、できておらない場合はもちろんお前の負担ですぐに直すんだ、ということを念書をもちまして、そういうような担保条項を取りまして、金の支払いをいたしたわけであります。ところが雪が解けてみますると、出来高が足りないということがわかりましたので、直ちにこれを改修、その担保条項に基きまして改修させたのでありまするが、これを会計検査院指摘のように時期が遅れましたのは、当時部隊におきまして雪解けになりまして射撃をいたす必要がございまして、出来高として完成いたしておりませんが、使用ができる程度でありましたので、射撃をいたしながら、そのひまに直すということをやりましたために、検査指摘のようにでき上るのが遅れたという次第であります。  それから今の御指摘の会計法の二十二条というお話でございましたが、この件につきまして前払いはいたしておると思いまするが、この検査院からの御指摘をこうむっておりまするのは、前金払い、概算払いの点についての指摘を受けているのではございませんで、検収が不十分であって、その原因を十分に検討した上で、金を支払うべきにかかわらず支払わなかったその点を怠って不当なる支払いをいたしたという点にあるわけでありますから、会計法二十二条の点は今の点とは直接関連をいたさないと思います。
  38. 野本品吉

    ○野本品吉君 会計法の二十二条というものは、この問題を検討する根拠の法令ではないというのですか。会計検査院の力もやはりそういうお考えですか。
  39. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ちょっと正確な資料を持ちませんが、これは一回に全部払われたわけじゃありませんで、できたつど出来高に対して払われていって、最後に全部できたということで、三十九年の一月に最後の分も全部払われた。こういう事態でございまして、おそらくこういうふうに考えております。法規によりまして前金払いもできる場合もございますが、契約によりまして、できたつど出来高に対して何割とかいうようなことで払っていかれて、最後に全部できたということで、全部払われた、こういう事態でございます。
  40. 野本品吉

    ○野本品吉君 それじゃまあそのことについてはあとでお聞きいたします。  それでこの前私は資料を要求しました関係上、一、二お伺いしておきたいと思います。いろいろな器材、被服、食糧等の発注契約の時期と、件数を実は見たいと思って、特にこの資料を要求したのですが、年度の終りの方、第四・四半期ごろにほとんどそういうものが大部分集中されておる、これはどういう事情でございましょうか。たとえば陸上自衛隊のことについて考えますと、十一月が件数にして九百五十八件、それはまあ一番多いようでございますが、その後十二月が五百五十三件、一月が三百七十件、二月が五百五十二件、三月が七百二十一件、こういうふうに年度末にこれが集中されていっている、これはどういう事情でございますか。
  41. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 二十八年度におきまして特別にございました事情といたしましては、この年は予算の成立が遅れました年でございまして、ちょっと今正確に成立の日時を覚えておりませんが、六月一ぱい、たしか七月になりまして、本予算実施するに至ったかと思っております。従いまして、その後本予算の成立に相なりまして後に、いろいろなこれの支出負担行為を予定するとか、予算の示達でありますとか、そういうものが起りまして、そのスタートが遅れましたために、御指摘のように、まあ一番ピークになっているのは十一月かと思いまするが、こういうふうにうしろの方に押してきておるわけでございます。
  42. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは二十八年度ですが、二十九年度等におきましてはこういう傾向はありませんですか。
  43. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ちょっと今二十九年度の月別の数字を手元に持ちませんでございますが、大体の傾向といたしましては、やはり予算が成立いたしましてから、いろいろな仕様、規格というものの検討、そういうものが始まりまして、案がまとまり、最近で申しますれば、調達実施本部調達要求になって参るわけでありますが、それまでに年度予算が成立をいたしましてから、若干の時期がかかるわけでごいますから、やはり全体の傾向といたしましては、これは政府調弁全体にあるいはそういう傾向があるのじゃないかとも思われますが、私どもの方の調弁といたしましても、下半期と申しまするか、第三・四半期以降に重みがかかるという事実は、二十九年度におきましも依然として、ある程度存在をいたしておると思います。
  44. 野本品吉

    ○野本品吉君 勢いこういう傾向になりますとは、一応まあわからないわけでもないのですが、そこで防衛庁予算が非常に大きく、そして発注契約等がきわめて複雑多様である。それが年度末へまとまっていく、そのことが防衛庁の、予算の執行に混乱を起したり、あやまちを生ぜしめるような大きな原因になりはしないかというふうに私は考えるので、その点についてのお考えはいかがですか。
  45. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 御指摘通り、これは一昨日長官が今後の対策を述べるときもおっしゃったと思っておりまするが、人手の関係と申しまするか、注意というものは人手と仕事のもちろん関係できまりまするので、野本委員指摘のように、ある短い期間に仕事がかたまるというようなことが、いろいろな調査検討の不足を生ずる大きな原因であるということは御承知の通りであります。昨年は実は年度半ばにして調達実施本部ができました関係もございまして、その運びがなかなかむずかしかったと思うのでありますが、本年度は調速実施本部二年目でございますので、できるだけ年間平均をいたす、これは機械的に月割り平均というわけには参りかねると思いまするが、まさに傾向としてそういうふうな月割りで、できるだけ一カ所に片寄らないというような調査をいたしますることが、ただいま御指摘のように不当事項を減少させる一つ方法ではないか、調達実施本部の方でも検討していただいております。
  46. 野本品吉

    ○野本品吉君 ただいまの御意見を承わりまして、私ほんとうに同感なんですが、まあ事柄によりましては簡単に片付かない場合もありましょうが、この調達その他の仕事が年間を通じて無理のないように平均化するような努力、工夫、研究を今後十分していただく必要があるのじゃないかというふうに私は考えるわけです。  もう一つお伺いしたいのですが、私は各地の自衛隊、あるいは補給処その他を院の視察としても相当見ておりますし、また個人的な旅行の際にもあっちこっちへ行ってひまのときは見ております。それで幾つかの場所でこういう感じを持ったことがあるのですが、それは人は集っておるけれども、器材その他の補給が不完全であるために、訓練等を十分できない、こういうふうな場所に出会ったような気がするのですが、そういうことはありませんでしょうか。
  47. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 御指摘のようなことは残念ながらないとは申せなかったのでございます。ことに発足の当初はいろいろ御指摘を受けておる原因になりまする編成装備表等も十分に検討をし、実情に合わす間もありませんし、調達関係のほうも不なれ、あるいは人手不足等で、なかなか思うようにできないで、訓練のほうにしわが寄るということがあったのであります。この点は、しかしだんだんとその後大いに改善をいたしまして、昨年度あるいは本年に、入りましたというような時期になりましては、そうした面の不都合はまずまずないというふうに申し上げられると考えております。しかし、部分的には、調達というふうな範囲でなくて、たとえば兵器関係というものは米軍の方から今供与を受けております。部分品も従って供与を受けざるを得ないのであります。そうしたもののわれわれの要求に対して補給をしてもらうのが、なかなかうまく合いませんで、武器関係整備がうまくいかないというようなことで、訓練に支障を生ずるということが間々あるわけであります。これは私ども相当前もって米軍のほうに要求を出しまして、時々このまあ督促をすると言いますか、連絡をとりまして、その方も支障なからしめるように努力をいたしておるという次第でございます。
  48. 野本品吉

    ○野本品吉君 私がこのを点お伺いいたしますのは、人が集っておっていろいろな訓練に必要な器材あるいは武器等がないために遊ばしておるということも非常にむだなことである。それからもう一つは、逆に人もいないのにいろいろなものを取りそろえるということにもむだがある。要するに人と物とがむだのないような行き道を考えることが大きな自衛隊の運営の上からいくと、国費の効率的な使用という点から考えましても、それから訓練の能率化というような点から考えましても、非常に大事な問題じゃないかと、そういうことを感じておったものですからお伺いしたんですが、それらについて何かお考えはございませんか。
  49. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 御指摘まことにごもっともでございまして、器材等が不ぞろいであったり、足りなかったりするために、訓練に支障があるというのは多く武器関係でございます。施設関係の機械等もございますが、これもやはり供与を期待しているものが適時にうまく予定通りに入って来ないというようなこともございます。これは申しましたように、日本でまだうまくできないものについては、米軍の供与を期待するほかありませんので、相当前びろに要求をして督促をしております。また、不必要なものを買っておるというのが会計検査院指摘事項にもあるわけでございます。これは長官が申しましたように四半期ごとの検査、年一回の棚卸し等を厳重に行いまして、部隊実情を把握し、施設その他の整備をきちんとにらみまして、むだな物の調達等をいたしませんように最善の心がけをして参りたいと思っております。
  50. 野本品吉

    ○野本品吉君 要するに人の面からも物の面からもどうしたらばむだのないようにできるかという点について、今後の自衛隊の運営上細心な考慮を払っていただきたいという希望を申し述べて私の質問を終了します。
  51. 石川清一

    ○石川清一君 増原次長と経理局長にお尋ねしますが、私は今の答弁は非常に詭弁だと思う。このことは、繰越額がはっきりこういうように持ち越しておるということは、特にこの自衛隊費用というものは、地域住民にサービスをしまして経済効率をその地域であげるのと違って、自衛隊そのものが一体になって総合的に間接的に国民にサービスする機関であります。従ってその繰り越し部分が完全に消化されない場合には、部隊は立体的にこの予算が支出されて効率をあげてないと私は断定できる。従って今編成過程においてはそういうことは起り得ると思います、整備するまでは起り得ると思います。しかしながら保安隊から自衛隊になるまでには相当の日時があるのでありまして、こういう中で、いわゆる繰り越しされておる費目が、各人員その他平等に、一つの地域の舞台の編成設備が遅れておるこういうのであれば、私は問題がないと思うのです。しかしこれだけの繰越金先ほど説明がありましたように船舶、艦艇あるいは施設、資材、こういうように限定されておることは、そういうものは全部総合的に必要とされて、予備隊の費用、予備隊の編成ができておるのであって、それの中にはやはりそれだけのむだがあると私は思う。このことはかっての日本の軍隊の予算の行使については大きなわれわれも問題点を持っておる。従って経理局長は総合的にこの整備の実態に合わして、それが効率をあげると同時に、地域における常駐する部隊がどこまでも充実されて総合的にいくという方向に、今から私は持って行くべきだと思うのです。で、そうしませんと、繰越金が何年もずっと残って、一つ施設ができないために、部隊が中途半端――いわゆる二分の施設かできない、資材がないために八分の損をしておる、こういうことば単に公共土木関係以上の損害を間接的に国民に与えておる。私は昨年こういうことを痛切に感じたのです。それは福岡に行く、ちょうど特二の汽車の中でございましたが、制服を着ております陸佐級の人でしたが、二人座っておりまして、私は一人でじっと聞いておりました。そうすると、その言葉の中に、まあわれわれは私生児だ、あるいはアメリカの傭兵だ、こういう国民の非難がある、しかしいまに見ておれ、われわれはわれわれの道を行くんだと、こういうようなささやきを私は耳にいたしました。このことはずっと長い間私はよく聞いておりませんで、特にこれだけを抜き出すということは問題になりますけれども、こういうようなことが現われておりまして、予算の効率的な使用が、今の自衛隊のように非生産的な機関としてはっきり表てに現われてくるのには、日本に大きな内乱が起きるかどうか、そういうときでしか現われてきません。従ってこういう点は予算の支出が総合的に、立体的に支出されるようにするのには、これは経理局長は重大な決心がいるのではないか。同時に各部隊あるいは各部門が、安易に予算の行使ができるような部分だけを先に使おうとする傾向が私は今まで現われておると思うのであります。従ってこういう点についてもし特に注意しなければならんという点を、実際のそういう面で現われておるのを通じてお考えがあるのであれば承わりたいと思います。
  52. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 国民の税金の中から頂いた貴重な予算でございまして、毎々御指摘を受けまするように、われわれとしては最もこれを効率的に使っていかなければならん重大な責務を持っておるわけでございます。繰り越しの部分が年々相当額に達すまするということは、まことに遺憾に存じてございますが、これは新しい営舎を作ろう、新しい演習場を獲得しようという場合に、土地を取得いたしますることは非常に困難であります。営舎を作ります場合に、地元の人から非常に熱心な御要請を受けて、関係の地主さんたちが全部承諾をしておるというような書類を持って、是非私たちの方もおいてくれというような御要望に従いまして設置をきめました場合でも、これを買収いたしますという手続きになりますると、主として価格の問題になりまするが、なかなかにむずかしゅうございまして、そうした条件の所でもいよいよ設置をしようときめて、土地の買収ができるのには六カ月、七カ月を要するというのが普通の状態でございます。ましてそういうような熱心な誘致御要望のないような所で、私どもが適地と思いまして参りましたような場合は、まず納得してもらうのに相当の年月を費し、納得をしてもらってから現実に買い上げの手続き、評価、買い上げ補償の問題でも、やはり半年以上費すというのが普通の事例でございます。そういうことのために、演習場の取得なり、営舎の建設というものが遅れて参ります。北方の方面に参りますと、土地をそうしてやっと入手いたしましたが、雪が降り始めて建設ができないというようなことで、施設関係は土地の入手困難というようなことで繰り越しを生ずるような場合が非常に多いわけでございます。  もう一つ大きいものは、この二十八年度、二十九年度等において多いものは艦船の関係でございますが、これはいわゆる戦後初めてのこうしたものの調達でございましたので、その仕様をきめることがなかなかの日数を要しまして、繰り越しを生ずる、器材費関係でも新しい品種のもので、その性能をきめ、性能に従った仕様書を作るということに予想以上の日数を費しまして、繰り越しを生じたというようなものが主たる部分に相なっておるわけでございます。この全体を通じまして御意見のございましたように、これが全体のやはり効率的な運営というものに差しさわりを生じておることは間違いがないのでございます。たとえば営舎等が予定のごとくできません場合には、一時、超過収容というようなことをやりまして、これは隊員の指揮訓練等には影響を来たすのでございますが、なるべくそういうことを少なからしめて、部隊整備をやっていく。船の場合にはこれはでき上りが遅くなりますと、いわゆる勢力としての整備が遅れるのでございますが、これは隊員の募集もやむを得ず繰り延べをいたしまして、勢力の充実がおくれるという結果に相なっておるわけでございます。器材の関係は、やはり適当な器材が十分に予定の期日に調達されませんことが、訓練の方面に幾分の支障を生じますることは、先ほどもお答えをいたした通りでございます。鋭意今後努力をいたして参るようにいたしておるわけでございます。  で、自衛隊全体の運用といたしましては、御意見、御要望もありましたように、われわれも、法律にも明記されておりまするように、災害等の救援に参るとか、土木工事、通信工事等の工事引き受け、その他の一般の場合においても、一般それぞれの地方地方のためになりまするようなことは十分心がけてやっておるわけでございます。土木工事の引き受けなどは、学校等の整地というようなものか非常に多いわけでございまするが、これはもうあらゆる努力を払いまして御要望に応じて出かけていって、土木工事を引き受けるというふうなことの努力をいたしております。災害救難の面は九州地方、近畿地方、昨年は東京方面、その他北海道全般にわたりまして、時々災害が起ることはまことに残念でありますが、ありました際には、急遽出動いたしまして、救援の万全をはかるというふうな努力をいたしておりました。これは将来も十分各部隊とも心を尽しまして、そうした点の遺憾のないように平素においても訓練に励みますると同時に、そうした面について十分にお役に立つよう努力をいたしておるような次第でございます。
  53. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 私この際、編成装備表という問題についてお聞きしたいのです。これは大体まあ米軍に範をとって作られたようなんでありますが、結局保安隊からだんだん変ってきて今まで来た。そうすると一体この編成装備というのは、結局部隊の活動に必要なものが盛られているのだろうと思うのですがね。従ってこの装備表というのは、一つのその部隊の機能の最大の発揮に必要なあらゆる問題が含まれている。従ってまたこれはつまりいろいろな発明なり新しい兵器というようなものが出れば変っていくものであり、来ているのではないか。私が開きたいのは、編成装備表というものはだんだん変ってきているのかどうかということと、それからアメリカ軍との、つまり共同動作といいますか、共同な一つの目的のために、共同な、つまり作戦といいますか、簡単に言えば、作戦でやられるのですから、という場合を考えれば、日本人の体格とか、日本人の最も能率的なものに合うようには必ずしもできていないので、そして向うから現に借りているのだしするから、向う型にこれが作られているのではないかどうか、この点と、それからもう一つは、この三十号のところに指摘されていますが、買おうと思ったのに、その仕様書がまだない。仕様書が入手できなかったために、妙なものを買っちゃったなどということが明かにされているわけですが、そういった一体編成装備表というものに盛られてある器材関係は、当然私どもその仕様書がりっぱにできておるものだと思っておったのに、これを見ますると、当時買おうと思ったところが、その仕様書が入らないものだったから、間違って別のもの買っちゃったと、こういうようなことさえあるのですが、一体そういう程度のものなのかどうか、この点を一つお聞きしたいのです。
  54. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 編成装備の関係は、御意見の通りそれによって部隊が動くいろいろなものをそろえるわけです。それが適正にできておりませんと、部隊が効率的にはうまく動かない。従いましてこれは始まりましたときは、一応米国の式を範にとったわけでありますが、直後検討を加えておりまして、たとえば管区隊というふうな大きい単位でも、初め一万八千ばかりで始まりましたが、自後検討いたしました結果、一万二千七百ぐらいに編成がえをしたというような、大きい単位としても問題もございますけれども、現在陸上幕僚監部に編成装備についての審査委員会を作りまして、そこでいろいろと全面的に、かつ基本的に審査をいたしておるわけであります。御説にありました通り、もらいました兵器は米国で作ったものでありますので、身長体重その他必ずしもそのままでいいものばかりはございません。これは現在検討をいたしておりまして、日本人の体格なり、日本の地形その他に適合をしたものに改めたいという基本的な方向は持っているわけでございます。そうしてだんだんとそうした検討が具体的に今結果を持ちつつある。三十年度にお願いをいたしております器材費のうちには、そうした一応の方向が出まして、たとえば特車というようなものにつきましては、向うからもらっておりますものば必ずしも日本の地形、地物、日本人の体格等に合わして十分と考えられませんので、そういうものについて試作をいたして、適当なものを作りたいというふうなものも、三十年度予算にはお願いをしてスタートをやりたい。これは一面米国の方もだんだんと日本の実力に応じて自力をもって整備をされることを希望しておるということもございます。われわれの方でも予算が許しまする場合には、最も適当をしたそうした装備品を作っていく。当初は試作をしていくというふうな方向をとって参りたい。この点については現在具体的に努力中であり、具体的な結果の出ましたものも、長官からも申し上げましたように、通信機その他で数種のものを実行に移しておるような次第でございます。仕様書の問題につきましては、この批難事項にあげられましたようなものがたくさんあるわけではございませんが、まれにその仕様書が入手できなかったというものが出てきたわけでございます。たとえば通信機などは当初から日本で作りましたが、やはり向うの方から仕様書という形でもらうことができなかったものは、現物をもらいまして、その現物をばらして、能力ある会社にこれを下げ渡して作ったというふうなものもあるわけであります。しかしそういうものはだんだん仕様書その他は整備をされて参りまして、こちらの方の人員もそうしたものに習熟をして参りましたので、仕様書がなくて間違いをするというようなことは、今後万万ないように十分気をつけていくつもりでございます。
  55. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 だんだんわかるのでありますが、結局こういうものを日本人のいわゆる身長、体格、その他日本人に合うような形にだんだん特って行くという、これは結局その装備の種類と、日本の工業技術というか、そういうものとの関連で逐次取り上げて行くのだと思いますけれども、そういったものをやって行く過程においては、ずいぶんいわゆるちぐはぐなものの経過の時代を経るんだと思うのですけれども、そういった場合には、どういうことになるのですか。一つのある方面の隊というものには、一挙に新しくできたものと交換して、そうして他の方面の隊はやはり依然としてまだ借りたものでやっておくという、こういうような考えで行くのか。その点をお聞きしたいのと、それから海陸空とだんだん出てきたわけでありますが、従来は、かつて日本における海陸空は、たとえば航空機などはそれぞれその海陸空の目的によって、最もその隊の行動作戦に必要なものが要求されるという名のもとに、同じものを部品としては使ってもいいと思うのにかかわらず、それぞれの隊はあれなんですね、たとえば海軍は海軍で主張する、それからたとえば、飛行機は海軍の使う作戦から必要である性能の要求ということはわかりますよ、陸軍は陸軍で当然その自分の使う、自分の隊の指名を達成する上に必要な性能の要求ということは、これはわかるけれども、それの構造に使う材料部品というものまでも、それぞれおのおの別に要求して作っていた。そのためにずいぶん当時のいわゆる日本の工業は煩雑となり、陸海軍も競争一つの製造工場を占領して、その間にへいをめぐらして、これだけの限りは海軍のもの、これからこっちは陸軍のものといったようなことで、いろいろな支障を起しておったのですが、これからの自衛隊の建設、内容の充実にあたって、そういうものを、できるものならば、材料のごときは一つのところで陸海空通じていいものもずいぶんあると思うのです。で、またそのことが産業の発展の上からいっても私は非常に便利だ。できたもの、製造したものは、それぞれの目的があるにきまっているわけであります。けれども材料それ自身をそれぞれ異にして、そうしてむずかしい条件をつけて発注してやっているということは、なくて済む部分がかってはたくさんあった。そういうふうな問題をどういうふうな考え方で調製をされて行くのか、この点についてもお聞きしたい。
  56. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 前段の御質問は、そうした新しい装備品を作る場合に、古いものを一挙に捨てるということはもちろんないだろうが、不ぞろいになって工合が悪くはないかという意味のことでありますが、まことにその通りであります。新しく試作をいたしましたとしても、予算経費の都合上、全部新しくするわけにはとうてい参りませんで、やはりこれは徐徐に交替をせしめるよりはかにないと思います、現在でも、たとえば小銃にいたしましても、カービンとか、九九式とか、ライフルとか、いろいろ種類が分れております。そういうものは大体一本に統一をして、新しい、最も日本人のからだに合った効率的なものを作る。しかしそれでできましても、これは一ぺんにたくさんできませんので、やはり徐徐に交替して行くよりほかないと思うのであります。それをどういうふうに分けるかは、なお研究を要することでありまして、まあ実験部隊のようなところには新しいものをそろえて渡すことはもとよりありましようが、一般部隊にはやはり新旧不ぞろいでも取りまぜてやるということよりほかあるまいか、これはなお研究を要することであります。  後段仰せられましたことはまことに重要な問題でございまして、私どもも慎重に研究をし、留意をしておるところでございます。調達実施本部というものを作りまして、元調達実施部という形で陸幕にありましたものを、陸海空共通の調達をやらせるというふうな制度組織を作りまして、これも共通のものはもう調達実施本部という一本の目で、技術で、原価計算で、検査で、調達をして参るという心持の現われでございます。なお本年殿法律で改正をお願いをしておる分にもございまするが、今陸海空とそれぞれ機関などが分れておりまするが、これを共通の機関、共同の機関とすることが適当のものについては、共同にする。陸上自衛隊の、たとえば病院というものが最近でき上るようになっておりまするが、これは陸上自衛隊の病院ということでなしに、自衛隊の病院として、全部の病院である、陸の病院に海や空が入って行ってお世話になるというのでなしに、自衛隊の皆自分の病院という形にするという法律改正を、ごく簡単なものでありまするが、お願いをしてありまするが、そういう思想で、この技術研究所にいたしましても、調達実施本部、建設本部、いずれも陸海空共通のものを作っております。学校にしましても、昔であれば陸軍士官校とか、海軍兵学校とかいうふうになっておりましたのを、防衛大学校というのは一本でございまして、陸海空の人たちは、高等学校を卒業した人を入れまして、一本で教育をする。もとよりこれは四年間でありまするので、三年、四年になりますると、それぞれ分科した教育を行わなければなりませんが、これは専門教育を施しまするが、基本的な問題は一本でやる。陸の連中にも、一年生の次分なぞは、夏はカッターをこがしますし、海の連中にも富士の裾野に行って小銃をかつがすという練習もやっておるというふうで、共通の心持、一つ自衛隊という考え方で行くように、制度をできるだけ一本化するというふうに心がけておるわけであります。そして航空機等の問題につきましても、現在は陸海空ともそれぞれございますが、航空の基本は大体において航空自衛隊の方でこれを扱わせる、そうしてそれぞれの特色のある部分は各自衛隊の研究を待って、技術研究所でその成果を上げまして作って行く、補給整備というふうなものは基本的には航空機について一本に行いまして、航空自衛隊の所管にするというふうな、具体的な処置も講じておるわけでございまして、仰せになりましたようなことは、従来間間聞きましたけれども、陸海等のいわゆるセクショナリズムによるむだ、この部分品等の互関性のないようなものができるということは絶対ないように、制度の上で十分考慮をいたしまして、具体的に措置をいたしつつあるのでありまして、その成果はだんだん上っておるような状態でございます。
  57. 三浦辰雄

    ○三浦辰雄君 さっきお聞きした中で、お答えがなかったものを……。編成装備表というものが逐次変ってきたということ、この額も変ってきたのだと思うのですがね、この点どうかということと、それからこの編成装備表というものは、これは作戦というようなことに関連して、秘密になっているものなのか、そうでなく、今日のことですから、例の秘密保護法との関係さえ出なければ、それはもう大っぴらなものだ、こういうことに扱っているものなのか、この点一つ
  58. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 編成装備表先ほど申し上げたのですが、言葉が足りなかったのでございますが、時時研究をいたしまして、手入れをいたし、それに変更を加えております。実情に合うように、だんだん改めて行っておるわけであります。一つの大隊における車両の数など、特に実情に合せまして、改訂をいたしておるのであります。  編成装備表の内容でございますが、これはいわゆる秘密というふうな形のものでは、現在はございません。ただし内容を細かく申し上げることは、部隊の勢力というものが一目瞭然ということになりまするので、御審査の必要上そういうことが必要でありまする場合には、適当に秘密会とかなんとかで御審査を願うというふうなことが願わしいというように考えます。
  59. 山田節男

    委員長山田節男君) 私から一つ会計検査院側にお聞きしますが、防衛支出金による経費の支出に対して会計検査はできてないのですか。
  60. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 防衛支出金につきましては、御承知のように、防衛支出金の中で、米軍に渡すものと、それから、防衛支出金のうちで、米軍が駐留しておるために必要な建物とか、そういうものの借り入れ、それに伴う補償というようなものがございますが、後者の分につきましては、調達庁に大蔵省から移しかえてやっておりまして、この分については十分検査しておるわけであります。これは私の所管でございますから、最初のほうの、今の通俗に言いますアメリカのどんぶり勘定へ渡す分でありますが、この分については、協定によりまして幾ら幾ら払うということと、その支出がその通りであるかどうかということの確認と、それからさらに、これは私の所管でありませんから確定的に申し上げかねますが、一部大蔵省関係になっておるので、その処理についてある程度みておるということは聞いておりますが、内容の詳細については、結局米軍関係と、日本会計法規との関係もございますし、大体いたしておらないように承知しております。この分については私の所管でございませんので、詳細についてはちょっと申し上げかねます。
  61. 山田節男

    委員長山田節男君) そうしますと、その防衛支出金に関しては、たとえばどんぶり勘定というのは日米行政協定によるリボルビイング・ファンドですか。それ以外のものは、今言われたように会計検査院としての一応検査ができる。そうすると、いわゆる日本の会計検査院検査の及ばない範囲があるというわけですね。
  62. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 及ばない範囲があるという考え方に多少あれがあろうかと思うのですが、私のほうで検査いたします場合には、一応検査院法に基きます範囲のことを検査するということになっておるわけでありまして、問題は、検査院の検査の権限の中にあることかどうかということと関連しようかと思うのであります。協定に基きまして幾ら幾らやる、たとえば贈与しまするような場合でも、これだけやろうという、こういうような場合に、もらった人の相手方検査ができるかできないかというようなこととも関連しておるわけでありますが、一応、院法の関係上、向うに渡したものについて向うを直接検査することができないというふうな大体考え方に立っておるわけでございます。その意味におきましては、ただいま仰せのように検査していない、できない分があるということになろうと思っております。
  63. 山田節男

    委員長山田節男君) それからまた増原次長にお聞きしますが、MSAによる武器の貸与あるいは艦艇あるいはタンクその他兵器ですね、これをやはり維持管理する上においては、部分品はアメリカから貸与されるにしても、維持管理には相当金が要るのじゃないかと思うのですが、こういったような場合、むしろ会計検査院の御意見もお聞きしたいのですが、MSAによっての貸与された物件というのは、厳密に言えばアメリカから借りているには違いないのですけれども、貸与されたということになれば、貸与をせられた防衛隊としては、一種の寄託といいますか、厳に維持管理しなければならぬ、そういう責任はあるだろうと思う。一体MSAによる兵器の援助、これに要する維持管理費、そういったものについては、会計検査院として、当然私は会計検査のカテゴリーに入るものだ。防衛庁としましては、こういうMSAによる飛行機あるいは艦艇その他の兵器というものを、これを一体時価に見積って、どのくらいなものを防衛庁としては貸与を受けているのだという、金額においてそういうふうなことが評価せられたかどうか、またそういうようなものを当委員会に、MSAにおける兵器の援助は、金額として一体どのくらい貸与を受けているかということが、金額にしてこれが表示し得るかどうか、この点をお伺いしたい。
  64. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) MSAで受けております兵器類、これは御承知のように船舶貸借協定と艦艇貸与協定という特別の二つの協定がございます、この分は貸与になっております、あとタンクだとか大砲だとかというようなものはMSAで供与でありまして、日本の防衛のために使うという条件がありまするが、所有権は移っております。要うなくなったならば、廃品になったり、もうそういう目的のために使用する必要がなくなったというときには、返さなければならないという条件がついておりますが、何といいますか、所有権はわが方に移っている、そうしてこれは艦艇その他全部を通じまして、その維持修理は、訓練その他に使うわけでありますが、その経費は毎年予算でお願いをして、日本側の経費でやるということに相なっているわけであります。金額の積算は、あとで装備局長から申し上げますが、これは一応新品価格で計算をしてみて、大体古いものを相当に借りておりますので、大体六掛けというようなことで、一応今までもらっている数字をはじいております。これは装備局長から申し上げます。  なおちょっと先ほど申し上げましたのに言葉が少し足りませんでしたので、つけ加えさしていただきますが、装備表の問題でございますが、これは秘密になっておらぬと申し上げましたのは、軍機保護法というような種類のものがございませんで、そういう秘密にはなっておらない。行政上は防衛庁法によりまして、秘の扱いをむろんいたしておりまして、一般の方が見せてくれと言われましても、見せておらないわけでありまして、国政審査の場合には、秘密会等でお見せをすることになっております。という意味で申し上げたわけであります。
  65. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 検査院に関係する点についてお答えいたします。MSA協定によって貸与あるいは、贈与それから船舶の貸与を受けましたもので、日本政府の保管に入っておりますものについては、その管理に関する経費および物件についての検査権限はあると、かように考えておりますし、さように実施しているわけであります。
  66. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) ただいまわかっている分だけ申し上げまして、あとすぐ追加して申し上げたいと思います。二十九年度末までに現実に入手いたしております分が、陸上自衛隊で、これはただいまもお話にございましたように、単価の取り方その他、あるいは古いものでございますから、その価格をどの程度に割って考えるかということでございますが、一応いろいろな数字で新品価格を推定しまして、それを一般武器あるいは車両等については六掛け、弾薬等は新品の価格そのままでございますが、七百八十九億、これはただいま申し上げましたような前提による推定額でございます。  それから陸上自衛隊関係が、艦艇、航空機、その他弾薬の一部等を合せまして、大体同様な推定をいたしまして三百六十五億、これが二十九年度末受領済。航空機の関係、ちょっと今持ちあわせておりませんので、追って提出いたします。
  67. 山田節男

    委員長山田節男君) これはちょっとお願い申し上げておきますが、大体防衛庁が単独の庁として動産、不動産……、動産といえば武器、兵器を含む……。今、久保局長が言われたようにいろいろ基準はむずかしい点があると思いますが、大体防衛庁としてどのくらいの資産、不動産、動産というものをお持ちになっているか。もしそれが計算できれば、今の程度のものでよろしうございますから、一つ資料として御提出願いたい。
  68. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 動産、不動産両方でございますか。
  69. 山田節男

    委員長山田節男君) 不動産……。
  70. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 不動産のほうは評価できますかどうか存じませんが、坪数ならば、建物で何坪、土地で何坪ということは出ますが……。
  71. 山田節男

    委員長山田節男君) それはあなたのほうで技術的にできる範囲で、われわれに見やすいように御掲出願いたい。
  72. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) はい。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この前参考にいただきました防衛庁からの資料のうちで、一ページと三ページの間に挾まれている、件数で十八件、それから人員にして二十七名、こういった処置類別の報告がありました。これの備考欄が空欄になっているので、それについての内容を、実は今すぐといっても無理でしょうから、資料で要求をしたいと思います。その処分をされた人たちの所属部隊、あるいは職階別ですね、われわれがさきにいただいた二十八年度決算検査報告に関する関係者処分調べとこの関係がどういう関係になっているか。さっきのお話によりますと、戒告を受けた者が何か数名あるようで、あとは検討中ということでありますが、防衛庁提出資料によりますと、あるいは免職、停職、減給、戒告、依願免官といったものが非常に明確に出ている。この内容を、資料で結構ですから、自後の審査の参考にしたいと思いますから提出を願いたい。  それからもう一つこれもきわめて細かな問題でありますが、検査報告の二十四、例のジープの問題に関して、新三菱製作所と、それから倉敷会社の手数料、この二つが、第二回ならびに第三回の契約分が第一回にくらべてかなり変化をしている、かなり高くなっている。その理由が一体どういうところにあるか、個別にその理由を聞かしていただきたい。
  74. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ただいま御要求になりました資料は、後ほど調査いたしまして提出いたします。
  75. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) 二回目と三回目が一回目よりそれぞれ高くなっておりますのは、理由は二つございまして、一つは、一回目が六十馬力でありますのが二回目の分から七十馬力に馬力を上げましたことと、もう一つは、一回目は完全なノック・ダウンと申しますか、完成部品を全部こちらに持ってきた。ところが二回目、三回目におきましては、その部品を順次国産化していく。これが二回目から更に三回目と国産化の部分が殖えて参る。そういたしますると、やはり国産化の当初におきましては若干割高になっている。これも国産化を完成するために若干の割高を認めていくといったようなことで、二回と三回と、今のエンジンの関係と合せまして単価が上っているわけでございます。
  76. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今のお答えは製作費に関してでしょう。手数料というのは、第一回のときには会社の見積りと予定価格というのが一致しておりますが、第二回、第三回以後は、これはかなりまた高くなっている。と同時に、これが第二回、第三回ともまた変化をしているのはどういうわけです。手数料というものはそんなに変化を要するものですか。
  77. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) 会社の手数料が当初二万円、それから二回目が三万六千円、三回目が二万七千円、当初契約いたしました際に、会社の申し出等その他一般の輸入商社の手数料、これは通常契約金額の三%くらいが、まあ常識と申しますか、商慣習というふうに考えられるわけでありますが、それと、この倉数の場合は、単に輸入代金というだけでなく、三菱を下請として全体の契約を引き受けるといったような格好になっておりまして、この手数料と、このうちにそういった契約相手方としての利益といったようなものを、こみに考えまして査定をいたしたわけであります。第一回目は、これを手数料だけ二%程度に査定いたしたわけであります。二回、三回につきましては、二回分につきましては、手数料と、ただいま申し上げました契約責任者としての利益といったような会社側の主張、あるいは一般の商慣習等を考えまして、手数料を二%、利益を二%、査定の内容は大体こういうことで、合計いたしまして四%ということで二回目は契約いたしました。三回目につきましては、これも全体の省議で、できるだけ単価を押えるというネゴシエイションの結果、合計いたしまして三%という利益率を含めました手数料ということに査定をいたしたわけであります。これにつきましては、先ほど申し上げましたような手数料、あるいは利益率、そういったような一般の慣習等を十分に入れまして、相当強くこの点について審査を二回、三回についてはいたしたわけであります。
  78. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の点について、会計検査院検査状況を中心にした御意見を伺いたいと思います。
  79. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 一回、二回、三回と変っている事情および会社の手数料関係の変っておる点は、ただいま防衛庁のほうからお話があったように私のほうも承知いたしております。しかも手数料関係におきまして、ふえてこの点については不当だということも考えられないということで、この検査報告考えておるわけなんであります。
  80. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 その次に、サービス費というのはどういう……
  81. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) サービス費とございますのは、契約後現品を入手いたしましてからある一定期間の特別の大きな事故でない故障、あるいは部品の補充等について、会社がある一定期問責任を負いますそれに対する対価、こういうことになっております。
  82. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の説明のサービス費というのは、少くとも民間なら無料でやる建前のものではないのですか。それを、相手が国であるから有料でサービスをする。有料ならサービスにはならない、当りまえのことじゃないのですか、責任を持つことは……。
  83. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) これにつきましては、結局全体の単価なり製作費なりの査定の中に入れるかどうかということの問題でありまして、その単価の査定関連いたしまして、一定期間に対する補償料、あるいはその修理費等、これを別に積算いたしたのであります。
  84. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 これは会計検査院に……
  85. 上村照昌

    説明員上村照昌君) サービス料を入れること自体については、ただいまお話があったように価格全体との関連の問題でございまして、必ずしも異議はございません。ただ検査報告にはこの点触れて考えてございませんけれども、サービスという以上は、サービスが現実にあるということが必要じゃなかろうかと思うのですが、実際見てみますと、故障が起った場合に自隊で修理するとかそういうふうな関係等いろいろの面がありまして、その実際から見ますと、このサービス料がほかほどは適切であったかということにつきましては、多少の疑問があるわけでございます。
  86. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、これ以後の、購入に関してはサービス料という項目は設けないわけですか。二十八年度の購入限り改めてありますか。
  87. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) ジープの問題につきましては、実はこれ以後一輌も契約をいたしておりませんので、検査院から御指摘、御意見もございましたように、他の車種につきましては、金額の低減その他ここに検討いたしておりまして処置をいたしておりますが、いずれにいたしましても、価格の査定全体の問題でありまして、この実績から見ますると必ずしも修理の実績が的確ではありませんが、五千円までにはあるいは達していなかったのじゃないかということで、この点は十分その後の他の契約については留意いたしております。
  88. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 さっき資料要求いたしました陸上自衛隊の処置類別について……この資料はいつ頃までに提出願えますか。
  89. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 即刻帰りまして手配いたしたいと思います。近日中には提出できると思います。
  90. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 できるだけこれは詳しく御提出を願いたい。なるべく早くお願いいたします。
  91. 山田節男

    委員長山田節男君) それではただいま飯島委員の請求されました資料をできるだけ早く御提出願います。
  92. 市川房枝

    市川房枝君 今の調査と関連しているんですが、私、先ほどやはり資料をお願いしましたが、今の飯島さんのと同じかどうかちょっとはっきりしないんですが、私がお願いしましたのはおわかりになっていますね。
  93. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私は市川先生の御要求と同じだと了解しております。
  94. 市川房枝

    市川房枝君 同じですか。それなら結構です。
  95. 島村軍次

    ○島村軍次君 簡単に二つほどお伺いをしたいと思います。保安庁の今後の編成に当ってやはり人事の問題が一番重要だと思う。幹部の問題は別といたしまして、いわゆる隊員の募集について特に自衛隊になって特別な措置を講じられておりますかどうか。あるいはまた具体的にいえば、従前ありました連隊区司令部というような意味のものを作るとかいうような話がありましたが、そういう問題についてどういうふうな措置が講じられておりますか。そこで自衛隊になった場合の充実に対する一般方針というものを承わりたい。
  96. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私どもも隊員の募集につきましては努力をしておるのでございまして、昨年の春募集いたしましたときには約二万人採用いたしたのでございますが、七万一千名余の応募者があったのでございます。これは自衛隊に切りかわります前から始めました募集でございます。自衛隊になりましてから昨年の秋に募集いたしました、この際も陸海空合せまして約二万名の募集でございましたが、この際の応募者は約八万五十名であったのでございます。昔の連隊区司令部のようなものをというお話でございますが、昨年の七月二日から自衛隊法を施行いたしましたにつきまして、地方連絡部というものを設けるということにいたされまして、現在十七カ所全国におきまして地方連絡部を設けてございます。これは昨年秋の募集から活動を始めたのでございますが、なかなか結果もよろしいように思われますので、三十年度予算におきましてはさらにそれを六カ所増加することを要求しております。ただいま三十年度の欠員補充のために陸海空を合せまして約八千名の募集を五月の二日から始めておるのでございまするが、二十三日現在までの報告によりますと三万一千名あまりの応募者がございます。これは昨年春の募集に比べますると、隊員の応募状況は非常によろしいのでございます。いつも募集期間の後半に至りまして非常に増加するのでございますが、今年は募集が始まりました初めから相当数の応募者が参っております。この調子で参りますると、昨年春の応募者よりも、もっと多数の隊員を確保できるのではなかろうかと考えております。
  97. 島村軍次

    ○島村軍次君 地方連絡部の組織は予算関係のあることですが、簡略に、どういう組織と権限といいますか、どのくらいの人員を一カ所に擁しておられるか。
  98. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 地方連絡部は、自衛隊法の第二十九条によりまして、自衛官の募集その他長官の定める事務を行うということが規定せられております。現在やっておりますることは自衛官の募集と、それから予備自衛官の募集に関する仕事、及び自衛隊に対する一般の広報宣伝というふうなものをやらせておるのでございます。この編成は、地方連絡部長のもとに副部長を一名と、業務班と募集班というふうな班を置きまして運営をいたしております。隊の大きさは各地方連絡部によって違うものでございまして、大体三通りに分けておりますが、大きなところで四、五十人、小さなところで二十数名、その中間がまあ三十名余りの者がおるというふうになっております。
  99. 島村軍次

    ○島村軍次君 これは主としていわゆるシビリアンに属する事務系統の人ですか。
  100. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 地方連絡部長はいずれも制服の自衛官を充てております。副部長以下のところにおきましては制服の者と制服以外の者とを混淆して運営をいたしております。大体におきまして制服以外の者のほうが多人数を占めておるように記憶いたしております。
  101. 山田節男

    委員長山田節男君) 先ほど増原次長から、制服、それから制服以外の者、ことに会計経理と言いますか、会計監査と言いますか、そういったようなものに対する制服の問題を御提出になっておったのですが、ここに提出されておる資料の中に会計監査隊組織というものがあって、制度は前の制度じゃないかと思いますが、第一幕僚監部の下に会計監査隊、そうして幹部と士補併せて六十五名で、これを見ますと、一正、二正、三正、一士、士補というようになっておりますが、これはもう全部いわゆる制服で編成されておるのじゃないかと思うのですが、このことは、先ほどの御質問申し上げたことに関連して申し上げれば、かっての日本軍隊における主計及び経理の将校あるいは下士官、こういったようなシステム制度を、やはり組織が厖大になり、金額が多額になるに従って、制服のいわゆる経理将校と言いますか、生計将校、こういう君を今後新たにずっと発展させられる御意向なのかどうか。またここに挙げられておる各本部もそうでありますが、地方に北部第一管区、第二管区、第三管区、第四管区、こういうものは全部制服の要員が配置されるように考えるのですが、このことは将来主計関係の制服制度を発展されるおつもりなのか。この点一つお聞きしたい。
  102. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 先ほど申し上げたのは少し言葉が足らなかったかと思いますが、調達実施本部は大体制服にあらざる者が多くなって、三対一くらいになっておる。しかし部隊におきまするいわゆる会計経理等は、たとえば経理部という部がございます。第四部という補給関係を扱う部がございます。これはもうほとんど全部制服でございます、そうしてそれぞれ各地にあります部隊の会計経理をやっております者はやはりすべて制服でございます。従いまして、これは昔りいわゆる主計と申しまするか、そういう系統の者でございます。業種を一応分けまして、皆のような分け方はしておりませんが、業種区分というものが一応ありまして、普通科とか特科であるとか、特車であるとか、会計経理であるとかいうようなものがあるわけであります。これは当初からそういうものがございまして、学校も業務学校というのを設けまして、会計、経理、補給というようなことを勉強さしておる。そういうものは初めからございますし、将来もそういうものは養成をしていくというふうに考えておるわけでございます、調達としての一本の機構は、調達実施本部で、これはいわゆる長官の附属機関として陸海空共通のものとして設けて、その組織は、原価計算なり仕様書のチェックなり検査なりというふうなものをやるのには、やはり制服にあらざるもののほうが効率的な運用に都合がいいだろうという判定のもとに、一対三というようなことにして、部隊のほうはやはり会計経理の者はすべて制服でございまして、そういう者は業務学校等で養成をし現に勉強させているということでございます。
  103. 山田節男

    委員長山田節男君) これも資料としてお願いしたいのですが、こういう非常に厖大な組織で複雑多岐にわたっているものを、いろいろ資料をいただいておりますが、われわれ決算委員会において、防衛庁は一体どういったような組織で動いているのかという組織が一目でわかるようなパンフレットか要覧でもあれば、一つ委員に御配付願いたいと思いますが、何か防衛庁全体のことが簡単に頭に入れられるようなものがございますか。
  104. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 差し上げておったかと思いましたが、委員長の御質問で差し上げてないということがわかりましたが、防衛庁の現況というものを作りまして、これは三月三十一日現在ですが、これを早速差し上げます、一応現況をおわかり願えるように比較的簡単に書いているのでございます。さっそくお届けいたします。
  105. 久保龜夫

    政府委員久保龜夫君) 先ほどの米国からの供与装備品の数字でございますが、揃いましたから、あらためて申し上げます。陸上自衛隊関係が七百九十億、海上自衛隊関係が三百六十五億、航空自衛隊関係が二十四億、合計千百七十九億、これは先ほど申し上げましたように、一応いろいろな資料で推定いたしました新品価格に、航空機は比価的新しいものが多いので八割、その他については、艦船あるいは陸上等については六割、弾薬は新品の価格そのままということで算定いたしまして、千百七十九億と一応推算いたしております。
  106. 山田節男

    委員長山田節男君) もう一つ増原次長にお伺いしたいのですが、MSAによる供与あるいは貸与の武器に関しては、日本政府側としては、これは要る、これは要らんというような選択権は全然ないのでございますか。
  107. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) われわれのほうで欲しいというものを要望いたしまして、そうして向うから貸与をしくれる。もちろん欲しいと言いましたものを全部くれるわけではございません。また欲しいと言いましたものがないから、これに代るこういうものがあるからそれではどうかということで、それでよろしいということでもらうこともあります。向うからこれだけやるから受け取れという形ではございません。われわれのほうで欲しいというものを要望して、そうしてもらう。要望通りもらえないものがあり、その代用品的なものもございますが、建前はそういうことにいたしております。
  108. 山田節男

    委員長山田節男君) そうしますと、たとえば航空機でジェット機が貸与か供与か知りませんが、とにかく日本の自衛隊に与えられるという場合に、たとえばT33というものがある。T33はアメリカでは部分品もないくらいです。時代遅れとは申しませんが、向うでは正式に生産をしていない。それを日本に持って来て、日本が将来防衛産業の、ことにジェット機の生産をやるということでありますが、そういったようなT33というようなものは、むしろアメリカにおいてはアウト・オブ・デートでおる。日本としても、こういったようなものを装備の一環としておくのが得策かどうか。これは経済的に考えてみて、財政的に考えましても、そういったものがいいか悪いか、このようなところで私、今申し上げたように、選択権がおるのかないのか。アメリカでT33を貸してやろうと言えば、それを貸与なり供与を受ける。そういったアウト・オブ・デートのようなものに対する部分品であるとか、その他のことによって、金を日本が――たとえ政府の金ではなくても、民間の産業が使うにしても、こういう日進月歩の航空機ですから無駄ではないか、こう思いますので、先ほど質問申し上げたのです。たとえばT33のごときに対しても、これは日本で要らないというのでも、向うでは練習機か何かに使えというようなことで、無理押しで押しつけるのではないか、かように考えるわけです。そういう事実はないわけですか。
  109. 増原惠吉

    説明員(増原惠吉君) 委員長の御質問趣旨のことを他の場合に御質問を受けましたので御説明を申し上げたいと思いますが、ただいま委員長指摘されましたT33はあるいはF86のことではないかと思います。F86は一応米国においては生産をとどめまして、そうしてF100級の100なり101、104というふうなものの試作をいたしまして、大体試作が完了をして、そうして大量生産に移る段階と承知をしております。しかしながら、米国の資力をもってしましても、あるいは技術その他の能力をもってしましても、まだF100級を早急に整えることは困難であります。一応F100級が米国の第一線機になるのは数年後、数年というのは、三、四年後というふうに聞いております。それからこのたびF86とT33の生産を始めたいということで、予算を三十年度予算ならびに国庫債務負担行為をお願いをしておるわけです。このF86は現在における米国の第一線機でございます、そうして米国としてはNATO諸国に航空機の援助をする、まあ援助をNATO諸国でしてもらいたいということに応じて、国内的に一応中止をしましたF86の生産を再開いたしましてそうしてこれを作りましてNATO諸国に供給をする、この機会に、日本も希望するならば、これは部品として供与をしてくれるわけであります。部品をあげてもよろしいということで、われわれの方も、これをもらって組み立てて使おうということでありまして、これは日進月歩の航空機のことでありますし、この数年後には米国においては100クラスが一応大部分を占める。しかしもとより86を廃棄するわけでありませんで、現在あるものはそのまま使っていく、定限のある限り使うわけです。日本の立場におきましては現在そうした一つの好機でありまして、これで完全部品を供与を受けて組み立てを始めるということで、従来全然手がけていないF86をこなしまするとか、治具工具の整備なり技術の習得なり、またその技術面の援助もしてくれるということでありますので、この機会にこれを整備することはきわめて適当である。決していわゆるアウト・オブ・デートでありませんで、現在の第一線機でございまして、NATO諸国に供給するのと同じように日本にも供与をしてもいいということをまあ受けているわけでございます。T33の方はジェットの練習機でありまするが、これはアメリカにおきましてもなお現用機でありまして、引き続き生産をいたしておるわけでございます。これを初めは完全部品で受けまして、だんだんとできる分から作っていくというので、約九十七機、F86の方は七十機を三十年、三十一年、三十二年にわたりまして、組み立て、生産をできまするように三十年度予算と国庫債務負担行為にお願いをしておるという事情でございます。
  110. 山田節男

    委員長山田節男君) 各委員にお諮りいたしますが、実は本日いろいろ御質疑願ったわけでありますが、一、二の委員の方がやむを得ず旅行しておられて、そのために質問を保留しておくというので、今出張されている方もあるのであります。また各委員におかれても御質疑の点があるのじゃないかと思いますので、実は大体前回と今回で一応この質疑を終了するというふうに予定しておりましたが、さような事情もありますので、本日はこのはこの程度にとどめて、次回に譲りまして、その時に大体まとめて質疑をしたらいかがでございましょうか。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり」〕
  111. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは防衛庁の方は、はなはだお気の毒ですが、もう一回ぐらい一つ延ばしたいと思いまするから、政府委員の方も御面倒ですが、次回にまた御出席をお願いいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時三十七分散会