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1955-05-23 第22回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十三日(月曜日)    午後一時五十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     山田 節男君    理事            青柳 秀夫君            谷口弥三郎君            野本 品吉君            中川 幸平君    委員            石井  桂君            小沢久太郎君            木内 四郎君            白井  勇君            白波瀬米吉君            飯島連次郎君            島村 軍次君            三浦 辰雄君            大倉 精一君            市川 房枝君   国務大臣    国 務 大 臣 杉原 荒太君   政府委員    防衛庁長官官房    長       門叶 宗雄君    防衛庁経理局長 石原 周夫君    防衛庁装備局長 久保 亀夫君    建設省営繕局長 木村 恵一君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    防衛庁次長   増原 恵吉君    会計検査院事務    総局検査第二局    長       上村 照昌君   —————————————   本日の会議に付した案件連合審査会開会の件 ○昭和二十八年度一般会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度特別会計歳入歳出決  算(内閣提出) ○昭和二十八年度政府関係機関決算報  告書内閣提出)   —————————————
  2. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまから第七回決算委員会開会いたします。  議題に入る前にお諮りしたいことがあります。今回会計検査院法の一部を改正する法律案が五月十八日に内閣委員会に付託されました。本法律案は、当決算委員会におきましても、非常に関心を持つ法律案でございますので、いかようにこれを取り計らったらよろしいかお諮りいたします。  これは例によりますと、もしこの法案に対しまして、内閣委員会連合審査会を催したいという御希望があれば、内閣委員長に申し込みをしなくてはならぬわけです。法案内容につきましては、前回にもちょっと御説明申し上げたと思いますが、定員の増加、それから検査事項の、すなわち会計検査院法の一部改正によりまして、権限の拡張と、こういう二つの問題が含まれておるわけでございます。当委員会として内閣委員長に対して会計検査院法一部改正法律案に対しまして、連合審査会を催すことを申し込むことについて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは御異議ないようでございますから、委員長より内閣委員長に対しまして、会計検査院法の一部改正法律案に対しまする連合審査会を開くことを申し込むことにいたします。   —————————————
  4. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に昭和二十八年度一般会計歳入歳出決算、同じく特別会計歳入歳出決算、同じく政府関係機関決算報告書を議題いたします。  本日は保安庁の部を審議いたします。まず防衛庁長官より御説明をお願いいたします。
  5. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 二十八年度保安庁経費決算につきまして御説明申し上げます。  二十八年度保安庁経費、補正後の保安庁経費が六百十一億一千万円、前年度からの繰り越し額が二百八十九億五千万円、合計歳出予算現額が九百億六千万円でございましたが、これに対しまして、歳出支出済み額は六百二十八億六千万円ございまして、翌二十九年度への繰り越し額が二百五十七億一千万円、不用となりました額が十四億八千万円でございます。  二十九年度への繰り越し額二百五十七億一千万円のおもなる内訳を申し上げますというと、機材費におきまして百十九億二千万円、施設整備費が九十億八千万円、船舶建造費が三十五億二千万円ということに相なっております。この繰り越し理由の概要を申し上げますると、機材費につきましては、装備品使用規格決定、航空機の機種決定等に不測の日子を要しまして遅延を生じたためのものでございます。施設整備費につきましては、最もおもなる理由用地の取得に意外の日子を用したというととでございます。船舶建造費につきましては、船舶基本設計遅延等によるものでございます。不用額十四億八千万円を生じましたのは、主として欠員によりまして人件費及び糧食費不用を生じたためでございます。なお、詳細は御要求がありますれば補足することにいたします。
  6. 山田節男

    委員長山田節男君) ただいまの杉原長官の御説明に対しまして御質問をお願いたします。なお、本日は防衛庁からは、長官のほかに増原次長石原経理局長久保装備局長、並びに木村営繕局長がお見えになっております。との保安庁——防衛庁決算に関しましては、二十八年度防衛庁、当時の保安庁決算に関しましては、本日とそれから明後日の二回にわたって審議をいたしまして、大体本日は総括的な御質問をしていただきまして、なお第二日目には各論的な問題を御審議願うことになっております。時間の都合もございますので、一応大臣の御説明に対しまして総括的な御質疑をお願いいたしたいと思います。もし大臣が本日時間が非常に制約されていない場合は、しばらく御在席願って、ただいまの大臣の御説明のほかに、会計検査院側、並びにあなたの方の各部局の責任者である方から、今の大臣の御説明に対する補足的な御説明をしていただいて、そうして御質疑をしたらどうかと思います。しばらく御在席願えますか。
  7. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 私、まだせいぜいおります。今予算委員会都合がございますけれども、まだせいぜいは……。
  8. 山田節男

    委員長山田節男君) それでは大臣に御質問願う前に、会計検査院上村局長から、この決算報告書にありまする保安庁に関する総括的な事項と、それから、工事第十八号以下の問題、これをひとつ分けて御説明願いたいと思います。
  9. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二十八年度保安庁、現在の防衛庁決算に対しまする検査報告事項でございますが、先ほどお話がございましたように、二十八年度支出済額六百二十八億余万円に対しまして、検査いたしました結果、不当事項として提起しました事項件数は、全部で三十件ございまして、批難金額が約八億八千万円ぐらいに当っておるわけでございます。  その事項別内訳は、工事に関しまするものが六件、価格決定に関しまするものが五件、不急物品を購入した案件が九件、物資器材規格決定が当を得なかったものが八件、物資器材検収当を得なかったものが二件、かようになっているわけでございます。  工事につきましては、設計が過大であるため不経済になっている案件、あるいは工事監督及び検査が適正に行われないままに工事代金が支払われたり、あるいは工事着工の見通しが必ずしも明確になっておらないのに、年度末に契約を締結せられて、前金払いを支払われ、予算消化と認められる案件がございます。  契約価格決定が当を得ないもの五件につきましては、概括的に申し上げますと、防衛庁契約は相当大口なものがございまして、しかも、特殊の事情によりまして、随意契約によらされている事態が相当多く見受けられるわけでございます。御承知のように、契約いたします場合には、予定価格を作りまして、予定価格範囲内において契約するわけでございますが、競争契約の場合に、おきましても、予定価格の適否が契約価格に影響することはもちろんでございますが、随意契約におきましては、ことさらその関係が深い事情にあるわけでございます。さような関係にありまするが、実際の予定価格の立て方その他を見てみますと、業者の見積りをそしゃくしないままに採用されていると認められるもの、あるいは価格決定に当りまして、十分の検査が行われてないというふうなため、相当予定価格が高価になっている、ひいて契約価格も高価になっていると思われるものもあるわけでございまして、この点につきまして、ただいま申し上げましたような関係上、予定額の作成上、一段の留意を要すると考えるわけでございます。  不急物品を購入しました九件につきましては、御承知のように防衛庁では米軍に範をとりました編成装備等がありまして、これに基いて物品を購入せられる事態が非常に多いわけでございます。ところが、実際購入せられている案件を見ますると、現在の部隊実情等の把握が十分でないために、不急物品を購入されている事態が相当あるわけでございまして、これらにつきましては、現実部隊状況を把握されて不急物品を購入することなく、予算効率的使用をはかられることが適当であろうと考えているわけでございます。  それから規格決定当を得ないもの八件でございます。これは用途に必ずしも適合しないと思われるような用途物品を購入されているものが、あるいは物品を購入せられる場合に、これに相関連する物品との関係におきまして十分の調査等がなされないために、不必要の規格決定をされているというふうな事態が生じておるわけでございまして、予算消化をはかるためいろいろお急ぎになる事情もあると思いますが、不経済事態を招来することもありますので、規格検討については相互関連等について十分検討の要があると考えるわけでございます。  検収につきましては二件ございまして、検収方法が必ずしも適切でなかったために、買い入れましたものがほとんど使いものにならない、あるいは規格に適合しないというふうな事態が起っておりますので、今後、検収につきましても、一段の工夫が望ましいと考えるわけでございます。それから工事関係を……。
  10. 山田節男

    委員長山田節男君) 簡単に御説明願います。
  11. 上村照昌

    説明員上村照昌君) ただいま大体二十八年度検査報告に掲載しました概括的な事項説明しましたが、次は工事に関する件を、一件別に簡単に御説明いたします。  十八号は、留萌の射撃場新設工事でございますが、これは、二十九年一月までに、工事契約金額の一千余万円の全額を支払われておるわけでございますが、二十九年の八月に至りましても、盛土、切土が全部できておらない状況でございまして、監督及び検収が適切でなかったと、かように考えておるわけでございます。  次は十九号でございます。小郡駐屯部隊に深井戸増設工事がなされたわけでございますが、当部隊にはすでに井戸が新設してございまして、大体部隊所要の水量はとれておるわけでございますが、既設の井戸ストレーナーが閉塞するおそれがあるということで、予備的に工事を施行されておるわけでございますが、ストレーナーの閉塞につきましては、予防的な措置もとってありますし、他部隊その他を見ましても、特に予備的の井戸を新設する必要がなかったと、かように考えているわけでございます。  次は二十号の汽缶の容量が過大になっているものというものでございまして、これは千歳及び名寄に、九千百余万円で汽缶設備工事をなされているわけでございますが、部隊の必要の所要量に対しまして、汽缶設備されているものが過大でございまして、これを部隊所要量に適合するような汽缶を設置したならば、約一千五百万円が節減できるというふうに考えておるわけでございます。  二十一号は、排水管の勾配の計算を誤ったため、必要のない設計変更をされたものでございまして、これは旭川地区で、排水設備工事をなされている途中に、当初の設計では十分の排水はできないというととで設計変更されておるわけでありますが、現地断面図その他につきまして見ますると、当初の設計で十分間に合う事態でございまして、設計変更をする必要はなかったと考えるわけでございまして、そのため約百万円が不経済になっておると思うのであります。  次は二十二号、弾薬庫新設工事でございますが、これは築堤の法こう配を一割七分ということで設計され、施工されておるわけでございますが、現地の土質その他の状況から考えまして、一割程度で十分であるものでございまして、一割程度で施工されましたならば約二百五十万円が節減せられたと考えておるわけでございます。  次は二十三号でございまして、これは二十九年の三月に三宿地区施設を請負に六億六千万円で出されておりまして、とれに対する前金払い年度内に二億六千七百余万円を支払っておられる事態でありまして、先ほど申し上げましたように、用地につきましていろいろ補償関係その他が解決しない状況でありまして、当時としては必ずしも着工の見込みが直ちにあると考えられない事態でありますのに、年度末に急ぎ契約せられて、前金払いをされたことははなはだ遺憾である、かように考えておるわけでございます。
  12. 山田節男

    委員長山田節男君) 次に先ほど杉原長官から総括的な御説明がございましたが、なお事務局側から大臣の御説明に対する補足があれば承わりたいと存じます。
  13. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 先ほど長官から全体の予算の姿については御説明ございましたので、私からは補足をいたしまして、ただいま会計検査院側からお話のございました批難事項につきましてのこちら側の説明の要旨を申し上げます。  ただいま上村第二局長からお話がございましたように、私のほうの該当件数は三十件でございまするが、このうち四件は防衛庁以外の建設省等におきまして実施をいたしていただいておるのでありますから、そのほうの弁明はそちらのほうからお願いをいたすことにいたしまして、私どもが御説明申し上げまするのは、その工事の中の四件を除きました二十六件についてであります。番号について申しますると、二十番から二十三番までが私どものほうの範囲外になるわけでございます。会計検査院の御指摘を受けました二十六件について、これを四つほどに区分をして会計検査院指摘をしておられるので、その分類に従いまして御説明を申し上げたいと思います。  第一は予定価格につきまして、あるいは契約価格算定におきまして当を得ないというようなものが五件、それは番号では二十四番から二十八番に相なるわけであります。これはしいてわけてみますと二つ理由にわかれるのでありまして、一つ輸入品につきまして外国資料、なかんずく価格関係資料がとれなかったために事故を生じたるものであります。もう一つはいわば人手不足、あるいは仕事が非常に集中をいたしまして、御承知のように二十八年度暫定予算で七月まで参ったものでございまするから、それから以後におきまして予算示達に相なりまするまで相当の期間がかかります。そういうような関係がございまして、予算現実消化がスタートいたしますのが遅れた。従いまして年度の後半に非常に多くのものを集中せざるを得なかった、こういうような事態が生じましたために、予定価格算定をいたすに当りまして、事前にあるいは事後にこれをまたチェックいたすという点につきまして努力が及ばなかったものが二件あります。前者の例、すなわち外国の製品を輸入いたします関係のために資料が当時非常に不足の状態、これに当りますのは二十四番のジープの購入の件及び二十七番のタイヤ取はずし器の件でございます。この両者は会計検査院指摘のように輸入関係資料が不十分でございまして、その条件のもとにおきまして価格決定をやったものでありまするから、いろいろ検討不十分なところが生じまして、こういうような結果に相なったのははなはだ遺憾に存ずるわけでありますただ事後措置につきましては、この私ども弁明にも書いておきましたように、ジープのほうにつきましては代金の回収の措置を講じておりますし、タイヤ取はずし器のほうにつきましても措置済であります。  次の、予算成立遅延というようなこともございまして、時間的に非常に固まって、少い人手で処理せざるを得なかったというために、処理に不十分な点があったということによりまするのは二十五番、二十六番、二十八番というようなものであります。これはいずれも今申し上げたような事由があったわけでございますが、結果といたしまして、まさに会計検査院の御指摘のようなことに相なったわけであります。はなはだ遺憾に存じまするが、ただちょっと説明の中で申し上げておきましたことは、二十五番につきましてパワーテイクオフという、これはエンジンを切りかえまして別に使いまする場合の装置でありますが、そのパワーティクォフのついているものも、ついていないものも、同一価格だということは事実であります。ただ私どもの見ましたるところでは、むしろパワーティクオフのついておりません直後をパワーティクオフという附属設備のついております場合にも同じ価格をもってやったわけでありまするので、その限りにおきましては、多少値段が、予定価格が低かったということには相なるわけであります。いずれにしても、合理的な措置ではございませんが、パワーティクオフのついております値段をそれのない場合に適用してあるのじゃなくて、その逆の場合であったということをちょっと申し上げておくわけであります。  それから一カ所誤植がございますのでちょっと申し上げておきますが、私どものほうの説明書の二十一ページ(二六)というところに「指名競争の場合において」と書いてございますが、これは「指名競争の場合における」ということの誤植でございますので、ちょっと申し上げておきます。ここに誓いてございまするように、結果において、まさに会計検査院指摘のようなことになったのでありますが、私どもといたしましては、最初には随意契約の相手方と指名競争のときにこちらの見ました予定価格以内で折衝いたしたのであります。当時の生産状況は若干その前と変っておりました関係上、それで商議が不成立に終りまして、やむを得ず二回目に合理的に計算せられる範囲内におきまする予定価格変更をいたしましたので、検査院指摘のような結果に相なったということを二十六にちょっと書いておいた次第でございます。  それから第二のグループに相なりまするのは、との検査院指摘をせられております事項の順番で十九番の緊要性の認められない井戸施設したものの、あとは物品調達のほうに参りまして二十九番から三十七番に至ります十件でございます。  この十件でございますが、これも一つ分類を試みて見ますると、一つ装備品におきまする使用実績が少く、そのためにわれわれの現実使用実績からいたしまして、いろいろな判断資料を求めることが困難でありましたために、装備定数使用実績というようなものにつきまして米軍のものを使用せざるを得なくなったということに伴いまする事故であります。これは二十九番、三十番、三十一番、三十三番、三十四番、三十五番というようなものが大体これに該当いたすのでございまして、カッコのところにいろいろ説明をいたしておる点はございまするが、まさに今申し上げましたような事由によりまして、実際の場合におきましてそこのところに不要不急という関係が生じて参ったわけであります。  もう一つの第二のグループに相なりまするのは、部隊安ど編成組織年度中に変りまして、そのためにある施設を予定いたしまして、その施設にある装備備品の類を入れようと考えておりましたのが、それの編成組織変更によりまして行場所が違いまして、そのためにそれらの施設を取りつけます時期を失し、あるいは時期が食い違い、そのためにいわゆる不急という結果を生じた、これが三十六番、三十七番、いずれも馬力測定装置あるいは火器の修理をいたします器具。浜松から霞ヶ浦に移ることに相なり、一方も立川から霞ヶ浦に移ることになりました。その場合に二転、三転いたしまして、施設内容たる設備との間の数がうまく合わなかった、こういうことであります。  なおそれ以外に、一般的に調達の際の注意、あるいは人手不足等のために事故を生じましたのが二件、これは十九番の井戸関係、それから三十二番の絡車、これは通信線を巻きます巻き取りの車であります。その二つはむしろ今申し上げた理由以外にあるわけであります。ここにいろいろ説明がついておりますが、大体今申し上げたことで尽きておるかと思います。  第三のグループに属しますものが、仕様規格の不適当であるために事故を生じましたものであります。会計検査院の御指摘番号で申し上げますと、三十八ないし四十五の八件であります。これは装備品に要求せられておりまする性能と、その性能を実現をいたしまするために必要なる素材、あるいは出力、あるいは寸法、あるいは装置そのものというようなものの間に十分な検討がないために、不必要にいい素材を使う、あるいは寸法が大き過ぎるというような結果を生じたわけであります。これにつきましては、私ども事務の方で見まして、いろいろ私どもがどういうふうな着眼からこういうような装置なり、寸法なりをとったかということにつきましてのいろいろ説明をいたしてございますが、御指摘の点、われわれの方としては十分考えまして、今後そういった装置の要求せられます性能素材寸法等につきましての一番合理的な解決を見出ださなければならないと思いますが、ここに列記いたしましたのはそのおのおのにつきまして、一応私どもとしてこういう措置をいたしました事由を書いたわけであります。  第四のグループ監督検収の不十分の点であります。これは三件ございまして、工事の方の十八番、それと備品調達の方の四十六番及び四十七番、この三つであります。これは一面におきましてそれらの検収が不十分であったということと、科学的な、もっと適切な結果を得られるような方法を勉強してなかったという点であります。これらの場合を通じまして会計検査院の御指摘の点につきましては、私どもとしてはいろいろな対策は考えておるのでありますが、その点は後ほどまた長官からお話があると思います。  一応今の会計検査院の御指摘の点に対しまする私ども説明書の要領を申し上げておきます。
  14. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今の会計検査院指摘の点の、「当を得ないもの」があるという点、実は私非常にこれは重大なこととして感じておるわけでございます。確かに「当を得ないもの」があったのは事実でございまして、これらの事例を反省の資料ともいたしまして、その後防衛庁においても努力しておるわけでありますが、私どもといたしましても、自分の職責、責任の上からいたしましても、こういう点に特に今後は私ども庁員と一緒になって、なるたけ最善の努力をしたいと考えておる次第であります。今日まで、その後、会計検査院から実は指摘されるまでもなく、こういうことはないようにせなければならぬことは当然のことでありますので、解決策としてとっておりますことを皆さんに御報告申し上げるのは私の責務だと思いまして申し上げたいと思います。  まず批難事項原因は主として次の諸点にあるように思われるのでございます。第一は編成装備表検討が足りない。そうしてそれが、何と申しますか、機械的に調達の基準として実際に適合していないという点にあるようであります。その点に対しましては防衛庁におきましては、昨年の秋以来この編成装備表の根本的の再検討ということに着手いたしまして、これがため特に特別の委員会を設けまして、そうしてそれをさらに六つの分科会に分って検討を開始いたしました。その技術的検討はずっと今進めておりまして、またこれと並行いたしまして実施可能のものは逐次これを改訂を行なって、実施済みのものといたしましては、たとえば無線機機種統合ほか五件、種類にいたしまして五十種類くらい、すでに実施済みのものもございます。  それから批難事項原因の第二といたしまして、原価計算及び仕様規格決定に当って事前事後検討が不十分である。この点に対しましては担当員の量的、質的の充実の問題に関係するわけでございますが、そのためには第一、昨年の防衛庁設置法ができます際、国会の御承認を経まして調達実施本部というものを設けまして、各幕僚監部を通ずる統一的の調達をはかりまして独立した機構として、その整備、人員の充実をはかってきておるわけであります。今調達実施本部では現在約五百人近くございまして、その前には陸幕に調達実施部というものがございまして、実員は約これの半分でございました。こういう点で人員を充実していただきまして、これによって能率の向上、適正な事務の運営という点に努力いたしておる次第でございます。  それからこの関係担当人員の教育につきましては、二十八年度から業務学校に経理及び補給について特別のコースを設けまして、二十八年度におきましては、延べ千人の関係職員を、三週間ないし十二週間の再教育を実施いたしまして、その後も毎年七百人程度の再教育を実施している次第でございます。  それからこの予算の適正な執行の上からいたしまして、殊に調達関係につきましては、この関係官庁、たとえば通産省等との緊密な連絡ということは非常に大事なわけでございます。そういう点を特に緊密にいたします。またできるだけ海外の具体的情報等につきましても、防衛庁でもいろいろな関係で海外に出張する職員もございますが、そういうあらゆる機会をとらえまして、特に最新のデータを入手するよう努力いたしている次第でございます。  それから批難される事項原因の中で、物品検収工事監督が不十分且つ価格適正を欠くという点につきましてでございますが、検収関係の人員の充実をはかりますとともに、この検査基準の改正価格適正検査を必要とする事項につきましては、調達実施本部における検定、検査設備の充実、その他大学その他の専門的技術機関活用等につきましても、極力努力いたしておる次第でございます。  なお、そういった機構とか運営のほか、またこれは非常に担当人員の、努力はいたしましても、まだそこにやはり努力が足りぬというようなことがあるわけでございますが、しかしそれでもそこにおのずから責任があるわけでございます。指摘事項のうちにおきまして、私らの方でも、それを率直に事実として、私の方の認定におきましても認めざるを得ないものにつきましては、それぞれ相当の処分をとっている次第でございます。しかしこういう点は何と申しましても、全般の時期と申しますか、そういう点につきましては、私らは非常に、私自身も責任がございますので、そういう点今後とも最善の努力を尽していきたいと考えております。
  15. 野本品吉

    ○野本品吉君 ちょっとお伺いいたします。二十九年度繰り越しの見込額は大体おわかりでございますか。
  16. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) まだ最終的な数字はきまっておりません。大体今のところ二百三十五億ぐらいの見込みでございます。
  17. 野本品吉

    ○野本品吉君 繰り越しが年々相当多いが、これは事情がありますことは、ある程度了解はできるのでありますが、何と申しますか、繰越明許が比較的安易に行われているという面がある。そのために、予算の執行に対する注意という点に欠ける傾向があるのじゃないかというような気がいたしますが、どうでしょう。
  18. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 実は御指摘のような点十分慎重に考えてやっていかなければなりませんので、実は本年度予算編成に当りましては、前年度消化実績等を十分に考慮いたしまして、その点を特に考えまして実は予算編成に当っている次第でございます。
  19. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう一つ工事に着手前に大部分前渡しをするとかというようなことは何件かあげられておりますが、これは請負契約をする会社の能力との関係が何かありますでしょうか。つまり会社に力がないために、前に払わなくちゃならんという、そういう点はどうでしょう。
  20. 木村恵一

    政府委員木村恵一君) お答えいたします。工事を施行いたしますにつきまして、前払金を出す件であると思います。御承知のように、金融その他の関係上、前払いをして工事を促進するほうが有利であることによりまして、国の機関は大部分前払いをすることになっております。
  21. 野本品吉

    ○野本品吉君 前払いをしたところと、しないところがあるわけですね。どういう場合に前払いをしていくか、どういう場合にそうしないかということの御説明を伺いたいと思います。
  22. 木村恵一

    政府委員木村恵一君) 国の機関は、建設省の工事は全部どの工事でも前払いを出しているのです。やったりやらなかっかりすることはございません。
  23. 野本品吉

    ○野本品吉君 いろいろな工事を建設省、それから北海道開発庁でやっているのですが、建設省、北海道開発庁が防衛庁に頼まれてやるのだというようなところに監督とか設計とかの欠陥が生まれやすいというような事情はないですか。その点御所見を伺いたい。
  24. 増原恵吉

    説明員増原恵吉君) 防衛庁のほうで行いまする建設営繕の工事を、全部防衛庁にそういう組織、技術者をもってやるかどうかは、発足の際に大いに論議をしたのであります。しかしこれはやはり今ありまする建設省で、大部分のものをやってもらったほうがよろしい。防衛庁保安庁は、その事態に必要やむを得ないという、なるべく少数のむのに、そういう技師を限ろうということに発足の途上になりまして、自来引続き建設省のお世話になっておりますが、建設省の方でも、とれば自分のこととして御努力を願っておりまして、建設省に頼みまするがゆえに、どうとうというように私どもの方ではみておらない次第でございます。
  25. 野本品吉

    ○野本品吉君 防衛庁予算の経理が非常にむずかしいという事情につきましては、私どももお察しできる点があります。それは大臣にお聞きしたいのですが、防衛計画そのものが安定しておらんといいますか、動揺しておるといいますか、そういうところにこの予算の編成、執行その他に非常に大きな困難を伴ってくるんじゃないかと思っておりますが、いかでしょうか。
  26. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 御指摘の点は多分にそういう点がございまして、御承知の通り今いろいろな装備等をアメリカから供与を受けておるものが非常に多いのでございますが、それらの供与を受ける数量とか時期にいろいろな不安定的な要素がございまして、そういう点からいたしますと、実際上予算の執行の上でも大へん不便を起していることは事実であります。
  27. 野本品吉

    ○野本品吉君 これは委員長を通してお願いしたいと思いますが、二十八年度防衛庁施設、その他の契約、それから主な装備の発注、それを月別と申しますか、どういう契約をいつした、どういうものをいつ発注した、それの経過を見たいと思うので資料を御要求願いたいと思います。
  28. 山田節男

    委員長山田節男君) 今の野本委員からの御要求の資料を、なるべくわれわれ委員が一目してわかるように、一つ至急に御提出を願いたいと思います。
  29. 大倉精一

    ○大倉精一君 ちょっと今のに関連して実は私も資料一つお願いしたいと思っておったのですが、その分から先にお願いしょうと思うのだが、昭和二十七年から一件五十万円以上の発注をしたところの品名、発注先、数量、価額、そうしてその時期、そういうものについての資料一つお願いしたいと思っておったのですが、今のに関連して私はそういう資料一つお願いしたいと思います。
  30. 山田節男

    委員長山田節男君) いかがでしょう。相当膨大なものになるかもしれませんが、防衛庁の方で、なお大倉委員からの御要求の資料ですね。
  31. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 今の資料についてお伺いしたいのですが、今お話の二十七年度以降五十万円以上の購入物件、発注先、品名、数量等と申しますと、相当これは膨大なものになると思いますが……。
  32. 大倉精一

    ○大倉精一君 膨大なものになれば、工事関係は一応……。
  33. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 今の工事並びに物品……。
  34. 大倉精一

    ○大倉精一君 工事関係は一応別にしまして、保安庁が二十七年度以降一件五十万円以上の物品購入、これの品目、数量、発注先、そして発注額と納入月日、金額、その他参考になるようなものをちょっとお出しを願いたいと思うのです。
  35. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) これはあらゆる品目……。
  36. 大倉精一

    ○大倉精一君 これはすでに防衛庁関係の方へ他の委員会からもこの資料の要求があったと思うのですが、いまだにそれが出ていないということを聞いているのです。
  37. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) ただいまのは、他の委員会資料でも、実は昨年度、二十七年度、二十八年度分につきまして、かなり広範囲資料を出した例はございます。ただ五十万円以上というほど総体的なものではなかったと思いますが、かなり五十万円以上と申しますと膨大な資料になるのではないかと思いまして、もちろん時間を貸して頂けば当然作れるわけですが……。
  38. 大倉精一

    ○大倉精一君 つかぬことを申し上げてもいけませんので、五十万円が非常に膨大であるということになれば、百万円程度でもけっこうであります。大体そういうおもなる保安庁の発注活動の経過、あるいは内容について知りたいというのが私の目的なんですから、五十万円にこだわりませんから……。
  39. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) それではただいまおっしゃったような趣旨に沿うようなものを作るということにいたします。
  40. 大倉精一

    ○大倉精一君 一応その趣旨に沿った資料を出していただいて、なおお尋ねいたしたいことは、それに基いて一つお尋ねする、こういう工合にしたいと思っておりますからお願いします。  この際、私はちょっとお尋ねしておきたいのですが、ただいま長官の御説明ですというと、非常に抽象的でもって機構とかあるいは人員不足あるいは努力が足りないというような御説明に尽きると思います。そして今後これを気をつけるというような御説明に尽きると思うのですが、私はこの批難事項内容を見てみますと、これは普通の批難事項とは少し変った内容のものがあると思います。私はここで非常に重要と思うことは、防衛庁予算というものは他の予算と違いまして、あらゆる国民生活、あるいはその他の部面を犠牲にして、非常に大きな国の犠牲を払って行なっているところの予算だと思っております。従って、これはほんとうに名実ともに国民の血税によるところの予算であると思うのです。従って、私は、人員の不足とかなんとかいうよりも、もっとこの予算使用方法については慎重であるべきだと思うわけなんです。ところが、これを見てみますというと、たとえば価格算定がまことにむちゃくちゃだ、まあ価格算定の能力があるのかどうかということさえも疑われるような部面がたくさんあります。あるいは外国資料が不十分だからやむを得なんだ、こういうお話があるんですが、外国資料が不十分だから、そのまま買っていいという理屈はどこにもないはずだ。あるいはまた、この鉄帽にしましてもフェロシルコンですか、〇・五五%、これが五・五%と間違う、こういうことが果して人員不足とかあるいは機構の不十分で片ずけていいものかどうか、あるいはまたこの部隊の実際の編成状況と全然関係がないのに、有線作業車を購入しているというようなこともあります。これはおよそ部隊の実際編成状況関係なく、物を買うについては、あるいは何か将来に編成に対する増強なりなんなりという、そういうような目途があったに違いない。そういうものを一つ説明願わなければ、どうも私としては納得いかないところがあると思います。あるいはまた部隊使用状況と無関係に対空布板を購入している、とれなんかも機構・人員不足努力が足りないというのとあまりこれは関係がないのじゃないか。あるいはその他例をあげればきりがありませんが、そこで私はそういうものもむろんあるでしょうが、それよりももっと根本的なものがあると思うのですが、どうでしょうか。たとえばこの繰越金が非常に多い。およそ私はぜいたくな予算の組み方をしていると思うのですが、この辺にも関係があるような気がするのですが、もう少し一つ長官から根本的なものについて率直に、こういうことがあるのじゃないか、ああいうふうな原因じゃないかということを一つもっと突っ込んだものをお伺いしたいと思うのですが、一つ説明を願いたいと思います。
  41. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 個々の具体的な事案につきまして非常に遺憾の点があるわけでございます。いろいろ原因は単一じゃございませんので、いろいろな点からこれは検討を加えて、先ほど申し上げましたことは非常に抽象的なようでございますけれども、そういうことで実は具体的に改善について苦心、努力を払っておる次第でございます。いろいろな原因がございますので、今の根本的な突っ込んだ点とおっしゃいます点などにつきましては、なるほどいろいろな点があると思います。その中で一つ編成装備等につきまして、御承知のような事情で今までアメリカ側の編成装備というようなものに、実際上そういう色彩が出てきておるととは、これは事実であります。そういう点日本側で十分にこれをこなせない点もあったということを私は率直に申し上げまして事実だろうと思います。いろいろと今後実情に即して、しかもほんとうに今おっしゃる通り国民の血税に違いないのでありますから、一つ国民に申しわけの立つように努力しなければならないと強く感じておる次第でございます。
  42. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもアメリカの編成装備になれていないからというのとは、内容が実はあまり関係がないじゃないかと思うのです。たとえばさっき鉄帽のことを申し上げましたが、鉄帽のことについて〇・五五含有量を五・五%と間違う、間違うと言ったって、これは間違いようがない。それとアメリカの編成装備に対する知識とは私はあまり関係ないと思う。まあこのことはもう少し突っ込んでお尋ねしたいと思うのですが、大ざっぱに言って私の不思議に思うことは、昭和二十九年度において二百三十五億の繰越金が出てくる、こういうようなお話なんですが、二百三十五億といえば膨大な金額なんですが、少し防衛庁費が多過ぎるのじゃないですか。これと繰越金との関係はどうなんですか。
  43. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 二百三十五億のうちでおもなるものは器材、それから施設整備費と、それから船舶建造費ということになっておりまして、施設整備費船舶建造費で約八割、器材費のほうが約二割近いという割合になっておるのであります。器材費のほうにつきましては、仕様規格決定等につきまして不測の日数を要するものが非常に多かったということ、それから施設整備の関係におきましてはおもなものは用地の取得の問題でございますが、これにつきましてはそれぞれ用地関係者の方々とよく相談しまして、十分納得ずくでやっていくという方針をとっておりますので、それがために、その交渉のために非常に時間を要するものが多いという実情がございます。船舶建造の関係につきましては、この船舶に搭載します武器、これは大部分、ほとんど全部といっていいくらい、大部分アメリカ側に給与を受けておるのでありますが、それについての資料を得ますのが非常に遅れるというような事情もございます。設計のほうが遅れる、こういうところからそういうことが理由になりまして、繰越金がこういうふうに出ておる次第でございます。
  44. 山田節男

    委員長山田節男君) ちょっと今の大臣の御答弁に関連して御説明を願いたいと思うのですが、ただいま大倉委員から質問がありましたように、二十九年度において二百三十五億の繰越金がある。二十八年度決算を見ますと合計で約二百六十億円の繰越金があるわけでありますが、その二百三十五億円の繰り越し防衛庁費それから防衛庁施設費、それから安全保障諸費と、こういうように三つの項目に分けて大体この二百三十五億というようなものが、どういったような比例で残されておるのか、数字がおわかりであるならば、ちょっとわれわれにお示しを願いたいと思います。
  45. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいまお尋ねの繰り越しの金は、先ほど長官が申されましたように、まだ最終的な締めくくりが終っておりませんので、計数は後に至りまして若干動くことがあり得ることをお断り申し上げておきまするが、現在つかんでおりますところで申し上げますると、防衛庁費におきまして四十七億九千万円でございます。それから防衛庁施設費におきまして百八十七億千二百万円、このうち施設整備費におきまして九十三億一千万円、船舶建造費におきまして九十一億三千万円、それが今申し上げました百八十七億の内訳でございます。多少数字が食い違うかもしれませんが、それは施設事務費と施設旅費でございます。安全保障諸費におきまして六百二十万円、合計いたしまして二百三十五億少々に相なるわけであります。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 本年度防衛庁関係予算編成に当って私はこういうことを聞いておるのですが、たとえば分担金の削減折衝の経過にかんがみて、非常にこの折衝がむずかしい。そこで大蔵省の方針としては、本年度の繰越金のうちで、船舶契約分あるいはその他の部分を本年度予算に回すというような方針であったように聞いております。私はそういうようなことができると思うのですが、要はこの毎年々々二百三十何億、二百八十億、あるいは二百何十億というような膨大な繰越金が残っていく、残っていくということは、その年度内にそれだけ、いわゆる防衛庁としては使わなくてもいい金がで登るのだ。だからして、この半分にしまして、この防衛関係予算というものは膨大な金額のものになるのですが、こういうようなことが、こういう不当批難事項がたくさん出てくるという一つ原因になっておるのではないか。極端に申しまするというと、あんまり余しておくというと、来年度予算に影響をする。一つ今のうちに買うものがあったら買っておけというような心境も動かないとも限らない。私はそういうようなことが、との批難事項のちょっと異例な案件がたくさんあるところの、この批難事項原因として大きな原因になっておるのではないかという気がするのですが、長官はその辺のお考えいかがですか。
  47. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 実は先ほどもちょっと申し上げましたが、本年度予算編成に当りましては、前年度予算消化実績というものを十分考慮に入れまして、それを一つ予算編成の方針といたしましてやった次第でございまして、たとえば船舶、よくこれは繰り越しにも出る大きな費目でございますが、それ血ども三十年度におきましては、歳出予算に計上いたしますのと、予算外に回しますのとの割合を、二十九年度よりもずっと予算契約の方に回すという割合を多くしたような考慮も払っておる次第でございます。今御指摘のような点も十分考慮に入れて注意していきたいと考えております。
  48. 島村軍次

    ○島村軍次君 防衛庁の物資調達の問題が、予算の全体からみまして最も大きなウェートを持っておると思うのでありますが、そこでただいまの長官お話によりますと、調達実施本部で同意したということでありますが、この批難事項を見まするというと、第一幕僚監部に属しておった事項が多いようであります。主としてその方で扱ったという御説明でありますが、実際の事務の執行に当って、調達実施本部というものは、どういうふうな仕事なるのか、現物を扱うということになるのでありますか、計画というむのはどうなるのか、実際の組織の問題について、簡単にその系統と言いますか、内容を承わってみたいと思います。
  49. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 御承知の通り、この二十八年度批難事項として出ております当時は、陸幕の方に調達実施部というものがございまして、そこでやっておったわけでございますが、昨年ちょうど防衛庁全体の機構改正の際に、実はそれとは別に調達実施本部などを作って認めていただいたわけでございます。現在ではそれでやっておる次第でございまして、今そのことにつきまして、その要領を政府委員から説明いたさせます。
  50. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) それでは調達実施本部の業務の運営の状況について御説明申し上げます。  ただいま長官の御説明の通り、昨年の七月に調達実施本部は新たに発足したわけでありまして、それまでは各幕僚監部と申しましても、当時の第一幕僚監部、第二幕僚監部、第一幕僚監部の調達実施本部、それから第二幕僚監部の経理補給部、そこで中央調達にかかる契約をいたしておったわけであります。調達実施につきまして、一つには当時航空幕僚監部ができますことも念頭に入れまして、できるだけ調達の窓口は一元化することがよろしいという趣旨のもとに、と同時に調達の業務を強化すると申しますか、充実いたしまして、不当事項のないように気をつけて参りたいと、そういったような理由調達実施本部長官の直属の付属機関として作ったわけであります。そうして三幕僚監部の調達実施業務をここに一元化いたしたわけであります。そこで、ここでいたしまする仕事はと申しますると、各幕僚監部、陸海空の幕僚監部で内局、経理局から予算の示達を受けまして、これに従いまして調達要求と申しますもの、あるいは編成装備表により、あるいは消耗の実績等、そういったいろいろの資料に基きまして調達要求を予算を付して調達実施本部に要求いたします。と同時に、それに企画、制式スペックをつけまして調達実施本部へ要求いたすわけであります。調達実施本部では、これを受けまして、その要求の企画、制式により、それから納期、それからそれにつけました予算、こういったものを元にいたしまして原価計算をいたします。原価計算をいたしまして、ものによりまして契約の方式が異なって参ります。たとえば随意契約方式、指名競争の方式、それから一般競争入札の方式、これにつきましては、もちろん根本は一般競争入札ということが根本精神でございます。防衛庁所要の品物につきましては、特に技術的な要素等、あるいは特殊スペック、こういったようなこともございまして、指名競争もしくは随意契約になる場合が必ずしも少くないのでありまして、これにつきましては調達実施本部を中心といたしまして、各幕僚監部及び内局も加わりまする指名競争並びに随意契約の審査委員会を置きまして、随意契約の場合におきまする相手方の決定、あるいは指名競争の場合におきまする相手方の選定等につきましては、十二分に省議を尽しまして、契約の相手方をきめまして入札をいたします。落札いたしますれば、もちろんそれによって、または落札しない場合は、省議におきまして契約を締結する、そうして契約を締結いたしまして、所要の納期に、あるいは現地部隊あるいは補給廠等に納入されまして、それぞれ検査検収を遂げまして領収すると、それによって実施するということになるわけでありますが、特に重要な装備品、たとえば船舶あるいは航空機、あるいは主要な武器、あるいは車両の一部等につきましては、特に調達実施本部長の指名によりまして、各幕僚監部のいわゆる技術専門家を検査官に指名して、検査にも十分に技術的知識を入れまして、遺憾のないようにする。かように調達実施本部契約の主体となりまして要求をつけ、かつまた各幕僚監部の要求を入れて検査いたしまして、調達数量、または実際の調達先、あるいは調達いたしました品物の完璧を期しているわけであります。  大体以上のような運営で七月以降三月までの実績、約二百数十億という契約実績を実行いたしております。
  51. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今政府委員から要領を申し上げましたが、この調達の機構、事務の上の系統というものを、見やすいようにしたいというので、資料をのちほど、あとで御提出申し上げたいと思います。
  52. 島村軍次

    ○島村軍次君 その資料の際に、経理局との関係がよくわかるようにお願いいたしたいと思います。  それからはなはだ失礼でありますが、石原さんは特に大蔵省からおいでになった、きわめて予算の問題あるいは経理の問題、御堪能な方でありますが、従来のこの検査報告の方から見まして、率直に保安庁のこういう批難事項の出ましたことは、一体どういうところにおもな原因があったのか、ただいまの説明以外にお感じの点を一つ率直に承わってみたいと思います。
  53. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 批難事項が出ます理由につきましての感想を率直に申せというお話でございまするが、先ほど長官からおっしゃっていただきましたことで大体尽きておると思いまするので、それらの点につきましてこれから非常に努力をして参るということが、今後こういうようなことを招かない早道だろうと思います。
  54. 島村軍次

    ○島村軍次君 そこで警察予備隊から今日まで発展して参った過程から見ますると、ずいぶん年月も経過いたしておるのでありますが、とれの内部監査の方法についてはどういう考え方でおられますか。
  55. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 監査機構につきましては、従来から陸上幕僚監部に会計監査隊というものがございまして、これが陸上帯僚監部の系統の内部監査をいたしております。それに海上幕僚監部の経理補給、航空幕僚監部の装備部、いずれも補給課あるいは装備第一裸の中に監査班を持ちまして、それらが内部の監査をやっておるわけであります。調達実施本部ができまするまでは、一番の調達の大きい金額を生じます調達実施の内部におきまして内部監査の機構はございませんでしたが、それが今回調達実施本部を独立させるに当りまして内部に監査室というものを設けまして、これが内部におきまして定時の内部監査をいたすようにいたしております。その方が新しくつけ加わっておるわけであります。
  56. 大倉精一

    ○大倉精一君 さっきのに関連してもう少しお伺いしておきたいのですが、会計検査院にちょっとお伺いするのですが、昭和二十八年度の防衛関係の国損ですね、国損大体どのくらいあると考えておられますか。
  57. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二十八年度検査報告に掲記しました金額で批難金額といたしましては約八億八千万円になっております。
  58. 大倉精一

    ○大倉精一君 それは大体四〇%ですか、検査をなされたのは、四〇%でしたかについての国損だと思うのですが、これが大体全体として推計どのくらいになるとお考えですか。
  59. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 二十八年度検査におきまして大体重点を置いてやりましたのは、物資の調達の三百九十四億円を対象としてやっておるわけです。そのうち多少控除もございますが、批難金額三百九十四億円に対しまして約八億八千万円、こういうふうになっておるわけです。
  60. 大倉精一

    ○大倉精一君 長官にお伺いしたいのですが、大体本年度二万人増強するとしてこの経費が二百五十億というくらいに大体断定しておられたようでありますが、この繰越金と国損費、大体全部集めればこのくらいの金額になるんじゃありませんか、そういう計算になりませんか。そこでお伺いしたいことは、大体そうなると思うのですが、にもかかわらず本年度において九百五十億円の防衛関係予算を御要求になっておるのですが、どうもその辺私は割り切れ払いものがあるのです。長官はこの九百五十億の予算の要求に対して、このような繰越金あるいは国損の状況をお考えになった上で九百五十億を御要求になったものであるかどうか、その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  61. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 本年度国会に御審議をお願いしておりますものが、防衛庁歳出予算におきまして八百六十八億でございます。その中で二十九年度までの現態勢を維持するための分が大体六百億、増勢分といたしまして約二百六十六億ということに相なっておる次第であります。その増勢分につきましては、それぞれ陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と、今日わが国の自衛隊の任務達成上、必要やむを得ないと考えますものを計上いたした次第でございます。その点に関して目下御審議を煩わしておるのであります。
  62. 大倉精一

    ○大倉精一君 私の伺っておるのは、八百六十億というのは最終決定であって、防衛庁は、日本の国防上九百五十億円どうしても本年度は要るのだ、こういう御要求であったと思う。私は防衛庁に関する限りは、先ほども申し上げましたような、国民の非常な大きな犠牲によってこの予算を計上しなければならぬので、ほんとうの必要欠くべからざるものを御要求になるのが必要だと思う。私は九百五十億の御要求に対して八百六十億というものを審議しておることは事実なんですけれども、しかしこれでは足らぬと思うのです。防衛庁の最初の信念から行けばこれでもいいと言えば、防衛庁予算は毎年々々山かけて、そして要求して、いわゆるこれは国防でこれだけ要るんだ、国防優先だというようなことでもってたくさん予算を取っておる。  こういうところに私は根本的な原因がありはしないかと思うのです。この九百五十億と八百六十億、これは百億違います。しかもこの中で今の繰越金というものは年々歳々ふえていく、どうもこの辺に私は割り切れぬものがあると思うのです。この点について初めの予算の要求に対して、私はこういうぎりぎり一ぱいの要求であったのか、あるいはそこには多少の余裕があるのか、こういう繰越予算とかあるいは国損とかいう擬制も考えられて、織り込んでおいた要求であったのか、その辺のところを伺いたいのが私の趣旨なんです。
  63. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 数字の問題でございますので、便宜私からお答え申し上げまするが、大倉委員の申します九百五十億というのは当初の防衛庁の要求でございます。それに対しまして、その後いろいろ加わって参りました。ジェット機の問題、そういうものがございまして、大体長官がすでにお答えにねったことでございますが、要求総額が九百九十億、それを八百六十八億に査定をしたわけです。その間におきまする数字の減少は、これはいろいろのものの単価でございまするとか、あるいは先ほど長官もおっしゃいましたような消化の実情から、できるだけ消化の可能な範囲内に施設費などをとどめるというような配慮もございまして、そこらへんの金額の減少を生じたわけであります。
  64. 大倉精一

    ○大倉精一君 どうもこれは私は割り切れんものがあるのですが、私はこういうことがあるのじゃないかと思うのです。たとえば防衛関係費に当然計上しなければならん費用を、いつか大蔵大臣あるいは防衛庁長官でしたか、おっしゃったと思うのですが、技術上可能な部面については他の費目に計上すると、こういうようなことをおっしゃっておったようなことをちらと私は聞いておりましたが、これは防衛関係費として当然計上しなければならん予算を、建設省あるいはその他の開発庁等の予算の中に繰り入れておられる部分はありますか、ありませんか。
  65. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) そういうことは全然ございません。
  66. 大倉精一

    ○大倉精一君 たとえば、ここに不当事項の中にも工事関係で、保安庁の建設工事保安庁自体で行うものと、建設省、または北海道開発庁においてやるものとがある、こういう工合に指摘されておるのですが、これを見れば、この工事の主体が建設省であろうが、あるいは北海道開発庁であろうが、やはりこれは防衛関係工事だと思いますが、そういうことに考えて差しつかえございませんか。
  67. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) その施設工事そのものはもちろん防衛庁で、その工事の委託を建設省にしておる次第でございます。
  68. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこでそういう建設省、または北海道開発庁で行うその工事費は、やはり防衛庁の費用になるのですか。
  69. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) そうでございます。
  70. 大倉精一

    ○大倉精一君 それで純然たる建設省、または北海道開発庁によって行われる工事、これはたとえば道路にしましてもあるいはその他の施設関係にしましても、これは一応建設省所管である、あるいは北海道庁所管であると申しましても、やはり防衛に関係する施設というものが相当私はあると思うし、また防衛庁の方でも国防という関係からこういうものともいろいろ連携をしながら、いろいろな工事の計画なり何なりを進めておられると思うのですが、そういうことはありませんか。
  71. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) お答え申し上げますが、そういうことはございません。
  72. 大倉精一

    ○大倉精一君 このことはあとでもう少し私は研究をしてみたいと思うのですが、最後に一つお尋ねしておきたいことは、一口に言えば、非常にずさんというか、ルーズというか、こういうような防衛関係費の使用状況において、たとえば防衛六カ年計画をお立てになる、こういうことも聞いておるのですが、これはこういうような状態のもとに六カ年計画を立てられて、それに予算の裏づけがどんどんしつけられていくということになるというと、私は国民の犠牲というのは、これから無意味な犠牲がどんどん累増してゆくと思うのですが、この六カ年計画をお立てになるに当ってこういうようなことも勘案されておるのかどうか。あるいは単に六カ年計画ということで、こういうととは一切勘案せずに、ただもう算術的にずっと計算して予算関係を立てておられるのか、そういうことについてちょっとお伺いしたい。
  73. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 予算の編成及びその成立上、予算の適正な執行というものにつきまして十分注意し、また適正な執行をしなければならんということは申すまでもないことでございまして、今のこの六カ年計画そのものとはこれは別に、その際でももちろんそういうことは考えていかなければならんことでございまするが、それのあるなしにかかわらず、こういう点は十分注意していかなければならんことだと思っております。
  74. 大倉精一

    ○大倉精一君 ここは予算委員会じゃありませんので、私は突っ込んでお伺いすることは差し控えますけれども、しかし決算という面から私はちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、私の結論から言えば、防衛に関する限り何カ年計画という長期計画は非常に困難だ。おそらくこれは机上の空論じゃないかとさえ私は思っております。なぜかといえば、日本の防衛なんというものは、これはもう日本独自の防衛じゃなくて、これはアメリカの計画に従って日本の防衛計画は変えなければならん。アメリカの極東防衛計画が変われば日本だって変えなければねらんというような、そういう実態に置かれておると思う。そういう面からも防衛六カ年計画なんということは、これはもうほとんど不可能だといっても私は差しつかえないと思う。また一年一年の場合を見ましても、たとえば艦艇、航空機というものについて一体アメリカが本年度どうしてくれるのだという、こういうような大体見通しをつけてはおられると思うのですけれども、これは約束したわけじゃないから、その費用を計上してみたところが、アメリカの対日政策が変った、極東政策が変っただけで、借してくれるはずの艦艇が来ない、あるいは航空機が来ない、また繰越金ができたというようなこともあり得ると私は思う。あるいはまた徴兵制度、志願制度にしましても限度がある。これだけ募集してやろう、そしてこれだけ増強してやろうといっても集ってこない場合がある。こういうような不安定な状況であるし、またその他の国内経済施策につきましても、これは確たる、どういうふうに進めたらいいか、どういう工合な計画で行ったらいいか、これもアメリカさんの意向によって、向うの必要度に応じて刻々変化してくる。こういうところに私は防衛庁予算というものに対して非常な不安定なものがあると思う。そういう中で防衛六カ年計画なんていうのが立つか立たぬか、これについて一つ決算という面からお伺いしておきたいと思います。
  75. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今御指摘の点、なるほど防衛につきまして何年にしましても長期の計画というものは実際上そうやさしいこととは私考えておりません。非常に困難な、いろいろとむずかしい諸条件があることと私もそう認識しております。ただその間にありましても、大体どれくらいのところをめどをつけてゆくかということは、むずかしいことであるけれども、大体立てた方がかえっていろいろの点から見ましても必要であろうと実は考えている次第でございます。まず第一はいわゆる防衛力の漸増といっても、一体どこまで行ったらいいのか、これは非常にむずかしい問題でありますが、いろいろそのめどというものを立ててやった方が一般国民の御理解、御協力という点からしても妥当じゃないか。またそうすることが国家の財政経済的に、なるべくそこに便宜をはかるという面からもその方がいいのじゃないかというふうに私は考えます。もちろんあまりにこまかいところまでの、計画という言葉で申しますから何ですが、実にこまかいところまではこれは無理だと思いますが、大体の見当というものをつけた方が、いろいろの点から見ていいのじゃないか、こういうふうに考えます。今せっかく研究中でございます。
  76. 大倉精一

    ○大倉精一君 私も計画は必要だと思います。私の方は再軍備絶対反対ですから問題になりませんが、しかしかりに防衛をやるといいましても、やはり計画は必要だと思います。思いますが、私の申し上げていることは、そういう机上プラン的な計画を立てて、こういうふうな批難事項が次から次へ起る、そうしてこれは食い違いがあった、これも食い違いがあった、これは予算違いがあったというようなことで、ほんとうに爪に火をともすような日本の予算が、架空なものでどんどん計上されてゆく。そのためにそのつどそのつど社会保障も国民生活も犠牲にされなければならんのじゃないか、これは非常に大きな問題じゃないか。たとえばあなたの方の計画、六カ年計画によりましても、昭和三十五年、いわゆる計画の最終年においては防衛関係費は千五百億、こうなっていると私は記憶しております。果して千五百億でもってアメリカさんが承知するかどうか。今度の日米共同声明を見ましても、おそらく昭和三十五年度には千五百億じゃ承知しますまい。ここにおいてまたアメリカの方針が違ったのだ、今年も違ったのだ、来年も違ったのだ、こういうことでもってほんとうに貴重な国家の費用というものがそういう架空なものに計上されていく、それだけ国民生活というものはそのつど犠牲にならなければならない。こういうことが私は非常に大きな問題だと思いますので、今の六カ年計画というものについてもお伺いしておるわけなんでもけれども、その点は長官として、おおよその計画を立てなければならんことは、これは私も考えなければならんと思いますけれども、しかし昔の日本と違って、今の日本ではそのおおよその計画も立ちかねないのじゃないか、どんどんどん原子力は発達していく、その辺からも作戦計画、防衛計画が変ってくる、こういうことからそういうものはもう私は立ち得ないのじゃないか、そこに日本の国の再軍備の悲劇があるのじゃないか、こんなふうに考えるのですが、長官の御所見を承わっておきたいと思います。
  77. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 確かに非常にむずかしい諸条件が重畳することは私もその通りだと思います。それから、しかしそれにもかかわらず、また先ほど私が申し上げましたように、おおよその見当というものを何とかしてつけていく、その方が、そういうふうにした方が、一つはアメリカとの関係がとおっしゃましたが、私はその点は…。
  78. 大倉精一

    ○大倉精一君 立たんのじゃないですか。
  79. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) この点実際上いろいろアメリカとも関係ございますけれども、私は実はそういう点からいたしましても、むしろ日本としての立場から、また日本の国情、日本の国民生活の状況、またその他いろいろ日本の実情からいたしまして、総合的に考えてみるとこうなるというところに、大体の見当をつけた方が適当では数いかと考えております。
  80. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はこの問題非常に重要であるので、さらにこの批難事項の細部にわたって個々について検討を進めたいと思うので、質問は保留しますけれども、ただあなたの今ずっと御答弁を聞いておりますというと、一つの希望としてはかくありたいということであれば、私はこれはわかると思うのです。鳩山総理も公約にかくありたいと思うのだという御発言があったのだが、あなたの場合もかくありたいという御発言、そういうことであれば、私はさもありなんと思うのですが。しかしながら、実際問題として私はそれは不可能だと思うのです。たとえば今あなたのおっしゃる国民の生活水準の向上なり国民経済を勘案しながら、そういうことをおっしゃるのはわかるけれども、とともに私は、今の日本の現状としましては、ほんとうに国民の生活を勘案したら、びた一文防衛に使う金はないと思うのです。従って国力に応じた防衛力の漸増というようなことは、これは一つの自己満足であって、私はそういうものはあり得ないと思うのです。それは別にしましても、今防衛の六カ年計画というものが、やり方いかんによっては、国民生活というものは非常に大きな犠牲をこれから予想しなければならんことになると思うのです。決算の上から見ましてもそういう不急不要の予算を計上するということは、これはきわめて重要なことだと思うのです。私はこの問題につきまして、さらに個々の点についてもう少し具体的に検討をして、慎重に審議したいと思いますので、以下質問を保留したいと思います。
  81. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 せっかく長官がおいでになっておりますので、私は二、三の問題について質問したいと思います。  先ほど各委員から質問がございましたが、繰越金額がかなりな額に上っておるということ、そうしてしかもこれが過去においてもそうであったし、また昭和二十九年度においても本年に劣らないような繰越額ができようとしておるという事実に徴しまして、私ども参議院の決算委員会で常に主張されて参りました点は、済んだことに対する単なる批難でなしに、いかにしてこれを予算審議の上に反映をさして、予算の効率的な使用をさせようかということが、決算委員会においてわれわれが努力しておる重点であったわけです。そういう見地からいたしまして、私はやはり繰り返されておるこういう多額な繰越金、あるいは不用額、これが相次いで発生しておるということは、私は昭和三十年度防衛庁関係予算審議においては重要は参考にする必要を認めるわけであります。この点に関しては、私は当委員会の従来の意図を十分汲んで、委員長におかれて予算委員会と十分の連絡をおとりいただいて、そうして少くとも本年度予算審議においてはこういう昭和二十八年なりあるいは昭和二十九年の決算におけるかくのごとき情勢が十分反省をされ、是正されるように、そうして予算の審議の上に文字通り決算委員会における決算の審議の状況が正しく反映されることを私は希望したいのであります。なお長官に一、二お答えをお願いしたいことは、昭和二十八年度のこの保安庁関係決算を拝見いたしまして、私どもが他の省との対比において非常に強く感じますことは、業務の性質が違うという点を考慮に入れましても、なおかつ非常な濫費であるということは免れないと思うのです。それからもう一つ強く感じます特質は、業務の執行が停滞しているのではないか、この二点について私どもは非常に他省と比較をして強く感ずるわけでありますが、これが業務の促進なり、濫費が果してあるという点について、長官自身はどうお考えでございますか、この点を一つお伺いしたい。
  82. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 二十八年度におきまして特に装備の充実という点に重点をおいて予算が編成をされておるように思うのでございます。そういう点からいたしまして、必要やむを得ざるものとして御審議を願って当時きまった予算だと思うのです。  それから第二の業務の停滞ということでございまするが、そういう点につきましては、みんな努力にかかわらず確かにまことに遺憾の点があったことを私ほんとうに申しわけないと思います。そういう点、先ほどからも私るる申し上げますようにその点十分注意し、そうして今後具体的に一つ改善をはかっていくということに私責任をとっていきたいと考えるわけであります。
  83. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に私は濫費なり業務の執行が停滞しておることが、二十八年度におけるこういう批難事項を生んだ理由だと考えますので、これがその後においていかに是正をされ、あるいは改善をされておるかということを実は承わろうとしておるわけであります。それらを基礎にいたしまして、先ほど監査室のお話がありましたが、これだけ膨大な予算を執行するに当って、一体監査の結果摘発され、または節約になった事項と金額はどのくらいあるか伺いたい。
  84. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいまちょっと手元に資料を持っておりませんので、それを作りまして差し上げます。
  85. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それから次に、これは保安庁の皆さんだけではあまりぴんと来ないかもしれませんが、一、二の具体的な例をとって質問をいたしますと、たとえば批難事項の十八、これは保安隊の第二管区において、結局昭和二十九年の一月までに契約金額の全額を支払っているにもかかわらず、昭和二十九年の九月に至ってもまだ工事が完成をしてい安いという一つの事実、それからさらに批難事項の十九、保安隊の第四管区におきまして、緊急増設の必要がないと考えられる井戸を増設したというこの案件、さらに批難事項の二十を見ますと、北海道開発局汽缶設備費、その容量を過大に設計したために、約千五百万円が不経済な支出になっているということ、それから引き続いて批難事項の二十一、同じ北海道開発局におきまして、流路断面図も作成しないまま、勾配が十分でないとして、一部排水系路を変更したということによって約百十万円の不当な経費の増額を持ちきたらした、こういうことに例をとって考えてみますと、比較検討してみますと、ほかの省の批難事項におきましてはこの種の不当事項はもうほとんどあとを絶っていると申しても差しつかえないと思うのであります。しかし保安庁におきましては、こういうきわめて幼稚と申しますか、他の省におきましてはほとんど見られないようなこのような事項が、今度の会計検査院の調査によって次から次と批難されているということは、私どもがこれだけの膨大な予算を執行するに当って、私が長官にあえてお尋ねをした、つまり濫費を引き起す原因がまだ内部に温存されているんではないか。つまりまだこれが払拭されていないんではないかという点を私は心配するから、あえてこういう例をあげてお尋ねするわけでありますが、これは私は方向を変えて、会計検査院局長に、一体こういう問題を調査をされた結果、これらの同種の問題が今後会計検査の次の年度内においては起らないであろうかどうか、昭和二十九年度においては同様の問題が批難されないであろうかどうか、この点を一つ会計検査院にお伺いをしたい。
  86. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 工事の点につきましては、結局検討が十分でなかったということで、将来十分の検討をされてゆけばなくなるんではないかとも思うのでありますが、かような、ただいまお話がありましたように、幼稚な間違いがどうして起るかという一つ原因としては、具体的に、これが予算消化のためだということは申し上げかねますが、多少予算を当該年度消化して、翌年度繰り越しを少くするというような気持も多分にあるんではなろうかというふうに考えておりますが、いずれにしましても、十分の注意をされるよりほかに仕方がないと思います。それから私どもの方で、工事よりも、むしろ物件の調達の方を主眼として実は考えているわけでございますが、物件の調達につきましては、先ほど来お話がありましたような調達機構の改革がありまして、二十九年度からは調達実施本部ができたという点でございますが、この点につきましてまず第一に考えられますことは、陸と海と空、三つのものの調達が一元化されるという点で、三者の比較検討ということが容易になるということは確かに利点だと考えるわけでございます。  それから、果して二十八年度のような批難事項が全然なくなるかどうかにつきましては、批難してあります点につきましては、先ほど簡単に申し上げておきましたが、編成装備表検討、あるいは部内連絡、いろいろの要素が原因となりまして事態が起っているわけであります。これらにつきましては、ただ機構が調達実施本部が一本になったということ、その人員がふえたということ、人員がふえればある程度検討も十分になろうかとは思いますが、これだけですぐなくなるかどうかについては、ここで自信を持って申し上げる段階ではございません。
  87. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 次に保安庁の方にお尋ねをしたいと思うのですが、調達実施本部ができて、従来よりも百尺竿頭一歩を進めたという機構の改革については、私は結構なことと思うのでありますが、しかしいろいろこの批難をされている状況等を見ますと、編成装備表によって作業を実施しているということでありますが、それの基礎をなす必要物資の規格であるとか数量、そういった問題について科学的な検討と、実際的な部隊の必要に応じての、つまり部隊の実情に適応する実際的な基礎とが十分合致した総合的な効果が発揮されているかどうか、われわれはしろうとでわかりませんが、これらの点についてまだ検討を加える余地がありはしないかということが懸念されますが、これは所管の局長で結構ですが、この二十八年度批難事項が起って以後のこれらの問題についての部内でのつまり検討なり、あるいは改善の措置がとられたとすれば、それらについてもあわせて説明をいただきたい。
  88. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) ただいま仰せの通りに、この会計検査院から御批難を受けております事項と機構の改正なりで、これを払拭できるかと申しますと、これは必ずしもさようではございません。調達実施本部ができまして、ただいま検査院局長からもお話がございましたように、三幕の要求が全部一緒に出て参りまして、その間にできるだけ規格を統一して安く作る、あるいはばらばらに出てくるものを納期を一つにして適宜安くするとか、そういった問題についてかなり昨年以来顕著な進展を見せておりますと確信をいたしております。ただこの批難事項の中にございます一つの大きな問題は、原価計算の問題でございますが、これはこういった御注意も受け、あるいは人員も機構改革後充実いたしまして、また海外の事情もここ一両年とみに資料が入って参るようになりました。あるいは陣容の充実とあわせて格段の進歩を見せております。たとえば昨年航空機について相当額入品いたしました。こういった問題につきましてもこの経験を十分に生かしまして、資料の収集、あるいはたとえば弾力条項を入れるとか、そういった周到な注意をいたしております。  それからもう一つ、この批難事項の中で重要な問題は、装備の定数の問題と、それからもう一つは乾電池の例にありますような消耗実績の把握の問題、こういった問題が、むしろ調達実施本部と申しますよりも、各幕僚監部、あるいは補給所、あるいは各部隊のむしろ仕事のやり方の問題でありまして、これにつきましては一両年以前は、そういった消耗品の消費の実績について、当時の保安隊自体としても的確な資料がなかなかつかめない。あるいはまた従って米軍側の資料をそのまま使うとか、乾電池のような例をとりましても、米軍側の消費実績の四分の一をとっても、なお実は多かったというような実情もありましたわけで、こういった問題につきましては、ことに昨年来各部隊及び補給所における各物品につきまして、特にそういった消耗品につきましては、現在高の把握、それから従来の消費の実績、それからまた次の四半期における使用の見込といったようなものを、四半期別にとりまして、これを従来の実績から十分に検討しまして、それを配賦を受けた予算と照らし合わせまして、それによって調達実施本部に要求する。こういったふうに、調達実施本部に出します前に、所要数量についてできるだけ資料を集めまして的確な判断をするというふうに、ことに昨年来いろいろな報告類も整備いたしまして、十分に留意いたしております。また装備品の定数につきましては、また先ほど来たびたびお話がございましたように、定数自体の検討と、それからその定数に従っての現在高の所在あるいは消耗の程度といったようなものにつきまして、いろいろな報告をとりまして、的確な数量による調達要求を出すように、またそれに基いて予算を要求いたしますように、十分に留意いたしております。
  89. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 物資の調達だけでなしに、調達した物資がいかに有効あるいは効率的に使われておるかということも、これは予算執行上の大きな問題であると思うわけでありますが、旧軍隊における、各級部隊における検査のごとき、つまりいろいろな装備、あるいは消耗品等に関する検査、それはどういうふうにどういう機構で行われますか。
  90. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 先ほど申し上げましたように、各四半期ごとに現在高の数量をとっておりまして、ことに毎年大体度末から四月にかけまして全部棚卸しをいたしております。昨年度も四月に実施いたしまして、その結果に基きまして過剰品の整理あるいは不足品の要請、そういうものと、あんばいいたしまして、爾後の調達あるいは要求に資するように、四半期と年度末に実施いたしております。
  91. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 最後に私はお尋ねしたいととは、先ほど大倉委員からも御質問がありましたが、この不当な経費の支出の事由一つとして、つまり予算が過大ではないか。検査院調査等に徴しましても、予算消化を急ぐあまりということが説明の個所にしばしば用いられております。こういうことは、与えられた予算がなかなか、ほかの理由もありましょうが、消化し切れないあまり、どうもこういった批難に値するような支出が起ってくるようにわれわれには感じられる節が少くないのでありますが、この予算の編成、こういうことを中心にして、検査院ではこの点はどういうふうにお感じになりますか。検査院のこの点に関する所見を伺いたいと思います。
  92. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 批難事項の多い理由としては、予算が相当あるということと、それに対する予算消化を急ぐあまり批難事項が出ているということも事実だと考えておりますが、しからばこれは予算が多過ぎるのか、少な過ぎるのかということになりますと、いろいろの問題もございまして、果してこれが多過ぎるというふうな断定もいたしかねるわけでございまして、先ほど来、予算繰り越しの点のお話も出てきておりますが、ただ私の方といたしまして、これだけで予算が多いということをすぐ結論付けていいかどうかということについては多少疑問の点もございます。なお年々歳々繰り越しがあるのだから、それだけは予算上考慮してもいいじゃないかという点は、議論としては考えられる余地がある、予算編成上の問題としては議論の余地があるということは考えておりますが、できた予算につきまして、これが果して現在の防衛庁に対して予算が多量ぎるか、少すぎるかという断定は、私の方といたしましては、いたしかねる次第でございます。
  93. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 予算の編成と執行に関しては、いずれにしても格段の注意が必要であるということだけは、会計検査院の今のお答えに徴してもこれは明らかであり、われわれ決算委員会における委員もこれはおそらく異議のない観点だと思うわけであります。従って私は、最後にこの質問を終るに当って、予算の編成と執行について、これは特に長官から今後特段の注意、それからなお業務の執行については、特に停滞しておる面がまだありとすれば、これが促進について十分の御留意をお願いしたいということを申し上げて、質問を終ります。
  94. 山田節男

    委員長山田節男君) 委員長から杉原長官並びに増原次長に所信を伺いたいことが一つあります。  それは二十八年度決算検査報告を見ましても、特にこの物件の調達随意契約が非常に多い、ということは、随意契約による器材、物件、物資の購入が多いがために、不当な、たとえば二十八年度におきまして、三百九十四億円だけで約四億円の不当支出があると、こういうふうに指摘されておるのでありますが、この防衛庁で要求される施設、器材、あるいは物資の購入ということにつきまして、やはり必要があってこの随意契約という制度をおとりになっているのだろうと思います。御存じのように今日の会計法におきましては、一般の競争入札を原則としてはあります。そこに批難事項の起る大きな原因があるのじゃないかと思うのですが、しかしさらばとて防衛庁の性格からして要求せられる施設、器材、物資というものが、必ずしも一般競争入札により得ないものがあるだろうと私は思うのです。こういう点に関して、まあ多年経験に富む増原次長あるいは最高の責任者としての杉原長官は、随意契約というものを防衛庁として、やはり例外といいますか、必要上、やはりこういう制度はとらざるを得ないという御見解なのか一つその点に関する御所信を伺いたいと思います。
  95. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 今委員長から御質疑の点の具体的の場合におきまして、やはりこの随意契約による必要のある場合はたしかにあると思います。しかしその場合には、随意契約にする場合には、特にその必要があるかどうか、また、する場合にその相手方をどう選定するかという点、特に慎重にやる必要があると考えます。従いまして、今日すでに先ほども私のほうの政府委員からの説明の中にも申しましたが、指名及び随契の場合におきましては、特にこれがための審査会を設けておりまして、そこに諮った上で、今の随契にするかどうか、またする場合にはその相手方をどうするかという点を慎重に審議した上でやる、こういうことに相なっておる次第でございます。
  96. 増原恵吉

    説明員増原恵吉君) 補足いたしまして申し上げます。長官から申し上げましたように、やはり防衛庁調達しまする物品につきましては、予決令にありまする条項に従いまして、どうしても随意契約でなければならぬものが、もとより少数ではありまするが、ございます。また抽象的に考えて、施名競争という程度でよろしいと一応考えられるものでも、現在の段階において諸種の事情を考えますと、随契にせざるを得ない。たとえば艦船の発注のごときものであります。相当の経験を積み、完全な仕様書その他ができておるというふうな状況でありますると、これは一般競争ということはむずかしいと思いまするが、理論的には施名競争というふうなことも考えられるわけでありまするが、現在の段階で考えますると、完全な仕様書というものはできておらない。完全な仕様書を作るための技術者、職員を防衛庁で採用をしまして、この人たちによってのみやりますると相当の長年月を要する。現在の実情においては、優秀な技術者が各造船所におります者の援助を受けて早急に基本設計を作る必要があるというふうな事態にかんがみまして、艦船の発注を随意契約にするというふうなことに相なったわけでございます。航空機の製造というふうなものについて今年度予算にお願いをいたしておりまするが、こういうものもいろいろと技術提携の問題、パテントその他の問題業者の能力等とからみ合せて考えますると、やはり随意契約という方式をとらざるを得ないのではないか。本年度予算でさらに特車あるいは自走砲というふうなものの試験的な発注を考えておりまするが、こういうものにつきましても、やはりそうした事情を諸種考え合せますると、随意契約という方式によらざるを得ないかというふうなものが、少数ではありまするが、あるわけであります。そうして随意契約をいたしまする場合に、前々申し上げましたように、随意契約にすること自体について法規的な面、実際的な面を考え合せまして、特別の委員会で慎重に審議をいたします。そうしてこれは随意契約にしなければならぬということを考えますると同時に、その相手方についてやはり特別の委員会におきまして審査をする。そうした場合には、批難事項等からむうかがわれまする軍要事項は、原価計算、スペックを作り、また、その原価計算をしますのに特別の細心の留意をしまして、いやしくも国損を生ずることのないようにするということが特に大事になって参りまするので、そうした点、防衛庁といたしましては十分の配慮をいたしておる次第でございます。従来批難事項等に出て参りました点について遺憾の点がありましたこともまことに残念と存じます。これは他の政府委員より説明を申し上げましたように、そのときの事情におきまして、たとえばジープの発注等においては、海外の事情を正確に把握する方法において非常に困難がありましたために欠くるところが出たというふうなことであるわけでありまするが、しかし、この経験を十分に生かしまして、自後のものには万全の注意を払って遺憾なきを期しておるというふうな状態でございます。将来もとより原則は一般競争であり、次の段階、やむを得ざるものを指名競争にいたし、少数の真に事情そのほかのいたし方のないものについてのみ随意契約措置をとりたいと考えるのであります。そうした場合には、申し上げましたように相手方の選定におきまして、事柄自体の決定にお澄ましても、原価計算を作り、あるいは仕様書を作る点にお雪ましても、十分の注意をいたすつむりでございます。
  97. 山田節男

    委員長山田節男君) 会計検査院側の御意見を伺いたいと思いますが、ただいまの杉原長官並びに増原次長の所見によれば、防衛庁の特殊な発注、特殊な性格を持つ発注のために随意契約によらざるを得ない場合がある、こういう御見解ですが、会計検査院としては、やはり会計法の原則は原則としても、防衛庁の利用するこういう特殊な調達のために、随意契約というものはこれはやむなしと、いわゆる根本的な問題として随意契約やむなしと、こういう点を容認するかどうか、こういう問題。それから第二には、今ここに検査院からあげられている物資の購入についてほとんど随意契約によっている。従ってそこに不当な支出が行われておるというようにわれわれは了解するのでありますが、これらの中で、やはり物資の調達の中において、個々に検査された場合、これはやはり防衛庁として特殊な発注であるから随意契約によらなくてはならぬであろうと、こういうように判定されたものがあったのかどうか。この二点を伺いたい。
  98. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 随意契約がよろしいかどうかという点でございますが、防衛庁につきましては特殊の事情がありますので、もちろん会計法規の許す範囲内で、随契のできるものについては随契することについては差しつかえないと、かように考えております。で、この場合どういうものが随契に当るか当らないかということになりますと、具体的問題につきまして会計法令のどの条項によって随契したという、果してその条項に当るかどうかということの検討をいたしませんと、すべてのものについてよろしいという判断は全般的にはできないと、かように考えております。検査報告に提起しました購入の問題につきまして、車両関係が大体随契になっておりますが、このうちジープ及びタイヤ取りばずし器でございますが、これは外国の製品でございまして、日本で今回注文されたものは一人しか扱っておらないという関係でございまして、これにつきましては、そのものを買うという前提に立ちます以上は、そのものから随契で買う以外に方法はない、かように考えております。それから、そのほかの車両類について随契が行われておりますが、これは主として車両、車種の統一というような観点から随契がとられておるように考えておりますが、この方針がいいかどうか、いろいろの問題がございましょうが、そういう観点から見まして、随契せざるを得ないということでありますならば、随契がいかないというふうに強いて反駁することもできがたい、かように考えておるわけでございます。
  99. 山田節男

    委員長山田節男君) そうしますと、ただいま増原次長が御説明になったように、発注する場合にこれはどうしても随契によらざるを得ないかどうかという特別の審議会におかけになって決定した場合に、会計検査院にこれは随契によって差しつかえないか、こういうまあ何といいますか、相談といいますか、事前の相談があった場合には、会計検査院としてはこれを承認するのかどうか、この点を伺いたい。
  100. 上村照昌

    説明員上村照昌君) 審査委員会決定されました場合に、事前に必ずしも相談があるわけではございませんが、随契にしました場合に、証拠書類その他に随契にした事由が出てくるわけでございます。で、たとえ相談を受けましても、事態が明確であって、随契にやることが差しつかえないということがはっきりしておるものでありますならば、随契が差しつかえないということは申し上げられると思うのでありますが、ものによりましては、その注文された仕事が、内容が十分に明確になって、初めて随契がよかったかどうかというような判断をせざるを得ないというような場合もあろうかと思いますので、全部が全部相談を受けました場合によろしいというお答えができるわけにはいかないのではないかと、かように考えております。
  101. 山田節男

    委員長山田節男君) これは防衛庁側にお聞きしますが、今年度において八百六十八億という防衛庁費が計上されておるわけでありますが、二十七年度、二十八年度、二十九年度、いずれも二百四十億ないし二百六十億円くらいの繰り越し金が生じておるというような事態から見まして、やはり迅速な予算執行、他の委員からも御指摘がありましたが、あまり予算が多過ぎるのじゃないかという懸念も、もちろん持つわけでありますが、一方においては予算の執行が非常に敏活を欠くのじゃないか、こういう点の根拠を。これは私の推測ですが、やはり現行の会計法規からいって、一般競争入札の制度によるべしということになっているが、随意契約による方が、調達実施本部を設けて自信を持って適正な価格で適正な要求物件を調達し得るのではないか、こういうことになるわけであります。しかし予算の執行の敏活な処理をするために、また発注したものの正確なものを得るという立場から、やはり現行法の会計、これは、これほどの重大な予算を執行するに当って、防衛庁に、そういう随意契約によると、こういう特権を許すかどうかということは、これまた大きな政治問題になりますが、実際上今おやりになっておる当局者として、ことに責任者として、やはりこの防衛庁に対しては会計法規上随意契約によるというような制度を設けられた方が、よりよく予算が効果的にしかも敏活に処理せられるという工合にお考えかどうか、この点を承わりたい。
  102. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ただいま委員長が御指摘になりましたように、随意契約の幅を拡げられますることによりまして、予算の敏活な執行ができるということはたしかだと思います。御承知のように、元の陸海軍あたりにおきましては、より敏活な予算の執行が可能なように相なっておったのでありますが、たとえば先ほど増原次長がお述べになりました艦艇の関係におきましても、御承知のように、旧会計法下におきましては、軍艦の買い入れというものはすべて随意契約だった。そこら辺のところは、私どものほうの調達実施本部なりその他の機構が充実をいたしまして、それらが十分に、そういうような随意契約という、ある高い程度の適正な判断を必要とするようなことにどの程度耐え得るかということと関連をいたしまするので、御指摘のございましたように私どものほうにおきましても、予算の執行をできるだけ円滑に、また合理的なる範囲において敏活に行うという点におきましては検討いたしたいと思います。目下のところは、こういうところに必要という結論にまでは至っておりません。
  103. 山田節男

    委員長山田節男君) もう一つお伺いしたいと思いますが、二十八年度決算を見ますと、調達計画の中で、編成装備の場合、これは相当莫大な金を要することはもちろんでございますが、この二十八年度米軍の画一的な装備をそっくりそのまま直輸入した形をもってこれを当てはめたという点が指摘されておるのですが、これは久保装備局長からその間の事情を詳細に伺いたいと思いますが、もっと総括的に考えますと、これは杉原長官なり増原次長にもお伺いしたいことは、全般的に、といっては語弊があるかもしれませんが、少くとも原則的な、あるいは根幹的な予算の編成、あるいは予算の執行等に関しまして、やはりこの安全保障条約、あるいは行政協定等もありますので、こういう予算の執行に対してもアメリカ側から干渉、とは申しませんけれども、相当関与するのではないか。そとにわれわれのちょっと常識で考えられないような、二十八年度におきましてアメリカの装備編成をそのまま受け入れるというととは、これはちょっと常識で考えられない。しかしあえてこういうことをせざるを得ないということは、アメリカが直接間接これに対して関与といいますか、私は決してインターフェアという言葉は使いません。関与するのではないか、あるいは強い忠言といいますか、アドヴァイスを与えるから、こういうことになるのではないか、かように考えるのですが、この二点について、一つ久保局長、あるいは杉原増原その他の適任者にその間の事情をできるだけ具体的に御説明願いたい。
  104. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 予算の執行につきましてアメリカ側が関与するという、今委員長がそこをインターフエァというような言葉ではないというふうに、非常に慎重な言葉をお硬いになりましたが、私は予算の執行につきましてアメリカ側が関与するというふうには、私はそう思っておりません。なお次長からも従来のことを、もし事情がありましたら説明させます。
  105. 増原恵吉

    説明員増原恵吉君) 予算の執行について米軍の方からとやかく申してくることはございません。長官から申した通り、装備等につきまして向うの定数表とか何とかというものを使うということが、残念ながら今までそういうことをやっておるということを申し上げましたが、たとえばこの批難事項に出ております乾電池につきましても、向うのほうで一応これくらいのものを使うというふうな定数があるわけです。これをわれわれのほうで実行した経験がないものですから、そのとき考え得るいろいろの情勢判断で、四分の一そのまま使ったわけではないのでありまして、その間に考え得る情勢判断を入れまして四分の一にしたが、なおかつ非常に多かったという、まあ結果になったわけでございます。その他のものにつきましても、参考としてそういう定数表なり何なりをもらって参りまして、二十五年以来急速にこの整備をいたしました際にこれを利用いたしました。当時として考え得る日本の特殊事情と申しまするか、そういうものはその際判断に入れまして、向うの、ことに消耗品的なものになりますると、二分の一とか、五分の一とか、十分の一とかいうふうな、しんしゃくは一応下してやっておるわけであります。従いまして、しんしゃくが適当であって余分のものなどを調達しないという場合もたくさん出ておるわけであります。しかしそれは事後だんだんと年数を経過するに従いまして、現在はそうした装備品の定数等についても委員会によりまして基本的な審査を行い、わが国の自衛隊の実情に即したものを今作りつつありまして、現にできたものもございます。実施に移しているのもあります。そういうことによりまして、早急にわが国自体の実情に即しましたものによりまして誤りのない実施をやりたいというふうに考えております。
  106. 山田節男

    委員長山田節男君) そういたしますと、まあ今日陸海空の自衛隊に相当アメリカの軍事顧問団がいるわけです。これらの軍事顧問団はいずれもその道の権威者に違いないわけです。ことに装備ということに関すれば、今増原次長のおっしゃるように、やはり日本は非常に遅れておるし、また新しいシステムで勢い向うのアドバイスを聞かなくちゃならん。そうすれば軍事顧問団は、顧問としてやはりいろいろの意見を述べるだろう。そういった場合に、こういう軍事顧問団のいわゆるその道の権威者である人々の意見を聞く、これは私はいいと思うのです。しかしこれを実際日本政府として、ことに防衛庁の当局者として、これを容れて予算の執行ということに私はなる場合が多いのじゃないか。私はあえてインターフェアという言葉を使わないけれども、関与するという意味は、軍事顧問団あたりが好意を持って一つのアドバイスを与えて、防衛庁当局としても陸海空の自衛隊おのおのがそのアドバイスを聞いて、そうしていろいろな例えば装備編成の計画等を立てる。従って調達計画によって具体化する。こういうことになるのじゃないかと思うのですが、そういう意味で私はこの防衛庁の、先ほど飯島委員も言われましたように、あまりにこの予算が重大過ぎて消化し切れない。しかしながらあるワクのものだけは取らなくちゃいかんというふうに、私はこれは防衛庁としてあくまで自主的におやりになっておることは私は疑いません。しかしながらその自主的なプランとしてお立てになる予算の編成上におきましても、こういったようなアメリカの軍事顧問団、あるいはその他の方面から、アドバイスの形なり、また他の形において、こういうあなたたちに知恵をつけると言いますか、そういったようなことがあるから、今いろいろ各委員から指摘されるようなことになるのじゃないか、かように私は申し上げたのですが、今の私のお尋ね申し上げた点については、杉原長官にしても増原次長にしても全然そういうととはない、かように言い切れるのかどうか。これはまあ今後の防衛庁決算の審議の資料になることでありますが、これはまあ政治的にお考えになれば、こと重大のようにおっしゃるかも知れませんけれども、しかし、われわれこの防衛庁決算を審議するに当りまして、常識的に非常におかしいのです。しかしながら、これは私たちは決して皆さんが最大の御努力をなさっておることを疑うものじゃありません。非常に誠実におやりになりながら、なおかつ他の官庁に見ないきわめて遺憾な事態が続出しておるということを、私ども防衛庁自体の身になっても、一つこれは審議したいという意味から御質問申し上げたわけです。決してこれをジャーナリスティックに扱うという意味で今申し上げておるわけじゃないのでありまして、できればこの点は一つやはりフランクに当委員会等に、これはあえてすれば秘密会でもよろしゅうございます。また今日でなくてもよろしゅうございますけれども、やはり率直に当委員会へお示し願ったほうがいいのじゃないか、かように考えますから御質疑申し上げたので。今日でなければ他の機会でもよろしゅうございますから、あるいは御要求があれば秘密会にいたしますから、当委員会に、一つ内幕と申すと語弊がありますが、一つ明らかにし得る程度のことは、事態をはっきりわれわれの頭に入れていただきたい。かように希望いたします。  そこでもう一つ、先ほど久保装備局長に御質問申し上げた二十八年度にアメリカの画一的な装備をそのまま日本に当てはめた、きわめて何と申しますか自主性のない、これこそ予算の執行上アメリカが関与したのじゃないかというくらいな懸念を持つわけなんであります。この間の事情をもしおわかりならば、御説明願いたいと思います。
  107. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 二十八年度につきまして相当米軍のものをそのまま使ったということでございますが、格別に深い経緯があるということではございませんので、もちろん部隊の編成その他については、大体向うの形をとっているわけでありまして、従ってたとえば装備品の中でも、甲類装備品といいますか、全く向うから一〇〇%もらうものがございます。たとえば火器、特車、それから無線機の一部等、こういったものについては全く向うの定数を、そのまま供与を受けているわけであります。ところが向うから必ずしも供与が、一部供与は受けますが一輪は国内調達といったようなものが、あるいは無線通信機、あるいは車両等についてあるわけであります。ただしこれにつきましても、向う側の定数、装備品乙につきましても、必ずしも向う側の定数をそのままとっておりませんで、基本的には参考にいたしておりますが、たとえば車両類、無線通信機類にいたしましても、これは大蔵省の意見も聞きまして、もちろん防衛庁自体としても考えまして、たとえば普通のトラック四分の一トンなり四分の三トン、これは一例ですが、これにつきましても、いわゆるアメリカ側の定数よりも一割五分、あるいは多いものには二割ぐらいカットしたものを定数にしている場合もございます。というようなわけでありまして、装備品乙につきましては一〇〇%向うのままということで、予算を要求あるいは実施しているとは限っておりません。むしろ大物につきましては、みられる限りの範囲ではそういった検討を加えまして、できるだけ経済的にという考慮は十分に入れております。ただその点の考慮なり検討が全般的に細部にわたって十二分に、時間的制約もあって遂げられていないといった面に、若干たとえば対空布板のような例も実は起きたのでございまして、われわれとしては、ことに装備品乙につきましては一通り目を通し、もちろん検討もして、経済的な運営ということを心がけて参ったつもりではありますが、一部そういった比較的小さいものについて、検討が十分に及ばなかった面がある。それにつきましては引き続きこういう面、批難事項も十分に念頭に入れて検討し、それについては結論を得つつあるという段階でございます。
  108. 増原恵吉

    説明員増原恵吉君) ただいま委員長から御質問のありましたことについてお答えをしたいと思いますが、ただいまおります米軍の顧問団は、米国から自衛隊に貸与をいたしまする装備品が、貸与をします目的は日本の防衛に役立てるということでございます。その目的に沿って使われているかどうかを監察するという権限を、条約によって持っているわけであります。その目的のために置かれておりまして、その目的のために活動をいたしておるわけでございます。で、現在東京に本部がございまして、ほとんど全部が東京におるわけであります。一部地方におりまするのは、私どものほうの富士学校という富士にありまする陸上自衛隊の学校、それから北海道の方面総監部におりまするものと九州の、これは今度の予算では方面総監部にしたいと考えておりまする第四管区におりまするもの、それだけ地方にはおるわけでございます。そうして現在この顧問団の人たちがやっておりまするのは、本来のそうした貸与したものが目的に沿って有効に使われておるかどうかということを見ておるという以外は、私ども防衛庁においていろいろのことを計画したり何かする場合に、資料を出して、参考意見を聞かしてもらう。これが実は非常に何と言いまするか、向うの諸君も熱心に援助をしてくれておるのであります。これは完全にいわゆるわれわれに参考意見を出してくれるということでございまして、お尋ねのありましたような、予算執行に関しまして何らかの関与があるというふうな事実はないわけでございます。沿革的に申しますと、ごく当初の時期、ことに講和条約発効までの時期においては、これはいわゆる顧問団というような名前がまだ正規になかったわけでありますが、通常、顧問団、顧問団と称しておりました時期、当初の警察予備隊発足の時期においてはアドバイスと同じく呼んでおりましたものが、私どもとしてそういう面に知識経験その他が十分にないために、向うのアドバイスを相当に受け入れているという形はあったという事実はあります。しかしこの当時といえども、いわゆる指図がましい、干渉がましいことはしないということは、顧問団としては十分注意しておったところでございます。講和条約発効後におきまして、現在に至るまで、ことに昨年度の当初ころまでは少数ながら各部隊におりました。当時は御承知のように、貸与を受けておりました武器、小銃、機関銃、砲その他がまだとちらに引き渡しをするという手続をとっておりませんで、保管責任者米軍の将校である。ごくまれに、機関銃がなくなったというようなことがあったのでありまするが、その場合に、この紛失の責任者はその管理の米軍将校ということで、この将校が賠償をしたというふうなこともあったのであります。そういう建前で各部隊におったのでありますが、昨年度におきましてMSA協定を結ぶことと関連をいたしまして、各部隊からは全部こうしたいわゆる顧問団将校が引き揚げまして、ほとんど全部が東京におり、北海道と九州、富士学校にごく少数の者がおるという状態でありまして、現在において予算等の執行について何らかのかかわりを持つというふうなことはないのでございます。
  109. 杉原荒太

    国務大臣杉原荒太君) 一言私からもつけ加えておきたいのでございますが、委員長承知の通り、前にはいわゆる顧問なるものが軍隊等におったわけでございますけれども、今次長からもちょっと申し上げましたが、現在おりますいわゆる顧問団というのは、これは私から特に申し上げるまでもなく、いわゆるMSA協定に根拠しておるものでございます。それは自衛隊の顧問というのじゃない。御承知の通り条約にも書いておりますが、その系統はアメリカの大使館の系統におるのでございますから、以前とはその点は性格も違っておる。これは委員長承知の通りでございます。
  110. 山田節男

    委員長山田節男君) それからもう一つ、これは物資購入のことにかこつけての御質問を申し上げたいと思うのですが、この間或る同僚議員に、どうも現在の自衛隊の隊員の服装等が、かつての警察予備隊すなわち占領軍政下にあった場合よりも非常に服装がだらしがない。たとえば冬のユニフォームを見ましても、全くかつての軍隊毛布のような地で、だぶだぶで、従って折目もつかないようなものを着てまことに醜い、こういう話を伺ったわけです。私もそのことにつきましては、自衛隊の所在地あるいは自衛隊員が市街に出て来て散歩するのか買い物をするのか知りませんが、ぶらぶらしているのを見まして、確かにそういう指摘を受けてみると、私のしろうと目から見ても、警察予備隊の占領軍政下のアメリカがいわゆる直接施導をしておった時代に比べますと、着ているユニフォームの質等が非常に物が悪いように見えるわけです。従って自衛隊員が警察予備隊の時代に比べると非常にスマートさがなくなった。これは私は感じるのです。ですから、先ほど来いろいろ各委員から質問もありましたが、物資の購入について予算を節約するということは、私はもちろん非常に重要なことだと思います。しかしこれは世界各国、殊に新興国家の東南アジア諸国に行って見まして、巡査並びに防衛関係の要員の服装はきちんとして、やはり一つの国民のシムボルといったような格好にしていると思うのです。そういう見地からいきますと、まことに指摘されたように、今日の自衛隊員の服装からみても、やはり調達される物資が予算上制約されるのかどうか知りませんが、警察予備隊の時代から比較すると、非常に何といいますか、だらしないと言っちゃ語弊がありますが、あまりいい感じがしないわけです。こういう点が防衛庁の最高責任者としてお気付きになっていないのじゃないかと思います。同僚議員の指摘されたということも、何もたくさんな金を使い、立派な服装をさせるという意味じゃないのですけれども、この点について少し管理等がゆるんでいるのじゃないか、こういう意味で私はこの意見を聞いたわけでありますが、こういう点について防衛庁最高責任者としてお気づきになっているかどうか。これは予算上やむを得ないので、やはり悪いものを着せるのもやむを得ないのだ、こういう御関係でああいう服装をして市街を歩かされるのか、この点を一つお聞きしたい。
  111. 増原恵吉

    説明員増原恵吉君) 今御指摘の点は、私ども特にいわゆる初期の警察予備隊の時代と比べて、服装が非常に落ちているというふうに実はまだ感じておりません。私どもとしては、服装は十分清潔にしてきちんとしたなりをするようにということを、海陸空ともそれぞれ幕僚監部においても強調いたしているところでございます。ただ地質の点から言いますると、最初の第一回に調達をしましたものは、冬服等はいわゆる純毛であったのです。たしか第二回以後は混織をいたしました。スフなり合成繊維なりを混織をいたしております。これは他のそういうふうな方面と皆同様の措置をとっております。しかし多少の混織がありまするから服装が非常に悪くなるというほどのものではないというふうに考えておりまして、服装については平素きちんとするように、手入れなり寝押しなりしっかりやるように、しつけはしていると思っておりますが、御注意に従いまして、なおその点よく取り調べ、さらに一そうの注意を徹底させるようにしたいと考えます。
  112. 中川幸平

    ○中川幸平君 二十九年度の繰越金も昭和二十八年度と大差のないような多額の金額になっておるということ、批難事項も相当数多くあるというような点から、こういう委員会から委員長を通じて予算委員会と連絡をとるというような飯島さんからの話もありまして、ごもっともと存じますけれども、なるほど批難事項だからそのようなことはまことに遺憾なことでありますけれども、この繰越金の多額ということについて、まあ予算編成の建前からいえば、むろんいいことでありませんけれども、他の省と違って、まあ言ってみれば、防衛庁予算は非生産的な予算であるから、多額の繰り越しがあったからといってそう責めるべきものじゃないじゃないか、またいろいろの事情もあったから、おのずからさようなことに相なったことだろうと思うのです。殊に明後日まだ防衛庁関係の審議を続けることになっておるのでありますから、いろいろ質疑を重ねて、杉原長官増原次長の所信を聞きただして、そうしてなお納得のいかぬという場合に、一つ委員会として協議をして、さような処置をとってもらいたい。ただいまのうちに、防衛庁繰り越しが二十八年度も二十九年度もかような大きい繰り越しがある、また批難事項も非常に多いというようなことを、今直ちに予算委員会に連絡をとったり何かしてもらってはどうかと、かようなことを感じますので、さようなことに処置をとっていただきたいと思います。
  113. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑ございませんか。……じゃ、もう一つちょっと私からお伺いしたいと思うのですが、先ほど装備局長の御答弁だったと思いますが、この調達実施本部ができて、調達要求を各幕僚監部から出して、それを特別の、これは委員会といいますか、六つの委員会に、分科会に分けて、そうしていろいろ審議されるというようなことを聞いたわけですが、いわゆる調達要求というものは、いわゆるプロキュアメント・ディマンド、P・Dと称するものではないかと思います。こういうことの一つのアメリカ式の調達をされるということになると、先ほど、どなたか委員からも御質問がありましたが、支出負担行為に対しましての最後の決裁者はだれが責任を持つのか。アメリカの制度では、御承知のように、いわゆるコンプトローラーというものがおって、このサインなくしていわゆる金の支出ができない。日本の今日の会計法規から見て、今のような調達方式がされた場合に、最後の経理支出の責任者は具体的には一体だれなのか、これを一つお聞きしたい。
  114. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) 契約に関しましては調達実施本部に属します支出負担行為担当官、現在の契約担当の本部長となっております負担行為担当官が最終の責任者であります、契約に関しましては。
  115. 山田節男

    委員長山田節男君) そうしますと、その調達実施本部の支出負担行為担当官はアメリカのコンプトローラーと同じ権能を持っておるのかどうか。今日の日本の会計法規上、そういうことがあり得るのかどうか。この点をはっきりしていただきたい。
  116. 久保亀夫

    政府委員久保亀夫君) アメリカのコントローラーは、単に契約のみならず、予算全体について文字通りコントロールする権能を持っておるのであります。ただいま申し上げました支出負担行為担当官は契約締結についてのみ責任を負うわけでありまして、あるいは相手方の選定の是非、購入の単価が高過ぎたとか、原価計算が当を得ないとか、そういった問題について一切の責任を担当官が負うわけであります。アメリカのコントローラーとはかなり違ったものではないかと思っております。
  117. 山田節男

    委員長山田節男君) ほかに御質疑はございませんか。……それでは明後日第二回の保安庁関係決算を審議することといたしまして、本日はこれをもって散会いたします。    午後四時四十五分散会