○
説明員(
保岡豊君) 百ページからございますが、これをごく
概要だけ簡単に申し上げたいと思います。
国税庁管下の
税務署など、
課税の面、
徴税の面などを
検査いたしました結果、
不当事項として取り上げました
件数が、五十四号から九十三号まで四十件、前年
——二十七年度より非常にふえたようでありますが、二十八年度
検査でこの方面をまとめたのでありまして、前年度より事態が悪化したというわけではないと思います。五十四号から五十七号まで四件は
法律で明瞭に
青色申告法人として取り扱うべきでないものを
青色申告法人として取り扱って、その恩典である
準備金の控除、
欠損金の繰り入れ、繰り戻し等を認めて減税したものでありまして、違法の
措置であるというわけであります。
青色申告法人として取り扱うには
承認申請の
期限がありまして、その
期限以内に申請しなければならんことになっております。
法人税法二十五条三項が、「までに……提出しなければならない」とありまして、
裁量の余地はないのであります。しかるにここに出ております例は全部七十日以上過ぎて
期限を越えておりまして、そういうことに対しまして、
当局の御
説明は
制度ができてから間もないということを言われておりますが、
制度は二十五年四月に制定されておりますから、みな相当経っておりまして、育成したいためと言われても、育成の
方法は別にあると思います。また
期限までに申請するということができなかったやむを得ない
理由があると言い、
帳簿処理が
法律に定める条件に合致しているというようなことも、これも当然なことでありまして、そうでなければ認めないのでありますから、そういう
理由で
裁量することは違法の
処置である、法のワクを越えた
裁量はよくないのではなかろうか。しかもここに取り上げましたものは先ほど申し上げましたように、はなはだしく過ぎたものだけでありまして、一日や二日のものは違法ではありますが、ここに取り上げてはいないのであります。同様な例で
あとから
説明いたします
是正事項に出ておるのもあるのです。ある
国税局管内では、同じようなものが是正されている。ここに書いてあります
大阪国税局におきましてさえも是正した例はあるのであります。そいうことでありまして、これは
政府の御
説明にはいま私申し上げたようなことが書いてありますけれ
ども、これはゆるやかにし過ぎた取り扱いではないかと、こういうわけであります。
次の五十八号は贈与の事実があったのに、
資産税係りで
法務局関係の
資料の収集が不十分で、
法人税係りとの
所内連絡がよくなかったため、五年の時効が完成いたしまして
徴収不能となったものでありまして、こういう例は珍しいのであります。
次に、五十九号から七十一号まで十三件、総額、約一千万円は還付する税金があったときまず
未納の
国税に充当することになっておりますのに、
未納の
国税があるのに充当しないで還付したものであります。その結果一部六百万円は九月末現在でまだ納入されていないというわけであります。それは百二ページに表になっております。下から三段目が還付した当時の他の
未納の
国税額で、二段目がその充当すべき
金額であります。欠損繰り戻しによる
法人税の
還付金は
還付加算金を加算しないで還付したものが六十一号と七十一号、その他は
過誤納にされた
還付金であります。
金額の多い六十八号は
滞納額があることを知りまして、一
たん充当処理をしながら、会社の
資金枯渇に同情いたしまして取り消して還付した例であります。
次に七十二号から九十三号まで二十二件は、
滞納に対する
処置がよくなかったため、
不納欠損としたり、
処分の
執行停止をしなければならなくなった
事項十万円以上のものを
税務署ごとに一件としたものでありまして、
処置よろしきを得れば、その
金額は
徴収できたと認めらるるものであります。前文にありまする
態様別に申し上げますと、差し押えながら
登記、
登録をしなかったため
処分されたものは七十三号、七十九号、八十一号、八十七号、八十九号でありまして百五十万円ばかり、差し押え物件が
換価価値を失ってまた差し押え中保管を委託しておる間に
滞納者に
処分されたものは七十二号、八十一号で百三十万円ばかり、
滞納処分票をふん失したりしたため何ら
徴収措置をとらなかったものは七十五号、七十九号、九十二号で六十万円ばかりで、その他は全部財産差し押えの時期を失したものであります。財産差し押えの時期を失した
原因は財産調査不十分、差し押え時期の判断を誤った
原因は
滞納者の
社会的地位やその
納付誓約を過信したものなのでありまして、
登記登録をしなかった
原因は税務多忙による失念であるとか、
登記登録の書類を不備のまま
法務局などに提出いたしまして、つっ返えされまして、そのまま放置したものなのであります。以上この
執行停止などにつきまして
国税庁では
再発防止に対しては十分お
考えになりまして、通達などによって
処置を講ぜられております。
次に九十四号の前段は、
法人税徴収に当りまして一度
徴収しておる
金額を再びダブって
徴収いたしまして、しかも長期にわたって放置したため二十三年十月一日から二十八年五月八日まで放置したため
利子であります
還付加算金を
還付金と同額ぐらい支払うことになったものであります。後段は
還付加算金の
期間計算を誤まって支払ったものであります。是正されております。百二十九号は
不正行為でありまして、
東京国税局で
通報報償金と払戻金の
小切手を勝手に
支出官印を押しまして、
小切手を切離してとったものと、わずかでありますが、
隔地送金通知書が居所不明で返されていたものをとったものであります。その他五十万円以下のものもありますが、先ほど
長官の御
説明にもありましたように、
税務署関係の犯罪は相当減っております。
次に是正さした
事項といたしまして、掲げたものを
説明いたします。
検査の結果、
照会をしまして是正されたもののうち、一
事項、十万円以上のものを
態様別に分けまして、これを
税務ごとに
集計いたしまして、
税務署ごとに一件としたものであります。前年度と違いますことは、前年度は、たとえば百十九ベージにありますが、
個人の
取引関係等の調査不十分なもので
集計いたしました。ところが今年度はそのまた
細分である(ア)、(イ)という
態様の
細分、ことに
集計したものですから、前年の一件になるべきものが二件以上にふえております。これは
別表の三百八十七ページ以下に載っておりまして、それで
徴収過不足、すなわち
課税に関するもの二十七年度三百七十三件であったものが、百三十号から七百九十八号まで六百六十九件ということになっております。これは二百九十六件の増となったものであります。二十七年
並みに直してみますと、五百三十一件になりまして、二百九十六件の増でなくて百五十八件の増ということになるのです。
金額は
集計のいかんにかかわりませんで、二十七年度に比べまして、
不足は約一億四千万円増、過が約三千万円増となっております。百二十三ページの
徴収に関するものは、二十七年度二十三件でありましたものが、七百九十九号から八百三十三号まで三十五件、十二件増ですが、これも二十七年度
並みに直してみますと、二十九件、六件増、十二件増が六件増となります。
金額は一千五百万円を増加しております。従いまして、二十七年度と比較しますとき、
課税、
徴収双方合計、増が三百八件のうち、百四十四件は
税集計の増でありまして、純増といたしましては、百六十四件であります。先ほど申しました
事項数では、両年度取り方に変りありませんものですから、六百二十四件、これは
検査報告には、この
事項数は現れておりません。六百二十四件、こういうものが千九十八件となりまして、約七六%を増加しております。
金額では二億五千万円が四億三千万円、七四%増加しております。こう申し上げましても、
税務署の
事務が悪化したということではありません。
照会を差し上げまして、それによって是正され
回答が早くなった、是正されたという
回答が早くなったことを意味することが多いと思います。また再
照会を要するというものは少くなったこともその
原因と
考えられます。
当局の御協力によるものだと私思っております。
態様細分、(ア)、(イ)、(ウ)、(工)、(オ)などは努めて具体的に表現したつもりでありまして、あ
まりこれを具体的に表現いたしますと、数ばかり多くなるのでありますが、なるべく具体的に表現したつもりであります。
別表第一の三百八十七ページ、第二、四百三十八ページに表示してありまする一件々々の
過誤の
態様を
説明したつもりであります。それですから、この中に入っているのは、
態様の
過誤である。こういうふうにお
考え願いたいと思うのです。百十九ページの末のほうに、「(ア)に属するものが最も多く」としてありますが、六十六件であります。
不足約七千四百万円であります。それから(二)のうち(カ)
事業税、
利子税は損金に加担することができますが、その
処理を誤ったもの三十一件、
不足一千一百万円、過六百万円、(ケ)前期以前の
否認金を当期に認容するか、しないで誤ったものが三十五件、
不足一千万円、過七百万円。(三)のうちでは、
青色申告であるかないか、諸
規定及び
経過規定の
適用を誤ったものが六十件で、
不足二千三百万円、過八百万円。次の(四)が一億以上ありまして、これが一番多いのであります。二十七年度の二倍近くふえております。せっかく
資料があるのでありますから、これを利用しなかった
誤りは私遺憾に存じます。(ア)
認定賞与、
譲渡所得の
資料について、
税務署間または署内の
通報連絡をしなかったものが百十一件、
不足八千六百万円、過二百万円で、一番多くあります。次の(五)のうちでは
徴収義務者の納付していないものを、
源泉徴収とか、そういうものを当然納付できるわけでありますから、しないものを、強制
徴収しなかったもの、これは強制
徴収すべきであります。強制
徴収しなかったものが四十一件、
不足三千五百万円。(六)はその他ということになっておりますが、(ア)は
誤算です。これは単なる
誤算、
計算の
誤り十二件、
不足二百万円、過百万円が滞番多くあります。次に、
徴収では、一
納処分の
執行停止を、しなくてもいいのにしていたもの、これは是正されたものです。二十四件、二千万円、これが一番多くありまして、これも
署内連絡の不十分によるものであります。
以上要約いたしますと、
個人の
経理内容または
取引関係の調査並びに
課税資料の
通報連絡または活用が不十分なものがなお多い。それから
租税法規の
適用を
誤り、
徴収過不足を来たしたものが多い。それから
滞納処分において、財産に対する差し押えの時期を失しましたり、または
停止理由に該当しないものに、
執行停止をしたものが多いということが言われまして、特に
税務署間及び署内の相互の
連絡を緊密にして、
徴税事務の周到な遂行を望みたいのであります。
—————————————