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委員外議員(
山田節男君) 今の岡
委員の質問に関連してですが、私も先ほど
十河総裁が、
新宿の
交通センターを
民衆駅のシステムでやるのだ……、私はそこに非常に大きな、私は何といいますか、不安がある。一体こういう
請願が出、また反対の陳情が出るというようなことは、たとえば
東京駅の会館にいたしましても、あるいは京都の駅の
民衆駅を見ましても、駅がまるで
商店街になってしまう。ステーションという本来の機能はなくなってしまう。
交通サービスという面に対してはどうしてもこれは削減されます。ことに
新宿のような
商店街の非常に多数存在するような地域においてデパートのようなものを、競争者を作るというところに、これは悲痛な社会問題が起きてくるわけです。だから
十河総裁が
民衆駅ということを原則にするのであるというお
考えをもしお持ちであるということがほんとうだとするならば、私は
国鉄としての本来の使命を忘れているのじゃないか。少くともあの
新宿のようなところならば、まず第一にこれは
国鉄がイニシアチブをとる、その次には
東京都がそれに協力する、それに
あすこに
関係のある私鉄の路線を出している会社がこれに協力して、あくまで
交通サービスの、
利便の改善ということに重点を置くならば……。そういう
民間資本がこれは
商店街、店舗を張るという、そういう営利的なものをそこに加えるがために派生的な重大な社会問題が起ってくる。
国鉄としてはこれはあくまで
交通サービスの改善、あるいは混雑の
緩和ということを根本にお
考えにならなければならない。それがために、都にしても、あるいは
国鉄にしても、あるいは国民にしても、これは問題として黙視できない問題です。十分これは、いかに貧弱なる
財政といえども、三十億や五十億の金は、これは国でできないことはないと思うのです。そこにどうも
国鉄に改編した、運輸の総括的な
国家代行機関の
国鉄がどうも、頭が中途半端になった……、これは
国家代行機関である。これは
公共の、
交通サービスというものを統制するもうあなたは最大の責務を持っていらっしゃる。むしろ堂々として
国鉄がイニシアチブをとって、都にこれを協力せしめ、私鉄会社にこれを協力せしめて、三十億や四十億の命ができぬことはないと思う。そこにどうも
十河総裁、あるいはその前の長崎君にしてもあるいは加賀山君にしても、どうも
国鉄になっちゃって、公社になっちゃってから、いやに中途半端な、商売人のような気持になってしまって、優柔不断な態度は、今の
十河総裁の言葉を聞いてもまことにこれは優柔不断だと思う。この
交通の混雑は一日たりともゆるがせにできない。これを
緩和する責任は、これは
国鉄にあると見なくちゃいかん。都にあると見なくちゃいかん。ですからもう少しあなたはこういう
交通行政ということについては、
国鉄は
国家代行機関として当然私はもっと権威をもってやってほしい。しかも
民衆駅のわれわれが問題にする点は、こういう
民衆駅というものができた
財産関係というものは一体どこにあるか。公的なものか、あるいは私的なものか、法的にも多分に疑問があると思う。ですから
いたずらにでき上った権利
関係に混雑を来たし、またああいう繁華街の多い
商店街の生活を脅かすようなことをこのような
構想でやると、今のように、いつ一体でき上るのか
見通しがつかんということになり、これでは私はいかぬと思う。そこが私は、
国鉄が
一つのマンネリズムに陥ってしまって、官僚主義のマンネリズムに陥って中途半端なものになっている。何ら権威のない、イニシアチブをとり得ないものになってしまっている。まことに私は
国鉄本来の使命が、日が経つにつれて没却されてくることをおそれているからこういうことを申し上げる。
ですから、今のような、いつ実現するかわかりませんということではまるで私
たちも、この八百万の
交通に依存する国民の
利便ということを
考えますと、私は
十河総裁としてこの
民衆駅ということを
考える前に、まず
国鉄当局として権威を持って引っぱっていくのだ、そうして同店なんかをそこへ設けるなんということは
考える必要はないと思う。そうしてこういう
新宿建物株式会社というものを作ってしまって、第二の
鉄道会館になって、もうけるのは
鉄道会館です。金を集めるためには、商売人ですから出すでしょう。命を集めることは非常に容易であるかもしれないけれども、むしろ複雑な
関係になって、
国鉄の権威を失ってしまう、こういうことが現実だと思う。こういう点について私はもう少し、
十河総裁初めてかも知れないけれども、伊藤
施設局長——前の
施設局にも私はやかましく言っているのです。この点を私は、もう一歩あなたの方で
国鉄の権威を回復して、これはいかに
資本主義制度でやっているからといっても、こういう
交通機関に対しては
国鉄は厳然として
公共機関としてお立ちにならなければならぬと思う。その腹がまえがないために、もう一年がかりでもっていつまでも解決がつかぬ。どうですか、
十河総裁、もう少し強腰に出ておやりになる必要が私はあると思う。そんな日脚がつかんような、反対があるからまあまあ仕方がないということでは私はいけないと思う。どうですか、あなたはそういう決意をこの際おつけになる必要があると思う。他の
委員の御
意見を伺ってからでもよろしゅうございますが、こういう点については、私はもっと権威を持ってやり、
運輸省にも十分協力せしめて、そうしなくちゃこれは、こんな毎日七十万、八十万の混雑をしているものを、しかもその駅がいつできるかわからぬということでは、私どもとしては非常に不安なんです。どうですか、そういったようなお気持はあなた今なおお持ちにならぬですか、それは重大なことです。