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1955-10-11 第22回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年十月十一日(火曜日)    午前十時五十三分開会   —————————————    出席者は左の通り。    委員長     小松 正雄君    理事            野本 品吉君            岡  三郎君            中川 幸平君    委員            石井  桂君            大谷 瑩潤君            鹿島守之助君            木内 四郎君            西川彌平治君            白井  勇君            白波瀬米吉君            宮田 重文君            飯島連次郎君            奥 むめお君            島村 軍次君            大倉 精一君            近藤 信一君            市川 房枝君    委員外議員   山田 節男君   事務局側    常任委員会専門    員       池田 修蔵君   説明員    会計検査院事務    総局第五局長  上村 照昌君    日本国有鉄道総    裁       十河 信二君    日本国有鉄道施    設局長     佐藤 輝雄君    日本国有鉄道臨    時財産管理部長 篠原 武司君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告国家財政経理及び国有林産管理  に関する調査の件  (国鉄新宿民衆駅に関する件)   —————————————
  2. 小松正雄

    委員長小松正雄君) それではただいまから閉会中の第三回決算委員会を開きます。  まず、ただいま懇談中にお願い申し上げました委員派遣の件でございますが、あらためてお諮りをいたします。九州班委員派遣報告につきまして、木島君から御報告することになっておりましたが、御出席がどうしても不能であるということと、青柳君も本日出向きまして、代読をすることになっておりましたが、これも懇談中に申し上げましたごとく、どうしても今朝着くことができないことになりましたので、口頭報告を省略いたしまして、会議録に挿入することにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小松正雄

    委員長小松正雄君) それでは異議ないと認めまして、さよう決定することにいたします。   —————————————
  4. 小松正雄

    委員長小松正雄君) なお、委員派遣の全般的な問題でございますが、この四班の委員派遣の件につきまして、何か御異議がありませんか。——発言がございませんので、異議ないと認めます。よって派遣委員の件は終了したものと決定いたしました。   —————————————
  5. 小松正雄

    委員長小松正雄君) 国家財政経理及び国有財産管理に関する調査のうち、国鉄新宿民衆駅に関する件を議題といたします。  まず本件の概要について十河国鉄総裁から説明を求めます。
  6. 十河信二

    説明員十河信二君) 新宿駅の改築につきましては、御承知通り七十万人も毎日昇降いたします。いろいろな点において改善しなければならぬ点が多々ありまして、だいぶ前から問題にして研究いたしております。それらの歴史、経過等について詳しく施設局長からお答えさせたいと存じます。
  7. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 新宿駅のこの民衆関係について御説明申し上げます。  新宿駅は先ほど総裁が申されましたごとく、私たちといたしましては、交通センターでございまして、一つには東京付近通勤輸送の問題から考えなければならぬ問題がございます。これは主として中央線急行電車による通勤輸送の問題、なお山手環状線輸送の問題、その他中央線緩行線による輸送の問題、こういうのがございます。これは新宿駅の乗降場の問題、駅本屋の問題というものに関連しております。またそのほかに中央線対東海道、あるいは東北、常磐、上信越との関係の貨車の操車の問題、中継の問題、こういうものがありまして、これらにつきまして、われわれは各面から検討いたしまして、現在の新宿駅を改良しようとしております。  こういうような状態でございますが、新宿駅の東口につきましては、一日十七万人くらいの乗降客がございまして、現在非常に雑踏しております。それでこれにつきましては、戦災都市計画委員会におきまして、新宿東口都市計画を決定しております。そのときに国鉄といたしましても、将来東口駅本屋を新しく作るということを決定して、建築線をきめております。で、これに対しまして、二十五年に日本停車場株式会社矢下治蔵という人から新宿民衆駅を作りたいという出願がございました。その後三十五年の九月に、西武鉄道株式会社が、高田馬場に参っております線を新宿へ延ばしてくることについて、新宿駅へ乗り入れたい、こういう出願がございました。その後二十七年の一月に、高島屋の社長から、新宿東口民衆駅を作りたいという出願がございました。それから二十八年にこれが変りまして、新宿停車場株式会社ができまして、それから新宿駅の民衆駅付設の請願が出ております。  で、これは規模から申しますと、大体建坪が約千坪、地下二階、地上八階の規模でございます。で、はっきりいたしませんが、一階、二階は、私たちの方の関係ですと、どうしても鉄道施設になるのでありますが、その上をデパートにするような考えを持っております。それからさらに駅前広場を、これはまだ鉄道土地になっておりませんですが、駅前広場を掘りまして、その一部分を自動車駐車場にする、また一部は商店街にしようという計画でございます。これらにつきましては、先ほど申し述べましたように、私たちといたしましては、新宿駅というのは、私たちの方の通勤輸送、または遠距離貨物輸送、その他の上から非常に問題がありまして、私たちの方としてもいろいろ検討しているのでございまして、まあ駅本屋東口駅本屋も近く作らなければならぬと思ってはおりますのですが、なかなか金の関係も相当かかりますし、どういう順序で改良していくかということも現在検討中でございます。  従いまして、この上にまだどういうものが乗るべきかということはまだ深く検討しておりません。いずれにしても、まあ公序良俗に反するようなものが乗っては困りますし、また駅としての公共性を害するようなものが乗っては困るというふうな考えを持っている次第であります。
  8. 小松正雄

    委員長小松正雄君) では御質疑のある方は順次御発言を願います。  山田君から委員外発言を求められておりますが、これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小松正雄

    委員長小松正雄君) では山田君の発言を許します。
  10. 山田節男

    委員外議員山田節男君) この民衆駅の問題については、当委員会も相当な関心を示して、なお今日継続審議になっておるわけですが、国鉄の方でこの民衆駅の運営委員会を作られたわけなんですが、今回こういったような新宿という帝都の現在並びに将来においても最も交通上重要な一角に、こういう民衆駅というものを建設するということについては、これは都市の、首都建設委員会というもの、運輸省交通政策というもの、それから新宿区なら新宿区としてのいろいろなものもあるだろうと思うのですが、そういったようなものの総合的にいろいろな意見を開いて、ことに将来の首都交通交通政策という立場から考えて、単なる国鉄だけの問題ではないのです。で、そういう面から何か総合的な一つ機関で、再び鉄道会館のようなああいう中途半端なものを建てて、いたずらに混雑して、ステーションというような本質を忘れるような結果になることを本委員会としては従来非常に憂えているわけです。それがためにわれわれ非常に強く要請して、国鉄民衆駅の運営委員会を設けていろいろ検討してもらっているわけです。  ですからこの新宿というような、少くとも東京の最も重要な地点にそういうものを建てるについては、国鉄としては根本的にどういうような構想をもってこういうような一般民間会社の要請を総括的に、また市民公共利便に資するようにするのか、それに対する根本的な御構想があれば総裁その他の人を通じて本委員会に示してもらいたい。
  11. 十河信二

    説明員十河信二君) 国鉄は御承知通り戦災に合いまして、停車場等も大へんな被害を受けて、これを早く旅客公衆の便利なように、また都市計画都市美等にかなうように整備をしろという要望を皆さんからいただいておるのであります。何分にも御承知通り非常に財政の苦しいときでありまして、この要望にこたえることが非常に困難な状態にあるのであります。それからまた戦争後は御承知通り土地が非常に暴騰いたしまして、従来のように国鉄の必要な建物を一階、もとは二階だけで使うということは、立体的に利用しないで、一階、二階だけを使うというふうなことであまりに何かぜいたくにもなります。また都市美観、あるいは公衆に対する不便等もあります。できるだけこれを立体的に利用して、一面においては国鉄財政負担をできるだけ軽くし、他面においては旅客公衆の便益をはかる、また都市美観、ただいまお話しのありましたような総合的の交通関係の上においても便利なようにということで、いろいろ民間の御意見も伺いますし、もちろん運輸省その他の関係官庁、また東京都、商工会議所等の各方面の御意見を総合研究いたしまして、今御質問のありましたような御趣旨に沿うように目下検討をいたしておるところであります。
  12. 山田節男

    委員外議員山田節男君) これは私今回ソ連に行きまして、モスクワ—モスクワ人口五百万、新モスクワを入れますと人口七百五十万と称しております。ここの交通を見ますと、路面電車はきわめて僅少であります。それから日本のような環状線というような電車はありません。それから自動車バスは相当ありまするけれども、しかし日本のようにいわゆる普通の、二階建でないバス、それで交通量のほとんど七割は地下鉄でやっている。御承知山手線に相当するようなものはループ・ラインの地下鉄がある。これはロンドンと同じように円を三つの線で割ったような工合にして、三重の地下鉄になっている。これは非常にソビエトとして特殊なものらしいですが、これを見ますと、都市交通緩和というものはもう地下鉄緩和するよりしようがない。現にモスクワ大学方面の総合大学を中心にした新都市、これも地下鉄を三本今つけておる。そういう工合都市交通緩和というものは路面交通ではもう整理し得ない。どうしても地下鉄にならなきやならぬというのがソ連根本政策なのです。  従ってキエフ、レニングラード等においても地下鉄を設計しております。それからポーランドのワルシャワに行きましたところが、ワルシャワ人口まだ百七十五万、ところがこれは市街がほとんど九〇%破壊されて、新都市計画をどんどん実行しておりますが、これも路面電車を廃止してすべて地下鉄でやるんだ、こういうりっぱな計画を作って、現にその工事に着手しておるわけであります。東京人口も八百かに近いでありましょう。で、これは私営バスあり電車あり、きわめて無計画なのです。しかも都市発展が平面的な発展をするために、ますますこういう交通機関が混雑しておる。こういうような現状であれば、少くとも国鉄国家代行機関である。いたずら私営交通機関国鉄に競争をいどんで、無統制な発展をしておるが、これは市民利便のためにいいか悪いかということは再検討しなければならん。ことに民衆駅というものはこれは大体老朽の駅舎、あるいは拡張を要する駅舎、これに対して国鉄資金がないために、一時の便法をもって民間資本を利用するというのが、私はそもそもこの民衆駅というものの考えられた動機ではないか。これは佐藤君あるいは前の石井君なり、加賀山君もその点はこの委員会で言明されたと思う。  このことが、本委員会で問題になった東京鉄道会館を見て、われわれ決算委員会で行ってみて、株式の取引店の出張所が待合室のないあのきわめて狭いところに店舗を張っておる。乗客はすわるいすもなくて、あすこにうずくまって急行を待っている。こういう状態がもし民衆駅によって助長されることになれば、それは非常に大きな問題じゃないかということで、この問題が本委員会において今日まで審議されているわけです。  ことに新宿のような、東京としても最も重要な交通のポイントにおいて、民衆駅というような構想でもってあすこにそういったものが設置されることが、これが有利であるかどうか、利便であるかどうか私は、これはことに十河総裁として、あなたが総裁に御就任をしていただくということにならざるを得なかった国鉄現状にかんがみて、民衆駅というものについては相当根本的な私は御検討をなさったことだと思う。もし、ほんとうに市民の将来の交通利便ということを考えれば、これは国鉄中心になってやるべきものであって、従って資金を要するならば国家が金を出すべきである。いたずら民間から資本を出さして、資本構成あるいは財産構成というものが非常に複雑になってきて、しかもその目的は、利益を追うことを目的とするというようなことと、利益を本意としない、サービスを中心とする国鉄のこんがらがった利害のもとにこういうことが運営されることが、果して妥当であるかどうかということが、これはわれわれとしては多分に疑問を持っておるわけです。こういうところを明確にしておやりにならないと、今の民衆駅に対して国民、あるいは現に民衆駅の資本を出してい者自体から見ても、不平不満を聞くというようなことは、これは私は国鉄としても黙視すべきことじゃないと思う。  ですから民衆駅という問題、少くとも新宿のような将来重要な場所に対しては、そういう民衆駅というような構想でもってやらないで、むしろ国鉄が何十億の借金をしても、これは国家がやるべきだ、私はかように思うのですが、民衆駅でもってやらざるを得ないということは、単なる資金という面でなくて、私はもっとほかの方面に、いろいろな方面から意見が出て、国鉄としてはやむなくとは申しませんけれども、そういう資金の不足ということからやむなく民衆駅というような形態であすこにそういったようなものをお作りになるのか、この点は私は十河総裁として十分一つ検討になっていることだと思うから、民衆駅としてどうしてもやっていくのだ、そのほかに道がない、かかることが結論づけられるならば、私はその理由を一つ明確にしていただきたいと思う。いかがですか。
  13. 十河信二

    説明員十河信二君) 東京のごとき大都市地下鉄をもっと建設をしなければ交通上多大の不便があるという、ただいまの御意見通りに私も考えております。東京交通機関をどういうふうに調整するかということにつきまして、政府に強い統一した機関を設けて、方針をきめていただくことをかねて望んでおったのであります。幸いに政府の方でもそういう御方針をおきめになりまして、ただいま運輸大臣主宰のもとに、首都交通審議会というものを設けられまして、私もその委員に任命せられまして、今日も午後はその方の会合に出席することになっております。そういう方面審議も願いまして、その土で、ただいまお話のありましたように、将来公共的の性格を阻害するようなことのないように、しかもまあできるだけ都市計画都市美等立場からも間然するところのないように、そうして経済的に土地を利用するようにということで、私は民衆駅というものを新宿方面にも作った方がよろしいんじゃないかという意見を持っておるのであります。  しかしながら、今申し上げまするように、各方面意見を今検討してもらっております。それらの意見を伺いました上で、国鉄としても方針を決定いたしたい、かように存じておる次第であります。
  14. 岡三郎

    岡三郎君 施設局長説明でちょっと伺いたいのですが、今十河総裁新宿民衆駅を作りたいという希望を持っておるということはわかったわけでありますが、先ほどの経過を拝聴しておりますると、三十五年あたりから駅の構築その他について請願が出て、ずっと現在まで、それもいろいろの形が変っておりますが、延長しておる。こういうことになると、今回出されておる新宿交通センター建設に関する請願というものは、単にここにぽかっと出てきたことじゃなくて、いろいろな関連で相当もう年数を経ておる。この請願は今出てきておるけれども、新宿のいわゆる駅建設というものについては相当時間的にたってきておる。十分お考えになっておると思うのですが、先ほどのお話でいくと、まだ、どういうふうにするか、結論が出ておらぬというふうに承わったわけでありますが、この結論を出す方法として、今後どういうふうな手続を経てやるのか。今後新宿駅、民衆駅というものがかりに作られるとしたならば、どういうふうな審議過程を経て本ぎまりになるか、その時間的な見通しをあわせてお聞きしたいと思うのです。
  15. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 先ほど御説明いたしましたように、新宿にはいろいろ問題がございます。さらに具体的に申し上げますと、現在中央線を増強しなければならぬということで、これは九両ないし十両運転を目途にして、いろいろな工事を進めております。現在やりましたのは、急行線上りホーム拡幅工事、これは幅を約二メーターから二メーター半広げております。また中央線の下りホームを二メーターばかり広げております。それから本年度から来年度にかけまして、上りホームを二メーター、これでは済みませんでして、とにかく十両運転になりますと、多くのお客が乗ったり降りたりしますので、ホームの幅並びに地下道を広くしなければならぬ。次いで地下道に降りる階段を広くする。それから、地下道も広くするという工事を今やっておるのであります。これは四億ぐらいかかる工事で、めんどうな仕事で、二十九年度から始めまして、三十一年度でなければできません。これは金でなく、仕事の工程で非常にめんどうな仕事でありますので、そういうようになっております。  また新宿甲州街道口につきましては、非常に雑踏しております。これは橋梁も狭いし、また駅前広場もございませんし、最近文化洋裁のようなものができましてから、生徒がたくさん降りるのであります。自動車バスも幾つも集まって参りますので、非常に雑踏しております。これは東京都の方と一緒に解決しなければならぬ問題でございまして、東京都の方も、現在の橋梁がたしか十五メーターぐらいの幅だと思いますが、あれを四十メーターにする計画を持っております。私の方もさらに進めまして、この甲州街道口を何とかもう少し便利なものにするという計画を立てて審議中でございます。  また西口につきましては、小田急、京王帝都さんでも計画を立てられておりまして、私の方でもそちらの口に結びつけるということを考えております。そのほか将来の貨物輸送の混乱、新宿中継作業をどうするか、あそこで相当中継作業をやるというのはおもしろくないので、さらに中央線立川以遠貨物につきましては、立川から南武線に、また南武線から新鶴見操車場に入れるというルートを強化しよう。それについては南武線複線化の問題も出てくる。そういう点も検討しております。  それから新宿東口駅本屋の問題でありますが、これは二十五年に出ておりますが、これはただ出ておるだけでありまして、何とも大して出願者の熱意もないようでありあす。  それからその次に出ました西武鉄道につきましては、いろんな関係におきまして現在の中途半端な位置でとまっているのでありますが、今年の初めになりまして、新宿駅に乗り入れさしてくれという出願が出ているのであります。これにつきましては、私たちといたしましてはできるだけ早く新宿駅に結びつくのが私どもは旅客のためにいいと、こう思っております。しかしただその結びつけるのが簡単にできる問題ではありません。これがまた新宿駅の現在の所に結びつけますと、新宿西口京王線が、前は甲州街道口へ連絡していたのが急に西口の方、青梅街道口に口を作りましたために非常な雑踏を来たしまして、地下道でいつもけが人が出やしないかと非常に心配していたところです。それが昨年改良工事で直したのでございまするが、あの二の舞をやってはいけないというので、今、西武鉄道さんの方にもお願いいたしまして、どれくらい人が移ってくるのか、それによりまして、私たちの方の地下道の混雑がどうなるかというような検討をしております。それによりまして将来の駅のホーム考えまして、それに結びつけようと思っております。ただこれにつきましても、都市計画広場の方へ西武鉄道が入ってきますから、東京都との都市計画上の問題はまだ残されております。  それからまたこの駅本屋の問題でございますが、何分にも規模が大きいものでございますし、私の方といたしましても、今申し上げましたような問題を解決いたしまして、とにかく客さばきをうまくやる。新宿は先ほど総裁が言われましたように七十万、詳しくは七十三万ぐらい一日の乗降乗りかえがあるわけです。特に特徴は、新宿はまた乗りかえが非常に多い。三十五万ぐらい乗りかえております。これは国鉄の中でも乗りかえになっておりますし、国鉄と私鉄の間でも乗りかえております。西武が来ればまたさらに六万ぐらい増加する。こういう状態でありまして、そういう点を十分考慮に入れまして、駅の設計を検討しなければならぬ。  ですから検討いたしまして、まあ私の方の大体の考えがまとまり、その上においてまた民間出願者がどういうものを希望されるのかということをはっきりいれまして、それが果していいのか悪いのか、私の方では検討しなければならぬ、技術的に検討しなければならぬ。それから民衆委員会とか経営委員会にかけなければなりませんし、それからその前にもちろん東京都とかそのほか部外の関係のあるところには全部御相談いたしましてきめていかなければならぬ問題だと思っております。  大体こういうふうな手順を経ましてきまる問題だと思います。しかしいつごろきまるかということは、非常にこれは外部関係が多いのでございまして、私の方でいま何年の何月ごろというのはちょっと言いにくい問題だろうと思います。
  16. 岡三郎

    岡三郎君 それは何年の何月なんということは聞いていないのでね。大体今言ったように相当急性がある。まあそれで現在でもいろいろと小工事をやって拡張しておられる。そういうようなことから、抜本的に何とかこの駅を直さなければならぬ、建てなければならぬということになってくれば、やはり施設として見通しというものがあると思う。それは漫然とむずかしいとか、いろいろな問題を考えておるということではないと思う。それぞれやはり日程を立てて、それぞれの業務に対し部局があるわけですから、それぞれ検討しておられると思うので、そういったところから当然狂ってきますが、しかし現在の見通しとしてはいつごろに大体なるのか。それくらいは大体予測ができると思いますが、どうでしょうか。
  17. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 先ほど私はるるその工事関係を申し上げましたが、これが大体三十億ぐらいかかるわけでございます。ですからこれの予算が今後どう取れますか、また取れました予算をどういうふうな順序で使いますかということをもう少し練らなければならぬと思うのでございますが、ですからまあ今すぐというわけにはいかぬと思いますが、それかといってそんなにあの施設をほうっておくわけにはいかないかと思っております。
  18. 岡三郎

    岡三郎君 それで具体的にいうと、交通センター建設という請願が出ておるわけです。現実にこれに対して周辺の商店街の方々が反対陳情をされておる。問題はすでに現実化されておるわけですね。そういうような点で、今後国鉄のいろいろな検討が行われるにつれてそれぞれの運動が行われるということは、実際からいうとあまりおもしろくないと思う。そこでやはりこういう問題については国鉄本来の使命にかんがみて一体どうするのだ、総裁として民衆駅をあすこに作りたいという希望があるならば、それに対して一体どういう構想で行うのか、まわりからやいやい言われるからということでなくして、主体的に自主的に、国鉄自体がそこに全体的に規模をととのえるということをもう少し積極的にやっておると思うのですが、今の程度ではいかぬと思うのです。そういう点で私は今すぐとはいかぬとしても、大体国鉄としていろいろな意見があるやつをさばいて、これとこれに目鼻をつけたいならつけたいという計画があることと思っておりますが、それはないのですか。
  19. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) この東口につきましては、都市計画審議会の方できめました建築線も、最近ではなかなか区画整理事業がうまくいかないので、変更してくれないというので、六メートルくらいの建築線の移動があります。それに従いまして交通の分野の方もまた設計も全部変えましてやらなければならぬというような問題もございます。そういう問題を、果してこの民衆駅の出願の方が、私たちの設計が今申し上げましたように狂ってきておりまして、それをまた直していかなければならぬ。それと合せまして果してうまくゆくのかどうですか、そういう点はもっと検討しなければ何ともまだ甘えない段階にあるのでございます。そういう点をもう少し検討したいとこう思っております。
  20. 岡三郎

    岡三郎君 総裁にお聞きしたいのですが、今のような状況であるということを一応了承したわけですが、この反対陳情の焦点は、デパートをあすこに作るということが問題だと思う。そういうふうな反対陳情が出ておるわけですね。それで駅舎建設や広場の整備というものについてはいずれも早くやってくれという要望が出ておる。問題の焦点は、あすこに再び国鉄会館の大丸と同じように、高島屋がいわゆるこの民衆駅という名においてあそこへ支店を設けるというふうな点が問題になってきていると思うのです。  そこでそういうふうな問題がいろいろと入ってくると、本来の乗降客利便というものよりも、そういったような業者関係の利害の相反する問題で延引されていくということも、われわれは考えるわけです。つまり瞬間がたてばたつにつれてこういう問題が複雑化して、結局最終的には乗客の利便ということよりも、業者関係の、利害関係の話合いでついてしまうというような危険もなきにしもあらずと私は思うわけです。  そういう点で総裁がここへ民衆駅を作られるという希望を持っておられるのだが、そういうふうな点から考えてみて、先ほど言われたように、事と次第では国鉄自体、国自体がこの交通その他をにらみ合せて作るんだ、そういうふうなお考えもございますのですか、どうですか。その点をちょっとお聞きしたいのですが、民衆駅を作りたいというふうな、これは経費の面から、いろいろ国鉄予算その他からお考えになっていると思うのですが、しかしいろいろと利害関係というものが輻湊してきて複雑になるということを考えた場合に、本来の建前からいえば、乗降客ですね、そういったもの、及び交通政策全体から考えた場合には、万やむを得ないときには三十億なり四十億なりかけても、ここへ国鉄自体、としても理想的なものを作るというふうなお考えにも切りかえる御用意があるのかどうか。そういった点をはっきりしてもらわないと、いたずらに紛議が多くなるような私は心配を持っておるわけなのですが、その点はいかがですか。
  21. 十河信二

    説明員十河信二君) 先刻申したように、新宿が非常な乗降客乗りかえ客で非常な混雑なんです。そこでそれをさばくためにはどうすればいいかということ、これがあそこに西武それから小田急、それから京王と、私鉄も三社入ってきておりますし、その上に今度は地下鉄が入って参ります。バスがたくさん出入りいたしております。それらの混雑をどうして緩和したらいいかということがなかなかむずかしい問題で、国鉄部内で容易にまだ名案が浮ばないような次第です。その名案が浮びましたら、あるいは今お話のように、それだけは先に、民衆駅とか何とかいうことを考えないで、それだけ先にやらなきゃならぬ。二十億かかろうが三十億かかろうが、どうしてもそれをやらなきゃならぬということになるかもしれない。そういうことを目下検討いたしております。  今施設局長からも申し上げましたように、この甲州街道口のごときは非常な危険な状態にあるのでありますから、こいつをどうしても早くどこかに人の出入口を作り、小荷物なんかの取扱いの場所を作り、混雑を緩和するような手段を急速にとらなきゃならぬと思っておりますけれども、今のところ都市計画、その他外部との交渉をしなければならぬ点が多々ありまして、容易にきまらないで困っておるような状態でありますから、必ずしも私は民衆駅に拘泥しているわけでも、あるいは国鉄が自分でやるということに拘泥しているわけでもない。それらのことをいろいろな事情を検討いたしまして、最善の方法をとりたい。また民衆駅を作るにいたしましても、デパートを作る、上に置くがいいか、ホテルのようなものを上に置くがいいか、あるいはオフィスのようなものを作るがいいか、それらの点につきましても、官民各方面の御意見検討しなければなりませんから、これはまあ業者からいえば早くやってくれという希望もありましょうけれどもなかなか容易にこれはきめられない問題で、実は今頭を悩まして検討中なのであります。さよう御了承願います。
  22. 小松正雄

    委員長小松正雄君) ちょっと私から委員の皆様に加えて御報告申し上げたいと思います。ただいま岡君、山田君の御質問に対しまして、十河佐藤両氏よりの御回答がございましたが、これに関連いたしまして、臭いに篠原脇町財産管理部長、久田旅客課長、永室監査課長、好井停車場課長、上村検査院第五局長もここに出席されておりまするので、皆さんの御質問に対して、その人たちにも御質疑があるかと思いますので、あらためてここに御出席になっておる方々の名前を御報告いたします。
  23. 山田節男

    委員外議員山田節男君) 今の岡委員の質問に関連してですが、私も先ほど十河総裁が、新宿交通センター民衆駅のシステムでやるのだ……、私はそこに非常に大きな、私は何といいますか、不安がある。一体こういう請願が出、また反対の陳情が出るというようなことは、たとえば東京駅の会館にいたしましても、あるいは京都の駅の民衆駅を見ましても、駅がまるで商店街になってしまう。ステーションという本来の機能はなくなってしまう。交通サービスという面に対してはどうしてもこれは削減されます。ことに新宿のような商店街の非常に多数存在するような地域においてデパートのようなものを、競争者を作るというところに、これは悲痛な社会問題が起きてくるわけです。だから十河総裁民衆駅ということを原則にするのであるというお考えをもしお持ちであるということがほんとうだとするならば、私は国鉄としての本来の使命を忘れているのじゃないか。少くともあの新宿のようなところならば、まず第一にこれは国鉄がイニシアチブをとる、その次には東京都がそれに協力する、それにあすこ関係のある私鉄の路線を出している会社がこれに協力して、あくまで交通サービスの、利便の改善ということに重点を置くならば……。そういう民間資本がこれは商店街、店舗を張るという、そういう営利的なものをそこに加えるがために派生的な重大な社会問題が起ってくる。国鉄としてはこれはあくまで交通サービスの改善、あるいは混雑の緩和ということを根本にお考えにならなければならない。それがために、都にしても、あるいは国鉄にしても、あるいは国民にしても、これは問題として黙視できない問題です。十分これは、いかに貧弱なる財政といえども、三十億や五十億の金は、これは国でできないことはないと思うのです。そこにどうも国鉄に改編した、運輸の総括的な国家代行機関国鉄がどうも、頭が中途半端になった……、これは国家代行機関である。これは公共の、交通サービスというものを統制するもうあなたは最大の責務を持っていらっしゃる。むしろ堂々として国鉄がイニシアチブをとって、都にこれを協力せしめ、私鉄会社にこれを協力せしめて、三十億や四十億の命ができぬことはないと思う。そこにどうも十河総裁、あるいはその前の長崎君にしてもあるいは加賀山君にしても、どうも国鉄になっちゃって、公社になっちゃってから、いやに中途半端な、商売人のような気持になってしまって、優柔不断な態度は、今の十河総裁の言葉を聞いてもまことにこれは優柔不断だと思う。この交通の混雑は一日たりともゆるがせにできない。これを緩和する責任は、これは国鉄にあると見なくちゃいかん。都にあると見なくちゃいかん。ですからもう少しあなたはこういう交通行政ということについては、国鉄国家代行機関として当然私はもっと権威をもってやってほしい。しかも民衆駅のわれわれが問題にする点は、こういう民衆駅というものができた財産関係というものは一体どこにあるか。公的なものか、あるいは私的なものか、法的にも多分に疑問があると思う。ですからいたずらにでき上った権利関係に混雑を来たし、またああいう繁華街の多い商店街の生活を脅かすようなことをこのような構想でやると、今のように、いつ一体でき上るのか見通しがつかんということになり、これでは私はいかぬと思う。そこが私は、国鉄一つのマンネリズムに陥ってしまって、官僚主義のマンネリズムに陥って中途半端なものになっている。何ら権威のない、イニシアチブをとり得ないものになってしまっている。まことに私は国鉄本来の使命が、日が経つにつれて没却されてくることをおそれているからこういうことを申し上げる。  ですから、今のような、いつ実現するかわかりませんということではまるで私たちも、この八百万の交通に依存する国民の利便ということを考えますと、私は十河総裁としてこの民衆駅ということを考える前に、まず国鉄当局として権威を持って引っぱっていくのだ、そうして同店なんかをそこへ設けるなんということは考える必要はないと思う。そうしてこういう新宿建物株式会社というものを作ってしまって、第二の鉄道会館になって、もうけるのは鉄道会館です。金を集めるためには、商売人ですから出すでしょう。命を集めることは非常に容易であるかもしれないけれども、むしろ複雑な関係になって、国鉄の権威を失ってしまう、こういうことが現実だと思う。こういう点について私はもう少し、十河総裁初めてかも知れないけれども、伊藤施設局長——前の施設局にも私はやかましく言っているのです。この点を私は、もう一歩あなたの方で国鉄の権威を回復して、これはいかに資本主義制度でやっているからといっても、こういう交通機関に対しては国鉄は厳然として公共機関としてお立ちにならなければならぬと思う。その腹がまえがないために、もう一年がかりでもっていつまでも解決がつかぬ。どうですか、十河総裁、もう少し強腰に出ておやりになる必要が私はあると思う。そんな日脚がつかんような、反対があるからまあまあ仕方がないということでは私はいけないと思う。どうですか、あなたはそういう決意をこの際おつけになる必要があると思う。他の委員の御意見を伺ってからでもよろしゅうございますが、こういう点については、私はもっと権威を持ってやり、運輸省にも十分協力せしめて、そうしなくちゃこれは、こんな毎日七十万、八十万の混雑をしているものを、しかもその駅がいつできるかわからぬということでは、私どもとしては非常に不安なんです。どうですか、そういったようなお気持はあなた今なおお持ちにならぬですか、それは重大なことです。
  24. 十河信二

    説明員十河信二君) 私はよくは存じませんが、従来民衆駅というようなものはなかったのであります。戦災国鉄は復旧をしなければならぬ、破壊された施設が非常に多くなりまして、それで旅客公衆からは駅舎等も早く便利なように改築をしろという要望がしきりにありますが、一方においてどうしても資金ができない、予算を要求しても十分に取れない。なるほど新宿駅だけで見ますると、三十億ですから大したことはないかもしれませんが、そういう施設、車両等の復旧増設等に要する資金がかさんでくるものですから、方々に緊急を要する施設がたくさんありまして、こういう停車場等には金を十分回すことができないのです。そこでやむを得ず民衆駅というような制度が取り入れられることになったのじゃないかと思うのであります。そういうことは言わないで、金は幾らでも出して下さるということならば、それは私けっこうだと思うのです。そういうふうな資金があればしいて民衆駅にしなくても、あるいは立体的に利用する場合でも、国鉄が自分で建物を建てて、そうしてあるいはホテルにするなり、あるいはオフィスにするなり、鉄道に貸すとかということもできるかもしれませんが、今日の国鉄財政状態、また国の経済状態からいいまして、それがなかなかできない。一面には国民から早く駅舎を新築しろという要望があります。他面に財政上支出が思うようにできないという逼迫した状態があって、その間にはさまって苦しまぎれに出てきた案がこの民衆駅の案だと思うのであります。それでありますから、そういうことができるようになりましたら、われわれもまたさらに考えを改めたいと存じます。
  25. 中川幸平

    ○中川幸平君 新宿民衆駅について、まだ施設局長のお言葉では結論が出ておらぬという御論議でありますが、こういうものは早くやはり結論を出したらどうかと思うのです。と申しますることは、国鉄の方に何なら民間資本を導入することもけっこうだと思いますけれども、けれども民衆駅としてもおのずから限度があると思うのですね。地下を商店街にする程度のことはいいだろうと思うけれども、鉄道で要らない部分はやはり官庁なんかの貸家にするという程度が私は限度じゃなかろうかと思う。ホテルにしたりあるいは商店街のデパートにしたり、それは民衆駅でもちょっと行き過ぎじゃなかろうかと思うのですね。官庁に貸して、名古屋の駅くらいの程度で、そうして官庁で使っているところを代書にやるとかいうようなところが限度じゃなかろうかと思うのですが、施設局長のお考えはどうですか。
  26. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) なるべく早くきめるのはほんとうだろうと思いますが、先ほど申し上げましたように建築線の変更というような問題も今起きておりますので、そちらの方の検討とか、また総合的な新宿の駅の改良、これを考えなければなりませんものですから、しかもこれが国鉄、小田急、京王帝都、西武、こういう点も一緒にしまして考えなければなりませんから、意外にこの問題がむずかしうございまして、簡単に結論を出しにくい。これをうっかり間違った結論を出しましたら、永久にこの辺の交通上の問題を誤ることになりますから、私たちとしては十分検討して参りたいと思っております。  それから国鉄といたしまして、とにかく現存、先ほど総裁が申されましたごとく、非常に財政的にも逼迫しておりまして、新宿駅だけで国鉄が三十億も投資するというのはなかなか大へんな問題でございます。それでもし東口、今出願されておりますのは、たしか二十数億かかると思うのでございますが、国鉄東口……、どんな形になるかと申しますと、東口には西武が二階に入ってきますから、国鉄の業務機関も入りますから、二階までは国鉄が相当使ってしまうのじゃないかと思うのでございます。その上に今お話しのように、あるいは政府機関のものを入れるというような問題があるかもしれませんが、それでもそれが国鉄の費用ではそういうものは出せませんし、政府の方の費用でそういうものを出していただいて、上に建てるという方法も私は一つの方法かと思います。  いずれにしましても、これは民衆駅になるかどうかわかりませんですが、民衆駅についてはいろいろ御批判もいただいております。また当国会におきましてもいろいろ御勧告、その他ただいております。私たちは今までの失敗もつくづく肝に銘じておる次第でございますが、これらはいずれこれがもし民衆駅として発足するときには十分考慮に入れなければならぬと思っております。  たとえば、先ほど申しましたように設計も、大体二階までは鉄道交通関係のものにおそらくなってしまうのじゃないかと思いますが、この点はまだ検討しなければわかりません。そういうふうになりますし、ほんとうの旅客あるいは公衆の御迷惑にならないようなものは私はできるのじゃないかと思うのです。で、もしそういうふうになれば、これは上に何が乗るかということはもう少し検討しなければなりませんが、まあ民衆駅みたいなものを作るのも一つの方法じゃないかと、われわれは考えておる次第であります。ただわれわれとしてここに民衆駅をぜひとも作らなければいかぬという考えも持っておりません。
  27. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 総裁初め施設局長のお答えを聞いて、私ども大体国鉄のお考えはわかったのですが、しかし当委員会でこの問題を取り上げたのは、両三回にとどまらない。決算委員会がなぜこの問題についてかく熱心になっておるかということは、総裁は就任日がまだお浅いから、それほど深刻におわかりでないかもしれませんが、他の国鉄の職員の首脳部の方にはよくおわかりだと思う。金がないこともよくわかっております。私どもこの問題を取り上げたのは、ことし去年の問題ではないのですから、国の経理がどうなっておるか、国鉄の資産状態なりあるいは予決算がどうなっておるかということも承知の上の発言です。それからあそこの新宿駅舎を建てるについての設計なり技術上むずかしさということも私どもしろうとなりにもわかります。そういうことをわかった上で実は質問しておるのです。  で、といって、いかに国鉄なり国の予算が乏しい、それから技術的にむずかしいといっても、あの新宿の駅の雑踏する乗降客のあの状態を、これからまさか二年、三年もほうっておこうというお考えではないでしょう。そういうことは許されないのです。で問題はそこにあると思う。人は死んでもかまわない、あるいは民衆がいかにあの雑踏のために、もうそれこそ四六時中ああいう不愉快な、そうして不安全な、むしろ危険な状態で都心に向って呑吐されておるあの状態を、じんぜんこれはもう日を延ばすわけにはいかぬと思う。で一方では多少公共性に名をかりて、営利的な企図のものとに、あるいはときには新宿停車場株式会社と称し、あるいは今回のごとく新宿駅の交通センターと称して、そうしてこういう声が強く出てきておるということも、必ずしも私は営利だけを考えておるのじゃなくて、やはり一つのこれは民衆のつまり声の反映だと思う。  そこで一体国鉄とされては、もうこの前の新宿停車場株式会社案という申請が国鉄の方に出されたというのは、この資料で拝見をすると、もう今からすでに三年も前のことです。昭和二十八年の四月十二日付と、こうなっている。そのくらい前から一つの成案という形で出てきた。しかし今回はすでにもう企業目論見書までちゃんと添付されているという状態でありますから、国鉄とされては私はもう判断をしなければならない段階に来ている。  で、そういう段階に立って、私は総裁の今の答弁を聞いてはなはだ遺憾にたえないことは、二度目に答えられたときには、民衆駅という構想でやりたいということをお答えになったのが、その次の質問に対しては、まだどういうふうにしていいか、はっきりきまっていないのだ、そういうことで私は言を左右される必要はないと思う。民衆駅というその言葉がむしろ悪いとすれば、もう少し、もう時間がたったのだから検討されてもいいと思いますけれども、これは諸般の情勢から総合判断をされて、民衆駅と一口に言っても、われわれの見るとろで全部が悪いとは限っていない。今までに建設された民衆駅をごらんになればよくおわかりの通りなんです。悪いところもあるし、必ずしも悪くない例もあるのです。ですからそういう過去の実績に徴して、私はもう判断されていい時期だと思う。これはわれわれよりも、金のことなりあるいは技術のことについては、これはあれだけ膨大な職員を擁している国鉄自体で、これはすべての私は大体そういうスタッフを動員しておやりになれば、もう判断を下せる時期に来ていると思うし、また下さなければならない時期だと思うんですね。  私はそこで最後に総裁にお尋ねをしたいのですが、この前の決算委員会で、国鉄全体についての一つ新しい総裁としての御就任されてからの構想を伺って、そのときの白書はきわめて抽象的であって、われわれを満足させる答えにはなっておらなかった。で、従って次の委員会には少くともこの構想に基く具体的な案といいますか、具体案を一つわれわれとしては聞かしていただきたいということを、実は前回の委員会で宿題として国鉄にお預けしてあったはずです。ですから、その大体の具体的な案というものをもうすでに総裁は腹中にお持ちのはずなんです。そういう国鉄の運営全体のつまり構想に立って、一体、ひとり新宿駅舎に限らず、いわゆる先に迫られている、ああいう戦災その他で焼け、もしくは老朽した駅舎に対する建築の方針、なかんずくこういう首都、あるいは特に乗降客の輻湊する宇都宮、その他いわゆる民衆駅という形で建設を申請をされているそういう駅舎に対する方針というものが、私はもうすでに総裁とされては大体の方向というか、方針が大きな全体構想の中で具体化しているはずと、そういうふうに実は私はきょうは期待をしてこの委員会に臨んでいるわけです。ですから、先ほどの施設局長の非常に苦しい条件の羅列がありましたけれども、そういうことは私どももう実は百も承知の上でこの委員会に臨んでいるわけでありますから、われわれよりもさらにそれに精通しておいでになる総裁とされては、そういう全体構想の中から、一体今きょうここで問題にした新宿の駅の改装なり新築に対する大体方針を、私は質問者によって違った答え方をなさるというのはまことにこれはわれわれとして頼りない。もう少し総裁とされては、きぜんとしたという言葉を山出委員は使われたけれども、もう少し具体的にはっきりなっていなければならぬくらいだと思うので、もう一度この点を変らざる答え方で、もう少しはっきりした総裁としての私は態度をもう一度お聞かせを願いたい。
  28. 十河信二

    説明員十河信二君) 新宿の駅につきましては施設局長からたびたび申し上げましたように、国鉄としての計画設計がまだきまりません。それは首都の都市計画というふうなものが狂ってくる結果、いろいろ変更しなければならぬところができてきたりするために、そういうふうになったのであります。その点を御了承いただきたいと思います。  また、民衆駅一般につきましては、大体先刻も申し上げましたように、民衆駅は、戦災を受けた駅舎をすみやかに改築をしなきゃならん必要に迫られておって、国鉄として予算が窮屈で、急にこの国民の要望にこたえることが困難であるという際に、民間でこれに協力をしていろいろな計画を立てて、あるいはオフィスを作るとかあるいはホテルを作る、デパートを作るというふうないろいろな計画を立てて、金を出してくれるという人がありますれば、国鉄の主たる目的である公共性を害せざる限りにおいてこれを取り入れたい。そうすることによって、非常な地価の高騰した今日、土地の利用をできるだけ有効にしたいという経済的の利益をおさめたい、そういう方針でやっております。別に方針がぐらぐらしておるわけではないのであります。  新宿駅につきましては、今申し上げまするように、都市計画建築線の変更等によって国鉄の自体の設計、計画等も変更しなければならぬような事情があっておくれているというような状態であります。全体の民衆駅については大体そういうふうな方針をきめております。
  29. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると具体的にお尋ねをいたしますが、先ほど施設局長のお答えでは、大体地上八階、地下二階、建坪にして約千坪、金が約三十億というお話でしたが、それの使用もくろみなり、各階ごとの大体使用区分というのはできているのですか、それはどういうふうになっているのですか。
  30. 篠原武司

    説明員(篠原武司君) 向うの最近に出て参りました目論見書によりますと、一階はほとんど駅でございまして、その中に多少店舗も設ける。それから中二階はやはり駅と多少の填補がある。それから二階でございますが、二階は西武の駅とそれから店舗、それから三階はやはり店舗となっております。その三階までの案を一応新宿建物会社としては出しております。  その店舗の中にA店舗、B店舗と分けてございまして、A店舗には相当の面積を一括して貸す店舗、つまり高畠屋のようなものを想定していると私は考えますが、B店舗につきましては、細分いたしまして、これはその付近で区画整理のために撤去されるような店舗などを入れる予想というふうに聞いております。そういうふうな、目論見書で今一応出ておりますのは、三階までということでございます。
  31. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 いや、私の質問をちょっと取り違えておられるようです。私が聞きたいことは、先ほど三十億ということで大体の設計ができておるということですが、これは国鉄自体の設計ではないのですか、先ほどの施設局長の三十億というのは。
  32. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 私三十億と申しましたが、甲州街道口、それから西口関係、それから東口関係、駅構内のホーム関係その他がございまして、こういうのを一緒にしまして三十億と申し上げました。この東口施設はおそらく二十数億だろうというふうに私は考えております。これは高島屋なら、新宿建物株式会社がやるのならそのくらいであろうと私は考えております。
  33. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、つまり国鉄プロパーの調査に基く設計というのは、つまり駅本来の施設、つまり甲州街道なり東西両口、これだけに限定した設計というものはできているのでしょう、国鉄プロパーの設計は。
  34. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 先ほど申し上げましたように、これは全部今検討中でございます。と申しますのは、先ほど申しましたように、旅客関係だけでございませんでして、貨物関係もあるのでございます。また旅客関係にいたしましても、東京通勤輸送でなくて、将来の東海道線の問題、七信越の問題、中央線の問題、あるいは総武その他の臨時列車の問題、これを極力考えなければなりません。それから貨物につきましては、新宿駅のあそこに貨物があるのは、非常にわれわれといたしましても、いいものでないと思っているのでございますが、しかしこれを取り除くというようなことは大へんなことでございます。しかもまた飯田橋の貨物線もございます。また中央線と東海道、あるいは上信越、東北、常磐との結びつきもございまするので、簡単に片づく問題じゃない。しかしこれも何かの機会に改良しなければならぬということを考えておりまして、第二の環状的貨物線の建設というようなものを構想に入れまして、そういうような面からも新宿検討しているのです。それによりまして新宿の性格がはっきり出て参りますと、それからあとに中の配線もきまり、またあそこの乗降する客に対しまして、入口をどうする、あるいは小荷物関係をどうするという問題が出てくるのでございます。それをわれわれは検討しているのです。東口につきましてはそういうふうな検討が、国鉄としてどの程度の施設が必要なのかというのを十分今検討しているところでございます。その上にどういうものが乗っかるかというのはその次の問題なんであります。  まず私たちといたしましては、新宿はあくまで交通センターでございますし、また東京の副都心的の性格を持っていると思うのであります。また持たすべきだとわれわれは思っております。その構想のもとに今設計、計画をしているところでございます。これがはっきり固まった上で、その上に乗っかるものをきめるべきものだと考えております。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、東口中心にする大体の構想というものはもうほとんど検討を終っておるわけですか。
  36. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) これはもう大体新宿の駅でございますから、もう電車のお客が乗り降りするのとあと遠距離の中央線の客、また将来われわれが考えておりますのは、遠方の旅客列車の一部をあすこから出させる、そういう構想は大体今固めつつあるのであります。それによりまして今度設計をしなければならないのでありますが、建築線の設計で今動いておるのでございまして、そこらを勘案いたしまして、今後はっきりきめたいと、こう考えておるわけでございます。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そこで私は遠い五年なり十年なり光のことまで考えれば、ほんとうの理想的な設計というものもおのずから出てくるわけでしょうけれども、当面迫られておる問題は、あすこの雑踏をいかにして緩和するかという問題であり、そうしていかにして一般の東京の区画整理等に対しても……区画整理についてはおのずから時間の制限があるわけであります。昭和三十二年ですか、そういうおのずからの制限もあるわけでありますから、そういう時限を考慮して、やはりものを立て行うのには順序があると思う。そういう点からいって、東口にまず着手するということが皆さんの構想でありましょうからして、そういう見地からして、私は国鉄自体がこれはもう何といっても設計をし、そうして考えを定め、そうしてこれは他に協力を求めるというのが私は態度でなければならないと思う。外から出てきたからそれに従ってというそういう受け身ではなしに、あくまで交通本来の国鉄中心になって、そうして設計もし、あるいは目論見書も作り、そういうことでいかなければ、私はこの問題は他に例があったように、紛糾を重ね、また国会等においても物議をかもすことが大きなわれわれとしては心配事なんです。  そういうことがないようにするためには、さっき山田委員なりあるいは岡委員からも質問があったように、私はやはりそこのところは明確に割り切らなければいけないと、こう考える。金がないこともよくわかったわけでありますけれども、これはあくまで交通ということが中心でありますから、少くとも乗降客利便がもう他のすべてに優先するということは、これはもう当然すぎるほど当然の常識だと思う。そのためにこそ国鉄というものがあるわけですから、その上で、さっきの私は山田委員考えをひとしくするのですけれども、他の私鉄の協力を求めるなり、あるいは区画整理なり、ああいった商店街等のこういう強い要望もあることですから、この地元の、東京都との十分の連携をとられるということは、これはもちろん言うまでもなく必要だと思う。そこいらが中心になって打ち合せなり協議をなされば、そんなに長い時間をかけないでも私は行くのじゃないかということをわれわれとしては考える。ですから、半年たってもいまだに青厚真が出せないとか、まだ経済的な見通しがつかないということでは私は困ると思う。そこいらのところを先の質問者の委員の諸君も心配しておることだと思う。ですから私どもとしては、この問題はもうずいぶん前からの、この決算委員会としてはたなざらしの問題で実はあるわけです。ですからこういうことのために決算委員会としても今後とも長い時間を使うことは、われわれの審議が許さぬと思う。ですからこういう機会に、この前の委員会と同じような答え方をされておったのでは、実はわれわれとしては心外なんです。そこのところを前の質問者と同様に、私としてはまだいつになったらそこがはっきりするかわからないということでは、せっかくのきょうの審議というものは前の繰り返しにしかすぎない、一歩も前進しておらない、そういうことを私どもとしては非常に憂えるわけです。ですから国鉄の苦しさもよくわかりますが、そういう中で、特に新宿駅の問題等は及ぼす影響もきわめて大きい問題でありますだけに、早くそうして民衆のために安全にして最も利便の多い、これならよかったというものを早く一つ打ち出してもらうことを私は要望いたしまして、一応これで質問を終ります。
  38. 岡三郎

    岡三郎君 私は繰り返しませんが、今飯島委員が育ったように、先ほどからの説明を聞いておるというと、私自体の得たところは何だかわからない、失礼だけれども。わからないということがわかった。結局それほどばく然とまだしておるということなのですね。しかし時間的な経過は相当たっておる。それで先ほど十河総裁、また佐藤施設局長も、特に甲州街道その他の面を見るというと、まだけが人や死人が出ないということがまあありがたいというような点、ありがたいというように考えられるほど混雑しておる。そういう点で、だれもがやらなければならぬけれども、経済的な観点からなかなかできない。しかしここに出ておる建物会社も、それぞれの設計を作って一応出してきておるわけです。国鉄自体の方も結論は出ていないとしても、それぞれの構想があると思う。私はこの民衆駅の問題は当委員会の懸案でずっときておるわけです。それでまあ新宿駅に限らず他の計画もあるかもわからない。そういったことで、臨時国会になればそのほかにも問題が多く出てくるので、私は臨時国会まで一ヵ月あると思うのですが、臨時国会までに一つ委員長の方として何らか方途を見出して、積極的にこういう問題について、結論が出ないまでも目鼻をつけて、当委員会としては民衆駅に対する一つのピリオドを打つというふうな措置を私はとってもらいたいと思う。そうしないと、いつまでたっても同じようなことばかりで、結局はっきりしたことにはならぬと思うので、新宿駅自体についてはそれまでに結論が出るということは困難であるかもしれませんが、それまでに民衆駅自体についていろいろなケースがあると思う。そういうケースについて、新宿駅のような場合にはどうするということの一応腹がまえも一つお聞かせ願いたいと思います。  飯島さんがおっしゃったように、私も札幌を見てきたわけですが、今度行ったときには、前の懸案が解決されておって、札幌あたりは旅客利便にもなっておるし、そのほかにいろいろ市として計画されて、公共方面関係者が非常に積極的だったためにトラブルが非常に少い。ほとんどないと言ってもいい。ところが東京駅へ行って、あそこの八重洲口に行くと、まるで東京駅だかデパートだかさっぱりわからない、ほんとう言うと。東京に住んでおる人はわかるけれども、いなかに住んでおる人はなかなかわからないということを聞くわけですが、こんなことはそういうことでなくて、もう少し旅客利便ということを重点に考えて、新宿訳が民衆駅でやるならやるということを考えるならば、一体建物会社の案がよいのか、あるいはあの周辺の商店街の人が言っておるように、ああいうところへ高畠屋のようなデパートを持ってきた場合に一体どうなるのか、そういうふうにして反対する方の方は一体どういう構想があるのか、各種のいろいろなお考え等があると思うので、そういう点について、一つ民衆駅というものに対して、国鉄としてあまりとらわれないで、主体的に計画を立てられて、あと資本の導入をどうするかという点についても一つ至急に民衆運営委員会なり、経営委員会なりでそういう点をお諮り願って、国鉄の方としても一つやってみてもらいたいと思う。  私は委員長にお願いするとともに、国鉄当局にもお願いして、一つどういうふうに設計するのか、これはむずかしいですよ、そういうことは私はわかりませんが、あの新宿駅というふうな場所においては、国鉄の現在の経理からいったならば、自己資本でやりたいけれどもできない。これはできるのかできないのか、結論を出してもらいたい。それができなければ、とにかくそれができないまでも、結論だけは出してもらって、どういうふうに国鉄当局が考えたのか、その結論を一応私は臨時国会までに何らかの結論を出してもらいたいと思う。
  39. 大倉精一

    ○大倉精一君 私は民衆駅についていろいろな問題があるのですが、そういうのを一つ考え方をお伺いしたいのですが、最近私鉄あたりでターミナル・デパートを盛んに作っておる。最近の例でも、渋谷における東横のデパート、あるいは名古屋の西鉄のデパート、そういう中からひいてはデパートの巨大資本の非常な競争が現われておる。その中から、さらに周辺並びに沿線の中小商業者ですか、この人々の死活の問題にも発展してきておる。これが既往の民衆駅においてもそういうような状況がある。これは私は数字的にあげることはできませんが、いろいろな情報なりあるいは実情なりを見て、そういうことがはっきり把握することができると思うのですが、こういう点について、民衆駅と関連をして、国鉄においてはどういうふうな把握をしておられるかということについてまず承わっておきたいと思います。総裁いかがでございますか。
  40. 十河信二

    説明員十河信二君) まず私どもできめました民衆駅とする場合には、こういう駅を民衆駅としたらよかろうというきめた方針を一応申し上げておきたいと思うのですが、それは第一は、災害をこうむって現在仮駅である。それで旅客公衆に非常な不便を与えておる。しかしどうしても予算がやりくりできなくて、旅客公衆要望にすみやかにこたえることができないという場合に、民間から資本を出して計画をして下さる方があれば、それを利用したらどうかというのが第一。第二は、老朽で取りかえ工事を施行しなければあるいは危険である。あるいは非常に不便であるというふうなもので、これまた財政上の都合で急速に実行できないというような場合。第三には、都市計画との関連上改築しなければならん、あるいは他に移転をしなければならんというふうな必要が始終起ってくるのであります。この場合にこれも国鉄財政上余力があれば自分でやり得るんですけれども、そういう余力のないときに民衆駅をやったらどうか。第四には、輸送の需要が非常に増加して、この輸送需要にこたえることができないというふうな場合に、この民間資本の参加を求めて、民衆駅として早くこの需要に応ずるように施設をやったらどうか、こういうふうな大体の方針をきめております。  もちろん第一は公共的の利便、福祉であります。店舗と申しましても、旅客の必要にこたえるという店舗も相当程度必要なんでありますから、そういうことを考えまして、民衆駅の今後の取捨選択をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  41. 小松正雄

    委員長小松正雄君) ちょっと皆さんにお諮りいたしますが、十河総裁が午後別な委員会に御出席なさるということでありますので、大体本日の日程は午後も引き続き審議を行うということに相なっておりまするが、十河総裁が他の委員会に御出席になるということを前提といたしまして、昼食を時間がおそくなりますが、ちょっと十河総裁も次の委員会に御出席になるのを時間的にも少し延ばしてもらって、そして委員の方々もそういう意味で御質問をしていただいて、そして午前中で終りたいとかように考えておりますので、皆さん方の御協力を願いたいと思います。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 大倉精一

    ○大倉精一君 そういう趣旨で簡略にお伺いするのですが、今の御答弁は、私の質問とちょっとはずれておるわけなんです。私の質問しておるのは新宿のこの関係、高島屋からの申請が出ておることに関連して御質問したんですが、こういうデパートというものはターミナルに寄る、そのことによってデパート間の競争が非常にはげしくなってきておる。それがひいてはその地元並びに沿線の中小商業者、この人方に非常に大きな影響を及ぼして、そして死命を制するというところまで行っている場合がたくさんあるということを私は承知しているのですが、そういう問題についても国鉄当局としても御調査になって把握されておるのかどうかということもお伺いしたいわけです。
  43. 十河信二

    説明員十河信二君) そういう点につきましても考慮いたしております。
  44. 大倉精一

    ○大倉精一君 そこで私が心配することは、この民衆駅について心配することは、民間資本を導入するということもけっこうです。それも必ずしも私は全面的に反対するわけではございません。あるいはまた旅客の必要な店舗を持つことも、これも私はいいかもしれません。しれませんが、実際の既往の民衆駅の状況を見ておりますと、あるいはまたこれに制約されておるような実情を見ますというと、これがいわゆる交通センターが変じてある特定の利潤追求センターになるという心配を私はするわけでございますが、特に公共土地の上にそういう利潤追求のセンターができる、それが業者間の競争センターになる。さらにまた地元の中小商業者の、あるいは沿線の商業者の死命を制するセンターになる。こうなっては私はこの公共利便ということは一体どういう意味か、これはほとんど大半抹殺されているのではないか、こういうことを考えている。従って、この交通緩和のためにそういうセンターを作ることもけっこうですけれども、そこに設置されるところのデパートなり何なりというものの性格については、これは公共利便あるいは公衆利便ということとは、ほど遠いというようも、むしろそれと関係のないものになりはせぬかと、こう考えるのですが、その点のお考えについて、根本的な考えについて一つお伺いしておきたいと思います。
  45. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) このデパートにつきましてはいろいろ問題があるのでありますが、私たちとして考えなければならないことは、駅の雑踏の問題でございます。東京の場合も考えたのでございますが、この停車場の雑踏は、朝の八時から九時にかけて、夜は五時ごろからの雑踏でございます。デパートの雑踏というのは大体二時、三時でございます。これは雑踏でございます。ですから設計上から申しますると、駅の一番すいているところにちょうどデパートの方の山が来ると、しかもそのデパートの、 ターミナル・デパートの性格は、大体電車なら電車を利用するお客の、大体八〇%は交通機関を利用する客なんですね。ほんとうに純増というのは二割くらい、その二割が一番空いている大体午後の二、三時に来るというのですから、大体駅の設計から申しますと、デパートが乗ってもそれは問題にならないのであります。  ただ先ほどお話のような中小商工業者との摩擦の問題でございますが、これは確かにいろいろ考えられると思うのです。しかし一面におきましてターミナル・デパートが、繁昌しているということは、沿線の方々は便利なんだろうと私は信ずるのであります。それではこれは国家的に見ていいか悪いかということについては、これは別の問題だろうと思うのであります。これらにつきましては、私たち公共事業体の国鉄輸送業務をやっているところでありまして、これらのいいか悪いかなどについては別途他の主管官庁において適当な措置をとられるなり、管理されるということがほんとうの立場ではないかと思うのです。私たちがそこまで介入いたしましてもちろん考えなければなりませんのですが、そういうような措置というところまではできかねるものですから、私たちはそういうふうな希望を持っております。
  46. 大倉精一

    ○大倉精一君 これは非常に今の御意見、見解は重大だと思うのです。確かにデパートがはやるということは、その乗降客が便利のためにデパートにみんなくるのだ、だからデパートを作れば便利だという御所論のように思うのです。私の心配するのは、そのデパートがはやるように、その乗降客を目当に生きておる商店がたくさんあるというのです。その生きている商店がそこヘデパートを作ったがために今度は乗客やあるいはおりてくるお客さんを相手に商売をすることができぬようになるということが私は問題だと思う。それで私鉄関係の私企業ではこれは経営政策として今の世の中の仕組では仕方がないでしょう。しかしながら国鉄というところにそういうデパートを作って、そしてその周辺の商工業者に、中小商業者に非常な大きな影響を与え、死命を制するというようなことに対して私は疑問を持つわけです。あなたの方で民衆駅をお作りになる、それも全面的に悪いとは言いませんけれども、民衆駅をお作りになって、その上にデパートを乗っける、こういうふうなお考えがあるとすると、これは非常に私は問題があると思う。お客さんはデパートができなくてもその周辺の商店でもって十分用は足せるわけです。ですからその辺の私はあなた方の考え方をお聞きしておきたいというのは、そこがポイントなんです。ですから今の公共のそういう設備の上に、あるいは国家土地の上にそういう利潤追求のというようなものを乗っけるということも私は非常に問題だと、特に高島屋を持ってきたということで私はぴんとくることは、そういう工合に渋谷に東横デパートができる、あっちもできる、こっちもできる、デパートの競争ができる、よしおれもあそこに進出してやれということだろうと私は思う。その中に国鉄が巻き込まれていくということだ、それがひいては中小企業者の死活の問題にかかわる、こういう点が私は問題だと思うのです。そういう点が今の見解だというと、お客に便利ならいいじゃないかというような簡単な考え方らしいのですが、しかるにこういう反対陳情なんかが出てきたりしていろいろなものが出てくる。高島屋はあそこでもうけようとして出てくる。商工業者の陳情は、あの近所でこうやったら死ぬから、これは防衛しなければならぬという真剣なものです。この点にそれだけの違いがあると私は思うのですが、そういう点の考え方ですね、総裁からも承わっておきましょう、念のために。
  47. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 今私の申し上げたのにちょっと誤解があったと思うのですが、私はたとえばターミナル・デパートができた場合には、短所と長所と両面がある。長所としては沿線のお客の便利もたしかにあるのじゃないか、それから短所といたしましては、確かに一般の商工業者との問題がある。それらにつきましては、私といたしましては非常にもつれたものをそのまま乗せるなんということは、これは避けるべきだと思います。これはやはり納得したものでなければいかぬと思っているのです。またそれに対しまして私たちがまた強制的にデパートはいけないとまで言い切れるかどうかという点もまた一つには考えてみなければならぬ。むしろそういうことは、こちらの方の行政関係を担当されているという面から、こういうふうな調整をやっていただければ一群いいのではないかというふうな考え方を持っていると、こう申し上げたのであります。私は両面があるのじゃないかということです。そしてこれに対して適当な判断をいたしまして間違わないようにするのがほんとうだろうと、こう思っている次第であります。
  48. 大倉精一

    ○大倉精一君 総裁からちょっと……
  49. 十河信二

    説明員十河信二君) 今佐藤君から申し上げました通り、私どもといたしましては、先刻申し上げたような方針民衆駅を作る場合には、ああいう方針でいきたい、こう考えておりますが、今御質問のあったような事情についても全然われわれは無関心でいるわけではないのでありまして、それぞれ官民の意見をいろいろ徴しまして、なるべく皆さんの御満足のいくような方向をとりたいと、こう考えているんであります。何分日本は何といいますか、人口が多過ぎるというか、何をやっても全然国民のどの部分にも御迷惑のかからぬというふうなこと、これはなかなかやりにくいのでありますから、一面において賛成される方もあり、反対される方もあるかと思うのです。そこらが、そのかね合いが非常にむずかしいというところじゃないかと思う。そういうことを考慮いたしまして、これはできるだけ皆さんの御満足のいくような方法をとりたい、こう考えております。
  50. 大倉精一

    ○大倉精一君 私はもう一言だけ申し上げておきたいと思うのですが、局長総裁の御見解がどうも大きな問題をはらんでいるように思うのです。局長はそういう問題は担当行政官庁でやってくれればいいというお言葉ですが、しかしながらデパートを許すか許さんかは国鉄の問題でしょう、デパートを許すか許さんかは……。許すことになって起る大きな影響は、これは許したものの責任になってくると思う。今の総裁の話によるというと、これは全部がいいというわけにいかぬ、こっちがよければこっちに悪いものが出てくることはやむを得んだろうという御意見らしいのですが、私の言いたいことは、国鉄というものの上にデパートを乗っけて、そうして中小商工業者を殺すようなこと——極端な言い方かもしれませんが、そういうことを国鉄自体がなぜやらなければならないかということです。私、民衆駅に何も反対しているわけじゃないのですが、そういう民衆駅というのは反対です。そういう意味の、そういう形の民衆駅ならば反対、民衆を殺す民衆駅、そういうばかな民衆駅はない。ですからこれはもう御答弁はけっこうでございまするが、そういうことはこれはもう国鉄としても一つの重大な責任だと思うので、十分に一つ考えになって、この民衆駅の上に何を乗っけるかということについては、その影響の及ぼすところ非常に重大なことを比較されて、慎重に一つ御考慮願いたいと思います。
  51. 奥むめお

    ○奥むめお君 今の御質問で、問われない前にすでにあなたがお答えになったことを私は確めたいと思います。つまりデパートをそこへこしらえることがいいか悪いかということはとにかくとして、それをきめるのはその担当の官庁だ、こういう無責任なことを今現におっしゃっておりますけれども、私総裁にお伺いしたいと思いますが、国策遂行の第一線にいらっしゃる総裁として、今まで乗客の利便ということを第一にということを各委員から御意見が出たけれども、私はそれとともに、もっと重要ことは、日本の国の力の拡充というものをやはり同時にお考えにならなければいかぬ、それについての御答弁は、いいか悪いかということは担当のほかの方できめるだろう——一体だれがきめるとおっしゃるのですか。それではターミナル・デパートを置くということがいいか悪いかということをきめるのはだれですか。
  52. 佐藤輝雄

    説明員佐藤輝雄君) 私、先ほど申しましたのは、どうも言葉が十分でなかったようなんでございますが、私たちといたしましては、もしターミナル・デパートを作るのだと申しましたとき、話がありましたとき、まず私たち検討するのは、駅か混雑するかどうか、駅の公共性を害するかどうかという点がまず検討の第一主眼点でございます。それを検討いたしまして、その次に今の附近の商店その他に影響があるかないかという問題でございますが、その点になると、私たちとして非常にむずかしい問題なのです。ですから私たち希望なのです。これをやるべきか、私たちとしては越権ではないかということでありまして、行政官庁なら行政官庁が広い面から見まして、これは必要であるか必要でないかということをよく判断していただくと一群いいという希望を申し述べたのです。私たちがここは適当だ、不必要だというのは少し私たちといたしましては越権じゃないかというふうな感じがいたしますものですから、できればどっかそういうふうなところで、それが必要かどうかきめていただくのが一番いいじゃないか。では、だれがきめるかという問題でございますが、それは最後には国鉄が決心しなきゃならぬと思うのですが、その鉄道が決心しますときには、先ほど申しました鉄道自体だけでこれは私はきめるべき問題じゃないと思っております。これは私の方にも民衆委員会がありますし、斯界のいろいろの方々へがお集まりでございますから、そちらの御意見も承わらなければなりませんし、それから一般の陳情その他に現われます声も十分検討しなきゃなりませんし、またこちらの方の関係の行政画をもっておられる方々の御意見も全部聞きまして、それからのちわれわれはきめていかなければなりません、こういうふうに思っております。
  53. 奥むめお

    ○奥むめお君 私は前に鉄道会館の時分の決算委員をいたしておりまして、そしてたびたびこの問題では審議を重ねていたわけですけれども、今また同じようなケースで民衆駅が問題になっている。これは今利害全く相反する立場で非常に混乱を来たしているのです。早く解決しなければ、どんな事態になるかわからないと思う。これは結局飛ばっちりがわれわれにきているわけです。いろんな陳情も受けるし、いろんな会合案内も来るし、両方からいろいろ来る。そして今日の委員会で、総裁もそれからそのほかの方も、大体この民間資本を受け入れて、そして民衆駅として上にデパートを作る方がいいという意見に傾いていらっしゃるように私には想像できる。私は個人の意見を言いますと、これは反対である。駅の仕事というものは、ああいう消費を奨励するような資本、また営利を目的とする資本を入れてまで大きくしなくても、はかに各線を導入することによって資本を、三十万、五十万の資本はもう私はできなきゃうそだし、また国会に対してもどういうふうに御相談なさったか経過を聞きませんけれども、きょうは時間もないから伺いませんが、私から言えば、東京駅だとか、ことに乗客から考えましたら、初めは待合室もなく、もう実に、そのくせすぐに店は堂々と開いて、しかも遊んでいる大きな店も、将来に希望をつないでたくさんのスペースをもって乗客に迷惑を与える。今も現にその通りだ。やっとあとで待合室はできましたけれども、もちろん病人が休むと言いましても部屋がないし、非常な資本に屈服されていると思うのですが、全部の民衆駅が悪かったとは言えないけれども、資本に屈服されて、そうして駅という公共性の名前にかりて私たちに大きなものを作って下さるということは、今の日本の力から言うて、私はそれはもうほんとうにそんな金を出すときじゃない。またものを売らんかな主義で店を開くようなものを、駅の一階にも二階にも、しかもその上にも置くということは、私たちは結局東京鉄道会館の二の舞が、必ずそこにいろいろな問題を含むおそれも十分にあると思う。ことに今の総裁は、鉄道会館の問題では前の総裁とは非常に深い関係でもいらっしゃいますから、事情をよく御存じだろうと思いますけれども、いまここにこういう問題にぶつかりなさいましたからには、私は十分その点では御注意になっている点もあろうと思いますけれども、新らしい民衆駅として新宿駅がどういう構想で、今まではなかったけれども、こういうようなものは来客のためにぜひこれだけのことはしておかなければならん、こういう問題はしなければならんというようなところの、新らしい民衆駅として、ほんとうに乗客のために考えるという点で、何か構想を新たになされておる点があるのでございましょうか。きょう御答弁の何か材料がないとしたら、それはぜひ私は伺っておきたいと思います。前の経験がいろいろあるはずでございますから、失敗の経験も……。いろいろな問題が起ってきておりますですね。国民は民衆駅ができることは単にデパートができるというだけでなしに、いろいろな不明朗を感じますのですね。いかがでございましょうか。
  54. 十河信二

    説明員十河信二君) 前にも申し上げましたが、東京の近年の地価高騰はすばらしい。東京市内では、なるべく平屋や二階建を建てないで、四階か五階かのアパートを作ればいいというふうなことになっておりますし、官庁などでも地価が一局いためにたくさんの建築費をかけて大きなビルを作っておられるのです。停車場というところはあそこは地価が非常に高いところですから、この地価の高いところをできるだけ利用するということも、これはやはり国として、公共企業体としても考えなければならんことではないか、デパートにするがいいか、オフィスにするがいいかというようなことは別の問題をして、駅だけにその土地を使えということになりますと、駅の費用が、非常にまあ五十万も六十万も坪でするような土地を、駅で一階あるいは二階で使うということは、あまりにもったいないじゃないかというふうな私たち考えをもっておるのであります。できるだけこれの利用効率を高めていく、そうするには立体的に利用することがいいじゃないかということが、私どもの民衆駅を作るに当っての大体の考え方なんです。そういうふうな趣旨で土地の利用効率を高めるためには、この財政上困難な国鉄が自分で、自分のところで使わない建物まで、三階以上五階になりますか八階になりますか、自分が使わない建物まで国鉄の乏しい資金でもって作るということは、どうもまだできないことではないか、だから土地の利用効率を高めるためには、民間資本を導入することが必要じゃないか、そういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  55. 小松正雄

    委員長小松正雄君) ほかに……。
  56. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は質問でなしに資料を二、三お願いいたしたいと思います。それはきょうの議題になった新宿交通センターの資料に別紙添付を記載されておりますが、企業目論見書、それからなおその他青写真等があれば、関係資料を一括して一つ御提出願いたい。
  57. 小松正雄

    委員長小松正雄君) ただいま御指摘になりました資料につきましては、この際、委員の方でお求めの点については提出させるように取り計らいいたします。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  58. 小松正雄

    委員長小松正雄君) 速記を始めて。  別に御発言もないようでありますから、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十五分散会    ————・————