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1955-07-20 第22回国会 参議院 議院運営委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十日(水曜日)    午前十時二十三分開会     ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     郡  祐一君    理事            松岡 平市君            加賀山之雄君            矢嶋 三義君            天田 勝正君            三浦 義男君    委員            伊能繁次郎君            剱木 亨弘君            榊原  亨君            赤木 正雄君            上林 忠次君            小林 武治君            阿具根 登君            藤田  進君            戸叶  武君            菊田 七平君            鈴木  一君   委員外議員    羽仁 五郎君     ―――――――――――――    議     長 河井 彌八君    副  議  長 重宗 雄三君     ―――――――――――――   事務局側    事 務 総 長 芥川  治君    参     事    (事務次長)  河野 義克君    参     事    (委員部長)  宮坂 完孝君    参     事    (記録部長)  丹羽 寒月君    参     事    (議事課長)  海保 勇三君   国立国会図書館側    館 長     金森徳次郎君    副  館  長 中根 秀雄君    参     事    (調査及び立法    考査局長)   角倉 志朗君    参     事    (建築部長)  吉田 辰夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○常任委員辞任及び補欠に関する件 ○ジュネーヴにおける四巨頭会談に対  する日本政府態度に関する緊急質  問の件 ○給与勧告に関する緊急質問の件 ○愛知用水公団法案審査に資するた  め委員派遣承認要求の件 ○国立国会図書館経過報告に関する  件 ○地方制度調査会委員の推薦に関する  件     ―――――――――――――
  2. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 議院運営委員会開会いたします。  常任委員辞任及び補欠に関する件を議題といたします。
  3. 海保勇三

    参事海保勇三君) 自由党から、社会労働委員石原幹市郎君、建設委員松岡平市君が辞任せられて、後任として、社会労働委員松岡平市君、建設委員石原幹市郎君を指名せられたいという申し出がございます。  社会党第四控室から、社会労働委員河合義一君、法務委員山本經勝君辞任せられまして、後任として、社会労働委員山本經勝君法務委員河合義一君を指名せられたいという申し出がございます。  民主党から、内閣委員小柳牧衞君、運輸委員木島虎藏君が辞任せられまして、後任として、内閣委員木島虎藏君、運輸委員小柳牧衞君を指名せられたいと申し出がございます。
  4. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ただいま報告の通り決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないものと認めてさよう決定いたします。     ―――――――――――――
  6. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 緊急質問取扱いに関する件。
  7. 芥川治

    事務総長芥川治君) 社会党第四控室岡田宗司君から、ジュネーヴにおける四巨頭会談に対する日本政府態度に関する緊急質問要求がございます。所要時間十五分、要求大臣総理大臣外務大臣であります。  社会党第四控室木下源吾君から、給与勧告に関する緊急質問要求がございます。所要時間十五分、要求大臣総理大臣大久保国務大臣人事院総裁大蔵大臣であります。ともに本日を希望されております。
  8. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本緊急質問を行うことに御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  10. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 次に委員派遣承認要求取扱いに関する件。
  11. 宮坂完孝

    参事宮坂完孝君) 農林水産委員長江田三郎君から、委員派遣承認要求書が提出されております。  目的は、愛知用水公団法案審査に資するため。  派遣委員は、重政庸徳君、溝口三郎君、亀田得治君、棚橋小虎君、菊田七平君。  派遣地は、愛知県、岐阜県、長野県。期間は、七月二十二日から七月二十五日まで四日間。費用概算約四万円であります。  以上。
  12. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 本要求を承認することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 御異議ないものと認めて、さよう決定いたします。  なお国立国会図書館経過報告等に関する質疑の続行をいたしたいと存じますが、本会議終了後再開いたすことにいたし、その間休憩いたします。    午前十時二十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時二十四分開会
  14. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 午前に引き続き議院運営委員会開会いたします。  国立国会図書館経過報告に関しましては、質疑が継続いたしておるので、ただいまから質疑のおありの方は御発言を願いたいと思います。
  15. 天田勝正

    天田勝正君 私はまず立法考査局長にお尋ねいたしますが、これは他の小委員会との関係もございますけれども、先般決定されました参議院並びに衆議院の専門員等を減員することに関連いたしまして、それを一部を立法考査局に引き継いで拡充する。こういう計画になっておるのでございますがそれらの受け入れ等について、どういう計画をお立てになっておるのか、もし今きまっておられるならばお伺いしておきたいと思います。
  16. 角倉志朗

    国立国会図書館参事角倉志朗君) お答え申し上げます。  このたびの専門員クラス十四名の転入につきましては、両院で御決定になりまして、近い将来に身分が移るわけでございます。もともと調査立法局におきましては、調査部門だけを十課にわけまして、課長以下五十八名をそれぞれ分散いたしまして、係に応じて依頼回答し、あるいは準備調査をいたしておるのでありますが、まことに手薄でございまして、たとえば農林課に例をとりますと、課長以下五名でもって、食糧関係飼料関係農業林業関係水産関係、外国の事情その他をいろいろと走り回って業務を遂行しておりますが、非常に回答の遅延もいたしますし、調査回答内容も不完全をまぬかれないようでございます。従ってできますならば、このたびの専門員級転入に伴って、調査員以下の実働の職員転入されたいという希望を提出してございますが、諸般の事情で、このたびは入らないということになったのであります。従いまして両院合しまして十四名の新専門調査員は、今局にございます九名の専門調査員でカバーし得ない専門分野につきまして、調査員以下の調査業務を指導し、あるいはみずから筆をとって調査回答、自発的な調査を書き上げ、いろいろと今後それをカバーしていただくということを期待しております。  それから同時に調査立法局でやろうと思ってできませんでした各常任委員会審議をフォローいたしまして、その問題点を把握して、そうしてこれを調査業務に役立たせるという仕事、これを新しい専門調査員に期待いたしております。来たるべき三十一年度の予算におきまして、できますならば調査員以下の職員の充実をお願いいたしまして、この数四十五名を一応予定しておりますが、一つこの委員会の御協力、お力添えをお願いしたいと思っております。  また各常任委員会に対応した調査関係の課が編成されますならば、常時各常任委員会と主管をいたします課との連絡も緊密になり、委員会からの御依頼にも便宜であるように考えますので、この際課制を若干調整いたしまして、現在の十課を十四課にするということをあわせて計画いたしております。
  17. 天田勝正

    天田勝正君 ただいま上級職員の問題についてはお答えがあり、また上級職員等仕事をなさっておる成果としてリファレンス等が出て、あれをずっと通読をしておるならば、一応学者になれると実際思えるくらいのものも出されておる。上級職員仕事はさようでございまするけれども、私は単に上級のみではなく、下級職員にやはり総合的に配置がえをしたり、あるいは他の部局との融通といいますか、人事の融通というか、そういうことを機動的に行う何らかの措置をとる必要があるのではないか。  そこで私は館長にも……、このことは副館長もお聞き願っておきたいと思うのですが、決して私は叱るのではございませんが、先般も必要がありましたので、少しく長い期間官報やら、他の委員会会議録等を調べてみたことがございます。そうしたところが製本等になっておるものに幾つかの脱落を発見した。これは私はここで責任を追及するつもりで申し上げておるのじゃないので、そういたしますと、ずっと保存さるべきその種のものが、あとで必要があって何か調べたいというときに脱落があったために、多分なかったのであろうと、私、たまたま内容を知っておったものだから、これが落ちていたことがすぐわかったわけですけれども、そういうようなことが現実にある、それじゃ、ただむやみやたらに叱っていいかといってみれば、政治法律図書館というようなのが、図書館の中にもう一つ図書館があるようなぎょうぎょうしい仕組みになっておりながら、一つの課は、実は二人でやっておる、そういうような状態を見たときには、とうてい叱る気なんかは起きない。そういう状態を急速に何とか解消しなければ、うまい図書館運営はできないと思うわけですけれども、館長は、常に人員配置等もみずから陣頭に立ってやっておられると思うのですが、単に議員に見せるりっぱな資料を作る、そうした職員の問題のみならず、記録を順序に集める、まあ機械的労務というほどのやさしいものでもないでしょうが、そうした人員を機動的に本館の方から立法考査局の方へ一時回して仕事をさしたり、あるいは立法考査局の方から本館の方に回したり、機動的にやられるならば、そういう、一言にしていえば、不始末ですけれども、そうしたものを除くことはできると思うのですが、そういう運営は、どのようにやっておられるのですか。
  18. 角倉志朗

    国立国会図書館参事角倉志朗君) ただいま御指摘の速記録整理の不備につきましては、私たちまことに恐縮に存じております。仰せのごとく、速記録整理いたしております者、官報整理をいたしております者、非常に配分上、人数が少くございまして、しかし少いからといって、こうした落度があるということはまことに申しわけない次第でございますが、しかしいやしくも製本をいたします場合には、やはり機動的に職員の担当を調整いたしまして、ある人数でもってこれを精査して完璧を期するということは必要であると痛感いたします。将来はこの点に留意いたしまして、不完全な結果が生じませんように戒慎いたすつもりでおります。
  19. 天田勝正

    天田勝正君 二つばかり伺いたいのですが、これはどなたにお答え願ったらよろしいかわかりませんが、先般も矢嶋委員からも実はお話が出た問題でございます。なかなか、図書館本館国会隣接地に移築される、そのことは、一日すみやかなるほど利用がすみやかになるので、まことに都合がいいわけですけれども、見ておるというと一向に工事が目ぼしい進捗をいたさない、うつつに日を送っておるといえば、お前は技術上のことを知らないということになると思うのですけれども、しろうと考えからいうと、あのまま地下室を作ってみたってよさそうなものを、全部平面上でなければ作らないようになっておるように見受けるわけですけれども、あのような手順をとらなければ、どうしてもならない理由というか、そういうものがございますか。
  20. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) ただいまの、その前の方の、まことに図書館が手違いをして妙なつづり方をしたのは、私も責任があるので、よく注意いたします。  次の図書館建築の方は、私もしろうとでございますために、比較的簡単にできるものと、当初と申しますか、三年くらい前ですが、いろいろ中の建築専門家等と話をかわしておりました。だんだんやってみますと、ちょっと類のない大きなもの、ゆくゆくは一万五千坪、さしあたりは八千坪というものを作りまするだけに、なかなか技術的にむずかしいものでありまして、あとで引っかかるとか、あとで土砂がくずれるというようなことが非常に懸念されまして、今年一ぱいで地質を比較的完全に調査ができるのでありますけれども、そういうようなところから、なかなか各種の手数がかかるもののようでございます。  そこで地面をこしらえて、それからいろいろと材料の強弱の関係を測定して、各種学者意見をまとめて作り上げるものでありまするために、気ばかりあせっておりましても、いろいろの工事が、私どもしろうとですけれども、不思議だと思うくらいでございますけれども、やはり土地を平らかにして、全体の目方を考えて、あとで弱い土地がくずれてゆくようなことの起らぬようにしなければならないというふうに技術家から、技術家といっても図書館技術家ではございません。外からの技術家会議等によって聞かされておりますので、私ども、そういうものであろうと自分で判断をしてやっておるのでございますが、それがために図書館建築がだんだんとおくれて、非常に不自由を忍んでも、今日の状況を進めることができないということは、まことに残念であり、相済まぬことと思っております。  今はそういうような状況でございます。
  21. 天田勝正

    天田勝正君 地盤が弱いとか、そのことではないのですよ。それは地盤が弱いといえば、東京駅前にあれだけできておる建物地盤なんというものは、何としても弱いのに、従来ずいぶん建築家なんかからも発表されたものをみたことがあるので、そういうことではなくて、それらの地盤が弱いということは、基礎を固めるということはやられるであろうけれども、それだって地下室はどんどん作っておる。あの場合は膨大な土をとって地上へ建てるという方法をとっておる。どうしてその必要があろう、それは地盤の弱い強いという問題とは別個なんです。それをお聞きしておるのです。
  22. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) もしお許し願えますならば、私の方の建設部長吉田君からお答えいたしたいと思います。
  23. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 吉田でございます。  ただいまの御質問に対してお答えいたします。  現在の工事は、昨年行われました懸賞募集における一等当選図案もとにして土工事をやっております。従いましていろいろ地盤の点はもちろんございます。しかしもと設計に準じてやっておりますので、それによりますと、三宅坂の側の低い方の地盤から地下室一階分掘ることになっております。それで現在は土工事のうち、基礎工事を含めておりませんので、地下室の一部を掘っておりまして、低い方の地盤から約五メーターくらい掘っております。それで高い方の地盤からいいますと約十七メーターの深さになります。大部分が低い方の地盤を基準にして設計かできております。それで地下室の用途は大体機械室、書庫という予定になっております。有効に将来とも使われる予定でございます。非常に高い方から見ますとずいぶん大きく掘ってあるようでございますが、低い方から見ますとまあ普通の掘さく程度でございます。
  24. 天田勝正

    天田勝正君 私の質問と違っているのだ。
  25. 赤木正雄

    赤木正雄君 関連して。  懸賞募集によってなすったとおっしゃいますが、かりに、一方に高いところが十七メートルくらいそれを掘るのですね。それほど掘って、懸賞募集にどうしても合致しないといけないのですか。あるいは地形によって高くしてもいいじゃないか。それはどうなんです。
  26. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 図書館の機能というものがございまして、外部からの閲覧者の入る口が三宅坂側と高い方の議院側と二つございますけれども、図書館といたしまして閲覧室へはいるのに、たくさんの階段を上がってはいるという旧時代のプランニングは、このごろのプランニングといたしましては最もいかぬやり方であるということになっておりまして、なるべく簡単に閲覧室へはいれるようなアクセスでなければならないということでございます。で閲覧室のレベルが非常に高くなりますと、これは図書館としてプランニングが悪いということになります。で建物を持ち上げるということは、非常に工合が悪い。  なお地盤の問題でありますが、あの土地は、ローム層砂層とございますが、一部のローム層が削られまして砂層が出ております。そしてその砂層がさらに侵食されまして、非常な傾斜をなしております。従いまして高い所にやりますと、また非常な土どめを要するということでございます。基礎はある程度深くないと技術上困ることになりますので、必ずしも持ち上げるということがいいという工合に私は理解しておらないのでありまして、一等当選も、地盤状況を非常に考慮いたしまして、あの設計図が出て参っておる。それでそれによったわけでございます。
  27. 赤木正雄

    赤木正雄君 その一等当選はわかりましたが、設計内容も、全部当選者計画しているのですか、その点どうなんですか。
  28. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 懸賞募集当時、地質状況を各応募者に知らせております。それによって当選者十分考慮を払って、建物位置について考えております。従いまして、その地盤に対する考慮ということが当選一つ条件になっておると思います。
  29. 赤木正雄

    赤木正雄君 設計内容まで募集のときにはすっかり出しているものですか。あるいはそれほど詳しいものを出していないのですか。それはどうなんでございますか。
  30. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 懸賞募集には、設計の概略の説明書が提出されるように条件づけられておりまして、それに出ております。
  31. 赤木正雄

    赤木正雄君 その出ておるだけの書類で、設計する人がどういう人がするか知りませんが、やはり当選者がある程度内容まで計画的にやらないと、ほんとうの建物建築上できないように考えますが、その点はどうなんですか。
  32. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) これは当選者の十分な意見を徴すべきだと思います。ただ建築常識といたしまして、あるいは図書館の性格の常識からいたしまして、おそらくああいう設計図の行き方がいいであろうと想像されます。
  33. 天田勝正

    天田勝正君 私の質問のあれを、正確にどうもつかんでおられないのでありますが、私整理してお聞きしますが、つまりその地盤が弱ければ、基礎をしっかり作っていく、これは常識であって、何も土を全部取るということと直接関係はないのです。  それからあなたが今おっしゃるように、傾斜地が侵食されておるから、やはり深い所へ基礎を置かなければと、それなら、今の設計は、そのまますぽっと地下室式に今の位置まで掘り下げれば、それで済むのではないか、つまり不必要な所まで土を取るという無駄な経費をかける必要が一体あるのかないのか。そこで片っ方、議院側から入るところは、ちょうど二階あたりに入って行くことになるか知りませんけれども、向う側からは三宅坂側が一階だ、それはもとからあすこは低いのですから、三宅坂側から入る人は前のままだって別に入るのに不自由はないはずなんです。だからあの地位まで全部下げて、あすこから普通の平地に家を建てるように建てていくような土の取り方なんですね。一般の大きなビルディングなんか建てる場合に取るような、その建物部分だけ土を取るという取り方ではないんでしょう。その必要が私は何かあるのではないかと、つまり将来に、書物の保存上地下室ではまずいとか、何かそういうような理由があって、ことさらにああいうふうにやっておるのではないかというふうに一つの想像がつくわけですけれども、そういう必要があってやっておられるのですか、どうなんです。
  34. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) ただいまの掘さくは、設計図に現われている以上のよけいなことはやっておりません。建物まわりが将来傾斜になるような設計図になっておりますけれども、まだ全部を取ってないわけであります。この次の基礎工事及び造園工事その他において、さらに土を掘って動かすということが出て参るかと思います。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連して。  僕らしろうとだから、よくわからないけれども、僕は朝晩あそこを通って、あれほど土を掘らなくても、何とか方法がありそうに思う。私たち個人の家で、家を建てる場合には、土地に起伏があれば、それを利用して建築するということもあり得るわけです。ことに日本みたいな平地の乏しいところでは、そういう土木工事建築技術というものは相当進んでいると思っているのですが、あれを断崖絶壁に掘り下げてやるようにした、その設計一等当選したというのは、どうも不思議な感じがするのですが、やはりなんですか、専門家としては専門家の立場から、いろいろと検討なさったんでしょうが、やはりあの土地にあの程度建築をするとすれば、当選した設計と、それに伴う工事というものは必要欠くべからざるもので、やはり最良のものであったというお考えでございますか。それとももう少し能率的な設計工事方法があったのではないかという反省をしておられるのですか。  御所見を一応承わりたいと思います。
  36. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 懸賞募集で、非常にたくさんの図面が出て参りまして、その大部分相当の掘さくをする設計になっております。それで一等当選が必ずしも特に掘さく量か多いのだということではないのでございます。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何ですか、一等当選が……。
  38. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 一等当選ばかりでなくて、たくさんの応募がありました。ことに当選の一、二、三、選外、どれを見ましても、あれ以上の掘さくをやっておるような設計がずいぶんありました。それで一等だけが多いという設計にはなっておりません。
  39. 藤田進

    藤田進君 どうなんですか、設計図を用意してもらっているから、見たらわかるわけですが、懸賞募集をせられた設計図は、敷地造成ということは一応考えないで、敷地造成せられた上に建つべきものについて審査せられているのか、特定の地域現実地域は今のあの場所ですが、あの場所敷地造成を含めて、なるほどこれが総合的に一番優秀であるということであったのか、私は現在のような敷地造成は、一応別の問題でやられているのじゃないかとも思われるのですが。
  40. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 建築設計と申しますのは、建築だけで成り立つものではございませんで、まわり敷地敷地造成全部を考えたのが設計でありまして、それで今度の懸賞募集におきましても、敷地そのものを与えまして、それに対する設計をさせておるのでありまして、その敷地取扱いすべてが応募条件の対象になっておりますし、それについて審査もしたわけであります。
  41. 藤田進

    藤田進君 そうすれば、あそこの横断面を見て、ああいう傾斜面で、こういう敷地造成、つまりあれだけ陥入するということになって掘さくが今言われるように相当片面では、のり面ではつくわけですけれども、ああいうことは懸賞募集設計図にあったわけですか。
  42. 吉田辰夫

    国立国会図書館参事吉田辰夫君) 一等当選につきまして、傾斜面設計図に現われております。ただ将来は傾斜にしないで、そこの傾斜もステップにしまして、一部に城壁を作るという設計でございます。それに至る段階を現在やっておるわけであります。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 図書館建築の問題について質疑を続ければ、いろいろあるかと思いますが、他にあれはしていただいて、他にないとすれば、ほかの委員の方々で質疑希望者があると思いますが、私も建築以外のことについて若干お伺いしたいと思いますので、図書館建築の件をまだ続けて質疑をするかしないか、一応お諮りいただいて、都合によっては審議を……。
  44. 郡祐一

    委員長郡祐一君) ただいまの矢嶋君からお聞き及びのように、図書館建築に関する件について、さらに質疑があれば、この際その質疑をお願いいたし、もしそれがございませんければ、他の質疑に……。
  45. 赤木正雄

    赤木正雄君 この建築の件につきましては、私は一応現場について説明を聞きたいのです。きょうでなくても……。そうでなければ今の……。(矢嶋三義君「異議なし賛成」と述ぶ)
  46. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 現場の視察の件に関しましては、他の委員方の御希望がありますので、いずれ機会を得ていたしたいと思います。  羽仁委員から委員外の発言を求められておりますが、お伺いしましてよろしゅうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 今の建築の問題について一言伺っておきたいのですが、本建築の進行の状況についての御報告がすでになされたかもしれませんが、まだ十分はっきりしていないようでありますので、いつごろ本建築がおできになるおつもりであるか、それが第一点。  それから現在進行がなかなか困難をしておられるようですが、その進行の困難がもしあるとすれば、進行困難の原因は何であるかということを、先日ばく然と輪郭的に御説明がありましたが、もう少しはっきり御説明が願えないか。  最後に、もしそういう困難があるとすれば、どういうふうにして打開して、いつごろから本建築か、本格的に着手され、完成するかという点を御説明願いたいと思います。
  48. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この前、あらかたの筋だけは申し上げましたが、もう少しはっきり申し上げたいと思います。  今になって考えますと、私どももいろいろ考えの足りなかった点もございますし、世の中の一般の行く道にも、また不幸な原因があったように思いますが、当初私どもの考えましたのは、設計者が懸賞募集に応じ、それが一等ときまれば、ほかに支障がない限りは、できるだけこの一等設計を尊重いたしまして、建設省で事業は運んでいただく、ただ一等当選者の意見は十分取り入れる。こういうような気持で図書館関係でこしらえております建築協議会でも、あらかじめその方針で話を進めていったわけです。ところが懸賞の結果によって一等当選者がきまるということになりました際に、問題がやや新しくなりまして、その設計が非常に現代の日本としては特色のあるよき設計である、こういうことを建築協議会の委員方が異口同音に認められておるわけであります。かような建築の特殊な考え方というものは、つまり人間の頭の働きであって、容易に人に実行させることはできない、著作権の中身とでも申しますか、その人の個性が伴うものであるから、できるだけその人にたよらなければよき結果は得るものではない、こういうことが現われてきたわけであります。ある建築家が私に申しまして、当選者が、ほかの人であったらこういう紛糾は起らなかったであろう、たまたまこの当選者一等になったために、面目が変った、こういう意見を述べられたのでございます。多少その気味はあるものと思っております。  そこで、その問題を進めてゆきますためには、かなりな部分一等当選者の意思あるいは芸術的な、実際的なこの建築考え方を取り入れていかなければ、よき結果は得られない。こういうような考えが強くなってきたわけであります。  ところが従来の建築のいき道によりますると、建設省の設置法によりまして、官庁建築は、ことごとく建設省がやるということが法律にきまっておりまして、その線を通っていくと、これは建設省が自身で一から十までを行うべきものである。当初の輪郭といいますか、依頼者の求める輪郭だけは依頼者が与える、こういう理屈になろうと思うのであります。もとより実際には、いろいろ交渉をいたしまするが、こういうまあ姿になろうと思うのであります。そこで私の方は、はなはだ困難を感じましたが、大蔵省に向ってはこの建設の当選者相当の尽力をしてもらうように予算を出してもらいたい、こういう希望を述べましたけれども、大蔵省は従来の考え方に従って、建設省がやるもの、建設省でやればいいという。特に設計者に対して必要な経費を払う必要は認められない。こういうような気持が中心になっておりましょう。そこで多少の金は出ますけれども、設計者の予想するような金は出る道がふさがってしまったわけです。大体設計者は千二百万円ないし千三百万円、はっきりしたその細かい数字まではどうも得ておりませんが、とにかくそれだけの金額を受け取ることによって設計の援助をすることができる、こう言っております。それから日本建築学会等の意見も、そのくらいの金は一般の標準からいえば、ごうも不当の金ではない、こういうふうに支持しておられますけれども、予算の関係で、そういう金が出る道がないのでありまして、いろいろと交渉をした結果、二百万円くらいならば、何らか製図の手伝いをするというような気持で設計者に払うことができるというような羽目になりましたけれども、二百万円と千二、三百万円との間の差がとうてい話を円満にいたしていくことができないのであります。そこで私の方は万策窮しまして、それではやはり建設省にやってもらうべきである。そうすればさような特別な費用を出さなくてもよろしい。しかし今までいろいろな方面と話合いあるいは建設省側も同意せられまして懸賞募集という段階を通ったのでありますから、懸賞募集をしてかような当選者ができたという歴史を尊重して、そしてその上に建設省において適当にこの建築方法をとって頂くことにできないものであろうかという研究を求めたのであります。それが今から約一月半くらい前になっております。そこで建設省ではそれに従って考えるということでいろいろ御研究を下さったようでありまするけれども、人の考え方の入っておるもので、受け坂って、しかも合理的なものを作るということには、非常に難色がございまして、今もって正式にできるともできないとも御返事はないのであります。内輪で申しますればあるいは御返事があったと解釈するのが正しいかもしれませんけれども、しかし私どもは非常に紛糾した問題でございますので、ただ内輪の話だけで、どちらとも判断をすることができません。大体今まで実質上承わっておるところでは建設省で引き受けることもなかなかむずかしい、こういう結論が出ておるのであります。  そういたしますると建設省に頼めばできないということになる。それから設計者の力を相当取り入れるという方法をとりますれば、予算上の制約が出て実行することができないという相当長い期間実は困っておる、立ちすくみの姿になっております。われわれは早く何か話のまとまって適当な建築物がほしいのでありますけれども、いかんともしょうがない状況になっております。この上はもう少し状況がはっきりいたしましたならば、もっと政治的な何か御考慮を皆様方に願って、どちらの道をとるか、設計者の力を借りて一つの芸術的な意義を含んでおる、芸術といっても美術という意味じゃございません。建築技術上の諸般の目的にかなうようなものを作るか、それとも建設省に御依頼し、設計者の考え方を幾ら離れてもかまわないという方向をとるか、今二つの分れ道になっておるのであります。ただ私ども進まんと欲しましても、事実建設省からの建設省と申しましてもたくさんの人の集まりでございまするから、誰の意見をもって建設省の意見と見ることもできません。今なお逡巡しておる状況でありまして、いろいろこう技術家が中に入りまして、中間に立って御尽力は下さっておりますけれども今日さらにその上の手を打つという道はございません。要するに今申し上げた二つの道であります。大蔵省に得心してもらって、今までの建設法の運用の例外をこしらえ設計者に相当の尽力を求めて、それに世間の承認する費用を払うという道によるか。どうなろうとも、建設省の自由な建設によるか。この二つを選ぶ段階になっておりまして、今日まだはっきりしたことを申し上げかねる状況でございます。  まあ今までのところは、そういう状況であります。
  49. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) ただいまの御説明で、本建築の進行していない、そうしてそれには困難がある、そうしてその困難は主として建設省と設計者と図書館との三つの間の関係が解決されないからだ、かつその解決の見通しはないというお答え、御説明だったようです。  館長に重ねてその点についてだけ伺いますが、館長は、ただいまの困難が館長のお力で解決できるというお考えで現在のような方針をとっておられるのか、それとも一定の時期ですね、そういうふうな状態で本年もずっと経過されるおつもりなのか、それともかなり長いことになりますから、ある特定の時期まで行かれましたならば、館長はさらに進んで御自身の力の及ばないところをあるいは議院運営委員会なりあるいは国会なりの力で解決されるというふうな方法をおとりになるつもりですか、その辺のところは今の御説明ではいつごろできるのか、いつごろ解決するのか、それもはっきりしないようなことで、はなはだ納得ができないのですが、その点だけ、いろいろ御説明は十分に伺いましたから、その結論だけ一つ御自分で、館長のお力で解決おできになるお見込みでしょうか。もしそうだとすれば、いつごろまでに、もしそれはなかなかむずかしいとすれば、どういう方法をおとりになるのか。
  50. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今なおぐずぐずしておるというのは私は、図書館は作られなければならぬと思います。しかしながら建設省が本来作るべきものであるという法律上の解釈において、もしそのままに補正せられないとすれば、いつまでも解決しない、こう考えておりますが、しかしこれは解釈の問題でありまして、多少の例外、建設省の何か法律に書いてありまする官庁の営繕はすべて建設省がやるということは絶対に例外がないというものではなかろうとひそかに思っておりますが、そこで建設省が、どうしても自分ではやらないという宣言をなさって下さったならば、もう絶体絶命、あらゆる手段を講じてその例外の承認を、承認と申しましても、事実大蔵省その他に対して、まずこれをやっていく、その基本的な設計をした人の知識上の努力を相当取り入れるということを各方面の御了解を得るように持っていきたいと、こう思っております。ただ、今のところはっきりした答えが、私どもに疑いないと思うほど建設省から示されておりませんで、かような姿になっております。ただしかしこれでは来年度の予算を本年計画する上にも非常に支障を生じますので、近い時期に次の段階に持っていきたいと思っております。  それがいつまでにできるかということは、今日の今の瞬間には申し上げかねるので、大蔵省側に対しまして、いろいろの方法で主張をしておりますけれども、まだ予算を出すというような方向の返事が来ておりません、ひまどりをしておるわけであります。もう少しお待ちを願いましたならば、この難問題、どう解決するかということが自然にはっきりして来るのじゃないかと思っております。
  51. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 建築問題については、これだけです。
  52. 郡祐一

    委員長郡祐一君) 他に建築に関する御質疑がございませんければ、一応建築に関する質疑はこの程度にいたしまして、それ以外の事項について御質疑を願います。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 簡単に若干伺いますから、要領よく一つ答弁して下さい。  予算のことになりますが、私この図書館関係審議をするのは初めてでございますので、非常にささいなことでございますけれども、勉強の意味で一応承わりたいと思います。  図書館関係の予算の中の諸謝金というのが八万四千円組まれておりますが、この諸謝金というのはどういう方面に使われるのでございますか。
  54. 角倉志朗

    国立国会図書館参事角倉志朗君) お答え申し上げます。  諸謝金と申しますものは、例をあげまますと、ある調査のテーマにつきまして、外部で研究をいたしております専門家を呼んで、その研究を発表してもらうとかという場合の謝礼でございます。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 最近どういう例がございましたか。最も近い例。
  56. 角倉志朗

    国立国会図書館参事角倉志朗君) 大学制度の改革につきまして、そのほうの専門家を招いて調査の必要上談話を聞きました、その謝金がございます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう専門家から専門的な講演と申しますか、説明を聞き、あなたのほうでさらにそれらを参考に検討された結果を印刷物等にして議員等に配布する、こういうことになるわけですか。
  58. 角倉志朗

    国立国会図書館参事角倉志朗君) さようでございます。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点、了承しました。  次、伺いますが、原子力関係資料購入費というのは、昭和二十九年に九百万円で、三十年度に二百五十万円と、約四分の一に減っているわけですが、まさに現代は社会が原子力時代に大跳躍をしている時代で、私はよほどこの原子力関係の資料というものは充実しなければならぬ段階ではないかと思うのに、昨年に比べて四分の一になっているのは、私はちょっとびっくりしたのですが、これはどういう経過をたどっているのでございましょうか。念のために伺っておきたい。
  60. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 原子力、これともう一つ同じようなものとしてP・Bレポートと申しまして、過去の戦争中に、諸国でいろいろな発明研究をして実際に利用したという、その資料を、主にアメリカの所蔵するものを写真にしてとっておるのでありますが、原子力資料を図書館で集めるという動きは、どちらかと申しますると、今まで何もしていなかったのを、とにかく諸国に働きかけて、できるだけ資料を集めよう、こういうので、当初は一括して今までたまっておったものを買おうというので相当の予算をいただいたわけであります。P・Bレポートも、たまっております約十一万件の発明資料というものを一括して買おうというために、相当巨額の金をいただいたわけであります。ところが、この二つのものは、当初はいろいろ金はかかりますけれども、一段落済みますと、そんなにたくさんの材料があるわけではございませんので、いろいろ学術雑誌のいわば途中の抜けておるようなもの、あるいは新しく出たところの資料を買う、こういうわけでございまするから、そんなに引き続いて本来としてはたくさんの金は要りませんので、今年はごく小額に縮めたわけであります。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一応わかりましたが、さらに伺いますが、やがて原子力研究所を開設するやに伝えられております。また、大学においては原子力講座の開設も企図されていると承わっているわけですが、この国立図書館にある原子力関係資料は、その程度のものは、日本のすべての大学というわけに行きますまいが、新学制をしかれる前、いわゆる帝国大学であったクラスの大学にある程度の資料は国立図書館にある、その程度だと了承してよろしいのでございますか。どの程度内容のものか。
  62. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 私は詳しいことは存じませんが、原子力に関するおもな資料は、どこの大学にもまとめてはなかったように聞いております。大体これは大学側の人の希望及び意見を取り入れたものでありまして、一昨年になりまするか、大学側におきまして、われわれは原子力の研究をしなければならぬけれども、どこにも参考の資料はない、これを学問的に見て行きますると、何も科学者のものばかりじゃございませんので、たとえば法律家の面、原子力を持つことがいいか悪いかというような研究もあり、経済の面でこれをやればどういう結果になるかという議論もあり、国際法の面もございまするし、それから学問のほうへ行きましても、電気の学問、物理の学問、化学の学問というふうに、いろいろな方面にわたっておるというので、何とかしてどこか一つに資料をまとめることが好ましい、こんなお話がございまして、そこで湯川さんを初め十数人の関係学者に集まってもらって方針を決定して、そうしていろいろな国に手を伸ばして買い集めるようにはかったのでございまして、おそらく今までまとまったものは、大学にはお持ちにならなかったと思っております。そうしてまた最近に日本がアメリカの原子力委員会からたしか一万数千点の資料をもらい受けるということがあって、もうその大部分日本に到着しておりまするけれども、これと私どもが集めましたものとは、ある部分は重複しております、ある部分は特有のものがございまして、こういうものを一まとめにまとめて持っておりますると、日本におきましては、将来は別として、ただいまはどの学校でもお持ちにならない、そうしてどの学校でもお使いになりたいという資料が一応整うような気がいたします。  私どもはそれをどこか雑誌なんかはしかるべき所へ長期貸付と申しまするか、あまり長くても困りまするが、研究者にひと月とかふた月とか貸すようにしたらどうか、こういう提案をしたこともございまするけれども、お集まりになった学者たちは、それは困る、必ず散逸してしまう、ある所は利用するけれども、ほかの所は持てない、一応私どもの所で完備した形でお預かりしておるという気持で、原子力の研究所がほんとうにできますると、アメリカからもらって来たところの資料は私どもきちんと整理したあと、たとへ引き継ぎと申しますか、譲渡ではございませんけれども、そこに備えつけて便宜をはかる、そのほかのいろいろな各大学等で欲せられるというものは、御希望に応じてすべて写真またはマイクロフィルムにとりまして便宜をはかる、こういう方針でやっております。ほかにはあまりそれに対して私どもが関係しておる大学の教授たちは異存がないように今のところ見ております。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 館長に要望しておきたいと思うのですが、私の私見になりますけれどもかくのごとき新分野に関する資料というものは、なかなか予算関係もあって集めずらいし、各研究所、各大学、各図書館等に整備するということもなかなか言うべくして難いことでございますので、日本全国をブロックに、それぞれ一カ所とかあるいは日本の国のあそこに行けば、それらに関する現在の世界水準のあらゆる資料がそろっているというような施設、設備というものを私は最低限整えたいと、かような念願を持っているものでありますけれども、ただいま原子力関係資料購入費の項目が出ましたので触れたわけでございますが、さように今後努力をしていただきたいと要望いたしておきます。  次に伺いますが、やはり予算関係ですが、外国旅費として昭和二十九年はゼロでありますが、三十年度は百五十四万二千円が予算化されておりますが、これをいかように使われる御予定でございますかお伺いいたします。
  64. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) この図書館建築が、いろいろなことでおくれがちにはなっておりまするけれども、その予算のねらっておりまするのは、図書館建築するための技術面の人たちを入れたいと、われわれの図書館が世界の標準と食い違わないように、こういう気持で、二人分の旅費を計上したわけでございます。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは設備の研究に参られるわけですか。
  66. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 設備です。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どちらの方に派遣されるのですか。
  68. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 私の聞いておりますのは、一人は照明とか暖房とか冷房とか、そういう方面の研究であります。図書館に当てはめまするについて日本にどうも研究の信頼し得べきまた利用し得べきものがないようであります。それであとは一般の建築の設備を……、旅費関係等は、金額から計算して、主として、おそらくはアメリカだけに重点が行くと考えております。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう一点これらの点に関して伺いますが、それは非常勤職員の手当は、昭和二十九年三百四十二万六千円、昭和三十年度は三十三万円と十分の一、かように減額しておるようでございますが、これはどういうことなんでございますか。
  70. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは、今まで図書館というところが二度の行政整理にあいまして、五百六、七十人のところへ三十数人実は減っておるわけであります。減っておりますけれども、これはまあ一般の情勢であるというのでいろいろと差し繰っておりまして、しかしそれで図書館が小さくなるわけでもございませんので、絶対にありませんので、そういうところを補充するために非常勤職員というものを置きまして、いわゆるアルバイトが少し発達したようなものでございますが、それをもって一応の間に合せをしておる次第でございます。しかし非常勤というものは実際は常勤でございまして、その待遇等につきましても、常に紛糾の種となっております。それで今回はできるだけ今までのアルバイト、臨時アルバイト的な人を常勤の方に組み直しまして、非常勤の方はそれだけ減りました。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 何各組み直しました。
  72. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 二十五人の非常勤職員を常勤の方に直したものであります。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在のところ職員定員関係はそういうところで、まあまあよろしいという状況と了承していいのでございますか。
  74. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは、実際図書館仕事はふえるばかりで、少しも減っておることはございませんし、門戸もだんだん広くなり、世間からの期待もふえて来ておりまして、ほんとうをいうと、動きのつかないというような状況になっておりますけれども、ほかの情勢を考えますると、何とも言えないというようなことで、今申し上げましたように、定員は減らされても、定員に類似したほかのもので間に合せようというわけでございまして、とてもこれで満足したとは実は申せませんが、今年はこれで差し繰ってやっていく、こういうことでございまして、また来年度になりますると、相当人員が必要であると、こういうことでございます。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ついでに伺いますが、先ほど私事情があってちょっとおくれて参りましたが、天田委員との質疑でダブる点がありましたら、それは済んだとお答えいただきます。というのは、先ほど天田委員から、立法考査局職員に関しての質疑が行われていたように拝聴をいたしました。そこで私はやや具体的に伺いますが、御承知のように本院において常任委員会の専門員室の構成再編ということが行われるに伴って立法考査局に対するところの要望並びに議員の利用度が非常に高まって来たので、この面の職員の充実をはからなければならない。あれこれ協議した結果、衆参の常任委員会の専門員室の専門員中から十四人立法考査局の方へ転任されるかに話が進んでいる、かように私は記憶しているわけでございますが、この件はいつ最終的に処理される御予定でございますか。なおやや踏み入るようでございますが、それらの入選等は終了されているかどうか、その点承わりたい。
  76. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) ただいまお話の点は、いろいろの交渉の結果、ただいまのところ両院からおのおの七人ずつの専門員を決定していただくという方針はきまっておりまして、そしてその実行せられるのは八月、正確には八月一日から実施せられることになっておりますが、しかしそのときまで何もしないでおるというわけではありませんので、人選につきましては、また院の事務当局といろいろお打ち合せをいたしまして、私どもとしては大体今まで専門調査員には一つの型ができておりまして、任務はおよそきまっておるように思っておりますから、なるべくそれにふさわしい人をいただきたいということで御考慮を仰いでおりますが、話は比較的円満に進んでおりまして、今日一つの院は全部内輪の協議が整っておりまして、他の院は、ほんの一人か二人だけまだ問題が残っておりますが、一両日のうちにそれもきまることと思っております。それを受け継ぎましたらどうするか。一面から見まするとき妥協ついたと申しますか、図書館には図書館の任務がございますから、今までの専門員のお立場とは少しく違う空気の中に入られることとなろうかと思いますけれども、人間は器ではございません。やはり調査立法考査局仕事にぴったり合体するように勤務して下さることと期待をし、人選の結果は、それにふさわしいことにしております。  ただ一つの欠点は、そうなりますと頭はできたけれども、手足はないということになりまして、それだけの実質上の調査陣が何らの手足を持たないで働くということは不経済になる。全体から見てもまことに好ましからぬ気持がいたしますので、今後頭に対する手足のような調査陣が相当加わらなければ完全な働きはできないと思いまして、来るべき年度には、そういうことを補う工夫をしたいものと考えます。御了承を願いたいと思います。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 このたびの参議院の専門員室から転勤される人を申すのではなくして、一般論として専門調査員を任命する場合の選考はどういう機関でやられ、またその選考の基本方針というものはどういうところにおいておられるのか承わります。
  78. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 図書館の一般的に希望することを両院の事務局に申し出まして、両院の事務局はそれを……。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、問題は、専門員が転勤になりますね、この場合でなく  一般の場合について承わります。
  80. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 実は、この国会図書館に、現在は専門調査員という名称の職員が九人ありまするが、図書館ができますときに、この専門調査員というのは、いかなる地位と権能を認むべきものか、これは非常に考えたことであります。と申しまするのは、事務をとる方が、いろいろな地位につきましても、専門の判断は案外にぶいのであります。それから純粋の学者というものは、書物の上からの知識はありますけれども、実際上の経験がないために、その言うところが、いわゆる学者的だということになって、役に立ちませんで、だから事務をとるのでもなく、専門の学者でもない、両方面を頭の中に入れて、初めて公正に、いかなる政党にも、いかなる局部的見解にも一致せず、自分の全責任をもって真実を語り縛るという人でなければ相ならぬと信じております。しかし、それとても、空にこれを言うのでは因るので、基礎的な学問の土台においてやらなければならないのでございますから、ほんとうに日本に、適切にこの場合専門調査員にふさわしき資格を持っておる人は少いのじゃないかと思っております。あるいは学者になり、あるいは事務官になり、あるいは政治的な色彩を持つという向きがございます。それは非常に因るので、そういう者でない地位ができてくる。でこれがほんとうに生きてきますると、一時はいろいろな非難を受けるかもしれませんけれども、正しき器として、専門調査員仕事ができる。そういうふうな人を持っていこうとしておりまして、今までは人選をいたしまするについても、知識と経験両方面、そして政治的に無関係ということでやってきておるのでございまするが、今後とても、大体の方向はそうであって、万一違った傾向の閲歴のある者は、あるいはそれを避けるか、それを矯正しなければならんかと思っております。  一つちょっと付加えて申しておきたいのでありまするが、専門調査員というものは、ちょっと普通の器で測れないような事情がございまして、人によって個性があると思いまするから、いろいろの特色を備えられております。で、人の言うことを聞いて内容をきめるというようなことはできないのでありまして、その人の個人的な一番正しいと思う見解を表明して、常にほかの人の参考に資するということでございまするし、その待遇等も案外これはむずかしい点がございまして、それらにつきまして、まあ、今まで相当苦心をして参りましたが、今後もそういうふうにあるべきものと思っております。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その選考基準、基本方針なんかは、御答弁いただいたですか、どういう機関で選考されるのですか。館長が選考されるのですか。
  82. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 大体の方向を示して、両院の事務局にお願いをしておきまして、私どもの方は、そのいろいろ両院でおきめ下さったのを内輪に承わって、ある程度の……。
  83. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは、専門員室から移る人のことでしょう、その場合でなく、一般の場合……。
  84. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) どうも見当違いの御答弁をいたしました。今までは、まあ、私どもの方では、いろいろものによって人と相談をしておりまするが、今までは専門調査員に関する限り私が全責任を持ちまして、そして若干のこういうことに理解のある人に相談をする、こういう態度をとってきめております。
  85. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことになれば、私は一つ伺いたいんですが、吉田内閣時代に、長きにわたって法制局長官を勤めていた佐藤達夫君が、このたび一月一日付で専門調査員に任命されておりますが、少くとも私は佐藤さんの識見の豊かであることと、人格的にりっぱであって、その人となりには私は一音も異議ございません。敬服しておりますが、ただいまの館長の政治的に無関係云々ということを選考基準に再三説明されておりますが、その角度から言えば、少くとも私は院内において、あるいは本会、あるいは委員会その他において佐藤達夫君としばしばわれわれは相まみえる機会があったわけですが、少くともこの政治的に無関係ということは、私は言えないと思います。それを法制局長官をやめたとたんに専門調査員に任命されたのは、どういう選考基準に基くものですか。
  86. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) どうも、こう御指摘を受けましてまことに恐縮ではございますけれども、私自身は佐藤君が、その役人の地位にあればそれはいろいろの批判を受ける、つまりその命ぜられた仕事をする、こういう意味におきまして、政治的なことにわたって発言をしたということは、これはないとは決して申しません。しかし今まで何十年、二十七、八年になりましょうが、ずっと彼のたどって来た道行きを見ますと、個人としてはその政治的に動こうとする傾きはございませんので、私は深くそれを信じております、信じても、それは個人の信仰にすぎませんが、それでその命令をされないような立場のものになりますれば、ほんとうの真実にその意見を十分利用する価値があろう、こう思っております。  それから今一つ、これは今のお話の選考の標準を動かすことには実はなりませんけれども、実は国会図書館が前からあちらこちらにお諮りをして、日本の憲法が生まれてきましたときの正確な記録を作りたい。従って多くの関係した人の意見を聞き、録音にとったり、速記にとったりしておりますが、なかなか要点々々が明確になって参りません。そういう点をいろいろな材料を批判して、その正しいか正しくないかについて個人的な経験を持っている入が欲しいと思っておりましたら、たまたま佐藤君と申す、憲法ができまする当時にあちらこちらにわたるめんどうな関係を一番よく知っている人でございまして、そういう点について、これは適当ではないかと思ったのも一つの標準になっておりますが、しかしその政治的の点は、これはまあ私はそう思うというだけであって、結局意見として残る問題かもしれないと思っております。
  87. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は一般論としてお伺いしたいのですが、いま政党政治が行われているわけですが、この政党内閣の重要なポストにあった人が、その内閣が総辞職した、あるいはその他によって、その地位を失って、とたんに国会常任委員会の専門員とかあるいは国立国会図書館専門調査員になるというようなことは望ましい人事でございましょうか、どうでございましょうか。一般論としてですね、館長の御所見を承わりたいと思います。
  88. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) これは非常に、議論のいろいろと立つ問題であろうと思っておりますが、この法制局長官というものは、その昔は非常に政治的色彩が強かったのでありますが、だんだんと地位が変りまして、そうして技術的な官吏ということ、つまり法律上の知識を述べるということが主たることであり、その下にいる十人以上の専門家を自由に動かして客観的な正直な意見を述べる、これは法制局長官の近代的意味であろうと実は思っております。ただしその人が内閣の中におっていろいろ説明をするようなときに、これはどうも内閣にいる限り話が単純であり得ないということもございます。これはその職務からで、その与えられた地位からくる特別な問題である、人間そのものの取ってぬけないような癖ではないように私は見ております。  今のような場合には、その人を見、そうしていろいろ出入りございますけれども、総合的に判断するよりほかしようがないというような気がしております。私自身もかつて法制局長官をやったことがございますけれども、それは外側の政治的紛糾によって首を切られたということはございまするけれども、個人としてある政党に特別な利益をはかるというようなことはやったことはございませんが、まあ法制局長官には、二いろあるのかもしれません。私、事務的法制局長官という言葉を使いますが、それに、ポストからくるやむを得ざる立場の言葉なんかが加わるという工合に、実は解しておりまするが、どうもこれは違いますか。大きくごらん下さいますと間違いない結果がだんだん出てくると実は思っております。
  89. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 館長は、ずいぶんと解明能力、説明能力なんか抜群なわけですが、ただいまの説明は、これは私は了承いたしかねますね。特定なAなる人物のよしあしということでなく、一般論として現在の法制局長官とそのときの内閣との関連、さらに、本心がどうであろうとこうであろうと、公けの席上で、ある言動をとられた、そのことは、それがすべてであって、ああいう言動をしたがそれはそういう身分でこうしたので、自分の本質そのものはこうだというようなことを言ったら、これはもう何も問題にならぬ。すべての問題は、それはもう論じられなくなってしまうと思う。今の館長の言葉は、このために私は詭弁という熟語があるのじゃないかと思うので、了解いたしかねます。  それで、確かにこの佐藤達夫君が憲法制定当時の事情に通暁されているということはそうでございましょう。いろいろ論文も書かれておりますが、その知識を活用しよう、利用しようと思えば、別に私は方法があると思うのです。それは方法はあると思うのです。それを直ちに、総辞職してからすぐ国立国会図書館専門調査員に任命するということは、やや言い過ぎかもしれないが、館長、そのときだけは私情が非常に動いたのではないかと、かように私は感ぜざるを得ません。佐藤さんの知識を利用しようと思えば、国立国会図書館専門調査員はどうあらなければならないかという角度から、私はその貴重な経験と知識というものは利用する方法があったと思うのでございます。これだけ私はこの件については申し上げておきますので、きょうの速記をごらんになって、もう一回お考えおき願いたい、かように思います。  そこでこれに関連してさらに伺いますが、今度参議院の専門員の若干の方が立法考査局に転勤になって、あなたの指揮下で仕事をされるようになるそうでございますが、御承知のように、国会常任委員会の専門員諸君は、十五級の三号という待遇を受けております。それと関連して承わるのでございまするが、国立国会図書館専門調査員の待遇はいかようになっているか、もし常任委員会の専門員との待遇の間にアンバランスがあったならば、これをいかように処理されようとお考えになっておられるのか、この際承わっておきます。
  90. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今、国会図書館調査員は大体十五級の三号ということになっておりまして、相当高く評価されております。しかし、そればかりじゃございません。十五級の二というのもございます。今度国会の方からお移りを願う人の地位につきましては、いろいろ御相談もしたし、また私どもも考えましたけれども、私どもの方としては大体中に入っておって、今まで働いておる人とつり合いをとる必要がございまして、これは非常にむずかしい標準がございますが、年ばかりではいきません、その人のもっとほかの経歴も考えなければなりませんし、その人となりも考えなければなりませんが、それを全部考えの中に入れまして、筋の通るところに地位をきめる、こういうふうに考えました。ところが十五級の三ということになりますると、この際俸給が少し上ることになるのであります。そのある人人は十五級の二にいたしますると、少しこう下るというような意味もございまして、そこのつり合いというものは非常に困難でありますが、今回は、この異動のために俸給が上るということを避けよう、こういうような見解をとりました。これも私どもの方ばかりの意見ではございません。いろいろとあちらこちらと相談をした上でございますが、だからして上らないということを標準にいたしまして、しかしながら現在の地位になるべく著しき変化を起さないようにいたしまして、そうして若い方々は、やはり今まで図書館におりまするほとんど同格の接近した人がおりますので、それとのあんばいも考えなければならぬということで、今一人一人、いろいろな考査を加えました。しかし結果において著しく筋の違ったことはございません。  これはまだきまったことではございませんので、今日申し上げるのは早いかもしれませんが、今、実は俸給は上らないということを一つの原理として、しかもほかの人とのつり合いがはかられるということを第二の原理といたしまして、あといろいろこまかいところに考慮を加えておりますが、もしふたをあけたあとに間違いがあってはいけません、よく、もっと精密な研究をしてみたいと思います。
  91. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もう二、三点で私は今日の質疑を終りますので、お答え願いたいと思います。  今、あちらこちらに相談したと言われたですが、どういうあちらこちらか、念のために承わっておきたいのであります。それと、調査員のうちで、給与の最高の方はどの程度かというのも、参考に承わっておきたいと思います。
  92. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 調査員はまだ十四級の二、これはずっと下から組み上げてきたものでありまするから、なかなか俸給を一般的に上げるというわけには参りませんので、今日十三級くらいが普通の意味の到達点でございまして、そうして十四級の二……。ちょっと申し上げた点は、少しあいまいでございました。調査員はだんだん下の方から上げて参りましたので、結局十三級のところに、その地位がきまっておりまして、十三級の四とか五とかいうところになっております。これは図書館調査員のことであります。今度専門調査員の資格において入られる人は、これは十四級のある段階以上に皆なるわけであります。
  93. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務総長に伺いますが、もちろん国立国会図書館常任委員会の専門員室とはおのずから違う面はあるわけですけれども、今の説明では、専門員室の調査員の給与の方は、国立国会図書館よりは低い枠をはめられている。今後のこれは研究問題として残ってくる問題でもありますので、念のために聞いておきます、専門員室の最高は十二級……。
  94. 芥川治

    事務総長芥川治君) 私の方の常任委員会の専門員室の調査員は、十二級までということになっておりますが、その一部は十三級までいっております。今、はっきり号俸は覚えておりませんけれども、たしか十三級が二名かちょっとふえていると思います。
  95. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 事務総長に伺いますが、これらの勤務者の給与については、常々仕事の質、量それらとも関連がありましょうが、常々バランスということは考慮されてやられているものと思うがどうですか。
  96. 芥川治

    事務総長芥川治君) 常任委員会の方の調査員と、それから事務局、狭義の意味の事務局の方の課長級に相当するわけであります。それとは絶えずバランスを考えまして、常任委員会の専門員室に相談いたしまして決定しております。
  97. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あちらこちらというのはどこですか。
  98. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それが抜けておりますから……。  先ほど申し上げました国会図書館調査員は十三級というような言葉を漏らしましたが、これはほんとうの地位は十三級であります。しかしながら調査員である役づきと申しますか、ここには課長という意味ではございませんが、主査という名前のものでございまして、主査という役につくというと少数の人が十三級になっておる、こういうことを申し上げましたので、その点は国会事務局側と、おそらく格別の差はないものと考えております。  あちらこちらと申しましたのは言葉が少しすべりましたが、何しろ人をいただくのでございますからその取扱いについても、最大の注意をしなければなりませんから、人を送り届けて下さるべき両院の事務局を指したので、二つあるので、あちらこちらと申したのであります。(笑声)
  99. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは館長並びに立法考査局長に特に要望しておきますが、いずれ近く常任委員会の専門員若干名が立法考査局に移るわけでありますが、それらの職員の融和という点については、上司として十分意を配っていただくように特に要望しておきます。  なお現在九名の専門調査員がおられるようでございますが、こういう方々の略歴の資料を次回の本委員会に提出していただきたいと思います。  それと関連して伺いますが、国立国会図書館には、お偉い人が非常に多くて、手足は少くて、仕事がなかなかうまくいかないのだという。どの程度根拠がありますかはかり知れませんが、そういう声をちょいちょい聞きます。もちろん私ども議員として、いろいろ調査をお願いしますというと、われわれの希望に沿って迅速にいろいろ調査して下さいますし、またこちらから要望しなくても予想に基いて研究調査もされているようであります。この刊行物もおりおり配布をいただいているわけでございますが、それらの業務経過の内容については、私は次回にさらにお伺いいたしたいと思いますが、本日はこういう人事関係の問題がここに出たついでに、私は常々自分の耳に入ることでございますので、その点館長はどういうふうにおとりになっていらっしゃるか、どういう眼で見ておられるか、この際御所見を伺いたいと思います。
  100. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 専門調査員というものは、非常に特殊な立場でございまして、実はその人はいろいろな経験を持って一人でしっかりした意見が立つのが本則であるというようなふうに考えておりまして、普通の事務の中に入って、上官、下官という関係で働くものじゃない、そういう人は、特別なこういういろいろな問題について、すぐれた見解を持たない傾きがございます。そこで当初、私が専門調査員にきていただきまするときには、その人一人で仕事ができて、しかももとより中におりまするから、上官の命を受けて働くことは働きますけれども、それは仕事の形の上においては命を受けますけれども、仕事の中身において、是々非々を論議する、ちょうど裁判官というほどでもないかも知れませんが、裁判官に似たような意見を主張するような独立性を持つ、こういうような形において初めから考えたのであります。これが一般の行政部局の仕事のやり方と違いますために、なれない人はいろいろとうわさをすることもあると思いますけれども、命を受けて知恵を出すというのでは、ほんとうのいい意見が出るわけはございませんので、初めからそういう方針をとっております。アメリカなんかの制度のやり方も、どうもそういうもののように承わっておりますが、今私はその方針をとっております。しかし人おのおの意見があるとはいいいながら、しよっ中感情が食い違うということであっては、これは仕事ができませんので、その点はもっぱら注意をしております。立法考査局長は、その局の中に専門調査員を含んでおりますけれども、仕事の上の中身についての指図はできないのであります。こういうふうに解釈しておりまして、まあ今まで無事にきておるわけあります。  今度お入りになる新しい人々は、大体今までおりましたところでは、一人一人おのおのの主張を持ち、おのおのの識見を持っておられるのでございまするから、下手をすると意見が違うために、感情の差を生ずる危険がある、というわけじゃございませんが、その懸念を防止しなければならぬと思うのであります。でございまするから、私は当分のうち、この新しい人と古き人をまぜておいて頻繁にいろいろの感情を開きまして、皆様方の間のお気持がとけ合っていくように持っていきたいという、さしあたりはほかに方法がございませんのでそういう方向でやってみて、首尾よくいけば非常に喜こばしいことになると思っております。  ほかに今、ちょっと何か偉い人がいるから事務が停頓するというようなうわさがあるということでございました。それは私は絶対にないことと思っております。なぜかと申しますると、そういう種類のことにつきましては、形式上の相談をするにしても、実質上の相談は、これは主として学問上の意見の争いでございますので、意見が違っても、一向かまいません。違った結果は、私のところで整理して用いる場合に持ち出すと、こういう考えを持っておりますので、何か非常に根拠のない、どう考えても、そういうことが起り得る余地がないような範囲のうわさであろうかと私は存じております。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が伺った点は、まあどこの会社、銀行でもそうですが役づきが多くて、実際手足になって動く人が少いと、能率の上らないものですわね。で、まあその偉いと言うたのは、私は役づきの意味のえらい意味ですね。で、そういう人が、第一線で手足になって動かれる人に比べれば割に多いのではないかというようなことを聞くのですが、それで伺ったわけですが、いずれ私はこの国立国会図書館の施設設備の状況は、有志議員の皆さんと一緒に一度様子を拝見さしていただきたいと思っているのでございますが、まあそのときにも、私どもの眼にどういうふうに映るか見て参りたいと思っておりますが、どうも内閣が総辞職した、長官はすぐ役づきになるというような格好ですね、そういう役づきが割に多くて、末端の手足となって動く人が比率からいって少ないかと、そういうところは、もう少し充実されなくてはならぬのではないかというような声を聞くから承わったのです。  最後にその答弁だけ伺って、他に質問があられるようですから、私はここで質問を打ち切って、あと業務経過の内容に関する質疑は、次回に持ち越します。
  102. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 役づきが多くてと言っても、役づきというものは妙なものですが、近ごろの人事制度の上から起る一種の役関係ではございますけれども、役をしておるその人間が自分で働くので、上の方で指図をしているというのではなくて、どっちかというと給与の関係から妙な制度が生まれてきたと思いますが、そこで役づきが多いということは、の能率を妨げるものじゃないのでございまして、自分で働きつつ、なおその附近におる数人の人に注意を施していく、これが普通の形態であります。  専門調査員だけはこれは特別のものでございまして、一人がやや半独立をして、そうして問題を考えていく、こういう立場でございますから、これはまた別の目で批判をすべきもののように思っておりますが、何分ごらん下さった後で、また一つ御批判を願いたいと思います。
  103. 天田勝正

    天田勝正君 関連して。  私さっきちょっと指摘したこと、あれを言うと、何か非難しているようで、私の方は逆に同情したつもりで申し上げていたわけですが、今せっかく矢嶋委員が非能率のことを指摘されましたけれども、私は不思議に思うのは、一つには、あの国立国会図書館の中に政治法律図書館というものがまた別に一つあって、別やら中やら、日本人の観念からすると全くおかしい、あれを何も政治法律図書館というものを名称をつけなくたって、特に国会図書館であるから政治法律に関連が非常に深い。これを重視するという意味で、一つこれを課でなくて部にしておくと、こういうのならば話はわかるわけです。ところが館長の該博な知識から割り出されたことでございましょうけれども、どうも一つ図書館の中に、もう一つまた図書館がある、こういう概念というものは、日本人にはおよそぴったりいきません。そこでぴったりこないのはいいとして、やたらにそういうふうに分割するから、私は非能率になるのじゃないか、それをさらに細分して参りますと、先にも私が指摘したように、その一つの課は二人だ、こういう状態だから、さっき指摘したような間違いが起き、一人の人が病気になった場合には、読み合せもできぬ状態なんです。二人だから。そういうことが、むしろ部なら部にして、全部のものが一緒になったならば、いつだって読み合せにも支障がない。とかくこの図書館は、官僚組織同様にやっているとは私は申しませんけれども、運用の妙を得ませんと、大体、他の部のことはわれ関せずえん、他の課のことは、こちらの課はわれ関せずえん、こうなってしまいますから、さあ二人分課は、一人が病気ででもあれば、読み合せもできない。ごく簡単なこと、資料をつづっておくだけでも手落ちを生ずる、こういうことになる。  私は、先のは非難ではない。むしろそういう二人でやるということ自体に誤まりが起る。だから有無相通ずるように、一つ考えになったらどうかということを御指摘申し上げたわけですが、私は、専門調査員というのは別個のものだ、これは了承いたします。そうでなければならないと思う。けれども、どうも有無相通ずる組織になっておらない。特に内部にまた一つ図書館を作るということなどは、一体どうしてこれを黙視されるのか、その理由。それから無理やりに、私は一つの部なり一つの課なりであれだけの人数がずっとたくさんおればいいのに、三課か四課ぐらいに分れておる、政治法律図書館、これが分れておるがゆえに、現実にああいう事態が起きた、こういう実例を見た場合に、これをどう改良されるという一体御意思であるのか。  まずこれを伺っておきたいと思います。
  104. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 先ほどの、まず図書館というものを分けたことでございますが、これは確かにおっしゃる通りの意味がありまして、相当考えなければならない点だと思っております。ただしかし私の心境は、一体日本図書館というものは、学校の延長のごときものでございまして、従来の図書館事務は一種の観察の範囲を持っております。だからものを扱いまするときに、国会図書館立法調査等のことについての感覚が、非常ににぶいように思っておりまして、また図書館人等で習っておるところも、大体欠けておるような気がいたします。この国会図書館に伴うところの図書館の活動というものは、主として法律、政治さらに進みましては社会、こういうような問題にまず重点を置かなければならない、そういうところに重点を置きませんと、国会図書館の生まれていくところの理由が、非常に薄くなってくるわけでございます。だからして従来の図書館人の考え方にある程度の刺激を与えて、同時に私どもの目的を達成するために、まず法律政治等の図書のかたまり及び仕事のかたまりを作ろうじゃないか。これが初めの動機でございます。従ってその経歴等も相当違っておりまして、同時に調査部門と一緒に、どうやらこの図書館らしい姿を見せたものであります。本来国会図書館というものは、二つのものがまざっておるのでありまして、一つ国会にサービスする、法律政治的なもの、一つは一般の国の図書館という意味で哲学、文学、芸術、こういうような面にわたるものでございまして、どうしても実質上人の関係まで含めて考えますると、二色にならなければならないということで、それをいきなりできるものではございませんので、この法律政治図書館を生み出して基盤をその方向に合せていく、そこに入ったら法律政治に興味を持って、それに合う調査をする、これが動機でございまして、それが今日までやってきた道行きがよかったか悪かったかは御批判にまかせまするが、そういうような気持できております。  よその図書館の、この法律を扱うものは、ちょっとほかのものと毛色が違っておりまして、どうしても自然に独立する傾向を持っておるようであります。日本図書館は、法律、政治を蛇かつのごとくきらって、今まで八十年の歳月を経過したということは、そこに何か一つの連絡があるような気がいたします。その思いやりから、今のようになったわけでございます。  将来、こういう特殊な形を持っていくかということは、これは考えものでありまするが、これはどういうことになりまするか、ちょっと見当がつきません。今までのように、図書館一つであるという考え方は、非常にやりにくいのです。やはり専門々々で固まっておりまするから、どうしても中に多少の専門的なものができなければなりません。ほんとうは図書館の館というものをもっと別の字でも使えると、それがよかったのでありまするが、うまい字がないために、まぎらわしい形になって、その点は御指摘の通りであろうと思います。  それから次に係が二人だからというのは、あれはもっとも間違いをしでかしたものですから、何とも抗弁の余地はございませんが。
  105. 天田勝正

    天田勝正君 私は同情して申し上げておるのです。     〔委員長退席、理事三浦義男着着     席〕
  106. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 人数が少かったからということの関係でなくて、三人というのは、係が二人であるのであって、課は二人ではございませんので、まあ手薄は全般的の状況でございまして、どうしても手薄になり、無理をしていきますために間違いを起しましたことは申しわけございませんが、どうもこまかく係を分けたということと、どういう関係があるか、ちょっとよく私わかりませんので。
  107. 天田勝正

    天田勝正君 ちょっと、何としても金森館長は、説得力は抜群だから、聞いておると何となしに気持がわかるような気がするのですが、やはり僕は世間並みの概念で物は措置してもらうのでなければ、どうもほかの者も、いろいろこまかい説明を聞いて図書館に来るのじゃないのだから困る。というのは、その中に、屋内屋を作るようなことというのは、国会というものがあって衆議院と参議院がある、こういう式。あるいはよそでは上院、下院がある。あるいはフランス式にはやはり参議院がある。こういうところは、長い伝統もあり、また世界中でそういう仕組みになっておるために、名前が変っても二つあるのだということは一向に不思議にされないのです。たとえばこれを参議院の中に農林水産参議院というのができたときに、あなたはどうお考えになりますか。必ずこれはおかしいと感ずるに違いない。だからその日本人の概念からすれば、該博なそこに説明をおつけになるよりか、やはりこの政治法律部門というものを重視されるというなら、それは内容で重視していけばいいのであって、私どもの考え方からすれば、内容で重視すればいいので、同じ名称をつけなければ重視をしないという御議論は、さっきの話じゃないが、詭弁というものは、そのためにあるのじゃないかという気が私はいたすのであります。だから、それに異論を立てると、法律、政治というものを重視するためにこうやったのだという御説明になって、異論を立てれば、軽視しろという議論みたいに追い込んでくるという、私らからすれば不思議な議論なんです。だから私は、参議院の中に農林水産参議院があってはおかしい、商工参議院があってはおかしいと同様に、一つ図書館の中にまた一つ図書館というのは、どうしてもおかしい。なるべくならば人員が少くして能率をあげるためには有無相通ずるようにあまり分課せない方がわれわれの考え方としてはいい。それが足らざるときは手伝いし合うというのも、確かに便利なのです。これを一々に分課すると、どうも他の課に対してはわれ関せずえんになりがちなのは、これは役所一般がそうなんですから、その点は、むしろ私はそうした方がいい。だからさっきの問題等についても、決してとがめるつもりはなく、非難はいたしておりません。ですから、そういうふうにやり直すお考えはないかと、こう聞いておるわけです。それはついでに答えてもらえばいいことにして、私は全然角度の違う質問一つだけしておしまいにいたします。  それは、図書が累増して今でも処置に困っておる。そこでさっき羽仁さんからの質問にございましたけれども、本建築の方はどうかといえば、端的にいえば、これはまだ見通しがつかない、こういう始末です。ですから三十万、五十万という本がむだということではないけれども、きわめて不完全な管理のもとに放置される、こういうふうな状態に立ち至ることはもうはっきりしておると思うのですけれども、提出された資料によれば、まず救いの道がないように書かれておるわけです。実際どこへどう決解する見通しかということになると、どこにもございません。これを一体どう処置されるつもりでございましようか。結局この説明の通り処置はないから、このままほうっておく、こういうことになってしまうのでございましょうか、その点どうなのですか。
  108. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 実は本がふえまして、だんだんと本の置き所がないということはほんとうに困っておることでありまして、図書館建築が早くできなければならぬわけであります。見通しがつかぬということは、これは確信をもって発言する時期が来ないということであって、決して一つの淀みの中に水が停頓しておるというわけでない。中に動くべきものがありながら、まだはっきり申し上げるところまでいっていないということでありまして、私早晩、図書館はできるものと思っております。それが今の計画をかりに動かしていくとしても、来年度から計算して三年かかるわけでありまして、その間に年々七万冊以上の書物がふえてくるということは否定のしようもございません。これをどうするかということに問題が残っております。  これをどうするかといいましても、とにかく何か建物を獲得するよりほかに方法はございません。相当苦慮をいたしておりまするが、しかし何といっても、広い施設のことでございますから、たとえば人間のおる所を脇へ引っ越して、だんだんと処分していく。現に宮内庁の倉庫を借りて、そこにある程度の文献は置いておるというふうにやっておりますが、これは弥縫手段でありまして、ほんとうの手段は、新しく図書館建築をするよりほかございませんが、それまでの間、実は内外で困っておることは事実であります。それを何とかしない限り、貧乏な図書館には抜本的な手を打つまでの見込みがございません。ことに近ごろ、あの辺は不燃性のものでなければ、建築法の関係でできませんので、いろいろ苦心をしておりますが、何とかして三年持たせたい、こういう希望を持っておるわけであります。
  109. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  110. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) 速記を始めて。
  111. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 議院運営委員会の貴重な時間をさかれて委員外発言を許されておりますことに、深く感謝をいたします。およそ八点ばかりでございますが、要点だけをお答えを願いたいと思います。  第一点は、先ほどの本建築の問題ですが、これはどうか、見込みがないというようなことではないというお話でありましたけれども、各方面にいろいろな問題を生じていることでありますから、できるだけ早く御解決を願いたい。特に議会の図書館でありますから、議会の力で解決される方向に努力せられたいと思っております。  第二点に伺いたいのは、今天田委員からの御質問がございましたように、現在の図書館の現状というものは、館長として、傍観しておられるということでは毛頭ないと思いますけれども、当然いろいろな意味で、やはり人のいる所へ書庫をこしらえておるというようなお話もありましたけれども、事実人が通ることもできないようになっておる。そうすれば、人は全部外に出てしまわなければならぬということになるおそれもありますし、現在の打開の方法としては、できるだけ早く本建築ができることは必要なんですが、それまでの間、現在の図書館建物の中に図書館のほかに法制局と法務省がおられますが、法務省の方は、法務省の本建築ができて、そちらに移されるということができるのじゃないか。もしそういうことができれば、そこが暫定的に図書館の問題が解決されることにも用いられるのじゃないかと思われますが、そういう点はお考えがないでしょうか、いかかでしょうか、要点だけお答え願いたいと思います。
  112. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) それは、あの図書館が昭和二十三年に場所をきめるときに、当時の法務庁総裁の鈴木さんと話をいたしまして、半分づつ使おう、その半分を魚の背骨の肉を分けるように玄関から奥に貫く何らかの線で区別しよう。ただし一年間たてば法務庁関係の新庁舎ができるので、それから先はお一人でお使い下さい、こういう話し合いを実はしたわけです。というのはそのとき二人だけで、もちろん外国の人も一人おりましたけれども、主として二人だけで話し合いをしたわけであります。その後それをもとにいたしましてときどき法務庁にいって、あすこ一つ使わして下さい、事情は変ったにしてもと、こういって、申し入れをしておりまするが、いつも建物が思うようにできていないから、もう少し待ってもらいたい、こういうことで、そのままになっておりました。その後もいろいろの努力をいたしましたけれども、まだ成功しておりません。実際事務室の分量を見ますと、図書館の事務室としては、一人当りがほんの一坪弱でございます。しかも法務省の空間の割合は、一人について二坪近くあるようです。これは計算はいろいろございましょうが、二坪近くあるようですから、今の姿であっても、何とかもう少しあけてもらえるのではないかと強くいっております。まだ確答は得ません。  ことにあの建物の中には、法務省でもない人が使っておる。これはごく数は少うございますけれども、何かやはり関係はあるけれども、直接法務省の人でないという人が使っておるところもございまして、せめてそういうところだけでも早くあけて下さいと、今やっております。どうももう少し待ってくれというのが実情でございます。
  113. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) ただいまの問題も、できるだけ早く解決せられますように、ことに国会の力で解決せられるように希望いたします。  第三に伺いたいのは人員の問題ですが、図書館の現在、昨年今年と、累年の仕事のふえていく量と、それから図書館においてそのふえていく事務量を処理する人員とは、逆比例になっておる。これはどうぞもう少し詳しく本委員会に御説明をせられまして、そうしてこれを合理的に解決せられることが私は必要じゃないかと思います。  そうでないと、せっかく図書館があってもその機能を果すことができないと思いますが、これはただいま御説明がいただけますか、あるいは次の機会ですか。一般の行政整理などをも絶えず受けておられるようですが、創設時代の図書館でもあり、それからまた国会図書館であると同時に、全国の図書館のセンターでもあり、そのセンターにおいての事務が、ある意味において不合理な節約を受け、その能率があがらないと、全国的に及ぼす影響もあるのではないか。そういう点で、もう少し館長の識見がはっきり主張せられることが必要じゃないかと思いますが、どうですか。
  114. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 年年、予算の増加というものは要求しておりますが、なかなか正規の職員はふえない状況であります。一番図書館人員が多かったのは昭和二十六年でございまして、そのときには五百九十三人の正規の職員を持っておりました。ところがそれに続く行政整理で二十七人減員をいたしまして、さらにまた昭和二十八年に行政整理で減りまして、結局何らかの人たちが減っておるのであります。  これに対比いたしまして、仕事の量は図書館は年々書物がふえるのでありますから仕事もふえる。それからことにレファレンスと申しますか、外からのいろいろな注文はふえておる。かつまた別に、表だってやりかけたのではございませんが、自然の時代の落ち付くところとして科学図書館、科学の発達を促していくところの中心的図書館という意味のものが、次第々々に外からくるといってもいいくらいでありまして、原子力の問題や、あるいはP・Bレポートの問題であるとか、あるいはまた学術界からも希望されておる。これに対しまして非常に定員がふえません、まことに困難な状況になっております。ただしかし実際を埋め合せるのには何とかしなければなりませんので、やっと現在百四十人の定員外の職員を加えておりまして、所定の職員と定員外の職員を加えますと、辛うじてわずかながら事務の増加に連絡をもっておりまして、比例するとは申せませんが、連絡をもっておる、こういう状況であります。  ことに上野の夜間開館とか、その他すべきことは山ほどございますので、それを実行するためには、どうしたって定員増加をしなければ、妙なことをやっていきますと、かえって経費がかかって実効があがらないということになりますので、毎年やっておるのでありますが、今のところ百四十人の定員外の職員を加えることによって、やっと細々と所定の責任を果しておる実情でございます。今後増員の計画は、もうこの来たる年次において、相当要求をするつもりでございますが、そのときにはどうぞ御援助を願いたいものと思っております。
  115. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 次に、図書購入の予算の問題ですが、中でも、特にはなはだ了解に苦しむのは、外国図書の購入でありますが、外国図書は年間およそ三十三万冊おもなものが発行されている。ところがわが国会図書館において一年間に購入しておる外国図書は、およそ三千冊に過ぎない、百冊に一冊しか買っていない、それも先ほど矢嶋委員の御質問にもありましたように、現在日本で他の大学その他でも、なかなか図書購入が困難です。国会図書館に一冊あれば、全国の大学その他各方面から利用されることができるのですから、方々で外国図書を購入されているならば、こういうことは問題になりませんが、センターとしての国会図書館が、三十三万冊の本が出ているけれども、三千冊しか買っていないというのでは、はなはだ図書館の職務を果していないものと判断しなければならない。少くとも十分の一ぐらい、十冊に一冊ぐらいは日本全国の全国的なセンターとしての図書館として購入されることが当然だと思います。これはどういうふうにお考えですか。
  116. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 従来、外国の本がなければこの図書館の目的に合わないということは、年年大蔵省にやかまして言って、私も前の前の大蔵大臣のときにはねじ込んでいったのでありますが、まだ所期の目的を達することができないばかりでなく、実際は三千冊も買っていないのでありまして、その三千冊であれば、まだいいほうだというようなわけであります。  それから地方の大学等で、どのくらい買っておるのか、よくは正確なことはわかりませんが、そのくらい外国書を買っているのは、まず府県立の中学の大学であって、いい大学はもっとずっと外国書を買っておるらしいのであります。そんなような立場におきまして、私どもがこういうふうに幾らもがいても買えないということは、非常に情ないことと思っておりますが、外国との交換によりまして、ことに政府出版物等を手に入れておりますので、幾らかいいところもございますが、残念至極でございます。ただこれに対しましては、私どもも多少努力が足らなかったという傾きもございます。というのは、どれだけ買わなければならないということを論証するだけの研究ができておりませんので、まあ腰だめで、世界の有力な書物の一割はどうしてもほしい。ことに三十三万冊世界に掛物があるのだから、せめてこのくらいという計算をしておりましたが、どうもその辺のところは正確に筋の立て方が不十分であったような気がいたします。でありますから、もう少し根本的な研究をいたしまして、こういう書物の中で言葉の通用しないという国の本は、そう第一義的に買うということも無理でございますが、われわれの利用し得る範囲の書物の見当をつけまして、そのうちのどのくらいは買わなければならぬというふうで、目算は立てたいと思っております。  ただいまのところでは、これもまあ何といっても、目算は腰だめに近いものでございますけれども、少くとも年に今のところは七、八千冊は本を買いたい。しかもその単価は、ただいま買っております外国の書物は、単価が非常に低いのであります。というのは、自然に安い本に食いつくのじゃないかと思っておりますが、それは安いほうの外国書に関する限り、大した価値のないものが多いのでございますから、その単価を高めて、ことしは大蔵省に要求したい、こういう考えを持っております。
  117. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 第五に、支部図書館の問題ですが、立法府としての国会が、行政各省並びに司法、最高裁判所などに支部図書館を置かれて、そこで国会議員立法のための調査その他に十分の資料がキャッチされることが必要なんですが、現在までのところ、一応その組織が、機構ができておりますけれども、能率が十分にあがっていないのじゃないか。これはもちろん一挙に期待されるような機能を発揮することは困難でしょうが、来年度において、どの程度にその機能を発揮するようにしておいでになるつもりですか。現状のままにおいておかれるつもりですか。その点、現在構想があれば、それについて伺いたいと思います。
  118. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 支部図書館は、次第細りと申しますか、できました当時に比べますと、だんだんと行政整理等によって減らされまして、当初のそんなに十分でなかった期待すらも、だんだん標準が下っていくような感じがしております。やっとことしになりまして、二十七の支部図書館の予算全体を通じまして約一割だけ予算をふやすことができたのであります。一割ふえたと申しましても、ある図書館は予算が減っておるということもございまして、その金額も結局百万円くらい全体でふえたという状況でございます。  これがいかになり得るかということは、各行政官庁と共同作業になって、大蔵省と当るべきだと思っております。それはもとよりやりますけれども、それまでの途中は与えられたる予算を一番効果的に使うような、いろいろな工夫をしてみようじゃないか、これは補充手段であって、とうてい本当のものにはなりませんが、書物の重複を避けて、なるべくは中央図書館の書物を使ってもらうようにしたい。それから図書館人の能率をあげたりいたしまして、かつまた、全体を通ずるカードをこしらえまして、甲の図書館のものが直ぐ乙の図書館の本を使う便宜が得られるようにやっていく。こんなことでやりくりをやっておりますが何とか一つ大きくしていかなければ、この制度を作った趣旨にも反すると思っております。
  119. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 今の点は、特に各行政官庁ないし裁判所とそれから国会図書館と両方の関係があるために、国会図書館の方で十分御尽力がないと、あちらの方では予算その他を削られるために困難を感じ、国会図書館の支部図書館になったために、かえって官庁の図書館国会議員の利用に不便を感ずるようなことになっておりますから、十分御努力を願いたい。  それから、第六は、国会図書館は、日本の全国図書館のセンターとしての国立国会図書館としての任務をもっておられる。全国の図書館は、皆さん御承知のように地方財政の困難などによって、全国の図書館内容はきわめて悲観すべき状態にあります。その中で国会図書館が全国的のセンターとしてスタンダードされた意味の奉仕をされることは、法律にも規定されておりますし、当然なさるべきことだと思うのですが、従来ほとんどなされておりません。  それで、少くともカードの作成などは、国会図書館が全国の県立図書館、公立図書館には無料でカードを配付されるというようなことは、経済的にも、国の経済からいって国会図書館一カ所で作って、それを配る、現在では各県立図書館で一々カードを作っておられる、その費用はセントラリゼーションされれば十分の一くらいになるでしょうし、国の費用からみれば、非常に節約になる。これはカードだけの関係ではございませんが、その他いろいろの点で国の図書館全体の仕事で、国会図書館がサービスすることによって、国の経済の上からすれば、非常に節約でき、また全国図書館の充実に寄与する面が多々あると思う。これはほとんどやっておられない。やっておられないために私どもも、しばしば全国の図書館から、折角国立図書館ができながらほとんどどういうお助けもいただいていないというなげきも聞くのでありますが、これはどういうふうに充実していかれるおつもりですか、お伺いしたいと思います。
  120. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 印刷カードをこしらえるにつきましては、新らしい本ができましたときに、その本につきましてちゃんと所定の記述を加えて、分類まで示したカードを印刷いたしまして、そうして図書館その他の書物を利用するところの人にそれをまず買ってもらう、こういう計画で初めから立ち上ったのでありますが、なかなかその印刷カードを作りますことも技術と経済との関係で思うようになりませんでしたが、近頃に至りまして、一応まあ完成いたしまして、もしも希望する人があるならば買ってもらいたい、こういうところまでは行ったわけでございます。  ところが、なかなかどこの図書館も自由な金をお持ちにならないと見えまして、今日のところ一年に百万枚くらいしか売れておりません。もっとうんと売れさえすれば買った方も一枚五円くらいの費用でカードができます。自分で作れば相当金がかかる。人件費その他を加味いたしますと相当の経費がかかりますけれども紙代を加えて四円でやる。それを図書館に備えつけておけば、大きな経費の節約ができるということでありまして、仕事の上では、やっと目鼻がつきまして、だんだんと今やっているのであります。そこでそれを全国の図書館に寄贈をいたしまして、各図書館で印刷カードを利用するというふうにしたいものだということはかねがね考えておりましたが、だんだん計算をしていきますと、全国の図書館を大体四百見当と計算いたしました。これは大きな図書館だけを考えております。府県の図書館、市の図書館、あるいは大きな大学の図書館、大きな研究所というものだけを予想いたしておりますが、約四百のところに、この印刷カードを寄贈するものといたしますと、六千五百万円ぐらい年々要るようであります。計算の方法では、もう少し僅少でやれるかもしれませんが、どうもその辺になりまして、前々から大蔵省にいろいろその意味のことを申し入れてはおりまするけれども、地方の費用は地方で負担する、実質的な便宜は国会図書館から得るがいいけれども、経済的に国と地方のものは別の方がいい、こういう議論もあるようでありまして、未だ思う通りにいきませんが、ただ金額が多いものですから、私どもの普通の事務的な努力だけでは、これは急速に応じがたきもののように思っておりますが、今後とも努力をいたしまして、費用さえあれば、もっと早く取り運ぶのじゃないかと思っておりますが、まだ大体の空気では、今日直ぐには見込みがないように瀞えております。  そのほかに、いろいろ図書館に入った書物とか、新たに日本で発行された書物の目録を国会図書館でこしらえておりますが、これとても、どうも無定見と言われてもしようががざいませんが、買ってくれそうなところに買ってもらう、それからどうもいろいろな事情で買ってくれそうもないところには、無料で寄贈するものもございまして、はなはだそういうところは、うろついている状況でございます。将来これをすべて国費の負担のもとに、いろいろできたらいいと思いますが、どうも私ども、ただいまの立場では大蔵省が承知しそうもない。そうして図書館が他に急ぐべき事柄が相当あるのでございますから、まだ考慮中の境を越えないのであります。
  121. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 第七に伺いたいのは、この図書館資料の保管が十分に行われていない。  先ほど天田委員からも御指摘があったように、資料はほとんどだめになってしまった、なかんずく製本の点ですが、御説明の資料によりますと、製本の予算が、毎年増加する分の予算は二分の一しかない、それから前からたまっているものは四分の一しか製本されない、四分の三は、そのままくずれていくということは、重大問題だと思うのであります。このまま放置していかれるつもりですか。来年度においてはこれをどの程度に解決されるつもりですか。
  122. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 大体新聞紙とか雑誌とか、それからパンフレット類というものが、一番問題になって参ります。新聞紙は買い取りましたままにして置きますと、いろいろ減ったり破れたりする危険がございます。パンフレットなんかも、そのままにして置きますと形が不完全でございますから散逸したり、こわれたりするというようなものにつきまして、思う存分に製本をするということをいたしますと、今まで製本をせずにたまっておったものが五万以上も、計算の仕様では、いろいろございますが、どうしても製本できないのでありまして、これはそのままにして置いて、今日は弥縫手段でいきましょうが、他日災いが生ずるというようなことにもなろうかと思います。ことに新聞紙の古いものは、何かもう破壊の一歩手前、こういうようなところまで来ているものもございまして、それの保存には、非常に苦心をしているわけであります。  今もらっております予算は、実際年年の必要額の半分にも足りないような状況でございまして、これが一年逃れで、今年はこれでもいい、こういう形でありますが、たまったら、あと処理ができなくなる心配もございます。今までほかの仕事に没頭して、こういうところはなるべく譲歩するという形をとっておりましたが、今年はしっかり一つ馬力をかけて、製本及び修繕の費用を要求して、主張したいと思っております。
  123. 羽仁五郎

    委員外議員(羽仁五郎君) 最後に、あとは私の希望にしておきますけれども、国立国会図書館内の立法考査関係仕事の能率が、やはりまだ議員各位の期待に沿うておられないように思うのであります。これについてはやはり毎年少しずつでも新しい計画を立てられて、そうしてその期待されている仕事を少しずつでも実現せられるように具体策を立てていただきたい。  それからもう一つの問題は、上野図書館の問題ですが、これはやはり法律によして上野図書館国立国会図書館の分館となり、そうして上野図書館が、おもに東京都民に利用されておるのですが、実際上、国会図書館本館並びに分館の中でも、上野図書館が最も東京都民によって利用せられておる。幸いにして昨年から夜も開くという戦前の平和の状態に戻ったのですが、しかし東京都にまだ図書館が十分でないために、東京都民が国立国会図書館の分館である上野図書館の利用に、はなはだ不足を感じて、せっかく昨年から夜間も開館せられたのですが、やはり一般の希望に十分に沿うておられないように思います。この点についても一歩々々具体的な計画を立てられて一般の国民の期待に沿うようにしていただきたいと思うわけです。  で、これらについては、一々お答えをちょうだいいたしませんが、結論といたしまして国立国会図書館が所期の目的を達成せられる上には、特に予算の面で十分の措置がなされなければならないことは申すまでもないのですが、幸いにして国立国会図書館議院運営委員会の管轄の下に仕事をお進めになるようになりましたので、従来と全く違ってその意味から、十分議会の強いバックを受けて仕事をされていかれることになると思うので、館長もその点十分認識せられまして、どうか、以上申し上げましたような各点について、議院運営委員会に十分具体的な説明をせられ、その指示を受けられて目的を達成せられるようにお願いをするものであります。ありがとうございました。
  124. 上林忠次

    ○上林忠次君 私も少しお願いのようなことを申し上げたいのですが、先ほどの話で、年々発行される分の一%くらいしか国会図書館で買うておらぬという話ですが、もちろん小さい国の、しかも有益な書物もたくさんあろうと思いますけれども、私も怠慢から、国会図書館なんというのは、世界中の書物が集りつつある、令部集っておるのだ、たこえ一部であろうとも、日本に一カ所の大きなセンター図書館として一部あるのだと私は考えておったのでありますが、先ほどの一%の話を聞きまして、さみしい気がする。長い間の戦争中のあの外交の中絶した時代におきまして、日本の学術界、産業界、これは外国とはほとんど中断されまして、ほとんど一つも書物が入らなかった、かようなことで、まあ日本の産業全体、学界全体が、相当立ちおくれている。これは今さらの話でなくて、昔から日本の学界でもあらゆる階層、ああいうふうな知識界の進歩というものは、国家全体を通じてみんな外国のまねをしている。研究者の研究を見ましても、私は自分のことだけしかわかりませんけれども、多分おそらく各界の学術界を通じて、外国の書物の翻訳物が多い、あるいはそれにまねた研究が多い。新しい研究が出ると、これはほかもので外国じゃすでに出ているというものが多いのでありまして、常にわれわれは外国のまねをしている。特に戦争中におきましては、ああいうようなブランクがありまして、日本のそういうような学術界、産業界が特に立ちおくれている、かようなときに、急いで研究のレポートなりあるいは単行本なり、あるだけのものを早く吸収しなければならぬと痛感しておるのでありますが、先ほどのさみしい話を聞きまして、私は唯一の一番大きなブック・センターである国会図書館が、まだそういうような遅々として収集ができておらぬ。これは金森館長は少し怠慢じゃないかというような気がいたします。われわれもかような点では、十分努力するつもりでおりますから、一つ世界の書物をなるべく余計に集めていただく一そうの御努力をお願いしたいと考えておるのであります。日本がますます列国に対照しまして遅れつつある、早いとこ水準までかけ上るというのが、今のこのわれわれの努力の目標になっておる。よそ以上に出るということはとてもできない、いかに早くくっつくか、水準に達するかということであくせくしているのが現状であります。  国会図書館がますます収集に努力していただきまして、日本のあらゆる界のために有効に使われることをお願い申し上げて、一言希望を申し上げた次第でございます。
  125. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) ただいまのお話、まことにありがたいことと思っております。  先ほど申し上げましたように、わずかに百分の一、しかもほんとうに一流の本だかどうだか、計算の関係でそう確信も持てない、たとえば一冊五万円以上もするような本を買っていくには、非常な苦しみをしなければならぬというような状態でございまして、いろいろと目算をしてみますと、まず一ぺんにというわけにはいかぬと思いますが、年に外国書だけで六、七千万円買うことができますれば、だんだん蓄積していくと、まあそのうちにはよくなっていくんじゃないか、今のようにわずかに、どれだけ買っておりますか、三、四百万円ということでは、とても勘定になりません。今年あたりからほんとうに大わらわになって突進したいと思っております。
  126. 上林忠次

    ○上林忠次君 私、もう一つ希望を申し上げておきたいと思います。  これは、すでにやっておられると思いますが、国会図書館に新しく到着した書物の紹介は、各館にはやっておられるということを先ほど聞きましたが、全国の有数の図書館、学校図書館、かような所で単独に買うておる書物で、こちらの国会図書館で予算が足らなくて買われなかった、こういうものが、もしかすると地方で買われているかもしれません。そういうものがサンマリーとまでいかなくてもタイトルだけでも、日本のどこにはどういう書物があるということぐらいは国会図書館で知っておいてもらわなければならぬ。月の新到着書物は新聞なりカードなりでやって、どこの図書館に何が来ておる、こういうのが国会図書館に来ているということをやってもらいたい。よく言われますことは、一般の人が利用したい書物はサンマリーを作ってもらって出すか、写真を出すか、そういうことをやってもらえば少数の書物か有効に使われると考えますので、それは人間の数、定員の関係でとてもそういうことはできないかもしれませんが、そういうところまでやってもらうと、これは少い書物でもますます有効に使えるんじゃないか。
  127. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) 今のお話は、実際大切なことでありまして、私の方でもここに入った外国書はできるだけよその図書館に知らせるということも従来やっておりました。ところが近ごろどうしたか、少し下火になっておるようでございますが、それで、まだこれはほんとうの腹案の時代に過ぎませんけれども、そういう地方の図書館その他等と協力をいたしまして、お互いに新しく得た本を知らせあいまして、あるいはまた買おうと思う前に相談をして、果してお前の方にあるかどうかというようなことの相談をして買うようにすれば、よほど経費の節約ができると思っておりまするが、図書館自身の仕事としてというよりも、図書館に付属する仕事として、まあはっきりそうとも、甘えませんが、いろいろな手をもって、今微温的にやっておりまして、関係者の連絡をはかっておるわけであります。
  128. 上林忠次

    ○上林忠次君 また小さくなりますけれども、こういうことをやってもらったらよいと思いますけれども、新しい書物が、万人が万人と申しましても、また一部の研究者になりましても、読みたいという書物は、有数な書物は、わかっている、またリポートも、すべてに頒布したいというような書物もあろうと思いますが、そういうような書物について、こういうようなのが着いたぞ、ほしいやつは言ってこいとそれを聞いて、翻訳なり、原本のまま写真をとるなり、会員を募って頒布してやるというようなこともやってもらわなくちゃいかぬのじゃないか。  最近だいぶ貿易が自由になりましたために大学の研究所では、すぐに書物を買えるような時代になりましたけれども、それでも金の関係とか、いろいろな関係で買えない部分もある。そうすると、国会で買われた書物は、みんなが読みたいというような書物も、翻訳なり何なりして、全体ににおいだけでもかがしてやる。もっと奥に入って、つきつめて、その書物を読みたいというやつは来いということになろうと思う。大体、においだけならサンマリーでわかると思う。そのかわりサンマリーで出すから、一部実費を出せ、金を出せというようなこともいいと思います。
  129. 金森徳次郎

    国立国会図書館長金森徳次郎君) いろいろの問題を含んでおりますが、私どもの方で新しく手に入った書物で、やや重要なるものは公報その他に載せて広く知ってもらう。それから貸し出しなり何なりできるという道は細細ながら開いております。  それから抄訳を出して一般に示すということは非常にやりたいと思っておりますが、今まだそこまで手が及ばないのでございまして、ほんとうの仕事としては、当分予算がとれるまで待たなければならぬと思いまするが、いわば図書館の別働隊みたいな、外郭団体ですね。外郭団体におきまして、必要と思うものはその要約したものを示して人の読書欲を刺戟するということもだんだんやっていきたい。まだこれはほんとうはそうはっきりした数字はやっておりませんが、だんだん外郭団体のいいものを作りまして、それに雑務をやってもらうということも腹案として今もっております。  それから、図書の貸付もやっておりまして、いきなり地方におる人に本を貸すとか、東京におります直接関係のない人に本を貸すということは多少の危険も伴っておりまするが、しかし図書館貸し出しの方法として、よそのどこかの図書館に貸し出して、その人の近所のところの図書館に貸し出しまして、そこの図書館責任でその人に本を貸し出す、こういう道も開いておりまするが、私どもの努力の至らぬせいか、なかなかその道を利用してくれる人がございませんので、万事手おくれの感じがいたしまするが、宣伝等もまだ思うようにいっていないことの結果かと思っております。
  130. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) それでは、今日のところは質疑も終ったようでありますが、まだ御希望のかたもあるようでありますので、また次の機会に御質疑を申し上げることにして、その時期は、また理事会で御相談いたしたいと思います。ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  131. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) 速記を始めて。  次に、地方制度調査会委員の推薦に関する件をお諮りいたします。
  132. 河野義克

    参事(河野義克君) 地方制度調査会委員は、本院から七名委員が出されておりますが、いずれも七月十六日をもって任期が満了しておりますので、内閣総理大臣から本院議長あてに後任者を推薦せられたい旨の文書に接しております。しかるところ各会派から、前の調査委員と各会派それぞれ同数ずつ推薦してこられておりますので、その方について内閣の方に議長として推薦いたしたいと思いますので、御了承願いたいわけであります。  その人は石村幸作君、伊能芳雄料、高橋進太郎君、赤木正雄君、重盛壽治君、中川幸平君、松澤兼人君。  以上七名でございます。
  133. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) ただいまお諮りの通り決定してよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 三浦義男

    ○理事(三浦義男君) 異議ないと認めます。じゃ、この通り決定いたします。  今日はこれで散会いたします。    午後三時五十九分散会