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1955-07-28 第22回国会 参議院 外務委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十八日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石黒 忠篤君    理事            鹿島守之助君            羽生 三七君            苫米地義三君    委員            大谷 贇雄君            梶原 茂嘉君            後藤 文夫君            佐藤 尚武君            岡田 宗司君            佐多 忠隆君            曾祢  益君            井村 徳二君            野村吉三郎君   国務大臣    外 務 大 臣 重光  葵君   政府委員    法務省入国管理    局長      内田 藤雄君    外務政務次官  園田  直君    外務省参事官  安藤 吉光君    外務省アジア局    長       中川  融君    外務省経済局長 湯川 盛夫君    外務省条約局長 下田 武三君   事務局側    常任委員会専門    員       渡邊 信雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日華平和条約附属議定書第二項の有  効期間延長に関する議定書締結  について承認を求めるの件(内閣提  出、衆議院送付) ○委員派遣承認要求の件 ○請願に関する件     —————————————
  2. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それではこれより外務委員会を開きます。  日華平和条約附属議定書第二項の有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  本件については御質疑の方がおありのようでありますが、順次御発言願いたいと存じます。
  3. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 日華の間の通商及び航海に関する暫定取りきめをこの際延長しようという提案を審議するに当りまして、この際あらためて日本中国あるいは特に日本台湾との関係、状態、そういうものをはっきりしておく必要があるのじゃないか、すでに一般的な問題はこの間総理大臣質問いたしましたが、この問題は少しもはっきりしませんので、むしろ外務大臣にそれらの問題についていろいろお聞きしたいと思うのであります。  まず第一につい二、三日前から中国アメリカとの間で、大使級会談をしようという話が持ち上っておりますが、この会談について外務大臣として御承知状況一つ詳しく御報告を願いたいと思います。特にどういう経緯でこういうふうに発展をして参ったか、さらにその会談内容と思われるようなものがどういう問題が審議され、さらに今後それがどういうふうに発展をしていくだろうというふうにお見通しになっておるか、それらの点御報告を願いたいと思います。
  4. 重光葵

    国務大臣重光葵君) アメリカ中共大使級の人を任命して、ここに交渉を始める、こういうことが新聞情報として出ております。これは日本関係でない、つまりアメリカ中共との関係であります。  そこで私どもが得ておる情報は、一般報道されておること以外には、米国側とのいつもの、常規の連絡によって得ておる情報に基くものであるということを申し上げてその説明をいたします。というのは、そのほかに情報のソースがないわけで、中共側というわけにもいきません。  そこでどういうことであるかといいますというと、御承知のようにアメリカ側中共側においては、アメリカ飛行士の抑留ということ、これをアメリカはその釈放を強く要求しておったことは御存じ通りであります。国連事務総長まで北京に行ったこともあるのであります。この問題がどうも片づかない。それに台湾海峡の問題がまあ政治的にからまってきておった状況であります。そこでアメリカとしては、まず米国側飛行士釈放を強く要求して、その要求はスイスにおける中共代表部を通じて要求をしたわけであります。そこでその筋がだんだん発展をして、そうして中共ゼネバにおける中共代表部——総領事館のような建前をとっておるようであります、それを通じて交渉をする。アメリカの方はその交渉のために大使を送り出して交渉をさせようと、こういうことのようです。大使はジョンソン氏のようでございます。日本におった人であります。  そこで最近聞くところによると、中共もやはり同じような地位の人を新たにゼネバに送って交渉を進める。そこで交渉の題目になりますことは、まず飛行士の送還問題というようなことが取り上げられる模様であります。そうしてそれからだんだん、それに直接、間接関係のある問題は順次に取り上げられるのではないかと予想されておるのでございます。われわれの得ておる情報は大体そういうものでございます。
  5. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 今外務大臣から通常のアメリカとの何というか、接触によって、定時的に会われた結果なんかの報告だけしかないというようなお話ですが、すでに中国台湾の問題は早くから私たち非常に重要な問題であるから、この点は特に重要性を置いて御検討を願いたいということを繰り返し申し上げて、その際外務大臣自身も、もちろんそうだから、事態の真相その他に対する詳しい調査その他はぜひ慎重に、しかも積極的にやりたいというようなお話であったと思うのです。その後問題は非常に重要な問題として展開をしてきておりますので、政府としても在外公館を通じ、その他面接にいろいろだ調査なり検討なりをしておられるはずだと思うのですが、そういう準備をなさっておる外務省外務大臣としての御報告としては、全く何というか、全く簡単にほんの申しわけ的な御報告にすぎないので、その点非常に不満——、果して外務省がこの問題を本格的な少くとも検討だけはしておられるのかどうかということすら疑わざるを得ないような感じを抱かざるを得ないので、まことに不満でありますが……。
  6. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私は一言、今の御質問は何じゃありませんか、アメリカ中共との間で、大使の間で交渉をしようとしておるようだが、それはどういうことかと言われた質問であります。それに対しては私は十分にお答えしておると思う。台湾海峡その他の問題について私は前に前言したことはその通りであります。その通りでありますが、それは御質問はなかった。どういう一体今の御非難なんでございますか。私は御質問のことは私の知っておる限りにおいて、また私のやり得る限りにおいて一つ十分にお答えをいたそうと、こう考えておるわけであります。
  7. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 私も今御質問をした問題以外について、御答弁がないからそういう意味で不満だと言っているのではなく、質問をしたこと自体について、果して準備し、検討しておられる外務大臣としての御答弁かどうかということを非常に不満に思いますので、そういうことを申し上げたのですが、なおそれではお聞きをしますが、問題は、今外務大臣お話の、双方が帰国を希望する市民の取り扱いをどうするかという問題、アメリカ側からは中共におる飛行士の問題、さらに中国側からはアメリカにいる中国人の帰国の問題、これが論議になるという問題は今お話し通りだと思うのです。しかし同時にさらに進んで、相互間で当面係争中の他の若干の実際問題を審議するのだ、従って問題は第一の問題に限らないのだということが言われているのであるが、そのさらに進んでという問題が、今度の大使級会談に押し上げた重要な点であると思う。それらの問題がどういう問題を含んでおるのか、どういうことが内容になるのか、さらにそれが発展をしていく場合にどういうことになろうというお見通しを持っておられるのか、さらにこれらの会議が今まで進むに至った、たとえばインドであるとかビルマであるとか、さらにはイギリスあたりがどういうふうに介入をしてこういう問題に進展したのか、そこらの御報告がなければ、この問題の経緯なり見通しとして正確な判断がつかない。残念ながらわれわれはその局にありませんから、新聞電報その他で断片的に知っておるだけでありますが、幸いにして外務大臣はいろいろな在外公館を持っておられる。前からこういう問題についてはとくと在外公館その他も督励して調べさして、研究をして、少くとも対処するには万遺憾のない準備はするのだということをおっしゃっておる。従ってそういう準備のあるものとしてもっとそれらの問題を御報告を願いたい。
  8. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御質問の要点が私にはよくわかりません。むろん米国中共との間に話し合い進むまでにはいろいろなそこにいきさつがあったに違いはございません。しかしこれに対してイギリスがどういう立場をとった、仲介の労をとったとか、またインドメノン大使日本にも来、また北京にも行っておる。これらの人がその間に相当な空気を作ったということはこれは事実であります。これはすべて発表されておる。このことはすでにもう一般に知られていること以上に、内面的にこういうめずらしい話があったということはそれは聞いておりません。またこれはあまり価値のあることではない。しかしメノン大使などが往復したということも事実であるが、しかしメノン大使仲介をしたということの事実はないのであります。空気は確かに作った。イギリス仲介を、イギリス側が、政府がしたということは開いておりません。しかし米国飛行士の送還ということを非常に強く希望して要求をして、そこでジュネーブにおいて中共代表者に直接これを申し入れたということになったことは確かであります。その結果、先ほど申す通りに、両国の大使級の間で話を進めたいということになって、人選もできておることは申し上げた通りであります。さようにして進めていく。しかしこの会談がそれでは飛行士の返還問題だけにとどまるか、それだけにとどまらず、これに関連をしておるいろいろな問題、特に政治問題なんぞにだんだん話が進むのではないか、また進んでいく可能性を見なければならぬ、こういうことも申し上げた通りであります。私はそれで形勢は尽きておると思うのです。それともまたこういうことについて情報があるかないかということについて御質問でもあるならば、私の知っている限りお答えをいたすことにいたします。
  9. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それでは今度の両方の直接会談が特に大使級会談にまで発展する前に、インドアメリカの間で、あるいはインドイギリスの間に覚書が交換をされた。それに基いてこういう問題に発展をしてきたということがいわれるのですが、今外務大臣はここで仲介の労をとたとか何とかということはないというようなお話しでございますけれども仲介の労をとってこういう問題に発展をしたことは、むしろいろいろ今までに発表されたことでも明瞭じゃないかと思う。従ってそういう覚書自体内容がどうだということまではあるいは御存じになっていても御発表にはならないでしょうが、とにかくそういういきさつがある。でこの問題に非常に重大な関心を持っておられる日本外務大臣としては、そういういきさつがあれば、それらに関する問題は出先その他で十分にキャッチをしておられるだろう。従ってそれらの内容なり何なりについての何らかの御報告なり何かは聞けるはずじゃないか、こう私たちは思うのですが、それらの点はどういうふうにお考えになっていましょうか。
  10. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今言われる覚書というのはどういうことを言われておるのですか。そういうようなことを実は確かめておりません。それはどういうことで……、そういうものの存在を確かめておりません。
  11. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 過去数カ月の間にネールとイーデンとの間に、あるいはネールとアイゼンハワーとの間に中国問題、特に台湾処理について数次の会談があった。それらの会談の結論的なものが一応覚書としてインドアメリカの間に、あるいはインドイギリスの間に取り交わされて、その結果として今度の大使級会談発展をしたんだということが言われておる。で、そういう事実はすでにわれわれしろうとが新聞電報その他ではっきり知っていることでありますから、まして在外公館その他を持っておられて、特に中国台湾の問題には非常な関心を寄せて、その情勢キャッチその他をやっておられるはずでありますから、それらの点はお知りにならないはずはないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  12. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今伺ってみると、新聞にあることは事実だとして、それをもととしてお話がありますが、私はそれらの問題については、中共側といろいろな情報の何を持っておりませんけれども、その他のアメリカ側イギリス側とは十分連絡を持っておりますが、そういう事実を私は知りません。私は世界のうちにそういうことがないのでありますから、そういうことはなかったと思います。しかしながら、今申した通りに、インドメノン大使尽力等によっていろいろな空気ができた。アメリカ側もその交渉に入るような気持にだんだんなってきたという影響のあったことは、私は承知をいたしておりますが、さような覚書が交換されて、それに基いて今交渉が開かれておるということは知らないし、私はそういうことはなかったと思いますし、またそういうことを信ずることはできません。
  13. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 非常にそういうものはなかったというふうに言明をされておるのですが、この問題はなかったと主張されるだけですから、どうも水掛論になりますから、他の機会にもっと正確に調査をして、この問題はこの問題として取り上げたいと思います。  それならもう一つ問題を進めまして、今台湾の問題その他が非常に重要な問題になってきておるのですが、中国は、特に周恩来は、この台湾の問題をどういうふうに処理しようとしているというふうに外務大臣、あるいは政府としてはお考えになっておるか、その点の御報告を願いたいと思います。
  14. 重光葵

    国務大臣重光葵君) これは中国政府、特に周恩来吉相の公式の言明によってはっきり判断することができると私どもは思っております。それはどういうことかというと、周恩来氏は、台湾問題を国内問題であるとして処理しようとしておるということであります。
  15. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 国内問題として処理しようとしておることは、今お話し通りでありますが、にもかかわらず、この台湾海峡をめぐる国際緊張の問題は、これはアメリカとの関係の問題であるから、アメリカとの話し合いその他をやるのだ。その会談に応ずる用意があるということは、御承知通りバンドン会議ではっきり声明した。それが発展をして現在のようなふうになったと思うのですが、それらの問題を通じて、一体台湾問題について中国はそれをどう処理しようとしているか、中国主張はどういうところにあるのか、それらを外務大臣はどういうふうにお考えになるか。
  16. 重光葵

    国務大臣重光葵君) ただいま申し上げる通りに、中国はこれを国内問題として処理する方針のもとに主張をしておると、こう考えております。これが中国の公然はっきりと発表しておる態度でございます。
  17. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 お話し通りに、周恩来中国の国内問題として、従って台湾の帰属の問題はこれは当然な既定の事実として処理をする。従って二つ中国というような妥協案については一切耳をかさない。そうして少くとも金門馬祖等木島沿岸解放といいますか、これを中共中国に取り戻すという問題はことし内には必ず実現をする。それから台湾本島の問題もおそくとも一九五七年までには解決をし、解放をするというようなことを言っておると思うのですが、そういうふうなことになるとすれば、今事実上の停戦その他があっても、この問題はさらに非常に大きな問題に燃え上っていくということも考えなけりゃならないと思うのですが、それらの点をどういうふうにお考えになるか。特に周恩来二つ中国というような妥協案は絶対に考えられないということを非常に強く主張しておるようでありますが、この点については鳩山総理は、事実としては二つ中国があることを認めなければならないというふうな声明をされたし、現在もその考え方は貫いておられると思うのですが、それらの点をどういうふうに中国あるいは台湾との関係において打開していこうとされるのか、その辺のお見通しをお伺いします。
  18. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 今お話しに上っておるのは、周恩来のつまり中国考え方はどうであるかということであったと思います。私は中国考え方はこうであるとして私の承知しておることをはっきり申し上げます。それをアメリカ側はどう考えておるか、また日本がどう考うべきであるかという問題になれば、これは全然別問題であります。日本は御承知通り中国政府として台湾国民政府承認しておるわけであります。中国を二分しておるわけでも何でもない。アメリカもそうである。それは中国は二分しておるのでないという点については、アメリカ考え方も、今、中共政府考え方もその点は理論上一致しておると、こう見て差しつかえないと思うけれども、実質上はこれは非常な完全に反対の立場に立っている。中共としては中央の手で中国問題を処理すべきものだと、こう考えておるから、これは国内問題として扱おうとしておる。アメリカとしては、少くともこの国民政府というものは台湾に関する限りは主権者であるとこう認めておるので、ここで中共との間に非常に対立しておる、こういう関係になるわけであります。これは私から申し上げるまでもない。  それでは日本はどういうふうにこれを処理していくか、私は率直に申し上げて、日本は今日日本の力でこれを解決するという力はないと私は思います。しかしながら、日本が重要な利害関係国であるということもこれまた争えんことであり、日本はどうかしてこの関係を、中国との関係を正常化したいということは、初めからわれわれは希望しておる。それには今大きく世界も動いておるのでありますから、この動きをしばらく注意してこれを見て、そうしてもう少し情勢の定まるのを待って日本側見解を決定するよりはかに道はないと私は率直にそう考えております。しかし表向きに言えば、これは日本国民政府承認しておるのですから、これを一点張りに表向きはいくわけで、けれども実際問題としては、事実中国二つ中国があるというような見解があるように、この事態が複雑でありますから、これはしばらく世界情勢動きつつある、その動きによって中国の問題も大きくまた動くのでありますから、それをしばらく注視することが日本としてはもっとも賢明な策であると、こう考えておるのでございます。
  19. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 台湾の問題に関する世界情勢が非常に動きつつある。従ってそういう世界の事情をもう少し注視静観をしたいというお話ですが、それも一理あることと思いますが、そこで私はそれならばもっと世界動きを見ながら日本態度をきめなければならないのだから、もう少しお尋ねをしたいと思うのですが、一体それならば今台湾問題を非常に重要に取り上げていろいろアメリカ中国との間のあっせんその他をやっておるインドは、この台湾の問題をどういうふうに解決をしようというめどを持ち、どういう構想を持っていると政府の方ではごらんになっておりますか。これらの問題は、あるいは大臣でなくて、所管の政府委員でもけっこうでございますが、今まで御調査なりお調べになった上での判断をどういうふうに持たれておるか、御報告願いたい。
  20. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私から申し上げましょう。インド台湾に関する考え方というのは、最近インドメノン大使日本に来、北京に行き、それからインドに帰って、それからアメリカのニューヨークに赴任しており、ワシントンにも行っておる。このメノン大使の言動が一番大きな資料になることと思います。このメノン大使の何について新聞にはいろいろと報道がされております。メノン大使が進んでは仲介者であるとか、いや、一つ解決案を持っておるとかというふうにいろいろなことが報道されております。またある報道は、メノン大使台湾中共にすみやかに帰属せしむべきであるとかというようなことがずいぶん報道されておりますが、それはインド政府の公式の声明によってみんな否定されております。ただインド政府考え方としては、中共国連に加入をせしめるべきであるという意見のようであります。さようなことがインド考え方であると私は思っております。またそういう観測をして大体間違いないと思います。
  21. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 メノンその他が個人的ないろいろな意見を述べておるが、それらは正式には否定をされておるというようなお話でございますが、しかしメノンがどう言ったかは別問題として、少くともネールが繰り返し国会その他で言っておることは、台湾中国領であって、現在の紛争は内戦だということ、従って二つ中国なるものは認められないということ、しかもその地位を正式に決定するためには、利害関係国なり何なりの会議を開いて、これの最終的な決定をすることが必要であるというようなことは、繰り返しネールは言っているのじゃないか、こういうふうに思いますが、外務大臣はそういうふうにはお考えにならないのかどうか。
  22. 重光葵

    国務大臣重光葵君) これは国際間の情勢他国考え方推測でございます。推測でございますから、これはなかなか軽々にやられないわけでございます。がまた他国考え方推測するということは容易なことではございません。しかし私はこういうふうに観測しております。さようなことはずいぶん報道されております。しかしこれを公式にインド意見であるとして、台湾中国に帰属せしむべきであるということは、これは理論上だれも異存のないところであります。しかし、中共の言い分を全面的にその問題について支持するという態度は、インド政府は公式にはとっておらぬのだと私は解釈し、また私の得ている情報ではそういうふうに……。また理屈上、中共主張をそのままインドが支持するという態度を公けにとれば、インド台湾問題の処理に貢献しようと、つまりアジア方面の大きな平和問題に貢献しようという役割が、非常に何と申しますか、下ることになる。それは公式にはそういうことは承知しておりませんが、また承知していないことがほんとうだと思います。私はそう観測をして、インドは決してそういうことは言わない。しかし、台湾の問題は一方国内問題であるということを認めても、これは中国というものをごくアブストラクトに言えば国内問題、日本としてもそうである、中国台湾を帰属すべき問題である、その中国というものは中共であるかだれかという問題になるわけです。それをはっきりと中共に、これは中共の言う通りだということは、インドも言っていないわけであります。そうでありますから、ここに国際問題にこれが相なるのであります。その国際問題となっているその問題について、平和維持のためにいろいろ尽力をしよう、またする余地がそこにできてくる、その役目をインドも果そうとしておる、こういうふうに私は観測をしておるのであります。
  23. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと御注意申し上げますが、外務大臣については内閣委員会の方で出席を求めておりますので、佐多委員のみならず、そのほかの御希望の方もそのおつもりで。
  24. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 外務大臣にもう一つ。なおイギリスその他の国々がこれをどういうふうに考えておるか、そういう点いろいろお聞きしたいと思いますが、今委員長の御注意もありますから、それらの問題をはしょって、一点だけ極東問題に関して特に中国の問題を中心にして関係諸国会議を開いた方がいいのだ、開くべきだというような空気が非常に強くなってきたと思う。これはすでにインドその他は前から主張をしていたことですが、特に最近になってアメリカ上院外交委員長、その他アメリカ側の有力な人たちまでそれらの関係国際会議を開くべしということが非常に強く叫ばれ始めてきておる。この問題は、日本が最も利害関係のある国であり、私はかねがねから申しておりますように、この問題に関する限りは、単に国際情勢を見てあとからついていくということでなく、日本も少くとも、第一番に主導権をとるというようなことは大それたことかもしれないけれども空気がそういうふうになってきている以上は、それらの諸国に伍して少くともそういう問題を積極的に取り上げて、最も利害関係の多いわが国として積極的に取り上げるという態度がなければならないし、その態度を前提にしていろいろな準備なり調査がなされなければならないと思うのですが、私これを口をきわめてしばしば申し上げておるのにかかわらず、いまだそういう態度でないのみならず、これに関する調査その他も私の言っているような角度から、態度からなされているとはどうしても思えないのですが、それらの点を外務大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。
  25. 重光葵

    国務大臣重光葵君) それらの点については、私は今お話しの御意見には非常に共鳴をするものであります。私もそのつもりでやっております。それじゃどういうことをすれば御満足がいくんでありますか、その点を一つあげていただけば大へん都合がいいと思います。
  26. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 それは国際会蔵を開くべきだというようなことは、当然な要求として要求を掲げられると同時に、その点に関しては日本だけでは問題にならないのでしょうから、たとえばインド、ビルマ、あるいはイギリス等がいろいろ積極的に工作をいたしているはずでありますから、それらの工作の状況観測をもっと的確にお調べになって、そうしてそれらの諸国と調子を合わせながらそういう問題の取り上げ方を具体的に進めていっていただくということが必要じゃないか。たとえばバンドン会議のときに中国側から、アメリカとの直接会談の問題を今度の会議の適当なところで声明をしたい、それについては各国の代表と個別にいろいろ話合いをして、最後に全部の意見が一致したところで、それらの諸国のいろいろ勧誘もあり勧告もあったから、中国がそういう態度をとるという声明をしたい。ついては日本の首席全権についてもその会談の中に入ってもらい、特に個別会談でそういう問題をいろいろ議論をしてもらいたいということが、中国側からのしばしばの希望であり、連絡あったと思う。従って私たちはその必要を力説したのですが、日本側判断では、そういうことに積極的に入るべきでないというお話しだった。私たちはコロンボ・クループがその中に入っているのみならず、さらに個別会談の中にフィリピンやタイみたいな、アメリカとの関係のああいうところですら入ってきたのだから、日本も入るべきだということをいろいろ口をすっぱくして申し上げたけれども、入るベきでない、ことにタイやフィリピンがそういう問題の中に入るということは絶対にあり得ないし、自分たち情報ではそういうことは全くないと、こういうふうに言い切られ、私たちはそうでない、すでにそれらの代表自身が入っているという情報をはっきりつかまえているから、そうでなくて入っておりますよということを口をきわめてお奨めをしたけれども、それが取り上げられなかった。ところが二十三日の午後の昼食会でありましたか、今まで個別会談をずっとやって、その問題を各国全権といろいろ話し合いをして、大体話し合いがまとまった、日本だけは話ができなかったので、日本だけは除かれて、コロンボ・グループ、タイとフィリピン、それらの代表が昼飯会に呼ばれて、そこで例の有名な、中国アメリカとの会談に参加する用意ありという声明がなされた。全く日本はつんぼさじきというか、あるいはその中に入らないままになってしまって、完全に圏外にとどまってしまった。これは日本の今後のアジアにおけるいろいろな外交を行う上において、特に台湾問題、中国問題を処理する上において私は非常に遺憾なことだったと思うのですが、それらの点を考えると、もう少しいろいろ具体的なやり方はあるはずだ。これはどういう手段、手続、方法によってやるかは、それは専門の外務大臣のことであり、ことに中国問題については外務大臣は非常に詳しいし、経験も非常に豊富にお持ちであるわけですから、もう少しその点を積極的な進め方をしてもらいたい、こういうのです。
  27. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 御趣旨は私は非常によくわかります。いろいろなそういう御意見を伺って、私もあやまちなく進んでいきたいと衷心からそう思います。そういう御趣旨の御発表については私も感謝をいたします。しかし私はその内容について一言言わせていただきたい。  バンドン会議のときのいろいろお話がございました。その詳細のことについては私は十分検討をその問題についていたしたというわけではございません。しかしながら、私が伺って、そういう状況判断についてやはり日本の全権団のうちで意見の分れておったということはそれはあり得ると思う。あり得ると思うが、今佐多さんの御意見によるというと、周恩来が紛争解決の平和的の意思表示をする、それの意向を知って、それに共鳴をして、コロンボ・グループや、その他の二、三の国と一緒になって周恩来声明の舞台に立たなかったから日本は無能であると、これは私はどうもそういう批判は納得することができない。私はそういうような場合にこういう舞台に入らなかったことが賢明であったとすら思うくらいであって、そういうことで一々中共なり、もしくはソ連なりの希望の通り日本が動かなければ日本の側は無能であり、そうしてまた準備が足りなかった、こういうもし批評であるとするならば、私はそれを受けるわけにはいかない。しかしながら、そうでなくしていろいろなことも考慮に入れて、そうして知るべき情報は集めて、そうしてその正確な判断のもとに立って将来の重要な極東問題に対処していかなければならんというその全体的な御趣旨は、私は先ほど申し上げた通りほんとうに共鳴を申し上げます。そうしなければならんと思う。また御示唆のあったように将来だんだんと台湾の問題だけでなくして、極東の問題というか、東亜の問題が国際間の俎上に上っていくこの形勢は、私はもう他の機会においても申し上げたが、その通りだと思います。  今回のゼネバの四国会談においては、世界の緊張の緩和ということを目ざしたのでありますが、しかし同時にその取り扱われたものはヨーロッパ問題で、極東の問題は取り扱われなかったという事実がここにある。そうすれば極東の問題も緊張緩和のために取り上げられなければならぬという形勢にあることは、これは理論上からいっても当然のことでありますから、これはそういう形勢に私はだんだんなっていくと思う。その中に日本の重要なる利害関係があるということも、これはもう争われぬことでありまするから、こういう問題については大分に用意周到な準備を要するということは申すまでもございません。まあそういうことについて手抜かりのないように、私どももまあ駑馬にむち打って一つやると、こう考えておるこの気持だけは一つ御了承を願いたいと思うのであります。
  28. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 一つ私は具体的な問題ですが、中国との貿易協定のときに見本市の問題が問題になった。この見本市の問題について、これは新聞ですが、向うの中国の留任民の意向によると向うの買物促進会が貿易部と連絡をとって、日本で見本市を開くことを準備をして、できれば十月から十一月までの間に三週間から一カ月程度まず東京で開いて、そして来年の一月くらいには大阪で開かれるよう、そういう希望をもって準備を進めておるということを言っておりますが、日本政府としてはこれに対してどういうふうな態度をおとりになるか、もちろんそういうものを開かせて、彼我の貿易促進に資するということには御賛成だと思うのですが、どうですか。
  29. 湯川盛夫

    政府委員(湯川盛夫君) 見本市の問題につきましては、私どもとしてはいずれ各国の参加します国際見本市がございますので、そのときにもし中共が希望すればそれに参加する方式が一番いいと考えておりますが、しかしそれに参加することは好まずに、別個に日本中共だけでやりたいということであれば、またそういったことについても考えてみたいと思っております。
  30. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今度の議定書締結承認の問題ですが、提案理由の説明のうちに「わが国と中華民国との間にはまだ通商航海条約が締結される段階に至っておりませんので、このたびこの双極の存続期間の再延長につきまして中中華民国政府交渉いたしました結果、八月五日から一年間延長し、その後は三箇月間の予告期間をもって廃棄通告がなされない限り、そのつど自動的に一年間ずつ延長されること、」云々となっております。この「通商航海条約が締結される段階に至っておりませんので、」とありますが、これは現在のところ全然手がついておらんのですか、また今のところこの議定書があるので手をつける意思がないのか、その点をお伺いしたい。
  31. 重光葵

    国務大臣重光葵君) これまでの経過についてはむしろ局長から御説明を申し上げ、全体の方針については私から申し上げたいと思います。
  32. 湯川盛夫

    政府委員(湯川盛夫君) 御承知のように通商航海条約の交渉というのは、どこの国とやりましてもおおむね相当長い期間を要します。従ってその準備も相当に広範なものについて詳しくやらなければなりませんが、現在の段階ではまだ台湾側でもわが方でもその準備が整っておりませんので、そうかと申しまして、中華民国と日本との間には正常な国交が開かれており、通商関係を維持することは一日もゆるがせにできませんので、とりあえず現行の議定書をば延長する、こういうことにいたしたわけでございます。
  33. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 全然できておらんと、これはまあそれは事実だろうと思うのですが、全然できておらんし、また今のところ手をつけるような御意思もないようですが、これは先ほど外務大臣からのお話で、まあ二つ中国台湾の問題というのは非常に微妙なもので、この問題については世界のいろいろな動きを見て、日本としてだんだん考えていきたい、こういうお話だった。そういたしますと、この通商航海条約の締結について何ら措置を講じていないということは、やはりどうも世界情勢の微妙な動きに関連を持っている、こう解釈してよろしゅうございますか。
  34. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 私の気持はそうでございます。これはすぐあるいは御共鳴を得ることかと思いますが、まだ台湾の問題は通商航海条約という正規の条約で十年、二十年、三十年という意味ではっきりと友交関係を打ち立てておくというところまで、今はっきりと国際情勢がきまっておるというふうに見るのは少し危険がある、こう思って差しつかえないのじゃないかと思うのですね。今じゃ暫定取りきめで、そうして適当な暫定取りきめの内容をもってこれを年々延ばしていく、これが一番適当な私は実はころ合いの手段だと思うのです。しかし何も私は大きな、中共台湾とを目ざした政治的な意味で私は特に申し上げるわけではありませんけれども、大体それが常識としてとるべき手段じゃないかと、こう実は私は考えておるのであります。
  35. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 今の外務大臣の御説明で、台湾政府と通商航海条約を結ぶ必要は今のところないというような御見解なので、私どもとしてもまあ台湾政府と、現在の動きの激しい状況のもとにおいて通商航海条約のようなものを結ぶ必要はない、こう思っておりますので、この点は同じような考えだと思うのであります。  そこでこの自動的に延びるという問題ですが、自動的に延ばしていくというこの点は、もうそれによって一々この問題について一年目ごとにいろいろな話し合いをして進む、こういうわずらわしさをなくす、これはもちろん単に技術的な問題でなくて、その場合にいろいろ政治問題もつきまとってくるでしょう。従ってそのわずらわしさをなくなすためにこういうふうに自動的に延長するというふうにされたのでありますか。
  36. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 特定取りきめは期間が非常に短いのでありまして、毎年やるけれども、変えたければクローズということで変えられるのでありますけれども、しかしその煩を避けて変えたくないときにはおのずから延びていくということになる方が、手続上簡易だという趣旨であると私は存じております。また私はそういうつもりでこれを見ております。
  37. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もう一つお伺いいたします。中国本土、つまり北京政府との間にこの前貿易の問題で話し合いが行われるようになりました、向うからも代表が来ました。そうして若干ずつ道が開けてきた。ところがこちら側から本土の方に輸出しようというそういう商社に対して、台湾政府の方から間接的にあるいは直接的に妨害しているというかそういうものが出ております。おそらく日本政府に直接の抗議はきておらん、何か申し入れがあったということは聞いておりませんけれども、そういうような、商社に対していやがらせ、あるいは妨害というようなものがきておりますが、これに対しまして政府はどういうふうな御処置をされておりますか。
  38. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 政府としては正当な貿易に故障があるならば、故障を排除するようにあくまでやらなければならぬ、またやっておると、こう御返事をするわけでございますが、台湾としては中共との間に敵対関係になっておる、そこで台湾としては、自分の国際上できる範囲内において中共との貿易を阻止しようという考え方を持っておることも、これは私は当然なことだと思います。ただその処置が国際法上許されるかどうかが問題だと思います。日本としては国際法上許される貿易に対してどこの国からもじゃまを入れられないという、また権利を持っておると思います。従いまして中共との正常な、許されておる貿易の範囲内において、それに直接間接障害を与えるような措置をもし国民政府がとるとするならば、これに対しては外交的に抗議を申し込んで、また交渉の題目にこれをしなければならぬ。  そこで、そういうことがあるかないかということは、今面接日本政府に対しては何とも言ってきませんが、今の聞くところによると、商社に対していろんなことをやっておるということなんです。それも商社別に態度も違うし、またいろいろ文書の誓書を入れたとかいう、その誓書の内容も非常に違うようであります。こういうことは、今十分材料も集めて検討いたしておるのでございます。大体一般的にはさような正常な、許されておる貿易について妨害になるようなことについては、日本政府はこれを認めるわけにはゆかないという一般的の態度ははっきりと国民政府に表示をいたしておるのであります。具体的な問題に至っては、まだそういうようなことは、一々の問題を今取り調べておる状況でございます。これが今の段階でございます。
  39. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと御注意申し上げますが、内閣委員会からまた督促が参りまして、外務大臣出席がないので休憩せざるを得ない状態になっておるからすみやかにと、こういうことでございます。どうぞ一つ御了承いただいて、あちらも休憩でなく円滑にやってゆけるようにはからいたいと思いますが、もしお望みであれば、今日午後でも外務大臣に御出席をいただいてやりたいと思います。
  40. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もう一分でおしまいになりますから……。今のお話しですと、もしそういう事実があればあるいは取り調べさせておるというこういうことですが、誓約書を入れたということも周知のことです。従いまして、たとえば個々の商社に対して向うが入れろと言ってきた、誓約書の内容等は別でありましても、こっち側の商社の中には萎縮して、それでは中国と貿易はやらんということになっておるものもあるのです。現実に妨害は起っておるのです。従いまして取り調べ中である、これからだということでは、私はさらに台湾政府の方からいよいよ最近の情勢からヒステリックになってやってこんとも限らん。やはりもうすでにこういう段階になりましたのは、政府としてはこの妨害排除のために、台湾政府に対してこの議定書承認と同時に強く一つそういうことを向うに抗議していただきたい、こういうことをなからしめていただきたいと思います。
  41. 曾禰益

    ○曾祢益君 あしたもう一ぺんやっていただけますか、外務大臣質問十分くらいお願いします、明朝。
  42. 羽生三七

    ○羽生三七君 あすの朝簡単にどうです。きょうはけっこうですから……。
  43. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) きょうの午後じゃどうです。
  44. 曾禰益

    ○曾祢益君 ちょっと午後は会議がありまして、なるべくだったらあしたにしてもらいたい。
  45. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 議会のために実は仕事がさっぱり停頓しておって、実はほんとうに弱っておるのです。
  46. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) きょう委員会の終るまでに外務省交渉して、明朝できるようにおはかり願うことにして、一つ外務大臣に退席をしていただくことにします。——どうです、外務大臣御退席になりましたので、なお他に御質疑がございますものならば……。
  47. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 政府委員にお聞きしますが、今の台湾政府の方で誓約書の問題ですが、これは報ぜられるところによると、日本政府では抗議をされたにもかかわらず、最近またもっとひどくこの共産圏と取引をする日本商社を締め出す方針を強化して圧力を加えてきた。その場合には単に中共貿易だけでなく、一般的に共産圏貿易全部を対象とすることについても文句を言ってき、さらにはいわゆるトンネル商社を使って台湾との共産圏貿易、台湾と貿易することに対してまでいろいろこの文句を言ってきたというようなことが言われているのですが、日本政府は一体これまでにどういう抗議をされたのか、それに対してさらに台湾政府政府に対して、あるいは日本の各商社に対してどういう態度をもって臨んできておるのか、その辺を一つ具体的に詳しく御報告願いたい。
  48. 湯川盛夫

    政府委員(湯川盛夫君) 初めの問題は、東京にいる信託局が砂糖だったかと思いますが、取引をするについて、相手方の日本側商社に対して中共貿易をしているかどうかという照会を発したのが端緒だったと思います。その後まあいろいろな商社に対していろいろな形のアプローチがありまして、同じ形で全部しているのではないのでありますが、しかしそういう問題があったのであります。そのときにさっそくこれは外務大臣から在京大使にも抗議をされまして、事務レベルの方に話をしまして、また台北における日本大使館からも中華民国政府に抗議をいたしました。それに対して先方の言い分は、信託局はこれは台湾政府機関でありますが、政府機関としては中共とは貿易はできない、こうすることは利敵行為ということになる。間接に中共と取引をしている商社を、自分方の相手方の商社として選ぶこともこれは間接に利敵行為ということになるからこれはしないという回答をしておるのでございます。しかし先ほど大臣からも御説明があったように、日本としては自由諸国との国際義務を順守し、平穏に中国大陸との貿易に従事することは当然の行為であるから、そういう妨害めいたことはすみやかにやめてもらいたいということで、先方の反省を促しておるわけであります。その後最近に至りまして、これは台北の現地においてであります。台湾省の物資局が入札を行なった場合に、入札の応募者は中共を含む共産圏と取引していないという誓約書をば出せ、こういう事件が新たに出て、これは前の信託局は台湾政府の機関でありますが、今度の物資局は台湾省の方だそうであります。しかしこれに対して日本政府としては同じ態度で反省を促しております。
  49. 佐多忠隆

    佐多忠隆君 その点については日本の商社に対してだけでなく、その他の商社に対してもそういう態度台湾はとっておるのかどうか。
  50. 湯川盛夫

    政府委員(湯川盛夫君) その点を前の信託局の場合に確めたのでありますが、ここではよくわからないということで、たびたびこの点は回答を求めているのでありますが、先方の今までに言っておりますことは、信託局は東京とニューヨークとパリーですか、たしかその三カ所に出店がある。それで圧倒的に日本との取引が多い。アメリカではもちろんこういう問題は起きないのでありますが、ほかにそういうことはあまり問題にならんということを言っております。しかしこちらとしてはこれは日本に対する差別待遇ということであれば、これはまた問題としてさらに重大であるが、その点の確答を求めておるわけであります。なお台北における入札の場合にはこれは全部に適用されるだろうと想像しておりますが、この点はなお確認中であります。
  51. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  52. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは速記を始めて下さい。日華平和条約関係についての御質疑は一応この程度で打ち切っておきまして、次に委員派遣承認要求に関する件についてお諮りをいたしたいと思います。速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 速記を始めて下さい。  本委員会は今期国会閉会中、国際情勢等に関する調査の一環としまして委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 御異議ないと認めます。  つきましては本院規則第百八十条の二によりまして、委員派遣承認要求書を議長に提出しなければならないことになっておりますが、これは派遣委員の氏名及び期日等が確定いたしましてから、委員長において提出いたしたいと存じますので、その内容及び手続等は委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) 御異議ないと認めて、さよう決定いたしました。速記をとめて下さい。    午後零時五分速記中止      —————・—————    午後一時十六分速記開始
  56. 石黒忠篤

    委員長石黒忠篤君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時十七分散会