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1955-07-21 第22回国会 参議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)    午後一時四十五分開会     —————————————    委員の異動 七月二十日委員木島虎藏君辞任につ き、その補欠として小柳牧衞君を議長 において指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            仁田 竹一君            早川 愼一君            重盛 壽治君    委員            入交 太藏君            岡田 信次君            川村 松助君            一松 政二君            山縣 勝見君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            小柳 牧衞君            三浦 義男君   衆議院議員            原 健三郎君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省自動車局    長       眞田  登君    運輸省自動車局    業務部長    岡本  悟君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    日本国有鉄道総    裁室理事    大槻 丈夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車  等に関する法律案衆議院提出) ○運輸一般事情に関する調査の件  (紫雲丸遭難事件に関する件) ○自動車損害賠償保障法案(内閣送  付、予備審査)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) これより運輸委員会を開会いたします。  戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案議題といたします。  提案者衆議院議員原健三郎さんより提案理由説明を願います。原衆議院議員
  3. 原健三郎

    衆議院議員原健三郎君) ただいま議題となりました戦傷病者等日本国有鉄道無賃乗車等に関する法律案につき、提案者を代表いたしまして提案理由を御説明申し上げます。  戦後すでに十年を経過いたしまして、戦争による災害はようやく世人の記憶から薄らいできたかの感があるのでありますが、当時戦いにおもむき、不幸傷痍をこうむり、身体の自由を失い、不自由な日常生活をされている多数の人々のあることをわれわれは忘れてはならないのであります。これらの人々に対しては、国として当然援護の手を差し伸べるべきであろうと考えるのでありますが、占領下特殊事情のため、われわれはその意あるもこれをなし得なかったのであります。最近ようやくにして各方面において逐次これが実施を見つつあることは、御承知通りでありますが、本法案もまた同様でありまして、旧軍人軍属たる戦傷病者に対する援護の一方途を開こうとするものであります。  本法案の骨子を大要申し上げますと、増加恩給傷病年金または傷病賜金を支給されている旧軍人、旧軍属等であって、現にその不具、廃疾または傷病程度政令で定めるところに該当する戦傷病者及び政令で定めるその介護者は、日本国有鉄道鉄道及び連絡船に、政令で定める回数等級限り運賃を支払うことなく乗車または乗船することができることとし、国は、その取扱いに伴う鉄道及び連絡船運賃に相当する金額を負担するものであって、昭和三十一年四月一日より施行しようとするものであります。  本法案による旧軍人軍属に対する国鉄無賃乗車船制度は、申し上げるまでもなく、今回新たに制定しようとするものではなく、戦前制度をこの際復活しようとするものでありますが、乗車乗船回数等級期間等必ずしも戦前の例をそのまま踏襲しようとするものではなく、戦後における新事態に即応した制度とすべきであると考えております。また、本制度社会保障の一環として国においてなすべきものと考えられますので、国鉄にその全部を負荷すべき性質ではなく、国鉄の収受すべき運賃に相当する金額は、国庫より補填するのが至当であろうと考えるのであります。  以上申し上げた趣旨によりまして、昭和三十一年度において国が負担すべき金額は約三億円と推定せられますが、この程度は国の財政の現状からも当然国が負担し得るものと思うものであります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことを御願いいたす次第であります。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 本案に関する質疑は次回に譲りたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  6. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、運輸一般事情に関する調査議題といたします。  まず、紫雲丸遭難事件に関し、その後の対策について、三木運輸大臣より説明を願います。
  7. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 紫雲丸遭難事故が起りまして以来、運輸省連絡船改善対策審議会を設置いたしまして、鉄道連絡船構造設備に関する事項連絡船管理機構に関する事項連絡船の船員に関する事項連絡船航路航法に関する事項非常警戒態勢に関する事項旅客名簿の備置に関する事項港湾施設気象施設等に関する事項救難態勢及びレーダーに関する事項、これを審議事項といたしまして、六月の十日に第一回の会議を開催以来現在まで、五回会議を重ねまして、全部の結論が出るまでというのではなくて、逐次必要なる事項はこれを改善を加えていきたいという方法をとって参っておるのでございます。現在までに改善を加えました点は、審議会審議にも即応して改善を加えた点がございますが、第一番に連絡船管理機構を改正いたします。七月五日から実施いたし、本庁に船舶部を設けて、青函及び宇高地方組織を、これを独立の船舶の部局を設けて整備強化をいたします。また宇高航路上下便航路の変更を近く実施いたしたいと考えております。天気異例のときにおける非常警戒態勢の確立のために、連絡船保守規程を制定いたしまして近く実施いたします。  また、乗客に対しあるいは遭難者に対しての処置でございますが、乗客及び乗組員遭難は結局、乗員の死亡百六十四名、乗組員二名、合計百六十六名、生存乗客七百十一名、乗組員六十四名、合計七百七十五名、行方不明、おそらく遭難されたと思いますが、遺骸発見がまだないものが二名ある。合計九百四十三名、乗組員があったわけでございます。遺骸の捜査は、先ほど申しましたように、二名を除く全部の遺骸発見をいたしました。  遭難者及び遺家族に対する処置でございますが、応急弔慰方法として、国鉄においては次のように処置をいたします。死亡者の香典として国鉄総裁五万円、四国鉄道管理局長一万円、負傷者お見舞金として一万円、その他生存者に対するお見舞金として一万円。それから賠償金支払い状態は次の通りでございます。支払い対象者が百六十六名、完了したものが百六十名、未解決のものが現在六名でございます。鋭意解決努力をいたしております。小学生には一人平均五十万円の賠償金を差し上げます。中学生には一人平均五十五万円の賠償金を支払っておるわけでございます。  それから神戸地方海難審判理事所並び高松地方検察庁でこの遭難が起りまして調査中であることは、御承知通りでございますが、これも近く結論の出ることと考えます。  なお、紫雲丸の引き揚げは、七月十日に船体を引き揚げまして、七月の十四日に呉造船所のドックに入って、修理をいたすことになっております。  大体、あらましの経過を御報告をいたした次第でございます。
  8. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいまの御説明及び連絡船遭難に関し御質疑のおありの方は、御質疑をお願いいたします。
  9. 大倉精一

    大倉精一君 この際、去年の十五号台風洞爺丸並びにその他の船舶遭難に対する、貨物のその後の状況についてのお話を承わりたい。あの当時の貨物損害はどのくらいになっておりますか。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国鉄からお答えいたします。
  11. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 貨物損害につきましては、荷主さんからの申し出によりまして調査いたしましたところによりますと、全部が損害を受けたと仮定いたしまして、約一億五千万円と推定しております。
  12. 大倉精一

    大倉精一君 この貨物損害に対する国鉄当局のその後の措置経過について、御説明を願いたいと思います。
  13. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 御承知のように、旅客におきましてはあの当時、有責、無責を問わず、それは海難審判の結果に待つといたしまして、弔慰金を出すということは、われわれの方と政府と打ち合せまして決定して、出したわけでありますが、貨物につきましては、必ずしも緊急を要する問題でもなかろうというので、海難審判の結果を待って決定するという立場をとったわけでございます。ただ、運賃につきましては、実際国鉄といたしまして輸送責任を果しておらないのでありますから、すでに収受いたしました運賃はそれぞれお返しするということにいたしておりますが、賠償するかしないかという問題は、海難審判決定を待ちまして、有責の場合には従来の例によって出したい、かように考えておる次第でございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 海難審判今洞爺丸について大体論告も終ったようなんですが、その他の遭難船についてはどういう関係になりますか。
  15. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 洞爺丸につきまして本日八日に理事官論告がありまして、裁決はまだ下っておらないのでございますが、これがどれほどかかるか、われわれの方としては今のところまだわかりかねるのであります。最終の裁決の確定を待ちまして決定いたしたい、かように考えております。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、洞爺丸海難審判所裁決というものはその他の遭難船にも適用されますか。
  17. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) ちょっと言い落しましたが、これは洞爺丸だけの審判の、先ほど申しましたのは洞爺丸だけの審判につきまして申し上げました。ほかの四隻につきましては、引き続いてあることと思うのでありますが、貨物の問題につきまして、洞爺丸だけを切り離してすべきなのか、あるいはあとの船の問題も審決があって、それに両者にらみ合せてといっては語弊がありますが、一本にしてすべきものなのか、もう少し審判経緯を見ないと、はっきり申しかねると思います。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、その他の船についても海難審判を受ける、その裁判を受ける、こういうことになるのですか、あるいは洞爺丸海難審判によってその他の船にもこれを準用して措置をするということですか、どっちですか。
  19. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 私たち承知しておりますところでは、洞爺丸を先に切り難して、洞爺丸を第一として審判をされておりますが、あとの船につきましても個別的に一つ一つ行いますか、あるいは四隻一緒になりますか、そのところはわかりかねますが、それぞれ審判がある、かように承知しております。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、あとの四隻の船は大体海難審判決定を待って措置する、こういう意向らしいのですが、相当これは期間がかかると思うのですが、そのほかの四隻も海難審判にかけられるとするならば、大体いつごろにこういうことが判明するか、決定するか、大体の予想はついておりますか。
  21. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 私国鉄の方でありまして、海難審判のことにつきましては申し上げかねます。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、相当長期間この貨物遭難に対してはそのままにされておくというかっこうになるのですが、聞おところによると、貨物関係も、相当零細な荷主もあって、この遭難のためにあるいは破産に近いような状態にあるということもちょいちょい承わっておりますが、国鉄としてはこの海難審判所決定があるまでに何らかの応急の手当といいますか、措置といいますか、そういうことをおやりになる御意向があるかないか、お伺いしたいと思います。
  23. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 目下段階では審判の結果を待って処理したいと思っておりますが、先ほど申しましたように、何段階にも分れ、しかもそれが非常に長くなるといった場合に、特殊な場合についてどうかということにつきましては、さらにその具体的な事象に応じて十分に検討をいたしたいと考えます。原則といたしましては、審判の結果を待って処理したい、かように考えている次第であります。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 大体人間の場合は一時見舞金というような手を打たれたのですが、貨物の場合においてもとりあえずの措置ということをお考えになる必要があるのじゃないか。たとえば、海難審判所でこれは不可抗力であるというような状態になった場合には、そういう意味においては、国鉄当局としては全然その賠償なり、そういうような見舞金なんということはお考えになっておらないのか、こういうところをちょっとお伺いしたいと思います。
  25. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 無責の場合に、賠償あるいは、何といいますか、お見舞といった方法をとることについては、今の段階においては考えておりません。旅客の場合にあの措置をとりましたのは、非常に大きな事故でもありますので、社会的の影響が大きいということによりまして、政府と私たちの方と両方で協議しまして、特別の異例措置をとった、かような状況でございますので、貨物の場合には、目下段階では従来の措置に従ってやりたいと、かように考えております。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 それでは、大体海難審判所において過失ありというような決定をされた場合の措置、あるいは不可抗力であるというような決定をされた場合の措置、これについて大体どういうものを基準にして根拠にして賠償をやるのか、この点についてちょっとお伺いしたい。
  27. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) ちょっとわかりかねたのでございますが、海難審判不可抗力という判決が下った場合、責任ありと判決が下った場合、そのときにどうするかというのですか。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 その二つの場合において、おのおのどういう工合に措置をとられるか、その点についてちょっとお伺いしたい。
  29. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) 従来の例から申しますと、不可抗力の場合でありますと当方には責任がないということで、賠償はいたしておりませんし、それから有責である、責任があると決定いたしました場合には賠償をいたす、かようになっておりまして、その通りに取り計らいたいと思っております。今までに処理しましたと申しますか、すでに荷物の揚がったものもありますし、その他につきましては、発送人と申しますか、荷主さんの方の指図を仰いで、それぞれの指図通りの処分をしているわけであります。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 最後にお伺いするのですが、結局は海難審判所決定を待たなければ、洞爺丸以下四隻の船の荷物の場合においても、国鉄としては措置をしない、その結果を待ってから措置をする、こういうふうに了解していいのか、それともまた、海難審判所においてこれは不可抗力であるといった場合には賠償も何にもないのだと解釈していいのか、その点についてお伺いしたい。
  31. 大槻丈夫

    説明員大槻丈夫君) ただいまのところ、さように考えております。
  32. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質疑はございませんか。
  33. 内村清次

    内村清次君 運輸大臣にちょっとお伺いしたいのですが、当委員会ではこの前、紫雲丸事件の、いわゆる高松地方検察庁ですね、これが起訴動きがあるというような新聞に出ておった問題で、最初に、もしもこれを海難審判先行して地方検察庁やあるいはまたその中央の方でこれを取り上げるということになったならば、従来の慣行を破ることになるから、ぜひ海難審判先行してもらいたいと、こういう点を井本刑事局長一緒大臣質問したことを記憶されておると思うのですが、その後大臣の御答弁では、これは当然先行すべきだというような答弁を承わっておりますが、その後の動き、たとえば担当大臣あたり気持、あるいは刑事局あたり考え方、こういう考え方がどういうふうになっておりますか、この点をお伺いしたいと思います。
  34. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 先般刑事局長一緒に私がここで答えたのでありますが、刑事局長海難審判先行原則、それは承認をしておるわけでございます。まあ法律というわけではないのですから、そういう場合に、先行しない場合はごくもう特別な例外で、原則としてはそれを承認をすると、その線に沿うてやりたいというような答弁があったように記憶しております。そういうことでございましょう、いまだに検事局起訴はしておりません。だから、やはり先行されるものと期待をいたしておる次第でございます。
  35. 内村清次

    内村清次君 まあ私もその慣行を、この事件は特にまたその慣行に適応するような事件でございますから、それを期待しておるのですが、そのときも井本刑事局長は、確かにそれは先行させますという断言はしないのですね。各委員もこの点ずいぶん質問をやりましたが、しかし慎重に取扱いますということだけは、私の六感では、たしかに今大臣が言われましたように、海難審判先行に待ってというような気持があるように伺ったんですけれども、しかし、これはやはり影響するところ、非常に広い意味の、海員方々は相当関心を持っておりまして、最近また聞くところによりますと、やはりあれでも安心ができないというので、陳情書関係の方の大臣あたりにも出しておるという状況でございますけれども、これはもう運輸大臣としてはぜひ、先行して海難審判で調べていくというかたい決意の上から、これを信じていいんですか。海員組合方々、あるいはまた当紫雲丸関係国有鉄道のそういう連絡船関係に従事しておるところの方々は、信じていいんですか。
  36. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 検察当局のことでございますから私の管轄には属さないのですが、運輸大臣としてはそういう見解を持っておりますから、法務大臣にも私の意思を伝えておきましたが、さらに伝えることにいたします。
  37. 内村清次

    内村清次君 これはくどいようですけれども、その点は一つ政治的にも閣内でぜひそういうふうにいくように、大臣からさらに努力をして、一つお願いしたいと思います。     —————————————
  38. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質疑はございませんか。——御質疑がないようでございましたら、次に自動車損害賠償保障法案議題といたします。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  39. 内村清次

    内村清次君 実はこの法案審議に入ります前に、自動車局長にちょっと質問したい点がございますが、よろしゅうございますか。
  40. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 簡単な質問でございますか。
  41. 内村清次

    内村清次君 簡単な質問でございます。
  42. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それではどうぞ。
  43. 内村清次

    内村清次君 自動車局長にお伺いしたい点は、これは国鉄バスの問題ですが、場所は瀬戸名古屋間、この点は、これはもう自動車局長はよく御存じのはずと存じますが、沿線住民方々が非常な熱意をもって、国鉄バスをこの路線に運転させてもらいたいという強い要望がなされて、しかもこれは、その経緯につきましても相当長い期間宿望で、昭和二十四年の一月の三十日から沿線住民の希望がなされて、関係地方団体の機関の決定を見て、そうして国鉄及び関係当局あてに対してはこの要望が強く反映されておると、しかもまたこの問題は、成規道路運送法によりまするところの免許可の問題として、公聴会、いわゆる運輸審議会にかかって、運輸審議会では三十年の二月の八日に一般公述人といたして、関係市長村長公述をした、こういうような問題でございますが、これが今日まで審議会の決議がなされない、そして宿望が達せられないと、あるいはまたは、どういう結論になったかという御発表もないというようなことで今日まできておるようですが、この内容の点につきまして、自動車局長、お知りでございますならば、一通り経過や、あるいは審議会状況等につきましてお伺いしたいのです。
  44. 眞田登

    政府委員眞田登君) ただいまお話ございました国鉄自動車瀬戸名古屋間のバス申請の件でございますが、これの経過と申しますか、そういった要望が起りましたのは、お話通り、かなり古いことでございます。で、実は私も名古屋陸運局に勤務していました時分にこういつた新設要望がありまして、そのときには、当時その付近に運行しております名古屋鉄道電車輸送状況、それから現在通っておりますバス輸送状況、そういったものをよく調査いたしまして、申請が出て免許になるならぬは別といたしまして、そういった要望があるからには、やはり名古屋鉄道としても改善すべき点があるのではないかということで、電車回数について増加する方法はないか、あるいはその運行の方法について改善の点はないかということをし、それからバスについても、その連行回数を増加して地方要望にこたえてはどうかということについて、勧告をいたしました。その際に、名古屋鉄道といたしましても、その線に沿ってバス等回数増加をやりましたため、一時この問題については、当分その成果を見るということで、中休みと申しますか、そういった状態になったわけであります。ただ、バス回数をある程度ふやしましても、やはりかなりの乗客があったことだけは確かでございます。  その後なお、あきたらないと申しますか、そういうことで、地元からあらためて要望が起りまして、昨年国鉄の方から申請があり、同じような所について、名古屋鉄道も自分の方からやってみたいという申請がございまして、この両者申請競願となったわけでございます。  それにつきまして、最近の国鉄一般民間バスとの関係というものが、非常に競争状態を引き起しておる所も多いものでございまして、昨年国鉄自動車民間自動車とは、お互いに競争するというふうなことでなしに、互いに足らぬところを補う、そうして協調してやっていくという方向にやってくれ。それからもしお互い関係のある新路線申請を出す場合には、あらかじめよく相談をして、いざこざの起らないようにして、地方の便宜をはかってもらいたい。こういうことで、昨年国鉄自動車民間の協会とがお打合せをしまして、われわれの方から勧告を出し、それについて国鉄からも民間からも、そういう線に沿って努力いたしましょうという御返事をいただいたわけであります。  そういったことで、その線に沿って両者がお話し合いができないものかということで、われわれの方も中に入ってお話し合いを何回かやりましたのですが、なかなかお話し合いがつきませんものですから、それでは公聴会を開いていただいて、そこで両者の言い分あるいは地元方々要望というものを聞いてみようということになりましたのが、この二月の初旬でございまして、その後も国鉄名古屋鉄道というふうな大きな企業体が相争ってやるということはあまり感心したことではないということで、その後も数回にわたって両者から意見を聞き、何かいい妥協点はないものだろうかということでお話し合いを進めて参りました。御承知のように、今まではっきりした妥協の線が出ないままに、運輸審議会としてもはっきりした結論を出し得ないでおりますために、われわれの方にも御返事をいただく状態まで来ておりませんというのが、現状でございます。
  45. 内村清次

    内村清次君 私は、運輸省自動車局といたしましては、この事態の処理に対しては、やはりこれはただいま自動車局長の言われましたような、あるいはあっぜん、勧告というような線で御努力なさっておることはわかりますけれども、法制的にはっきりいたしておりまするこの審議会が慎重な審議をしていただくことはこれはけっこうですけれども、すでに二月の八日で一応公述人公述も聴取して、しかもその過程では、いろいろな過程を通った長い期間の問題でもありましょうからして、私はここは住民立場に立って、そうして公平な審議決定というものをなさるべきだと思うのです。で、きょうも実は委員部を通じまして、審議会長も出席していただくように頼んでおりますけれども、まあ来ていただけば、審議会長もこれは最近かわった審議会長でもありますし、そういうような審議会の方針という問題も実は質問したいのですけれども、聞くところによりますと、前審議会長は現地に行かれましても、審議会は私鉄というような企業、比較的これは相当大きな企業体ですが、これをかばうというようなことの見地に立って大衆の要望を押えるというようなことはいたしませんというような発言もしておるということを聞いておるのです。私はこれは当然な話であって、やはりこれは私鉄をかばうとかというような問題でなくして、しかもまた住民の意思のあるところも公平な見地から取り上げつつ、あるいはまたその結果においては私鉄をかばうような結果になるか、あるいはまた国鉄をかばうような結果になるか、これは慎重な審議の結果で、御判定は審議会にゆだぬべき問題でございましょうけれども、問題はやはり早く処理しないと、いつまでたっても住民がただそのために迷惑をしておるということでは、交通機関としての任務が尽されないのだろうと私たちは思うのです。  で、この点はあなたの方に権限がありまして、そうして審議会決定を急ぎなさいというようなことが助言的に言われる権限がもしもあるとすれば、自動車局長はどういうようなお考えで、この審議会の指導というと語弊がありますが、この点は運輸大臣の方にあると存じますけれども、自動車局長としてはどういうふうにこれを進めさせてゆこうとお考えになっておりますか。
  46. 眞田登

    政府委員眞田登君) 審議会の答申を早く出せとかなんとかいう法律上の権限その他はございませんですが、実際には常に連絡いたしまして、早く答申をいただきたい、あるいはこの答申について今現地から新たな陳情その他があって、事情の変更なども考えられますので、この前の審議についてお話し申し上げたことと事情が違うから、この点も考慮に入れてから答申していただきたいとか、そういうふうなことは連絡はいたしております。で、お話通り、事案が長引きますと、大ていの場合あまりいい結果よりもマイナスの面の方が多いのでありまして、できるだけ早く事案を進めるようには今後とも努力しなくてはならない、こういうように考えております。この問題につきましても、お話通り、非常に長引いておりますので、できるだけ早く結論を出すように私たち努力いたしますし、審議会の方にもお願いしたいと思います。
  47. 内村清次

    内村清次君 そこで、私は先ほど委員部を通じまして、審議会の方の責任者に来ていただくように頼んでおったのです。しかし、まだおみえにならぬ。私の要求もまたきょうでございましたものですから、向うにも準備がないだろうと思います。で、別の機会のときでもよろしいが、一応連絡をとっていただきまして、答弁を聞きたいと思います。この点は一応保留しておきます。
  48. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは自動車損害賠償保障法案審議に入るのでございますが、今日は逐条審議に入りたいというような皆さんの御意向がございましたのですが、そういうような方法をとりますことに御異議はございませんか。
  49. 一松政二

    ○一松政二君 逐条審議に入る前に、一言、運輸大臣に、法律それ自身について一応ちょっと伺いたいと思います。
  50. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) そのあとで逐条審議に入るということで……。
  51. 一松政二

    ○一松政二君 私は差しつかえないと思います。
  52. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それじゃ、その前に一松委員の御質問を願います。
  54. 一松政二

    ○一松政二君 この自動車損害賠償保障法案に反対している人のおもな理由は、大体保険料が高いということなんです。保険料が高いということは、ひとり自動車賠償保障法案だけではなくして、日本のいわゆる損害保険の保険料は高過ぎる。去年から本年にかけてかなり引き下げておりますけれども、普通のいわゆる火災保険なるものは非常に高いのです。これもその一例にならって、これは損害保険会社がこれを非常に成立を希望しておるといううわさもありますが、もうかるから。私は保険業者に不当にもうけさせることは絶対に相ならぬ。と同時に、今後この保険の料率その他について運輸大臣がいろいろ干渉なされるでしょうが、これも損害保険の一種でありますから、いわゆる日本の主として火災保険あるいは運送保険、まあ船の船体あるいは貨物についても保険がありますが、戦前と戦後を比べるというと、比較にならない。これが日本の産業の発達に非常な支障を及ぼしている。ごく卑近な例をとると、各自が自分の家屋なりあるいは自分のいわゆる家財道具について、これをリプレースするだけ、あらためて買えるだけの保険金をかけられないというのが、今日の実情なんです。従って、やむを得ず半額くらいつけたか何かみたいなことで、そうしていざ事故があった場合には、その総価額の三分の二の保険金しかもらえないで、昔はよく焼け太りということを言われたものなんですが、今日は火災にかかってこれを新規に求めようとすれば、もと自分が持っておったものを得られるほど保険にかけている人は私は少いと思う。  それは日本の今日の工業全般に及ぼす問題なんでありますが、それじゃ、その保険料の高いのは何ゆえかというと、これは多くは保険会社のいわゆる経費なんです。ちょうど銀行の金利が高いのも、いわゆるサービス部門の人のペイメントがおもなる問題になる。あるいは保険会社の給与が問題になる。ところが、事実食うや食わずの中小企業なり、大企業の赤字を出しているものであっても、保険金はある程度はかけておかなければ、火災が起ったときそのままつぶれちゃうという危険もあるから、かけはするものの、とうていこれを新規に再生するだけの保険金は、保険料の負担力にたえないのです。これが非常に日本の企業の再建を妨げている一つの原因になる。火災がなければそれでいいのですが、あった場合にはそれをリプレースできない。それが私が今言ったように、多くは保険会社の給与の面で非常に多くなっている。それで戦後に物の価格が非常に違ってきましたから、取扱い数量は金額にしてみると非常に多くなっているが、これをそのまま基準年度の三百五十円なら三百五十円の割にしてみると、実に過小のものになる。それに対して非常に多くの従業員がこれに従事している。これはまた戦争、戦後に帰還した人などいろいろな事情もあったりして、過剰人員を擁していることも事実なんです。これは銀行についてはどうか知りませんが、保険会社についてはそういうことが言えるのです。一人当りの取扱い金額が非常に少いのです。昔の基準年度の金額に直してみると。そういうことが保険料の高い原因になっているわけでありますから、これについてこういうちょうど損害保険の新しい料率の問題がクローズ・アップしている際に、私は強く運輸大臣の関心を呼び起しておきたいと思うのです。それが焼けた場合に、これが復活し得るだけの保険料を負担し得ないということは、元を食っている原因になるわけなんです。事故が起った場合には、これを新しくまた借金をするなり何なりして復活しなきゃならぬ。それだけまた企業負担が大きくなるわけであって、いわゆる元を食いつぶす一つの原因にもなるわけであります。  従って、今度のこの賠償法にいたしましても、保険料がべらぼうに高いんだ。ここにも今全国乗用自動車協会の新倉君は前から反対しておりますが、反対資料として、提出してあるものと保険料とがマッチしない、こういうことが一つの苦情の原因になっているわけです。でありますから、保険料が、一応暫定的にお考えになっていると思いますけれども、高いということについて、これにまあ一年ぐらい実施したあとにまた是正しようというような御答弁もあったようですが、また全般的に私はさっき言ったように、火災保険あるいは海上保険の保階料が高い、これが非常な負担になっておる。その根源は、結局保険会社、あるいはまあ金利にすりゃ銀行ですがこれが一般の製造工業に従事しておる者よりも一般に給与はいいと称せられておる。そういうことでこれが非常な負担増を来たしておるということについて、運輸大臣は、これはまあ閣僚懇談会の場合でもいろいろ、台閣に列せられておるのですから、機会があると思います。どうか戦前の数字と現在の保険料と、これは厳密に一つお調べをいただきたい。そうしてそういうことのないように、そうして企業が再生ができるだけの額で保険料のかけられるようにならなければ、健全な企業にはなりっこない。ちょうどこの賠償法が素材に上っておる際でありますから、その点に対して私は運輸大臣にそれだけの注文を申し上げまするが、同時に、運輸大臣の所見を一つ承わっておきたいと思う次第であります。
  55. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この自動車賠償法の保険料につきましては、一松委員御指摘の通り、これはやってみまして、そうしてこれは営利を目的とするものではございませんから、保険料率はできる限り低廉なものにしてゆきたい、こう考えております。一般の保険料については、お話ごもっともな点が多々あると思います。閣僚懇談会等において保険料のことが問題になったことは今までないのですけれども、確かに問題の一つだと考えます。今後そういう機会にこの問題も政府として検討する課題として私から提供したい、こう考えております。
  56. 一松政二

    ○一松政二君 御答弁まことにけっこうでございますが、この賠償法の取扱いにつきましても、これはいわゆる再保険の制度がありますから、保険会社は労せずして保険料の手数料が、危険を踏まずして、国家がそいつはある程度再保険してやりますから、その分に対してはほとんど何にも危険を負担せずしてそうして多額の手数料を取れるわけです、保険会社は。私は昔、第一次欧洲戦争のときから海上運送の保険など扱ったことがあって、そうしてそのとき船のことに対しては全額、戦争のときでありまして、今度もそうでありましたけれども、保険会社はただ申し込みをするだけで、手数料ただ取りなんだ。これも、そういう全額じゃありませんけれども、ある程度手数料だけがひとりでにもうかるというので。業者はこれが成立を一日も早いことを望んでいるといううわさですが、今御答弁のありましたように、労せずして国民の負担において不当な業者を利することのないように、私は今運輸大臣からそういう答弁をいただきましたから、どうかその見地に立って今後も十分監視、監督を怠らないようにお願いをしまして、この保険料率に対する私の質疑は一応打ち切っておきます。
  57. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、この自動車損害賠償保障法案の逐条審議をいたしますが、最初一条から十条まで、主として責任関係を問題にいたしまして、この条文または関連して御質疑のおありの方は、順次御質疑をお願いいたします。
  58. 一松政二

    ○一松政二君 第一条の「自動車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害賠償」云々ということでございますが、自動車の運行ということは、これはまあおもにこの法律で予想しておるものは、正常な運行を正常な運転者によって、正規の免状を持ち資格のある者がやっておるということが前提であろうと思うのですが、一応この運行という場合に、近ごろよく、警視庁あたりで違反の取調べをしてみると、無免許運転があってみたり、あるいは酔っぱらい運転があってみたり、まあいろいろな場合があると思うのですが、これを一律一体に、どういう運転の仕方をしておっても、自動車が動いておって何か人に傷つけた場合は、これは賠償するという意味でございますか。その辺、一つはっきりしておいていただきたいと思います。
  59. 眞田登

    政府委員眞田登君) お話しの通り、自動車を運行しておりましたならば、どんな場合でもこの運行という言葉に入るわけでございます。ただ、その場合の責任がだれにあるかとか何とかという問題は、別途他の条項で規定されるわけでございます。
  60. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、たとえば、まあ乗用自動車をその持ち主の家族のものが勝手に練習でもするつもりで運行した場合に、不幸にしてひっかけた、あるいはまた、ある店のももが、先ほど言ったように、小型の許免は持っておるけれども大型の免許は持っていないが、まあとにかくこれを動かしてそうしてまあ物を運ぶというような場合も、そういう場合はもう運行することそれ自身の責任のいかんを問わず、動いておった場合に事故が起った場合には、必ずこの法律によって損害は支払う、こういう建前と承知してよろしゅうございますか。
  61. 眞田登

    政府委員眞田登君) 常にそういった場合の被害者が救済されるというふうに、この法律ではできておるわけでございます。
  62. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、さらにあらためて念を押しておきますが、たとえば自動車にブレーキをかけてとまっておったのに、どういうわけかしらぬが、車が古いか新しいか、あるいはブレーキのかけ方が間違っておったのかしらぬが、運転手はいないが車が走り出したという例はよくあるわけです。それで乗っておる人もなければ運転手もいないのだが、車は動いた、これはまあ例の電車の暴走事件とは違いますが、実際そういうことはあり得る。その場合でも、保障はするということでございますね。
  63. 眞田登

    政府委員眞田登君) そういった場合は、運行という言葉の定義の問題になるのですが、とめることも一つの運行の一部に入れておるわけでございまして、とめ方が悪かったということによってその自動車の扱い方に責任があるということで、やはり被害者はその車による事故に対して救済される、こういうことになります。
  64. 一松政二

    ○一松政二君 ですから、念を押しますれば、いかなる過失であろうが、自動車側にいかなる過失があろうが何しようが、運転手がいようがいまいが、動いておる自動車によって損害を受けた者は必ずこの法律によって賠償されるという意味でございますね。
  65. 眞田登

    政府委員眞田登君) そういうことでございます。
  66. 一松政二

    ○一松政二君 わかりました。
  67. 早川愼一

    ○早川愼一君 保険者ですね、保険者を保険会社に限られたのはどういう趣旨のもとに……。立法の趣旨をお伺いしたい。
  68. 眞田登

    政府委員眞田登君) 保険者をだれにするかということにつきましては、いろいろと論議があったわけでございますが、保険事業は多分に専門的な技術と申しますか、知識を要求いたしますことと、今回強制保険に入ります車は年間百万をこえるであろうというふうな契約であり、また六万件に及ぶ事故、こういうことでございますので、相当事務的にも的確な処理をしないとうまくいかないのではないか。従いまして、この制度の早急かつ円滑な滑り出しのためには、やはり長年その方面での技術の経験のある保険会社をまず利用するということが一番能率的ではないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  69. 早川愼一

    ○早川愼一君 私はあまり詳しくはないのですが、ほかのたとえば農業あるいは漁業に対する保険ですね、ああいったような保険については必ずしも保険会社を介在させないで政府が直接やっておる事業がたくさんあるのですが、それと今度の自動車はどう考え方が違うのですか。
  70. 眞田登

    政府委員眞田登君) ほかの保険で、たとえば今のお話の農業協同組合が共済制度として火災保険とかあるいは生命保険というような仕事をある程度やっておられるということを聞いておるのでありますが、この自動車の関係につきましては現在、先ほど申し上げましたように、非常にその所有の形も区々でございますし、両数も非常に多くなって参りまして、これが思い思いの形でやるということは、どうも最初この保険事業をやって参りますのに適当ではない、こう考えたのでございまして、農業協同組合等の、一つの国の産業政策と申しますか、そういった面から共済的なものを考えました面からではなくて、自動車全体としての意味から、やはり最初は保険会社にやってもらうのが一番いいのではないか、かように考えたわけでございます。
  71. 早川愼一

    ○早川愼一君 これは一面において、保険会社はまあ強制保険で保険を受託するといいますか、受け付ける必要がある、そういう面から、多分に保険会社というものをこの間に入れられたんじゃないかと思うんですが、これは実際問題として、事故が起きた場合にそれらの証明というものは、事故の現場に立ち会った者というのは、まあ警察官ということになりますが、たとえば私がかりに自動車にひかれた、そうしてすぐ保険を請求しよう、こういうときに、何といいますか、そういう事故を証明するのは、だれがするんですか。
  72. 眞田登

    政府委員眞田登君) 通常は、その場合は警察が証明することになると思います。で、事故の際の当事者の証明なり警察の証明を持って保険会社に請求する、こういう格好だと思います。
  73. 早川愼一

    ○早川愼一君 そういたしますと、保険会社というものを特に入れなきゃならぬ重大な理由としては、何かその道の経験者というようなお話ですけれども、保険経営上の経験者という意味は納得できますが、本案の場合について特に保険会社を入れてこの事故賠償をさせるというようなことは、必ずしも保険会社を入れなくてもいいんじゃないかという考え方になるのじゃないかと思いますが……。つまりこれは国家が再保険しておられますから、そういう意味から保険会社を使う、そう解釈せざるを得ないんですが……。
  74. 眞田登

    政府委員眞田登君) 保険会社を使わない方法考えてみますと、やはり自家保障をここで規定しておりますことをやるか、あるいは相互保険組合式なものでやるかということになるかと思います。先ほど申し上げましたのは、そういった相互組織で最初出発するのと、保険会社を利用するのと、どちらがうまくいくだろうかという見地から、保険会社と利用しよう、こういうことでございます。
  75. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 今の御質問に関連いたしましておりますが、保険会社を通じてこの法案によって実施するのがいいか、そうして再保険をいたすのであるから、国が直接した方がいいかという問題は、付加保険料の問題に関連すると思うんですが、国が直接いたすことにおける保険料の中には、いわゆる保険負担の部分の保険料とさらに付加保険料とあると思うんですが、要するに、私はこれは相当大衆的な保険だから、保険料率を下げなくちゃならぬ、低くしなくちゃいかぬと思う。問題はその付加保険料の部分がどうなるかということによって決定するのであって、できるだけ安い保険料にすることがその目的に達するということになれば、あるいは私の考えでは、現在の保険機構、これは私的のものであるけれども、それを活用した方が付加保険料が安くなるんじゃないかという私は見通しを持っておるんですが、その点いかがですか。
  76. 眞田登

    政府委員眞田登君) 仰せの通りでございまして、組合の保険をやりたいというふうな希望が相当ございますが、そういったところの組合の状況を見ておりますと、現在ではほとんど人手もなしに、ごく細々と組合の関係の仕事をやっておる程度でありまして、もしそういった保険をやるといたしますれば、相当な専門家を雇い入れ、新たな施設その他を整えて出発しなくちゃならぬ。そういうことでございますと、お話通り、最初は確かに付加保険料に該当する部分が高くつくということも、私たちの最初保険会社を利用しようとした考え方の一つでございます。
  77. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 私はそう思うんです。そのほかにもう一つ重大なファクターがあるんじゃないでしょうか。それは、従来の統計を見ても、これはこの法律案としての一つの私は検討すべき点と思うんだが、車両の種類や何かによっていろいろ区別をしておりますが、地域的には相当考慮を払っていないように思うんですが、その点どうですか、保険料その他については。
  78. 眞田登

    政府委員眞田登君) われわれの方で一応試算いたしました際には、そういうふうなこまかい地域別の差等については書いてございませんが、実際に保険料を決定いたします際には、できるだけ車種別にこまかく、また地域差等についても過去の統計に従って考慮して参りたい、こういうふうに考えております。
  79. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 これは私の私見を申し述べることになるかもしれませんが、まあ本来ならば国が相当再保険をいたし、例のひき逃げという場合には全額保障する建前になっているから、もし保険料率が非常に安くなるということになると、国が直接経営した方がいいと思います。自動車事故に対して地域的に、ハイヤー、タクシーと違う以上に、都市と地方が相当事故の発生の度数なりあるいは損害の額が違っておるように私は見受けるのです。そうすると、最近よく会社の火災保険なんかでも、小さなものは自家保険をいたしていくという傾向が最近多くなって、大蔵省も悩んでおるのです。これは大きな目から見ればいいとはいえない。同じように、近視眼的に見ればいろいろ言えるかもしれぬが、大局から見れば、やはり全国一丸として、一つの機構のもとに、国が再保険するという機構のもとに、おのおのの団体が自家保険をするというのはまだ早いのじゃないかという私の考えを持っているのです。それに対してどういう御意見を持っておりますか。
  80. 眞田登

    政府委員眞田登君) 仰せの通りに、われわれといたしましても、最初の出発の際には、そういった相互保険的な組合は少し不適当と申しますか、時期が早いというふうに考えております。
  81. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 それでは、この程度にいたします。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 第五条と第八条の関係ですが、これによると、保険契約が締結されているのでなければ、自動車は運行してはいけない、こういうことになっているのですが、仮ナンバーとかあるいは流通過程における商品の自動車の運行の過程において起った自動車の事故については、どうなんですか。
  83. 眞田登

    政府委員眞田登君) 仮ナンバーで運転いたします際にも、保険をかけていなければいけないのでございます。また商品としての自動車が一時、たとえばお客にその車を見せるために運転して見せる、そういった場合にも、かけていなければならないのでございます。ただ、そういった場合の保険のかけ方の問題でございますが、それは短期保険といった考え方もございますし、また多数そういった車両を取り扱っております所については、自家保障という制度によって考えて参りたい。現在のところ、そういうふうな考えをいたしております。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 そういう場合の大体保険のかけ方に対する構想は、今まだ確定したものはありませんか。
  85. 眞田登

    政府委員眞田登君) まだそのこまかい料率が幾らになるだろうというふうな点についての話し合いをしておりませんが、短期保険を認めるかどうかということについては、大体大蔵省ともお話し合いの上、了解がついております。
  86. 一松政二

    ○一松政二君 先ほどの自動車の運行のことですが、第三条を読んでみると、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、」とあるのであって、先ほど私が言ったように、自己のために運行してでもなければ何でもなくて、とまっているやつが、だれもおらぬのに、まあ子供がいたずらをして、いたずらしたためにすぐそれが動いたら、いたずらしたやつの責任になりますけれども、だれがいたずらしたか何かさっぱり原因不明で、ひとりで動き出したような場合には、これを三条の適用以外のものというふうになりはしませんか。
  87. 眞田登

    政府委員眞田登君) 自動車をとめておったのをだれかがいたずらしたということがはっきりしますれば、今のお話通りでございます。ただ、とめて、普通の状態だったが、何かの故障で動き出したといった場合には、やはり先ほど申しましたように、車をとめて正常な状態に置くことも運行の一部と申しますか、最後の跡始末になるわけでございまして、その車をとめた人が運行の責任者ということになるのでございます。
  88. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと委員長から質問いたします。自動車に直接触れてけがをしたり、殺されたりしないで、自動車が何かに当って、そして間接にやはり損害を受けたというような場合には、どういうことになるのですか。
  89. 眞田登

    政府委員眞田登君) たとえば自動車が電柱に当って、その電柱が倒れたというふうな場合でございますと、やはりその電柱を倒したことに自動車の責任がございますので、その結果としての事故についても、自動車側に責任があったということになります。
  90. 一松政二

    ○一松政二君 この「自己のために」ということをもう一ぺんはっきりしておきたいと思いますけれども、たとえば、自己のためではなくて、あるいは極端なことを言えば、近ごろよくあるように、強盗なりどろぼうが自動車を運転しておって、そしてその途中でかりに事故を起した場合には、一応、それはその車それ自身がこの保険に加入しておれば、自然これによって補償されるかもしれぬが、その根本のいわゆる補償責任というものは、一応この保険というものを離れて補償責任というものは、結局車の持主になるということですか。
  91. 眞田登

    政府委員眞田登君) どろぼうの場合には、保有者はどろぼうに使わす意思もございませんので、権限のない人が運行したということになるのでございまして、この場合には保険契約上の責任にはならないで、国家がその被害者に対してまず補償する。あとの保障事業の部に入りまして、そのあとどろぼうに対して、取れる取れないは別といたしまして、国家がどろぼうに補償を請求すると、こういう格好になります。
  92. 一松政二

    ○一松政二君 ところが、これが営業用ではなくて、だれか自家用自動車か何か取られたような場合には、それでいいけれども、たとえば自家保険をやっておる業者なり団体なりの車がどろぼうにやられて、それは自家保険だから国家賠償の責めになっていない。そういう場合には、どろぼうがやったことまでこっちが知ったことかといって、それをはねつけた場合には、どういうことになりますか。
  93. 眞田登

    政府委員眞田登君) 自家保障の車でも、みんな国家保障の対象になります。
  94. 一松政二

    ○一松政二君 ああそうか、再保険するわけだね。
  95. 内村清次

    内村清次君 委員長質問とまあ類似的な質問ですが、たとえば自転車に乗っておった人が、操縦の際に、あるいはまた石があったとか、あるいはまた人の介在によって少し方向転換が悪くなって、そしてついに自動車と衝突をしたと、そのために乗者した人が身体を害し、あるいはまた死んだというよう場合ですな、これはどういうふうになりますか。やっぱり運転手の責任になりますか。
  96. 眞田登

    政府委員眞田登君) 今のお話は、道路に石があって、自動車がそれをよけようとして、そのために隣の自動車に突き当った……。
  97. 内村清次

    内村清次君 いや、自転車に乗っておった人が……。
  98. 眞田登

    政府委員眞田登君) 済みませんが、もう一度おっしゃって下さい。
  99. 内村清次

    内村清次君 自転車に乗っておった人が、操縦をしておって、自動車と行き合ったところが、実際は石があったり、人の介在その他があって、運転の方向が、操縦がちょっと誤まったわけですな。そういうために自動車がこれに衝突をして、自転車に乗っておった人が身体を害した、生命を断った。こういうような事故の場合ですね、これはまあ運転手の責任になりますかね。
  100. 眞田登

    政府委員眞田登君) この三条にございますが、自動車を運転しております方の運転手に、そういう場合に避け得られなかったということで、過失がなかった場合、運転手としましては、自分の方には過失がないのだと、それからその自転車がやってきたのを、その方にやってきたたにめ事故が起ったので、一般の、そういった石がなかった場合には、明らかに自転車に乗っていた人の過失でございますが、その自転車に乗っていた人は、石のためにそういうふうな方向になったとして参りますと、その場合には、自転車に乗っていた人がその石をよけることについて、過失があったかどうかという問題、あるいはこれが、しょっちゅう車が通っている場所になりますと、道路管理者がそういった危険な場所に石があるのを取り除かなかったといったことについて責任があるかどうかといったような問題になると思いますが、今のような場合には、自動車の運転手が、その自転車がひょろひょろとしているのを見てたが、大丈夫だろうと思ったので通ったというふうなことで、多少でも過失がありますと、この条文にひっかかるわけでございますが、そういった点について全然注意を怠らなかったということになれば、自動車側の責任にはならないと思います。
  101. 内村清次

    内村清次君 一方は、そういう場合のときに、生命を断った。一方の方は、自動車の所有者または関係者として、内々で済ませるために、死んだ場合なんかは別といたしまして、これは刑事的な、刑事犯としてのいろいろな機関が介入をするかもしれませんけれども、一体自動車の所有者あたりが応分の見舞金を出すのだとかいうようなことで済ませておったわけですね。そういう事例もございますでしょう。そうすると、済ませておったという事態によって、とにかくそこに自動車が来たんだから、そういうような危険な状況が、これはまあ停車ストップしたけれども間に合わないような距離には確かになっておるのですね。なっておるんだけれども、現実そうやって傷害及び生命を断つというような事故に対しては、一応そういう手段的な見舞をやって事を済ませたという事例はあるのでしょう、実際は。そうすると、それは責任の明確さというものがはっきりして初めてこの問題に関係するのですから、そういうような責任はどうも明確ではないけれども、当然やはりこれは自動車のためにしんだんだというような、こういうようなことで、この保険関係の対象になっていくか、損害賠償の。この点はどうですかな。先ほどの御説明だけでよろしゅうございますか。
  102. 眞田登

    政府委員眞田登君) 一般の場合には、責任がどうもなさそうだというふうな場合にも、善意のと申しますか、道徳的に。そういう場合にお見舞を上げるというふうな場合は、よくございます。で、ただそういった場合に、責任がどうもはっきりしないというふうなことで、これは多少でも自動車側に責任があるように思うというふうなことになって参りますと、この法律では仮渡しの制度がございまして、仮渡しで一応、この一死者当りあるいは一傷者当りについて、多少ずつの賠償金額の内払い式なものが行くわけでございまして、それでその額を一応渡しまして、そしてその後責任の有無を調べることになるのであります。そして責任がありました場合には——その必要な賠償額を払う責任がなかった場合には、結局その金額は、前渡ししたものは、仮渡ししました金額は、だれの責任でもないものを払ったことになる。そこでそれは保険会社がそういったものを払いましたときに、国に対してそういうものを支払ったから補償してもらいたいということで、国からそれをもらえる、こういうような規定の仕方をしておるのであります。
  103. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 山縣さん、ございましたら……。
  104. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 これは当然のことだから質問するほどでもないのですが、先ほどどろぼうの例が一松委員から出たわけで、一松委員が自問自答されて、それは国家再保険だから云々という話があったが、これは国家再保険だから云々というんじゃなくて、法律の建前上、国家が賠償することが当然のことだと、そう了解しておったんで確めようと思ったんだが、同様のことだから、この程度にいたします。
  105. 岡田信次

    ○岡田信次君 自動車局長ね、自動車と自動車がぶつかっちゃって、それで両方に責任がある。両方の運転手がけがしちゃった、あるいは死んじゃったという場合には、どうなんですか。
  106. 眞田登

    政府委員眞田登君) 共同過失と申しますか、そういうことで両方の責任の相殺を行うわけでございまして、過失の多かった方が少かった方にある程度のものを支払うという形になるわけです。
  107. 小柳牧衞

    小柳牧衞君 これは自動車の運転手は対象にならないのですか。
  108. 眞田登

    政府委員眞田登君) 自動車の運転手は事故の当事者となりまして、この賠償の保険の対象にはいたしておりません。
  109. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと伺いますが、雨の降る日によく自動車がスリップするのでございますが、あれは過失の中に入るんでしょうか。
  110. 眞田登

    政府委員眞田登君) 雨の降る日にスリップするというのは、運転上当然心得ておるべきことだと思いますので、そういう日にあまりスピードを出したりしてスリップしたりした場合には、運転手の過失だと思います。
  111. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) スピードを出さなくても、スリップすることがあり得るかと思いますが……。
  112. 眞田登

    政府委員眞田登君) そのときの状況によると思いますが、あるいはタイヤの状況とその路面の関係でございますが、そういった点で、もし車の方の構造上の欠陥というふうに上げて参りますと、構造とは申しませんが、やはり車の関係から、普通の車ならすべらないのに、その車だけすべっちゃうという、そのときには車の側に責任があります。それからだれもがそこまで来ると、ただ動かすだけですべるということになりますれば、やはり道路補修上の責任もこれに競合してくると思います。
  113. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 第三条ではいろいろ問題が起ると思うのですが、技術上一番おそらく問題になると思うのは、実は私自身運転するから質問いたすんだが、一番多いのは自動車を大体制限の速度内で運転者は何ら過失なく運転をやっておる、その際に、幼児が、または子供ですが、それが横道から飛んで出てきて、そうしてひく事例が非常に多いのです。この場合に、それを一々注意しておれば、おそらく運転はほとんどできない。しかし、小さな子供が大てい飛び出してくることが多い、そしてひくことが多い。その場合に起きる過失の判定ですが、これは非常に問題が多いと思うのですが、大体どういうふうな……。これはおそらく実際上の過程で、大きな問題で、一番ケースが多いと思うのですが、どういうようなお見込みであるか。
  114. 眞田登

    政府委員眞田登君) この法律責任のあるかどうかという認定ということになってきますと、正直に申し上げて、私たちあまりはっきりしたことを申し上げる責めでないかと思うのですが、そういう場合にやはり子供が通る危険があるかどうかということについて、運転手がやはり、そういうことがよくある場所だとか、あるいはそこへ来ることがあるのだということについて、それを認識することについて過失があったかどうかという問題と、一方、子供をそういう所へ出した保護者としての親の方の責任とが、どちらかの責任の場合もございましょうし、両方が競合する場合もあると思うのでありますが、大ていの場合はやはり過失相殺と申しますか、自動車側にも多少責任があるという認定をされる場合が多いのじゃないかと思います。
  115. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 そうなると非常に困るので、大てい正常の速度で、そして正常の注意を守っておって——今のお話のようなケースを実は問題にしているのじゃなくして、大ていの場合は飛び出してきてそしてひかれる。そのとき一々、ここの所は子供が出てくるだろうということを意識してやれば、かえって事故が多いくらいであって、そういうことは問題にならないのですが、大ていの場合は運転手の過失にあらずして、幼児あるいはその保護者の過失において事故が起る場合が多いのです。この点は私は保険の運営上、ことにこれは運営上の問題であって、法律上の問題じゃないと思うのですが、余ほど注意する必要があると思うのですが、何かそれに対して検討されたのであれば御質問したいと思ったのでありますが、その点は法律案審議においていささか無理かと思いますから、質問はこれでやめますが、しかしこの法律の運営上、余ほどこれは注意あるいは検討される問題だと思うのです。
  116. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) もう一つちょっと伺いますが、運転手の過失または相手の事の過失によって自動車に乗っているお客さんがけがをするというのは、どういうふうになるのでございますか。
  117. 眞田登

    政府委員眞田登君) 乗客の場合はこの賠償の対象になります。そのお客を乗せて運転しておりました運転手の過失のほかに、他の車が不注意な運転をしたために起った、両方の車の責任となりますと、これは共同責任として、そのお客さんの損害に対してといいますか、被害者の損害に対して両方で賠償しなくちゃならないということでございます。
  118. 早川愼一

    ○早川愼一君 第十条を一つ御説明を願いたい。
  119. 眞田登

    政府委員眞田登君) 十条はこの保険の適用除外の規定でございますが、この法律の建前上、すべてが保険に入ることを原則としておるわけでございますが、国及びこれに準ずるものは、賠償能力の点から欠けるところがないから、あらかじめ除外しても差しつかえない、強制をしなくても被害者の方に欠けるところはないということで、除外いたしました。  この「その他政令で定める者」という「その他」でございますが、これは外交使節、駐留軍あるいは国連軍のことをさしておるのでございまして、政令でそういったものを規定いたすつもりでございます。  それから「道路以外の場所のみにおいて運行の用に供する自動車」と申しますのは、何か工場の構内だけで、そこの構内だけでの使用にあてる車で、一般の公衆には関係がない、こういった場合にはこれを適用しない、こういうことでございます。
  120. 早川愼一

    ○早川愼一君 その趣旨はわかりましたが、「都道府県」と明らかに書いてありますが、たとえば東京都が自動車を運行しておる、横浜市でもやっておる、その間の違いというのはどういうことになるのですか。一応その横浜市は保険を強制されておる、しかるに東京都はよろしいというのは、どういう意味でありますか。
  121. 眞田登

    政府委員眞田登君) この適用除外をどこで線を引くかということで、いろいろ関係方面とお話し合いをいたしましたのですが、国と三公社は、これは国及び国に準ずるものということで、問題はほとんどなかったのでございます。それから都道府県、市町村のような地方公共団体をどういうふうにするかという問題で、地方自治庁関係方々とも御相談いたしましたのですが、都道府県については一応そう大した違いがなくて、これを一概に都道府県と書いても支障がなかろうが、市町村まで入れますと、非常に大きさその他に格差がある。そういったものを一律に規定することはむずかしいから、相当車両数を持っているものは自家保障を認めるという条項によって、その自家保障の項目で事実上の除外例に入れてはどうか。その際にも、地方公共団体という性格から、車両数とかあるいはその積み立てを強制されます金額等についても、ある程度緩和した考え方をしてはどうか、こういうふうなことでお話し合いをいたしまして、このような法案になったわけでございます。
  122. 早川愼一

    ○早川愼一君 五大都市の、この間の公聴会における意見でも、除外してくれという。どうもただいまの御説明だけで、たとえば損害賠償の十分資格があるというようなことだけできめられますと、やはり五大都市は除外してくれという。まあ国とか都道府県の直接の自分の用に供するならいいのですけれども、一般の営業をやっておるものを除外するというのは、ちょっと……。それだけで、ただいま言われた損害賠償の資格がある、十分資力があるというようなことだけでいかれると、非常に範囲が、自家保険と一緒だということとは、ちょっと違うんじゃないですか。
  123. 眞田登

    政府委員眞田登君) 仰せの通りでございまして、府県に比べて五大都市がどこが能力その他の点で劣るのかという御意見は各方面からございまして、実は昨日衆議院の運輸委員会で、修正案として五大都市を、「都道府県、五大都市」というふうに、五大都市とは限りませんが、地方自治法第何条に規定する市というふうにいたしまして、これを修正するということで、昨日運輸委員会を通ったようでございます。
  124. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 ちょっとお聞きしたいのですが、五大都市とその他の地方との損害率等の見込みは、どうなっておりますか。
  125. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど申し上げましたように、地域差と申しますか、地域によって事故の起る率がかなり違うということは、常識的にもそうでございますし、最近これについて調べております状態でもかなり相違がございますが、まだごく小部分と申しますか、一年間のものをとっただけでございますので、ここで御返事申し上げるような正確な数字とは言えないのじゃないか、こういうふうに考えております。地方では車の両数等も少いので、事故が全然ない場合、それから何らかの拍子で非常に多い多合、いろいろあるわけでございますが、その事故が起きましたときには非常に大きな率となって現われてくる。そういったものをある程度何年かの統計で平均してみないと、実際の事故率ということで地域差をつけるには無理があるのではないか、そういうことで、できるだけ長期の資料をとってその地域差というものについて検討をして参りたい、こういうふうに考えております。
  126. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 将来料率の算定に当っては、私はやはり地域差というものを相当考慮する必要があると思うのです。たとえば火災保険でも、地域差というものは一番大きな料率の標準になっておりますから、それで私の今お尋ねしたいのは、先ほど私が関連して質問いたしたのは、やはりこういうふうな保険事業として新しい保険事業、これはまだ従来のいろいろな経験も浅いし、今後未確定なことが多いのですから、でありますから、できるだけ単一な組織において、これは言うまでもないことだけれども、危険の分散によって、できるだけ最小の危険負担において最大の損害負担を受けるものですから、そのためには私はできるだけ保険者の単位及び機構というものがシングルで、そうして大きい方がいいと思う。これが危険分散の極意だと思う。その意味において、あまりたくさん分けると、ことに危険率が非常に違うのを分けていくということは、これは自動車損害賠償のこの法案を作られるときにも、ただ漫然と法文だけを作るのではいけない。やはり一般の経済に対する影響もありましょうし、一般産業に対する影響も相当大きいのですから、やはり数字的にどの程度の保険料率でもってどの程度の自動車業というものに対して負担を与えるかということを考えなければならぬ。その意味において、ただ加えたり除外したりするということは、法文上やるべきではなくして、保険料率の算定とか、損害保険の見地から見ても、自動車保険というものの全体的な数字の算定を頭に置いてやるべきだと私は思うのですが、ただ、国、都道府県との均衡上入れる、大都市云々というのではなくして、もっと数字的見地から検討すべきだと思いますが、そういう検討はされましたか。
  127. 眞田登

    政府委員眞田登君) お話しの通りでございまして、保険の考えから申しますれば、全部が一体となって保険に入るということが一番望ましいことだということは、私たちはよくわかっていることでありますが、この保険が今までに、現在のところ約自動車の二〇%程度しか加入されていないという状態のものを強制しようということになったのでございますので、かなり各方面からいろいろの御希望が出たわけでございます。われわれとしましては、そういった御希望をできるだけ取り入れて参りたい。で、ただ被害者の保護ということに欠けることのないという見地において、できるだけ各方面の希望を入れて、そうして今後発足しましてからでもだんだんと改善して参りたい。こういうことでやりましたために、お話のように、何か不徹底な点というものがあるだろうということは、私どもよくわかっておるのであります。  で、確かに数字的な検討をしてこれをやるべきだということも仰せの通りでありますが、ただ、今度除外いたします国の関係、その他地方公共団体等の関係の車は、現在考えておりますところでは、大体百三十数万両の車のうち九万両程度というふうに考えておるのであります。一割でもかなり影響があるということは言えるのでございますが、その程度の除外を考えております。そういった数字の面から国その他を除外したのではないのでございまして、やはり一つの一般の法政令によりますと、国とかあるいは外交官というものが除かれているのが通例であるということからスタートいたしたわけでございますが、それが、これらに付帯して適用除外に加えてはどうかという御意見が各方面から出てきて、それがこういう条文になって現われたというのが、立案の経過であります。
  128. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 大体当局の苦衷は了承いたしますが、国等の所有する物件について除外することは、これは他の例から見ても当然だと思う。ただそれとの比較の上において除外が次々に起ってくるということは、これは当事者が負担できるからいいということのみでは済まないことで、今回のこの自動車損害賠償法のこの保険のプリンシプルからいえば、これは比較均衡の上から除外すべきものである、こういうふうに私は考える。これは全体のそういうものが、自分が負担できるというのではなくして、これは全体の保険機構の上に当然影響があるから、これは国等の場合は除外する、これは建前として当然。しかし、それと比較考量の上、これを除いてくれということは保険全体の均衡上の観念に反すると思いますが、衆議院が修正したから、あえて反対しないけれども、しかし、こういうものはやはりできるだけ原案の趣旨を貫ぬくべきものだと思う。意見だけ申し上げておきます。
  129. 入交太藏

    ○入交太藏君 今の山縣委員からの御質問と私も同じような気持を持つのでありますが、今の除外したということは、要するに損害に対する保障が十分できるとかという意味でありますか。何かほかにもっと意味があって除外したものか。私どもは、今山縣委員の言われたように、保険であるから均等にしていくべきじゃないかということと、それから相当数の車がその除外したものにあるとすれば、今度保障のために保険料を徴収するについては、少しでも一般のたくさんの車に均霑した方が、保険料も安く負担も軽くいくのじゃないかと思いますが、その点をお伺いいたしたい。
  130. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほどちょっと申し上げましたように、被害者の保護に欠けることのないようにということをまず第一に目標にいたしまして、各方面の御希望を入れてこれを除外した、こういうことでございます。第一の趣旨はできるだけ均等にしかも被害者の保護にということに違いないのでございますが、そういったことで、被害者の保護の面からだけがこういった除外についても納得できる考え方だと存じます。
  131. 入交太藏

    ○入交太藏君 今のお答えはわかりますけれども、一応そういうように除外したにしましても、都道府県という、また特に自家保障というものに対しては、ある程度自家保障をやるがためには、それぞれの規定に沿う者は自家保障に認めるという問題と、三つにこれは分れることになるので、それと、一番の問題は保険料負担が非常に重くなると思う。一般自動車の所有者並びに特に自動車をもって業としている者については、非常に負担にたえられないということが問題になってきますし、そこで強制的に保険をつけなければならないという強制があるのと、国家が相当これに対して補助するという意味からいえば、保険料率あたりもできるだけ安くして、そうして一般の負担を軽くして、そうして非常に低い負担をさせるということが、これが保険の目的からいっても当然じゃないかと思うし、こういつたような除外例をたくさん作るということは、これは問題を起すもとじゃないかということと、どういうふうにしてこんなに除外するのだろうというふうにここに疑問を持つという結果になるのじゃないか、こう思うのでありますが、いろいろこの法案を作成されるについては、当局の御苦心はよくわかりましたが、われわれはこれが一番この法文で問題じゃないかと感ぜられますが、一応衆議院の方の修正案も拝見しましたが、われわれもこの点についてちょっとおかしいという気持を持っておったのであります。そういう感じを強くいたしますので、この点、なお一つ御教示願いたい、こう思うわけであります。
  132. 眞田登

    政府委員眞田登君) 仰せの通りでございまして、こういつた除外例は、私どもこれにつきましてはいろいろとまあ申し上げましても、確かにそういった面で何か特別のものを設けたような印象を与えておりますことは遺憾なのでございますが、保険料を安くするという点につきましては、今後一そう研究いたしまして、できるだけ安い料金にいたしたいと思っております。
  133. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 第六条と第三十条に関連した問題ですが、今後はこの法案の精神から見て、先ほどの御質問あるいは私の私見を申し述べたところに関連する問題ですが、第六条の趣旨から見て、第三十条においてある業種の団体を代理店にすることができるという。それらが代理店ではなくして、みずから一つのユニットの保険を行いたいということを必ず申し出てくるに違いない。ことにまたこれがある程度黒字になった場合においては、必ずこれが起ってくると思う。しかるに、保険というものは数年できまるべき問題ではなくして、これはやはりできるだけ十分な積立金を持って、そうして長期にわたって平均して思わざる危険を負担するという建前でありますから、必ずちょっと黒字になれば、ある団体が代理店に甘んぜずして、みずから保険を営みたいという点も必ず出てくると思う。これに対しては、この法律の性質また保険の本質から見て、それはまたその業種自体のためにもよくないと思うのですが、それはどういうふうにお考えか。もちろん法案にはそれは入っていないから、そういうことは認めないという御趣意であろうと思いますが、しかし今後必ずそういう問題が起ってくる。その点に対する御所見を伺いたい。
  134. 眞田登

    政府委員眞田登君) この法案にございます通り、最初そういった団体に対しては、保険を営むことについてはわれわれとしては考えておらないわけでございまして、将来こういつたものの組合が相互保険式のものをやりたいといってきました際に、どうするかというお話だと思います。これはいろいろと相反する御意見がございまして、保険のようなむずかしい仕事をそういったしろうとの人の集まりがやることは無理だという意味から、保険会社に全面的にまかすべきだという御意見と、もう一つは、車を持っておる人たちが自分の保険だということで組合を作ってやって、そうしてお互い事故も少くしてゆくことによって保険料も安くしてゆくということで効果があるのじゃないか、だから、相互保険を考えてゆくべきだ、こういう御意見と、両方あるわけであります。衆議院におきまする論議も、この点が非常に活発でございまして、衆議院方面での御意向では、むしろ将来相互保険式のものを認めてゆくべきだという御意見であったように思うのであります。私たちとしましては、保険事業のむずかしさも十分よくわかっておりますので、十分これについては検討して参りたい。いずれにしましても、現在のような状態では、受け入れ態勢など全然できておりませんから、今ここしばらくの間にすぐ相互保険会社的なものができるかという御質問でございますと、それは非常にむずかしいのではないかというふうに考えております。
  135. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 これはなかなか保険論として問題のあるところだと思いますが、しかし日本の現状とそれから保険という見地から見れば、できるだけ私はユニットが少い方がよく、そうして問題はアジャストメントをどこでずるかといえば、保険料率を安くしたらいいと思います。ことに国家が再保険する場合においては、これはやはりアジャストメントは保険料率においてやって、そうしてできるだけ単一の一つの機構において、十分なる準備金を持って、そうして準備金の運用等において、要するに資本収入においてできるだけ保険料率を安くするということがいいのか、それからある一定の団体の除外が全体の保険料率に影響するということを考えなくてはいかぬと思うのです。そういう点から見て、私は、この保険がもしそこで黒字が出て、そうして保険会社がもうけるというのだったら、保険料率をアジャストする。要は、私はできるだけ経費を少くして、そうして危険負担を十分にする。要するに、保険者というものの機構を簡素にして、そうして経費のかからぬようにできるだけ安くするということに私は第六条の精神をできるだけ仕向けた方がいいのじゃないか、こう思うのです。その点重ねて伺います。
  136. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど申し上げましたように、この点につきましてはいろいろと御意見がございまして、われわれといたしましても大いに検討して参りたいと思います。ただいまのところでは、われわれとしてはこの出発には不適当と考えておりますが、将来の研究問題としてなお検討さしていただきたいと思います。
  137. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 先ほど適用除外の車両数が九万両くらいの見込みという御答弁でございましたが、その中には自衛隊で使っておる車は入るのでございますか。
  138. 眞田登

    政府委員眞田登君) 自衛隊の車も入っております。
  139. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに自動車のような格好をしていない、何という名前のものですか、大きな戦車みたいなもの、タンクみたいなものは、ああいうようなものもみんな自動車の中に入るのでございますか。
  140. 眞田登

    政府委員眞田登君) 特殊用途車という名前でああいったものを入れております。自動車の部分に入っておりますものは、特殊用途車という各前にして入っております。
  141. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 適用除外の中の外交官あるいは駐留軍、いわゆる相手が外国人である場合に、被害者が、相手の加害者が適用除外であるために、損害賠償その他の交渉をするのに非常に不便であるのではないかという懸念が持たれまして、その点についてこの前、韓国の自動車の事故についてどういうふうな処置になったか、参考のために聞かしていただきたいと思いましたのですが、簡単にちょっと経過説明していただきます。
  142. 眞田登

    政府委員眞田登君) それでは、この前の事故の概要及びその後の経過を申し上げますと、これは加害者は韓国駐日代表部の二等書記官でございます。オペルをめいていして運転しておりまして、歩道上で都電を待っておる人を四人ひきまして、なお暴走して近くの駐車しておる車に突き当って、そこでとまっておった、こういうことでございます。そのまま、その車を運転していた人はその中で寝ていた。被害者は死んだ人は一人、重傷が一人、(これは三カ月の治療を要する。)軽傷二人、四人でございます。  それからこの問題の賠償のことにつきましては、韓国が非常に誠意を示されまして、事故の翌日代表部の参事官が外務省のアジア局長に陳謝の意を表して、賠償の円満解決努力する旨を表明しております。加害しました自動車には自動車責任保険がかけてございまして、それは一事故当り一万ドル、一人当り五千ドルの保険がかけてございました。それで、もし賠償額が超過したならば、それについても十分の賠償をして、万全を期したいと申しております。  なお、外国使節団からの自動車の登録は外務省の方でやっておりまして、しかしながら、この外務省で青い表板を渡します際に、保険に入っておりませんとこの表板を渡さないという実際の事情は取扱いになっておりますので、現在では外交官の自動車は全部が保険に入っておるというふうに御了解いただきたいと思います。
  143. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) そういたしますと、今後賠償金をもらったりなんかするときの手続は、窓口は外務省でございますか。
  144. 眞田登

    政府委員眞田登君) この場合、この事故の場合は外務省が中に立ってやられることだと思います。一般の場合につきましては、直接お話し合いになるというのもございましょうし、多分外務省を通じてお話しになると思います。なお実際の事故の査定その他につきましては、保険会社が中に入る、こういうことになるのじゃないかと思います。
  145. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 今回はまあ、韓国代表部の方で、紳士的に向うから被害者に対する陳謝、賠償等について積極的に出られましたから、まあ今経過説明された通りに、順調に運んでいると思いますけれども、往々にしてひき逃げも今まで相当数あったと思うのでございますが、そういう場合に、外国人であり、ことに今度この法律が成立した後にも適用除外のものである場合には、被害者としては非常に困惑すると思うので、そういうような場合にどこかの窓口に行けばいいというふうに、一つの窓口を設けて、被害者の立場を守るというような御意思はないでしょうか。
  146. 眞田登

    政府委員眞田登君) この問題につきまして、この法を実施いたします上について、適用除外その他のところについてお話のございましたような点は、かなり起り得ると思うのでございますので、こういつた点につきましては、関係官庁あるいは地方の公共団体等につきましても、この法案の精神にのっとって被害者の保護に欠けることのないように協力方を依頼したいと思っております。
  147. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 第十条まで、ほかに何か御質疑がございませんですか。——ございませんようでしたら、またございましたときに、全体の総括のときにまた御質疑をなさいますこともあり得ると思いますので、第十一条から三十九条までもう少し審議を進めたいと思いますが、いかがでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、十一条から三十九条までの間の逐条審議に入ります。どうぞ御質疑のある方は……。
  149. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 保険金額政令で定めることになっておりますが、大体どの程度を予定されておりますか。
  150. 眞田登

    政府委員眞田登君) 現在考えておりますのは、死者一人当り三十万、重傷者一人当り十万、軽傷者一人当り三万ということでございます。つい最近まではこの一事故当りについても規定するような案を持っておったのでございますが、各方面からの御意向もあり、事実大して保険料が増額にならないように存じましたので、一事故当りの総額についてはその制限を取って、一人当りの保険金額だけを定めたい、こういうふうに考えております。
  151. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 大体まあ、損害保険の本旨から見て、保険金額と保険料率というものは関連のあるものでありますが、そうすると、保険料というものはどういうふうに算定されますか。
  152. 眞田登

    政府委員眞田登君) 過去の約五年間くらいの事故の統計をとりまして、その各車種につきまして、死者何人、重傷者何人、軽傷者何人と一年間に起っておるという数字に対しまして、死者に対しては三十万、重傷者に対しては十万、軽傷者に対しては三万という金額をかけ合せまして、その総合計を車の両数で割ったわけであります。なお、その途中でいろいろ責任率をどの程度に見るとか、あるいは他の人の過失のためにその支払い金額が減るというふうなもの、全部をいろいろその中に加味いたしまして、そうして出したのが大体……。この数字はまだ申し上げておりませんが、たとえばバスについては一万見当というような数字になっております。
  153. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 そうすると、保険料率は、今のお話でありますと、個々の業者等において、厳密にいって、違っておるのですか。
  154. 眞田登

    政府委員眞田登君) ただいま申し上げましたのは、全国の事故について考えたわけでございまするので、その平均が大体そのくらいの金額になる、こういうことでございます。
  155. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 それじゃ、バスについては幾ら、ハイヤーについては幾ら、そういうようなことでございますか。
  156. 眞田登

    政府委員眞田登君) そうでございます。
  157. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 その際に、その車両の製造年度あるいは大きさ等において当然違うと思うのですが、その点はどういうことになっておりますか。
  158. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど申し上げましたように、全国の車両について、車種といたしましては乗合自動車、それから乗用車については営業用と自家用に分けまして、貨物車につきましては、普通貨物として自家用と営業と分けており、それから小型貨物。それから軽自動車と申しますのは、スクーターでございますが、スクーター等小型の二輪車、こういったものの範疇にやりましたが、年式その他については試算の際には考慮いたしておりませんので、全部の平均だという数字でございます。
  159. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 そういたしますると、ある業者はできるだけ旧車と新車と交代して車両の整備をはかっておる、ある業者は古い相当性能の悪い車両を使っておる。その際においても、たとえばバスならバス、あるいはハイヤーならハイヤーということが同じ種類になれば、料率は同じことになりますか。
  160. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど申し上げましたように、具体的に保険金額と保険料を定めますには、いろいろ条件を加味しなくてはならないと存じております。地域的な差も考えなくてはなりませんと思いますが、具体的には、保険会社の方でこの保険料を算出しまして、大蔵大臣申請して参る。それを保険審議会において妥当であるかどうかを検討して、その答申をもらってからきめるこういうことになるわけでございます。その点は、保険会社がもっと妥当ないろいろいろの要素を加味すべきであるというふうな意見もあると思います。そういった意見を全部取り入れて公正妥当な料率を定めて参りたいと思っております。
  161. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 今お話の点は了承いたしますけれども、私はこの法案に対して、私は必要だと思ってその趣旨で御質問申し上げておるのですが、ただ、これに類する法律を最近運輸委員会においても相当審議をいたしてきたのであります。当該の業者の相当の負担においてかような保険が、もちろん国家がこれに対して多少の補助をいたしますけれども、相当に営業者というものの負担においてかような保険が施行される。それはやはり当該の産業に対しての負担だということを私は考えなければならないのだが、私は必要だと思っておるのだが、私のこの印象は、法律案はさすがにできておるけれども、これは他の民法とか刑法とかいう法律案にあらずして、相当経済的の要素の強い法案でありますから、もう少し数字的の検討があって、私は少くとも保険料率は大体どのくらい、そうしてそれに対してはどういうふうな負担になるかということの検討を、これは審議会等においてやるべき問題であるけれども、一応頭に置いて立案さるべきものと思うのでありますけれども、たとえば、現にこの法案というものは、損害を人に与えるその責任保険でありますから、その際に一番大きな問題は、運転手の技倆ということもあるけれども、車両の性能というのが一番大きな問題だと思う。たとえばブレーキのごとき、あるいはその他のエンジンのいかんによっては、これはかりに急停車をするといったって、運転者の技量は同じでも車両の性能によってうんと違うのだから、そういう点でうんと保険料率というものは違うべきものだと思います。そういう点についての研究が少し足らぬように思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  162. 眞田登

    政府委員眞田登君) この保険料の試算をいたしまして一定の数字が出てございますが、事故統計等は警視庁からいただいて作ったわけでございます。先ほど申しました、バスについて約一万円になっておりますと申します通りに、ほかのものについても概算の数字は出てございます。  それから、これについてただいま車の性能等についてのこまかい基準を設けろという御意見でございますが、確かにそういったものについても将来その要素を加味して、保険料についての差を設けるのが妥当だと私は存じますが、ただ、現在の状況だけから申しますと、事故の五〇%以上は運転手の操縦の誤まりで、車両の欠陥から起っておりまするのは二%に足りないような数字でございます。そういった点から申しますというと、その車の新しい古いということを要素に加えるということはけっこうでございまするが、ウェイトは割合に小さいという点もあるのでございます。
  163. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 まあその点は、今後審議会等において、この法案の運営においてやはり留意されるべきだと思うのです。  それから私が申し上げたいのは、保険料の算定に当って、私はできるだけ大衆の負担また自動車業者の負担の軽減をはからなければいかぬ。その意味において、これはどういうことになりますか、いわゆるプレミアム・リザーブというものが相当私は出てくると思うのですが、このプレミアム・リザーブというものの運用をどういうふうにお考えになっておりますか。
  164. 眞田登

    政府委員眞田登君) 現在のところでは、そういった点について深く検討しておりませんので、この点についても今後十分研究して参りたいと思います。
  165. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 要は、少しまた専門的にお聞きしたいのですが、私の印象は、法文の整備に急であって、法文のうちに隠れておる経済的の検討が少し足らぬように思うので、その点さらに御検討を願いたいと思う。
  166. 早川愼一

    ○早川愼一君 三十条に関連して、最近自動車局長が大蔵省と何か協定書か覚書を作られたということをちょっと聞いたのですが、どういう内容のものですか。
  167. 眞田登

    政府委員眞田登君) 大蔵省といろいろお話をいたしましたのですが、この三十条の規定の趣旨にとっとって、大蔵省は、保険会社が自動車運送または通運事業の振興をはかることを目的として組織する団体と責任保険の代理店契約を優先的に締結するよう、適切な行政指導を行う。運輸省は、右の団体が責任保険の代理店業務の円滑な遂行を確保するよう、適切な行政指導を行う。こういった趣旨の覚書を交換する予定にいたしております。
  168. 早川愼一

    ○早川愼一君 大体そういう趣旨で今後この法案を運用される。これは話し合いがお済みになったのですか、それともこれからなさるのですか。
  169. 眞田登

    政府委員眞田登君) 話し合いがついております。
  170. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 わかったようですけれども、はっきりしませんので、一つ伺いたいと思いまするが、この保険に加入せんとする者は、どういうふうな段階といいますか、方法によって加入するのですか。
  171. 眞田登

    政府委員眞田登君) この保険の建前は強制加入、強制引き受けとなっておりまするが、今お話が出ましたように、自動車の関係の団体がございまして、それを大体代理店として運営していこうと、こういう考え方でございまするので、大体の場合はそういった団体を通して保険に加入する、こういう関係になると思います。
  172. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうすると、団体に加入しておらない者は強制加入をするのか、どういうふうにしますか。団体で加入する人は任意でございましょうか。団体に加入しておらない者は強制加入するのでしょうか、どうでしょうか。
  173. 眞田登

    政府委員眞田登君) 団体そのものは強制加入ではございませんので、団体に所属していない自動車の所有者というものはございます。で、そういったものについては、強制方法としては、登録その他の場合に、あるいは車検のときに、この車は入っていないから入庫できないということで、受付をしないわけでございますので、車が動かせなくなる。こういうことによって、どうしても保険に入らざるを得ないという形になると思います。
  174. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 強制加入しなくてはならないことはわかりますけれども、この団体に入っておらなければ、保険加入ができないことになりますか。団体に加入するかしないか、これは任意。強制的に団体に加入させるわけではないのでしょう。これに入る入らないは任意です。しかし片一方からは保険は強制加入。この人たちはどうしますか。
  175. 眞田登

    政府委員眞田登君) 団体に、代理店を通すのがいやならば、直接保険会社に行って申し込みをしていいわけでございますので、決してこの保険の施行によって、団体の強制加入をしいられるということにはならないと思います。
  176. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、保険加入を希望する者は、この団体に加入しなくてもやれるわけですか。保険料率はやはり同じ保険料率において加入することができますか、個人で。
  177. 眞田登

    政府委員眞田登君) それは一般の場合、同じ条件の車は同じ保険料率で入ることはできます。
  178. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、代理店というものの組織について、何か腹案でもございますか、こういうような組織をして取り扱うとか……。
  179. 眞田登

    政府委員眞田登君) 現在自動車運送または通運事業の関係の団体、たとえばトラック組合、あるいはバス組合、あるいはタクシー、ハイヤー組合、それから自家用につきましては自家用自動車の組合、こういったものがございますので、そういったものが代理店契約を結ぶ相手方になるのではないかと思います。
  180. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、たくさんの代理店ができそうでございますが、トラックとかタクシーとか、たくさんの代理店ができると考えてよろしゅうございますか。
  181. 眞田登

    政府委員眞田登君) その通りでございます。
  182. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 この代理店には相当な、手数料あるいは無事故による払い戻し等で相当の金が集まるわけなのですね、多くの場合。従って、普通の保険会社の代理店を取るために、相当金を使って、いわゆる権利金と称するものがございますが、そのようなものに対する剰余金の処分に対して、監督とか、あるいは干渉なさる御意思がありますか。
  183. 眞田登

    政府委員眞田登君) 普通保険料と付加保険料のうち、付加保険料が、その代理店の手数料と申しますか、代理店の実費をまかないますものと、それから保険会社の費用ということになるわけでございますが、この保険につきましては、営利を目的としないということを建前といたしておりますので、理想といたしましては、代理店についても、その実際に要りました費用をまかなうだけの保険の収入という形でおさまるべきものだと思っております。
  184. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 もし剰余金が出ました場合、今のお説から申しますと、保険の加入者に払い戻しといいますか、掛金に比例して払い戻しをすべき筋合いのものだと、そういうふうにお考えですか。
  185. 眞田登

    政府委員眞田登君) 付加保険料につきましては、実際の事務を取り扱うための費用に充てるものでございますので、一般に払い戻しという形のものは起らないと思います。ただ純保険料につきましては、計算のいろいろの間違いなり、あるいは事故がその当座非常に少かったとか、こういうふうなことで、何かの形で——と申しますと、たとえば無事故の払い戻しとか、あるいはその他の形で払い戻されることがあり得ると思います。
  186. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 私の払い戻しというのは、その保険会社から払い戻しをもらうということでなくて、代理店自身が非常に利潤があった場合に、その間の処置をどうするか。それで保険料率を低減するということが一応目的でなければならぬのでありますが、そのようにその代理店の利潤が多く出たということは、保険料率を下げ得る余地がありと考えておるし、また保険会社がそういう利潤があるということを考えていいと思うわけですが、そういう場合に、政府が監督するなり、あるいはそういうようなことを調査して、どういうふうな処置をするかということを聞いているのです。
  187. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど申し上げましたように、付加保険料に該当するものが手数料として一部代理店に行くわけでございますが、この保険の建前上、そういった付加保険料部分は実費をまかなう程度でなくてはなりませんので、非常な利潤が出て、それを払い戻すという形のようなものにはならないと思います。
  188. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 ならないと言っても、なるのですよ。ならないという根拠がどこにあるかわかりませんけれども、もしならないということがわかっておるなら、将来保険料率を下げるという見通しがつかないわけです。結局、将来保険会社の方に相当利潤があると思うならば保険料率を下げるようにしようと思いますということの結果は、結局そういうようなところから起きてくるわけです、代理店が事務費を計算してみてその事務費に相当する金額を手数料で保険会社がとるというなら、あなたの言うようになるが、そうじゃなくて、もらうものはもらって、そのうちから事務費を出すのですから、これは世間の通例のことなんですよ。特に代理店が実費のみしか支給を受けないという契約になると思いますが、その点。
  189. 眞田登

    政府委員眞田登君) 一般の保険についてそういった問題があるかもしれませんが、この保険については、実費を純保険料に加算するだけを、それを保険料とするという考え方でございますので、そういった利潤を生ずるという建前ではございません。
  190. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうすると、保険料率を算定する基礎には代理店の実費のみしか見ておらない、こういうふうになるのですか。
  191. 眞田登

    政府委員眞田登君) ちょっと、一般の私の聞いております保険料だけについて御説明いたしますが、大体現在では保険料というものを一〇〇といたしますと、純保険料がそのうちの五五%程度で、四五%程度が付加保険になっている例がかなり多いようでございますが今度の保険では、純保険料の算定いたしまして、まず事故その他から一応の純保険料を出しまして、それに実費を付加して出したものを総保険料にする、こういうことでございます。保険料を引き下げる場合といいますのは、実費として予定しておったが、事務能率の向上その他によってある程度の節約ができたということによって、付加保険料部分が下るということも可能ではございますが、それは最初からそういった能率的な運営でやるのだという建前にいたしますので、付加保険料についてそういうものが下るということはあまり期待できないのでありまして、むしろ純保険料の部分について、今後事故をできるだけ少くしていくということによって、保険料率が下げられるということの方がわれわれとしても望ましいことでもあり、可能なことだと考えております。
  192. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 仁田委員の御質問に対して局長の御答弁がありましたけれども、局長の御答弁も少し足りないが、これは第三十条の代理店とは保険業法にいわれる代理店ではないのですか。
  193. 眞田登

    政府委員眞田登君) その通りであります。
  194. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 保険業法にいう代理店になれば、今仁田委員の御質問は起ってこない。かりに付加保険料を節約されようと、それから事故がかりになくなっても、代理店に支払う何ものもないので、もし払えば保険業法違反であります。でありますから、要するに保険業法にいう代理店である以上は、代理店がこれをひそかに取れば法律違反になる。だから、仁田委員のようなことは起っていない。それが事実であれば、これは法律違反。  それから局長の御答弁も少し当らないと思うのは、付加保険料の節約云々というふうなものなり、純保険料云々というものは、これはかりにあっても、それで私はプレミアム・リザーブという問題を御質問したのですが、それは将来料率の改訂において考慮すべき問題であって、かりに事故がなくなったといって、それをすぐ戻すとかなんとかという問題は起ってこないと思いますが、いかがですか。
  195. 眞田登

    政府委員眞田登君) 保険の経理が単に一年だけでやってゆけるものじゃないということは、その通りでございますので、ある一定の期間その運営の状況を見て、料金の改訂ということが行われるのでございます。先ほどお話のありましたように、付加保険料について手数料以外のものといいますか、代理店にそういったものが入らないという話は、その通りでございます。私の説明申し上げておりましたのは、代理店が受け取るのは、その実費だけということを申し上げておったわけでございます。
  196. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 これは実費という言葉は当らないのであって、保険業法に定めてある料率における代理店手数料を代理店に払うべきものであって、実際何十何円実費が要ったから払うという問題じゃないと思うのですが。
  197. 眞田登

    政府委員眞田登君) 私の言い方が悪いのでございますが、実費に該当するものを手数料として定めて払う、実費だけのものをもらうのだということであります。
  198. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 山縣委員の言うことが私はわからないが、私の言うのは、ないしょでもらうというのじゃない。もちろん保険業法にいう代理店としてもらったものの中には利潤が含まれているということなんです。それ以上ないしょで取るというのじゃない。  そこで、今の山縣さんのおっしゃったように、実費だということはすでに間違っている。実費じゃない。これも一定のあるワクの中に入っているものをもらう。その中には、代理店が営利事業ですから、相当利潤があるわけです。それを、特にこのものに限って実は幾らであるけれども、特にこのものだけは実費しかいただきませんということは、あり得ざることだ。そうであるからこそ、業者もそれを好んで代理店たることを運動する。おそらく自動車業者という寄り合いも多少の利潤を見ておるだろうと思います。そこで、まず実費ということに疑問がありますことと、この代理店が相当利益があるということだけは私は間違いないと思う。もし利益があった場合に、どうするかということを私は承わらなくてはいかぬと思います。
  199. 眞田登

    政府委員眞田登君) 私、御質問意味をとり違えているかもわかりませんが、実費に当るものが手数料として最初きめられて、それが払われる。それが現在では大体一〇%か一五%のものが代理店に払われているようでありますが、今度の保険をやります際には、せいぜい五%程度しかそっちにやることにはならないだろうというふうに考えております。  それからこの保険の建前といたしましては、営利の目的をかりにさせないという——それは営利事業ではありましても、この保険そのものとしては収支がトントンになるということを目的といたしておりまして、もしかりに手数料として払っておりますものが多過ぎたいとうふうなことになりましたら、それは将来引き下げるべきものだと思っております。
  200. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 私の質問は、明確にいたしたいと思うのですが、大体普通の損害保険の保険料は、純保険料と付加保険料で、付加保険料の中に入れるか別の範疇に入れるか別として、当該の保険業の一定の利潤というものを見込んで、保険料率を作る。今回のものが損害保険と違うのは、その利潤がないのでありますから、今回の代理店に払うべき手数料も従って、損害保険会社というものは利潤を見ないで、むしろサービスをするという観点に立って進めるのですか。その点まずお聞きしたいのですが、いかがですか。
  201. 眞田登

    政府委員眞田登君) お話通り、今回の保険料をきめます際には、純保険料のほかに、付加保険料として事務経費だけを見て、利潤は計上いたさないのであります。
  202. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 従って、今回のこの三十条のいわゆる代理店という観念は、その代理店は本当のサービス機関であって、この代理店には利潤、手数料を与えないという意味において、この第三十条を制定されたかどうか。
  203. 眞田登

    政府委員眞田登君) その通りであります。
  204. 岡田信次

    ○岡田信次君 そうすると、今度の保険料ですね。今までありますね、いろいろの自動車の損害保険が。あれと料率はどうなんですか、だいぶ安いのですか。
  205. 眞田登

    政府委員眞田登君) 先ほど来申し上げましたように、これは試算でございますので、何か最近、私たち少し保険料が甘いと申しますか、高めにきまっているのではないかという印象を受けておりますが、現在の保険料との比較をいたしてみますと、ただ、ちょっとこれは比較するには無理があるのでございますが、一つは、この保険の建前は自動復活制と申しますか、一度事故が起りましても別に保険金額が減るわけではないので、何回起しても、これは望ましいことではありませんが、常に同じだけのものが払われるという形になっております。現在の普通の保険ではそういう形をとっておりませんので、たとえば百万円なら百万円の保険をかけておりまして、五十万円の事故を起しますと、あと五十万円。その次の事故のときには、百万円から五十万円引きましたものが保険金額として残ってくるわけでございます。それで、現在そういった違いがございますことと、それから次に申し上げますのは、こちらは人身傷害事故だけでございますが、現在のは人身事故以外の物的事故も含めての料率でございます。これで一応計算いたしましたのが、乗合自動車については一万二千円程度、これは付加保険料も入っております。それに対して、現在では大体一万五千八百円ですか、一万六千円近い金額であります。それから営業用乗用につきましては一万二千円程度のものに対して、現在では一万四千五百円程度、それから自家用の乗用につきましては、今度の保険で試算いたしましたものは四千円に対しまして、現在のところでは九千円、それから普通貨物につきましては、六千六百円に対して一万円、小型につきましては、三千三百円に対しまして現在のところでは六千四百円程度の保険料になっております。また軽自動車及び小型二輪車につきましては、今度の試算では一千四百円程度になっておりますが、現在ではやはり六千四百円程度の保険料を払っております。これは先ほど申し上げましたように、今度の保険の算出は自動復活制をやっており、片方は物的事故を含んでおるということで比較にはならないのですが、ちょうどここにございます資料から御説明申し上げたわけであります。
  206. 岡田信次

    ○岡田信次君 今のお話ですと、だいぶ安くなっているようでありますが、これは比較にならないのですね。今度のやつは強制保険で、一つも勧誘は要らないのですね。それから今までの保険は、ここにだいぶ保険の大家がおられますが、今度は勧誘の費用は一つも要らない。そのように、全部やるというたら、相当安くなってもいいと思いますが、それで純保険料というものはどのくらいにあがるのですか。
  207. 眞田登

    政府委員眞田登君) 大体四十億くらいになります。これは純保険料でございます。で、四十二億と最初計算いたしました。それから付加保険料を加算いたしますと、五十億近い数字になると思います。
  208. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 もう一つ、くどいようですが確かめて置きたいと思いますが、保険に加入したいと思う者は、代理店の手を通ずるのと同じ条件で、代理店を通ずるのと同じ手数料で加入できるのですか。
  209. 眞田登

    政府委員眞田登君) むろん、代理店手数料が引かれれば、安くなるということも考えられるわけでございます。
  210. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 要するに、できるのですか。
  211. 眞田登

    政府委員眞田登君) 私ちょっと聞違えておりましたが、やはり同じ保険料で入るということになると思います。
  212. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 できるのですね。
  213. 眞田登

    政府委員眞田登君) はあ。
  214. 山縣勝見

    ○山縣勝見君 今、局長が代理店を通ずれば安くなるという発言は取り消しになるかどうか、取り消された方がいいと思いますよ。
  215. 眞田登

    政府委員眞田登君) 取り消しいたします。
  216. 三浦義男

    ○三浦義男君 「危険の増加又は減少による契約の変更」というのがございますね。危険の増加とか減少とかということは、これは同じ事であって業種が変ってきたときのようなことばかりをさしているわけですか。
  217. 眞田登

    政府委員眞田登君) たとえば自家用車が営業車に変るとか、そういった場合をさすのです。
  218. 三浦義男

    ○三浦義男君 ただそれだけですか。
  219. 眞田登

    政府委員眞田登君) それから、たとえば地域差をつけたりいたしました場合に、東京におりました車がいなかに参る、こういうふうなことであります。
  220. 三浦義男

    ○三浦義男君 そうしますと、地域差の場合とか、それから業種が変ってきた場合とかということのほかに、たとえば車が、東京の車がぐんと両数がふえてきたというような、そういうファクターは入らないのですか。同じ地域における車の両数がふえてくるというようなことで、事故の件数が増して参りますね、そういうときは考えられないわけですか。
  221. 眞田登

    政府委員眞田登君) そういった場合は、その地区全体としての地域差と申しますか、そういったものを加算いたしましたり、あるいは減らします際に、考えるべきものだと思います。
  222. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 保険審議会の概要ですね、仕事の内容はどういうことをしますか。
  223. 眞田登

    政府委員眞田登君) その一つは、保険料率についての諮問を受けます。それからもう一つは、保険約款についての諮問を受けます。これがおもな仕事でございますが、なお三十二条にございます通りに、必要と認める事項について関係大臣に建議する、こういうふうになっております。
  224. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それからこの委員の割り振りと申しますか、「学識経験のある者三人」、「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者二人」、「保険事業に関し深い知識及び経験を有する者二人」こういうふうにありますが、こういう人の選び方と、それから読んで字の通りと言えばその通りなんだが、どういう関係の人を選ぶ予定ですか。
  225. 眞田登

    政府委員眞田登君) 具体的にこまかいことはきめてございませんが、大体「学識経験のある者」と申しますのは、関係行政機関のほか、学者とかそういった方々が予定されておるわけでございます。それから「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者」と申しますのは、自動車運送業者とか、あるいはそれに所属する人で適当と認められる方、こういうことでございます、三の「保険事業に関し深い知識及び経験を有する者」と申しますのは、大体保険事業者が入るのだろうと思います。
  226. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 もう少し具体的に……。特にまん中ですが、「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者二人」の中から、俗な言葉でいうと、たとえば営業している方の代表と思われるような者が一人と、あるいは実際に車を運転している運転手の代表というような者が一人と、そういうような選び方ができるのか。またやる考え方があるのか。
  227. 眞田登

    政府委員眞田登君) 具体的には今後大蔵大臣運輸大臣の同意を経てきめるということになりますので、その際に諸種の事情を考え決定して参りたいと思っております。
  228. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 これは先の四人の委員関係機関の職員から選んで、その人はかなり専門的なことをやれる人を選ぶと思うのですが、その他の学識経験のある人、これはやはり学者であって、この人たちは法文の問題やらいろいろな問題、それからあとの「保険事業に関し深い知識及び経験を有する」人は、これは専門家ということになる。そこで実際の料率の問題、特に先ほど山縣さんなども言われたと思うのですが、同じ車でも年式、名称が同じだから料率が同じだということは、現実にいえば三十九年型もあれば五十五年型もあるので、そういう点まで検討し、そういうことから事故の保険料の制定にまで影響するかどうかわかりませんが、そういう点を十分研究し、事故の性質等を十分考えるということになりますと、僕は「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者二人」というのは、むしろ少い。学識経験の方がもう少し少くてもいいのじゃないかというように考える。あるいは「保険事業に関し深い知識及び経験を有する者」も、これはやや法律的に考えられるので、一人ぐらいでいいのではないか。従って、できるならば学識経験のある人の方から一人、「保険事業に関し深い知識及び経験を有する者」という人から一人くらい削って、「自動車運送に関し深い知識及び経験を有する者」が四人くらいいた方がいいのじゃないかというふうに考えるのだが、そういう点、どうですか。
  229. 眞田登

    政府委員眞田登君) この二と三とは大体同数といたしておりますのは、やはり自動車運送関係方々はできるだけ自動車運送事業についてのいろいろの経験知識をもってお話を願い、むしろ保険料等は安くしたいという立場だろうと思います。三の方の「保険事業に関し深い知識及び経験を有する者」というものは、保険事業そのものに関して、保険事業の健全な経営のためにはこうあるべきだという立場に立ってのお話をなさるだろうと思いますので、この点についてもやはり同数にして、バランスと申しますか、そういった形のものが望ましいのじゃないかと考えております。それから「学識経険のある者三人」の中には、必ずしも学者というわけではなくて、かって保険事業をやっておった方、あるいは自動車運送をやっておった方も入ってくる可能性もあると思います。で、こういったことについてはかなり第三者的な立場の人に御参加願って、公平な判断をしていただきたいと、こういうのがわれわれの希望なのでございます。
  230. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 そうすると、「学識経険のある者」という三人を、たとえば自動車の方に学識経険の深いような人を一人入れるということならば、私は納得ができるのですが、そういう考え方がこの中に含まれておると了解してよろしゅうございますか。
  231. 眞田登

    政府委員眞田登君) 具体的に選びます際にいろいろと考えられるのでございますが、そういう人が入り得るというふうに御了承を願ってけっこうでございます。
  232. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それからさっきの二号の「自動車運送に関し深い知識及び経険を有する者二人」とありますね、これは明確に営業する方の代表とそれから運転する者の代表と、これを出すというような考え方が織り込んであるというふうに解釈していいですか。
  233. 眞田登

    政府委員眞田登君) こういった条文を書きます際に、あまり具体的にはっきり書くわけにも参りませんし、こういう書き方で、そのときそのときの実情に応じた適当な方をお選びするという解釈の方が適当ではないかと考えられます。
  234. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 もちろん条文はこれでけっこうなんです。けっこうですけれども、二人並べたというこの条文を作るときに、この二人とは一体どういう人を入れようかということが頭にあって入れたと思うが、そのときこういうような方を二人と予定して入れたという自動車局長考えを聞けばいいのです。
  235. 眞田登

    政府委員眞田登君) この条文を作りました際には、自動車関係を代表する人も二人あった方がいい、一人だけでは困るだろうという意味で、複数にしたのでありまして、営業者と運転者というふうに並べて考えたわけではございません。
  236. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 どうもはっきりしないが、運転者と営業者ということは考えなかったかもしらぬが、それならば、今私はそういうふうにすべきだと、そうする考え方があるかないか聞きたいのです。
  237. 眞田登

    政府委員眞田登君) 今後現実にきめます際に十分参考にいたして参りたいと思います。
  238. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 まだ釈然としませんが、最終的に……。
  239. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと、今のに関連して私から伺いたいのですが、この七人の中に少くとも二人か三人の方は、自分でハンドルを持つことのできる方を必ず入れておこうという御意思はなかったでしょうか。
  240. 眞田登

    政府委員眞田登君) この審議会の任務が、保険料率それから保険約款と、主として保険事業を営む関係の方及び現実に車を持って賠償する義務のある人といった人たちの意見を代表さしたいという意味で、最初考えたのでございます。その後いろいろとこういった御希望がありますので、具体的にきめます際には、できるだけそういった御希望の点を考慮に入れて考えたいと思っております。最初作りました際には、そういった現実にハンドルを握っておる方をこの中に入れるというつもりではなかったのであります。ただ、今後具体的に任命の際には、十分考えて参りたいと思います。
  241. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 これはまだ決定ではないからいいのですがね、私はただ、先ほどからほかの委員の方が御質問になっているように、この法律の大きな筋、いわゆる社会保障制度の一環であるというような考え方から私は賛成するというだけであって、内容に至ってはでたらめなんですね、はっきり申しますと。料率の点も、地域差もなければ何にもないという今の段階で、あるいは除外例もたくさんできてしまった。もちろんその除外例も御希望に沿ってできたということですから、それはけっこうなことでありますが、そういうことを考えるというと、法の内容というものはかなりでたらめだけれども、しかし、ないよりはよかろう、社会保障の一環としてないよりはよかろうというので、賛成するだけであって、その他を考える場合に、非常にずさんな点がたくさんある。特に私は、今言うように、自動車の運転をする人が、経験のある人が見て、こうしていただきたいというようなことが言い得るようなものがどっかになければ、これの法律のほんとうの……。今ここでもし決定して、来年の一月からか二月からか知りませんが、実施したとしても、そして一年間くらいこの法律の実施を見た上で、さらに十分な法律に仕上げていくという段階的な法律でなければならぬと、これは思います。一ぺんきめられて、法律だから動かすことができないという形のものと違ったものにしていかなければならない、これはものだと思います。そういう意味では、ここで一ぺんにきめることすら、かなり問題があるように考えるのであります。特に審議会の中にハンドルを持つ者を入れるということを十分考慮の中に入れてこれを進めていただくように、私は希望しておきます。
  242. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質疑ございませんか。
  243. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 第十三条の保険金額ですが、先ほどの御説明では、一人当りということになっておりますが、これは何人でも制限ないのでございますか。
  244. 眞田登

    政府委員眞田登君) 制限はございません。
  245. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 対象は、バスのお客さんなんかも対象に入りますか。
  246. 眞田登

    政府委員眞田登君) お客も対象に入ります。
  247. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 それから自家用の自動車の場合ですね、自家用の持主がかりに乗っておった場合、その持主は対象に入るのですか。
  248. 眞田登

    政府委員眞田登君) その持主はこの事故の当事者になりますので、賠償の対象にはならない。
  249. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 ちょっと今のに関連して……。持主が乗っておって、自分の車に乗っておって、持主がけがをしたときには、対象にはならぬのですか。
  250. 眞田登

    政府委員眞田登君) この強制保険の賠償等の対象にはなりませんが、一般的な民法の損害賠償等のことによって救済されるわけであります。
  251. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 どうも、それはよくわからぬですね。たとえば、自家用者を持っておったと、そうしてその人が自家用車の、その人の名義でこの保険をかけており、そうして運転手を雇って乗ってきた。それでよそのバスにぶつけられて、その人がけがをしたという場合には、それは保険金はもらえないわけですか。
  252. 眞田登

    政府委員眞田登君) それはぶっつけた方の自動車の責任になりますから、そのぶっつけた方にかけてある保険の対象になります。
  253. 重盛壽治

    ○重盛壽治君 それでは同じだ。
  254. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質問ございませんか。  では、速記をとめて。   〔速記中止〕
  255. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて下さい。  残余の質疑は次回に譲ることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十六分散会      —————・—————