○一松政二君 この
自動車損害賠償保障法案に反対している人のおもな
理由は、大体保険料が高いということなんです。保険料が高いということは、ひとり自動車
賠償保障
法案だけではなくして、日本のいわゆる
損害保険の保険料は高過ぎる。去年から本年にかけてかなり引き下げておりますけれども、普通のいわゆる火災保険なるものは非常に高いのです。これもその一例にならって、これは
損害保険会社がこれを非常に成立を希望しておるといううわさもありますが、もうかるから。私は保険業者に不当にもうけさせることは絶対に相ならぬ。と同時に、今後この保険の料率その他について
運輸大臣がいろいろ干渉なされるでしょうが、これも
損害保険の一種でありますから、いわゆる日本の主として火災保険あるいは運送保険、まあ船の船体あるいは
貨物についても保険がありますが、
戦前と戦後を比べるというと、比較にならない。これが日本の産業の発達に非常な支障を及ぼしている。ごく卑近な例をとると、各自が自分の家屋なりあるいは自分のいわゆる家財道具について、これをリプレースするだけ、あらためて買えるだけの保険金をかけられないというのが、今日の実情なんです。従って、やむを得ず半額くらいつけたか何かみたいなことで、そうしていざ
事故があった場合には、その総価額の三分の二の保険金しかもらえないで、昔はよく焼け太りということを言われたものなんですが、今日は火災にかかってこれを新規に求めようとすれば、もと自分が持っておったものを得られるほど保険にかけている人は私は少いと思う。
それは日本の今日の工業全般に及ぼす問題なんでありますが、それじゃ、その保険料の高いのは何ゆえかというと、これは多くは保険会社のいわゆる経費なんです。ちょうど銀行の金利が高いのも、いわゆるサービス部門の人のペイメントがおもなる問題になる。あるいは保険会社の給与が問題になる。ところが、事実食うや食わずの中小企業なり、大企業の赤字を出しているものであっても、保険金はある
程度はかけておかなければ、火災が起ったときそのままつぶれちゃうという危険もあるから、かけはするものの、とうていこれを新規に再生するだけの保険金は、保険料の負担力にたえないのです。これが非常に日本の企業の再建を妨げている一つの原因になる。火災がなければそれでいいのですが、あった場合にはそれをリプレースできない。それが私が今言ったように、多くは保険会社の給与の面で非常に多くなっている。それで戦後に物の価格が非常に違ってきましたから、取扱い数量は
金額にしてみると非常に多くなっているが、これをそのまま基準年度の三百五十円なら三百五十円の割にしてみると、実に過小のものになる。それに対して非常に多くの従業員がこれに従事している。これはまた戦争、戦後に帰還した人などいろいろな事情もあったりして、過剰人員を擁していることも事実なんです。これは銀行についてはどうか知りませんが、保険会社についてはそういうことが言えるのです。一人当りの取扱い
金額が非常に少いのです。昔の基準年度の
金額に直してみると。そういうことが保険料の高い原因になっているわけでありますから、これについてこういうちょうど
損害保険の新しい料率の問題がクローズ・アップしている際に、私は強く
運輸大臣の関心を呼び起しておきたいと思うのです。それが焼けた場合に、これが復活し得るだけの保険料を負担し得ないということは、元を食っている原因になるわけなんです。
事故が起った場合には、これを新しくまた借金をするなり何なりして復活しなきゃならぬ。それだけまた企業負担が大きくなるわけであって、いわゆる元を食いつぶす一つの原因にもなるわけであります。
従って、今度のこの
賠償法にいたしましても、保険料がべらぼうに高いんだ。ここにも今全国乗用自動車協会の新倉君は前から反対しておりますが、反対資料として、提出してあるものと保険料とがマッチしない、こういうことが一つの苦情の原因になっているわけです。でありますから、保険料が、一応暫定的にお
考えになっていると思いますけれども、高いということについて、これにまあ一年ぐらい実施した
あとにまた是正しようというような御
答弁もあったようですが、また全般的に私はさっき言ったように、火災保険あるいは海上保険の保階料が高い、これが非常な負担になっておる。その根源は、結局保険会社、あるいはまあ金利にすりゃ銀行ですがこれが
一般の製造工業に従事しておる者よりも
一般に給与はいいと称せられておる。そういうことでこれが非常な負担増を来たしておるということについて、
運輸大臣は、これはまあ閣僚懇談会の場合でもいろいろ、台閣に列せられておるのですから、機会があると思います。どうか
戦前の数字と現在の保険料と、これは厳密に一つお調べをいただきたい。そうしてそういうことのないように、そうして企業が再生ができるだけの額で保険料のかけられるようにならなければ、健全な企業にはなりっこない。ちょうどこの
賠償法が素材に上っておる際でありますから、その点に対して私は
運輸大臣にそれだけの注文を申し上げまするが、同時に、
運輸大臣の所見を一つ承わっておきたいと思う次第であります。