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1955-06-14 第22回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十四日(火曜日)    午後二時八分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            仁田 竹一君            木島 虎藏君    委員            入交 太藏君            岡田 信次君            川村 松助君            黒川 武雄君            一松 政二君            高木 正夫君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            小酒井義男君            片岡 文重君            平林 太一君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸省自動車局    長       真田  登君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君   説明員    運輸省自動車局    整備部長    津守  巧君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路運送車両法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○自動車損害賠償保障法案(内閣送  付、予備審査)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) じゃただいまから運輸委員会を開会いたします。  道路運送車両法の一部を改正する法律案議題といたします。  自動車局長より本法案補足説明をお願いいたします。
  3. 真田登

    政府委員真田登君) 道路運送車両法の一部を改正する法律案の概要について御説明いたします。  最近における自動車の発達は、きわめて顕著でありまして、自動車数は、すでに百三十万両を越えるに至りました。これに伴いまして、自動車登録検査に関する事務もますます増加の一途をたどっております。かかる事態に即応し、行政能率化合理化をはかるために、これらの事務を極力簡素化する必要がありますので、本法律案を提案した次第であります。以下、簡単にその内容を申し上げます。  第一に、自動車登録事項から原動機番号を削除し、原動機型式を追加いたしました。これは原動機を修理し、その間、予備原動機を載せかえて使用する事例が非常に多いのでありますが、この場合に、そのつど変更登録手続を必要とする繁を省略しようとするものであります。ただ原動機型式が変りますと、車両性能も変って参りますので原動機型式登録事項といたしたわけであります。  第二に、営業用旅客自動車検査証有効期間は九カ月とされておりますが、最近車両需給状況が好転し、かつ、その整備状態も向上して参りましたので、かたがた車両検査合理化をはかるために、整備状態が著しく良好であり、かつ、車齢走行距離等政令で定める基準に適合するものについては、その有効期間を一カ年の範囲内で伸長することができるようにいたしました。  第三に、冒頭に申し上げました目的に沿うように、自動車登録検査及び整備に関する諸規定を整理いたしました。  以上の内容をもちまして、本法案を提案いたした次第であります。以下本案の要点について御説明いたします。  第七条第一項でございますが、第七条第一項は自動車登録事項(取得の原因を除く。)を規定しておりますが、今回の改正は、登録事項から形状、自動車検査証番号及び原動機番号を削除し、原動機型式を追加しようとするものであります。元来、自動車登録制度は、自動車所有権の公証を行い、(イ)自動車実体把握保安責任者明確化という行政目的と、(ロ)所有権得喪対抗力を付与するとともに、自動車の上に抵当権の設定を可能にしようとする民事目的とを有しているものであります。従って、自動車同一性を認識し得る最小限度の表示があればよいわけであります。改正法は、自動車同一性を失わない範囲内において登録事項簡素化しようとするものであります。  以下項目ごとに説明しますと、原動機番号については、最近におきましては、原動機の価値も低下し、かつ、原動機は常に良好な整備をして置かなければならないものであり、整備の際載せかえる機会も多く、そのつど変更登録を要求されるのでは、陸運事務所側にとっても使用者側にとっても事務能率が阻害されることになります。そこで改正法では原動機番号を削除したのであります。ただ原動機型式まで変りますと、車の性能及び種類も変って参りますので、原動機型式登録事項としました。  次に、第十一条第四項でございますが、自動車登録番号標又はその封印が滅失、き損、識別困難となった場合は陸運局長に取りはずしを受け、かつ、番号標封印の取りつけを受けなければなりませんが、離島の場合には非常に不便でありますので、改正案によって政令で定める離島市町村長にもこの職権を与えようとするものであります。  次は、第五十一条でありますが、整備管理者は、自動車使用者自主的整備態勢の確立をはかるため、一定数以上の自動車使用本拠ごとに、自動車点検整備自動車車庫管理に関する事務を処理するため、自動車使用者から選任せられるとともに、これらの事務を処理するに必要な職務上の権限を与えられることになっております。従って整備管理者は、自動車点検整備に関する技術的知識のほか、整備計画車庫管理等管理能力をもあわせ有することが必要であって、選任の資格要件としてもこれらの点を考慮する必要があります。現在規定されている分解整備整備作業のうちの一部にすぎず、これのみの実務経験では整備管理者資格要件として不十分であり、かつまた、分解整備のみの実務経験者の中から前述のような管理能力を有する者を選任することが困難でありますので、整備管理者資格要件分解整備実験経験のみに限定せず、自動車整備または改造全般にわたっての実務経験を有することにしたのであります。  次は第六十一条でありますが、新しく第三項として、有効期間伸長規定を設けましたのは、現在旅客自動車運送事業の用に供する自動車検査証有効期間は最大九ヵ月となっておりますが、車齢走行キロ等が比較的少く、かつ、整備が良好なものは、次の理由からこれを一年まで延ばしても保安支障ないと思われますので、一年まで伸長できることとしたのであります。  なお、車齢走行距離等基準政令で定めることにいたします。次の理由と申しますのは、  (イ) 従前は一年でありましたのを昭和二十七年四月に九カ月に短縮したのでありますが、当時に比べて今日では国内生産の増大とともに自動車需給状態が著しく緩和され新車が自由に入手できるようになり、しかもその性能並びに信頼性が非常に向上し、耐久性もよくなっております。  (ロ) 一方整備工場状態も、整備士技能検定制度の普及と相待って、整備能力及び技術が非常に向上し、一般の車の整備状態も改善されております。  (ハ) また積雪離島地区のごとく、年間輸送需要の少い時期に計画的に整備するのに対しまして、検査の時期をこれと合せますと車両運用上好都合であります。  次は、第六十一条の二でございますが、天災地変等のために、検査証有効期間内に継続検査を受けられなかった場合に、新規検査手続をとることは繁雑であるだけでなく、それまで運行できないことは災害復旧作業等支障を来たすことにもなりますので、かかる場合、一定地域内に使用本拠位置を有する自動車に対しまして、有効期間伸長をしようとするものであります。  次は第六十四条第三項でありますが、陸運局長の行う検査の際は、特定原動機について検査した旨を検査記録簿に記入するのでありますが、直後使用者整備の際原動機を載せかえた場合には、その旨を届け出させることによって原動機の載せかえに伴う保安確保責任の所在を明確にするためであります。  次は、第六十五条の二でございますが、離島県境等使用本拠位置がある自動車は、出張検査を受けることが多いのでありますが、人手不足陸運事務所からの距離が非常に遠く、あるいは地理的に不便である等の理由によって一年間出張検査回数が少く、かえって隣の陸運事務所検査官検査を受ける方が便利な場合があります。このような特定地域自動車使用者に対して、両方の陸運事務所検査を受けられるようにし、使用者の利便をはかるとともに陸運事務所検査能率の向上をはかろうとするものであります。  次は、第八十条第一項第二号及び同条第二項について申し上げます。分解整備を旅行した場合、その仕上りの良否は、工事を施行した作業員技術と、それに使用した設備良否によるものであることは言うまでもありません。現在分解整備事業の認証の基準として事業場設備について規定されていますが、これのみでは不十分であって、当然分解整備に従事する作業員についても分解整備を完全に施行するために必要最低限度技能を有せしめる必要がありますので、設備のほかに従業員についても必要最小限度基準規定し得るようにしたのであります。  以上のような改正に伴いまして、これに伴う罰則を規定いたしておりますが、なお附則の第四項、第五項について申し上げますと、ここで所有権登録以外の登録というものは、抵当権登録または差し押えもしくは仮差し押え、仮処分等の嘱託による登録であります。本法の改正によって抵当権者に不測の損害を与えたり、国の処分を無効にすることのないように、当該登録が抹消されるまで、第十二条、第十七条、第三十三条の規定は旧法によることにしました。従って自動車登録原簿、謄本、抄本、譲渡証明書の記載は、当該自動車にかかる所有権登録以外の登録が抹消されるまで、もとのままといたしました。  以上は本法案改正でございますが、何とぞ御審議をお願いいたします。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記をつけて。  では本案に対して御質疑のおありの方はどうぞ順次御発言をお願いいたします。
  6. 岡田信次

    岡田信次君 有効期間を延長、伸長するために車齢走行距離等基準政令で定めることになっておりますが、政令内容はどういうふうなものですか。
  7. 真田登

    政府委員真田登君) 今研究中でございまして、はっきりした内容についてはできておりませんが、今考えております程度の案について申し上げますと、大体要項だけ申し上げますが、一は、離島、一年間積雪期間が三カ月以上にわたる地域使用本拠を有する自動車、二は、新規検査を受ける新しく作った自動車、三は、車齢が三年以下で年間平均走行距離が六万キロ以下の自動車、こういったものは大体伸長し得る対象になるんじゃないかと考えております。
  8. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、これは車の型式はそのファクターに入らないのですか。
  9. 真田登

    政府委員真田登君) 現在では車の型式については考えておりません。
  10. 岡田信次

    岡田信次君 それを考える必要はないのですか。
  11. 真田登

    政府委員真田登君) 国産につきましても、非常に性能もよくなって参りまして、新車あるいはただいま申し上げましたような程度走行キロで走っております車については、それほど差異が生じてこないというふうに考えております。
  12. 岡田信次

    岡田信次君 トラックは別なんですね。
  13. 真田登

    政府委員真田登君) トラックは別です。
  14. 岡田信次

    岡田信次君 車両型式を考えたらどうなんでしょうね。
  15. 津守巧

    説明員津守巧君) 厳格には、こまかくやればそういうことにするのが至当かとも思いますが、一応この範囲内できめておきまして、さらにこれを三カ月伸長いたします場合には、車の状態を十分検査いたしまして、この車は一年やれるだけの整備ができておるかどうかというのを厳格にきめるわけでございまして、大体新車でございますとか、それから車齢三年以下の車でございますれば、その状態が非常によろしいということになれば、自家用あたりは二年もやっておりますが、しかも走行キロがそんなに出ないということになりますれば、これに車種を一々こまかく分けることは非常に繁雑になる、陸運事務所の手が足りないときでもございますし、非常に繁雑にもなろうかと思われますので、今のところ、その車種を分けるということは考えておりません。もちろんこれは政令で出すことにいたしておりまするが、その政令内容につきましては、きめます場合には、さらに警察庁その他関係方面の意見も十分聞きましてきめたいと思っております。
  16. 岡田信次

    岡田信次君 次に、六十一条の二ですがね、天災その他やむを得ない事由により、検査を受けられないという場合は、陸運局はどういうふうにやるんですか。たとえば、京都なら京都で大災害があったという場合は、実際はどうするんですか。
  17. 真田登

    政府委員真田登君) 実際はそういった際には、地区を指定いたしまして公示するわけでございますが、現実に動いております車は、こういったことを了解しておりますから、検査をしないでも動くということで、実際上の取扱いとしては支障がないのではないかと、こういうように考えております。
  18. 岡田信次

    岡田信次君 そうしますと、たとえば、天災といっても、日本風水害が多いのですが、風水害があるたびに陸運局長は常に注意をしておられるわけですか。
  19. 真田登

    政府委員真田登君) この「天災その他」という事項一つでございますが、たとえば、途中の道路、橋梁が破壊されて、検査場に行くにも行けないとか、離島にあります船について、荒天のために船が出ないとか、そういったような場合でありまして、そういった回数は割合に少いのではないかと思っております。
  20. 岡田信次

    岡田信次君 だけれども、大体毎年何べんか台風が来るが、そのたびに橋が幾つかこわれるんですが、どうですか。相当事務繁雑化になりませんか。
  21. 津守巧

    説明員津守巧君) これは、実はこの前九州の災害がございましたときに、非常にこれは困りまして、実際問題としまして、検査場に持ってこれない、道路が非常に損傷された。一方、その自動車は、この災害復旧用にネコの手も借りたい、一台の自動車でも災害復旧に動かしたいという場合が起きたのでございまして、そういうときに非常に困ったわけでございました。私たちといたしましては、そういう事態を想定いたしておるのでございまして、まあ橋が一つや二つ落ちましても、少しぐらいの回り道をしてでも検査場に持ってこられるという程度のものでございましたら、これは公示を出すというところまで考えておりません。それで、これを出す場合ですと、ある一定地区が非常にやられたというときに、陸運局長がその地区を指定いたしまして、さらに何日までというように公示いたしまして、ちょうどその期間にこの検査期間有効期間が切れるというような自動車をその復旧にも使わせたいという趣旨でございます。
  22. 岡田信次

    岡田信次君 趣旨は非常にけっこうなんです。しかしこれは何か自動的になると非常にいいですが、いつも災害のたびに陸運局長がその地域について監視しなければならぬということは相当な手数だと思うんですが。
  23. 真田登

    政府委員真田登君) 御趣旨よくわかるのでございますが、そういった事故が起って、受けにこられない場合に活用するという面と、何かそういうことを理由にして、検査を受けないために事故を起すというようなことがあってもいけませんですから、これを現実に働いたときに合法化されるというために、こういった公示をする、公示そのものはそれほど事務繁雑にするとは考えていないわけでございます。
  24. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに質疑はございませんか。
  25. 大倉精一

    大倉精一君 自動車の数がだんだんふえておるのですが、将来の増加傾向、この見通しはどうですか。
  26. 津守巧

    説明員津守巧君) お尋ねのように、自動車は二十八年度までは非常にふえて参りまして、大体昨年度当初の現有両数は、全体で四割四分という非常なふえ方をいたしまして、二十九年度に入りましてから、デフレその他のいろいろの事情もあったかと思われますが、全両数で二割五分——四割四分が二割五分という程度に二十九年度実績は落ちておりまして、軽自動車を除きまして、小型以上で見ますると、大体一割七分という程度になっております。今後それがどう推移するかというのを、いろいろ過去のカーブを引き伸ばしてこれを想定するというのは、そういうふうな過去の実績からでございますので非常に困難でございますが、いろいろ輸送事情その他の関係から考えてみますると、さらに幾分その伸び方は鈍化するかもしれませんが、幾分鈍化する程度で、さらに伸びていくものと、こう想定いたしております。
  27. 大倉精一

    大倉精一君 これは将来の運輸行政といいますか、道路運送ですね、そういうことに関係があると思うのですが、道路運送鉄道輸送との関係について、これは将来どういう格好になるのでしょうか。やはり道路運送の方がどんどん伸びていく、こういう傾向になっておると思うのです。そうすれば、車両増加数に伴って相当増加すると予想しなければならぬ、こういうことも考えられるのですが、そういう点についてはどうですか。
  28. 真田登

    政府委員真田登君) お話の通り自動車運送鉄道運送の問題は、これは世界的な問題と申しますか、鉄道自動車に食われるというふうなことで、各方面で論議されておるわけであります。日本の現在の自動車状況は、大体自家用車が八七%、営業用が一三%くらいでありますが、これらによりましても、旅客については、本年度鉄道の三十五億に近づくのではないかと思っております。それから貨物につきましては、四億七、八千万トンぐらいまで参るだろう。今年と申しましたのは、二十九年度実績がまだつかめておりませんけれども、二十九年はそのくらいになるだろうと思っております。これは鉄道貨物輸送量の約三倍近くに当るわけであります。ただ、鉄道自動車が競争してやっております場合と、鉄道自動車共同でやっておりますといいますか、鉄道の駅から運ぶとか、駅まで運ぶというふうな場合の輸送トン数全部含まれておりますので、その全部が競争的に行われているものではありません。ただトラック輸送につきましては、鉄道小口貨物が相当自動車に流れている、こういうことを言われております。ただ鉄道小口貨物そのもの鉄道貨物のうちの五%内外でありますので、これが現在の小口貨物を食っているという程度でありますならば、大したことないわけでございますが、ものによりましては、鉄道で運ぶ貴重品とか何とかということで非常に高いもの、それを自動車で運ぶというような賃率で持っていくというので、非常にいい品物だけが自動車にとられるというような問題が起っているわけであります。いずれにしましても、最近のように自動車長距離トラックをやる、長距離乗合自動車が走り出すということになりますと、一番問題になりますのは、鉄道との輸送の競合というほかに、燃料その他の面から一体輸入に仰いでおるガソリンで、自動車をそんなに走らして鉄道に対抗していっていいのかというふうな問題もあるわけでありまして、そういった点から、われわれといたしましては、最近では長距離輸送自動車につきましては、かなり制約的に考えておりまして、ぜひ必要なものだけをやっていきたいと、こういうように考えております。
  29. 大倉精一

    大倉精一君 車両増加数について、たとえば運輸省の方で貨物列車扱いですね、貨物扱い駅を今のように小さな駅まで貨物をとめてやらずに、大きな駅にとめてその中間をトラックでもって運ぶ、こういうふうな構想もおありのように仄聞をしておるのですが、そういうような構想があるとすれば、そういう方面車両数増加するということも相当考えられるのじゃないかと思いますが、そういう点についてはどうですか。
  30. 真田登

    政府委員真田登君) 実はただいまの問題は、鉄道自動車共同輸送という考え方国鉄等、あるいは鉄道監督局あたりで考えておりますので、あるいは私が申し上げるのはちょっとおかしいかもしれませんが、現在の鉄道の駅がどこも貨物を扱うというふうな形で非常に能率が悪い。たとえば自動車で運べば二日くらいのうちに届いてしまうものが、鉄道で運びますと各駅でとまっていき、また操車場で引っかかっていき、それをやっているうちに一日くらい延びる、こういうことで非常に輸送の時間が自動車にかなわないという問題があるわけでございます。そういった点から鉄道でも支線区は貨物輸送を廃止して、その支線区はトラックによって運ぶ、そうすれば貨車を、空車をそこの線区に入れてまた組成駅まで持っていって組成するというようなむだがなくなりますし、また東京なら東京に着く貨物は、一カ所に置いてそれを自動車でみなやるという問題、あるいは沼津−東京間はもうトラックで全部やって、途中の駅では貨物扱いをしないというふうな、こういったような考え方について国鉄の方で現在研究をしておりまして、ただ問題は、そういった場合に、その自動車をどこが扱うかといったようなことで、なかなか民間の自動車の間で問題になっているようであります。
  31. 大倉精一

    大倉精一君 これはこの法案とは関係ないかもしれませんが、この際そういう問題が出たので関連してお伺いしておきたいのですが、かりに今のような構想が実現をされると、こういうことになるというと、その各駅においてはいわゆる通運業者がそれぞれ営業をしておるわけであります。この連中の、通運業者の経営ということについては相当大きな影響があると思いますが、そういう面における運輸省としての指導方針なりお考えは、これは何か構想がおありになったらお伺いいたします。
  32. 真田登

    政府委員真田登君) ただいままでのところでは、具体的にそういった場合の通運事業者扱いについて、はっきりした結論は出しておりませんので、しっかりしたお答えを申し上げることはできないのでありますが、当然その際にはそういった通運事業者の生きる道と申しますか——に対して何かのお仕事を考えなくちゃならないということは、今後われわれとしても十分やっていかなくちゃならないことだと思っております。
  33. 大倉精一

    大倉精一君 この問題は、まあ次の機会に譲りまして、この法案に関して専門員からいろいろ資料をもらっているのですが、これを見るというと、登録単数が二十六年に比較して、昭和二十九年には六六%増加になっている。検査単数もまた二十六年に比較して七六%増加になっている。これに反して検査官登録官はいずれも昭和二十六年から減少をしている、ないしはほんの僅かの増加になっている。こういうことでいわゆる車両数増加と、その仕事量に対して人間の、いわゆる担当者の数が非常にアンバランスになっている。そこに仕事に非常な無理ができているのじゃないかというように考えられるのですが、こういう実情についてはどうですか。
  34. 真田登

    政府委員真田登君) お説の通りでありまして、車両数がふえますのに対応して、それの担当官は二年間にわたりました定員法の跡始末と申しますか、そういったことから人が減っているのでありまして、非常に仕事量がふえて参りまして、われわれとしましても、毎年大蔵省と折衝します一番重要な問題の一つになっているわけであります。本年度は幸いにして、ここ数年間はストップされておりました増員が、車両検査関係では認められまして、三十六人の人をふやして参ることになりました。三十六人と申しますと、大した数ではございませんかもしれませんが、われわれとしまして、今まで減らされてきた人が、今度は逆にふえるという形になりますことで、非常に喜んでいるわけであります。なおそういった意味からも、この法案にございましたような簡素化をはかりまして、少しでも一人にかかります負担量を減らして参りたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
  35. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) お諮りいたします。今運輸大臣が来られましたので、本案に対する質疑は次回に譲りまして、自動車損害賠償保障法案議題といたしまして、運輸大臣に対する御質疑を、この際していただきましたらいかがでございましょうか。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それではそのようにいたします。     —————————————
  37. 加藤シヅエ

  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 運輸大臣自動車損害賠償保障法案の、これは大きな、全体的な考え方から一つお尋ねをしてみたいのですが、運輸省が今回この法律案を提案されたことは、私は非常に新しい考え方で、この自動車事故に対する補償をしていこうということで、われわれ原則的にはこれは賛意を表したいのですが、この法律案ができることは、これは事故の起った後の結果に対する対策でありますが、それよりも大切なことは、自動車事故をいかにしてなくしていくかということが根本的な問題であろうと思うのです。従ってこの法律案が制定せられることが、もし事故の発生する原因を増加させるような結果になるのでは目的に反することになると思います。私、最近における東京都などのハイヤー、タクシーの運賃の競争をやっておるような現状などを見て参りまして、強制加入をしていくことによって、中小、いわゆる弱体な規模にある業者が保険金の負担を完全に消化し得ることが果してできるのかどうか。もし保険金の負担が若干でも車両の安全性を確保していくことの障害になったり、あるいは自動車を運転する運転手の労働条件に影響するようなことになりますと、逆に自動車事故というものが増加する危険性がないかということを心配するわけなのです。そういう点について、自動車事故をなくしていくということを、どういうことをお考えになっておるかお伺いしたいと思います。
  39. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) この法案には保険料料率などにも報奨制を設けたり、差別料率、業態別、車種別料率、地域差等について事故がないことにより保険料の多少の格差を認めてある。従ってこういう保険制度ができたがために、だから安心して事故が多くなるとは考えられません。これは各国ともすでにやっておるわけでございますから、だからこういう賠償制度があるから乱暴に運転しようというような、そういう一つの心理状態にはならぬ。やはり人間としての良識を信じたい。そういうことで事故がふえるというような結果にはならないと信ずるわけでございます。保険料の条件もいろいろ検討いました結果、保険料が、今申したような車体の修理あるいはまた運転手の労働——そのことによる労働過重にならないという見通しのもとに、こういう法案を御審議を願っておる次第でございます。
  40. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうしますと、現在の運賃、いわゆる料金でもってして保険料を押え得るだけの経費的なゆとりといいますか、余力を持っておるんだというふうにお考えになっておりますか。
  41. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 実際は東京などごらんになっても、私はこれを何かもう少し合理的な経営方法はやはり考えなきゃいけない。そういう点で御承知のように運賃問題もいろいろこじれて参りますから、そういうこととひっからめて近く全業者に——いろいろわれわれの方でも案を検討しておるのですが、近いうちに集まってもらって、そうしてもう少し合理的な経営、これを検討を加えようと思っております。御承知のように、道路運送法というものが、あまり監督権というものがそんなに、こちらの方からどうせよという指示ができるような権限はありませんから、従って業界の自主的な一つ考え方にわれわれが協力していくということよりほかには、現行の法規のもとではないと思いますが、業者自身も困ってきているのですね、競争が激烈になって。そういう点でこれをもう少し安定のある企業にするためには、これはわれわれも骨を折ろうと思っております。ごく近いうちに集まってもらいたい。今はいろいろ組合はちょっと対立がありまして、分れているのです。それでその分れておる組合同士で今意見を調整をしておるので、意見が対立しておる組合の意見がまとまった、大体の輪郭がまとまったところで一つ集まってもらって、そうしてこれを検討を加えようと、これはごく近いうちにやろうと思っております。そういう点で経営、むだな競争あるいは私など考えてみまして、ガソリンなども全部輸入ですからね、これがしょっちゅう町を走り回っているわけですから、何かこれが駐車場制度というようなもので、多少は利用される方々にも不便だとは思いますが、まあこの貧乏国で多少の利用者も不便を忍んだらいいのじゃないか。何か駐車場制度のようなことはできないのか。あるいは車両数なども、需給関係を無視して車両というものを許可するということになってくると、どうしても競争が激烈になってくるわけですから、そういう全体の需給関係車両数はどうであるか。あるいは今言ったような駐車場制度というようなものはできないものか。いろいろな点でこれを合理的な、できる限り合理的な経営の軌道に乗せて、そして今保険料の負担などによって多少のそういう経費がかさまるわけですが、それをカバーしていくのには今申すような面において合理的経営をやって、それが非常な過重な負担にならないような配慮をいたしたい、こういうようなことを考えておるのでございます。
  42. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは過般も委員会で一応問題になって、自動車運転手の労働条件に対して、運輸省でもいろいろと御努力を願っておるようですが、従来の自動車の運転手の労働条件というのは、よくたとえ話になったのですが、そりをひく犬の前に魚を下げて、その魚を追って犬が走るというようなことをたとえていらっしゃるが、そういうような、とにかくかせぎ高によって給料がきまっていくという歩合制度がほとんどと言ってもいいような状態にあった。こういう制度のもとにもしこの法律ができたことによって、労働条件にまた影響を与えるというようなことになると、さらにそうした弊害を助長するような危険性があるのではないかと思って私は御質問しておるのです。これはやはり私は排除するには、人命を預かって働く仕事ですから、健康状態にも精神状態にも安定のできる状態仕事に従事できる、こういう条件を与えておくことが、これは運転をする者だけでなしに、自動車に乗っていく国民のためにも、そういうことでなければならぬじゃないかと思うのです。で、固定給というものがほとんどない。賃金制度——あるいは二十四時間若干の仮眠時間はあるにしても、一日交代で仕事をしておるというような、こういう労働条件、こういうものを解決しなければ、事故発生の、安全防止の根本対策にはならないのじゃないか、こういうことを考えておるのですが、今度のこの法律の実施に並行して、こうした問題もあわせて解決をしていこうというお考えであるかどうか承わっておきたい。
  43. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) お説の通り、なかなかこれは運転手に対しての労働は非常に過重されたものがあると思います。御承知のように、労働基準法の適用外になっております。そういう点でこういう法律が、今度御審議を願っておるのと並行して、そういう面についてはこれは検討を加えていきたい。この法律をどうということではございませんが、私の願いは、そういう業者の各組合の代表者との間に、そういう労働条件も、事故の防止のためには労働の過重というものは非常に原因を持ちますから、そういう点でそういう問題についてもいろいろ話し合いをしていきたい。まあ組合自身としても、これは事故の防止ということは、組合自身も考えておることでしょうから、何もわれわれと組合側との考えが違うわけではありませんから、そういう問題にもあわせて検討を加えていく、こう考えております。
  44. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから少し法案内容に入るのですが、これの適用からはずされるものが、国とかいろいろあるわけですが、駐留軍関係の、あるいは外国人の使用する自動車、これはどういうふうになるかということ、それから商品として流通過程にあるといういゆわる自動車ですね、こういうものの取扱いが画一的に行われるのかどうか、あるいは画一的でなければ、どういうふうなお考えであるかどうか。
  45. 真田登

    政府委員真田登君) 駐留軍の車は、行政協定で車検その他も除外されておりますが、今度の政令では、駐留軍の車は除外いたしますが、その家族たちが、現在町でごらんになるとわかりますように、3Aといったような形で走っております車、これは適用する。それから商品の過程にあります車につきましては、何か短期の保険といったようなものででも考えて便宜の取扱いをしたいと、こういうふうなことを考えております。
  46. 小酒井義男

    小酒井義男君 この法律によって、事故の被害者は補償を受けるわけなんですが、その保険をかけておる自動車が起した事故の被害によって補償される金額というものと、これからはずされるものの起した事故による補償と、同じ性質の同じような事故の場合に、金額において補償されるものが違ってくるというようなことが出てくるのではないかと思うのです。そういうことに対してはどうお考えになっておりますか。
  47. 真田登

    政府委員真田登君) 除外されます車のうち、外国人の車、外国の駐留軍の場合は、これは別といたしまして、除外に該当しますのは国、それから三公社、府県と、こういったようなものでありますので、この法律に基いて定めます政令から出てきます一人当りを最低幾らと考えるという金額、これは後ほどまた申し上げることになるかと思いますが、大体死者三十万、重傷十万、軽傷三万というふうな最低付保額をそういうふうにきめております。そういうふうに予定しましたことから割り出した金額で保険料をきめておるわけですが、こういった除外されます国等は、これより多くなっても少くなるというふうにはわれわれ考えていないわけでありまして、実際問題は、いろいろのお話し合い、それから話し合いがつかなければ裁判ということになりますので、現実に被害者が不満がありました場合には、この法律に基きます仮渡金としてのものが出まして、そのあとで裁判をするか、あるいは示談できめられるか、二つの方法になるかと思うのであります。
  48. 小酒井義男

    小酒井義男君 もう少し細かい点をお尋ねしたいのですが、今日一日じゃないと思いますから、統計を立てて御提出願いますまで、今日は私は以上で終ります。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 私は、ちょっとさっきの小酒井委員の質問に関連して大臣にお尋ねしたいと思うのですが、東京都のような場合に、需要と供給のバランスがとれていない、だからこのバランスをとらなければいかぬというお考えがずっとおありになると思うのです。そこで業者の代表を呼んで、いろいろ相談をなさります場合に、業者が自主的に車両数を減じて、そしてこの交通難を緩和すると、こういうような方法でもってお話し合いになるのかどうか。この点についてのお考えを承わりたい。
  50. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今考えておりますのは、新車の増車、これはやっぱり抑制した方がいい、タクシーの今の状態から考えて。しかし現在の車をこれを減車するということになりますと、いろんな点でこれは業者ばかりの立場にも立てない、運輸省の立場はやはり利用者の立場にも立たなければなりませんから、だから現在の車の減車ということについては、これは慎重に検討をしたいと思っております。まあ少しは減車の余地もあると思います。少しはね……。あまり大きな減車をやりましてそういうことになってくると、非常に都民生活にも不便がありますから、だからさしあたり考えているのは、やはり今のところでは、今車両数をふやしていくということは、これは抑制をすべきでないか。現在走っている車についてのことについては、これは慎重に検討していきたい。業者の話も聞いて検討していきたい。こう考えております。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 業者間では、あるいは車両数を少し減らすという考えも持っているように聞いているが、その場合にやはり運転手という特殊技能を持っているところの者の失業関係がやっぱりまた問題になってくる。ですからそういうような問題について、やっぱり並行して何か指導面においてお考えになってもらわなければならぬと思うのですが、ですから業者に対する指導、同時にそれによって今度は職を失うところの労働者に対するところの——特に運転手という技能を持っているわけですから、それに対する考慮もお考えにならなければならぬのですが、何かお考えになりませんか。
  52. 真田登

    政府委員真田登君) ただいまのお話にございました車を減らすかどうかという問題でございますが、これにつきましては、非常にむずかしい問題だと思うのでありまして、現実に車を減らすということは、利用者の面から見ますと、その事故が少くなるとか何とかいう非常ないいこともありましても、現実には何か不便になったような印象を与えるといったようなことで、そういった利用者の方々にもよくわかっていただいてからでなければ、そういったことは実施できないかと思いますが、かりに減らして、運転手さんたちの失業問題が起るということは確かにありますが、現在の運転手さんたちの労働条件でございますが、現在まあ一昼夜交代というふうなものになっておりますのが、もし労働基準法に従って、ある程度八時間労働といった線に乗って参りますれば、そういった面から出てくる人手の不足というものもあるのじゃないか。ですからそういう減らすという問題は、やはりその労働基準法を実際にやるというふうな問題にも関連させて考えるべきじゃないか、こんなふうに私は考えております。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 次に、やはり事故防止等について、もう一点お伺いしておきたいのですが、現在は二重処分——罰金と就業停止を加えられている。この二重処分によって運転手が非常に大きな脅威を持っておる。しかもこれがまた悪循環になって、二重処分で三千円取られる、四千円取られる。就業が停止される。こいつをカバーするために、また交通違反をするというような悪循環になっておるように考えられるのですが、そういう事情からしましても、二重処分という現在のやり方を何か考えなければならぬ段階にきておるじゃないか、こういうことを私は考えるのですが、これに対する何かお考えございませんか。
  54. 真田登

    政府委員真田登君) ただいまのお話では、直接には警察関係の取締り関係でございまするので、われわれの方でお答えいたしかねるわけでございますが、いずれにしましても、そういった面から非常に無理して働くということから、事故が一そう起きるような悪循環を生じておるということにつきましては、大いに直さなくてはいけないことだと思いますので、よく関係当局と連絡をしてそういうことのないようにお話し合いしたいと思います。
  55. 一松政二

    ○一松政二君 私は運輸大臣に伺いたいのですが、ハイヤー、タクシーの数を許可するということは、運輸省に出願をして、そうして運輸省はその需給状況を見て、そうして足りないか、過剰でないか、そういうことを一応考えて、適当と見定めて許可しているはずなんです。もし現在の状態が多いということになれば、運輸省としては、これは今のあなたの責任を私はあえて問うているわけではないのだが、運輸行政上、何かといえば数を制限したり、数が適当であるかを、いつも何かの標準を定めて許認可するような法律の立前になっておって、一々申請書を出して、届出書だけではなくて免許、今度は例の不定期旅客運送事業なんて、われわれにはちょっとわからないような言葉まで案出して、そうして海上運送法の一部改正を出しておるのです。もしこれが多いという御認定であれば、運輸省が誤まったということを私はまず伺わなければ、これは前の自動車局長と常に私論争しておったところですが、そういうことはなかなか経済事情や、いろいろなことの変化によって、そういうことはなかなか余らなければ足らぬ、足らなければ余る問題で、概念的には出てくるかもしれないが、実際上はいかないという私は論争をしておったから、今、減車の問題があったり、あるいは過剰ぎみであるようなお話がありますから、もし過剰であるというお考えならば、運輸省は今まで誤まってこれを認可しておったということの言明がなければ、つじつまが合わぬように思うので、そのことを一応運輸大臣から承わっておきます。
  56. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 誤まることは、何でも誤まるのですが、非常に需給状態というものが、なかなかこれは一松さん、むずかしい問題ですよ。世の中のインフレ、デフレ、やはりそのときのインフレ的な傾向を帯びておるときは、利用度も高いでしょうし、デフレ的な傾向を帯びてくると影響するのでしょうね、自動車の利用について。だからなかなか適正な、どの程度車両数が適正であるかということは、判定は非常にむずかしい。だからときに是正をすることもある。そういうのでないと、これは割り切って——現在の情勢下において何台が適正であるということを割り切れない面があると思う。需給というものが、あるいは生活必需品でないものですから、やはりときの経済状況というものに非常に影響を受ける。それだけに判定がむずかしいことがありますから、そういう点で、ときに是正も必要なことは起ってくる。これはやはりそういうことの起らぬように、経済状態の将来を見通してやるということが、それは行政官庁としての責任でしょうが、なかなかそういう統制というものの矛盾はありますね。そういう点では、あるいはもうこれは自由に放っておけば、一番この方がいいのかもしれぬが、そうするとまた弊害が起ってくる。とにかく私はもう少し日本の産業面でいろいろな仕事が新しく生れてこないと、そういういろいろな面においてこういう矛盾が起ってくると思うのです。そういう点で、まあときに是正をすることもお許し願わなければならないのではないかと思っております。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、私はこの自動車のハイヤー、タクシーを許可する基準を割り出した——行政区画に準拠して判断する立前になっておって、それは非常に間違っておるじゃないか。たとえば京阪神みたいなものは三府県にまたがっておるし、あるいは東京のごときは、神奈川と千葉とあるいは埼玉とごく近距離にあるので、それでまたタクシー業者の陳情が、大阪方面では、兵庫県から朝から晩まで入ってきて荒し回って因るというので、おそろしく部厚い陳情書を去年あたりわれわれのところに送ってきておったのです。それで私はそういう府県の、府県を単位として、そうしてこの府県には何台が適当であり、この府県には何台が適当であるということは、判断できるものではない。大体そういうものは一応その大よそのところの経済単位的にものを考えてやるのじゃなくてはならぬという私どもの大体まあ考え方であったのですけれども、法律の立前は、各行政区画、自動車局長、そうですか。
  58. 真田登

    政府委員真田登君) 行政区画となっておるわけではございません。一応経済地帯を、一経済地区を単位とするということになっております。現実に、お話のように京阪神などは大きく見れば一経済地帯でありまするが、まあ先ほどお話がありましたように、需要者の調整と申しますか、そういったことから大阪の業者は神戸の方に行かないというような申し合わせ的な経済地帯をこしらえている次第でございます。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 先ほど運輸大臣から事を分けてのお話がありましたから、その問題をいつまでもしつこく議論しようとは思いませんが、先ほどもお話がありましたが、東京のようなところは、少くとも全般的に施行が困難であれば繁華街のところか、ある地区を限って私は利用する方の者には多少の不便はあっても、駐車場制度を考えてもらうことが、事故防止の点からいっても、ガソリンの経済からいっても、何か電話をかければすぐくる。今自動電話がだいぶ市内には普及してきましたのですから、駐車場に便利な自動電話か何か置けるような、あるいはその何か方法を考えてですね、私はこれはそういうことをする方が非常に国家経済からいっても必要なことだろうと思うし、また世界の大都会は大部分そういうことをやっておるようでありますから、ぜひ一つお考えを願いたいと思います。
  60. 大倉精一

    大倉精一君 この二重処分の問題ですね、これは警察の問題だというお話なんですけれども、警察はやはりこれは法律で取り締っていくものですから、二重処分というこのやり方について、当局として考慮される余地があるかないか、すなわち事故の防止について、こういう厳罰主義でもって運転手を縛る、こういうことよりも、むしろ指導面によって、事故防止、あるいは運転手の正当なる運転といいますか、そういう工合に考慮されるというお考えはありませんか。
  61. 真田登

    政府委員真田登君) お説の通りでありまして、処分によって事故を防止するというよりも、指導によってやっていく方が数等上の策であるということは、よくわかっております。われわれの方でも、まず運転手の資格と申しますか、そういったものについても十分今後考えて参りたいと思いますし、また実際に事業に使います際にも、そういった人の指導と申しますか、再教育等について十分力を尽して参りまして、そういった処分を受けるような運転手が一人でも減るように指導して参りたいと思います。
  62. 大倉精一

    大倉精一君 これは、私はこの法律を根本的に再検討しなければならぬと思うのですが、現在の状態から、これは非常に憂慮すべき現象が出てきていると思う。たとえば警察官にしましても、先般の朝日新聞に交通警ら課長が書いておりましたが、警察としては、この法律によって取締る義務があるから、できた現象によって取締り行為をやるのだ。が、しかしながら根本原因は、やはり労働条件を直さなければこの交通事故の根源は直らないということを論じております。そこで現状を見ますと、警察はどうかというと、指導というよりも、むしろ電信柱に隠れておったり陰に隠れておって、そうしてヤッとつかまえる、点数をかせぐ、こういうことをやっている。運転手はますます精神的に反抗してくる。そうしてまた経済的にもさらに、違反をやらなければめしが食っていけない。こういう悪循環が、私は交通関係に非常に重要問題になるのじゃないか。しかも、こういう激しい交通量のあるところでは、運転手の精神状態というものが、交通事故に対して非常に影響がある。しょっちゅういらいらした気持で運転をする。従って、そういうような状態が、交通の安全というものに対して、非常に大きな影響を与える。さらに激しいことになれば、監視者がいないということになれば、いわゆるエントツをやる。ごまかす。その収入は会社に入ってこない、会社の収入は悪くなる、さらに労働条件は過酷になる、この悪循環を現在の交通関係においては際限なく繰り返す。これが行きつくところは、まことに寒心にたえないものがあるのです。  従って、私は、ここで厳罰主義によって運転手を縛るというような行き方を変えなければならない。従って、監督官庁としても、この法律自体に対して再検討を加える必要があるのじゃないかと思いますが、そういうお考えはございませんか。
  63. 真田登

    政府委員真田登君) お話、まことにごもっともでございます。そういった方向に持っていくことにつきましては、われわれとしても大いに努力していきたいと思います。
  64. 大倉精一

    大倉精一君 これはまことにごもっともであるならば、やってもらわなければならぬと思う。この法律に再検討を加えられるという工合に考えて差しつかえございませんか。
  65. 真田登

    政府委員真田登君) お伺いしたいのですが、この法律でございますか。
  66. 大倉精一

    大倉精一君 二重処分につきまして、即決法ですか……。
  67. 真田登

    政府委員真田登君) 今のお話にございました処罰関係は、運輸省関係ではございませんで、御承知の通り、運転免許は公安委員会、警察関係でございまして、その処分その他も警察関係がやっています。われわれの管理しておりますのは、特に直接の指導に入って参りますのは、営業面のことになって参ります。
  68. 大倉精一

    大倉精一君 これはよその所管だということでありますけれども、しかしながら交通の指導をされる、監督をされるという責任と任務から、当然あなたの方にも関係があると思う。そこでなわ張りのような格好で、これは向うの法律だ、こっちはおれに関係はないのだということでなくて、いわゆる関係省と十分打ち合せをして、そうして運輸省としても、こういう法律はこういうような工合にすべきじゃないか、こういうところはこうすべきじゃないかという工合に、やはり積極的に働きかけをしてもらわなければならぬと思う。どんな法律でも、全部に関連があると思います。従って、あれは向うの省だ、この法律はこっちの省だということは、これは私は当らないと思う。ですから、今の局長のお話によると、ごもっともなことである、こういう御意見でありますので、ぜひ一つごもっともなことを実現するように御努力を願いたいと思う。  次にお伺いしたいことは、やはり免許の問題なんですが、この前の自動車局長のときに、私は免許はどういう方針でおやりになっておるかということをお伺いしましたのですが、そのときに、需要供給のバランスを考えて、不当競争にならないようにということを基本方針として免許しておる、こういう御答弁があったのですが、その方針はお変りございませんか。
  69. 真田登

    政府委員真田登君) ただいまの需要供給とそれから不当競争の防止といったことは、免許基準の重要な部分であります。その他にもいろいろと、実際に事業をやられる方の能力の問題とか、資力、信用問題とか、あるいはその地区の需要にその事業が適切であるかどうかといったような基準が、運送法の六条に定めてございますが、この基準に従ってやっておるわけであります。
  70. 大倉精一

    大倉精一君 その法律に書いてある基準は、あれは作文のようなもので、よく読んでみると、基準にならないわけです。その人の考えによってどうでも解釈できる、あるいは判断できると思う。それを前に自動車局長さんにお伺いしましたところ、行政面から一つの方針としてどうだという質問に対しまして、方針としては、需要供給のバランスを考えて不当競争にならないということを免許の方針とするのだ、あとは、いろいろな各項の条件に当てはまるかどうかという審査を、これは法律によってやっていく、運輸省としては基本方針はこういう方針で行くのだというお答えがあったわけですが、やはり今でもそういう方針でございますか。
  71. 真田登

    政府委員真田登君) 免許の方針といたしましては、その事業を認めることが公共の福祉増進になるということがまず第一。それから、そのためには、事業の健全な発達をはかり得る、従って良好なサービスが提供できる、そういったことを予想ができるような状態需給状態ということから、需要供給の面を非常に考えておる、こういうことだと思います。
  72. 大倉精一

    大倉精一君 今の御答弁は、需要供給のバランスという点に尽きると思います。需要供給のバランスがあって、初めて事業の健全化も確保できる、あるいは公益性も確保できるし、交通の安全も確保できると思う。ところが、さっき一松さんの御質問もあったように、需要供給のバランスということは、実際問題としてはなかなかわからぬだろうと思います。特に私はこの前、局長さんに、現在不当競争になっておると思うがどうかという質問を申し上げたことがある。もう一回質問しますが、今トラックにしても、タクシーにしても、ハイヤーにしても、不当競争になっておると思いますが、そういう御認識をお持ちになっておりませんか。
  73. 真田登

    政府委員真田登君) 先ほどお話がありましたように、需給という見定めが非常にむずかしい。しかしながら事業によりましては、経済の変動に非常に敏感と申しますか、影響を受ける事業と、それから割合に影響の少い、あるいはおそく現われる事業とあるわけであります。われわれの関係しております事業につきましても、バス事業等は割合に定まったお客があり、景気の変動が直接には響いて参らないものですから、需給のバランスというものは割合に長く保っております。しかしながらトラック事業ないしタクシー事業は、そういった面では非常に敏感でありまして、景気の変動に非常に大きく影響される面があると思います。たとえば東京都内のタクシー事業について見ますと、昨年から実は車の数がほとんどふえておりませんが……。
  74. 大倉精一

    大倉精一君 答弁の途中ですけれども、よろしゅうございますか……。それはわかっているのですが、私の質問は、現在の実情が不当競争になっておるかおらぬか、この認定の問題なんです。
  75. 真田登

    政府委員真田登君) 不当競争ということは限界も非常にむずかしいと思うのでありますが、非常に事業者が営業が苦しくなってきておるということは、タクシーとそれから一部トラック事業について非常にやかましく言われておりますので、そういう意味では営業が苦しくなってきておる。それは需給関係から、供給力が少し過多になってきたのではないかというふうに言えるわけだと思います。
  76. 大倉精一

    大倉精一君 不当競争というのは、どういう状態を不当競争というのですか。
  77. 真田登

    政府委員真田登君) 需給のバランスの問題は、需要供給の、需要に対して供給が多過ぎたという場合に、ただお互いに苦しいながらも正常の競争をやって、全体として苦しいながらもしんぼうしてきているという状態は、不当競争だとは言えないと思います。これはただ、需給のバランスが破れたために事業が苦しくなったということであります。しかしながら不当競争と申しますのは、需要供給のバランスが破れたために、何とかしてその需要を自分の方に引きつけようとして、不当な手段によって、たとえば割引するとか、運賃のダンピングをやるとか、回数を、バス路線でかりにあったとすれば——バス路線ではちょっと考えられないのですが、トラックなんかではお客を、他人のお客を取りにいくとか、そういったような場合が不当競争だと、こういうふうに考えておるわけであります。
  78. 大倉精一

    大倉精一君 私の申し上げておるのは、正当なサービス競争をやっていないという現状を私は認識しているわけなんです。たとえば、東京におけるところのハイヤー、タクシーの運賃ダンピングの問題についても、あるいはトラックの定額料金がきめられておっても、定額料金というものはほとんど守られていない。あるいは下手をするというと、東京都の運賃ダンピングにならって、今度トラック運賃を二割引きいたしますという大きな看板をかけて平気で走っていくということもあるかもしれない。そういうふうな状態はさらに拡大して、さらに不当な運転をやる、事故がふえる、交通秩序が乱れる、こういう現状になっておるから、私は現在は不当な競争をやっておると、こう考えるのですが、そう考えて差しつかえないのですか、現状は。
  79. 真田登

    政府委員真田登君) 一部運賃を定額以下にとってやっておるという事業者のありますことは、われわれも承知いたしております。これにつきましては、そういったことのないようにやっております。また東京都内の場合は、これは集団的にああいった不当の運賃をやったわけでありまして、これも不当の競争でありますが、これはまた別の原因から出てきておるわけであります。それで、そういった場合に運賃を割り引いてやるということは、不当の競争であるということには間違いありません。
  80. 大倉精一

    大倉精一君 どうも答弁のピントがはずれるのですけれども、前の局長ははっきり御答弁になった。現在は不当競争にはなっておらぬが、その限界に来ておると考えると、こう御答弁があったのですが、局長もそう考えられますか。
  81. 真田登

    政府委員真田登君) 不当競争の状態といいますのは、ちょっと言葉のあれなんですが、不当競争というのは、個々の事業者が不当競争をやっておるかどうかというお話でございましたら、個々の事業者が不当競争をやっておる者がだいぶ出てきたということは申し上げられると思います。ただ、不当競争の時代というお話ですと、不当競争の時代ではなくて、需給のバランスが破れたために不当競争が起りつつあると、こういうふうに申し上げられるわけなのであります。
  82. 大倉精一

    大倉精一君 どうも局長は答弁をうまく逃げていかれるのですが、不当競争になりつつある現状であるということは、不当競争をやっておることだと私は思うのです。それで、監督官庁として現状をやはり把握されていないというと、監督指導が適宜適切に行われないのじゃないかと思うのです。従って、私は何らかの統計なりあるいは現地調査なりなんなりして、そういう不当競争があるかないか、あるいは正当な競争が行われておるかどうかということを把握されなければならぬ。  従って、私は今お伺いしていることは、現状が不当競争になっているかどうか、不当競争になっておるとすれば、これに対していかなる措置をされんとしているか、こういうことをお伺いしたいと思っているのです。その点についてもう一ぺんお伺いしたい。
  83. 真田登

    政府委員真田登君) 一部に需給のバランスが破れたために不当競争をやっている事業があることは、われわれもよく存じておりますので、そういうものにつきましては、お互いがそういうことをやれば事業者全体として苦しくなるばかりだから、そういうことをしないようにということは、わかっている範囲におきましては、十分指導をやって参っているつもりでございます。
  84. 大倉精一

    大倉精一君 それは、精神訓話の時代は過ぎて、何らかの根本的な運輸行政全体をやらなければならぬ時代に来ていると思うのですが、ここで私が非常に疑問に思うことは、今の免許制度、これは私は反対しません。けっこうですが、免許の実施についていろいろむずかしいものがあるのではないかと思います。運輸審議会というものがあって、ここで審議なさるのですが、どうもやはり基準にしても何にしても漠然としておるので、免許が、ときには左に行き、ときには右に行き、ときにはまん中に行くというふうな工合に、外部のいろいろな勢力バランスによって左右されているという実情を私は仄聞しているのです。なければけっこうですが、そういう実情について何かお考えがあり、あるいはお知りになっていることがあったら、お伺いしたい。事務当局は免許申請については非常にお困りになっているだろうと思うのです。ですから、免許の取扱いについて考えなければならぬ問題があるのではないか、こう考えるのですが、一つお考えがあったらお願いしたい。
  85. 真田登

    政府委員真田登君) 免許事案について、そのときの情勢で右したり左したりということはございません。ただ、いろいろとお話しに参る方があったために、その方に、こうすることが正しいのだということを認識していただくために、非常に手間がかかると申しますか、時間がかかって、はなはだ一般の方に迷惑をかけているということはよくあることでございます。
  86. 大倉精一

    大倉精一君 それでは、この法案について関連してお答えが聞きたいのですが、この法案ができれば、今度は損害について一般に迷惑を及ぼすという原因がなくなる。資力、信用という原因の一つが……。損害を与えた場合に賠償能力がない、そういうことではいけないから、資力、信用ということが免許基準の中にあるのですが、この賠償保険が実施されますと、たとえ一台でも、事故を起した場合には一般には迷惑をかけないから、その場合にはタクシーにしても何にしても、たとえ一台でもどんどんやらしてやる、こういうようなお考えはお持ちになっておらぬのですか。
  87. 真田登

    政府委員真田登君) 免許制度の必要性と申しますか、それにつきましてはいろいろと理由があるわけでございますが、この賠償責任を確保するということも免許制度を必要とする一つ理由ではありますが、なお他にいろいろと目的がございまして、輸送の調整をはかるとか、あるいは合理的な運賃とか、料金を安定させていく、あるいは差別待遇を防止する、あるいはまた信頼できるサービスを提供しなくてはいけない等の、いろいろの問題があるわけでございまして、この賠償責任が確保されたら、どんな事業、どんな態様でも免許していいということには参らない。ただ、一両でいいか悪いかということは、その地区状況によって、あるいは一両でも十分その地区の需要を充足できるような事業もあると思いますから、その地区状況によって、その両数等についても考えていかなければならないと思っております。
  88. 大倉精一

    大倉精一君 そうしますと、この法律の成立によって、免許方針というものは従来と変りない、こういう工合に確認してよろしゅうございますか。
  89. 真田登

    政府委員真田登君) その通りであります。
  90. 大倉精一

    大倉精一君 もう一点だけお伺いしたいのですが、そこで、今の問題、あるいはその前の問題と関連しまして、結局 局長さんのおっしゃったような判断は、運輸審議会が公聴会を開くということになるのですが、運輸審議会の廃止をするというようなお考えはお持ちになっておらぬのですか。
  91. 真田登

    政府委員真田登君) 運輸審議会は運輸省全体の事案の審議をやっていただいておりますので、自動車関係だけでどうこう申し上げるわけには参らないと思います。
  92. 大倉精一

    大倉精一君 大臣おいでになったので、その点だけを一つお伺いしておきたいのですが、運輸審議会の問題なんです。この免許という問題には、局長とやり取りしておりましたが、結局、その判定は運輸審議会にある、こういうことになっており、運輸審議会の委員は非常に大事だと思う。そこで運輸審議会のあり方についていろいろ問題がないでもないと思います。われわれは運輸審議会の中にやはり従業員代表も入れるべきであるというふうに考えておりますが、ともすると、運輸省の方で運輸審議会というものはもうなくしてしまうというようなお考えが、過去においてちょいちょいおありになったと聞いておりますが、大臣は運輸審議会制度は廃止しない、ずっと存続するのだというお考えを持っておられるかどうか。
  93. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これは私は廃止する意思はございません。ああいうものがなくて、そうして運輸省行政がなかなか時間的にも、一般の行政事務がございますし、そうしてやはり役人だけではなくして、ああいう審議会の機関があって、そうしていろいろ調査をいたしたり審議をしたりすることが、やはり行政を公平に措置できる一つの役立ち得る貢献になっているというふうに思うのであります。そういう点で、これは廃止する意思は持っておりません。運輸審議会を廃止する意思はない。
  94. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 僕のは、大臣への質問じゃなかったのです。本法案の質問なんですが、この被害者というのは乗客を含むのですか。
  95. 真田登

    政府委員真田登君) 乗客を含みます。
  96. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうですか。保険金額は政令できめることになっているようですが、大体どれくらいに考えておられるのですか。
  97. 真田登

    政府委員真田登君) ただいまの試案といたしておりますのは、一事故当りと一人当りと両方考えておりまして、一人当りは死者が三十万、重傷十万、軽傷三万という数字を考えております。それから一事故当り乗合自動車については百万円、営業用乗用につきましては七十五万、自家用乗用につきましては五十万、普通貨物五十万、小型貨物三十万、それから軽自動車および小型二輪、これはスクーターとかオートバイですが、三十万、こういうふうに考えております。
  98. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうすると、保険料率は、車の種類によって違うわけですね。
  99. 真田登

    政府委員真田登君) その通りであります。
  100. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 大体どれくらいに考えておられますか。
  101. 真田登

    政府委員真田登君) ただいままでに試算しました結果では、乗合自動車は百万円に対しまして保険料が一万二千四百円、営業用乗用につきましては七十五万円に対して一万二千三百円、自家用乗用は五十万円につきまして四千円、普通貨物は五十万円に対しまして六千六百円、小型貨物は三十万円に対して三千三百円、軽および小型二輪に対しましては三十万円に対しまして千四百円、こういうふうに事故率によってかなり保険料の開きがございます。
  102. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 これは、過去何カ年か無事故だったところには多少の減額をするというような案はないのですか、そういう事業体に対しては。
  103. 真田登

    政府委員真田登君) これにつきましては過去の実績は、保険が始まりましてから実際の保険料について報奨制と申しますか、割引きをするといったことは考えているのでございますが、過去の実績で今まで出てきておりますものが必ずしもすべてでございませんものですから、最初のスタートのときからこれを割引ができるかどうか、ちょっと考えておるわけでございます。
  104. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 ちょっと、御答弁中だけれども、そうじゃないのです。質問の要旨は、保険を始めて、掛金をかけて一年なり二年間たって、全然無事故だったときに、何か考えるか、こういうことです。
  105. 真田登

    政府委員真田登君) 考えております。
  106. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 これに何か自家保険のことを考えておりますが、自家保険はどういう程度のものに許可なさるおつもりなんですか。
  107. 真田登

    政府委員真田登君) 現在の大体の目やすを申し上げますと、トラックおよびタクシーについては、大体タクシー三百両以上を持っておる会社を対象と考えております。それからバスにつきましては、大体百両以上を持っておる会社を一応の対象としておりますが、これは車両数についての問題でございまして、なお、その会社が過去において非常に成績がよくて、事故なんかをかりに起しても被害者に迷惑をかけたことがないといったようなことを条件にして参りたいと思っております。
  108. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 そうすると、自家保険を認める会社には、この法案によると、何か積立金の制度がございますが、この積立金は何か一定の形式で、あるいは現金とか、何か一定の制限の積立をさすのですか。
  109. 真田登

    政府委員真田登君) この支払いの確保のための手段として、そういうふうな積立をさせるわけでありますが、そのための資産としては、現金、それから換価しやすい有価証券等の流動資産、こんなふうに考えております。
  110. 木島虎藏

    ○木島虎藏君 今のところは、それだけです。
  111. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 ごく簡潔に伺いますが、運転手に重大な過失のあった場合、刑事問題として出てくるのですけれども、民事訴訟によりまする損害賠償、特に慰謝料の問題でありますが、これを訴訟を起しました場合に、この法律によって運転手に対する免責ができるかどうか、免責になりますかどうか。
  112. 真田登

    政府委員真田登君) 運転手個人の刑事責任と、民事責任と申しますか、民事的なものは、この保険の被保険者といたしまして、重大な過失があっても保険金を払ってもらえます。刑事責任の問題はこれは別でございます。
  113. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 もう一度伺いますが、そうすると、損害賠償は一応それで納得するとしても、慰謝料の場合もなお免責できますか。
  114. 真田登

    政府委員真田登君) 慰謝料と申しますと——この損害賠償の中に慰謝料的なものも含まれるのではないかと思いますが。
  115. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 損害賠償の方は、一応そうあるべき金額の算定基準、基礎がある場合のそれは損害賠償で、慰謝料は精神によって受くる損害でありますから、私はこれは別途なものと考えなければならないと思いますので、従って、損害賠償も私はまだ問題だと思いますけれども、特に慰謝料に至っては、この法律によって……。
  116. 真田登

    政府委員真田登君) 最後のところはちょっとわかりかねましたので、もう一度お願いいたします。
  117. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 聞えなかった……。損害賠償の方は、ある算定基準によって算出されたものが損害の賠償でありますけれども、慰謝料の分には基準がありませんから、従って慰謝料と損害賠償とはおのずから別のものだ。そこで、損害賠償に対しますものをこの法律によって免責することに多少私は疑問を持ちますけれども、ことに慰謝料に至っては、この法律で、運転手にしかも重大な過失があった場合に、これを免責し得るということが常識上納得しがたいと、こう思っておるのでありますが、その点についてお聞きしたい。
  118. 真田登

    政府委員真田登君) 損害賠償というものの解釈の問題でございますが、物的なもの、精神的なもの、両方を損害賠償という言葉で表わしておると私は解釈しておるわけでありまして、損害賠償の一部に慰謝料というものがある。あるいは慰謝料が損害賠償全部に当たる場合もあると思いますが、私は今までそういうふうに解釈しておったわけであります。
  119. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 それはしかし、法律上の問題は私は多少の疑問を持ちますが、やはり納得いたしかねます。もう一つお尋ねいたしますが、この無過失の中には不可抗力といいますか、天災地変、これをも含んでおりますか。
  120. 真田登

    政府委員真田登君) ただいまのお話は、自動車が運行中に不可抗力によって事故が起きた、こういう場合に、それは無過失というものに含むかと、こういうお話でございますか。といたしますと、これは不可抗力の場合は、初めから除外されておりますので、免責になるわけであります。
  121. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 次は、この保険料率の算定の方法でありますが、その方法はいろいろ考えられるだろうと思いますが、特にバス渡し、定期バス渡しのコースによりましては、非常に路面のよしあし、もちろん車の良否等があるのでありますが、これが危険率に及ぼす影響は非常に甚大でございます。そういうものをもやはり加味して保険料率をお定めになりますか。路面のよしあし、車の良否、そういうものは全然考えずに、危険率のいかんを考えずに、保険料率の算定をなさるのですか、この点をお伺いしたい。
  122. 真田登

    政府委員真田登君) この基本と申しますか、平均の保険料を試算いたしましたときにはそういった状況は考えて出しませんでしたが、これは平均でございますので、実施に移りましたならばいろいろな条件が出て参ります。そういったものは以後の状況に応じて、たとえば地域差をつけるとか、無事故の報奨とかというようなことで考えて参りたいと思っております。
  123. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 これは今の自動車、ハイヤー等の——自家用は別といたしまして——場合は想像できないのでありますが、将来は起り得る問題だと思いますが、保険料を運賃に加算をするというふうなことが懸念されるのでありますが、御案内のように、定期船の方では運賃の査定をいたします場合に、この保険料率を加算して運賃が査定されております。それと同じようなことがこのバスあるいはハイヤー等に起り得ないかという心配がありますが、この点についてお聞きしたい。
  124. 真田登

    政府委員真田登君) われわれの方で原価計算をいたしますときに、標準原価といたしましては、保険料を一部加算いたして原価を算出いたしております。
  125. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そういたしますと、保険料は乗客が支払った金だということに考えて差しつかえありませんか。
  126. 真田登

    政府委員真田登君) 賃率の中に入っておりますから、そういうことになると思います。
  127. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そういたしますと、保険金の受取人はだれになりますか。会社になりますか、あるいは被害者自身になりますか。
  128. 真田登

    政府委員真田登君) 会社が支払いましたならば保険会社から受け取りますが、被害者が直接保険会社に請求してもよろしいことに規定いたしております。
  129. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 そうしますと、受け取った会社がその金を他に流用するとか、あるいはその会社が支払うべき資産のない場合には、被害者はどういたしますか。
  130. 真田登

    政府委員真田登君) ちょっと御説明が足りなかったので申し上げますが、会社が被害者に金を支払った、その受け取りと申しますか、何かそういう証明がなければ、保険会社からは受け取れないわけでございます。それから被害者は直接保険会社へ行って保険会社から受け取ってもよろしいし、それから会社から受け取ってもよろしい、こういうふうに規定しております。
  131. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 被害者自身がじかに保険会社から金がもらえますか。
  132. 真田登

    政府委員真田登君) それはこの規定の十六条の一項に「被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる」と規定してございます。
  133. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 次は大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、これは陸の方でございますが、海の方は御案内の通り事故事故で、再三相次ぐ事故が起っておるわけですが、海の方に対しましてこれと同じような法律によりまして、特に海の方は陸地と違いまして、一朝事故がありますと何百という人を犠牲にいたしまするので、おそらく従来洞爺、紫雲のように、政府の船でございますからあんなふうの損害賠償等もできますけれども、民間会社ではそのままで倒産してしまいますので、このような法律はむしろ船会社、民間の海運業者にこそ一そうの必要があるだろうと思います。また乗客からいたしましても、日本定期船協会から団体保険加入になっておりますけれども、これは何も政府から補償がございませんので、従いまして、その金以上の金を要求したといたしましたならば、大半の会社はおそらく倒産するような現状にあります。従いまして、会社自身のためからも、また船に乗ります乗客の立場から申しましても、万一の場合は政府によって補償し得られるようなこのような法律は、むしろ海の方にこそ望ましいことだ、このように考えておりますが、この陸の法律ができたと同じような法律を海運業者にもお作りになる、こういうような御意思があるかどうかお伺いいたします。
  134. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 今のところそういう法案は考えておりませんが、しかしながらこの間の相模湖の事件、沈没事件があったときに、これはほとんど払えない。ああいうふうな場合のこともございまして、大きな汽船会社であればそれは賠償の能力があるのですけれども、小さなものですね、こういうものに対しては何らかのやはりそういう事故の場合の保障制度というものは検討しなければならない課題の一つだと考えます。今しかし法案を直ちに提出するという準備はございませんけれども、検討する課題の一つであるということは全く同感でございます。
  135. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 陸よりかむしろ必要だということはおわかりになっておりながら、今そういうふうな法律を作るという考えは持っておらないという理由は、いかなる理由でございますか、お尋ねいたします。
  136. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) この自動車も、実際事故率からいえば、自動車事故というものが多いのですね、数の上からいえば。そういう点で、これも各国には五十年の歴史を持っておるのを今ようやくこれは御審議を願うことでございますので、一度に陸も海もというわけにもいかないで、初めてこういうふうなのを、自動車についてこういう賠償制度というものを設けたので、それは次の課題にいたしたいと考えておるのでございます。
  137. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 どうも大臣の御説明では納得いきませんが、いいと思うけれども、今すぐに海の方をやるわけにはいかないというのですけれども、あすの日にもどのような事故があるかわからないのがいわゆる事故でございます。しかも一日何百万という人がどこかの小さな島嶼方面にも行っておるわけですから、何時事故があるかもしれないもののために作り上げまする法律を、しかもいいということはわかっている、万一の場合はこれを保障すべき何らの対策もできておりませんのでありまするから、少くとも私は、大臣といたしましては、近くそういうふうにお考えをしなければならないというお考えがあるべきはずだと思っておりますが、昨日公述人の方の意見を承わりましても、これは別に議論の根拠にはなりませんけれども、各学者とも、また保険会社といえども、一致してぜひ必要である、そうあるべきはずであるというふうな公述があったようでございますが、もう一つ大臣の御説明をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  138. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) こういう、この法案にしましても、社会保障的な性格を帯びているのですね、この法案は。社会保障的な面におけるいろいろ今後やらなければならぬ問題はあると思います。その点は日本の法は不備だと思います。社会保障的ないろいろな保障制度というものは非常におくれておると思います。そういう点で今御指摘の海の方に対してもお話の通りだと思います。そういう点でこれは直ちに検討を加えまして、この国会にどうということには間に合いませんけれども、確かに必要はございますので、直ちに検討を加えて、そういうふうな海上においても、事故に対して保障するような制度を実現するように努力いたしたいと考えております。
  139. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 一つなるべく早くお願い申し上げたいと思います。それから局長さんにお尋ねいたしますが、この保険料の徴収の方法なんでございますが……。
  140. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと仁田委員にお諮りいたしますが、ほかに大臣に対する御質問がございましたら、その方を……。
  141. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 私はこれっきりでございます。ごく簡単でございますから……。誰が徴収するつもりですか。
  142. 真田登

    政府委員真田登君) この保険の実施に当りましては、われわれの方では自動車を持っておる人たちが作っておる組合を、できるだけ代理店として使いたい。そうしてその組合を代理店として使いますれば、自動車の実態の把握もまた保険料の徴収その他も割合にスムーズにいくのではないかと、こんなふうに考えております。
  143. 岡田信次

    岡田信次君 私この法律非常にけっこうだと思うのですが、ただこの法律は事故防止が主じゃないのだ、主どころか、事故防止はあまり関係ないのだと、そうしてこの法律ができたために、ふえるとは思いませんが、事故が起きた場合の処理を円滑にするというのが、これは主だと思いますが、どうもきのうの公聴会を聞いておりますと、かなりこれによってある程度事故防止ができるのだというふうな空気がみなぎっているのですが、その辺大臣のお考えはいかがですか。
  144. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私はいろいろな意味で事故防止という意味もございましょう。こういう点に今保険料率も無事故であったならば、いろいろ料率等も違ってくるというようなところにもありましょうが、この法案それ自体が私は事故防止を直接の目的とするものとは考えられないのであります。どうしても事故防止というものは、別のやはり観点から事故を防止する対策というものが合せて行われなければならぬ。御承知のように運輸省にも都市交通の審議会なども、今度運輸省設置法の中に御設置願うことになっておりますから、そういう点でこれは別の観点からこの事故防止の対策は考えなければならぬのじゃないか。これはいろいろこまかい点に事故防止の役割を果す面もございましょうが、大体においてこれは一つの社会保障的な性格を帯びた救済立法である、事故に対してそういうことがこの法案のやはり一番の貫いている精神だと私は思う。これだけで事故防止はできない、別にやはり事故防止の対策というものは考えなければならないものだと、こう考えているのでございます。
  145. 岡田信次

    岡田信次君 大臣がそういうお考えならば大へんけっこうなので、ぜひ事故防止に対しては別途に一つ強力な方策をとっていただきたい。と同時に先ほど申し上げたように、どうも先日来この法案が直接事故防止にある程度役立つのだという空気があるように見受けられますので、その辺につきましても一つ御苦労を願いたいと思います。
  146. 片岡文重

    ○片岡文重君 この質問は実はしようかしまいかと考えておったのですが、しかしこれはやはり公開の席上で明らかにしておくことが、大臣の政治的立場を守る意味においても、また私どもこの審議に当る者の立場から言っても、明らかにすべきではないかと考えましたので、お尋ねするのですが、この自動車損害賠償保障法案の提案について、私どもはすでに長い間希望をしておった。特に自動車の運転に従事する諸君から、こういう法案の提出されることが希望されておったので、政府もそれを諒として今国会に提出された。このように解釈しておったのですが、過般私の開いたところによりますと、某保険業者がきわめて熱心にこの法案の通過をはかっている。そのはかる理由については、もちろんこの保険業者が熱心に運動することですから、その意図するところはもう申し上げるまでもなくおわかりのことと思う。すでにあつものにこりてなますを吹くたとえにもなるかもしれませんが、私どもはかつて運輸委員会として関係した造船汚職の先例等もありますので、この点はきわめて清潔に行動をしなければならない、審議を進めたければならないと考えまするので、もしそういう事実があるのだったとするならば、率直にその点はお聞かせいただくし、もちろんそれによって大臣が動かされたとは私考えませんけれども、たとえ一、二の業者であっても、もしそういうことがかりにあったとすれば、それはあったとしてお聞かせいただく。私どもは別にそれがあったからといって、それに動かされるようなことはありませんけれども、とにかく明らかにしておきたい、こう考えますので、お伺いしたい。
  147. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私は運輸大臣に就任以来保険業者とは会ったことがございません。一回もございません。役所においてもございません、保険会社と……。またこの自動車法案について、保険会社からこういう法案を通してくれという陳情を受けたこともございません。文書の陳情も私が眼に見たものはございません。従ってそういう私は保険業者の政治的な運動によって、この法案がやはり御審議を願うようになったということは、これは全然の誤まりでありまして、御承知のようにこの自動車事故等によって、何らその賠償も受けなくて、非常に困っている人たちが非常に多いわけでありますので、これは先ほども申したように社会保障制度の一環的な性格を帯びておるという、高い一つの立場からこの法案を提出したのでございまして、政府が提出をいたしました意図は、保険業者を利するようなことは毛頭考えていないのでございまして、またそれによって動かされている事実は全然ないということを御信頼願いたいのでございます。
  148. 片岡文重

    ○片岡文重君 これは局長もそういう御答弁で、大体了解いたしますが、保険総額といいますか、これは大体大臣はどのくらいになるとお見通しをつけておられますか。
  149. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 付加保険料を入れますと五十億程度、普通四十億……付加保険料を除けば。そういうことでございます。
  150. 片岡文重

    ○片岡文重君 業者の間では、どうしてもこれは百億程度にはなるというような見方をしておるようですが、大臣の五十億という根拠はどこに置かれておるのですか。
  151. 真田登

    政府委員真田登君) 先ほど申し上げました保険料に現在車数を掛け合せまして、それをトータルいたしますと四十二億ぐらいになりまして、これは車数が、三十年十月一日における推定としておりまして、大体推定でございますが、それに付加保険料を加えますと五十億近くになる、そういうことでございます。
  152. 片岡文重

    ○片岡文重君 三十年十月の車の数をどのくらいに見ておりますか。
  153. 真田登

    政府委員真田登君) この予定数を百三十四万両程度に見ております。こまかく申し上げましょうか……。これを計算いたしましたときは、百三十三万九千九百五十六両と予定いたしております。
  154. 片岡文重

    ○片岡文重君 これは軽車両から、バスから、全部を含めてですか。
  155. 真田登

    政府委員真田登君) 当時予定いたしましたのが、バスの予定数が二万四千三百五十五両、営業用乗用が四万八千七百九十両、自家用乗用が八万五千四十両、普通貨物十四万九千九百九十三両、小型貨物四十六万七千九百三十八両、軽及び小型二輪五十六万三千八百四十両、合計して百三十三万九千九百五十六両、こういうふうに予定をいたしました。
  156. 大倉精一

    大倉精一君 せっかく大臣お出でありますので、先ほど局長に伺いましたことを大臣に確認するといいますか、そういう意味でお伺いをしておきたいのですが、この法律によりまして、営業者の事故に対する賠償能力というものは一応解決されるようなことになるので、この法律制定後は、たとえ一両でも免許するのだということを耳にしたが、先ほどの局長のお話でいきますと、この法案成立後においても免許方針は従来と変らない、こういう言明があったわけでありますが、さように承知してよろしゅうございますか。
  157. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私も同じ考えであります。
  158. 大倉精一

    大倉精一君 もう一つお伺いしておきたいんですが、これも局長に先ほどお伺いしたんですが、二重処分の問題です。運転者に対するところの行政罰と司法罰、罰金を取られ、営業の停止を食わされる、こういう問題です。これは私は、現在の運輸省の運転者に対する監督方針が厳罰主義で臨んでおられる、こういうことが考えられるわけなんです。ところが、先ほど岡田さんの御質問になった事故の予防という見地からいきますると、この問題は非常に重要な問題であると考えます。すなわち現状においては、運転者は交通違反によって過酷な罰金を取られ、あるいは、就業停止をくわされる。それをカバーするためにまた交通違反をやる、こういう悪循環が現在行われてきておる。しかも警察においてはいわゆる事故摘発に非常にこそくな手段によって摘発主義で臨んでおる。こういうことから、運転者に対するところの精神的な面からも非常に大きな問題があるのではないか。むしろ、運転者に対する監督方針は厳罰主義よりも、むしろ指導によって運転者を善導しなければならぬ、そういう方針をとらなければならぬのではないか。これに対しまして、局長は肯定をしておられたわけであります。そこでそういうことになれば、これは法律の問題になってくるのですが、これは運輸省の所管ではありませんが、しかしながら監督官庁としての運輸省としても大きな関心を持たなければならぬ。従って他の省に属する問題ではありますけれども、運輸省としてもこの二重処分に関して法律に対して再考慮を払う意思があるかないか、もう一ぺん研究し直す余地があるのではないか。こういう面について、やはり主管省に対して、運輸大臣としてやはりお働きかけになるか、あるいは意見の交換をされるか、あるいは何らかの方法によってそういうような努力も払われてしかるべきじゃないか、かように考えておるのですが、局長もこれにはおおむね肯定をせられた。大臣も同じようなお考と承知してよろしゅうございますか。
  159. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) できる限りこれは指導でやるべきでしょう。これは外国などでもいろいろそういう交通規則違反のような場合に、注意を与えて、これから次に気をつけるようにということで良識あるさばきをしておる姿を私はしばしば見たのです。そういうものでしょうが、しかし、日本の場合は、少し道路が狭い点もある。いろいろな点で、スピードの点からいっても、まあ非常に狭いところでむちゃくちゃなスピードを出してきて、指導の面だけでは手に負えないようなものもあることは事実だと思います。しかし、中心を指導に置くという考え方には、私も賛成でございますが、もう全然処罰というものはこれはなくせよということは、これは警察の関係でもございますので、ちょっとそういうことは困難だと思います。しかし、指導に重点を置けというお考え方は、私もさように考えておるのでございます。
  160. 一松政二

    ○一松政二君 先ほど大倉委員から言われたように、警視庁の取締りが、運転手に言わせると、またわれから見てもいわゆる点数かせぎで、人が通りもなにもしない・当然スピードを出しても差しつかえないところに、木陰に隠れておって、ここはスピードを出すところだというふうなところに隠れておってやる。それから年末の非常警戒にかかって手間取った、手間取ったから、それが済んだから、帰りを急いでおるから、さあスピードを出してやろうというような、その一町か二町先のところで……私も現にやられた。そういうように見ておっても、つじに立っておっても、実にどうも危ないことをやるという者を取り締るならいいけれども、そうじゃなくて、もう何びとが考えても、そういうところで急いで差しつかえないところであるとか、あるいは何ら危険の行為でなくして当然やっておるようなところへ行って、ただ尺度をもって、目にかからんようにして、そうしてびりびりと笛を吹いて先の方に行ってつかまえるような、ああいう取締り方針には断じて私は承服できないのだ。これは私はいつかこの委員会で警視庁の係の者を呼んでそういうことをしたこともありますけれども、どうも私も毎朝乗っておりますから、ある意味においてはそれは運転手がおびえておりますよ。何ら差しつかえないようなところでも、たとえば人通りも何もないようなところでも、スピードの規定はあるのですからそれで出しておったらばスピード違反になる、スピード違反の大部分の、あの警視庁があげているものは、非常に何か危険を冒してスピードを上げておるのではなくして、どこかスピードを上げそうなところへ網を張っておいて、今日は一斉だとかなんとかいって網を張っておいてやっておる場合が多いのだ思うので、そういうことは私は事故をなくすゆえんではないと思う。もっと懇切ていねいに、だれが考えても犯すべからざるところで犯したというならば。だれも人通りのないようなところで、横からも来ていないようなところで一時停車というところがあるのです。それを一時停車しなかったじゃないかということでどこか木蔭に隠れておってやれば、いくらでもありますよ。私ばかりでなく大倉さんの言うこともそうだと思いますが、そういう意地の悪い、ある点では点数をかせぐという取締りをやる。私はしばしば見聞もし、自分自身もあるのですよ。だからそういうことは私は運輸当局としては、そういう自分が悪かったと思うこともひょっとすればあるのだ、多くの人はあやまちもありますし、また故意にそういうことをやることもありましょうし、そういう違反の摘発をされた人は、またやりやがったということを思っておるぐらいのものであって、意地の悪い警視庁の方で、取り締る方の側で責めるという気がなくても、自分が悪かったという考え方にはならないと思うのだ。私はそういう違反とか、罰金あるいは今特に大倉委員の言われたような二重の制裁を加えるようなことは、ほんとうに自分が悪かったと思うところに私は初めて効果があると思う。それでどうかそういう方向に機会をみて一つ大いに発言をしていただきたいと思うのですが。
  161. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それはお説の通り行き過ぎだと思います。行き過ぎた取締りというものは弊害があって、かえって事故防止にならない。そういうことは警視庁の方とよく連絡をとりたいと思います。
  162. 大倉精一

    大倉精一君 私の申し上げておるところにちょっと誤解があると思うが、私はそういう処罰を全然なくしてしまえということは申し上げておらないわけです。処罰は処罰として差しつかえありませんが、ただ第一点は二重処分を科すということは、少し過酷過ぎるじゃないか。つまり罰金を四千円取られる、あるいは三千円取られる、これもそのときの巡査の印象によって金額が違うそうです。それで片一方で十日間の就業停止を食わされる、これは運転手にとっては致命傷だと思う。ここでさらに自分の生活のために危険を犯して交通違反をやらなければ食ってゆけない、こういう状態は今の一松さんの取締り方針とも関連しておると思う。最近の警視庁の方針によりますと、その取締りをさらに厳重にやるという取締り方針をとっておるそうです。さらに厳重にやるという方針をとっておりながら、片一方においてはいつかの朝日新聞に警ら課長が書いておりましたが、この交通違反の原因は労働条件にあるとはっきりこう言い切っておる。その労働条件を直さない限りは、この交通事故は絶滅できない、交通違反は絶滅できない。こういうことで、そこで警視庁が取締りを強化するかどうかという反面にそういう考え方を持っておる。これを警視庁がより取締りを強化する、これによって一つの何といいますか、根本の問題の解決をつけていく、そこで一つ直っていくのじゃないかという希望を持っておるようです、警視庁としましては。そこでさっき大臣がおっしゃった無謀な運転をするものについてはというお話がありましたが、この無謀な運転をする原因を除去しなければならない。それは重大な問題だと私は思う。それについてはやはり二重処分というものについて、この法律そのものにも再検討を加える必要があるのではないか。それからさらに労働条件については、これは根本的に考慮をしなければならぬ。ですから私は大臣にお伺いしておるのは、まずそういういろんな問題は別にしまして、この二重処分という問題についてやはりこれを緩和するなり、あるいはまた適用の方法を考慮するなり、何かこの法律に対して再検討を加える必要があるのではないかと、こういうことを申し上げておるわけです。
  163. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) これは御承知のように警察とも関係があることで、いろいろ御意見のあることについては検討を加えることにいたしたいと思います。労働問題については、これは業者とも、私は申し上げた通り近くお話し合いをする機会に、この労働の過重問題がひいていろいろな事故の原因になっている点から、これについても業者と話をしてみたい、こう考えておるのでございます。
  164. 大倉精一

    大倉精一君 最後に一つ私は要望を申し上げておきますけれども、これは、法律は向うの省である、労働問題は労働省でやる、こっちはこっちの大臣所管でやると、所管が変っておると思うのですが、しかしながら、それが交通の安全なり、交通の秩序に関連する根本問題であるという認識を持たれまして、運輸大臣としてそういうものの改善のために具体的に一つ御努力を願いたいと、こういうことを要望申し上げます。
  165. 仁田竹一

    ○仁田竹一君 最後にちょっと……、それじゃごく簡単にお問いいたしますが、この自動車保有者が一つの組合を作って、そうして会社と団体契約を結ぶことになるのだと考えておりますが、もしそうなりますというと、この自動車保有者が一つの代理店業務をやることになってきます。従ってこれには利潤といっちゃ何ですが、何といいますか、契約の手数料が入ることになります。従って一方強制保険でありまするので、それに対しましてこの代理店業者に不都合のありましたような場合に、取締りの罰則規定とかなんとかいうのが必要であると思うのですが、これはどういうことですか。それを一つもしできておらなければ、その法律をお出しになる意思があるかどうか、一方は強制保険でございますから……。
  166. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) それは不都合のあった場合には、一般の保険法の規定によって取締ることになっております。
  167. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止
  168. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記起して下さい。  それでは残余の質疑は次回に譲ることにいたしましてよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないものと認めまして、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十五分散会      —————・—————