運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-06-09 第22回国会 参議院 運輸委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月九日(木曜日)    午後二時五分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            木島 虎藏君    委員            川村 松助君            一松 政二君            高木 正夫君            内村 清次君            大倉 精一君            小酒井義男君            片岡 文重君            三浦 義男君            平林 太一君   政府委員    運輸省海運局長 粟澤 一男君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省海運局定    期船課長    岡田京四郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○海上運送法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、ただいまから運輸委員会々開会いたします。  海上運送法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 一松政二

    一松政二君 私は別に皮切りをやるというつもりはなかったのだけれども、ほかに質問者がどうもないようだから始めますが、旅客不定期航路事業というものを今度は特に対象にして、本法の改正を試みられておるようですが、三百幾つとか前の資料にあったようですが、そのうちの主なる不定期航路をやっておるところを特別に私は資料を要求したいと思うのですけれども、まず資料を持たずに、一応海運局長から、こういうところにこの程度不定期航路をやっておるのだというようなことを、おわかりでしたら御答弁願いたいと思います。
  4. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 私から御説明申し上げます。旅客不定期航路事業だけを非常に大規模にやっております事業者というものは、非常に大きな近代的経営といいますか、そういうような形でやっておりまするものは、実はほとんどないのでございますが、たとえば瀬戸内海各地等におきまして、あるいは伊豆の地区にもございますが、それから全国各地でそれぞれにおきまして、比較的小さいものでございますが、会社組織をもって行なっております。あるいは一定の季節を限りまして、機帆船業者等が、それ以外のときは主として貨物輸送を行なっておるのでございますが、一定多客用シーズンに限りまして、相当、数カ月間継続的に、その期間のみは旅客運送をやる、こういうふうなのが各所にあるわけでございます。
  5. 一松政二

    一松政二君 私はそういう抽象的な説明を求めておるのではないので、どことどことの島の間に一体どの規模程度が、一日に一回とかあるいは二日に一回とか、あるいはそれが単なる一マイルか二マイル離れている海上ではなくして、この島とこの島とこの島を不定期ではあるが一応やっておるというふうなものを例示していただかなければ、この定期航路との概念上の区別がなかなかつけにくい。私が考えるのは、定期航路、つまり今特に例にあげられた瀬戸内海にいたしましても、各島と島との間をずっと、瀬戸内海汽船あるいはその他のものが一応やっている。かりに不定期ということになれば、そういうところじゃなくて、単にある島とある島をやっているというようなものがたくさんあるのじゃないか。それだから、私ども概念からいえば、それは渡し船のような気がする。それを不定期航路をやる人であるというふうに解釈できるかどうかについて、非常に疑問を持っているわけなんで、それをわれわれにのみ込めるように一つ説明が願いたい。
  6. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 島と島との間をやっている渡しと先生はおっしゃったのでございますが、多くは瀬戸内海の各島がそれぞれ、これは具体的に一つ一つの例をあげてございますが、相当の人口があるわけでございます。それらの島の人から見ますと、そこをやっております定期航路というものはいわば唯一のその島の住民の足なんでありまして、そういったところに、一定シーズンを限りまして、今度は不定期航路事業者が同じような、大体ほぼ似たような旅客運送を行う、こういった例があります。これは渡船と申しますか、やはりその島のほんとうの住民の足を確保してやらなければならないという目的から見まして、その当該旅客不定期航路事業に対する育成というふうなことも考えられるわけであります。
  7. 一松政二

    一松政二君 それがやや事業の体裁をなすほど、小規模ながら株式会社その他の経営形態において行われているというお話ですが、それは一体どんな規模のものか。どのくらいの船を持って、どのくらいの航路を、私がいう渡し船でない以上に、たとえば三つか四つの島を、たとえば瀬戸内海汽船が十の島を縫ってやっているとすれば、そのうちの四つか五つは不定期のものが行って荒している。それにはこういうものがあるというのがと、何かおわかりでないのですか。もしきょうわからなければ、私はこれを今日すぐ結論を出すわけじゃございませんから、三百幾つとかあるそのものの、どことどこの間をやっている、あるいはどことどことどこをこういうふうに縫っているのだ、それが毎シーズンこういうふうにやっているというとこで、それが非常なつまり弊害がある、野放しにできないということから起っているのだろうと思うのですけれども、しかしある方がいわゆる島の人の便利にはなるから、従って、そういうふうに需要があるからそこへそういう供給者が現われているのだろうと思うから、あることそれ自身は非常に住民の歓迎するところであろうと思う。だから、それをどの網に引っかけて取締らなければならぬものか。その弊害の度合いを知りたいのです。でありますから、きょうは具体的にお答えがないようですから、この次の機会までに、すでに三百何ぼとかう概数はわかっているようですから、そのうちの大きなものを何ぼか拾い出して、あとは単なる渡船なら渡船というふうに、一つ資料として御提出願いたい。  それから提案理由説明の中に、旅客不定期航路事業を自由に、現在程度の届出にしておくと、利用者利益を阻害する云々とあるのですが、これは一体どういうことをさすのか、伺いたい。
  8. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 不定期航路事業と申し上げましても、大体たとえば離島住民の足である、あるいは港内船舶に対する船員その他に乗客の足になっておるというふうな、相当公益性のある事業相当ございます。そういったような事業について、たとえば設備が非常に思い、あるいは安全上多少危惧があるといったようなことも、需要者利益を阻害する一つの例になると思います。またそういうものが非常に乱立いたしますと、お互いに不当競争を始めて経営の基礎があぶなくなるというふうなことも聞いております。間接的ではありますが、先へいって利用者利便を失うような結果になるということもございます。あるいは安全法規定に抵触するに至らなくても、たとえば桟橋が非常に腐朽しておってこれも危険があるというふうな安全上の問題にも、利用者利便に関連する面が十分出てくる、こういうふうに考えております。
  9. 一松政二

    一松政二君 どうも今の説明は、いかにもこじつけみたいな気がする。船舶の安全ということならば、それはまた別に船舶安全法で取り締まればいいはずで、別にそれを許可制にしたからそれが免れるというわけじゃない。そうして不当競争をやって、それが次第に非常にひどくなって、どっちか倒れる。両方とも倒れやしない、必ずどっちか残る。私は、この企業の競争というものに運輸省は常に気を配ばられて、いかにも秩序を持たすようなことを言われるけれども、私は当らないと思うのです。倒れる倒れるといっておるのは、ちょうど自殺する、自殺するというて声を大きくするものが自殺するためしはない。死ぬのは黙って死ぬのであって、声を大きくすることは、何か救いの手を求めるようなのがとかく声を大きくして言っておるのであって、渡し船は、たとえば東京に花火大会がある、川開きがあるという場合には、もうそこいらのはしけが全部幾ら幾らお客さんを乗せてくる。お客さんをとる。それがために非常に便利です。日ごろはそういうものはない。何かお祭り騒ぎでもあれば臨時に金をとってやるということは、これは利用者には利益なのであって、定期航路が島と島との間を、そう、汽車が陸上を走るように何回もやるわけにいかない、これは船ですから。従って、その間に、小さな間隙を縫ってやる船が、これは自然に起ってくるでしょう。それはそこへそういう需要があるから、またそれをすることが便利であり、またそれを計画する者はそれによって何がしかの利益を得る。それが利益がなくなればやめますよ、ひとりでに。であるから、それが安全にやっておるかどうかというのなら、これは別に私は方法があろうと思うので、免許制度にしておるからといって、その船を一々私はあなた方が点検しないだろうと思う。ただ書類の上に出ていることだけを審査されるだけの話であって、実際に船を一々見てそれを許可しているひまはないと思う。でありますから、私はこの不定期航路事業——これもまた第一私はわからない。さっきのあなたの説明が私わかりません。  不定期航路旅客不定期航路事業というのは、私はどうもぴんとこないのだ。貨物不定期航路というのは幾らでもありますが、臨時船というのはありますが、旅客不定期航路渡し船ならよくわかるのですが、不定期航路というのはよくはわからん。でありますから、今伺いましたその利用者利益を阻害するというのは、これは私は論争はやめますよ、幾ら言ったって、こじつければ、私はいつも例に引くどろぼうにも三分の理があるというから、いわんやどろぼうでもなんでもない。こういうことは見方によって、弁護士が何とでもこじつければ、白を黒と言い、黒を白と言うのと同じように、やっちゃったならば議論のための議論になってしまいますから、これは次の機会に、不定期航路の問題が鮮明になるまで、保留しておきます。
  10. 大倉精一

    大倉精一君 一番初めにお伺いしたいことは、これは定期船協会からこういう申請が出たというふうに聞いておるのですが、今のずっと御説明を聞いておると、不定期船が何か特定の時期に随時入ってきてやるので、定期船経営に非常に脅威を与える、こういうことで運送秩序が乱れるから取り締らなければならぬ、監督しなければならぬ。こういうことが趣旨だと思うのですが、これは実際に定期船経営者不定期船があるがために経営脅威を受けておるのですか。
  11. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私どもただいま提案いたしておりまする理由はそれだけではないのでございますが、事実そういう事例定期船の方からもたびたび出ておりますし、私どもの方も認められると思うのであります。たとえば、一年を通じてではございませんが、特定旅客の多い期間に限ってこちらの船を持って参りまして、定期船事業者がやっております一定の区間を、その船でもって運航する。しかも定期船業者と申しますのは、大体毎日、たとえば何時に出発する、こういうふうな日程表時刻表を公示しておりまして、それによって運航いたしておるのであります。これによりまして、その日程表時刻の直前ぐらいに船を出して、そこへ来るお客相当吸収していってしまうというふうな事例がございます そのために、普通定期船業者としましては、冬のような旅客の少い場合にも、義務としてある程度運航を確保しなければならぬという義務を負うわけでありますが、それは交通の足でございますので、ただいまそういう義務を課さなければ、こういう規定は要らないのであります。それに対しまして、やはり旅客の少いときには相当赤字も出るが、旅客の多いときには相当それでかせげるので、一年間を通じてある程度ペイするというような経営状態にある程度なっております。旅客の多いときにそういうことをして旅客を吸収されますと、定期船業者としても自分の事業経営の計算が非常に立たなくなるというふうなことがございまして、年間を通じての経営支障をきたす、こういうふうな事例を見るわけであります。
  12. 小酒井義男

    小酒井義男君 ただいまの説明に関連してお尋ねしておきたいのですが、旅客の多いときに臨時といいますか、不定期船を出すことがあるということを、これを逆に考えると、乗客の多い場合には定期船がそれを輸送し切れないというような場合がもしあるとすると、無理に乗客を乗せることによっていろいろ事故が起るようなこともまた考えられるのです。そういうことはないのかどうか。
  13. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 今度の御改正を願えれば、不定期事業許可事業になるのでございまして、その場合には、たとえば季節的にはこういう船を持ってきてこういう航路事業を行うという申請が出るわけであります。それによりまして、事業状況その他を見て、やはり季節的にはこういう船を持ってきて輸送をすることが妥当であるということを勘案して、免許するわけであります。従って、そのために定期船業者の船にオーバー・ロードがかかって危険を来たすというようなことがないように運営いたしたい、こういうふうに考えております。不定期でございますから、季節的に特にお客の多いときだけにやるということもできるわけでございます。
  14. 大倉精一

    大倉精一君 そこで私のお伺いしているのは、法律を改訂しなければならぬほどそれほど定期船経営者というものが経営不可能な状態に陥っているのか、あるいは陥る傾向があるのかということ。そうしてあるいは経営危機はないがより以上に利潤というものを欲しているのか。さらにまた反面に、不定期航路業者が特にそういうような収入を見込んで年間経営が成り立ったと思うのですが、それがいけないということになると、こっちの不定期の方が経営が成り立たないという現象が起ってくるような気がするのですが、そういうことはありませんか。
  15. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) まず定期船事業の方の採算の問題でございますが、御承知のように、国鉄運賃相当、政策といいますか、特別な運賃をとっております。大体そういうものにならった今の運賃認可制度をとっておりますので、決してそうあまり利潤を得てはおらぬというふうに考えております。なお、特に離島航路等におきましては、むしろ公益性のためにある程度義務づけをしておりますので、こういうものは御承知のように相当赤字で困っており、離島航路補助金政府からむしろ出しているというのが実情でございます。  なお、最後にお話のございました、そういう場合に不定期をやめさせたら一方の方が成り立たないじゃないかという問題でございますが、これも決して全部やめさせるということはないのでございまして、不当競争に陥るような方法はできるだけとらせないということでございますので、決して今までやってきたことが全くできなくなるというようなことは考えておらないわけであります。
  16. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、取締りといいますか、こういうふうな監督対象を、不定期航路のうちのまた一部分に考えている。たとえば旅客船におきましても、臨時旅客輸送をその船ができるのですから、これとあなた方の対象とされぬところの不定期旅客ですか、航路ですか、これの区別は、明確になっておりますか。
  17. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私ども不定期航路事業といっておりますものは、法律上の考え方といたしましては、一定のコースをきめて、旅客船を使って相当期間継続して、反復的にその旅客輸送をやるということを目的とする専業というふうに考えております。従いまして、今御説明のあったこういうような、たとえば定期免許を受けた事業者が、特定の学校とか会社の依頼を受けまして、臨時的にほかの地点で旅客を運ぶというようなものは、その航路について相当程度反復的に実際の輸送をするという目的を持っているというまでは至らぬと思いますから、その航路についてはそういう目的を持つた事業とは認定できない、こういうふうに考えております。
  18. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、私はずっと法律を読んでみますと、もう妙なことばかり発見するのですが、たとえば、これはあとで逐条的にやらなければならぬと思うのですが、法文改正の第二十一条一項ですね、これを見るというと、「一定航路旅客船を就航させて人の運送をする不定期航路事業」これがいわゆる許可対象になるわけですね。そうしますと、一定航路を持っておらなければ許可も何も受ける必要はないじゃないか。従いまして、殊に宇野高松間をやっておって、今度は大阪から淡路島まで行くというような船を出す、これは一定航路を持っておりませんね。随時どこへでも行く。この方が便利じゃないか。一定航路を持つがために、許可を受けなければならない。許可を受けていなければ、どこへ行ってでもやれる。かえって、そんなだったら、許可を受けずに、私の所ではどこにでも行って営業しますから、一定航路を持っておりませんからということになれば、許可を受けなくてもいいのですね。これは対象にはならないのですね。そういうふうに解釈していいのですね。
  19. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) そういうふう考えられるということもあり得るわけですね。その場合でも、たとえば宇野高松間を今度はやりましても、その次にはやりませんということであっても、将来にわたって考えますと、宇野高松間をやって、その次にすぐではないがある程度反復的にやるというようなことであれば、宇野高松間の航路で、これは不定期航路事業であるというふうな認定をなし得ると思います。
  20. 大倉精一

    大倉精一君 どうもその意味が私ははっきりしない。反復してやるということは、どの程度反復してやるのか。反復してやるということは、二回やっても三回やっても、反復してやる。今宇野ー高松間でたとえば五百人の生徒をやるのに、一ぺんに全部乗せられないから、百人づつ五回に分けてやる、これも反復してやるということになるのか。たとえば宇野ー高松間だけでほかの所はやっておらぬから、これは取締り対象にはならないといっても、いやほかにも要請があればそれも注文に応じてやると、こういうことになれば、これは一定航路ということは言えないわけですね。その辺のけじめが、私は今の臨時旅客輸送不定期旅客輸送区別が非常にあいまいです。ですから、この法律を作ってみても、こういうことの許可を受けない方がかえって便利だということも考えられる。そういうことも可能である。そういう法律じゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  21. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) やはり問題のポイントといたしましては、その航路において数回反復してやることが事業と認められるかどうかというふうな点になると思います。従いまして、初めから三べんしかやらないというふうなことであれば、それはむしろ臨時運航でありまして、今回は三べんであるが将来やはり、事業でございますので、旅客があればまたやるということであれば、それはその航路における不定期航路事業であるというふうに認定をなし得ると思います。従いまして、本人が、私は三回だけやってあとはどこに行くかわからないというふうに観念しておっても、やはり認定する方におきましては、その航路における反復する意思がある事業であるというふうに認定できれば、そういう許可も必要だということになる、こういうふうに考えます。
  22. 大倉精一

    大倉精一君 どうもその辺がよくわからぬのですが、これは私どもの方としてもさらに研究しますが、さらに一つお伺いしておきたいことは、この定期事業者ですね、定期事業者は、今おっしゃったように、公益事業である。いわゆる経営採算と同時に公益のために奉仕する事業である、こういうことになっておるのですが、公益という観念にはいろいろ私はあると思うのですが、あなた方の考えておられる公益というものの観念について、一応お伺いしたいと思います。
  23. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 先ほども少し申し上げましたが、たとえば離島航路で、定期航路の船による以外に本土あるいは隣の島に行く足がないというふうなものは、多分に公益性のある公益事業だと、こういうふうに考えるわけでございます。あるいは山の中で陸上交通相当不便である、そこに川がありまして、その川を相当上りおりする旅客船がございまして、それが年中航行しておるという場合も、これは相当公益性がある事業だと、こういうふうに考えます。
  24. 大倉精一

    大倉精一君 そこでこの提案理由説明の中にも、さっき一松さんがおっしゃったように、利用者利益を阻害するおそれがあると同時に、運送秩序の面ということもあるし、それから事故が頻発するから特に監督を強化しなければならぬということをおっしゃっておる。従って、私は事故が頻発するということは、公益という考え方がやはり安全ということもこの中に入っておるというふうにお考えになっておると思うのですが、その点はどうですか。
  25. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 先ほどの一松先生お話にも若干関連があるかとも考えますが、たとえば料金の問題にしましても、特定の、ただいま申し上げましたような島との間の、これ一本しかないというふうな交通線の場合には独占事業になりますので、相当料金で暴利をむさぼるというようなことも考えられる。そういう場合にも、ある程度基準によりましてこれを制限して認可するというふうなことも、一つ公益的な見地からの裁量になる、こういうふうに思うのであります。ただいまのお話のように、危険性を防止するということも一つのやはり公益的な考え方でございまして、たとえばその事業経営をする者が相当知識経験を持っておるということも、直接ではありませんが、やはり間接には安全という面に相当寄与し得るというふうに私ども考えるのであります。あるいはまた、たとえば狭い港内等におきまして大型船航行が非常にひんぱんのような場合に、小さな通船不定期相当混雑して通っておるというふうなことも、やはり一面航路の妨害にもなり、あるいは危険があるというふうなことも考えられるのでありまして、そういうような場合にも、公益的に見たらその点ある程度規制を加えるということが必要になるのじゃないか。以上のような点でやはり公益的な考え方をしなければならぬというふうにわれわれは考えます。
  26. 大倉精一

    大倉精一君 この免許基準の中でも、第六号の「当該事業の開始が公益支障のないものであること」こううたってあるのでありますが、この「公益支障のないものである」ということですね、これは今おっしゃったように、非常に輻湊して航行が危険だと、そういうものについてある程度規制を加えなければならぬと、こういうことを意味しておるのですか、これは。
  27. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) そういう場合を考えておるわけでございます。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 それは大体、日本の国のどこの港にありますか、こういう現状は。
  29. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私ども先般、たとえば横浜港等におきまして、現在非常にそういう免許を受けておらぬ業者が通って危険であるから、相当程度規制してもらいたいということを海難防協会等から陳情を受けております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 「横浜港等」の「等」というのは、ほかにありますか。
  31. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) そのほかにも、たとえば非常に狭いしかも急流の川がございまして、そういう所で定期船不定期船相当輻湊して上りおりするという場合にも、やはりある程度危険その他を考えて公益的な見地から判断しなければならぬ場合もあり得るかとも考えます。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 どうもその辺が私はぴんと来ないのですが、たとえば横浜港だけが——今の輻湊するということについては、その横浜港だけがそういうような問題かあるとするならば、これはそういうところについて特別に行政指導をするなり何なりをすることがあり得ると思うのですが、これを法制化してゆくということについて、一般の問題として法制化してゆくということについて、どうですか、少し窮屈なところがありはせぬかと思うのですが、その点どうですか。
  33. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 直接陳情を受けましたのは横浜港だけでございますが、ほかの港につきましても、名古屋港とか大阪港とかいうふうなところにおいても、ある程度そういう問題の陳情を受けておりました。今後ともそういうふうな趨勢にあるといえるのではないかというように考えております。
  34. 一松政二

    一松政二君 それに関連して……この問題はさっき聞いたのと同じなのですが、今私は大倉委員海運局長とのやりとりを聞いておっても、さっぱり腑に落ちない。結局、ただ抽象的な観念論を繰り返しておるにすぎないのであって、結局、具体的に今の不定期航路と称するもの、そういうものの具体的な例を出してくれなければ、横浜港の遊覧船か何かを例にとられたって、ほかに取締る方法幾らでもある。水上警察でもなんでも注意を与えて、航路のどこどこを何時間でというように時間制限をやれば、警察が方々にここは通っちゃいけないとかあそこは通っちゃいけないとかいうことをやっているのと同じで、私はこれは運送法を改正してそれを取締るというのは間違っておると思う。取締るなら取締る、別な考え方で取締る方法はあると思うのです。もともと私はこの旅客不定期航路事業というそれ自身の解釈ができない。渡し船ならわかるけれども渡し船以上の不定期航路旅客船というのは……。だから、例をもって一つお示しを願うまでは、それは私はお預けしておきたいと思う。その上であらためて論争しょうと思うのです。  そこで、今の大倉さんの聞かれた、たとえば公益あるいは運送秩序を乱すということが、口ぐせのように出るのです。ちょうどこれは去年か一昨年でしたか、タクシーのその事業範囲を府県単位に限るとかなんとかいうときに、私はひどく論争したのですが、今東京の事例を見れば、許可をしたタクシーが、適法に許可をして、そうしてその辺の経済事情から交通事情を勘案して、まあ運輸省の文句に従えば、いかにも合理的に許可したはずなんです。今ごろになってこのぶざまな運賃競争をやって、手のつけられないような状態になるなんていうのは、許可にしておってすでにこれなんです。ですから、許可にすれば、許可した場合には今度は競争してはいかぬのですか。それからまた適法に現在やっておるものはおそらく三百幾つかある。それが許可申請をしたならば、これはあなた方はことごとく許可するだろうと思う。おそらくそうだろうと思う。それが今度は運賃競争をしたという場合に、競争しちゃいかぬというわけではございますまいから、お客が少なければ運賃競争になる。お客が多いときには競争はしません、両方とも満足な状態にあれば。繁閑というものは、これは人間のわざでどうにもならない。だから、運賃値下げ競争のあるときにはこれを不当競争といい、競争がなければそれを適正だということは、そいつは景気とか不景気とか、人が輻湊するとか輻湊しないということを、法律の上でこれを規制をしようという観念と、私は区別することはできない。法律でもって何でもそういうことができるように思うことは私は間違いじゃないか。だから、免許を受けないで届出だけでやっておれば非常な秩序の撹乱になるが、免許を一応受けてやっておればそれは撹乱にならぬということに——撹乱という言葉がおかしいのですが、競争することなんだ。競争することをあなた方はこれは差しつかえないと思っているに違いないけれども、それがどう違いますかね。経済上実際問題としては、免許を受けた場合には適法の競争であって、ただ届出だけでやった場合には、それが競争した場合には秩序の撹乱になるというて、一方の定期船業者が陳情に来られておる、こういうのですが、これは不景気のときには当然これは起ってくると思うのだ。お客さんの足が減る場合には、けさの新聞かゆうべの夕刊か知りませんが、鉄道が非常にガラあきになってきちゃって、急行を八本も九本も中止するというような状態を起しておる。海上においてもそういうことはシーズンによってはあり得るのですよ。だけれども、それを直ちに何で共倒れになるとか——共倒れになるほどの大きなやつが不定期でもって競争しませんよ。私はもう、だから、そいつはさっきの不定期事業の具体的な例を見るまでは、これは他日に留保してありますが、秩序の維持というのと運送秩序の撹乱という言葉は、あなた方概念上しょっちゅうお使いになるのですよ、説明なさるときにですよ。これはどれから先が不当競争であって、どれから先が適法の競争であるということは、これは判断つきますか。それをちょっと旅客課長の説明を承わりたい。
  35. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 今一松先生のおっしゃったような、たとえば運賃の例でございますと、一応運賃につきましては確定額の認可制をとっております。従って、もし全体としてたとえば運賃を値下げしていい、あるいは値下げしなきゃならないというふうな情勢になりましたときには、適法にこれを行うためには、値下げの申請をしまして、それが認可になってから行うということになるわけです。法律がこういう認可制をとっておりますと、そういう秩序ある行為の要求ができるわけでございますが、もしそれをそういう建前をとっておらない場合には、その場限りで、あるいはたとえば非常に人数が少くてしかも夜おそい、そういうようなときには暴利をむさぼる。逆に、相手方との競争をしようというそのときには、むしろ値引きをするというふうな、非常に秩序のない、無秩序なやり方をするということが考えられる。まあそういう点の防止にやはり運賃の認可制というものが必要なんじゃないかというふうに考えております。
  36. 一松政二

    一松政二君 それはとんでもない説明なんだ。そういう説明が、第一ここの東京都のおひざもとのタクシーをごらんなさい。雨が降ったり、芝居がはねたりするときには、あなた方の今言う規定外の料金をとる。それから今、現在は運輸省でどうにも始末のつかぬような運賃競争が起っているじゃありませんか。しかもこれが認可制ですよ。それをただ単に、法律をこういうふうにすればそれが適正に行われるとか、法律がなかったらそれが乱用されるということは、私はあなた方の説明では満足することができないのですよ。それでそれが秩序の維持になるとか、秩序の撹乱になるというのは、一つのただ観念上のあなた方のビジョンにすぎないと思うので、経済行為というのはそんな簡単なものじゃない。先ほど運賃の値下げの問題も出た。まさか、賃上げは許可受けずにやれますまいが、賃を下げる方は下げたらいいじゃありませんか。何も一々そんなものまで許可して、それからその場合は多くは私は結局渡し船程度だと思うのですよ。だから、あまりにさまつなことまでも、重箱をようじで突くようなことまでも、法律で取締るとか、あるいは法律をやったらそれがよくなるという観念は、私は同意することができないのです。そこまで法律というものは及ぶものではないのです。ですから、私はこういう法律改正について、はなはだ実は疑いを持っておるのです。私は関連質問でありましたから、次に大倉委員に譲ります。あとはまたあとでお伺いいたします。
  37. 大倉精一

    大倉精一君 それではちょっとほかめ角度から御質問してゆきたいと思うのですが、公益事業であるから免許制にする。この場合に、公益事業に対して免許制にする限りは、公益事業としての一つ義務が出て来る。従って私はこれがために、その事業に対するところの適正な保護政策というものをしなければならない、助成策もとらなければならぬと思う。そこでこの場合には、いわゆるこの問題はほかにもあると思うのですが、この問題に関する限りこういうことも言えるのではないか、すなわち定期航路船が——定期航路運賃が果して適正であるかどうか、こういう問題が出てくると思う。従って、たとえば不定期航路船が今度の法律によって許可制になる。そうすると、たとえば宇野なら宇野港から高松に行く、今までは不定期船としてやっておったものが、今度は許可をして、それで新しくそこで事業をすることができるということになれば、そうしますと、定期船脅威を与えられることになるのですね、ここに入ってくるから……。その場合においては、平常時の運賃料金というものが適正ではないのではないか。いわゆる年間を通じてその会社が、他業者輸送量を勘案をして、経営が成り立つような運賃料金にしなければならぬ。それをやると、これが非常に高くなってお客に迷惑をかけるというふうになれば、国家として何らかの補助をしなければならぬという問題も出てくるだろうと思う。その問題を考えてみるというと、こういう工合にいわゆる花見時とかなんとかというときのほかは、船が多くて経営が成り立たないということは、こういうことは平常時におけるところの運賃料金が適正でないのではないかというふうに考えるのですが、その点はどうですか。
  38. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) お説のような考え方はあるいはいたさなければならぬかとも思いますが、しかし一方、やはりその航路を利用します住民の負担力といいますか、そういったようなものも考慮しなければならぬと思うのでありまして、経営の面からだけの採算制という点からだけでは、やはり運賃というものは考えられぬと私は思います。従いまして、採算の点からも考え、あるいは住民の負担力その他その地方の経済力、あるいは一方には鉄道その他の運賃もございますから、そういう点を考慮して運賃には認可をいたしまして、なおその上で足らぬ分につきましては航路補助金その他のものを考えるという方法をとるべきであろうと考えております。
  39. 大倉精一

    大倉精一君 船ばかりでなくて、私はこの点に根本的な疑問があるわけです。たとえば陸上運送の場合でも、これもトラックでもって荷物を運ぶとか、あるいはバスで人を運ぶとか、あらゆる企業全部が公益事業かということになると、これまた疑問があると思う。たとえばこれが本当に公益事業であるためには、さっきおっしゃったように、その路線が荷物があってもなくても、あるいは人間が、お客さんがあってもなくても走らなければならぬ、一人でも二人でも走らなければならぬ、いわゆる経営採算を度外視する事業です。あるいはまた小運送部面におきましても、全然採算の合わないようなことになっても、採算を度外視してここに荷扱い設備をしなければならぬ。あるいはまたバス、私鉄でも、全然これはもうからない、お客が全然ないようなところでも、鉄道線を引っぱって、あるいは路線を設けるということになる。こういう場合におけるところの運賃料金というものが、そういうもの全体を含んで総合的に適正利潤になるというような運賃料金でなければならぬはずであります。その場合に、そういうものは全部総合して適正運賃料金になるがためには、負担力に伴う、あるいは荷物の場合においては物価に影響する、こういう場合にはこの実際の利潤を無視したところの運賃料金の認可になるだろうと思う。そういう場合におけるところの政府としての公益事業に対する対策というものは、どういう工合にお考えになっているのですか。
  40. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまとっております方策としては、離島の場合には離島航路整備法によりまして航路補助金を出しております。それからなお船舶の老朽した場合においては代船建造等に財政融資をいたしまして、それに対する利子補給というものをいたしております。ただいまその数字を忘れましたが、そういうふうな方策をとっております。  なお、先ほどお話のありましたように、同じく定期航路と申しましても、離島のそれしかない交通機関という場合の公益性と、あるいは遊覧を主とするような定期航路公益性というものは、おのずから考え方も別に考えなければいかぬではないかというふうに考えます。なお、たとえば大島等の場合にも、大島航路というものはやはり、住民から考えますと、一つの重要な公益航路であります。実際会社採算からは、むしろ遊覧客の方からの採算というものが多いという点もございまして、そういう点につきましては、両面からやはり判断した運賃その他をきめ、あるいは航路補助なりそういう政策を考えなければならぬ、こういうふうに思っております。
  41. 大倉精一

    大倉精一君 きょうは断片的な質問をいたしまするが、免許基準についてお伺いしたいのだが、旧法とこの改正法との前書きが少し書き方が違うのですが、これはどういう趣旨なんですか。旧法では「適合するときは、これを免許しなければならない」、新法の方では「右の基準に適合するかどうかを審査して、これをしなければならない」こういうややこしい書き方をしているのですが、これはどういう精神なんですか。
  42. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 現法の「適合するときは、これを免許しなければならない」というのは非常にはっきりしておりまして、明らかにこれは、この条項の却準に適合しますれば政府としては必ず免許しなければならないということになるわけでございます。改正法におきましても、大体最近できております道路運送法あるいは航空法その他の関係につきましても、これと同じ書き方をしてございまして、これは法制局ともまあ御協議したのでありますが、大体この書き方で、精神としては、これだけ具体的に基準を並べた以上、基準に適合すれば認可しなければならぬという、許可をしなければならぬということになる、こういうことでございまして、私どもとしましては完全に同じ書き方か疑問でございますが、大体表す意味としては同じである、ほとんど同じである、というふうに了解しておるわけでございます。
  43. 大倉精一

    大倉精一君 ほとんど同じであるということは、やっぱりどこか違ったところがあるのですか。
  44. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ほとんどと申し上げましたが、私ども了解しておりますところでは、法律の効果としましてはまあ同じであるくらいにむしろ考えておるのであります。ただ表現の方法が違いますので、その意味における差異というものがあるいはあり得るかと思いますけれども、私どもの了解しておるところでは、今のところ効果は同じだというふうに考えてあります。
  45. 大倉精一

    大倉精一君 そこで、私はなぜそういうことを聞くかというと、この免許基準をずっと見てみますというと、どの場合でもほとんど同じなのですね。ただ非常に抽象的で、適合しておるかどうかということを判断すること自体が私は不可能に近いと思うのです。さっきも一松さんの質問があったのですが、たとえば第一号を見ましても「著しく供給過剰にならないこと」とある。少しくらいは供給過剰でもいいのか、あるいは「著しく」というのはどういう認識か。これは一体数学的にそういうのを把握できるのかどうかという問題がありますし、さらにまた、たとえばこの第五号の「申請者が当該事業を適確に遂行するに足りる能力を有するものであること」とこうなっております。この能力というのは一体どういうものを想像しておるのかということなんです。能力とは何ぞや、こういうことなんです。これは一体免許の場合に、実際の場合にどういう形で判断されるのか。ちょっと参考のために聞いておきたいと思います。
  46. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) こういう規定の書き方はいずれも、先ほど申し上げましたように、道路運送法なり航空法なり、書き方がしてあるのでございまして、実際にまた適用する場合には、お説の通り相当判断に迷うこともあろう。しかし、これ以上法律で数字的に書けと言われましても、なかなかこれは非常に困難でございまして、従いまして、やはり相当資料を集め、公聴会を行い、しかる後に運輸審議会におきまして合議制によってこれを検討して判断する、こういうふうな慎重な方法がとられておるのでございます。私どもも大体、今ございます法律によりまして、こういう表現にしたわけでございます。ちょっと今のところ、これ以上に具体的にもっとぴったりするという表現に自信がないものでございますから、こういうふうになっておるのでございます。
  47. 大倉精一

    大倉精一君 たとえば「能力」というのはどういうふうなものですか。
  48. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ちょっと忘れましたが、大体考えておりますのは、経済的あるいは財政的な能力、そのほかにも人的な能力というふうなものを考えております。財政的能力としましては、この事業に当てるための相当の資産、信用力等があるということが、一つの判断の基準でございます。そのほかにも、経営者あるいはその経営に当る相当の人が、過去において相当程度知識経験を持っておるというふうなこともあわせて考慮したいと、こういうふうに考えております。
  49. 大倉精一

    大倉精一君 そうすると、新しくこういう不定期航路という商売をやろうという人は、能力がないことになるのですか。
  50. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) その場合に、全然経営者もそういう知識経験がない、あるいはその経営に参加するスタッフにおいても全くそういったような知識も経験もない、要するに能力に欠けておるというふうな場合には、やはりこういう基準には適合しないかと思います。
  51. 大倉精一

    大倉精一君 これはそんなに大事業じゃないと思うのです。この不定期航路はですね、大事業じゃなくて、ちょっとした船一ぱい持てばできる商売なんです。それを過去のそういう深い造詣、経験というものが要るものでしょうか。
  52. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまお話しのような、非常に規模の小さい、たとえば一ぱいの船を動かして足りるという程度事業でございますれば、おのずからそこに要求される人的能力というものも、経済的能力でもそうでございますが、限定はし得ると思います。たとえばその船に対する、どうせ船のことでございますから、船員法その他で要求されておりますそういう船員でも、ほんとうに過去に経験のないような、新しく養成所を出てきたという程度の船員では、あるいは足りないかもしれない。若干でも、そういう船員で前に過去の経験知識というものがございますれば、相当程度の能力とは考えられます。
  53. 大倉精一

    大倉精一君 この論議はやめますが、私はこれは、こういう簡単な仕事は、精神薄弱者かあるいは精神異常者か何かでなければ、健全なる人格と精神を持っていれば、これは私はやれることだと思う。私はそれ以上言うのはやめますけれども、この次の「当該事業の開始が公益支障のないものであること」ということも、これもまたきわめて漠然たるものでありますので、私としてはこれはこういうことを考えられないものか。それは免許基準が、交通運輸に関する限りは、これは事故を起したりなんかするのはやっぱり人間なんですよ。これは人間が起すものです。これは船の設備も、もちろん管理も必要でしょうし、その他のことも大切でしょうけれども、私は人間が事故を起す本源になると思う。従って、交通運輸に関する限りは、人間の問題はやっぱり考えなければならぬのじゃないかと思うのです。そこで人間の問題とは何ぞやということになると、その経営者の今の能力ということになるかもしれませんけれども、しかし経営者だけでやるのじゃございませんので、運転士その他乗務員もおりますので、そういういわゆる従事員ですね、従事員の問題を考えなければならぬのじゃないか。これはやはり公益事業としてあなた方が認定して、そうして公益事業を遂行させるというがためには、公益事業として支障のない遂行をしなければならぬ、運営をしなければならぬ。この場合に、公益をあずかるものは人間でありますので、しかも会社の社長なんていうのは事務室におって、実際船を動かすのじゃないのですから、実際その中に乗って動かしていく人間のことをやっぱり免許の場合考えなければならぬ。その場合には、一々その人間の名簿を出させるわけにいきませんので、従事員の取扱いについては、こうせい、ああせいという、こうした差し出がましいことじゃなくて、こういった基準を要求する必要があると思う。そういうことは考えられませんか。  おわかりにならぬかもしれませんが、要するに、非常に無理な労働をさしたり、非常な過労を伴うような労働をさせる、あるいはまた生活できないような賃金でもって働かせる。そういうような点については一つも、どこの場合でも、免許基準には触れていない。それがあらゆる私は事故やあるいは支障の原因になってくるのだと思う。救命ブイをどれだけ備えても、あるいは安全装置をどれだけやっても、要は衝突しなければいい。衝突したり、そういうことをやるということは、安全ということに関する限りは、非常に中心問題であるので、その中心問題になる中心が人間の問題である。人間の働く基準というものをこういうところにきめておく必要があるのじゃないか。こういうことによって運賃ダンピングというものも、あらゆるものも防げるのじゃないか。さっき一松さんがおっしゃったように、あなた方が今運賃料金を引き下げるときには、申請によって認可するのだ、こうおっしゃる。ところが、運賃料金を下げて認可をしてもらう、そういうことが最近ではなくなって、勝手に法律を破って引き下げても、運輸省としては手がつかぬ。引き下げたものは、なぜそういうことをやるのかというと、結局労働者の賃金というものにしわ寄せすることができるので、そういう余裕があるので引き下げることができる。しかしながら、人件費というのはずっと一定にしておけば、そういうことはできないはずで、従って正当なるサービス競争ができる。これが日本の交通運輸に関する限り、すべてが労働者の頭にしわ寄せされてくる。ここに私は考えなければならぬ根本問題があるのじゃないかと思いますが、そういう思想は運輸省当局ではお持ちになっておりませんか。
  54. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまのお話、まことにごもっともでございまして、私ども交通事故というものは相当、やはり人間と申しますか、実際その衝に当っておる人の過失その他によって起る割合が非常に多いのでございまして、相当検討しなければならぬ事項だと存じます。しかし規定上にいかにそれを表現するかという技術になりますと、なかなかむずかしい問題でありまして、できるだけ検討いたしたいと思います。
  55. 大倉精一

    大倉精一君 そこがおかしいと思います。今のごもっともだというのなら、それを書けばいい。ごもっともだということを言っておるのに、そういうことを免許基準に考慮に入れられていないということについては、私は非常に疑問を持つのです。書きようがないというが、書きようは幾らもありますよ。一九五一年にILOでちゃんと決議がありますが、ああいうものを書いてもりっぱな法律になります。私はこういうものをやはり免許基準の中に入れるということが、今のお話のように、ぜひとも必要だと思うとおっしゃるならば、実際やらなければならぬと思います。それがために経営がどうなるかということは、別個の問題だ。それによって初めて適正なる経営規模を持つことができる。あなた方のおっしゃる適正なる経営規模というものは、これはいわゆる働く人の賃金、そういう人件費というものを不当に引き下げて、そうして経営規模が良好だ、良好だといっても、これは経営規模は良好になりませんよ。ですから、一定の人件費、適正な人件費でもって運営していく、その上に適正なる賃金を上げていく、こういう経営こそ、ほんとうに経営規模が適正であると、私はこういうふうに考える。ですから、先般、これは陸上運送のことですが、そういうことをおやりになったらどうですかと言ったら、それは資力信用十分なる者を免許するのだから、資力信用十分なる者は必ずそういう労働条件をやってくれるであろうと言っている。やってくれるであろうと、そういうようなことでまあこの問題を処理されていくということは、私はいかぬと思う。ですから、私は、あなたが今御答弁になった、まことにごもっともだと思う。まことにごもっともだと思うのなら、それならなぜやらないか、こういうことになってくる。それは法律に書きようがありませんか。そうでないと、これは全部作文になりますよ。資力信用十分な者であるということでも、いつの間にか資力信用十分でない者になる。これはぜひとも一つお考え願って、私は法律の中へ入れようがないということはないと思う。
  56. 高木正夫

    ○高木正夫君 免許基準の中で、六番に「公益支障のないものである」と、こう書かれております。これはどういうことなんですか、よく使われることですけれども
  57. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) たとえば例で申し上げますと、先ほどから申し上げた通りなんですが、狭い港内の中で相当船舶も輻湊しておるというふうなところへ、無制限に小さな不定期航路の船が入ってくるというふうな場合には、航行上の危険もございます。相当公益支障があるという認定のもとに、危険の程度に至る以上のものはこの基準で制限したい、こういうふうな考えであります。
  58. 高木正夫

    ○高木正夫君 そうすると、つまり危険ということを相当これには考えられておるというわけですね。
  59. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) その通りでございます。
  60. 高木正夫

    ○高木正夫君 たとえば、この間ちょっと申し上げたような、河川の問題ですね。非常に危険性のあるような所は、公益上の問題として相当御考慮願うというようになりますか。
  61. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 御設例のような、たとえば川で非常に狭くもあるし急流でもあるといったような場合に、そこにさらに多くの新しい不定期航路の船が入るということが危険だと認定されれば、これは公益支障があるということになります。
  62. 高木正夫

    ○高木正夫君 認定されればということは、これはぼやっとした言葉ですが、それははっきりできないでしょうかね。これ以上申しませんが、御考慮願います。私は危険ということについて、具体的の問題を持っているから、それを申し上げると、いろいろまずいと思いますから申し上げませんが、十分に御考慮願いたい。
  63. 小酒井義男

    小酒井義男君 これは審議の便宜上、今免許の問題がだいぶ質疑されておるので、私も免許問題だけを一応ちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、海運局長、従来は免許申請があれば、全部第三条及び第五条の関係で、運輸大臣は運輸審議会に諮って意見を聞かなければならぬということになるのですね。そうですね。その場合、それでは第六条では、「運輸審議会は、前条の規定により附議された事項について決定をしようとするときは、あらかじめ期日及び場所を公示して、公聴会を開き、申請者及び利害関係人の意見を聞かなければならない」と、こうなっておりますから、これは全部公聴会を開かなければならないわけですね。というのは、この前、要求をしておいた資料、これは私はもう少し具体的なものをいただけると思ったのですが、集計だけですし、見るとたくさんですから、あるいは一々航路の内容を書いていただくのはやはり無理だったかもわからぬけれども、これによると、昭和二十九年度は、免許件数が四百八十三件あるのに、公聴会を開いた回数は十二回よりないということなんですね。これはどういうことか、説明を願いたい。
  64. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ここの注にも書いてございますように、昭和二十九年度四百八十三件のうち三百七十四件は、五トン未満の地方海運局長限りの委任された事項でございます。従いまして、これは運輸審議会にかかっておらないわけであります。それから奄美群島復帰に伴うもの、これはすでに沖繩政府免許いたしておりまして、たまたまああいう行政的な関係でこちらに移ったものであります。特別に完全に新しい事件ではないという数字になっております。なお、そのほかにも相当件数があるのに、公聴会を開会されていないという御質問かと思いますが、運輸省設置法に規定がございまして、これは航空法でも道路運送法でも同じでございますが、免許する場合には運輸審議会に諮らなければならぬ。これは法律に書いてございます。なお運輸省設置法の運輸審議会の方の規定に、その法律を受けまして、こういう事項こういう事項の免許は運輸審議会に諮るのだ。ただしその第二項がございまして、運輸審議会が軽微と認定した事項については運輸審議会に諮問しなくてよろしいという規定がございます。これによりまして、大体その他の数十件というものは、運輸審議会自身がこれを軽微事項であるという認定をいたしまして、従って法律の結果、これは運輸審議会に諮問しないと同様の効果である。従って公聴会は開かれていない。非常にややこしいのでございますが、こういう関係になっております。
  65. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと気のついたことをお伺いしたいのですが、私もまた公益性を繰り返すようでありますけれども、そこで疑問に思うのですが、一つたとえば横浜港あたりは非常に輻湊しておるからこれは適当な船の数にしなければならぬというお話ですが、貨物船も輻湊の中に入るでしょう。貨物船はなぜそれを輻湊の中に含めないのですか。貨物船は衝突しても、中身は貨物だからといいますけれども、客船に衝突すればやはり向うは沈んでしまうのです。
  66. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 一般的な港内航行の安全というこういうことにつきましては、一応港長が取締るという面も実はあるわけでございまして、ただ旅客船、特に旅客船、遊覧船の場合には、ことにこれが積極的にむしろ免許申請があって、現行法における各免許基準に適合いたしますとすれば、これを事業としては免許せざるを得ない。従って、合法的にその遊覧船をどんどんふやして、それを使用するということもこれは考えられる。その場合に、一方において特にそういった遊覧船が多数のお客、人等を積んでおるという場合に、港長の一般的な航行に対するいろいろな指導だけでは、何と申しますか、もとになるものをまず押えなければ、実際上どうにも取締りができないじゃないかというのが実情のようであります。むしろ海上保安部、港長あるいは水上署から、取締り当局の方からはそういった点についてのまず事業のもとのところから考えるべきじゃないかというようなことがたびたび出ていたのです。ことにこの傾向が、実際上の問題といたしまして、特に遊覧船事業というものが最近に発達いたしまして、現実にもそれが非常に顕著になってきておるという実際上の要求からも、特にこの面に事業法の面からも規制を加えるべき必要が生じたというふうに考えております。
  67. 大倉精一

    大倉精一君 私の聞いておるのは、船の客船のことはいろいろさっきお話があったので、一応承わったのですけれども取締り対象が、あいつは取締り対象にならぬ、こいつはなるのだ、こういう区別があるのですね。今度は貨物船の不定期船取締り対象にならない、フリーになるのですから。ですから、横浜港なら横浜港、あるいは四日市港なら四日市港で、貨物の状況によっては、また貨物を運搬する船がどんどんそこに入ってくる。こいつはやっぱり輻湊の仲間に入るでしょう。貨物も輻湊の仲間に入るが、それは取締らない。しかもこれが遊覧船に衝突すれば、相手の遊覧の客も死んでしまうことになる。そこで私の聞いておるのは、輻湊というのが公益上問題になるのであれば、当然貨物もその対象になるのじゃないか。こいつがちょっとわからない。
  68. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 貨物につきましても同じようなことが考えられるわけでございますが、ただ、貨物航路事業につきましては、全体の海上運送法における一般的な取締りと申しますか、規制の要請からいたしますと、特にそういった航行上の安全をはかるというふうな目的からのみ本法でもって特別の規制を考えるというのは、むしろ行き過ぎではないかというふうに考える。それはむしろ別のことに譲るべきではないか。しかし特に旅客運送事業につきましては、本法でもって免許制あるいは許可制をとるわけでございますけれど、そういった積極的な免許なり許可なりをいたします際には、一つの要件として、今後はそういった安全面からの見地も加えるべきじゃないかという、こういうふうなことで考えておるわけであります。
  69. 大倉精一

    大倉精一君 私はその安全ということと公益ということとは、これは関係があると思うのですけれども、安全即公益というふうには私はちょっと疑義があるのです。まあその論議は別にしまして、これは何回お聞きしても同じことになると思うのですが、私はこの航行の安全ということだけなら、これはほかに法律もあって、船舶安全法とか船舶職員法、港則法、海上衝突予防法、内海水道航行規則、こういうものがあるわけです。これを守っていればいいわけですね。守っていれば。ただ、船が多過ぎるから、そいつをやらせるかやらせぬかということが問題になったわけです。船が多過ぎるというその仲間に貨物船が入って、片一方を取締って片一方は取締らないということであれば、貨物船の方は無制限にやってもいいのだという、極端な言い方をすれば、そういうことになるのです。だから、その精神がどうも私はわからぬ。従って、今特別に法律を変えてこういうものを特別に取締らなければならぬということが、どうも私はわかりませんので、いろいろな角度からお伺いするのですが、これも私はわからない一つの問題であります。いわば貨物は放任主義で、幾らふえようがこいつは勝手にやらすのだ、こういうような方針ですか。貨物の船ですね、定期船について……。
  70. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 結局、法全体のバランスの問題ではないかと私は思うのでございますが、貨物について本法は単に届出だけを要求しております。その他いろいろな角度からの考慮をしまして、免許制なり許可制をとるということをやっているわけであります。それが安全の見地だけを特に問題にして、その面からのみそういう免許制と申しますか、許可制にすると申しますか、そういうことにするというのは当を得たものでない、ちょっと行き過ぎでないかというふうに考えられると思います。一方旅客運航の船につきましては、定期及び不定期について免許なり許可制をとるという建前をとりますので、その際には一つの要件として、そういった航行の安全の面からの考慮もむしろ払われた方が実際的ではないか、こういうような考えであります。
  71. 一松政二

    一松政二君 ちょっと関連して。横浜の遊覧船がしきりにこの間から本法を審議しているときに例示されるのですが、遊覧船というものは時間がきまっていはしませんか。遊覧船は何時何時にどこどこを回ってどこを出るということがなければ——もしそれがあって、さらにお客さんの多いときかなんかなら不定期のものが出てくると思うのですが、たとえば東京都内の遊覧自動車があるが、必ずあれは時間があって、どこどこから朝何時に出ると、あれは定期に出ているはずなんです。横浜の遊覧船は定期に出てはいないわけですか。この点をちょっと伺いたい。
  72. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 横浜の遊覧船は、御指摘のように時間のきまっておりますものと、それから今度それとは別に、時間を定めておらないものと 二通りございます。時間を定めておらない方は、陸上におきまして最近貸し切りバスといいますか、観光バスが非常に発達しております。そのまあ関東各地と申しますか、方々から横浜に行きまして、たとえば横浜市内及び横浜港を見て、その人たちが今度バスからおりまして船の方に乗る、そういうものを相手とするために遊覧船業が成り立ってしるということが実情なのであります。
  73. 一松政二

    一松政二君 港内見物をするというわけですね。その場合に、この法律目的を二つにしている。その横浜の遊覧船のごときは、結局、陸上のバスが横浜陸上からの見物をすると同時に、海からの見物をさせるというのが臨時にあるというのですが、今度瀬戸内海の方の例をとれば、これは不当競争をするのだ。不当競争するというのは、もうそれは先ほどから論議しているのですが、これが不当であるか不当でないかということは、そう判断つくものじゃないし、まあ大倉委員の発言の中にもあったようだが、運賃は、私も言っているように、上げる方の競争をしはしない。下げる方の競争、下げる方が秩序を紊乱するというお話なんですが、下げる方は乗る方からいえばけっこうな話で、それがために非常に危険だという。この危険の方は、さっき大倉委員から指摘されておるように、別の角度からこれは取締りの方途があるわけで、それは別問題です。従って、公益上もし考えるとすれば、むしろ運賃を上げることを抑制する方に役立つのだ。利用者からいえばですよ、運賃をむしろ——海上運賃陸上の、特に瀬戸内海のごときは鉄道運賃を上げないからといって、運賃申請があっても、二割申請があって一割しか許可しないというようなことを今やっているわけです。ところが、そこで今の臨時運航のやつが、それより安いレートでいいんだからやっているわけです。それが一方牽制して、そういうのがあるから、上げればまたそれに響くのだから、上げる限度が低くなるので、一般の利用者からいえば便利なんだ。公益上はなはだけっこうな話なんだ。それがために船が、瀬戸内海汽船が、ほかにもあるでしょうが、そういうのが倒れてしまって、その航路に就航するものがないというようなことは、私はちょっと予想ができない。従って、まあどの程度に陳情者があるか知りませんが、その陳情者の要望を入れて直ちに——まあ直ちにじゃないかもしれませんが、私は軽々に法を改正すべきじゃない。一方からいうと、一方の遊覧船の方からいうと、そいつは普通の船舶航行のじゃまになるから許可制にしなけりゃいけない。そうすると、この許可基準によれば、そういうものは許可基準を作らなけりや、この法がかりに施行された場合には必らずあなた方免許しなけりゃならぬ形態をとってきます。これはその場合にはどうされるのですか。それは許可しないのですか。それかといって数がふえるから、そいつは数を制限しようというのですか。どういうお考えですか。かりにこの法律が通って施行されるとした場合に、申請は必ずこの許可基準に合ったものが出てきまして、従って許可しなけりゃなりませんよ。その場合に今度は数を制限して、時間を制限しておかかりになる考えかどうか。それを一つ答えていただきたい。
  74. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) そういった現在やっておりますものが許可申請をいたしましたときに、許可基準に照らしまして、たとえば今の横浜港の例のようでございますと、かりに需給関係だけを中心に見ますと、おそらく観光事業でございますから、そういう船があればあるいはそれだけまた需要もふえるということで、需給のバランスがとれるんじゃないかということが考えられるかとも思うのでございますが、この六号を今度加えますことによって特に制限もできるのではないかというふうに考えます。それからまた、かりに免許なり許可なりいたします際にも、やはりこれが全然届出制にすぎない、あるいは自由放任にまかされております場合には、いわばその規模を無制限に広げてもよろしいわけです。また時間も適宜、自分の好みに従って運航の時間を定めることもできるのでございますので、そういう点もいろいろな調整をはかりまして、船もあまりふやさせない、あるいは時間を他の事業者との間隔を見まして適当な時間のところに落ちつけることによって、秩序を保ち得るというようなことは、従来の定期航路事業免許の際にもやっておることでございます。今後もそういうふうな運営をやって参りたいというふうに思います。
  75. 一松政二

    一松政二君 先ほどちょっとはっきりしなかったのですが、今横浜には、定期の遊覧船とそれから不定期と、両方あるわけですか。
  76. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) そうでございます。
  77. 一松政二

    一松政二君 それで、今の横浜の遊覧船はどういうところを通っているのですか、今の不定期にしても定期にしても。それは船舶海上運送旅客船及び貨物船の航行のじゃまになるというお話ですが、先ほど大倉委員からの御発言がありましたが、ほかにはしけやらいろいろ輻湊しておる横浜港ですから、遊覧船が特にそれをじゃまするかしないかというのは、事実行って見ないとわかりませんが、まあ常にランチみたいなものはあっちへ行ったりこっちへ行ったりしているのですが、どこを一体通っているのか。それがまた事実じゃまになったために、それをよけようとして海上衝突でも起った事件がありますか、どうですか。
  78. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 横浜の実例を申し上げますと、海難防止会、あるいは主上して横浜の水先人の組合員の方々がたびたび昨年の秋から陳情に来られていたのでございますが、その人たちの話に徴し、あるいは現地の海運局なり海上保安部の当局の話も総合いたしますと、大体定期航路免許事業者定期の遊覧をやっているというふうな場合には、割合にコースもきちっと正確に定めてある。ところが、現在野放しになっております人たちが営んでおります場合、いわば遊覧客の興味本位に、極端な場合には大型船に非常に接近した所までわざわざ見せに行く。あるいは、わざわざ前を通るというわけでもございませんが、少しあいてはいるわけですが、むしろスリルを味わわせるために非常に極端なこともやっておる。これが実情でして、水先人の方からすれば——われわれは港則法によりますと、はしけもそれからこういった遊覧船もみな一応雑種船という扱いになっております。港則法そのものからいいますと、水先人は、大型船舶の船長さんは、自分の方はまっすぐ行けばよい、よける必要がない。小さい船の方が避けなければならない。そちらがぶつかれば、そちらが悪いのだ、純法律問題としましては、大型船は全然そういうことを考えずに、むとんちゃくに行っていいはずなんです。かりにはしけ、そういった貨物のものでございましたら、もしかりに万一事故があっても、大した問題はない。しかしこれが多数の人を乗せている。その人ちちを現実に目の前にしていて、どうしてもやはり手が鈍らざるを得ない。結局、たとえば速度をゆるめるとかいろいろのことをしなければならない。これはむしろ人情からいって、当然そうだ。そのために大型船航行に非常に支障がある。こういうことをたびたび言ってきておられまして、正式に運輸大臣に対する要望書、それからお聞きしますところでは、国会の衆参両院の当時の運輸委員長あてでございますかにも、陳情と申しますか、それが出ておるように実は承わっております。そういった実情をいろいろ聞きまして、また現地の人たちのお気持も、大体そういったことも往々あるというふうに承知しておるわけでございます。
  79. 一松政二

    一松政二君 それは私も考えられると思うのだ。そういう点は危険になる、じゃまになることは、これは陸上の自動車で運送しておるところも、いろいろな自転車やその他の危険がたくさんあるのと同じように、これを基本の海上運送法でもって、海上運送法免許にひっかけてそれを取締ろうとするところに、私はちょっと納得がゆかない。そういうローカルな一さまつなことを、この基本の海上運送法というこういう——これは世界の海に雄飛する船舶のことをおおむね対象にして私はできていなければならない法律だと思う。むろん国内のものもありますが、それの一例を聞けば、横浜港なんですが、それは将来大阪にも神戸にもそういう——非常に近ごろ遊覧バスですか、遊覧バスが多いから、海上にもそういうものが現われないとも限らないが、海上運送法免許によってこれを取締ろうとするところに、私ちょと納得がゆきかねるのです。  それで、今の瀬戸内海の分も、それから川の分も、どこか一つ具体的に、先ほど小酒井氏もそういうことをお考えになったのじゃないかと思うのですが、もっと具体的な例を一つ示してもらわぬことには、こういう海上運送法のような基本のところへ持ってきて、川の渡し船がどうとか、島のどこかの渡し船運賃を下げるからそれが不当競争になるから、あるいは遊覧船がじゃまになるから、海上運送法でそれを免許制度にしなければそれが防げないのだということは、私はどうも少し、何だか法律的に私にはぴんとこない。そういうものを取締るには、別の角度で私は取締るべきものだと思う。これを免許制度にひっかけて取締るというのは、どうしても納得がゆきません。それだと、私どもはこれを改正していいという判断が下せない。そういうものを取締るということは、私はある程度必要だということは感じます。ただ、渡し船が、時間前にお客さんがうんとあるときに幾らか安いやつをやっても、これも免許にしたからといったって、免かれ得ないと思う。東京のタクシーが免許であるにかかわらずやっているのですから、事と次第によっては、私はそういうことが起ると思う。  また既存の会社の存立を危くするということも、これは業者の陳情が少し大げさ過ぎると思う。どうか、私に関する限りは、今の各地方における例を一つ示していただかぬことには、その程度のものでこの海上運送法不定期旅客運送事業というようなものを一項目こしらえて、そうしてこの航路法に私は載せてきたところに、私の割り切れない疑問点があります。私に関する限りは、もう一度申し上げておきますけれども、その例を一つ示していただきたい。そうじゃなければ、これ以上議論をするのは無意味だと思う。この程度ならば、不定期旅客運送事業というものをこの中に織り込むことには不賛成です。
  80. 片岡文重

    ○片岡文重君 関連して一つお尋ねしたいのですが、先ほど高木委員でしたか一松委員でしたか、この改正しようとする四条に該当した場合には、必ずその許可をしなければならぬということになるであろうと思う。これは百歩を譲って、この法案が妥当であったとした場合に——という御質問に対して、一応肯定されるような御答弁だったと思うのですが、この第四条の第一項は「運輸大臣は、旅客定期航路事業免許をしようとするときは」とありますね。結局、しないという断定を下せば、こういう基準に適合するかどうかを審査する必要はなくなってくるわけだ。だから、申請が出た場合に、しょうかしまいか、まずその主観的な立場に立ってお考えになって、自分としては——自分としてはというのは、つまり海運局としてはこれらの事項に該当するようだから一つしようかという目安がついて、初めてこの条文に適合するかどうかを審査する意思が出てくる、こういうことじゃないのですか。
  81. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) これは先ほどもちょっと申し上げたかと思いますが、要するに、申請が出たらば必ず審査をして、免許をするかしないかを決定しなければいけない。その審査をするについては、こういう基準に適合するかどうかを審査しなければならぬ、こういうふうな見方と言いますか、解釈の仕方でございます。従って、お話のように、免許をしようとするときはこういう基準に照らした審査をするのだが、しょうとしなければ審査をしなくてもいいという解釈は出てこないわけであります。
  82. 片岡文重

    ○片岡文重君 しかしこの第四条の案文は明らかに「免許をしようとするときは」ということが書いてあるのですから、その「しようとするときは」という文句の裏は、当然しないという意思の決定もなし得るということが判断できるのじゃないですか。そうなれば、この一号から六号までの問題をしいて検討しなくても済むということになって、海運局としての意思決定に大幅な自由裁量が与えられるという結果になるのじゃないですか。
  83. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 先ほども申し上げましたが、こういう条文作成につきましては、法制局といろいろ協議しまして、法制局の審査を受けて最後の決定をするわけであります心法制局で審査の際に大体、ただいまございます道路運送法なり、あるいは交通事業法その他の法律はこういう書き方をしておりまして、しかもそういう解釈としては先ほど私が申し上げましたような解釈なんだから、この書き方でよろしいのだと、こういう審査がございまして、その結果私どもはそれに従ったわけです。こういうことなんでございます。
  84. 小酒井義男

    小酒井義男君 今の問題ですが、ほかの法律なんかこういう書き方がしてあるというのですが、非常にそういうあいまいな表現でなしに、これの意味は、旅客定期航路事業免許申請が出されたときは、左の基準に適合するかどうか審査して、適合しておれば許可しなければならぬという意味だと思うのですね。ところが、こういうふうに書いてあるから、いろいろな何なんですが、どうしてこれでなきゃいかぬのですか。もっと明確に、条文の整理をもっとはっきりとしたらいいじゃないかと思うのだが、はっきりしたら何か都合の悪いことがあるのがどうか。
  85. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) 私ども別にございません。
  86. 片岡文重

    ○片岡文重君 まあ、海運局長も大へんお骨折りのようですけれども、少くともせっかく条文を整理しよりよく改正しようという御努力なのですから、少しでも疑義がある条文をそのまま通すということはどうかと思いまするので、もし今海運局長の御答弁のような理由であるならば、これはやはり小酒井君の言われたように、もっとはっきりさせるべきであると私は考えます。それで、法制局がその専門の立場からそういう御説明があったとしても、海運局長としてはもっと明快な答弁を自信を持って私どもに与えて下さるだけのはっきりしたものでないならば、将来海運局長がやはりこれを、この法に基いてその許可をするかしないかを決定されるときにも、やはりいろいろな疑惑が生まれてくるのではないかというふうに考えまするので、この点はいま一度一つ考慮していただきたいということです。  それからその次にお伺いしたいのは、この一号の中に「全輸送需要に対し著しく供給過剰にならないこと」とありますが、この供給過剰という限界ですけれども、たとえば朝の七時それから午後の五時ごろは結局、通勤、通学等の乗客がいずれの場合も多いでしょう、遊覧は別として、普通の学期船の場合には。従って、これはいわゆるラッシュのピークになると思うのです。しかし十二時過ぎあるいは午後三時ごろになれば、乗船の人員というものは非常に少くなってくる。平均の需要というものは、そのラッシュのピークと午後の谷底との間の人員が出てくる、こう考えます。その場合に、この供給過剰の限界というものは、その平均をとっておられるのか、それともそのラッシュのピークをとっておられるのか。もしくはそういうところまではこれはお考えになっておられないのか。その点をまずお聞きしたいと思います。
  87. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 大体平均的なものをとって考えたわけであります。と申しますのは、大体事業が、事業として「旅客航路事業を永続的に確保する」となっておりますが、この定期航路だけについて申しますと、永続的確保のためには、やはり事業が長くやっていけなければならない。そのためにはやはり平均的なもので押えて、その運賃の定め方と両方を見まして、結局採算が大体とれてゆく、採算点に立つものであるかどうか、こういう点も中心に考えております。
  88. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると、経営の永続性といいますか、経営の健全性というところに重点をおいて、輸送ということが二義的になってくるように考えられますけれども、多くの人命に対する事故が起る原因というものは、その定員をこえて乗船するというところに起るのが今までの例です。そこで、この供給過剰の限界というものはその定員をこえるところに私はあると思うのですが、ラッシュのときにたくさんの船をもって、その定員を厳守して何そうも出すということであるならば、それでもいいでしょう。その平均数でもいいでしょうけれども、そうでなかった場合には当然、このラッシュのピークを限界点として考えなければならないと私は思うのですけれども、その点いかがですか。
  89. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 特にそういったラッシュと申しますか、そういうのが非常にはっきりしているような航路も、航路によってはあるかと存じますが、そういう場合に、ことに今までの事業者では事実上定員超過もやりかねないというふうなことがもし常態であるといたしますと、そのときにそういった新しい申請がなされ、それが今までの事業者との両方の船を使ってやってゆくことによってむしろ需要を満たし得るのだというふうな場合には、もちろんこれを免許するということに考えております。
  90. 片岡文重

    ○片岡文重君 定員を超過するような場合がむしろまれに起こるかのようなあなたの御説明ですけれども、実際は相模湖における事故を追想してみても、あれはほんの一例にすぎないのであって、現実には定員をこえて乗せているのが、船も車も今日の常識じゃないですか。従って、特に水上における輸送に当っては、その供給過剰の限界というものが、平均数ではなくて、最高を目標としてなおかつその経営を維持できるように経営者は当らなければならないように定むべきではないか、こう思うのですが、その点はこの法の上からは考えられないのですか。
  91. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 定員超過が、たとえば通勤用の船の場合に、常時起っているということはほとんでないのじゃないかと考えるのであります。ほんとうの多客期などに非常に急に、遊覧客と申しますか、そういうものがどっと出てきます場合には、往々にして定員超過の実情もあるかと思いますが、平常の状態として渡船的な役目を持っておりますものにつきましては、あまりその例がないのじゃないかと思います。一方におきまして、現行法におきまして、かりにそういう事態がありますと、第十九条によりまして、事業改善の命令でございますが、そういうものを出してその需要を満たすようにさせる、こういうことになっているわけであります。法律的には一方においてそういった命令権を留保していくという形になっております。
  92. 片岡文重

    ○片岡文重君 定員過剰をしていることは、むしろ通勤時、通学時は普通だと私は思うのですがね。たとえば、瀬戸内における場合でも、それから横浜港内等の遊覧船の場合でも、どれくらい定員をこえているか、それは一様ではないでしょうけれども、少くとも普通の場合は定員をこえているのが現状だと私は思うのです。それを是正するのは、いろいろ安全を守るべき法によって是正されるとおっしゃるけれども、今の場合、これは新たに事業を始めようとする者に免許するかどうかということを考える一つ基準になるのですから、将来そういう是正を必要とするものであるならば、これは最初から許可しない方がいいのですから、その許可するかしないかの基準になる一つのポイントとして、供給過剰の限界というものはやはり具体的に当局としては考えがあるべきはずだと思うのです。その具体的な考えというのは、今あなたがおっしゃったように、平均数であるということで、一番たくさん乗る、定員をこえるということには考えないということであるならば、先ほど来の人命の安全を確保するということに重きを置いてこの改正がなされるということは、たいぶ違ってくると思うのですが、その点は矛盾しておりませんか。
  93. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) ただいまのお話の第一号の解釈としましては、ただいま定期船課長から御説明申し上げましたように、平均輸送需要というものを考えているということは、現在はその通りでございまして、現行法の第二号に「単位輸送力が当該航路における平均輸送需要量に対し著しく均衡を失しないものであること」という点で、その点明確にしてあるのであります。大体現在の考え方は、一応需要供給としては平均をとるというふうなことが原則であるというふうに私ども考えます。この現行法の第四号に至りまして、「利用者利便に適合する運航計画を有すること」という事項もございまして、御説明のような、通勤のために特に必要な渡船であるとか、あるいは離島航路であるとか、いずれの場合にいたしましても、そういうところはやはり通勤者のために特別に通勤時刻にはそういう定員に適合するだけの船が必要であるということが、真に利用者利便に適合するゆえんであるというふうに私ども考えております。そういうところではやはり、お話のように、定員過剰でなくても、とにかく時間内に利用者を運べるということが一つ基準であるというように考えております。
  94. 片岡文重

    ○片岡文重君 私が特にそれをお尋ねしたのは、今あなたがおっしゃったように、二号四号を削って、そうしてこの一号にまとめておられるから、そこで特に私はお尋ねしたのですが、今の御説明によりますれば、むしろ現行法の方がはっきりしておるのじゃないですか。つまり「平均輸送需要量に対し著しく均衡を失しないもの」と明らかにしてある。それを削って、わざわざ「著しく供給過剰に」という抽象的な文句に直したところに、私は定員をはっきりさせるということじゃないかと思ってお尋ねしたのですが、今の御説明だったら、むしろ現行法の方がはっきりしているんじゃないですか。例えば四号にしても、定員をこえて回数を何回にも往復する、あるいは何そうも発船するという運航計画を立てさせるということであるならば、むしろ現行の四号の方が具体的になっているんじゃないですか。
  95. 粟澤一男

    政府委員粟澤一男君) むしろ逆と申しますか、ただいまの現行法の、今申し上げました「利用者利便に適合する運航計画」という規定は、改正の場合にも三号にそのまま入っております。それから第二号の方の平均輸送需要量といいますのが、一隻々々の船につきまして先ほど定期船課長が御説明しましたような平均輸送需要に対する比較まで考えて、一応規定された事項でございまして、むしろ、この条項があることによりまして、昼はお客が少いのだが、お話のような通勤時間によけいあるというときには、かえって現行法のこの規定支障になるというように考えております。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 私はこまかい条文についての質問を保留しますけれども、きょうは一応考え方だけをお伺いしておきたいのですが、もう一回念のためにお伺いしておくのですが、この説明書の中に「旅客定期航路事業に対する撹乱ともなる」という問題、あるいはその次の行の「運送秩序維持」この内容についてどういう現象が撹乱をしておるのか、どういう現象が輸送秩序が乱れておるというのか、その考え方について、ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  97. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 私から御説明申し上げます。秩序の撹乱と申しますか、それはやはり極端な例で申し上げますと、定期航路がダイヤ通り運航いたします。その直前に、不定期航路事業者が出てきて、むしろ定期航路に本来乗るべきつもりで来ている一般のお客さんをさらっている。これは一番極端な例でございますが、たとえば一つの例としてそういうことが考えられます。それから運賃につきまして、そのときの客の弱みにつけ込んで、場合によっては暴利を取った。それからまた定期のすぐ前等に、むしろ定期事業者の方をいじめようというような場合には、運賃を安いものでお客を誘引するというようなこと、こういうのが起っておるわけであります。そういうことが一番顕著な例でございます。
  98. 大倉精一

    大倉精一君 事業に対する撹乱というのは。
  99. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) そういった行為が不定期事業者あるいはまた他の事業者によりましてたびたび行われるということになりますと、結局、それでなくてもあまり経営状態のよくない旅客定期航路事業者といたしまして、非常に不採算になり、結局、長くその事業を完全に遂行することがむずかしくなる、こういう結果が招来するということであります。
  100. 大倉精一

    大倉精一君 それじゃ、その内容についての論議は今避けますが、事業を撹乱しないように、運送秩序を乱さないようにということで、免許をなさる。免許をなすったあとにおいて事業を撹乱するような現象が起り、それから運送秩序を乱すようなことが起り、不当競争の現象が起ったとしたら、運輸省はどういう工合に、どういう措置をされますか。
  101. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) そういう場合には、法律には事業の停止及び免許の取り消しの規定があるわけでございます。実際にはこれを直ちに発動するのではなく、そういった事業者を呼びまして、この法律のいわゆる行政指導と申しますか、そういう面でできるだけ指導をしていく。どうしてもそれがいつまでも守られない場合には、場合によってはこの取り消し、停止の発動ということも考えられるのではないかと、こういうふうに思います。
  102. 大倉精一

    大倉精一君 十六条の取り消しは、そういうことは書いてないのですよ、これは。
  103. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) この十六条の第一号でございます。第一号は「この法律又はこの法律に基く命令若しくは」——現行法でございますが「若しくは処分に違反したとき」となっております。つまり「この法律」というのは海上運送法に違反したということ。それで、海上運送法違反というのは、たとえば運賃は認可を受けなければならない、その認可運賃で実施をしなければならないということになっておるのでございますが、これがその認可運賃でないもので、あるいは運航計画を定めておりまして、その運航計画による運航を確保しなければならないという義務がございますが、これをその通りやらなかったというふうなことでございまして、これはいずれも海上運送法違反ということになる。従って、取り消し原因に足りるということになります。
  104. 大倉精一

    大倉精一君 私の疑問に思っておることは、これはその業者が違反すればそういうことができると思うのですが、要するに、あなた方が不当競争にはならぬ、不当競争をやらせちゃいけないのだ、事業を撹乱させちゃいけないのだ、交通秩序を乱しちゃいけないのだという、そういうために免許をおやりになる。しかしその免許をおやりになったあとにおいて、事業を撹乱する現象か起り、交通秩序を乱す現象が起り、不当競争が起り、ダンピングが起り、事業経営が危殆に陥るというような現象が出た場合に、どうしますか。そういうものは事業の停止及で免許の取り消しの中に入っていない。そういう場合に、いやえらいことになったといってほうっておきますか。(「タクシーに似たようなものだ。どうにもなりやせんや」と呼ぶ者あり)
  105. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 一応法律的  には、やはり海上運送法違反の事態が招来するのじゃないかと思います。
  106. 大倉精一

    大倉精一君 それでその場合には、法律によって、第十六条によって取り消しを行うとおっしゃるから、それを私聞いたのですけれども、私のほんとうに聞きたいのは、免許する者の責任だ、運輸省の責任ですよ。それを聞きたいのです。ですから、免許した上においては、優勝劣敗の原則に従ってこれはやりゃいいじゃないかというなら、免許なんかせぬ方がいい。免許する限りにおいては、これは公益事業であるからして、公益上差しつかえないと思って免許するわけだ。それがために、免許という一つの手段をもって運輸省がはんこをおされる。あるいは免許という一つの権限といいますか、そういうものを持っておる。同時に、その責任がある。それで今までの実例は往々にして、何らか外部の圧力や、いろんな顔や、いろんなつながりでもって、ほんとうの実情というよりは、むしろ免許してみたり、免許しなくてみたり、こういうことによって現在陸上運送というものにおいても非常な困難が起っておる。これはやっぱり免許した方に責任があると思う。そういう場合の責任について、たとえば旧法の例によるというと、そういうような不当競争から経営資産状態が悪くなったならば、これは事業の停止、免許の取り消しをやるということでしたね、旧法では。しかしこれでは資産状態がそういう不当競争によって悪くなったということは、これは一半の責任はやっぱり免許する方にあると思う。その考え方を要するにお伺いしているのです、今日は。その免許後におけるところの、そういう不当に秩序を乱し、あるいは事業の撹乱という状態が起り、あるいは不当競争が起り、タンピングが起り、それによって公益事業会社経営が不能に陥る、あるいは公益のために害が起ってくるといったようなことになった場合には、運輸省としてはいかなる指導をされるか、そしてその責任は一体どうなるのかということだけを一つお伺いしておきます。
  107. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) やはりただいまのお話のような場合には、運輸省といたしましては、行政上の責任はあくまでもあると思います。ただし、事後にいろいろ指導いたす場合には、普通に許されました行政上の指導措置といいますか、そういったもののほかには、やはりこの法律に書いてございますような認可、あるいは届出を取り、なおかつ法律命令に従わない場合には、これを許可の取り消しをするというふうな手段以外には、法律上の方法としては認められていないというふうに考えておるわけであります。しかし、なお許される範囲内での行政上の指導措置といったものは、できるだけいたさなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
  108. 大倉精一

    大倉精一君 まあ、これはあとにしましょう。私はこれは徹底的に、この問題は私も、海上運送だけじゃなくて、今の免許制度のしかれておる今日において、根本的な問題だと思うのです。私はしかも、この免許制度があるがゆえに、非常にこの問題が起っておる状態であると思います。私は免許制度そのものには賛成します。賛成しますが、内容そのものが非常に不備なるゆえに、非常に不必要な混乱が起っておる。それをまた繰り返そうとしている。この海上運送法にそれをまた今度繰り返そうとするところに、私は非常に疑義があると思うので、そういうことを聞きたいと思うが、これは後日の論議に譲るとして、この点一つ当局の方で十分考えていただきたい。
  109. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) お諮りいたします。本法案に関する質疑はまた次回に譲ることにいたしまして、今日は質疑はこの辺で打ち切ってよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  110. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それではさように決します。ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  111. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を起して下さい。  本日はこれにて散会いたします。   午後四時十五分散会