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1955-05-31 第22回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月三十一日(火曜日)    午後二時二分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            仁田 竹一君            早川 愼一君            重盛 壽治君            木島 虎藏君    委員            岡田 信次君            川村 松助君            一松 政二君            三木與吉郎君            内村 清次君            小酒井義男君            片岡 文重君            三浦 義男君            平林 太一君   政府委員    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸省海運局長 粟沢 一男君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省自動車局    長       真田  登君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    運輸省海運局定    期船課長    岡田京四郎君     —————————————  本日の会議に付した案件 ○参考人の出頭に関する件 ○日本航空株式会社法の一部を改正す  る法律案内閣送付予備審査) ○船舶積量測度法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○海上運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、これより運輸委員会を開会いたします。  最初に、気象台関係参考人を呼びたいという希望が出ておりますので、参考人を呼ぶことにつきまして、いかかでありましょうか。
  3. 木島虎藏

    木島虎藏君 委員長に御一任していかがでしょうか。呼ぶということはまあいいといたしまして、人数人選、その他については、委員長に御一任しては……。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、気象台関係参考人を呼ぶということに決定いたしまして、その時期及び人選委員長に御一任いただく、さよう決定いたしましてよろしゅうございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) では、決定いたしました。     —————————————
  6. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) まず、日本航空株式会社法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明をお願いいたします。
  7. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) 日本航空株式会社法の一部を改正する法律案提案理由について、御説明申し上げます。  日本航空株式会社が一昨年十月、日本航空株式会社法による特殊法人として発足して以来、すでに一年半以上になっておりますが、その間、国会の御審議を経て、初年度十億円、昨年度十億円と、合計二十億円の政府出資を行う等の助成策を講じて参りました。  しこうして、本会社経営路線は、逐次拡充されて参り、本会社路線における利用率も、国内線においては、国際水準あるいはそれ以上、国際線においてもおおむね国際水準に近い程度にまで達しております。  しかしながら、会社の経理の状況について見ますと、まず借入金が五十九億円に上るのみならず、その大部分が比較的短期間借入金であるため、多額の利子と資本的不安定に悩まされておりますとともに、収支の上でも、当初よりの悪条件経験の不足とに災されて、必ずしも良好とは申せないのでありまして、本年三月期決算において会社設立以来の欠損金が累計十五億四千万円となっております。  このような現状にかんがみまして、政府は、本会社資本構成改善をはかるため、本年度においてもさらに十億円を追加して出資いたす予定にしておりますほか、ことに国際競争力の点で不利な状況に置かれている本会社国際路線運航に対し、総額三億五千五百万円の補助金を交付するため、目下予算の御審議を願っている次第であります。  本会社経営現状から、このように政府助成措置を一そう厚くいたしましたことに対応して、差し当って政府による監督をある程度強化することが必要であると考えられますので、現行法改正いたしまして、所要の措置をとることといたした次第でございます。  その内容を大略申し上げますと、まず、従来代表取締役についてのみ運輸大臣認可制が行われておりましたのを、これを全役員に及ぼし、同時に、社長、副社長制を設け、また役員人数を法定し、かつ取締役の兼職に対して制限を加える等、責任体制法律上明確にするようにいたしました。さらに、運輸大臣認可を要する事項として、重要施設の取得と、毎営業年度事業計画資金計画及び収入予算とを加え、これらの計画及び収支予算の執行について、運輸大臣監督上必要な命令をなし得ることといたしました。  以上のほか、補助金の交付について、従来の規定国際航空運送事業育成趣旨が十分に表われておりませんでしたので、これを明確にすることといたしました。なお、認可事項増加に伴い、罰則の規定を整備するとともに、必要な経過規定を設けることといたしました。  以上、簡単ではありますが、本法案提案理由並びにその内容の概略を御説明申し上げた次第であります。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに可決せられますよう、お願い申し上げます。     —————————————
  8. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 本案質疑は次回に譲ることにいたしまして、次に、船舶積量測度法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、本件につきまして政府より発言を求められておりますので、これを許します。
  9. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) 先般申し上げましたこの法案提案理由説明の中から、一部分を削除いたしたいと思うのであります。その部分は、ちょうど提案理由の中ごろからでありますが、「最近の船舶は、技術進歩によって推進機関が次第に小型化してきましたので、機関室積量が前に述べました一定の比率以下になり、純積量が急に大きくなる船舶が著しく増加して参ったのであります」とあるのを、「増加して参ったのであります」で切りまして、それから数行削りまして、「きわめて不合理な結果を生ずるようになりました」まで削除いたしたいと思います。あと前回申し述べた通りでございます。
  10. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御質問のおありの方は、順次御発言を願います。
  11. 片岡文重

    片岡文重君 この積量測度法日本法律改正することは、申し上げるまでもなく、日本の船に適用するものですが、ところが、最近英国を初め改正されておる国は、まだ協定に加盟しておる全部には及んでおらないと思いますが、その点法律上に、また条約といいますか、幾分の差異が出てくるはずですが、そういう点について、日本だけが取り急いで可決して、法定して、不便が起らないのかどうか。
  12. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 実際、すでに法律改正して施行しておりますのはイギリスだけですが、しかしほかの加盟国もその趣旨に同意いたしまして、法律改正をやりつつあります。と同時に、また提案理由にもございますように、この改正によって船主の得る利益も非常に多いものですから、そういう情勢にあっては、できるだけ早く改正いたしまして、船主の負担を少しでも軽くするのが合理化じゃないかと、こういうふうに考えております。
  13. 片岡文重

    片岡文重君 ただいまの御説明は、日本の国内における適用は……私の聞いているのはそうじゃないのですが。
  14. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) もちろん、この法律改正いたしましても、従来の測度法でやったものはそのまま有効に認めますから、日本改正したために、あるいは外国が一部改正したために、お互いに不便を感ずるということはございません。
  15. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質疑はございませんか。
  16. 三木與吉郎

    三木與吉郎君 この改正以前、または改正いたしましても、この機関室積量が総積量の百分の十三から百分の二十の分が、それ以外の分に比べまして、非常に何と申しますか、純積量の数字が中心になりまして、どっちへ行きましでも非常にふえておりますが、これはどういう意味になっておりますか。どういう理由から来ているのですか。
  17. 甘利昂一

    政府委員甘利昂一君) 百分の十三から二十の間が三二%控除いたしまして、その前後においてはトン数に応じて比例して控除するようになっておりますが、今御質問趣旨は、百分の十三から二十までの間が比較的有利になっておるのはどういうわけかと、こういうふうな御質問だと思いますが、その間に入る船が一番多いものですから、それで従来ともそこが一番有利になっておるわけですが、最近いろいろな船の機関進歩によりまして、一三%よりちょっと下になるような船が比較的多くなって参りました。それが一番不利な条件になりますので、それを是正したいということで今度の改正になったのでありますが、御趣旨にありますように、全般として、機関室の容積に比例して控除トン数がふえるようにするのが最も合理的だと思いますが、しかし二二%から二〇%の間が一番多いものですから、もしそういうふうに改正いたしますと、非常に改測を要する船が多くなるものでありますから、たびたび国際会議でも議論されましたが、結局一度に改測する船が多くなっては困るというので、逐次改正したいということで、この改正だけをまず先に取り上げた、こういうふうな情勢になったものですから、日本としてもそれに相応して法律改正するわけでありますが、おそらく将来は、三木委員のおっしゃられたように、より合法的に改正される機運になるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  18. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ほかに御質疑はございませんか。——他に御発言もございませんようですから、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして、お述べ願います。
  20. 岡田信次

    岡田信次君 討論は省略いたしたらいかがでございますか。
  21. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 討論は省略いたしたいという御意見が出ておりますが、いかがいたしましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 討論は省略することに決定いたしました。  それでは、これより本法律案の採決に入ります。本案を原案通り可決することに賛成の方は、挙手を願います。   〔賛成者挙手
  23. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 全会一致でございます。よって、本案は、全会一致をもって、原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第百四条による本会議における口頭報告内容、第七十二条により議長に提出すべき報告書作成等、自後の手続は、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、報告書には多数意見者署名を付することになっておりますから、本案を可とされた方は順次御署名を願います。    多数意見者署名     仁田 竹一  三木與吉郎     平林 太一  小酒井義男     内村 清次  片岡 文重     早川 愼一  三浦 義男     木島 虎藏  川村 松助     岡田 信次     —————————————
  25. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、海上運送法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府より発言を求められておりますので、これを許します。
  26. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 前回の御質問で、非常に改正案が錯綜いたしておりますので、趣旨もはっきりわからぬというふうな御質問がございましたので、改正法案内容を一応整理いたしましたものを一枚の表にいたしまして、お手元にお配りしてございます。この内容の整理に従って御説明さしていただきたいと思います。  今度の改正主眼点と申しますのは、この一に書いてございます「改正中心をなすもの」でございまして、改正ポイントといたしましては(1)に書いてございます旅客不定期航路事業許可制をとるというのが第一点でございます。これは今度の改正中心でございまして、ただいまは旅客定期航路だけが許可制になっておりますが、旅客不定期——不定期と申しましても、やはり一定航路を定めまして不特定の多数の旅客を輸送いたしておるのでございまして、現在すでにそういう事業者が三百数十という数に上っております。これはやはり相当の、何と申しますか、交通機関としての重要性もございますし、あるいは観光等旅客を多数乗せまして、季節的に非常に重要な機関として活躍しておりますので、相当公益性もあり、あるいは安全面から見た規制が必要だと思いまして、特にこれが旅客定期航路に対しまして、ある特定期間に、一番客の多い期間にこういう不定期が非常にたくさん発生しまして、あるいは定期航路の出る時間の直前くらいに大多数の旅客をこれが吸収して運ぶというふうなことが重なりますと、旅客定期航路に対しても経営的に相当影響があるということになります。あるいはまた、最近のように施設あるいは技術等について遺憾な点がございますので、これが旅客の安全にも相当影響があるということでございまして、ただいまのように放任しておるということもいかがかと思いますので、あらかじめこれを許可制にいたしまして、できるだけその設備あるいは経営者能力等を勘案いたしまして、規制する必要があるというふうに考えるわけでございます。それが条文にいたしまして第二十一条から第二十三条の四までに書いております。  改正の第二点は、ただいま実施いたしております旅客定期航路事業に関する規定につきまして、安全関係の確保を考慮に入れたという点の改正でございます。その第一点は、免許基準、これは前回質問がございましたが、経営者能力という点に相当の重点を置いて免許を選考いたしたいというふうに考えております。また、その航路を許可することが公益支障がないかどうかという点についても考慮いたしたいというふうに考えるわけでございます。この事業を的確に遂行する能力、あるいはその事業免許するかとが公益支障がないかどうかという点につきましては、道路運送法、あるいは航空法、その他一般交通関係事業免許基準といたしましては、いずれも入っておるのでございまして、海上運送法だけがこの規定が抜けてないわけでございます。なお、実質上の問題といたしましては、経営者相当の経歴を持ちあるいは知識経験があるということが、その事業の遂行、特に安全の面におきまして、大事なポイントではないかと思うのであります。また公益上の支障という点につきましても、非常に混雑いたしております港内、あるいは運航上非常に困難である急流河川等におきましては、やはり安全運行の見地から相当考慮した上で、この免許をするかどうかという点を考えなければならないというふうに考えるわけでございます。ロの事業の停止及び免許取消と申しますのは、免許取消の中に、たとえば安全関係法令に違反した場合には、事業といたしましては、この免許取消ということが一番痛いのでございまして、安全関係法令を遵守させるためにも、取消の事由にぜひそういうことを入れたいという考えで設けた改正でございます。ハは、船舶あるいは運航のための設備改善命令を加えたのでございます。たとえば棧橋が相当老朽して参りまして、これが旅客の安全上にも支障があるというような場合には、これを改善する命令をする必要があるのじゃないかというふうに考えた次第でございます。これが条文にいたしまして第四条、第十六条、第十九条に該当する規定でございます。  次には、ただいま申し上げましたのは、今回の改正主要点で、この改正を行う機会に、現在までの規定の不備なところをこの機会に是正しようというのが、以下(1)から始まりまして(9)までございます。  まずその第一点の定義でございますが、これは第二条の前回質問がございました、「有償で」という字句を入れたような改正でございます。これも大体道路運送法その他の交通関係事業規定には、「有償」という字句が入っておるのでございまして、無償の例も、前回申し上げましたように、たとえば市町村等公共団体が渡し舟を経営しておりまして、無償でやるという事例もございますが、これを特にこの規定によりまして規制するということはやや妥当でないというふうな気持もありまして、一般の例に従いまして、有償に該当するというようなつもりで考えたわけでございます。これが第二条でございます。  第二点は、旅客定期航路につきまして、一般旅客定期航路事業特定旅客定期航路事業とを分けたわけでございますが、これは現在分類してありませんために、特定旅客定期航路につきまして——特定旅客定期航路と申しますと、たとえば協同組合経営する航路等につきまして、その組合組合員あるいはその家族等特定範囲のものを対象にした定期航路でございますが、こういうものに本法規定を適用いたします場合に、実際上多少疑義のある点もございまして、たとえば第十二条に旅客運送引受義務というふうな規定本法にはございます。これは一般特定多数の旅客を輸送する場合には、そういう義務を課する必要があるのでございます。こういう特定の限られたものだけに限定する場合には、必ずしもそこまで義務を課する必要がない。あるいは十三条に旅客によって差別的待遇をしてはいけないという規定がございますが、こういう場合は初めから特定のものという前提を持っているわけでございます。それに差別的待遇というふうな規定考えますと、やや矛盾するという点もございますので、そういうものはこの特定旅客定期航路事業規制からははずすのがほんとうじゃないかというふうな考えから、分類したわけでございます。これが第三条です。  それから(3)が運輸審議会公聴会必開主義の廃止でございますが、これも一般には公聴会は、運輸審議会の、運輸省設置法規定規定されているのでございます。海上運送法だけ必ず免許の場合には公聴会運輸審議会が開かなければならぬという規定になっておるのでございます。事実上、実施いたして参りますと、たとえば競争航路一つもない、その利害関係者一つも反対はなくて賛成しているのにもかかわらず、公聴会を開いて相当期間をかけなければ手続ができないというふうなことでも、実際上期間も延びますし、不便もございますので、一般規定に従いまして、運輸審議会が必要と認め、あるいは運輸大臣が開くことを指示した場合、あるいは利害関係人から申し出た場合には、公聴会を必ず開くという規定一般規定にございますので、それによって十分ではないかというふうに考え、第六条を改正いたしたのでございます。  次は、事業休止期間限度を一年とする。これは現在限度がございませんので、一年以上も休止したままほうっておくという例もございますが、これは一度事業免許を受けておりますと、次に免許申請をいたした者がある場合に、すでにその事業免許を持っている者がありますと、需給関係その他の関係からあとの者が制約を受けるわけでございまして、やはり適当な期間を限って、それ以上延びた者にはもう免許を取り消すというふうなことが妥当ではないかと思うのでありまして、限度を一年と定めたわけでございます。これが十五条でございます。  次は、会社以外の法人の合併、解散の認可制でございますが、現在の規定会社だけ規定してございまして、先ほど申し上げましたように、協同組合等がございますので、会社以外の法人の場合でもこれは追加をいたしたわけでございます。  次は、対外旅客定期航路事業運賃料金等公示及び届出でございますが、これは貨物の場合には現在運賃等公示するということになっておりますが、旅客の場合でも運賃公示等は、利用者の保護という上からも、あるいはまた事実上からも必要なことではないかと思いまして、この規定を入れたわけでございます。  次は、貨物定期航路事業届出事項及び賃率表の変更の届出でございます。これは貨物定期航路事業を開始いたしますと届け出ることになっております。また賃率表も届け出てこれを公示しなければならないという規定に現在なっておりますが、これが変更した場合のことが現在欠けておりますので、やはり変更した場合も届出をしあるいは公示をするということを規定したわけでございます。  次は、免許等条件であります。これは条文がばらばらになっておりましたのを整理したのと、及び一般的に条件を付することができるというふうな規定にして、免許等の実施に限度を限ったものでございます。  次は、職権委任範囲の拡大でありますが、これは地方海運局長運輸大臣職権を現在非常に狭い程度に委任しております。これは地方事業者等にも非常に不便でございますので、相当広い範囲にわたってこれを委任いたしまして、実際事実上の便利に資したいという考え方でございます。  以下、三、四は、すでに法律改廃等がございまして死文化したものの規定を削除したもの、あるいは条文が変更いたしましたために第何条第何項というのを直したという程度改正であります。
  27. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  28. 片岡文重

    片岡文重君 この海上運送法の一部を改正するに当って、聞くところによりますと、通船業者等からもいろいろ陳情があったということを聞いておりますが、そういう点陳情がなされたのかどうか。それからなされたとすれば、陳情内容はどういうことであるのか、お聞きしたい。
  29. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) 大てい運輸省というのはいろいろな陳情がありますが、この問題に関して大臣のところへ行くのは、最初私のところで陳情を受けることになっております。この問題に関しては、一つも私は陳情を受けたような記憶がありませんが、直接局長の方へあったかどうかしれませんが、政務次官大臣のところへはなかったようでございます。
  30. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 私も通船業者から陳情があったということを聞いていないのであります。実は横浜港内通船相当ございまして、これが横浜港の海難防止あるいは安全の点から見て、非常に工合別悪いじゃないかという点の、陳情と申しますか、お話がございました。海難防止会というのがございまして、その防止会の方からもございましたが、ぜひ大型船その他の運行の安全上から、ああいうふうに横浜港に通船を、何と申しますか、放擲しておいてふやしては困るという御意見がございました。これも私はごもっともかと思いまして、港則法その他の関係で何とかならぬかというような研究もしたのでありますが、できればこの海上運送法でもそういうものをある程度何とか考えまして、それによって許可制にすれば、何とか防止できるのではないかと考えたのであります。従いまして、先ほど申し上げました免許基準公益支障がないかどうかという規定を入れましたのは、そういう点を考慮して、危険であれば許可しないということを考えた次第でございます。御質問に合うかどうかわかりませんが、その程度であります。
  31. 片岡文重

    片岡文重君 そうしますと、通船業者からではなしに、むしろ通船の何と言いますか、増加によって、そうしてしかも違法装備といいますか、あるいは違法運航といいますか、そういうことで、正規に法に従ってその港内運航する船舶にかえって支障を逆に与えておるから、そういう通船に対してこの際、この海上運送法の一部を改正するときに、何らか考慮してくれ、こういう陳情があったように私は聞いておるのですが、今の局長の御説明はそういうことなんですか。
  32. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) その通りでございます。
  33. 片岡文重

    片岡文重君 そうしますと、それに対して海運局でお考えになっておられるのは、直接その通船対象にして何か特別に措置考えておられるのか、この海上運送法の今次の改正でそれが防止できるというふうにお考えになっておるのか、その点はどうでしょうか。
  34. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 需給関係あるいは公益との支章というふうなものを考慮いたしまして許可するのでございますが、今後は新たに許可を受ける場合には、そういう点も相当考慮して考えられる、許可できるというふうに考えております。
  35. 片岡文重

    片岡文重君 そうすると、別に通船の取締りといいますか、そういう安全を、港内の安全を保持するためには、別に立法を考えておられないということのようですけれども、むしろ通船の問題は、この海上運送法改正するということよりも、港内全般の諸作業を対象としたそれだけの単独立法で、港内の安全を維持する方がいいのではないかと、こう私たちには考えられるのですけれども、海運局としてはそこまではお考えになっておられませんか。
  36. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 確かに、御指摘の通り港内としましてはそれに一番適合するような法律改正をすればいいじゃないかと私どもも考えまして、なおこれは検討中でございます。なおこの海上運送法改正によりまして、先ほど申し上げましたように、相当程度考慮して、そういう点も実施できると思いますけれども、これだけで十分だとは私どもも考えられないのでございまして、なおその必要があるということは考えられますので、検討は続けております。また、この海上運送法改正につきましては、港内だけでなくても、先ほどちょっと申し上げましたように、特別のたとえば河川等がございまして、こういうところへ需要があっても、安全上の見地からその二本も三本も許可してはいかがかというような問題もございますので、このこちらの改正はできるならばお願いしたい。港内の問題についてはなお検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  37. 岡田信次

    岡田信次君 今回のこの改正は、例の相模湖事件が多少動機になっているのですか。
  38. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) はっきり動機と申しますか、ああいう点も私どもは考慮しながら、改正を願ったわけであります。
  39. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、それはさっきの基準の第四項ですか。
  40. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 四項と申しますより、むしろ第五項に該当するのじゃないかと思います。
  41. 岡田信次

    岡田信次君 そううすると、ああいう相模湖事件みたいなものは、多少海上運送法が不備だったからということをお認めになるわけですか。
  42. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 結果的に見ましてそういうふうに考えられるかと思いますが、具体的に申しますと、たとえばあの場合に経営者がそういう知識があまりなかったか、あるいはあっても故意にそれをまあ値切りまして、若い船長が無理やりに定員以上のものを乗せたというふうな点につきましては、やはり今回の改正をいたしますれば、ある程度は防げるのじゃないかというふうに考えるわけであります。
  43. 岡田信次

    岡田信次君 もう一つ、この第二条の「有償」のところですが、今までさっきお話のあった市町村の渡し舟程度事業にも、海上運送法を適用しておったのですか。
  44. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 現在の規定では「有償」と書いてございませんので、実際の扱いにおいては適用いたしておりません。
  45. 岡田信次

    岡田信次君 どうも先日のときといい、また今のときといい、ほかの法律にこういう字が入っておるからと言っておられるのですが、特に無償でやっておるという例をあまり御存じないようだし、改正するに当って特に「有償」というのは、ほかの法律に合せるがためなら、そのために特に入れる必要はないと思うのですが、
  46. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 一般の例で先ほど申し上げましたが、やはり例としましてあるのは、規定上やはりある程度の意味があるだろうと存じますので、たとえば運航開始の義務等につきましても、特別なそういう義務を課するというのは、無償のものまで果して課して妥当であるかどうかという点も多少考慮されたのではなかろうかというふうに考えるわけであります。
  47. 岡田信次

    岡田信次君 だけれども、海運局長はほとんど御存じないほど、無償というのは例がないのでしょう。
  48. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) おっしゃる通りでございます。
  49. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、まあ初めて法律を作るときなら別なんですけれども、あらためて改正するのですから、ほとんど何というか、そう害のないものを、特にほかの運送法とあわせて……やはり海の運送、陸の運送、空の運送、それぞれ違うのだし、一つくらい特長のある法律があっていいのじゃないですかね。
  50. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 現在の規定でございますと定期航路事業だけ規定いたしておりますので、これを今回不定期まで拡げますと、現在の範囲より若干適用範囲が広くなるのじゃないか。そういう点におきまして、大体事業法規としましては無償までこの規定で縛るということになりますと、範囲もさらに広くなりますので、これに該当するものもさらにふえてくるおそれがあるというふうに考えられますので、できれば、やはり事業法規としては有償のものだけを規定いたしたい、こういうふうに考えております。
  51. 岡田信次

    岡田信次君 私、それでもう一つお伺いいたしたいのは、不定期航路事業というのは大体、実例としてはどういうことですか、不定期航路……。
  52. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 先ほどお話の出ました港内通船等にも、相当ございます。あるいは河川等におきまして、定期ではないけれども、作業が相当たまればそれぞれ出るというのも相当ございます。あるいはよく言われます遊覧船等でも相当の数がありまして、現在わかりました程度では、およそ三百数十程度事業者が運船いたしております。
  53. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、そんなに三百幾つもあるとなると、不定期航路というより、定期航路にしちゃうわけにはいかないのですか。
  54. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 定期になりますと、一定航路を必ず定めていかなければならぬということになりますと、事業者としてもやはり必要性から、不定期で済むものは不定期のままでしたいというふうになるのじゃないかと思います。
  55. 岡田信次

    岡田信次君 そうすると、あれですか、大体定期航路を持っておって、そのほかに同じ船会社か何かが不定期事業をやっているのですか。
  56. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) そういう定期の業者が不定期をやっておりますのも相当ございますし、不定期だけでやっておりますものも相当ございます。
  57. 一松政二

    ○一松政二君 海運局長に僕は先日、提案理由のときにちょっと出席していなかったので、さっぱり理由がわからぬということを申し上げたのですが、提案理由説明を書類の中から出して読んで見たけれども、私はこの不定期旅客船ですね、これを取締まる、この目的が、私はもう去年、おととしから口をすっぱくして言っているように、何か需給の調節上から、何か必要だというようなことを力説しておられるのですが、私はそんなことは官庁にできるはずはないと前から言っておる。たとえば、今のこのタクシー業者を御覧なさい。これは需給の関係を一番目的にして、その数量から行政区域から、いろんなことを、まあ官庁流に言えば、それぞれ勘案して、そうして最も適当と信じて許可しているはずなんです。それでいて、今日この東京、大都市はタクシーのはんらんしていることを今さらのごとく人が問題にしているのですが、これは運輸省における自動車局は、その需給を一番の許可の標準にしてやったはずなんです。また船のことは、たとえば瀬戸内海などにおいて臨時に修学旅行をやるとか、あるいは何百人かが集団してどこどこに行きたというのに、船を回してくれと言われた場合に、それを一々取締るのが今度の海上運送法の一部改正の目的ですね。これはそれを取締るというより、不定期船というやつはもともとお客さんがあって初めてするのですが、そうすると、お客さんがあるなしにかかわらず、あらかじめ一応許可を申請しておかなければならぬ。そうすると、今度は航路は一々変ってしまって、たとえば大阪のごときであったら、小豆島へ行ったり、あるいは讃岐へ行ったり、その航路が一々私は違うことになると思うが、そのようなものが一一何らか許可を得なければならぬことになるのではないですかね。
  58. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) あるいは現実に御指摘のような事態があるかとも思いますけれども、ただいま最後に御質問のございましたほんの臨時的な——臨時に頼まれて、お客さんがありましたら、何もきまっておらないところへお客を運ぶというようないわゆる臨時運航というようなものは、今度の改正では考えておりません。やはり一定航路をきめまして、時間的には定期ではございませんけれども、相当継続的な事業としてやるというものだけ考えておるのでございます。
  59. 一松政二

    ○一松政二君 それは大体年じゅうやるということが……。しかしそれはちょっとおかしいな。お客さんがなければやらないし、あればやるけれども、それが一応年通しで——そういうものは考えられますか。何か実例を一つあげてもらいたい、そういういわゆるお客さん目当ての船というものがありますか。
  60. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) たとえば、横浜港内通船というようなものでも、時間をきめてやっておるものもございます。時間がきまっていないが、ある程度お客がたまれば出るというのもございます。
  61. 一松政二

    ○一松政二君 通船みたいなものは、もともと許可制でしょう。
  62. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 現在は、定期に日時をきめて出るものだけが許可制でございます。従いまして、不定期でありましても非常に定期に近い、時間だけがきまっておらないが、三十分か一時間おくれても大体似たような時間に出るものを、現在は不定期といっております。こういうものが相当あるわけです。
  63. 一松政二

    ○一松政二君 それなら、そういうことをあらかじめ考えておる人だけに適用しよう。たとえば瀬戸内海などは、春や秋の遊覧時期に、人を乗せて臨時船を出す、不定期の。そういうものには全然これは適用ないわけですね。
  64. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 御指摘のように、ほんの臨時のお客があった場合にたまたま出るというものでございますれば、ございません。
  65. 一松政二

    ○一松政二君 たまたまといったって、二、三カ月なら二、三カ月、たとえば瀬戸内海によくあるでしょう、そういうのが。そういうものがこの法の対象になるのですか、ならないのですか。
  66. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 季節でございますれば、相当期間反復してそういう事業をやるというものは、適用対象になるのでございますか。
  67. 一松政二

    ○一松政二君 そういう法律だから、危なくてしょうがないのだ。あなた方の認定次第で……。この基準を見ると、すこぶるぼんやりした基準で、そうしてあなたがたの考え次第でどうにでもなるような基準が示してある。一つもはっきりしていない。つかもうと思えばどれでもつかめるような網がかぶせてある。私はこれを非常に不思議に思ったのです。あなた方の認定次第で、相手方のいかんにかかわらず、あなた方が認定すれば……。それをこれは適用範囲外だと言えば、これは裁判所で争う以外にしょうがないような基準になる、この基準を見ると。これは私は少し、行政官庁としてはあまりに範囲がぼんやりしておるというのか、広過ぎるというのか、まだほかにいろいろあるだろうと思うけれども、私は今の免許基準というようなもの、あまりにこれがぼんやりしているし、どうにでもなる。  それからさらに、あるいは季節業者、たとえば大いに問題になるのは、私の大分県にもそういう問題が強いが、たとえば別府航路みたいなものは関西汽船の独占だ。それに向って、お客さんの臨時船が出ることは——関西汽船としてはサービスは一つもよくならない、あれは独占航路だ、ほかのものに許せというと、運輸省はこれは許さぬ。そういうところへ、遊覧船が出る。いつもじゃましているのは、ピアを自分がこしらえたのだといって、今度その観光港ができ上ってしまえばそれでいいが、あれも去年台風でもってやられて、今やや直っている。まだ使っていない。そうして関西汽船だけが使っている。そこへ持っていって、臨時のお客さんを乗せるような臨時船がいいとなれば、もう沖がかりでやっている。あるいは大分港に入れるということ、そういうこともあなたの方のこの法律によれば取締りの対象にし得る。関西汽船が、こういうことによって私の方はお客さんを取られては困る、これは交通秩序を乱すもはなはだしいじゃありませんかといって、これを取り締り得るのですよ、この法律から見れば。そういうことをやっぱりお考えに入れてこの法律をこしらえているのですか、どうですか。
  68. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 一定航路をきめて反復継続的にやる事業ということで、普通に呼んでいる事業法の事業という意味で考えておりますので、御指摘のようなことは考えておらないのですが……。
  69. 一松政二

    ○一松政二君 その取締りの対象になるのですか、ならないのですか。
  70. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) なりません。ならないという解釈をして、規定いたしておるわけでございます。
  71. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、焦点をもう少ししぼる必要があると思うのですね、もっとはっきり。たとえば、そういう港内の遊覧船をやるとか、それからどこかへ渡し舟を渡すというのが、それが定期航路だとかなんとかいう大げさな言葉にあてはまるのですかね。たとえば、館山とどこか横浜なら横浜、そんなものの渡船を定期航路といえば、文字通り定期航路かもしれぬけれども、われわれが海運政策上でいうような定期航路という概念にあてはまるのですか、それが。あるいは河川上のどこかへ三十人か五十人ずつ乗せて行っているもの、これは通船、渡し舟といえば、フェリー・ボートといえば番はっきりわかるけれども、これは定期航路という概念に入るのですかね。
  72. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 対外定期航路等と比較して考えますと、本当に月とスッポンのようでおかしいのですが、言葉の上から申しますと、一定の日程表で定期にやっております事業でありますから、定期航路でございます。
  73. 一松政二

    ○一松政二君 たとえば、隅田川で夏になるとモーター・ボートみたいなものをやっておりますね。ああいうのも定期航路ですか。
  74. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 隅田川のは多分入っておらないかと思います。これはトン数規定がございまして、河川の場合にはトン数……。
  75. 一松政二

    ○一松政二君 五トンとかなんとかなっている。
  76. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 河川の場合には、たしか二十トン未満は入らぬことになっておると思います。それを、旅客の定員が十三人未満という小さいものは、この中に入っておりません。
  77. 一松政二

    ○一松政二君 まだ私は他日に質問を留保しておきますが、ともかく私がこれを読んだ感じでは、私がかねて、運輸省がレール一本敷いてそれで汽車を走らせるような考えで、海上運送やその他を、あるいは道路運送を取締る。一口に何か、交通秩序、交通秩序と言いますが、この交通秩序のことからいうと、近ごろわれわれが驚くほどいわゆる観光自動車というものが、あるいはどういうふうに——。あなたの方の係ではない、運輸省のあれは自動車局かどこか知りませんが、遊覧自動車の許可があるようですが、あなたの方の手心一つ、感じ方一つで、法律の適用が自由になるような考え方の法律は、私はできるだけない方がいい。はっきりした、そうして、たとえば係官の一つの感情で、おじぎの仕方が悪いために、おじぎの仕方が悪いばかりにつむじを曲げられたらそれでおしまいだというようなことがよくあるのです。行政官庁には。そういう網にかぶせるためにこしらえた法律のようなにおいがしてしようがないのだ、私は。
  78. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 私どもとしましては、そういう意思は少しもないのでございますが、まあ適用上十分注意したいとは思っております。
  79. 一松政二

    ○一松政二君 それは殷鑑遠からず、昨年ですか、一昨年ですか、例の臨時船舶建造調整法なんていうようなものを、あれほどの欠陥のある法律をこしらえて、そうして基準を二つも出して、私から訂正を求められたようなぶざまなことをやっているわけなんです。私はあれとは違うけれども、形においては違うけれども、思想系統は一つにしていやしないかと思う。そこが私の一番強く頭に響いている根本なんです。私はあの法律を酷評して、おじぎをさせに来る以外の何ものでもない。当然許可をしなければならぬことが、はっきりうたってある。そして許可しなければならないというのに、国有鉄道のいわゆる連絡船あるいは引き舟みたいなものまで、あの法律でひっかぶせてしまってあったわけです。そういう私はにおいがしておるので、これはまあ私の感じを今日はそっくりそのままを申し上げたのですが、そういう意味の法律は、私は、益するところより弊害の方が多いのじゃないか。これをやらなかった結果は、一体今まで、ここに何か理屈を並べてありますが、提案理由にも。一番弊害の大きなものを一つあげてもらいたいのです。これをやらない場合の弊害がいかに大きいかということ、それはいかがでしょうか。
  80. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 具体的にどの例と申しますのはちょっとはばかりますけれども、たとえばある定期航路があります。その定期航路に並行に不定期事業を開始いたしますと、これが不定期でございますから、一方は日時を定めまして、今日の二時なら二時に出発するということをきめておるわけです。それに対しまして、不定期が一時半に出るということにして、これは不定期でございますから、毎日一時半に出る必要はないのでございますけれども、相当お客を集めて一時半に不定期が行ってしまうということになりますと、二時に出る定期の方は、そのために旅客を持っていかれますので、非常に少くなる。特にそういう例が観光季その他、季節によりまして相当あると思います。そうしますと、一般の定期というものは、ある程度公益事業でございますので、運賃相当低く定めております。それが年間を通じまして大体採算のとれるような計算で運賃を定め、運航をいたしておりますわけでございます。それが事実上は相当観光季その他の客の多いときに稼ぎまして、冬季等のお客の少いときにあらかじめそれでカバーするというような計算を立てておるわけでございます。それが不定期が観光客等のお客の多いときに、そういうことをいたしましてお客をさらってしまうということになりますと、定期の方としても採算上非常に困る。公益性のある定期航路がむしろそれで、事業の基礎が脅かされるというふうな例も考えられるわけです。事実これはあったことでございます。
  81. 一松政二

    ○一松政二君 それは、例を具体的にあげてもらいたい。どこでどういう例があったのか。今の概念的ではなくして……。
  82. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 私から例を申し上げます。瀬戸内海などには島がいわば無数にあるわけでございますが、そこを、その島と本土との足船の役目をしておる定期航路事業者が、実は非常に数多くある。そういったその事業者がやっております航路に並行いたしまして、一定の観光シーズンなどになりますと、本業は貨物の輸送のみやっております機帆船、あるいは——主として機帆船でございますが、そういうものが観光シーズンの三カ月とか五カ月とかいうような期間には、貨物の方をやめまして、そうして人の運送をするということが非常に数多いわけでございます。こういう点は、瀬戸内海などではむしろその方が常例であるというふうなことになっておるわけでございます。
  83. 一松政二

    ○一松政二君 しかし、それが許可をあらかじめ受けておけば、いいわけでしょう。一々やる必要はないわけでしょう。それをそのときに、許可を願い出た場合に、この基準に当てはまると相手側は考えてやるわけです。その際にあなたの方では、この基準に合わないからやらない。そうしてそんなことを論争している間に時がたってしまうわけですが、免許がなければやれないわけだ、届け出じゃないわけだから、今度は。そうすると、そこへ非常な論争が起ってくる危険はありませんか。
  84. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) やはり申請者としましては、相当の資料を集め、あるいは挙証をして申し出たわけでございまして、いろいろそういう点を公聴会その他で聞きまして、審査するわけでございます。当然申請者の方は自分の主張を主張するということになるわけです。
  85. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、今のタクシー業者と同じような名義借りという問題が、また起ってきますよ。
  86. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 名義貸しにつきましては、想定上そういう明文はうたってございませんが、免許基準の第四条の第四号には、「当該事業を営む者の責任の範囲が明確であるような経営形態であること」いう点で、名義貸しはさせないつもりであります。
  87. 一松政二

    ○一松政二君 それは法文に幾らうたってあっても、経済行為を営むものは食うか食われるかでやっているのですからね。そういう、運輸省が机上で文字をひねくってやっておるのとは違うのだから、それはいろいろな知恵を出してきますよ。あなたの方が取締ろうとすれば、取締れば今度は逃げようと思って、そいつを逃げることばっかり考えるので、何か別な方向からものの考え方というものはないのでしょうかね。こういうただぼんやりした基準で、運輸省の係官だけの考え方で免許制というものを設けているのですが、それで従来それを適用していなかったところへ新しく適用しようというのだから、かなり何が起ってくるのじゃないかと思う。しかもその相手方が、今の瀬戸内海の話を聞けば、あまりに小さ過ぎますよ。何か小者いじめみたいな格好になる。運輸省としていわゆる外国航路のことに一番頭を費やしているはずの海運局が、何か瀬戸内海の渡しの取締りに専念するような法律改正は、どうかと私は思うのですか、あまりに何だか、それは大きな法律を、それこそ七つの海に適用するような法律を——その改正の目的が、どこかそんな島と島とをつなぐ渡し舟を運用の目的として改正しているというのは、あまり焦点が小さくないかと思うのですが、そういう感じはいたしませんか。
  88. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) やはり海運局といたしましては、外航の非常に大きな問題、もちろんこれは大問題でございますが、局内にやはり国内の定期船を専門にしておる課もございまして、これは私どもの職責に入っておるわけでございます。業態が小さくても、一方に公益性のある定期航路事業というものもありまして、これの維持という点についても相当心配をしなければならぬ。また同時に、これらの船に乗る旅客につきましても、旅客の利便を保護する、あるいは安全性の確保をはかるというようなことも、事柄は大小は別といたしまして、私どもとしてはやはり一生懸命努力しなければならぬことだろうと思うのであります。
  89. 一松政二

    ○一松政二君 それは世の中のことですから、日本では昔からどろぼうにも三分の利があるというんだから、物事に理屈をつけて争おうと思えばどこまでも——ただその利が、大きな大局から見て、多いのか、大したことがないのか。あるいは四分と六分の違いじゃないか。どろぼうにも三分の利があるといって、どろぼうでないやつがようよう七分の利を得ている。物のたとえにはそういうことまで言うのですが、法律改正する必要があるんだ、そういう弊害があるんだと力説してしまって、そのことのみを念頭に置くと、いかにもそれをやらなければならぬと——角度を変えて見るとまたさほどでもないというのが、世の中にはありがちなわけなんですが、今さっき例にあげた瀬戸内海の渡し舟の関係からすれば、これは例の保険の問題があったときにそういう問題があったと思うんです。島と島との間を、しかもそれは小さな舟と思うんですがね。相当規模の、たとえば瀬戸内海として最も大きくやっておるのは、われわれの同僚の仁田君の瀬戸内海汽船が一応瀬戸内海の定期航路としては、いわゆるああいう関西汽船とかいろいろなものを除いては、相当規模の大きいものじゃないかと思うんですけれども、かりに不定期であるけれどもしかし航路はきまっておるというんでしょう、この法律でいえば。そういうので、相当規模のものがありますかね。
  90. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 先ほど申し上げましたように、数といたしましても三百からございまして……。
  91. 一松政二

    ○一松政二君 会社ですか。
  92. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 事業者の数として三百でございます。
  93. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  94. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を起して下さい。
  95. 一松政二

    ○一松政二君 そういう既設業者を保護するという立場から、不定期船も免許制にして、そうして既般業者の事業撹乱になるようなことを防止するということが一つの目的のように見える。しかしながら、そういうことから持っていって、営業にならぬものはやらぬに違いない。営業になるとすれば、それはそれだけの船腹の需要があるはずなんだ。引き合わないところを、定期航路ならやむを得ずこれはやりますが、不定期のものはお客さんがなければやらないでもいいわけなんだ。それが不定期の狙いのはずなんだ。ですから、その不定期まで私は取締りの対象にされるという、しかもそれは定期航路と差別はないでしょう、この取締りになれば、この法律の適用は。定期航路と不定期航路の取締りの差別がありますか、まずそれから伺います。
  96. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 私からお答え申し上げます。不定期の場合には、定期ほどその事業そのものの公益性は強くないという観点から、定期と比べまして、多少準用になっておりますが、それの準用をはずしている点がございます。
  97. 一松政二

    ○一松政二君 たとえば……。
  98. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 大体適用の対象といたしまして、準用いたしますのは、運賃料金、運送約款、運航計画という点は、これは準用いたしておりますが、はずしております方は、運送引受義務、あるいは運送の順序、たとえばこういうものははずしてございます。
  99. 一松政二

    ○一松政二君 不定期であるから、そのとき勝負で行くのだから、たとえば運賃だとかなんとかいうのは一定した表を掲げるわけにはいかないでしょう。そのつどそのつど違い得る。極端にいえば、そのつど違い得ると思うのだけれども、その点はどうですか。
  100. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) その点に関しましては、この不定期が、先ほど局長からも御説明申し上げたと思いますが、一定航路において船舶をきめまして、継続的あるいは反復的にその船を動かして行うという場合でございますので、大体運賃の点もそういう点からきまってくるわけでありまして、もっともこれが一般乗合いの場合と貸切りの場合もやはり予想されるわけであります。貸切りの場合には、今先生のおっしゃったようなことが問題になり得ると思うのでありますが、その運賃認可基準と申しますか、それはそういった貸切りの場合と一般乗合いの場合とは異にして考える。そういうことで調整がとれるのじゃないかというふうに考えております。
  101. 一松政二

    ○一松政二君 この旅客定期航路事業の現況という資料の中に、一月三十一日現在で事業者が三百二人であって、隻数が五百六十六トン。そうすると、これは一人の事業者が二そう持っていないのです。一そう七、八分かもしらぬと思うのです。それでそれらの、これは十三人以上ということになれば、ほとんど小さな小舟まで入ってしまうのだろうと思うけれども、これのこまかいことは運輸省にはむろんあるのだろうと思うのですがね。この三百二人ある全部、これは免許をやるとすると、全部免許を申請しなければならなぬ相手方ですか、これは。
  102. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) これは現在はまだ不定期で、単にその事業を届けておくということになっておりますが、この事業届出というものは必ずしも全部行われていないというわけであります。そういう関係で、これだけに限定される。また、これだけのものは必ずちょうど今度の旅客定期航路事業に該当するものであるかどうかということについては、実は必ずしも実情把握はできていない分もございます。大体の調査によれば、この程度に推定されるということになるのであります。
  103. 一松政二

    ○一松政二君 結局、運輸省のねらいとするところは、私ははしけみたいなものだって、十三人乗るはしけは小さなはしけだと思うのですがね。そうすると、いやしくも人を乗せて、百メートルか二百メートルの川幅でも、これを運航しているというものは、全部これの適用の範囲の中に網を打ってしまおう、そういうことですか。
  104. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 定員が十三人でございまして、一定航路を持ち、継続的、反復的にやるものは、大体入るというふうに考えております。
  105. 一松政二

    ○一松政二君 私は他日に留保いたしておきまして、さらに研究の結果、質問をいたします。
  106. 仁田竹一

    仁田竹一君 簡単に、わからないところだけ一つ聞かしていただきたいと思います。旅客航路事業は三つに分れているわけでございます。旅客定期航路旅客不定期航路と、特定旅客定期航路事業というのですが、それで、その一の旅客定期航路事業は一応認可基準が表わされておりますが、能力あるいは公益上というような多少の問題はありますけれども、とにかく一応の基準が出でいる。不定期航路事業といえども、関係法規と申しますか、船舶安全法、船舶職員法、海上衝突予防法、いろいろなこういうような定期旅客船を運航しますに必要な法規は、やはりこれは適用されるものだと思いますが、それは不定期の場合といえども……。
  107. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 御指摘の通りであります。
  108. 仁田竹一

    仁田竹一君 そうしますと、一応航行には安全なものと考えていいわけでありますが、認可基準は何によるのでございますか、不定期航路の場合は……。
  109. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 第十九条の三によりまして、第四条の規定のうち三号から五号までは適用を除外するのでございますが、その他の規定基準として適用されるわけであります。
  110. 仁田竹一

    仁田竹一君 その他はどうです。その他定期航路事業とどこが違うわけですか、認可基準は。そう聞いているのですが。
  111. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 不定期の場合には、第二十一条によりまして第四条の基準が適用されるわけでございます。
  112. 仁田竹一

    仁田竹一君 そうじゃないのです。ここにせっかくあなたがお出しになった改正点というのがありまするので、それによりますと、航路事業に対する基準が示してあるわけですね。あれと一体どこが違うのですか。定期の場合も不定期の場合も、同じだというのですか。基準が違うというのですか。
  113. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 「当該事業利用者の利便に適合する運航計画を有すること」という基準だけが適用にならない。その他の基準は全部同じ基準でございます。
  114. 仁田竹一

    仁田竹一君 そういうふうに法律でできているわけですか、私は法律は存じませんが。
  115. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) はあ。
  116. 仁田竹一

    仁田竹一君 次は、特定旅客定期航路事業ですが、この法律案の概要説明を読み上げますと「特定の者との契約で特定範囲の人の運送をする旅客定期航路事業でありまして」ということになっているわけでありますが、これの場合の事業認可と、運航変更の認可も、これもやはり認可制になるわけですね、特定旅客定期の……。
  117. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 同じように旅客定期航路事業免許基準を準用されてございますが、そのうちで適用除外されているものが三項ほどございます。まず第一点は、当該事業に使用する船舶が、当該航路の自然的性質あるいは輸送需要に適応する、という点は除かれております。それから、利用者の利便に適合する運航計画、これも除かれております。それから、事業者の責任の範囲が明確であるというふうなことも除かれております。それ以外の、需給関係、あるいは適確に遂行する能力、あるいは公益支障がないかどうかという基準は、定期航路と同じでございます。
  118. 仁田竹一

    仁田竹一君 「特定の者との契約で特定範囲の人の運送をする」ということでありますから、たとえて申しますと、特定の者を旅行あっせん業者とし、特定範囲の団体、学校の生徒といたしますると、旅行あっせん業者と学校との間の輸送、これも入るわけだと思いますが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。それは入ることは間違いないと思いますが、ただ問題は「運送をする旅客定期航路事業」ということになっているわけなんですが、その「定期」ということの限界ですね、いかなるものを一体定期と称するか。一年を定期とするのか、一カ月を定期と見るか、あるいは十日間でも定期といって言えないことはない。定期事業というものの範囲限界は一体どういうものですか。
  119. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 第一点の御質問でございますが、その事業の目的として、特に当該の学校の生徒を運ぶといったようなものはこれに該当すると思います。
  120. 仁田竹一

    仁田竹一君 該当するのですか、しないのですか。
  121. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 特定の目的のきまった、学校の生徒だけ運ぶ事業というふうなものになれば、該当すると思いますが、一般に学校の生徒を、どこの学校の生徒でもよろしいから、運送するのだというような場合には、たとえ対象が学校の生徒であっても、これには該当しないと思います。  それから第二の「定期」の限界と申しますか、定期航路と申しますのは、一年間やるから定期だということではなくて、たとえば毎日、あるいは二日に一ぺんというふうな回数、あるいは日時を特定してやるということでございまして、その期間が一年でなければいかぬということではないわけでございます。
  122. 仁田竹一

    仁田竹一君 そうなってきますと、「定期」というのは日限の限界はない、回数が定まっていれば定期だということになりますと、前に一松議員から御質問になりました俗に言う臨時運航というものと、どこが違うのか。特定された旅行あっせん業者が特定範囲の、あるいはそれ以外の、者を運送します場合には、これを定期と見るのかどうか。ということは、たとえば三日なら三日続ければ定期だということになる、あるいは回数は一日一回だけれども三回にわたれば定期だということになるということになって、非常に役人の権限によっていかにでも解釈できると思います。これは一つの例ですが、いかにでも解釈できると思いますが、そこの限界をはっきりしていただきませんと、業者は大へんな問題なんです。極端に言いますと、臨時運航は一切できないという極端なことになって参りますので、そうなって参りますと、理屈っぽくいいますと、将来の日本の海運を認識しなければならない学生等に海を見さすという機会がなくなってしまう。今日旅行などというものにいろいろ議論がありますけれども、それは一応の議論で、それに対する船舶安全法とか、あるいは船舶職員法とか、海上衝突予防法とかいうようないろいろの取締り法がありますから、この方を厳重にして、できるだけ海に対する認識を子供に与えなければならない。これはわれわれがしなければならない仕事なんです。それがこの法律によって、役人の考え一つで許可できてる、できないということになるおそれが多分にありますので、業者のみならず、国民全般の問題として相当考えなければならないと思いますが、そこで今の定期という、その限界をはっきりしておいてもらいませんと、これは将来困る。今の局長さんのおっしゃるように、ただ回数とか、日にちというものだと——それも何日とか、一カ月何回という回数を言うならいいけれども、ただぼんやりと言われるのはどうも……。その点どうですか。それと今の俗にいう臨時運航と称するものとの相違ですね、違いは……。
  123. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 一カ月やれば定期であるか、あるいは二カ月やれば定期であるかという点は、非常にむずかしい問題でございますが、御指摘のような、たとえば三カ日やる、あるいは五日間だけやるのだというものは、平たくいえば臨時運航かと思います。それがしかし一月続いたらどうかという問題は、非常に困難でございまして、やはりそれがその事柄の性質、あるいは事業の目的、その他からも全般的に見まして、やはり社会通念に従うと申しますか、そういう判断をするようになるのではないかと思います。
  124. 一松政二

    ○一松政二君 関連質問ですが、私がさっき言ったと同じように、結局法律ができると、立法者がどう考えておったかということじゃなくて、問題になるのです。法律法律でものを言ってくるから、結局だから、自分はそこまで考えて立案したのじゃなかったのだけれどもというても、追いつかない。その文字をひねくって、そうしていかようにでもこれはこねくり回せば、引っかかる。私は悪い言葉をもって言えば、針をもって投げて、それを釣る。釣ろうと思えば、どれでも引っかかるのじゃないかという法律は、法律の根本をやはり明らかにして、そうしてかりによこしまな人の者ばかりあったと仮定しても、それらが乱用し得ないという法律でなければならぬと思うのです。それで私は先ほども言うように、基準がすこぶる不明確です。  特に今、この仁田君のごときは海運の専門業者である。だから、私は委員長にこれは要求しますが、これはもっと法律適用を受ける方の人間の意見を聞いてみる必要があると思うのです。事柄は非常に小さいけれども、その小さなところへ網を打ってきたから、私はそう思う、打たずもがなと私は思う。航路の安全とか危険防止というのなら、私はさっきも言ったように、別なものがあるはずだと思う。それをこの航路法でもって、航路法のとにかく免許制に引っかけてきたところに、私の納得のいかない点があるわけです。危険防止とか、乱用するとか、明らかに詐欺を目的として人の生命をがえんじないようなものは、これには憎悪の念を持ちますけれども、ただこういう一般的の法律でそういう目的は私はなかなか達しにくいと思うのです。であるから、なるべく法は簡単にして、そうしてはっきりしたものじゃないと、さっきも言ったように、おじぎをしに来ておじぎのしようがよければ通るし、おじぎのしようが悪かったら通らぬ、それでは業者が困る。それで今そういう点はまた一番弊害も起るのだから、そういう法律のにおいがどうもこの法律にしているような気がしている。私はさっきも質問を一応投げかけてあるわけなんです。今同僚の仁田君がそのことを聞いても、なかなかはっきりあなた方は答弁を与えられない。
  125. 仁田竹一

    仁田竹一君 それでこれは、いいのですよ、すぐに認可してもらえるなら。なかなかそれが三月や四月のことでなりはしない。それでだんだん、団体輸送をやる場合に、業者の方では、その認可を受けたところで、結局団体輸送はできないということになる、実際認可をするということになると。届けならできますけれども……。それはまあ一つ、この点非常に海運業者としては問題だと思いますので、もう少しはっきり見解をお示しを願いたいと思います。これは次回にお願いいたします。  もとへ戻りまして、免許基準能力でありますが、この前ちょっとお話し申し上げましたが、その後何かお考えになったと思いますが、免許を受けまするときには能力あるものとして認可なさるわけなんでありますが、免許でも——ところが、その後、たとえば会社でありますならば、非常に立派な重役と相当な資本をもってやりました会社が、その後経営不振で、欠損続きになっておる。そうなってきますと、重役もいい重役は逃げてしまって、しょうがないということになる。これは幾らもあることなんです。そのときに一体、非常な危険な状態に会社がなるわけでありますが、そのときの取締りはいかようになさるか。この点について、むしろ私は改悪だと思うのでありますが、以前にはそういうような場合には免許を取り消す法律があったのです。それをわざわざ削除して、そうして能力だとか公益上云々だとか、こういう非常にぼんやりした、まあいろいろこういうふうなものは憲法にも問題があると思いますけれども、むしろ福祉に反したる場合、まあ逆にいえば福祉に反したと憲法によって許されておるわけでありますから、何も法律によって公益上云々ということは書かなくても私は差しつかえないことだと思いますが、それはそれといたしまして、従来のは、会社内容、資産等が悪くなった場合には、取り消しができるという法律が、前にあった、どこかに。それを消し去って、それで能力公益上云々というものを入れたわけですが、認可するときには公益能力もけっこうですが、能力などいろいろ変化する。将来変化したときに、一体何によってそれをお取締りになるのか。前には「資産状態が不良となり、又は事業設備が不充分となったため事業経営が著しく困難になったと認められるとき」と、非常にりっぱな法律だと思う。これさえあれば、もう何としても、これは危険だと思ったらやめるわけです。今度の法規はただ、関係法規に違反をした場合には免許取消すことができるとなっている。これは当然なことである。業者が自分の守るべき法律を守らなければ、これは当然であるが、そうでなくて、いかようにも手のつけられないような、会社内容が、重役の顔ぶれ等かわったような場合に、いかようにしてお取締りになるかということです。
  126. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 実際の適用といたしましては、資産状態が不良になりあるいは設備が不十分であるというような場合には、設備の点につきましては、たとえば安全法を適用しなくなるというような状況も起ります。あるいはまた、運航計画が当初認可を受けた計画通りに実行できないというような具体的な事実が現われてくる場合も考えられます。そういう事実が現われてきたときに、今申し上げましたようなのは大体取り消し事由に該当いたしますので、はっきりいたしまして、せっかく与えられた権利を取り消す場合には、そういう具体的事実を見て取り消すことにした方がいいのじゃないかというふうに考えているわけでございます。  なお、その具体的な事実が出る以前の状態という場合もあり得るわけでございますが、そういうときには、おそらく会社といたしましても相当、資産状態の健全化、あるいは改善のために努力を続けている状態であろうと思います。そのときに、こういう欠格条項に該当したということで取り消すというのも、あまりに事業者に対して酷ではなかろうかというような考慮もございまして、こういうふうに改正をいたしたわけでございます。
  127. 仁田竹一

    仁田竹一君 それは大局的に見て、酷にはなりますが、やはりそういうふうな場合には取り消しをするというふうな権限を持つ方が、本当の行政機関としての力、任務ではないかと思います。それを能力だの何だのとむずかしいものによってこれを押えようとしているところに、何と申しますか、官僚独善というか、そういうことになる。それで、はっきりと、こういうような場合には許可をする、こういうような場合は取り消しをするということの方が、実は民主的であり、いわゆる国民自身に非常な営業権の力を持たすことになる。今のこういうことではどうも、業界の方へ干渉がましくなることは避けなければならないと私は思っております。この点だけ一応申し上げまして、またいずれ機会を見て申し上げることにいたします。  次は、無償の問題でございますが、これは岡田さんから無償有償の問題がございましたが、これは実際の面から申しまして、これはなくもがなと思います。なぜといいますと、無償だと称して実は有償でやる場合が多いのです。たとえば、農業組合の船だとかあるいは公営船だというので、表面は無償だというのです。有償ということは政府の方から、海運局の方へ届け出まして、運賃の査定を受けて、そうして運賃が決定して官報に表示して後に、いわゆる運賃なんです。そういうことでなくて、無償と称して人を乗せるのです。そうして実は客がお金を払うのです。お客さんが。もうそれは乗せてしまったのですから、気の毒ですから、向うは要らぬというのだけれども、お金をあげる。とにかく切符を発行せぬだけでありまして、事実金をとっているのです。表面は無償だと言っている。だから、この取締りはこれは長い間の問題なんです。実際取締りができない。やっておらぬのですよ。海運局でもそれから海上保安の人も。これも例は何十とあるのですよ。これはみな表面は無償だといって、そうして実は海上運送法なりあるいはいろいろな公安上なくてはならない法律や守らずに、やっておるわけです。救命道具も要らない。定期検査もしなくても済む。そうして事実は大切な人命を預かってやっておるわけなんです。むしろ私はこういうふうなものこそ、金をとっておろうとおるまいと、それが取締り得るような私は道を開いておくことが賢明だと思うのです。事実、無償だといえば、世間には通用いたしませんよ。認可を得て、官報へ出して、何日か公示して、しかる後にきめた以外には、運賃はないと思うのです。そうでなくて、実際はそういうことをやっておるのです。貨物船あたりはそうなんです。あるいは小さな船はそういうふうなことにして、内々にとっておる。そんなものは、救命道具の施設も何もありはしませんよ。危険千万です。そういうふうなものを、無償という文字さえなければ取締り得るというものを、無償という文字を入れたために、取締り得るものを取締り得ないということに私はなっていくのじゃないかと思うので、岡田委員のおっしゃるよりか別の意味におきまして、実際面から考えて私はない方がいいのじゃないか、こういうふうに考えております。  それから運輸審議会公聴会の問題ですが、主義といいますか、これは実際は今でも公聴会を開かずにやっておるのは、軽微事項ですか何とかいうような名目で、公聴会を開かずにやっておる場合が相当あると思いますが、特に運輸大臣の諮問を、どういう言葉を使ったらいいのですか、諮問を命じた場合に審議会を開くのだといたしまするならば、運輸大臣が諮問さえ出さなければそれでいいのじゃないのですか、公聴会を開かなくても。違いますか。現在でも公聴会を開かずにやっておりますな。
  128. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 現在の規定は、運輸大臣が指示した場合のほかに、利害関係人が請求をした場合、それから運輸審議会が必要と認めた場合、この三段になっておるわけであります。
  129. 仁田竹一

    仁田竹一君 これは実際は違いはないと思いますが……。  それから次は、事業の解散の権利が、会社以外の法人に限らず、公けの認可制というのがありますが、この船会社、この場合船船会社ですが、船舶運航会社の場合に、特に解散をするときに、認可制認可を得なければ解散ができないことになるのですか、これは。一体そうゆうことが商法上できますか。会社が解散しようとするものを、認可をとっていなければ、解散、これはまかりならぬということは……。
  130. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) これは字句としてはちょっと不適当かと思いますが、解散の決議は認可を受けなければ効力を発しない、法律的にはそういう意味だと思います。
  131. 仁田竹一

    仁田竹一君 その会社事業を続けていこうというのなら、それは海運局にどうぞお願いしますと言うが、解散しちゃえば、局に頭を下げなくて、どんなことをきめたところで、ききやしませんよ。ただ、やっておるから、海運局に頭を下げる。やめるということになれば、商法によって認められた解散権を……。
  132. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) おっしゃる通りでございますが、これは大体現行法のままでございますが、現行法趣旨は大体、旅客定期航路事業というものは非常に公益的な色彩の強いものでございますが、解散をしなければならない事態になったときには、いわばあとがまを作ってからやめてもらうということのために、認可制にかけて、そうしてあらかじめ、できるだけあとがまを作らせるような方向に進めていく、そういう効果も実はねらっているのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  133. 仁田竹一

    仁田竹一君 そういう点は、話は非常にけっこうですけれども、実際に法律上やれますか。効力がありますか。法律上効果のないものを法律で定めるというのは、おかしいのですよ。前にあったというのならどうか知らないけれども、しいてそれを決行するという場合に、罰則なんかありますか。相手の会社はなくなっちゃって、法人がおらぬところに、やってもしょうがない。
  134. 岡田京四郎

    説明員岡田京四郎君) 一応法律の制度といたしましては、一応罰則の適用はございますし、ですから、もし法人の場合にはその役員の責任を追及するということはできるのではないかと思います。
  135. 仁田竹一

    仁田竹一君 それは会社が存立しておる場合のことで、会社は個人じゃない、法人ですから、会社が解散しちゃえば、そのものはあとかたないのですから、その人が目の先きにおっても、個人じゃないのですから、結局は処罰の方法はないのじゃないですか、実際問題として。影がない。幽霊になっちゃう。まあ一つ考えおきを願いたいと思います。  対外旅客航路事業というのはどういうことですか。
  136. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 外航船の旅客定期航路になります。
  137. 仁田竹一

    仁田竹一君 もう一つお尋ねしますが、地方局の方へ委任された——これは見ればわかるのでしょうが、委譲された職権というものはどういうものですか、具体的に言いますと。
  138. 粟沢一男

    政府委員粟沢一男君) 現行法では、特に二海運局にまたがっておりますものを除きまして、五トン以下の船舶による運航事業というふうなものが法律上に載っております。ただいまここで委譲いたしたいとこう思っておりますのは、運送約款の認可、それから事業計画に定める運航を確保する命令を出すこと、それから運航を開始する場合に特別な事故があって延長の承認を求める規定がございます。その承認を与える。それから一カ月をこえない期間内の事業の開始を許可する。それから運賃料金の認可の中で、運航計画の変更に伴うもの及び運賃の割引に関するもの。それから運航計画の変更の認可。ただしこれは二つの海運局にまたがるものは委任しないで済むと思います。それからなお、使用船舶につきましても、二十トン未満のものについてはできるだけ海運局の方に委任いたしたいと思って、ただいま検討いたしております。
  139. 仁田竹一

    仁田竹一君 まあできるだけ地方の局へ委譲願いたい。実際地方の局は仕事がないのですね、何もかも本省で取ってしまったら。取ってしまうという言葉は悪いのですが、地方のものは、出張しますとあぶれますし、費用も来ないし、大がいのものは地方に処理さして、最後の決だけを本省でおとり下さらないと、責任は本省にあるわけですからいいと思いますけれども、事務的なことは、なるべく地方の方にもう少し仕事をさしてやるといいですよ。これは私の希望ですけれども、なるべく一つ地方へ仕事を譲ってやることの方が、地方の人たちも私は元気がついていいと思いますから……。  一応今日はこの程度にとどめておきまして、また一つ、後ほど質問いたしたいと思います。
  140. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は資料の要求をいたしたいのでありますが、まあ二カ年間くらいでいいと思いますが、航路免許申請の出ました件名ごとに、何件くらいあったかということと、それと公聴会の開かれた回数、そうして、その結果どういう結論が出たかを、資料としてお出し願いたいと思います。
  141. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、今日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会      —————・—————