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1955-05-19 第22回国会 参議院 運輸委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十九日(木曜日)    午後二時九分開会     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            仁田 竹一君            早川 愼一君            重盛 壽治君            木島 虎藏君    委員            入交 太藏君            三木與吉郎君            内村 清次君            大倉 精一君            片岡 文重君            三浦 義男君            平林 太一君   政府委員    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸省海運局長 粟沢 一男君    運輸省船舶局長 甘利 昂一君    運輸省鉄道監督    局長      植田 純一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 細田 吉藏君    運輸省自動車局    長       真田  登君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      天坊 裕彦君    日本国有鉄道法    務課長     鵜沢 勝義君    日本国有鉄道営    業局長     唐沢  勲君    日本国有鉄道営    業局船舶課長  篠田寅太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件海上運送法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○船舶積量測度法の一部を改正する法  律案内閣提出) ○運輸一般事情に関する調査の件  (自動車行政に関する件)  (日本国有鉄道運営に関する件)     —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) これより運輸委員会を開会いたします。  まず、海上運送法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由を説明していただきます。
  3. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) ただいま提案になりました海上運送法の一部を改正する法律案提案理由について御説明申し上げます。  現行海上運送法におきましては、旅客定期航路事業については、免許制がとられておりまして、法に基く厳重な監督規制が加えられているのでありますが、不定期航路事業は、単なる届出制でありまして、その経営は事業者の自由にまかされているのであります。  このように海上運送法上の取扱いが異なっておりますのは、旅客定期航路事業は、不特定多数の旅客を対象とし、国民の日常生活に直接重大な関係がありますため、行政権の干渉が必要とされるのに対しまして、不定期航路事業は、貨物運送がその大部分でありまして、自由な事業活動を認めることが、海運を発展せしめ、公共福祉を増進することになると考えられたからにほかならないのであります。  しかしながら、法施行後の実情を見まするに、不定期航路事業の中にも、旅客運送を行うものが少くないのでありまして、特に最近においては、観光面における需要の増大と相まって、その数はますます増加の傾向を示しているのであります。  これらの事業は、その多くが不特定多数の旅客を相手として経営されておりますため、これが事業者自由営業に放任されておりますことは、利用者利益を阻害するおそれがあるばかりでなく、ときには、これが旅客定期航路事業に対する撹乱ともなるのでありまして、海上運送法の目的とする運送秩序維持の面からも放置できないものがあるのであります。  このような実情にかんがみまして、今回の改正案におきましては、不定期航路事業のうち、国内航路において旅客船により旅客運送をするものについては、その開始の際に運輸大臣許可を要することにいたしましたほか、その運賃運送約款運航計画等利用者利益または運送秩序に直接関係を有するものについて、旅客定期航路事業に準じた規制を加えることにいたしたのであります。  次に、最近交通機関による事故が頻発しておりまして、旅客運送を行う事業については、特に監督を強化することの必要性が痛感されますので、以上に述べました不定期航路事業に対する規制の強化にあわせて、現在免許制となっております旅客定期航路事業につきましても、その免許基準について安全の確保考慮に入れた改正を行いますとともに、免許事業者船舶安全法または船舶職員法のごとき人命の安全に関する法令に違反いたしました場合には、その事業を停止せしめ、またはその免許を取り消すことができることにいたしまして、これらの安全関係法令の励行の確保に資することにいたした次第であります。  以上が今回の改正の主要な点でありますが、その他にも、法の運営上の経験にかんがみまして、若干の改正を要すると認められる点につき、この機会にあわせて改正を行い、規定を整備したいと存ずるものであります。  何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいまの御提案につきましての質疑は、次回に譲ることにいたします。     —————————————
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、船舶積量測度法の一部を改正する法律案議題といたします。政府から提案理由を御説明願います。
  6. 河野金昇

    政府委員河野金昇君) 船舶積量測度法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。  船舶の純積量を算定するに当っては、現行船舶積量測度法によりますと、機関室等積量を総積量から控除することになっておりますが、この機関室控除積量は、機関室積量と総積量との割合一定比率以下になりますと急に小さくなり、従って、純積量が急に大きくなって、はなはだしく均衡を失するようなことになっているのであります。  最近の船舶は、技術の進歩によって推進機関が次第に小型化してきましたので、機関室積量が前に述べました一定比率以下になり、純積量が急に大きくなる船舶が著しく増加して参ったのであります。元来、船舶の純積量は、トン税等を徴収する際の算定基準になっておりますので、船舶所有者のうちには、その船舶の純積量をなるべく小さくするために、機関室を必要以上に大きくして、船舶性能を低下させる傾向が見られまして、きわめて不合理な結果を生ずるようになりました。この不合理をなくするためには、機関室積量が前に述べました一定比率以下になる場合に、この機関室控除積量が急に小さくならないような規定に改める必要があります。これがこの法律案提案いたしました理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げます。
  7. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) この法案に対する質疑を次回に譲ることにいたします。     —————————————
  8. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、内村委員より日本国有鉄道運営に関しての質疑の通告がございますから、これを許します。
  9. 内村清次

    内村清次君 ちょっと速記をとめて。
  10. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて。    午後二時十八分速記中止      ——————————    午後二時三十三分速記開始
  11. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて。  それでは、自動車行政に関しての御質疑を先に回すことにいたします。
  12. 重盛壽治

    重盛壽治君 お断わりしておきますが、きょうで打ち切るのでなくて、ほかにたくさんあるんですよ、局長に対して。それで別の機会にもう一度やりたいと思います。きょうはおいでになっておるから、ちょっと答弁を聞いておきたいと思います。  今、自動車タクシー料金が、バスでもそうですが、ことにタクシーが七十円に下げるとかあるいは八十円に上げるとかというような問題が起きており、それが結論的には運輸大臣認可という形になっておると思うのだが、これに対する権限というかそういうものが、私は今の状態ではないように思うわけであります。これをほんとうに、たとえば物価が非常に上ってきたと、それでこれでは安いからというので業者か自主的に上げれば、その上げたものを認めていくというような形、逆なことを言うならば、非常に物価が下ってきた。当然下げなければならぬし、監督の立場からもあれはもう少し安くしなければならぬというようなことがあっても、業者自主性がなければ、こういうふうにしろというようなことが言えないようなふうに感じておるのですが、そういう点を一つ自動車局長に、運輸省権限というものと、それから今現状どうなっているかということを、概略説明いただきたいと思います。自動車タクシー料金の件についてであります。
  13. 真田登

    政府委員真田登君) 御指摘通り、現在のタクシー運賃につきましては、認可申請を待って定める、これに認可するという形になっておりまして、こちらからこの地区は幾らにしろと指定するという形にはなっておりません。  で、自動車に関する運賃料金の全部が今までのところ認可制になっておりまして、今まではそういったやり方でも大した支障がなかったと申しますか、事業者たちが非常によく団結といいますか、事業者同士の意見というものが相互にまちまちにならないで、そのときそのときに応じて、適当な料金申請があったわけであります。しかしながら、最近東京都内に起りました運賃問題のように、車に対する運賃が違うのと同じように、車を持っております配分といいますか、あるものは国産車をよけい持っている、あるものは外国車をよけい持っている、また国産車のうちでも種類の違ったものを違った配分で持っているという形になりましたために、運賃申請についてお互いに多少ずつ利益が違う。こういった形で申請して参りましたものですから、運賃についての認可申請が一本にならなかった。そのために当方で非常に困ったということなのでありまして、われわれの方でもこうしたことが将来、自主的な認可申請を待ってやっていく建前がうまくいかなかった場合は、何か大臣の方で運賃を指定することができるのだという形にまで持っていかなくてはならないかということで、研究はいたしておりますが、当面の問題になっております東京都内運賃につきましては、最近事業者話し合いがつくめどがつきましたので、そういった法的措置によらずに、行政指導でこの問題を一応落着したいと、こういうふうに考えております。
  14. 重盛壽治

    重盛壽治君 真田さんの言われるように、業界がほんとうに統一されて、一緒になって、同じ感覚でものをやっていけるような状態ならいいと思うけれども、私は必ずしも今の状態は、東京ばかりではないが、特に東京真田さんの言われるような状態ではないと思うのですね。ということは、やっぱり二つのまあたとえば今組織ができておって、その組織お互いに競合していく。組織が競合するだけならばその人たち事業に影響を及ぼすだけでありますが、そういうことが結局交通機関としてのほんとう仕事をしていけないというような問題にまで発展していくと、私は思うのです。だから、先ほど私が言うように、ほんとうならば、こういう問題を契機として思い切って認可制というか、許可制くらいにし、先ほど言うように、物が上った場合にはこれが適正だという引き合いを政府考えてすればいい。あるいはこれでは高過ぎる、あるいはこの種類はこれでは高過ぎるというような場合には、是正をする権限というものを持つようなことを考える段階ではないかというようにも思うのです。そうしなければ、たとえば料金一つ直すためにも、顔の広い方というか、政治的な勢力のあるものの方が仕事ができ、同じものであっても顔の広くないものは仕事ができぬと、そういうことはないと思うのだが、万一そういうことがあるとすれば、明るい運輸行政にはならぬ。これをやっぱりここで考えて、法的に拘束するということでなくて、よりよく事業運営さすということのためには、今のような状態ではいかぬのじゃないかというふうにちょっと考えたので、お聞きしたのだが、そういう点で、たとえばタクシー会社というようなものが二つに到れて、若干競合しておるように聞いておるのだが、その点の実情を、もし知っておったら、もう少し詳しく話して下さい。
  15. 真田登

    政府委員真田登君) 御指摘運賃の指定の問題、これは現在の法制のもとでは、一つ事業改善命令というのがございまして、運賃一般公共福祉を阻害しているような状態になった場合には、命令を出せる、こういうことになっておりますが、公共福祉を阻害している事実がありと認めたときというふうに、非常に制限的になっておりまして、事業の健全な発達をはかるとか、そういった条項がございませんために、運賃一般物価にまで下げてやっていけというふうな命令はできるのでありますが、上げて、それによって事業者同士が不当な競争をしないというふうなところまでこちらのこの命令で出すのは、なかなかいろいろと問題があるということで、研究はいたしておりますが、その条文を使いまして命令することは非常にむずかしいというふうに考えております。  それから現在割れておるかどうかというお話でありますが、東京組合は非常にたくさんに割れておりまして、現在では小さいのまで数えますと八つある、こういうふうに言われております。これが最近、こういうことでは困るから、一緒になろうということで話し合いをしておりまして、ただ全国組合二つに割れておりまして、東京が一本になっても、その二つのどっちに所属するか困るということなんで、東京がまず一本になることと、それから全国組合が一本になることとは、並行して進まなくっちゃいけないということなのでありますが、全国組合が一本になるまでは、東京はとりあえず連合体を強化して、東京の問題については一本という形に持っていこう、こういうことで、従いまして、東京都内運賃についてもその連合体一緒考え方でやっていこう、こういうふうに進めております。
  16. 重盛壽治

    重盛壽治君 そうすると、今のタクシー料金は適正だ、どちらも適正なものだというお考えの上に立って、許可になっておるのかどうか、一つ……。
  17. 真田登

    政府委員真田登君) 現在の賃金は、御承知と思いますが、普通車が百円、それから中型車八十円、小型車七十円ということで、昭和二十七年でしたか八年でしたかにきめたままで来たのでありまするが、一部国産の車で古くなったものが非常に成績が悪くなったから、これを少し値下げしてもお客によけい乗ってもらって成績を上げたいということで、トヨペットの古い車を八十円のランクから七十円に下げ、ダットサンの古い車を七十円から六十円に下げ、現在やらせるということで、認可しておるのでありまして、一番問題になっておりますのは、トヨペットの新らしい車——トヨペットトヨペットと申しましたが、トヨペットプリンス一つクラスになっておりまして、ダットサンとオオタが一つクラスになっております。ダットサンの新しい車は元の通り七十円のランクに残っておりますので、トヨペットプリンスについても、新しい性能のよくなった車は八十円のランクに残しておきまして、もとの形にしたい、こういうことで認可したわけでありまして、最後に認可したものはわわわれも正しいものと思っております。
  18. 木島虎藏

    木島虎藏君 ただいまのお話タクシーの話でしたけれども、バスの方はどうですか。やはり同じですか、許可権のないのは。
  19. 真田登

    政府委員真田登君) バスについても同じでございます。
  20. 木島虎藏

    木島虎藏君 バスについても同じような、重盛委員お話のようなことが考えられると思いませんか。
  21. 真田登

    政府委員真田登君) バスにつきましては、東京都内に二百も三百もの業者が入り乱れるということはございません。大体多くても二業者、三業者が同じ路線を走るという程度で、今までは割合、二業者の間で仲よく話合いができてきたので、そういった問題はほとんど起きておりません。
  22. 木島虎藏

    木島虎藏君 本質論としては、やはり同じゃないですか。
  23. 真田登

    政府委員真田登君) その通りであります。
  24. 重盛壽治

    重盛壽治君 これは今お答えをいただかなくてもいいのですが、自動車関係者として、これだけ自動車がふえて交通地獄を現出するというような状態になってくると、もう一歩進んで、ある程度是正——あるいは免許証の取り消しとか、これを政府がはっきりつかめるようなことを考えないと、非常に乱立してくるのではないかと思います。料金の問題の場合も、自主的料金という言い方と、競争するがために料金を変えてくるというような場合が、極端な言い方をすればあるわけです。そういうことをすると、結局は業者自体が窮地に追い込められるのですが、しかし場合によると、競争のためならそういうことをやるということもしないとは限らないと思います。そういう点を十分考慮に入れて、この対策というものを今後考えてもらう必要があるのではないかと思います。その点についてどうなのですか。
  25. 真田登

    政府委員真田登君) 先ほど申し上げましたように、一般的に利用大衆が非常に迷惑をするというときには、現在の改善命令その他でできるわけでありますが、業者同士の健全な発達をはかるためには、運賃を同額にしろとか、あるいはもう少し上げたらどうだというような逆の命令を出すことは、なかなかむずかしいような状態にありますので、そういった場合に対処するためには、どうしても大臣に必要な場合には運賃を指定することができるといった権限を保有しなければなりませんので、その点・現在そういったことについて研究はいたしておりますが、まだ成案として申し上げるまでには至っておりません。
  26. 重盛壽治

    重盛壽治君 その問題はまだ若干ありますが、後に譲ります。  この間の局長お話の中に、大都市交通に関して云々という言葉があり、バスなどは数カ所に起点をおいて云々というようなことをちょっと私聞いたように思いますが、大都市交通に関して何か特に自動車関係考えたことがあるのですか。
  27. 真田登

    政府委員真田登君) 自動車大都市交通に占めます使命と申しますか、今一番問題になっております通勤輸送につきましては、自動車はむしろ補助的な関係にあると思います。東京付近交通を緩和するといった面から見ますと、自動車として割合にその果す役目は小さいのでありますが、しかしながら大交通機関とその行先地までの連絡輸送と申しますか、そういったようなこと、あるいは交通機関のまばらなところから都心に乗り入れておりますバスといったものについては、系統なり、回数なりについて調整して参りたいということを申し上げたことが一つであります。それからもう一つは、バス等が都市の思い思いの所に入って、思い思いの所から出ていくという形はよくないので、総合的な停車場といいますか、バスに終点を作りまして、そこから郊外に出ていき、また郊外のものはそこに集ってくるという場所を作りたい、そういうことが一つございます。もう一つは、都内自動車がかなりふえておりますので、こういった自動車のパーキング・プレイスと申しますか、駐車場を相当設けることによって交通の緩和をはかり、またむだな流し等を省くことによって油の節約もしたい、こういうことを考えておるわけであります。
  28. 大倉精一

    大倉精一君 私はちょっとこの際お伺いしてみたいんですが、ハイヤータクシー、それからトラック業、あるいは通運事業というものが、現在非常に不明朗なというか、不当な競争が始まっておると思うんですが、これに対する局長の、こういう現状に対する御認識について、一応伺っておきたいと思います。
  29. 真田登

    政府委員真田登君) 最近自動車が相当ふえて参りまして、いろいろと競争が激しくなって参りましたことは事実でございますが、たとえば通運につきましては複数化をかなり進めましたので、相当これが普及して参りましたので、今後の免許については十分その能力なり資力等について検討してやりたい。と申し上げますのは、鉄道の納金その他を非常にためておる会社が今後できますれば、そういった面からも十分検討しなくちゃならないと考えております。また路線トラックにつきましても、東京大阪間等に数十の自動車が走っているといいますか、そういったような状態でございますので、今後はできるだけ消極的に、ぜひ必要なものだけに限っていきたい、こういうふうに考えております。また東京都内あるいは大阪等大都市では、タクシーハイヤーが非常にふえておりますので、東京都内につきましては、昨年度から自動車数はふやしておりません。そういった考え方で、できるだけ事業のむだな競争を避け、また交通不安をなくしていきたい、こういうふうに考えております。
  30. 大倉精一

    大倉精一君 私はこれは非常に重要なことだと思うんですが、このままに放置しておくというと、陸上運送に関する限り収拾のつかんような状態になるのじゃないか。それでこういうようなことになっているこの現状に対するところの運輸省当局一つの責任というものも、私はあると思うんです。従って、私はこういうふうになった根本原因は、やはり免許というもののやり方原因があるんじゃないか。現在の法規によるというと、免許基準というものは一応書いてあるんですが、明確なる基準は書いてありません。ありませんから、免許案件についてはその一々についてどうも、何といいますか、免許をするしないという、はっきりした明確な基準というものは出ておらぬ。従って免許というものが、相当乱脈になってきておったということも考えられておる。従って、私はとりあえずこの二点についてお伺いしておきたいと思うんですが、今後の免許方針をどういう方針でもっておやりになるのか、そうしてまた現在起っておるところのこの不当競争といいますか、たとえば定額料金あたりもほとんど守られておらぬということですが、この現状に対してとりあえず——とりあえずといいますか、現状に対してどういうふうな指導をされるお考えか、この二つについてお伺いいたします。
  31. 真田登

    政府委員真田登君) 免許方針につきましては、先ほど申し上げましたように、現在ではかなり制限的に考えておるのでありまして、その基準は今お話がありました免許基準というものによってやっておるのでありまして、これがある程度弾力的な規定でありますために、もっと厳格にしてはどうかというお話もございますが、これはわれわれの方でいろいろと審議いたしましたものを、また運輸審議会にもかけて、何回にも審議を経た上でやっておるのでございまして、決していいかげんなと申しますか、免許を乱発するといったようなことではないのであります。また不当競争を行なっておるというお話でございますが、これにつきましても、できるだけ今後は需給調整といった面に力を入れて参りたいと思いまして、東京都内タクシー等についても、そういった面からこの事業の健全な発達の方向を進めたい、こういうふうに考えております。  で、タクシーの数等につきましては、このタクシーは一万両、ハイヤーを入れますと一万二千両くらいでございますが、昔もこの程度の車はあったのですが、当時は自家用というものがきわめて少かった。まあ三千両とか四千両とかという程度であったと記憶しておりますが、今では自家用車が三万両以上、そういったような状態なものですから、自動車が多いのはタクシーだけが多いのではなくて、そういった自家用タクシーハイヤーの三倍もある、こういうことだと思うのであります。で、今の交通不安その他の問題は、タクシー免許したしないという問題よりも、自家用車というものが自動車の八七%を占めている状態でありますので、そういった面から、もっと大きなところから、自動車というものについての考えを進めなくちゃならないのでありまして、事業免許によって交通不安が来ているとまではいかないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  32. 大倉精一

    大倉精一君 交通不安については別の機会に私はお伺いしたいと思うのですが、私はこの際、免許に関する基準というものをやはり法文の中に明らかにする必要があるとかねがね考えているのですが、これに対して先般の国会においては、いわゆる一九五一年のILOの内陸運輸委員会におけるところの決議というものを申し上げたのですが、その当時大臣局長も出席しておられて、これは研究して別に考える、こういうふうなお話であったのですが、これに対する何かお考えがまとまっておったならば、お聞かせを願いたいと思います。  それからもう一つ、ついでに聞いておきたいのですが、最近トラック自家用車のヤミ営業と申しますか、これが全国的に非常に大きな勢いでもってはびこっておるのですが、ほとんど収拾つかないところの状態になっている。これに対する運輸省の対策がおありになったならば、具体的にお話し願いたいと思います。
  33. 真田登

    政府委員真田登君) ILOの問題につきましては、前の国会のときにいろいろと御質疑がありまして、これについては一応お返事を差し上げたと思っております。  それからヤミ自家用車の取締りの問題につきましては、最近非常にそういった声が高いのでございまして、われわれのほうでも省令その他でできる改正をやろうということで、最近届出という制度になっておりますが、この届出の内容について相当詳しいことを書かして、それが後に自家用のために使われる車であるということが確認できるように、省令としては変えたわけであります。なお、今まで自家用車がそこらへほっぽらかして置いてあるので、危くてしようがないというふうな話もございますので、車庫についてもどこへ車庫を設けるのだということを書かせるようにいたした次第であります。なお、法律を改正して許可制にしてくれ、あるいは登録制にしろというふうないろいろの問題がございますので、その問題については、むしろ自動車鉄道との調整といったような問題から出発すべきではないか、こういうふうに考え研究をいたしておる次第でございます。
  34. 大倉精一

    大倉精一君 ILOの御回答はもらっておらぬと思いますが、これはあとから一つお伺いしたいと思います。  自家用車の問題について、自家用に使うのであるということを確認するということをおっしゃったのですが、これはどういう方法で確認されますか。
  35. 真田登

    政府委員真田登君) 現在の自家用車の使用につきましては、届出制になっておりまして、その届出の書面にいろいろと、この車の用途は何であるか、あるいは用途は何々である、こういったような書き方をしておりましたものを、事業種類——一体何を運ぶといったようなこともこまかく書かせるようにいたします。それから、自家用車には車の横に、一体どういう仕事をやっておるということも車にも書かせるということによって、車と運んでおります品物との同一性を確認できるようにしたい、こういうことに変えたのでありますが、現在も届出制という形でやっておりますために、全部をはっきり押えるということは非常にむずかしいことはわれわれもよくわかっておったのですが、従いまして、その根本である使用をどういうふうにこちらでつかまえていくかという問題は、やはり法律によらなければできない、こういうふうに考えております。
  36. 大倉精一

    大倉精一君 法律によらなければということは、将来の問題としてこれは保留をしておきますが、現に行われておるところの自家用車の激しいヤミ行為に対しまして、現在の事態に対するところの収拾策について、何かお考えになっていることがあったら、お伺いしたいと思います。
  37. 真田登

    政府委員真田登君) 先ほど申し上げましたように、まず自家用の届出の際に、それが真に自家用の目的であるということを、現在の法律の許す範囲で確認することをするわけであります。それから実際に動いております車をわれわれの方で確認いたしますのに、これをとめることは、運輸省の下部の陸運局なり陸運事務所にはございませんので、警察の協力を得まして、警察と一緒になって街頭取締りに出て一斉検査をする、そういうことが一つでございます。もう一つは、いろいろと事業者が、あの車がヤミ行為をやっているということを知らせて参りましたものについて、われわれの方で実地にそこに行って、その車の使用方法をどういうふうにしているかといったようなことを調べる。現在ではこの三つの方法をとっているわけでございます。
  38. 大倉精一

    大倉精一君 その処置をどの程度におやりになって、どの程度の効果をあげておられるか、ちょっとその実情についてお伺いしたい。
  39. 真田登

    政府委員真田登君) 各局から、実際に取締りを行いました数字及びその結果につきまして、報告が参っておりますので、その集計しましたものをこの次にでもお手許までお届けしたいと思いますが、今ちょっとわかりませんが……。
  40. 大倉精一

    大倉精一君 それで、自家用車のヤミ行為を確認された場合には、どういう措置をとっておられますか。
  41. 真田登

    政府委員真田登君) 情状の軽いものは、今後そういうことはやらないようにということでかんべんするわけでありますが、悪い常習的なものは、一つは車の使用停止をやりまして、使用停止をやりますと、車のナンバー・プレートをはずしてしまいまして、その車が使えないようにするということであります。それからまた場合によりましては、道路運送法違反ということで告発するということでございます。それからもう一つは、常にそういうことをやっておりますものに対しては、おそらく税金を逃れているだろうということで、税務署あたりからそのヤミ行為に対して税金をとるというふうなこともやっているようであります。
  42. 大倉精一

    大倉精一君 ほかに御質問の方もおありのようですから、この問題についてはまた別の機会に保留いたします。     —————————————
  43. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、ただいまから日本国有鉄道運営に関する件を議題といたします。
  44. 内村清次

    内村清次君 先般の紫雲丸事件に対しまして、当委員会からも派遣議員が出、しかも派遣報告がなされた際におきましても、運輸大臣及び国鉄総裁代理からの緊急なる事故対策をするという発言がなされて、しかもその対策の一環として、十八日に第一回の委員会をやっておられるようであります。これは今日の新聞の発表によって私たちも、当局が事態の収拾に対して、また委員会の報告実施に対して、誠意をもってその対策に乗り出したことに対しましては、私たちといたしましても満足いたしておるわけです。特にまたこの委員会におきまして、連絡船の管理の組織船舶の構造、船員の訓練、養成、資格、服務と、こういう一連の勤務体制の問題、それから航路及び航法の問題ということについて、ただ私たちが希望するところは、これを研究または検討、この名においてその適切な実施というものがおくれているということのないように私は希望いたしておきます。ただ当面のダイヤの問題に対しましても、即刻委員会の報告に対しまして直ちに手を打たれたということについても、私はこの点感謝いたします。  ただ、この対策が完全になりまして、連絡船の今後事故が再発しないということが、これがほんとうに実施面におきまして完璧が期せられることをもちろん期待いたしますが、それと同時に、私は国鉄が管理しておられます連絡船は、これでもう万全の策だというような一つの、何と申しますか、希望という点に対しましては、もう確かに希望はありますが、それで完全になったという断定的な安心感はまだ当面私といたしましても不安な点がありますが、しかしそれと同時に、やはり陸上の輸送の問題が、これはその量におきましても幅におきましても、相当な国鉄経営の主幹になる問題でございまするからして、ここに事故の再発をするというような不祥事件が起りはしないかということを実は憂慮いたしておるのです。  これは天坊総裁代理も御承知でございましょうが、すでに今回三十年度の予算を決定されるに当りましても、その前提として、国鉄の財政の窮乏の問題あたりに対しては、これは委員会を通じ、あるいはまたは一般識者に対しても、相当の資料を使ってい、また頭をしぼって当面の状態を訴えておられることである。で、この状態からしまして、私はこの前の委員会のときに、これは当面なすべき問題もありましょうが、と同時に、年間中にあいてはぜひともこれを一歩々々、何と申しますか、国鉄の危機を打開するような方策というものが考えられなくてはならない。この考えに対して、当時長崎総裁は一体どういうお考えであるかということを質問いたしましたところ、国鉄の財政の再建に対しても、あるいはまた財政からくるところの各施設の復旧の点に対しましても、あるいは安全正確なる輸送体制の確立に対しましても、あるいはまたは一面機構の合理化という面に対しましても、それらを一丸とした、まあ名称は何でございますか、国鉄の経営の再検討というような委員会を組織するというようなことをここではっきりされたわけです。残念にしまして、今回の紫雲丸事件で責任をとっておやめになっておるが、これはやはりどの総裁が今後就任されたにしましても、これは当然やらなくてはならぬ問題であろうと思うのです。と同時に、しかも急いでその委員会の構成をやり、逐次手をかけて経営の合理化に向って、それから来る安全性を確保していくところの責務が私は国鉄にあろうと思うのです。この見地に立ちますると、天坊総裁代理ももちろん今日までは海上関係で非常にお忙しい対策問題であったと思いますが、その国鉄経営の主管でございまするからして、こういう委員会制度を早急に作って実行に移すというお気持の経緯がなされておるかどうか、この点をまず第一点お聞きしたいと思います。
  45. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいまのお話の第一段の問題でございますが、紫雲丸事件にかんがみまして、当委員会あるいは衆議院の運輸委員会等におきましても、それぞれ委員の方々から、この際考えなければならぬというような問題、事項について新らしく提起、御勧告がございましたし、そういう不幸のこともございますし、また私ども自身さらに掘り下げていろいろ検討いたさなければならぬ問題も現実にございますし、しかも毎日やはり運航いたしておるのでありますから、早急に手を打たなければならぬ問題もございますので、さっそく国鉄の連絡船対策委員会というようなものを、名前は何でもいいのでございますが、そういう式のものをこしらえまして、当時各委員からお話がございました中の速急にやらなければならぬ問題について、とりあえず手を打って参ったのでございます。ただ、問題の性格によりまして、なかなかすぐ実施に移らない。たとえば船舶の構造、規格から合理化するかどうかというような問題につきましては、これは一挙にいたすこともなかなか困難な問題でございますが、即日でもできる問題については一日でもほっておくわけに参らないという建前で、そういうところから手を打って参った次第でございます。さらに機構等の問題につきましては、新しい総裁がおいでになりまして、すぐにも一つ御決裁願うという格好で準備をいたして参っておるわけでございます。  さらに今お話がございましたように、連絡船以外に、鉄道の面におきましても、ただいまお話がございましたように、いろいろ問題がないわけではないのでございまして、すでに別途御審議願いまする本年度の予算につきましても、御承知のように、いろいろ取りかえ不足というようなものもたくさんございます。そういう点につきましても、それぞれ、まず運輸機関として第一の安全という点だけはどうしても守っていかなければならぬというふうに考えております。もちろん非常に、施設の安全度というような問題につきましても、ある程度相対的な関係もございます。たとえば橋が非常に古くなって危険になったと申しましても、これが六十キロのスピードでは非常に危険だけれども、三十五キロのスピードに落して走ればまあどうにか使えるというような関係もございます。そこら辺が非常にむずかしい問題があると考えるのでございますが、こうした点の根本点な解決として、取りかえに十分な資金というものをどうして確保するかという点について、今後も先生方の特別の御支援をいただきたいと存ずるわけであります。とにかくきめられた予算の幅の中において、まず絶対の安全というものはどうしても確保いたさねばなりませんし、またそうした意味で別に経営の合理化という点は、資金を生み出すためにも、また事業の本質的な建前からも、必要でございますので、合理化審議会というものも設けまして、いろいろ基本問題について対策を練って続けてやっておるわけであります。この考え方につきましては、前の総裁のお考えによって発足いたしておるのでありますが、今後も当然続けられるものと私は考えております。
  46. 内村清次

    内村清次君 ただいまの天坊総裁代理のお話では、合理化審議会というものは発足しておるのだという御答弁のようですね。その通りですか。
  47. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 部内の委員会といたしまして、すでに発足いたしております。
  48. 内村清次

    内村清次君 私はこの合理化の問題は、今回の事故の対策委員会というような性格と少し性格が異なっておりはしないか。もちろん一環ではございますけれども、しかしその性格上は国鉄全体の問題であって、これを平たく申しますると、やはり民間側でいえば労使の問題である。まあ国鉄でいえば、国鉄の当局者とそれから従業員の間において一体となった考え方の上に立って、国鉄の経営の合理化に対して、あるいはまた当面のその含んでおるところの赤字の問題に対しましても、あるいは事故防止の問題に対しましても、その経営内容の各般にわたるところの問題に対して、やはりこれは従業員もその気持を、一体となって当面の状態に対して対処していかなくてはならぬ問題があると思うのです。この委員会が発足しておるとすれば、私が確聞するところとは少し違っておるようですが、この構成の中に当然組合の方々も入れてそうしてこの委員会を発足するというようなことが含みとなって、当時の長崎総裁の発言の中にもあったように私は考える。またそういうような経緯をとって、組合との間における委員の選定という問題も含めておられたと思うのです。そういうことは一切なかったのでございますか。
  49. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 私がただいま申し上げました合理化審議会は、お話もございましたように、事故対策の問題とは別個でございます。そうしてすでに二十九年度の年度末前後から、各管理局長、各総支配人というようなところ、それから私ども本庁の各局の首脳部と、それぞれ問題を出しまして、まず少くとも各系統別あるいはそれぞれの分れた仕事の中で重要な問題、根本問題になるものを整理して、今年度どれに重点を置いて、特にねらいを近代化あるいは合理化の面から施策を重点的にどう向けていくかという整理をして、その審議をやって参っておったわけであります。そうして今後もこれを続けていくつもりであります。  そうして、これによって決定されました問題を推進していくためには、もちろん国鉄の労働組合の諸君の協力を得なければならないことは、もとより当然であります。従いまして、その問題につきまして労働組合側にも協力を願っておるわけであります。ただ、先ほどお話しになりました、あるいは長崎前総裁がお話しいたしましたという問題は、むしろ労使連絡会議といいますか、そういう式の経営会議みたいなものを考えたらどうかという話が、昨年度来と申しますか、まあまとまった構想ははっきりいたしておりませんが、寄り寄り話があったということの意味での、その問題はどうなったかという意味での内村委員の御質問ではないかと思うのでありますが、その面はいろいろ本質的に問題もございますので、ただいまのところまだ軌道に乗っているという姿ではございません。しかしながら、今申し上げましたように、どういう建前にいたしましても、合理化の問題というものがあくまで労働組合の協力を得なければうまく参らないことは当然でございます。協力を得るようにいろいろ施策を考えて参りたいというふうに考えております。
  50. 内村清次

    内村清次君 この点は、今、天坊総裁代理の御答弁の中に、内容的に少し私が質問しておりまする焦点とちょっと違っておるように感じます。と申しまするのは、長崎総裁のここで答弁されたというのは、前々から当局者とそれから組合との中に経営協議会を一つ設けようじゃないか、その過程においてまあ部内からそういう委員を選定しようじゃないかということは、これは前々からの問題であって、私が申しましたのは、当面の赤字の再建の問題、それに先ほどから言いました非常に国鉄の危機が今到来しておるからして、これを何とか克服するためには、ここに別途委員会式のものを、名前は再建委員会とこうつけるかなんか、それはわかりませんが、実はその後国鉄のあの新聞、あれは交通新聞でございますか、あれにも大きい見出しで長崎総裁の答弁として出ておるのです。だから、私たちはもう、組合としても、当局は確かに団体交渉の際にも、一体委員はどれくらい出すかというようなことで話があったというようなことを聞いておりまするからして、さっそく長崎総裁はやはり、この国鉄の経営の問題に対して、そういう特殊の委員会を作ってやろうという気持が答弁通り実行されつつあるのだろうと私たちは思っておったのです。これがまあ副総裁であるところのあなたの耳に通っておらないことは、私としては残念です。それでこの点は、まあ当時副総裁はお見えじゃなかったのですからして、だれかここに出席した人々がやはりこれは当然副総裁には通じまして、そうしてその企画というものがやはりなされておるだろうとこう私は思っておったのですけれども、今の御答弁では、これは従来の経営協議会に対するところの考え方をお述べになったとしか受け取れませんが、その通りでしょう。
  51. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいまお話にございましたが、どうも私ちょっと誤解しておったかもしれませんが、ただいまはっきりと、経営協議会に類する問題とは違って、合理化審議会といいますか、合理化委員会というようなものについて、いろいろ組合側の委員を入れてそういうものを作るという話を総裁がいたしたということは、実は私ははっきり記憶をいたしておりません。ただいま申し上げました通りに、部内での合理化審議会というものはもうすでに発足して、いろいろ問題を取り上げております。この問題を通じて組合側の協力を得るようにという働きかけはいたしておりますが、今御質問のありましたようなこういうふうな委員会の話は、ちょっと私は記憶いたしておりません。そうした国鉄の内部の合理化問題について、運輸省内に一つの大きい大臣の諮問機関というようなものをおこしらえになるとかいう話は、大臣のお気持として私はおありのように伺っておりますが、あるいはそれとも混同しているのではないかと存じますが……。
  52. 内村清次

    内村清次君 この点はどうもまだ連絡がとれておらないようですから、あとで速記録も一つ見ていただきまして、あるいはまた先ほど申しました国鉄から出ております交通新聞というようなものもよく見ていただきまして、そうして御検討を願いたいと思います。この点は組合自体に対しましても相当影響のある問題でございますからして、組合も関心を持っておったようです。だからして、私たちは、これはけっこうなことだと、そうして当面のこの危機をどうやって乗り切るかといと問題に対しては、しっくりと当然これは従業員も当局者と一体となってやるべき性質のものだと考えておりましたからして、それが実行がまだできておらないということになりますると、ちょうど委員会では答弁をやって、そうしてその対策が次々におくれていくというような、えてして今までのような状態になってはいかないと私は考えますからして、この点は一つ速記録もよくお調べになって、総裁代理は、総裁の任命になるまででも、一つやっていただきたいと私は希望いたします。  これを申しますのも、先ほど言われました部内だけの研究は、あるいはまたは対策は、これは当然職務柄としておとりにならなければならぬですけれども、やはりこれには現場において仕事をする人がその気にならないとできない問題であって、この成績というものはやはりこれは実行して初めてできる問題ですからして、研究はこれはもう当然やっていただかなくちゃならぬが、とにかくその効果が上るようにお考えになっていただきたい、この考え方一つぜひ持っていただきたいと私は希望いたします。同時に、この国鉄の予算問題については、委員長の方でも別途委員会を開いて御説明を聞くし、それから本格的に審議もしたいというつもりでございまするからして、私はその際に譲ることにいたします。  ただ、こういった紫雲丸事件が起きました以後におきまするところの国鉄に対しまする国民の気持というものは、まだ相当、あの悲惨な影響というものが、国鉄を非難するという気持の奥底にあるようです。私たちはこの気持を払拭しなくてはいけないという点は、委員会の派遣議員の報告にもありますが、当局もまたそれで真剣にお考えになっておられると思う。しかしこれに何と申しますか、便乗すると申しまするか、新宿駅において轢死事件があって、そうしてその轢死事件に対して国鉄の駅員というものは冷たい態度で接しておったんだというような新聞報告が、新聞の大きい見出しで出してあるのですね。私は当時委員長もお知ってだと思いますが、派遣議員として四国に行き、従業員の方々と会ったのですが、従業員の方々はみな事件に対しましては、いわゆる国民のそういう気持に対して従業員として非常に肩身の狭いような感じをしておるのだと、こういうことを訴えておる。それだけやはり、たとえば海上勤務ではないにしても、陸上勤務の方々にしても、そういうふうに国鉄という問題に対して、そこに事故があったために非常に肩身が狭いとまで、何といいますか、自粛と申しますか、そういうような感じでおられるのです。ところが、その感じの現われというものが、十六日からの中央委員会でもはっきりと、紫雲丸対策の問題に対しましても弔意の意を表し、事故の再発を防ぐと同時に、人命を尊重するという声明を出されると同時に、しかしその事故のよってくる原因に対しては、どこまでもこれは当局者に対しましても再検討を願うというような、その点も指摘しておるのです。これはもう当然なことでございまして、予算の全般を見ましても、また国鉄の財政の危機の問題を見ましても、これは危機の様相、事故の再発の様相というものは含まれておる。だからして、そういう事故防止を完全にするという訴えも同時に声明しておるのです。だからして、私はこういうようなときに、乗客に対して冷たい駅員の態度があったというような見出しになって参りますると、なおかつ駅員の方、いわゆる鉄道従業員というものは反省がなされておらないというようなこれは一般の乗客に印象を与えることは、やはり記事の内容からいたしましても当然ですが、この読売に出ましたところの記事は、当局者におきましては見ておられますかどうですか。と同時に、その原因の点を一つここで御発表願いたいと思います。
  53. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) ただいまお尋ねございました新宿駅で乗客が事故死亡いたしました点につきまして、新聞などにも相当大きく出ました点につきまして、概要を簡単に申し上げます。  これは起りましたのは五月の七日の二十二時五十二分のことでございまして、場所は新宿駅の八番ホーム、中央線の緩行電車の下り線でございます。この電車がちょうど客扱いを終りまして、発車しまして、動き出して二メートルほど行ったときに、客が——この人が亡くなられたのですが、この客が、最後部の車両の前寄りドアの付近で、車両に寄りかかるようにして倒れたのでございまして、これを発見しました車掌が非常制動を手配いたしまして、約四メートル行き過ぎて停車したのでございますが、このお客はホームと電車との間に左足をはずして、中へ倒れまして頭部をはさまれたのでございまして、そこで前から二両目くらいのところで客扱いをしておりました運転掛の青山と、それから放送掛の星野駅手と、これがすぐに、あるいは運転整理の方の掛りに連絡したり、あるいは内勤助役へ通報すると同時に、すぐにお客とともに、その電車を少し外側の方に押し出さないと客が揚げられませんから、お客にも手伝ってもらって電車を動かして、そしてお客をホームに揚げることの作業をしたのでございます。ちょうどそのときに上りホームからかけつけました大館という駅手が電車の下に入りまして、お客のからだを差し上げるようにしてホームの上へ揚げたわけでございます。  こういうまあ電車を動かして客を揚げるという作業、それから各方面へ知らせる作業、そうしてすぐ担架を取り寄せる作業というようなものを、この運転掛、駅手、保安本部からかけつけた駅手というようなものでやっておるわけでございます。  まあこうしまして、救い出しまして、その間に要した時間が二分間と報告になっております。その後電車は、旅客を引き揚げましたので、それを確めて、五分遅発で発車しております。  それからなお平林という乗客掛は、当時休養時間でホームの休憩室にいたのでありますが、これもこの騒ぎに気づきまして、上着もつけずに飛び出しまして、いろいろ携帯した赤チンなどで乗客を介抱しております。そうして間もなく担架が来ましたので、二十三時に鉄道病院へ移したのでございますが、二十三時十五分には死亡いたしておるのでございます。  そこでその旅客をホームに救出しましてから、ホームの事務室の方へ移そうとしましたが、これは一般のお客さんたちが、重体であるから動かさない方がいいという声が起って、動かさずにそのままいたのでして、担架が来るまでそのままにしておったようなわけでございます。またホームにおいて担架で移送する準備が完了するまでの時間は、お客が転落してから八分、ホームに救出してから六分、それから鉄道病院へ行きまして受診した時刻は二十三時七分ということになっております。  こういうわけでございまして、いろいろ新聞などにも書かれておるようでございますが、救急車を呼ばなかったというような点につきましては、救急車を呼ぶよりも、鉄道病院が近いものですからすぐ担架で運んだ方が早いという、こういう判断でやったということであります。またホームで考えなく死傷者を放置しておったという声もあるようでありますが、先ほど申しましたようなわけで、じっとそのままにしておったわけでございます。また職員はその処置に何もしなかったということでございますが、職員も一生懸命やっておったのでございまして、まあ職員の中には、上着もつけずにそのままやった者があるのでありますから、これらが職員と認められなかった点もあるかもしれませんし、とにかくお客さんも相当大ぜいございまして、非常に混雑して、あるいはお客さんも興奮しておるような方もあったようでございますが、それらの点で若干現場が混乱しておったと想像されるのでございまして、それらの点から記事などにも若干の誤りがあったのじゃないかと思いますが、私どもの調べたところでは以上のようになっておる次第でございまして、ここで亡くなられましたこの方に対しまして、このお方は山梨県の経済農業協同組合連合会の東京事務所長さん、庄司さんという方でございますが、まことにお気の毒のことでございまして、局長から五千円とそれから駅長から千円の御香典を差し上げた、こういうような次第でございます。概要は以上のようなことでございます。
  54. 内村清次

    内村清次君 そうしますと、この庄司さんという方は、新聞によると、最後部の車両から出かかった、こういうようなことに書いてあるのですが、当局の調べられたことはどうでございますか。
  55. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) このお客さんは、降りるときに手をはさまれたというのではなく、すでに発車しかかったところへ寄りかかるように倒れてきたというように、私ども調べたところではなっております。
  56. 内村清次

    内村清次君 これは事実と全然違う。それから第二の点は、ホームから線路の中へ行って、そうして轢傷されて、そうして引きずられて、病院にかつぎ込むまでの間に二十四分、そうしてまたこの病院にかつぎ込もうとするその時間まで、十五分間放置してあった、こういう事実が書いてありますが、その通りですか。あなたの今の報告とは少し違っておるようですが、時間的に。
  57. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 私どもの調べでは、先ほど申し上げました通りでございまして、転落しましてから担架で運び出すまでに八分でございまして、それからすぐ鉄道病院へ行きまして、二十三時七分には診察を受けておりますので、新聞などで相当長く書いてあるような点もあるようでございますが、私どもの調べでは以上の通りでございます。
  58. 内村清次

    内村清次君 新聞を見ますると、確かに「ひかれた乗客に冷たい駅員」という見出しに合うような内容記事です。これはだれが見ましても。そうやって血のしたたっておる轢傷された方を十五分間も、二十四分間も放置するというような、あるいはまた病院にかつぎ込むまでに、そこは実相は合っておりますが、そういう状態では、これは確かにそういう見出しは当てはまるのです。しかしあなたのお調べになったここでの御報告によると、駅員は当時目撃もし、しかも相当の手当もやっておるということになるのです。私はここに相当問題点が、真相というものがどこにあるかという点に対して疑念も一面起りますけれども、しかし引き続いて、ああいう紫雲丸の事件以来、国鉄に対する非難がなされておる今日、しかも駅員の方々も肩身が狭いとまで考えておる今日、こういう新聞が出ました際において、あなたがたのお調べと事実と違っておるというようなことに対しましては、どう御処置なさいますか。
  59. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 新聞につきましては、私どもの調べたところとだいぶ違いますし、また大へん一生懸命働いた職員に対しては、あのことについて非難されることは気の毒に思いますので、新聞の当局に対しまして、事実はこういうわけだということをよくお話ししまして、何か善処してもらうことはお話はしているわけでございます。大体こういうような問題につきましては、なかなか私どもの満足するような手段を新聞でとるということも、なかなか困難だと思うのであります。そうかといって、私の方の機関なりによって事実がこうだというようなことを書くということもどうかとも思いますので、まあとりあえず、新聞の方へ事実はこういうわけだというお話を申し上げておるわけでございますし、私どもの調べましたのはこういう事情でございますけれども、新聞なりあるいはほかの人から言えば、そうじゃないという点もあるかもわかりません、こういう点は警察なりその他の方で調べてもらうよりほかないと思いますが、警察の方の調べも一応はしているようでございますが、それらの点についてはまだ聞いておりません。
  60. 内村清次

    内村清次君 この新聞が出ましてから、新宿駅に対しては相当な投書が来ておるはずです。と同時に、駅員に対するところの乗客の方々の風当りというものは、非常に強いということを聞いております。だからして、駅員の方々も、それはもう人命の問題であるし、あるいはその後の従業員としてなさねばならぬところの応急処置でもあるし、その方々に対してはこれは万遺漏ないような点を再検討しつつ、今後も実施していかなくちゃならぬという心構えでおらるるけれども、しかしこうやった事実と反したところの新聞の問題について、現実従業員の直接仕事に当って、しかもいわばこれは永年あそこに勤務しておる方々もあると思う。あるいはまたは、とにかくそこの駅を本拠として勤務についておる方々であるから、そうやった投書、あるいはまた職務の遂行に対してのいろいろの御不満、これがまたこの「冷たい駅員」というような先入観から来るところの毎日々々の業務上におけるところの接遇の問題に対しては、これは相当つらい思いをしておると思うのです。だからして、私はこういうところは、上司としてはそういう点に対して、真相と異なっておるというような事態がはっきりとすれば、この点はやっぱり新聞社の方にも、やっておらるるということを聞いておりまするが、これはやって、そうしてまあ今後の状態、出した問題ですから、これは直ちに新聞社自体として取り消すというようなことは、幾らか事実関係はありまするからして、その記事の内容において少し違っておるのですからして、これを今後においてもやっぱりこれは何か是正してもらうなりというようなことは、どうもやってもらうべきではないか。そうでないと、上司の非難は従業員が受ける。上司の方はそれでよろしいというような態度では、今後の事故防止に対しましても私は完全に行かないと思います。こういう点はやはり重要な問題ですから、国鉄の名誉回復というような点からして、内部には自粛をされると同時に、外部的にはやはりそういうような面のこともやっぱりお考えになった方がいいのじゃないかと私は考えるのです。  その後、新聞は十六日、またそのあとの経過に対して掲載をやっておるようです。これはもう見られたと思うですね。そうしてみると、相当新聞社も根強くこの問題を取り上げておるように私たちは考えます。八日の日から十六日の日までに、私たちはこの八日の日に、東鉄の局長が、発表されたところの事態と、それからその後新聞社に対するところの事態というものが、どうも日にちがあり過ぎる。こういうところで最善の新聞社に対する手を打っていらっしゃらないというような懸念も感じますが、この点はどうですか。営業局長は一応お聞きになりましたか。
  61. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) この最初の記事が出ましたのはだいぶ違いますので、新聞社の方へ事情を話しまして適当な処置をまあしてもらうように話し合いをする。またさらに新聞協会というような方につきましても、今後その取材につきましていろいろと話をしてきておるわけであります。お話のように、その後また新聞の方でこの問題を再び取り上げたのは、私たちとしてははなはだ残念に思っておるのでございます。いつ新聞社の方へ話をし、その話の最中にまた次の記事が出ておる、その期間ははっきりしておりません。とにかく私どもの考え方や調べた結果は自信がございますので、そういう点につきまして、新聞社や新聞関係の協会等へも話し合いを今しておるような次第でございます。
  62. 片岡文重

    ○片岡文重君 一つ、副総裁にお尋ねしたいのですが、先だって東海道線で、米軍のトラックですかと列車が衝突をして、車をだいぶ焼かれておるようですが、この事故の責任は、何か新聞等によると、かなり明確であるように伝えられておりますが、その責任の所在はどういうところにあるのですか。
  63. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいま静岡の警察当局で調べ中でございまして、はっきりせないところもございますが、大体私どもの見方では、鉄道側の機関士その他の責任はないのではないかというふうに考えております。
  64. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうすると、まだ事故の責任の所在が明確にはなっておらないということですか。
  65. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 衝突いたしました向う側のトラックの運転手あるいは一緒の同乗者が、汽車に対して急停車をするような合図をしたという話もございますが、それがどの程度適切な措置であったかという点がはっきりしないのでございます。
  66. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうしますと、何か伝えられるところでは、米軍に対して幾ばくかの損害賠償を国鉄から要求しておるということでありますが、その点はどういうのですか。
  67. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 私どもといたしまして、衝突いたしましたトラック側にもし責任がありとすれば、すぐに賠償の要求をしたいという意味で、目下準備中でございます。
  68. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうしますと、国鉄としては、結局国鉄側には責任がないから、ないと信ずるから、米軍に対してその損害の賠償を要求するんだと、こういう今の建前で、事実はまだしてはおらない。で、また責任の所在も今すぐにはわからない、こういうことなんでしょうか。
  69. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) おっしゃる通りでございまして、もし責任がはっきりすれば、すぐ賠償の要求をしたいという準備をしておるという段階でございます。
  70. 片岡文重

    ○片岡文重君 そうしますと、まあ現在過程にあるのですから、結論をお聞きするのはどうかと思うんですけれども、国鉄側として事故の責任がないと考えられておるその当面の、何といいますか、当事者である機関士が、今日の新聞によると、送検されておるという報道ですけれども、こういう場合に、警察の手を待たなければ、国鉄として技術的に専門家である諸君が、当然事故の現場を調査し、事故の起った原因も調査されておるのですけれども、なおかつこれは検察庁にその機関士を渡さなければならないのですか。
  71. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 踏切事故その他の場合は、事故がありましたときには、一応警察といたしましては、それが犯罪になるかならぬかにかかわらず、一応取調べる必要があるということは言い得ると思うのでありまして、そういう意味からいたしまして、警察としては機関士を一応取調べられているというのではないかと思います。ただ、鉄道で一応下調べといいますか、鉄道で調べたときには、先ほど申し上げましたように、鉄道としては、この場合機関士に責任があると言うことは無理ではないかという見方を、私どもは一応持っております。
  72. 片岡文重

    ○片岡文重君 これはいつごろはっきりするのですか。
  73. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ここ数日のうちにははっきりいたすと見ております。
  74. 片岡文重

    ○片岡文重君 それでは、この問題は、はっきりしてから、もう一度その処置についてお伺いいたします。  それから船舶課長、ちょっと見えているようですから、ついでに、わずかですから、お伺いいたしたいと思いますが、この間事故を起した紫雲丸の船長の勤続年数、それから本俸、家族数、それから今後の措置について、一括してお尋ねをいたしたいと思います。
  75. 篠田寅太郎

    説明員篠田寅太郎君) 中村船長の経歴を簡単に申し上げます。中村船長は大正八年十二月に国鉄の職員になっております。それから宇高航路の船長になりましたのは昭和十七年の七月でございます。そうして今回の事故を起しました。年齢は五十四歳でございます。なお家族数、本俸のことは一応今わかっておりませんので、なお調べましてから後ほどお知らせをいたしたいと思います。
  76. 片岡文重

    ○片岡文重君 それじゃ、あとで出していただいてけっこうです。  それから一緒に殉職をした操舵手がございますね、それの勤続年数、本俸、それから家族数、今後この両氏に対して国鉄はどういう措置をとられるかということ、こういうことを、この次でもいいですから……。
  77. 入交太藏

    ○入交太藏君 今の紫雲丸のことについて私もお伺いしたいのですが、今の紫雲丸の船長は、中村船長ですか、本船長は何か非番であって休んでおったということを聞きますが、そうですか。それから中村船長は代理の船長になっておったかどうか。そういうことをお聞きしたいと思います。
  78. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 連絡船の船長の勤務は二十四時間勤務でございますので、その間ずっと勤めておるのではなくて交代でやっております。そこでもう一人の岡船長というのは当番でない船長で、船の中で、非番でございますから、休んでおったのでございます。中村船長がその船長の仕事をしておったと、こういうことでございます。
  79. 入交太藏

    ○入交太藏君 その岡船長が本船長ですか、中村船長は代理船長ですか。どっちが本船長ですか。
  80. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 岡船長が本船長ということでございます。
  81. 入交太藏

    ○入交太藏君 それでは、本船長が非番であって休んでおった。これは助かっておりますね。
  82. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) さようでございます。
  83. 入交太藏

    ○入交太藏君 まあこの問題については、先般の委員会でも派遣議員の方々からの御報告もあり、それからいろいろ質問なり御意見も出たのでありますが、実は私もこの運輸委員会の派遣議員の方々が行かれました翌日現地に参りまして、そうして紫雲丸の運転士、それから宇高丸の船長、運転士等に会うて、その当時の模様も聞いたのでありますが、この前もだんだん御意見がありましたように、私の見ましたところによりましても、いかにも乗組員の不注意と緊張度が欠けておったのじゃないかということ。それから今の本船長は非番で休んでおる。なるほどそれは非番だから休むのもいいが、特にあの航路におきましては、濃霧の危険ということがあの航路の一番の問題であると私ども思うのでありまして、もちろん連絡船の危険ということは、暴風雨その他のこともありましょう。ありましょうが、あの宇野——高松連絡におきましては、非常に船舶の航行がひんぱんなので、衝突事故ということが一番の危険の問題であるし、ことに濃霧ということはあの付近の名物であって、あの航路の一番の私は問題であると、危険の一番であると考えるのであります。その点において、いかに非番であるにしても、本船長か休んでおって、しかもああいう濃霧の危険なときに当って全然出てきておらなかったというようなこと等は、大いに私は緊張を欠くこと大なるものであると同時に、私は一般国鉄の連絡船関係において、先般の洞爺丸事件、また引き続いて今度の紫雲丸事件にいたしましても、要するに船舶連絡に対しまする乗組員の指導監督ということが、非常に欠けておるのじゃないかということを私痛感をしますと同時に、私ども直接先般の両船の運転士並びに船長あたりと面接をいたしまして、その事情を聞きました。その模様等から人物を見ますると、私どもは他の船舶の乗組員諸君と比べまして、私は質的にある程度落ちているのじゃないかということを感じたのでございます。特に、御承知の通り、あそこは平水航路であって、航路も短いし、非常な航海としては簡単なところでありますけれども、その人命に対する危険の責務ということについては、私は他の船舶以上に非常に重大な責任があると思うのでありまするが、その点において乗組員は、あまり単純な航路であるのと、毎日通っておるので、ある程度なめてかかっておったのではないかということが、緊張度を欠き不注意になった関係において、ああいう事故を起したのではないかと思うのでありまして、この点につきましては、まあどういうこれまで監督指導をされておるかわかりませんが、あれはどうなっております。船舶に対しまする監督指導の機構ですね、国鉄内の。どういう機構になっておるか、ちょっとそれを伺いたい。
  84. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 船舶のうち最も最高の責任があるのは船長でございますので、船長につきましては、もちろん免状を持ち、船長としての資格も十分であるということでやっておるわけでございます。従いまして、航海における全責任は船長が十分それを指示してやっていかなければなりませんが、陸といいますか、これを指導監督といいますか、そういう機構といたしましては、四国の鉄道管理局におきましては、営業部に船舶関係の海務課、船務課というのがございますが、この海務課の方で、一般の桟橋の業務なりあるいは運航の業務なりというものの計画を立て指導をする。そうして船舶関係の課長の上に、さらに営業部の次長がいるという格好になっております。実際の運航に関する指導といたしましては、航路の問題とかあるいは霧の問題とか、具体的な問題につきましては、そこの船舶関係の次長なり海務課の方で計画しまして船長の方に指示して行くという形でございまして、しかし船の一般の今日問題になっておりますような航法上の問題、ことに霧の中の航法というようなことにつきましては、もう当然、船長としては共通の当然のことでございまして、これらのものを常に守るというようなことにつきましてはもう当然のことでございまして、そういう点に注意するようにということはときどき言っておるわけでございまして、たとえば航路の危そうな所をどういうふうな道を通る、あるいはどの程度の霧のときには出航は見合せる、入航は見合せるといったような、そういった具体的な問題につきましては、今申しましたような海務課の方で船長の方へ指示していくという格好になっております。
  85. 入交太藏

    ○入交太藏君 それはやはり、四国鉄道管理局は、管理局その他は、局は局に分れていますか。本省の方にある程度船舶課というのがあって全部押えているのですか。どういうふうにされておりますか。
  86. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 船は、青函——青森と函館の間の青函の連絡船、これに関しましては、青函鉄道管理局が函館にありまして、そこに局長の下に船舶部がございます。そこに課がございましてやっております。それからあと広島鉄道管理のほうは、小さな宮島航路とかあるいは仁堀航路とかありますが、これにつきましては特に局に船舶部を置きませんで、船舶の担当の者がそれをやっております。それで本庁の方におきましては、営業局の中に船舶課がございまして、そこで全体の事務をとっております。
  87. 入交太藏

    ○入交太藏君 私の見るところでは、これは私の感じでありますけれども、今申しましたように、非常に連絡船というものは責任が重いというふうに言えます。ある程度航路が簡単だというようなこと等において、乗組員の選択といいますか、よほど乗組員は吟味して、いい乗組員を乗り組ませて、しかもその注意は、特別に注意をさすようにしないと、私の見るところでは、どうも国鉄というものは、鉄道に重きを置いて船舶に対してはどうも軽視しているんじゃないかというようなことを感じられますし、また今申しましたように、私はその乗組員の人物を見た場合に、他の船舶の乗組員とではどうも質が落ちるんじゃないかということを感じさせられましたので、今後におきましては、その乗組員の選択、任命についてはよほど心を願いたいと、私は御注意をしたいのであります。  それから今の事故防止についての事柄につきましては、ただいま対策審議会ですか。何かお作りになってやっておられるそうでありまして、私どももぜひこれは、今後においてこういう事故の起らないように速急に具体的の研究をされまして、一日も早くこういう事故の起らないように対策を早く進めていただきたい、こう思うのであります。今度のあの紫雲丸事件を見まする場合に、もちろん事故の責任につきましては、海事審判の結果を見なければわかりませんけれども、いずれにいたしましても、他の船舶との衝突ならともかく、国鉄同士の船が衝突をしておりますし、全くこれは、濃霧ということはございますけれども、天災じゃなくて私は人災であって、大きなるこれは国鉄の責任である、こういうことを感じられるのでありまして、非常に遺憾に存ずるのでございまするが、この点については、今申しましたように、すみやかに具体的の方策を立てていただきたい。  それについては青函なり宇野——高松なり、それぞれいろいろ連絡がありますけれども、そうたくさんの連絡船じゃございませんので、私はこの各路線について特別のそれぞれの事情もありましょうから、具体的によく考慮をされまして、危険のないように願いたいと思います。特に宇野——高松につきましては、先般の紫雲丸衝突事件以来、宇野港の出港入港に際しましては、航路を分けております。が、高松その他の途中の航路におきましては、これがまだできていないのじゃないかということが今度の事故の問題になっているのじゃないかと思いまするし、ダイヤのこと、その他の航路の関係等も具体的に検討いたしまするならば、もっともっと私は事故を防止することができるのじゃないかということを痛感されますので、どうか一つ具体的にその航路航路によって御研究を早く進められまして、一日も早くこういう危険のないように願いたいと思うのでございます。私どもは特に四国に関係がありまして、いつも自分も直接あの航路を利用もいたしまするし、先般土地に参りましてあのたくさんの犠牲者を出しました遺家族その他の状況を見まして、まことに同情にたえない点もありまするし、また遺家族その他からの苦情というものは大へんなものであります。これが一般犠牲者を出しました附近の非常な国鉄に対する非難の声が大きいのでございますので、私どもといたしましては、この人々に対してはぜひとも速急な対策を早く立てられまして、こういう事故の起らないようにお願いしたい。  それからその後の遺体引き揚げ状況その他はどうなっておりましょうか。本日までの経過を説明願いたいと思います。
  88. 唐沢勲

    説明員(唐沢勲君) 事故の対策の云々につきましては、お話のように、できるだけ、ぜひやれることはもうすぐやるということで、従来もいろいろ通牒その他ではやっております。重ねて、航法を重視するということは当然の問題であります。あるいは非常態勢を、もう相当早目にどんどんそういう態勢に切りかえるような問題、あるいは非常時に対する措置というようなことについてはお客さんにもぜひとも趣旨を徹底させるというようなことをすぐやるように、通牒を出してやっております。それから航路も一応は分けてやったのでありますが、それをもっとはっきり分けて、しかも浮標を入れるというような対策を講ずるように措置をしております。また高松の港の入口の混雑のためにも、ことに関西汽船等の問題も非常にありますので、それらも何か信号によって整理するような方法をやるように、今手配しております。これも海運局あるいは水路部の方の問題もありますので、そういう点、今話をさせております。またダイヤの問題につきましては、全面的にやりますには、相当列車の方が大幅に動くことになりますので、それを研究はしますが、とりあえず、今の船の時間があの狭い所で行き違いにならないように、船の方だけでもとりあえず直すということを今いたしまして、すぐ緊急これをやらせようと思っております。かようにいたしまして、いろいろな点について、やれることは少しも早くやるというようにしております。  それから遺体の引き揚げ等の問題につきましては、今のところ、学生だけで九名のまだ遺体が揚っておりません。その他の方からも申し出でがあったのは調べましたが、今のところ九名でございます。船の中は再三再四捜査いたしまして、もうどうしてもないのでございまするが、目下は広く周囲を掃海するということに主力を注ぎまして、底引網あるいは文鎮網等を相当たくさん入れまして、相当広範囲にわたって捜査しております。またヘリコプターその他によりまして、もう浮揚する時期にもなっておりますので、浮き揚ったのを発見するようにしております。今後は船を引き揚げまして、さらにその下、中を徹底的に見るということが、引き続いてやらなければならぬ問題でございます。これにつきましては、サルベージの方の専門会社に今調査さして、近く見積りをとりまして処理する段取りを進めておる次第であります。
  89. 入交太藏

    ○入交太藏君 それから犠牲者に対しまする弔慰金並びに補償金、こういう方はどういうことにおやりになる状況でありますか、それを伺いたい。
  90. 鵜沢勝義

    説明員(鵜沢勝義君) 犠牲者に対する弔慰の方法は、とりあえずの措置と、最終のと申しますか、その次の措置と、二つの措置に分れまして、とりあえずの措置といたしましては、お亡くなりになった方に対しまして、総裁名義で五万円の香典、それから現地の四国の鉄道管理局長が一万円、そのほかにお供え料として四千円、これは遺体にお線香を差し上げる、それからお供物を差し上げる、こういう趣旨で品物を出しております。それからお葬式がありました際には、鉄道から花輪を出す。こういう応急措置をしております。それからお亡くなりになったあとのお手当てでございますが、お亡くなりになった人に対しては万全の措置をとって慰謝の方法を考えたい、こういう考えを持っておりますけれども、やはり今までのやり方といたしましては、金銭的賠償をいたさなければならないということでありまして、これは収入のある方、しからざる方によりまして、計算の仕方が違いまして、収入のある方はいわゆる各裁判所でやっております現在の収入から生活費を控除しましたいわゆる得べかりし利益というものを生命表によりまして掛けまして、それをホフマン式で中間利息を控除した額、それと、それから民法七百十一条の慰謝料、それからお葬式に要した費用、それからお亡くなりになった方々の物件損害、こういうものを合せまして、それを損害賠償額として、新しい見方によりますところの権利者を捜査いたしまして、そうして権利者を確定いたしまして、急速に支払いの手続をしたいと、かように考えております。
  91. 入交太藏

    ○入交太藏君 今伺いましたが、いずれこういうものはある規定によりましておやりになることと思いますが、今のお話、収入の点等によって慰謝料の高も変ることになるのでございますが、御承知のように、今回の犠牲者は学童が非常にたくさんありまして、そういう点からいいますと、収入の点その他については、もちろん収入がもとより少いのじゃないかということが想像されるのでありますが、しかしながら、これは学童でありますから収入がありませんけれども、いずれにいたしましても、子供を失ったという親の気持というものは、これはもう金銭にかかわりのない大きなこれは犠牲で、同情にたえないことであります。こういうことが私は一般に響きます影響というものは非常に大きいということ、それから今度の責任が何かこれが天災の、ある程度不可抗力によるようなものであればともかくでありますけれども、全く私ども見ると、国鉄の全責任じゃないかということを考えられまするので、こういう点等も考慮されまして、私どもは学童であって、なるほど収入は少いけれども、いろいろな点を考えて、できるだけの手厚い一つ慰謝をしてもらうようにした方が、非常に一般的に国鉄に対する非難が多い際でございますしいたしまして、また今度の事件が全くの国鉄の全責任じゃないかということを考えてみます場合に、これまでのいろいろな例もありましょうし、また慰謝に対するいろいろな考え方もございましょうけれども、私はそういうのをある程度超越しても、この際はできるだけ手厚いことをしていただきたい、そういうことを私は感じますので、その点をお願いをいたしておきます。  これで私の質問は終ります。
  92. 平林太一

    ○平林太一君 近年非常に、相次いで国鉄の事故が頻発するということに対して、総括的にあなたの御意思を確かめておきたい。  私の見ましたところによりますと、やはり鉄道にしても、海運にしましても、運転する、動かすということに対して、物と人とが一心同体になって初めて完全なる運行というものができるのである。しかるに近年国鉄の事情というものは、事故の起きる原因、いわゆる物と人との心がややもすれば離れ離れになっておるということを一つ御一考願いたい。  そこで、どういうわけでそういうことが原因するかということになると、いわゆる鉄道の現業と非現業、今日でいうと、私の見たところでいいますと、非現業の高級幹部、それから現業に携わるいわゆる従事員というものとの間に、階級的の意識が非常にはなはだしい。現業従事員というものはそういう意識が非常に強い。常に何か心理的に上層幹部に対しての威圧感、圧迫感というものが非常に強く響いておる。そこで気を楽にして、進んでその運転の所定のことに当るということが、非常に阻害されておる。そのために、今日では、私、鉄道などを見ましても、現業に携わっておる人々とときどき話をして聞いてみるというと、ややもすると非常に絶望しておる。高級幹部に対してあるいは非常に敬遠しておるということが、非常に見受けられるわけです。こういうことになりますと、いわゆるおのずからその職場に対して、それから自分の技能技術というものを楽な気持で発揮するということが、非常に阻害されておる。そういう事態、戦争前でいいますと、兵卒とそれから将校、それから将校と将官、こういう間にあったような心理的な階級意識というものが、今日国鉄に現存しておるのではないか。そういうものが事故発生の原因の重要なるものとして、取り上げられておる。これはいわゆる事故の統計を見ましても、心理的の事故の方が大部分だということです。いわゆる先刻お話しの通り、スピードを落せば事故がない、しかしスピードを落しても施設が悪いために事故が起きたということは、これはお話通り、ないわけではない。こういうことに対して何か一つ考えになられて、根本的な問題を解決せられるようにしてもらいたい。  それから先年の洞爺丸のときにも、いわゆる札幌の上級国鉄幹部が、いわゆる出港当事者が、すでに気象観測で予想しておったが、しかし若干酔っておったため、出してしまえというようなことで出港が行われた。これは中央公論に明らかに出ておった。その真偽の点は、今ここでそういうことをただすべき考えを持っておりませんが、そういうふうに国鉄幹部に対して下級の従事員が気持を楽にして、そうして技術というもの——従事員というものは、御承知のように、技術というものに対してむしろ陶酔感を持っているくらいのものだと私は信じております。それだから、その気持を楽にしてやることによって、その技術に対してみずからのいわゆる経験、うんちくというものは、そこに如実に動いていくということになりまして、決して私は事故というものは起きないどころではない、持っている施設以上の運転効果というものがそこに現出する、そういう結果を来たす、こういうことです。  そういう点について今後のあり方、お考え方ということだけを、一つ伺っておきたいと思います。
  93. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいまは非常に御示唆に富んだ御意見を拝聴いたしまして、私として考えさせらるべき点が多いと思います。  終戦後と申しますか、非常に一時、ただいまお話がございましたが、物心の物の方のいろいろ修繕不足と申しますか、手入れ不足、品物の悪いというようなことで、非常に一時、これは鉄道全体でございますが、事故が多かったのでございます。それを何とかして克復しなければならぬというので、だんだんと全体の事故の数を減らすということに努力して参ったのでございますが、いまだにそのあとが絶たずと申しますか、特に最近人命に関する事故が瀕発して、まことに申しわけない次第に存じております。ただ、結果の数が非常に大きなことになっておりますが、一件々々といたしましては、大体大きかった時代——二十二、三年と申しますか、一、二年と申しますか、そのころから比べますと、ずっと減って参っておるのでございますが、ただいま申しますように、非常に結果の大きい事件が頻発して、はなはだ申しわけないと思います。  その問題の原因については、いろいろ検討される問題もございますが、確かに今お話がございましたように、精神的な面から来る問題も大きくして、ただこれに対する対策と申しますか、その面をどうしてやっていくかということに、いろいろむずかしい問題があろうと考えます。ただ非常に国鉄の全体の士気がゆるんでおると言われておりますが、その点も私はある程度事実かと存じますが、しかしまあいろいろ経済社会全体のレベルというものから、特に国鉄だけが今後大きく士気が上るということも、なかなかこれはできない実情の問題でございまして、しかし人命をあずかっておる重要な事業でありますから、特にそういう点で、ほかのものはとにかくとして、もっと士気が盛んでなくてはならぬということも言えるとも思います。特にそのことに対する対策をいろいろ考えなければならぬと思いますが、今回の事故で総裁がすぐやめましたというようなことも、これは現場の従事員に非常に大きな心理的な影響を与えております。これは非常に私は精神的な士気を起させる一つの大きな課題になっておるのではないかということも考えておりますが、さらにもっと、ただいまお話しになりましたような点も実際上私はあるだろうと思いますので、十分検討いたしまして、さらに適切な手を打っていきたいと思います。
  94. 平林太一

    ○平林太一君 今お答弁がありまして、私もよく了承いたすのであります。それで私の申したことで、今お話の中で欠けていることは、ともかく階級的な意識というものは、これは下の方からは措置できないものである。まず国鉄最高部の、また現地におきましては現地における上層部の幹部というものは、一つ心を入れかえて、そうして下級の従事員に対して従来と全然気持を入れかえて、非常なる愛情とそうして敬愛の気持を持って、よく国鉄一家の事故というものは、多くの場合において、私の中からはできない、不和の間からできる。不和と称しても、それが何か立ち居ふるまいということではない。心の中でみな和気あいあいとして事に従事するというところに、おのおの所を得て、そこでこれが能率も上るし、事故というものはほとんどそういうところではないという如実の事実を、私はよく承知しておるのであります。しかし、それが国鉄一家と称して、特に私ども期待いたしておるが、あまりにも上層部というものが今申しているような、実際の本心を聞いてみると、いかにも上を敬愛する、下を愛する、そうして一家のこの子供と大人の渾然一体の姿を現出するということとは、全く逆な結果を来たしているということが、特に今度のことは濃霧、これが最大の原因でしたが、今言われたように、災害におけるものというものは、これは突然起る問題ではありません。だから、ここに運転するところのいわゆる現業諸君が、案外心の中に、その職務に当って、そういう機械と自分の気持が一致することのできないような平常の不満不平が、その間隙の間にそれが出た場合に、右に鳴らすべき気笛を左に鳴らしたという事実は、そういうことはあり得ないとは私は考えられない。そういうことは何か不満があるからであって、だから、それは系統的に事故が起きるということはほとんどないわけです。何か一瞬の間に起きるわけです。洞爺丸の事件などについても、今日それを責めるということはいたしませんが、しかし、遺族の一人は中央公論にそう書いておる。そうして内部における、決算委員会に現われて参ります不正事項とか批難事項、不当事項というようなものが、下級部において発生している。ところが、その原因をだんだん探究してみると、往々何か上層部から受けた影響からして、そういうような、この程度のものはやってよかろう、われわれもこのようなことはしなければというような事態が、幾多決算委員会などの事案に現われている、こういうことなんです。これに対して、むしろ士気の弛緩というようなお話をされましたが、これは全体の士気の弛緩ではなく、上層部における特定の方々がその点に対して深く思いをいたすならば、今日の国鉄の持っております施設、組織、そういうものを通じて、事故の防止というものはできるのではないか、そう考えているものであります。  これだけで私の質問は終りますが、一応その点はお触れにならなかったが、この機会一つ今申し上げたことに対する御答弁を伺っておけば、会議録に残るわけでありますから、承わっておきます。
  95. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいまのお話で、国鉄が一部、こう、上の方と下の方と非常に離れてしまっているのじゃないかというお話でございますが、私どもといたしましては、昔と比べまして最近労働組合というようなものが非常に強くなって参りましてから、そこら辺の引っつき方というものについていろいろ頭を使っているのでございますが、昔ほど、お話しになりましたような意味では、ぴったりしないところも実際あるのではないかというふうに考えます。しかしながら私ども、上下といいましてもへんな言い方でありますが、こういう一つの大きな仕事、それがしかも相互に連絡のある仕事組織的にやっておりますという建前上 やはり仕事を遂行いたします筋道というものははっきりと厳としてやっていかなければならない。同時に、今お話がございましたように、気持の上で、これはいい意味での横上下一体となって仕事に当っていくということがなくちゃ、うまくいかないのは当然でございます。そこら辺の……。組合運動というもので、一方組合がありますが、同時にお互いに、今のお話にもございました上の方だけ離れて、しかも今のお話のように、上の方だけで問題がある、そこに士気の弛緩があるというようなことでは、これは非常に問題でございますので、そういう点十分私ども反省いたしまして、今後そういうことがないように善処していきたいと考えております。
  96. 大倉精一

    大倉精一君 ちょっと、今の御答弁に関連してお尋ねいたすのでありますが、この前の本会議で自由党の方が、本事件と組合運動を結びつけてお話がありましたが、今も副総裁から、何か組合運動というものについて精神的に一つの支障がある、こういうふうな御発言がありましたが、何かこの事故というものと組合運動、労働組合ということと関連があるのですか。どういうふうにお考えになっているか、伺いたい。
  97. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) ただいま私がお答えいたしました話で、もしか言葉が足りなかったかとも存じますが、ただいまの私の申し上げた意味は、鉄道全体として和が必要だ、そういう意味で、新しい思想のために今までとは違った格好で、十分昔のような格好での一体になる気持が、昔と違っているかどうか、違っているかもしれない、こういうことだけを申し上げたので、組合運動のことを別に言うわけじゃありません。
  98. 大倉精一

    大倉精一君 国鉄の和というやつは、私はこの問題についてはいろいろ研究しなければならぬと思うのですが、ある特定の人だけが保っておっても、これは仕方がないと思う。私は国鉄じゃありませんから内部はよくわかりませんが、聞くところによるというと、いわゆる学閥偏重人事といいますか、そういうものが非常に強いようですね。従って、東大かどっか出なければ、こんりんざい、局長にも課長にもなれない。私立大学を出た者で局長になるというようなことは、これは全くまれである。こういうことで、学閥につながっているところの親分子分の和というものは、非常に強い。強いのだが、そのためにほかの人との和が欠ける。私はさっき平林さんがおっしゃった精神的な和というものは、ほんとうに下の現場の駅の菜っぱ服を着た人から総裁に至るまで、ほんとうの意味の和がなければいかぬと思うのですが、どうも労働組合ができて、団体交渉やらストライキやら、闘争をやって和ができない、そういう意味と、私はもっと根本的に、学閥偏重というような意味の旧態依然たるものがある。これが一つの何かの要素になっているのじゃないか、こう考えるのですが、この点はどうでしょう。
  99. 天坊裕彦

    説明員(天坊裕彦君) 意見になることは差し控えますが、私が申し上げたのは、今お話しになりました根本的な和の話を申し上げておるわけです。ただ、国鉄の現在のいろいろな人事と申しますか、全体が、外からごらんになりますと、学閥というふうにおっしゃいますけれども、実際私はそんなに強い学校出の学閥というものがあるとは考えておりません。ことに、これはまあいろいろ比較するあれだけで言いますと、ほかのいろいろな言い方がありましょうけれども、別の所、たとえばほかの事業あるいはほかの官庁というようなものと比較いたしますと、私国鉄などははるかに、そういうようなものと比べて、そういうワクが小さいのじゃないかというふうに私は考えておりますが、これはまあ比較的な問題でございます。そういうふうにごらんになってもまあやむを得ないかと思いますが、しかしながら、それらの点はそういうふうに言われるようになってはこれまたいけませんので、よく考えなければならぬ点は考えて参りたいと思っております。
  100. 大倉精一

    大倉精一君 まあ、これは水かけ論になるからあまり申しませんけれども、よく私は国鉄内部で聞くのですが、あれはおれの親分だ、あれはおれの子分だというような通用語がだいぶんあるように思うのですが、こういうようなことがあるとすれば、これは何とかやはり除いてもらった方がいいのじゃないか。いわゆる幹部候補生偏重主義では、幹部候補生は必ず将校になれるけれども、あとはだめだというふうなことがあれば、これは改革する第一歩じゃないかと思うのです。  この際ついでにちょっと聞いておきたいのですが、洞爺丸のとき、貨車の積みつけというのが非常に問題になりましたですが、チェインが切れたりして——あれから以降に貨車の積みつけについて、係留ですか、この面について何か特別の措置を講じておられましたかどうか、これを二つ……。
  101. 篠田寅太郎

    説明員篠田寅太郎君) 洞爺丸の事故の場合の緊締具がどうであったかということを、その後詳細に調べたわけでありますが、船が大体四十五度以上かしぎまして脱線をしております。それで、緊締具ははずれているのがございますが、なお上部で貨車がひっくり返ったまま天井にぶら下っておるというようなものがございまして、緊締具の張力は一本が約十トンであったのであります。それで、常時は片面で三本ずつ、両側で六本かけておるのでございますが、荒天時には在来もずっと増しがけをやってきておるわけでございます。さらに、その増しがけを荒天の場合に励行するような方法をとっておりますので、緊締具の問題は大丈夫であると思います。さらに、なお安全のために、もう少し簡単なうまい方法はないか、作業に相当労働力が要るという点もございますので、もう少し効果的でより強力なものはないかということは、目下研究中でございます。
  102. 大倉精一

    大倉精一君 それで切れたことはないが、とめ金がはずれた、こういう事実があったらしいのですが、今度の場合も引き揚げてみなければわからないかもしれませんけれども、やはり激突によってとめ金がはずれて、そして貨車がぐっと変動した、従ってぶつかった反対の方へ貨車がぐっと行って、こちらの方に傾いて沈んだと、こういうことを海上保安部関係者でしたか、新聞でちらっと見たんですが、そういうことはわかりませんか。
  103. 篠田寅太郎

    説明員篠田寅太郎君) まだ引き揚げてみませんと詳細はわかりませんが、事実脱線したものがあるということは、ダイヴァーを入れて一部見ておりますので、わかっております。それからあの船は、御承知のように、船の車両を積んでおりますところのサイドがずっと壁になっております。それから中にもずっと柱が立っておりまして、その狭い貨車の入るスペースだけ別に二列になっておりますので、その中の範囲内で移動するだけで、完全にどすんと横ちょの方に飛んでしまうというようなことにはならぬようになっております。それから四国の方の航路は、青函に比べますと、わりに平穏なものでございますので、緊締具のかける蝶数が青函より幾分少いということは見受けられます。今後引き上げられました状態を見ましてさらに増しがけを要するという事実がわかりますれば、増しがけをやらせる方法をとらなければいかぬと、まあこういうふうに考えております。
  104. 大倉精一

    大倉精一君 これは私は、少くとも洞爺丸のときにとめ金がはずれたと、あるいは切れなかったけれどもそういう公算もあるというような、一つの重大な教訓を得たんですから、連絡船については貨車積みつけの場合は、とめ金、それから緊締方法ですか、こういうものについて事故の起らない前に、念には念を入れて、一つ措置をする必要があるんじゃないか。今の御答弁によると、今度もしあればさらに研究して何とかしたいという御答弁があったのですが、それもけっこうだと思うのですけれども、しかしああいう事故が繰り返して起る、瀬戸内海が平穏といいながら再三あそこで事故が起っておる、そういうことがありますので、私はその辺が納得、腑に落ちない点がありますので、やはりそういう問題につきましては、連絡船ばかりではなくほかの問題についても、少くともそういう公算があれば、事前に一つの措置をするという注意が必要じゃないかと思います。
  105. 篠田寅太郎

    説明員篠田寅太郎君) 実に青函の事故がございましてから、四国の鉄道管理局の人たちも現地の方へ人を派遣しまして、その問題も聞いて帰っておるわけでございます。在来、四国の方は緊締を、洞爺丸が起ります前までは、あまり平穏なときはかけておらないという実情がございました。そのときから四国の方で、これはさらにかけなくちゃならぬというので、かけてはおるのでございますが、しかし蝶数その他についてなお今後研究問題があれば私としては大いに研究して、もっとやらなければならぬという事態ならさらに検討しなければならぬという、こういう関係で先ほどああいうふうに申し上げましたが、言葉が少し足りませんで……。
  106. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 本日はこれにて散会いたします。   午後四時四十九分散会      ——————————