○
政府委員(真田登君) 私から
自動車関係の最近の
状況について御
説明申上げたいと思います。なお、本
年度どういうことをやっていくかということについて、
予算と関連しながら御
説明いたしたいと思います。
最近の
自動車の
発達は非常に目ざましいものがございまして、この二月の
自動車は、百三十四万両
程度になっております。なおこれらの
自動車によって
輸送されております旅客および貨物の数は、二十八
年度は旅客は約二十九億でございましたが、おそらく二十九
年度は三十三億から三十四億まで上がるのではないか。それも他の
交通機関に比較いたしますと、
国鉄の三十五億といった数字に近づいているわけであります。また貨物
輸送につきましては、二十八
年度は四億五千万トン
程度でございましたが、二十九
年度におそらく四億八千万トン
程度に上るのではないかと、こういうふうに
考えております。この貨物
輸送につきましては、
鉄道が年間一億六千万トン
程度しか運んでおりませんので、三倍に近い数字ということになるわけであります。
こうした
自動車による
輸送の行政をわれわれがやっておるわけでありますが、
自動車につきましての行政は非常に多岐に分れておりまして、車の生産そのものは通産省が所管している、
自動車のレールに当る道路は建設省が持っている、また運転手の試験その他は公安
委員会がやっているというふうな
状態でありまして、われわれのところで持っておりますのは管理行政と申しますか、
輸送についての行政と、それから保安行政といいますか、車の
整備に関する仕事でございます。そしてこれらの仕事をやっていきますのに、本省では
自動車局、それから
地方に陸運局というものを九カ所置いてございまして、これは
鉄道関係も担当いたしておりますが、その陸運局のもとに各県に陸運事務所というものがございまして、陸連事務所は県知事のもとに属しておるわけでございますが、その
予算と人員は国が持っているという異例の形になっております。なお諮問機関として、本省には運輸
審議会、
地方には道路運送協議会というものがございます。そうした形でやっておるのでございますが、本省の権限と申しますのは、旅客につきましては、バスの路線
事業と言っておりますが、そこらに通っております乗合
自動車でございます。それからトラックにつきましても、路線
事業と申しますか、たとえば
大阪と
東京の間を
定期に運行している貨物
自動車、こういうのが本省の所管になっておりまして、トラックの一定の地域を中心として動くもの及びタクシー、ハイヤーは、陸運局の所管となっております。従いまして、免許等もタクシー、ハイヤー等につきましては陸運局でやっております。なお観光
自動車と申しております大きな貸切
自動車でございますが、これも陸運局の所管になっております。
そういった権限をもとにおろしまして、本省と局とが一緒になってその行政を担当しておるわけでございますが、本
年度特にわれわれが重点を置いてやって参りたいと思いまする事柄の第一は、
自動車の
事故の
対策でございます。その
一つといたしまして、あらゆる
事故防止手段を講じても
事故が起った場合に、
被害者の救済をどうするかという問題でございまして、現在
自動車損害賠償保障法と仮称いたしておりますが、そういった法案を提出いたしたいと思いまして、目下法制局とお打ち合せ中でございますが、この概要について簡単にお話申上げたいと思います。
これは保護制度は強制保険ということを原則といたしまして、ただし
自動車の
事故のうち
人身事故に限って、これについては必ず救済の途があるようにしたいということが第一の目的でございます。この制度をきめますのに、まず第一に責任の範囲というものをどういうふうに
考えるかという問題があるわけでございますが、現在では民法等の原則では
被害者が
加害者の過失を挙証しなくてはならないわけでありますが、今度の
考えております制度では、
事故が起ると一応その車の所有者は
——所有者という
言葉でなしに保有者という
言葉を使っておりますが、これは所有ないし使用する権利を持っている人ということでございますが、そういった定義の下に保有者は一応責任があるものと推定される。従って保有者の側で自分のほうに責任がないんだという証明をしない限り責任を負わなくてはならないということを原則に立てたい、こういうふうに
考えておるわけであります。それからこの保険をやりますのに、任意ではだめなので、どうしても
自動車を持っている
人たちは全部車に保険を、
人身事故に対する保険をかけないと車を動かすことができないということにしまして、その強制
方法といたしましては、
車両検査をいたしましたり、登録をいたしましたりするときに、必ずこれは保険をかけてございますという証明書を出させる、こういうことにして参りたいと思うのでございます。なおこの強制保険と見合いまして、保険者側でも申込みがあった場合には必ず引き受けなくてはいけない、引き受けの義務を課す、こういうことになって、全部の車が保険にかけられているという
状態にしたい、こういうふうに
考えておるわけでございます。なおその保険者をだれにするかという問題がいろいろございましたが、ただいまの
考え方では、一般の損保
会社がこの新種保険をやる
——新種というかどうか、この点はっきり申し上げかねるのでありますが、おそらく新種保険ということになると思いますが、そういう保険をやりたいといった
会社にやらせる。そうして
政府がその再保険をする。で、再保険をやることにつきましていろいろと問題があったわけでございますが、
自動車の
事故というものは、ただいままでの統計その他に現われております数字が実際に起った
事故と必ずしも一致していないのではないか。従ってこの保険をやっていきますのには、かなり目算に狂いがありはしないか。こういったことから見ましても、ある
程度国において再保険することによって損失をカバーしよう、こういうことと強制して保険にかけるという点からも国がこれに関与していくべきである、こういった
考え方から国の再保険をやろうというふうに
考えておるわけでございます。なお
自動車にひかれたが、その
加害者がわからなかったといったような場合に、
被害者の保護のために国が補償を行うと申しますか、
加害者不明の
事故に対しては国がこれに対して代償する、こういった制度を織り込みまして、今度そういった法律を作りたい、こういうふうに
考えておるわけでございまして、これにつきましては、今度の
予算でも一応二千六百万円
程度の
予算を組み込んでございます。
それからそういった
被害者の保護をはかる一方、なお
事故の防止ということに今後も大いに
努力しなくてはならないわけでございますが、
事故の防止の
一つは
車両の
整備あるいは検査の強化ということでございます。もう
一つは運輸の安全と申しますか、運転手自身の技術の向上と、その基礎になります素質を向上させるということになると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、運転免許が公安
委員会のほうにございますので、少くとも職業運転手等については何か特別の資格を設けてはどうかといったような問題、あるいは現在運転免許を持っている
人たちの再教育といったものについて、
関係の向きと御相談いたしておる
状態でございます。また
車両の検査の強化という問題につきましては、
車両検査ということが現場に近い仕事でありながら、一般の行政整理におつき合いをして人が減らされてきたというので、われわれとしても非常に困っておったのでありますが、本
年度は三十六名
程度の増員を見込んでいただくというふうな
状態になりましたので、多少とも明るい希望を持っておる次第でございます。
最近大都市における
交通の問題がやかましくなって参りまして、たとえば
東京都の
交通はどうするかといったような問題は、重要な問題になってきておるわけでありますが、通勤
輸送等につきましては、バスは割合にその占めておりますウエイトは小さいのでありますが、バスが
鉄道等の補助機関として、その連絡あるいは
鉄道のない所での
輸送ということを受持っておるわけでございまして、その運行系統を
整備する、あるいは
回数をどういうふうに持っていくかといったような問題について
調査をいたしたいと、こういうふうに
考えておるわけでございます。また
自動車は非常に多くて不安であるといったような問題がありますが、これについてのパーキングと申しますか、車を置いておく場所を
整備しなくちゃならないことで研究をしておりますが、これも
運輸省と建設省とが一緒になってやらなくちゃならない仕事でございます。もう
一つはターミナルの問題でございまして、郊外から入ってきますバスは思い思いの所に来て、思い思いの所から出て行くというふうな形では、その
輸送力の合理的な活用はできないから、一カ所に、あるいは
東京ならば数カ所に総合した場所を設けて、その
輸送力を活用しょうということについての研究を進めて参りたいと思っております。
それから最近
自動車が先ほど申しましたように非常に
発達して参りましたために、
自動車と他の
交通機関との調整といったような問題がやかましくなって参りましたのですが、
自動車の数の約八七%までは自家用車で、営業車というのは一三%
程度しかございませんために、その実態把握に常に苦心しておるわけでございまして。本
年度は特に
自動車の実態
調査のために
予算を大蔵省から裏づけをもらいましてやりたいと、こういうふうに
考えております。
また最近高速度
自動車道と申しますか、大きくは東海道の弾丸道路
——あるいは中央道路といったような問題が非常に論議されておるわけでございますが、
自動車道と申しますのは
自動車の
専用敷のようなものでありまして、
鉄道軌道でいいますと、
鉄道とその
鉄道の線路を敷くところであるというふうにも
考えられるのでありまして、
自動車として特に重要な問題だと存じますし、またこうした高速道路は
鉄道との調整といったような
観点からも十分
調査してやって参らなくてはならないのでありまして、ただいままでは建設省が主としてやっておられたようでございますが、
運輸省といたしましても、大いにこれについて
運輸省としての
輸送という見地から
検討したいということで、本
年度わずかではありましたが、
予算の裏づけをもらいまして、
調査を始めることにいたしております。
それから
自動車の問題で、最近非常に心配になって参りましたのは、その燃料の問題でありまして、逐年
自動車がふえて参りますが、燃料はその大
部分が外貨によって得られている輸入燃料でございます。従いまして、常に
運輸省としてこれだけの油が要ると思うがという
要求に対しまして、大蔵、通産
方面からはもう少し減らないかというふうなお話があるわけでございます。われわれの方といたしましては、使用の
合理化ということを大いに進めて参りまして、今後ますます
自動車にかかって参ります
輸送上の
負担と申しますか、
鉄道を新たに敷くというようなことは言うべくしてなかなかむずかしいのでありますが、そういった
鉄道に
要求される
輸送が結局
自動車にかかってくる。そういった
輸送をどういうふうにしてまかなっていくかという重要問題があるわけであります。今後も使用の
合理化ということを大いに促進するとともに、燃料の確保ということに重点を置いて参らなくてはならないと存じております。
なお
自動車関係のいろいろの法律等に基きます手等その他は煩瑣であるというふうなこともございますので、今後はできるだけ簡素化したいということで、道路運送法及び車輌法の再
検討をやりたい、こういうふうに
考えております。
大体現在
考えておりますことは以上でございます。