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1955-05-10 第22回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十日(火曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————    委員の異動 三月三十一日委員平林太一辞任につ き、その補欠として木村禧八郎君を議 長において指名した。 四月二十二日委員木村禧八郎辞任に つき、その補欠として平林太一君を議 長において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     加藤シヅエ君    理事            早川 愼一君            重盛 壽治君            木島 虎藏君    委員            岡田 信次君            川村 松助君            一松 政二君            山縣 勝見君            内村 清次君            小酒井義男君            片岡 文重君            三浦 義男君            平林 太一君   国務大臣    運 輸 大 臣 三木 武夫君   政府委員    運輸政務次官  河野 金昇君    運輸大臣官房長 山内 公猷君    運輸省自動車局    長       真田  登君    運輸省航空局長 荒木茂久二君   事務局側    常任委員会専門    員       古谷 善亮君    常任委員会専門    員       田倉 八郎君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸一般事情に関する調査の件  (運輸行政基本方針に関する件)  (航空行政に関する件)  (自動車行政に関する件) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) これより運輸委員会を開会いたします。  運輸一般事情に関する調査を議題といたします。  まず三木運輸大臣より、運輸行政基本方針について御説明をお願いいたします。
  3. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) きょうは運輸委員各位に、最近の運輸状勢について御説明を申し上げる機会を与えられましたことを感謝いたします。  今国会に提出されました予算その他詳細につきましては、後ほど所管局長から説明をいたさせますが、今国会提出法律案につきましては、さしあたり八件を予定いたしております。成案を得次第御提出いたしますので、御審議をわずらわしたいと存じます。  次に、海運関係といたしましては、本年度計画造船につきましては、開銀融資百六十億円を予定しておりますので、予算決定次第実施いたしたい考えでおります。建造トン数は、定期船不定期船、タンカーなどを含め、約十九万総トン弱になるであろうと思います。その建造方式につきましては、本年度はさしあたり開銀市中銀行協調融資の形式によつて実施したい考えでおりますが、今後の建造方式につきましては、さらに適切な方策を樹立いたしたいために、海運造船合理化審議会を開催し、この意見を徴し、慎重に検討を進めたい考えでございます。また内航海運につきましては、その重要性にかんがみ、これが振興のための方策を講ずる要がありますので、内航海運経営基盤の確立をはかりたいと考えておる次第であります。  港湾関係といたしましては、運輸省予算として約五十九億円、北海道開発庁及び労働省関係計上されたものが約十億円、合計六十九億円となつております。これは昨年度に比べますと、多少減少しておるのでありますが、これが実施に当りましては、経費の節約をはかるとともに、能率的な工事を施行するよう努力して、近代的な港湾施設を建設し、貿易振興産業合理化に寄与したいと存じております。  次に、国有鉄道について申し上げます。国有鉄道で目下最も大きな問題は、その財政をいかにしてまかなっていくかということであります。かいつまんで申し上げますと、償却不足が累積いたしまして、施設車両が非常に荒廃していますので、これが取りかえを急がなければならないのと、年々増加する旅客、貨物の輸送要請に対処するための諸改良工事を行わなければならないことのために、多額の資金を必要といたすのでございますが、これらに要します資金を捻出することが非常に困難になっているということであります。しかしながら国鉄は国の動脈ともいうべきものでありまして、これが財政を一日も早く正常な姿に返さなければなりませんので、昨年公共企業体合理化審議会でも論議されましたが、これをいま少し具体的に論議をいたしますために、再建の方途を見出していただくため、近く運輸省内に、部外の学識経験者から成る委員会を設けたいと存じております。  次に、新線建設及び電化についてでございますが、新線建設は国土の開発という観点から、また電化経営合理化輸送力の増強という観点から、ともにこれを推進して参ったのでございますが、先ほど申したように、国鉄財政状態では、取りかえ、諸改良との資金の配分上、今年度としては、新線建設費として昨年度当初予算と同額の二十五億円、電化につきましては五十億円の計上にとどめざるを得なかったわけであります。新線建設具体的工事内容については、目下検討を進めておる次第でございます。また電化につきましては、米原までは今年度開通いたしますが、来年夏に予定されていました大阪までの開通時期が若干おくれることに相なっております。  次に、地方鉄道軌道につきましては、その大部分中小規模のものでありまして、経営困難なものが多く、地方鉄道軌道整備法による助成措置その他の対策を講じまして、重要な鉄道の維持、整備をはかりたいと私えております。  次に、大都市における各種交通機関は、相当復興いたしましたが、特に通勤、通学時の輸送はきわめて輻輳しており、輸送上、保安上、放置できない状態にあります。この問題につきましては、昭和三十年度におきまして、交通の実態を正確に把握するため、京浜阪神、両地方交通動態調査を行いますとともに、適切な方策樹立のため、各方面の意向を反映する審議会設置等措置を講ずる予定であります。  次に、自動車関係といたしましては、自動車飛躍的増加に伴い、事故も必然的に増加しておりますので、自動車損害賠償保障制度を確立し、自動車による人身事故に対する損害賠障責任適正化をはかるとともに、損害賠障被害者のために常時保障することといたしたい考えでおります。なお保険料を低廉に維持するとともに、本保険運営円滑化をはかるため、元受保険の六割を政府が再保険し、また政府加害者にかわって損害賠償を行う損害賠償保障事業考えております。  航空関係につきましては、わが国航空事業の健全な発達をはかり、自主的な運航体制を確立いたしますために、通行税を初め航空関係諸税を減免いたしますとともに、国際航空事業につきましては、日本航空株式会社に対しまして、本年度さらに十億円の出資を行い、また現在外人乗務員使用のための過大な人件費、高率な支払い利子及び乗務員訓練費等の点で、同社競争上特に不利な立場におかれております点にかんがみ、熾烈な国際競争にたえ抜くことができますように、三億五千万円の補助金計上いたしました。このように日本航空株式会社に対する直接間接の助成措置を増大いたしますことに伴いまして、同社に対する政府監督権を強化することが必要となりますので、この点に関しまして、日本航空株式会社法の一部を改正することを予定いたしております。  次に、観光関係といたしましては、国際情勢の好転に伴い、来訪外客数は逐年著しい増加を示し、貿易外輸出としての重要性は急激に増大しつつあります。かかる情勢に対して、国際観光事業飛躍的伸張を期するため、民間観光関係機構の再編成をはかり、近々財団法人国際観光協会設立発足を見ることとなっております。今後は新機構を中心として観光事業の強力な育成をはかる方針で、本年度政府補助金として約五千万円を計上しております。  船船及び車両輸出につきましては、昨年度から急激に輸出の増大をみましたが、本年度においても去る二月一日、関係閣僚間において了解されましたプラント類輸出振興対策の線に没って施策を進めていく考えであります。すなわち造船及び鉄道車両工業合理化を促進して。企業努力によるコストの大幅切り下げをはかるとともに、在外公館における専門官の駐在を実施し、また輸出に伴う法人税保険料及び輸出入銀行金利負担軽減をはかるよう努力中であります。  次に、海上保安庁関係といたしましては、没岸水域における警備救難活動を強化いたしまするとともに、北方海域朝鮮海域及び東シナ海方面における日本漁船操業秩序を維持し、あわせてこれに伴う不法拿捕事件の発生を防止するため、巡視船並びに航空機整備努力いたしておりまして、本年度約三億三千万円を計上いたしております。また航路標識整備すべく、二億八千万円を計上いたしております。  次に、気象事務につきましては、気象による災害を防止軽減するため、予報精度の向上及び気象警報伝達の迅速に努めておりますが、本年度におきましては、水理気象業務並びに水害緊急対策気象業務整備に一億六千万円、上高層観測整備強化に四千六百万円を計上しております。北方定点観測業務につきましては、本年度におきましては、国家財政上実施することは困難な事情になったのであります。しかしその重要性にかんがみ、財政状況を勘案し、今後においてもその実現に努力する所以であります。  以上、運輸行政の大略を御説明申し上げましたが、緊縮予算のワク内において国際収支の改善、産業振興、民生の安定をはかるべく、運輸行政を推進して参るには幾多の困難があることと存じます。今後とも各位の一そうの御指導と御鞭韃を望む次第でございます。
  4. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは運輸大臣のお時間の御都合もございますので、大臣に対する質疑は次回に譲ることにいたしたいと存じますが、御了承いただきたいと思います。   —————————————
  5. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 次に、航空行政に関する件につきまして、荒木航空局長より御説明を願います。
  6. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) わが国民間航空の現状というものにつきまして御説明申し上げます。  まず航空に関しましては、航空運送事業発達ということが一つ、それから空の交通管制米軍でやられておりますので、空の交通管制に関しまする限りにおいては、遺憾ながら航空はまだ占領状態を続けているわけでございますので、これをすみやかに解消する準備を当面やることが一つであります。それからさらに乗員の養成の問題、これが一つ項目であります。それから飛行場整備ということが一つの問題、大体私の方の仕事の中のおもなものを項目別に申し上げますと、そういうわけであります。  ところで、航空運送事業の方から申しますと、航空運送事業は、御承知のように定期不定期があるわけでありますが、その定期の中で、国際航空につきましては、日本航空株式会社が、去年の二月からサンフランシスコまでと、それから沖繩までとを始めたわけでございますが、その後線を延ばしまして、現在ではサンフランシスコまで週三回、香港まで週三回運営いたしておるのであります。お客さんは逐次増加の傾向をたどつておりますが、まだ採算点には達していないのであります。お客さんの内容は、大体日本人外国人とが半々に乗つております。ときによりましては、外国人の方が多いような月もありますが、そういつた状況でありまして、将来の見通しといたしましては、大いに伸びるものと考えられるのでありますが、しかしながら、その営業成績はまだ十分とは申されないのでございまして、今年度におきまして、国内線と合せまして十二億の——今決算を急いでおりますが、十二億程度赤字になるのではないかと思うのであります。すなわち国内線におきまして四億円余、国際線におきまして七億円余の赤字が出る見込みでありますが、なおこういった詳細の数字につきましては、それからそういった収入支出の内訳につきましては、日本航空株式会社法の改正を御審議いただく際に、詳細なる資料を御提出申し上げたいと思いまして、準備をいたしておるわけであります。そういった事情でございまして、逐次業績が向上すると期待されつつも、現在はそのような状態に低迷いたしておるのであります。そこで国際線につきましては、各国とも補助金を出し、その他いろいろな方法助成を講じておりまするので、わが国といたしましても、おくればせではございますが、先ほど大臣から御説明申し上げましたように、今年度におきましては、補助金は三億五千五百万円の予算計上して御審議を願っておる次第でございます。  なお国内線につきましては、日本航空の分について、かような四億近くの赤字が出ておるのでありまするが、日本航空以外の日本ヘリコプター及び極東航空につきましては、欠損の金額は少いわけでございますが、その欠損の率は非常に大きいのでございまして、気息えんえんとして事業の継続に苦心をし、もっぱら努力をしており、苦吟しておるというようなことであります。そこであれほどお客さんが乗っておるにもかかわらず、どうして国内線においてそういう赤字が出るかという状況がまず問題になることでございまして、経営の面におきまして、日航において努力すべき点も多々あるわけでありまして、数次にわたりましてそういう点を指摘いたし、最近大蔵省、運輸省の両者から監査員を出しまして、徹底的な監査をいたしました結果に基きまして、いろいろと勧告を与えておる次第でございます。  要するにこの赤字の原因は収支償わない、運航回数をふやせばふやすだけ赤字がふえていくということは、すなわち運賃経費をカバーし得ないということになるのであります。しからば運賃外国と比べてみまするに、アメリカとの関係におきましては、向うツーリスト運賃に比べますると、大差ございませんけれども、ファースト・クラスに比べると非常にやすい。さらにヨーロッパの運賃に比べますると、マイル当りに比較いたしまして、大かた向うの方が倍近くにもなっておるような状態でございまして、運賃が安いということが言えるのじゃないかと思うのであります。特にマイル当りレートにいたしまして、これは最初に運賃を設定するときの見込みの違いと申しますか、東京——大阪間はお客が多いだろうということで、東京——大阪間をマイル当り十七円四十二銭にいたしまして、それから福岡大阪間、東京−札幌間はお客が少いだろうというわけで、一割一分ばかりマイル当り運賃にいたしまして安くいたしておるわけでありまして、こういった点におきまして、どうしても運賃相当程度値上げをしないというと、運航をやればやるほど赤字が大きくなる。運航回数をふやしお客さんを多く乗せればそれだけ赤字が増してくるということであります。さらにもう一つ、こういう赤字が出ることに対する見込みの違いと申しますか、それは整備費予定よりも非常に高くかかっておることがあります。この整備費は逐次低減をいたしてきたのでありますが、これにつきましてはいろいろアメリカ条件の違う不利な点が多々あるわけでありますけれども、整備を完全にして整備費を安くするということに最も大きな力を充当しなければならないと考えておるのであります。これにつきましては、たとえばエンジンオーバーホールにいたしましても、職員がまだ十分に訓練されずなれていない、部品はアメリカよりも割高に買ってきているというようなことで、たとえて言いますれば、エンジンオーバーホールの時間もユナイテット・エア、ラインでありますと、千六百時間でオーバーホールをやっている。しかしこちらでは自信がございませんからして、まず八百時間から始めて逐次実績を見て、ようやく現在千二百時間まできているというようなことでございまして、この点は少し慎重過ぎるようでありますけれども、安全性の見地から非常に着実に進んでおりますので、そういったマイナスの点がございますけれども、いずれにしてもこの整備費を下げるということが非常に緊要なことと考えております。  なおその他の二社のローカル線でございますが、これにつきましては、新たなるルートを付加していくということが、会社経営状態をよくするということでありますので、大阪、高松、別府とか、裏日本とかいうようなルート予算要求をいたしたわけでありますが、遺憾ながら今年度は認められなかったのでありまして、新たなる定期航空路を開設するということにいかないのであります。しかしこの両社の重複部分を避けるというようなことから、合併をいたしていただいたらということで、そういう機運が起きつつあるわけであります。  その他の航空事業としましては、単発で遊覧飛行をやっておる会社とか、あるいは写真撮影とか、薬をまいたり、測量をやるというような事業をやる会社が二十社ばかりございますが、これは非常に経営状態が悪くて皆非常に苦しんでおるような次第でございます。しからばこれらに対していかに措置するかということでございますが、これに対して政府から今補助金を出すというようなわけにも参りませんし、これら諸会社がみずからの努力によりまして経営を改善するという方法より、今年度予算考え得ないような状態にあります。  なお特に申し上げておきたいと思いますのは、通行税航空に対しまして二割かかっておるわけであります。御存じのように汽車に対しましても、二等以上に対しては通行税が二割かかっておるのでありますが、航空に関しまして、世界各国全部をシラミつぶしに調べてみまするというと、一割通行税をかけておりますのがアメリカ、これは戦時特別例のなごりといたしまして一割を自動車汽車も全部にかけておるわけであります。これが唯一の高いレートの例でございます。その他四%をかけておる諸国があるというようなわけでありまして、その他ほとんど全部が無税であります。ところが、日本では二割をかけておるのでありまして、お客さんの方から見ますと、本当の運賃だろうが通行税だろうが、お客さんの負担になることは同じでございますので、特に日本のように汽車との競争関係にあります航空機は、汽車運賃相当制約されまする関係があって、運賃値上げにおのずから限度があるわけであります。従ってその二割の通行税というものが非常な負担になっております。外国では日本航空事業抑圧政策をとっておるのじゃないかというような悪口を言う人もあるくらいでありまして、これはぜひこの航空事業の初期の段階においては免税にしてもらいたいということを要求したわけでありますが、今年度はそれを半減して、当分の間、これをテン・パーセントに引き下げるということに承認を得た次第であります。  次は、空の交通管制でございますが、これはもう皆さん御存じのように、日本の国を二つに分けまして入間川と板付で全部コントロールいたしまして、空中にある飛行機は全部そこの二カ所で分れるという建前にしてあります。それか航空路を走る関係からいたしまして、今日みたいに晴れた日、ごく例外を除きましては全部その両センターの許可を得まして飛行距離を六千フィート、八千フィートにきめております。飛行場に関して、天気の悪いとき発着するのは、全部米軍によつてコントロールされておる次第でありまして、従つてパイロットは英語を知つていなくては商売にならぬ、こういう状態であります。  そこでこの状態をすみやかに解消するために、そのオペレーターを養成しなければなりませんので、現在までに百八十三名の定員をいただきまして目下訓練をいたしておるわけであります。なお今年度におきましては、定員の内部のやりくりをいたしまして、さらに六十名の人員を養成いたしたい、こう考えておる次第であります。  なお、要員養成でございますが、要員養成につきましては、昨年お認めをいただきまして、宮崎航空大学校を開設いたしたわけでございますが、そこで新人を十人、二年間養成することになっております。その他五カ月程度既経験者の再訓練をいたしておるわけでありますが、それが今年度は学年が進行いたしますために、飛行機その他をふやさなければなりませんので、格納庫、飛行機二機増加のために一億九千万円の予算計上された次第であります。  なお、飛行場整備の問題でございますが、これにつきましては、皆さん御存じのように、日本の使えるようないい飛行場はほとんど全部が米軍に提供してある。たとえば今、日航が飛んでおります飛行場の中で、羽田だけが日本側管理下に置かれておるために、全部米軍管理下にあってこれを使わしてもらっておるというような状態であります。そこでこれらにつきまして、日本人専用地域設定等努力をいたしておるわけでありますが、なかなておらない。その他先ほど申し上げましたようなローカル飛行場整備につきましても、本年度におきましては、予算計上がなかった次第であります。  簡単でありますが、一応私の方の現在までの問題点等につきまして説明をいたした次第であります。
  7. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 航空局長に対する御質疑のおありの方はどうぞ。
  8. 内村清次

    内村清次君 ただいまの最後の局長言葉の中の飛行場整備の問題ですが、これは最近板付飛行場関係に実は近隣いたしております市関係福岡市、市会、それからまた観光事業、これはまあ各地の団体も含まれておりますが、そういう人たち相当、何というか、陳情の形がありまして、そうしてこの板付飛行場返還というか、返還というのはちょっと言葉がおかしいのですけれども、とにかく現在駐留軍の方でこれを接収の強行を通告をする、こういうような事態が起って、これに対して相当な反対の空気が生れておるのですが、先ほども言われたように、羽田を除くほかはほとんど駐留軍専用というか、優先されて、あとは借りておるという状態ですが、そういう駐留軍関係から、特にまた新たな事態としてこれを取り上げるというようなことが実施されておるかどうか、このいきさつを一つ話してもらいたい。
  9. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御存じのように、ジェット機の発達に伴いまして、滑走路が九千フイート、一万フイート要るわけでございます。九州板付飛行場は九千フイート以上でありまして非常にいい飛行場でありますので米軍としましては、あの飛行場におります海軍の飛行機その他を全部追っ払いまして、もっぱら長い滑走路を必要とするジェットを集中する予定である、よって現在日本側飛行機発着しておるけれども、これは三月限りで一切立ちのいてくれ、板付飛行場を使わさないというつもりであるからという通告を受けたのであります。しかし板付飛行場が使えませんというと、実際問題として、日航大阪より向う飛行をやめてしまわなければならぬ、こういうことに相なるわけであります。日航としましても大問題でありまして、同時にまたこれを利用しておられる九州に行かれる方々のためにも大問題であるわけでありまして、現在日航発着いたしておりますのが一日に三回、それから極東航空が、日によって違いますが、二回、最大限、ごくわずかの回数、五回程度発着にすぎないのでありまして、ぜひこの飛行場を使わしてもらいたいということで交渉をいたしたわけでございます。そう荒っぽいことはしないということでありまして、現在まで継続して使用してきておりますが、今のところ差し迫ってあれを使わせないということにはならぬだろうと思います。またそういうことになりますと、大へんでございますので、十分向う側動き方を見ております。
  10. 内村清次

    内村清次君 この問題は航空局長御存じかしれませんが、あの周辺の山地、それから射撃場の付近、こういうような耕地または山地防衛庁関係特別調達庁関係から、駐留軍の命令によってあすこを接収したいという強い要求があったわけです。ここには相当裁判事件が起きておるという事実は御存じのはずだと思います。これが板付の現在の日航発着地、その周囲を抱いておるわけです。こういうような問題が重なった条件のもとにおいては、確かに意図するところは、駐留軍の方ではあの飛行場を拡張したい、こういう意図があるわけです。そこで問題点は、先ほどあなたが言われました日航発着する所を漸次接収をする、軍関係専用にするという意図がありはしないかという点が福岡市会においても問題になり、あるいはまたこれに対するところの各関係の業者が、団体が、市民を包含して立ち上っているわけです。こういう空気をあなた方が察知をされて、そうして航空局なら航空局自体としてこれをどういうふうに政府を通じ、あるいはまた軍関係に折衝されたところのいきさつというものはありはしないか。ただ単に今のあなたの答弁では、まだまだ発着には迷惑がからない、五回やそこらの発着には迷惑をかけないという次第で、このまま放置していいものかどうかということを私たちはまあ心配してあなた方の政府及び軍を通じての折衝はどうなっておるかということを聞きたいのです。
  11. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 私の方といたしましては、民間航空事業が継続してあそこを使用できればよろしいわけでありますが、その点に重点を置いて現在小康を得ているという状態です。あそこの飛行場滑走路は九千フィート以上でございますから、これは延長するという計画があるということは聞いておりませんが、その他の地域について地域を拡張する、すでに買収も済んでおる地域の手入れをするというような計画があるというととは仄聞いたしておりますが、しかしこれは特別調達庁の所管でございまして、特別調達庁と日航との間において折衝が行われておりますので、詳細な内容は存じません。
  12. 内村清次

    内村清次君 この点はあなたは存じませんでは、私はうかつ過ぎたと思う。やはり政府機関の一つでありますから、特別調達庁の方とも、内容の点については十分あなた方の方は検討してそうして、一つは市会においても、あるいはまた民間の団体におきましても、一応これは市民を包含するのですが、同時にこれは民間飛行としては政府相当補助も出しておる現実の状態からしまして、またこれは一つ九州の起点になる問題でもあるし、この問題があなたの方では、どうもまた調達庁の方とも折衝しておらない、内容もよくわからない、まあ当分は大丈夫であろうというようなことではこれは、いけないと思います。それで今回のこの項目にも飛行場の拡張整備という一項目をあげて、私たちは政府が出資をして民間航空助成を着々はかっておる現実としたならば、やはり拡張する、あるいは専用航空の設備を日本として獲得していくという方向に強力な歩みをやっていかないと、私はどうもうかつ過ぎはしないかと考えますが、どうですか。
  13. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そういった考え方はもちろんいたしたいわけでございますが、現下のわれわれの努力いたしました限度におきましては、やはり民間航空——私は航空局長でございまして、民間航空の所管でございますので、その限度においてタッチいたしているわけでございまして、その限度では今申し上げた程度の、日航が追っ払われて、あそこで商売ができなくなるという問題は、市長その他から非常な陳情をされましたわけでありますが、私みずからも向うとも折衝いたしましたが、今申し上げました状態でございます。ただその他の射撃演習をするとか、いろいろな地域を飛行場の周辺に持つとかいうような問題は、これは遺憾ながら私の所管ではございませんので、またそういった問題について私は立ち入って聞くという筋合いでもございませんので、その点につきましては今申し上げましたように、私から御答弁を申し上げるわけにいかない、こういうことでございます。
  14. 内村清次

    内村清次君 その空気はあなたの方でも十分知ってですよ、そして政府は、政府としての関連した状況の察知ははっきりして、その方針は一丸として政府方針としてやはりやっていかなくては、民間の航空といえども、直接あなたの方に監督権があってそうしてそれを監督し、同時に国の方針としてもそういう民間航空助成をはかっている今日では、それは民間の問題だからというようなことでは私はいかないと思う。ただそれで、たとえば九州にいたしましても、鹿児島の問題もありますね、鹿児島の問題、熊本の問題もある。また、これは各地においても相当に第二期的なローカル線というようなものの許可申請というようなこともあなたのお手元にはきているはずですが、しかし私はその許可云々ということでなくして、これに対して許可をすることだけの問題でなくして、関連したその飛行場を設置すること、あるいは、また、そこに許可をして飛行場となって発着するために、付近の住家の非常な何と申しますか、補償問題がからまった関連性のある、たとえば鹿児島の鴨池の問題、あるいはまた熊本の飛行場の問題、こういう問題のことは、あなた十分事情を知って許可または認可の措置考えておられるかどうか。この点はただもうあなたの職権としては許可認可をやりさえすればいいのだ、こういうようなことでしょうかどうでしょうかその点を一つ伺つておきたい。
  15. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在そういつた飛行場を使うことを許されておりますのは、単発の滑走距離の短かい飛行機に限っております。いわゆる航空事業と称せられる中枢でありますところの定期航空事業につきましては、まだ熊本、鹿児島ルートにつきまして許可申請は出ておりません。しかし研究している会社はもちろんございますので、この飛行場整備して、そういった事業が行われるようにいたしたいと考えておりまして、本年度も鹿児島、熊本につきましてはそういった設備をする予算要求したのでありますが、不成立に終ったわけであります。しかしそういった整備をするにつきましては、滑走路の補修、あるいはビーコンを作るとか、飛行機との間の無電連絡施設を作るというような問題につきましては、十分に検討をいたして参っているつもりでございます。また飛行場を現在国有の地域以外にわたりましてこれを拡張するというような必要があれば、その拡張の方に対しまして買収、補償費を計上するわけでございますが、現在計画いたしておりますのは、そういったことはなかなか困難でありますからして、現在の国有の飛行場地域でもって、たとえば千メーターなら千二百メーターの滑走路ができる余地がございますので、その限度でやりたいと思っております。
  16. 内村清次

    内村清次君 補償の問題との関連性はどうですか。
  17. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 鴨池及び熊本に関しましては、補償の問題は起きないと思っております。
  18. 内村清次

    内村清次君 これはあなたの方はまだ調査不十分ですよ。その点はよく一つ調べてもらいたい。鴨池の問題でも、私は今回行きまして、大へんなことを見て来たのです。これはあなたの方では、直接市長その他が来まして、そうして市会でも、あるいは多数決によって同市の市会で、まあ一つ許可の運動をやろうじゃないかというようなことでやっているかもしれませんけれども、その面からだけあなたの方はお考えになつているが、しかしこれはその市会を通じまして大きな補償問題、あるいは立ちのきの問題、地上権の問題というものが相当この中には介在しているのですね。こういう点は一応はあなたの方もよく知っておく必要がないだろうかと私は思いますが、この点はただあなたの耳にこの席上で入れておきたいということだけを、知らないとおっしゃるから、それだから言っておきます。  それから続いて、実はその日航赤字の問題ですが、大体何年ごろにはあなたは解消するという見通しのもとに、この先ほどのいろいろな問題点を出していらっしゃいますが、まず今回の十億の補助金の問題も、あるいはまたは通行税の二割の差っ引きの問題もお考えになっておりますか。
  19. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 実は詳細な収支の表をお見せして御説明申し上げるのが筋だと思いますが、日航法改正を御審議願う際に詳細な表をお見せして、数字についてこまかく御説明申し上げたいと思っておるわけですが、将来の見込みでございますので、確信を持って申し上げるというわけにはいきかねると思いますが、まず今の状態でいきますれば、昭和三十年、三十一年、三十二年、その年は国内、国際を通じて黒字になるというわけにはいきかねるのじゃなかろうか。三十二年は大かたとんとんまでこぎつけられればいいのじゃないかということで予定をいたしておりますが、できれば三十三年においては、国内、国際を通じて一つ赤字をなくするということにいたしたいものだと意っております。
  20. 平林太一

    平林太一君 お尋ねをする前に確認しておきたいことがある。民間航空は、これは日航と、それからほかにどういうのがあるのですか。
  21. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今定期を許しておりますのが三社でございます。それは日航と、日本ヘリコプターというのと、極東航空、三社ございます。それからそのほかにいわゆる単発の飛行機を持ちまして、同じ飛行場を出て、同じ飛行場へ帰って来て、いわゆる遊覧飛行をやる、十分間千円というような遊覧飛行をやる会社、それから写真測量その他をやるいわゆる航空機使用事業というものをやっている事業会社を合わせまして、約二十ございます。
  22. 平林太一

    平林太一君 そこでこの助成金ですが、十億円を三十年度予算措置としてこれは処置せられる大体予定ですが、その十億は日航だけですか。
  23. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) さようでございます。
  24. 平林太一

    平林太一君 そうすると、他の今の日本ヘリコプターであるとか三社、現在今運転をいたしておるのは、現業をいたしておるのは、これにはどういう措置をしておられますか。
  25. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この政府出資並びに補助金は、国際航空事業に対する補助と、こういう建前になっておりまして、国内航空事業に対しましては、日航にも補助金を出さないと、こういうことで、国際航空事業に対してだけしか補助関係予算は成立しなかったのでございます。
  26. 平林太一

    平林太一君 だんだんよくわかってきますが、そうすると、日航に対しまするいわゆる国内航空に対すること、それから国際航空、この二つに分けてあるわけですか。
  27. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは御存じのように、同一会社で両方やっているわけでございますが、そこで国内線国際線との経理の関係を分計しなくちゃならぬ。それにつきましては国際線に使っております飛行機と、国内線に使っております飛行機は全然区別して使っておりますので、経費の中の八〇%以上のものが費目的にきわめて明瞭に分割されるわけであります。それからその共通費、たとえば社長の月給とかいう共通費につきましては、国際民間航空条約によって設定されたICAというところで分計基準ができておりまして、その基準によって分計する、こういうことになっておりますので、国内、国際の経費の分計はかなり正確な数字ができるわけでございます。
  28. 平林太一

    平林太一君 そうすると、国内線から会社が利潤する、いわゆる国内線の企業利潤というものと、国際線に対する会社の企業利潤、こういうものは明確になってですね、その明確になった結果十億という助成ですね、これをしなければならぬ、こういうことになったんですか。
  29. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) そういうことであります。
  30. 平林太一

    平林太一君 この点は一つ日本航空事業収支の詳細を資料として、これは会社でなくて、航空局長としてですね、明らかにして提出をせられたいと思います。
  31. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) それにつきましては、大蔵省と私の方で日航の資料につきまして検討いたして、予算を作る基礎として作ったものがありますので、あらためて印刷いたしまして御提出いたします。
  32. 平林太一

    平林太一君 そうしますと、とりあえず小さい会社は別としまして、日本航空のおもなる株主というものは、どういう株主の名義を航空局長としてこの際あげられますか。
  33. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 日本航空の資本金は現在三十三億でありまして、二十億余が政府出資で、民間の出資は十三億でありますが、その全株主は五千人をちょっとこしております。しかしちょうど今これでトータルしてみておりませんが、大株主のところで何パーセント持っておりますか、六〇%、もっと持っておるかと思いますが、計算してみないとちょっとわかりませんが、私鉄関係、それから同和火災等の保険会社、それから船会社、それから銀行というようなところが一番大株主になっております。
  34. 平林太一

    平林太一君 今それだけお話しになられた数でけっこうですから、その代表者の名前ですね。会社として持っておるんですか、代表者個人、社長という名義で出ておるわけですね。どうなっておりますか。
  35. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは会社として持っておる。法人で持っておるわけでございます。
  36. 平林太一

    平林太一君 そうすると、それらの会社は、今三十三億の中で二十億が政府出資である。これはいわゆる国民の出資なんです。それから十三億が、これが株主の出資である。それから事業開始以来今日まで利益配当いたしておりますか。
  37. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 利益配当いたしておりません。
  38. 平林太一

    平林太一君 それで二十億出して、それからこの助成に本年度は、これは今内村君からも御質疑があったように当分十億ずつ出すと、こういうことですね。これがいわゆる航空企業として行われておるのか、今もおっしゃられたように、今あなたの言う大株主というのは、みないずれも大資本を擁して、そうしていわゆる大きな利潤を持っておる会社である。大資本、それぞれ有力なる資本力を持っております。こういうものが日本航空事業というものを利潤の企業としてこれに対する投資をしておるということは、私としてはそういうことを前提として航空局長はこれに対してどういう考えをお持ちか、それを一つ伺いたいと思います。
  39. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) もちろんこういった会社が出資されたにつきましては、利潤というものを期待して出資されたことと思います。そこで日航経営者はもちろん、われわれ監督しておるものといたしましても、絶大の努力を払って利潤を生み得るように努力すべきだと、こういうふうに今考えておるわけでありますが、ところが、航空事業というものは、各国を見ましても、初期は相当赤字を出しまして政府から補助金を出すという状態でございます。これらの出資された方が直ちに利潤、配当があるということを期待されては、あるいはいなかったかと思いますけれども、しかし資本主義経済の体制である限りにおきましては、資本に対して利潤を生むのは当然だと思いますので、そういうふうに努力すべきだと思います。
  40. 平林太一

    平林太一君 そうするとですね。将来に対する企業利潤としての価値ですね。世俗にいういわゆる権利、これは特殊会社ですか、何も競争相手のない、また競争を将来許さないことに、こういう会社の性格になっておるのですね。だから、それは今日利潤を、利益配当をいたしていないことはよくわかっております。ししこれが一つの権利として評価するときには、この十三億の投資というものは、これはおそらく何倍かになるようなものを持っておる、こういうことを思うのですね。ですから、こういうことに相なりますと、これらの形態というものは、もはや民間航空会社として存続せしむるということに対していわゆる政府資金の実態及び補助金の実態からして、これは根本的に考えなくつちゃならぬ。いわゆる公共企業体、あるいは国営にするということがこの日本の現在の航空事業に対しては、あなたは世界的に各国の例をお話しになるが、それはいい場合は世界の例も採用すべし。しかしこの現在のわが国航空会社の業績、業体、それから性格というものは、世界の事情というものをあなたはおっしゃいになりまするが、それは私から言えば、非をおおわんがために、ことさらにそういうことをおっしゃっておるものだという理由にしかならない。一つ根本的にお考えになったらどうだ。三十三億の中で二十億が政府出資である。わずかに十三億がこれら特殊なる——いわゆる他の一般の法人企業会社の、大衆から資本金を集めたものとは違う。五千人と称するが、これらの五千人の投資者というのは、いずれも今日の日本の財界において最有力の人人である。そうである以上は、甘んじて十億の欠損を甘受するというようなことは、これは許されることではないかと思う。それがいけなければ、これはいわゆる政府のそういう処置を返上されるような気持にさえならなければならないと思いますが、あなたは航空行政としてこういうことをどうお考えになるか。
  41. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) ちょっと御質問の趣旨を取り違えて御答弁申し上げたらお許しいただいて、また御質問いただきたいと思いますが、この民間出資は、これだけの民間出資が簡単にできたのではございませんので、いろいろと会社のほうで勧誘してこれだけ集まったわけでありまして、実は昨年二十億の資本金を四十億に倍額増資をするということであったわけでありますが、政府の方は十億出しましたしたけれども、民間の方は十億が集まりませんで、七億円の棄権があったのであります。三億円しか集まらなかったのであります。現在株価も三百三、四十円のところを低迷いたしておりますので、この民間株には権利が非常に存在し、これが換算すれば何倍にもなるというようなことは、遺憾ながら現在の状態ではないのじゃなかろうか、こう考えております。
  42. 平林太一

    平林太一君 それならなおけっこうですが、一つこれはどうです、民間航空というようなことにせしめないで、国がこれを全部継承して、わずか十三億くらいのものですから……。そういう方法はいかないですか。  それから第二には料金の問題ですが、先刻お話のあった欠損の重要な原因をなしていると思いますのは、航空料金が俗にいう採算以下である、こういうことですね。これは引き上げるという措置はできないのですか。
  43. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 第一の点でございますが、この日本航空株式会社法を作ります際に十分御審議いただいたわけでありますが、政府だけでこれを作るということをやっている国もございますけれども、日本の現状から考えて、できれば民間資本で民間の会社として経営させたいということを考えたわけでございますが、しかし初めのうちは、どこでも航空事業というのは自立できないということで、民間資本がとても必要なときに集まらない。そこで政府が業績のよくなるまでは航空事業を育成する意味において出資しよう、こういうことでスタートしたわけであります。その点を御説明申し上げておきます。  次に、運賃値上げはできないものか、こういうことでございますが、これはまあ運賃は安いにこしたことはないわけでありますけれども、今申しましたような状態でございますので、これをペイするところまでもっていくように運賃値上げを認めざるを得ないだろうと思いまして、今研究をいたしている次第でございます。
  44. 平林太一

    平林太一君 第一の問題については、これはいずれ担当大臣が来てから、政治上の問題ですから、ただしたいと思います。  第二の問題ですが、これは一つ考えになって、しかるべく……。これは現在飛行機を利用している乗客、この層というもの、これを考えなくちゃならぬ。現在わが国のこの四つの島と称しているきわめて狭少な地域なんです。二時間ですか、最長距離で。札幌あるいは福岡、それが国際的に利用される場合には外国の人も相当ある。しかし日本の人も相当ある、しかしいずれにしても、これを利用する人は皆有力者なのです。それで現在わが国のように、陸上交通、海上交通、このくらいでに完備したところの施設を持っておる国はないわけであります。しかしこれをなおおそしとして、あるいはこれを不足として、航空機を利用するということ、これはきわめていわゆる賃金の支払う者においては、有力、有能な者が使うわけでありますから、現在の倍額に航空料金をした場合に、この赤字がどのくらい補てんができるか。
  45. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この運賃をきめますには、常にまあそのコストに一定の利潤を加えたものよりよけいにはもちろんできない。限度があるわけでありますが、とてもその限度まではなかなか参りませんので、今も考えて研究いたしておりますが、どの線以上に上げたら乗客が減るか、すなわちどうしたら一番総収入が多くなるかというような見地から研究しておりますが、とても二割も上げられるものではなかろうと思っております。五割も上げますと、お客さんがぐんと減ってしまいますから、総収入が現在よりも減ってくるだろうと思います。
  46. 平林太一

    平林太一君 そうすると、値上げのことに対しては、客が減る、こう言っておるが、これは政治的に客の質というものを考えなくちゃならぬと僕は思う。これは国有鉄道であるとか、あるいは陸上の鉄道の乗客、三等の乗客であるとか、あるいは二等の乗客もありましょうけれども、それから海上の三等の乗客、そういうものとは負担能力というものは全然違っておる。そこで、なおかつ、つまりそのために収入が減って、そうして会社赤字になる、こういうような場合には、いわゆる定期航空路というものをもっと圧縮する、三本にするのを二本にする、二本にするのを一本にする、こういうことも措置ができるわけであります。そういうことを全般的にどうあなたは考えておられますか。
  47. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 事業として経営いたします以上は、飛行機を持っております以上は、それが有効に利用し得るようにやるべきだと思います。たとえば、二本あるものを一本に減らすというようにいたしますと、ますますコストは高くなるわけであります。お客さんの一マイル当りのコストは高くなるわけであります。ますます運賃は高くなります。そうすると、ますます回数を減らしていきますというと、いわゆる再縮小生産といいますか、しりつぼみになりまして、その会社事業として成り立たぬ、こういうことになると思いますので、そこで最も乗客の多いラインで運賃をきめるということが現在必要だろうと思います。航空事業はつぶれてしかるべしということであれば別でございますけれども、近代国家として存在しております以上は、私は航空事業というものは発達さすべきものだと、こういうふうに考えております。一部には航空はぜいたくなりというような意見もあるようでありますけれども、文化が進み国家が進んでいくに従いまして、交通機関のスピード・アップということは当然やるべきことだと、こういうふうに考えております。
  48. 平林太一

    平林太一君 今のお話しですね、これはおのずから限度がある。それから経済上の基本というものを除外した今のあなたのような言葉は、成り立たぬとわれわれとしては思う。会社がしし営々として、いかにすれば赤字を克服していくかという、この事業のやり方によって、これは赤字というものは解消でき得るものと僕は信じておる。ところが、国がもう不足すればしただけは助成してくるんだ。十億という金は決してこれは僅少のものではない。あなた方がお考えになっても、わが国の今日のこの財政の実情からして、とにかく民間と称する一つの企業、営利会社に対して、十億を助成するというようなことは、これは常識的に習慣惰性になれているから、あなた方は何とも思わない、自分の金じゃないから。それを根本に考えて、日本航空の育成発達というものを考えなくちゃならぬということを私も申し上げているわけであります。それだから、従って料金の問題等も、そういう観点から考えていけば、今あなたのようなお話しはわれわれには受け取れないわけであります。どうですか、あなたは航空局長としての、これはいわゆる局長としての適任であるか不適任であるかという、私は試験台であると思います。テストなんです。これは今あなたの答弁をされているようなことであれば、これは単なるいわゆる食のための官僚の航空局長だ、パンのための航空局長だと言わざるを得ない。血の出るような予算上の問題が、十億という金がどっから出るか。営々とした国民の血税の中から出ている。もう少しこの方はお考えになってお進めにならなければ、承知ができない。この点をどうお考えになるか。
  49. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 御指摘の通り、十億という金は税金から出ておりまして、それが国民の血税であるということは十分念頭においてやっておるつもりでございます。私の申し方が悪いから、上すべりにとられるかもしれませんけれども、私は及ばずながら今御指摘になったような気持でやっておるつもりであります。
  50. 平林太一

    平林太一君 答弁はきわめて誠意を欠いていると思う。われわれのように、真に税というものの性格がどっから出てきたか、これを確めなくちゃならぬという点において、もう少しあなた方は真剣に取っ組んでもらいたいんです。それだから、もし航空事業がいわゆるそういうふうな膨大な血税を、しかもそれを今日利用するというものは国民中の何パーセントであるか、八十万のうちのどのくらい、何パーセントであるか、まず伺いたい。
  51. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 二十九年度の利用者が二十四、五万人だと思いますから、その程度一つ御了承を願いたいと思います。
  52. 平林太一

    平林太一君 それは驚いた。八千万人に対して、わずか二十四、五万人、この二十四、五万人を何ゆえに低賃金にして庇護するという必要がどこにあるか、どうお考えになるか。
  53. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 先ほど御答弁申し上げましたように、運賃を取れるだけ取る、倍にもするというようなことをいたしますると、お客さんが減りまして、ますます収入が減ってしまう、こういうことになりますから、だから、運賃収入が多くなる方向で、運賃をどこまで引き上げるかということを研究しておるわけでございまして、運賃値上げを研究していないわけじゃないわけです。ただ御指摘の通りに、倍にもするということになりますと、かえってトータルの収入が減るから、そこまでは行けないだろうと思います。こういうことを申し上げておるわけであります。
  54. 平林太一

    平林太一君 そうすると、いわゆる今お話しの通り、運賃に対してのあなたの観点と僕の観点は違います。これは大臣のほうにお伺いするとして、現在何割——あなたは二割とおっしゃったが、明年度においては二割を上げて、そうすると、その二割の上げただけの総収入が、十億の中から明年は当然予算としてはそれが減削されるわけですか。
  55. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) この十億は、予算にもありますように、出資金でございますから、それだけこの会社に出資をして投資者になるわけであります。国がこの会社に対する資本を持つことになりますので、それを、資本を返すとかというような問題は起きないわけであります。ただ来年度さらに十億を出資するかどうかという問題が起きた場合には、考慮される、本年度の収入の実績は考慮される要素となると思います。
  56. 平林太一

    平林太一君 そうすると、かりに、今の二割というお話を聞いたが、現状の昭和三十年度において二割の値上げをすると、総額においてどれくらいの見込みになりますか。
  57. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 現在の状態で二割を上げるということは、かえってトータルの収入を減らすことになりはしないかと思うので、二割というのはちょっと私の申し上げ方が何か行き違いがあると思いますから、訂正をいたしますが、二割はちょっと困難ではないかと思います。一割一分程度、平均その程度が一番妥当ではないかと思います。
  58. 平林太一

    平林太一君 金額において……。
  59. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 金額にいたしますと、一割一分程度上げたといたしますと、今年度におきまして一億一千万か二千万程度の増収になりますと思います。
  60. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  61. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて下さい。
  62. 早川愼一

    ○早川愼一君 先ほどの、出資を本年十億やらせる。それは何ですか、やはり民間も増資するというもくろみですか、それとも政府だけの出資ですか。
  63. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 政府も出資し民間も出資して、十億。十億ということでいきたいと思うわけでございますが、御存じのような株価でございますから、民間を募集いたしましても集まるということを期待できませんので、政府だけの出資で行かざるを得ないと考えております。
  64. 早川愼一

    ○早川愼一君 そうなってきますと、だんだん、政府の出資が今現在二十億ですね。本年度予算がもし通るとすると、三十億となる。民間が十三億。だんだん比率が重くなる。私は必ずしも同じ意見で質問しているのではないのですが、いわゆる民間航空会社としておくべきか、あるいはパブリック・コーポレーションのような形態にする考えか。だんだん変ってくるようなことになるのですね、出資の比率から見ても。そういう点について、はやはり相変らず民間航空会社としての考え方で進むわけですか。
  65. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 民間という趣旨がどういう趣旨かわかりませんが、御承知のように、特別会社法でできております特別会社で、私法人という意味においては民間会社と言えるかもしれませんが、純民間とは申しかねると思います。そこで政府の持ち分が非常に多くなってくるから、これを全部、十三億分政府が買い取っちゃって、純政府出資としていわゆるパブリック・コーポレーションにしたらどうかというような御意見も、もちろんございます。そういう点も検討いたしましたけれども、現在の段階ではそういった性格変更を試みないでやりまして、法律を改正して政府の監督、政府の監理を強くして、いわゆる平林委員のおっしゃるような国民の血税を使うについての監理を厳重にするという方策をとっていきたいということにするのが、現段階においては適当であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  66. 一松政二

    ○一松政二君 私はね、航空局長、今とりあえず伺いたいのだけれども、国際航空に乗り出した日本航空日本のまあ航空事業だな、航空事業は一体世界の水準まで持っていきたい、世界に少くともかなりおくれているのを、これからせめて水準までに持っていきたいというお考えでやっているだろうと思うのですが、その点はいかがです。
  67. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その通りでございます。
  68. 一松政二

    ○一松政二君 そうすると、現在すでに非常に立ちおくれてまあ立ち上ったわけですが、今これだけの欠損が問題になっているが、私はまだ、先ほど平林委員に答えられたように、そんなに簡単にもうかるとは思わぬ。のみならず、まだまだ日本航空に対する将来の計画について、私は非常に欠けるところがあると思うのです。たとえば、今太平洋を横断するのに、DC一六というのはもう直ちに時代おくれだと思うのです。ノースにしてもパンにしても、ほかのものはダグラスにすればDC一七になるだろうし、ロッキードにすればコンステレーションになる。アメリカでは大陸を横断しているのは、DC一七がもうたくさん用いられているのに、日本航空としてはDC一七に対して注文もよう発せられない、注文してでき上るのに約二年ぐらいかかると聞いているのに。もうパンなどは今年中にDC一七で太平洋を飛ぶのじゃないですか。その辺の見通しはどうですか。
  69. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 実は御指摘のように、飛行機というものは本当に日進月歩いたしまして、新しい機種がどんどんと出てきますので、これに追いつくと言いますか、これを先んずるということが非常に必要なわけでございます。そこで今御指摘になりましたDC一七でございますが、DC一七は予想外に好成績を上げておりますが、これは太平洋を横断する能力がございません。アメリカ大陸横断のために作った飛行機でございます。ところが、これが非常に好調でありましたために、これにさらに改良を加えまして、DC一七というのが今設計されておりまして、これが第一番機が来年の六月ごろに出てくると言われておるわけでございます。そこでこれが出て参りますというと、相当の脅威を感ずるわけでございますが、この飛行機はまず、何と申しましても、一番ヒノキ舞台で競争をするのが大西洋でありまして、実はその飛行機は大西洋にさしあたりは当分持っていくだろうというようなことを考えまして、非常に不足ではございますけれども、さらに進んだ手を打っておらない、こういうことであります。
  70. 一松政二

    ○一松政二君 従って、今の日本航空の現状では、まあ俗に言えば指をくわえて見ている、やりたいけれども指をくわえて見ているよりほかしようがないという現状だと思うのですが、そうですか。
  71. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) まあ資金面から、新たなる機種の手当ができていないというのは、事実でございます。
  72. 一松政二

    ○一松政二君 私はこの問題は他日伺うことにして、それでは現在の内地の民間航空ですね、極東航空日本ヘリコプターこれは非常に貧弱で、むしろ旅客に対して不安感を持たせるようなことはないのですか。あるいは乗員の余裕とか、機種の余裕ということについて、とうてい日本航空の比じゃないのじゃないかと思うのですが、そういう点はいかがですか。
  73. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 安全ということは何よりも大事と考えまして、その点につきましては一生懸命にやっておるつもりでございます。まあ経営面におきましては非常に両会社は無力でございますけれども、安全面におきましては両方の飛行機とも定評のある飛行機でございますし、その点に関しましては問題はない、こういうふうに考えております。
  74. 一松政二

    ○一松政二君 今の航空局長見込みでは、今の両社、東京大阪あるいは名古屋、あるいはそれを九州極東航空は宮崎まで延ばしておるようですが、ほとんど——ほとんどということはどうか知りませんが、私は二、三べん見た場合には、ほとんど幾らも乗客は乗つていないようなんだけれども、これがお客さんがずっとふえて営業収支が引き合うようになるまで、大体継続するのは無理じゃないかのような気が、まあしろうと考えでするのですが、一体これはもうかるような時代がくるでしょうか。
  75. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 非常にむずかしい御質問でございまして、まあ的確なお答えは申し上げにくいと思いますけれども、できるだけ経費の節減をはかるし、ルートの調整をいたしまして経営するというところに持っていきたいと思いますし、両社もそう考えておるわけでございますが、たとえば高知に不定期をやっておりますが、こういうところは非常にいいわけでございます。時間的に申しましても、船なり汽車なりで回りますけれども、飛行機でございますとまっすぐでございますから、運賃相当取りましてもそう響かないというようなことでございますので、新たなるルートを与えることによりまして、現在のルートでございますとなかなか困難でございますが、新たなるルートを開設するよような措置をとるということにおきまして、改善の余地があるのではないかと考えております。
  76. 一松政二

    ○一松政二君 私は、ローカル線を出願する人は、他日の権利を取得するために願い出る人がかなりあるのじゃないか。それでそれを、また権利を高く結局は日本航空かなんかに売りつけるというようなことでは、はなはだ面白くないので、私の考えとしては、どうせ札幌、福岡の幹線ルートは、日本航空国際航空をやっている関係上、これはやめるわけにはいかないし、また当然やるべきであるのだから、むしろ日本航空をつまり幹としてそれから、出る枝はもうサービス的に、むしろ日本航空にやらせる方法をとったのがいいじゃないかというまあ考え方をしている。たとえば、ちょうど幹線の日本国有鉄道があるが、私設鉄道は引き合うやつはいいが、引き合わぬものはこれは国鉄に買ってもらいたいというようなことであるがまた引き合わないいなかの線を日本国有鉄道に、いわゆる予定線なり新たなる建設線をどんどんやらせる。これは絶対に引き合いっこない。これを、引きわないところを国鉄線にやらせているというわけで、日本航空網と言いますか、小さい枝が出ているようなものは、最初から私は日本航空に、幹線路をやらせているから、その枝葉も結局日本航空にサービスとしてやらせるという考え方を持つのが一つ考え方じゃないかと思うのですが、その点はどうお考えになりますか。
  77. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 今直ちに結論的なことを申し上げかねるわけでございますが、確かに御指摘の考え方は、日本のような狭い地域のところで航空の網を作っていくといういうふうについては、今御指摘になったような方法が確かに一つ方法であるということは考えられますので、諸般の、現在の財政、発展ともかみ合せまして、将来大いに研究すべきだと思います。
  78. 一松政二

    ○一松政二君 私はいずれまた航空問題を論ずるときがあると思いますので、その機会に譲りまして、今日は質問をやめておきます。
  79. 片岡文重

    ○片岡文重君 私は議事進行をしてもらいたいと思うのです。御質問の内容は大体、やはり政府の政策の面に関する問題が大部分と思います。それから会社の経理の内容については、やはり会社の責任者が来て説明をすべきものだと思いますし、私もその両面について質問をしたいところはたくさんありますが、本日はその両方がおられないのですから、大体航空関係のことはこの辺で打ち切っていただいて、次の議事に進んでいただきたいと思います。
  80. 小酒井義男

    小酒井義男君 私も一、二点伺いたいことがあるんですが、遠慮しておったんです。大体一、二点だけ……。
  81. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それではどうぞ。
  82. 小酒井義男

    小酒井義男君 運輸省所管三十年度予算の資料の中で航空交通管制官の養成について、前年度は六十名、三十年度は六十一名とありますが、これは前年度の六十名にプラスされて六十一名ふえていくことになるのかどうかということと、そうしてこの養成ができれば、航空交通管制日本政府の手によって行えることになるのかどうかということなんです。  それは、実は私どもはめったに飛行機なんか利用したことがないんですが、週日緊急に上京する用事ができて、小牧飛行場に出たんです。そうすると、大阪から来るのがすでに一時間近くおくれている。そうしてようやく飛行機に乗ると、今度はジェット飛行機の滑走のために、やはり飛行場で四十分ほどとめられてしまった。非常に時間を食って、早く上京したいと思って行ったんですが、結局大した利用価値はなかったということになったのですが、民間航空が出る回数は限られた回数なんですね。そういうときに、もう少しスムーズに飛行場発着ができるようにやれないのかどうか。そういうことは実は痛感しているところに、この管制官をふやすという資料が出ておりますので、その見通しについてお尋ねしたいんです。
  83. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) 一番初めに六十一人の件でございますが、これは本年度それだけふえる、こういう数字でございます。それからこれだけでもまだ全部完全とは参らないのでございますが、日本人で全部それがやれるということを米国側と日本側で認定したならば、空の支配権は日本側へ渡す、こういう協定になっておるわけであります。それから訓練の方を手伝ってもらっておるわけですが、そういう人たちは早く日本側に譲るのだから、急いでやってもらわなくちゃならぬ。こういう点はこうした方がいいという点で、そういう面で接触している限りにおいては、日本側の能力ができたら返してもらえるものと、こういうふうに考えております。  それから今最後に御指摘になりました点でございますが、この点につきましては、しばしばそういう問題が起きまして、向うのほうに交渉したこともごごいますが、向うの方がどうも軍の作戦上ということで容易に聞き入れませんので、遺憾ながら、この点はまことに残念でございますが、ああいった飛行場は日米行政協定に基いて提供してありまして、日本側がお願いして入れてもらっているというような形になっておりますので、まことに残念でございますが、実際問題としてできるだけそういうことのないように交渉をいたしておるわけでございます。
  84. 小酒井義男

    小酒井義男君 そうすると、あれですか、大体いつごろにこちらが管制官の引き継ぎをする見通しと言いますか、目標をいつごろにおいて要請をしていくのか。
  85. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) その目標の時期は、当委員会でもしばしば申し上げたと思いますが、実は申し上げた時期よりだんだんと延びてきて、まことに恐縮だと思っておる次第でございます。今六十人程度やったところでは、少くとも約三年くらいはまだかかるだろうと思われます。
  86. 平林太一

    平林太一君 ちょっと一言だけ、航空局長に。そうすると、僕が主張しておるつまり倍額ということになると、十一億という増収になる。そうすると、この十億というのは、これは理論ですよ、理論としてこれは必要がないということになるわけで、航空局長はあなたの意見としては、倍額にすると乗客が減るのだから、それはいわゆる航空行政上とらざるところだ、こう言うが、それはいずれにしても一つの仮想の意見である。僕は倍額にしても、二十五万人の乗客というものは断じて減らないと思う。それはどういうことかといえば、いわゆる物を持てる者と持たざる者との比較というものは、決してそういうふうな影響を来たすものではない。大阪まで六千円、これが一万二千円になる。これを利用する現在の二十五万の人々は、六千円も一万二千円も何ら痛痒を感じないものなのだ。そういうことは、これは政治上の私は重大な問題だと思います。特別のものにそういう庇護を与えるのだということになるので、この点に対しては一つ重大な検討を願いたいと思うのです。何でも欠損すると国の出資を求める、助成を求めるというのが、今日の日本の経済界の上層部にあるところの意見です。それがいけなければ、先刻早川君がおっしゃった通り、これは従前通り、何をちゅうちょするまでもない。国営にするならば、これは三分の一以下にしてもよろしい。四分の一の航空料金にして、大衆がもっとどしどし飛行機に乗れるような処置をして、そのために十億や二十億の欠損をしても、それは大いに甘んずべきです、行政上のわれわれの見解としては。でございますから、それをどういうふうに一体あなたは弁明なさる。これは概論ですから、そういうことを承わっておきます。あとは御質問しません。最後のとどめですから。そういうことを申し上げておきます。
  87. 荒木茂久二

    政府委員荒木茂久二君) これは予想の問題でございますが、たとえば東京大阪について見まして、汽車との関係におきまして、これが一万二千円になってどんどん、現在の数を維持されるとは実は思いません。いろいろ検討をいたしましたけれども、いろいろな値上げと、それからトータルの数とのかみ合せ、ちょうど小学校のときにわれわれが習った算術みたような計算を、いろいろな組み合せでやってみたわけでございますが、そこで今申し上げましたのが、多いところで一割四分、東京大阪間のごときは汽車の便利が非常にようございますし、値上げをしますというと、そちらに行くことが非常に強いのではないか、こういうふうに考えております。遺憾ながら、倍にしていくという勇気は実はないわけでございます。  それから次の方のコーポレーションの問題でありますが、実はこの基本的な考え方といたしましては、国際航空というものは非常な深刻なる競争をして、しのぎを削る事業でございまして、私はでき得べくんば、これは政府が出資をして、手を握り足を握つて監督を——安全上の問題はこれは別でございますけれども、経済的やり方について干渉しないでやれるという態勢が望ましいのではなかろうかと、こう考えておりますが、しかしながら現実はそういうわけにも参りませんので、政府相当出資をして、そうして初期の段階を切り抜けさして、逐次純民間にかえるということが望ましいやり方だと、こういうふうに考えております。そういう例もオランダその他にあるわけでありますので、民間としてひとり立ちしていけるような希望を失ってはいないわけであります。中には、航空事業というものは永遠に損する事業だからというような御意見も聞きますけれども、われわれといたしましては、いろいろな実例を見まして、そこまであきらめないで、必ず努力によって一本立ちになれるものだ、こういうふうに考えておるわけであります。
  88. 平林太一

    平林太一君 質疑を後日に譲ります。今の答弁は満足いたしません。
  89. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕
  90. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 速記を始めて下さい。  航空事業に関する調査のため、参考人から意見を聴取してはいかがかと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。  参考人の人選及びその他の手続については、委員長一任にお願いしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御異議ないと認めます。よつてさように決定いたしました。   —————————————
  93. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) それでは、次に自動車行政に関する件について、真田自動車局長より御説明をお願いいたします。
  94. 真田登

    政府委員(真田登君) 私から自動車関係の最近の状況について御説明申上げたいと思います。なお、本年度どういうことをやっていくかということについて、予算と関連しながら御説明いたしたいと思います。  最近の自動車発達は非常に目ざましいものがございまして、この二月の自動車は、百三十四万両程度になっております。なおこれらの自動車によって輸送されております旅客および貨物の数は、二十八年度は旅客は約二十九億でございましたが、おそらく二十九年度は三十三億から三十四億まで上がるのではないか。それも他の交通機関に比較いたしますと、国鉄の三十五億といった数字に近づいているわけであります。また貨物輸送につきましては、二十八年度は四億五千万トン程度でございましたが、二十九年度におそらく四億八千万トン程度に上るのではないかと、こういうふうに考えております。この貨物輸送につきましては、鉄道が年間一億六千万トン程度しか運んでおりませんので、三倍に近い数字ということになるわけであります。  こうした自動車による輸送の行政をわれわれがやっておるわけでありますが、自動車につきましての行政は非常に多岐に分れておりまして、車の生産そのものは通産省が所管している、自動車のレールに当る道路は建設省が持っている、また運転手の試験その他は公安委員会がやっているというふうな状態でありまして、われわれのところで持っておりますのは管理行政と申しますか、輸送についての行政と、それから保安行政といいますか、車の整備に関する仕事でございます。そしてこれらの仕事をやっていきますのに、本省では自動車局、それから地方に陸運局というものを九カ所置いてございまして、これは鉄道関係も担当いたしておりますが、その陸運局のもとに各県に陸運事務所というものがございまして、陸連事務所は県知事のもとに属しておるわけでございますが、その予算と人員は国が持っているという異例の形になっております。なお諮問機関として、本省には運輸審議会地方には道路運送協議会というものがございます。そうした形でやっておるのでございますが、本省の権限と申しますのは、旅客につきましては、バスの路線事業と言っておりますが、そこらに通っております乗合自動車でございます。それからトラックにつきましても、路線事業と申しますか、たとえば大阪東京の間を定期に運行している貨物自動車、こういうのが本省の所管になっておりまして、トラックの一定の地域を中心として動くもの及びタクシー、ハイヤーは、陸運局の所管となっております。従いまして、免許等もタクシー、ハイヤー等につきましては陸運局でやっております。なお観光自動車と申しております大きな貸切自動車でございますが、これも陸運局の所管になっております。  そういった権限をもとにおろしまして、本省と局とが一緒になってその行政を担当しておるわけでございますが、本年度特にわれわれが重点を置いてやって参りたいと思いまする事柄の第一は、自動車事故対策でございます。その一つといたしまして、あらゆる事故防止手段を講じても事故が起った場合に、被害者の救済をどうするかという問題でございまして、現在自動車損害賠償保障法と仮称いたしておりますが、そういった法案を提出いたしたいと思いまして、目下法制局とお打ち合せ中でございますが、この概要について簡単にお話申上げたいと思います。  これは保護制度は強制保険ということを原則といたしまして、ただし自動車事故のうち人身事故に限って、これについては必ず救済の途があるようにしたいということが第一の目的でございます。この制度をきめますのに、まず第一に責任の範囲というものをどういうふうに考えるかという問題があるわけでございますが、現在では民法等の原則では被害者加害者の過失を挙証しなくてはならないわけでありますが、今度の考えております制度では、事故が起ると一応その車の所有者は——所有者という言葉でなしに保有者という言葉を使っておりますが、これは所有ないし使用する権利を持っている人ということでございますが、そういった定義の下に保有者は一応責任があるものと推定される。従って保有者の側で自分のほうに責任がないんだという証明をしない限り責任を負わなくてはならないということを原則に立てたい、こういうふうに考えておるわけであります。それからこの保険をやりますのに、任意ではだめなので、どうしても自動車を持っている人たちは全部車に保険を、人身事故に対する保険をかけないと車を動かすことができないということにしまして、その強制方法といたしましては、車両検査をいたしましたり、登録をいたしましたりするときに、必ずこれは保険をかけてございますという証明書を出させる、こういうことにして参りたいと思うのでございます。なおこの強制保険と見合いまして、保険者側でも申込みがあった場合には必ず引き受けなくてはいけない、引き受けの義務を課す、こういうことになって、全部の車が保険にかけられているという状態にしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。なおその保険者をだれにするかという問題がいろいろございましたが、ただいまの考え方では、一般の損保会社がこの新種保険をやる——新種というかどうか、この点はっきり申し上げかねるのでありますが、おそらく新種保険ということになると思いますが、そういう保険をやりたいといった会社にやらせる。そうして政府がその再保険をする。で、再保険をやることにつきましていろいろと問題があったわけでございますが、自動車事故というものは、ただいままでの統計その他に現われております数字が実際に起った事故と必ずしも一致していないのではないか。従ってこの保険をやっていきますのには、かなり目算に狂いがありはしないか。こういったことから見ましても、ある程度国において再保険することによって損失をカバーしよう、こういうことと強制して保険にかけるという点からも国がこれに関与していくべきである、こういった考え方から国の再保険をやろうというふうに考えておるわけでございます。なお自動車にひかれたが、その加害者がわからなかったといったような場合に、被害者の保護のために国が補償を行うと申しますか、加害者不明の事故に対しては国がこれに対して代償する、こういった制度を織り込みまして、今度そういった法律を作りたい、こういうふうに考えておるわけでございまして、これにつきましては、今度の予算でも一応二千六百万円程度予算を組み込んでございます。  それからそういった被害者の保護をはかる一方、なお事故の防止ということに今後も大いに努力しなくてはならないわけでございますが、事故の防止の一つ車両整備あるいは検査の強化ということでございます。もう一つは運輸の安全と申しますか、運転手自身の技術の向上と、その基礎になります素質を向上させるということになると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、運転免許が公安委員会のほうにございますので、少くとも職業運転手等については何か特別の資格を設けてはどうかといったような問題、あるいは現在運転免許を持っている人たちの再教育といったものについて、関係の向きと御相談いたしておる状態でございます。また車両の検査の強化という問題につきましては、車両検査ということが現場に近い仕事でありながら、一般の行政整理におつき合いをして人が減らされてきたというので、われわれとしても非常に困っておったのでありますが、本年度は三十六名程度の増員を見込んでいただくというふうな状態になりましたので、多少とも明るい希望を持っておる次第でございます。  最近大都市における交通の問題がやかましくなって参りまして、たとえば東京都の交通はどうするかといったような問題は、重要な問題になってきておるわけでありますが、通勤輸送等につきましては、バスは割合にその占めておりますウエイトは小さいのでありますが、バスが鉄道等の補助機関として、その連絡あるいは鉄道のない所での輸送ということを受持っておるわけでございまして、その運行系統を整備する、あるいは回数をどういうふうに持っていくかといったような問題について調査をいたしたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。また自動車は非常に多くて不安であるといったような問題がありますが、これについてのパーキングと申しますか、車を置いておく場所を整備しなくちゃならないことで研究をしておりますが、これも運輸省と建設省とが一緒になってやらなくちゃならない仕事でございます。もう一つはターミナルの問題でございまして、郊外から入ってきますバスは思い思いの所に来て、思い思いの所から出て行くというふうな形では、その輸送力の合理的な活用はできないから、一カ所に、あるいは東京ならば数カ所に総合した場所を設けて、その輸送力を活用しょうということについての研究を進めて参りたいと思っております。  それから最近自動車が先ほど申しましたように非常に発達して参りましたために、自動車と他の交通機関との調整といったような問題がやかましくなって参りましたのですが、自動車の数の約八七%までは自家用車で、営業車というのは一三%程度しかございませんために、その実態把握に常に苦心しておるわけでございまして。本年度は特に自動車の実態調査のために予算を大蔵省から裏づけをもらいましてやりたいと、こういうふうに考えております。  また最近高速度自動車道と申しますか、大きくは東海道の弾丸道路——あるいは中央道路といったような問題が非常に論議されておるわけでございますが、自動車道と申しますのは自動車専用敷のようなものでありまして、鉄道軌道でいいますと、鉄道とその鉄道の線路を敷くところであるというふうにも考えられるのでありまして、自動車として特に重要な問題だと存じますし、またこうした高速道路は鉄道との調整といったような観点からも十分調査してやって参らなくてはならないのでありまして、ただいままでは建設省が主としてやっておられたようでございますが、運輸省といたしましても、大いにこれについて運輸省としての輸送という見地から検討したいということで、本年度わずかではありましたが、予算の裏づけをもらいまして、調査を始めることにいたしております。  それから自動車の問題で、最近非常に心配になって参りましたのは、その燃料の問題でありまして、逐年自動車がふえて参りますが、燃料はその大部分が外貨によって得られている輸入燃料でございます。従いまして、常に運輸省としてこれだけの油が要ると思うがという要求に対しまして、大蔵、通産方面からはもう少し減らないかというふうなお話があるわけでございます。われわれの方といたしましては、使用の合理化ということを大いに進めて参りまして、今後ますます自動車にかかって参ります輸送上の負担と申しますか、鉄道を新たに敷くというようなことは言うべくしてなかなかむずかしいのでありますが、そういった鉄道要求される輸送が結局自動車にかかってくる。そういった輸送をどういうふうにしてまかなっていくかという重要問題があるわけであります。今後も使用の合理化ということを大いに促進するとともに、燃料の確保ということに重点を置いて参らなくてはならないと存じております。  なお自動車関係のいろいろの法律等に基きます手等その他は煩瑣であるというふうなこともございますので、今後はできるだけ簡素化したいということで、道路運送法及び車輌法の再検討をやりたい、こういうふうに考えております。  大体現在考えておりますことは以上でございます。
  95. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 御質疑はございませんでしょうか。
  96. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は自動車行政では少しこまかいことをお尋ねしたいのですが、時間もだいぶおそくなっているようなので、新たに一つ委員会をお開き願って、質疑を等けていただいたらどうかと思うのです。
  97. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) ただいま小酒井委員から、たくさん御質疑がおありになりますから、今日は時間も大変経過したから、改めてしたらどうかという御意見が出ていると思うのですが、いかがでしょうか。
  98. 内村清次

    内村清次君 その点は私も賛成ですが、一、二点ちょっと……。
  99. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) 自動車の問題については、日を改めて……。  今内村委員から一、二点だけ御質疑があって、きょうの委員会はそこまでで打ち切りということでよろしゅうございますか。   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  100. 内村清次

    内村清次君 局長にお尋ねしたいことは、まず組織関係の問題です。これは相当問題になりましたいわゆる地方移譲の問題ですね。これで末端機構、たとえば地域的の陸運局、それか各県には陸運事務所、こういうような組織がありまして、しかもその職員の身分及び権限というのは、地方自治法にも縛られている、あるいはまたその府県の知事の一部権限内にも入っている、こういうようなことで、末端機構の職員身分というのは、非常にどちらについているかというような感じがまだ残っているのですね。それでもともと陸運行政、しかも自動車行政というのは、やはり一貫した一元化の行政というものが、これは発達過程にあるところのわが国自動車行政としては適当であると私たちはそう考えてあるのですが、しかしこれも時の内閣の性格によって、そういうような地方移譲というものが非常に問題になりまして、現在はそういうことになって一番挾撃を受けて、衝動しておるところは末端機構です。末端のその職員の身分ですが、この問題に対しまして局長は、まあ内閣もかわっておりますが、あるいはまた情勢は変っており、先ほどの説明においては逐次自動車というものは増加の一途をたどっておる。しかもまたそれに関連した——これは事故関係は別な問題といたしましても、そういうような事故関係もあるし、あるいは輸送秩序の問題も相当複雑な関係が発生しておるのですが、これをもとのような一元化にするというような、これは大臣にまずその政策的な見地で聞くべきですが、しかし局長としてはどういうお考えであるか、局長としては行政の方としてはどういうお考えがあるか、まあこの点をまず第一点として伺いたい。
  101. 真田登

    政府委員(真田登君) 陸運事務所の問題につきましては、ただいまお話がございました通り、われわれといたしましては、ぜひ陸運局直系の事務所にしたいということで考えておるのでございますが、この問題につきましては、おそらく御承知かとも思いますが、陸運局のできます前には、各県に陸運事務所というものがございまして、陸運局というものはなかったのでございますが、陸運局ができましたときに、この陸運事務所の問題が地方自治の強化といいますか、そういった面から知事のもとに属すべきであるというふうな大きな動きのために、一時陸運局分室というふうな格好で残りまして、その後知事の命令は受けるが、予算と人事問題は陸運局だと、こういった折衷的な妥協の所産と申しますか、いうことで現在の陸運事務所ができたわけでございまして、その後、事あるごとにわれわれのほうでは陸運事務所は陸運局の直系に置くべきだという主張をし、また地方庁といたしましては、陸運事務所を全部こっちへくれというようなお話がございまして、常に意見が対立したまま、お互いに最近でははれ物にはさわらないというふうな格好でおるものでございまして、最近のように地方財政がどうとかこうとかいうふうな問題になって参りますと、逆に陸運事務所などを地方庁にくっつければ、それだけの負担がかかるのではないかとわれわれは考えておるのでございますが、そういった機構をもとへ戻すべきだということを言い出す時期につきましては、われわれとしてはいつがいいかというようなことを考えておる次第でございます。こういったような状態でございます。
  102. 内村清次

    内村清次君 まあ局長の意思としては、只今のお話では、いつか時期をみて一元化の方に進みたいという含みがあるようですが、実際におきまして、たとえば陸運事務所あたりの書類権限におきまして、これは知事は実態を知つておるかどうか、知事はですね。そうしてまた知事のはんこはいつどういう問題について取らせにあなたの方ではやっておるか、この問題を私は掘り下げて聞きたいのですよ、実際は。そうしますと、ただ問題は免許のときに知事の指図があるとか、あるいはまたガソリンその他の問題のときに、どうもまあ知事が言ったのか何か知らないけれども、とにかく権限関係、府県関係のほうからいろいろな手を通じて話があるというようなことで、実際のこの趨勢という問題にまで知事が今本当に熱意をもつて関与しておるかということは、私たちはあれだけ大きな問題となって地方移譲が叫けばれた今日において、実際においてやっておるかどうかということは疑うのです。そうであったなら、私は今その職員の人たちが権限においても、あるいはまた自分の身分においても、そのようなさびしい思いで執務をやっておる現状を見ておりますと、ある程度忍びない点があるのですよ。この点は知事の関与しておるような職権内容というものは一体どういうことであるか、お知りになっておるならば、一つ発表していただきたい。
  103. 真田登

    政府委員(真田登君) 実際の陸運事務所の扱い方を見ておりますと、知事の印を預かっておる場所がある、あるいは重要な問題については副知事にお話をする程度でとどめているとかというような程度の扱いで、あまり深く関心を持っておられない、特別の人だけが関心を持っておられる、こういうふうに承知しておるわけであります。で先ほどお話がありましたように、油の問題についていろいろ統制が行われていたとか、陸運事務所がある程度の権限を持っておりますそういったときには、そういった面から関心を持たれた場合があったと思いますが、最近では油の統制ということもございませんし、資材関係の統制がなくなりましたものですから、そういった面での関心はございません。なお免許あるいは許可という点でも知事の陸運事務所の権限と申しますか、知事の権限はほとんどないわけでありまして、車両数を増加するとかしないとかいう程度の場合にのみ知事の権限になっておりますので、実際にはあまりそういった行政的なおもしろみといいますか、ちょっと言葉に語弊があるかもしれませんが、そういった面ではおそらくほとんど仕事がなくて、最近では登録とか車両検査とかいったような事柄が大部分であります。そうして実際に陸運事務所で一番困っておりますのは、やはり先ほどお話がありましたような輸送秩序のための取締りとか、そういった面でございまして、これもなかなか苦労ばかり多くて、決しておもしろい仕事ではないわけであります。従って知事が特別の御関心を持たれていることは非常に少いのではないかと私たちは思っております。
  104. 内村清次

    内村清次君 それじゃ私もこれで質問を保留いたします。
  105. 加藤シヅエ

    委員長加藤シヅエ君) そうでございますか。  それでは今日の委員会はこれをもって終了いたします。    午後三時五十八分散会