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紅露政府委員 ただいま議題となりました昭和三十年度の
厚生省所管予定経費の
要求額の概要について御説明申し上げます。
昭和三十年度の
厚生省所管一般会計予算の
要求額は、八百三十六億五千八百七十五万九千円でありまして、これを昭和二十九年度の
補正予算を加えての
予算総額八百三十八億一千六百三十七万六千円に比較いたしますと一億五千七百六十一万七千円の減少となっておりますが、これを前年度の当初予算七百五十三億六千一百九十四万七千円に比較いたしますと八十二億九千六百八十一万二千円の増加と相成ります。また、これを
一般会計の
予算総額に対比いたしますと、その八・三八%を占め、前年度の八・三六%に比べまして、むしろ微増を示しているのであります。
さらに、前
年度予算中には、
生活保護費の
過年度不足分及び
災害関係の
臨時的経費合せて三十六億二千万円が計上されていたのでありますが、本年度におきましては、これらに相当する
臨時的経費は
生活保護費及び
児童措置費の
過年度不足分として十二億円が見込まれておりますほかは、少額の
過年度災害復旧費が計上されているにとどまり、これらを通計いたしましても十二億一千余万円にすぎないのでありまして、これらの経費を控除して前年度に比較いたしますと、実質的には二十二億円余の増加となっているのであります。
次に、右の予算のうち、特に重要な事項についてその概要を御説明申し上げます。
第一は、
社会保険の
整備育成の施策に必要な経費についてであります。
社会保険は、
社会保障制度の主柱をなす制度として今日きわめて重要な意義と役割をになっておりますので、これを育成助長して参りますことの緊要なことは申すまでもないことであります。従いまして、前年度に引き続いて各
社会保険を通じて、その
事務費の全額を国庫において負担することとし、これに必要な経費として四十億九千一百余万円を計上いたしますとともに、
厚生年金保険及び
船員保険の長期と失業の
給付費に対しましても、従前と同様、その
給付財源の一部を国庫において負担することとし、これに必要な経費として十四億八千三百余万円を計上いたしているのでありますが、本年度の施策におきまして、特に重点となっておりますものは、まず
政府管掌の
健康保険及び
船員保険の
医療給付に対する
国庫負担であります。
政府管掌の
健康保険の財政につきましては、前年度において約四十億円、本年度において三十億円の赤字が予想されるのであります。これは、
医療機関の
普及発達に伴ってその利用度が高められたこと、医学の進歩による
医療内容の改善によって
医療費が増高の一途をたどっているに反し、
保険料収入が
デフレ施策の浸透に伴い
鈍化傾向にあることに基因していると考えられるのであります。この
赤字財政の
再建整備をはかりますための抜本的な施策は、
学識経験者等斯界の権威者をもって構成する審議会を臨時に設置いたしまして、その審議を待ってこれを確定する予定でありますが、当面の前年度及び本年度の
赤字合計七十億円につきましては、国庫において負担することとしたのであります。ただ本年度において、その全額を
一般会計において負担いたしますことは、
財政規模等から見て困難でありますので、さしあたり本年度においては十億円を負担し、残余の
不足財源は一応
長期借入金によって操作し、
明年度以降において毎年十億円程度を借入金の
償還財源補てんのため、
一般会計より
厚生保険特別会計に繰り入れることといたしたのであります。これとともに、当面の不均衡な
保険財政の改善をはかるため、
保険料率を現行の千分の六十より六十五に
引き上げるほか、
標準報酬の
等級改訂を行うことを予定している次第であります。
船員保険におきましても、
疾病保険部門の収支不均衡による赤字が約一億五千万円見込まれますので、
健康保険と同様、この
不足財源の補てんを国庫において負担することとし、とりあえず本年度において二千五百万円、
明年度以降においては毎
年度本年度と
同額程度を
一般会計より
船員保険特別会計に繰り入れることに予定しております。これとともに、
健康保険と同様、若干の
保険料率の
引き上げと
標準報酬の
等級改訂等を行うことといたしておる次第であります。
次は、
日雇労働者健康保険制度の
強化充実であります。
同
保険制度は、発足後いまだ日が浅いこと、その特異な
雇用形態と被
保険者が低
所得階層に限られていること等のため、その
給付内容は一般の
健康保険に比して劣っておるのでありますが、創設後最近までの
実施状況に照らし、これを改善することが適当と考えられますので、
給付期間を現行の六カ月より一年に延長いたしますとともに、新たに
療養給付に歯科の補綴を加え、
埋葬費及び
分娩費等の
現金給付をも実施することにいたしたのであります。これらの
給付内容の向上の裏づけとして、従来と同様に、
療養給付費の一割を国庫において負担することとし、これがための経費として一億九千八百余万円を計上いたしたのであります。
さらに、
国民健康保険につきましては、従前に引き続き、子の健全な運営を助成することを目的として、
療養給付費の二割に相当する金額を各
保険者に対して
助成交付金として補助するため、四十八億二千九百余万円を計上いたしますとともに、赤字の
保険者に対し前年度同様、その
再建整備を促進するための
貸付金として三千万円を計上いたしたのであります。
第二は、
結核対策の強化に必要な経費についてであります。
過般の
実態調査によりますとわが国の
結核患者は二百九十二万人と推計され、そのうち、入院を必要とするものは百三十七万人の多きに達していることが明らかにされ、その禍害の広さと深刻の度は想像以上のものであることが察知できるのであります。従いまして、
結核撲滅の施策を一段と強化することといたしたのであります。まず、
患者発生の予防と発病の
早期発見のため、
健康診断及び
予防接種の
強化徹底をはかることとしたのであります。すなわち
健康診断の
実施対象を従来の学校、
収容施設、
事業所等の
集団生活者と
指定地域の三十歳末満のものより学齢に達したもの以上の全国民に拡大したこと、
要注意者に対しては六カ月後に
精密検査を新たに行うこととしたこと、最も感染のおそれのある
患者家族の
予防措置の強化、特に狭隘な住宅に家族と雑居している患者に対して
隔離療養室の
無償貸与制度を試験的に設けたこと、
一般住民に対する
健康診断及び
予防接種費用の減免率を従前の一〇%から五〇%へと大幅に
引き上げたこと等でありまして、これらの施策に必要な経費として約四億八千三百万円を計上いたしたのであります。また、
結核療養所の病床につきましては、いまだ不足を告げている実情にありますので、国立一千床、公立三千六百床、
法人立五千四百床、合計一万床を前年度と同様に増設いたしますとともに、
結核回復者の後
保護施設二カ所を新たに設置いたしますほか
国立結核療養所の諸施設の
整備等に必要な経費として十一億三千六百余万円を、
結核回復者後
保護施設の
経営費の
不足財源に新たに、二分の一の補助を行うに必要な経費及び
国立結核療養所の
維持運営に必要な
経費等として九十九億二百余万円を、従来と
同様医療費の
公費負担に対する補助に必要な経費十六億一千二百余万円を、その他
結核予防従事者の研修、
実態調査等に必要な経費を含め、
結核対策のため総額百三十一億五千五百余万円を計上いたした次第であります。
第三は、
覚醒剤及び
精神衛生対策の推進に必要な経費についてであります。
まず、
覚醒剤対策につきましては、さきに内閣に
覚醒剤問題対策推進中央本部を設けて、
覚醒剤に対する
総合施策の樹立と推進をはかって参ったのでありますが、さらに、取締りを一そう強化いたしますとともに、広く国民に
ヒロポン禍害のおそるべきことの認識を深め、青少年の
施用防遏に協力を求めるため、一段と
広報活動を活発に展開することにいたしたのであります。特に、
覚醒剤中毒者を収容してこれに必要な医療を行うため、
精神病院に二千百床の病床を併設することにいたしたのでありまして、これら
覚醒剤対策に必要な経費として、一億二千六百余万円を計上いたした次第であります。
次に、
精神衛生の面におきましては、
患者保護の立場より、また公安上より見まして、保護収容すべき患者に比べて病床の不足が顕著でありますので、公立及び
法人立に二千二百床の増床を行いますほか、
国立精神頭部療養所の
施設整備のための経費を含め、一億八千九百余万円を計上いたしたのであります。また、
国立療養所の経営のための経費及び
都道府県知事が本人の保護と公安上の必要に基いて命令する
措置入院の経費並びに
精神衛生相談所の運営に要する
経費等、七億三千三百余万円を計上いたした次第であります。
第四は、
受胎調節に必要な経費についてであります。
受胎調節は最近における
人工妊娠中絶の
激増傾向にかんがみ、従来主として
母体保護の見地よりその
普及指導をはかって参ったのでありますが、さらにこれを促進いたしますことが
人口対策の見地からも緊急不可欠と認められますので、
家族計画思想の一そうの
普及徹底をはかることにいたしたのであります。このための施策として、さしあたり
受胎調節普及度の最も低いと思われます
生活困窮者に対しまして、
受胎調節に必要な器具、
薬剤等を無償または低廉な経費で提供することとして、三千二百余万円を新たに計上いたしましたほか、前年度に引き続き保健所が中心となってその普及と指導を行なって参るために必要な経費として、二千六百余万円を見込みました次第であります。
第五は、
水道施設等公衆衛生関係施設の
整備充実に必要な経費についてであります。まず、
公衆衛生の
基礎施設であります
水道施設の
整備普及は、
公衆衛生の
維持向上を期する上におきましてきわめて重要でありますので、その整備に意を用いてきたのでありますが、特に
下水道施設は整備に巨額の経費を必要とするため、その普及がはなはだしく渋滞いたしておりますとともに、
事業費の中に占める
労務費が比較的高い
事情等をも勘案いたしまして、本年度より
緊急就労対策の一環として整備することとし、従前に倍する四億一千八百万円を計上いたしたのであります。また飲料水に基因して
消化器系伝染病の多発する
農山漁村に対し、
簡易水道の布設を助成するため六億四千万円を計上いたしましたほか、
特別鉱害復旧臨時措置法及び
臨時石炭鉱害復旧法に基いて、
特別鉱害及び
一般鉱害対策事業に対し補助を行うに必要な経費並びに
南海地方の震災に基因する
地盤変動対策事業に必要な
経費等一億六千五百余万円を見込んだのであります。
次に、
公衆衛生の
第一線機関として重要な機能と役割をになっております保健所につきましては、C級からA級への格上げを九カ所行いますとともに、
老朽施設十カ所を改良整備し、さらに
エックス線等の
重要設備の整備をはかる等のための経費として一億三千四百余万円を計上いたしまして、その機能の強化に努める所存であります。さらに
運営費におきましては、委員の
充足状況を考慮して、実人員を
経費算定の基礎といたしました反面、給与の単価を実情に即して若干の
引き上げを行うこととしまして、その
所要経費十六億一千七百余万円を計上いたした次第であります。
第六は、
国立病院等医療機関の整備に必要な経費についてであります。
医療機関の整備につきましては、
医療体系の
中枢機関としての
国立病院をして名実ともにその
指導的役割と
効率的運営を遂行せしめるため、相当大幅な
整備改善を行いますに必要な経費として十二億二千二百余万円を見込みましたほか、
一般地方病院の需要に応じて貸し出しを行うため、ラジウムを設備するための経費一千六百余万円を新規に計上いたした次第であります。
また
公立一般病院につきましても、
医療機関整備計画にのっとって、その整備を助成促進するため四千五百万円を計上いたしますとともに、引き続き
国立病院の一部を地方へ移譲することとし、これを促進するための経費として一千八百万円を計上いたした次第であります。さらに無医村または
医師不足町村の解消と
国民健康保険の健全な運営に資するため、
国民健康保険の
直営診療所の
整備拡充を行うこととして、これに要する経費として二億円、伝染病の予防上必要欠くことのできない
隔離病床一千八百六十六床の整備のための経費として一億五千余万円をそれぞれ計上いたしました。
第七は、
生活保護に必要な経費についてであります。生活に困窮する者に対してその
最低限度の生活を保障し、その自立を助成するために必要な経費でありまして、扶助の種類は同様であり、保護基準につきましても
結核患者に対する栄養加算の改善を行いましたほかは、従前と同様といたしているのであります。反面、不況の進行過程にかんがみ、保護人員は前年度
補正予算算定の基礎人員に対し、各扶助とも五%の上昇を見込んで
所要経費の算定を行いました結果、扶助費は合せて三百四十三億九千四百余万円となり、前年度に比して十七億四千四百余万円の増加となっているのであります。しかしながら旧軍人恩給及び日雇い労働者
健康保険の実施に伴う減少見込額十九億円、前年度不足見込額十億円をそれぞれ加除一たしますと、扶助費の純計は三百三十四億九千四百余万円となり、かえって前年度より八億八千二百万円の減少となっているのであります。これは旧軍人恩給の裁定進捗に伴う減少見込額の増加が六億四千万円、過年度赤字計上分が前年度より十九億八千六百万円の減少となっているためであります。
右のほか、
保護施設の
事務費に七億二千七百万円、
生活保護法施行のための経費に四億三千余万円が見込まれ、これらすべてを合せまして
生活保護に関する経費として三百四十六億五千二百余万円を計上いたした次第であります。
なお保護の実施につきまして、洩給または濫給の防止をはかってその適正な運用を期するとともに、指導的職員の資質の向上をはかるため、都道府県の基幹委員の
人件費として全額
国庫負担の委託費を交付することとし、これに必要な経費として新たに八千九百余万円を計上いたしたのであります。
第八は、児童保護に必要な経費についてであります。まず措置費につきましては、施設の増設に伴う児童の増加を見込みますとともに、
デフレ施策の影響をも考慮して、保育所及び母子寮の援護率を若干
引き上げることといたしましたほか、前年度不足分二億円を含めまして算定いたしました結果、その
所要経費は五十六億四千余万円となり、前年度に比べまして八億三千余万円の増加となっているのであります。
また盲児及び肢体不自由児等の身体障害児に対し、育成医療を施し、あるいは義肢等の補装具の支給を行うための経費、児童相談所及び一時保護所の運営に必要な経費並びに保母養成所に必要な
経費等三億二千二百余万円を計上いたしているのであります。
第九は、世帯更生運動の推進に必要な経費についてであります。疾病、失業または事業の失敗等によって経済的破綻を来たし、あるいは自立の道を失って被保護階層に転落するおそれのある世帯に対し、その再起更生のため適切な措置を行いますとともに、必要な資金を低利で融資してその生活意欲を振起せしめて自立更生をはかることと、たしたのでありますが、その実施につきましては、都道府県をして都道府県社会福祉協議会を通じて右に述べましたような
生活困窮者に対し自立更生に必要な生業、技能修得、事業継続及び支度等に必要な資金の貸付を行わせることとし、国はこれに必要な経費の二分の一を補助することとしたのであります。このための経費として、三千万円を計上いたしたのであります。
第十は、社会福祉施設の
整備充実に必要な経費についてであります。生活
保護施設の整備につきましては、養老施設に重点をおいてその増設整備をはかりますとともに、
老朽施設の補修改良のための整備をもあわせて行うことといたしまして、これに要する経費一億八千二百余万円を、児童福祉施設におきましては、前年度に引き続いて保育所及び母子寮の増設を中心として
整備拡充を行うこととして、四億円をそれぞれ計上いたしておりますほか、身体障害者の更生援護施設、同和地区の生活改善をはかる総合福祉施設、公益質展の
整備等のため四千九百余万円を計上いたしたのであります。また、民間社会福祉事業の振興をはかるため、昨年設立されました社会福祉事業振興会に対する出資金として、さらに一億円を計上いたしまして民間の社会福祉施設の
整備充実を期している次第であります。
第十一は、戦傷病者戦没者遺族及び留守家族等援護のための経費についてであります。戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金、障害年金及び障害一時金の支給等に必要な経費といたしまして三十億四千八百余万円を、また未帰還者留守家族援護法に基く留守家族手当、障害一時金及び療養費等に必要な経費として十四億二千七百余万円をそれぞれ計上いたしました。右のうち、遺族年金及び留守家族手当は、旧軍人恩給の公務扶助料の
引き上げに対応して本年十月以降若干の増額を予定いたしておるのであります。また療養の給付を受けるもののうち、大部分のものは本年十二月二十八日をもって法定の
療養給付期間を経過することとなりますので、なお三カ年間これを延長することを予定しているのであります。
第十二は、引揚者の援護に必要な経費についてであります。昨年度中の海外からの引揚人員は、集団及び個別を含めて三千二百七十四人となっておりますが、中共及びソ連地区には未だ相当数の残留者が帰還を待望しているものと想像されますとともに、両地区とも残留者の帰還が引き続き期待されますので、一応集団三千人、個別五百人、戦犯釈放百人を予定いたしまして、その輸送、帰還手当の支給、食事、被服、日用品及び医療等の給与を行うに必要な経費のほか、集団
収容施設の補修整備のための経費を含め、六千九百余万円を計上いたしまして、その受け入れ援護に遺憾のないことを期しているのであります。
なお、引揚者の定着援護に必要な住宅施設につきましては、建設省所管に計上されております第二種公営住宅のうちより、八百五十戸を引揚者用に建設する予定にいたしている次第であります。
右に申し述べましたほか、らい予防及び国立らい療養所の
経営費等らい対策に必要な経費として十七億三千四百余万円を、法定伝染病予防費の補助として七億円を、アヘンの専売事業の円滑な運営をはかるために新たに設けられたアヘン特別会計の固定運転資金に充てるため、同特別会計に対し繰り入れを行うために必要な経費として三千五百万円を、戦傷病者及び身体障害者に対し更生医療の実施または補装具の支給等諸種の援護を行うために必要な経費として三億四千四百余万円を、母子世帯の経済的自立を助長してその福祉の増進をはかる母子福祉貸付資金に必要な経費として五億円等をそれぞれ計上いたしたのであります。
以上、昭和三十年度
厚生省所管の
一般会計予算のうち、若干の重要な施策につきまして御説明申し上げたのでありますが、このほか保健衛生、社会福祉の各費目につきましても、それぞれ所要の経費を計上いたしておるのであります。
次に、昭和三十年度
厚生省所管の
特別会計予算の大要について御説明申し上げます。
まず第一は、
厚生保険特別会計についてでありまして、さきに申し述べましたように、
健康保険においては、前年度及び本年度の赤字を補てんとするため六十億円の長期借り入れを見込みますとともに、収支均衡を失いました
保険財政の改善に資するため、
保険料率の
引き上げの
標準報酬等級の改訂を予定いたしております。また日雇い労働者
健康保険におきましては、
給付期間の延長と給付の改善を行うことといたしました。
右に要する経費として健康勘定におきましては、歳入歳出とも五百三十二億七千九百十二万円、日雇い健康勘定におきましては、歳入歳出とも二十二億二千三百二十八万三千円、年金勘定におきましては、歳入四百五十億一千九百九十二万円、歳出九十二億九千五百六十二万八千円、業務勘定におきましては、歳入歳出とも二十八億三千五百六十一万四千円を、それぞれ計上いたしました。
第二は、
船員保険特別会計についてでありますが、
健康保険について申し述べましたと大体同様の措置をとることといたしておるのであります。これに要する経費といたしまして、歳入四十五億九千八百二十五万八千円、歳出四十億六千七百六十五万三千円を計上いたしました。
第三は、
国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、
国立病院の
施設整備を行うために必要な経費を大幅に計上いたしましたほか、三億円の債務負担行為を計上いたしているのであります。前年度に引き続きまして、血液銀行、高血圧の治療センター、ガンの治療センターをそれぞれ若干個所整備いたしますとともに、もっぱら地方の一般病院に対し貸し出しを行うためにラジウムを設備することといたしまして、これら総体の経費として、歳入歳出とも七十八億五千四百六十六万八千円を計上いたした次第であります。
最後は、アヘン特別会計についてであります。アヘン法に基いてアヘンの輸入、売り渡しの事業を独占的に行うため、昭和三十年七月一日を期して設置することといたしており、本年度は、輸入三十五トン、国内産の収納二・五トン、製薬原料としての売り渡し三十二トンを予定いたしまして、所要の収支を見込みました。すなわち歳入歳出とも一億九千六十三万七千円を計上いたしました。
以上昭和三十年度の
厚生省所管一般会計及び各特別会計の予算につきまして概略御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別のお力添えをお願い申し上げる次第であります。
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