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1955-06-03 第22回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
本
分科員
は
昭和
三十年六月二日(木曜日)
委員長
の指名で次の
通り
選任された。
主査
稻葉
修君
宇都宮徳馬
君
上林
山
榮吉
君
牧野
良三
君 村松 久義君
相川
勝六
君
太田
正孝君
野田
卯一
君
志村
茂治
君 田中織之進君 井堀 繁雄君 川上 貫一君 ――
―――――――――――
会 議
昭和
三十年六月三日(金曜日) 午前十時五十七分
開議
出席分科員
主査
稻葉
修君
上林
山
榮吉
君
宇都宮徳馬
君
相川
勝六
君
牧野
良三
君
野田
卯一
君
太田
正孝君 田中織之進君
志村
茂治
君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 三木 武夫君 郵 政 大 臣
松田竹千代
君 建 設 大 臣
竹山祐太郎
君
出席政府委員
運輸政務次官
河野
金昇
君
運輸事務官
(
大臣官房長
) 山内
公猷君
運輸事務官
(
大臣官房会計
課長) 梶本
保邦
君
運輸事務官
(
海運局長
) 粟沢 一男君 運 輸 技 官 (
船舶局長
) 甘利 昂一君
運輸事務官
(
船員局長
) 武田 元君 運 輸 技 官 (
港湾局長
) 黒田 静夫君
運輸事務官
(
鉄道監督局
長) 植田 純一君
運輸事務官
(
鉄道監督局国
有
鉄道部長
) 細田 吉蔵君
運輸事務官
(
自動車局長
) 真田 登君
運輸事務官
(
航空局長
)
荒木茂久
二君
海上保安庁長官
島居辰次郎
君
郵政事務官
(
監察局長
) 青木 亮君
郵政事務官
(
貯金局長
) 小野 吉郎君
郵政事務官
(
簡易保険局
長) 白根 玉喜君
郵政事務官
(
電波監理局
長) 長谷 慎一君
郵政事務官
(
経理局長
) 八藤
東禧君
建設政務次官
今井 耕君
建設事務官
(
大臣官房長
) 石破 二朗君
建設事務官
(
計画局長
) 渋江 操一君 建 設 技 官 (
河川局長
) 米田 正文君 建 設 技 官 (
道路局長
) 富樫 凱一君 建 設 技 官 (
営繕局長
) 木村 恵一君
分科員
以外の
出席者
運輸事務官
(
大臣官房観光
部長
) 間島大治郎君
日本国有鉄道
副 総裁 天坊 裕彦君
日本国有鉄道理
事 (
経理局長
) 石井
昭正
君
日本国有鉄道理
事 (
営業局長
) 唐沢 勲君
日本国有鉄道理
事 (
施設局長
) 佐藤 輝雄君 ――
―――――――――――
本日の
会議
に付した案件
昭和
三十
年度
一般会計予算
中
運輸省
、
郵政省及
び建設省所管
昭和
三十
年度
特別会計予算
中
運輸省
、
郵政省及
び建設省所管
昭和
三十
年度
政府関係機関予算
中
運輸省
、
郵政
省及
び建設省所管
――
―――――――――――
稻葉修
1
○
稻葉
主査
これから
予算委員会
第四
分科会
を開会いたします。 私は同
分科会
の
主査
の職務を行うことになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。 本
分科会
は御
承知
の
通り昭和
三十
年度
一般会計
、同
特別会計
、同
政府関係機関
各
予算
中、
運輸省
、
郵政省及
び建設省所管
の
審査
を行うことと相なっておりますが、
予算委員会理事会
の申し合せによりまして、
分科会
の
審査日程
は本日及び明四日の二日間開会することになっておりますので、さよう御
了承
の上御協力下さるようお願いいたします。なお
審査
の都合上、本日はまず本
分科会
の
所管
全部について、それぞれ
政府
の
説明
を聴取した後、
運輸省所管
、次に
建設省所管
の順序によりまして、逐次
質疑
を行い、明四日は
郵政省所管
の
質疑
を行う
予定
でありますので、さよう御
了承
をお願いいたします。 それではただいまより
昭和
三十
年度
一般会計
、同
特別会計
、同
政府関係機関予算
中
運輸省
、
郵政省及
び建設省所管
を
一括議題
として
審査
に入ります。順次
政府
から
説明
を求めることにいたします。
運輸政務次官河野金昇
君。
河野金昇
2
○河野(金)
政府委員
それでは私から
昭和
三十年度
運輸省所管予算
について御説明申し上げます。詳細な点についてはお手元に差し上げました資料をごらん願いたいのでございます。 まず
歳入予算
でありますが、
昭和
三十年度
歳入予算総額
は九億九千百九十三万五千円でありまして、前年度
予算額
に比較いたしますと約五千七百万円の減少となっております。 次に
歳出予算
について御説明いたします。 当省の
昭和
三十年度
予定経費要求総額
は二百四十億三千九百六十二万五千円でありまして、これを前年度
予算額
二百二十八億六千二百九十八万一千円に比較いたしますと、十一億六千六百六十四万四千円の増加となっております。 以下そのうち、おもな
経費
について御説明申し上げます。まづ第一は、
外航船舶建造融資利子補給
に要する
経費
といたしまして三十五億六百五十万六千円を計上しましたが、これはさきに決定をみました
総合経済
六カ年計画に基き今後六カ年間に
外航船
の船腹を百三十六万総トン増加し、
日本海運
の発展と、これによる外貨の増収をはかる目的で、本年度は
貨物船
、油送船を合せ十八万九千総トンを建造いたし、これが
所要借入資金
に対する
利子補給
を行うためであります。 なお本
年度建造分
に対する
利子補給契約限度額
として十億四千六百七十三万四千円、及び
損失補償契約限度額
十一億四千二百七十万円を
国庫債務負担行為
としてそれぞれ計上いたしました。 第二は、
国際航空事業補助
に必要な
経費
として三億五千五百万円を計上しましたが、御承知のように、
日本航空株式会社
が現在運営している国際線は、北米、香港の二線でありますが、これが、
経営内容
を見ますると、
操縦士
は
外国人
をもって満たしている関係上
人件費
が相当膨張し、また
航空機
の購入も
全額借入資金
をもってまかなっている等、国が何らかの
助成案
を講じない限り、各国との競争に立ち遅れ、これによる外貨の増収も望めず、ひいては
日本航空界
の将来に暗影を投ずる結果となるのでございまして、ここに前述の
補助金
を交付いたしまして本
事業
の健全なる発展をはかるためであります。 なお以上のほか、
大蔵省所管
として
日本航空株式会社
に対し前年度同様十億円の
政府出資
を要求しております。 第三は、
港湾関係
でありますが、本
年度要求額
は
港湾事業
に要する
経費
として三十二億七千七百九十七万円、
港湾災害復旧事業
に要する
経費
として二十億六千八百三十一万一千円、
港湾施設災害関連事業
に要する
経費
として四億八千百七十四万円
港湾事業附帯事務費
として七千七百十四万九千円合計五十九億五百十七万円を計上しましたが、これらはいずれも、貿易の振興、
輸送力
の増強を裏づける
港湾施設
を
整備拡充
するためのものであります。また
災害関係
の
予算
は
昭和
二十九年度以前の
災害
による
港湾施設
の復旧を促進せんとするものであります。 なおこのほかに
北海道港湾事業費
六億六千六百万円を
総理府所管
に、
特別失業対策事業費
三億一千万円を
労働省所管
として要求しております。 第四は本年度より新たに
自動車損害賠償責任保険特別会計
を設置し、これが所要の手続を今国会に提出しておりますが、本
特別会計
に要する
予算
として
歳入歳出予算
とも三十七億九千七百十一万一千円を計上し、また
一般会計
から本
特別会計
への
繰り入れ
としまして二千六百三十六万六千円を計上いたしました。 最近における
自動車事故
の傾向を見まするに、
自動車
の増加に伴いまして
自動車事故
の件数もまた年々増加の趨勢にあるのでありますが、事故の
被害者
、特に
人身殺傷事故
の
被害者
に対する
損害賠償
その他の救済につきましては、はなはだ不十分でありまして、今や一つの社会不安となっていると申しても過言でないのであります。 これに対しまして、今回
自動車損害賠償責任保障法
(仮称)を制定しまして、
自動車
による
人身殺傷事故
について、民法の特例を定めて、
自動車
の
所有者
及び
使用者
の
賠償責任
を加重するとともに、
賠償責任
について、原則として
強制保険制度
を実施して
被害者
に対する確実迅速な救済を行い、さらに加害者不明の事故の場合も、同様な救済を行い得るよう措置いたす所存でありますが、本制度の社会保障的な性格にかんがみまして、保険については、
特別会計
を設けて国の再保険を行い、同時に再
保険事業
の
事務費
及び加害者不明の事故の場合に支払われる
保障金
の一部を国が負担しようとするものであります。 第五は
気象業務
の
整備拡充
でありますが、本
年度気象官署
としての
要求額
は二十四億二千八十四万六千円でありまして、このうちおもなものとしては
上層気象観測業務関係
で一億五千八百七十五万一千円、
水理気象業務関係
としまして五千五百十一万一千円、
水害緊急対策関係
で一億七千三百十九万九千円、
測候所新設
、新営関係としまして一千四十二万九千円等であります。これらは
台風等
により年々こうむっております莫大なる
災害
を観測の的確と
予報業務
の
敏速化
とにより、
最少限
にとどめ得るよう、
気象観測
、
通信施設等
の
整備
を実施するために必要なものであります。 第六は
海上保安庁関係
でありますが、本
年度要求額
は六十億八千九百七十三万九千円でありまして、このうちおもな事項を申し上げますと、
巡視船等建造費
として二億六千二百十一万八千円、
航空機購入費
として六千四百十七万五千円、
航路標識整備費
として二億七千八百二十四万一千円等であります。これらは
海上保安業務
の
重要性
にかんがみその強化をはかる目的をもって、九百トン
型水路観測船
一隻、三百五十トン
型巡視船
一隻、六十トン型燈台見廻り船一隻を建造し、また
哨戒用
として
航空機
二機を購入するほか、
航路標識
の新設、
改良改修
を行うためであります。 第七は
観光事業補助
に要する
経費
といたしまして、五千二百四十九万一千円を計上しましたが、海外からの
観光客
は年々増加の傾向にある現状にかんがみまして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨の増収をはかることも、これまた現在の日本として必要なことと思われます。 これがため本年度は従来の方法を改め、新たに
財団法人国際観光協会
を設立しまして、この
国家的事業
を強力に実施させるため、
事業費
の一部を補助するに必要な
経費
でございます。 第八は
航空保安等
の関係でありますが、本
年度要求額
は六億九千七百五十八万二千円でありまして、このうちおもなものを申し上げますと、
航空大学
に必要な
経費
として一億九千五百六十四万六千円、
東京国際空港
、及び
小型機用飛行場
の
整備
に必要な
経費
として三千百九万円、
東京国際通信局整備費
としまして五千七百十九万円を計上しましたが、これらは
航空事業発展途上
、不可欠の
乗務員
を養成し、現在、
在日米軍
が行っている
航空交通管制業務
をすみやかに
わが国
へ移管できるよう前年度に引き続き
航空交通管制要員
の訓練を行い、
国際空港
として
羽田飛行場
を
整備
し、最近の
小型機
の増加と相待って阪神及び調布の両
飛行場
を
小型機用飛行場
として
整備
し、及び
東京国際通信局
に
香港回線
の
通信施設
を改善する等、
航空行政
の円滑なる運営を期するためのものであります。 第九は
離島航路整備補助
に必要な
経費
として四千七十五万七千円を計上しましたが、これは
離島航路整備法
に基きまして、
赤字航路
の
経営者
に対する
営業費
の補助と、
事業用船舶
の
建改造
の
借入資金
について
利子補給
を実施するためであります。 第十は、
地方鉄道軌道整備補助
に必要な
経費
として二千百三十七万五千円を計上しましたが、これまた
地方鉄道軌道整備法
によりまして鉄道の新設、大
改良工事
とか、あるいは
国民生活
上欠くべからざる路線であって、しかもこれが
赤字経営
である場合、これらに対し補助を実施するためであります。 第十一は
鉄道鉱害復旧補助
に必要な
経費
として五千八百六十五万九千円を計上しました。これは戦時中の
石炭乱掘
による
鉱害復旧
を促進するため、
日本国有鉄道
に補助するためでありますが、本
事業
は、
炭鉱地帯
の
失業対策事業
としての性格をもあわせ有するものであります。 第十二は
国際地球観測年
の観測に必要な
経費
といたしまして
気象官署
に二千四百二十万三千円、
海上保安庁
において三百五十一万一千円を計上しましたが、これは
国際学術連合会議
の決議により二十五年
目ごと
に全世界一斉に地球物理学的な
精密観測
を行う、いわゆる
国際地球観測年
の観測が
昭和
三十二年八月から開始される予定でありまして、
わが国
としてもこれに協力して観測を実施する必要がありますので、その準備を行おうとするものであります。 第十三は
航海訓練所
における
練習船
の
整備費
として二億三千五十万円を計上しましたが、これは昨年度購入しました貨客船を
練習船
「
銀河丸
」として改装し、また神戸商船大学の学生に帆船による
乗船実習
を行わせるため
練習船
「
海王丸
」に
帆装工事
を施工するためであります。 第十四は
小型船舶職員養成補助
に必要な
経費
として二百七十万円を計上しましたが、これは
小型船舶職員
の養成を行う団体にその
所要経費
の一部を国が補助するものであります。 以上が当
省所管昭和
三十年度
予算
の概要でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。 続いて
昭和
三十年度
日本国有鉄道予算
の概要について御説明申上げます。 最初に
予算編成
の基本についてでありますが、
経済情勢
の影響などによりまして昨年以上の収入を上げることが不可能でありますので、避けられない
経費
の増加もありますが、徹底的に
経費
の削減に努めまして一応収支の均衡をはかったわけであります。 次に収入、
支出予算
について、損益、資本及び
工事
の各
勘定別
に御説明申し上げます。
昭和
三十年度
損益勘定予算
は前年度
補正予算
を基礎としまして編成いたしました。 まず収入について申し上げますと、
鉄道旅客輸送人員
は対前年度増三・二%、三十七億四千五百万人、
人キロ
では、八百八十億
人キロ
といたし、
旅客収入
一千二百九十二億円を見込み、また
鉄道貨物輸送トン数
は対前年度減一・二%、一億五千七百トン、トンキロでは四百二億八千八百万トンキロといたし、
貨物収入
一千九十七億円を見込んでおります。これら旅客、
貨物輸送
に要する
列車キロ
は三億四千五百万キロで対前年度二・八%の増加となっております。 以上の旅客、
貨物収入
のほか、
雑収入等
を合せまして、二千五百七十億円の収入を見込んでおります。 次に
経営費
についてみますと、
人件費
につきましては、
昭和
三十年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに
期末手当
一・二五カ月分、
奨励手当
半カ月分、
休職者給与等
を見込んでおりまして、給与の額は九百九十三億円となっております。また
物件費関係
につきましては、
動力費
の大宗であります
石炭費
として、二百八十一億円、
修繕費
として五百七十七億円、その他業務費等合せまして
経営費総額
二千百五十四億円であります。 以上の
経営費
のほかに
資本勘定
への
繰り入れ
二百九十二億円、利子百四億円、
予備費
二十億円を合せまして
損益勘定
の
支出合計
は二千五百七十億円となっております。 次に
資本勘定
について申し上げます。先ほど申し上げました
損益勘定
より受け入れます二百九十二億円、
資金運用部
よりの
借入金
百五十五億円、
鉄道債券
の発行による八十七億円、
不用施設等売却
による二億円、合計五百三十六億円を収入として計上いたし、このうち五百二十一億円を
工事勘定
に
繰り入れ
ることにいたしております。このほか出資としての一億円は
帝都高速度交通営団
の増資に伴うものであり、
借入金等償還
としての十四億円は
資金運用部
よりの
借入金
の
年賦償還額
並びに
既発行
の
鉄道債券
の一部の償還に充てられるものであります。 次に
工事勘定
について申し上げます。
昭和
三十年度
工事勘定予算
は、前年
同様資金
が限られておりますので、
工事
の重点を施設の維持及び取りかえ補充に置くことといたしまして
新規工事
は
必要最小限度
にとどめるという方針のもとに編成いしました。その内容について申し上げますと、まず新
線建設費
についてでありますが、新線の建設は前年度
工事着手線
の継続にとどめることとして二十五億円を計上いたしました。
電化設備費
につきましては、現在施行中の浜松、
姫路間電化工事
(
稲沢-米原
間は三十年七月
開通予定
)を引き続いて行うために五十億円を充て、その他
工事
と合せまして、合計七十一億円を計上いたしております。次に
車両費
でありますが、
電気機関車
、内燃動車、客車、電車及び
貨車等
の新造のほか、
客貨車
の
改造等
も含めまして、百五十三億円を見込んでおります。以上のほかに諸
設備費
二百二十四億円を計上いたしており、改良総係費を含めまして支出の合計は五百二十一億円となっております。これらに要します財源としましては、さきに
資本勘定
の御説明の際申し上げました通り、
資本勘定
より五百二十一億円を受け入れてこれに充てることといたしております。 なお以上の諸計画の実施に要します
職員数
は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与の総額といたしましては、
休職者給与
をも含めまして合計一千百九十四億円を計上いたしております。 以上御説明申し上げました
日本国有鉄道
の
予算
は、今後の
経済界
の動向にもよりますが、これに盛られました
予定収入
を上げますには、格段の努力が必要であろうと考えられますし、また
工事計画
もより一層の
サービス改善
、輸送の
近代化
のためには決して十分とは申しがたいのでありますが、
日本経済
の安定に資するため
公共企業体
としてより一層の
能率向上
をはかり、
サービス
の改善に努めますとともに、さらに経営の
合理化
を行いまして
経費
の節減に努力いたすよう
指導監督
をいたしたい所存でございます。 以上
昭和
三十年度
日本国有鉄道予算
の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。 ――
―――――――――――
稻葉修
3
○
稻葉
主査
次は
建設省所管
の
関係
について
説明
を求めます。
建設大臣竹山祐太郎
君。
竹山祐太郎
4
○
竹山国務大臣
昭和
三十
年度
本
予算
のうち、
建設省関係
の
経費
について御
説明
申し上げます。 まず
総額
について申し上げますと、
建設省
の
所管予算
といたしましては九百二十三億七千五百万円でありまして、このほかに
予算計上
の
所管
は異なっておりますが、
予算執行
の際
建設省
に移しかえまして
建設省所管
の
事業
として
実施
されます
経費
が、別途
総理府
に
北海道開発関係
のものとして八十五億一千万円、
労働省
に、
特別失業対策事業関係
といたしまして三十一億八千万円
計上
されております。 なお、このほかに
一般会計
に
計上
されますものといたしましては、
住宅金融公庫
に対する
財政出資分
として五十二億円、さらに今回
新設
されます
予定
の
日本住宅公団
に対する
財政出資分
として六十億円、計百十二億円が
計上
されておりますので、これらを総
合計
して前
年度
に比較いたしますと、二十九
年度
一千六十八億二千八百万円に対しまして三十
年度
一千百五十二億六千五百万円でありまして、
差引
八十四億三千七百万円の
増加
となっております。 なお、このほかに
一般会計予算
としては
計上
されませんが、
資金運用部資金
の
融資予定
といたしまして
住宅金融公庫
へ百三十八億円、
日本住宅公団
へ三十八億円、
特定道路整備事業特別会計
へ二十億円が決定いたしておりますので、
財政融資
においても二十九
年度
の百十五億円に対し、八十一億円の
増加
となっております。 次に個々の
事業予算
について御
説明
申し上げます。 まず
治山治水事業
については、
総額
といたしましては三百十三億六千五百万円でありまして、前
年度
三百十億五千六百万円に比較して、三億九百万円の
増加
となっておりますほか、
労働省所管
に
計上
の上移しかえて使用いたします
特別失業対策事業費
のうち、五億円を
治山治水
に充当いたすこととしておりますので、実質上の
治山治水費予算
は三百十八億六千五百万円となり、前
年度
に比して八億九百万円の
増加
ということになっております。その内訳といたしましては、
河川改修
に百五十億六千万円、
河川総合開発
に七十六億円、
砂防
に五十四億五千万円、
災害関連事業
に三十七億五千五百万円となっております。
河川改修
につきましては、本
年度
の
事業
の
実施
に当りましては、特に
工事
の
重点化
、
集中化
をはかりまして、
事業量
の確保と
経済効果
の
早期具体化
を実現いたしたいと考えておりますが、
事業内容
といたしましては、
直轄河川
として、前
年度
より
継続
の八十八
河川
及び
北海道
における
開拓事業
に関連する
特殊河川
九
河川
、計九十七
河川
について
改修
を
実施
いたしますほか、都道府県に
実施
させます
中小河川改修
といたしましては、前
年度
より
継続
の二百六十四
河川
の
事業
の
促進
に
重点
を置きまして、特に
災害防除
及び
土地改良等
の
関連事業
との調整をはかりつつ
実施
いたしたいと考えております。
砂防事業
につきましては、
治山治水事業
中特に
重点
を置き、若干の
増額計上
をいたしておりますが、本
年度
は
河川改修
、
ダム建設工事等
との
総合的計画
のもとに
事業
を
実施
し、
重要河川水系地域
における
工事
の
促進
と、
災害防除
に
重点
を置いていきたいと考えております。
河川総合開発事業費
につきましては、この
予算
によりまして、
直轄ダム
といたしまして鬼怒川ほか十三
ダム
、
補助ダム
といたしまして那賀川ほか十三
タム
、計二十八カ所の
タム
について
継続事業
を
実施
し、うち五カ所は本
年度
内に完成いたす
予定
となっております。 次に
災害関連事業
につきましては、
災害復旧事業
と合併して
所要
の
改良事業
を行い、または
災害復旧事業
に準ずる
緊急改良事業
を行うことによって、再度
災害
を未然に防止いたしたいと考えております。
災害復旧事業
につきましては、三十
年度
河川等災害復旧事業費
として
総額
二百八十七億一千万円を
計上
いたしておりますが、これにより
直轄災害
についきましては、約八〇%の
復旧
を完成し、
補助災害
につきましては、二十五
年度
災から二十七
年度
災までの
残事業
の約三分の一
程度
と、二十八
年度
災害
の
総額
の約六〇%以上、二十九
年度
災害
の
総額
の約五〇%以上の
復旧
を完成いたすように
事業
の推進をはかりたいと考えております。 なお
補助災害
につきましては、
予算額
において前
年度
より二十億八千万円
程度
の
減少
となっておりますが、
残事業量
が
減少
しておりますので
事業
の
進捗率
としては前
年度
より若干高率となっております。 次に
道路事業費
について御
説明
申し上げます。
道路事業費
は、三十
年度
百九十五億九千九百万円でありまして、二十九
年度
の百三十九億七千六百万円に対しまして、
差引
五十六億二千三百万円の
増加
となっております。なおこのほかに、
労働省所管
に
計上
されております
特別失業対策事業費
のうちから十六億三千万円を
道路事業
に充当することになっておりますので、これを加えますと二百十二億二千九百万円となります。 本
年度
は
道路整備
五カ年
計画
の第二
年度
に当っておりますので、同
計画
に基きまして
重要道路
の
整備
を
促進
し、
産業振興
の基盤を固めたいと考えております。なお、
道路事業費
の
国庫予算
の
増加
に伴いまして
地方公共団体
の
負担
が
増加
することとなりますので、現在の
地方公共団体
の
財政負担能力等
を勘案いたしまして
補助事業
における
国庫補助率
を引き上げることによりまして、その
負担
を軽減する処置をとることといたしております。またガソリン税
収入
に関する
予算額
と決算額の
関係
を明確にするため及び直轄
事業
の地方分担金について、これをガソリン税の対象として取り扱うため臨時措置法に
所要
の改正を加えるため別途御
審議
をいただいております。 なお、ガソリン税と
道路事業費
との
関係
について一言申し上げますと、三十
年度
のガソリン税
収入
見込額は、一
キロ
リットル一万一千円として二百五十九億余万円を見込んでおりまして、これに対し、以上御
説明
申上げた
道路事業費
のほかに、都市
計画
事業費
の街路分四十三億二千余万円、道路
工事
用機械の
整備費
七億七千余万円が
計上
されておるわけであります。なお、一般公共
事業
のほかに、
特定道路整備事業特別会計
におきましては、本
年度
二十億円を
資金運用部資金
より借り入れ、
事業
収入
その他の
収入
と合せて二十四億三千四百万円の資金をもって有料道路の
建設
を
促進
することといたしまして、関門国道、伊ノ浦橋、松江国道等の既定
継続事業
を直轄施行するほか、府県の
実施
いたします有料道路の
建設
に対する貸付を行うことといたしております。 次に都市
計画
事業費
について御
説明
申し上げます。都市
計画
事業費
は
総額
四十億七千六百万円を
計上
いたしておりますが、
労働省所管
の
特別失業対策事業費
より十億五千万円を都市
計画
事業
に充当いたしますので、これを合せますと五十一億二千六百万円の
予算
となり、前
年度
四十八億九千三百万円に比し、約二億三千三百万円の増となっております。 都市
計画
事業
につきましては、本
年度
は特に戦災復興
事業
を
継続
して
実施
いたしますとともに、都市
施設
、特に街路の
整備
を
重点
的に
実施
して参りたいと考えております。次に住宅対策費について御
説明
申し上げます。住宅につきましては、御
承知
の
通り昭和
三十
年度
以降おおむね十年間に
わが国
の住宅不足を解消することを目途として、三十
年度
四十二万戸の住宅を
建設
することといたしておりますが、その
内容
といたしましては、財政資金による新築及び増築等を十七万五千戸と
予定
し、その内訳を公営住宅五万戸、
住宅金融公庫
融資住宅四万五千戸、厚生年金融資住宅、入植者住宅、公務員宿舎等三万戸及び新たに設置する
日本住宅公団
による
建設
二万一尺計十四万五千戸の新築のほか、
住宅金融公庫
の融資による増築等三万戸といたしております。これに対しまして、民間自力
建設
を二十三万戸と
予定
するほか、民間自力による増築等の
促進
をはかることによって一万五千戸の
増加
を期待いたしております。以上の
計画
により、四十二万戸の住宅を
建設
するためには、今後さらに各般の総合的な施策を検討、
実施
していくことが必要となって参りますが、まず国の資金による
建設
につきましては、公営住宅、
住宅金融公庫
融資住宅、及び
新設
の
日本住宅公団
による
建設
の三方式を中心として
実施
していくこととなりますので、これらに対する
予算
措置について御
説明
申し上げます。 先づ
一般会計予算
として、
さき
に述べました公営住宅五万戸を
建設
するに必要な
経費
として、百六億四千七百万円を
計上
いたしております。
住宅金融公庫
に対しましては、
一般会計
よりの
出資
金として五十二億円を
計上
いたしましたほか、
資金運用部資金
より百三十八億円の融資を受け、計百九十億円の資金によりまして
さき
にも述べました
通り
、住宅の新築四万五千戸、増改築等三万戸、総計七万五千戸に対しまして、
所要
の資金の貸付を行うほか、住宅敷地の取得造成に対しましても、前
年度
と同様貸付を
実施
することといたしております。 次に、
新設
の
日本住宅公団
に対しましては、
一般会計
よりの
出資
六十億円、これに加えて、
資金運用部資金
より三十八億円の融資を受けるほか、
地方公共団体
の資金十六億円と一般民間資金五十二億円の導入を
予定
いたしておりまして、総計百六十六億円の資金によりまして、初
年度
二万戸の住宅を大都市及びその周辺の地域に
建設
し、これを賃貸及び分譲することといたしております。このほか、公団の業務といたしまして宅地造成の
事業
を相当大規模に
実施
することといたしまして初
年度
約百万坪の宅地造成を行うことといたしております。 次に、民間自力
建設
促進
のための措置について申し上げます。民間自力
建設
の
促進
につきましては、今後各般の施策を検討、
実施
いたして行くことといたしたいと思いますが、まず
住宅金融公庫
において新しい
事業
といたしまして、一般民間の住宅金融に対する保証を行うことといたしまして
政府出資
分より三億円をその基金に充てることといたしております。これによりまして、約五十七億円の住宅融資に対する保証を行い得ることになりますので、一般民間資金を住宅
建設
に導入するについて相当の効果があろうと期待いたしております。 また住宅
建設
に対する減税措置につきましては、当面国税としては住宅
建設
に対する登録税の減免及び住宅
建設
に対する法人税及び所得税の特別償却の割増しを行うとともに、地方税においても新築住宅に対する固定資産税の減額を行うために、
所要
の手続を進めております。 以上が
建設省関係
の
昭和
三十
年度
予算
の
概要
であります。どうぞよろしく御
審議
の上御決定をお願いいたします。 ――
―――――――――――
稻葉修
5
○
稻葉
主査
さらに続いて
郵政省所管
予算
について
説明
を求めます。
郵政
大臣。
松田竹千代
6
○松田国務大臣 それでは私から
郵政省所管
の三十
年度
予算
案とこれに付随する若干の問題につきまして御
説明
申し上げたいと存じます。 まず、
郵政
事業
特別会計予算
について申し上げますと、
予算
総額
は、歳入、歳出ともに一千百九十八億三千余万円であります。このうち
歳出予算
の内訳を申し上げますと、郵便業務の運営に必要な
経費
が三百十三億五千万円、為替貯金業務運営に必要な
経費
が百六十六億六千万円、
保険
年金業務運営に必要な
経費
が百五十八億余万円、特定郵便局の電気通信業務運営に必要な
経費
が百億円、以上の業務を運営していきますために必要といたします総係
経費
が百八十二億六千余万円、恩給
負担
金等の
経費
を他の会計に
繰り入れ
るため等の必要
経費
が二十三億三千余万円でありまして、このほかに、予測しがたい
経費
の
支出
に充てるための
予備費
を三億円
計上
いたしております。 次に、郵便局舎の
建設
費につきましては、郵便局舎を早急に
改善
いたさなければならない実情にかんがみ、三十
年度
を初
年度
とする年次
計画
を立てまして、前
年度
二十五億円であった
建設
費を、三十
年度
は三十四億余万円とし、その
改善
の進捗をはかることといたしております。 なお、上記のほかに、
収入
印紙、失業
保険
印紙等の
収入
を、それぞれの会計に
繰り入れ
る業務外の
支出
経費
が二百十七億円となっているのであります。 以上の本
年度
予算額
を前
年度
予算額
一千百五十三億円に比べますと、約四十五億五千万円の
増加
となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年
増加
する取扱い事務量を処理するために必要な定員の増等に伴う
人件費
の
増加
が四十億一千余万円、物件費等の
増加
が八億二千余万円、郵便局舎等の
建設
費の
増加
が九億円、
予備費
の
増加
が一億五千万円となり、反面、
収入
印紙等の業務外
支出
経費
の
減少
が十三億三千万円となっております。 以上、
歳出予算
につきましてその
概要
を
説明
申し上げたのでありますが、これらの結果、三十
年度
予算
の業務費におきます
人件費
率は、七六%となる次第であります。
郵政
事業
特別会計
におきます三十
年度
の
予算
定員は、二十五万二千五百五十一人でありまして、前
年度
に比べまして二千八百九十人の
増加
となりますが、この
増加
は郵便業務量の
増加
及び特定局の電話
施設
の
増加
等に伴い、その運営の万全を期するために必要といたします増員となっております。 次に、
歳入予算
の
内容
といたしましては、
郵政
固有業務
収入
、すなわち切手、ばがき等の売さばきに伴う郵便
収入
、郵便為替、振替貯金等の手数料
収入
及び物件売り払い並びに病院
収入
等の雑
収入
が四百二十五億三千万円、為替貯金、
保険
年金、電気通信の各業務の運営
経費
の財源に充てるために、他の会計から
繰り入れ
られる他会計からの受け入れ
収入
が五百三十七億円、郵便局舎等の
建設
財源に充てるために郵便貯金
特別会計
、簡易生命
保険
及び郵便年金
特別会計
の両会計から受ける設備
負担
金が八億八千万円、局舎
建設
財源に充てるための
借入金
が、
資金運用部資金
五億円、簡保資金五億円、以上のほか、
収入
印紙等の売りさばきに伴う業務外
収入
が二百十七億円となっておりまして、これ等の
収入
は、
郵政
固有業務
収入
において二十四億二千万円、他会計からの受け入れ
収入
において二十六億円、設備
負担
金三億九千万円、
借入金
五億円と、いずれも前
年度
に比し、それぞれ
増加
いたしているのでありますが、業務外の
収入
におきましては、逆に十三億六千万円の
減少
となる次第であります。 次に、郵便貯金
特別会計予算
について申し上げますと、この会計の
予算額
は、歳入、歳出ともに三百五十億円でありまして、このうち
歳入予算
は、郵便貯金の資金を
資金運用部
に預け入れることによって生ずる
利子
収入
が三百五億一千万円、雑
収入
が八千万円、歳出
経費
の財源に充てるため、
資金運用部
特別会計
から
繰り入れ
を受ける他会計からの受け入れ
収入
が四十四億一千万円となっております。これに対し
歳出予算
は、郵便貯金の預入者に対し必要とする支払い
利子
が百九十六億二千万円、郵便貯金業務運営のために必要とする
経費
の財源に充てるために、
郵政
事業
特別会計
に
繰り入れ
を要する
経費
が百五十三億八千万円となっております。 次に、簡易生命
保険
及び郵便年金
特別会計予算
の
概要
について申し上げます。まず、
歳入予算
は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その内訳は、
保険
料および掛金
収入
が八百四十一億一千余万円、簡保年金の資金を
資金運用部
に預託することによって生ずる
利子
収入
等が百二十億八千万円、雑
収入
が五千万円となっております。これに対し、
歳出予算
は三百七十億八千万円となっておりまして、その内訳は、
保険
及び年金加入者に支払いを必要とする
保険
金、還付金等の
経費
が百四十六億五千万円、
保険
年金業務運営
経費
の財源に充てるため、
郵政
事業
特別会計
に
繰り入れ
を必要とする
経費
が二百十九億一千万円、
予備費
が五億一千万円となっております。なお、この会計における歳入超過額五百九十一億七千万円は、法律の定めるところによりまして、三十一
年度
の積立金として処理することとなっている次第であります。 なお、参考までに郵便貯金および簡保年金の資金と、財政投融資資金との
関係
について申し上げますと、三十
年度
の
政府
財政投融資原資見込み額二千八百九十二億円のうちには、郵便貯金の資金が一千百億円、簡保年金資金が五百三億円、
合計
一千六百三億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。 次に、
郵政省
一般会計
の
予算
について申し上げますと、その
総額
は十四億四千百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が六千三百万円、業務費が四億九千二百余万円、
人件費
、官庁営繕費及びその他の
経費
が八億八千六百余万円となっております。これらのうち、海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、
郵政
大臣が
日本
放送協会に国際放送を
実施
させるため、同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の国際放送を本
年度
から十三方向、十三時間とするために必要な
経費
であります。 次に、
日本
電信電話公社の
予算
について申し上げますと、同公社の
予算
は、その総計におきまして、
収入
支出
とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、勘定の振替によって重復する金額八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、
収入
支出予算
の純計額は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九
年度
と比較しますと、四十九億四千余万円の
増加
となっております。 次に、主要勘定たる
損益
、
建設
両勘定の
収入
、
支出
の内訳について申し上げますと、
損益勘定
におきましては、
収入
は、電信
収入
及び電話
収入
が一千百三十一億八千余万円、受託
工事
収入
が十八億八千余万円、雑
収入
が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、
支出
は、電信電話運用費が四百十七億九千余万円、電信電話保守費が二百五十億一千余万円、管理共通費、試験研究費、職員
訓練
費等が百四億八千余万円、増接続電話の受託
工事
費が八億四千余万円、
利子
及び債券取扱い費が六十億二千余万円、減価償却費が二百四十億余万円、
予備費
が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、収支差額七十九億円は
建設
改良
及び債務
償還
に充てるため、
資本勘定
へ
繰り入れ
ることになっております。 次に、
建設
勘定においては、
建設
改良
のための財源として、電信電話債券の公募による分が七十五億円、加入者及び地元引き受けによるものが六十六億八千余万円、電話設備
負担
金等が五十七億六千余万円、
損益勘定
からの繰入金が、減価償却引当金二百四十億余万円を含めて三百十三億九千余万円、
合計
五百十三億四千余万円が
予定
されております。同じく
支出
としては、
給与
及び
事務費
が六十億余万円、
建設
改良工事
費が四百五十三億四千余万円、
合計
五百十三億四千余万円となっております。 なお、
建設
改良工事
につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、加入者開通は十八万五千、市外電話回線では、神戸-横浜間及び東京-仙台間を即時式に接続する長距離回線を含めまして、公衆線が四十万三千余
キロ
、電話局の
建設
では、
年度
内に
サービス
を開始するもの二十三局、
継続
工事
にして次
年度
以降に
サービス
を開始するもの七局、新規着工のもの十二局等を主要な
内容
とする
計画
を持ち、この中には町村合併に伴う区域合併五十二局、市外電話回線の増設三千八百
キロ
の工程が含まれております。 次に、
建設
財源の調達について一言申し上げますと、
政府
の財政投融資
計画
に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の
発行
によって七十五億円を調達し、残りは全部加入者等の引受債券による資金、減価償却引当金、
損益勘定
よりの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。 なお、
建設
勘定の
支出
面におきましても、
工事
能率の向上、新技術の導入等による設計面の
合理化
、各種物品の
計画
発注などにより、極力
経費
の効率を高め、拡充五カ年
計画
に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、
サービス
の面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。 以上、公社の
予算
について申し述べましたが、今後一段と
事業
経営
の
合理化
に努めますとともに、極力
建設
資金の調達に努力し、健全な財政的基礎の上に電信電話
事業
をますます拡充
発展
せしめ、熾烈な現在の需要にこたえていきたいと存じます。 これをもちまして私の
説明
を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御
審議
の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
稻葉修
7
○
稻葉
主査
これで
政府
の
説明
は終りました。 ――
―――――――――――
稻葉修
8
○
稻葉
主査
これより
運輸省所管
について
質疑
に入ります。御
質疑
はございませんか。――田中織之進君。
田中織之進
9
○田中(織)
分科員
今
運輸省
関係
の
予算
の大綱をちょっと目を通したのでありますが、神戸の海抜
訓練
所の
関係
で校舎の
新設
等の費用二千三百六十万円が
予算
書には出ております。この
説明
書には出ていないようでありますが、あれの構想はどういうことになりますか、運輸大臣から承わりたいと思います。それと申しますのは、商船大学と船員の再教育のための専門学校との
関係
は、従来の
関係
から見ると、関東の方でも
北海道
の方でも商船大学の別科というような形で、一つのところで運営してきていると思うのです。神戸の
関係
においても、従来はそういうように深江でやってきたと思うのです。今度はそれを
運輸省
で別個に
計画
されているようでありますが、その点のいきさつはどういうようになっておりますか、この際三木さんから伺っておきたいと思います。
三木武夫
10
○三木国務大臣 御
承知
のように神戸商船大学は、これから船員たらんとする者の新人教育をするわけであります。海技専門学院ば、すでに船員である者に対して再教育を施すわけであります。従ってその対象になる学生と申しますか、そういう人たちも、年齢の構成から見ましても、五十歳くらいの人もおる。少くても二十五、六歳の人たちであります。そして航海に対しての基礎的な知識は持っておる。しかしその後いろいろ科学技術の進歩もありましょうし、そういう点で再
訓練
あるいは再教育をする、こういうことでこれから船員になろうという人とは対象も違う。従って教育も長くやるわけじゃない、短期間の教育でありますから、まあ基礎的な教育については同じようなものでしょうが、どういう点に
重点
を置くか、どういうスピードでやるかという点、教育のやり方にも一つの相違があるということで、これは分離した方がいいというわけなので、今回二千三百六十万円の
予算
を
計上
して、芦屋に新校舎を建てて、これを分離することになっておるのでございます。
田中織之進
11
○田中(織)
分科員
運輸省
の
所管
で船員の再
訓練
のための機関を持つということについては、私あながち反対ではありません。しかし問題は、従来も
運輸省
の
所管
であった海技専門学院が、神戸商船大学と隣接したところに現在まで存在しておった。従って特に再教育のための特殊な設備等をやるということになれば、いろいろ国家の財政的な効率運用というような
関係
から見て、――神戸の商船大学に私の友人がおります。私は行ったことはございませんけれども、いろいろ伺ってみますと、商船大学として相当の設備もあり、従来の
運輸省
の
予算
関係
の金も使って相当の実験設備等を充実しておる。さらに再教育のために必要な特別の
施設
をこしらえるということであれば、あそこは国有地で、新しい建物を建てなければならぬというような
関係
になれば、それだけの校地も持っているわけなんですから、その意味で特別に今度商船大学の所在地から芦屋へ移すということについては、われわれどうも納得ができないのですが、芦屋へどうしても移さなければならぬという明確なる理由があるのでしょうか。
三木武夫
12
○三木国務大臣 それはいろいろな
施設
の点については、お互いに文部省とも連絡をとりまして、あまり
経費
のかかるような
施設
に対しては一緒に使うような処置をとりたいと考えておるのでございます。ただ教材として、海技専門学院にも今まででも持っておるものがあり、今後もまた教材を拡充していかなければならぬのであります。しかし今申したように非常に対象も違うし、教育の
内容
についてもだいぶん違ってくるという点で、これを分離してやることが、教育の
目的
を達成するのには便利だということでございます。あるいは国鉄などもああいう
事故
が頻発する現状にかんがみて、国鉄の海員などもここでやはり再教育もしたい、いろいろな点で対象が違うし、従って教育の
内容
も違うというのであるから、
施設
などの面においては、お互いにこれを使うような利便を与えながら、やはり学校は別にあった方がよろしいという考え方で
予算
を
計上
したのであります。
田中織之進
13
○田中(織)
分科員
どうも三木さんの答弁では納得ができないのです。それでは現在の二千三百六十万円で海技専門学院を分離するための
施設
はどの
程度
にできるのですか。私は二千三百六十万円でどの
程度
できるかということを伺ってから、あとでもいいわけですが、海技専門学院は現在商船大学と隣合せというか同じ地区にあるわけです。それを
施設
等は文部省との話し合いで商船大学の
施設
を使う、こういうことになるとすれば、芦屋から深江までまた通わなければならぬ。対象が違うのですから、校舎とかそういうようなものは現在のものを、専門学院のものと大学のものとを別個に使うというようなことも、私は現地へは行っておりませんけれども、これは可能だと思う。そういう点から見て、二千三百六十万円で今大臣が言われるような船員の再
訓練
のための一
通り
の設備が果して整うかどうか。聞けばまだ新しく土地も求めなければならぬということでありますが、二千三百六十万円で海技専門学院を分離して、土地の
購入
費が幾らで、校舎の
建設
費が幾らで、どの
程度
の教材の設備ができるか、その点を一つ明確にしていただきたい。
三木武夫
14
○三木国務大臣 この
経費
では十分でないと思います。海員の再教育、ことに海運界は国際的な競争も激しいのですから、優秀な船員を
養成
していかなければならぬ、そういう点でこの海技専門学院の
内容
は将来に向って充実していかなければならぬ。今
年度
予算
というものは、御指摘のように十分な
予算
でありません。従って将来にわたってこれは充実していく課題が残されておるわけでございますが、二千三百六十万円の
内容
については
政府委員
から申し上げます。
河野金昇
15
○
河野
(金)
政府委員
海技専門学院を芦屋に
新設
するようにとっておられるようですが、実は芦屋には、現在すでに学生の寄宿舎、先生の寄宿舎、校舎の一部もあるわけです。商船大学もだんだん生徒がふえてきたり何かして、商船大学の中での一緒の教育もだんだんむずかしくなっていく。だからどうしても校舎を増設しなければ――
新設
ではないのです。増設をしなければならぬ段階になってきたのであります。だから、
政府
の立場から見れば、やはり私たちは、船員の再教育なんというものは、教室の中で原理原則を学びあるいは実験をするだけじゃなしに、精神方面も必要であると思う。船員の再
訓練
なんかには、やはり起きてから寝るまでの教育が必要である。どうせ今日すでに芦屋に、そういう先生も生徒も住むところの寄宿舎もあり、一部の校舎もありまして、ここにわずか四百坪くらいの土地を確保すれば増設ができるのでありますから、ここへ増設して一かたまりになった方が教育の
目的
を達せられる。先生は講義に行く場合移動しなければなりませんけれども、生徒の立場からいえば、むしろこの方が便利であります。同時に、一部の実験の機関等は、両校の話し合いによって当分の間は共有といいますか、共同に
施設
をしていくのでありますが、やはり船員の再教育という特殊の
目的
からいうと、別のところに一かたまりになってやった方が
目的
を達するには便利である。そこで、今年の
予算
で二千三百六十万円の要求をしたのであります。この内訳は、校舎に二千五十九万円、車庫等に四十九万円、書庫に百二十万円、用地に百三十万円と、そういうふうにして、最小限度この再教育の
目的
を達せられるのであります。
田中織之進
16
○田中(織)
分科員
三木運輸大臣が言われるように、
日本
の海運の世界的な
発展
のために、船員の教育機関を充実するということには私も賛成であります。しかしそれはむしろこれから商船大学に学んでくる若い人たちに多くのものを期待しなければならぬことになるわけです。海技専門学院は、今大臣もお答えになっているように、一応の経験を持っておる人たちを新しい教材その他に基いて再
訓練
をするのだということでありますれば、私は、新しい、全く白紙の青年をりっぱな船員として
養成
するところの商船大学の教材が、そのまま使えないはずはないと思う。再
訓練
をする、再教育をするための特殊な教材というものは、どこにその特殊性があるかということは、私、実はいささか理解に苦しむのであります。それと同時に、今
河野
政務次官から
内容
についての
説明
があったわけでありますが、校舎に二千五十九万円を使うという。精神的な
関係
で先生と生徒が起居をともにするという方がいいんだと言うのでありますけれども、この
予算
の
内容
から見れば、ただ校舎を増設するだけの
関係
である、ということであれば、私は、教材その他いろいろな機械設備だとか、そういうようなものがあるところと離れたところに校舎をこしらえるということは、今言うところの、新しい機械設備なりそういうような教材に基いて再
訓練
をするという趣旨から見れば、むしろ逆行するのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがなんでしょうか。私は、そういう意味から見れば、教育という大きな立場から考えれば、これは文部省の
所管
で一元的にやるということも、一つの考え方だと思うのでありますけれども、そういう体制が整えばさらに高い見地から考えて、商船大学の
所管
をむしろ
運輸省
に置いてもいいと思う。再教育の機関である海技専門学院たけ
運輸省
へ置いて、白紙の青年から船員を教育し
訓練
するところのものは文部省だというように分れていることがむしろ不自然だ。その点から見れば商船大学を
運輸省
へ移すことも、さらに大きな立場から見て私はいいと思う。私は何も、商船大学は文部省の
所管
であるから、文部省の
所管
に一元化すべきであるというような、ただ単に大学の当事者や文部省の役人が考えるような立場から質問しておるのではないのであります。その点から見て、どうも今度の芦屋へ海抜専門学院の校舎を分離するということについては――今
予算
の
内容
の
説明
を聞いても校舎を建てるだけのことであります。それは教育の面で必要な精神的な面に
重点
を置いているというだけでは、やはり国民の税金なんですから……。ことにあなたたちがここへ出された
予算
の
説明
に、もっと小さい金額の
小型船舶職員養成補助
に必要な
経費
としての二百七十万円、こういうものを一番最後に出しております。
海上保安庁
の
関係
でも三百五十一万一千円が出ている。ところが問題になっている
関係
のこの二千三百六十万円という海技専門学院の
経費
が、
予算
書にちゃんと出ているのに、この
運輸省
の
予算
の大綱の中にどうして載せなかったか。何かこれをこの
分科会
へ出す
説明
書の中から落していることについて特別の理由があるのですか、あわせてお尋ねしたい。
河野金昇
17
○
河野
(金)
政府委員
何もそういうような意図はありません。これは隠そうとしたって隠せるものでないのです。運輸委員会でも何回もやっているし、文教委員会でも何回となく繰り返されていることでありまして、そんなことを意識的に隠そうなんていうけちな考えは毛頭持っておりません。これは大綱でありますから、
運輸省
の中の各
所管
のおもなものをあげておるだけであります。それはそういう特殊の観点からすれば、この大綱の中に落ちているものがたくさんあるだろうと思いますが、それは決して意識的に落しているのではなしに、やはり問題となっている大きなものをここに列記したわけでありまして、海技専門学院のようなものは、私たちの方としてはこれが問題になるのはむしろおかしいと実は思っているくらいであります。これはいろいろ商船大学の設立の経過等から考えてみますれば、そういう意味はありますけれども、この
予算
面から見ましてわれわれはちっとも特殊の考え方は持っておりません。同時に再教育の面から見まして、じゃ小学校と中学校を一緒のところに置いて教育することも一つの方法かもしれません。けれどもやはりあれも分離したのでありまして、この再教育という、年齢の違った、おとなと子供と同じところで同じようなことをやることが、ほんとうに教育上いいかどうかということも考えてみまして、やはり商船大学も将来ますます大きくなってくるであろうし、この海技専門学院の方も、今まではむしろ教育機関としておろそかになっておった面も、反省すればあると思いますが、先般のような繰り返される
災害
等から考えてみましても、どうしても
計画
的に再教育をしなければなりませんから、それにはいかにも大学の付属機関のようなところで、大学の片手間のような格好でやる教育では、
目的
を達するのに不十分であろう、こう考えまして、今度こういうような
予算
の要求をしたわけであります。 それから学校の
建設
のようなことは
建設省
の
関係
に入っているそうでありますから、その
予算
の取扱いのことは会計課長からちょっと補充
説明
させたいと思います。
田中織之進
18
○田中(織)
分科員
いや、それはいいです。 どうもその点は、ことに用地の点では、
予算
の
内容
とすればきわめてわずかで四百坪ということでありますが、どうもわれわれのところに入っている情報からみると、用地の買収が先になって立てられた
計画
のようなにおいもするのでありますが、その点はいずれまた別の機会もあろうかと思うので、これはできれば総括質問のときに、こういうような形で国民の税金が使われることに対して総理の所見も伺いたいと私考えておるわけであります。そこであとこの点について二点ばかり大臣に確認をしておきたい点がございますが、今度校舎を建てるといたしますと、その
施設
、教材その他を現在の商船大学と共同に使うという考え方、これは今後とも貫いていかれる考えであるかどうか。将来校舎ができると、その次の次
年度
の
計画
として、専門学院は専門学院としてそういう必要な教材とかいろいろの
施設
を芦屋に今後作られていく考え方であるか、それとも現在せっかく共同でできている
施設
については、多少距離が隔たって不便でありますけれども、両方で使っていくという考え方であるかどうか、この点が一点。 それからもう一点は現在の商船大学にはそういう教材としてのいろいろな設備の相当充実したものがあるように聞いておりますが、それは終戦後ちょうど商船大学の別科のような形で、付属設備が行われてきた
関係
から、実際はやはり
運輸省
の方の金も使って、共同でできた設備が私はあると聞いております。そういう場合には、将来別個に何年間かの
計画
で芦屋にそういう設備を今後作っていくということになれば、もう商船大学の方にすなわち文部省の方に、共同でこしらえたものもそのままやってしまうことになるのか、それともそれは共同で作ったのであるから、使った金は商船大学の方から
運輸省
に返す、こういうような形に今後の問題として残る、おそれがあると思うのでありますが、その点から見て、今の第一の点である校舎を今年建てることになれば、設備は今年はどうしたって共同で使っていかなければならぬことになるわけでありますが、将来の
計画
としてどういうことになるのか。もしそういう設備を芦屋に作っていくことになるとすれば、共同設備としてこしらえた従来の費用の係、そういう
負担
の問題が商船大学と海技専門学院との間で今後どういうようになっていくのか、その点をあわせてお尋ねをいたしたします。
三木武夫
19
○三木国務大臣 これは手続がどういうふうになるか、いろいろあろうと思いますが、私の考えは、両方が話をして、現地の海技専門学院と商船大学との話し合い、こういうことで必要がないという
施設
は芦屋へ持っていってもいい。しかし現に商船大学の方で必要だという
施設
、しかも海技専門学院でもその
施設
が必要だというものは、これはお互いに共同して使ったらいい。対象が違うだけで教育
目的
は同じですから、あまりセクショナリズムでものを考えない方がいい、そういうことで将来の帰属等については文部省と
運輸省
との間で話し合いをして、そういう問題は解決していく。とにかく
目的
は、お互いに優秀な船員を
養成
する機関でありますから、それを文部省だから、
運輸省
だからといって、なわ張り的にものを考えたくない。それは円満に話し合いで解決したい、こう考えます。
田中織之進
20
○田中(織)
分科員
その点についての質問はその
程度
にいたします。 この間紫雲丸の遭難事件があったときに、同僚の赤松君から運輸大臣に質問をいたしました近海航路のことですが、
旅客
船等に対する無電設備とレーダーの設備の
関係
でございますが、あれは非常に古い法律だそうでありまして、法律の名前はちょっと今忘れましたが、沿岸から何海里以内を航行ずる船舶にはそういう設備をすることを免除されておる。たまたま紫雲丸についてはそういう法律の除外例はあるわけであるけれども、
運輸省
の
関係
でレーダーの設備も無電の設備もつけておったということでありますが、その他私の郷里の和歌山から運輸大臣の郷里の徳島へ行く航路等の船にも、この点は今の法律の建前からいけばそういうものは義務づけられない、しかしこれは
旅客
の生命に関する問題でありますから、私は法律を改正して、やはりレーダーと無電設備というものは当然義務づけるべきであると考えるのでありますが、大臣は、それは十分検討した上で必要があれば法律改正をやろうということでありますが、紫雲丸のような事件、これもはたしてそのレーダーが効能を発揮していたかどうかというところにも問題があるようでありますけれども、これはたまたま
運輸省
の方でつけていたけれども、それ以外に関西汽船の
関係
であるとか内海
関係
の航路であるとか、九州方面でも、あるいは新潟から佐渡へ渡る船の場合でも、あるいは青函連絡の間においても、いわゆる
運輸省
の連絡船以外に相当の人が乗って行き来する船に対しては、やはりこういう
事故
を繰り返さないという意味においても、レーダーと無電設備は設置をする義務づける必要がある、かように考えるのでありますが、紫雲丸事件以来大臣は考究された結果、本国会にその法律改正案を出す結論に到達したかどうか、この機会に承わっておきたいと思います。
三木武夫
21
○三木国務大臣 これはやはり大きな問題の一つであります。なぜかというと、国際的な航海安全条約などにも、近海の船にはそういう無電設備あるいはレーダーなんかの設備を義務づけてはいないわけであります。それはなぜかというと、やはり相当に
経費
がかさんでくる点で、国際的にもそういふうになっておるのでありまして、これは簡単な、あまり
経費
をとらないようなことであればすぐにでも――その安全度がそれによって高まることは事実でありますから、やることが適当でしょうが、いろいろ非常な
経費
がかさむので、私企業に対してそういう
経費
の
負担
をただ法律改正だけで命令するということもいろいろ考えなければならぬ点がございますために、そういうふうになっていくことは好ましいとは思いますが、今直ちに法律改正をして、私企業の者に対して全部そういう設備を強要しようという結論には達しておりません。検討はいたしますけれども、今直ちにそういうことをしようとは考えていない。これは
経費
の点を
政府
が保証してやれば別ですが、そういうことも今日の財政状態でなかなか困難がございますし、だから直ちに法律改正をしようという結論には達していないというお答えをするよりほかにないかと思います。
田中織之進
22
○田中(織)
分科員
相当の
経費
がかかることは私も伺っておりますけれども、もしそれが会社で
負担
できないということであれば、私は国庫で半分なりめんどう見てやるということでも――やはりそういう船で交通する国民の生命に関する問題なんですから……。一番難点は、船に特に無電の
関係
の設備をすることは、あながちそう大きな金もかかるもんじゃない。むしろ陸上の受信設備というものが、なかなか金がかかる。しかしこれは私はそういう
関係
の船会社が地区別に共同で設備することによって、幾らでも、とにかく金はあまりかからぬ方法で利用できる道があると思うのです。金がかかるからそれを私企業に強請するわけにはいかぬという理窟は、三木さんそれは答弁にならぬです。金はかかろうが何しようが、国民の生命を守るためには、当然やらなければならぬ。現在の法律はかなり古く制定されたもので、その後の事情の変化というものを全然考えておらない。金がかかるからそういうものを民間の会社にそれだけの
負担
をさせるわけにいかぬ、それは国民の人命を軽んずるものだ。たまたま国鉄がとうとい人命何百というものを失ったからということで、私はあなたを責めるんではないのですけれども、そういう金が非常にかかるからというような形で、これを義務づけるというようなことをやらせないということは、これは国民が納得しないと思う。もし必要があれば、それこそ何よりもアメリカの雇い兵のような防衛庁に使う金を、三木さん、勇敢にそういうために、国民の人命を守るために、設備においてもどんどん金を出してやっても国民は決して反対しない。この意味でこれはぜも取り上げていただかなければならぬ。かりに無電設備の点は相当の金がかかるとしても、レーダーの点については私はどの
程度
の金がかかるかという実情はよく存じませんけれども、聞くところによると、レーダー設備は
旅客
等の
関係
からもありますけれども、漁船にすらつけておる実情は見ておる。そういう点から見れば
旅客
を運ぶような船につけるレーダーと、漁船につけるレーダーとは規模も違うのだと思いますけれども、この点だけは少くとも法律改正をやらなくとも行政処置で幾らでもできる問題であると思います。重ねて大臣に所見を伺いたい。
三木武夫
23
○三木国務大臣 人命を預かっておる船船、これは
事故
防止ということは第一番に考えなければならぬ点であります。しかし
日本
の現状が、こういう場合、ああいう場合というものを考えて理想的ないろいろの
施設
をすれば、これに越したことはないのですが、与えられた条件のもとで、どうして
事故
を防止していくかという問題、現実の問題としてはそうしなければならぬ面がある。国際的に見ましても、近海航路にはそういうことを義務づけていないということであります。それでも世界各国、義務づけられてなくてもやっておるところもあるでしょう。しかし義務づけてはない。もっともこれは四年ごとに
会議
を開くようでありますから、いろいろその後の科学技術の進歩で、こういうふうな国際的な条約なども変っていくのでしょう。
日本
の場合でも考えなければならぬ課題であります。しかしこれはいろいろな場合、どの方面でも交通機関はそうだと思うのですが、こういうふうにすればもっとも理想的だということが、一時にできない悩みを
日本
は持っておる。そういう点でこれは方向としては今御指摘の
通り
、そういうふうに
日本
の近海航路といえども近代的な、いろいろ科学的な
施設
をするという方向は賛成でございます。それをどういう段階でやっていくかということになりますと、これはやはりいろいろな諸条件がそこに伴ってくるわけでございますために、これは今田中さん御指摘のように、今直ちに行政処置のようなことをやれと言われても、御意見としてはそれを傾聴いたしますけれども、それをやりましょうというお答えを今すぐすることは困難であります。考え方としてはできる限り、近代科学技術の許す範囲内で、人命に対してその安全を確保するような
施設
を拡充していけという御指摘は全くその
通り
だと思います。それをどういう段階でやっていくかということについては、これはやはりいろいろな諸条件とにらみ合せて、そういう方向に進めていくということ以外に、すぐここで言い切るようなお答えはむずかしい。こう思っております。
田中織之進
24
○田中(織)
分科員
次に伺いたいのは国際観光
事業
の奨励ということであります。この方面から
外貨
を獲得するということもあり、これは今の
日本
の現状として、かなり重要視しなければならぬと私は思っております。そのために今度新たに
財団法人国際観光協会
に五千二百四十九万一千円の
事業費
の
補助
をやることになっておる。どうも大臣も御
承知
のように、
運輸省
にはこういう観光協会だとかいろいろな
関係
の外郭
団体
というものがあまり多くあり過ぎる。これがとかく国鉄の運営あるいは
運輸省
全体の
事業
の遂行上問題になっておる。それで国際観光
事業
を積極的に推進するということには、私は反対ではありませんけれども、そのためにまた新たに
財団法人国際観光協会
というものを設立されるのだろうと思います。そして大枚五千二百五十万円に近い金を
補助
するということは、そうでなくてさえ、交通公社の問題にいたしましても、弘済会の問題にいたしましても、国鉄あるいは
運輸省
の外郭
団体
がとかく全国民から指弾されているときに、これは非常に私はまずいことだと思う。この国際観光
事業
をやることは、現在ある観光協会の
関係
においても私はできると思うのです。新たにまた国際観光協会という、国際のついたものをこしらえるということになるんだろうと思うのでありますが、そういうことは私は
運輸省
のためにも取らないところだと思うのであります。この点に対する運輸大臣の所見を伺いたい。
三木武夫
25
○三木国務大臣 観光
事業
というものは、近代の国家で非常に
重点
的に取り上げられておるわけです。アメリカの例を取っても、アイゼンハワーなども、観光
事業
というものを特に行政の重要な施策の一つにしている。これは単に貿易外の
収入
を得るというばかりでなしに、観光
事業
は、一つの平和に通ずるものである。各国民の文化的交流あるいは交通を通じて、お互いに他国民が理解を深めることは、これは最も手近かな平和運動の一つである。こういうことで、観光
事業
が近代国家のどこの国でも非常に大きく取り扱われておる。
日本
の場合は、観光
事業
というものが、敗戦後いろいろな急ぐことがあったわけでございますから、こういう自に見えない仕事に対しての理解が必ずしも深くないのです。しかしこれは非常に大きな各国の課題になってきておる。観光
事業
というものは、どこの国を見ても、これを民間の資金でやっているところはない。
政府
は貿易を奨励するためには、いろんな輸出に対する奨励の施策を取るわけです。観光
事業
も結果的に見れば
外貨
を獲得するわけでありますから、貿易と変らないわけであります。その上、プラス文化の交流というような、貿易では果し得ないような面もある。だから今
年度
の
予算
においても、もっと私は
補助金
を取りたいと思う。非常に少い。そういうことでありますけれども、全体としての
補助金
の金額を減らそうという財政上の理由から、今
年度
の
予算
は私自身としては不満足であったけれども、こういう点で承諾したわけであります。従ってこれからは観光
事業
に力を入れていきたい。そういう意味で、今までいろいろ観光
事業
に対して
関係
をしておった
団体
を統合して、そうして観光
事業
に関連をする海外宣伝等が主となるのでありますが、こういうものはいろいろな機関が分れてやるより、やはり強力な一つの
団体
があって、それが観光
事業
に対する海外の宣伝をやった方がより効果がある、こういうことで今回
財団法人国際観光協会
を設立したのであります。
目的
を達するにはそういう方がいい、いろいろばらばらにやるよりも、一元的にやった方がいいということで、そういう協会を設立したのであります。
運輸省
の外廓
団体
には、これは私は整理したいと思っておるのですが、現在
補助金
を与えておるような外廓
団体
というものは、
運輸省
にもそうたくさんないのであります。あとで御
説明
をしてもよろしいのでございますが、最も大きな
団体
の一つであります。こういうことで観光
事業
の
補助
に対しては、田中委員も御理解を持っていただき、これはますます今後力を入れていくべき問題の一つである、こう考えるのでございます。
田中織之進
26
○田中(織)
分科員
私も観光
事業
の推進ということについては、先ほど申し上げたように賛成なんです。しかし、ともすれば
運輸省
の外廓
団体
がいろいろな意味で、国鉄との結びつきその他の
関係
から見て、国民から指弾されている。そういうところに新たにまた国際観光
事業
で五千万円からの
補助金
をもらった
団体
ができて、どうせこの
団体
にはまた
運輸省
のもと役人をした諸君が入るに違いない。そういうことをやることは、国鉄に対する国民の疑惑というものを一掃しなければならぬ、国鉄一家とか、あまりかんばしくない言葉がこのごろはやっていることを、何とかして国民の前にすっきりと解明しなければならぬ、この期待を持たれている三木運輸大臣として、こういう
団体
を新たに作らせてそこに多額の
補助金
を出すというやり方は、私は少くとも賛成はできない。観光
事業
に対して力を入れるということは、こういう
団体
を新たにこしらえて
補助金
をやらなくても、やはり国の
事業
としてでも、もっと端的にやる方法は幾らもある。それは特に一つ考えていただきたい。 次に、
海上保安庁関係
の担当者がお見えであれば、
航路標識整備費
の二億七千八百二十四万一千円のいわゆる
航路標識
の――
改良改修
の面は別として、
新設
についての大まかな
計画
地点でもおわかりならば伺いたい。
島居辰次郎
27
○島居
政府委員
大型の沿岸標識といたしましては三つくらいありますが、その一つは伊島、それから襖鼻、白島埼、この三つです。次に小型の沿岸標識といたしましては十六ございまして、その次に港湾の標識としては十三カ所、障害標識といたしましては、重要な港湾の出入口、それから内海の主要機帆船航路の危険な障害を標示するために特に要望の強いところに四基を
整備
する
予定
にしております。もう一つは、よく霧の問題で衝突なんかあるのでありますが、霧信号を
北海道
の広尾というところに一カ所設置する。それから電波標識でありますが、これはいわゆる近代的なものでありまして、これを三つばかり置く
予定
にしております。以上であります。
田中織之進
28
○田中(織)
分科員
たしか神戸の管区の方で
計画
されていたのですが、内海の
関係
になるのですけれども、紀伊水道の友ケ島への無線燈台の
計画
は、本
年度
は具体的にならなかったのでしょうか。
島居辰次郎
29
○島居
政府委員
一応友ケ島のは見送ることになりました。
田中織之進
30
○田中(織)
分科員
あそこは内海の入口になるわけでございますが、御
承知
のように、台風が本土に入ってくるときには必ず
通り
ますので、第五管区の方で
計画
されておるような設備が、あそこにできるということになれば、あの方面を航行する船舶にラジオの受信機
程度
の設備がそれぞれ備えつけてあれば、自分の所在それから進路というようなことについて十分明確にできるように伺っておるので、本
年度
の
予算
に具体化せられなかったことは非常に残念でありますけれども、これは一つお考え置きをお願いたします。
稻葉修
31
○
稻葉
主査
それでは午後一時半まで休憩いたします。 午後零時四十三分休憩 ――――◇――――― 午後一時五十二分
開議
稻葉修
32
○
稻葉
主査
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前中に引き続き、
昭和
三十
年度
一般会計
、同
特別会計
、同
政府関係機関
各
予算
中
運輸省所管
について
質疑
を続行いたします。田中織之進君。
田中織之進
33
○田中(織)
分科員
国際航空
事業
の
補助
に関する
質疑
に入る前に、午前中お伺いしました国際観光協会の
関係
で、これはもう設立されているように聞いているのですけれども、理事長その他の役員はどなたになっておりますか。
三木武夫
34
○三木国務大臣 六月一日に発足しまして、会長には前東京銀行頭取の浜口雄彦氏が就任をいたしました。
田中織之進
35
○田中(織)
分科員
会長は浜口さんだそうでありますが、実質上の仕事をやる理事長というふ事務局長というか、常務理事というのはどなたですか。
三木武夫
36
○三木国務大臣 観光
部長
がお答えいたします。
間島大治郎
37
○間島
説明
員 常務理事は一人ございまして、これは横田巌と申します。二、三年前まで
日本
交通公社の副会長をされた方でございまして、多年国際観光
事業
一本で通された人であります。
田中織之進
38
○田中(織)
分科員
この協会の運営の問題については、午前中も希望を申し述べておきましたけれども、従来
運輸省
関係
の外郭
団体
がとかく国民から疑惑を持たれておるような実情にかんがみて、十分本来の国際観光
事業
の推進という面を推進をせられるように、監督官庁の立場における運輸大臣の善処を希望しておきます。 次に国際航空
事業
の伸張のために、今度日航に三億五千万円の
補助金
を出すようになっておりますが、これは
補助金
として一括して
日本
航空へ渡されるものでありますか。それぞれ国際航空
事業
の、たとえばたしか本
年度
において欧州航路を開始されると思いますが、そういうような欧州航路の開設に伴う
事業費
に対する
補助
、こういうような形になるのでしょうか。この三億五千万円がどういう
内容
で
支出
されるか、この点について伺っておきたいと思います。
三木武夫
39
○三木国務大臣 欧州航路という話ですが、欧州航路はまだ
計画
はありません。近い将来東南アジア、ビルマ、タイですね、一番先はバンコック、ラングーン、こういう航路を延ばしたいと考えております。これも今生度すぐというような
計画
ではなくて、来
年度
の問題になると思います。欧州航路という
計画
はありません。三億五千五百万円の
補助
が
計上
されておるわけですが、その
補助金
は外人の
乗務員
と
日本
乗務員
の給料が非常にこれは差があるわけです。この差額、乗員の
訓練
費の償却、それからもう一つは国際線用
航空機購入費
のための
借入金
の
利子
が、国際水準は年五分でありますが、その差額、これが三億五千五百万円の
補助金
の
補助
の対象となるものであります。
田中織之進
40
○田中(織)
分科員
そこで
補助
の対象の第一にあげられている外人
乗務員
と
日本
人の
乗務員
との
給与
差額に対する
補助
、これは占領中は航空
事業
というものに対する軍事的な向うの統制と申しますか、そういう
関係
から外人
乗務員
というものを雇わなければならぬという事情は、これは理解できないではないのでありますが、最近は国内航路は
日本
人の
乗務員
に切りかえられていると
承知
いたしておりますが、特に外国航路ではどうしても外人
乗務員
でなければいけないというようにこれは義務づけられているものなんでしょうか。それとももしそういうように外人
乗務員
でなければ国際航路の飛行機を操縦することができないということが、何らかたとえば日米安全保障条約だとかそういうような
関係
から、アメリカとの条約によって規制されておるのか。もし何らか条約によるような根拠がありますならお示しを願いたい。
三木武夫
41
○三木国務大臣 それは何も
日本
の航空会社がアメリカ人の
乗務員
を雇わなければならぬという義務づけたものはないのです。実際上の必要ですね。
日本
の民間航空というものは歴史がついここ二、三年の歴史ですから、非常に立ちおくれておるわけなんです。これを次第に
日本
の
乗務員
にかえていくわけであります。立ちおくれたから今すぐ
日本
人の
乗務員
でやるといったってそれはできない、事実上の必要に基くものでおる、こう御理解を願いたいと思います。
田中織之進
42
○田中(織)
分科員
日本
の民間航空の歴史の浅いことは私も
承知
いたしておりますが、一般国民の立場から見れば、そういう
日本
の航空
事業
、航空権といいますか、そういうものが何かまだ完全に自主性を持っておらないというようなところから、勢い相当多額の月給、サラリーを払って雇わなければならぬような状況にある、少くともそういう感じを持っておると思う。私はその意味で大臣にその点を伺ったのでありますが、そういう点から見て、
日本
人の
乗務員
がことに長距離にわたる外国航路の操縦、運航になれるように、この点は特に力を入れていただきたいと思う。そうして国民は、航空に関する限りにおいて、
日本
側が何か外国から圧迫されているような感じを持つのを払拭していただきたい。それで、先ほど私が三十
年度
に欧州航路を開始するのかということを伺ったのはほかでもないのですが、一昨年ビルマへ行ったときにも、ビルマの方の
政府
関係
といいますか、そういう方から実はいつ
日本
の飛行機がビルマ等へ乗り入れるかということについて、アジア社会党
会議
に出席したときでありますか、質問されて、すぐに返答ができなかったわけであります。その後こちらへ帰って参りまして、たしか日航の浦島さんですか、
郵政省
から行かれた常務にお会いしたときにも、大体三十年くらいにはいわゆる東南アジアを通じてのヨーロッパヘの航路を開始したいというように、これは一昨年でありますが、お話を伺っていたので、大体そういうように進んでおるかと実は考えておったわけであります。特に東南アジアのうちでもビルマ、インドなどとは、最近
日本
との経済的な
関係
も密接になってきている
関係
から、先方でも
日本
の飛行機の乗り入れを相当期待しているような面があるので、せめて東南アジアまででも本
年度
中に開始をしたいというような大臣の御意向のように伺ったのですが、それはもちろん
事業
主体が
日本
国民でありますけれども、そういうような運びに進んでておるのでしょうか、念のため伺っておきたいと思います。
三木武夫
43
○三木国務大臣 私は東南アジア、できればカラチ、ニューデリーくらいまで、
日本
航空路を延ばしたいという考えであります。しかしタイの場合は航空協定ができておりますが、ビルマの方は、航空協定を結ぶための
会議
を再開することを申し入れてあるけれども、まだできていないわけです。ひとまずバンコックまでは近い将来において延ばしたい。そうして賠償問題もあったりして、これからいろいろ往来が激しくなりますから、その次はビルマまで、とにかくバンコック、ラングーンという航路は、一ぺんいラングーンまでは行けないとしても、ひとまずタイまで延ばす、その次のラングーンというのは、これは来
年度
はぜひ実現をさせたい。あるいはタイなどはもっと早くできる余地もあるのですけれども、やはり国際線というものは初めのうちは赤がでる、損失が出るわけです。アメリカのようなああいう歴史の古い航空会社でも、いまだに
政府
が
補助
をしておるのです。そういう点で
日本
の場合は、やはり新しく国際航空路を開設すれば、
政府
もある
程度
補助
をしないとすぐそれでペイしない。
日本
航空に赤字があるので、タイなどはもう飛行機を
購入
する必要もなく、今の飛行機だけで延ばそうとすれば延ばせるわけですけれども、
経営
の面から来る赤字の始末ということが問題になってくるわけなのです。しかし東南アジアは将来
日本
がどうしても経済的にも密接に提携をしなければならぬ地域でありますから、これは来
年度
においてそういう
予算
的な措置も国会で御承認願って、ぜひラングーンまではやりたい、ひとまずバンコックまではできるだけ早い機会に延ばしたいという考えでございます。
田中織之進
44
○田中(織)
分科員
できるだけそういう方面に延ばしていただきたいと思います。特にビルマとの間にはまだ航空に関する協定もできていないようであります。ビルマとの問題について先般平和条約、それから賠償協定ができて、それぞれ両国がすでに批准を了しておるのでありますが、いまだに細目の協定ができないでいる。そういう
関係
から、実はこの協定
実施
の細目の協定ができないことでビルマの対日感情が最近、今までの非常ないい空気がだんだん冷却しつつあるような状態であります。私は多分月曜日になると思いますが、総括質問のときに本委員会でその点についても質問をしたいと考えておるのでありますが、向う側としては、そういう
関係
から見て経済的な
関係
が非常に密接になることを希望している面から、特にいろいろな意味で
日本
の飛行機が入ってくるということを待望しておるのは事実でありますから、一つこの点の御努力を願いたい。なお国際航空に対する
事業
補助
でありますが、
日本
航空が国内航空に関する限りは、最近は必ずしも独占的
事業
体というわけではないと思うのでありますけれども、
資本
力その他の
関係
から見れば独占的な企業であるということは、これは航空
事業
の性質からある
程度
やむを得ない点もあると存じております。私なんかも時たま日航の飛行機を利用する場合がありますけれども、いろいろ
サービス
の点でやりはどうも官僚的というか、そういう面があります。それはたとえばインドのような
日本
よりもかなり民度の低いところでも、まるっきりみすぼらしいいなかのおやじさんが、ローカル線でありますけれども、やはり飛行機に乗っておるのを、私が一昨年旅行したときにすでに見ている。
日本
は相当金の高い
関係
もあります、またインドのような広大なところの距離的な
関係
のせいもありますけれども、かなり民度の低いインドにおいてすら、零細な百姓のおやじさんでも飛行機を利用しておるような感じと、まるっきり
日本
航空の路線の利用者が違うのであります。やはりもっと将来の交通の
重点
になる航空
事業
でありますから、会社の運営についても、この
補助金
に、直接国内航路には
関係
ないわけでありますけれども、国内航路の問題等についても、
サービス
の
改善
その他については主務官庁として十分注意をしてやってもらいたい。定期航空でありますけれども、この間の選挙前ででありましたが、伊丹から東京へ来るまでに、鐘紡の製品だったと思いますが、何か絹織物を積むのに一時間半も定期便がおくれる。たまりかねて、何か米軍からでも緊急な
輸送
を頼まれたのかと聞いたら、アメリカ向けの輸出の生糸で、八時とかに横浜を出帆する船に積み込まなければならないということでしたが、やはり何十人かの人たちが、それぞれ時間を急いでいるから高い金を払って飛行機を利用するのに対して、あまりにもやり方がひどかった。私は大阪の営業所なり、そういうとこへは直接注意はしておきましたけれども、そういう面でやはり航空
事業
に国民をなじませるという見地から見て、会社側で
改善
できる面があると思う。そういう点は十分一つ努力していただきたい。 まだほかにいろいろ伺いたい点があるのでありますが、もう二点地方的な
関係
になりますけれども伺いたいと思います。一つは紀勢西線と紀勢東線の連絡の問題であります。これは大体
新線
建設
の
予定
線に入って、それぞれ牛の歩みのような
建設
が進められておるのでありますが、大体いつになればこの紀伊半島をつないでもらえるのか、その点についての見通しを一つ伺っておきたいと思います。
植田純一
45
○植田
政府委員
鉄道
の
新線
建設
につきましては、実は三十
年度
におきましても六十五億の
予算
を要求したのでありまするが、国の財政の規模の状況等によりまして、二十五億という
予算
で御
審議
を願っているようなわけであります。従いまして個々の
新線
がいつごろ完成するかという見通しも、今後の
予算
の
関係
で非常にはっきりと申し上げにくいのでありますが、ただいま御指摘になりました紀勢西線と東線との連絡、この
新線
につきましてもこの線だけでもなお今後二十数億の資金が要るというふうな状況でございます。従いまして紀勢線の完成につきましては、少くともここ数年はかかるということはやむを得ないではないか、かように考えまするが、何
年度
におきまして果して完成するか、はっきりと今のところは申し上げられません。ただここ数年はまだ要する見込みでございます。
田中織之進
46
○田中(織)
分科員
なお二十数億円の
経費
と申しますか、資金を要するので、全体で二十五億に
新線
建設
の資金をちょん切られた実情から見れば、全部もらっても、いろいろ
工事
の難易という問題もありましょうから、一ぺんにいかない点もあろうかと思いますけれども、
新線
計画
は全国各地の要望がありますから、それをあながち
重点
的にしほるわけにもいかない事情はよくわかります。
日本
の国全体の点を考えれば、ここが開通すれば、一応
日本
本土の海岸線全体に国鉄が通ずるわけです。全国各地の要望をいれてあっちも手をつける、こっちも手をつけるということもやらなければならぬ面もあるかもしれませんが、そういう点は、国鉄は一つの採算の上に立つ公共企業だという建前に立ってみれば、そういう総花的にどこもかしこも手をつけたり中途半端なやり方ではいけないと思う。そういう意味で、ある
程度
の
重点
主義はとられなければならないと思う。そういう点からみれば、この紀勢線の貫通という問題は、第一順位に置いてもらっても、決して全国のどこからも苦情は出ないと思うのであります。この点については、今後
重点
的に推進していただける政治的な配慮が得られるかどうかということを、
河野
政務次官に伺っておきたい。
河野金昇
47
○
河野
(金)
政府委員
今手をつけておりまする
新線
の二十三は、それぞれ経済的の意味なりあるいはいろいろな意味から必要だということで、一昨年
鉄道
建設
審議
会で取り上げられた問題であります。だから私たちとしては、そのいずれもがそれぞれの価値のある線でありますから、すみやかに完成したい気持は持っておりますが、監督局長が申しました
通り
に、
予算
に制約されておる。なおまたその
予算
たるや、国鉄がああいう
赤字経営
をしているにもかかわらず、
新線
建設
は国の
一般会計
とかなんとかにあらずして、国鉄が
借入金
でやらなければならない問題であります。しかしたとい
借入金
でありましても、その許可さえ受けるならば、運輸、国鉄当局としては、十分御期待に沿うようにしたいと思っております。二十五億円の金を、おそらく田中さんのおっしゃるのと同じような意味において、それぞれの
関係
者はそれぞれの理窟をつけて御主張なさることであろうと思いますから、運輸当局、国鉄当局が、田中さんの御要望に沿うて政治的の配慮をし過ぎては、かえっておしかりを受けると思いますから、近く開かれる
鉄道
建設
審議
会の小委員会の意見等をもしんしゃくして、その趣旨にのっとって田中さんの趣旨も十分生かすことができれば仕合せでありまするが、同時に、各党から出しておりまするその
審議
会の小委員の諸君の意見に従って、われわれはきめられたことをなるべく忠実にやっていきたいと考えております。
田中織之進
48
○田中(織)
分科員
政務次官から政治的に一つ紀勢線の完成について御努力を願う意思表示を求めたいと思って尋ねたのですが、やぶへびになってしまって、事務当局の紀勢線にきわめて
重点
を置いた考え方をすでに持っていただいておるのに水をさすような答弁をいただいて、私非常に不満であります。率直に申しまして、二十何線の
新線
計画
のうちで、私はやはり国全体を見渡した形で――決して私は、和歌山紀伊半島に住んでおる一住民であり、またそこから選出されて来ておる一代議士というけちな立場で申し上げているのではないのであります。
日本
全体を考えて――それは内部的な路線で急がなければならぬところも考えられますけれども、少くとも
日本
の海岸線をつなぐ点で今とぎれているのはこの地区だけだ、そういう意味でこれは希望でありますが、政務次官も引き続き私の意のあるところは十分
新線
建設
の
審議
会等の意見を勘案して御努力下さることと思うのでありますけれども、これはぜひ本
年度
というわけにも参らないと思いますが、少くとも今後、たとえば三年後あるいは五年後の
昭和
三十五年には完成するというように、やはりこうしたものについては、少くとも五年くらい先までを見通した形でやらなければならぬと思う。毎年
予算
が削られ、また
新線
の
建設
の希望も出てくるというような形で、あっちにもこっちにも手をつけるというような形であれば、いつまでたったって私は完成しないと思う。少くとも今後五年なら五年の後にこれは完成するのだ、そのためにはことしはこれだけ、来年はこれだけというように、やはり一つのそういう総合的な
計画
性は、特に
新線
建設
については立てていただきたい、これは私の希望であります。その意味で一つこの紀勢線の東西を連結することを
促進
を願いたいということを希望として申し上げておきます。 それから最後に
港湾関係
の
事業費
の
予算
の問題でありますけれども、ここにいただいておる一覧表を見ると、私の方の
関係
では和歌山港の浅橋と防波堤の問題、それから地方港湾の部類で新宮、宇久井というものは引続いて若干の
予算
がいただけるようになっておるのでありますが、これはどういうようになっているか。先ほど
海上保安庁
の長官に御質問を申し上げた友ケ島のありまする加太港、これは非常に小さい港でありますけれども、もともとここには旧軍時代には要塞のあった地帯でかなり重要な港であるのでありますが、これの改築の問題について一般
事業費
の中から――これはもちろんことしはとうてい無理だろうと思うのでありますけれども、地元の方から絶えず要望しておるわけでありますが、今後においてその点の御考慮が願えるかどうか、この点が一点。それからもう一つは、和歌山港というのは、和歌山と下津を一緒にして和歌山下津港として貿易港に指定してもらったいきさつもありまして、そのちょうど中間になるわけでありますが、黒江湾にある黒江港の問題については、昨年からだったと思うのでありますが、
運輸省
の方でこの港の
整備
についていろいろ御尽力をわずらわして相当の
事業費
も見ていただいているのでありますが、本
年度
は黒江港の問題はどういうようになっておりましょうか。きわめて小さな地方的な問題でありますけれども、御答えが願えれば仕合せであります。
黒田静夫
49
○黒田
政府委員
お尋ねのございました和歌山の港は、お説のように和歌山と黒江と申しますか、海南と下津と三港合せて一つの港湾として
運輸省
では重要港湾に指定いたしておりますが、これがそのまま開港場になっておるわけであります。従いましてこの和歌山港は
運輸省
の出先の直轄機関がございまして直轄
工事
を進めております。和歌山におきましては、非常に港勢が
発展
いたしまして四国との
関係
も盛んでございますので、ことしは在来の
施設
に接続いたしまして浅橋を延長していきたい。それから海南と下津におきましては、内部の防潮の
工事
を終了いたしましたので、外の防波堤の
工事
を
促進
いたしまして、高潮に安全なような静穏な水面を造成していくことに
重点
を置いてやっていきたいと考えております。その工費は目下検討中でございますけれども、全体的に申しまして本
年度
より一割
程度
額が減っておりますので、和歌山もおおむねその辺のところではないかと考えております。 それから地方港湾としましての新宮、宇久井、加太でございますが、新宮と宇久井は数年前から
継続
で地方港湾として修築
工事
を続行いたしております。ことしも前
年度
に引き続いて、多少
事業費
は減るかもしれませんけれども、これをできるだけ延ばしていきたいというふうに考えております。加太につきましては、戦争中ここが要塞地帯でありました
関係
で
施設
がおくれておりますが、昨年から実は多少
事業
にかかっておるのでございます。しかしながら地方港湾として新規に港を
改修
することは、大きな
港湾事業
費として新規に取り上げることが一般的に原則論としてむずかしいものでございますので、一年限りの単
年度
事業
の局部的な
改良
を、昨年加太において
実施
いたしたのでございます。本
年度
につきましては、原則といたしましては一年が目標でございますので、引き続き二年いたすかどうか目下検討中でございます。
田中織之進
50
○田中(織)
分科員
和歌山、海南、下津、特に下津の
関係
は、今日アメリカとの
関係
においても、
日本
の国内でアメリカ軍が消費する油は全部一たんここへ入っているわけであります。それから和歌山港の方は最近海外向けの貿易品の積み出し等の
関係
からも、漸次港としての体裁が整いつつあるわけであります。その意味で重要港湾として指定もしていただいて、いろいろ
施設
を願っているわけでありますが、せっかくそういうように始めていただいているものでありますから、一つ、一日も早くこれが完成するように引き続き御努力を願うことを希望しておきます。 なお造船
関係
の
外航船
舶の建造融資
利子補給
の問題について伺いたい点があるのであります。これは大蔵省との
関係
で質問をいたしたいと思いますが、大臣もまだお見えになりませんので、この点は私総括質問のときに、本委員会ですることに保留いたしまして、私の
運輸省
予算
に関する
質疑
はこれで終ります。
上林山榮吉
51
○
上林
山
分科員
われわれ与党の委員は、本委員会において発言の機会もなくて、議事を進行するために遠慮して参っておるのでございますが、
分科会
でありますので、少しばかり
質疑
を試みたいと思います。 まず第一に、重要港湾のうちで県
工事
でやらなければならぬものを
運輸省
に委託してやっておるものとして、鹿児島港あるいは熊本の本渡瀬戸港などがあるわけですが、これは従来から
所管
外といいますか、直轄へ移管せよといいますか、そういう要望が非常に強いのでありまして、また両方ともこれはそういうふうにしてもさしつかえない時期にもう来ておる、こういうように考えたのでありますが、これが障害になっているのは一体具体的にいって何があるのか。かつまた重要港湾として指定した以上は、港湾の
振興
というものを極力はかっていかなければならない責任が運輸当局にもあるかと思っているのですが、その辺の障害があればその障害を承わりたい。たとえば大蔵省当局などが、これは実質的には
予算
の
増加
にはならぬと考えておりますが、形式上
予算
の増額になるというようなことで、事務的にあるいは政策的に反対しているんではないか、もしそれそういうふうなことであるとすれば、これは私はあまりにも狭いところの考えを持った、一種のこれはセクショナリズムだ、こういうふうに考えるのです。この辺に対する率直な運輸当局の御意見を一つ承わっておきたい、こう考えます。
黒田静夫
52
○黒田
政府委員
日本
の全国に港が約二千ございます。このうち八つの港が特定重要港湾になっておりますし、六十数港が重要港湾に指定されております。この六十港
程度
の港湾の中に鹿児島が一つあるわけでございます。そこで重要港湾として
運輸省
が直轄で
工事
を進めておりまする港湾は約その半分の三十数港でございます。鹿児島の場合について御
説明
を申し上げますと、従来鹿児島の港は大正の末期から
昭和
の初めに当りまして直轄で港湾
工事
を
実施
いたしておったのですが、一応完成いたしましたので、
工事
事務所を閉鎖して、
昭和
二十七年まで参ったのでございます。
昭和
二十七年に枕崎に上陸しました猛烈な台風で鹿児島県下の港湾は非常な
災害
を受けまして、その
災害
復旧
工事
を
促進
するのに全力をあげる必要があるので、県として
工事
を引き受ける面と、
運輸省
として
工事
を引き受ける面を定めまして、鹿児島港は港湾
工事
でもある
関係
で、
運輸省
が直轄で
工事
をいたそうといたしたのでございますが、これは
災害
復旧
工事
でありますがために、法的に直轄
工事
ですることができなかったので、委託の形式をとって、委託
工事
としてその二十七年の台風の
災害
の
復旧
工事
を
実施
して参って、昨
年度
までにおおむねこれを完成して参ったのでございます。ところがだんだんと
災害
復旧
工事
が完成して参るにつれまして沖繩の航路の問題、奄美大島の返還に伴なって鹿児島港の地方的の
発展
が非常に盛んになりまして、ここに三千トン級の航洋船の接岸する岸壁
施設
を増築する必要ができたのでございまして、昨
年度
からやはり同じ委託でもってこれを新規に取り上げて
実施
をいたしておるのでございまして、本年も引き続き委託
工事
として
実施
いたす
予定
になっておるのでございます。これを直轄でいたしますと、ちょっと数字的になりますが、かりに鹿児島港でおおむね二千万円
程度
の
事業
をやるといたしますと、委託で引き受けますと、県が
事業
主体でございますので、二千万円の
事業量
に対して、国がおおむね五割の一千万円を
補助
いたし、それから地元の県が一千万円のお金を出して、二千万円の仕事をするわけでありまして、国が
補助
として出しまする五割は、これが歳出に上ってくるわけでございます。これを直轄に切りかえますと、
事業量
が二千万円になりまして、二千万円全部が歳出に上って参りまして、その半分の一千万円は地元の県が
負担
いたすような形になるのでございます。この一千万円は、別に歳入として上って参るのでございまして、歳出の面から見ますと、委託でやる場合には一千万円、直轄でやる場合には二千万円でございまして、
事業
そのものは何ら変りないのでございます。そこで私ども港湾修築を担当いたしておるものとしては、この港湾
工事
の
事業量
が非常に最近少いものでございますから、できるだけ
事業
を少い金で伸ばすのには、歳出面を一千万円にして、なおほかの港湾でも残りの一千万円に相当する
事業
をやれば、それだけ
事業
は伸びるという考えを持っておるわけでございまして、そういったようなわけで、今
年度
も引き続いて目下のところ委託で引き受けてやる
予定
になっております。
上林山榮吉
53
○
上林
山
分科員
ただいま承わったところによりましても、実質的には
経費
の増にはならない。形式上
一般会計
の歳出増になるわけでありまして、何ら国としては
負担
の点においては実質的に変りがないのであるから、重要港湾の性質にかんがみて、しかも安定性を持った、安心感を持ったやり方をする上においては、私はそういう形式にとらわれることなくして、本来の重要港湾の使命にかんがみて、大蔵当局においても、あるいは運輸当局においてもこの際早目にこれを切りかえていく、そういう複雑なやり方をしないという方向に進んでもらうことを希望いたしまして、この点はこの
程度
にいたしておきます。 さらに田中委員も触れられたようでありますが、運輸大臣から答弁もありまして、私は双方とも傾聴しておったのでありますが、すなわち観光
事業
の拡充の点であります。これはもう形式的には、単に観光であるけれども、一種の型の変った貿易である、だからこれを裏においても表においても一つ拡充していかなければならぬという意味において、私は観光協会等が堅実に
発展
することを望むものでありますが、それとあわせて考えたいことは、
政府
の機構というか
運輸省
内に観光局を設けて、対外的にも信用のある陣容をもって進んでいく時期に到来しているのだということであります。これは政務次官として御答弁下さってもけっこうであるが、大臣としてもこの際思い切った処置をすべき時期にきているのじゃないかと思うのであります。内外呼応して
整備
して、観光
事業
の
発展
をはかる意思はないのか、こういう点について何かきまった案があればこの際お示しを願いたい、こういうように考えるのであります。
河野金昇
54
○
河野
(金)
政府委員
観光
事業
の
整備拡充
をはかることについては、
上林
山委員にも非常に御協力を願っておるのでありますが、先ほどの田中委員の御質問とも関連しておりますが、今まで観光
事業
というのがいろいろ分かれておりまして、それをこの際、民間でいろいろ分散的にやっておったのを一本にして、国の方からも
補助
を出して、強力に進めるという態勢を作ったのであります。
運輸省
内の観光部を局にしようという話については、
上林
山氏の御意見として承わっておき――これは
運輸省
、国鉄を含めての機構改革の問題ともからんできております。この間の紫雲丸事件等にかんがみて、船舶の部門のごときも局にはおろか部にもならずに、課というようなところでやっておったというようなこともいろいろ指摘されておりまして、そういうようなこと等も勘案し、今後機構改革の際には当然考慮を払わなければならない一つの問題点であろうと思いますが、十分傾聴いたしておきます。
上林山榮吉
55
○
上林
山
分科員
省内のあるいは国鉄内の機構の改革は慎重にやらなければならないのでありますが、
重点
は能率を上げなければならぬということと、
日本
の国策が今どこに動いておるかという生きた事情を前提として考えていかなければ、それこそ単なる省内あるいは国鉄内のセクショナリズムを激化せしめるというだけに終るのでは、これは機構の改革にならないのであって、今申し上げた観光
事業
のごときは、これは
政府
が六カ年経済
計画
を立てて、経済の復興をはかるのでありますが、これも一段とやらなければならぬが、これをやっただけではいわゆる輸出の
振興
というものは思うようにいかぬ。これの裏づけをなしていくものは、やはり観光という一つの型の変った貿易というものを考えなければならぬ。そういう大きな観点から考えていく場合に、私は優先的にこの観光
事業
ということを取り上げなければならぬと思う。その観点からいえば、局の設置のごときは私は当然急いで研究しなければならぬ課題であろう、こういうように考えますが、ここで論争はいたしません。そういうきわめて積極的な要望を申し上げておきます。 その次にお伺いいたしたいことは、新丹那トンネルの問題でございますが、あれを私ども視察いたしまして、戦時中にやむを得ず中止したとはいえ、あのままにしておくということは、交通あるいは経済その他からいってまことに遺憾である、こういうように考えておるのでありすが、あれを貫通するについて
運輸省
で、あるいは国鉄で最近具体的に調査をされたことがあるかどうか。あるいはまたかりに国鉄がこれを使うとすれば、総
経費
は幾らかかればできるか、あるいは
運輸省
でもてあましておって永久にこれはどうにもならない、あるいは当分どうにもできない、こういうのであれば
建設省
あたりとも相談して、東京と関西地方をつなぐ、いわゆる経済、交通、文化のスピード化という点から、これは
建設省
に移管してやらせてもいいのではないか、こういうように考えるが、今までこれに投じた費用、あるいは最近調査をしたかどうか、あるいはやるとすればどれくらいの
経費
が今かかるか、この点について、もう決してかけ引きは要りませんから、一つ率直に具体的な答弁を願いたい、こう考えます。
植田純一
56
○植田
政府委員
この問題は、あるいは国鉄当局から御答弁願った方が適切かと思いますが、一応私
運輸省
の方でわかっている点について御答弁申し上げます。 ただいま御指摘の新丹那トンネルは、御
承知
の
通り
戦前新幹線、いわゆる弾丸
鉄道
建設
計画
の一環として着工いたしたのでございます。ただいま御指摘の
工事
費の
関係
を申し上げますと、全体で約三十九億くらいかかる
予定
でございます。そして今まで投じました
経費
は二億
程度
でございます。 それから未完成のこの新丹那トンネルをどうするかという問題でありますが、御
承知
の
通り
現在の東海道線はその後だんだんと
輸送力
が行き詰まって参っております現状でありまして、現在のまま推移いたしますと、東海道線、特に東京寄りの丹那を中心とした沼津、静岡付近、そういう区間の
輸送力
というものは非常に行き詰って参ります。従いまして、近い将来に線路増設もしなければならなぬという必要も起ってくるのではないか、かように考えられますので、現在の考え方としては、現在の東海道線の
輸送力
の今後の推移と申しますか、
増加
趨勢という点を考えまして、近い将来当然問題となるところの線路増設ということのために、実はこの新丹那トンネルというものは、その場合の予備的な
施設
ということを考えておるわけでありまして、これを現在の状況において直ちに他の用途に向けるといというような点につきましては、そういう今後の趨勢を考えて慎重に考慮しなければならぬ問題ではないか、かように考えておるわけであります。
上林山榮吉
57
○
上林
山
分科員
あのままにいつまでもしておくことは宝の持ち腐れになるというように考えるので、
運輸省
あるいは国鉄として線を通すなり、あるいは
自動車
専用道路にしてこれを有料道路にするとか、何か具体的な案を積極的に御研究になっておれば、われわれはそれに協力をするにやぶさかでないけれども、今のままにほうむっておくということは、目鼻が何らつかないのに、将来の交通の趨勢を見た上でという、そういう微温的な考えでは私は賛成いたしたかねるので、この際道路
改修
費をよけい持っている
建設省
に移して、そうして有料道路としてこれが開さくをするならば、あの付近の住民の便から考えてみても、十国峠を越えて熱海へ来ると二時間かかる。それがあれが貫通することによってわずかに二十分で来れる。こういう状態であり、これを大きく将来関西地方と東京地方をつなぐ経済道路、こういうような点から考えてみても、むしろ
建設省
に移した方がいいのじゃないか。ただし先ほど申し上げた
通り
、あなた方が積極的に線を敷くとか、あるいは一、二年後には研究の上でこれに着手する、
自動車
専用道路でもいい、あるいは採算が合わなければ有料道路にこれを活用してもいい、こういうふうに何か具体的な考えをお持ちにならないと、私は将来この問題は皆さんがこれを保持していこうとしても、保持できない事態がくるのじゃなかろうかと考えるのであります。どちらでやっても国家のためであり、交通あるいは経済の交流のためでありますから、単に国鉄が最初着手したのだから、これをわれわれは、目鼻がつかぬけれども、あくまで死守しなければならぬというお考えは、この際おやめになった方がいいのじゃないかと私は考えるのであります。これは局長だけの御意見ではお気の毒と思いますが、
通り
一ぺんの答弁ではなしに、もっと何か一つ具体案を持っていなければならぬ。私はこう考えるのであります。単にあの付近の小さな地域における交通、経済の問題ではなくて、私はこの大東京とあるいは関西地方、もっと大きくいえば、これは東京から西の方の本土をつなぐ一つの大きな交通道路だ、あるいは
自動車
専用道路だ、こういうように考えるのでありますが、一歩進んだお話ができれば承わりたい。
河野金昇
58
○
河野
(金)
政府委員
上林
山委員のおっしゃる
通り
に、東京と関西、中京とを結ぶ一つの大きな障害が、丹那トンネル、あるいは今お話の新丹那トンネル付近であることは、御指摘の
通り
である。最近の東海道線も、東京を中心としたところが非常に輻湊してきておりますから、近日発足する国鉄
経営
調査会等においても、これは当然議題といたしまして、至急これの利用方法を研究いたしまして、後日きょうのあなたの御指摘にこたえる日の早からんことを期しております。
上林山榮吉
59
○
上林
山
分科員
所管
の問題を離れれば、問題は財源の問題だけだろうと私は考える。財源の問題だけであれば、わずか四十億の金でありますから、二十年間も有料道路でこれを
経営
していくということになれば、私は採算がとれると思う。二十年間、あるいはそれができなければ二十五年間、この間には十分に採算がとれる。
運輸省
や国鉄でこれがやれないということになれば、ガソリン税その他で道路財源を持っている
建設省
に移した方が早くできる。財源の点は、現在の財政上では、この二つしかないと私は考える。この二つのどれを選ぶか、これは私はまじめな研究課題でなければならぬ、こういうように考えるのでありますが、その辺のことを承わっておきたいと思います。
河野金昇
60
○
河野
(金)
政府委員
これは実は私たちも真剣に国会でも論議していただきたいと思っておりますが、
建設省
等が道路を作るような場合には、ガソリン税をふやすとか何かで非常に合理的にやっていただいております。国鉄は、どちらかというと少しまま子になっているような
傾向
があるのであります。たとえば運賃を上げるということはなかなかできませんし、なかなか御承認も願えないのであります。同時に
新線
を敷くのも、
建設省
が道路の費用なんかをガソリン税で取り上げて作れるような何らかの考慮をしていただけば、国鉄としても
新線
なんかは、現在問題になっている二十三線はもちろんのこと、今御指摘の問題なんかも当然解決できる問題でありまして、一体国鉄の
新線
の
予算
というものを、現在のような
赤字経営
をしている国鉄自体の
経営
においてやらせるのか。それとも、この二十五億というものも、
赤字経営
をしている国鉄が――これは国鉄が借り入れてやるだけでありますが、こういう現在のような形においては、国鉄が
新線
を作るとか、あるいはトンネルを掘るというようなことも非常に困難かと思います。従って私どもは、今度国会の承認を得て設けられる調査会等においては、当然国鉄のあり方、国鉄の中でも特に
新線
というものに対して国がどういう扱いをしていくかということ等も諮問をして、そうして実は国会の
審議
を仰ぎたいと思っているのであります。金を出すことをちっとも考えていただかないで、運賃は上げてはいけない、それから
新線
は敷け、国の方からは
予算
は出してやらない、それでお前の方がやらなければこっちへ取り上げるぞということは、これは少し考えていただかなければならぬ。こういう根本的のあり方に対して、
鉄道
の
建設
審議
会なり、あるいは新たに設けられるこの
経営
調査会等において結論を出しまして、そうして皆さん方の御協力のもとにこういうような問題も至急解決する方向にいきたいと思っております。
上林山榮吉
61
○
上林
山
分科員
国鉄全体の
経営
ということについては、私どもも根本的にメスを加えたいと考えているのであります。また不合理な点も非常にあると思っておりますが、さらに御指摘の協力態勢ももちろん積極的にいたしたい、こういうふうに考えているのでありまして、御苦心のほどはよく察することができます。ただ私は新丹那トンネルの問題だけを摘出してここに問題にしたのでありまして、この場合は、今言うように、いずれが作っても国民めためなんだから、早い方法を選べばいいのだ。それには二つしかないのだ。今財源がないといわれるから、財源のあり方をお示ししたわけであります。
自動車
専用道路として、有料道路として
経営
すれば、財源は出てくるのであります。これを選ぶか、それとも、今ガソリン税で道路
建設
費を持っている
建設省
に移して国民の利益をはかるか、この二つなんだ。問題を限定して私は申し上げているわけで、国鉄全体の
経営
というものに対しては、積極的に協力しなければならぬ面と、もっと根本的にメスを加えて合理的な
経営
に持っていかなければならぬ両面があると私は考えております。これ以上論争はいたしませんが、最後の、有料道路にして、三十九億円の費用を入れてどれほどの年限で
償還
できるかという案をお考えになったことがあるか、その点を伺って質問を打ち切りましょう。
河野金昇
62
○
河野
(金)
政府委員
道路にするか、あそこに
鉄道
を敷くかということを根本的に検討しなければならぬと思います。金さえあれば、有料道路なり何か作れといえば作れますが、一体
輸送
の動脈である東海道線を今日のままでいいかどうかという問題であると思います。だからその問題と関連して、やはり
上林
山氏の御指摘のこの問題は検討しなければなりませんが、ただ今あなたのおっしゃるように、この問題だけに一つ限ってどうだとおっしゃっても、事務当局としてももちろん返答はできないだろうし、私たちも国鉄当局とももう少し話し合いまして、国鉄に対するところの
新線
の費用の出し方等を検討して、その見通しがつけば当然私は東海道線の
輸送力
強化として考えなければならぬことであって、永久に今のような国鉄のあり方において置かれるとするならば、これはまた別途考えなければならぬ問題で、今この一つを切り離してここで結論を出そうということは、少し御無理でなかろうかと思いますから、御意見のほどは承わってわれわれも研究をしたいと思います。
上林山榮吉
63
○
上林
山
分科員
どうも政務次官は私の言う意味がわかってくれているようでもあるが、まだ不十分だと思います。というのは国鉄全体の
経営
というものは、あなた方が一カ月や二カ月かかって御研究になったところで、これは十分な結論は出ません。それほど複雑であり、それほど
経営
の不合理的なところが多いわけであります。また国全体の財政という点から考えて、おっしゃるようにどの
程度
国がこれに協力できるか、そういう大局的な議論になりますと、もうおっしゃる
通り
です。かぶとを脱ぎます。けれども私の言うのは、そういう全体のけじめがつかなければ、相当の期間あのままほうっておいてもいいということにはならないのであって、全体というものは考えるが、ある一つを摘出して考えても解決の方法があると考えておるのです。だから今申し上げるように、線を引くのか、国鉄の
自動車
専用道路にしていくのか、どちらなんだ。そういう研究をされたことがあるのか。それにはどれだけの費用が要るのか。費用はこれだけ要るけれども、全体の
経営
が悪いから一年間はできないとか、三年間は見通しがつかぬとか何かあるはずだ。だからこのままに置かれるのであれば、一つ有料道路としてお考えになってみてはいかがですかと言うのです。私はただやれやれというのじゃなくて、財源にお困りだと思うからこういう方法でお考えになったことはないか、こういうことなんだ。今聞いておると、何も研究していないということなんだ。事務当局も研究しておりません。政務次官もまた十分事務当局の意見を聞く機会がなかったらしい返事であります。だから私は決して論争するわけじゃないですが、いずれにいたしましても、そういう具体的な御研究を最近したことがあるかということなんだ。それができるかできないかということは今おっしゃるように、全体の
計画
あるいは国全体の財政、そういう点からの優先順位というものはあろうから、私はそれは追究いたしません。これはおっしゃる
通り
です。この点を何もおっしゃらないから議論が長くなるわけでありますから、その点だけを一つお示し願っておけばけっこうです。
植田純一
64
○植田
政府委員
上林
山委員の御質問の要旨はよく了解いたしました。ただ私どもといたしましては、その前提といたしまして、先ほどちょっと言葉も不十分でありましたが、現在の
鉄道
の
輸送
量がふえていく趨勢から見まして、近い機会にどうしても
鉄道
を引かなければならない、線路を増設しなければならないような状態に陥るという前提で
鉄道
線路を増設するといたしますと、これは道路と違いまして、立地条件と申しますか、現在の
鉄道
との摩擦の
関係
もありますので、場所が限られます。従いまして新丹那トンネルの用地は、当然そういうことが予想される場合の
鉄道
線路として保留しておきたい、そういう考え方に立脚しておるわけなんです。その点につきましては、国鉄の
施設局長
が参っておりますので、さらにその点の
説明
を補足させていただいたらどうかと存じておる次第であります。考え方といたしましては、あくまで
鉄道
線路増設の必要性が早晩起ってくる、その場合、保留としておかなければ用地の確保ができないということで今考えておるわけです。その点につきましては検討いたしておるのであります。
上林山榮吉
65
○
上林
山
分科員
今承ると交通の量から考えて、東海道線の交通量を緩和するために
新線
を引くのだ、その線で研究を進めておるのであるということです。私も同じ意味から質問をしておるのでありまして、その交通を緩和するために
自動車
専用にするのが最も適当ではないか。そうする場合、国鉄がやってもよろしいが、財源の
関係
でできないというならば、今言ったように有料道路として国鉄が
経営
する。すなわち
自動車
専用道路として交通を緩和するために有料でもいいから採算が合うような
計画
をお進めになってはいかがであるか、そういう研究をいたことがあるか、こういう私の質問であります。それでは今おっしゃるように交通緩和の点から
新線
を引く予備地としてとってあるのだ、そしてそういう観点から研究を進めておるのであって、その他の問題は今考えておらないというふうに
了承
していいのでありますか。
植田純一
66
○植田
政府委員
その点は国鉄当局におきましても、いろいろ技術的にも研究しておりますので、国鉄当局からの
説明
を聞いていただきたいと考えます。
佐藤輝雄
67
○佐藤
説明
員 今の新丹那トンネルのことについてお答え申し上げます。私たちといたしましては、あのトンネルを道路に使うかどうかという研究はしておりません。ただあのトンネルが近い将来に必要になるかどうかということは考えております。私たちといたしましても、東海道の道路交通におきましても、確かに箱根の山脈にさえぎられまして、あそこがネックでありまして、
輸送
の新しいルートができたならば、国家のためにもまことに仕合せなことであるというように思っております。しかし振り返ってみまして、私たちの国鉄の東海道線の現状を見ますと、丹那トンネルは現在列車が九十一回くらい通うております。線路容量におきまして百回近いのでありますから、やがて容量一ぱいになってしまう。そうするとそれ以上東海道線には列車は入らない。現に御
承知
のように東京から参りますと、平塚までは
旅客
線と貨物線とが二つに分れております。ところが平塚でまた
旅客
と貨物とが一緒になって複線で走っておる。そこで相当窮屈であります。ことしあたりはEH型の
電気機関車
を使いまして、貨物列車の速度を上げてようやく入れておるというような状態になっております。ですから丹那トンネルの容量は、近い将来において行き詰まるということがはっきりしておる。ただこれに要する費用は、さっき申しましたように三十九億で線路の取りつけ
関係
もそう楽でないという問題がありまして、われわれといたしましては何とか早くこの機会にこれを実現したいと考えております。それからあのトンネルを道路トンネルに使うかという問題ですが、道路トンネルと
鉄道
トンネルとはちょっと違うのです。
鉄道
の線路と申しますのは、カーブ、勾配が非常にうるさくて、東海道線のごときは特甲線といたしまして、大体八百メートル以上のカーブ、八百メートル以下になりますと、九十五
キロ
以下の制限をいたします
関係
上、八百メートル以上のカーブ、勾配といたしましても、東海道線は特甲線といたしまして大体千分の十以下に考えております。そういうようなことをいたしますと、丹那のあの地帯でどこに新しいトンネルの位置を選ぶかというと、大体場所がきまってきます。
鉄道
のトンネルといたしますと、現在ある新丹那の位置がいいということがいえる。道路のトンネルはそこにいきますと――私専門じゃございませんですが、大体道路のカーブとか勾配というものは
鉄道
に比べればはるかに楽になっております。きついカーブでもきつい勾配でもとりつけます。しかしその道路隧道といたしましたときに、あの位置が果して道路のトンネルとして適当かどうかということは検討しなければならないと思います。現在国鉄といたしまして三十九億の総
工事
費のうち、二億使いますが、あと三十七億使い、約四カ年間の日子を費せば大体できるということになっております。道路隧道といたしまして場所を変えましたとき、あるいは隧道の延長をもう少し短くするといたします。そうするとあるいは三十七億でなくて三十五億でもできるかもしれぬ。ですからそういう点は検討しなければならないと思うわけです。その点は私はまだ検討いたしておりません。それともう一つは、道路の隧道といたしましたときの断面の大きさ、並びにあそこを
通り
ますととにかく七
キロ
九分でございますから、普通のトンネルでだめじゃないか。
自動車
から出ます排気ガスを機械的に換気する装置も作らなければだめだろうと思います。そういうことから道路隧道といたしましたときの断面がそれでいいかどうか、その他の設備を考えてこれを考えなければならない。それからもう一つは、そういう場合にこれは断面が変るかどうかわかりませんが、そういう場合には、現在の隧道にあれは割合に接近しておりますから、その点も考慮していろいろ工法を考えませんと、また現在の隧道に山の悪いところがございますから、偏圧がかかって、あの現在の隧道にひびでもくるというようなことになりますと、今度は東海道もとめてしまわなければならないということも起る可能性もあります。いろいろ技術的にも検討してきめるべきじゃないかこう考えております。
上林山榮吉
68
○
上林
山
分科員
技術的に検討しなければならぬことは言うを待ちませんが、あなた方の今の発表を聞くと、研究が足らない、信念のある科学的な調査をやっていない、こういうことしか私は言えないと思う。だから話を聞くとすべてが想像論なんです。これでは私は納得いきません。私の言っているのは、交通を緩和するということに
重点
を置いて考えていかなければならぬということなんです。その一点としては、線路を通すのかあるいは
自動車
専用道路にする考えはないのか。財源に行き詰まっておるとするならばこういう方法があるんじゃないか、こう申し上げておるのであって、その線に沿っての研究はまだしていない、こういうように受け取れる答弁としか思えません。国鉄が
経営
されていいのです。決して私は
建設省
に持っていけと言っているのじゃない。いわゆる
自動車
道路としての
経営
をやる考えはないか。それがないならば――
新線
として研究もまだ十分にしていないじゃないか。どうも不徹底だ。それならば同じ考えで国民のためにどっちもなるのだから、早くできる方法を選んだ方がいいのじゃないか。
運輸省
で選ぶならそれもよし、国鉄で選ぶならもちろんそれもいいが、それがどうしても研究の結果できないというなら一つ国民のためになるのだから
建設省
に移してしまえ、こう申し上げているのです。この点をはき違えないように、もっと具体的に御研究下さって、結論を近い将来にお示し願いたい。決して私どももやぶから棒にあすあさってこれをやれというわけじゃない、もう少し速度を早めて御研究になってはいかがですか、こういう趣旨の質問でございますから、これをもって終ります。
稻葉修
69
○
稻葉
主査
野田
卯一
君から
質疑
の通告がありますが、御本人がおいでになりません。ただ
内容
がわかっておりますので、便宜
主査
から
質疑
をいたします。
鉄道
の一等車を廃止するということがいわれておるが、そういう御意思がおありなのか。もしあるとすれば、廃止の理由はどういうことであるか、簡単に御答弁願います。
唐沢勲
70
○唐沢
説明
員 今国鉄で一等車が約五十両ございますが、そのうち二十四両ほどが寝台車で、昼間は普通車、夜は寝台車、これが東海道線から九州、また東北線から
北海道
というふうに走っております。それから一等の展望車が、つばめとはとについて東京大阪間を走っております。その一等車が、一つには一等の展望車が効率が非常に悪いのでございます。といいますのは、非常に乗り手が少いというような点が一つございまして、料金からいいましても、一等、二等、三等の割合は、従来過去たびたび変っておりますが、現在は三等の四倍になり、しかも税金がついておりますので、相当高くなっております。そういうような
関係
で、その値段にふさわしい
サービス
を提供していくというわけにもいきません。それからもう一つは、世界各国の情勢などを見ましても、最近等級というものは、一、二、三等といったようなものは、大てい二等級制をとっておるというような全体の世界情勢に応じていくというような点を考えまして、一等車というものを一応廃止して、二等車にし、そうして展望車については特別の展望車料金というものを設定する、それから一等の寝台はほかの寝台よりも若干はスペースも大きいし、また冷房等の装置もありまして、いい点もありますので、それにふさわしい
程度
の特別料金を作る、こういうようなことはどうであろうかということで、いろいろ研究をしてきておるのでございます。ただいま得ております結論は、すぐに一等を全廃というところまでいくほどの必要もないのじゃないか。展望車というものはやはりいろいろ利用する人もあるし、また効率も現在のところはそう悪くもないから、展望車は残しておいて、残すなら一等ということで残していいじゃないか。また寝台の方は、今申しましたような効率の点から見ても、設備の点から見ても、二等にして、二等の今の寝台料金よりも少し高い料金でどうだろうというような御意見などもありまして、これらを参酌しまして、大体一等、二等、三等というその
制度
はそのままにして、展望車は残しておこうか。一等寝台の方は二等にして、ただし若干今の寝台よりも高い料金をきめよう、そうすれば今相当込んでおります二等の寝台の客の緩和にもなりますし、また場合によりましては、不経済なその二等及び一等の二つの寝台のついておるところで一両で間に合うところは、その一両をはずして、込んでおる三等の客車もつけられるというようなこともできてくるし、また余った一等車を今二等寝台のついていない列車につけるというようなことも考えられる。結局そういったような
程度
で、一等展望車は残すが、二等寝台についてはそういったような措置を講じたらどうかという
程度
のことで、目下その成案を練っておりますが、これにつきましては、
運輸省
の方の認可ということもございますし、また相当等級制の問題にもなりますので、
関係
の方面にも御了解を得た上で
実施
したい、かように考えておる次第でございます。
稻葉修
71
○
稻葉
主査
これにて
運輸省所管
に関する
質疑
は全部終了いたしました。第四
分科会
の
運輸省所管
の
審査
はこれで終了いたします。 ――
―――――――――――
稻葉修
72
○
稻葉
主査
続いて
建設省所管
の
質疑
に入ります。
田中織之進
73
○田中(織)
分科員
分科会
の運営については、
予算
案のできるだけすみやかな成立という
関係
からわれわれ協力をして参っております。各
分科会
の様子を見て参りますと、与党側が一人も出席しておらないという
関係
で、一、二、三とも休憩になっている。この委員会は与党の両君が出ておられるわけでございますが、各
分科会
が休憩をいたしまして理事会を開いて
分科会
の運営について協議をしよう、こういう段階に進んでいるようでありますから、この委員会も定足も欠けておりますから私は休憩してもらいたい。なお委員会外で
予算
折衝が行われていることは、これは
予算
案成立のために必要なことであろうからわれわれとやく言いませんけれども、しかし
分科会
が開かれているのにその
予算
折衝の片っ方の自由党が一名も出て来ておらない。こういうような
関係
では私はやはり
分科会
自体、
予算委員会
自体の立場から見ても、このままで運営することは適当でないと思う。議事進行について休憩の動議を出しますが、
委員長
において善処してもらいたい。
稻葉修
74
○
稻葉
主査
それでは暫時休憩をいたします。 午後三時二十三分休憩 ――――◇――――― 〔休憩後は開会に至らなかった〕