○松田国務大臣 それでは私から
郵政省所管の三十
年度予算案とこれに付随する若干の問題につきまして御
説明申し上げたいと存じます。
まず、
郵政事業特別会計予算について申し上げますと、
予算総額は、歳入、歳出ともに一千百九十八億三千余万円であります。このうち
歳出予算の内訳を申し上げますと、郵便業務の運営に必要な
経費が三百十三億五千万円、為替貯金業務運営に必要な
経費が百六十六億六千万円、
保険年金業務運営に必要な
経費が百五十八億余万円、特定郵便局の電気通信業務運営に必要な
経費が百億円、以上の業務を運営していきますために必要といたします総係
経費が百八十二億六千余万円、恩給
負担金等の
経費を他の会計に
繰り入れるため等の必要
経費が二十三億三千余万円でありまして、このほかに、予測しがたい
経費の
支出に充てるための
予備費を三億円
計上いたしております。
次に、郵便局舎の
建設費につきましては、郵便局舎を早急に
改善いたさなければならない実情にかんがみ、三十
年度を初
年度とする年次
計画を立てまして、前
年度二十五億円であった
建設費を、三十
年度は三十四億余万円とし、その
改善の進捗をはかることといたしております。
なお、上記のほかに、
収入印紙、失業
保険印紙等の
収入を、それぞれの会計に
繰り入れる業務外の
支出経費が二百十七億円となっているのであります。
以上の本
年度予算額を前
年度予算額一千百五十三億円に比べますと、約四十五億五千万円の
増加となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年
増加する取扱い事務量を処理するために必要な定員の増等に伴う
人件費の
増加が四十億一千余万円、物件費等の
増加が八億二千余万円、郵便局舎等の
建設費の
増加が九億円、
予備費の
増加が一億五千万円となり、反面、
収入印紙等の業務外
支出経費の
減少が十三億三千万円となっております。
以上、
歳出予算につきましてその
概要を
説明申し上げたのでありますが、これらの結果、三十
年度予算の業務費におきます
人件費率は、七六%となる次第であります。
郵政事業特別会計におきます三十
年度の
予算定員は、二十五万二千五百五十一人でありまして、前
年度に比べまして二千八百九十人の
増加となりますが、この
増加は郵便業務量の
増加及び特定局の電話
施設の
増加等に伴い、その運営の万全を期するために必要といたします増員となっております。
次に、
歳入予算の
内容といたしましては、
郵政固有業務
収入、すなわち切手、ばがき等の売さばきに伴う郵便
収入、郵便為替、振替貯金等の手数料
収入及び物件売り払い並びに病院
収入等の雑
収入が四百二十五億三千万円、為替貯金、
保険年金、電気通信の各業務の運営
経費の財源に充てるために、他の会計から
繰り入れられる他会計からの受け入れ
収入が五百三十七億円、郵便局舎等の
建設財源に充てるために郵便貯金
特別会計、簡易生命
保険及び郵便年金
特別会計の両会計から受ける設備
負担金が八億八千万円、局舎
建設財源に充てるための
借入金が、
資金運用部資金五億円、簡保資金五億円、以上のほか、
収入印紙等の売りさばきに伴う業務外
収入が二百十七億円となっておりまして、これ等の
収入は、
郵政固有業務
収入において二十四億二千万円、他会計からの受け入れ
収入において二十六億円、設備
負担金三億九千万円、
借入金五億円と、いずれも前
年度に比し、それぞれ
増加いたしているのでありますが、業務外の
収入におきましては、逆に十三億六千万円の
減少となる次第であります。
次に、郵便貯金
特別会計予算について申し上げますと、この会計の
予算額は、歳入、歳出ともに三百五十億円でありまして、このうち
歳入予算は、郵便貯金の資金を
資金運用部に預け入れることによって生ずる
利子収入が三百五億一千万円、雑
収入が八千万円、歳出
経費の財源に充てるため、
資金運用部特別会計から
繰り入れを受ける他会計からの受け入れ
収入が四十四億一千万円となっております。これに対し
歳出予算は、郵便貯金の預入者に対し必要とする支払い
利子が百九十六億二千万円、郵便貯金業務運営のために必要とする
経費の財源に充てるために、
郵政事業特別会計に
繰り入れを要する
経費が百五十三億八千万円となっております。
次に、簡易生命
保険及び郵便年金
特別会計予算の
概要について申し上げます。まず、
歳入予算は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その内訳は、
保険料および掛金
収入が八百四十一億一千余万円、簡保年金の資金を
資金運用部に預託することによって生ずる
利子収入等が百二十億八千万円、雑
収入が五千万円となっております。これに対し、
歳出予算は三百七十億八千万円となっておりまして、その内訳は、
保険及び年金加入者に支払いを必要とする
保険金、還付金等の
経費が百四十六億五千万円、
保険年金業務運営
経費の財源に充てるため、
郵政事業特別会計に
繰り入れを必要とする
経費が二百十九億一千万円、
予備費が五億一千万円となっております。なお、この会計における歳入超過額五百九十一億七千万円は、法律の定めるところによりまして、三十一
年度の積立金として処理することとなっている次第であります。
なお、参考までに郵便貯金および簡保年金の資金と、財政投融資資金との
関係について申し上げますと、三十
年度の
政府財政投融資原資見込み額二千八百九十二億円のうちには、郵便貯金の資金が一千百億円、簡保年金資金が五百三億円、
合計一千六百三億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。
次に、
郵政省一般会計の
予算について申し上げますと、その
総額は十四億四千百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が六千三百万円、業務費が四億九千二百余万円、
人件費、官庁営繕費及びその他の
経費が八億八千六百余万円となっております。これらのうち、海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、
郵政大臣が
日本放送協会に国際放送を
実施させるため、同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の国際放送を本
年度から十三方向、十三時間とするために必要な
経費であります。
次に、
日本電信電話公社の
予算について申し上げますと、同公社の
予算は、その総計におきまして、
収入支出とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、勘定の振替によって重復する金額八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、
収入支出予算の純計額は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九
年度と比較しますと、四十九億四千余万円の
増加となっております。
次に、主要勘定たる
損益、
建設両勘定の
収入、
支出の内訳について申し上げますと、
損益勘定におきましては、
収入は、電信
収入及び電話
収入が一千百三十一億八千余万円、受託
工事収入が十八億八千余万円、雑
収入が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、
支出は、電信電話運用費が四百十七億九千余万円、電信電話保守費が二百五十億一千余万円、管理共通費、試験研究費、職員
訓練費等が百四億八千余万円、増接続電話の受託
工事費が八億四千余万円、
利子及び債券取扱い費が六十億二千余万円、減価償却費が二百四十億余万円、
予備費が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、収支差額七十九億円は
建設改良及び債務
償還に充てるため、
資本勘定へ
繰り入れることになっております。
次に、
建設勘定においては、
建設改良のための財源として、電信電話債券の公募による分が七十五億円、加入者及び地元引き受けによるものが六十六億八千余万円、電話設備
負担金等が五十七億六千余万円、
損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百四十億余万円を含めて三百十三億九千余万円、
合計五百十三億四千余万円が
予定されております。同じく
支出としては、
給与及び
事務費が六十億余万円、
建設改良工事費が四百五十三億四千余万円、
合計五百十三億四千余万円となっております。
なお、
建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、加入者開通は十八万五千、市外電話回線では、神戸-横浜間及び東京-仙台間を即時式に接続する長距離回線を含めまして、公衆線が四十万三千余
キロ、電話局の
建設では、
年度内に
サービスを開始するもの二十三局、
継続工事にして次
年度以降に
サービスを開始するもの七局、新規着工のもの十二局等を主要な
内容とする
計画を持ち、この中には町村合併に伴う区域合併五十二局、市外電話回線の増設三千八百
キロの工程が含まれております。
次に、
建設財源の調達について一言申し上げますと、
政府の財政投融資
計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の
発行によって七十五億円を調達し、残りは全部加入者等の引受債券による資金、減価償却引当金、
損益勘定よりの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。
なお、
建設勘定の
支出面におきましても、
工事能率の向上、新技術の導入等による設計面の
合理化、各種物品の
計画発注などにより、極力
経費の効率を高め、拡充五カ年
計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、
サービスの面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。
以上、公社の
予算について申し述べましたが、今後一段と
事業経営の
合理化に努めますとともに、極力
建設資金の調達に努力し、健全な財政的基礎の上に電信電話
事業をますます拡充
発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえていきたいと存じます。
これをもちまして私の
説明を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御
審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。