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1955-06-03 第22回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科員昭和三十年六月二日(木曜日)委員長 の指名で次の通り選任された。    主査 稻葉  修君       宇都宮徳馬君    上林榮吉君       牧野 良三君    村松 久義君       相川 勝六君    太田 正孝君       野田 卯一君    志村 茂治君       田中織之進君    井堀 繁雄君       川上 貫一君     ―――――――――――――    会 議 昭和三十年六月三日(金曜日)     午前十時五十七分開議  出席分科員    主査 稻葉  修君    上林榮吉君       宇都宮徳馬君    相川 勝六君       牧野 良三君    野田 卯一君       太田 正孝君    田中織之進君       志村 茂治君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 三木 武夫君         郵 政 大 臣 松田竹千代君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君  出席政府委員         運輸政務次官  河野 金昇君         運輸事務官         (大臣官房長) 山内 公猷君         運輸事務官         (大臣官房会計         課長)     梶本 保邦君         運輸事務官         (海運局長)  粟沢 一男君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君         運輸事務官         (船員局長)  武田  元君         運 輸 技 官         (港湾局長)  黒田 静夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      植田 純一君         運輸事務官         (鉄道監督局国         有鉄道部長)  細田 吉蔵君         運輸事務官         (自動車局長) 真田  登君         運輸事務官         (航空局長)  荒木茂久二君         海上保安庁長官 島居辰次郎君         郵政事務官         (監察局長)  青木  亮君         郵政事務官         (貯金局長)  小野 吉郎君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      白根 玉喜君         郵政事務官         (電波監理局         長)      長谷 慎一君         郵政事務官         (経理局長)  八藤 東禧君         建設政務次官  今井  耕君         建設事務官         (大臣官房長) 石破 二朗君         建設事務官         (計画局長)  渋江 操一君         建 設 技 官         (河川局長)  米田 正文君         建 設 技 官         (道路局長)  富樫 凱一君         建 設 技 官         (営繕局長)  木村 恵一君  分科員以外の出席者         運輸事務官         (大臣官房観光         部長)     間島大治郎君         日本国有鉄道副         総裁      天坊 裕彦君         日本国有鉄道理         事         (経理局長)  石井 昭正君         日本国有鉄道理         事         (営業局長)  唐沢  勲君         日本国有鉄道理         事         (施設局長)  佐藤 輝雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和三十年度特別会計予算運輸省郵政省及  び建設省所管  昭和三十年度政府関係機関予算運輸省郵政  省及び建設省所管     ―――――――――――――
  2. 稻葉修

    稻葉主査 これから予算委員会第四分科会を開会いたします。  私は同分科会主査の職務を行うことになりましたので、何とぞよろしくお願いいたします。  本分科会は御承知通り昭和三十年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算中、運輸省郵政省及び建設省所管審査を行うことと相なっておりますが、予算委員会理事会の申し合せによりまして、分科会審査日程は本日及び明四日の二日間開会することになっておりますので、さよう御了承の上御協力下さるようお願いいたします。なお審査の都合上、本日はまず本分科会所管全部について、それぞれ政府説明を聴取した後、運輸省所管、次に建設省所管の順序によりまして、逐次質疑を行い、明四日は郵政省所管質疑を行う予定でありますので、さよう御了承をお願いいたします。  それではただいまより昭和三十年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算運輸省郵政省及び建設省所管一括議題として審査に入ります。順次政府から説明を求めることにいたします。運輸政務次官河野金昇君。
  3. 河野金昇

    河野(金)政府委員 それでは私から昭和三十年度運輸省所管予算について御説明申し上げます。詳細な点についてはお手元に差し上げました資料をごらん願いたいのでございます。  まず歳入予算でありますが、昭和三十年度歳入予算総額は九億九千百九十三万五千円でありまして、前年度予算額に比較いたしますと約五千七百万円の減少となっております。  次に歳出予算について御説明いたします。  当省の昭和三十年度予定経費要求総額は二百四十億三千九百六十二万五千円でありまして、これを前年度予算額二百二十八億六千二百九十八万一千円に比較いたしますと、十一億六千六百六十四万四千円の増加となっております。  以下そのうち、おもな経費について御説明申し上げます。まづ第一は、外航船舶建造融資利子補給に要する経費といたしまして三十五億六百五十万六千円を計上しましたが、これはさきに決定をみました総合経済六カ年計画に基き今後六カ年間に外航船の船腹を百三十六万総トン増加し、日本海運発展と、これによる外貨増収をはかる目的で、本年度貨物船、油送船を合せ十八万九千総トンを建造いたし、これが所要借入資金に対する利子補給を行うためであります。  なお本年度建造分に対する利子補給契約限度額として十億四千六百七十三万四千円、及び損失補償契約限度額十一億四千二百七十万円を国庫債務負担行為としてそれぞれ計上いたしました。  第二は、国際航空事業補助に必要な経費として三億五千五百万円を計上しましたが、御承知のように、日本航空株式会社が現在運営している国際線は、北米、香港の二線でありますが、これが、経営内容を見ますると、操縦士外国人をもって満たしている関係人件費が相当膨張し、また航空機購入全額借入資金をもってまかなっている等、国が何らかの助成案を講じない限り、各国との競争に立ち遅れ、これによる外貨増収も望めず、ひいては日本航空界の将来に暗影を投ずる結果となるのでございまして、ここに前述の補助金を交付いたしまして本事業の健全なる発展をはかるためであります。  なお以上のほか、大蔵省所管として日本航空株式会社に対し前年度同様十億円の政府出資を要求しております。  第三は、港湾関係でありますが、本年度要求額港湾事業に要する経費として三十二億七千七百九十七万円、港湾災害復旧事業に要する経費として二十億六千八百三十一万一千円、港湾施設災害関連事業に要する経費として四億八千百七十四万円港湾事業附帯事務費として七千七百十四万九千円合計五十九億五百十七万円を計上しましたが、これらはいずれも、貿易の振興輸送力の増強を裏づける港湾施設整備拡充するためのものであります。また災害関係予算昭和二十九年度以前の災害による港湾施設復旧促進せんとするものであります。  なおこのほかに北海道港湾事業費六億六千六百万円を総理府所管に、特別失業対策事業費三億一千万円を労働省所管として要求しております。  第四は本年度より新たに自動車損害賠償責任保険特別会計を設置し、これが所要の手続を今国会に提出しておりますが、本特別会計に要する予算として歳入歳出予算とも三十七億九千七百十一万一千円を計上し、また一般会計から本特別会計への繰り入れとしまして二千六百三十六万六千円を計上いたしました。  最近における自動車事故傾向を見まするに、自動車増加に伴いまして自動車事故の件数もまた年々増加の趨勢にあるのでありますが、事故被害者、特に人身殺傷事故被害者に対する損害賠償その他の救済につきましては、はなはだ不十分でありまして、今や一つの社会不安となっていると申しても過言でないのであります。  これに対しまして、今回自動車損害賠償責任保障法(仮称)を制定しまして、自動車による人身殺傷事故について、民法の特例を定めて、自動車所有者及び使用者賠償責任を加重するとともに、賠償責任について、原則として強制保険制度実施して被害者に対する確実迅速な救済を行い、さらに加害者不明の事故の場合も、同様な救済を行い得るよう措置いたす所存でありますが、本制度の社会保障的な性格にかんがみまして、保険については、特別会計を設けて国の再保険を行い、同時に再保険事業事務費及び加害者不明の事故の場合に支払われる保障金の一部を国が負担しようとするものであります。  第五は気象業務整備拡充でありますが、本年度気象官署としての要求額は二十四億二千八十四万六千円でありまして、このうちおもなものとしては上層気象観測業務関係で一億五千八百七十五万一千円、水理気象業務関係としまして五千五百十一万一千円、水害緊急対策関係で一億七千三百十九万九千円、測候所新設、新営関係としまして一千四十二万九千円等であります。これらは台風等により年々こうむっております莫大なる災害観測の的確と予報業務敏速化とにより、最少限にとどめ得るよう、気象観測通信施設等整備実施するために必要なものであります。  第六は海上保安庁関係でありますが、本年度要求額は六十億八千九百七十三万九千円でありまして、このうちおもな事項を申し上げますと、巡視船等建造費として二億六千二百十一万八千円、航空機購入費として六千四百十七万五千円、航路標識整備費として二億七千八百二十四万一千円等であります。これらは海上保安業務重要性にかんがみその強化をはかる目的をもって、九百トン型水路観測船一隻、三百五十トン型巡視船一隻、六十トン型燈台見廻り船一隻を建造し、また哨戒用として航空機二機を購入するほか、航路標識新設改良改修を行うためであります。  第七は観光事業補助に要する経費といたしまして、五千二百四十九万一千円を計上しましたが、海外からの観光客は年々増加傾向にある現状にかんがみまして、さらにこの誘致を推進し、これによる外貨増収をはかることも、これまた現在の日本として必要なことと思われます。  これがため本年度は従来の方法を改め、新たに財団法人国際観光協会を設立しまして、この国家的事業を強力に実施させるため、事業費の一部を補助するに必要な経費でございます。  第八は航空保安等関係でありますが、本年度要求額は六億九千七百五十八万二千円でありまして、このうちおもなものを申し上げますと、航空大学に必要な経費として一億九千五百六十四万六千円、東京国際空港、及び小型機用飛行場整備に必要な経費として三千百九万円、東京国際通信局整備費としまして五千七百十九万円を計上しましたが、これらは航空事業発展途上、不可欠の乗務員養成し、現在、在日米軍が行っている航空交通管制業務をすみやかにわが国へ移管できるよう前年度に引き続き航空交通管制要員訓練を行い、国際空港として羽田飛行場整備し、最近の小型機増加と相待って阪神及び調布の両飛行場小型機用飛行場として整備し、及び東京国際通信局香港回線通信施設改善する等、航空行政の円滑なる運営を期するためのものであります。  第九は離島航路整備補助に必要な経費として四千七十五万七千円を計上しましたが、これは離島航路整備法に基きまして、赤字航路経営者に対する営業費補助と、事業用船舶建改造借入資金について利子補給実施するためであります。  第十は、地方鉄道軌道整備補助に必要な経費として二千百三十七万五千円を計上しましたが、これまた地方鉄道軌道整備法によりまして鉄道新設、大改良工事とか、あるいは国民生活上欠くべからざる路線であって、しかもこれが赤字経営である場合、これらに対し補助実施するためであります。  第十一は鉄道鉱害復旧補助に必要な経費として五千八百六十五万九千円を計上しました。これは戦時中の石炭乱掘による鉱害復旧促進するため、日本国有鉄道補助するためでありますが、本事業は、炭鉱地帯失業対策事業としての性格をもあわせ有するものであります。  第十二は国際地球観測年観測に必要な経費といたしまして気象官署に二千四百二十万三千円、海上保安庁において三百五十一万一千円を計上しましたが、これは国際学術連合会議の決議により二十五年目ごとに全世界一斉に地球物理学的な精密観測を行う、いわゆる国際地球観測年観測昭和三十二年八月から開始される予定でありまして、わが国としてもこれに協力して観測実施する必要がありますので、その準備を行おうとするものであります。  第十三は航海訓練所における練習船整備費として二億三千五十万円を計上しましたが、これは昨年度購入しました貨客船を練習船銀河丸」として改装し、また神戸商船大学の学生に帆船による乗船実習を行わせるため練習船海王丸」に帆装工事を施工するためであります。  第十四は小型船舶職員養成補助に必要な経費として二百七十万円を計上しましたが、これは小型船舶職員養成を行う団体にその所要経費の一部を国が補助するものであります。  以上が当省所管昭和三十年度予算概要でございますが、何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  続いて昭和三十年度日本国有鉄道予算概要について御説明申上げます。  最初に予算編成の基本についてでありますが、経済情勢の影響などによりまして昨年以上の収入を上げることが不可能でありますので、避けられない経費増加もありますが、徹底的に経費の削減に努めまして一応収支の均衡をはかったわけであります。  次に収入支出予算について、損益資本及び工事の各勘定別に御説明申し上げます。昭和三十年度損益勘定予算は前年度補正予算を基礎としまして編成いたしました。  まず収入について申し上げますと、鉄道旅客輸送人員は対前年度増三・二%、三十七億四千五百万人、人キロでは、八百八十億人キロといたし、旅客収入一千二百九十二億円を見込み、また鉄道貨物輸送トン数は対前年度減一・二%、一億五千七百トン、トンキロでは四百二億八千八百万トンキロといたし、貨物収入一千九十七億円を見込んでおります。これら旅客貨物輸送に要する列車キロは三億四千五百万キロで対前年度二・八%の増加となっております。  以上の旅客貨物収入のほか、雑収入等を合せまして、二千五百七十億円の収入を見込んでおります。  次に経営費についてみますと、人件費につきましては、昭和三十年度の昇給を見込んで算出いたしておりますが、このほかに期末手当一・二五カ月分、奨励手当半カ月分、休職者給与等を見込んでおりまして、給与の額は九百九十三億円となっております。また物件費関係につきましては、動力費の大宗であります石炭費として、二百八十一億円、修繕費として五百七十七億円、その他業務費等合せまして経営費総額二千百五十四億円であります。  以上の経営費のほかに資本勘定への繰り入れ二百九十二億円、利子百四億円、予備費二十億円を合せまして損益勘定支出合計は二千五百七十億円となっております。  次に資本勘定について申し上げます。先ほど申し上げました損益勘定より受け入れます二百九十二億円、資金運用部よりの借入金百五十五億円、鉄道債券発行による八十七億円、不用施設等売却による二億円、合計五百三十六億円を収入として計上いたし、このうち五百二十一億円を工事勘定繰り入れることにいたしております。このほか出資としての一億円は帝都高速度交通営団の増資に伴うものであり、借入金等償還としての十四億円は資金運用部よりの借入金年賦償還額並びに既発行鉄道債券の一部の償還に充てられるものであります。  次に工事勘定について申し上げます。昭和三十年度工事勘定予算は、前年同様資金が限られておりますので、工事重点施設の維持及び取りかえ補充に置くことといたしまして新規工事必要最小限度にとどめるという方針のもとに編成いしました。その内容について申し上げますと、まず新線建設費についてでありますが、新線建設は前年度工事着手線継続にとどめることとして二十五億円を計上いたしました。電化設備費につきましては、現在施行中の浜松、姫路間電化工事稲沢-米原間は三十年七月開通予定)を引き続いて行うために五十億円を充て、その他工事と合せまして、合計七十一億円を計上いたしております。次に車両費でありますが、電気機関車、内燃動車、客車、電車及び貨車等の新造のほか、客貨車改造等も含めまして、百五十三億円を見込んでおります。以上のほかに諸設備費二百二十四億円を計上いたしており、改良係費を含めまして支出合計は五百二十一億円となっております。これらに要します財源としましては、さき資本勘定の御説明の際申し上げました通り資本勘定より五百二十一億円を受け入れてこれに充てることといたしております。  なお以上の諸計画実施に要します職員数は四十四万七千七百二十五人でありまして、給与総額といたしましては、休職者給与をも含めまして合計一千百九十四億円を計上いたしております。  以上御説明申し上げました日本国有鉄道予算は、今後の経済界の動向にもよりますが、これに盛られました予定収入を上げますには、格段の努力が必要であろうと考えられますし、また工事計画もより一層のサービス改善輸送近代化のためには決して十分とは申しがたいのでありますが、日本経済の安定に資するため公共企業体としてより一層の能率向上をはかり、サービス改善に努めますとともに、さらに経営合理化を行いまして経費の節減に努力いたすよう指導監督をいたしたい所存でございます。  以上昭和三十年度日本国有鉄道予算の大綱につきまして御説明いたしましたが、何とぞ御審議の上御承認あらんことをお願いいたします。     ―――――――――――――
  4. 稻葉修

    稻葉主査 次は建設省所管関係について説明を求めます。建設大臣竹山祐太郎君。
  5. 竹山祐太郎

    竹山国務大臣 昭和三十年度予算のうち、建設省関係経費について御説明申し上げます。  まず総額について申し上げますと、建設省所管予算といたしましては九百二十三億七千五百万円でありまして、このほかに予算計上所管は異なっておりますが、予算執行の際建設省に移しかえまして建設省所管事業として実施されます経費が、別途総理府北海道開発関係のものとして八十五億一千万円、労働省に、特別失業対策事業関係といたしまして三十一億八千万円計上されております。  なお、このほかに一般会計計上されますものといたしましては、住宅金融公庫に対する財政出資分として五十二億円、さらに今回新設されます予定日本住宅公団に対する財政出資分として六十億円、計百十二億円が計上されておりますので、これらを総合計して前年度に比較いたしますと、二十九年度一千六十八億二千八百万円に対しまして三十年度一千百五十二億六千五百万円でありまして、差引八十四億三千七百万円の増加となっております。  なお、このほかに一般会計予算としては計上されませんが、資金運用部資金融資予定といたしまして住宅金融公庫へ百三十八億円、日本住宅公団へ三十八億円、特定道路整備事業特別会計へ二十億円が決定いたしておりますので、財政融資においても二十九年度の百十五億円に対し、八十一億円の増加となっております。  次に個々の事業予算について御説明申し上げます。  まず治山治水事業については、総額といたしましては三百十三億六千五百万円でありまして、前年度三百十億五千六百万円に比較して、三億九百万円の増加となっておりますほか、労働省所管計上の上移しかえて使用いたします特別失業対策事業費のうち、五億円を治山治水に充当いたすこととしておりますので、実質上の治山治水費予算は三百十八億六千五百万円となり、前年度に比して八億九百万円の増加ということになっております。その内訳といたしましては、河川改修に百五十億六千万円、河川総合開発に七十六億円、砂防に五十四億五千万円、災害関連事業に三十七億五千五百万円となっております。  河川改修につきましては、本年度事業実施に当りましては、特に工事重点化集中化をはかりまして、事業量の確保と経済効果早期具体化を実現いたしたいと考えておりますが、事業内容といたしましては、直轄河川として、前年度より継続の八十八河川及び北海道における開拓事業に関連する特殊河川河川、計九十七河川について改修実施いたしますほか、都道府県に実施させます中小河川改修といたしましては、前年度より継続の二百六十四河川事業促進重点を置きまして、特に災害防除及び土地改良等関連事業との調整をはかりつつ実施いたしたいと考えております。  砂防事業につきましては、治山治水事業中特に重点を置き、若干の増額計上をいたしておりますが、本年度河川改修ダム建設工事等との総合的計画のもとに事業実施し、重要河川水系地域における工事促進と、災害防除重点を置いていきたいと考えております。  河川総合開発事業費につきましては、この予算によりまして、直轄ダムといたしまして鬼怒川ほか十三ダム補助ダムといたしまして那賀川ほか十三タム、計二十八カ所のタムについて継続事業実施し、うち五カ所は本年度内に完成いたす予定となっております。  次に災害関連事業につきましては、災害復旧事業と合併して所要改良事業を行い、または災害復旧事業に準ずる緊急改良事業を行うことによって、再度災害を未然に防止いたしたいと考えております。  災害復旧事業につきましては、三十年度河川等災害復旧事業費として総額二百八十七億一千万円を計上いたしておりますが、これにより直轄災害についきましては、約八〇%の復旧を完成し、補助災害につきましては、二十五年度災から二十七年度災までの残事業の約三分の一程度と、二十八年度災害総額の約六〇%以上、二十九年度災害総額の約五〇%以上の復旧を完成いたすように事業の推進をはかりたいと考えております。  なお補助災害につきましては、予算額において前年度より二十億八千万円程度減少となっておりますが、残事業量減少しておりますので事業進捗率としては前年度より若干高率となっております。  次に道路事業費について御説明申し上げます。道路事業費は、三十年度百九十五億九千九百万円でありまして、二十九年度の百三十九億七千六百万円に対しまして、差引五十六億二千三百万円の増加となっております。なおこのほかに、労働省所管計上されております特別失業対策事業費のうちから十六億三千万円を道路事業に充当することになっておりますので、これを加えますと二百十二億二千九百万円となります。  本年度道路整備五カ年計画の第二年度に当っておりますので、同計画に基きまして重要道路整備促進し、産業振興の基盤を固めたいと考えております。なお、道路事業費国庫予算増加に伴いまして地方公共団体負担増加することとなりますので、現在の地方公共団体財政負担能力等を勘案いたしまして補助事業における国庫補助率を引き上げることによりまして、その負担を軽減する処置をとることといたしております。またガソリン税収入に関する予算額と決算額の関係を明確にするため及び直轄事業の地方分担金について、これをガソリン税の対象として取り扱うため臨時措置法に所要の改正を加えるため別途御審議をいただいております。  なお、ガソリン税と道路事業費との関係について一言申し上げますと、三十年度のガソリン税収入見込額は、一キロリットル一万一千円として二百五十九億余万円を見込んでおりまして、これに対し、以上御説明申上げた道路事業費のほかに、都市計画事業費の街路分四十三億二千余万円、道路工事用機械の整備費七億七千余万円が計上されておるわけであります。なお、一般公共事業のほかに、特定道路整備事業特別会計におきましては、本年度二十億円を資金運用部資金より借り入れ、事業収入その他の収入と合せて二十四億三千四百万円の資金をもって有料道路の建設促進することといたしまして、関門国道、伊ノ浦橋、松江国道等の既定継続事業を直轄施行するほか、府県の実施いたします有料道路の建設に対する貸付を行うことといたしております。  次に都市計画事業費について御説明申し上げます。都市計画事業費総額四十億七千六百万円を計上いたしておりますが、労働省所管特別失業対策事業費より十億五千万円を都市計画事業に充当いたしますので、これを合せますと五十一億二千六百万円の予算となり、前年度四十八億九千三百万円に比し、約二億三千三百万円の増となっております。  都市計画事業につきましては、本年度は特に戦災復興事業継続して実施いたしますとともに、都市施設、特に街路の整備重点的に実施して参りたいと考えております。次に住宅対策費について御説明申し上げます。住宅につきましては、御承知通り昭和三十年度以降おおむね十年間にわが国の住宅不足を解消することを目途として、三十年度四十二万戸の住宅を建設することといたしておりますが、その内容といたしましては、財政資金による新築及び増築等を十七万五千戸と予定し、その内訳を公営住宅五万戸、住宅金融公庫融資住宅四万五千戸、厚生年金融資住宅、入植者住宅、公務員宿舎等三万戸及び新たに設置する日本住宅公団による建設二万一尺計十四万五千戸の新築のほか、住宅金融公庫の融資による増築等三万戸といたしております。これに対しまして、民間自力建設を二十三万戸と予定するほか、民間自力による増築等の促進をはかることによって一万五千戸の増加を期待いたしております。以上の計画により、四十二万戸の住宅を建設するためには、今後さらに各般の総合的な施策を検討、実施していくことが必要となって参りますが、まず国の資金による建設につきましては、公営住宅、住宅金融公庫融資住宅、及び新設日本住宅公団による建設の三方式を中心として実施していくこととなりますので、これらに対する予算措置について御説明申し上げます。  先づ一般会計予算として、さきに述べました公営住宅五万戸を建設するに必要な経費として、百六億四千七百万円を計上いたしております。住宅金融公庫に対しましては、一般会計よりの出資金として五十二億円を計上いたしましたほか、資金運用部資金より百三十八億円の融資を受け、計百九十億円の資金によりましてさきにも述べました通り、住宅の新築四万五千戸、増改築等三万戸、総計七万五千戸に対しまして、所要の資金の貸付を行うほか、住宅敷地の取得造成に対しましても、前年度と同様貸付を実施することといたしております。  次に、新設日本住宅公団に対しましては、一般会計よりの出資六十億円、これに加えて、資金運用部資金より三十八億円の融資を受けるほか、地方公共団体の資金十六億円と一般民間資金五十二億円の導入を予定いたしておりまして、総計百六十六億円の資金によりまして、初年度二万戸の住宅を大都市及びその周辺の地域に建設し、これを賃貸及び分譲することといたしております。このほか、公団の業務といたしまして宅地造成の事業を相当大規模に実施することといたしまして初年度約百万坪の宅地造成を行うことといたしております。  次に、民間自力建設促進のための措置について申し上げます。民間自力建設促進につきましては、今後各般の施策を検討、実施いたして行くことといたしたいと思いますが、まず住宅金融公庫において新しい事業といたしまして、一般民間の住宅金融に対する保証を行うことといたしまして政府出資分より三億円をその基金に充てることといたしております。これによりまして、約五十七億円の住宅融資に対する保証を行い得ることになりますので、一般民間資金を住宅建設に導入するについて相当の効果があろうと期待いたしております。  また住宅建設に対する減税措置につきましては、当面国税としては住宅建設に対する登録税の減免及び住宅建設に対する法人税及び所得税の特別償却の割増しを行うとともに、地方税においても新築住宅に対する固定資産税の減額を行うために、所要の手続を進めております。  以上が建設省関係昭和三十年度予算概要であります。どうぞよろしく御審議の上御決定をお願いいたします。     ―――――――――――――
  6. 稻葉修

    稻葉主査 さらに続いて郵政省所管予算について説明を求めます。郵政大臣。
  7. 松田竹千代

    ○松田国務大臣 それでは私から郵政省所管の三十年度予算案とこれに付随する若干の問題につきまして御説明申し上げたいと存じます。  まず、郵政事業特別会計予算について申し上げますと、予算総額は、歳入、歳出ともに一千百九十八億三千余万円であります。このうち歳出予算の内訳を申し上げますと、郵便業務の運営に必要な経費が三百十三億五千万円、為替貯金業務運営に必要な経費が百六十六億六千万円、保険年金業務運営に必要な経費が百五十八億余万円、特定郵便局の電気通信業務運営に必要な経費が百億円、以上の業務を運営していきますために必要といたします総係経費が百八十二億六千余万円、恩給負担金等の経費を他の会計に繰り入れるため等の必要経費が二十三億三千余万円でありまして、このほかに、予測しがたい経費支出に充てるための予備費を三億円計上いたしております。  次に、郵便局舎の建設費につきましては、郵便局舎を早急に改善いたさなければならない実情にかんがみ、三十年度を初年度とする年次計画を立てまして、前年度二十五億円であった建設費を、三十年度は三十四億余万円とし、その改善の進捗をはかることといたしております。  なお、上記のほかに、収入印紙、失業保険印紙等の収入を、それぞれの会計に繰り入れる業務外の支出経費が二百十七億円となっているのであります。  以上の本年度予算額を前年度予算額一千百五十三億円に比べますと、約四十五億五千万円の増加となっているのでありますが、そのおもな事項について申し上げますと、逐年増加する取扱い事務量を処理するために必要な定員の増等に伴う人件費増加が四十億一千余万円、物件費等の増加が八億二千余万円、郵便局舎等の建設費の増加が九億円、予備費増加が一億五千万円となり、反面、収入印紙等の業務外支出経費減少が十三億三千万円となっております。  以上、歳出予算につきましてその概要説明申し上げたのでありますが、これらの結果、三十年度予算の業務費におきます人件費率は、七六%となる次第であります。郵政事業特別会計におきます三十年度予算定員は、二十五万二千五百五十一人でありまして、前年度に比べまして二千八百九十人の増加となりますが、この増加は郵便業務量の増加及び特定局の電話施設増加等に伴い、その運営の万全を期するために必要といたします増員となっております。  次に、歳入予算内容といたしましては、郵政固有業務収入、すなわち切手、ばがき等の売さばきに伴う郵便収入、郵便為替、振替貯金等の手数料収入及び物件売り払い並びに病院収入等の雑収入が四百二十五億三千万円、為替貯金、保険年金、電気通信の各業務の運営経費の財源に充てるために、他の会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が五百三十七億円、郵便局舎等の建設財源に充てるために郵便貯金特別会計、簡易生命保険及び郵便年金特別会計の両会計から受ける設備負担金が八億八千万円、局舎建設財源に充てるための借入金が、資金運用部資金五億円、簡保資金五億円、以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が二百十七億円となっておりまして、これ等の収入は、郵政固有業務収入において二十四億二千万円、他会計からの受け入れ収入において二十六億円、設備負担金三億九千万円、借入金五億円と、いずれも前年度に比し、それぞれ増加いたしているのでありますが、業務外の収入におきましては、逆に十三億六千万円の減少となる次第であります。  次に、郵便貯金特別会計予算について申し上げますと、この会計の予算額は、歳入、歳出ともに三百五十億円でありまして、このうち歳入予算は、郵便貯金の資金を資金運用部に預け入れることによって生ずる利子収入が三百五億一千万円、雑収入が八千万円、歳出経費の財源に充てるため、資金運用部特別会計から繰り入れを受ける他会計からの受け入れ収入が四十四億一千万円となっております。これに対し歳出予算は、郵便貯金の預入者に対し必要とする支払い利子が百九十六億二千万円、郵便貯金業務運営のために必要とする経費の財源に充てるために、郵政事業特別会計繰り入れを要する経費が百五十三億八千万円となっております。  次に、簡易生命保険及び郵便年金特別会計予算概要について申し上げます。まず、歳入予算は九百六十二億五千余万円となっておりまして、その内訳は、保険料および掛金収入が八百四十一億一千余万円、簡保年金の資金を資金運用部に預託することによって生ずる利子収入等が百二十億八千万円、雑収入が五千万円となっております。これに対し、歳出予算は三百七十億八千万円となっておりまして、その内訳は、保険及び年金加入者に支払いを必要とする保険金、還付金等の経費が百四十六億五千万円、保険年金業務運営経費の財源に充てるため、郵政事業特別会計繰り入れを必要とする経費が二百十九億一千万円、予備費が五億一千万円となっております。なお、この会計における歳入超過額五百九十一億七千万円は、法律の定めるところによりまして、三十一年度の積立金として処理することとなっている次第であります。  なお、参考までに郵便貯金および簡保年金の資金と、財政投融資資金との関係について申し上げますと、三十年度政府財政投融資原資見込み額二千八百九十二億円のうちには、郵便貯金の資金が一千百億円、簡保年金資金が五百三億円、合計一千六百三億円が含まれておりまして、この金額は全投融資原資の五六%を占めている実情でございます。  次に、郵政省一般会計予算について申し上げますと、その総額は十四億四千百余万円でありまして、その内訳は、海外放送交付金が六千三百万円、業務費が四億九千二百余万円、人件費、官庁営繕費及びその他の経費が八億八千六百余万円となっております。これらのうち、海外放送交付金は、放送法第三十三条の規定に基いて、郵政大臣が日本放送協会に国際放送を実施させるため、同協会に交付するものでありまして、現在行なっております十二方向、十二時間の国際放送を本年度から十三方向、十三時間とするために必要な経費であります。  次に、日本電信電話公社の予算について申し上げますと、同公社の予算は、その総計におきまして、収入支出とも二千二百四十一億二千余万円でありますが、このうち、勘定の振替によって重復する金額八百六十四億四千余万円を控除いたしますと、収入支出予算の純計額は、いずれも一千三百七十六億七千余万円でありまして、これを二十九年度と比較しますと、四十九億四千余万円の増加となっております。  次に、主要勘定たる損益建設両勘定の収入支出の内訳について申し上げますと、損益勘定におきましては、収入は、電信収入及び電話収入が一千百三十一億八千余万円、受託工事収入が十八億八千余万円、雑収入が二十五億余万円、計一千百七十五億七千余万円となっており、支出は、電信電話運用費が四百十七億九千余万円、電信電話保守費が二百五十億一千余万円、管理共通費、試験研究費、職員訓練費等が百四億八千余万円、増接続電話の受託工事費が八億四千余万円、利子及び債券取扱い費が六十億二千余万円、減価償却費が二百四十億余万円、予備費が十五億円、計一千九十六億七千余万円となり、収支差額七十九億円は建設改良及び債務償還に充てるため、資本勘定繰り入れることになっております。  次に、建設勘定においては、建設改良のための財源として、電信電話債券の公募による分が七十五億円、加入者及び地元引き受けによるものが六十六億八千余万円、電話設備負担金等が五十七億六千余万円、損益勘定からの繰入金が、減価償却引当金二百四十億余万円を含めて三百十三億九千余万円、合計五百十三億四千余万円が予定されております。同じく支出としては、給与及び事務費が六十億余万円、建設改良工事費が四百五十三億四千余万円、合計五百十三億四千余万円となっております。  なお、建設改良工事につきましては、ただいま申し上げました五百十三億四千余万円をもちまして、加入者開通は十八万五千、市外電話回線では、神戸-横浜間及び東京-仙台間を即時式に接続する長距離回線を含めまして、公衆線が四十万三千余キロ、電話局の建設では、年度内にサービスを開始するもの二十三局、継続工事にして次年度以降にサービスを開始するもの七局、新規着工のもの十二局等を主要な内容とする計画を持ち、この中には町村合併に伴う区域合併五十二局、市外電話回線の増設三千八百キロの工程が含まれております。  次に、建設財源の調達について一言申し上げますと、政府の財政投融資計画に関連いたしまして、外部資金といたしましては、公募による電信電話債券の発行によって七十五億円を調達し、残りは全部加入者等の引受債券による資金、減価償却引当金、損益勘定よりの繰入金等、いわゆる内部資金にたよることになったのであります。  なお、建設勘定の支出面におきましても、工事能率の向上、新技術の導入等による設計面の合理化、各種物品の計画発注などにより、極力経費の効率を高め、拡充五カ年計画に対しましては、若干基礎設備の繰り延べを余儀なくされましたが、サービスの面におきまして、大きな支障を及ぼさないように配意されている次第であります。  以上、公社の予算について申し述べましたが、今後一段と事業経営合理化に努めますとともに、極力建設資金の調達に努力し、健全な財政的基礎の上に電信電話事業をますます拡充発展せしめ、熾烈な現在の需要にこたえていきたいと存じます。  これをもちまして私の説明を終りたいと思いますが、なお、詳細の点につきましては、御質問によりお答え申し上げたいと存じます。よろしく御審議の上、すみやかに御承認くださいますようお願い申し上げます。
  8. 稻葉修

    稻葉主査 これで政府説明は終りました。     ―――――――――――――
  9. 稻葉修

    稻葉主査 これより運輸省所管について質疑に入ります。御質疑はございませんか。――田中織之進君。
  10. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 今運輸省関係予算の大綱をちょっと目を通したのでありますが、神戸の海抜訓練所の関係で校舎の新設等の費用二千三百六十万円が予算書には出ております。この説明書には出ていないようでありますが、あれの構想はどういうことになりますか、運輸大臣から承わりたいと思います。それと申しますのは、商船大学と船員の再教育のための専門学校との関係は、従来の関係から見ると、関東の方でも北海道の方でも商船大学の別科というような形で、一つのところで運営してきていると思うのです。神戸の関係においても、従来はそういうように深江でやってきたと思うのです。今度はそれを運輸省で別個に計画されているようでありますが、その点のいきさつはどういうようになっておりますか、この際三木さんから伺っておきたいと思います。
  11. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御承知のように神戸商船大学は、これから船員たらんとする者の新人教育をするわけであります。海技専門学院ば、すでに船員である者に対して再教育を施すわけであります。従ってその対象になる学生と申しますか、そういう人たちも、年齢の構成から見ましても、五十歳くらいの人もおる。少くても二十五、六歳の人たちであります。そして航海に対しての基礎的な知識は持っておる。しかしその後いろいろ科学技術の進歩もありましょうし、そういう点で再訓練あるいは再教育をする、こういうことでこれから船員になろうという人とは対象も違う。従って教育も長くやるわけじゃない、短期間の教育でありますから、まあ基礎的な教育については同じようなものでしょうが、どういう点に重点を置くか、どういうスピードでやるかという点、教育のやり方にも一つの相違があるということで、これは分離した方がいいというわけなので、今回二千三百六十万円の予算計上して、芦屋に新校舎を建てて、これを分離することになっておるのでございます。
  12. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 運輸省所管で船員の再訓練のための機関を持つということについては、私あながち反対ではありません。しかし問題は、従来も運輸省所管であった海技専門学院が、神戸商船大学と隣接したところに現在まで存在しておった。従って特に再教育のための特殊な設備等をやるということになれば、いろいろ国家の財政的な効率運用というような関係から見て、――神戸の商船大学に私の友人がおります。私は行ったことはございませんけれども、いろいろ伺ってみますと、商船大学として相当の設備もあり、従来の運輸省予算関係の金も使って相当の実験設備等を充実しておる。さらに再教育のために必要な特別の施設をこしらえるということであれば、あそこは国有地で、新しい建物を建てなければならぬというような関係になれば、それだけの校地も持っているわけなんですから、その意味で特別に今度商船大学の所在地から芦屋へ移すということについては、われわれどうも納得ができないのですが、芦屋へどうしても移さなければならぬという明確なる理由があるのでしょうか。
  13. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それはいろいろな施設の点については、お互いに文部省とも連絡をとりまして、あまり経費のかかるような施設に対しては一緒に使うような処置をとりたいと考えておるのでございます。ただ教材として、海技専門学院にも今まででも持っておるものがあり、今後もまた教材を拡充していかなければならぬのであります。しかし今申したように非常に対象も違うし、教育の内容についてもだいぶん違ってくるという点で、これを分離してやることが、教育の目的を達成するのには便利だということでございます。あるいは国鉄などもああいう事故が頻発する現状にかんがみて、国鉄の海員などもここでやはり再教育もしたい、いろいろな点で対象が違うし、従って教育の内容も違うというのであるから、施設などの面においては、お互いにこれを使うような利便を与えながら、やはり学校は別にあった方がよろしいという考え方で予算計上したのであります。
  14. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 どうも三木さんの答弁では納得ができないのです。それでは現在の二千三百六十万円で海技専門学院を分離するための施設はどの程度にできるのですか。私は二千三百六十万円でどの程度できるかということを伺ってから、あとでもいいわけですが、海技専門学院は現在商船大学と隣合せというか同じ地区にあるわけです。それを施設等は文部省との話し合いで商船大学の施設を使う、こういうことになるとすれば、芦屋から深江までまた通わなければならぬ。対象が違うのですから、校舎とかそういうようなものは現在のものを、専門学院のものと大学のものとを別個に使うというようなことも、私は現地へは行っておりませんけれども、これは可能だと思う。そういう点から見て、二千三百六十万円で今大臣が言われるような船員の再訓練のための一通りの設備が果して整うかどうか。聞けばまだ新しく土地も求めなければならぬということでありますが、二千三百六十万円で海技専門学院を分離して、土地の購入費が幾らで、校舎の建設費が幾らで、どの程度の教材の設備ができるか、その点を一つ明確にしていただきたい。
  15. 三木武夫

    ○三木国務大臣 この経費では十分でないと思います。海員の再教育、ことに海運界は国際的な競争も激しいのですから、優秀な船員を養成していかなければならぬ、そういう点でこの海技専門学院の内容は将来に向って充実していかなければならぬ。今年度予算というものは、御指摘のように十分な予算でありません。従って将来にわたってこれは充実していく課題が残されておるわけでございますが、二千三百六十万円の内容については政府委員から申し上げます。
  16. 河野金昇

    河野(金)政府委員 海技専門学院を芦屋に新設するようにとっておられるようですが、実は芦屋には、現在すでに学生の寄宿舎、先生の寄宿舎、校舎の一部もあるわけです。商船大学もだんだん生徒がふえてきたり何かして、商船大学の中での一緒の教育もだんだんむずかしくなっていく。だからどうしても校舎を増設しなければ――新設ではないのです。増設をしなければならぬ段階になってきたのであります。だから、政府の立場から見れば、やはり私たちは、船員の再教育なんというものは、教室の中で原理原則を学びあるいは実験をするだけじゃなしに、精神方面も必要であると思う。船員の再訓練なんかには、やはり起きてから寝るまでの教育が必要である。どうせ今日すでに芦屋に、そういう先生も生徒も住むところの寄宿舎もあり、一部の校舎もありまして、ここにわずか四百坪くらいの土地を確保すれば増設ができるのでありますから、ここへ増設して一かたまりになった方が教育の目的を達せられる。先生は講義に行く場合移動しなければなりませんけれども、生徒の立場からいえば、むしろこの方が便利であります。同時に、一部の実験の機関等は、両校の話し合いによって当分の間は共有といいますか、共同に施設をしていくのでありますが、やはり船員の再教育という特殊の目的からいうと、別のところに一かたまりになってやった方が目的を達するには便利である。そこで、今年の予算で二千三百六十万円の要求をしたのであります。この内訳は、校舎に二千五十九万円、車庫等に四十九万円、書庫に百二十万円、用地に百三十万円と、そういうふうにして、最小限度この再教育の目的を達せられるのであります。
  17. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 三木運輸大臣が言われるように、日本の海運の世界的な発展のために、船員の教育機関を充実するということには私も賛成であります。しかしそれはむしろこれから商船大学に学んでくる若い人たちに多くのものを期待しなければならぬことになるわけです。海技専門学院は、今大臣もお答えになっているように、一応の経験を持っておる人たちを新しい教材その他に基いて再訓練をするのだということでありますれば、私は、新しい、全く白紙の青年をりっぱな船員として養成するところの商船大学の教材が、そのまま使えないはずはないと思う。再訓練をする、再教育をするための特殊な教材というものは、どこにその特殊性があるかということは、私、実はいささか理解に苦しむのであります。それと同時に、今河野政務次官から内容についての説明があったわけでありますが、校舎に二千五十九万円を使うという。精神的な関係で先生と生徒が起居をともにするという方がいいんだと言うのでありますけれども、この予算内容から見れば、ただ校舎を増設するだけの関係である、ということであれば、私は、教材その他いろいろな機械設備だとか、そういうようなものがあるところと離れたところに校舎をこしらえるということは、今言うところの、新しい機械設備なりそういうような教材に基いて再訓練をするという趣旨から見れば、むしろ逆行するのじゃないかと思うのですけれども、その点はいかがなんでしょうか。私は、そういう意味から見れば、教育という大きな立場から考えれば、これは文部省の所管で一元的にやるということも、一つの考え方だと思うのでありますけれども、そういう体制が整えばさらに高い見地から考えて、商船大学の所管をむしろ運輸省に置いてもいいと思う。再教育の機関である海技専門学院たけ運輸省へ置いて、白紙の青年から船員を教育し訓練するところのものは文部省だというように分れていることがむしろ不自然だ。その点から見れば商船大学を運輸省へ移すことも、さらに大きな立場から見て私はいいと思う。私は何も、商船大学は文部省の所管であるから、文部省の所管に一元化すべきであるというような、ただ単に大学の当事者や文部省の役人が考えるような立場から質問しておるのではないのであります。その点から見て、どうも今度の芦屋へ海抜専門学院の校舎を分離するということについては――今予算内容説明を聞いても校舎を建てるだけのことであります。それは教育の面で必要な精神的な面に重点を置いているというだけでは、やはり国民の税金なんですから……。ことにあなたたちがここへ出された予算説明に、もっと小さい金額の小型船舶職員養成補助に必要な経費としての二百七十万円、こういうものを一番最後に出しております。海上保安庁関係でも三百五十一万一千円が出ている。ところが問題になっている関係のこの二千三百六十万円という海技専門学院の経費が、予算書にちゃんと出ているのに、この運輸省予算の大綱の中にどうして載せなかったか。何かこれをこの分科会へ出す説明書の中から落していることについて特別の理由があるのですか、あわせてお尋ねしたい。
  18. 河野金昇

    河野(金)政府委員 何もそういうような意図はありません。これは隠そうとしたって隠せるものでないのです。運輸委員会でも何回もやっているし、文教委員会でも何回となく繰り返されていることでありまして、そんなことを意識的に隠そうなんていうけちな考えは毛頭持っておりません。これは大綱でありますから、運輸省の中の各所管のおもなものをあげておるだけであります。それはそういう特殊の観点からすれば、この大綱の中に落ちているものがたくさんあるだろうと思いますが、それは決して意識的に落しているのではなしに、やはり問題となっている大きなものをここに列記したわけでありまして、海技専門学院のようなものは、私たちの方としてはこれが問題になるのはむしろおかしいと実は思っているくらいであります。これはいろいろ商船大学の設立の経過等から考えてみますれば、そういう意味はありますけれども、この予算面から見ましてわれわれはちっとも特殊の考え方は持っておりません。同時に再教育の面から見まして、じゃ小学校と中学校を一緒のところに置いて教育することも一つの方法かもしれません。けれどもやはりあれも分離したのでありまして、この再教育という、年齢の違った、おとなと子供と同じところで同じようなことをやることが、ほんとうに教育上いいかどうかということも考えてみまして、やはり商船大学も将来ますます大きくなってくるであろうし、この海技専門学院の方も、今まではむしろ教育機関としておろそかになっておった面も、反省すればあると思いますが、先般のような繰り返される災害等から考えてみましても、どうしても計画的に再教育をしなければなりませんから、それにはいかにも大学の付属機関のようなところで、大学の片手間のような格好でやる教育では、目的を達するのに不十分であろう、こう考えまして、今度こういうような予算の要求をしたわけであります。  それから学校の建設のようなことは建設省関係に入っているそうでありますから、その予算の取扱いのことは会計課長からちょっと補充説明させたいと思います。
  19. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 いや、それはいいです。  どうもその点は、ことに用地の点では、予算内容とすればきわめてわずかで四百坪ということでありますが、どうもわれわれのところに入っている情報からみると、用地の買収が先になって立てられた計画のようなにおいもするのでありますが、その点はいずれまた別の機会もあろうかと思うので、これはできれば総括質問のときに、こういうような形で国民の税金が使われることに対して総理の所見も伺いたいと私考えておるわけであります。そこであとこの点について二点ばかり大臣に確認をしておきたい点がございますが、今度校舎を建てるといたしますと、その施設、教材その他を現在の商船大学と共同に使うという考え方、これは今後とも貫いていかれる考えであるかどうか。将来校舎ができると、その次の次年度計画として、専門学院は専門学院としてそういう必要な教材とかいろいろの施設を芦屋に今後作られていく考え方であるか、それとも現在せっかく共同でできている施設については、多少距離が隔たって不便でありますけれども、両方で使っていくという考え方であるかどうか、この点が一点。  それからもう一点は現在の商船大学にはそういう教材としてのいろいろな設備の相当充実したものがあるように聞いておりますが、それは終戦後ちょうど商船大学の別科のような形で、付属設備が行われてきた関係から、実際はやはり運輸省の方の金も使って、共同でできた設備が私はあると聞いております。そういう場合には、将来別個に何年間かの計画で芦屋にそういう設備を今後作っていくということになれば、もう商船大学の方にすなわち文部省の方に、共同でこしらえたものもそのままやってしまうことになるのか、それともそれは共同で作ったのであるから、使った金は商船大学の方から運輸省に返す、こういうような形に今後の問題として残る、おそれがあると思うのでありますが、その点から見て、今の第一の点である校舎を今年建てることになれば、設備は今年はどうしたって共同で使っていかなければならぬことになるわけでありますが、将来の計画としてどういうことになるのか。もしそういう設備を芦屋に作っていくことになるとすれば、共同設備としてこしらえた従来の費用の係、そういう負担の問題が商船大学と海技専門学院との間で今後どういうようになっていくのか、その点をあわせてお尋ねをいたしたします。
  20. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これは手続がどういうふうになるか、いろいろあろうと思いますが、私の考えは、両方が話をして、現地の海技専門学院と商船大学との話し合い、こういうことで必要がないという施設は芦屋へ持っていってもいい。しかし現に商船大学の方で必要だという施設、しかも海技専門学院でもその施設が必要だというものは、これはお互いに共同して使ったらいい。対象が違うだけで教育目的は同じですから、あまりセクショナリズムでものを考えない方がいい、そういうことで将来の帰属等については文部省と運輸省との間で話し合いをして、そういう問題は解決していく。とにかく目的は、お互いに優秀な船員を養成する機関でありますから、それを文部省だから、運輸省だからといって、なわ張り的にものを考えたくない。それは円満に話し合いで解決したい、こう考えます。
  21. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 その点についての質問はその程度にいたします。  この間紫雲丸の遭難事件があったときに、同僚の赤松君から運輸大臣に質問をいたしました近海航路のことですが、旅客船等に対する無電設備とレーダーの設備の関係でございますが、あれは非常に古い法律だそうでありまして、法律の名前はちょっと今忘れましたが、沿岸から何海里以内を航行ずる船舶にはそういう設備をすることを免除されておる。たまたま紫雲丸についてはそういう法律の除外例はあるわけであるけれども、運輸省関係でレーダーの設備も無電の設備もつけておったということでありますが、その他私の郷里の和歌山から運輸大臣の郷里の徳島へ行く航路等の船にも、この点は今の法律の建前からいけばそういうものは義務づけられない、しかしこれは旅客の生命に関する問題でありますから、私は法律を改正して、やはりレーダーと無電設備というものは当然義務づけるべきであると考えるのでありますが、大臣は、それは十分検討した上で必要があれば法律改正をやろうということでありますが、紫雲丸のような事件、これもはたしてそのレーダーが効能を発揮していたかどうかというところにも問題があるようでありますけれども、これはたまたま運輸省の方でつけていたけれども、それ以外に関西汽船の関係であるとか内海関係の航路であるとか、九州方面でも、あるいは新潟から佐渡へ渡る船の場合でも、あるいは青函連絡の間においても、いわゆる運輸省の連絡船以外に相当の人が乗って行き来する船に対しては、やはりこういう事故を繰り返さないという意味においても、レーダーと無電設備は設置をする義務づける必要がある、かように考えるのでありますが、紫雲丸事件以来大臣は考究された結果、本国会にその法律改正案を出す結論に到達したかどうか、この機会に承わっておきたいと思います。
  22. 三木武夫

    ○三木国務大臣 これはやはり大きな問題の一つであります。なぜかというと、国際的な航海安全条約などにも、近海の船にはそういう無電設備あるいはレーダーなんかの設備を義務づけてはいないわけであります。それはなぜかというと、やはり相当に経費がかさんでくる点で、国際的にもそういふうになっておるのでありまして、これは簡単な、あまり経費をとらないようなことであればすぐにでも――その安全度がそれによって高まることは事実でありますから、やることが適当でしょうが、いろいろ非常な経費がかさむので、私企業に対してそういう経費負担をただ法律改正だけで命令するということもいろいろ考えなければならぬ点がございますために、そういうふうになっていくことは好ましいとは思いますが、今直ちに法律改正をして、私企業の者に対して全部そういう設備を強要しようという結論には達しておりません。検討はいたしますけれども、今直ちにそういうことをしようとは考えていない。これは経費の点を政府が保証してやれば別ですが、そういうことも今日の財政状態でなかなか困難がございますし、だから直ちに法律改正をしようという結論には達していないというお答えをするよりほかにないかと思います。
  23. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 相当の経費がかかることは私も伺っておりますけれども、もしそれが会社で負担できないということであれば、私は国庫で半分なりめんどう見てやるということでも――やはりそういう船で交通する国民の生命に関する問題なんですから……。一番難点は、船に特に無電の関係の設備をすることは、あながちそう大きな金もかかるもんじゃない。むしろ陸上の受信設備というものが、なかなか金がかかる。しかしこれは私はそういう関係の船会社が地区別に共同で設備することによって、幾らでも、とにかく金はあまりかからぬ方法で利用できる道があると思うのです。金がかかるからそれを私企業に強請するわけにはいかぬという理窟は、三木さんそれは答弁にならぬです。金はかかろうが何しようが、国民の生命を守るためには、当然やらなければならぬ。現在の法律はかなり古く制定されたもので、その後の事情の変化というものを全然考えておらない。金がかかるからそういうものを民間の会社にそれだけの負担をさせるわけにいかぬ、それは国民の人命を軽んずるものだ。たまたま国鉄がとうとい人命何百というものを失ったからということで、私はあなたを責めるんではないのですけれども、そういう金が非常にかかるからというような形で、これを義務づけるというようなことをやらせないということは、これは国民が納得しないと思う。もし必要があれば、それこそ何よりもアメリカの雇い兵のような防衛庁に使う金を、三木さん、勇敢にそういうために、国民の人命を守るために、設備においてもどんどん金を出してやっても国民は決して反対しない。この意味でこれはぜも取り上げていただかなければならぬ。かりに無電設備の点は相当の金がかかるとしても、レーダーの点については私はどの程度の金がかかるかという実情はよく存じませんけれども、聞くところによると、レーダー設備は旅客等の関係からもありますけれども、漁船にすらつけておる実情は見ておる。そういう点から見れば旅客を運ぶような船につけるレーダーと、漁船につけるレーダーとは規模も違うのだと思いますけれども、この点だけは少くとも法律改正をやらなくとも行政処置で幾らでもできる問題であると思います。重ねて大臣に所見を伺いたい。
  24. 三木武夫

    ○三木国務大臣 人命を預かっておる船船、これは事故防止ということは第一番に考えなければならぬ点であります。しかし日本の現状が、こういう場合、ああいう場合というものを考えて理想的ないろいろの施設をすれば、これに越したことはないのですが、与えられた条件のもとで、どうして事故を防止していくかという問題、現実の問題としてはそうしなければならぬ面がある。国際的に見ましても、近海航路にはそういうことを義務づけていないということであります。それでも世界各国、義務づけられてなくてもやっておるところもあるでしょう。しかし義務づけてはない。もっともこれは四年ごとに会議を開くようでありますから、いろいろその後の科学技術の進歩で、こういうふうな国際的な条約なども変っていくのでしょう。日本の場合でも考えなければならぬ課題であります。しかしこれはいろいろな場合、どの方面でも交通機関はそうだと思うのですが、こういうふうにすればもっとも理想的だということが、一時にできない悩みを日本は持っておる。そういう点でこれは方向としては今御指摘の通り、そういうふうに日本の近海航路といえども近代的な、いろいろ科学的な施設をするという方向は賛成でございます。それをどういう段階でやっていくかということになりますと、これはやはりいろいろな諸条件がそこに伴ってくるわけでございますために、これは今田中さん御指摘のように、今直ちに行政処置のようなことをやれと言われても、御意見としてはそれを傾聴いたしますけれども、それをやりましょうというお答えを今すぐすることは困難であります。考え方としてはできる限り、近代科学技術の許す範囲内で、人命に対してその安全を確保するような施設を拡充していけという御指摘は全くその通りだと思います。それをどういう段階でやっていくかということについては、これはやはりいろいろな諸条件とにらみ合せて、そういう方向に進めていくということ以外に、すぐここで言い切るようなお答えはむずかしい。こう思っております。
  25. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 次に伺いたいのは国際観光事業の奨励ということであります。この方面から外貨を獲得するということもあり、これは今の日本の現状として、かなり重要視しなければならぬと私は思っております。そのために今度新たに財団法人国際観光協会に五千二百四十九万一千円の事業費補助をやることになっておる。どうも大臣も御承知のように、運輸省にはこういう観光協会だとかいろいろな関係の外郭団体というものがあまり多くあり過ぎる。これがとかく国鉄の運営あるいは運輸省全体の事業の遂行上問題になっておる。それで国際観光事業を積極的に推進するということには、私は反対ではありませんけれども、そのためにまた新たに財団法人国際観光協会というものを設立されるのだろうと思います。そして大枚五千二百五十万円に近い金を補助するということは、そうでなくてさえ、交通公社の問題にいたしましても、弘済会の問題にいたしましても、国鉄あるいは運輸省の外郭団体がとかく全国民から指弾されているときに、これは非常に私はまずいことだと思う。この国際観光事業をやることは、現在ある観光協会の関係においても私はできると思うのです。新たにまた国際観光協会という、国際のついたものをこしらえるということになるんだろうと思うのでありますが、そういうことは私は運輸省のためにも取らないところだと思うのであります。この点に対する運輸大臣の所見を伺いたい。
  26. 三木武夫

    ○三木国務大臣 観光事業というものは、近代の国家で非常に重点的に取り上げられておるわけです。アメリカの例を取っても、アイゼンハワーなども、観光事業というものを特に行政の重要な施策の一つにしている。これは単に貿易外の収入を得るというばかりでなしに、観光事業は、一つの平和に通ずるものである。各国民の文化的交流あるいは交通を通じて、お互いに他国民が理解を深めることは、これは最も手近かな平和運動の一つである。こういうことで、観光事業が近代国家のどこの国でも非常に大きく取り扱われておる。日本の場合は、観光事業というものが、敗戦後いろいろな急ぐことがあったわけでございますから、こういう自に見えない仕事に対しての理解が必ずしも深くないのです。しかしこれは非常に大きな各国の課題になってきておる。観光事業というものは、どこの国を見ても、これを民間の資金でやっているところはない。政府は貿易を奨励するためには、いろんな輸出に対する奨励の施策を取るわけです。観光事業も結果的に見れば外貨を獲得するわけでありますから、貿易と変らないわけであります。その上、プラス文化の交流というような、貿易では果し得ないような面もある。だから今年度予算においても、もっと私は補助金を取りたいと思う。非常に少い。そういうことでありますけれども、全体としての補助金の金額を減らそうという財政上の理由から、今年度予算は私自身としては不満足であったけれども、こういう点で承諾したわけであります。従ってこれからは観光事業に力を入れていきたい。そういう意味で、今までいろいろ観光事業に対して関係をしておった団体を統合して、そうして観光事業に関連をする海外宣伝等が主となるのでありますが、こういうものはいろいろな機関が分れてやるより、やはり強力な一つの団体があって、それが観光事業に対する海外の宣伝をやった方がより効果がある、こういうことで今回財団法人国際観光協会を設立したのであります。目的を達するにはそういう方がいい、いろいろばらばらにやるよりも、一元的にやった方がいいということで、そういう協会を設立したのであります。運輸省の外廓団体には、これは私は整理したいと思っておるのですが、現在補助金を与えておるような外廓団体というものは、運輸省にもそうたくさんないのであります。あとで御説明をしてもよろしいのでございますが、最も大きな団体の一つであります。こういうことで観光事業補助に対しては、田中委員も御理解を持っていただき、これはますます今後力を入れていくべき問題の一つである、こう考えるのでございます。
  27. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 私も観光事業の推進ということについては、先ほど申し上げたように賛成なんです。しかし、ともすれば運輸省の外廓団体がいろいろな意味で、国鉄との結びつきその他の関係から見て、国民から指弾されている。そういうところに新たにまた国際観光事業で五千万円からの補助金をもらった団体ができて、どうせこの団体にはまた運輸省のもと役人をした諸君が入るに違いない。そういうことをやることは、国鉄に対する国民の疑惑というものを一掃しなければならぬ、国鉄一家とか、あまりかんばしくない言葉がこのごろはやっていることを、何とかして国民の前にすっきりと解明しなければならぬ、この期待を持たれている三木運輸大臣として、こういう団体を新たに作らせてそこに多額の補助金を出すというやり方は、私は少くとも賛成はできない。観光事業に対して力を入れるということは、こういう団体を新たにこしらえて補助金をやらなくても、やはり国の事業としてでも、もっと端的にやる方法は幾らもある。それは特に一つ考えていただきたい。  次に、海上保安庁関係の担当者がお見えであれば、航路標識整備費の二億七千八百二十四万一千円のいわゆる航路標識の――改良改修の面は別として、新設についての大まかな計画地点でもおわかりならば伺いたい。
  28. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 大型の沿岸標識といたしましては三つくらいありますが、その一つは伊島、それから襖鼻、白島埼、この三つです。次に小型の沿岸標識といたしましては十六ございまして、その次に港湾の標識としては十三カ所、障害標識といたしましては、重要な港湾の出入口、それから内海の主要機帆船航路の危険な障害を標示するために特に要望の強いところに四基を整備する予定にしております。もう一つは、よく霧の問題で衝突なんかあるのでありますが、霧信号を北海道の広尾というところに一カ所設置する。それから電波標識でありますが、これはいわゆる近代的なものでありまして、これを三つばかり置く予定にしております。以上であります。
  29. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 たしか神戸の管区の方で計画されていたのですが、内海の関係になるのですけれども、紀伊水道の友ケ島への無線燈台の計画は、本年度は具体的にならなかったのでしょうか。
  30. 島居辰次郎

    ○島居政府委員 一応友ケ島のは見送ることになりました。
  31. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 あそこは内海の入口になるわけでございますが、御承知のように、台風が本土に入ってくるときには必ず通りますので、第五管区の方で計画されておるような設備が、あそこにできるということになれば、あの方面を航行する船舶にラジオの受信機程度の設備がそれぞれ備えつけてあれば、自分の所在それから進路というようなことについて十分明確にできるように伺っておるので、本年度予算に具体化せられなかったことは非常に残念でありますけれども、これは一つお考え置きをお願いたします。
  32. 稻葉修

    稻葉主査 それでは午後一時半まで休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十二分開議
  33. 稻葉修

    稻葉主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中に引き続き、昭和三十年度一般会計、同特別会計、同政府関係機関予算運輸省所管について質疑を続行いたします。田中織之進君。
  34. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 国際航空事業補助に関する質疑に入る前に、午前中お伺いしました国際観光協会の関係で、これはもう設立されているように聞いているのですけれども、理事長その他の役員はどなたになっておりますか。
  35. 三木武夫

    ○三木国務大臣 六月一日に発足しまして、会長には前東京銀行頭取の浜口雄彦氏が就任をいたしました。
  36. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 会長は浜口さんだそうでありますが、実質上の仕事をやる理事長というふ事務局長というか、常務理事というのはどなたですか。
  37. 三木武夫

    ○三木国務大臣 観光部長がお答えいたします。
  38. 間島大治郎

    ○間島説明員 常務理事は一人ございまして、これは横田巌と申します。二、三年前まで日本交通公社の副会長をされた方でございまして、多年国際観光事業一本で通された人であります。
  39. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 この協会の運営の問題については、午前中も希望を申し述べておきましたけれども、従来運輸省関係の外郭団体がとかく国民から疑惑を持たれておるような実情にかんがみて、十分本来の国際観光事業の推進という面を推進をせられるように、監督官庁の立場における運輸大臣の善処を希望しておきます。  次に国際航空事業の伸張のために、今度日航に三億五千万円の補助金を出すようになっておりますが、これは補助金として一括して日本航空へ渡されるものでありますか。それぞれ国際航空事業の、たとえばたしか本年度において欧州航路を開始されると思いますが、そういうような欧州航路の開設に伴う事業費に対する補助、こういうような形になるのでしょうか。この三億五千万円がどういう内容支出されるか、この点について伺っておきたいと思います。
  40. 三木武夫

    ○三木国務大臣 欧州航路という話ですが、欧州航路はまだ計画はありません。近い将来東南アジア、ビルマ、タイですね、一番先はバンコック、ラングーン、こういう航路を延ばしたいと考えております。これも今生度すぐというような計画ではなくて、来年度の問題になると思います。欧州航路という計画はありません。三億五千五百万円の補助計上されておるわけですが、その補助金は外人の乗務員日本乗務員の給料が非常にこれは差があるわけです。この差額、乗員の訓練費の償却、それからもう一つは国際線用航空機購入費のための借入金利子が、国際水準は年五分でありますが、その差額、これが三億五千五百万円の補助金補助の対象となるものであります。
  41. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 そこで補助の対象の第一にあげられている外人乗務員日本人の乗務員との給与差額に対する補助、これは占領中は航空事業というものに対する軍事的な向うの統制と申しますか、そういう関係から外人乗務員というものを雇わなければならぬという事情は、これは理解できないではないのでありますが、最近は国内航路は日本人の乗務員に切りかえられていると承知いたしておりますが、特に外国航路ではどうしても外人乗務員でなければいけないというようにこれは義務づけられているものなんでしょうか。それとももしそういうように外人乗務員でなければ国際航路の飛行機を操縦することができないということが、何らかたとえば日米安全保障条約だとかそういうような関係から、アメリカとの条約によって規制されておるのか。もし何らか条約によるような根拠がありますならお示しを願いたい。
  42. 三木武夫

    ○三木国務大臣 それは何も日本の航空会社がアメリカ人の乗務員を雇わなければならぬという義務づけたものはないのです。実際上の必要ですね。日本の民間航空というものは歴史がついここ二、三年の歴史ですから、非常に立ちおくれておるわけなんです。これを次第に日本乗務員にかえていくわけであります。立ちおくれたから今すぐ日本人の乗務員でやるといったってそれはできない、事実上の必要に基くものでおる、こう御理解を願いたいと思います。
  43. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 日本の民間航空の歴史の浅いことは私も承知いたしておりますが、一般国民の立場から見れば、そういう日本の航空事業、航空権といいますか、そういうものが何かまだ完全に自主性を持っておらないというようなところから、勢い相当多額の月給、サラリーを払って雇わなければならぬような状況にある、少くともそういう感じを持っておると思う。私はその意味で大臣にその点を伺ったのでありますが、そういう点から見て、日本人の乗務員がことに長距離にわたる外国航路の操縦、運航になれるように、この点は特に力を入れていただきたいと思う。そうして国民は、航空に関する限りにおいて、日本側が何か外国から圧迫されているような感じを持つのを払拭していただきたい。それで、先ほど私が三十年度に欧州航路を開始するのかということを伺ったのはほかでもないのですが、一昨年ビルマへ行ったときにも、ビルマの方の政府関係といいますか、そういう方から実はいつ日本の飛行機がビルマ等へ乗り入れるかということについて、アジア社会党会議に出席したときでありますか、質問されて、すぐに返答ができなかったわけであります。その後こちらへ帰って参りまして、たしか日航の浦島さんですか、郵政省から行かれた常務にお会いしたときにも、大体三十年くらいにはいわゆる東南アジアを通じてのヨーロッパヘの航路を開始したいというように、これは一昨年でありますが、お話を伺っていたので、大体そういうように進んでおるかと実は考えておったわけであります。特に東南アジアのうちでもビルマ、インドなどとは、最近日本との経済的な関係も密接になってきている関係から、先方でも日本の飛行機の乗り入れを相当期待しているような面があるので、せめて東南アジアまででも本年度中に開始をしたいというような大臣の御意向のように伺ったのですが、それはもちろん事業主体が日本国民でありますけれども、そういうような運びに進んでておるのでしょうか、念のため伺っておきたいと思います。
  44. 三木武夫

    ○三木国務大臣 私は東南アジア、できればカラチ、ニューデリーくらいまで、日本航空路を延ばしたいという考えであります。しかしタイの場合は航空協定ができておりますが、ビルマの方は、航空協定を結ぶための会議を再開することを申し入れてあるけれども、まだできていないわけです。ひとまずバンコックまでは近い将来において延ばしたい。そうして賠償問題もあったりして、これからいろいろ往来が激しくなりますから、その次はビルマまで、とにかくバンコック、ラングーンという航路は、一ぺんいラングーンまでは行けないとしても、ひとまずタイまで延ばす、その次のラングーンというのは、これは来年度はぜひ実現をさせたい。あるいはタイなどはもっと早くできる余地もあるのですけれども、やはり国際線というものは初めのうちは赤がでる、損失が出るわけです。アメリカのようなああいう歴史の古い航空会社でも、いまだに政府補助をしておるのです。そういう点で日本の場合は、やはり新しく国際航空路を開設すれば、政府もある程度補助をしないとすぐそれでペイしない。日本航空に赤字があるので、タイなどはもう飛行機を購入する必要もなく、今の飛行機だけで延ばそうとすれば延ばせるわけですけれども、経営の面から来る赤字の始末ということが問題になってくるわけなのです。しかし東南アジアは将来日本がどうしても経済的にも密接に提携をしなければならぬ地域でありますから、これは来年度においてそういう予算的な措置も国会で御承認願って、ぜひラングーンまではやりたい、ひとまずバンコックまではできるだけ早い機会に延ばしたいという考えでございます。
  45. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 できるだけそういう方面に延ばしていただきたいと思います。特にビルマとの間にはまだ航空に関する協定もできていないようであります。ビルマとの問題について先般平和条約、それから賠償協定ができて、それぞれ両国がすでに批准を了しておるのでありますが、いまだに細目の協定ができないでいる。そういう関係から、実はこの協定実施の細目の協定ができないことでビルマの対日感情が最近、今までの非常ないい空気がだんだん冷却しつつあるような状態であります。私は多分月曜日になると思いますが、総括質問のときに本委員会でその点についても質問をしたいと考えておるのでありますが、向う側としては、そういう関係から見て経済的な関係が非常に密接になることを希望している面から、特にいろいろな意味で日本の飛行機が入ってくるということを待望しておるのは事実でありますから、一つこの点の御努力を願いたい。なお国際航空に対する事業補助でありますが、日本航空が国内航空に関する限りは、最近は必ずしも独占的事業体というわけではないと思うのでありますけれども、資本力その他の関係から見れば独占的な企業であるということは、これは航空事業の性質からある程度やむを得ない点もあると存じております。私なんかも時たま日航の飛行機を利用する場合がありますけれども、いろいろサービスの点でやりはどうも官僚的というか、そういう面があります。それはたとえばインドのような日本よりもかなり民度の低いところでも、まるっきりみすぼらしいいなかのおやじさんが、ローカル線でありますけれども、やはり飛行機に乗っておるのを、私が一昨年旅行したときにすでに見ている。日本は相当金の高い関係もあります、またインドのような広大なところの距離的な関係のせいもありますけれども、かなり民度の低いインドにおいてすら、零細な百姓のおやじさんでも飛行機を利用しておるような感じと、まるっきり日本航空の路線の利用者が違うのであります。やはりもっと将来の交通の重点になる航空事業でありますから、会社の運営についても、この補助金に、直接国内航路には関係ないわけでありますけれども、国内航路の問題等についても、サービス改善その他については主務官庁として十分注意をしてやってもらいたい。定期航空でありますけれども、この間の選挙前ででありましたが、伊丹から東京へ来るまでに、鐘紡の製品だったと思いますが、何か絹織物を積むのに一時間半も定期便がおくれる。たまりかねて、何か米軍からでも緊急な輸送を頼まれたのかと聞いたら、アメリカ向けの輸出の生糸で、八時とかに横浜を出帆する船に積み込まなければならないということでしたが、やはり何十人かの人たちが、それぞれ時間を急いでいるから高い金を払って飛行機を利用するのに対して、あまりにもやり方がひどかった。私は大阪の営業所なり、そういうとこへは直接注意はしておきましたけれども、そういう面でやはり航空事業に国民をなじませるという見地から見て、会社側で改善できる面があると思う。そういう点は十分一つ努力していただきたい。  まだほかにいろいろ伺いたい点があるのでありますが、もう二点地方的な関係になりますけれども伺いたいと思います。一つは紀勢西線と紀勢東線の連絡の問題であります。これは大体新線建設予定線に入って、それぞれ牛の歩みのような建設が進められておるのでありますが、大体いつになればこの紀伊半島をつないでもらえるのか、その点についての見通しを一つ伺っておきたいと思います。
  46. 植田純一

    ○植田政府委員 鉄道新線建設につきましては、実は三十年度におきましても六十五億の予算を要求したのでありまするが、国の財政の規模の状況等によりまして、二十五億という予算で御審議を願っているようなわけであります。従いまして個々の新線がいつごろ完成するかという見通しも、今後の予算関係で非常にはっきりと申し上げにくいのでありますが、ただいま御指摘になりました紀勢西線と東線との連絡、この新線につきましてもこの線だけでもなお今後二十数億の資金が要るというふうな状況でございます。従いまして紀勢線の完成につきましては、少くともここ数年はかかるということはやむを得ないではないか、かように考えまするが、何年度におきまして果して完成するか、はっきりと今のところは申し上げられません。ただここ数年はまだ要する見込みでございます。
  47. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 なお二十数億円の経費と申しますか、資金を要するので、全体で二十五億に新線建設の資金をちょん切られた実情から見れば、全部もらっても、いろいろ工事の難易という問題もありましょうから、一ぺんにいかない点もあろうかと思いますけれども、新線計画は全国各地の要望がありますから、それをあながち重点的にしほるわけにもいかない事情はよくわかります。日本の国全体の点を考えれば、ここが開通すれば、一応日本本土の海岸線全体に国鉄が通ずるわけです。全国各地の要望をいれてあっちも手をつける、こっちも手をつけるということもやらなければならぬ面もあるかもしれませんが、そういう点は、国鉄は一つの採算の上に立つ公共企業だという建前に立ってみれば、そういう総花的にどこもかしこも手をつけたり中途半端なやり方ではいけないと思う。そういう意味で、ある程度重点主義はとられなければならないと思う。そういう点からみれば、この紀勢線の貫通という問題は、第一順位に置いてもらっても、決して全国のどこからも苦情は出ないと思うのであります。この点については、今後重点的に推進していただける政治的な配慮が得られるかどうかということを、河野政務次官に伺っておきたい。
  48. 河野金昇

    河野(金)政府委員 今手をつけておりまする新線の二十三は、それぞれ経済的の意味なりあるいはいろいろな意味から必要だということで、一昨年鉄道建設審議会で取り上げられた問題であります。だから私たちとしては、そのいずれもがそれぞれの価値のある線でありますから、すみやかに完成したい気持は持っておりますが、監督局長が申しました通りに、予算に制約されておる。なおまたその予算たるや、国鉄がああいう赤字経営をしているにもかかわらず、新線建設は国の一般会計とかなんとかにあらずして、国鉄が借入金でやらなければならない問題であります。しかしたとい借入金でありましても、その許可さえ受けるならば、運輸、国鉄当局としては、十分御期待に沿うようにしたいと思っております。二十五億円の金を、おそらく田中さんのおっしゃるのと同じような意味において、それぞれの関係者はそれぞれの理窟をつけて御主張なさることであろうと思いますから、運輸当局、国鉄当局が、田中さんの御要望に沿うて政治的の配慮をし過ぎては、かえっておしかりを受けると思いますから、近く開かれる鉄道建設審議会の小委員会の意見等をもしんしゃくして、その趣旨にのっとって田中さんの趣旨も十分生かすことができれば仕合せでありまするが、同時に、各党から出しておりまするその審議会の小委員の諸君の意見に従って、われわれはきめられたことをなるべく忠実にやっていきたいと考えております。
  49. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 政務次官から政治的に一つ紀勢線の完成について御努力を願う意思表示を求めたいと思って尋ねたのですが、やぶへびになってしまって、事務当局の紀勢線にきわめて重点を置いた考え方をすでに持っていただいておるのに水をさすような答弁をいただいて、私非常に不満であります。率直に申しまして、二十何線の新線計画のうちで、私はやはり国全体を見渡した形で――決して私は、和歌山紀伊半島に住んでおる一住民であり、またそこから選出されて来ておる一代議士というけちな立場で申し上げているのではないのであります。日本全体を考えて――それは内部的な路線で急がなければならぬところも考えられますけれども、少くとも日本の海岸線をつなぐ点で今とぎれているのはこの地区だけだ、そういう意味でこれは希望でありますが、政務次官も引き続き私の意のあるところは十分新線建設審議会等の意見を勘案して御努力下さることと思うのでありますけれども、これはぜひ本年度というわけにも参らないと思いますが、少くとも今後、たとえば三年後あるいは五年後の昭和三十五年には完成するというように、やはりこうしたものについては、少くとも五年くらい先までを見通した形でやらなければならぬと思う。毎年予算が削られ、また新線建設の希望も出てくるというような形で、あっちにもこっちにも手をつけるというような形であれば、いつまでたったって私は完成しないと思う。少くとも今後五年なら五年の後にこれは完成するのだ、そのためにはことしはこれだけ、来年はこれだけというように、やはり一つのそういう総合的な計画性は、特に新線建設については立てていただきたい、これは私の希望であります。その意味で一つこの紀勢線の東西を連結することを促進を願いたいということを希望として申し上げておきます。  それから最後に港湾関係事業費予算の問題でありますけれども、ここにいただいておる一覧表を見ると、私の方の関係では和歌山港の浅橋と防波堤の問題、それから地方港湾の部類で新宮、宇久井というものは引続いて若干の予算がいただけるようになっておるのでありますが、これはどういうようになっているか。先ほど海上保安庁の長官に御質問を申し上げた友ケ島のありまする加太港、これは非常に小さい港でありますけれども、もともとここには旧軍時代には要塞のあった地帯でかなり重要な港であるのでありますが、これの改築の問題について一般事業費の中から――これはもちろんことしはとうてい無理だろうと思うのでありますけれども、地元の方から絶えず要望しておるわけでありますが、今後においてその点の御考慮が願えるかどうか、この点が一点。それからもう一つは、和歌山港というのは、和歌山と下津を一緒にして和歌山下津港として貿易港に指定してもらったいきさつもありまして、そのちょうど中間になるわけでありますが、黒江湾にある黒江港の問題については、昨年からだったと思うのでありますが、運輸省の方でこの港の整備についていろいろ御尽力をわずらわして相当の事業費も見ていただいているのでありますが、本年度は黒江港の問題はどういうようになっておりましょうか。きわめて小さな地方的な問題でありますけれども、御答えが願えれば仕合せであります。
  50. 黒田静夫

    ○黒田政府委員 お尋ねのございました和歌山の港は、お説のように和歌山と黒江と申しますか、海南と下津と三港合せて一つの港湾として運輸省では重要港湾に指定いたしておりますが、これがそのまま開港場になっておるわけであります。従いましてこの和歌山港は運輸省の出先の直轄機関がございまして直轄工事を進めております。和歌山におきましては、非常に港勢が発展いたしまして四国との関係も盛んでございますので、ことしは在来の施設に接続いたしまして浅橋を延長していきたい。それから海南と下津におきましては、内部の防潮の工事を終了いたしましたので、外の防波堤の工事促進いたしまして、高潮に安全なような静穏な水面を造成していくことに重点を置いてやっていきたいと考えております。その工費は目下検討中でございますけれども、全体的に申しまして本年度より一割程度額が減っておりますので、和歌山もおおむねその辺のところではないかと考えております。  それから地方港湾としましての新宮、宇久井、加太でございますが、新宮と宇久井は数年前から継続で地方港湾として修築工事を続行いたしております。ことしも前年度に引き続いて、多少事業費は減るかもしれませんけれども、これをできるだけ延ばしていきたいというふうに考えております。加太につきましては、戦争中ここが要塞地帯でありました関係施設がおくれておりますが、昨年から実は多少事業にかかっておるのでございます。しかしながら地方港湾として新規に港を改修することは、大きな港湾事業費として新規に取り上げることが一般的に原則論としてむずかしいものでございますので、一年限りの単年度事業の局部的な改良を、昨年加太において実施いたしたのでございます。本年度につきましては、原則といたしましては一年が目標でございますので、引き続き二年いたすかどうか目下検討中でございます。
  51. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 和歌山、海南、下津、特に下津の関係は、今日アメリカとの関係においても、日本の国内でアメリカ軍が消費する油は全部一たんここへ入っているわけであります。それから和歌山港の方は最近海外向けの貿易品の積み出し等の関係からも、漸次港としての体裁が整いつつあるわけであります。その意味で重要港湾として指定もしていただいて、いろいろ施設を願っているわけでありますが、せっかくそういうように始めていただいているものでありますから、一つ、一日も早くこれが完成するように引き続き御努力を願うことを希望しておきます。  なお造船関係外航船舶の建造融資利子補給の問題について伺いたい点があるのであります。これは大蔵省との関係で質問をいたしたいと思いますが、大臣もまだお見えになりませんので、この点は私総括質問のときに、本委員会ですることに保留いたしまして、私の運輸省予算に関する質疑はこれで終ります。
  52. 上林山榮吉

    上林分科員 われわれ与党の委員は、本委員会において発言の機会もなくて、議事を進行するために遠慮して参っておるのでございますが、分科会でありますので、少しばかり質疑を試みたいと思います。  まず第一に、重要港湾のうちで県工事でやらなければならぬものを運輸省に委託してやっておるものとして、鹿児島港あるいは熊本の本渡瀬戸港などがあるわけですが、これは従来から所管外といいますか、直轄へ移管せよといいますか、そういう要望が非常に強いのでありまして、また両方ともこれはそういうふうにしてもさしつかえない時期にもう来ておる、こういうように考えたのでありますが、これが障害になっているのは一体具体的にいって何があるのか。かつまた重要港湾として指定した以上は、港湾の振興というものを極力はかっていかなければならない責任が運輸当局にもあるかと思っているのですが、その辺の障害があればその障害を承わりたい。たとえば大蔵省当局などが、これは実質的には予算増加にはならぬと考えておりますが、形式上予算の増額になるというようなことで、事務的にあるいは政策的に反対しているんではないか、もしそれそういうふうなことであるとすれば、これは私はあまりにも狭いところの考えを持った、一種のこれはセクショナリズムだ、こういうふうに考えるのです。この辺に対する率直な運輸当局の御意見を一つ承わっておきたい、こう考えます。
  53. 黒田静夫

    ○黒田政府委員 日本の全国に港が約二千ございます。このうち八つの港が特定重要港湾になっておりますし、六十数港が重要港湾に指定されております。この六十港程度の港湾の中に鹿児島が一つあるわけでございます。そこで重要港湾として運輸省が直轄で工事を進めておりまする港湾は約その半分の三十数港でございます。鹿児島の場合について御説明を申し上げますと、従来鹿児島の港は大正の末期から昭和の初めに当りまして直轄で港湾工事実施いたしておったのですが、一応完成いたしましたので、工事事務所を閉鎖して、昭和二十七年まで参ったのでございます。昭和二十七年に枕崎に上陸しました猛烈な台風で鹿児島県下の港湾は非常な災害を受けまして、その災害復旧工事促進するのに全力をあげる必要があるので、県として工事を引き受ける面と、運輸省として工事を引き受ける面を定めまして、鹿児島港は港湾工事でもある関係で、運輸省が直轄で工事をいたそうといたしたのでございますが、これは災害復旧工事でありますがために、法的に直轄工事ですることができなかったので、委託の形式をとって、委託工事としてその二十七年の台風の災害復旧工事実施して参って、昨年度までにおおむねこれを完成して参ったのでございます。ところがだんだんと災害復旧工事が完成して参るにつれまして沖繩の航路の問題、奄美大島の返還に伴なって鹿児島港の地方的の発展が非常に盛んになりまして、ここに三千トン級の航洋船の接岸する岸壁施設を増築する必要ができたのでございまして、昨年度からやはり同じ委託でもってこれを新規に取り上げて実施をいたしておるのでございまして、本年も引き続き委託工事として実施いたす予定になっておるのでございます。これを直轄でいたしますと、ちょっと数字的になりますが、かりに鹿児島港でおおむね二千万円程度事業をやるといたしますと、委託で引き受けますと、県が事業主体でございますので、二千万円の事業量に対して、国がおおむね五割の一千万円を補助いたし、それから地元の県が一千万円のお金を出して、二千万円の仕事をするわけでありまして、国が補助として出しまする五割は、これが歳出に上ってくるわけでございます。これを直轄に切りかえますと、事業量が二千万円になりまして、二千万円全部が歳出に上って参りまして、その半分の一千万円は地元の県が負担いたすような形になるのでございます。この一千万円は、別に歳入として上って参るのでございまして、歳出の面から見ますと、委託でやる場合には一千万円、直轄でやる場合には二千万円でございまして、事業そのものは何ら変りないのでございます。そこで私ども港湾修築を担当いたしておるものとしては、この港湾工事事業量が非常に最近少いものでございますから、できるだけ事業を少い金で伸ばすのには、歳出面を一千万円にして、なおほかの港湾でも残りの一千万円に相当する事業をやれば、それだけ事業は伸びるという考えを持っておるわけでございまして、そういったようなわけで、今年度も引き続いて目下のところ委託で引き受けてやる予定になっております。
  54. 上林山榮吉

    上林分科員 ただいま承わったところによりましても、実質的には経費の増にはならない。形式上一般会計の歳出増になるわけでありまして、何ら国としては負担の点においては実質的に変りがないのであるから、重要港湾の性質にかんがみて、しかも安定性を持った、安心感を持ったやり方をする上においては、私はそういう形式にとらわれることなくして、本来の重要港湾の使命にかんがみて、大蔵当局においても、あるいは運輸当局においてもこの際早目にこれを切りかえていく、そういう複雑なやり方をしないという方向に進んでもらうことを希望いたしまして、この点はこの程度にいたしておきます。  さらに田中委員も触れられたようでありますが、運輸大臣から答弁もありまして、私は双方とも傾聴しておったのでありますが、すなわち観光事業の拡充の点であります。これはもう形式的には、単に観光であるけれども、一種の型の変った貿易である、だからこれを裏においても表においても一つ拡充していかなければならぬという意味において、私は観光協会等が堅実に発展することを望むものでありますが、それとあわせて考えたいことは、政府の機構というか運輸省内に観光局を設けて、対外的にも信用のある陣容をもって進んでいく時期に到来しているのだということであります。これは政務次官として御答弁下さってもけっこうであるが、大臣としてもこの際思い切った処置をすべき時期にきているのじゃないかと思うのであります。内外呼応して整備して、観光事業発展をはかる意思はないのか、こういう点について何かきまった案があればこの際お示しを願いたい、こういうように考えるのであります。
  55. 河野金昇

    河野(金)政府委員 観光事業整備拡充をはかることについては、上林山委員にも非常に御協力を願っておるのでありますが、先ほどの田中委員の御質問とも関連しておりますが、今まで観光事業というのがいろいろ分かれておりまして、それをこの際、民間でいろいろ分散的にやっておったのを一本にして、国の方からも補助を出して、強力に進めるという態勢を作ったのであります。運輸省内の観光部を局にしようという話については、上林山氏の御意見として承わっておき――これは運輸省、国鉄を含めての機構改革の問題ともからんできております。この間の紫雲丸事件等にかんがみて、船舶の部門のごときも局にはおろか部にもならずに、課というようなところでやっておったというようなこともいろいろ指摘されておりまして、そういうようなこと等も勘案し、今後機構改革の際には当然考慮を払わなければならない一つの問題点であろうと思いますが、十分傾聴いたしておきます。
  56. 上林山榮吉

    上林分科員 省内のあるいは国鉄内の機構の改革は慎重にやらなければならないのでありますが、重点は能率を上げなければならぬということと、日本の国策が今どこに動いておるかという生きた事情を前提として考えていかなければ、それこそ単なる省内あるいは国鉄内のセクショナリズムを激化せしめるというだけに終るのでは、これは機構の改革にならないのであって、今申し上げた観光事業のごときは、これは政府が六カ年経済計画を立てて、経済の復興をはかるのでありますが、これも一段とやらなければならぬが、これをやっただけではいわゆる輸出の振興というものは思うようにいかぬ。これの裏づけをなしていくものは、やはり観光という一つの型の変った貿易というものを考えなければならぬ。そういう大きな観点から考えていく場合に、私は優先的にこの観光事業ということを取り上げなければならぬと思う。その観点からいえば、局の設置のごときは私は当然急いで研究しなければならぬ課題であろう、こういうように考えますが、ここで論争はいたしません。そういうきわめて積極的な要望を申し上げておきます。  その次にお伺いいたしたいことは、新丹那トンネルの問題でございますが、あれを私ども視察いたしまして、戦時中にやむを得ず中止したとはいえ、あのままにしておくということは、交通あるいは経済その他からいってまことに遺憾である、こういうように考えておるのでありすが、あれを貫通するについて運輸省で、あるいは国鉄で最近具体的に調査をされたことがあるかどうか。あるいはまたかりに国鉄がこれを使うとすれば、総経費は幾らかかればできるか、あるいは運輸省でもてあましておって永久にこれはどうにもならない、あるいは当分どうにもできない、こういうのであれば建設省あたりとも相談して、東京と関西地方をつなぐ、いわゆる経済、交通、文化のスピード化という点から、これは建設省に移管してやらせてもいいのではないか、こういうように考えるが、今までこれに投じた費用、あるいは最近調査をしたかどうか、あるいはやるとすればどれくらいの経費が今かかるか、この点について、もう決してかけ引きは要りませんから、一つ率直に具体的な答弁を願いたい、こう考えます。
  57. 植田純一

    ○植田政府委員 この問題は、あるいは国鉄当局から御答弁願った方が適切かと思いますが、一応私運輸省の方でわかっている点について御答弁申し上げます。  ただいま御指摘の新丹那トンネルは、御承知通り戦前新幹線、いわゆる弾丸鉄道建設計画の一環として着工いたしたのでございます。ただいま御指摘の工事費の関係を申し上げますと、全体で約三十九億くらいかかる予定でございます。そして今まで投じました経費は二億程度でございます。  それから未完成のこの新丹那トンネルをどうするかという問題でありますが、御承知通り現在の東海道線はその後だんだんと輸送力が行き詰まって参っております現状でありまして、現在のまま推移いたしますと、東海道線、特に東京寄りの丹那を中心とした沼津、静岡付近、そういう区間の輸送力というものは非常に行き詰って参ります。従いまして、近い将来に線路増設もしなければならなぬという必要も起ってくるのではないか、かように考えられますので、現在の考え方としては、現在の東海道線の輸送力の今後の推移と申しますか、増加趨勢という点を考えまして、近い将来当然問題となるところの線路増設ということのために、実はこの新丹那トンネルというものは、その場合の予備的な施設ということを考えておるわけでありまして、これを現在の状況において直ちに他の用途に向けるといというような点につきましては、そういう今後の趨勢を考えて慎重に考慮しなければならぬ問題ではないか、かように考えておるわけであります。
  58. 上林山榮吉

    上林分科員 あのままにいつまでもしておくことは宝の持ち腐れになるというように考えるので、運輸省あるいは国鉄として線を通すなり、あるいは自動車専用道路にしてこれを有料道路にするとか、何か具体的な案を積極的に御研究になっておれば、われわれはそれに協力をするにやぶさかでないけれども、今のままにほうむっておくということは、目鼻が何らつかないのに、将来の交通の趨勢を見た上でという、そういう微温的な考えでは私は賛成いたしたかねるので、この際道路改修費をよけい持っている建設省に移して、そうして有料道路としてこれが開さくをするならば、あの付近の住民の便から考えてみても、十国峠を越えて熱海へ来ると二時間かかる。それがあれが貫通することによってわずかに二十分で来れる。こういう状態であり、これを大きく将来関西地方と東京地方をつなぐ経済道路、こういうような点から考えてみても、むしろ建設省に移した方がいいのじゃないか。ただし先ほど申し上げた通り、あなた方が積極的に線を敷くとか、あるいは一、二年後には研究の上でこれに着手する、自動車専用道路でもいい、あるいは採算が合わなければ有料道路にこれを活用してもいい、こういうふうに何か具体的な考えをお持ちにならないと、私は将来この問題は皆さんがこれを保持していこうとしても、保持できない事態がくるのじゃなかろうかと考えるのであります。どちらでやっても国家のためであり、交通あるいは経済の交流のためでありますから、単に国鉄が最初着手したのだから、これをわれわれは、目鼻がつかぬけれども、あくまで死守しなければならぬというお考えは、この際おやめになった方がいいのじゃないかと私は考えるのであります。これは局長だけの御意見ではお気の毒と思いますが、通り一ぺんの答弁ではなしに、もっと何か一つ具体案を持っていなければならぬ。私はこう考えるのであります。単にあの付近の小さな地域における交通、経済の問題ではなくて、私はこの大東京とあるいは関西地方、もっと大きくいえば、これは東京から西の方の本土をつなぐ一つの大きな交通道路だ、あるいは自動車専用道路だ、こういうように考えるのでありますが、一歩進んだお話ができれば承わりたい。
  59. 河野金昇

    河野(金)政府委員 上林山委員のおっしゃる通りに、東京と関西、中京とを結ぶ一つの大きな障害が、丹那トンネル、あるいは今お話の新丹那トンネル付近であることは、御指摘の通りである。最近の東海道線も、東京を中心としたところが非常に輻湊してきておりますから、近日発足する国鉄経営調査会等においても、これは当然議題といたしまして、至急これの利用方法を研究いたしまして、後日きょうのあなたの御指摘にこたえる日の早からんことを期しております。
  60. 上林山榮吉

    上林分科員 所管の問題を離れれば、問題は財源の問題だけだろうと私は考える。財源の問題だけであれば、わずか四十億の金でありますから、二十年間も有料道路でこれを経営していくということになれば、私は採算がとれると思う。二十年間、あるいはそれができなければ二十五年間、この間には十分に採算がとれる。運輸省や国鉄でこれがやれないということになれば、ガソリン税その他で道路財源を持っている建設省に移した方が早くできる。財源の点は、現在の財政上では、この二つしかないと私は考える。この二つのどれを選ぶか、これは私はまじめな研究課題でなければならぬ、こういうように考えるのでありますが、その辺のことを承わっておきたいと思います。
  61. 河野金昇

    河野(金)政府委員 これは実は私たちも真剣に国会でも論議していただきたいと思っておりますが、建設省等が道路を作るような場合には、ガソリン税をふやすとか何かで非常に合理的にやっていただいております。国鉄は、どちらかというと少しまま子になっているような傾向があるのであります。たとえば運賃を上げるということはなかなかできませんし、なかなか御承認も願えないのであります。同時に新線を敷くのも、建設省が道路の費用なんかをガソリン税で取り上げて作れるような何らかの考慮をしていただけば、国鉄としても新線なんかは、現在問題になっている二十三線はもちろんのこと、今御指摘の問題なんかも当然解決できる問題でありまして、一体国鉄の新線予算というものを、現在のような赤字経営をしている国鉄自体の経営においてやらせるのか。それとも、この二十五億というものも、赤字経営をしている国鉄が――これは国鉄が借り入れてやるだけでありますが、こういう現在のような形においては、国鉄が新線を作るとか、あるいはトンネルを掘るというようなことも非常に困難かと思います。従って私どもは、今度国会の承認を得て設けられる調査会等においては、当然国鉄のあり方、国鉄の中でも特に新線というものに対して国がどういう扱いをしていくかということ等も諮問をして、そうして実は国会の審議を仰ぎたいと思っているのであります。金を出すことをちっとも考えていただかないで、運賃は上げてはいけない、それから新線は敷け、国の方からは予算は出してやらない、それでお前の方がやらなければこっちへ取り上げるぞということは、これは少し考えていただかなければならぬ。こういう根本的のあり方に対して、鉄道建設審議会なり、あるいは新たに設けられるこの経営調査会等において結論を出しまして、そうして皆さん方の御協力のもとにこういうような問題も至急解決する方向にいきたいと思っております。
  62. 上林山榮吉

    上林分科員 国鉄全体の経営ということについては、私どもも根本的にメスを加えたいと考えているのであります。また不合理な点も非常にあると思っておりますが、さらに御指摘の協力態勢ももちろん積極的にいたしたい、こういうふうに考えているのでありまして、御苦心のほどはよく察することができます。ただ私は新丹那トンネルの問題だけを摘出してここに問題にしたのでありまして、この場合は、今言うように、いずれが作っても国民めためなんだから、早い方法を選べばいいのだ。それには二つしかないのだ。今財源がないといわれるから、財源のあり方をお示ししたわけであります。自動車専用道路として、有料道路として経営すれば、財源は出てくるのであります。これを選ぶか、それとも、今ガソリン税で道路建設費を持っている建設省に移して国民の利益をはかるか、この二つなんだ。問題を限定して私は申し上げているわけで、国鉄全体の経営というものに対しては、積極的に協力しなければならぬ面と、もっと根本的にメスを加えて合理的な経営に持っていかなければならぬ両面があると私は考えております。これ以上論争はいたしませんが、最後の、有料道路にして、三十九億円の費用を入れてどれほどの年限で償還できるかという案をお考えになったことがあるか、その点を伺って質問を打ち切りましょう。
  63. 河野金昇

    河野(金)政府委員 道路にするか、あそこに鉄道を敷くかということを根本的に検討しなければならぬと思います。金さえあれば、有料道路なり何か作れといえば作れますが、一体輸送の動脈である東海道線を今日のままでいいかどうかという問題であると思います。だからその問題と関連して、やはり上林山氏の御指摘のこの問題は検討しなければなりませんが、ただ今あなたのおっしゃるように、この問題だけに一つ限ってどうだとおっしゃっても、事務当局としてももちろん返答はできないだろうし、私たちも国鉄当局とももう少し話し合いまして、国鉄に対するところの新線の費用の出し方等を検討して、その見通しがつけば当然私は東海道線の輸送力強化として考えなければならぬことであって、永久に今のような国鉄のあり方において置かれるとするならば、これはまた別途考えなければならぬ問題で、今この一つを切り離してここで結論を出そうということは、少し御無理でなかろうかと思いますから、御意見のほどは承わってわれわれも研究をしたいと思います。
  64. 上林山榮吉

    上林分科員 どうも政務次官は私の言う意味がわかってくれているようでもあるが、まだ不十分だと思います。というのは国鉄全体の経営というものは、あなた方が一カ月や二カ月かかって御研究になったところで、これは十分な結論は出ません。それほど複雑であり、それほど経営の不合理的なところが多いわけであります。また国全体の財政という点から考えて、おっしゃるようにどの程度国がこれに協力できるか、そういう大局的な議論になりますと、もうおっしゃる通りです。かぶとを脱ぎます。けれども私の言うのは、そういう全体のけじめがつかなければ、相当の期間あのままほうっておいてもいいということにはならないのであって、全体というものは考えるが、ある一つを摘出して考えても解決の方法があると考えておるのです。だから今申し上げるように、線を引くのか、国鉄の自動車専用道路にしていくのか、どちらなんだ。そういう研究をされたことがあるのか。それにはどれだけの費用が要るのか。費用はこれだけ要るけれども、全体の経営が悪いから一年間はできないとか、三年間は見通しがつかぬとか何かあるはずだ。だからこのままに置かれるのであれば、一つ有料道路としてお考えになってみてはいかがですかと言うのです。私はただやれやれというのじゃなくて、財源にお困りだと思うからこういう方法でお考えになったことはないか、こういうことなんだ。今聞いておると、何も研究していないということなんだ。事務当局も研究しておりません。政務次官もまた十分事務当局の意見を聞く機会がなかったらしい返事であります。だから私は決して論争するわけじゃないですが、いずれにいたしましても、そういう具体的な御研究を最近したことがあるかということなんだ。それができるかできないかということは今おっしゃるように、全体の計画あるいは国全体の財政、そういう点からの優先順位というものはあろうから、私はそれは追究いたしません。これはおっしゃる通りです。この点を何もおっしゃらないから議論が長くなるわけでありますから、その点だけを一つお示し願っておけばけっこうです。
  65. 植田純一

    ○植田政府委員 上林山委員の御質問の要旨はよく了解いたしました。ただ私どもといたしましては、その前提といたしまして、先ほどちょっと言葉も不十分でありましたが、現在の鉄道輸送量がふえていく趨勢から見まして、近い機会にどうしても鉄道を引かなければならない、線路を増設しなければならないような状態に陥るという前提で鉄道線路を増設するといたしますと、これは道路と違いまして、立地条件と申しますか、現在の鉄道との摩擦の関係もありますので、場所が限られます。従いまして新丹那トンネルの用地は、当然そういうことが予想される場合の鉄道線路として保留しておきたい、そういう考え方に立脚しておるわけなんです。その点につきましては、国鉄の施設局長が参っておりますので、さらにその点の説明を補足させていただいたらどうかと存じておる次第であります。考え方といたしましては、あくまで鉄道線路増設の必要性が早晩起ってくる、その場合、保留としておかなければ用地の確保ができないということで今考えておるわけです。その点につきましては検討いたしておるのであります。
  66. 上林山榮吉

    上林分科員 今承ると交通の量から考えて、東海道線の交通量を緩和するために新線を引くのだ、その線で研究を進めておるのであるということです。私も同じ意味から質問をしておるのでありまして、その交通を緩和するために自動車専用にするのが最も適当ではないか。そうする場合、国鉄がやってもよろしいが、財源の関係でできないというならば、今言ったように有料道路として国鉄が経営する。すなわち自動車専用道路として交通を緩和するために有料でもいいから採算が合うような計画をお進めになってはいかがであるか、そういう研究をいたことがあるか、こういう私の質問であります。それでは今おっしゃるように交通緩和の点から新線を引く予備地としてとってあるのだ、そしてそういう観点から研究を進めておるのであって、その他の問題は今考えておらないというふうに了承していいのでありますか。
  67. 植田純一

    ○植田政府委員 その点は国鉄当局におきましても、いろいろ技術的にも研究しておりますので、国鉄当局からの説明を聞いていただきたいと考えます。
  68. 佐藤輝雄

    ○佐藤説明員 今の新丹那トンネルのことについてお答え申し上げます。私たちといたしましては、あのトンネルを道路に使うかどうかという研究はしておりません。ただあのトンネルが近い将来に必要になるかどうかということは考えております。私たちといたしましても、東海道の道路交通におきましても、確かに箱根の山脈にさえぎられまして、あそこがネックでありまして、輸送の新しいルートができたならば、国家のためにもまことに仕合せなことであるというように思っております。しかし振り返ってみまして、私たちの国鉄の東海道線の現状を見ますと、丹那トンネルは現在列車が九十一回くらい通うております。線路容量におきまして百回近いのでありますから、やがて容量一ぱいになってしまう。そうするとそれ以上東海道線には列車は入らない。現に御承知のように東京から参りますと、平塚までは旅客線と貨物線とが二つに分れております。ところが平塚でまた旅客と貨物とが一緒になって複線で走っておる。そこで相当窮屈であります。ことしあたりはEH型の電気機関車を使いまして、貨物列車の速度を上げてようやく入れておるというような状態になっております。ですから丹那トンネルの容量は、近い将来において行き詰まるということがはっきりしておる。ただこれに要する費用は、さっき申しましたように三十九億で線路の取りつけ関係もそう楽でないという問題がありまして、われわれといたしましては何とか早くこの機会にこれを実現したいと考えております。それからあのトンネルを道路トンネルに使うかという問題ですが、道路トンネルと鉄道トンネルとはちょっと違うのです。鉄道の線路と申しますのは、カーブ、勾配が非常にうるさくて、東海道線のごときは特甲線といたしまして、大体八百メートル以上のカーブ、八百メートル以下になりますと、九十五キロ以下の制限をいたします関係上、八百メートル以上のカーブ、勾配といたしましても、東海道線は特甲線といたしまして大体千分の十以下に考えております。そういうようなことをいたしますと、丹那のあの地帯でどこに新しいトンネルの位置を選ぶかというと、大体場所がきまってきます。鉄道のトンネルといたしますと、現在ある新丹那の位置がいいということがいえる。道路のトンネルはそこにいきますと――私専門じゃございませんですが、大体道路のカーブとか勾配というものは鉄道に比べればはるかに楽になっております。きついカーブでもきつい勾配でもとりつけます。しかしその道路隧道といたしましたときに、あの位置が果して道路のトンネルとして適当かどうかということは検討しなければならないと思います。現在国鉄といたしまして三十九億の総工事費のうち、二億使いますが、あと三十七億使い、約四カ年間の日子を費せば大体できるということになっております。道路隧道といたしまして場所を変えましたとき、あるいは隧道の延長をもう少し短くするといたします。そうするとあるいは三十七億でなくて三十五億でもできるかもしれぬ。ですからそういう点は検討しなければならないと思うわけです。その点は私はまだ検討いたしておりません。それともう一つは、道路の隧道といたしましたときの断面の大きさ、並びにあそこを通りますととにかく七キロ九分でございますから、普通のトンネルでだめじゃないか。自動車から出ます排気ガスを機械的に換気する装置も作らなければだめだろうと思います。そういうことから道路隧道といたしましたときの断面がそれでいいかどうか、その他の設備を考えてこれを考えなければならない。それからもう一つは、そういう場合にこれは断面が変るかどうかわかりませんが、そういう場合には、現在の隧道にあれは割合に接近しておりますから、その点も考慮していろいろ工法を考えませんと、また現在の隧道に山の悪いところがございますから、偏圧がかかって、あの現在の隧道にひびでもくるというようなことになりますと、今度は東海道もとめてしまわなければならないということも起る可能性もあります。いろいろ技術的にも検討してきめるべきじゃないかこう考えております。
  69. 上林山榮吉

    上林分科員 技術的に検討しなければならぬことは言うを待ちませんが、あなた方の今の発表を聞くと、研究が足らない、信念のある科学的な調査をやっていない、こういうことしか私は言えないと思う。だから話を聞くとすべてが想像論なんです。これでは私は納得いきません。私の言っているのは、交通を緩和するということに重点を置いて考えていかなければならぬということなんです。その一点としては、線路を通すのかあるいは自動車専用道路にする考えはないのか。財源に行き詰まっておるとするならばこういう方法があるんじゃないか、こう申し上げておるのであって、その線に沿っての研究はまだしていない、こういうように受け取れる答弁としか思えません。国鉄が経営されていいのです。決して私は建設省に持っていけと言っているのじゃない。いわゆる自動車道路としての経営をやる考えはないか。それがないならば――新線として研究もまだ十分にしていないじゃないか。どうも不徹底だ。それならば同じ考えで国民のためにどっちもなるのだから、早くできる方法を選んだ方がいいのじゃないか。運輸省で選ぶならそれもよし、国鉄で選ぶならもちろんそれもいいが、それがどうしても研究の結果できないというなら一つ国民のためになるのだから建設省に移してしまえ、こう申し上げているのです。この点をはき違えないように、もっと具体的に御研究下さって、結論を近い将来にお示し願いたい。決して私どももやぶから棒にあすあさってこれをやれというわけじゃない、もう少し速度を早めて御研究になってはいかがですか、こういう趣旨の質問でございますから、これをもって終ります。
  70. 稻葉修

    稻葉主査 野田卯一君から質疑の通告がありますが、御本人がおいでになりません。ただ内容がわかっておりますので、便宜主査から質疑をいたします。  鉄道の一等車を廃止するということがいわれておるが、そういう御意思がおありなのか。もしあるとすれば、廃止の理由はどういうことであるか、簡単に御答弁願います。
  71. 唐沢勲

    ○唐沢説明員 今国鉄で一等車が約五十両ございますが、そのうち二十四両ほどが寝台車で、昼間は普通車、夜は寝台車、これが東海道線から九州、また東北線から北海道というふうに走っております。それから一等の展望車が、つばめとはとについて東京大阪間を走っております。その一等車が、一つには一等の展望車が効率が非常に悪いのでございます。といいますのは、非常に乗り手が少いというような点が一つございまして、料金からいいましても、一等、二等、三等の割合は、従来過去たびたび変っておりますが、現在は三等の四倍になり、しかも税金がついておりますので、相当高くなっております。そういうような関係で、その値段にふさわしいサービスを提供していくというわけにもいきません。それからもう一つは、世界各国の情勢などを見ましても、最近等級というものは、一、二、三等といったようなものは、大てい二等級制をとっておるというような全体の世界情勢に応じていくというような点を考えまして、一等車というものを一応廃止して、二等車にし、そうして展望車については特別の展望車料金というものを設定する、それから一等の寝台はほかの寝台よりも若干はスペースも大きいし、また冷房等の装置もありまして、いい点もありますので、それにふさわしい程度の特別料金を作る、こういうようなことはどうであろうかということで、いろいろ研究をしてきておるのでございます。ただいま得ております結論は、すぐに一等を全廃というところまでいくほどの必要もないのじゃないか。展望車というものはやはりいろいろ利用する人もあるし、また効率も現在のところはそう悪くもないから、展望車は残しておいて、残すなら一等ということで残していいじゃないか。また寝台の方は、今申しましたような効率の点から見ても、設備の点から見ても、二等にして、二等の今の寝台料金よりも少し高い料金でどうだろうというような御意見などもありまして、これらを参酌しまして、大体一等、二等、三等というその制度はそのままにして、展望車は残しておこうか。一等寝台の方は二等にして、ただし若干今の寝台よりも高い料金をきめよう、そうすれば今相当込んでおります二等の寝台の客の緩和にもなりますし、また場合によりましては、不経済なその二等及び一等の二つの寝台のついておるところで一両で間に合うところは、その一両をはずして、込んでおる三等の客車もつけられるというようなこともできてくるし、また余った一等車を今二等寝台のついていない列車につけるというようなことも考えられる。結局そういったような程度で、一等展望車は残すが、二等寝台についてはそういったような措置を講じたらどうかという程度のことで、目下その成案を練っておりますが、これにつきましては、運輸省の方の認可ということもございますし、また相当等級制の問題にもなりますので、関係の方面にも御了解を得た上で実施したい、かように考えておる次第でございます。
  72. 稻葉修

    稻葉主査 これにて運輸省所管に関する質疑は全部終了いたしました。第四分科会運輸省所管審査はこれで終了いたします。     ―――――――――――――
  73. 稻葉修

    稻葉主査 続いて建設省所管質疑に入ります。
  74. 田中織之進

    ○田中(織)分科員 分科会の運営については、予算案のできるだけすみやかな成立という関係からわれわれ協力をして参っております。各分科会の様子を見て参りますと、与党側が一人も出席しておらないという関係で、一、二、三とも休憩になっている。この委員会は与党の両君が出ておられるわけでございますが、各分科会が休憩をいたしまして理事会を開いて分科会の運営について協議をしよう、こういう段階に進んでいるようでありますから、この委員会も定足も欠けておりますから私は休憩してもらいたい。なお委員会外で予算折衝が行われていることは、これは予算案成立のために必要なことであろうからわれわれとやく言いませんけれども、しかし分科会が開かれているのにその予算折衝の片っ方の自由党が一名も出て来ておらない。こういうような関係では私はやはり分科会自体、予算委員会自体の立場から見ても、このままで運営することは適当でないと思う。議事進行について休憩の動議を出しますが、委員長において善処してもらいたい。
  75. 稻葉修

    稻葉主査 それでは暫時休憩をいたします。    午後三時二十三分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は開会に至らなかった〕