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1955-07-15 第22回国会 衆議院 予算委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月十五日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 三浦 一雄君    理事 上林山榮吉君 理事 重政 誠之君    理事 中曽根康弘君 理事 小坂善太郎君    理事 赤松  勇君 理事 今澄  勇君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       稲葉  修君    宇都宮徳馬君       小川 半次君    河本 敏夫君       高村 坂彦君    椎名悦三郎君       竹内 俊吉君    楢橋  渡君       林   博君    福田 赳夫君       藤本 捨助君    松浦周太郎君       三田村武夫君    牧野 良三君       村松 久義君    森下 國雄君       山本 猛夫君    米田 吉盛君       相川 勝六君    植木庚子郎君       太田 正孝君    北澤 直吉君       倉石 忠雄君    周東 英雄君       野田 卯一君    橋本 龍伍君       平野 三郎君    福永 一臣君       町村 金五君    山崎  巖君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       久保田鶴松君    志村 茂治君       田中 稔男君    福田 昌子君       柳田 秀一君    井堀 繁雄君       池田 禎治君    中村 時雄君       西村 榮一君    松尾トシ子君       久保田 豊君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 松村 謙三君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 三木 武夫君         労 働 大 臣 西田 隆男君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房長官 松本 瀧藏君         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    酒井 俊彦君         外務事務官         (条約局長)  下田 武三君         大蔵事務官         (主計局長)  森永貞一郎君         農林事務官         (農地局長)  渡部 伍良君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (鉱山局長)  川上 為治君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 七月十四日  委員川上貫一辞任につき、その補欠として久  保田豊君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員井出一太郎君、北村徳太郎君、河本敏夫君、  渡海元三郎君、福田赳夫君、山本猛夫君、太田  正孝君、西村直己君、阿部五郎君、田中織之進  君、河野密君、中島巖君及び三宅正一辞任に  つき、その補欠として椎名悦三郎君、竹内俊吉  君、高村坂彦君森下國雄君、米田吉盛君、林  博君、山崎巖君、町村金五君、淡谷悠藏君、石  田宥全君池田禎治君、杉村沖治郎君及び松尾  トシ子君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)     —————————————
  2. 三浦一雄

    三浦委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。  質疑を継続いたします。平野三郎君。
  3. 平野三郎

    平野委員 私は自由党を代表いたしまして、本日は本委員会議題となっておりまする余剰農産物資金融通特別会計を中心として若干の質問をなさんとするものであります。  実はこの特別会計をめぐりまして政府部内において意見相違と申しますか、非常な食い違いがあるように思われるのであります。すでにこの特別会計の基礎をなしておりまする余剰農産物受け入れ協定国会に承認を求められたわけで、その際各委員会におきましてそれぞれ質疑が行われましたが、これに対する関係者閣僚の御答弁がはなはだしく食い違っておるような印象を受けておるわけでございます。すなわち閣内が不統一である、こういうふうに見られるわけでありますが、まずその点をただしたい。  この点につきましては本日は副総理からお瀞尋ねを申し上げたいのでありますが、まだ御出席がありませんので後ほど御出席の上であらためてこの点をお尋ねいたしますが、その前にこの食い違い一つの大きな例といたしまして、松村文部大臣お尋ねを申し上げますが、あなたは去る六月二十三日、参議院の文教委員会においで、矢嶋三義君の質問に答えてこのようなことを言っておられる。今のところ余剰農産物協定は今年限りのものと考えている、わが国の長期計画を、農産物ただでもらえるとか安く買えるというようなことで立てることは独立国としては危険なことと思う、こういうことを申しておられるわけです。そうしますと、この協定は毎年々々結ぶわけでありますから、もちろん来年のことは政府のお考えできまるわけでありますが、あなたはことし限りで、来年はもうこういう協定は結ばないというお考えなのであるかどうか。そうなりますと、大蔵大臣農林大臣とはだいぶ御見解が違う、こういうふうに思われるので、はなはだ政府部内が不統一であるという印象をわれわれは受けるわけでございますので、どういうお考えのもとにこういう答弁をせられたのか。文教委員会におけるあなたの御答弁速記録もここにございますが、この点はっきりしない点がありますので、あなたの真意をここで明らかにせられたいと思います。
  4. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えを申し上げますが、さよう答弁いたしましたのは、この計画はことしはことしだけの余剰農産物の処理でございますので、来年、再来年もするということを予定して計画を立てることはできない、それであるがゆえにことしだけのものとして計画を立てているのだ、従いましていつもこういう安い物が来ると思ってずっと長い計画を立てますと、それには間違いが出てきますから、ことし入ってくる余剰農産物については文部省としてはことしの計画だけを立てておる、来年以後のことはまた来年以後のアメリカとの折衝の結果によってきまることであって、きまったときにはまたそのときに措置をする、こういうことを答えたのでございましたので、これはことし限りでもう来年は来ないというような意味で答えたりではございません。すなわち計画を立てるのにはことしだけのものという想定のもとに計画を立てるわけでございますので、さようお答えを申した次第であります。
  5. 平野三郎

    平野委員 それは非常におかしな御答弁なんです。実は私はあなたにはあまりお尋ねをしようというつもりはなかったのですけれども、そういう御答弁ではさらに追求してお尋ねせざるを得ません。と申しますることは、文部省としてはそうでしょう。文部省は毎年毎年もらって、それで学校給食をやるわけですから、来年来なければ来ないでいいわけですが、あなたは文部大臣であるばかりでなしに、国務大臣として政府全体についての責任を持っておられるわけです。あなたは副総理の有力なる候補者であるというようなことまで私どもは伺っておるわけですから、単に文部行政だけをあなたは担当しておられるわけではない。閣内の有力なる大黒柱でもあるわけです。そのあなたが、文部省だけはそれはそうかもしれませんが、今政府国会に対して審議を求めておられる、たとえば農林省の所管でありまする愛知用水あるいは北海道その他東北方面のいろいろな事業、そのほか電源開発のごときも本年はこの中から百八十二億という膨大な金が投じられるわけです。これは毎年々々引き続いていくわけです。これがもしことしなくなってしまえば、おそらく来年電源開発に対して二百億程度のものは他に財源措置を講じなければならない。おそらく大蔵大臣はそういう御自信は私はなかろうと思う。少くとも愛知用水につきましては、今法案が国会に出されているわけでありますが、幸いにこれが成立すればすぐに着工になりますけれども、これは五カ年計画なのです。本年はとりあえず二十五、六億程度しか投資されませんが、三百億かかるという非常に大きな事業であって、本年二十五億この特別会計から出ましても、来年おそらく六十億、七十億という金がいるわけですし、今後五カ年間には三百億以上の金がいるわけなんです。このうち世界銀行から五、六十億参りますが、この世界銀行借款契約というものもこのアメリカ政府から来る余剰農産物というものがいわば一つ条件になっておるわけでありまして、これがだめになるということになれば、結局世界銀行からの借款も困難になるということであります。もしそういうものはどうでもいいのだ、それは日本政府責任を持てるのだということならよろしいが、おそらく日本の乏しい財源の中からそうした膨大なものを出すということになれば、他に必ずしわが寄ってくるわけでありまして、おそらく大蔵大臣としてはそれに対して自信はなかろうと思うのです。すなわち愛知用水だけについて見ましても、少くとも五年間は継続していかなければこれはやれないものなんです。それをあなたがどういうお気持からか知りませんが、今年限りで来年はやらないのだとおっしゃった。文部省だけとしてはそれは言えるでしょうが、そんなことじゃ済まないのですよ。これは文部大臣の重ねての御答弁を要求いたしますが、あなたは自分の考え方がちょっとそういう方面にまで気がつかなかった、そういうことならばそれでやはり継続すべきものと思うとおっしゃっていただけばいいわけなんです。もう一ぺんお考え直しを願ってお答えをいただきたい。
  6. 松村謙三

    松村国務大臣 お答えを申します。その質問文部省として来年も同じくこの通りにやれるのかということですが、一年々々のことになっておりますからことしだけの計画でやりました。もしもこれがずっと継続してということになりますと、給食費どもずっと安くすることもできますが、そういう継続の見込みは必ずしもつきませんから、ことし限りと申したのでございます。今お話愛知用水等余剰農産物輸入という問題と、学校給食のために向うから贈与をよこすのとはまた別でございまして、従いましてこの普通の余剰農産物輸入の問題とは、関連はありますけれども、また違うわけでございます。全くの贈与でございますので、一年々々の交渉を要することでもありますから、さようにお答えを申した次第であります。
  7. 平野三郎

    平野委員 文部行政に関する範囲内においての答弁である、そういうことならば了解いたしますが、あなたの真意は誤まり伝えられておるのであります。六月二十四日の朝日新聞によりますと、「余剰農産物は今年限り、松村文相答弁」こういう見出しのもとに、あなたは「「余剰農産物協定は今年限りのものと考えている」と述べた。すでに高碕経審長官は明年も同協定を結びたいとの意向を表明している折柄文相のこの答弁は、政府部内に起った異った意見として注目される。」こういうふうに報道されておるのでありまして、今あなたのお述べになりましたこととは違ったように世間には宣伝されておるのですから、こういうことになっては閣内統一であり、農林省のその他のいろいろな計画に重大な支障を与えるわけなんです。あなたはそこに重大な責任がありますから、こういう誤解を一掃せられる必要があると思いますが、その点を特に警告しておきます。  ちょうど重光総理がお見えになりましたので、副総理最初に戻ってお尋ねを申し上げたい。実は今文部大臣お尋ね申し上げておったのでありますが、この余剰農産物協定をめぐりまして、政府の部内において意見の不統一がある。現に今松村文部大臣から釈明がありましたのでその点は了解いたしましたが、世間には高碕長官松村文部大臣とはまるっきり対立しておるというふうに思われておるわけなんです。また石橋通産大臣に御出席をお願いしたいが、通産省の方もこれに対してははなはだしく反対的な空気が強いというふうに、ばらばらになっておるわけです。それではこういう国際的な大問題は、外務省としては国論を統一し、閣内統一して交渉に当らなければこれがうまくいかないことはわかり切っておると思いますが、どうもその点において閣内思想統一が十分できていない、こういうふうにわれわれは疑わざるを得ないのでありますが、きょうは総理がお見えになりませんので、重光さんから副総理という立場において、閣内の足並みがそろっているかどうかという点について責任ある態度を明らかにしていただきたい。
  8. 重光葵

    重光国務大臣 余剰農産物に関する日米協定は、今回の協定は今回の協定、来年の協定をどうするかということは来年の協定に対する方針をきめなければならぬわけでございます。そこで御質問の点は来年の協定に対する方針をどうするかということに帰着すると思います。それはいろいろ研究を要することは当然のことであります。そこで研究自体にいろいろの説が出るのもこれはやむを得ないことでございます。政府といたしましては、この余剰農産物協定は来年も条件次第によってはやりたいと思っております。しかしそれは条件次第でございますので、その条件を十分に考究しなければならぬと考えております。それで大体やりたい、また米国もこれに応じてくれるものだという予想のもとに今その研究等について十分考究をしておる状態でございます そこでその結論をなるべく早く出してこれを漸次交渉に移したい。さような気持で今準備をいたしておるわけでございます。
  9. 平野三郎

    平野委員 それはもちろん条件次第によってきまることは当然のことです。それが非常に不利な条件にもし変ってくることになれば断わるのが当りまえです。しかしながらこの協定をどこまでも続けていこうという気持でいくか、もうこんなものはやめてしまうのだという気持でいくか、その出発点によって違ってくるわけなんです、今保守合同の問題なんかここで言いたくありませんが、これなんかも保守合同目途として政策協定に入るか、あるいはやってみて話がつけばやるのだというふうになる場合と非常に違うのです。やはり最初から保守合同をやるのだということを目途としていかなければ、できる話もできないのです。それと同じであって……、(「その話はやめろ」と呼ぶ者あり)これは話がちょっと脱線いたしましたが、これを最初から結ぼうという意図でもって進んだ場合と、今の松村文部大臣のような、はなはだ冷淡な気持条件がよければやってもいいがという話でいく場合と非常に違う、そこを私は伺っておる。そういう点について誠意あるあなたの御答弁を願いたい。実はこれがもう相当進んでおるということは、去る十五日のワシントン発AP電報によりますと、「米当局が十五日語ったところによると、一九五六会計年度にさらに約八千五百万ドルにのぼる米余剰農産物協定日本と締結するため東京とワシントンである検討が行われている。」こういう報道があります。それではそのある検討というのは、今どういうような段階にありますか。まだ副総理としては、今私が申し上げたような気持をくんで——むろん通産省やその他にいろいろ異論のあるということは、なるべく条件を有利にしたいということから言っておるわけで、その点において、多少の見解相違があるということは当然のことです。当然のことであるが、根本においてこれを結んでいこう——もし来年度失敗すれば、協定ができないということになれば、愛知用水はもうことしは始めているのですから、来年はとんでもないことになってくるわけです。だから、やはりこういうことは進めようということで進んでいかなければならないのでありますが。今政府アメリカとやっておられるところの話し合いがある検討段階まで行っておるということが電報で伝えられておるわけですから。その現段階並びに副総理のこれに対するところの、今私が申し上げたような立場に立っての御信念を明らかにしていただきたい。
  10. 重光葵

    重光国務大臣 信念といってもおかしいですが、今申し上げた通りです。この問題は次年度も引き続いてやらなければいけない。お話通り愛知用水の問題もございます。これはやりたいと思って、向うもまた受け入れて、応じてくれるだろう、こういう大体の見込みのもとに、また見込みがついておりますから、条件次第によっては、これはお話通り、当然のことであります。なるべくこちらの希望する条件をいれてもらって、これを成立させたい、こういう方針で進んであるわけであります。ところが、今のワシントンから何か電報が来ておるということですが、それはどういうことですか。
  11. 平野三郎

  12. 重光葵

    重光国務大臣 AP電報ですか。私はそれはちょっと気がつきませんでしたが、これは誤報でございましょう。まだこれはワシントンで着手をいたしておりません。しかしながらこの点につきましては、きょうの閣議に話が出たのでございますが、これから十分関係閣僚とも協議して始めよう、こういうことにいたしておるのでございます。
  13. 平野三郎

    平野委員 通産大臣お尋ねしたいのですが、まだ御出席はありませんか。
  14. 三浦一雄

    三浦委員長 通産大臣は、今採決があるので、あなたの御了承を得ておるというのですが、もうしばらくお待ちを願います。
  15. 平野三郎

    平野委員 通産大臣に続いてお尋ねをいたしたいのでありますが、お見えになりませんので、順序をかえて、今度の協定についての本論に入りたいと思います。  まずこの協定に基く特別会計というものの内容であります。借款した資金日本側の使用ということについては、安全に日本自主性というものが守られておると思いますが、その点念のために承わりたい。と申しますことは、これは御承知の通り、七割が日本国内事業投資をせられるものであり、さらに一方において三〇%というものがグラントがあるわけであります。これはただである。ただほど安いものはないということでありますが、しかしながらまた一面、それだけにただほどこわいものはないということでありまして、従って、本協定に全く自主性があるかどうかということについては一まつの疑問があるわけであります。おそらくこの金の使い方、たとえば電源の方に幾らやる農業開発幾らやるというようなことは、日本政府の全くの自由であると思いますが、念のためにその点を伺いたい。これは副総理でもけっこうですし、経審長官でもけっこうです。
  16. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。この前のMSAの援助と違いまして、大体は日本が金を払って買うのですから、日本自主性を持つのは当然であります。しかしこれは、相当長期に借りるものですから、農業開発に使うとか、あるいは電源開発に使うとか、あるいは国土総合開発に使うとか、そういう大体のわくだけは最初に申し合せをするわけでありますが、そのわく内において自主性をもって全部使うということには異論はないわけであります。ただしこの結果については、借金しておるのでありますから、報告するという義務は伴っておるわけであります。
  17. 平野三郎

    平野委員 自主性が確立されているということははっきりいたしました。そういたしますれば、この二百十四億の借り入れ資金計画というものは、全く日本政府自主的立場で決定されるわけです。そこで私どもが伺いたいことは、この二百十四億が、今政府の出してこられました予算書によりますと、電源開発に百八十二億五千万円で、農地開発事業についてはわずかに三十億円で、非常に開きがあるわけです。およそこれはアメリカの余った農産物日本に入れるわけでありますから、日本通常計画範囲内であるとはいいながら、日本農業に対する相当の圧迫というものは見えざるものといえどもあるわけなんです。だからこれはやはり日本農業相当重点を置いて投資をされるということでなければ、日本農民としては納得しないと思うのであります。おそらく農林大臣としては、この案についてははなはだ不満があるだろうと思う。本年は愛知用水その他の事業も始まったばかりでありますし、電源の方はどんどん進んでいるから、本年のこの計画については私ども了承いたしますが、来年さらに継続するという場合においては、今までのようなこんな考え方でいったのでは、それこそこれは条件がおもしろくない。これは日本国内の問題ですけれども、そういうことならば、こんな協定は来年はもうやめてもらいたいというくらいの気持になるわけであります。だから来年においては、少くともこの余剰農産物に基く融通資金の半分くらいは当然農地開発事業投資をせられるべきものである、そうしなければ日本農民気持が納得できない、こう思いますが、この点について経審長官並農林大臣のお考えを承わりたいのであります。
  18. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御説はごもっともでありまして、今回の国会におきましてもその御意見は非常に強いわけであります。できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと存ずる次第でございます。
  19. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。ただいま平野さんのおっしゃったことは、私は全く同感でございます。
  20. 平野三郎

    平野委員 次に、私はこの予算内容について大蔵大臣お尋ねいたしたいのでありますが、この予算書を拝見いたしますと、総額が、歳入合計二百十六億三百万円ですか、歳出——歳入歳出ともに同額ということになっている。このうち、この資金計画によるところの借り入れ収入は二百十四億円でありまして、そのほかに利殖金収入というものが一億八千万円計上せられております。おそらくアメリカとの借款協定というものは三年間無利子ということになっているわけで、これを国内に対しては利息をつけて貸される、その差額からこういう利益が出てくるのであるというふうに思いますが、そうでありますか。もしそうであるとするならば、アメリカからはただで借りておるならば、その分だけは、日本国内事業に対してもやはりただで貸すべきではないか。この点がまず一点。そんなことまでして——これは一種の政府の余禄でしょう。ただで借りてきたものを利息をつけて貸してそこでもうけようというような、そういうさもしいことはいかがかと思う。ただで借りてきたものはただで貸すというのが本筋ではないかと思うが、もしまたそこに利殖金収入というものができるといたしますと、この一億八千万円というものは何に使うのか、この予算では明らかになっておりませんが、工の点この点はどうなんですか。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ごもっともな御意見であるのでありますが、今度の買い入れはやはり四%の、年四分の利息を払います。三ヵ年だけは据え置きになるのでありますが、これをこちらも四%で貸し付ける、大体金利はそれでとんとんということになっております。据え置き期間の分がありますので、若干そこでの会計に残るのでありますが、この会計も赤字を出さない、大体とんとんでいける、こういうふうな考え方でおりますので、御了承いただきたいと思います。
  22. 平野三郎

    平野委員 今大蔵大臣はこんなものはごくわずかなものだというお話でありましたが、私はわずかでないのじゃないかというふうに思います。本年度一億八千万円、本年はこの協定がここで承認されて、これから効力を発しても幾らもないわけです。おそらく二カ月か三カ月じゃないでしょうか。それで一億八千万円とすると、これが三年間になると相当な金額になってくると思います。三年間で幾らになりますか。これは事務当局でもけっこうです。
  23. 森永貞一郎

    森永政府委員 三年間米国に対して利子を支払う必要はないのでありますが、日本の慣行から考えまして利子を取ることにいたしまして、本年度一億八千三百万円計上することで予算を積算いたしております。これはこの会計自身四分で借りて四分で貸すということで、全然マージンがないわけでございますので、将来のことも考えまして、一般の日本の慣行通りということで、利子を徴すること一応予算を積算いたしました。ただいまお話のように、初年度資金の放出が逐次行われるわけでございまして、一億八千三百万という割に少い金額でございますが、お説のようにこれを三カ年続けるということになりますとおそらく二十数億になろうかと思います。平均して考えますと、もう少し短かい期間になろうか思います。金額ももう少し少いかと思います。この金額は一応の含みではございますが、資金面の問題といたしましては、これはやはり来年度以降運用いたしまして、農業開発なり、電源開発なり、その他の有効なる使途にこれを逐次運用して参る、さようなことに相なろうかと思います。本年度は予備費二億百万円計上いたしておりますが、いわばそれらの見合いになっておるということで御了承いただきたいと思います。
  24. 平野三郎

    平野委員 事務当局からも明らかにせられたように、二十何億になるのです。私の計算では二十五億ですよ。これは大したものです。これは全く余禄ですね。これだけのものがすぼっと政府に入ってくるのですから、これを何に使うかということはやはり政府としして十分考えてもらわなければならない。本年はわずか一億八千万ですから、これは予備費としてとっておくということはまあまあ承認いたしますが、二十五億円も当てにしない金がここにぽこっと出てくるわけですから、これについてはやはり農業に重点を置いてお考えになるべきであるということを申し上げておきます。  通産大臣がお見えになったので、ちょっと前後いたしますがお伺いいたしたい。先ほどもこの予剰農産物協定をめぐりまして政府の各閣僚間に意見の不統一があるということをただしておるわけで、松村文部大臣が特に本年限りでやめるというようなことを意っておられたが、今ここでこれは真意でないということで釈明があって、了解いたしましたが、もう一つ大きなその点についての閣内統一の問題は通産大臣にある。石橋通産大臣はこの受け入れについてはなはだ批判的である。ことに綿花と米の問題です。綿花と米の問題について、通産省が猛烈に反対しておるという事情にあるわけでありますが、通産大臣としてはこの点についてどうお考えになりますか。これは一つ詳細に御説明いただきたい。
  25. 石橋湛山

    石橋国務大臣 綿花と米の問題について通産省に反対があるということは、ただいま初めて伺いましたようなわけであります。そういうことはございません。
  26. 平野三郎

    平野委員 あなたは通産大臣としておられて何も御存じないのですね。通産省がこれに批判的になるということは、私は当然であると思います。これは今重光総理お話になったように、来年も必ず協定を結ぶかどうかわからない、これは条件いかんによるのだ、条件が非常に悪ければこれは考え直さざるを得ない。これはその通りです。ただどこまでも結ぼうという気持を持っていくべきであるということを私は申し上げたわけであって、そういう善意でいっても結果的にまるきり日本に不利になるというようなことになるとするならば、これは何をかいわんや、そのときのことでありますが、私はこの余剰農産物協定における綿花と米の問題に関して通産省がある程度批判的なことを言うのは、これはやはり条件をよくするために必要なことであり、当然のことである。それを全然知らない。綿花と米の問題について通産省においていろいろ議論があるというようなことを何も知らないということは、あなたがほんとうに心からそう思っておっしゃるとすれば、これはうかつ千万であり、そうでないとすれば、不誠意きわまる答弁であるということになりますから、やはりこの委員会において、こういうことは全国民が注視していることでありますので、明らかにすべきであると思います。現にもう新聞にもどんどん出ておりますし、また事務当局の間にはおそらくはげしい論戦が行われておると思うのです。外務省、大蔵省、農林省は大体これをどんどん進めておるわけなんです。これに対して通産省は批判的です。これは盛んに火花が散らされておるわけですが、あなたは何も知らないとおっしゃいましたから、私少し申し上げれば、綿花についての本年度輸入計画はどうなるか。昨年度は、御承知の通り、通常の輸入量が七十七万五千俵でありましたが、これに余剰農産物の綿花十七万五千俵を加えて九十五万俵になっておるのです。本年度の綿花の輸入見込み数量はどうなるか、おそらくこれを相当下回ってくるんじゃないかと思う。伝えられるところによれば、二十万俵くらい減ってくるということがいわれておる。そういう状況において、さらに今年と同じような綿花、しかも御承知の通り、メキシコの方はずっと安いのに、あの高い、あまり質もよくない、品種と価格に問題のあるアメリカの綿を安易な気持でこの協定でどんどん入れるということになれば、そのことによっては、ただほど安いものはないからこれはプラスにはなりますけれども、反面において、わが国の紡績工業というものに対して与える打撃は大きい。これを比べ合せた場合には、この綿については慎重に検討する必要があるというこの通産省の言い分については相当理由があると思う。これは通産大臣として、あなたが何も聞いたことはない、何も知らないということはいかにもおかしいと思うのです。それではお尋ねを申し上げますが、本年度の綿花の輸入見込み数量を通産省はどう見ておられますか。
  27. 石橋湛山

    石橋国務大臣 原則として綿花、米に反対しておるというようなことはございません。それは条件が悪ければ、その条件の問題はむろん討議すべきであるし、余剰農産物の問題も何を入れるかというような問題はどうせ相手とも相談しなければなりませんが、こちらもまだきまっておりません。だから米を入れるか、綿花を入れるか、それとも大豆を入れるかということはこれから検討する問題でありまして、まだきまっておらない。ですから、通産省としておっしゃるように頭からこれに反対しておるというようなことは絶対にございません。
  28. 平野三郎

    平野委員 そういうふうにあなたおっしゃればそれはわかるのです。初めからそんなことは全然聞いたこともないというようなことをあなたおっしゃるから、いかにも認識不足だと思ったわけです。あなたくらいの人がそんなことはないと私は思ったけれども、そういう御答弁だから申し上げたわけです。従ってこの綿花については今後の交渉によってやはり考え方相当慎重にしていくべきだということなんです。  もう一つ私の質問に対して今お答えがないようですが、本年度の綿花の輸入見込みはどうなるかということです。これは事務当局に聞いた上で御答弁ただいてもいいですが、その点非常に大きなポイントだから承わりたい。  それにあわせて米の問題についても承わりたいのです。米は品質や価格の点ということはないわけですが、本年度協定では十万トンでありましたが入れることになっておる。これをアメリカから入れることによってビルマその他東南アジアの方との関係というものに悪影響を与えるとすれば、アメリカの方でプラスになっても東南アジアの方で失う損失の方が大きいということになれば、これは考えるべきだ、こういうことを通産省は言っておるわけです。ことにこの方は円で買えるわけです。ただ高碕長官利息がちょっと安くなるからというようなことでこれをドルにかえられましたが、しかしこれは円で払ってもいいわけですから、従ってこれは円で買える性質のものなんだから、そういうことになればドルの節約という意味において東南アジアに重点を置く方がよいという考え方もあるわけなんです。こういう点について通産大臣としては、やはりはっきりした考え方があってしかるべきなんです。もうすでに交渉は始まっておるわけなんです。AP電報ですでに東京とワシントンとの間においてある検討が行なわれておるという報道について、先ほど重光外務大臣にお尋ねしましたけれども、実はまだそれは始まっていないのだということでありましたが、しかし普通ならばもう始まっておるわけなんです。後ほど伺いますが、ことに河野農林大臣は近くこの交渉のためにワシントンに行かれるということもあるわけなのであって、もう当然政府としてこの点についての思想統一をしなければならぬはずだと思います。特に一番大きな問題として、綿花と米の問題が起っておるわけであって、これについてはもう十分に検討をなすべきであるわけであります。その点において、石橋通産大臣の今の御答弁ではどうも勉強が足らないように私は思います。事務当局へ聞きに行かなければわからないようなことではまことにどうも私はたよりがないと思う。こんなことは今当面の大問題なんですから、至急十分にこれを勉強せられて、そしてこの委員会において通産大臣としての所見を明らかにせられたいのであります。
  29. 石橋湛山

    石橋国務大臣 米の問題は、本年度もビルマとかタイあたりからは買えるだけ買うということで相当交渉しました。ただ向うの方に、日本輸入したいという品種の米が比較的少いのに困っておるというような現状であります。通産省としては日本の品物も輸出したいのですから、輸出するには輸入をしなければならぬ、米に限りませんが、東南アジア方面のものをできるだけ入れたいという希望があることは言うまでもありません。従ってそういうことでアメリカ余剰農産物でもどういう農産物を入れるかということは、むろん慎重に検討を要することでありますが、現在は、平野さん、先ほど外務大臣が言われたというように、まだ具体化しておらない、これから話が始まるわけでありましょう。従って、しからば何を日本が希望するかということもこれから検討をしていきたい、こう思います。
  30. 平野三郎

    平野委員 ばく然たる御答弁ですが、先ほど私がお尋ねした具体的な数字を、後ほどでもけっこうですが明らかにしていただきたいと思いいます。  それについて私は農林大臣お尋ね申し上げたい。今通産大臣、その他松村文部大臣からも決して反対ではないということが明らかにせられましたが、特に愛知用水その他農地開発事業を本年から責任を持たれる農林大臣としては、私はこの協定をさらにますますいい条件をもって進めていくことが望ましいと思いますが、昨日も農林省は省議を開いて、そうして余剰農産物を明年度も受け入れるという基本方針をきめられたということをちょっと耳にいたしたわけでありますが、農林大臣としては、この問題について具体的にどういう構想のもとにお進めになるお考えか、お尋ね申し上げます。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知の通り農林省といたしましては、愛知用水その他北海道の開墾、青森の機械開墾、さらにできれば秋田の八郎潟というように、すでに調査もある程度しておりまして、ぜひやりたいと考えております事業があるわけでございます。前段申し上げました事業につきましては、すでに本年度から着手するわけでございますが、この財源計画につきましては、引き続き余剰農産物の買い入れ代金を引き当てにして一応立てておるわけでございます。従いまして、明年も明年後も可能でありますならば、先ほど外務大臣その他からお答えになりましたように、わが方の考えます条件が受け入れられまして、ぜひこれが成立して、そうしてこの財源によって事業が完遂できることを強く期待いたしておる次第であります。その線に沿って、また一面国内農産物との関係におきまして、たとえば本年豊作を気がまえておりますこれから先の米作との関係をどういうふうに考えていくかというようなこと等については、慎重に検討いたしまして、アメリカ側にこちらの注文をしてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  32. 平野三郎

    平野委員 これはどなたにお尋ねしてよろしいのですか、この貸付金の内容でありますが、電源開発に百八十二億、農地開発事業に三十億、それから日本生産性本部貸付金一億五千万円というものがありますが、この日本生産性本部というのは一体どういう性格のものであり、何をやるものでありますか。これは通産大臣でも経審長官でもどちらでもけっこうですが、御説明をいただきたいと思います。
  33. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申します。この生産性本部というものは、従前の産業合理化運動とよく似ておりますけれども、これに非常に違う点が一点ある。従来の産業合理化といえば、すぐに生産原価を安くする、工場の従業員の首切りをするということが間々行われたのでありますが、今後の生産性というものは、従業員も経営者も、みんな打って一丸となって、そうして工場の生産性をふやし、原価を安くする、こういう方面に持っていきたい、これがこの生産性本部の発足いたしましたゆえんでございます。本年三月から発足いたしまして、私どもは非常に期待をかけておるわけでございます。つい最近には、自動車工業のごときは、経営者と労働組合の人たちが同じ数で米国の自動車工業を視察するというようなことになっておりまして、要するに原価を安くして輸出を増進し、生産をふやす、こういうことを目的としております機関であります。
  34. 平野三郎

    平野委員 その性格と趣旨はわかりましたが、そうしますと、それは前の産業合理化運動のごときものだということになりますと、一種の国民運動みたいなものと思いますが、何か他に事業でもおやりになるのでありますか。
  35. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 生産性本部自身は事業はやりませんですが、事業とすれば、そういう方面の関係者を海外に視察せしめ、あるいはそういう運動をするための一つのセンターを作りまして、そこでいろいろな方面交渉をやったり研究をする、こういうようなことでございます。
  36. 平野三郎

    平野委員 事業をやらないで外国に視察に行ったり、いろいろなそうした精神運動をなさるわけなんですか。貸付金とありますから、これは返さなければ、ならぬことになると思いますが、返さなくてよろしいのですか。
  37. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 生産性本部の基礎は、各業者の寄付金をもってやるということが根本になっておりますから、その生産性本部の活動によって寄付命を集めて、それによって政府から借りた金につきましてはこれを返していく、こういう考えでございます。
  38. 平野三郎

    平野委員 それは非常におかしなことだと思います。生産性本部というのは、今お話のように、日本の経済の向上のためによいことをなすのであって、まず第一に政府が進んで推進しなければならぬ義務があるのです。いわんや民間人が寄付金を集めてそれを出すというのですから、政府がまず進んでやるべきではないですか。政府が率先をしてあわせて民間人がそれについていって初めてこういう国民運動というものが成功するんだが、全部民間人の寄付でやって、政府はそれに一々金を貸して、しかも利息までつくのでしょう、貸付金というのですから。そういうばかなことをいいと思っておられるのですか。私はこれは当然補助金となすべきものであると思います。そういうことを私は気がつかなかったのですが、ここに貸付金ということが書いてあるからちょっとおかしいと思ってお尋ねをしたわけです。これは本来利益を伴わない一種の国民運動なのであって、今お話もありましたように、事業もやらなければ、何にもやらない、収益というものは何もないのです。そういうものに政府が金を貸し付けてしかも利息をとるに至っては、これは実にさたの限りであると思います。政府がそんな考えならば、何で民間人が寄付をいたしましょう。しかも民間人の寄付金のうちから政府利息まで取られるというなら、そんなばかな寄付を民間人がするわけはないと思うのです。大蔵大臣、あなたは一体どう思われるのですか。こういう常識上ばかなことを、高碕さんや、石橋さんのような経済人は私らよりもいろいろなことをずっとよくおわかりだろうと思うのですが、それをしゃあしゃあとして、政府が貸付をして、そうして民間人から寄付を集める。おそらくこれは、大蔵大臣がそういうわけのわからぬことを言われるからこういう変なことになったのではないかと思いますが、一萬田さん、あなただって経済人としてそのくらいの常識はあると思うのです。一体これはどうなんです。
  39. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大蔵省としましては、予算のうちから五千万円は補助金として出しております。財政としてはこの程度以上に出せない状態になっております。
  40. 平野三郎

    平野委員 その五千万円出されたということはもちろんけっこうです。けれどもこっちから一億五千万円出ているのです。これはどこまでも取り立てるべきだというお考えですか、それを聞いているのです。
  41. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えしますが、これは生産性本部の運営についていろいろと金も要る、その金繰りの見地から一応貸付金の形をとっておるわけであります。これは貸付となっておりますから、私どもとしましてはむろん返してもらう意思もありますが、これはもう少し今後の運営に待ってみた方がいいのじゃないか。まだすべり出しでありますから、そういう点についてお説のようになお今後十分研究の余地があるだろうと思います。
  42. 平野三郎

    平野委員 そうしますと、今後研究の余地がある、今後の運営の上において善処するという御答弁ですが、これはもうだれが見たってこんなばかなことはない。国民連動に政府が金を貸して、どこまでも利息をつけて取り立てるんだというような非常識なことは、これは論ずるまでもないことなんで、そうおっしゃったことは当然だと思います。そうしますと、これは一応貸付金として特別会計から生産性本部へ出しておく。本年はとりあえず五千万円一般会計から出したが、来年はまた一億とか二億とかいう金を出して、そうして実質的には補助金と同様なことにしていこう、こういう御趣旨と思います。今善処するとか、今後の運営で考えるとかいうお話であるとすれば、そういうこと以外には具体的な方法が考えられませんが、来年度以降もやはり一般会計相当持って、そうして補助金に切りかえていく、こういうことと思いますが、そういうお考えなんですね。念のため伺っておきます。
  43. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今度これは予算編成のときの問題になりますが、お説については十分御意見として拝聴しておきます。
  44. 小坂善太郎

    ○小坂委員 ちょっと関連して伺っておきますが、どうもこれは話が逆じゃないかというような印象を受ける。最初政府が金を出して、この運動は非常にいいから金を借りてでもやりたいという機運が民間に盛り上ってくれば、そこで貸付金というものもいいかもしれぬ。ところがどういう運動であるか、外国の工場を視察するというようなことはけっこうでしょうけれども、その実効が上ってこないうちに最初から貸付をやると言っても国民運動は盛り上ってこないと思う。ですからこれはおそらく一兆円予算とかそういうような関係でそうなったと思いますけれども、この際大蔵大臣はずばりと、この金は貸付金でなくて本来補助金だということを言っていただいて初めてこの生産性本部の運動が盛り上るのではないか。これを一つあなたは勇気を持ってここではっきり言明していただいた方が今後の運動の上においてよろしいと思いますので、この点を一つ伺っておきます。
  45. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。これは私、お説もごもっともでありますし、先ほど申しましたように、研究する余地は十分ありますが、しかしこれによりまして業者も非常に利益を受けると言うと差し障りがあるかもしれませんが、便益を受けることが非常に多い。またアメリカの方もこれについては相当大きな負担をする、こういうこともあると思います。ですからすべて政府の補助金だけでいくかどうか、こういう点は特にこれが民間の運動にもなっておる関係等もありまして、お説はよく承わっておきますが、なおよく研究をいたしてみたい、かように考えております。
  46. 平野三郎

    平野委員 農林大臣に少しばかりお尋ねいたしますが、本国会の冒頭、政府の施政方針演説に対して私は本会議質問をいたしましたときに、本年度の食糧増産予算に関係してあなたは、本年は特別会計によって愛知用水事業を推進する。ところが愛知用水事業を加えると去年よりは土地改良の予算がふえておりますということを言われた。それこそ全然性格の違うことで、実に聞き捨てならないことであると私は思って再質問を申し上げたら、それに対しては愛知用水も土地改良事業の一種でありますというような、まことに不都合な答弁をせられてはなはだ遺憾に思っておりました。愛知用水はこれは日本の財政に直接関係なしにやることでありますから、これをもって将来の予算編成方針のいろいろな材料にされるということになったらとんでもないことだと思います。従ってこの点について農林大臣としては、そういう国内の食糧増産は食糧増産、こういうことで進まれるべきであり、またあなたの真意もそうであろうと思うが、実はあのときは本会議であったためにそのままになっておりますので、この委員会においてあらためてあなたの御所信を明らかにせられたいと思います。
  47. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。当時御説の通り、本会議お答え申し上げましたことが十分徹底しなかったかもしれませんが、今お話になりました通り将来この事業が内地の土地改良の事業と混淆いたしまして、土地改良の経費とこの経費とが混淆するような場合を想像されることは、私としては非常に遺憾なことでございまして、その点混淆するようなことは絶対に避けていかなければならぬと考えております。その他の点は御了承いただけると思いますから、この程度で御承知いただきたいと思います。
  48. 平野三郎

    平野委員 本日は、この余剰農産物資金融通特別会計が審議せられておるわけで、私どもはすみやかに成立をさせたい、こう思っております。ところが一方この特別会計に関係するところの愛知用水公団法案並びに農地開発機械公団法案は最近ようやく国会に提出せられたばかりであって、これは審議が進むどころかまだ全然審議にも入っておらぬという状態で、一カ月延長されましたこの会期も余すところ十数日ということになっておりますが、これではこの二つの法案の成立がはなはだ危ぶまれる、こういう状況でありますが、この予算が通っても、こうした関係法案が不成立ということになれば一体どういうことになるのか、この点農林大臣いかがでありますか。
  49. 河野一郎

    河野国務大臣 愛知用水の法案並びに開発機械の法案等につきましては、お話通りでございます。しかし農林委員会におきましてもせっかく各委員諸君の非常に熱心な御調査御検討の最中でございますので、必ず私はこの国会において成立を見ることができると思っておるわけであります。どうぞそういうふうに極力努力をするつもりでございますから、せっかく平野委員も御協力を願いたいと思っておるわけであります。
  50. 平野三郎

    平野委員 私どもは実に熱を入れて努力をしておる。しかしながら政府の態度がまことに冷淡なように思われる。これは特に御注意申し上げておきますが、昨日の農林委員会におきましても、与党の方は理事を初め一人も出席がないのです。そんなことで一体法案が通るものですか。これはまことに政府の熱のないということがすべての原因で——おそらく本委員会においても、農林委員会においても、戦前戦後を通じて熱心な、前からそうですが、今回も常に変らず熱心な審議が行われておるわけなのです。ただ政府が出てこない。与党の方もまるきり顔も出さぬというようなことで私は両法案を非常に心配しておるわけなのです。この上とも一つ政府の熱を出されることを強く警告しておきます。  もう一つ農林大臣お尋ね申し上げたいことは、あなたは近く渡米をされる、こういうことを新聞で拝見いたしたわけでありますが、どういうような構想でどういう日程で行かれるのか御説明をいただきたい。
  51. 河野一郎

    河野国務大臣 実はこの議会が始まる前ごろにアメリカの方からアメリカ国内農業視察に日本一の技術者とともに来るようにというお話がございまして、その後引き続きその話を続けて参っておるわけでございます。ところが議会がだんだん長く経過いたしましたのでその機を得ずに今日に至っておりますが、その後引き続き先方からそういう話がありますので、かたがた先ほどお話のありますように、余剰農産物に対するわが方の国内の御意見もいろいろありますし、先方の意見も十分伺う機会が得られれば大へんけっこうではなかろうかというようなこと等を勘案いたしまして、今せっかく閣内においても寄り寄りそういうことを御了解を得つつあるような次第でございまして、まだ日程でありますとか、それに対してどういうふうにやるとかいうようなことについては全然きめておりません。御了承いただきたいと思います。
  52. 平野三郎

    平野委員 これは質問というよりも、私は希望として申し上げておきますが、ちょうど一年前、私も政府を代表してこの種の問題の交渉に参りましたが、なかなかアメリカ政府並びに世界銀行というものは煮ても焼いても食えないようなところもあるのであって、簡単にはいかない。幸いあなたは手練手管におきましても相当なタヌキぶりを発揮しておられるわけで心配はないと思いますが、一つうまくやっていただきたい。特にこの世界銀行日本農業借款ということに重点を置いておるはずである。この交渉の始まる前に世界銀行のブラック総裁からこの日本世界銀行借款というものは、日本農業振興に重点を置くべきであるという覚書が来ておるのです。そういう非常に強い希望が世界銀行にはあるわけであります。アメリカ政府の方としては必ずしもそうではない、日本の食糧増産が大いに進むということになればアメリカ余剰農産物の販路に非常な支障を生ずるというような意見もあるわけで、その点世界銀行アメリカ政府とは、全然違っておりますが、少くとも世界銀行との関係なくしてはこうした事業の推進ということはできないのでありまして、両々相まって初めてこれは進むわけでありますから、やはり私は今回河野農林大臣が行かれれば、先ほども申し上げましたが、やはりこの資金というものは少くとも半分以上は農地の開発事業投資していくということでなければ、世界銀行との関係がうまくいかない。その点を一つ農林大臣としては大いに力を入れてやってきていただきたい。特に買付の物資でありますが、先ほど来綿花とか米とかいう問題がございますが、これは確かに通産省意見にも一理あるわけで、私はこの際本年の計画にありませんが、大豆をもう少し入れるということが望ましいのではないか、こういうふうに思うのでありますが、農林大臣としては大豆に対しましてはどういうふうにお考えになっておるか承わりたい。
  53. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほども申し上げました通り国内農産物に影響のありませんように考慮いたさなければなりません建前から、今御指摘になりました大豆のごときは、向うに余剰農産物としてこれに該当するものがあればわが方としても好ましい物資であるというふうに私は考えております。
  54. 平野三郎

    平野委員 もう一点アメリカの木材です。これは最近北海道の風倒木が実に八千万石に及ぶというような膨大な被害を受け、国内の森林資源というものはますます枯渇しつつあるわけです。近年の災害がはなはだしいということも森林の乱伐に原因しておるわけでありますが、幸いアメリカのアラスカにおいては膨大な無限の国有林があるわけでありまして、実はこれは私昨年参りましたときに、世界銀行とも交渉し、アラスカへも参って、アラスカの営林局長と五十年間の特売契約を結んで参って、近くアラスカ材が入って参りますが、これはどうしても原木で持ってくるということではなかなかそろばんがとれない。それで最近のように木材価格が安くなってきてはむしろ石当り百円ぐらいの損害が起るということなんです。どうしてもこれは現地にパルプ工場をこしらえて、パルプとして日本へ持ってくるということに進まなければならない。そうすればこれは非常に大きな国策的使命を果すわけであります。このアラスカに対するところの日本のパルプ工業の投資について世界銀行借款交渉に応ずる用意があるといっている。これはガーナー副総裁と私が会ったときにはっきりそういうことをいっております。これを推進しようと思っておったときに、われわれの内閣とあなたの内閣と入れかわったわけでございますが、これは党派を越えて、日本の災害を防ぐために、また日本の森林を守るという意味におきまして、ぜひ進めるべきことであると思いますので、この木材の借款交渉について、これもぜひ河野農林大臣にやってきていただきたいと思いますが、その意思ありや、その点御説明願いたい。
  55. 河野一郎

    河野国務大臣 アラスカの木材資源開発並びにこれに対しまする会社の事業計画等につきましては、すでに私も一応説明を承わりまして、大へんけっこうなことだというふうに考えておりますので、なおよく検討を加えまして御趣旨に沿うように善処したいと考えております。
  56. 平野三郎

    平野委員 まだいろいろと御質問したいことはありますが、時間が参りましたからこの程度で一応終りますが、とにかく政府の部内において非常に意見の不統一がある、こういう点はすみやかに整理をして、そうして外交交渉でありますから、はっきりした日本立場を持って、そうして自由党内閣時代からやって参りましたこの政策に、さらに有終の美を結実せしめるように努力されんことを特に閣僚諸公に要望いたしまして、なお時間が多少ありますので、小坂善太郎君から関連質問もあるということでありますから、私としては一応これで質疑を終ります。
  57. 小坂善太郎

    ○小坂委員 簡単に三点ばかりお尋ねしておきたいと思います。最初に生産性本部の問題でございますが、ただいまちょっと申し上げたのですが、どうも貸付金ということに問題があるように私は思う。御承知のように、この運動自体は非常にけっこうなことでありますが、労組の参加というものがただいまのところ非常に期待薄であります。そこで問題は、貸付金であるということになっておりますと、これはだれが返すかということです。結局ある程度のところでこの貸付金の回収をするということになると、事業家がこれを返す役割をするということになる。金を借りていろいろな事業をした、労組がかりにこれに個人的な資格でも参画した、そうしてその金を返す段階になると企業者がこれを負担するということになれば、参加した労組というものは、企業家の厄介になってこの運動をやったということになるので、立場上非常にまずいことになる。ですからこの金というものは、政府から出されておる補助金であるということになれば、そこに労組の参加というものを大手を振って呼びかけることもできるし、参加する方もきん然参加する立場を非常にとりやすくしてやることになる、私はそう思っておる。こういうことについて、高碕さんは非常にこの方面には長い御経験があるので、あなたはどうお考えになっていらっしゃるか、お尋ねいたします。
  58. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 生産性本部がほんとうに活躍して、生産性本部を中心にしてほんとうに生産がふえて、価格が切り下げられるということが実行に移されれば、これは私はその業者自身はそのくらいの負担はするべきだと存じますが、これはなかなかむずかしい問題だと思っております。従いまして、大蔵省から一年に五千万円なら五千万円の補助金をもらい、一応五千万円は借入金で行きますが、これは適当な時期に返し得るように努力さしたい、こういう趣旨でございますが、なかなかお説のごとくむずかしい問題でありますから、できるだけ活躍して、ほんとうにみなが喜んでそれだけの金を返し得るように持っていきたいと思っております。
  59. 小坂善太郎

    ○小坂委員 そういう御答弁では困るのであって、私の聞いておるのは、政府から助成金を受けてこの活動をやったということになれば、労働組合側も非常に不偏不党の気持でこの運動に参画できるのですが、金を回収するということになれば、対象はやはり企業家ということになる。これは政府からもらっている金なら別ですけれども政府から借りている金で、返すときには企業家が返すという建前のもとでは、労組が参加するということは非常にむずかしいところがある、こういうことを私は申しておるのです。ですからここはやはり思い切って、この予算はこの予算でいいのですから、ここに貸付金と書いてあるけれども、これは補助金的な性格のもので将来はそっちに振りかえるのだという話でもあると、私は労組の参加というものをもう少し強く呼びかける素地ができるのじゃないか。どうしても労働組合の参加を得なければ完全の生産性向上運動というものはできないのですから、そういう点にもう少し政府は思いをいたされる必要がありはしないか、この点をどう考えるかということを私は伺っておるのです。
  60. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 小坂さんの御意見非常にごもっともであるのでありますが、よその国の例にもやはりあるように思うのですが、これは民間の運動になっております。そうしますと、民間の人がたくさんやはり調査といって向うの方に出かけていく、こういう場合は、大体半分くらいはそういう渡航費等の費用は民間の人の負担になっております。そういう場合に、この貸付金で一時立てかえて金繰りとして使って運動する、あとは民間団体からまた金が入ってくる、こういうふうな点も私は相当この運動にはあると思っております。その結果がまた民間団体に非常にいろいろな経済上の利益を与えるということでやっていく。ここの建前が全部国で推進してやるということになってしまえば、また考えが違うのじゃなかろうか。そういう点を今後どうすればいいのか、これははなはだ想像でもありますが、今後お説の点もよく考えまして、やはり根本的にもう一ぺん考えて、この運動がほんとうに成果を上げるようにするのにはどうあるべきか、こういうことを考えてみたいと考えております。
  61. 小坂善太郎

    ○小坂委員 すべり出しが大事でございますから、私はある程度すべり出すためには政府の補助金という格好がいいと思っておりますけれども、これはいろいろ御研究を今後なさっていただきたいということで、この程度にいたしておきます。  もう一つは、さっき副総理も言われた条件次第で来年もするという問題ですが、これはもうその通りで、われわれとしてもできるだけ条件をよく今後の交渉を進めていただきたいと思います。しかし一方において事業を開始してしまう。事業を開始してしまうと、これを受けるということは今度はこっちの不利になる。だから来年非常にいい条件を獲得してみようというお考えであるならば、来年の交渉前までは、動きのとれないような格好でこれがすべり出すということは抑えておかなければならぬという問題がある。一番問題になるのは農業開発事業であろうと思う。これには今後いろいろの問題があるわけですが、これがほんとうにすべり出してしまうと、それじゃそれだけ打ち切った場合に、国に財政資金があるかどうか。財政資金がないということになると、もう交渉はそのときから非常に不利になってしまう。この点御如才ないだろうと思いますが、この予算はこれで通しますけれども、来年度のことをお考えになっているようでありますから、その自主性については、十分こちらの態度が自主的に主張できるような態度において来年度交渉をしてもらうということを強く要望しておきますが、その点どうですか。
  62. 重光葵

    重光国務大臣 御趣旨は私どもまことに御同感でございますので、その御趣旨を十分実現するように努力いたしたいと考えております。
  63. 三浦一雄

    三浦委員長 志村茂治君。志村さんに御相談でございますが、経審長官は十二時半ごろからちょっと公務上の何がありますが、それまでに済ませていただけますか、これは御相談でございます。
  64. 志村茂治

    ○志村委員 はい。
  65. 三浦一雄

    三浦委員長 それでは、経審長官は十二時半ごろまでにしていただきます。
  66. 志村茂治

    ○志村委員 余剰農産物の受け入れの協定については、いろいろ不満の点もありますし、納得のいかない点が数多くあるのでありますが、これはすでに国会で承認されたことでありますから、ここではその点については触れずに、これによって得た円資金の融資関係についてお尋ねしたいと存じます。  第一に、資金運用による利殖金収入が一億八千三百万円計上されておりますが、これは一体いつから貸し付けされる予定であるのか、そしてそれはどのような条件で貸し付けされるのであるか、融資先別にまずお示し願いたい。事務官でもけっこうであります。
  67. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大体この九月くらいから貸付ができると考えております。そして年四分の利子をいただく、こういうことからこういう金利収入が出ておるわけです。
  68. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、その融資には、開発銀行がその中に入るのでしょうか。愛知用水の貸付は五分となっておりますので、その間に利子相違がございますが、開発銀行がその中に入るのでしょうか。
  69. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 五分というのはありませんで、この資金は全部四分であります。これは直接貸すことになっております。
  70. 志村茂治

    ○志村委員 それでは愛知用水のあれは、五分じゃなくて四分なのですか。
  71. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そうでございます。
  72. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、愛知用水なんかにはいろいろ事務費もかかりますし、金利としてのマージンが入用であろうと私たちは考えておるのでありますが、四分で借りた金を四分で貸し付けることになると、そこに何もないことになるが、一体その辺の事務費はどこから出される予定でありますか。
  73. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 アメリカから借りますのは、三年無利子になっております。こちらは初めから四分の利子で、そこでマージンが出まして、先ほど答弁いたしたように約二十二、三億くらい、こういうことになっております。
  74. 志村茂治

    ○志村委員 政府資金は、その資金源が何であろうと、たとえば資金運用部資金であっても、あるいは簡易保険、年金の資金、あるいは一般会計からのものでも、貸付利子は大体六分あるいは六分五厘ということになっておるのであります。ところがこの余剰農産物だけが特に四分というのは、一体どういうわけなのでありますか。アメリカからの利子率の指定でもあったのですか、あるいは融資を受けるものだけが特別な恩恵を受けなければならないという事情がそこにあったのでありましょうか。こういうような違った金利による貸付をするということは、融資対策としてこれでいいのでありましょうか、ちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
  75. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは、先ほどから申し上げましたように、三年据え置きで年四分——これは円資金で返す場合の金利でありますが、四分で借りますから、この会計が特に利益を上げることもないのでありますが、若干の含みがあって運営ができるという程度でいいと思いますので、金利も四分で貸すようにいたしておる。他面またこの金を使うのは、電源開発であるとか、農業の開発であるとか、あるいは先ほどから出ております愛知用水とか、そういうところへ貸し付ける、こういう資金の性質から見ましても安い金利がよろしかろう、かように考えたわけであります。
  76. 志村茂治

    ○志村委員 ほかの重要な資金も、今までは六分五厘程度の融資をいたしておったのでありますが、それでは、安い資金源が入った場合には、その事業の性質いかんによっては安く貸す、こういう御意見なのですか。
  77. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 外資を導入した場合は、大体さようになると私は考えております。
  78. 志村茂治

    ○志村委員 次に予備費でありますが、二億百五十二万四千円というものが計上されて、その理由としては、予見しがたい予算の不足に充てるための経費であるということになっておりますが、この中には、たとえば為替換算率、あるいは為替相場の変動であるとか、あるいは農民が償還金の支払いができなくなったとか、そういうような場合も考慮されておるのでありますか。
  79. 森永貞一郎

    森永政府委員 予備費二億百万円でありますが、ただいまお話しがありましたような、償還ができないというような、そこまでのことは考えておらないのでございます。あるいは一つ出てくるかと思いますのは、アメリカからの借り入れの時期と、国内での所要資金の貸付の時期、これが多少食い違う場合もあるわけでございます。まだ金は向うから借りてないが、国内では貸さなければならぬというような場合も考えられるわけでございまして、そういう場合もあるかもしれないということで、一時借入金を、五十億円を限度としてできるような予算総則をお認めいただくことで提案いたしておるわけでございますが、もしこの一時借入金を借りるということになりますと、その利子を国債整理基金に入れなければならぬということが起るわけでございまして、そういうようなこともひょっとしたら起るかもしらぬというようなことで、予備費を計上いたしたわけでございます。
  80. 志村茂治

    ○志村委員 余剰農産物受け入れによるところの円資金は、その性格が一時的であり臨時的なものでありますが、こういうような資金を継続事業資金源としてその事業を始めるということは、適当でないと私は考えるのでありますが、これはいかがでございましょうか。
  81. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 ごもっともな御意見と拝聴いたします。ただどもは、一回限りではなく、明年も多分話ができるだろう、こういう考え方をいたしております。
  82. 志村茂治

    ○志村委員 そこでお尋ねしたいのですが、余剰農産物の受け入れについては、今平野君の方から文部大臣質問がされたのでありますけれども、同じようなことで、外務委員会におきまして、外務大臣は本年度しか考えていないと言っておられます。経審長官は、米国政府計画もあることだから、必要があれば三年間くらいは引き続き受け入れたい、こう意っておられるのであります。大体私全体の計画から見ますと、経審長官考えておられるようにも考えられるのですが、その間の不一致、先ほどだいぶ問題になっておりましたが、これははっきりと、今後引き続き受け入れる方針であるかどうかということをお聞きしたいと思います。
  83. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この余剰農産物協定は、今年は今年のもの、来年やりますればまた来年のものになる、こういう考え方であるということは、先ほど申し上げた通りであります。そしてその意味において、私はこれまで答弁をいたしてきたつもりでございます。将来またそれを繰り返して交渉するかというその方針の問題には、私は触れていなかったつもりでございます。もしその点において誤解がありましたならば、私はそれは誤解を解いていただきたいと、こうお願いするわけであります。すなわち本年の協定の説明としては、これは本年のものである、こういうことを申し上げたつもりでございます。  そこで方針の問題でございますが、方針は、これまた先ほど御説明申し上げた通りに、来年もかような協定を結びたいという方針であり、また先方、すなわちアメリカ側においても、これに応じてくれるものであると、こういう見込みのものに処理しよう。これはお話しの通りに、国内事業の継続性ということも当然考えなければなりません。そこでその方針のもとに、これも条件次第と申しますか、できるだけ優利な条件でこれを妥結しなければならぬ、こういう見地に立ちまして、先ほどから御答弁を申し上げたわけでございます。どうぞそのように御了承願います。
  84. 志村茂治

    ○志村委員 今後も引き続いて受け入れるということは、アメリカ政府側の意向としては、三カ年間ということを一応予定されておりますが、大体三カ年間と考えてよろしいのですか。
  85. 重光葵

    重光国務大臣 御承知の通りに、この問題に対するアメリカ側の法律はそうなっておりますから、大体それに見合ってやらなければならぬと考えております。
  86. 志村茂治

    ○志村委員 この融資先である電源開発事業は、比較的強力な電源開発促進法に守られて、何とか年々の資金の調達もでき、年々の計画も着々と実現されておるのでありますが、一般の国土総合開発事業では、予算の確実性がないのであります。たとえば、北海道の総合開発五カ年計画は来年度で完了の予定であるにもかかわらず、いまだその三五%程度しか実行されておらないのであります。また北上川水系の開発にしてもまた同様であります。従来の国土総合開発事業が予定された成果をおさめていないという原因の中に、この予算の不確実さが最も大きな原因と考えられておるのであります。開発事業は、中止や延期が単なる延期や中止ではなくして、大きな犠牲になるのであります。むだになってしまうのであります。浪費になってしまうのであります。ところが昭和三十年度の投融資計画が、輸出入銀行や住宅金融公庫への融資の増加によって電源開発に大きな穴があいた、これを余剰農産物の円資金で埋め合せるというふうにも見られないわけではないのであります。最も金利の面から有利な資金電源開発に振り向けたとも解されるのでありますが、三ヵ年とただいまお聞きいたしましたが、いずれにしても、一時的な資金長期の継続事業をまかなうことは確かに危険だ。融資すべき資金源が不足しておる日本の財政状態で、このような資金で継続事業をまかなうことは確かに危険であると思います。愛知用水の場合にしましても、関係者は外資などまとまった資金が入ったときでなければ着手できないと言ってもおりますが、また他面では、この仕事がだらだら延びるような資金計画では始められないというようなことも言っておるのであります。何年か後に資金はなくなるかもしれない。政府はこの資金にかわるべき資金源を持っておられるのであるか。もしそれがないとすれば、過去の開発計画の事情にもかんがみまして、この際むしろこのようなむだになる計画はおやめになった方がよろしいではないかというふうに私は考えるのでありますが、この点について、将来のことではございますが、ある程度考えを持っておられるだろうと思うのであります。納得のいくような御答弁を願いたいと思います。
  87. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。ただいまの御質問はまことに私はその点において憂える一人でございまして、いやしくも一つ計画を着手して、それが完成するまでの資金の見通しなくして始めていくということは非常に危険であります。それがためにその資金を寝かせるだけでなく、いろいろな方面に障害を来たす。その意味におきまして、余剰農産物のごときも一時的の資金だからこれによって開発事業をやるということはよほど危険があるじゃないかという御質問、ごもっともと思いますが、しかし愛知用水のごとき、かりに余剰農産物が来年度は手に入れることができなくても、それだけの資金の見通しをつけていかなければならぬ、またそういう覚悟で進んでおるわけであります。従いまして来年、再来年におきまして余剰農産物がこちらの希望通り条件で手に入るということに相なりますれば、それだけの資金の余裕ができまして、継続事業なり新規の事業について着手するという資金的の余力ができて、実行上まことにスムーズにいくだろう、楽にいくだろう、こういうふうなことであります。
  88. 志村茂治

    ○志村委員 大蔵大臣いかがですか。そういうような資金源の見通しは持っておられますか。
  89. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 すでに計画を今回、北海道もそうですけれども、若干の金でありますが、頭を入れて、計画をして、着手をした以上、これは私といたしましては資金的に、率直に申しましてなかなかこれは容易ならぬとは今思っておるのでありますが、しかし一たんやった以上は、お話のようにこれはやはり遂行しなくちゃならぬ。その決意を固く持っておるならば、できるだけ計画を合理的にして、むだのないようにしてやるというふうな他面の努力もまちましてやっていきたい、かように私も考えておるわけであります。
  90. 志村茂治

    ○志村委員 くどいようですがお尋ねしますけれども愛知用水資金計画では、円資金として六ヵ年間に二百八十五億二千八百万円というものが計上されております。三十年度を除いても、今後五カ年間においては二百六十億円という金額になっておるのであります。相当大きな金と思います。この資金を、もう少し、できればはっきりしたお答えを願いたいと思うのであります。また昭和三十年度の財政投融資資金計画によりますと、電源開発関係では二百九十八億五千万円であって、二十九年度計画資金二百六十億円よりも三十八億円余りが増加しておるのであります。しかし余剰農産物資金が百八十二億五千万円で、そのうちの大部分ということになっておるのであります。資金運用部資金は、二十九年度と比較して百六十億円が八十六億円に、そうして産業投融資会計資金が百億円から三十億円に減少しております。郵便貯金の増加にばかりたよることもできないと思うのでありますが、こうしたふうな大きないろいろの資金源というものは一体どこから求めておられるのか。もう少し詳しく知らしていただきたい、こう思うのであります。
  91. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今その資金源についてここで具体的になかなか申し上げかねるのであります。ただ私の今の考え方では、明年度あたりから資金の配賦をよほど移動させていくことができるのじゃないか。たとえば従来電源開発というような非常に大きな金を常にそそぎ込んでおりましたが、こういうものはなお研究が要りますが、食糧増産とか、農業開発、こういう方向に私は移動させるのがよくはないかというふうな考え方を持って、今後の農業開発についての資金を見出していきたい。これは電源に限りませんが、全体の財政投融資の配賦状況について検討を加えて、農業というような関係に、資金等も大きく重点的に取り上げ得るであろう、なおこれは研究を要しますが、私は大体そういうふうな考え方でおります。
  92. 志村茂治

    ○志村委員 それでは円資金の融資先の一つ一つについてお尋ねしたいと存じます。最初通産大臣お尋ねしたいのですが、電源開発会社は開発事業だけを担当されるものであるのか。それともみずから発電を行うものであるか。資金計画のうちには売電計画というものがあります。売電収入というものを九億このうちに計上されておるのでありますが、これは臨時的な措置でありましょうか。その点をお聞きしたい。
  93. 石橋湛山

    石橋国務大臣 ただいまのところでは、電源開発会社は電源を開発し、その得ました電力は売却する、販売をする計画になっております。
  94. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、開発ができれば、その発電所は九電力か何かに全部売り渡す、こういうことになっておりますか。そうしますとこの会社のうちに九億円の売電収入というものはどこから出たのですか。
  95. 石橋湛山

    石橋国務大臣 電力を売るのです。
  96. 志村茂治

    ○志村委員 売った収入というものは……。
  97. 石橋湛山

    石橋国務大臣 収入があるわけであります。電源開発会社自身が九電力会社に電力を卸すわけです。卸売をするわけです。
  98. 志村茂治

    ○志村委員 電源開発についていつもついて回る一番大きな問題は、水没部落の対策でありますが、これは農林大臣にお聞きしたいのですが、林野庁の協力が足りないということを部落民はよく言っております。それから陳情に来ても、中央政府の窓口が一体どこにあるか、至って冷遇されておるということを聞いておるのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  99. 河野一郎

    河野国務大臣 それぞれの問題の起りました局で担当することになっておりますが、今さしあたってそういう水没農家の問題が起っておるところはないと私は考えておりますが、たとえば愛知用水の場合にもこれは起って参りますが、これについては地元の完全な了解を得て進むことになっております。さしあたりは、例にそう問題が起る段階にはなっておらぬ、こういうふうに考えております。
  100. 志村茂治

    ○志村委員 実は水没補償ですが、今までは現金で補償するという格好が非常に多かったのでありますが、これではほとんど貨幣経済になれておらない山村住民は、その金がわずか二月か三月の間に都会人に食われてしまって、それがために生活に困窮するという事例が従来多かったのでありますが、その金を渡すというよりも、その前にこれらの人々の生活の安定の方法を求めてやらなければならない。その際に、昔の帝室林野局のあの山林を解放してくれということを、よく要求されております。それに対して、林野庁の態度は非常に冷淡であったと聞いております。今はないかもしれませんが、従来そういう事例があったので、今後も起るかもしれませんが、その点は林野庁ではどういうふうに今後扱っていかれるのか、それを聞きたい。
  101. 河野一郎

    河野国務大臣 御趣旨ごもっともでございますから、今後そういう事態が起りました際には、特に十分注意をいたしまして、御趣旨に沿うように善処いたしたいと思います。
  102. 志村茂治

    ○志村委員 次に、愛知用水についてお尋ねいたしますが、この事業の中には、国の負担分はないのですか。
  103. 河野一郎

    河野国務大臣 国家の負担としては、普通の土地改良事業と同様の比率において負担をするわけであります。
  104. 志村茂治

    ○志村委員 文部大臣はおいでになりませんから、大蔵大臣はおわかりになると思いますが、ギフトとなった小学校児童向けの物も、代価を受け取ることになっておりますが、その金額と、その資金の使途をお示し願いたいと思います。受け取った金をどういうふうに使うか。それは小学児童向けのギフトのような物で、ただでもらえるのですが、小学校の生徒に対して、これを買わせると言っている。その売って得た金は、どういうふうに使われるか。
  105. 森永貞一郎

    森永政府委員 贈与分の千五百万ドルにつきましては、綿花とか、小麦とか、いろいろ問題になっておりますが、これについては、まだ細目の計画の決定を見ておりません。いずれにしても、この分はただで向うからもらうわけでございますが、一方学童給食会において買い入れまして、アメリカないしは国産の分も脱脂乳等については若干加わる見込みでありますが、買い入れました物も入ってくるわけでありまして、それをプールして、買った物については安くなる。そういうプールで学童に安く給食するということになるのではないかと思います。それらの点については、目下まだ計画検討中でありまして、確定的なお答えはできないのでございますが、有償の分と無償の分を全部をプールして、実費で給食する、さような建前になるかと存ずる次第でございます。
  106. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、先ほどの愛知用水の国庫負担分でありますが、見返り資金としてグラントがないということがはっきりわかって参りますと、また小学校の子供に向けた資金もこっちへ回ってこないということになりますと、現在国の負担分は、一般土地改良事業法における国庫負担に相当する分として、一般会計予算から支出されてくるということになると思いますが、それは計上されているのでございましょうか。
  107. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 国の負担分につきましては、本年度余剰農産物世界銀行でありますが、来年度以降分については、余剰農産物のこない場合には、国の負担分は愛知用水計画では約百十七億になりますが、その分について年度割りで負担していく、こういうふうな計画になっております。
  108. 志村茂治

    ○志村委員 私の聞いているのはそうじゃないのです。余剰農産物の見返り資金は、愛知用水へ貸し付けることになるでしょう。それで国の負担分について、国の予算は計上してあるのかどうかということなんです。
  109. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 先ほど申し上げましたように、本年度分については、余剰農産物の見返り資金二十四億五千万円と、世界銀行の借入金だけでありまして、本年度は一般会計の分は計上しておりません。   〔「農林大臣答弁と違うじゃないか」と呼ぶ者あり〕
  110. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど私がお答えいたしましたのと今のとの間に食い違いがあるようでございますが、こういうことでございます。事業に着手いたします本年度は、余剰農産物資金世界銀行の借入金で着手いたします。これの返済のときに、国家から一般土地改良費と同様に国家負担をいたしまして、この返済をいたして参る、こういうことになるわけでありまして、この事業の遂行に当りましては、一般会計から必要な資金だけは入れてやって参る、こういうことでございます。
  111. 志村茂治

    ○志村委員 一つ数字をお聞きいたしたいのですが、この計画世界銀行融資をも合せて、農民の負担金は、総額どれほどになるのか。それの一戸当り平均年どれくらいになるのか。次に県の負担はどれくらいになるのか。これをお聞きしたい。
  112. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 合計で三百二十七億になりまして、そのうち世銀から三十六億借り、国庫負担が百十七億、見返り円資金が百四十五億になります。そのうち償還する場合の県、農民の負担割合でありますが、これは県が四十三億、農民が八十一億、電気水道等で六十九億ばかりになります。反当りの払い金は水田、畑等によって多少違いますが、年償還金は二千円から三千円の間になることになります。
  113. 志村茂治

    ○志村委員 この計画では米麦の増収高が年二十七万石ということになっておるのであります。これを一応正しいものとしても、主食を年一石生産するためには大体どのくらになりますか、三万円程度になりますか、米麦一石生産するために必要な事業費は一体幾らになりますか。
  114. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 平均しまして大体六万円から八万円の間になります。
  115. 志村茂治

    ○志村委員 お話のように、必要な事業費が大体六万円ないし八万円になると言っておりますが、これは今までの開発計画から見て必ずしも高いとは存じません。安いとは存じませんが、高いとは思わないのであります。しかし農家がその水を直接自分の田畑まで引くためには、自己負担として反当り七万円ないし八万円、畑地、灌漑地であっても三万円、乾田の場合には十万円ないし十五、六万円必要であると言われておるのであります。しかしともかくこの地帯の農家の年所得は大体二十五、六万円ということが言われておるのであります。この農家にこれだけの負担は相当重荷であると私たちは考えるのであります。農家があまり乗り気がしないといううわさも聞いておるのでありますが、こんなことはこうした事情から出てくるのではないかと私たちは考えておるのであります。当局はいまだなおこの負担額を示しておらないということも聞いております。この計画を進める上においては農家の直接負担する金額はどれくらいになるかという真相をはっきり聞かして、納得した上できめるべきが適当ではないかと私たちは考えておるのであります。とにかくばく然と水を引いてやるということを言われれば、旱魃地帯の農民は喜ぶに相違ありません。実際の負担額を聞いてちゅうちょするのがいつもの状態なのでありますが、この点は一体どのような手続を農林当局はとっておられるか。それをお聞きしたいと思います。
  116. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 愛知用水計画につきましては、昭和二十七年に愛知用水土地改良区は、木曾川から水を引く国営の土地改良事業というものを、土地改良法に基きまして利益地域の三分の二の同意をとって、県を通じて農林省に申請してきたのであります。それに基いてその後具体的に調査をいたし、さらに世界銀行等からの調査を願いまして、計画を順次精密なものにしていっておるのであります。当初の計画は木曾川の上流の王滝川にコンクリート・ダムを作ってやるということで、利益地域の農家に対する負担等も相当大きかったのでありますが、その後世界銀行の推薦する技術コンサルタント、それの主張並びに世銀の技術担当者の研究の結果、ロックフィル・ダムにした方が数十億の節約になるということでありまして、ロックフィル・ダムによることにいたしたのであります。その結果現在のところは当初の計画に比べて二十数億の節約になっております。しかしさらにダムの地点等について、そこの地質等についてガスの噴出を充填するとか、あるいは断層を処理するとかいうような費用が多少かさむので、当初予定したほどの節約はできないかとも思いますが、いずれにしましても、最初に申請に基いて出てきたのを元にして日本側で調査したよりも、世銀の技術者の応援によってやったのが相当経費が節約されておるのであります。その結果先ほど申し上げましたように、まず農業部面からいきましても、この地帯は御承知のように米麦それ自身よりも畑地灌漑の方が相当大きくなりますので、米麦以外の作物も相当大きいウェートを持ちますので、ただいまお話がありました米麦だけから見ると、必ずしもほかの地区に比較しまして非常に有利ということにはなりませんが、全体といたしましては世銀当局も非常にいい計画であるということで、われわれの計画を了承してくれておるような状態であります。
  117. 志村茂治

    ○志村委員 新設発電所のダムの下流になっておる十四カ所に発電所がありますが、これはいずれも関西電力の発電所であって、このダムの建設によって関西電力の発電所の発電増量分は年九千万キロワット・アワーというようなことを計算されておるそうであります。ところが事実は一億五千万キロワット・アワーになるということもいわれておるのであります。その間六千万キロワット・アワーが無償で関西電力の発電増量になるということもいわれておるのでありますが、これからの愛知用水の負担の分担にあたって、こういう事実を政府はどういうふうに取り扱っていかれる考えであるか、これをお聞きしたいと思います。
  118. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 ただいまのところでは、お話のように、ダムの近くに新設する発電所と下流の十数カ所の発電所の発電量の増が合計九千数百万キロワット・アワーと計算しております。ダムを上流に作ることによって下流の発電所が増強される、その算定方法につきましてただいま通産省の公益事業局と——これは愛知用水地区だけの問題でありませんで、各地区の、たとえば只見川その他の地区においてもそういう問題がありますので、それぞれ一定のフォーミュラーによって計算するということで、さらに詳細を打ち合せ中でありますが、ただいまのところはお話のように、九千数百万キロワット・アワー出るというもので一応の計画を立っておるのであります。
  119. 志村茂治

    ○志村委員 一応の計画は立っておられますが、もちろんその間に大きな発電増量があった場合には、その負担金を変えなければならぬ、とこう考えておるのでありますが、その点はいかがでしょうか。この点おやりになりますか。
  120. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 さらに詳細算定の結果、計画の数字と——これは農業の部面についても実施設計をいたしますと多少の変更があります。最終の調査においてアロケーション等を決定することになります。
  121. 志村茂治

    ○志村委員 次に、農地開発の経済効果から見て、愛知用水以上の土地改良地区はなかったのかどうかということを聞きたいのであります。八郎潟の干拓は増産一石当りの事業費は愛知用水よりも安いと聞いておるのでありますが、もしそうとするならば、なぜ愛知用水をまず最初に選ばれたか、その理由をお聞かせ願いたい。
  122. 河野一郎

    河野国務大臣 八郎潟につきましては、なおまだ検討の余地がございまして、最終的な計画調査が終っておりませんので、準備の整いました愛知用水から手をつけるということであります。
  123. 志村茂治

    ○志村委員 こまかい点でありますが、工事用の機械は世界銀行からの借款となっておるのでありますが、この金で輸入する機械は大型のトラックとか、さく岩機あるいはシャベルというようなことになっております。これと同じようなものは佐久間ダムが大量に買い入れておるのであります。この機械類を転用することはできないものでしょうか。
  124. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 お話の点は、私どもの方でも検討いたしております。ただ佐久間の完成時期と愛知用水の着手の時期が多少ダブるような関係がございまして、当然佐久間等の完成後には、われわれの方におきましても経験あるいは機械、そういうものの援助を相当大きく取り入れたいというので、今関係方面といろいろ調べをいたしております。
  125. 志村茂治

    ○志村委員 では次に生産性本部の問題についてお尋ねしたいのでありますが、現在日本には日本能力協会だとか、あるいは事務能力協会、日本科学技術連盟、産業安全研究所というような、大きなものでも大体六つくらいの、生産性本部と同種の事業をやっているところがあるが、なぜこの際政府においては、生産性本部だけを選んで多額の補助金を与えたり、あるいは低利の融資をしておられるのか、その理由を聞きたいと思います。
  126. 石橋湛山

    石橋国務大臣 お話のように、今まで生産性に関係する団体あるいは研究機関がございます。そうして今度生産性本部はそれらとも緊密な連絡をとり、そして総合的に全体をやってもらう。やや大規模に海外の調査あるいは海外からチームを呼びまして国内の教育をするというようなことを総合して、今までの能率協会などとも十分連絡してやっておるわけであります。
  127. 三浦一雄

    三浦委員長 ちょっと御相談がございますが、農林大臣は農林委員会出席を要請されておりますが、まだ御質問ございますか。
  128. 志村茂治

    ○志村委員 残っておりますので、農林大臣から先にやります。  最初お尋ねしたいことは、農林省では今度の米の配給に当っては、大量の業務用米を配給されるということを聞いております。これはどういう規格で、どういうふうな価格で配給されるのか、一般の配給価格とのつり合いはどんな工合であるか、それを聞きたいと思います。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 今回の米価の決定に当りまして、その財源処置といたしまして、一部業務用米を特定の価格で配給しようということを計画いたしておるわけであります。大体の計画構想といたしましては、大体一升百二十円ないし百三十円の価格をもちまして、列車の弁当でありますとか、公設食堂、旅館、これらに業務用米を、ただし都市の消費地に配給していこうということを計画しておるわけでございます。まだ具体的には検討中でございます。
  130. 志村茂治

    ○志村委員 その規格はどういう規格でありますか。
  131. 河野一郎

    河野国務大臣 準内地米でございます。台湾米、中共米、まだ朝鮮米は輸入いたしておりませんが、これもまとまれば、こういったような種類の米を配給しよう、こう考えております。
  132. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、一升百二十円ないし百二十円という非常に高い価格になっておりますけれども、同じ米の国内市場において二つの米価を持つということは一体どういうことですか。しかもそれが政府計画によって行われるということになると、市場価格の原則に大きな反則となるように私たちは考えるのでありますし、それは政治としても無理な方式ではないかと考えておりますがどうですか。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 御意見はむろんおありと思いますが、現実に一千万石に近いやみ米のありますことも事実でございます。これを肯定してかかるということは、むろん御意見もありましょうけれども、事実は事実としてあるのでございます。またこれらの米がやみ米として動いておりますことも事実でございますので、このやみ価格と配給価格との中間もしくは中間より少し上回った価格でこれを配給するということは、常にやみ価格の変動のあるようなことに対しては考慮される余地があるのではなかろうかと思うのであります。そういうことから十分検討いたしましてこの処置をとっていきたいと思っているわけであります。
  134. 志村茂治

    ○志村委員 そうしますと、何かやみ価格を政府が肩がわりされるように聞こえますが、それは誤解でしょうか。一般の消費者は特に内地米の不足に苦しんでいる。一カ月八日分かあるいは七日分の配給しか受けておらないのであります。それだけの米があるならば、それだけの米を一般配給の方に回すことは考えられないものでありましょうか。もちろん食管会計立場から見て、それで財源を求めるということはあまり芳ばしい方法ではないと思うのでありますが、一般の配給に回すということは考えられないのでありますか。それをお聞きいたしたい。
  135. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げましたように、列車の弁当でありますとか、公設食堂の弁当でありますとかいうようなものになりますと、これは正しいことであるとかりっぱなことであるとかは申しませんけれども、現に配給券を十五円で計算をして、そうして米の値段がどうなる、こうなるということが言われているわけでございます。そういうふうにして弁当代が幾らになるというようなことでございまして、一般の従来の食生活の面から参りまして、私は妥当でないと考えますので、今お話通り、配給量を増したらどうかということについては、確かにその通りにも考えますが、一面におきましてそういうことのあることも事実でございますので、政府といたしましては、この処置をとっていきたいということを考えているわけでございます。むろんこれをやることにつきましては、これが一番いい道だということで考えているわけではございませんけれども、一般家庭に対する配船にいたしましても、現在の配給量を増す場合にどうするかということも、実は私も考えないことはなかったのでございます。たとえば現在の配給量を現状の価格で配給するということは絶対に変えない。しかしこれ以上の配給量をふやします場合に、今の一升百七円を幾らか上回っても配給量をふやす方がいいか悪いかということ等につきましても、大いに国民世論の帰趨を見定めまして考慮していく必要があるのではないか、やみ米に対する対策として十分考える点はあるのではなかろうかということについても、せっかく私は検討を加えている次第であります。
  136. 志村茂治

    ○志村委員 この間の米価の決定に当って、米価審議会でバルク・ライン八〇%くらいの米価でなければならないということを強く要求され、大臣も了承されたということを私は記憶しております。そしてこの趣旨を守るとすれば、米価は少くとも一万一千円以上にならなければならないと私は考えておるのでありますが、今度きまった一万百六十円、これとの間には大きな開きがあり、農民は大きく失望しているのでありますが、河野農林大臣は米価審議会の要求を、この一万百六十円で満たされたと考えるのでありましょうか、どうでありましょうか、その間の事情をお話願いたいと思います。
  137. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたしますが、米価審議会の答申にありまするバルク・ライン八〇%といいますものを計算いたしますと、この算定の基礎にいろいろ困難な事情があるのでございます。一応計算をいたしますと、一万一千円でなしに一万四百五、六十円という数字が出るわけであります。この一万四百何がしかの数字が出て参りますその算定の基礎につきまして、なお十分に検討の余地があると私は思うのであります。これは小委員会の一般報告にもあるのでございます。そういうことでありますので、この生産費を十分に重視して農産物の価格を決定していかなければいけないということについては、私もこれについては全然同感でございますが、その生産費調査について明確なる数字が現在困難であるという状態でございますので、まず生産費については一体どれを結論として持ったらよろしいかということの結論が出ていないと私は思うのであります。そうしてこれについてはいろいろ検討の余地が残されておるのではなかろうかと実は思うのでございます。従って米審の答申におきましても、一万何百何十円という数字は出ていません。八〇%のバルク・ラインの生産費において考慮するという答申でございまして、数字は入っていないのであります。この数字を入れればそういうことになるのでございまして、たとえば土地代金をどういうふうに見るか。小作料をどういうふうに見ていくのがいいかというような点については、なお検討の余地があると思うのでございます。そういうことで各種の点を勘案いたしまして、さらに米価決定の要素でございます食管法の米価決定の条文等を勘案いたしまして、政府といたしましてはあの処理に出たわけでございます。もちろん今日の農家の現状からいたしまして十分とは考えておりませんが、これに前渡金ないしは減税等を加えて、何とかこの程度で農家の諸君の御協力を得たいと考えておる次第でございます。
  138. 志村茂治

    ○志村委員 そこで大臣も、日ごろから米穀の買い入れ価格を上げるよりも、米の生産費を引き下げる方がよろしい、こういうふうなことを主張されておりますし、私はそれが本筋であるというふうに考えておるのでありますが、一体米の生産費を引き下げる具体的な方途はどういうことをやられておるか。この間は確かに硫安の価格は引き下げられました。しかしこれによって農家一戸当りの生産費の節約は大体四十円だといわれておるのであります。しかしながら他方におきましては固定資産税が年々つり上げられております。この固定資産税をカバーすることができないからというので、小作料を引き上げられております。大臣は二倍にするとか何とかいうことを言明されたということを聞いておりますが、そういうふうに小作料をどんどん上げられておれば、硫安価格をわずかに五円、あるいは最近二十円というふうに引き下げられましても、とうてい小作料をカバーすることはできないのではないか。生産費を引き下げるために、このような小作料とか大きな問題に着眼しなければならないということを考えておるのでありますが、大臣の御意見をお伺いしたいと思う。
  139. 河野一郎

    河野国務大臣 農産価格の点でございますが、むろん今申し上げましたように、生産費の引き下げについて、第に重点を置いて考えていく。これにつきましては一番大きな点は、土地改良その他によりまして生産力を増強して参ることが生産費を引き上げる一番大きな要素だと思います。これに加えて現実の問題といたしましては、肥料、飼料その他農器具その他の点について考慮をすることが大事である。いつも農家一戸当り四十円というようなことを言われますが、これはまた一面非常に極端な例をお取りになるのでございまして、たとえば先般の肥料の引き下げに当りましても、硫安だけ簡単に申すのでありますが、硫安だけ下げたのではないのでございます。硫安は一番下げ方が少なかったのであります。そのほかの石灰窒素でありますとか、過燐酸でございますとか、カリでございますとかいうものについて実は相当に引き下げになっているわけでございます。これらの点を全部を加えますれば、先般の肥料の引き下げに当りましても大体合計して三十億くらいのものが下っていると私は想像いたしております。それに加えて今回の肥料の価格の改訂に当りましては、さらに業界の非常な御努力によりまして生産費も増産の結果下っていると思いますので、これによってさらに契機として、肥料の価格は相当大幅に下げることはできるのではなかろうか、こう思うのであります。これについてはさらに政府においても肥料の生産の改善の資金等につきましては、あらゆる角度から協力するということにして、何とか早急に国際価格にまで硫安の価格その他の肥料価格を下げることに努力して参るということは、既定の方針としてわれわれは努力をするつもりでございます。その他の問題につきましても、たとえばえさ等につきましてはもう相当に下っていると思うのでございます。これら諸般の点を勘案して、さらに力を強く進めて生産費引き下げに向って努力をして参りたいと考えているわけであります。
  140. 志村茂治

    ○志村委員 小作料の方は……。
  141. 河野一郎

    河野国務大臣 固定資産税はちょっと私の所管でございませんから、他の大臣からお答えを願いますが、小作料の話でございますと、先ほども申し上げましたように、どのくらいになることがよかろうか、農産物の価格の決定と小作料というものとは非常に大きな関連が含まれるわけでございます。そこで私は今農林省内に専門家によって調査を進めているのでございます。この結果も遠からず出ると考えております。しかしその結果は、学究的に出た数字をそのまま取り入れることがいいか悪いかということについて、私は、小作料は実は相当の期間改訂されずに参っておりましたために、今日相当の開きは出てくるのではなかろうかと実は思うのでございます。その際にそういう開きが出た場合でも、私としては最高限倍以上に上げることは不適当で、あって、それ以下にきめるのでなければ妥当でなかろうと考えているということを新聞記者諸君に申したのが、新聞に出たのでありますが、現在私の心境としてはそういうふうに考えているわけでございます。
  142. 志村茂治

    ○志村委員 自治庁長官お尋ねいたしたいのでありますが、小作料の引き上げの一番大きな原因となっているのは、固定資産税が高いのである。今までの小作料をもってしては固定資産税を支払い得ない、こういう小作料をきめていると、地主側にとっては、一応地主を認めている限りにおいては不当であるために、小作料の引き上げに一番大きな口実を与えるものと思っております。固定資産税は今また増徴されるということを聞いておりますが、そうしなければ地方自治体の財政は持たないのであるか、これを聞きたいのであります。
  143. 川島正次郎

    ○川島国務大臣 固定資産税は毎年一回評価がえをすることになっております。昨年の十月、土地につきましては評価がえをいたしまして、大体従来に比して二八%の値上げを決定して、当時の自治庁長官から各府県に通達したのであります。これが小作料に影響あることこれは当然だと思うのでありますが、しかしながら各府県の実情等をよく見ますると、大体地主の犠牲においてこれを解決するという方法に向いておるのであります。従いまして現在の地主の収入というものは全く皆無のところが幾らもあります。もしも固定資産税が小作料等に均衡した場合におきましては、特に固定資産税を減免するという規定もあるのでありまして、私どもといたしましては固定資産税値上げの影響が小作料になるべく及ばないように、こういうことを念願をして処置をしておるわけでございます。
  144. 志村茂治

    ○志村委員 それでは農林大臣に対する質問は終りまして、生産性本部に進みたいと思います。  大蔵大臣お尋ねしたいのですが、生産性本部に融通されている円資金の償還計画ですね。何か大蔵省は五年間のうちに償還しろということを生産性本部に言っておられるそうですが、そういうことがあるのでしょうか。
  145. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点はまだきまっておりません。
  146. 志村茂治

    ○志村委員 きまってはおらないかもしれませんが、生産性本部で、私はきのう会計から聞いたのですが、大蔵省は五カ年間に返せと言っているが、とても五ヵ年間に返せないから困ると言っておった、それでお聞きしたのですが、それで生産性本部はいまだ償還計画を立てておりません。償還計画が立たないうちに大蔵省はお貸し付けになるつもりであるか、それをお聞きしたい。
  147. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 先ほどからも御答弁申し上げましたように、これが発足いたしまして一定の活動をいたしますのにはどうしても資金が要る。そこで政府といたしましては五千万円は補助金で出しておりますが、その他の金で一億五千万円、これは一億一千万円が生産性本部の事業体の活動の資金であります。あとの四千万円が石炭の調査団の費用、こういうふうになっております。先ほどから借入金のことについてはしばしば御意見や御質疑があったのでありますが、これは非常に財界に関係があって、そして関連をしておりまして、民間の運動にもなっておる。特に海外にたくさんの人が行くという場合におきましては、どこの国でも半額ぐらい交付しておりまして、これを一応生産性本部で立てかえて、あとでまた収入をはかる、こういうような状況もあるのであります。今後どういうふうにして償還していくか、もう少し事業活動の様子を見ました上でよく考えたい、かように思いますが、とりあえず事業活動させるために要る運用資金として出したわけであります。
  148. 志村茂治

    ○志村委員 こまかい点でありますが、政府は生産性本部に融資一億五千万円のうち、四千万円は石炭協会へ振り向けられておるというのであります。ところが石炭協会の石炭鉱業調査団招聘費というもののうちで、世界銀行負担分二千万円というものを計上いたしておるのでありますが、こういうことは当然政府がやるべきである、自分たちは石炭協会に払いたくない、こういうことを言っておるためにこの二千万円を生産性本部へ返す目安はつかない。そこで生産性本部ではこの償還の計画が立たないというようなことを言っておりますが、その点はお聞きでしょうか。
  149. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういう点は私まだ聞いておりません。よく調査いたします。
  150. 志村茂治

    ○志村委員 それでは次に進みます。生産性本部では、ドイツ等西欧の例を見ましても、二、三年そのままの収支状態でがまんするのでなければ成果は上らないということは、西欧の実情になっております。従って二、三年間は政府に年々同じ程度の援助を求めなければならないという事情にあるのでありますが、生産性本部自身においても同じようなことを要求いたしておるのであります。従って政府は補助金のほかあの融資を今後とも続けられる考えでおられるのかどうか、これをお聞きしたいと思っております。
  151. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私今の考えでは、必要がありますればやはり資金繰りとして融資をすることも考えておいてよかろうと考えております。
  152. 志村茂治

    ○志村委員 生産性本部は大体財団法人であり、従って大きな事業収入はないわけであります。そこで外郭団体の寄付金やあるいは会費にたよっておるのでありますからして、年々何千万円の元利金を支払うことは事実上困難になっております。大蔵大臣は今後の運営を見て研究する余地ありと言われておるのでありますが、実際問題として融資された一億五千万円というものは、結局国庫補助金の増額によってこれを償還するという結論になるんじゃないかというふうに考えるのですが、そういうことはお考えにならないでしょうか。
  153. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 これは私先ほどから申しましたように、この生産性本部の実際の活動状況並びに根本的な考え方等を十分考えています。しかし自己負担というようなものが全然なくていいかどうかというような点は、やはり私は考えていいんじゃないか、特に財政状態等も勘案をいたしまして、ある程度業者等の自己負担を取り入れても決してこの生産性本部の目的を阻害するものではなかろう、かように考えております。それらの点を十分研究した上で結論を出したいと思っております。
  154. 志村茂治

    ○志村委員 大体生産性本部の活動については、日本とヨーロッパとでは条件が非常に違っております。先ほどからいろいろ論議がございましたが、欧州で成功したからといって、それがそのまま日本で成功するとは考えられないのであります。労働力が比較的少くて、そうして完全雇用に近い欧州と異なって、日本では労働力が多過ぎて年年多くの失業者を出しておるのであります。生産性向上は、能率増進とかあるいは企業合理化として、私企業の利益のみを考えておって、落ちつくところは人員整理の合理化であるというふうなことは過去の経験であります。従って生産性向上は、雇用問題から切り離しては考えられないと私たちは思っております。今度の生産性向上運動は、国民の生活水準を上げることを第一とし、これがためには、ある時期に首切りを行わなければならないようなことがあっても、何とかこれを防いでいこうと言っておるのでありますが、かえって失業者を増加する結果に終るのではないか、そういうような公算も大きいのであります。生産性本部の活動は、国民運動として展開されなければならないのでありますが、そのためには雇用問題が解決されて、労使関係が対等となること、また社会保障制度が前進する等のことが満たされない限りは、労働組合の協力を求めるということはほとんど不可能と思っておるのでありますが、今のままの生産性本部のやり方で、労働組合の、一部の労働組合はこれに参加するとかしないとか言っておりますが、総評といったよう労働団体の支持を得られるものと考えておられるかどうか、その点を聞きたい。
  155. 石橋湛山

    石橋国務大臣 生産性向上の方法が日本と英国あたりとは事情が違いますから、日本日本の事情を十分に考慮してやらなければならぬことは申すまでもないことで、これは初めからそのつもりで生産性本部もかかっておるわけであります。しかし結局生産性の向上は、資本一単位当り、労働者一単位当り、機械一単位当りの生産量を増すということがプロダクティヴィティーであります。同時に雇用量の問題を考えずにやるべき時代ではない。それゆえに労働組合がこれに参加できない、あるいは反対だということは、私はどういうわけでそういうことを言うのかわからないのであります。それには誤解があると思います。結局日本では生産性を上げなければならないことは言うまでもないのです。生産性を上げなければ国際競争はできませんし、国際競争ができなければ私はそのはね返りは国民全般にくると思うのです。労働階級もそれだけ困るのです。ですから雇用量の問題もむろん考えなければならぬが、同時にそれじゃだらだら大ぜい人さえ使えばいい、こういうものではないと思いますから、われわれとしては、生産性本部を中心として日本の事情に即した生産性向上の問題を研究しようということであるならば、労働組合においてもこれはむろん賛成をしてしかるベきもの、かように考えております。また必ず賛成してくれるものと信じております。
  156. 志村茂治

    ○志村委員 生産性本部で作っているいわゆる三原則には、その第一として、「生産性の向上は、究極において雇用を増大するものであるが、過渡的な過剰人員に対しては、国民経済的観点に立ってあとう限り配置転換その他により、失業を防止するよう官民協力して適切な措置を講ずるものとする。」ということは述べてありますが、就業が事実上困難な現在において、「配置転換がそのように容易に行われるのでありましょうか。これは労働大臣御存じであると思いますが、先般の富士自動車の大量解雇の場合において、配置転換ということを考えられておりましたが、また特殊産業の配置転換も考えられておりましたが、それがほとんど一%にも足りない配置転換しか行われておらないのであります。このような状況下におきまして、生産性本部が三原則として第一に掲けておっても、果してわれわれ労働組合の人は満足してそれについていくかということであります。  生産性の問題は現在三つの焦点に要約することができると私は考えます。第一に、それが国際的な問題になっておるということであります。第二は雇用問題と深いつながりを持って展開されておるということであります。第三番目は、生産性の向上と福祉との関係が深く考慮されておるということであります。コストの引き下げということはただいま大臣がおっしゃったように、労働生産性の引き上げであります。国際的には比較生産性の問題であります。ところが比較生産性が高まったということが、直ちに日本経済の自立に役立つかどうかということは、国際市場が自由でなければならぬということであります。日本に与えておるような市場についてのいろいろの拘束が撤廃される。国際協力がこの間で行われるという前提が見出されない限り、生産性を相対的に向上することによって、それが直ちに日本の経済自立に役立つとは私たちは考えておらないのであります。  次に労働運動との関係でありますが、労働運動の一切は、今まではある意味においては、生産性の増進に伴う労働条件の悪化に対する抵抗の歴史であったといっても、われわれは過言でないと思っております。このたびの生産性向上に当っても、フランスの総同盟が生産性の増進が新しい失業を生むであろうということで、それを理由として強力に反対しておったのでありますが、日本の場合のように不完全就業者あるいは潜在失業者、そういう者が多いところでは、事実の上で生産性の増進が失業増加をもたらす危険はさらにさらに大きくなるといわなければならないのであります。従ってこの運動が国民運動にまで浸透するためには、同時にあるいはこれに先行して社会福祉の問題について満足な回答が与えられなければならぬ。私は先ほどこれを申し上げたのでありますが、大臣はこれについて御回答ございませんでしたが、これらの点について十分御考慮願いたいと思うのであります。ということは、福祉の問題を考慮しなければ生産性の向上を取り上げることは全く無意味であると私は考えております。英国が半世紀の長い間にわたって富と厚生とを調整するこの努力が、英国の今日の社会保障制度を生んだのであります。また今回の生産性向上の運動が英国に大きな成果をもたらした大きな原因であると私たちは考えております。  重ねてお伺いいたしますが、生産性向上運動と並行して輸出入に対する国際協力、それから社会福祉事業、これに対する政府は強いお気持をお持ちかどうか。一方的に生産性向上運動ばかりはかってみても、うしろにつながる問題を解決しなければ、これが首切りに終るということを最もおそれておるのでありますが、政府が国際協力の問題あるいは社会福祉事業を強力に推進される御決意を、ぜひともこの際承わりたいと思うのであります。
  157. 石橋湛山

    石橋国務大臣 申し上げるまでもなく、生産性を上げてもその商品の処分ができないということではこれは無意味であります。同時にあなたのおっしゃった国際協力といいますか、国際的な日本の貿易の拡張等を強力にやるということは、これはもう生産性本部の問題を離れても現にやっておりますし、これからもやらなければならぬし、やるつもりでおります。また同時に生産性を上げるということもやはり国民生活の向上を目的とするものであります。同時にまた今のお話しのように、確かに過渡的には生産性を上げるということはある程度失業者を作るというような懸念もございますから、これはもう社会福祉の問題については十分考慮をしなければならぬ、かように強く考えております。
  158. 志村茂治

    ○志村委員 私は生産性向上のためには失業者が当然現われると思うのでありますから、労働者が喜んでこれに参加するためには、その前に失業しても最低生活は保障してやるんだということをはっきり政府が打ち出していただくのでなければ、労働者はこれに参加しない。従って国民運動にまで浸透することができないから、生産性向上運動はできなくなるんだ、従来の産業合理化ということと同じ結果に終ってしまうんだということを申し上げておるのであります。生産性向上をする前に、まず社会福祉事業を徹底してやってもらいたいということを要求しておるのであります。
  159. 石橋湛山

    石橋国務大臣 社会福祉事業を強化するということはむろん異論ございません。ただ同時に、これはやはり生産性を上げると同時にやらなければならぬことでありまして、ただ社会福祉事業だけが先走って果して日本の経済が保っていけるかどうか、これは疑問です。社会福祉事業をやれば今度はこれじゃ生産が足りないじゃないか、収入が足りないじゃないかという御議論が出るのではないかと思う。これは車の両輪でありますから、同時にやらなければいかぬと私は思います。
  160. 志村茂治

    ○志村委員 最後に、余剰農産物の受け入れによって最も大きな圧迫を受けるのは農産物価格である。これは間違いないと思います。従ってこれによって得た資金はむしろ補償の意味で農業開発に回すべきではなかろうかと私は考えるのでありますが、農業方面に融通されるものは全体の一割にも達しない金額である。公平の観念にはなはだしく反すると思うのでありますが、政府はどのように考えられるのでありますか、この点をお伺いしておきたいのであります。
  161. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今回はアメリカとの大ワクをきめてああいうふうになっておりますが、私も御趣旨はごもっともと思います。そうして先ほど申し上げましたように、今後の財政投融資は余剰農産物に限りませず、私は食糧増産の方向に重点がだんだん移行していっていいのではないか、こういう考え方を持っております。
  162. 志村茂治

    ○志村委員 これで終ります。
  163. 三浦一雄

    三浦委員長 それでは午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分開議
  164. 三浦一雄

    三浦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。井堀繁雄君。   〔委員長退席、上林委員長代理着席〕
  165. 井堀繁雄

    ○井堀委員 ただいま提案されておりまする案件で、約二百十四億の多額の貸し出しの金題は、それぞれの事業を通して国民経済に及ぼす影響がきわめて重大でありまするので、政府の所信を伺い、その使途にあやまちのないように希望いたしたいと思うわけであります。  まず電源開発の百八十二億五千万円の貸付でありますが、電源開発株式会社の資金計画を見ますると、その資金調達の面で、総題三百五十三億のうち、この貸付の百八十二億五千万円と財政投融資がその大部分である、自己資金はわずかに一割に足らない三十四億六千八百万円、こういう内容が明らかにされておりまするが、このことは、申すまでもなく、この事業の中核をなす資金の性質なり、事業の全体を運用いたします力の中心が財政投融資に依存する結果になると私は思うのであります。言いかえますならば、政府のこれに対する責任は、この面から行きましてもきわめて重大であると言わなければならぬ。またわれわれといたしましては、この事業が将来どう発展していくかについて重大な関心を持つわけであります。ここにあらためて百八十二億何がしの、しかもこれは、先ほど来論議がありましたように、国民全体の負担にかかるきわめて重大な内容を持つ資金であります。こういう資金調達の面から判断をいたしまして、将来電源開発が問題になりますことは言うまでもありませんけれども、ここでぜひ明らかにいたしたいと思いますことは、日本経済の再建を行う上に豊富な電力が、しかも低廉に配付されることの重要であることは、何人も否定できないと思うのであります。この目的を達することができるような計画でなければならぬことは、言うまでもありません。しかしながら、この資金の調達の内面から見まして、電源開発資金は、結果は国民の負担になる財政投融資に依存していて、経営の責任の地位に立つ者は、国民の意思を代表するところの機構であるとは断じにくいと思うのであります。この辺の関係を政府はどのように御判断なさって、そしてその目的を正しく遂行せしめるための措置をお考えになっておるのですか、私はこの点に対して重大な関心を持ちますので、お尋ねをいたすのであります。  そこでこの資金が、先ほど来のお話しで明らかになったのでありますが、余剰農産物の買い入れという事柄が、来年もさらに再来年も、またかなり遠い将来まで、同じコースをたどって連続的に行われるものでないということが明らかになったわけであります。そこでこの事業全体から資金だけをながめましても、百八十二億何がしという資金は、この事業にとりましては重大な役割をしております。これがもし一年間で中絶するというようなことがありますならば、その事業に及ぼす影響は甚大であろうと思うのであります。その場合において、電源会社はどの資金にたよるか、またそれにかわるべき資金調達というものがあるかどうか、この辺のことについてまず明らかにしていただきたいと思います。
  166. 石橋湛山

    石橋国務大臣 電源開発会社の今日の機構は、その経営しておる者は政府の任命でありまして、従って、これは国会にも間接に連なっておるわけでありますから、必ずしも国民の意思を代表しない機構だとは思っておりません。十分の監督ができる立場にあります。  それから御質問資金の問題は、万一余剰農産物の問題が続かないというようなことがありましても、日本投資能力のある限りは、電源開発、むろん経済をはずしてはできませんが、経済的に開発する限りは投資すべきものでありますから、これは国家としても、その投資電源に誘導するように国家資金を供給することに努力いたします。あるいは民間資金をこれに誘導するという方法も講じて、必ず電源開発はやり遂げる決意を持っております。
  167. 井堀繁雄

    ○井堀委員 今日の電源会社の機構について、私は必ずしも民意を正しく反映する民主的な機構だとは断じかねるのでありますが、この改善については、また別の機会に論議すべきものと思うのであります。  次に、この資金が、今通産大臣答弁によりますと、一時的なこういう資金投資で、他は別な道を通じて投資が行えるという日本経済の明るい見通しの上に立っての見解のようでありますが、もし見解相違といえばそれまででありますが、今までも予算あるいは経済についての国会における論議を通して、百八十億を上回る莫大な投資が、一時的な投資でなくて、これが継続できるという見通しについては、どうも了解ができにくいのでありますが、それはともかくといたしまして、政府責任において、今後電源開発に対する資金その他について措置をおとりになるということですが、その措置の間違いのないことを私は念願するのであります。  そこで、もう一つこれに関連してお尋ねいたしたいのは、もしそういう非常に楽観的な明るい見通しの上に立って電源開発もできるということならば、当然豊富な電力を低廉で供給される見通しがおありであろう。一体どのくらいの電力の増量をいつごろまでに完成なされ、それでどの程度国民生活に潤うように電気料金を引き下げる予定であるか、この点を承わっておきたいと思います。
  168. 石橋湛山

    石橋国務大臣 電源開発の方については、御承知のように、かねがね五カ年計画でこれを計画して、遂行しております。同時に最近の新しい火力発電等の技術も導入しまして、適当に火力を利用することによって極力電力の値下りをはかりたい。むろん水力電気の方の開発については、これも建設費が相当高いのに、いろいろ大きな補償を行わなければならぬということから、いろいろの困難があることは御承知の通りであります。その補償の問題もできるだけ合理的にこれを解決して、何もかも電力にしわを寄せるというような弊害がないように、同時に金利の引き下げその他についても考慮いたしまして、そして電力の値下げをやる、こういうことであります。
  169. 井堀繁雄

    ○井堀委員 電力の値下げに対する見通しを明らかにされないところをみますと、通産大臣は、豊富にして低廉な電力の供給に対する大事な責任を、国民の前にちゅうちょされておることを非常に遺憾に思うのです。こういう莫大な予算をこういう形でとる場合に、まず第一に、電気料金を安くできる見込みで、こういう計画を立てるということを明らかにすべきだ。その責任政府にあると私は思うのです。この点では、今日の政府の態度ははなはだ遺憾だと思う。  今一つ資金の使途の面について、私の懸念する点があるのであります。使途を見ますと、会社の資金計画の最も大きなものは、言うまでもなくこの法の性質からいいますと、発電設備に動員されることは当然だと思いますが、これも総額三百五十三億のうち、三百二十九億二千四百万円でありますから、ほとんどであります。ここで私の懸念いたしますことは、今問題になっております濃縮ウランの受け入れによって、電気業界に対する革命的な転換が起るのではないかという科学者の、しかもかなり具体的な根拠のある見通しがなされておるようであります。この事業計画とこの資金計画とを見ますと、この濃縮ウランの受け入れによって、電源開発に対して大きな変化を生ずるのではないかと思いますが、この点に対するお見通しを一つ、これは経審長官でも通産大臣でもけっこうです。この点に対する責任のある見通しを一つ明らかにしていただきたい。
  170. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。この濃縮ウランの受け入れということは、日本一の原子力をいかに平和的に利用するか、これはほんの一部分のことでありまして、原子力を平和産業に利用するということにつきましては、もっともっと深い研究が必要である。その研究の一過程として濃縮ウランを受け入れたことは、この研究を容易ならしめる上について、非常に便利を与えてくれたということが言えるのであります。これあるがために、日本のエネルギー資源であるほかの開発、電力の開発、あるいは石炭、石油、こういうふうなものにつきまして非常な影響が即刻起るということは、なかなかわれわれは予期することができないのであります。十分やっても、五年先でなければ、これを動力用に使用するということは不可能と思っておるわけであります。  一方水力電気の開発につきましては、これは単に電力開発ということでなくて、水資源をいかに有効に利用するか、あるいは治山、治水、あるいは灌漑用、あるはい工業用水、いろいろの面から広く電気というものを総合的に考えていく。これは原子力の利用が動力化されるから、あるいは濃縮ウランが受け入れられたからといって等閑に付すべきものではない、こう信じております。
  171. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私の伺いたい点は、もっと率直に、しろうとらしい質問かもしれませんが、私は原子力の平和利明ということは、そう遠い将来でないということは、政府が別な機会に発表になっておるようでありますが、その見通しを誤まりますと非常に大きな影響がある。特に今のような電源開発に導入する莫大な資金は、今、日本の経済にとりましては、血のにじむようなとうとい資金をつぎ込むわけであります。もちろん今日の電源開発が、ただ単に電力開発という単一目的ではなくて、それが灌漑や、あるいは都市の用水、あるいは洪水を防止するといったような多目的のものであるということを、われわれはある程度了承しておるのであります。けれども電源開発のために投ぜられることは、そういうことによってカバーのできるウェートのものではないのであります。そこで、これに対するある程度の見通しを持たないで大きな資金を導入するということは、通産大臣のように、どっさり資金が集まってくるという楽観的な見方をされればこれはおのずから別でありますが、それでも限度があるわけであります。これは非常に重要なことだと私は思いますので、はなはだしつこいようでありますけれども、あなたは今五年くらいとおっしゃいましたが、今日のように科学の進歩の速度というものは——今防衛の問題、ことに軍備の問題についてやかましい政治事情がありますから、そういうものを抜きにして議論することは困難であるかもしれません。そういう衣を脱がして議論することができるならば、もっとはっきりしたことを世論は取り上げるのではないか、こう私は思っておるわけであります。われわれはそういうことまで考慮しないで質問をしておるのでありますが、そういうものを汚職に入れても、こういう計画を立てるときには、こういうものについて、政府は国民に対してある程度の所信を述べる義務があるじゃないか。この点では片鱗だに訴えておりません。あなたが五年先と思っておるのに二年後に変ったら、今日の政府を非難するだけではなく、政治に関係を持った者の共同の責任になると私は思いますので、この点をもう一ぺん将来のためにはっきり伺っておきたい。五年先でなければ影響は起らぬとあなたははっきりお思いになっていらっしゃるか。
  172. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまの御質問のごとく、相なるべくは、これは早く原子力が動力用として使用されることをわれわれは希望する一員でありますが、これを非常に過大評価して、二年先、三年先ということを見積ることは、むしろ間違いを起すだろうと思います。ただ、しかし原子力といたしまして動力用以外のものの利用といたしましては、これは即刻利用していきたいと存じておりますが、動力用ということにこれを経済的に利用できるということになりますと、イギリス、アメリカあたりでは十年先ということを言っておりますが、しかし日本といたしますれば、一番動力用として原子力を使用する必要に迫られておる国でありますから、そういう意味から、これを切りつづめて五年くらいでやりたい、こういう感じであるわけであります。今のお話しのごとく、これはできるだけ早く利用できるように努力いたしたいとは存じておるわけであります。
  173. 井堀繁雄

    ○井堀委員 そこで通産大臣にもう一つお尋ねしておきますが、今までの御答弁で明らかになりましたごとく、こんな貴重な莫大な政府資金を導入して行われます電源開発事業でありますから、一日も早く電力料金の引き下げ——農村にしても、工業にしても、とにかく電力料金の引き下げはコスト引き下げの一番大きなウエートだと思う。これを引き下げるための処置をすみやかに講ずる道を、政府ももちろんだが、私はさっき経営が国民の総意を反映するような組織——政府が役員、執行部を任免するからということだけをもって、政府が国民の意思を代表し、その政府が監督指揮をするからという形式でもって甘んじないで、国民の意思が一番先にそういう公けの企業に大きな刺激を与えるようにして、その最大目的である料金を安くして、しかも豊富なものが適切に配布されるという国民の要望が、じかにその経営に響いてくるようにしなければ、これは経営が民主的なものになったとは言えないのです。そういう意味で、電力料金引き下げの要望が非常に強い、そういう声を迎え入れるような制度をこの際考えて、そうしてこういう重要な事業に対して、国民と一致して新しい発展を遂げるという用意が必要だと思いますが、そういう構想はございませんか。
  174. 石橋湛山

    石橋国務大臣 御承知のように、現在電力は開発途中であります。従ってそのことも考慮して、ただ電力料金を引き下げるということばかりでなく、なるべくその開発に資金が豊富に回りまして、できるだけ開発が促進されるようにいたしたい。同時に、むろんお説のように、電力料金の問題も閑却しておるわけではございません。できるだけこれを下げるように研究を怠らずにやっておるわけであります。
  175. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あなたのお考えだけではありませんが、国民の声を受け入れられるような組織をこの際あわせ計画する御意思がないかという点に対して伺いたい。
  176. 石橋湛山

    石橋国務大臣 電力につきましては、各方面意見を徴して料金その他の問題を決定するような方法を現在講じております。なお、そういうことについては、むろん十分注意をいたしまして、国民の声を受け入れるという方策について、決してこれを怠っておるものじゃございません。
  177. 井堀繁雄

    ○井堀委員 農地開発について一、二お尋ねをいたしたいと思いますが、このことは、先ほどの電源開発とも同じ関係が生ずるのでありますが、農地開発、特に愛知用水について、具体的な方針政府はここに明かにされましたが、私は愛知用水に限ったわけではなく、農地の開発のためにこの種の資金が導入されるということについては歓迎するものもありますが、しかしその方法については、今日政府のやり方については、必ずしも同意しがたい立場をとるのでありますが、たとえば愛知用水のために投資される計画、今の報告書、あるいは法律案が出ようとしておりますが、こういうものについて考えられますことは、さきにも質問があったようでありますが、シカを追う者山を見ぬという言葉がありますが、直接今農民の要求しておるものは何かということを早く取り上げていかなければならぬ。先ほどの電力も同じように、通産大臣の説をもってすれば、電力を開発することがまず先だというふうに言われておりますが、私はそうはとらない。十年先の百両よりきょうの一両に詰まっておる現状なんです。でありますから、とりあえず電力料金を安くしながら、計画を漸次拡大発展させるという順序でなければ政治にならぬ。こういう意味と同じように、農業開発につきましても、その理想がいかに遠大なものであり、りっぱなプログラムの上に立っておりましても、当面しております食糧自給自足という立場だけから考えてみましても、私は、一方には農民の文化生活を引き上げながら、農産物価、特に米価のようなものをきめていくという行き方が望ましいと思うのでありますが、同時に、それがすぐ国民経済、ことに消費者に響いてくる問題でありますから、その辺の関係がきわめて重大でありますので、まず私はこういうものに大きな投資をして、それが五年先、あるいはこういう事業でありますから十年先にならないと、そこには多収穫の目的を達するような結果にややもすればなりがたい本質を持っておる事業だと思っておる。それだけに、為政者は心をいたして、直接それが農民の収入になり、生活を潤し、文化の向上に役立つような手近な道を並行してとっていくという計画でなければ、こういうものに対して私どもは同意しかねる。今ここに政府がわれわれに渡された資料によりますと、そのように受け取りがたいのであります。しかし私ども見解が誤まっておれはとにかくでありまして、この点について農林大臣の、すなわちこういう遠大な計画と同時に、これを投資すれば、こちらの方ではこういうように農民生活にすぐプラスできるといったような案を並行してお持ちになっておるか、今までの計画の中にはないようであります。この点に対して、もしおありであれば明らかにしていただきたい。なければ、やるとすればどういう計画かということを一つ伺いたい。
  178. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。御意見まことにごもっともでございまして、実は従来とかく土地改良につきましては、それが今の御趣旨に沿わぬように、一般の国内の土地改良が運営されておることは事実でございます。そこで今回の愛知用水については、今のお話しの点も十分考慮をいたさなければならぬと思いまするけれども、およそ土地改良にはいろいろ種類もございまするし、今御指摘のように、小団地の開墾等で一年ですぐに実効の上るもの、ないしは府県営等で比較的規律が小さなもので、これを重点的になるべく短期間に計画を完成して参るようにやればできるもの、さらに規模が大にして、国営事業としてやらなければならぬものと、種類があると私は思うのであります。そういう面からいたしまして、なるべく重点的に年次を縮めて完成できるようにして、いたずらに店先を広げてしまって、早くできるものでも、予算のつけ方が少いために事業年次がおくれるようなやり方は、これは改めていかなければならぬのじゃなかろうかと実は思っております。そういう面においては、今申し上げましたように強く推進をして、この愛知用水のような大規模の相当長期にわたる事業も、あわせて遂行していくようにしていくことが妥当でなかろうか、こう考えておるわけであります。
  179. 井堀繁雄

    ○井堀委員 次に、もう一つお尋ねをいたしたいと思いますが、これは電源開発も同じで、ありますけれども、こういう事業というものは、継続的に間断なく続けていく事業でなければならぬと思いますが、この資金三十億を予定されて、そのうち見返り資金二十四億五千万円ですか、こういう資金の構成からいくと、河野大臣としては、こういう一時的な収入しか予定のできないものでこの事業に手を染めるわけです。電源開発の場合は、私は多少その資金の入路というものは、今日の経済組織からいえば、私は通産大臣ほど楽観的じゃありませんけれども、多少はうまくすべってくると思うけれども、こういう農地開発のような事業については、なかなか今の経済組織の中では、資金の、しかも多額のものをすみやかに導入するということは、財政投融資以外に望みがたい。財政投融資ということになりまするならば、これは大蔵大臣の所管なのでありまするが、一体今後こういうものに対して、財政投融資に依存し得るか、あるいは他のものによるか、あるいは今度だけやってみて、あとは何とかなるだろうというのか、ここら辺が明らかでございませんので、その点について一つ農林大臣の所見をお聞かせ願いたい。
  180. 河野一郎

    河野国務大臣 余剰農産物資金並びに世界銀行からの借款等については、いろいろ御意見もございますが、政府としましては、一応条件が整いますれば、今後三カ年間は余剰農産物を引続き受け入れていくという、基本的な考えを一応持っているわけであります。ただしこれは相手のあることでございますから、そこでどういう変化があるかもしれません。ただわが国の条件といたしましては、いろいろこれもまた御意見もありますけれども、さしあたり三ヵ年間くらいは、余剰農産物を受け入れして参りましても、国内農産物の価格等に影響はないという見通しのもとに実はやっているわけでございます。また世界銀行資金にしましても、相当の調査検討を願いまして、そしてこれについては、ある程度の見通しをつけてこの事業に着手しようといたしているわけでございまして、特別な事情の起らない限り、また余剰農産物についてアメリカ側の、われわれの想像し得べからざるような主張がない限り、私は話はまとまっていくのではなかろうか。こういう金利の安い金で土地改良事業ができるということならば、これを利用してやることが妥当じゃないか。今お話しでございますが、万一われわれの主張が通りませんで、双方の間に意見の一致を見ることができないという場合が起りましても、わが国の食糧増産を基本的に推進して参ります過程におきましては、愛知用水のこの事業は、当然いつかは着手しなければならない適切な事業と心得ておりますので、今回この機会にこの事業にをつけたいということでございますので、だめになりますれば、他の資金の受け入れによって事業を遂行していくということに政府としては方針をきめてこれに着手するわけであります。
  181. 井堀繁雄

    ○井堀委員 それで、これは大蔵大臣でもけっこうですが、私どもの見通しからいえば、通産大臣の楽観の一つの要素には、私は外資導入に対する問題があると思う。これはやはり一種の外資導入です。今のようなやり方をしておりますと、行き詰まれば、一番安易な手に陥るということは人情の常だと思いますが、日本経済の中にとって、外資の受け入れをどうしてやるかという方法については、今国民はよほど厳重に考えなければならぬ時期だと思うのであります。こういうものとこれが関連してきますので、私は電源開発にいたしましても、あるいは農地開発事業にいたしましても、この計画資金調達の面から見ましても、あるいは用途の分析をいたしましても、これは日本経済では背負いにくい非常に至難な立場に立たされる事業だと私は思います。日本経済が背負えぬ場合は、私は形はどうあろうとも、外資に依存するという結果にならざるを得なくなる。計画を持たないでもしそういうことをやりますと、これは日本経済にとっては非常なマイナスになるし、あるいはやり方が悪ければ、私はやはり経済的な外国の支配を受けるといったような、一般にいわれる植民地的な性格に堕する危険なしとしないと思う。こういう点について、政府は、あらかじめ国民の前に納得と安心のできる方針を明示すべき時期にあると思う。もしこういう種類のものに対して、あるいは他の問題についても同様のことが言えると思いますが、それはあとで日本生産性本部についてお尋ねすれば明らかになると思うのでありますけれども、そういうやはり国際的な経済の中において呼吸していることは争えぬのです。この点にほおかぶりするということは許されぬのでありまして、もし農地開発もしくは電源開発といったような総合的な国土開発計画をする場合には、外資に対するあらかじめの方針、見通しというものがあるべきだと思うので、この点に対して政府の所見を一つ伺っておきたいと思います。
  182. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今お説のように、電源開発あるいは農業開発、これに計画性を持って、ちゃんと見通しを立ててやることは、これは言うまでもないことであります。そういう場合に、またそういう計画に先だって、外資導入なら外資導入計画をはっきりいたすというようなお話しも、私はもっともだと思います。しかし外資導入については、これはやはり相手方があります。またそのときどきの内外の諸情勢の変化によっても考えなくちゃなりませんが、しかし一方電源開発とか農業開発は、これは何としても日本としてやらなくちゃならぬ。これは、やはり私はちゃんと計画を立ててやるべきだと思います。そしてこれをやる資金については、これはその計画が妥当のものである限り、国内的な資金で一応やるという見通しの計画はよろしいと私は思っております。そういう計画が今後立つだろうと思います。それと同時に、しかし日本としてはやるべき仕事が非常に多いのでありますから、特に食糧の増産というような計画を実行する上においては、外資によっていいだろう。長期の開発は金利の安い、そうしてこの償還については——今日食糧は約四億ドル近いものを年々現金で買っておるのであります。従いまして、この現金を償還資金に充てることができると思います。ですから、農業開発に対して外資を導入しても、この償還については私は保証は十分ある、こういうふうな考え方で、従って食糧増産については今後できるだけ世界銀行——世界銀行というと、また、機械を入れようとか、いろいろ問題もあり、制約もありますが、とにかくこの外資を入れることに努力を払っていきたい、かように考えます。
  183. 井堀繁雄

    ○井堀委員 これには三つの、それぞれの貸付に因果関係がありますると同じように、相関関係があると思います。外資の問題については、相当時間をかけて討議する必要を私は痛感するのでありますが、きょうの討議の目的でもありませんので多く申し上げませんけれども、今この種の資金というものは、大蔵大臣も今明らかにされましたように、食糧の、余剰農産物輸入によってこういう外資が手に入る機会を得たということについては、必ずしもわれわれは非難するものではないのですが、本質的にいいますと、基本的な最低の生存権を国が保障しなければならぬというその食糧を輸入して、その間にそれぞれの資金を得るということ、なまでいいますと、消費者の負担によって、大衆の収奪の形においてその資金が得られておるということについては、どう議論を展開しても、上手に言うか下手に言うかの違いであると思うのでありまして、そういう資金でかりそめにも失敗の起るような投資をしてはならぬことは、申すまでもないのであります。そういう意味で、私は今二つの問題について触れたのであります。  金額はわずかに一億五千万円でありますけれども日本の生産性本部に貸し付けたところのこの趣旨は、私はきわめて重要だと思うのであります。先ほどの質問者も触れておりましたが、これは財団法人の、しかもその性格は、その定款によって明らかにされておりまするように、その事業として生産性の向上のための宣伝啓蒙、もしくは個々の事業場に対する側面からの、いわば精神的な面における指導的役割を展開する機関であります。でありまするから、この費用というものは、これは会費に類するものである。すなわちその事業のために消耗はするけれども、そこから収益を得るものではございません。こういうものに貸付をするということは、自体私は矛盾すると思うのであります。これは、最初から奨励金もしくは基本財産として、これを積み立てさせるための寄付であるというふうに——財団法人寄付行為がそのことを明らかにしておりますから、論の余地はないのですが、これはどういう事情か、私はそういうことをせんさくしようというのではありません。ここに一億五千万の金を割愛したということは、政府にとっては私は重大な責任を負わなければならぬことだと思うのであります。  そこで生産性本部についてお尋ねをするのでありますが、一体生産性本部はもう誕生したのであるか、いつ誕生したのか、またその役員構成はどうなっているか、また政府とこの生産性本部の間にどういう種類の連絡を行なっておるか、機関があれば機関、あるいは正式の所管大臣はどなたか、生産性本部との間の交渉をどうなされようとするかという点について、まず一つ伺っておきたい。
  184. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 この際井堀君に御連絡申し上げますが、本会議の都合で、通産大臣はしばらく座をはずしますから、御了承願います。
  185. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 生産性本部につきましては、これは本年の三月発足いたしたのでございまして、この所管はただいま通産省に属しております。大体から申しまして、これは従前の合理化運動と違って、労使協調して日本の産業を検討し、そしてそれの生産を向上せしむるという意味でございまして、戦後イギリス、フランス、ドイツ等において非常に成功をおさめております組織でございますので、どうしてもこれを日本において適用いたしたいというのであります。これに対して政府は五千万円ずつ補助を出しておりますが、それでも足りないから、一億五千万円を貸し付けたわけであります。これに対する利子の補給というふうなことも、当分は、これはやはり政府の助成金でまかなっていかなければならぬ、こう思っているわけでありますが、この点につきましては、将来のことにわたることでありますから、よく検討したいと思っております。しかし、これはどうしても日本としては十分働かしめなければならない。そしてこれがほんとうに働けば、これによって得たところの全体の工業に対する利益によって、この一億五千万円を返していける、こういう考えでございます。ただいまのところ、これは石坂泰三氏が会長でございまして、最近におきましては、この方に労働組合の方々も入ってこられるという理解がつきまして、最近に出発いたしました自動車の視察団のごときは、経営者側と組合側とが半々の数でアメリカへ参っているというような事情であります。
  186. 井堀繁雄

    ○井堀委員 役員の問題については、この定款に示しまする第十五条で、役員は、経営者、労働者及び生産性向上に関し学識経験がある者から選ぶということになっております。しかしこの印刷物によりますと、私の知る範囲では、経営者と学識経験者と思われる人人だけで役員が構成されておるようであります。これでは、生産性本部としては私は成り立っていないと思うのです。にもかかわらず、この日誌を見ますと、九月の十日には通産省側、大蔵省側、外務省側とFOAの懇談会をやって、しかも本部の活動方針から機構に至るまで、その構想なるというのです。こういうことをおやりになっておるのでありますが、これは世界のどこの生産性本部の報告書を見ましても、まだ生産性本部ができ上っていないのにかかわらず、日本の場合には、生産性本部をでき上ったものとして今も御答弁がありました。そしてこれと政府が正式に取り組んでいるわけでありますが、これは一体どういうわけでありますか。
  187. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 三月に発足いたしまして、ただいまのところ、お説のごとく経営者側の人はこの役員に入っております。ところが、労働組合の方々にこれに入ってもらうように非常に交渉を重ねているわけでありますが、どうしてもこれは入ってもらわなければ本物にならないという感じでございまして、ただいま着々と交渉を進めているようなわけでございます。
  188. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私はこのことは、ただ単に便宜的な手続をやっているというふうにはとりたくないのです。そもそも生産性本部というものは、労使の完全な協力と理解の上に立たなければ、こんなものを作った意義はないのです。相手が理解に乏しかったり、あるいは誤解をしておった、あるいは反対があればそれを説得することが生産性本部に向う道筋である。ところが経営者と学識経験者と政府だけが話し合いをして、さっさと機構を作る。もちろんこれには生産性本部の一つの共通したモデルがあると思います。しかしこれは、生活協同組合やその他の公法人のモデル定款のようなものではありません。あくまで構成されるところの人人によって自主的に作り上げていかなければならぬものなのです。そんなものを天下り的に財団法人を作って、さあ入れ、もう入れというようなことで、一体生産性本部に対する趣旨を理解しての上に立っている政府のやり方とはどうしても思えない。この点に対するあなた方の御所見を承わりたい。
  189. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。これは出発に当りまして、ただいまのお話しのごとく、十分の了解を得るように各方面とのわたりをつけて、進んでおるわけであります。これは、どうしても労働組合の側の方々とは提携をするということが前提で進んでおるわけでありますから、今着々それに進んでおるような状態でございます。
  190. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私はその形式よりも本質をたっとぶのです。今のような政府答弁では、私は生産性本部というものを理解する能力を疑わざるを得ぬのです。特に、ここにはもう法律案を出し、予算案を出しておるわけであります。私は、ある意味においては国会に対する一つ政府——言葉は適当でありませんが、詐術といっていいと思うのです。工合よくごまかして通そう、あるいは黒を白と言いくるめようとするずうずうしさ、あるいは生産性本部というものを議員が全然理解していないと見くびっての態度か、私はその判断に苦しむのです。少くともこういう種類の団体というものは、特にこれはヨーロッパの例をおとりになりましたけれども、私もある程度了解をしておりますが、しかしヨーロッパと日本とは、いろいろな意味において著しい相違点があるわけであります。中にはよいものもありましょうが、大きな欠点もありましょう。そういうものに対する扱い方を変えるということはやむを得ぬかもしれないが、しかし基本的な精神は、少くとも今日どこの国においても、生産性を引き上げていこうとするためには、労働者の自発的な、しかも組織的な協力を得なければ一歩も前進することができないということは、生産性を貫く根本的な精神です。この根本的な精神を理解するならば、まず生産性本部を成立せしめるために、何ゆえに労働組合に対して政府はあらゆる努力を傾け、その結果を待ってかかる法案を出さなかったのか、そうするべきであったのです。要するに、そうしてから予算を提案すべきなのです。入ってくるだろうと言っといて、もし入ってこなかったらどうするのですか。またよしんば入ってきたにしても、おぜん立てをして、そこに追い込むような考え方日本政府にあり、あるいは経営者側にそういう傾向がありとするならば、この生産性本部は失敗します、成功する望みはありません。ことに日本の特殊事情として、日本の経営者は——あなた方が御相談をかけている団体の名前がここに上っている。この四つの団体を見てごらんなさい。まず第一に経済同友会、次は日経連、日本商工会議所、あるいは経団連、これらの団体がどういうことを打ち出しておるか、御存じでしょう。もちろん全部とは言いません。しかしその団体の方針として取り上げられておるものに対しては、一口に申しますと、封建的な労使関係を考えている。労働者の組織、人格を認めておらぬのです。こういう団体に相談をして生産性本部ができると思いますか。もちろんそういう団体を構成している中には進歩的な、時代を見る目のある経営者のあることも私は承知しております。そういうようなよい人との間で懇談を遂げておやりになるならば、私もいいと思うのですが、団体を相手にしておる。こんなものが成功しますか、その自信があるならばお答えを伺いましょう。
  191. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お説のごとく、私ども考えといたしまして、この生産性本部に労働組合が参加せざれば、これは無意味であるということはよく存じておるのであります。従いまして、私は労働組合の参加につきましては、政府といたしましても十分これを支持していきたい、こういう所存でございます。
  192. 井堀繁雄

    ○井堀委員 私は、趣旨をはっきり政府にのみ込んでいただくために明らかにしたので、何も非難攻撃するつもりはない。しかしそういうお考えでは、この金がわずか一億五千万円といいますけれども、国民の血のにじむような金です。そういうものが少しでもむだになることは耐えられぬことです。ことに生産性本部をやりそこなったら、どんなにりっぱなことを言ったって、ほかのものはだめになりますよ。そういう意味で、今後はよほど真剣に考えていただかなければならぬと思う。私がなぜこういうことを申し上げるかというと、単に将来を憂えて言うだけではない、あるいは私が想像をたくましゅうして言うのではない、事実があるから、この事実に対して政府はもう少し勉強していただきたいということです。あなた方の相談相手になっている団体、その団体から選ばれてきている役員、つまり今労働団体に対してまっこうから反対しておる者、それから一部の条件をつけてこれと協力しようとするような、積極的に協力する意思ありと見られる団体、そのいずれに対しても、私は結果において幻滅の悲哀を与えるようなことにならなければいいがと思っておる。これは政府責任において、これらの団体に対するところのそれぞれの関係をつける際に、政府は金を貸し付けるというが、命を貸して取ればいいというわけではないでしょう。この金が正しく使われることのためには、厳重な監督と指導が必要です。それも官僚が頭から押えるのではなしに、趣旨をはき違えておるのを改めてもらわなければ困るということを言っておるわけです。こういう点に対して、私は一言政府に対して、十分反省を促すように申し添えておきたいと思います。  そこで時間がございませんから、多くを述べることはできませんが、これと関係いたしまして、これはやはり一連の講和条約から出発した、特にMSAの関係条約や協定によるところのそれぞれのものによって発生しておることでありますから、私は、これからのことについて政府に十分な御注意をしていただこうという意味で、過去の事実について一、二お尋ねしていきたい。  それは、日米行政協定に基いて、日本の多くの労働者が献心的な、奉仕的な、しかも自分の生活をある程度犠牲にし、そうして連合軍、すなわち駐留軍に奉仕をしてきました。また物品や備品、需品等の調達に対しましても、乏しい経済の中からこれを与えると同時に、その調達は労働者のなみなみならぬ労苦によってまかなわれてきておるのであります。また日本経済の危機に瀕しておりました際に、この特需によって得た外貨が日本経済の危機を救ったことは、偽わりのない事柄であります。このように、労働者が自己の犠牲の上に日本経済の危機を救い、連合軍のそれぞれの目的を遂行するに足る協力をしてきたが、これはもともと軍の作戦が終れば、それに雇用されておる人たちが、あるいは調達が一応間に合えば、そこに雇用されておる人々が離職することは当りまえのことであります。そういう場合に、岡は一体それらの労働者に対してどういうめんどうを見てきたか。これはたびたび国会で論議されてきましたところの駐留軍関係の労働者、特需関係の労働者の姿を見ればわかると思うのであります。それで社会労働委員会の決定に従いまして、各党代表がそれぞれ特需関係の事業場を視察して参りました。あなた方もごらんになるといいと思うのでありますが、日本の労働者の人格は認められておりません。第一、出入りの際に写真を胸につり下げておる。日本人の風俗習慣は許されておりません。日本の労働三法によって保護されるということを行政協定の中に規定してあるにもかかわらず、なされておりません。私はこういう事実に非常に国辱を感じました。日本は一体独立国であるかどうか疑いを持ちました。こういう点について私はこの条約の行政協定というものの精神が、アメリカ側によって、あるいはその当事者によって誤解をされておるのではないか、誤認をされておるのではないか。そうであればそれを一日も早く改めさせる必要がある。いやそれは条約が悪いんだということなら、その条約はもともと行政協定、それは単独の協定ではございません。それは国連の憲章に違反するようなことは、この協定は許されぬのでありますから、国連憲章に基いてその改正をしなければならぬことになると思いますので、そのいずれかをここで明らかにいたしたいので、外務大臣に一、二お尋ねいたします。  すなわちこの前文によりまするとこういうことが書いてあります。「両国民間の相互の利益及び敬意の緊密なきずなを強化する実際的な行政取極を締結することを希望するので」ある、これはもう何もそうむずかしい解釈は必要としないのであります。またさらにこの行政協定と同時に十二条の関係でございますが、十二条の二項にはこう書いております。これは調達であります。「現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは、日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。」というふうに書いてある。これももうそうむずかしいことではないと私は思うのでありますが、今日の特需は御案内のように一業者と米軍との間に自由に契約を行われている直接契約です。こんなもので公正な契約ができるはずがないことは常識でわかる、日本のような荒廃した、荒れ切ったところでは、営利追求をする、かような競争のはげしい中で労働を犠牲にしないでいい契約ができるなどということを考えること自体が私は無理があると思う。こういう現実を見通して、この条約を正しく行わせるとすれば、政府として、この当局というのはどういう機関になりますか。何とかしなければならぬこの二つの関係について外務大臣の条約に対する御見解一つ明らかにしていただきたい。
  193. 重光葵

    重光国務大臣 お話しの通りこれらの条約の解釈適用は十分に公正にやらなければむろんいけないと私は考えます。御趣旨はよくわかりました。条約の解釈の問題については条約局長の説明を聞いていただきたいと思います。
  194. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 井堀繁雄君、時間ですから簡単に願います。
  195. 井堀繁雄

    ○井堀委員 趣旨においてわかりましたが、さらにもう一つ十二条の五項で、全文は読みませんが、「賃金及び諸手当に関する条件のような雇用及び労働の条件、労働者の保護のための条件並びに労働関係に関する労働者の権利は、日本国の法令で定めるところによらなければならない。」こう規定してあるのですから、これも私は何もわざわざ説明を聞かなくてもわかる。ところが同じ行政協定の中で、基地内、すなわちアメリカ日本との間に協定されたあちらの基地内における一切の支配権はあちらにあることになっておる。それとこれとの矛盾であります。基地内においてはこの十二条の五項というものは一体価値を失うものであるか、あるいはこの条約はその際において、その基地内においても当然履行さるべきものであるかについて、一つはっきりした御答弁を願います。
  196. 重光葵

    重光国務大臣 条約局長に説明させますからどうぞ。
  197. 下田武三

    ○下田政府委員 条文の内容に関係いたしますので私から御説明申し上げさしていただきたいと思います。  御指摘の問題は基地内、特に御指摘の規定は、たとえば基地内の、PX等における需品の調達その他の問題であります。これは一種の米軍機関そのものではございませんが、特殊機関といたしましてある程度の特権や利益を認めております。しかし日本の法令の適用を全面的に排除するという治外法権的なものはないのでございます。
  198. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 時間が参りましたから御協力願えませんか。
  199. 井堀繁雄

    ○井堀委員 簡単でけっこうでございますが、外務大臣の答弁一つはっきりしていただきたいと思います。これは大事なことであります。今の政府委員の御説明によりますと、ある程度という言葉で逃げられておりますが、これは程度ではありません。われわれ労働者側の立場からものを見ていきます場合には、その基地内において日本の労働法規というものが完全に保護してくれるものであるかあるいは制約を受けるかということについて大臣の所見を一つ伺っておきたい。
  200. 重光葵

    重光国務大臣 基地内における労働者の保護について日本法規の適用を除外するものでない、こういう解釈でございます。これはあくまでその解釈で十分に一つ保護しなければならぬと思います。そしてそれらの実際の問題については合同委員会なんかが、十分これは役立たなければならぬ、こう考えます。いずれにしてもこの辺は十分に一つ調整をして労働者の立場を十分に考慮しなければならぬ、こう考えております。
  201. 井堀繁雄

    ○井堀委員 大へんそれではっきりいたしましたので……。
  202. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 井堀君、簡単に願います。
  203. 井堀繁雄

    ○井堀委員 このことは今外務大臣よって明らかにされましたが、今までわれわれが社会労働委員会等においてこの種の問題を扱う際に、これがいろいろな意味で非常に災いになっておる。それについて外務大臣としての御解釈が明らかにされましたが、これが今まで各地においてややともすればじゅうりんされがちの状態であります。これはもちろんアメリカ当局側の誤解、誤認に基くものだと思いますので、そういう不当な誤解や誤認によって日本国民の人権がそこなわれるというような問題は即刻交渉して、解放を完全にされるように、政府に強く要望してこの問題を打ち切りたいと思います。
  204. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 井堀君に申し上げます。二十五分までが協定の時間ですから御協力を願います。
  205. 井堀繁雄

    ○井堀委員 あと同僚諸君からお尋ねがあるようでありますが、私は以上大体のことをお尋ねいたしましたので、最後にこの種の関係につきましてはわが党は最初から態度を明らかにいたしまして、いろいろな疑義と懸念を持っておりますので、政府はこれの実行に当りましては最善を尽して、国民にいささかの迷惑も起らないように御注意、御留意をいただきたいことを要望いたしまして私の質問を終りたいと思います。
  206. 上林山榮吉

    ○上林山委員長代理 井堀繁雄君の質問に関連し、池田禎二君より発言を求められております。これを許します。池田禎二君。
  207. 池田禎治

    池田(禎)委員 私は、先般外資委員会アメリカ銀行の三百万ドルの外資の輸入を許可した、この問題につきまして、これは言うまでもなく丸善石油の三万三千トンの大型々タンカーを建造許可する、その旨を含んだ内容でございますので、造船計画と関連をいたしまして大蔵大臣通産大臣、運輸大臣、さらに経審長官にそれぞれの立場より御答弁を願いたい、かように思うものでございます。  まず大蔵大臣お尋ねいたしますことは、外資委員会が丸善石油につきまして、三百万ドルの外資の輸入を許可したということにつきましては、相当深く掘り下げた御審議がなされたものでございましょうかどうですか。ただ事務的に行われたものでございましょうか。この油送船の建造に必要な資金といたしまして許可されたということは言うまでもありませんが、その他の関連する事柄等につきましても御考慮になって許可になったものでございましょうか、そのことを伺います。
  208. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 外資委員会といたしましては、今日タンカーがやはり不足いたしております。そこで今この建造期になって、建造資金の調達がまだ国内的に必ずしも潤沢でない。ですから建造資金相当部分を外資に仰ぐ、従って外資の期間が短くてはなりませんが、大体従来の船の建造資金償還期間という程度長期であれば、一応外資委員会としては許してよかろう、こういう考えであると思います。ただ今回の場合は船主が船を作るのでありませんで、石油の会社が自分のタンカーを持つという意味におきまして、これはまた別個に海運政策から考慮する必要があると思いますが、一応外資委員会としては、今申し上げたような見地から許可をいたしたものと考えております。
  209. 池田禎治

    池田(禎)委員 こんなことを大蔵大臣お尋ねすることはどうかと思いますが、あなたも一言触れておりましたけれども、今日わが国の海運政策といたしましては、これは自由党内閣のときもしかり、現内閣におきましても経済六ヵ年計画の中に、造船計画をお入れになっております。そうして御承知のように今日までに国家は二千億に近い金を、財政投資をいたしまして、わが国の海運政策の助長のためにやって参った、こういうこともまた御考慮に入れて、相まって行われたものでございましょうか、どうでございましょうか。
  210. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私の承知する限りでは、やはり海運政策が前提になるのでございまして、海運政策の上でそういうことが許されるならば、そのときの資金調達についてはこういう方法によることも差しつかえなかろう、かように御了解願いたいと思います。
  211. 池田禎治

    池田(禎)委員 丸善石油の外資輸入に引き続きまして、相次いで石油会社が外資の導入と自己資金によりまして大型の油送船の建造に着手するということは、もはや動かすことのできない事実が各地に発生しておるのであります。こういう場合におきましては、将来こういう申請が出ました場合、また外資につきましても大蔵大臣はお認めになる方針でございましょうか、いかがですか。
  212. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その点につきましては外資導入という見地に立ちまして、今後の世界の海運の情勢、特に外資委員会といたしましては、借り入れた資金が期日に償還を可能ならしめるかいなかという見通しを持たなくてはならぬと思います。従いまして、あるときにそういうことが許されたから将来も同じようなケースとして許すということは必ずしも約束できないのでありまして、今後の国際収支並びに海運自体のあり方といいますか、ある状態、それらによって決定すべきだと考えております。
  213. 池田禎治

    池田(禎)委員 経審長官にこの際お尋ねいたしますが、あなたは現内閣の経済六カ年計画の中に占める船腹需給の調整、建造計画、いわゆる外航船舶の建造方針というものと、この油会社の自己資金ないし外資による船舶建造がこういう形において続々と申請されて参った事態というものとは、どういうふうに調和されるというお考えであるか、それともこういうことは初めから御計画になっておったのでありましょうか、その点はいかがですか。
  214. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済六ヵ年計画におきましては、大体外航船は一年に二十万トン建造する、こういう計画でございまして、そのうちタンカーは五万トンないし六万トン建造する、こういうのが経済六カ年計画に相なっておりますが、その間におきまして、その当時における情勢上、タンカーの建造が必要だといった場合には、これは運輸大臣とよく検討いたしまして、そういうものは許可していきたい、こう存じております。
  215. 池田禎治

    池田(禎)委員 その船舶建造のための外資というものは、大体目安を持っているでしょう。たとえばどの程度までは外資を入れてもかまわないというお考えに立つのでありましょうか。それともそれはやはりできてきたときに、個々について検討するという考え方でございますか、いかがでしょう。
  216. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 経済六ヵ年計画におきましては、船舶建造に対して外資というものは考えていないわけであります。大体は国内資金をもってこれに充当していきたい、こういうような計画を立てております。
  217. 池田禎治

    池田(禎)委員 今度の丸善石油の申請に先だちまして、先般出光興産と大協石油がそれぞれ大型タンカーを建造いたしまして、そうしてこれが許可になっておるのであります。ところがこれらの業界は、出光におきましては第六次造船計画、大協石油におきましては八次造船計画においてこれを許可になって、この中に入っておるのであります。こういうものは、言うまでもなく、通産大臣はおられませんが、非常に大きな国家の免税上の保護を受けている。さらにまた計画造船の中に入って国家の財政投資を受けている。その都合のいいものはそこに入るが、そのワクが一たん締められてしまうと、今度は外資と自己資本でもって船を作る、こういうことは現内閣だけでなく、自由党内閣のときから引き続いて行われているが、それは海運助成政策というものに対して大きな混乱を来たすおそれはないか、あまりにも身勝手じゃないか、こういうふうに思われてなりませんが、これはどういうふうにお考えですか。
  218. 三木武夫

    ○三木国務大臣 お答えいたします。とにかく計画造船によって日本の必要な船腹量が充足できるならば、それは計画造船一本でよろしいと思うのであります。ところが財政資金も思うようになりませんから、計画造船を完遂しても日本の船腹量というものは不足するのであります。たとえばタンカーの問題にいたしましても、今高碕長官お話しになった程度のものを建造しても、石油の需要量が今の程度であったとしても——将来はふえるのではないかと思いますけれども、現在の消費量でも七割ぐらいしか運べない、あとの三割は外国船をチャーターしなければ運んでこられないのでありますから、船腹の絶対量というものが計画造船を遂行してもなおかつ不足している。それが国際収支の上においてマイナスとなっているというわけでございますが、しかし一面において、海運政策を乱さない配慮は運輸行政の上においてしなければなりませんが、しかし外資で船を作るようなことは全然問題にならぬということにはならない。   〔上林山委員長代理退席、委員長着席〕  それはやはり日本の船腹の現在の保有量というものが不足しておるという現実は無視できないのであります。従って日本の経済自立の上から言えば船はほしい。それはどうしても外国の船をチャーターすれば、それだけ用船料を払うのでありますから、国際収支の上にはマイナスになってくる。それを改善するのだから好ましいのですが、それが日本の海運政策に、従来の既設の業者に非常な影響を与えないという配慮が運輸行政の上にあるのであります。そういう点でこの問題についても慎重な検討を加えておりますことは、池田委員御承知の通りであります。そういう点で慎重に検討を加えていきたい、こう考えておるのでございます。
  219. 池田禎治

    池田(禎)委員 通産大臣はおられませんが、経審長官が自分の所管でないとおっしゃればまたよろしゅうございますが、今の運輸大臣の答弁によれば船腹の絶対量が足りないからとこうおっしゃいますが、日本の石油業者というものは今一番もうかっておる。一番もうかっておるけれども、しかし日本の油くらい世界で高いものはないのです。わが国産業経済政策の上から申しますと、こんな高いところの油を売って産業をどうして助長できますか、どうしてコストを下げることができましょうか。これは経審長官御承知でしょう。重油についてもトン当り日本は一万円前後です。アメリカの太平洋岸では四千四百、中東では四千、とにかく世界中でもべらぼうに高い石油を買って日本国内産業に押しつけて、油会社がもうかってもうかってしようがない。しかも国家のいろいろな恩典を受けるために、船舶を建造すればその償却におきまして三年間の非常な免税恩典を受ける、そういう点で産業上においては最もコストの高い原料を使っておきながら、そうして自己の純益に対して免税するために、こういうことにどんどん乗り出してきたら秩序はとれないと思う。もう少し実際油を下げて、日本の産業上ほんとうにコストを下げるというところに力点を置いて、あるいはまた本来の石油資本のみずからの経営内容を強化するというところにその資金を投入して、もってわが国の産業経済政策の上に大きく貢献することが当然の道でなければならぬ。しかるにこういうべらぼうに世界中にない高いものを押しつけて、もうかるものは船を作って税金を免れる、そうして海運界を混乱に陥れる、こういうことは鳩山内閣の総合的な経済参謀本部としてはどういうふうにお考えになるのですか、その点を私はざっくばらんにお伺いしたいと思います。
  220. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいま御質問のことがもしありとすれば、そんなにべらぼうなもうけをこの国家の重要な産業に対してある一商社がしておるということは、よほど検討を要する点だと思いますが、その点につきましては、幸いに通産省の官房長が参っておりますから、それから一つ御説明いたさせます。
  221. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 石油の価格のお話がございましたから申し上げまするが、なるほど重油の日本国内価格は世界的に比べて、必ずしも安いとは申されません。若干割高になっておりますが、その他のガソリンあるいは燈軽油等は、日本の方が諸外国に比べてだいぶ安いようでございます。いろいろな国内的な措置等あるようでありまして、われわれいろいろ調べてみましたところが、国内的ないろいろな税の関系その他で、日本のガソリンはアメリカあるいはドイツ等に比べてだいぶ安いようでございます。
  222. 池田禎治

    池田(禎)委員 では官房長にお尋ねしますが、今日本の石油精製業に対して、国家はどういうふうな補助政策といいますか、とっておるのでしょうか、その点はいかがですか。
  223. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 仰せのようなことをおっしゃいますが、取り立てて保護らしいものをやっておりません。ただ外資導入等の申請があります際に、これは占領下でございましたが、受け入れを許可しております。その結果普通の国内産業に比べて比較的安い資金コストで金がまかなえておるという点だけが、ほかの産業と比べてやや違っておるという現状です。ほかの点では、別段特別の助成とかいうようなことはやっておりません。
  224. 池田禎治

    池田(禎)委員 石油精製業に対して合理化促進法に基く特典だとか、あるいは開銀の融資だとか、特別償却、地方税の減税、関税法上における優遇そういうふうなものは全然いたしておらないのですか。私の聞いておるところでは、いたしておるというふうに聞いておるのですが、そういう点はいかがですか。
  225. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 合理化機械の輸入あるいは償却といったものにつきましては若干の特例を認めておりますが、これはほかの産業にもそういう同じ基準におきまして同じように扱っておりますので、特に石油関係だけの問題ではございません。  それから今お話のありました開銀融資のことでありますが、開発銀行の融資は石油精製業の設備については、たしか私の記憶しております範囲では、したことはないと考えております。地方税等につきまして、詳細実は今ちょっと記憶しておりませんが、あまり特別な措置は講じてないのではないだろうかというふうに考えております。
  226. 池田禎治

    池田(禎)委員 それではこういうことはどうですか。私の調査によりますと、開銀の融資の措置として丸善石油が二億五千万円、三菱石油が一億三千万円、昭和石油一億二千万円、大協石油一億六千万円、こういう融資を受けておるということを承わっておりますが、これはあやまりでしょうかどうでしょうか。
  227. 川上為治

    川上政府委員 四、五年前に石油の精製設備につきまして近代化なりあるいはその増設をはかりました際に、開銀融資を——おっしゃいましたような額か、これははっきり覚えておりませんけれども、ある程度開銀融資をいたしました。最近におきましてはほとんどやっておりません。最近相当増設なりあるいはその近代化をいたしておりますけれども、これはほとんど自己資金でやっておりまして、開銀の融資なりそういうものはやっておりません。
  228. 池田禎治

    池田(禎)委員 減税措置としては特別償却と合理化設備に使用する輸入機械の輸入税の免除、こういうことはいたしておりますかどうでしょう。
  229. 川上為治

    川上政府委員 前にそういうことをいたしたことはありますけれども、最近におきましては、ほとんど特別な助成措置はやっておりません。
  230. 池田禎治

    池田(禎)委員 そこで私はこの際、実は経審長官でも運輸大臣でもけっこうですから伺いたい。石油業者というものは本来の使命にやはり没頭すべきものである、みずから他の産業、海運界に乗り出してきてそうして混乱せしむるようなことは、私は総合政策の上からいって誤りではないかと思う。運輸大臣はただいま船腹の絶対量が足りない、計画造船をもってしてもなおかつ足りないと言うが、しかし今日、それではあなた方は一つの六カ年計画を樹立して、そのもとに財政投資をして国の命をつぎ込んで、これを国際海運界の水準に戻すことが国家の至上命令なりというその方針のもとにおやりになっていることは、これは要らないのじゃないかと思う。要らないと言うことは言い過ぎがあるならば、そういう計画というものはやはり全く継ぎはぎのもので、どうでもいいようなものだけれども、一応体裁上やっているとしか思われない。ことに外資をどんどん入れてしまって——これは今大蔵大臣でも経審長官でも聞いていただきたい。石油会社の社長なんかはアメリカ人の前では頭が上らぬ、小使のように使われている。こういうような外資の入れ方、ただその金が要るのだからこれは入れるのだというような、そういう考え方でもって総合的な外航船腹の需給を、建造計画というものをあなた方は破壊するおそれがあるということをお気づきになっておりますかどうでしょう。
  231. 三木武夫

    ○三木国務大臣 やはり自己資本で船腹なども拡充していくことができればそれにこしたことはないと思うのですが、それは自己資本でほとんどできてないのでありまして、タンカーだって去年の暮れに大協が外資を導入してやったのが初めてでしょう。だからどうしても一方は日本の船腹を拡充するためには計画造船、これをやはりここ数分年間貫いていくことが必要であります。貫かなければならない。ただ計画造船だけでいいのか、自分の自己資本で船を作るという場合に、もうそれは絶対に認めない、計画造船一本だけかというと、今申したように国際収支の改善ということが日本の経済の絶対命令であるとするならば、わざわざ外国船をチャーターして外国に対して運賃を払っているような場合に、それが大した弊害のない場合には自己資本において計画造船にプラスして、それも次次に計画造船を乱すようなことであればともかくも、そうでない程度において自己資本で船を作ろうという場合には、これは全然検討の価値がないという問題ではないのじゃないか。これは慎重に検討する一つの課題である。これを海運業界に対して非常な混乱を与えないような配慮をするということが運輸行政の責任だとは考えておりますが、そういうことは全然考慮の余地がない、初めからそれは拒否してしまえというふうには、日本の国際収支の現況というものは、そういうふうに考えることが必ずしも適当とは思っておらないのであります。
  232. 池田禎治

    池田(禎)委員 かつてそれぞれの特殊会社が自分のところの品物を自己保有船でやろうとするときには、それぞれ御承知のように関係の船会社を作りまして、そこに自分の独自のものを運ばしておる。たとえば日鉄における日鉄汽船、日本鋼管における日産汽船、こういうような形をとってきておる。油がここ四、五年間に急速に膨脹いたしまして、非常な好況にある。自家保有船を建造するというところに乗り出して参ったのでありますが、これは従来の産業に見られたように、それぞれの汽船会社を作らしめて、そこに資本を投下して、そこにやらしめるというようなことは運輸大臣としてお考えになるでしょうか、どうでしょうか、この御判断はいかがでしょうか。
  233. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今申したように、日本の船腹事情は船がほしいのだ、その作った船が海運界に悪影響を及ぼさないようにはどうするかということで、池田委員の御指摘になったような方法も一つの方法でございましょうし、あるいはまた船を作ってもその運営は海運の専業者、専門の海運業者にやらすということも一つの方法でありましょうし、御指摘のようなことも検討を要すべき課題だと考えるのであります。
  234. 池田禎治

    池田(禎)委員 これは大蔵大臣お尋ねするのですが、海運界が今こういうことで実質的には相当おびえておるのです。そうしてこういう状態で行きますと、御承知のような国家の財政投資を受けて、そして外航船舶利子補給法というような、ああいうような問題になったものまで作って、海運界の不況を国家の手をもって救ってきた。そうすると、こういう混乱するような事態がもしあるとするならば、この財政投資に対する利子を払うことはもちろん、その資本の償却ということもなかなか困難な事態になるのではなかろうか、こういう点では、そういう場合あるいはそういう懸念がないとお考えになるのか、あると思われるのか、その点はいかがでしょうか。
  235. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 今の御質問の点は、国際海運の状況いかんにかかると私は思っておりますが、最近国際海運もだいぶ持ち直してきて、日本海運もその影響でよほどよくなりつつあることは申すまでもございません。ただしかし私はそういうことだけでなくして、この問題についてやはり海運政策という基本線、そのときどきの現象形態ということでなくして、もう少し掘り下げた海運政策ということから判断を下すべきではないかと考えておるのであります。単に償却ができるからとかできぬからとか、あるいはあるところに利益が生ずるとか生じないとかということだけではこれは判断はいたすべきではない、かように私は考えております。
  236. 池田禎治

    池田(禎)委員 それでは運輸大臣にこの際お尋ねしますが、日本の石油会社がもうかっておったところで、外国の業界に比べるなら、まことにこれは微々たるものです。こういう自己保有船を持つというようなことはこれは将来必ず行き詰まる。あなたは今絶対量が足らないというが、将来海運界の状況が漸次好転をいたして参りますならば、この業界の競争というものは、自家船ですから徹底的に運賃を安くすることだってできる。ほかの海運上の競争になることはこれは火を見るよりも明らかであります。そういうような状態がきた場合に、私どもは、やはり海運政策としてはそういうことを見る場合は、これは好むべからざる状態がくると思う。そこで本来ならばこれはあなた方の管轄でないのだが、船舶建造の許可権はあなたにある。本来の石油業者みずからの使命に徹して、この船舶部門というものはやはり本来ならばもち屋はもち屋にまかせるというのが道ではないかと思う。あなたは業界が混乱なかりせばと言うが、私は残念ながら業界の混乱ということをおそれておる。そこでそういうこともおもんばかるならば、こういう点についての将来への措置、たとえば今後申請されて参りますその自己保有船に対する抑制というか、どこかでワクを引くとか、どこかでこれを一つ考えて、そういうおそれなきところの措置をとるお考えがあるかどうか、そういうことを一つお伺いしたいのであります。
  237. 三木武夫

    ○三木国務大臣 池田委員の御指摘のようなこういう問題については、一つ考え方と申しますか、海運政策の上から基準を設けなければならぬと思うのであります。ただこういう問題が起りますことは——結局日本の資本というものが相当な資本の余裕を持っておればこういう問題は起らないのであります。資本力の不足ということからこういう問題が起って、船においてもタンカーばかりではございません。ほんとうのオペレーターと船の所有者というものは違っておるのであります。実際は、資本力を持つもの、海運業者でないいわゆるオーナーというものが船を持っておる、海運業者、オペレーターは船は持てない。これが資本力の弱体な日本経済というものの姿であります。これが一つの経済の行き方としては秩序の立つことでございましょうが、資本力の乏しい日本として過渡的な処置としてそういう場合もあり得る、日本の国際収支改善のためにはそういう一つの過渡的な処置もあり得るのではないか、一律にきちっとした秩序を確立することはできない。ただ海運界に悪影響を及ぼさないだけのいろいろな点は、池田委員の御注意のように十分に運輸省として考えて参りたい所存でございます。
  238. 池田禎治

    池田(禎)委員 時間がないそうですから、私はこれをもってやめますが、あなた方の今までの御答弁を聞いておると、総合的海運政策の見地よりという御答弁経審長官にしてもあるいは運輸大臣、大蔵大臣にしてもございましたが、私は総合的な海運政策の見地からながめますならば、今考えておることは、これは全く目先だけの考え方であって、一貫した日本の海運総合政策の上から見るならば、これはまことに私は邪道であるといわなければならぬ。しかしこれはいずれ私は所定の委員会におきましては掘り下げるつもりでありますが、一応皆さん方に対しましては、その総合的海運政策の見地より、ただ船腹が足らぬ外資は入れる、別に建造計画は一応立てているけれども、それでも足りないんだからという考え方国内の多くの財政投融資をした金の回収もどうなるかわからぬ、これでは全く無責任な話であるといわなければなりません。さらにまた今後の業界を混乱に陥れるようなことがあるならば、これはせっかく育成して参った国家の財政投資は全く死に金になるのであります。そういう点も十分一つ御注意あらんことをお願いたしまして、私の貸間を終ります。
  239. 三浦一雄

  240. 久保田豊

    久保田(豊)委員 すでに前の質問者によりまして大分いろいろの点が明らかになりましたのでなるべく簡単に要点だけ御質問いたしたいと思うのですが、農林大臣はお見えになりますでしょうか。
  241. 三浦一雄

    三浦委員長 すぐ参ります。
  242. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは農林大臣の来るまで時間を節約する意味でほかの大臣に二、三お伺いをいたします。  この前の余剰農産物協定では、高碕経審長官も外務大臣も農林大臣もともに今度の余剰農産物協定は本年限りのものである、来年はもし有利であるならばやるが、そうでない場合は必ずしも予定していないということでありましたが、きょうの午前中の御答弁をずっと伺いますと、少くとも今後相手方がこれを承諾し、なお日本側としてこちらの条件が特に受け入れられるならば、少くとも今後二年ないし三年はこの余剰農産物協定を受け入れるという大体一致した方針であるという御答弁ですが、これははっきり確認をして参りたいと思うのですが、この点は間違いございませんか。経審長官にお伺いいたします。
  243. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 現在のところ来年度のものにつきましては、相手万がありますからそれと折衝いたしまして、そうしてこちらの意向に同意されるならば、これを実行いたしていきたい、こういう考えであります。
  244. 久保田豊

    久保田(豊)委員 しかし一応日本側としてはこちらの希望が入れられて、特別に不利な条件がなければ、さっきの農林大臣の御答弁も、今後三年くらいはこの余剰農産物を受け入れていきたい、これが根本の方針だ、協定そのものの年々における方針はそういう方針だというお話だったが、この点はどうなんです。
  245. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大体三年ということは初め話があったものですから、今後来年、再来年というものにつきまして、格別不利でなく国のために有利であるというならば、これは継続いたしたいと存じます。
  246. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それで本年度協定もほぼできたわけです。まだ詳細な点については十分に協定なり実行の計画が立っておらないと思いますが、あるいは本年度の経験、あるいはこれに対しまする一般の国民の声等から見て、次年度以降においてどの点を本年度と変えて参る御計画があるのか、特に農林大臣は、近くその問題も一つの重要な使命としてアメリカにも渡られるとお聞きしておりますが、こういう点についてすでに検討されておるかどうか、あるいはことしの経験にかんがみ日本としては次年度交渉にはこういう点を貫こう、こういう御計画があるのかないのか、大体本年度とほぼ同様なものと了解していいのかどうか、もちろんこれは相手がありますから、アメリカが別の注文を出せば別でありますが、大体どんな程度が今日鳩山内閣が考えておられる内容であるかという点をまずお聞きいたしたい。
  247. 河野一郎

    河野国務大臣 その点につきましては先ほど高碕長官からもお話がありました通りに、閣内において検討をいたしておるところでございます。ただこれは農林省側といたしましては、今年の国会関係の皆さんの御意見も十分拝聴いたしましたし、またわれわれといたしましてもこの余剰農産物によって出て参ります金は今年よりももう少し農業関係にこれを導入することが望ましいことであるという考えを持っておりますが、これは閣内で今いろいろの角度から検討しておりますから、その検討の結果によっていずれまた申し上げる機会があるだろうと思います。
  248. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで基本の問題として一つお伺いいたしたいと思うのですが、大体今の御答弁から見ると、特別な事情が先方にもなし、こちらにも特別に不利な点がなければ今後少くとも二年は続く、こう了解をしなければならぬと思います。そうなりますと一番基本的な問題は、何といっても日本の食糧並びに農業アメリカに対する依存性といいますか、しかもある意味において対等の依存性ではなくて、向うが非常に強い力を持ってこちらがその下馬に立つというような、いわば人家の台所に行って米を借りて食っている、通俗的にいえばこういうことになると思うのです。そういう点の隷属性が量の上でも質の上でも非常に強くなりはせぬかということが一番心配をされます。と申しますのは、この内容についてはもう申し上げなくてもすでによく御承知の通りでありますが、余剰農産物輸入は普通輸入の上積みです。しかも普通輸入を促進するというはっきりとした任務を持った余剰農産物である。さらにそれに対しまして今日学校給食分として相当なものがあり。これは教育上いろいろな好ましくない影響もあるということを別といたしましても、国民全体の食生活に対しまするアメリカ農産物の占める地位というものは、量的にも質的にもずっと強くなってくるということは、これは当然だと思う。さらにその上に持ってきて、要するにアメリカ農産物日本国内におきまする市場拡張費として六億七千万円というものがアメリカの手によって握られておる。この金が今後どう動くかわかりませんが、これは相当大きないろいろの市場的な作用、もしくはいろいろの社会的な作用を持ってくると思う。二面においては国内関係は、私が言うまでもなく、御承知の通り年々百万石以上の人口増によるところの食糧増がある。反面において年々七十万石以上の基本的な土地のつぶれその他による減収がある。国内においては百七十万石も少くなってくる。しかもアメリカの方が有力な武器を持ってどんどんとやってくる。こういうことになると日本の外国に対する食糧依存、その中でも特に余剰農産物の問題を中心とするアメリカに対する日本の対等の立場でない依存性というものは、ますます強くなってくる。量の上でも質の上でも強くなってくる。このことが、あるいは価格の面において、あるいはその他のいろいろの面において日本農業なり、日本の食糧全体に非常に大きな基本的な影響を与えると私どもは見ておりますが、この点については農林大臣としてはどのようにお考えになっておりますか。この点をまずお伺いしておきたいと思います。
  249. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。私は議論をするわけではございませんけれども久保田さんの今おっしゃったことがそのまま日本アメリカに対するますます優位の地位を占めるような格好にも考えられるのではなかろうかと思う。アメリカにしてみれば余剰農産物日本に買ってもらうのでございまして、われわれの方はアメリカ以外から買う場所がないというんじゃないのでございますから、そういう意味で、私はこの交渉に当ってもこちらの方がへり下った、お願いする態度をとるべき筋合いのものでは少しもない、そういうことは私は堂々と考えられるのじゃないかと思います。しかしまた一方、アメリカにそういうものがあるのを日本で無理に買うのだというように、これが余剰農産物であるからといって、これに対してばかにした態度で臨むべきではない。これはその間有無相通ずる意味において、今あなたのおっしゃたようなアメリカ日本に対する影響力が強くなるとかいうことじゃないのであって、日本アメリカのいいお得意さんとして非常に尊敬され、尊重される立場にもなり得るんじゃなかろうかと私は思うのであります。でございますから、今おっしゃったように、こういうものが日本に入ってくる、そういうものの宣伝費があるというようなことは少しも心配する材料にはならないのであって、これは今後のものの扱い方いかんによっては、ますます日米の関係を好転する道具にもなりましょうし、これが両国の相互理解の非常にいいきずなにもなるでございましょうし、私は両国のこの問題に対する考え方のいかんによって非常にけっこうなものになると思っておるわけでございます。  また食糧の自給度の問題でございますが、これは一方において愛知用水その他の点についてこれを完全にうまく履行することによって、わが国の食糧問題にも大いに寄与するところもあると思いますので、これは一つアメリカの十分の協力と了解によってこの問題がうまく解決していくことのできるように念願をしてやまないのでございまして、今久保田さんのおっしゃったようにばかり考えなくてもいいんじゃなかろうかと私は思っておるわけでございます。
  250. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の点は、農林大臣は私の質問の要点を少しはずれておるのでございます。私は日本交渉に当って非常に卑屈な態度をとるとかなんとかいうことを申し上げているのではないのであります。現実の客観的な事実として、日本の食糧需給の中におけるアメリカ農産物の地位というものが確立して、消費構造の中で——これは政府方針なり何なりにも関係をいたしますが、大きなウエートを持ってくる、こういう客観的な事実、こういう事実の上に立って政策というものが動かされるものだと思う。しかも片方において、今後二年間要するにこのドル・キャッシュのいらない一億ドルというものに依存すれば、今でも片貿易であるのが、これを加えればなお大きな片貿易になります。しかもそれをはずしたときに日本のはっきりした自給態勢がすぐとれるかというと、現状としてとれないのであります。今後相当増産その他おやりになるでしょうが、この点についてはあとで触れますけれども、今年々ふえていきます需要増、あるいは基本的な減産というものをカバーするだけの自給政策というものはそう簡単にはとれないと思います。そういう点から客観的に見てそういう事実が出てくる、その上に立ってどの政府にしろ政策を立てるよりほかないじゃないか、こういう事実をますます助長するような結果になりはしないか、こういうことを申し上げているわけです。もちろん今大臣のおっしゃったように、アメリカからいえば始末に困っているものを日本がいいお得意で買ってくれるのだから、こちらは何も頭を下げる必要はない、現象形態としてはそうなりましょう。しかしながら日本の食糧なり、農業の基本に食い込んでくる客観的の事実は、大臣のお考え通りには参るまい、こう私は考えます。この点は議論にもなりましょうから、大体私はこのくらいにいたしたいと思います。  そこで一番心配されるのは、この二年間今後続くということから予想されますのは、これは少し私の思い過ぎかもしれませんが、やはり今の食糧行政の大転換が行われるのではないかということ、これはいわゆる今の米の統制の問題を間接統制に切りかえるという問題に発展をする土台というものがここにあるじゃないか、こういうふうに考えられる。しかもこれが今後二年間ほぼ安定をしてこの余剰農産物が入ってくるということになれば、政府としてはこの機会を除いては、おそらく外貨事情その他からいってもその機会はなかろう、こういう点で、これは河野さんは今まで始終個人の政治家としては統制を撤廃して間接統制に移行するということを政治的な信条としておられるが内閣の閣僚の一員としては、今日の段階においてはあくまで統制を続けていく、こういう御言明、これはりっぱな言明だと思います。しかしながら過般本年度の米価の決定をされる際に、これは新聞の伝えるところですが、総理大臣から特に食管制度については根本的な検討を加えるということを言われた。世間ではこれはすべて本年度の問題ではない、来年度以降において間接統制その他の問題に発展をしていくだろう、こういうことをみな予想をし、心配をしているわけですが、これについて私はこの余剰農産物が非常に大きな関係を持っておると思うのです。  そこで、この点について私はまず大蔵大臣の御見解を伺いたい。あなたは特に間接統制ないしは統制撤廃には一番積極的な主張をされておる。しかしながら余剰農産物が続いて二年間来る、しかもますますよけい来る、この前提なくしては統制撤廃をする機会がない、こう私ども考える。特にあなたの心配になっている一般会計からの財源の繰り入れということはとうてい困難でしよう。また食管会計の今日の現状も、河野さんの非常な御苦心にもかかわらず、これはだれが見てもぎりぎりの線まで、いっておる。何かの転換をしなければならぬという基本的な財政事情から、一方に誘いの水があり、片方に押す水がある、こういう段階大蔵大臣はこの問題についてどのようにお考えになるか。大蔵大臣農林大臣の両方の御見解をお聞きしたい。
  251. 河野一郎

    河野国務大臣 これは農林委員会でも久保田さんにお答え申し上げました通り政府といたしましては、現在決意して実行に入っておりまする予約集荷制度を堅持して、これによって食糧政策を遂行して参るということは、かたくその決意を持って臨むわけでございます。それと余剰農産物の受け入れとの関係においては、今久保田さんのお考えになっておられまするようなことは少しも考慮の中にないのでございます。ただ何と申しましても、昨年までの現状でおわかりの通りに、極端なる早場奨励金を出しまして、そして早食いをしていかなければならぬような食生活の不安な状態に間尺を置くということは妥当でございません。何がしかの持ち越しを持って、そして適期に収穫をして、適期にこれを消費していくというような、食生活に使令感を持たすことが必要であるということには相当に寄与することができると思うのであります。ただ間接統制にするがいいか、現行制度にするがいいかということは、米がないから今の制度でなければいけないのだ、米ができてきたから間接統制にいくのだというのではないのでございまして、間接統制がいいか、現行制度がいいか、もしくはまた二重価格制度がいいか、これは米が足りないからこの制度、米が余るからこの制度というようなことに制約を受くべきではないと思うのであります。そういうことではないのであって、ほんとうにわが国の食糧政策としてどういう政策をとっていくことがいいのだということで、平常の立場において論議は論議として検討すべきものであるという建前で、われわれは今後研究を続けていきたいと思っておるのでありまして、この余剰農産物の受け入れが、今申しましたように、自由販売にいく前提であるとか、これによって自由販売に移行するための準備を整えておるとかいうことはこの考慮の中には全然入っておらないことを御了解願いたいと思うのであります。
  252. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 この食管制度を根本的に再検討する、これは私はやはりそうだと思っております。しかし今はその程度で再検討してみなければならぬ、そしてどういう準備をどうしなくちゃならぬかということは一つとくと考えていきたい。同時にまたもう一つ余剰農産物の受け入れと統制撤廃ですか、そういうような御質問でありますが、私は今これは直接には結びつけて考えておりません。
  253. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の点は、実はもう少し突っ込んでいろいろお伺いいたしたいのでありますが、時間がありませんからまたの機会にやります。  そこで具体的に二、三、今度は直接この問題についてお伺いいたしたいと思うのでありますが、第一は、ことしは二百十四億の使途が、農業関係に大体三十億、それから電源開発に百八十二億、生産性本部に一億五千万、こういうことになっておるのです。これは今まで私ども政府から聞いた説明では、大体アメリカと大ワクの話をしておる、これはひもがついておらない、こういうようなお話でありましたが、これは今後もそうであるのか、特に私どもが不思議に思いますのは、生産性本部に一億五千万という金を——少くともこういう借款内容から見まして、私は日本政府が普通の財政観を持って見れば、すでに今までの質問者がいろいろな角度から追及されましたが、こういう金を生産性本部、ああいう団体に、ああいう事業に、しかも返済計画も何も立っておらないのに出すということは、日本政府の独自の判断でやったものではなくて、おそらくあの生産性本部の運動そのものが、アメリカの強要によってむしろ日本に押しつけられてきたこの過程から見て、何らかこういうところに私はひもがあるのではないか、こういう点が考えられる、この点はどうか。特に来年度以降これを続けておやりになるという場合に、この使途についてはさっき農林大臣もいろいろ、愛知用水のみならず北海道もやる。青森もやる、八郎潟もやる、それにはどうしても資金が要るからできるだけ条件が整えば余剰農産物を受け入れていきたい、こういうお話がありました。また大蔵大臣は全体の財政資金並びに特にこの余剰農産物による資金は農林関係の方に入れていきたい、こういうふうなお話でありましたが、これが果して日本側の希望通りアメリカが承知をするのかどうか、日本の希望によってアメリカはこれを受け入れる態勢になっているのかどうか。アメリカ側が別途の要途をおそらく今後は出してくる場合も相当あろうと思います。これははっきりした協定ではないかもしれないけれども、何らかの制約がそこにあるように私ども考えるが、そういう制約というものは全然ないのか。日本側の希望が主としていれられるのかどうかという点をお伺いいたしたいと思います。
  254. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申します。大体の申し合せは大ワクをきめます上におきまして、電源開発に対して百八十何億、それから農業開発について三十億、生産性本部に一億五千万円、こういうような具合に大ワクはお互いに相談してきめますが、その細目につきましては、従前のMSA援助措置のことにつきましてはいろいろのひもがついておりますが、これはひもがないかということでありますが、今後といえども大ワクをきめます上においては相談をする必要があると思います。
  255. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その大ワクという点に問題があると思います。これはMSAほどの強いひもがついていないことはわれわれもよく了承しております。しかし今のように、いかなる余剰農産物を、三年なら三年、かりにこれがいい悪いは別問題でありますが、やはりする以上は、これが過ぎたときにも、なくなったときにも、日本の食糧自給態勢というものがそれだけ増進をするということが一番根本だと思う。そういう観点からするならば、少くともこの資金の大部分というものは農業開発に当然まっ先に振り向けるという基本原則を日本政府としては立つべきものだと思う。それなくしては何といいましても国民の納得がなかなか得られないと思う。大ワクの話し合い——年度電源開発に入れると、あるいは場合によりますと、ほかの、たとえば原子力のいろいろな問題に使え、こういう話も向うから出てくると思う。これは出てこないとは言い切れない。しかし私どもはこれについて、今の政府としては基本的にどういうような方針——今後二ヵ年相当資金が入ってくるとするならば、この使い方について基本的にどういう方針を、立てておられるのか。これはアメリカさんまかせで、向こうの言い分とこっちの言い分が合ったならば、そこで出たとこ勝負でやっていくのかどうか。その点をはっきり聞かしていただきたい。
  256. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 大ワクを定めまする上におきましてはまず日本側が希望を申し入れまして、それに対して同意を得るというやり方をやっておるわけであります。本国会におきましても、いろいろ御意見がありましたことでありますから、今後の折衝においては、その御意見をよく参酌して日本の希望をまとめて先方に申し入れたい、こう思っております。
  257. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは、さっき農林大臣並びに大蔵大臣の御答弁のうちで、来年度以降は、この資金は主として農業開発の方に本年度より以上に重点を置いていきたい、こういう点をもう少しコンクリートにして方針を今の内閣としては立てていかれる御方針ですか、あるいはお考えですか、まあ決定はしてないだろうと思うのですが、この点をもう一度聞かしていただきたい。
  258. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 私は先ほど主としてこれでやるとは申してはいなかったのであります。財政投融資等について重点的な点をこういうときに再検討をする必要がある、こういう場合に、私は従来いろいろと重点があったと思いますが、食糧の増産というようなことは、今日の最も大きな重点として取り上げていいのじゃないか。そうすると自然資金の流れがそういう方向に傾いていく、こういうような考え方をいたしております。それをどういう点で今後やっていくか、それは全体の財政投融資等を勘案して考えていかなければならないと思っておるわけであります。
  259. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そうすると、大蔵大臣にもう一度お伺いいたしますが、全体の財政投融資をそういうふうに考えておられるというのか、いわゆる余剰農産物の見返り資金を主として農業関係に入れるというお考えはないというのですか、どうなんですか。
  260. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 本年度は、電源開発に百八十二億五千万、それから農業開発に三十億、こういうふうなバランスになっておるのですから、この計画がことしは農業方面に十分なものがいかなかった結果もあると思うのですが、こういうようなワクをきめる場合には、やはりほんとうにワクをきめる、それからすぐ実行ができるような計画があるのかどうかということが大きなポイントになると思います。従いましてことしはこうだが、来年はこの比率はもう少し私は変えた方がいいという考えなんであります。
  261. 久保田豊

    久保田(豊)委員 もう少し程度ではなかなかはっきりしないと思うのですが、農林大臣は、さっき愛知用水ももちろんこれから始める。それから北海道、青森あるいは八郎潟等をやる、これはもちろん大体農林大臣のお考えでは、余剰農産物の見返り資金を大体おもな引き当てにされているようですが、どうなんですか。そうしますと、これらの仕事を今後五年間に——即時着手して大体一ヵ所五年ぐらいかかるでしょうか、それをやっていくとすれば相当に多額の資金が要ると思う。これを主としてあなたは余剰農産物資金に依存されておるようですが、この点について今の大蔵大臣の御答弁相当食い違いがあるように思うのですが、どうですか。
  262. 河野一郎

    河野国務大臣 大蔵大臣のおっしゃったことで私も全くいいと思うのであります。それは初めから大体本年度は三十億ぐらいで立って参りまして、それに必要な計画立案はしておりましたからそれで参ったのでございますが、すでに調査研究がだんだん進んで参っておりますから、従って来年は、今お話になった通り計画で進むということに私はいけると思っております。大蔵大臣の大体お話になったことが、そう私と違っておるとは私は考えておりません。
  263. 久保田豊

    久保田(豊)委員 この点はもう少し突っ込んでお聞きしたいのですが、いかんせん時間が制約されておりますので、端折ります。  そこで愛知用水について——農林関係から見ますと、一番愛知用水の問題がこれに連関して非常に大きな問題になると思います。一番最初に聞きたいのは、資金総額の三百二十七億であります。これで足りるかどうかということは非常に疑問だと思います。この政府計画を見ますると、いわゆる間接経費というものはほとんど計上されておりません。水没地帯にどうしてやるか、あるいは長野とか岐阜等において相当に反対もある。この反対の者にもいろいろのあれがありましてこれは何らかの形でもって住民の希望するような施設をしてやらなければなりません。これはおそらく農林関係の施設になりましょう。それからもう一つは、用地あるいはうちの移転費というものが、この主体でやる場合には相当かかります。この点の経費も、そう大して載せていないようであります。こういういろいろの点を見てみますと、私はこれだけではなかなか金が足りないじゃないか、少くともこれをやるにはどこの電源開発等でも例がありますように、いろいろ間接の経費が相当よけいかかるのではないか、こういう経費はこの計画のうらには入っておらないようであります。これは見込んでおられるのかどうか、見込んでおるとするならば、これを所要額の三百二十七億の中に入れてお考えになっているのかどうかという点をお伺いいたしたいと思います。
  264. 河野一郎

    河野国務大臣 それらの経費はみな見込んで入っているわけであります。なお予備費も一割くらいの予備費が見てありますから、それで全部まかないがつくというように考えております。   〔委員長退席、中曽根委員長代理着席〕
  265. 久保田豊

    久保田(豊)委員 では最後にもう一点だけお伺いいたします。これは前の質問者もいろいろ言われているわけでありますが、この計画は、これに連関する岐阜、あるいは間接に連関する長野、あるいは愛知全体の住民みずから、一部の者は別といたしまして、必ずしも全部が希望したというものでもないようであります。いろいろの反対が現に今起っております。この問題は、やはり住民の立場から反省して円滑にやるということになると思いますが、農民の関心の一番重点は、これをやって幾ら負担がかかるかということだろうと思います。これについては午前中に渡部政府委員から大体反当二千円ないし三千円の間でいくと思うという話があったが、ところがこれはそうはいかないような計画になっております。この前の六月に政府がお立てになった計画では、返済費は年度割りで五億七千二百万だと思います。これでいきますと、三万三千町歩いたしまして平均しても一反歩当り大体一千八百円以上になります。今度の計画を見ますと、よく私どもわからないのでありますが、これは住民の負担費が二重に出ております。一つは年負担費が大体十四億二千万円、これは農地造成の直接の経費であります。直接費だけではなく、それ以外の全部の経費を入れると、それだけ年間返していかなければならないということになるが、そうでなしに、その方の経費を除くと、九億三千三百万ということになっている。こういうことになると、かりに三万三千町歩が政府の予定するように完全な受益面積としてできるとしても、これは平均で割ってみましても、十四億の場合は反当にいたしましてどのくらいになるかといいますと、大体において四千六百円以上になります。それからもし九億三千三百万ということになりましても、総平均いたしましてこれが大体二千八百円以上になるのであります。これで上りっこない。住民からいえば、それ以外にいろいろ直接の経費がかかります。そして間接の管理費もかかる、こういうことになります。しかも受益面積もおそらく政府が予定しているように三万三千町歩が全部受益面積にはなかなかなり得ない。実際問題としては私は六割五分いけばいいところだろうと思う。現実に負担する費用は、この前の外務委員会でも私申し上げたのですが、これは少くとも反当五千円とか、ところによっては一万円近い費用を現実に最末端においては負担しなければならぬということになろうと思う。これではいかに水が来て土地改良が行われても農民は増産できません。そこでこれはまだ今のところは政府の御計画でしょうから、そうこまかい計画になっているはずはないと思いますが、しかしどうしてもこれをやるという以上は、経費を少くとも二千円以下に下げるような特別の施策を政府が講じてやることが絶対に必要だ。それにはいろいろの方法があると思います。これだけの大きな事業をやるのに、政府が出します普通の今までのものと同じ補助金であるというような、そんなばかなことは私はないと思う。これは現段階における補助金を当然増してやるべきだと思います。同時にアメリカに返す金も、何も十五年で返さなければならぬということはないはずだ。アメリカに対して返すのは四十年で返せばいいのでありますから、そういうふうにして、年々の負担額を大体において少くとも二千円以下、希望するならば千五百円以下にいくようにしなければ、この事業はやっても決して農民に喜ばれません。そして増産もできません。こういうふうに私どもはいろいろ今まで自分のやってきた経験から考えるわけでありますが、この点について政府としてはどの程度まで具体的にお考えになっているか、今とにかく法案を通してアメリカから金を引っぱり出して、そうして現地の連中を何とかいいかげん納得させるということが中心であろうと思いますが、それだけでは農民は納得がいかないと思います。この点について農林大臣のお考えを伺いたい。
  266. 河野一郎

    河野国務大臣 久保田さんも御承知の通り、この問題につきましてたとえば世界銀行あたりも非常に詳細な調査をしております。計画についてもいろいろな角度から検討を加えております。政府におきましても、あらゆる角度から検討を加えておりますが、何分先ほども政府委員からお答え申し上げました通りに、ダムの締め切り場所等につきまして最善の場所を選んでいるわけでございまして、当初計画いたしましたよりも経費負担は減るという傾向にあるわけであります。これらにつきましては地元愛知県におきましても、県知事初めあらゆる階層の人が集まって熱烈に協力会をお作り下さって、せっかく御協力をいただいているようなわけでありますから、これらと官民一体となってこの事業の進行に支障のないように、各方面の御意見も十分尊重して善処して参るつもりでありますから、せっかく御了解をいただきたいのであります。
  267. 久保田豊

    久保田(豊)委員 最後に生産性本部の問題であります。これは一億五千万円出すということでありますが、今までのいろいろの政府御当局のお答えは、要するに労働者あるいは労働組合が生産性本部の本質を理解をしない、誤解をしているからなかなかだめだ、こういうお話があったのですが、それは誤解をしているわけでもなければ、わからないわけでもないわけであります。生産性運動というものはアメリカから出発したのですが、これは世界の経験で労働者にいかに大きな障害を与えるかということは明白な事実であります。これは一部の労働運動の、変な人たちにそういうことに乗っかる人もありますけれども、全体の大勢はもう今日では世界ではっきりしている。日本の労働者もそれほどばかではない。世界の今日の生産性向上運動の実態をみんなつかんでおります。今日の日本のコストの高いのは必ずしも労働者の生産性が低いからではない。これははっきりしている。これは今まで以上に労働者を無権力にし、そして首切り、賃下げあるいは労働強化を押しつける資本家の利潤追求の方向にしかすぎない。いくらあなた方が口をすっぱくしても労働階級は参加しません。参加するのは特殊な指導者の一部だけであります。総評初め中立組合はこれに対してはっきり反対の意向を表明し、現実にことしの労働運動の一番の中心は生産性本部のこの向上運動とどう戦うかということで、各労働組合の末端で今一生懸命やっております。これにそういう金を出すということは全く間違いである。そしてこれはむしろ労働組合を押えつけ、あるいは労働者の権利や利益を剥奪するための経費としかわれわれは理解できない。おそらく世界のどこへ出してもその議論は通ると思います。そういう点で私どもはこういうものを出すことが、今まですでに論議をされたこと以上に私はきわめて不適当と思いますが、経審長官はどうお考えになっておりますか。
  268. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 ただいまのような御意見もありますけれども、私どもはこれによって労働者諸君の支持を得て、日本の生産を向上いたしたいと思っております。
  269. 中曽根康弘

    ○中曽根委員長代理 久保田君、もう時間が参りました。関連質問が小川さんからありますから、これでどうぞごかんべん願います。小川半次君、簡単に関連質問を願います。
  270. 小川半次

    ○小川(半)委員 私はただいま審議中の予算補正の一部でありまする日本生産性本部に関連しまして、主として労働大臣並びに経審長官に伺いたいのであります。  この問題につきましては、本日二、三の議員諸君から御質問がありましたが、私はごく簡単にお伺いしたいと思うのでございます。本年の三月にアメリカのFOAの援助資金によって、日本生産性本部が設置されたのでございますが、この生産性本部設置それ自体に私は異議をさしはさむものではなく、むしろ大いに歓迎するものでございますが、しかし先ほど井堀委員も指摘されましたように、これの組織や機構を見ますと、経営者代表や学識経験者の顔ぶれは見られるのでありますが、肝心の労働者代表の参加が見られておらぬのでございます。もちろん最近ごく一部の労働組合代表着が参加するということを表明しておりますが、ともかく労働は生産の血脈であって、労働者の協力なくして生産性の向上はあり得ようはずがないのでございます。生産性向上運動は今や世界共通の運動となって、アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス等においても積極的に行われております。特にこれらの国では経営者よりも労働組合が積極的であると私は聞いております。ひとりわが国では労働組合側の積極的な参加がないのは非常に残念でございます。これは経営者側が労働者代表の加入を好まないというところに原因があるのか、あるいは労働者側の方から加入することを避けておるのか、その点について私は伺いたいのであります。そうしてどの組合が加入を拒んでおるのか、この点もお開きいたしたいのであります。
  271. 西田隆男

    ○西田国務大臣 お答えいたします。生産性本部に対して、きょうこの委員会で二、三御質問がございましたが、現在生産性本部は純然たる民間団体として発足いたしております。従って政府機関でないことはあらかじめ御了承願っておきます。  それから現在の状況下において労働組合の参加しない生産性本部は意味がないのじゃないかというような御質問がたびたびあったようでありますが、これはまさにその通りであります。しかしながら、民間団体として、財団法人として発足いたしました関係上、労働組合側の全面的な協力ができるまで発足しないというわけにもいかなかったから、そういうような格好をとったのだろうと思いますが、労働組合側のこれに対する協力は、経営者側も第三者側も全面的に要望しておることは間違いございません。今までにおきましても、労働組合側の協力を求めるためには全力を尽したことは聞いております。従って現在までに参加の意思を表明していますのは、総同盟、全労会議等は、八項目の条件をつけて、この条件をのむならば参加するという意思を表明しております。まとまりました労働組合の連合団体といたしましては、総評がいまだ生産性本部に対して参加するという意思表示をいたしませず、かえって参加することを拒否する態度に出ております。   〔中曽根委員長代理退席、委員長着席〕 これは生産性本部の本質の問題に対しての誤解であるのであろうと考えております。従って生産性本部で行う生産性向上の最終目的を達成しますためには、労働組合側の協力なくしては、その目的の達成は困難でございます。生産性本部の実際に行う具体的の内容が逐次わかって参りました場合においては、総評の傘下の組合の人々も、生産性の向上のために生産性本部に必ず参加願えるものと期待しております。
  272. 小川半次

    ○小川(半)委員 わが国の労働組合の中でも最も多数の組合員を擁し、また一番大きな組織と勢力を持っております総評が、これに参加しないという態度を持っておるということは非常に残念であります。今労働大臣は、いろいろな点において総評が現在まで参加を拒んでおると言っておられますが、しかし私は、総評がこれに参加しないところの最大の理由は、アメリカのFOAの援助資金によって生産性本部ができておるのであるという反米的な政治的思想から、政治的意図から総評が拒んでおるものと解釈しております。過去の日本の総評のあり方を見ましても、純然たる労働組合運動から逸脱して政治運動を続けてきたことは、これは顕著であります。現に総評の中でも社会党の永久政権を唱えておる幹部もおりますし、また日本の総評は全世界の純然たる労働組合運動を指導しておるところの世界労連には参加しておらない。そうして自由労連に参加しておるのでありまして、自由労連は御存じのように非常に左翼的で、そうして政治的労働運動を大体目標に運動を展開してきている組合でありまして、総評はこの世界自由労連に加盟いたしまして、そうして事々に政治的なゼスチュアを、ほのめかしておるのでありまして、私は日本の労働組合がこうした偏向指導にあるということは非常に残念でございます。従って私は、今度の生産性本部設置と並行して、今日本の労働組合は反省期にある時代でございますから、この機会に新しい日本の労働政策を打ち立てなければならぬと思うのです。それはたとえば労働代表の経営参加ということも私は一つのねらいではないかと思います。もし労働者の経営参加ということがあったならば、昨年の尼崎製鋼のようなああいう不幸も起らなかったと思います。今日日本の労働組合員が非常に不幸な立場に置かれておるのは、この労働組合の偏向指導者が、経営者というものは絶えず搾取しておるんだ、労働者諸君は搾取されておるんだという、この単純なる、この簡単なる偏向指導が労働者層に潜在意識されておるがために、経営者と自分たちは全く相結ばれないものである。そこに大きなみぞがある。このみぞは日本の生産のためにも不幸なことでありまして、私は今回のこの生産性本部設置と並行して、日本に新しい労働政策を打ち立てなければならぬと思うのでございまして、これについて労働大臣はいかなるお考えを持っておられるか、お答え願いたいのでございます。
  273. 西田隆男

    ○西田国務大臣 お答えいたします。小川さんの御説ごもっともと思いますが、共産主義者であろうと保守主義者であろうと、生産性を向上して国民生活を潤沢ならしめるということに反対する人は一人もないと考えております。ただ向上された生産性の果実がいかように配分せられるかという点と、生産性の向上によって、日本中の現在の情勢下において失業者ができるのではないかというような点に対して、いろいろ疑念を持っておられるようでございますが、これは思想的なものを根底としての政治闘争という意味合いにおいて解釈すべきではなくて、純粋な労働問題としての観点に立ってこの解決をつけていきますならば、総評傘下の組合といえども、生産性の向上に対しては当然全面的の御協力が願えるということをかたく確信いたしております。
  274. 小川半次

    ○小川(半)委員 時間のようですから、終ります。
  275. 三浦一雄

    三浦委員長 これにて質疑は終局いたしました。  これより討論に入ります。小川半次君。
  276. 小川半次

    ○小川(半)委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりますところの昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)に対し、政府原案に賛成の意を表明せんとするものであります。  去る六月二十四日、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定が、本国会において承認されましたことは御承知の通りであります。本予算補正は、この協定に基いて借り入れる資金財源といたしまして、電源開発事業農地開発事業及び日本生産性本部に対して、合計二百十四億円の資金の貸付を行うところの余剰農産物資金融通特別会計昭和三十年度歳入歳出予算を定めるものでありまして、右の協定の締結に伴い当然必要となってくる予算措置であります。この協定に基く外貨資金の借り入れ条件はきわめて妥当性を持つものでありまして、資本不足のわが国経済にとり貢献するところが少くないと思うのであります。しかしてこの資金の貸付対象である電源開発事業愛知用水公団及び農地開発機械公団による農地開発事業、並びに日本生産性本部の事業は、わが国経済の基盤をなすものでありまして、本資金の使途として適切なものであり、日本経済自立のため、きわめて有力な原動力となることを確信するものであります。  以上の趣旨に、よりまして、私は政府原案に賛成する次第であります。(拍手)
  277. 三浦一雄

    三浦委員長 明野三郎君。
  278. 平野三郎

    平野委員 私はただいま議題となりました昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)につきまして、自由党を代表し、希望意見を付し賛成の意を表するものであります。  本特別会計は、ききに政府国会に承認を求めた余剰農産物受け入れに関する日米協定に基くものでありまして、当時わが党としては、十分に意見を述べたところでありますから、本日はごく簡単にとどめたいと存じます。  アメリカにおいては、大量の余剰農産物が生じておりますが、わが国としては、戦後において、土地の縮小に加うるに人口の増加のため、著しい食糧不足を生じている関係上、本協定を締結することにより、一面わが国の基本的問題たる食糧問題を解決するとともに、他面本特別会計によって生ずる資金をもって電源開発並びに農地開発事業の推進をはからんとするものでありまして、サンフランシスコ平和条約を中軸とするわが国の外交根本方針に合致するとともに、国民の要望にこたうる適切なる施策であると確信いたします。ことに余剰農産物の受け入れに当っては、通常輸入計画範囲内において行うことでありますから、国内農産物価格には特に影響を与えるおそれはないのであります。本協定は自由党内閣時代において企図せられ、幾多の外交交渉を経て結実に至ったものであります。  今回鳩山内閣がわが党政策の衣鉢を継いで本協定を締結し、それに伴う特別会計補正予算案を提出いたしましたことは、わが意を得たるところにて、賛意を惜しまざるものであります。ただはなはだ遺憾にたえざることは、来年度協定の進行に関し、閣内において意見の不一致が存在することであります。本月の予算委員会において、はしなくもこの点が暴露し、特に松村文部大臣のごときは、本年度限りでこれを打ち切るがごとき認識不足を露呈いたし、あわててこれを取り消したような次第であります。  本会計による投資事業は、電源開発は申すに及ばず、農地開発事業、なかんずく愛知用水事業のごときは、五カ年計画として発足するものでありまして、もし本年度限りにて打ち切るとすれば、明年度以降における資金計画に重大なるそごを来たすことは、言うまでもないところであります。一たび開始した事業を中途において打切るようなことはできませんから、万難を排して事業の完遂を期さなければなりませんが、貧弱なるわが国の財政金融の実力をもってしては、余剰農産物資金計画を失った場合は、重大なる難関に逢着することになるのであります。さればと申して、明年度の本協定更新に当っては、わが国にさらに有利な条件を必要とするのでありまして、これらの外交交渉こそは、国家並びに国民の運命にもかかわる重大問題であります。政府はこの際この重大任務にかんがみ、魯鈍にむち打って最善を尽すよう勇猛発奮すべきことを、ここに警告する次第であります。  以上警告を付して私の討論といたします。(拍手)
  279. 三浦一雄

    三浦委員長 志村茂治君。
  280. 志村茂治

    ○志村委員 私は日本社会党両派を代表して、本委員会に提案されました余剰農産物資金融通特別会計法案、並びに昭和三十年度特別会計予算補正案の両案に対し反対の意見を申し述べます。  反対理由の第一は、この資金日本の輸出入貿易を少数の国に集中するばかりでなく、直接間接に農産物価格が圧迫されることを甘んじて受けなければならない事情のもとに受け入れる資金であるからでありますが、このような資金資金源とする両案に対しては、原則として反対しなければなりません。  反対の第二の理由は、この資金の融通を受ける事業は、いずれも長年月にわたる継続事業であって、余剰農産物の見返り資金のような、一時的かつ臨時的な資金資金源とすることは、これらの事業を安定して継続するゆえんではありません。他面、事業の乱造とも言えるのであります。資金源が相対的に不足しているわが国では、たとい資金の配賦移動をするといっても、それはその事業自体の安定を得られないばかりでなく、一般投融資をも圧迫することとなるのであります。  反対の第三は、資金の融資先が、大ワクであっても、アメリカから指定された結果でもあるでしょうが、しかしながら余剰農産物の受け入れによって最も大きく失うところの農業に対して、その恩恵が与えられなければならないのであります。これが政治の倫理であるはずであります。この補正予算はこの倫理に反するのであります。  以上最も重要な三点をあげまして、余剰農産物資金融通特別会計法案、並びに昭和三十年度特別会計予算補正案に対して反対するものであります。(拍手)
  281. 三浦一雄

  282. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は簡単に、ただいま議題となっております両案に対して、労農党を代表しまして反対の意思を表明するものであります。  その第一の理由は、この資金によりまして、この土台をなしますアメリカ余剰農産物が、日本の経済全体をアメリカに隷属をさせ、将来においてのっぴきならぬ関係に持ってくることが一つ、これは日本の国民の大きな利益に全く反するものであると思います。  さらに第二の理由は、これによって日本農業と食糧の、また同時に農業増産、土地改良等の事業が、これまた大きくアメリカに隷属をいたしまして、その面から将来において、なお日本の全般のアメリカに対する隷属を深め、日本国民の困難、特に農業の破壊をひどくするということが明白であるからであります。  第三は、その資金の中の一部が、生産性本部というような、全くアメリカ輸入資本家本位の、労働者をいじめる団体に、しかも不当に支出されるような、こういう案に対しましては、根本から反対をせざるを得ない。この理由から反対を申し上げる次第であります。
  283. 三浦一雄

    三浦委員長 これにて討論は終回いたしました。  これより採決に入ります。昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  284. 三浦一雄

    三浦委員長 起立多数。よって昭和三十年度特別会計予算補正(特第1号)は原案の通り可決いたしました。  委員会報告書の作成は、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  285. 三浦一雄

    三浦委員長 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。  これにて補正予算に関する議事は終了いたしました。炎暑のみぎり、皆様の御協力によりまして議了いたしましたことを、御礼申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      ————◇—————