○井堀
委員 私は、趣旨をはっきり
政府にのみ込んでい
ただくために明らかにしたので、何も非難攻撃するつもりはない。しかしそういうお
考えでは、この金がわずか一億五千万円といいますけれ
ども、国民の血のにじむような金です。そういうものが少しでもむだになることは耐えられぬことです。ことに生産性本部をやりそこなったら、どんなにりっぱなことを言ったって、ほかのものはだめになりますよ。そういう意味で、今後はよほど真剣に
考えてい
ただかなければならぬと思う。私がなぜこういうことを申し上げるかというと、単に将来を憂えて言うだけではない、あるいは私が想像をたくましゅうして言うのではない、事実があるから、この事実に対して
政府はもう少し勉強してい
ただきたいということです。あなた方の相談相手になっている団体、その団体から選ばれてきている役員、つまり今労働団体に対してまっこうから反対しておる者、それから一部の
条件をつけてこれと協力しようとするような、積極的に協力する意思ありと見られる団体、そのいずれに対しても、私は結果において幻滅の悲哀を与えるようなことにならなければいいがと思っておる。これは
政府の
責任において、これらの団体に対するところのそれぞれの関係をつける際に、
政府は金を貸し付けるというが、命を貸して取ればいいというわけではないでしょう。この金が正しく使われることのためには、厳重な監督と指導が必要です。それも官僚が頭から押えるのではなしに、趣旨をはき違えておるのを改めてもらわなければ困るということを言っておるわけです。こういう点に対して、私は一言
政府に対して、十分反省を促すように申し添えておきたいと思います。
そこで時間がございませんから、多くを述べることはできませんが、これと関係いたしまして、これはやはり一連の講和条約から出発した、特にMSAの関係条約や
協定によるところのそれぞれのものによって発生しておることでありますから、私は、これからのことについて
政府に十分な御注意をしてい
ただこうという意味で、過去の事実について一、二
お尋ねしていきたい。
それは、
日米行政
協定に基いて、
日本の多くの労働者が献心的な、奉仕的な、しかも自分の生活をある
程度犠牲にし、そうして連合軍、すなわち駐留軍に奉仕をしてきました。また物品や備品、需品等の調達に対しましても、乏しい経済の中からこれを与えると同時に、その調達は労働者のなみなみならぬ労苦によってまかなわれてきておるのであります。また
日本経済の危機に瀕しておりました際に、この特需によって得た外貨が
日本経済の危機を救ったことは、偽わりのない事柄であります。このように、労働者が自己の犠牲の上に
日本経済の危機を救い、連合軍のそれぞれの目的を遂行するに足る協力をしてきたが、これはもともと軍の作戦が終れば、それに雇用されておる人たちが、あるいは調達が一応間に合えば、そこに雇用されておる人々が離職することは当りまえのことであります。そういう場合に、岡は一体それらの労働者に対してどういうめんどうを見てきたか。これはたびたび
国会で論議されてきましたところの駐留軍関係の労働者、特需関係の労働者の姿を見ればわかると思うのであります。それで社会労働
委員会の決定に従いまして、各党代表がそれぞれ特需関係の
事業場を視察して参りました。あなた方もごらんになるといいと思うのでありますが、
日本の労働者の人格は認められておりません。第一、出入りの際に写真を胸につり下げておる。
日本人の風俗習慣は許されておりません。
日本の労働三法によって保護されるということを行政
協定の中に規定してあるにもかかわらず、なされておりません。私はこういう事実に非常に国辱を感じました。
日本は一体
独立国であるかどうか疑いを持ちました。こういう点について私はこの条約の行政
協定というものの精神が、
アメリカ側によって、あるいはその当事者によって誤解をされておるのではないか、誤認をされておるのではないか。そうであればそれを一日も早く改めさせる必要がある。いやそれは条約が悪いんだということなら、その条約はもともと行政
協定、それは単独の
協定ではございません。それは国連の憲章に違反するようなことは、この
協定は許されぬのでありますから、国連憲章に基いてその改正をしなければならぬことになると思いますので、そのいずれかをここで明らかにいたしたいので、外務大臣に一、二
お尋ねいたします。
すなわちこの前文によりまするとこういうことが書いてあります。「両国民間の相互の利益及び敬意の緊密なきずなを強化する実際的な行政取極を締結することを希望するので」ある、これはもう何もそうむずかしい解釈は必要としないのであります。またさらにこの行政
協定と同時に十二条の関係でございますが、十二条の二項にはこう書いております。これは調達であります。「現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が
日本国の経済に不利な影響を及ぼす虞があるものは、
日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは、
日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て調達しなければならない。」というふうに書いてある。これももうそうむずかしいことではないと私は思うのでありますが、今日の特需は御案内のように一業者と米軍との間に自由に契約を行われている直接契約です。こんなもので公正な契約ができるはずがないことは常識でわかる、
日本のような荒廃した、荒れ切ったところでは、営利追求をする、かような競争のはげしい中で労働を犠牲にしないでいい契約ができるなどということを
考えること自体が私は無理があると思う。こういう現実を見通して、この条約を正しく行わせるとすれば、
政府として、この当局というのはどういう機関になりますか。何とかしなければならぬこの二つの関係について外務大臣の条約に対する御
見解を
一つ明らかにしてい
ただきたい。