○三宅
委員 いろいろありますけれ
ども、御迷惑だと存じますので、最後に
一つ酪農問題、学校給食、食生活改善と関連をいたしました問題を各大臣にお伺いをいたしたいと思います。
わが国農業における酪農の地位をいかに評価しておるか、こういう点から
一つ承わりたいのでありますが、わが国農業は狭小な耕地で、多数の農民が生きていかなければならないという条件があり、あわせて九千万人近い
国民を養わなければならぬという立場からいたしまして、第一には土地の生産力を高めて、一毛作は二毛作に、さらに有畜立体農業に持っていって、土地の最同慶利用とその生産性の最高度引き上げが必要であることは喋々を要しないと思うのであります。わが国農業は土地改良、耕種改善、肥料の大量投入等によりまして、おおむね年に二%ずつの収穫をふやして参りまして、半世紀五十年の間に反当収穫が倍になるというのが、今日までの趨勢であったことは御
承知の通りであります。しかるに金肥を入れ過ぎるということが一番大きな原因だと思うのでありますが、最近中国、九州等におきまして土地の生産力が逆に逓減してきつつあるということが、統
計上出て参りましたことは、実にゆゆしい大事だと思うのであります。客土、土地改良等によりまして土地を若返らせますとともに、大量なる地厩肥を投入いたしまして、土地をよくするためにも有畜農業は絶対に私は必要であると思っているのであります。
しかるに農家経済の立場から申しますと、一年に二十日か一月しか使わぬという牛馬では採算がとれないのであります。土地改定ができて、労働が平均して、農繁期のピークが平均されました今日においては、どうしても今までの耕牛馬を乳牛に変えまして、そうして酪農形態に入り、農業の機械化をやるという、これが農業近代化の方向だと思うのであります。しかも酪農が入りまして、農にが米麦をとり過ぎておりました、米の食い過ぎで胃拡張と栄養不良をやっておったというこの
状態を直しますことが、私は大きな増産運動だと思うのであります。さらに農民の健康保持の大きな運動であることも申すまでもないところであります。胃拡張、痔疾、早老、脳溢血というような現象が、米食を食い過ぎます結果から来ておりますことは、御
承知の通りであります。ある学者はもしほんとうに酪農が普及されますならば、外国食糧の輸入分だけが食い方が減るだろうと言っておるのでありまして、私はそういう意味におきましては、食生活改善運動というものは、大きな増産運動だと認識をいたしておるのであります。理論としてはその通りであります。
しかるに酪農の現実というものは、今日空前の危機に瀕しているのであります。飼料は高い、乳は安い。ようやくふえた牛が投げ売りをされてまた激減をしようとしているのであります。その過程において農民は犠牲となりまして、もうけるのは博労だけという現象がずっと繰り返されてきているのであります。戦前二十五万頭をピークとし、今日四十万頭まで来ましたが、私はほんとうなら少くとも農家一戸に対し乳牛一頭という線までは行かなければならぬときに、わずかに四十万頭まで上ったときに、飼料高と乳価の安いためにこういう
状態になってきておることは、非常に残念に存ずる次第であります。これは私は酪農振興に対する
政府の指導が誤まっているからであると思うのでありまして、やはり経済再建六カ年計画を作られました立場に立ちましても、牛がふえても飼料は高くならない、乳の値段も下らないという確固たる
政策の裏づけを持ちまして、酪農振興
政策をやらなければいかぬと思うのであります。漫然と乳牛をふやすという奨励の方針でなしに、原則としては七割までは自給飼料で飼う、あと三割なり二割が購入飼料であるが、しかしながらそういう建前で奨励しながら、牛の値段も乳の値も下げない、そうして飼料の値段も上げないという確固たる方針の上に立って、酪農を進めなければならないと思うのであります。大体農民の手取りについていいますならば、私はたとえ乳価の支持価格をつくるといたしますれば、一升四十五円ないし五十円の乳価は、農民の手取りとしてこれを保証しなければいけないと思うのであります。ほんとうに
政府がわが国農業の土地の生産性の引き上げ、食生活の改善、体位の向上、そうして食糧自給という観点に立たれまして、酪農
政策を推進されるというならば、乳の値段については一升四十五円ないし五十円は農家の手取りとして、必ず手に入るという支持価格を
考えられなければいかぬと思うのであります。それとともに今度は飼料については、今日七百八十円から八百円程度だそうでありますが、少くとも八貫目六百円よりは上げない、飼料は八貫目六百円、乳の値段は一升四十五円よりは下げない、この辺でなるべく自給飼料を中心にしてやるという、基本的な
政策を立てなければいけないと私は存じておるのであります。こういう確固たる
政策のなかったところに、
先ほど申しました通り、二十五万頭をピークにして、それより日本では戦前はふえなかった、戦後は、今四十万頭をピークにして、また崩壊しつつあるというのが、今日の
状態だと思うのであります。
こういう
状態のときにおきまして、私
どもはどうしても本格的にこの問題について
政府が取り組んでいただきたいと存ずるのであります。このためには学校給食にいたしましても、すでに多年の努力によりまして、六百万人近い学校給食が行われておりまして、これが教育上、子供の栄養上、食生活改善上持っておる意義というものは、私は大きく評価していいと思うのでありますが、その学校給食におきましても、
アメリカの脱脂粉乳だけ飲ませるという
やり方でなしに、内地で生産いたしましたなま乳も飲ませる。ことしからは内地の脱脂粉乳もある程度出されることになっておるのでありますが、そうしなければならないと私は
考えるのであります。私は学校給食は非常に高く評価をしておるのでありまして、
アメリカが残しました施策の中で、唯一とは言わないけれ
ども——唯一のよき方策であると
考えておるのであります。現在六百万近い小学校児童に実施しておりますが、乳牛生産地におきまして、農村の児童にも飲ませる意味におきまして、農村へ学校給食を広げる、そうしてパン食になり、なま乳を飲むという線ができますならば、これは供出だって非常にふえてくると思うのであります。学者が言っておる通り、輸入食糧の大部分が食生活改善で解決するというような面が出て来ますならば、非常に大きいと思うのであります。農村に学校給食を持っていきましても、学校給食、酪農振興、食生活改善、そうして子供の体位の向上という三位一体的な施策を、この際私は酪農危機を突破するという意味においても、ようやく実績を持って参りました学校給食をほんとうに振興するという意味においても、そうして食生活を根本的に改善するという意味においても、私は新生活運動が説教であっては問題にならぬと思うのであります。やはり食生活改善運動でも、こういうほんとうにやる施策を通じておのずから広がっていくという線をとらなければならぬと思うのであります。現在東京、大阪、名古屋等の消費地から離れました地帯におきましては、河野君よく
御存じでありましょうが、一升二十五円でなま乳を出しておるというような場合もあるのであります。私は現実に見てきておる。そんなばかなことをしておってはしょうがないのでありますから、せめて四十五円一升に保証する、それを学校給食に回す、なま乳で処理いたしますれば直ちに足らなくなる、だから私はたとえば集団酪農地帯におきまして二日ずつなま乳をやる、それに対して助成措置をやる、脱脂粉乳の値段と同じ線でいくという線が出ますれば、四円五十銭、五円という線は保持できると思うのであります。そうしてそれでふやしていく、また牛がふえたならば、それに応じて支持価格を四円五十銭、五円に買いて、それで学校給食をふやしていく、乳が足らぬときには脱脂粉乳でいく、脱脂粉乳も
アメリカだけにたよらずに、内地の加工業者の脱脂粉乳
もとることにすれば、バターもチーズもふえてくるということになるのでありまして、これが私はわれわれの今日やらなければならぬ一番大きな仕事だと思うのであります。
こういう意味におきまして、この際松村さんのような農村問題のわかる人が文部大臣になっておられるし、川崎君が厚生大臣でおられるし、また畜産のことがわかる河野君がやっておられるのでありまして、この際内閣の意見として統一せられまして、これに
一つ集中してやるという線を
考えていただきたいと思うのであります。
私が松村さんに進言をいたしておりましたのは、外国の麦と内地の麦の値段では、外国の麦の方が安い。それを内地の価格維持のために高く売っている。その価格差補給金、これは私の計算では、大麦、小麦合せて今年約三十五億ぐらい出る計算であります。どれだけ出るか別として相当のものが出る。これを回したいと思っておったけれ
ども、この間の凶作加算でもって食管の特別会計の金がなくなりましたから、おそらくそれは出ないでしょう。出ないでしょけれ
ども、今日大蔵省が
考えておられるようでありますが、そのミルクの砂糖を税金を免税しておったのを税金をとる、十億くらい税金をとることを予定されておるそうでありますが、かりにとられるといたしまして、おもにあれは菓子の原料になりますが、その十億は酪農振興の見地から、学校給食に回して、なま乳を生産地で飲ませるという線をやっていただきますならば、私は今日これは非常に大きな善政であろうと存ずるのであります。新生活運動に五千万円
計上しておられるようでありますが、私は新生活運動もあまり散漫なことをやられたら、問題にならぬと思うのであります。たとえば冠婚葬祭の費用を安くしようという婦人会の運動などは、八千万円
計上しておられます社会教育の方でやられまして、五千万円の内閣の
一つの施策としてやられる新生活運動においては、私は私の
考え方といたしますならば、ヒロポン禍を撲滅する運動と食生活改善運動に全部集中して使ってしまう。この院内におきましても、私
どもはこの点については超党派的に同志がありまして、この前も大きく進言して、自由党内閣のときも五千万円や六千万円は出そうといっておられましたのが、政変になってだめになった経験がある。私
どもは攻撃する点は攻撃いたしますけれ
ども、ともかく
一つでも
二つでもいいことをほんとうに進めなければ、日本
国民は不幸であります。
一つこの際松村さんが文部大臣になられたし、ちょうど河野君や川崎君もおられるし、一萬田氏な
どもこの点だけは
考えられまして、そうしてほんとうにやっていただきたいと思うのであります。一問一答でいろいろなことを伺いたいけれ
ども、御迷惑でしょうから、私は全部くるんで申しましたけれ
ども、
関係大臣の御答弁を得て、不満足でありまするならば、なお質問若いたしたいと存ずるわけであります。