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1955-05-11 第22回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月十一日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 牧野 良三君    理事 上林山榮吉君 理事 重政 誠之君    理事 中曽根康弘君 理事 小坂善太郎君    理事 西村 直己君 理事 赤松  勇君    理事 今澄  勇君       赤城 宗徳君    井出一太郎君       稻葉  修君    宇都宮徳馬君       小川 半次君    北村徳太郎君       河本 敏夫君    小枝 一雄君       椎熊 三郎君    楢橋  渡君       藤本 捨助君    堀内 一雄君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       村松 久義君    相川 勝六君       植木庚子郎君    太田 正孝君       北澤 直吉君    倉石 忠雄君       周東 英雄君    野田 卯一君       橋本 龍伍君    平野 三郎君       福永 一臣君    阿部 五郎君       久保田鶴松君    志村 茂治君       田中織之進君    福田 昌子君       柳田 秀一君    井堀 繁雄君       岡  良一君    小平  忠君       杉村沖治郎君    西村 榮一君       川上 貫一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 松村 謙三君         厚 生 大 臣 川崎 秀二君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 三木 武夫君         労 働 大 臣 西田 隆男君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君         国 務 大 臣 大麻 唯男君        国 務 大 臣 大久保留次郎君         国 務 大 臣 川島正次郎君         国 務 大 臣 杉原 荒太君         国 務 大 臣 高碕達之助君  出席政府委員         内閣官房長官  根本龍太郎君         内閣官房長官 松本 瀧藏君         内閣官房長官 田中 榮一君         調達庁長官   福島慎太郎君         国税庁長官   平田敬一郎君         運輸政務次官  河野 金昇君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ————————————— 五月十一日  委員楢橋渡君及び古井喜實君辞任につき、その  補欠として堀内一雄君及び椎熊三郎君が議長の  指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十年度一般会計予算  昭和三十年度特別会計予算  昭和三十年度政府関係機関予算     —————————————
  2. 牧野良三

    牧野委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度一般会計予算外二案を一括して議題といたします。  質疑を継続いたします。小平忠君。
  3. 小平忠

    小平(忠)委員 私は三十年度国家予算につきまして、特に重要な諸点につきまして、総理大臣及び関係閣僚質問いたしたいと思います。総理は連日御精勤でお疲れのことでもございましょうし、どうぞすわったまま答弁されてけっこうでございます。  まず第一に、私は三十年度国家予算審議に当りまして、最も重要なるわが国自立経済達成について、総理大臣にその根本方針についてお伺いいたしたいと思うのであります。このことは、外交、防衛、さらにわが国内政の諸問題に最も重要なる関係を有することでありますし、さらに三十年度予算審議に当りましても、きわめて重大なる問題でありますので、この基本方針というか、根本的な考え方について、まず総理大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 わが国経済の健全な発達をはかりまして、その伸張を期するためには、長期かつ総合的な経済計画を作りまして、完全雇用の体制を整えるとともに、生産性向上をはかることがきわめて必要であると考えられます。三十年度は、六カ年計画の初年度といたしまして、さしあたり経済の安定を旨とし、将来の発展基盤を育成することに主眼を置くことといたしまして、一般会計予算規模は、財政収入一兆円の範囲内にとどめ、資金の効率的、重点的な配分、運用に努めることによりまして、重要政策の実施に遺憾なきを期したいと讃えております。
  5. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの総理の御答弁は、総理施政方針の中にも若干触れておられることでありますし、予算委員会でありますから、その施政方針演説をもととして、最も重要なるわが国鉄鋼石炭電源開発、あるいは重要農林水産物増産計画等について、私はその基本的な考え方を承わりたかったのであります。政府はかねてから選挙の際にも公約いたしているのでありまして、総合経済六カ年計画を、一月十八日の閣議においてその構想をきめられ、さらに去る四月十九日に総合経済六カ年計画大綱なるものをきめられているわけでありますが、この総合経済六カ年計画に基く鉄鋼石炭、あるいは電源開発、あるいは重要農林水産物などの増産計画について、政府の所信を承わりたいと思うわけであります。
  6. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 関係閣僚より答弁させます。
  7. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。六カ年計画根本方針は、六年後日本人口がどういうふうに推移するか。それに従ってどれくらいの労働力がふえるか。その労働力をいかにして各方面に就業せしめて、失業者をいかにして少くするかということと同時に、並行的に日本経済を自立せしめる、こういうことが主眼で六カ年計画を立てたゆえんでございます。その中にはただいま御質問食糧政策鉄鋼政策石炭政策電源開発というものを詳細に含んでおりますが、大体論で申しますと、鉄鋼国民経済力の伸展に従って相当数量増加していくわけであります。石炭は順次増加する。電力も同様でございますが、これは従前の経過にかんがみまして、詳細なる数字はただいま記憶いたしておりませんが、とにかく逐次合理化をいたしまして、生産原価を下げつつ、国際競争力に耐え得るようにして、日本経済を自立して行きたい。と申しますことは、現在の日本経済から申しまして、どうしても輸出を振興しなければならぬということが根本でございますから、それに合うようにやっていきたい所存でございますが、同時にこれが運用といたしましては、生産性本部というものを今度作りまして、生産合理化をやる。生産合理化従前資本主義経済合理化ではなくて、もっと広範囲にわたって労使協調をするとか、あるいは失業対策とか、あるいは社会保障までも加えた生産性向上をはかろうというので、新たに今度生産性本部というものを発足いたすことに相なっております。以上をもって私のお答えといたします。
  8. 小平忠

    小平(忠)委員 私は政府から六カ年計画の特に重要産業部面である鉄鋼石炭電源開発とか重要農産物についての増生計画を知りたかったのであります。このことは予算審議について重要な関連があるからであります。従いまして、こういう最も重要な点について数字は今ここでちょっと記憶がないと、こうおっしゃられたのでありますが、その数字が私は知りたいのであります。
  9. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答え申し上げます。詳細な数字は今ここで申し上げて間違いが起ると困りますから、あとでよく取り調べました上において御回答いたします。
  10. 小平忠

    小平(忠)委員 詳細な数字でなくてけっこうであります。私の申し上げておるのは、この次に私は食糧問題についてお伺いいたしたい関係上、特に六カ年計画最終年度における米麦は、いかほどの増産計画考えておられるかという点についてでもけっこうであります。
  11. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 電力昭和三十五年度におきまして、八百三十億キロワット・アワーでございます。石灰は五千万トン、銑鉄は五百二十万トン、鋼塊は九百十万トン、特殊鋼材が六百万トン、こういうふうになっております。以上が生産目標であります。  米麦は合計といたしまして、九千三百八十三万四千石、こういう予定であります。
  12. 小平忠

    小平(忠)委員 増産量は幾らですか。
  13. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 八千五百四十二万八千石が平年度収穫予定量でございます。
  14. 小平忠

    小平(忠)委員 民主党選挙の際の緊急政策具体策について、特に私は一点を指摘したいのは、昭和三十五年度米麦合せて玄米換算一千三百六十二万石の増産をしようというふうに出して、選挙のときに戦っているわけでありますが、この一千三百六十二万石という増産量の根拠は、ただいま経審長官のおっしゃられた数字に基いたものでございますか。
  15. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答えいたします。六年を期して先ほど申し上げました数字増産をする、こういう計画でございます。
  16. 小平忠

    小平(忠)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、政府は三十年度予算編成につきまして、ただいま経審長官の説明された総合経済六カ年計画に基いて、本年度予算編成されておられますか。
  17. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 さようでございます。
  18. 小平忠

    小平(忠)委員 わが国自立経済達成の上に最も重要なるわが国食糧自給度向上について、政府選挙の際にも次のごとく公約をいたしております。農林漁業振興食糧自給度向上こそ国民生活安定と経済自立基盤であるとし、総合経済六カ年計画の一環として総合的な食糧増産計画を樹立し、輸入食糧を抑制する方針のもとに農地開発土地改良災害復旧などを効率的に施行する方針であるというように、緊急政策具体策の中にも、あるいは選挙の当時の民主党政策要綱というこの中の九番日の農林漁業及び食糧対策という中にも明確にうたっておるのでありますが、政府はこの方針に基いて本年度予算編成されたことは開違いございませんか。
  19. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 本年度は御承知のごとく一兆円のワク内においてやらなければならぬというので、方針はただいま申しました方針でやっておりますが、長短相補うと申しましょうか、緩急相補うと申しましょうか、急速の分だけは食糧増産根本方針に差しつかえないような予算を組みました。ただし急速にといっても、急に増産できないというものは来年度予算にまたこれを組み直すとかいろいろのことを考えまして、その上にまた愛知用水だとかあるいはそのほかの問題によって、逐次六年間に当初の目的を貫徹するような方針で、本年度予算を組んだのであります。
  20. 小平忠

    小平(忠)委員 それでは具体的にお伺いいたしますが、政府は本年度予算に三十年度米麦増産量を幾ら計画されておりますか。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。三十年度予算編成に当りましては、今の六カ年計画の線に沿ってやることはもちろんでございますけれども、さしあたりただいま経審長官からお答えいたしました通りに、一兆の予算ワク内でいくという制約がありますので、今御質問のような点についてはまだ計算いたしておりません。
  22. 小平忠

    小平(忠)委員 計算をしていないのでございますか。
  23. 河野一郎

    河野国務大臣 そうでございます。
  24. 小平忠

    小平(忠)委員 農林大臣は三十年度増産量についても計算されていられないというが、一体そういう無計画なことで予算編成されたのでございますか。
  25. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。ただいま申し上げました通りに、六カ年計画の全体の大綱はただいまお答え申し上げた通りでございますが、三十年度はこれとは別に一兆円予算ワク内で編成するということがありますので、それと見合いましてやりましたから、多少変則になっておるのでございます。この点を御了承願いたいと思います。
  26. 小平忠

    小平(忠)委員 それでは大蔵大臣が、ただいま三十年度予算経審長官が説明された総合経済六カ年計画に基いて編成したとおっしゃったことは、それはうそでございますか。
  27. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げましたように、三十年度予算編成の大本といたしましては経済六カ年計画の線に沿っておりまするけれども、個々の面におきましては、今申し上げましたように、制約を受けておりますので、それと見合って最善を尽して予算編成をいたしたのであります。決してうそではないのでございます。
  28. 小平忠

    小平(忠)委員 これは農林大臣はきわめて重大な発言をされているわけであります。少くとも国は予算編成大綱方針をきめられて、さらに総合計画も立てられて、現に経審長官なり、大蔵大臣はこの計画に基いて予算編成をした、こう説明しておるわけであります。これに対してあなたの説明に上ると、一応計画計画でそちらにあるけれども、一兆円という予算の限られた範囲内においてこれは別にやったのだということになる。これは全然計画性がない、一貫性のないものであります。
  29. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。先ほど私のお答え申し上げましたのを一応訂正いたしたいと思います。二十九年度におきましては百十三万石の増産目標にして、二十九年度予算編成されておりますし、三十年度の場合におきましては米麦に換算いたしまして百二万石——この予算によってやりますれば百一万石の増産になるという数字が出るそうでございます。これは大へん御無礼を申し上げました。
  30. 小平忠

    小平(忠)委員 やはり一応増産量は出るはずだと思うのです。そうすると、農林大臣のただいま説明された二十九年度は百十三万石、三十年度は百一万石、このような増産計画でやったならば、先ほど経審長官の説明された六カ年計画などはとうていもう及びもつかない、まことに今後のわが国食糧自給度を高めるなどということは、これは全く空文にひとしいようなことになると思うのでございますが、農林大臣いかがでございますか。
  31. 河野一郎

    河野国務大臣 その点は、先ほどお答え申し上げました通り、三十一年度におきましては予算編成方針も変って参りますから、これはたびたびこの委員会お答え申し上げます通りに、私は土地改良その他の面において飛躍的に予算編成ができる、こういうふうに思っておりますので、六カ年の最終目的経審長官からお答えいたしたように行ける。ただここでつけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、米麦はもちろんでございますけれども、御承知通り畜産その他の点に重点を置いてこの予算編成することに——これは私が前にも申し上げました通りに、多少農林行政米麦重点が置かれ過ぎまして、農家経済全体の点から参りまして、農家経済立て直しについて考えなければならぬ点がある。たとえば養蚕でありますとか、畜産でありますとかいう方面相当考慮を払う必要があるというような点から、予算編成をいたしておりますので、その点もあわせて一つ含みおきを願いたい、こう思うのであります。
  32. 小平忠

    小平(忠)委員 六カ年計画は六カ年計画として、とりあえず本年度に限っては一兆円のワク内にとどめるというこの国の方針のもとに、その計画通りにはいかないのだ、こう解釈してよろしゅうございますか。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 ええ。
  34. 小平忠

    小平(忠)委員 そうすると、私は総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、選挙があったのは二月であります。二月に一体民主党内閣はどのような公約国民にされたのでありますか。民主党国民の前に公約をされ、選挙のときに約束された、すなわち食糧自給度を高める、増産計画は本年度からこうしてやるのだ、これは明確にうたっております。二月の選挙を終えて、まだ半年も過ぎない今日の段階に、これらの公約はことごとくこの予算で裏切ることになるわけであります。総理大臣いかがでございますか。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっと先に……。今申し上げました通りに、食糧自給度を高めるということは決して放擲するつもりはないのであります。これは御承知通りに、先般来たびたび申し上げますように、たとえば小団地開墾のようなものは今までやりませんものを手をつけて、そうして早急に目鼻のつくものには重点を置いてやっております。従来の例から申しましても、開墾にいたしましても、非常に長期にわたるように予算計数の上では出ておりますけれども、この実効は上っていない点があるように私は考えられますので、そういう点を集約的に実効の上るようにしていくということを考えておりますので、この予算計数の上から参りますと、今のようなことになりますけれども、先ほど私がぼかしてお答えを申し上げましたのは、私自身のねらいといたしましては、予算運用の上において相当の効果は上る、こういうことを期待いたしておりますことが第一点。第二点は食糧の総合的な自給度を高めるといいますことは、動物蛋白その他において力を入れていくということに考えておりますので、その点を御了解をいただきたいと思うのであります。総合的な食糧自給度を高めるということに力を入れておることを御了解いただきたいと思います。
  36. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいまの答弁によって御了承を願いたいと思います。
  37. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、農林大臣は本年度予算編成について、あなたがいつも言っておられる食糧自給度を高める、それについては長期の総合的な食糧増産計画を樹立して、輸入食糧を抑制する方針のもとに農地開発土地改良災害復旧などを効率的に施行する。さらにこの蛋白資源培養見地からいわゆる畜産振興もやる、こういう方法で間違いございませんか。
  38. 河野一郎

    河野国務大臣 その通りでございます。
  39. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、本年度予算の中に具体的に現われておる問題を私は指摘いたしたいのであります。まず、しからば農林省所管予算をごらん下さい。二十九年度総額は九百六十六億であります。これに対して三十年度は八百四十九億というふうにも百十六億も大幅に削減になっております。その中の大きなものは、災害復旧においては四十四億、農業保険においては二十六億、農業委員会においては十四億、開拓者資金融通特別会計においては十五億、米麦安売りの補填四億、さらに食糧増産公共事業などで十億という大幅な削減をいたしております。さらにあなたは蛋白資源培養から畜産振興をやるんだとおっしゃいますけれども、畜産振興費においては現にわずかな予算でありますけれども、これをふやすどころか反対に三千六百万も削っております。これでは結局あなたのおっしゃることは何も現実予算の面において実行されないし、私は国会に提出されておる予算書を見て、農林省関係を前年度と本年度の対比を見るときに、ほとんど三角じるし、ほとんど削減であります。あなたは特に民主党内閣において農政問題についてはエキスパートである、自他ともに許しておるというような見地から、あなたが農林大臣になったならばこの食糧問題の解決あるいは畜産振興、さらにもろもろの農政問題は期待するところ大であるということは、よく宣伝されたものであります。これで一体あなたの面子が立ちますか。
  40. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。今予算を御指摘になりましたことはその通りでございますが、たとえば畜産振興につきましては、そのほかに飼料対策といたしまして、四億ほど別に濃厚飼料対策費があります。従って畜産振興は、飼料問題が一番重要と考えますので、そこで、その点に重点を瞬いて大いにふやしておるわけでございます。  それから予算編成の全体を通じまして、今御指摘になりましたような費用は、決してむだなものではございません。絶対なければならぬものでございますけれども、一応やりくりがつくのじゃなかろうかというような面で、減りました点があるのでございまして、そのほかに積極的に増額になっておる分もあるのでございます。全体を通じて見ますれば、百十何億の減額になっておりますけれども、たとえば今の災害補償にしましても、これは決して明年度に送ってよろしいものとは考えませんけれども、万やむを得ない場合には、災害復興につきましても、明年度これを回復すれば間に合うじゃないか。それから農産物保険費用にいたしましても、これは災害があったならば、そのときに追加予算で組んでもいいじゃないか、あとからでも間に合うじゃないかというようなことで一部減らしました。それから団体の問題は、地方の方の交付金の中に入れてありますから、地方で一部分はやっていただこう、これもそれでいいじゃないかというようなこと等々を勘案いたしますと、私といたしましては、実質的な農林省予算としましては、ある程度目的を達することができるという考えです。もちろん十分とは考えておりません。御期待に反するようなことで相済みませんけれども、何分一兆の予算ワク内でやりますという自立経済達成基本を立てなければいかぬということでございますので、その線に沿って緊急やむを得ざるもの、それからぜひ今手をつけておかなければならぬもの、本年度内にぜひやらなければいかぬというものにつきましては、決してこれは減額せずに、むしろ必要なものにつきましては積極的な、たとへば養蚕対策等のごときは積極的な施策がしてあるわけでございますから、これらについて一つ御了解願いたいと思います。
  41. 小平忠

    小平(忠)委員 農林大臣は、いかにそのような詭弁を弄されても、これは予算の上に全般的に現われているのであります。私は予算書を見て驚いた。一体どのくらい減っておるのであろうかと計算し始めたのであるが、御承知のように全面的な削減であります。ですからあなたが、いかに総額において減っていても重点的にやったとおっしゃっても、理屈は通りません。  さらに私は、輸入食糧を抑制する方針は変りませんかとただいま伺いましたところが、その通りでありますと答弁された。抑制という言葉はこれを減らすという意味なんです。しかるに本年度計画においてどうですか。米において十七万石、小麦において二十八万石昨年度よりも輸入計画をふやしておるではありませんか。これはどういう理由でございますか。
  42. 河野一郎

    河野国務大臣 これは人口増加もございます。次年度持ち越し米が非常に窮屈になっておりますから、これを緩和していきたいというような考えからいたしておるのでございまして、ただ国内生産をなおざりにして、輸入増加によって補っていくという考えは毛頭持っておりません。
  43. 小平忠

    小平(忠)委員 これはそういう答弁では国民は納得しないと思います。ということは、あなたは、わが国の最近の農政は米麦偏重になっておるのだ、自給度を高めるというのは、結局安い外国食糧があれば、それを輸入して国内需給操作をやっていきたいという考えがあるからこそ、いかに選挙のときにあるいは予算編成方針において美辞麗句を並べられても、現実の姿は予算を大幅に削減し、輸入食糧をふやす、こういう結果に相なっておるということは、あなたがいかに論弁を弄されてもだめであります。さらに昨年の全国的な冷害凶作による健苗育成等予算につきましても、これは昨年水稲健苗育成施設普及促進法という法律が通ったのでありますが、これに基く予算も計上していなければ、もう全面的に法律を無視し、国会の決議を無視してこの予算を組んでおるのであります。現にあなたのところには、全国の農民代表農業団体代表が連日熾烈なる予算増額の要請に参っておると思うのでありますが、あなたはこれについて一体どういうふうにお考えになりますか。
  44. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま前段で、安い外国米麦を入れてとおっしゃいましたが、これはたびたび申し上げますように、安い外国米麦を入れるということと、日本国内生産されます米麦価格を下げるということとは、全然関係がないと私は考えております。国内米麦価格決定は、国内米麦価格決定のそれぞれの方針によってきめるべきものであって、外国米麦が下ったら国内米麦も引き継いで下げるというような考えは持っておりませんから、その点は誤解のないように御承知おきいただきたいのであります。断じてこれは厳守いたしますから、その点は御了承いただきたいのであります。但し外国米麦が下っていけばいくだけ安いものを入れる、なるべくたたいて入れるということは必要です。そうしてできることならば、なるべく外国の勤労大衆と日本の勤労大衆との食生活の面において、競争力を十分に与えるようにしていかなければならないということは、基本的に考えておりますから、その点も御了承いただきたいと思います。これはかねて申し上げました通り、そういう意味からして、日本の農村に対する保護、助長政策をとっていかなければいけないのだ、こういう基本的な考えでやっておりますから、この点は御了承いただきたいと思うのであります。  向うのものをたくさん入れてきてどうこうと言いますが、もう一つ誤解のないように願っておきたいと思いますことは、どうせお尋ねがあることと思いますが、日本国内における米麦増産にいたしましても、たびたび申しますように限界がある。国内米麦適地でないところに無理に米麦生産をいたしますれば生産費が高くなります。その生産費を償うために米麦価格をいたずらに引き上げていくということはなかなかむずかしい。そうすることは無理にすべきではないという考えだけは持っておりますから、その点において自給度向上にも一定の限界があるというように私は考えております。これを無制限に自給度向上をいたしますために、生産費を無視してどこでもつくるという考えは、農村のためにならないという考えでございますから、この点も御了承おきいただきたいと思います。  今の保温折衷苗しろ、もしくは健苗育成の補助金等につきましては、これは特に小平さんのお考えの北海道方面において補助金を落したのでございますが、これは決して落すべきものを落したという考えは持っておりません。持っておりませんが、一応その補助奨励施設といたしまして相当徹底もいたしましたし、それからこの施設費が相当安くもなって参りましたし、というような点等々を勘案いたしまして、多少遺憾ではございましたが、こういう処置に出ざるを得なかったのでありまして、各地から御要望のありますことは十分承わって、いろいろの施設等について、全購連その他にも督励いたしまして、なるべく所期の目的を達するようにしていきたい、こう考えております。
  45. 小平忠

    小平(忠)委員 農林大臣の御答弁の中にあります若干のことについては、私どもも理解できるのでありますが、その理解できる面においても、しからばそれが具体的に予算の上に反映されておるかといえば、反映されないのであります。必ずしも輸入食糧が安いからといって無定見に入れるのではないのだ、やはり国内食糧壇産をするという考え方は変らないのだというが、なぜ土地改良予算などを七億も減らしたのか、こういう点において、農林大臣の単に食糧自給度を高めるということは、から宣伝にすぎないのだ、ほんとうに本腰を入れて予算編成をやっていない。私は漏れ承わったのでありますが、この予算編成をめぐって閣議において論争された際に、あなたは、この際一兆円の予算を堅持するために閣僚はやはり思い切って緊縮予算をしなければならないと、まずみずから発言をされた関係上、それじゃ農林省予算を削らなければならぬ羽目になったようなことを私は漏れ承わる。もしかりに国家国民のためにぜひそうしなければならぬということならばわかりますけれども、わが国の全国民関係を有する食糧問題、あるいは日本の全国民の四六%を占める農民生活の上に、このことが今大きく影響を及ぼそうとしております。こういう結果がこの予算を実施していくことしの秋にどうなるかということで現われてきた場合には、農林大臣一体どう責任をとりますか。  同時にきわめて重要な問題として、戦後長い間行われてきた食糧管理制度すなわち食糧の集荷機構について、政府は今大きな変革をなさんとしております。すなわち三十年産米の予約売り渡し制の問題であります。過日、五月七日の閣議において最終決定をされたようでありますが、これなどはきわめて重要な問題であります。この米の予約売り渡し制につきまして、閣議において決定された大綱の内容は、ただいま資料として配付を受けたのでありますが、この内容につきまして基本的な問題点がたくさんあると思いますが、この集荷制度をあなたが自信を持ってやれる構想等があると思うのであります。農林大臣にこの新しい集荷制度について、あなたの決意のほどをまず承わりたいと思います。
  46. 河野一郎

    河野国務大臣 前段のことでございますが、全体の国民に対してどうであるか、農民に対してどう責任をとるかということでございますけれども、私は今の予算関係で参りましても、全体の国民諸君に今の消費者米価を引き上げるということは絶対いたしません。こういうふうに私は考えてもおるのでございますし、消費者米価を上げずに配給量が前年度通りにいっておるならば、この予算は今の食糧の問題について、国民諸君に少しも影響はないということを考えます。また四千六百万人の農民に対してどうかということでございますが、問題は出来秋の米の買い上げ価格の問題でございまして、この予算のさしあたりの問題とは、私は関係はないと考えます。これについては最善を尽したいと考えておりますから、その点はそういうふうに別に考えて御了承いただきたいと思うのでございます。  次に、予約集荷の問題でございますが、これは幸いに小平さんもよく御関係をお持ちになっております全販連、全購連その他農業団体の先輩諸君が非常にこの予約集荷制度に協力していただきまして、この方面の農村の指導者諸君からも、ぜひこの制度でやるようにというような御示唆もいただいておりますし、日本の農村の全指導階級の反対なしに、支持を得ておりますので、私はこれらの諸君の支持のもとに、ぜひこれを成功させていくように万全を尽くしていきたいと考えております。またぜひそうでなければならないと考えますし、全販連要するに協同組合の精神にのっとってこうあるべきものと私は確信しておりますから、これについて必要な施策については、万全、を期さなければいかぬことはもちろんでございますけれども、協同組合運動精神にのっとって、こういうふうにいくことが一番正しいあり方ではないかと考えておりますから、必ず成功するものと期待いたしております。
  47. 小平忠

    小平(忠)委員 具体的な内容でございますが、最近まで農林省の主張して参りました予約奨励金、これが今度の閣議決定の中には具体的に表現されておりません。この予約奨励金の加算を今度は取りやめたと聞くのでありますが、事実でありますか。
  48. 河野一郎

    河野国務大臣 目下大蔵当局といろいろ話し合い中でございまして、ただ奨励金という名前をやめよう、そうして実質的に別途考慮しようということで、いろいろそこに差し上げてございますようなことで考えておる、こういうことであります。
  49. 小平忠

    小平(忠)委員 この要綱の中の「生産者の自主的申し込みを促進するため、申し込み時に買い入れ代金の一部概算払いを行うほか、所得税の軽減を考慮する。」この一部概算払いは一体いかほどの概算払いをなさんと考えておるのか、所得税の軽減は一体どのくらいの軽減をなさろうと考えておるのでございますか。
  50. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。それらにつきましては、今資料として差し上げましたように、基本的に所得税の軽減をやろう、概算払いをいたそうということで、まだ農林、大蔵両省の間に意見の一致を見ない点がありますので、濃終決定はいたしておりませんから、いずれ決定次第御説明申し上げることにいたしたいと思います。
  51. 小平忠

    小平(忠)委員 前段の予約奨励金の問題は、これは明確に農林省は譲歩されて妥結したということは事実なんです。間違いないでございましょう。
  52. 河野一郎

    河野国務大臣 譲歩して妥結するというようなことは絶対ありません。これは小平さんも御承知通り、大体農業団体の指導者の諸君、あなた方の御期待になるような方向でいっております。
  53. 小平忠

    小平(忠)委員 しからば農林大臣にお伺いいたしますが、あなたはこの制度で責任をもって集荷をすると言う。これは農業団体の絶対支持を受けてるんだ。とんでもないです。きのうときょうと全国の各都道府県のいわゆる経済連、さらに農協の中央会あるいは信連、この会長会議をやりまして、きのうはこの七日の閣議の決定に従って大論争で、これでは責任をもって集荷できないと言っておる。支持してるんじゃないです。とんでもないです。同時に一番重要な問題であるところの予約奨励金の問題は、あなたはここに今断言されましたが、これは大蔵省は認めない。大蔵大臣いかがでございますか。これは認めますか。
  54. 河野一郎

    河野国務大臣 今の支持しないということでございますが、問題は価格を幾らにきめるとか、今御指摘になりました奨励金をどうするとかいうような問題について、農業団体の諸君に非常な御意見のありますことは私も十分了承いたしております。しかし制度そのものについては、そういう価格決定の仕方ないしは奨励金の出し方というようなものが、団体の諸君の納得を得られれば、制度そのものについての反対ではない、こういうふうに私は了承しておるのであります。そこで今これについて譲歩したろうとか、出しますかとかおっしゃるのでございますが、これは価格差の中に入れて考えようということに両省の意見が一致しておりますので、農村に出します金額については違わないのでありますが、その金額を幾らにするかということは、今せっかく折衝中でございますから、そういうふうに御了承いただきたいのであります。
  55. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。奨励金の点については、率直に申して私は賛成しかねておることは事実であります。しかしこれにかわる何かの道はないかということについて、なお事務当局で研究しておるというのがほんとうの現状であります。
  56. 小平忠

    小平(忠)委員 どうです、農林大臣。ただいま大蔵大臣がおっしゃった通りであります。奨励金制度に大蔵省は反対であります。これはいかにあなたがそういうふうにおっしゃられても、問題は簡単なものではありません。もちろんこの制度について集荷のやはり責任者であるところの全販連、都道府県の経済連、これらについては無定見にこれに賛成したものではございません。問題はまず安心をして農家が予約売り渡しをでき得るところの根本的な価格であります。さらにこの集荷をめぐっていろいろめんどうなことが起きますが、これに対するところの事前のいわゆる概算払い、一体概算払いの金額は幾ら出すのか、さらに従来は、今日までの供出制度についても、幾多の奨励金等については免税措置がとられておりますが、これの免税点を幾らにするのか、こういう根本的な問題を解決せずして、農業団体は断じてこれを引き受けるものでもないし、絶対に責任を持ってやれない。しかるに政府は、こういったきわめて重要な問題を未解決のままこれを国会に出して、そうして本年度予算を通そうという、これほどむちゃなことはありませんよ。今お伺いすれば幾らにきめるのかわからないと言う。農林省農業団体も強く主張いたしておりますところの予約奨励金については、大蔵省が絶対反対である。大蔵省が反対のために、去年の暮れから今日までいまだにきまらないのです。六日の日にようやくこの問題を一応農林省が妥協して、そうして一応価格差という制度を設けてやるというようなことによって妥結したから、閣議決定として出されておる。農林大臣はきわめてこの制度を安易に考えておりますが、そんなものでございません。私は、責任を持って、国会にこの予算を承認させ、また責任を持って集荷する農業団体には、かくかくの条件で、かくかくのいわゆる奨励制度あるいは免税制度でやるのだから一つ協力してくれのいうのでない限り、農業団体は協力できないと思う。現にそういう動きをきのうもきょうもやっておる。どうお考えでございましょうか。
  57. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同感でございます。決してこの決定をなおざりにして進もうというようなことは考えておりません。御承知通り一日も早く決定をいたしまして予約をいたさなければならぬのでございますから、これはまた同時にこの国会に、たとえば免税につきましてはしかるべき法律措置をとらなければならぬのでございますから、これはもう早急に決定して御審議を願うことになると考えております。またいま一つの誤解は、名前は奨励金という名前をとったのでありますが、大蔵大臣の言いますことも、奨励金という制度をやめよう、別途これを考慮しようということで、そこにも書いてあります通り価格差をつけてやろう、早く出した人にはこういう価格にする、予約した人にはこういう価格にするというようなことで、価格差をつけるということにして行こうじゃないかということで話し合ってきめたのでございまして、決してこれは——今お話のように、去年の暮れから話をしているんだが今もってきまらぬじゃないか。話を始めたのはそんなに早いのじゃないのでありまして、私に関する限り、決してなおざりにしてぶらぶらにしておくようなことはありませんから、これも御期待に沿うように早急に決定いたします。そうむずかしいことではないのですから。ただ問題は、米価を幾らにきめるかということについては、六月きめるがよいか、九月きめるがよいかという二つの考え方がございますので、基礎になるべき米価の決定については、よく米価審議会等の意見も承わった上で、いつきめるか。すなわちこれもたびたび申し上げるように、作柄を見た上できめることの方がいいと思いますけれども、それでは予約の集荷をして参りますのに困難があるという御意見もあります。そこで六月きめるか九月きめるか、これは両々それぞれ御意見もあります。でありますから、この決定はどっちにして行こうかということは、今私としてもきめかねておるのであります。これはよく皆さんの御意見を承わった上で最終決定をして行こう。六月でいいということになれば六月までにきめて、そうして農家の納得を得て、もしくは農業者諸君の団体の御納得を得て行きたい、こう考えておりますから御了承願いたいと思います。
  58. 小平忠

    小平(忠)委員 次に緊急質問の事項がありますので、私は今の問題だけを一応諦めくくりをつけて、その緊急質問に譲りたいと思います。これは私は特に総理大臣にも聞いていただきたい。この制度は現在の食管法を生かしたままやろうというのです。もしこれがうまく行かなかったならば大きな問題が起きる。なぜかというに、農林大臣は、今ただちにこれをきめたい、いつもなおざりにしておるのではない、しかし問題は米価で、これを六月にきめるか、九月にきめるか——もちろんこれは米価がきまらなければ、この制度を実施するといっても引き受けられない。やはり農林大臣自体も、この米価の決定を六月にするか九月にするかまだ迷っておられる。こういう状態でありますから、この問題は総理大臣御自身も軽くお考えにならないで、終戦後長い間、例の強権発動をして来たいわゆる食管法、さらに今日食糧管理法、こういうものを現在残しておく。その制度の中においてこういう予約売り渡し制度を実施しようというわけです。私は農林大臣に、今のあなたの答弁によって次にお伺いしたいことは、もしこの問題が、どうしても思うように米が集まらない——食管法は生きておりますから、いわゆる強制売り渡し命令を出すことができると思う。もし思うように米が集まらないという場合には、この強制集荷命令をお出しになる考えでございますか。
  59. 河野一郎

    河野国務大臣 私はそういう考えは持っておりません。そこで、先ほども申し上げましたように、協同組合の精神の高揚により、協同組合が今のように非常に有力に、活発に行動できるようになっておりますから、一つの試金石だ。これはもうわれわれの先輩の団体代表者諸君も強くその点を主張しておる。私も全く同感であります。それによって所期の目的は必ず達成できるもの、今まで知事もしくは町村長に協力を願ってやっておったのを、今度は団体の力で民主的に、自主的にやって行こうということでございますから、ぜひこの方向に切りかえて所期の目的達成できるようにして行きたい。それには政府といたしましても、あらゆる施策をこの点に集中して行きたい、こう考えておるのでございますが、ただ今お話の九月にするか六月にするか迷っておると申しますのは、これは先ほど申し上げた通り、迷っておるからぶらぶらきめずにおるというのではないのであります。どっちにした方がいいかということは、皆さんの御意見を承わって、それを参考にして、六月にきめるということになれば、予約集荷の契約をする前にきめた方がよろしいということになれば、それに遅滞なく、決して支障を来さぬようにきめます。但し九月にした方がよかろうということであれば、六月の際には、全然無方針でやるわけに参りませんから、標準米価だけを定めておきまして、その標準米価に豊凶その他生産費等の経済事情を考慮して、九月に最終的なものをきめるということにして行く考え方と、二つございますが、あらかじめ平年作を目途としてここで六万にきめておくということも一つの行き方であるということでございますから、いずれにいたしましても、予約制度に着手する前に決定することは間違いないのでございます。いずれにしても標準米価で行くか、それとも最終基本米価をきめて、そうしてこれに奨励金、価格差であるとか免税であるとか、ないしは前渡金であるとかいうような制度を加えて、予約を十分してもらえるようにして行くか、そのいずれかの方法をとるわけであります。決して遅れてぶらぶらしておるというようなことは考えておりませんから、御了承を願います。
  60. 小平忠

    小平(忠)委員 私は、もし計画通り米の集荷ができなかった場合にはどうするかということを伺っておる。なぜ私がそれを憂えるかというと、現在農林省あるいは農業団体においては、大蔵省の予算的処置について、免税処置あるいはこの売り渡し前渡金、これらの問題について、その財源をめぐって非常にこれは問題になっておるわけです。同時に考え方農業団体あるいは農民、農林省、大蔵省の間に相当開きがあるのです。現在議論しております。だからこれはあなたがおっしゃるように、生産者の思うような条件にきまればするするといくかもしれません。しかし開きがずいぶんあるのです。それを妥協してある程度話し合いを持っていっても、果して全国の生産者が理解して現在の集荷制度よりもこれがいいんだといって納得して出せるかどうか。現に中央農業会にしても世論調査をやっております。この世論調査にはいろいろ農民の意向、農業協同組合長の意向、あるいは農業委員会の意向とたくさん出ております。その中で全面的に賛成しておりません。そういうことから、私はもしこれが予定通り集荷されなかった場合には、現在の集荷制度では強制的に予約申し込みせよという強制権がない。ただ食管法が生きておりますから、いわゆる強制集荷命令を出すことができる。そういう場合にはそれをお出しになりますかということを私は聞いておる。
  61. 河野一郎

    河野国務大臣 今申し上げますように、そういうことをやろうとは私は考えておりません。やらなくても、現在実施中の供出制度でもあれだけいっておるのでございますから、決してこれは強制売り渡し命令を出しませんでも、他に売るということは罰則がありますので、他に売ってはいけないことになっておる。当然農家の納得する方向に政府が処置をとれば、これに協力していただけるものなりと私は確信いたしております。
  62. 小平忠

    小平(忠)委員 それは農林大臣、あなた詭弁でございます。というのは、現在の納得する条件というものが、これはあなたの考えたようにすぐきめらない、開きがあるのです。この問題は議論でありますから別として、かりにこの制度が非常にいいものだというわけで実施した場合に、予定の集荷量が集まらぬ場合にどうされるかということを私は聞いておる。自由に売ったならばいけないということは、これは食管法によってできませんが、現在やみ売りは相当に横行しておる。それを黙認しておる。あなたにお伺いいたしますが、もし思うようにいかなかったならば、統制をはずしますか、自由にしますか。
  63. 河野一郎

    河野国務大臣 これでうまくいかなかったならば、統制撤廃して自由販売にするかということでございますが、そういう方向に私は考えていないのであります。まずくいったときに統制撤廃をしようという考えでないのでございまして、私は段々申し上げておりますように、終局の目的は自由販売にすべきものなりという目途は持っております。しかしそれにはいろいろ準備がありますから、その経過規定として、どうしても現行の割り当て供出制度では妥当でない。この制度はすでに破綻をいたしておると私は考えております。今日予約制度でなしに依然としてこのままの割り当て供出制度を続けていきますれば、今ここで想定されますよりももっと悪い条件に私はなると思います。それでこういうふうに制度を変えようということを農業団体の諸君その他と懇談の上に、この処置を私としては経過規定としてとったのでございます。  さらに申し上げておきたいことは、大よそ過去の歴史的事実から見まして も、米の制度は日本におきまして は、豊凶もありますし、人口の問題も ございましょうし、各般の客観情勢からいたしまして、一つの制度が改変なくして三年以上続いたということは異例でございます。食糧政策というものは、大体三年に一ぺんくらいずつ方向が変り、手段、方法を変えて参ったというのが私は過去の実例だと思っております。たまたま戦争中と戦後の食糧事情からいたしまして、今の強権的な供出制度が実行されて来たのでございます。でございますから、こういう制度はすみやかに変えた方がよろしいという考えのもとに私はやっておるのでありまして、私といたしましては、今申し上げるように、失敗したならば自由販売にかわるということは考えておりません。またこの制度で失敗しないようにやっていかなければいけないと考えております。
  64. 小平忠

    小平(忠)委員 とうてい了解できないのであります。これは米価問題とも重大な関係を持ちますので、別途米価問題について農林大臣なり大蔵大臣の所見をただそうと思っておりますから、一応これをこの程度にいたしまして、保留して、私は緊急笠間の時間に譲りたいと思います。     —————————————
  65. 牧野良三

    牧野委員長 委員各位に申し上げます。今朝宇野、高松間連絡船沈没の不祥事が起きました。この際これに関しまして政府より発言を求められております。これをお許しいたします。運輸大臣三木武夫君。
  66. 三木武夫

    ○三木国務大臣 今朝宇野・高松連絡船衝突事件が起りまして、御報告を申し上げることを遺憾に考える次第でございます。  事故は今朝七時一分、国鉄宇野・高松連絡航路におきまして、客貨船紫雲丸と、貨車航送船第三宇高丸とが衝突いたしまして、紫雲丸が沈没いたしたのでございます。紫雲丸の乗客並びに乗組員は、学生の、高等学校生徒の団体約三百五十名を含めまして八百名と推定されるのでございます。原因の講和はまだ判明はいたしませんが、濃霧のための衝突と考えられます。ただいま十時現在に判明いたしております被救助者総数は、八百名の乗員中七百四十四名、うち負傷者五十七名を加えて救助いたしております。死体を収容したもの三十五名であります。このほかに若干の行方不明者が含まれてあるものと考えられます。  ただいまのところ国有鉄道の船舶はもとより、海上保安庁の巡視船十九隻を現地に急行いたさせまして救助に全力を注いでおります。その他海上自衛隊あるいは現地の漁業組合、その他各方面の応援を求めて救助の万全を期しておる次第ございます。なお海上保安庁のヘリコプターも大村より急派いたすことにいたしております。  国鉄といたしましては、緊急に本庁並びに高松に対策本部を設けて薄後処置を講じております。運輸大臣といたしまして、昨年の洞爺丸事故に引続いて、連絡船でこのような大きな事故が起りましたことは、まことに国民各位に申しわけないと存じおります。さしあたり救助に万全を努めますとともに、不幸遭難をされました御遺族に対しましては、できるだけの弔慰の方法を講じさせたいと存じております。  なお運輸省といたしましては、植田鉄道監督局長を本日ただちに現地に急派させまして、見舞いかただた現地の調査を行わせることにいたしました。なお省内に緊急対策本部を設け、本事件の善後処置に万全を期すると同時に、この種事故の根絶を期するために万全の処置を講じたい考えであります。以上御報告申し上げます。
  67. 牧野良三

    牧野委員長 次に文部大臣松村謙三君。
  68. 松村謙三

    ○松村国務大臣 この惨害に対する所管のことにつきまして御報告申し上げたいと思います。  ただいままで私の手元に入りました報告によりますと、団体の修学旅行は、松江市の川津小学校の生徒が六十六名、広島県の木ノ江小学校が九十名、愛媛県の庄内小学校が八十名、周知県の南海中学校が百十七名、合計三百五十三名、こういう報告でありまして、これらの被害者が相当に出ましたことはまことに遺憾にたえません。実は昨年の相模湖の事件もございまして、この修学旅行期に先だって、本省といたしましては、修学旅行に関する注意を各学校に喚起しておいたのでございますが、それがこのようなことが重ねて発生いたしましたことはまことに遺憾にたえない次第でございます。本省といたしましてはすでに報を得て、ただちに係の者を現地へ派遣をいたしまして、また運輸省に設けられた本部と連絡をいたしまして、この上とも万遺憾のない措置を講じたいと思います。これだけ御報告申し上げます。
  69. 牧野良三

    牧野委員長 この際この問題に対しまして緊急質問の申し出がございます。藤本捨助君。
  70. 藤本捨助

    ○藤本委員 ただいま三木運輸大臣及び松村文部大臣から御報告あられましたことに対しましてただ驚愕、哀悼にたえないのであります。すでに遭難者中判明されたものにつきましても、三十五名というとうとい一命を不慮の事放によって落されたものがあるのであります。私はこれらの方々に対し予算委員の諸君と御列席の鳩山内閣総理大臣ほか政府関係者、言論機関その他の方々とともに、はるかにつつしんで心から哀悼の誠を捧げますとともに、御遺族に対しまして衷心御同情申し上げる次第であります。つきましては運輸大臣、厚生大臣にお尋ねいたしたいと思いますが、委員長より時間の制約を受けておりますから、私はきわめて簡単にお尋ねいたします。しかし御答弁はできるだけ詳細にお願いいたしたいと思います。それはこの不詳事に対する政府の重大なる責任でありますとともに、すでに一命を落された方々に対する手向け、または遺族に対する、あるいは負傷者に対する御同情の一端ともなるからであります。まず運輸大臣にお尋ねします。  あなたはただいま今朝の不詳事件の原因につきまして、濃霧のためといわれておりますが、濃霧はすでにたびたびあったのであります。今後も濃霧はあるでありましょう。しこうして交通機関の濃霧に対処する方法につきましては、科学の進歩した今日すでに試験済み、解決済みであります。今回の紫雲丸その他の船にそういう措置があったのか、なかったのか。あったとしたならば、ものの用に立たなかったことは今朝の痛ましい事実が証明して余りある。ないのならばあえて怠慢といいたい。怠慢はしばらくおくといたしまして、この点につきましてまずお尋ねいたしたいと思います。
  71. 三木武夫

    ○三木国務大臣 両船ともレーダーを傭えつけておったわけでございますから、そういう点でただいま現地に派遣をして、原因を調査いたしておるわけでありますが、原因が濃霧であったとしても、これは非常に大きな責任が国鉄当局にあることは、私はその通りだと考えておるのでございます。
  72. 藤本捨助

    ○藤本委員 電探の備えつけのあることは私もすでに承知しておりますが、それがものの用をなさなかったということは今申し上げた通りであります。従いまして今後このような場合に徹底的にものの用をなして再びこういう不祥事を繰返さないように特に有効適切な施設につき御考慮を煩わしたいのであります。もう一度御答弁を願います。
  73. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘通りこういう事故が近時引き続き起りまして、そのために人命の損傷を来たすということはまことに遺憾なことでありまして、今後は万全を期したい。そのために運輸省の中にも対策本部を設けて、今後はこういう事件が再び起らないよう万全を期したい、こういう考えでございます。
  74. 藤本捨助

    ○藤本委員 せっかく運輸大臣に、かかる場合における危険を未然に防止するため万全を期するよう御努力をお願いいたします。  つきましてはこの遭難者に対しまして、私法上の責仕は免れないことは確かでありますが、まだ事故の原因あるいは具体的に遭難者の事情がわからない今日、とかくお尋ねするのは無理でありまするけれども、できるだけ原則的なお考えとして、さらに法規もあり、不幸にして先例もありますから、この際最高度の弔慰その他救済に対する方策について運輸大臣のお考えと、並びに厚生大臣に、すでに地元の香川県は災害救助法を発動していると思うのでありますが、発動しておるか、しておらぬか、しておるとすれば最高度に、しておらぬとすれば善処をお願いしたいのであります。御答弁を願います。
  75. 三木武夫

    ○三木国務大臣 国鉄に責任のあることは明らかでございまして、弔意はできる限り最高の弔意の方法を講じたいと考えております。
  76. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 本朝遭難事故突発とともに、厚生省といたしましてはただちに係官を現地に派遣するともに、香川県の民政部に対しまして、現地国鉄当局とも十分連絡の上、救助の万全を期するよう指示をいたしましたが、すでに香川県民政部では災害救助法を発動しております。なお中央災害救助対策協議会の事務局から、今回国鉄の当局に設けられました紫雲丸遭難事故対策本部に対して救助の実施に万遺憾のないよう申し入れを行っております。
  77. 藤本捨助

    ○藤本委員 もう一点、三木運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、かような事故は過去にいろいろありまして、まことに遺憾にたえないのでありますが、今後はこういうような事故は絶無にしたいのでありますが、そういうことにつきましては、科学の進歩を利用いたしまして万金の方策を講ずることも必要でありますけれども、その衝に当っている者の責任感あるいは道義感等も、こういう場合には大いに考慮せなければならぬものがあると思うのであります。今朝の事故以来まだ時間もあまりたっておりませんので、よく事情が判明されませんけれども、この不祥事関係船舶の職員等関係者につきまして、よく事情を調査され、今後こういうことがないようにするため、適切な措置を御考慮願いたいのであります。一応お考えを承わっておきます。
  78. 三木武夫

    ○三木国務大臣 お話のようにいたしたいと考えております。
  79. 牧野良三

    牧野委員長 西村直己君。
  80. 西村直己

    西村(直)委員 自由党の立場から与えられた時間一、二御質問申し上げておきます。わが党といたしましても、今朝の事態に対しましては、心から被害者に対しましてお見舞を申し上げます、と同時に、政府のこの事故を起しました諸般の原因がいまだ十分明らかではないにいたしましても、遺憾の点を表する次第であります。  特に先般世界の耳目を聳動いたしました洞爺丸の事件がございました。ただいま藤本君から御質問がありましたが、レーダーは当然つけてある、しかるにこのレーダーが濃霧に対して作用しなかった、その原因はどこにあるか。一応現在の状況においては何かそこに怠慢あるいは技術的な欠陥あるいはそれに従事する人的欠陥、そういったものがありはしないか。その点について諸般の原因はこれから十分追及されるにしましても、きわめて怠慢な状態ではなかったかという点につきまして、運輸大臣の御意見をもう一ぺん承わりたいのであります。
  81. 三木武夫

    ○三木国務大臣 何分にも事故発生後そう時間もたっておりませんので、現地の状態をつまびらかにいたすことができないのでありますが、レーダーは濃霧のためにこそその使命があるので、これは科学のABCですから、それをつけておって衝突したということについては、どういう状態にレーダーがあったかということを私も不思議に思っておるわけであります。従って今お話のような、あるいはレーダーが作用をなさなかったような状態にあったのではないかとも考えられるわけであります。こんな初歩的なことが——なぜ事故が防止できなかったか不思議に思うわけでございまして、あるいは御指摘のようなことがないとは限りませんが、この点は十分に原因を調査してみたいと考えております。
  82. 西村直己

    西村(直)委員 大体国鉄の改良費は四百億前後あると思います。新線以上に厖大な費用を持っている。ところが私たちは、これは予算の面から将来問題にしなければならぬと思うのでありますが、国鉄の改良費の扱い方が比較的マンネリズムに陥っているのではないか、この点は運輸大臣としても十分御検討になる必要がある、運輸大臣も言われるように、船にはレーダーは当然ついている、しかもそれは濃霧のためについている。しかもあの比較的静かな瀬戸内海で事故を起している、しかもその前には洞爺丸の教訓がある、何かそこに国鉄全体に大きな責任がありはしないか、その意味で怠慢というか、マンネリズムでやってきた面がありはしないか、この点は十分御検討を願いたいと思うのであります。  そこで総理大臣にお聞きしたいのであります。この問題は一運輸省、運輸大臣、あるいは文部大臣だけではなくて、内閣をあげての大きな問題であろうと思うのであります。鳩山内閣の施政方針、また特に最近新聞でお出しになりました方針等を拝見しますと、非協力なる官吏に対しては徹底的に追及する、人事権は政務次官によって行うというようなことを盛んに放送というか、放談されている。ただ一民主党のために人事をおやりになるということであれば、これは大へんな問題であります。もし党利党略からおやりになるというようなことがあったとするならば大へんなことです。問題はそうではなくして、こういった大きな事故を未然に防ぐために改良なら改良で、マンネリズムから飛び出していくというような息吹において、官界の綱紀粛正をはかっていかなければならない。この事故に対しまして、総理大臣として国民に対してどういうふうなお考えをお持ちになりますか。同時に官紀粛正という立場からどういう御所見を持っているか、鳩山総理の御所見を承りたいのであります。
  83. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 今回の事件は、まことに残念なことでありました。━━━━━━━━━━━━━━━━こういうようなことのないようにしなくちゃならないという心持であります。
  84. 西村直己

    西村(直)委員 その点は一応常識的にわかるのでありますが、官紀に対しましてどういうお考えをお持ちになりますか。
  85. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 各人がみずから自己を省みなくちゃならないというように、官紀の振粛ということも、自己から始めて全体としての官紀の振粛せられることを希望しております。
  86. 西村直己

    西村(直)委員 洞爺丸事件におきましても結局自然現象であるとかで、その点につきまして国鉄総裁自体の責任がはっきりしていない。次いで今回こういう事件が起った。この場合におきまして、総理大臣とされましては、事態が明らかになった場合に、今のようなマンネリズムであるとかあるいは進んでは自己保身だけの立場から、国鉄幹部なりあるいは現場においても運用されておった、そういういろいろな弊害が出てきた場合におきまして、総理大臣としては、その強い責任をどこにお求めになるおつもりでありますか。
  87. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 最善な方法をとります。
  88. 西村直己

    西村(直)委員 さらに文部大臣に一つこの機会にお聞きをしておきたいのであります。これは観光の問題あるいは修学旅行の問題でありますが、今日どちらかというと修学旅行が非常に盛んでございます。その場合において設備が不完全である宿屋の問題あるいは風紀の問題、交通運輸保安の問題におきまして非常な問題があるが、さらに今後この事態に対しまして、地方に対しあるいはこういった学校に対しまして、十分なる御注意、指導をお与えになるかどうかということと、今一つは、時間がありませんから、この機会に運輸大臣にあわせて御質問申し上げておきますが、私どもはこういった事故が修学旅行に伴って起るということは、ある程度観光業者に対する指導が十分でない。ある場合には、極端なことを言えば国鉄となれ合っておって、そうして何でも子供を連れてきて方々歩かせれば、会社はもうかる、そのためにひっぱり出す、しかも観光施設である宿屋と組んで——国鉄と宿屋とバス会社が組んで、そうしてしかもそうした危険な船に乗せて、官紀が弛緩していけば、子供自体が危険にさらされる、運輸大臣、文部大臣の、この修学旅行に対しますところのお考えをもう一ぺん承わって、私は一応次の方に譲りたいと思います。
  89. 松村謙三

    ○松村国務大臣 実は先刻申しましたように、相模湖の事件もあり、また修学旅行などにいろいろの危険と弊害が伴う事態もありましたので、この春の修学旅行の始まる先に、指令を各府県に出して、今度の修学旅行についてこのようなことのないように厳重なる指導をいたしたわけでございます。それにかかわらず、また今度もこういうことができましたが、これが純然たる不可抗力でありますか、また統率者の間において何らか間違いがなかったか、よく調べまして、そうして今後一層の注意をいたし、このようなことを学童に与えないだけの十分の注意をいたすつもりでおります。
  90. 三木武夫

    ○三木国務大臣 特に国鉄が修学旅行を勧誘しているとは考えませんが、しかし近時人心も落ちついて参って、修学旅行をしたいという希望が非常にふえていることは事実で、東京周辺にもそういう姿が見られるわけでございますが、しかしこれにはやはり輸送の能力等も一つの限度があるものですから、必要輸送力を越えて修学旅行に勧誘するというようなことはいたさない方針をとっていきたいと思います。
  91. 西村直己

    西村(直)委員 国鉄自体が勧誘はしないが、従来から指定旅館であるとかいろいろな関係から観光と国鉄とはどうしても結びつかざるを得ない。その間に輸送力を越え、設備を越えて危険な立場に児童なり、生徒なり婦人なりを置くというような点について強いメスと申しますか、是正の方策をおとりになる、この点については研究あるいは積極的な指導に乗り出すお考えがありますか。単に文部省の立場、文部大臣の立場からいかに言われましても、これを受け入れるところの、またそれの監督官庁である国鉄あるいは運輸省あるいは運輸大臣の立場から——今度の問題についてはまた立場あるいは処置の方法はいろいろありましょうが、将来の問題として二度と繰り返さないという意味で積極的に乗り出すお考えがあるかどうか。この点をはっきりしていただきたい。
  92. 三木武夫

    ○三木国務大臣 交通の事故が起って人命を損傷するというようなことは大へんなことでございますから、今後そういう団体旅行と輸送能力とを勘案して適当な処置をとりたいと考えております。
  93. 牧野良三

    牧野委員長 赤松勇君。
  94. 赤松勇

    ○赤松委員 私は日本社会党を代表いたしまして、遭難されました犠牲者の皆さんに対しまして心からなる哀悼の意を表したいと思います。  第一にお尋ねしたいのでございますが、先ほどレーダーの設備の問題がございました。次に私は、沿海または平水区域におけるところの就航各般に無線電信施設があるのかどうか、この点を運輸大臣にお尋ねいたします。
  95. 三木武夫

    ○三木国務大臣 無線電話の施設があるそうでございます。
  96. 赤松勇

    ○赤松委員 船舶安全法施行規則の第二十二条によりますと、無線電信施設は免除されておるということになっておりますが、いかがでございますか。
  97. 三木武夫

    ○三木国務大臣 規定のいかんにかかわらず、連絡船の重要性にかんがみてこれを備えつけておるようでございます。
  98. 赤松勇

    ○赤松委員 それは法律で義務づけていないのですか。
  99. 三木武夫

    ○三木国務大臣 義務づけていないにかかわらず備えつけてある。
  100. 赤松勇

    ○赤松委員 義務づけていないにかかわらず備えつけてあるということは、これは不完全だ。政府の監督ができないことになる。従いまして私は運輸大臣に今お尋ねしたいことは、むろん原因を御調査なさらなければわかりませんけれども、かような、義務づけないで各船舶会社の自主的な決定にまかせるというのではなくて、これは当然法律を改正して無線電信の設備を法律的に義務づけるようにするのが私は対策一つだと思う。この点について運輸大臣いかがでございますか。
  101. 三木武夫

    ○三木国務大臣 御指摘の点は十分検討いたすことにいたします。
  102. 赤松勇

    ○赤松委員 今国会にこの法律の改正案をお出しになりますか。
  103. 三木武夫

    ○三木国務大臣 法律の制定並びに提出するかどうかということについて十分な検討を加えたいと思います。
  104. 赤松勇

    ○赤松委員 無線電信の設備が義務づけられていないのです。従いまして今あなたは各同僚議員の質問に対しましては、今後かかることの起らないように万全の方策をとりたい、こうおっしゃいました。万全の方策の一つがこれなんです。今国会に出すか出さないかわからない、さような無誠意な態度では了承できません。重ねて運輸大臣の御所見を承わります。
  105. 三木武夫

    ○三木国務大臣 連絡船はそういう法律的に義務づけられていないにかかわらず、重要性にかんがみて備えつけておるということを申し上げたのです。今赤松委員の御指摘は、一般の船に対してもというお話であろうと思いますが、それに対しては十分検討を加えたいと思います。
  106. 赤松勇

    ○赤松委員 繰り返し申すようでございますが、この連絡船等につきましては単に船会社にまかせるのではなくて、法律をすみやかに改正して義務づけるように一つ御努力をばお願いしたい。  次にお尋ねしたいのでありますが、この紫雲丸の定員は何名でございますか。
  107. 三木武夫

    ○三木国務大臣 千五百名でございます。
  108. 赤松勇

    ○赤松委員 むろんその原因等につきましては、後ほど運輸大臣より本予算委員会に対しまして詳細なる報告をしていただくように私は強く希望しておきます。  次に鳩山内閣総理大臣にお尋ねいたしますが、前に洞爺丸の事件が起き、あるいは相模湖の事件が起きました。国鉄総裁は国会におきまして、洞爺丸の事件につきましては責任を負いますと明確に答弁しておるのです。その責任の負い方の問題でございますが、私どもは諸般の事情から考えまして、あのような大きな事故——いまだに船は浮んでないようです。まだ乗務員は船体の中に腐敗した死体となって埋もれているようです。これははなはだ重大です。自分の部下が海の底の船の中にからだを腐敗して死んでいるのです。それであるのに国鉄の幹部諸君はこれの責任をとろうとはしない。私はこれは非常に心外だと思う。ことに綱紀粛正を叫び、あるいは友愛精神を説かれております鳩山総理といたしましては、こういう点については信賞必罰というものをば、しっかりやってもらいたい。これでよろしいでございましょうか。これは前内閣当時に発生した事件であるから、政府は責任がないとは私どもは言わせません。洞爺丸事件の責任は当然現内閣にも引き継がれていると思うのでございまして、しかも再び三たび今度の紫雲丸のような事件が発生いたしました。しかも犠牲者は可憐なる小学生あるいは中学生です。私ども涙なくしてこの事実を見るわけには参りません。原因のいかんにかかわらずこれは国鉄当局の大きな責任であることはもう何人も認めるところである。しかも前には洞爺丸事件もございました。私はこの際内閣総理大臣国民の前に鳩山政府の誠意を示す意味におきましても、当然国鉄幹部に対しまして何らかの措置をとるべきであると思いますが、内閣総理大臣、いかようにお考えでございますか。
  109. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 事情をよく調査いたしましてわれわれは最善の方法を講じます。
  110. 赤松勇

    ○赤松委員 あなたは今この遭難をいたしました子供の親の気持になって考えてやってもらいたいと思う。おそらく犠牲者の近親者は、ほんとうに涙を流しながら私どもの発言を聞いているでしょう。内閣総理大臣は原因を調査した結果に基いて善処をする、そういうような抽象的な御答弁では困るのでございます。その原因を調査しなくとも、もはや二度三度にわたる国鉄当局のこれは大きな失態でございまするから、当然これらに対しましては何らかの処分あってしかるべきだと思いますが、重ねて内閣総理大臣の御所信を承わりたいと思います。
  111. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 こういう事件の起りましたことについて、日本国民はすべて同情をしておると思います。その同情の仕方は━━━━━━━━━━━━━━━━━というように考えなくてはならないと思います。ですからそういう考えで責むべきものは責めまして、信賞必罰の道が立つように心がけます。
  112. 赤松勇

    ○赤松委員 ━━━━━━━━━━ということは一体何でございますか。━━━━━━━━━━━するのですか。
  113. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 われわれがです。われわれ政治に携わる者は何をしたならばいいかということをみずから考えて、その最善の道をとらなくてはならないと思います。
  114. 赤松勇

    ○赤松委員 私はあげ足をとるわけではございませんけれども、これは国民に対して非常に大きな衝撃を与える発言でございますからお聞きするのでありますが、━━━━━━━━━という今の言葉は何ですか。
  115. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 いや、われわれがという意味でありました。
  116. 赤松勇

    ○赤松委員 では国民でありませんね。
  117. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ━━━━をとるわけではない。
  118. 赤松勇

    ○赤松委員 政府ですね。
  119. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 そうです。
  120. 赤松勇

    ○赤松委員 それでは、内閣総理大臣はお取り消しになりまして、訂正をされまして政府が責任を感ずべきである、こういうようにおっしゃいましたから、私はこの質問をば留保しておきたいと思いますが、運輸大臣にいま一点お尋ねいたします。万全の方策を講ずるということですが、その方策の中で一番大事なことは、この際近海航路に就行しておるところの全体の船に対しまして、レーダーの設備あるいは無線電信の設備筆につきまして運輸大臣の責任において検討してみる必要があるのではないか、私はこういうふうに考えまするが、これに対しまして運輸大臣はいかようにお考えでございましょうか。
  121. 三木武夫

    ○三木国務大臣 そういう科学的なレーダーのような設備を各船が持つということは好ましいと思います。しかしこれにはいろいろ経費の点もありますが、そういう方向に向って船の装備を完備していくというあなたのお説には賛成であります。しかしそれをどういう順序によってやるかということにつきましては、今後いろいろ検討する必要があると思っております。
  122. 赤松勇

    ○赤松委員 この点につきましては、私は今の御答弁には非常に不満でございますけれども、事態の原因がさらに明らかになりました場合に質問を行いたいと思うのでございます。どうぞ遭難されました犠牲者の皆さんに対しましては、政府は誠意を持ってその補償あるいは見舞その他万全の方策を行なっていただきたい、これを重ねて内閣総理大臣に要求いたしまするが、首相いかがでございますか。
  123. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 お説の通りであります。
  124. 牧野良三

    牧野委員長 岡良一君。
  125. 岡良一

    ○岡委員 私は日本社会党の立場から、このたびの紫雲丸並びに宇高丸の事故に基く遭難者、特に美しい瀬戸内海の景色にあこがれていった子供たちがこうしたみじめな事故にあった、子を持つ親の気持を推しはかって心から残念に思っております。そこで、昨年十月下旬に洞爺丸のあの海難史上希有といわれる事故が起りましたときには、わが党の同志も二人が遭難をいたしました。党としてもその慰霊に対するはなむけとしては、この事故の原因を究明し、責任を明らかにし、二度とこのような不幸なことが起らないことにいたすべきであるということから、特別委員会等も設けまして、結局その原因が天災ではなく人災にある、こういう結論に達しておるのであります。  そこで関連してお尋ねをいたしたいのでありますが、まず第一に今回の事故が国立公園において起ったということであります。日本は御存じのように観光資源というものを通じての外貨獲得には大きな努力を払っておりますが、その瀬戸内海において、しかも常識的には十分避け得るような原因に基くと思われる事故が発生をし、多大の人命を喪失、死んでおる、このことは特に私どもとしては重大な関心を打つのでありまするが、これに対して厚生大臣はいかなる所信を持っておられるのか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  126. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 今回の事故が瀬戸内海のような平水の地帯で起ったということにつきましては、われわれとして非常に遺憾なことだと思っております。国立公園の地帯でそういう事件が起るということについては、昨年も小さな事件でありましたが、二、三起っておることもありまして、今度の事件については厚生省としても非常な関心を持ち、ただいま御報告を申し上げたような措置を実は本朝来講じて、民生部とも連絡をとり、災害救助については万全を尽しておるような次第であります。
  127. 岡良一

    ○岡委員 国立公園における交通の安全ということについては、運輸大臣のみならず厚生大臣も重大な責任もあろうと思いますので、今後十分に注意をいたしていただきたいと思うのであります。  なお洞爺丸の事故につきましての海難審判所の有責か無責かという判定はいまだに決定をいたしておらないのであります。これは一体何に基くものであるのか。政府としては、こうしてこの判定がいまだ下らないために世論もごうごうたる非難を放っておるのでありますが、これにどういう態度で臨まれようとするのか、この点を担当大臣より明らかにしていただきたいと思います。
  128. 三木武夫

    ○三木国務大臣 洞爺丸事件に対する海難審判所は、御承知のように、すでに二百名の参考人の調査をいたしまして、二十回以上の実地検証もいたしておるわけであります。二月十何日かに第一回の海難審判が開始されまして鋭意努力をいたしておりますので、七月中には海難審判所の裁決を終えたい、こう考えておる次第でございます。
  129. 岡良一

    ○岡委員 海難審判所の裁決は、何と申しましてもこの事故の原因の究明、ひいてはその補償に関する万全についての有力な資料でありまするから、政府は誠意を持ってその裁決を急がすべきものであろうと思いますので、この点あらためて要求いたしておきます。  なおこのような事故が発生するということについては、やはり政府としての航海の安全に対する関心と誠意が非常に薄いというところに発するのであろうと私どもは思うものであります。たとえば今度の予算におきましても、北方点観測に関する建造船三隻のための十八億八千万円の予算請求というものが、全額削られております。北方点観測は言うまでもなくわが国における気象情報のための最も重要な資料であり、ひいてはまたその周辺における航海安全のための最も大事な指標でございますが、なぜこういうものを削られたのか。あるいは先般和達気象台長が周恩来と北京でお会いになったときに、日本の気象観測についての重要な資料は提供しようというようなこともあったかと聞いておるのであるが、その後一体このような航海の安全、日本の気象観測の正確を期するための情報提供ということについて、政府として具体的に北京政府との間に話し合いを進められておるのであるかどうか、この二点をあわせて伺いたい。
  130. 三木武夫

    ○三木国務大臣 気象の観測の精密度を向上させますために、北方定点観測が非常に有効であるということはわれわれも認めておるわけであります。今年度予算においてもでき得べくんば計上いたしたいと考えたのであります。しかし何分にも約十九億円の費用を要しますために、全般の予算とのにらみ合せから今回は見合さざるを得なかったわけでございます。しかしながら鳥島等に高層観測を開始し、あるいはオーツク海岸の紋別には新しく測候所を設ける等によって、でき得る限り気象観測の精密度を向上させたいと政府は努力をいたしておる次第でございます。
  131. 岡良一

    ○岡委員 そのような意味で、今運輸大臣の御答弁を承わりましても、十九億弱の予算が必要である、しかしこの北方点の観測は日本の気象情報の資料、特にはまた航海の安全のためにもきわめて重要なものである。しかし十九億ばかりかかるということから、とうとうさたやみになった。しかしそういうようなことが原因となって重大な人命の損傷が起っておるというところに、私は問題があろうと思うのであります。一回ならず、二回ならず、しかも国鉄の連絡客船においてこのような事故が起り、このように大きな人命の犠牲を生じたということについては、私は当然政府の政治的な責任があろうと思うのであります。真相が究明をされると同時に、技術的な責任ではない、政治的な責任というものを明らかにされるということをこの際強く要求いたしまして、私の質問を終えたいと思います。
  132. 牧野良三

    牧野委員長 それでは午後一時半より再開することとしまして、暫時休憩いたします。    午後零時二十一分休憩      ————◇—————    午後一時五十二分開議
  133. 牧野良三

    牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。この際西村直己君より議事進行の発言を求められております。これをお許しいたします。
  134. 西村直己

    西村(直)委員 議事進行に関して、この際政府の所信を特に求めたいと思って発言を申し上げます。  政府予算審議につきまして、促進を強く要望されておる。これはよくわかっておるのであります。また、この予算案についてどういう結論を出すかということは別問題としましても、私どもといたしまして、その問題点を国定の前に一日もすみやかにはっきりさせたい、このための審議をやっておるわけです。これについて、われわれが審議に御協力申し上げるというか、促進するということについては、何らやぶさかではないのであります。ところが今日まで休憩動議、いわゆる休憩予算委員会みたいなもので、しょっちゅう休んだり開いたりするような格好になっておったのは、一つ政府がその際に不誠意であったり、あるいは閣僚間の御答弁が不統一であった。これが審議をおくらしておったと思うのでありますが、特に私がここで発言を求めましたのは、重要法案についてであります。特に予算に伴う重要法案については、先般今澄君からも、社会党の立場から資料要求がありまして、七十五件の法案が予算に伴うものだといって、資料をいただいております。ところが現在私どもの方で調べてみますと、このうち四件くらいしか今日現在まで出ていない。予算審議の方は一生懸命やれやれとおっしゃるけれども、同時にそれのワクなり組織なり組み立てになる、裏づけになる法案というものが、各常任委員会に一向に姿を現わさない。これでは、予算審議に対してわれわれが問題点を解明していくのに非常に困難がある。こういう点は、われわれの方からむしろ政府の方に促進をお願いするわけであります。いま一つは暫定予算、これも、先般来私どもが理事会を通して申し上げておるのは、本予算の前駆をなします、従って六月暫定の性格いかんによっては、われわれの審議の問題点がどういうふうに明らかになっていくか、その結論をどう求めるかについても、大きな参考資料になる。これもいつごろお出しになるおつもりであるかということであります。私どもは野党、特に自由党の立場から、あくまでも審議を促進するに当って、重要法案を早くお示し願いたい。そうしなければ、この分でいくと、従来の予算審議の経過から見ましても、大体予算を提案されまして、衆議院で三十五日くらい審議をされておる。前国会では、四月十五日に政府はお出しになると言っておられたのに対し、それが不幸にして四月二十五日、しかもこの予算委員会に御説明になったのは五月四日、そうなると、おそらく六月の初旬、あるいは下手すると十日くらいになってしまいはせぬか。そうすれば七月暫定という問題が出てくる。これは財界にとっても、経済界にとっても、国民にとっても非常に迷惑な話である。だから、私どもは予算審議の問題点を明らかにしようということで、一生懸命やろうということについては、協力をするのにやぶさかでないが、重要法案、また本予算の前提になる暫定予算は、早くお出し願いたい。いわんや今日現在に至ってまだ四件しか七十五件のうちで出ていない、これは私は政府の怠慢だと思います。予算審議がおくれて、そうして次々と暫定予算にいきやすい可能性が多いということについては、政府が責任をおとりにならなければならない事態だ。この点について議事進行上の発言を申し上げて、官房長官からこれらに対する所見を十分に承わっておきたい、こう思います。
  135. 根本龍太郎

    根本政府委員 お答え申し上げます。本国会に提出予定の法案につきましては、参議院、衆議院両議運において、一応私から資料を出し御説明を申し上げましたが、そのうち特に予算関係の法案が予定より若干おくれておるという事実は、御指摘通りでございます。なおまた現在におきまして、これは清々準備いたしておるのでありまするが、本日も実は関係事務当局を督励いたしまして、予算審議に十分間に合うように督促いたしまして、すみやかなる提出をいたす方針でございます。  なお暫定予算の提出時期については、大蔵大臣からお答えするのが適当とは思いまするが、先般閣議において一広その点が協議された場合、現在の状況からすれば、六月暫定予算は組まざるを得ない。それに当っての大綱について話し合いをいたしておるのでありまするが、大体本月の十七日あたりが提出の時期になるではないかというような一応の構想を持っておるのでありまするが、これはまだ閣議で正式に決定したことではございません。
  136. 西村直己

    西村(直)委員 そこで今申し上げましたように、重要法案というものがおくれて、予算提出の件名簿から見ましても、ものによっては五月三十一日まで、あるいは五月二十五日まで——従来は、実は改進党の時代の野党攻勢をおやりになった時代でも、法案が出ていないから審議できないといって、われわれ与党で非常に苦労して出したわけです。従ってわれわれとしては、あなた方の方でこの予算はおそく出されたのだから、重要法案、特に予算を伴う法案はよほど急いでお出しにならぬと、七月暫定になる危険性があるということをわれわれは憂えておる。その点については、あなたの方は何とかしてそれをしないように必死の努力をやるだけのお考えを持たぬと、従来の予算審議をやる場合も、三十五日くらいかかっておる。しかもそれが五月四日になって出てきておる。そうすると、六月はもちろん暫定でしょうけれども、七月の暫定という責任を政府がおとりにならなければならぬ。われわれも、できれば七月暫定を避けたいという考え方は持っておるのだけれども、その点について、政府は責任をおとりになるおつもりであるかどうか。もう一ぺんはっきりしてもらいたい。
  137. 根本龍太郎

    根本政府委員 お答え申し上げます。従来も、ややもすれば予算案に必要なる法律案が拠出がおくれて困難した経験にかんがみ、また今回は特に特殊なる状況下にありまするので、できるだけすみやかに、法案を早期に出す準備をいたしておる次第であります。お手元に届いておる予定は、これは一応事務当局が先に準備の状況を示したのでありまするが、先ほども申し上げたように、本日あらためて各省の事務当局に早期に出すように指令を出し、その準備を鋭意いたしておる次第でありまするから、七月暫定にいくようなことのないように、政府は責任を持って善処いたしたいと考えておる次第であります。
  138. 牧野良三

  139. 小平忠

    小平(忠)委員 午前に引き続きまして質問をいたしたいと思います。  先ほどお伺いいたしました食糧問題並びに米の予約売り渡し制につきましては、米価問題とも重要なる関連がありますので、後刻農林大臣にさらにお伺いいたしたいと考えておりますが、外務大臣、経審長官等の御都合もありますので、先にわが国の当面する最も重要なる課題の一つであります人口問題の解決について、私は政府の所信をただしたいと思うのであります。  敗戦によって、わが国は御承知のようにすべての外地植民地を失いまして、本州、四国、九州、北海道のこの四つの島に、今や九千万に近い人口が毎年百万ないし百二十万の増加をしておる。これをどう処理していくかということが、わが国に与えられた非常に重大な課題だろうと思うのであります。これに対しまして、特に私は鳩山総理大臣に、このわが国の最も重要な人口問題の解決をどうなさろうとお考えになっておるか、その基本的な構想についてお伺いいたしたいのであります。
  140. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 お答えをいたします。狭小な国土に膨大な人口を擁するわが国経済の自立再建をはかることは、容易ではないのであります。土地資源は乏しいけれども、いまだ開発の余地は少くなく、また企業合理化等による輸出の振興に、海外諸国との経済協力によるわが国経済の発展の可能性もございます。これがためにあらゆる施策を総合的に実施することによりまして、逐次完全雇用の実現に努めて参りたい所存であります。海外移民についても、受け入れ諸国の情勢が好転をしておりますので、この際できるだけ多くの移民を出すことにも有効なる施策を行う方針であります。  以上によって御了解を願いたいと思います。
  141. 小平忠

    小平(忠)委員 午前中も経審長官から、わが国総合経済六カ年計画についての構想が一応述べられたわけでありますが、ただいま総理から、一応の人口問題に対する所見は伺いました。私はこの解決の具体的方策として、まず第一に把握しなければならない問題は、一体わが国人口の状態、年々どのくらいの人口がふえつつあるのか、六カ年計画に基きまして、最終年度にはわが国人口はどうなるのか、これについて経審長官の構想をお伺いいたしたいと思います。
  142. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答えいたします。昭和二十八年度人口は八千七百六万七千、大体八千七百万、それから三十二年度になりましてこれが九千九十九万三千、それから三十五年度はそれがぐっとふえまして、九千三百七十九万五千、こういう工合になりまして、大体七・七%ふえておるわけであります。それに比較いたしまして労働力人口、これは大体十五才以上の稼働労働者に労働力率というものをかけましてやりますと、大体働かなければならぬ人、働く人の数量が、二十八年度は三千九百五十四万八千、三十二年度は四千百八十九万七千、三十五年度は四千三百七十一万七千、平均の人口が七・七%ふえておりますのに比較いたしまして、労働力人口、職を与えなければならぬ人の人口増加率は非常に多いのでありまして、これは一〇・五%になっております。そういう計算を人口問題の基礎として考えております。
  143. 小平忠

    小平(忠)委員 一応の構想はお伺いいたしましたが、ただいま総理大臣からの御説明によりまする基本的方策で、ただいまの人口増加率からいって解決できるという御自信がございますか。
  144. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 お答えいたします。先ほど総理のおっしゃったごとく、輸出を増進し、産業を合理化して生産をふやすということにおきまして、私どもの構想といたしますれば、まず農業等の第一次産業は、非常に収容することは不可能だと思います。だから五カ年間には、大体初めの年が千七百六十一万人でありますが、その千七百六十一万人を三十五年も同じくそのままでずっといく、こういう予定でございます。ところが第二次産業である鉱工業においては、生産をずっと増加いたしますから、二十八年度は八百九十六万人でございますが、これは九賞七十九万二千人にふやし、三十五年度は千七十八万三千人、結局この方においてずっと増加をしていきたい。一〇%以上を収容いたしたい。それから第三次産業、これは商そのほかでしょう。その方におきましては、二十八年度は千二百五十四万四千人。これを三十二年度には千三百九十四万二千、一一・一%をふやし、三十五年度には千四百八十九万二千、一八%増加をいたしたい、こういう予定で進みたいと思います。
  145. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの人口問題解決の重要なる方策の一つとして、移民政策が特に取り上げられております。この移民政策について、特に中南米に対する移民政策について、政府は本年度以降大体どのくらいの人口を移民し得るか、この構想についてお伺いしておきます。
  146. 重光葵

    ○重光国務大臣 移民が人口問題解決の一つの重要なかぎであることは申すまでもございません。   〔牧野委員長退席、重政委員長代理着席〕 それで移民をできるだけいたすことに実は努力をいたしておるわけであります。幸いに昨今中南米方面におきましては、これは本会議において御説明申し上げましたことでもございますが、非常に受け入れ態勢の工合がいいのでございます。そこで過日も申し上げましたように、大体六千の移民を今年は出すことにいたしております。ブラジル移民では北ブラジルに千五百、中部ブラジルに五百、南部ブラジルに千、アルゼンチンに五百、パラグァイに五百、ボリビアに六百、ドミニカに六百、北米に三百となっております。その他を加えて大体六千ぐらいの見当でやることになっております。これには輸送の制約等がございますので、数量はそれだけにとどまっておるわけでございますが、さらに今後できるだけさような制約を取り除くようにして、さらに多くの浮足を出したい、こう考えております。差しあたりそれだけ御説明を申し上げます。
  147. 小平忠

    小平(忠)委員 そこで経審長官にお伺いいたしますが、四月十九日に閣議で決定いたしましたこの昭和三十年度経済計画大綱、この数字には間違いございませんね。ミスプリントはございますか。
  148. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 間違いございません。
  149. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、この九ページに、人口の大体の増加率を示されております。二十八年度に八千七百七万人、二十九年度に八千八百三十四万人、この増加率は百二十七万人であります。しかるに昭和三十年度は八千九百三十七万人で、二十九年度から三十年度増加率は百三万人となっております。すなわち二十八年から二十九年にかけての人口増加率と二十九年から三十年度増加率を比べると、二十四万人も減っているわけであります。これが減っておるのは一体どういう計画であるのか。ただいまの外務大臣の説明によります移民政策なんというものは、きわめて少数であります。どういう方策によって二十四万人というものが出たのか。毎年累増する傾向にある人口増加率を、どういうふうに計算されてこのような計画をお出しになりましたか。
  150. 高碕達之助

    ○高碕国務大臣 私どもの、人口の基礎におきましては、厚生省の人口問題研究所というものを唯一のたよりにしてやっておりまして、多少私どもの予想とは狂っている点もあるのですが、これは私ども、それ以外に正確な数字をつかめないのでありまして、さよう一つごしんぼう願いたいと思います。
  151. 小平忠

    小平(忠)委員 きわめてたよりのない経審長官答弁であります。大臣、 そんなことで国民が納得できますか。私は率直に申し上げておきます。  次にお伺いいたしたいことは、計画 産児ということが最近強く指摘されて おります。これは厚生大臣の所管と思いますが、二十四万人も前年度から人 口が減少するというようなことは、厚生省が奨励しておる計画産児、あるいは産児制限、こういう点から見て可能であるのかどうか、厚生大臣の所見を承わりたい。
  152. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 家族計画という言葉は、まだ国民一般に十分に浸透はいたしておりませんが、私は厚生大臣就任以来、人口問題は厚生省の所管としても最も大きな部面を占めてくるべき問題と考えておりまして、ことに今年度予算につきましては、御承知のごとく受胎調節の費用を初めて三千二百万円計上いたしたわけであります。従来の優生保護相談所や保健所を通じて行なっておりましたようななまぬるいやり方では、とうていこの人口問題を解決するわけにはいかぬ。根源はやはり厚生省が本気で乗り出すか乗り出さないかということにかかっておるのであるから、従って人口問題に対しましては、従来の厚生大臣以上に努力したいと思いまして、ただいま真剣にこれに取り組み中なのであります。  そこでただいま御質問の点は、二十五年度から人口千人に対しまして出生率というものが次第に減ってきております。これは過去の厚生省の指導も多少はあずかって力があったのではないかと思いますが、二十九年度においては、二十五年度の二八%に対し、二〇%に減ってきておりまして、死亡率が一一%が八%に減りました以上に出生率は減ってきております。従って、今後受胎調節に対して家族計画の思想をも織り込んで積極的な施策を行うならば、私は、ここ一、二年後には相当変化した人口動態というものが現われてくると確信をいたしております。
  153. 小平忠

    小平(忠)委員 政府の六箇年計画に基いたこの大綱によると、二十八、二十九年度に比較して、二十四万人人口が減っておるのであるが、これは厚生省の調査によって減ることに間違いがありませんかと聞いたのですが、その答弁がなかったようですから、もう一度お答え願います。
  154. 川崎秀二

    ○川崎国務大臣 間違いはありませんし、この問題についての経費は、ことしはわずかに受胎調節の費用三千二百万円ですが、あらゆる機関を動員して受胎調節に対する積極的施策を講じていくならば、あるいはそれ以上の減少も見ることができるのではないか。社会党の加藤参議院議員並びに受胎調節の問題について非常に熱心な方が世界各国に呼びかけられまして、ことしの秋には、御承知のごとく家族計画会議というものが世界で初めて開かれるのであります。この機会において、日本国民全体に知れわたるような宣伝、啓蒙も行いたい。もしこれが成功するならば、相当な効果が現われてくるのじゃないかと確信いたしておる次第で、あります。
  155. 小平忠

    小平(忠)委員 川崎新厚相の御手腕のほどを期待いたしたいのでありますが、果してそのように参りますかどうか。ただいまの経審長官の御報告になりました計画の内容と厚生大臣のお話とは、若干数字的にも食い違いをいたすような点がありますが、時間がありませんから、また別の機会にその問題をお伺いいたすことにいたします。  そこでこの人口問題解決のかぎを握っております移民政策、あるいは産児調節、こういった問題はきわめて重要な問題であります。もちろん中南米に対する移民政策も積極的にやってもらわなければならぬと思いますが、しかし、それだけでは私はとうてい解決し得るということは言えないと思う。少くとも今のところ、増加率を百万以下に下げるということはなかなか困難でございます。そういたします場合に、一万足らずの移民政策や、あるいは具体的に産児調節、計画産児等を進める場合でも、そう急激にはできない。そこで、何といっても国内における未開発地域の開発によって人口をさらに受け入れる方策を、政府は強力に講ずる必要があるのではなかろうか。そのことはあえて私が今さら申し上げるまでもなく、戦後の歴代内閣が、日本のただ一つ残された宝庫である北海道の総合開発を強調されておる。北海道の人口はまだ五百万になっていない。北海道は一千万の人口の収容が可能であるといわれておる。そういう意味合いにおいて、私は人口問題解決のかぎは、いわゆる外でなく、国内にあると思う。その観点から伺うのでありますが、この未開発地域の開発によって、さらに人口を受け入れる態勢のできるところが国内にあるのだということを考えてみるときに、これに対して総理大臣はどのように、お考えでありますか。
  156. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 先刻あなたの御質問に対して、私は未開発地の開発人口を吸収したいということを申し述べました。その通り考え方をしております。
  157. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、総理考え方というものは、未開発地域に対するところの開発を促進することによって人口問題を解決していくというように、私は解釈いたします。そうなって参りますと、私はここにあらためて北海道の総合開発の促進について、総理の所見をお伺いいたしたいのであります。というのは、すでに北海道総合開発五ヶ年計画が策定されまして、これに基いて、国は積極的にこの総合開発の推進に当っておるわけであります。私は、やはり日本の大きな人口問題の解決、食糧問題の解決という見地から、北海道の総合開発はきわめて重大だ、政府もこれに本腰を入れてやらなければならぬ。吉田内閣におきましても、これは相当力を入れたのであります。鳩山総理は、北海道の総合開発についてどのようにお考えでございましょうか。
  158. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 北海道の開発は非常に必要なことだと考えております。
  159. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますならば、なぜ今年中の予算の上にそれを具体的に表わし得なかったかという問題を御指摘申し上げたいのであります。すなわち五ヶ年計画によりますと、あと残事業は三十年度、三十一年の二年であります。まだ約一千億をこえる相当な事業量が残っております。残事業は二カ年でありますから、一千億ということになれば、どうしても最低五百億という北海道総合開発費をこれに投入しなければ開発はできないということは、これはもう小学校の生徒でもわかることであります。ところがこの五百億の当初の要求に対して、今回国会に提出されました国家予算のその総額は百五十億、これでは結局かけ声だけで、何ら開発の実績は上らないということになるのであります。私はこの問題については、特に総理が北海道の開発を積極的にやるということを今お話されたのでありますが、その方針に基いて予算編成された大蔵大臣が、この北海道の総合開発予算面で——私は具体的に調査をいたしまして、全然手がつかないというように重大なる支障を来たすと見ているのでありますが、どうでございましょうか。
  160. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。北海道の総合開発の必要であり、ぜひともこれをやらなくちゃならぬことは、これは申すまでもありません。私ももう数年来、その点については若干の御協力を申してきているわけで、よく承知いたしております。従いまして、今回のこの予算編成に当りましても、北海道の農業については、私としてはできるだけ考えて、そちらの方に回しておるつもりをいたしておるのでありますが、ただ日本経済全体を考えていかなくてはならぬ立場から、そのこと自体は非常にいいのでありますが、思うようにいかなかったということだけを申し上げておきます。
  161. 小平忠

    小平(忠)委員 思うようにいかなかったということだけでは、私は了解できないのであります。しからば北海道の開発を担当する専任大臣である大久保長官に、あなたは閣内におきましても相当発言力もあられる長官であります。かつては第一次吉田内閣の当時において、あなたは総務会長までやられた、現在の内閣におきましてもきわめて発言力の強い方であります。そういうあなたが、北海道の開発長官を専任大臣として、引き受けられてこの予算外であなたは満足されておられますか。
  162. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 今年度予算で決して満足とは申しませんが、御承知通り一兆円のワク内で編成いたしました予算でありまして、そしてある省によりましては多少の減額を見たのでありますけれども、北海道の開発予算においては約十億、一割近い増額をしております。それ以上わがままを言うのはどうかと思いまして申し上げませんでした。しかし予算の額のいかんにかかわらず、誠心誠意をもって事業の遂行に当るつもりでございます。
  163. 重政誠之

    ○重政委員長代理 ちょっと申し上げますが、かねて御了承を得ております、外務大臣が公用のために退席せられますから……。
  164. 小平忠

    小平(忠)委員 ただいまの問題を私は引き続きお伺いいたしたいのでありますが、外務大臣が公用のために出られるということでありますから、私は一点だけお伺いしておきたいと思うわけであります。  それは、昨日も自由党の周東委員から強く指摘されました、余剰農産物のいわゆる受け入れに関しまして、本件は経審長官からその交渉の経緯など一応の御報告はありました。これはもちろん経審長官の所管にもあり、それは農林大臣にも十分に関係する問題でありますが、今日予算審議がこの段階にきている。ところが昨日の質疑応答を見ましても、あるいは実態というものは、将来この問題はどうなるかということを私は憂えているものであります。日本の農業自体にいたしましても、この余剰農産物の受け入れがどうかということについて問題があります。一方アメリカにおきましては、すでに大統領が一月十日の議会に、すでに日本には一億ドルの余剰農産物のいわゆる売りつけを契約するのだということさえ報告しているのであります。これはのっぴきならぬ点まできておるのであります。この問題はやはり相当大きな外交上の問題として、外務大臣は腹をきめてかからなければ、三十年度予算編成を通じましても重大なる問題になるだろうと私は思うのであります。そういう見地から、外務大臣は本件解決のためにどのような決心をもって今後当られるか、あるいは見通しはどうか、さらに日本政府のいわゆる態度としてどうこれを持っていくかという点について、私は外務大臣の所見を承わっておきたいと思います。
  165. 重光葵

    ○重光国務大臣 この借款の問題は、御説明いたしました通りに今鋭意交渉中でございます。いろいろ専門的の条件もございますので、十分に他の閣僚とも協議をして、なるべくすみやかにこれを妥結いたしたい、こういう考え方をもって進んで参っていることを御報告申し上げます。
  166. 小平忠

    小平(忠)委員 時間がございませんから、これはまた後刻機会を得たいと思います。  次に、きわめて緊急切迫せる問題として、富士山麓の米軍実弾射撃についての問題は、御承知のように非常に大きな国民の関心と——ちょっと外務大臣、きわめて重大な問題でありますから……。
  167. 重政誠之

    ○重政委員長代理 小平君にちょっと申し上げますが、調達庁長官がおりますから……。
  168. 小平忠

    小平(忠)委員 それでは、ただいまの富士の実弾射撃については、これは責任者も見えておりますから、この問題はあとでお伺いすることにいたしまして、大久保長官に先ほどの問題の続きをお伺いいたしたいと思います。  かつて吉田前内閣の当時もそうであります。民主党内閣におきましても、二月の選挙を通じて、あるいは党の政調会におきましても、本州、四国、九州の、すなわち公共事業食糧増産災害復旧、こういうような取扱いとは別に、北海道の開発については強力に推進するということは、われわれ耳にタコの出るほど実は聞かされております。しかし今大久保長官は、十億ふえている、こうおっしゃるのでありますが、これは継続事業の経費等も加わって、これは当然ふえべきもの、あるいは今度ガソリン税の繰り入れによって道路、これらの費目がふえたから、総体は十億ふえたようになっておりますけれども、私はここに御指摘申し上げたいことは、北海道総合開発基本となるべき砂防事業、治山事業、造林事業、林道事業、漁港事業、あるいは土地改良事業、耕地整理事業、これらことごとくが削減を見ておるのであります。さらに本州府県同様に、新規事業を認めないというのであります。こういう考え方で北海道の開発一体できるのですか。あなたは北海道開発長官として、このような予算の形態でこれを引き受けてやるという御自信がございますか。それはおざなりに、やれるだけやるというのならいいのです。選挙のときに公約し、あるいは党の政調会におきましても、こうやるんだと打ち出しておいたこの国民に対する約束をどうするんです。私は所信のほどを承わりたいのであります。
  169. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 予算が部分的に削減された話が出ましたが、部分的に増加しておる部分もあります。私はこれでもってやっていけると存じます。
  170. 小平忠

    小平(忠)委員 見解の相違になりますし、私はあえてこれ以上追及いたしません。さらに私は大久保長官に、現在北海道の開発機構というものは非常に問題があるわけであります。率直に、結論的に申し上げますならば、非常に多元的であります。この多元的な機構を一元的に整備して、やはり予算と同様に北海道の総合開発を強力に推進する。それによって人口の受け入れもやる、食糧増産もやる、未開発資源を開発する、こういう態勢はやはり機構等が非常に大きな影響を持つのであります。内容を申し上げなくても、すでにこれは皆さん御承知通りでありますが、この多元的な機構を一元的に強化していくお考えはございませんか。
  171. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまの御質問はまことに同感であります。やはり御趣旨のように一元化を理想として進んでいきたいと存じます。関係官庁と連絡をとってその実現を期したいと思っております。
  172. 小平忠

    小平(忠)委員 この問題は前吉田内閣の緒方長官時代におきまして実は失敗をいたしておるだけに、大久保長官一つ慎重に、真にわが国人口問題、食糧問題解決のかぎを握っている北海道の開発をやるためにどうしたらいいかということについて、真剣に私は考えていただきたいと思うのであります。  次に北海道の鉄道建設の問題であります。これは運輸大臣所管にもなると思うのであります。しかしこれは諸外国いずれの例でも同じでありますが、現有のような国鉄の独立採算制の上に立って新線計画を進めるという場合においては、北海道は人口も希薄であります。そういう見地から、なかなかこの新線計画は不可能だと思います。やはり奥地の資源を開発する、奥地の広大なる原野に——あの石狩平野、天北原野あるいは根釧原野に新たなる開拓の入植者を入れる、あるいはあの眠れる資源を開発するには、やはりどうしてもその基本となる鉄道が必要であります。その際に、私はどうしても現在のような国鉄の独立採算制の上に立つところの計画でいくならば、これは百年河清を待っても実は不可能であると考えるのであります。そういう見地から、北海道の鉄道建設に関しては、これは建設事業についてのみ北海道総合開発の一環としてこれを取り入れてやっていくような考え方はございませんか。そういうことについての大久保長官並びに三木運輸大臣の所見について私は承わりたいと思います。
  173. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 ただいまの御質問一つ考えであると存じます。しかし国鉄は国鉄としての新線の建設の方針があると存じます。とくと運輸省と打ち合せたいと存じます。
  174. 三木武夫

    ○三木国務大臣 国鉄の新線建設が全然採算を無視するということはできないと思います。しかしながらお説のように、今後未開発地域の鉄道建設は、あまり引き合うところは少い、ペイするところは少い。そういう点でやはり国土開発見地から、そのいう問題はある程度採算という観点のみにとらわれないで、鉄道の建設をする必要はお説の通り認めておるのであります。しかし北海道をどうするかということで、北海旭だけを一般の新線建設と別の扱いをするということについては、まだそこまで政府考えておらないのであります。
  175. 小平忠

    小平(忠)委員 そのような考えですと、なかなかこれは進まないと思います。どうぞ十分に検討の上、運輸大臣の所管でもありますし、一つ御善処方を要望する次第であります。  次に国鉄の関係としまして、北海道と本州をつなぐ関門といわれている津軽海峡の問題について、私は昨年御承知のような世界の海難史上においていまだかつてないあの大事件、洞爺丸事件さえ起ったというようなことから、あの事件を契機に青函隧道の計画が国鉄において進められていることは承知しているわけであります。これはやはり何といっても、その後の滞貨の状態やら、いろいろ本州、北海道を結ぶ動脈として、この隧道問題はきわめて重要な問題であろうと思うのでありますが、運輸大臣のこれに対する所見を承わりたいと思います。
  176. 三木武夫

    ○三木国務大臣 現在日本が四つの島になったわけであります。これを北海道と本州を結び、あるいは本土と四国を結ぶということは、この内閣もきわめて熱心にこの案を遂行いたしたい所存であります。ただ御承知のように今御指摘の青函連絡、これはそういう水深の深い、しかも遠距離の隧道ということは、世界的にもあまり例のないことでございますので、政府は二十八年度以来調査費を計上し、今年度も調査費を計上して周到なる計画を立てて、ぜひとも燧道を完成したいと考えております。
  177. 小平忠

    小平(忠)委員 どうぞそのように慎重に、また急速に推進を願いたいと思うのであります。そこで私は人口問題解決のかぎを握る北海道の開発について、これ以上あえて追及いたす考えを持っておりません。ただ三十年度予算編成全体を通じまして、野党でありますわれわれ両派社会党並びに自由党の考え方は、これは常識として、この政府予算をのむということはできないのであります。私はどうしてもこの食糧問題解決あるいは国民生活安定というような見地から、この予算の修正があった場合に、私は人口問題、食糧問題の解決のかぎを握っている北海道の開発について、当然北海道のこの予算につきまして、これは優先的に、重点的に増額されることを実は期待するのでありますが、大蔵大臣の御所見いかがでございましょう。
  178. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えします。私はそういうことを考えておりません。予算の修正ということを考えておりません。
  179. 小平忠

    小平(忠)委員 増額の場合です。国会で修正になった場合です。
  180. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 その場合ということは考えておりません。
  181. 小平忠

    小平(忠)委員 ですから通過はわかっておりますが、そうなった場合にはいかがでしょう。
  182. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことを考えておりませんので、その場合になったらということをお答えするわけにいきません。
  183. 小平忠

    小平(忠)委員 だから今考えておるかというのです。
  184. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 そういうことがありますればそのときに考えます。
  185. 小平忠

    小平(忠)委員 どうも大蔵大臣は私が今質問をいたしておった際に熱心に聞いておってくれなかったと思う。そういうことだから御承知のような予算を結局出されるのです。私は決して無理なことを申し上げているのではないのであります。政府予算の提出権、発議権、発案権、これは当然でありますが、これに対して修正は国会の意思であります。私は国会でもしこれが修正になった場合にどうですかと聞いておるのです。それは御答弁願えませんか。——大久保長官の御意見いかがでしょうか。
  186. 大久保留次郎

    ○大久保国務大臣 それは政府としては原案を主張しますけれども、国会議員の諸君が職権をもってやられれば仕方がないと思っております。
  187. 重政誠之

    ○重政委員長代理 小平君に申し上げます。小平君の持ち時間は二時五十七分まででありますが、経審長官が三時から公用のため退席したいというお申し出がありますから、経審長官に対する御質疑がありますればどうぞ先へ御質疑をしていただきたいと思います。
  188. 小平忠

    小平(忠)委員 経審長官はいいです。  私は北海道開発問題について、大蔵大臣にもあるいは主管大臣にも、野党の立場からずっと本委員会におきましてもその所見をただして参りましたが、きわめて不誠意であります。私は誠意ある答弁とも思いませんし、そのようなお考え方ならば、同じ保守党内閣において前吉田内閣よりももっと悪いと思うのです。こんな考え方で北海道の開発ができると思ったら大きな間違いであります。選挙の際にも鳩山総理みずからが、あるいは先般も大久保長官が北海道にその視察に行かれた。その際非常に期待ある話をされて帰って来たのに、私はただいまの答弁をもってしては絶対に承服できない、理解できないのであります。今後も大いに私は善処されんことを期待する次第であります。  次に私は、午前中に本委員会におきまして緊急質問として取り上げられました今朝の瀬戸内海におけるところの紫雲丸沈没事件に関しまして、非常に遺憾に思ったのであります。この事件は昨年の九月のあの洞爺丸の大事件、あるいは相模湖の事件、引き続いてこのような事件が起きたのであります。私は本委員会におきましてこの洞爺丸の事件に関連するところの航海の優全等について、運輸大臣に質問をいたしたく考えておったのであります。たまたま午前中にこのような問題について同僚の議員からもいろいろ指摘されました。私はきわめて重要なる問題でありますから、この洞爺丸の事件について運輸大臣に責任ある答弁をお願いいたしたい、こう思うのであります。  御承知のように洞爺丸事件といえば、一瞬にして千数百名をのんだ世界海難史上まれに見るとうとき人命を失った大事件であります。絶惨をきわめた当時の混乱からすでに満七カ月を経過いたしておるのでありますが、その後国鉄当局の有責か無責かという問題につきましても、海難審判庁はいまだにそのいわゆる結審、最終判決を見ていない、こういう状態であります。さらに国鉄当局におきましても、政府がこの洞爺丸事件についていかなる責任をとったのか、さらに遺族に対する処置につきましても、当時五十万円の弔慰金を支給いたしておりますが、その五十万円の弔慰金だけで事済めりとお考えなのであるか。今日、当時の遭難を受けた人々はほとんど一家の支柱である人たちが多いのであります。今日その一家の支柱を失った遺族は、生活困窮のどん底にある遺族も大ぜいおります。こういう問題について特に運輸大臣の所管である立場から——これは運輸大臣も、前内閣当時の事件だから私には関係がないとは言わせぬ、言ってもらっては困ると思う。必ずこれは責任を持って処置してもらわなければならぬ問題であります。こういう基本的な問題について運輸大臣の所見を承わりたいと思います。
  189. 三木武夫

    ○三木国務大臣 吉田内閣当時の事件でありましても、これはこの内閣としてその善後処置をしなければならぬ責任のあることは申すまでもないことであります。そういう点で御遺族の方々に対しては、前内閣の閣議の了承の線に従って特別弔慰金を——もっとも二十数名、その後見人その他受け取るべき人の手続上多少の紛争が起きておる人々がございます。その人々を除いては全部特別弔慰金を贈ることは終了をいたしておるわけであります。しかし今御指摘のように特別弔慰命だけではなかなか生活に困られる人もございますので、そういう未亡人あるいは子弟に対しては、鉄道管理局あるいは弘済会を通じて、職業の補導あるいはまたその他生活の相談に応じておる次第でございます。今後もそういう人々に対してはでき得る限り親切に相談に応じていきたいという考えでございます。
  190. 小平忠

    小平(忠)委員 あのような大事件に対しまして、かりに海難審判庁の判決がどのような判決が下ろうとも、これは率直に申し上げて過失であろうがあるいは不可抗力であろうが、運輸大臣としてその責任は免れるわけにはいかないと思う。あのような千数百名に上るところのとうとい人命を一瞬にして失っておるというような見地から、国鉄としまして、政府は前内閣当時から引き継がれておる事項だと思うのでありますが、どのような責任の処置をとられましたかということが第一点。さらに遺族に対しまして五十万円の弔慰金は出されておりますが、もちろん海難審判庁の判決によって政府考えるということは前々から聞いておるのでありますが、この問題は遺族に対する遺族援護、これについては有責であろうが無責であろうがこれは私は遺族に対しては同じだろうと思う。それは不可抗力であったのだ、過失でなかったのだという場合には、これ以上遺族に対して放任主義でいくのか、こういう点についてお伺いいたしたい。
  191. 三木武夫

    ○三木国務大臣 海難審判所に対しては、こういう事件が起って世間の記憶も薄らぐようなときに裁決が下されるということは好ましくない、できるだけ早く責任を明らかにすることがよろしいということで、私は運輸大臣の立場から海難審判所に対して、でき得る限り裁決を早く下すようにという督促をいたしておるのでございますが、しかしながら御承知のように海難審判所は、なぜああいうような事件が起ったかという事故の起った原因を探究して、再びああいう事件を繰り返さないようにする意味もあるのであります。普通の裁判所ではないわけでございますので、これは参考人の召喚あるいは実地調査などで、督促をいたしましてもなかなか時間がかかるのでございますが、先刻も申し上げたように七月の終りまでには大体海難審判所の調査は終る予定であります。むろんその海難審判所の裁決いかんによりまして、責任も当然に明らかにいたしたいと考えておるのでございます。また遺族の方々に対しては、今申したように二十数名だけがいろいろ問題があって残っておる。それ以外の一般の旅客に対しては、特別弔慰金はもう支払い済みであります。二十数名の方々に対しても、これはお気の毒な立場でありますから、できる限り特別弔慰金を早くお渡しできるような配慮を払って参りたい、こう考えております。
  192. 小平忠

    小平(忠)委員 洞爺丸事件に引き続いて、今朝御承知のように紫雲丸沈没事件もまた起きております。やはり国は、こういう問題についてはすみやかにその真相を探究すると同時に、その跡始末もしなければならないが、こういった不測の事態を再び繰り返さないようにあらゆる方策がとられなければならない。御承知のように定点観測の問題も、あるいはレーダーの問題も、あるいは無線の問題等につきましても、運輸大臣は午前中の同僚議員の質問に対してお答えされておりましたが、どうぞこういう問題は事人命に及ぼす問題でありますから、運輸大臣はほんとうに真剣に、この大事件を契機にして最善の処置をとっていただきたい。同時に問題は、この不測の事態によって生活にあえいでいるところの遺族に対しまして、私は厚生大臣の所管にもなろうかと思うのでありますが、遺族の援護に対しましても今後万般の処置をとっていただきたいと思います。  次に、私は先ほど外務大臣が宮中においでになる、公用のために外出されるというのであとへ回わしたのでありますが、本委員会の席上において過般同僚赤松委員からも総理大臣質問をいたしまして、総理大臣の所見のほどを承わっておったわけでありますが、自来急転直下した北富士演習場の米軍実弾射撃の問題は、特に昨日は御承知のように午前九時遂に実弾射撃を米軍が一方的に、現地と調整もつかないで敢行したというような事態に相なっております。私は日米行政協定の内容から、さらに今日までの現地における折衝のいわゆる過去の経緯から見て、今回の事態はまさに米軍の一方的な、あるいはきわめて不徳当なる処置であると考えるのでありますが、これに対して総理大臣はいかがにお考えでございますか。
  193. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 福島政府委員から答弁してもらいます。
  194. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 北富士の射撃問題についてお答えいたします。今回の昨日から始まりました米軍の射撃が一方的であるという御指摘でございますが、そういう面も多々あるわけでありますけれども、これに至りました経緯もございますので、一応御説明申し上げておきたいと思います。北富士の演習場と申しますのは、東富士の演習場と相並んで富士のすそ野に二つ設けられてある演習場であります。そうしてその北富士の演習場を二地区に分けまして、一つの地区を被弾地区、たまの落ちる地区とし、他の地区をたまの落ちない地区と定めたわけであります。たまの落ちない地区において射撃をする場合には、たまを落すことになっている地区の方へたまを撃つということに協定ができておる。ただしそれも七、八、九月の三カ月はできない。七、八、九月以外の月ならば、常時でなければできるということであります。常時は射たない。七、八、九月以外の月においては、B地区——今回の問題となっております射撃の砲座のありますところと同じでありますが、B地区からA地区へ向けてたまを撃つことはあり得ると定めてある、ただし実際には日本の現地当局と事前に調整をするということになっておる。これに基きましてアメリカ側は四月に県当局にB地区からA地区に向けて射撃をしたいということを申し出まして、県当局から選挙の都合その他の関係でございましょう、都合が悪いということを申しまして、それではということでアメリカは一応やめまして、五月になりましてから再び——五月九日から六日間と初めは言ったのでありますが、六日間射撃をしたいという話し合いを始めて参ったわけであります。この六日間は後に四日間になりました。それに対する県側の回答は、B地区からA地区に射撃をすることは反対である、今後とも射撃をしてもらいたくないという返事をしたわけです。アメリカ側は、そもそも協定に射撃することができると書き、ただしする場合には事前に調整すると書いたんであるから、その調整を申し込んだ場合にさせないという返事をしたのでは、調整の権利を否認するものであって、アメリカ側は四月以来再三県との話し合いによって時期を変更したりなんかしたのであるから、調整の努力をしたつもりであり、調整をして撃つということになっている協定に対して、撃たせてもらいたいという申し入れにその時期は困るとか、その場所は困るとかいう返事ならともかく、引き続き撃つこと自体が困るという返事は、日本側の方が協定に違反しておるというのがともかくもアメリカの理屈なんです。それで昨日来射撃が始まったということになりますが、始まりましてもB地区からA地区に向けて撃っております、それからまたそのB地区における立木を切り倒すという事態も起っておりませず、アメリカ側としては、県側と話し合いをした上で、最後に県側が全面的に拒否をしたので、もう調整の意思なしということでもってやっておるのだという、多少小理屈にはなっておりますが、そういうことで撃っておるということになっております。私どもはそれに対して、確かにアメリカ側の指摘する通り撃てると定め、撃つ場合には、ただし調整をすると定めてあるのに対し調整をしないという県側の言いぐさは行き過ぎであろう、しかしながら同時に調整が完了してないということも——日本側に落度があるとしても、完了してないということも事実であるのだから、その際現地限りでそれではということにしないで、なぜ中央に移してわれわれに話をするなり、県側をさらに説得するなりやらなかったかということは指摘しておりますが、違反云々ということについては、いずれに落度があるかということになりますと、日本側に先に落度があるということ、これは事実でありますし、またアメリカ側の落度を指摘いたしましても、いささか水かけ論になると思います。水かけ論をいたしましても、これは昨日始まりましてあさって済んでしまうという射撃でありますので、水かけ論になっている間に済んでしまうということになりましても後々のためによくありませんので、施設委員会その他の協議機関による水かけ論はあとの問題といたしまして、できる限り早く射撃をやめさせることが当面の交渉態度であろうと思いまして、委員会によらず私が司令官に会って話をしよう、委員会の権限を無視するようであるけれども、委員会にはその点了承をさせまして、私が極東陸軍の司令官と会って話をするということになっておるのであります。事実、当委員会その他国会の方へ伺っておりますので、まだ話はいたしておりません。しかし実際問題として水かけ論の点よりも、現実の事態を早く是正することが大事だと考えております。
  195. 小平忠

    小平(忠)委員 調達庁長官はただいまの司令官にいつお会いになってその話をする予定ですか。
  196. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 この北富士事件の交渉は非常に不幸な事態になっておりまして、私は八日に東京を出まして八日の夜には大体近所まで行っておったのでございますけれども、国会関係でぜひとも帰って来いということになりまして、果さずに帰って参りまして、アメリカ側の担当者に昨日私のところに来てもらいまして話をいたしまして、これはそう言っては来た諸君に失礼でありますけれども、そういう諸君よりも上級の指揮者と話し合うべき筋合いのものだと考えましたので、司令官に会いたいということに昨日話をいたしまして、本日は午前中この委員会がありますが、多分午後は行けるだろうと考え、本日の午後行くという予定にいたしておったのでありますけれども、午後の予定も立たないような状態になりまして、先方も急いでおりまして、先方はけさほど——相手は座間におるわけでありますので、自動車では三時間ほどかかりますので、その旨も申してあるのですが、飛行機の迎えを出すからとも言ってくれておりますが、私の時間がございませんので、本日のところ何時に向うへ参れるかという見通しは立っておりませんけれども、本日、明日のうちに、できる限り早い機会に、国会との関係その他も考えまして参りたいと思います。
  197. 小平忠

    小平(忠)委員 それに関連しましてきわめて重大なる情報というか、通知を——これは農林大臣にぜひ知っているかどうか答えてほしいのでありますが、実は今度のこの問題について農林省の人植課から山梨県当局に富士山麓軍事基地の実弾射撃計画は、米軍が日米行政協定に基づく使用条件を侵すものだ、だからこれは絶対にいけないんだ、これは農林省の入植課の観点からも日米合同委員会の施設特別委員会にこれを提議して、直ちにやめてもらうということを山梨県当局に連絡をされたそうでありますが、農林大臣は御承知ですか。
  198. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことは存じません。
  199. 小平忠

    小平(忠)委員 私はこういう情報を耳にいたしまして感ずることは、今回のこの紛争は、問題は行政協定の内容とさらに具体的な現地の取りきめの内容だと思います。ただいま調達庁長官の説明によりますと、県当局も応じないというのもいけないが、またここに従来までの取りきめによって基地内で登山道を越える実弾射撃は現地において調整の上云々とある、この調整をしないうちに一方的に射撃する米軍もいかぬ、あなたは昨日の合同委員会でもそうおっしゃったんですね。ですからそういうような問題はこのきめ方に多分に問題がある、私はやはり今日のような現地の状態をいろいろ承わりますと、単なるこういうきめ方とか、あるいはそういういきさつとかいう問題のほかに、これは非常に日米感情あるいは現地の国民の感情からいって非常に悪い結果をもたらすと思う。だからすでにこのことはもう三、四日前の本委員会において、同僚の赤松委員から総理大臣に伺っているんです。そのとき総理大臣はただちに日米合同委員会にこれを申し入れて、直ちに解決しますとあなたは答弁されているんです。私はやはり今度のこの問題については、ただいまの調達庁長官答弁によりまして明らかなごとく、これはもうあと二日で射撃は終るんだから、終ったあとできめるのでは面子が立たぬと思うんです。今後の問題もありますし、私は時間がありませんから結論だけ急ぎますけれども、直ちにこの実弾射撃を中止するということが、日本政府としても私は絶対にとらなければならぬ態度であると考えますが、総理大臣の御所見はいかがでございましょうか。
  200. 鳩山一郎

    鳩山国務大臣 ただいま福島政府委員からの答弁にありましたように、話し合いをできるだけすみやかにして、円満に解決いたしたいと思います。一方的に中止する方法というものはないでしょう。
  201. 小平忠

    小平(忠)委員 私はただいまの総理大臣答弁に必ずしも満足でないのであります。やはり私は今回の防衛力増強計画あるいは現に滑走路の拡張にいたしましても、立川で現地の紛争が起きております。各地に起きてくるのです。昨年北海道の紋別地区におけるところのいわゆる海上に対するところの実弾射撃についても、現地民の強い意向と、さらに米軍に対する折衝によってこれも取りやめになりました。こういうことはやはりほんとうにひざ突き合ってよくわれわれの主張を通し、私はこれはすみやかにやるべきだと思う。ですから私はこれ以上あえて答弁を求めませんけれども、私は福島調達庁長官が直ちに現地に行って、これはきょう中に解決をしてもらうべきだと思うのであります。すでに昨日は文部委員公あるいは本日は外務委員会で、本問題を取り上げられて非常に国会の大きな問題となっております。ですから私はすみやかに現地に赴いて、この問題を解決すべきであると考えるし、また総理大臣も直ちに私は部下の者に命じて、現地において解決することが、最善の策なりと考えるのでありますが、いかがでありますか。
  202. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 直ちに現地において解決するようにという御指示でございまして、私もさよう考えております。ただ問題は今回起っております射撃自体よりも、その背後にこれの原因になりました問題があるわけでございます。射撃自体は、県の当局者も射撃そのものは直接の被害は何もないと言っております。ただ今まで撃たなかったB地区からA地区に撃ったということによって、B地区がA地区同様の被弾地区になるのではないかとか、あるいはもっと全面的な演習場になるのではないか、B地区というのはほとんど使っておりませんからそういう不安がある、それさえはっきりすればB地区の現在程度の射撃そのものをぐずぐず言う必要はないのであると考えるということは、これは偽わらざる現地の声であると思うのであります。従って問題はその背後に、今まで大なり小なりただいま申し上げましたB地区全般が被弾地区にあるいはなりはしないかとか、あるいはもっと全面的な演習場になりはしないかという大きな問題、あるいはそれ以外に農民の立ち入りとかそういう付随する問題、それらの問題  で片づいていない問題がありまして、これが現地の人々に不安を与えているということはいなめないと思います。射撃自体はこう言ってはあれでありますが、さほどの問題でないのではないか、現に静岡県側の東富士演習場からその同じ被弾地区に射撃はやっておるわけであります。途中で弾が落ちたという事例はございませんし、被害は何もないのでございます。従いましてここ一日二日で射撃は終りますけれども、この射撃をやめさせるということそれ自体は、ただいまの調整云々という問題に関連いたしまして、事実上大きな問題であることには間違いございません。しかしたまを撃つのをやめさせたからといって、問題はすべて解消するというわけには参らないのであります。アメリカ側にB地区は自然林その他保護すべき林野があるのであるとか、従来から八年以上の長きにわたって使っていないのに、今日に至って急速にこれを全面的に演習場にすることは困るとか、あるいは農民の立ち入りをさせていない以上は、農民の立ち入りをもっと許容すべきであるとか、そういう問題の解決に力を注ぐべきであると考えます。  しかしながらたまを撃ち終ってからそういうことに取りかかりましても、これまた交渉上もかえって延び延びとなりましていけないと思いますので、できるだけ早い機会にたまを撃つのをやめろという交渉、続いてこれが解決いたしましても、いたしませんでも、下に横たわる根本問題をもっと徹底的に解決するという方面の交渉に移るべきものと考えております。ただただいまもあそこで御注意を受けたのでございますが、私も明日は午後国会の中で四、五カ所の出席要求を受けておりますので、これを御破算にしていただかない限り、明日の交渉ということもちょっと考えられないのでございます。何とかできるだけ早い機会に努力したいと考えております。
  203. 重政誠之

    ○重政委員長代理 小平君の質疑に関し堀内一雄君より関連質疑の発言を求められております。これを許します。堀内一雄君。
  204. 堀内一雄

    堀内委員 この富士山麓の演習地の問題は、私はこんなことになるのじゃないかと思いましたので、すでに内閣委員会におきまして質問をいたしておったのでございますが、その当時要望したにもかかわらず事がここまで来たということにつきましてはまことに残念に存じます。しかし現実がここまで来たのでございますから、私はこの際この現状を基礎として若干質問してみたいと存じます。  御承知のようにこの問題は地元の押えることのできない要望から起っておるのでございますが、今やこの問題は一部矯激、過激の人たちの指導に移らんとしておりますので、すみやかにこの問題は解決をしていただきたいのであります。そのすみやかに解決するために、ただいま調達庁長官のお話の、とりあえず射撃を中止してもらうということはこれは最も重要なことと存じます。そこで調達庁長官が現地ヘ行くよりも、米軍の高級司令官のところに行って、この問題に対して折衝されることが私は一番緊要だと存じます。現地におきましても現地のいわゆる兵隊さんは、この問題については上司からの命令を受けておるので、おれたちのところではどうすることもできないのだということになっております。そこで現地に行って米軍の方に折衝しても何ら得るところはないと存じます。そこで米軍の高級幹部のところに行って御交渉になった場合に、長官として果して成算ありやいなや、このお見込みをまずお伺いしたいと思います。
  205. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 仰せの通りでありまして、この問題は現地における担当者もしくは合同委員会にも——合同委員会の施設特別委員会でございますが、昨日来討議を開始しておりますが、この程度の担当者よりも上級司令部における交渉が解決を早める手段であるということは御指摘通りでございます。ただ高級司令部と申しましても東京にございます極東司令部では都合が悪いと考えております。アメリカの軍の組織が三軍に分れておりまして、市ヶ谷の司令部は作戦上の統合本部であろうと思いますけれども、陸軍は陸軍で第八軍の司令官に直属して、ここで相当に独自の立場を強調している傾きもございますので、極東陸軍司令官と話をする、もしくは参謀長と話をするということがこの際一番早道であろうと考えております。またその打ち合せも先方とできております。あせっておるのですが、私が神奈川県座間まで到着しさえすれば交渉は開始されることになっておりますので、できる限り早い機会に解決するようにいたしたいと考えております。
  206. 堀内一雄

    堀内委員 本問題の応急の処置として米軍の射撃を中止させることはもちろん最も緊要なことでございますが、射撃を中止させるということは非常に困難があろうかと私は思います。しかし一方現地でああいうふうに騒いでおりますのをほうっておくこともできません。そこで応急の処置として現地の方を押さえるということも考えていかなければならぬと存じますが、そのことに関しまして現地の人たちが最も要望しておるところの問題、もちろんそれは第一義的には射撃を中止することでございますが、第二義、第三義的でありますが、今日まで現地の人たが最も要望しておるところの問題について、いかに処置するかということについてお伺いしたいのであります。御承知のように、この問題はただ今度の射撃をするという、それだけの問題で起ったのではないのであります。昨年の八月前政府のときに調達庁の名においていわゆる富士演習場のB地区の中に立ち入り禁止という立札を立ってしまった。A地区というたまの飛ぶ方には日曜と祭日には入ってもよいことになっておるが、ほとんど使用してもおらない、たまも飛びもしないそういうところのB地区に対して立ち入り禁止という立札を立った。そこで現地の者はこの問題に対して非常に困るというので県当局を初めといたしまして、数十回にわたって陳情をいたしておるのでございます。しかるに調達庁当局といたしましては、米軍との折衝中だということでいつも解決ができない。それではそれがどういうふうに現地の方に響いておるかと申しますれば、一例をことしの冬にとって申しますれば、一昨年の冬はあすこにスキー場がありましたために、あの付近の宿屋というものはスキー客が多かったために、ほとんど全党までもスキー客が寝ておる。それで一般の民家の方にも普通の家の方にも泊っておるという状態であったのが、立ち入りを禁止されてスキー場を作ることができないということになりましたので、昨年の暮れは人がもう一人も来やせぬ。みなそういう悲況になっておるのでございます。現地の人たちがそういう状態にあるので私はたびたび陳情をしておる。ところが陳情して来ても何の実現もしないということであり、その上に持ってきて今度の射撃問題ということがきたので、またこれが普通の手段でもって政府当局へ陳情で努力したところで、とてもこんな問題が解決するものではないというような非常な不安のために、こういうふうになってきておると思うのでございます。そこで私はまず政府当局に対ししまして、この現地民の要望でありますB地区に対する立ち入り禁止をすみやかに解除するという意思ありやいなやということをお伺いしたいのでございます。
  207. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 先ほど申し上げました通り、当面この射撃をできればやめさせること——もっともあさって終ってしまいますので、終ってしまう前に間に合いますかどうですかという点もございますけれども、この射撃に関連する問題を円満に解決するということ——しかし問題はそれ以上にそれまでに存在しておりました懸案を片づけることが重大であると申し上げましたと存じておりますが、そのつもりでおりますので、射撃問題はもちろんのことでございますので、その土台となりました懸案の全面的解決に全力をあげて努力したいと思っております。  なおこの際に一言つけ加えさせていただきたいのでございますが、この問題がちょっとわかりにくくなっておりますのは、北富士射撃場をA地区とB地区とに分けて、A地区はたまの落ちるところである、B地区はたまの落ちない方である、その落ちない方へたまを落す地域を広げるということをアメリカが去年言い出したことがある。それに対して自然林その他のあるB地区にたまが落ちては困るということで騒ぎになった。それをアメリカはことしはその案をあきらめてB地区の上にはたまを落さない。そのかわりB地区の頭を越してもともとからたまを落しておるところに落すということに案がかわったわけであります。従いまして昨年来相当に紛糾しておりました問題と同じ問題が、ここで紛糾しておるのではないのでありまして、昨年来非常に紛糾しました被弾地域拡大という問題は、ある意味では解消いたしまして、ずっと軽いたちの問題となって、遠距離から射撃するという問題に変ったわけであります。それを近ごろいろいろに報道されます際に、もっとむずかしい、昨年あった問題、つまり北富士演習場でいよいよたまを撃ったということになって新聞報道その他になっておりますので、この問題の考え方に非常に誤解があると思いますので、恐縮でございますが、つけ加えておきます。
  208. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの長官お答えの中に、B地区拡大の問題はなくなったが云々ということがありましたが、私がただいま申し上げたいのは、過去における問題に対して政府当局が、あれほど県当局初め現地民が熱心にいろいろ陳情してもそれを取り上げられない。しかもアメリカの方へ行ってみれば、それはアメリカの方の関係ではないのだ、アメリカの方では立ち入っても何でもいいのだ、それだから日本側の政府へ行って頼みなさい。日本側の政府へ行きますと、アメリカ側がだめなんだということで、住民としてはどちらへ行って頼んでいいかわからない。その上へもっていってそういう問題が一つも解決されずに、ただいま長官はA地区からB地区へたまを撃つという問題並びに演習場の拡大という問題が心配されておったのだが、それはなくなったということをおっしゃるのですけれども、これは決してなくなっておりません。たとえば今現地でもって心配しておるのは、過去における演習場が逐次返還される。返還されると、そのしわ寄せが富士山のあそこへ来るのだ。それからまたA地域からB地区へ撃つということも、確実にそういうことの決定的の話は聞いていないというようなことで、不安に不安をかられて、しかも政府に対する信頼の念が薄らいだと申しまするか、そういうことからこの問題は起きておるのでございますから、その辺につきましても、私は現地民の安心するような説明と処置をとっていただきたいと思うのであります。その問題に対する長官の御意見を伺いたい。
  209. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 現地の、地元の方の御心配はごもっともと思いますので、ただいま申しましたB地区にはたまが落ちないということに元からなっており、今後もならないと思いますが、この射撃問題に関連いたしましてそういう点などをはっきりさせるようにいたしたいと思います。それからまた御指摘のありました今日まで懸案の解決が遅れておったということ、これは早くはなかったこともこれまた事実であります。しかしながら私どもといたしましては、逐次解決するように相当の準備をしつつあったはずでありまして、それにもかかわらずこの実害のない今回の射撃問題に対して私どもと県庁側との連絡も悪かったわけでございましょうけれども、アメリカ側から協定違反を指摘されるとか、そういうようなことで交渉に難渋するという事態にも立ち至ったわけであります。県庁は地元に勘定に入れるべきではないかもしれませんけれども、県庁側その他の善処も私どもは要望しなければならないと思うわけであります。地元各位の御協力も得たいと考えております。
  210. 堀内一雄

    堀内委員 ただいまの処置によりまして応急の処置をやってもらうことはいいと思いますが、引き継いで起る協定改訂の問題について、私はぜひこの際長官のみならず、政府当局の人たちによく聞いておいていただきたいと思います。  世界中国立公園の中でもって、あそこに静養遊覧に来る観光客の頭の上でたまが飛び、ナパーム爆弾が落ちる、そういうようなところは私はないと存じますし、ことに日本の国立公園、観光のシンボルであるという富士山のそこに、そういうようなことがあるということは、まことに困ったことだと存じます。しかもこのことは占領当時アメリカ軍が、ちょうど日本人が敗戦感でおびえ切っておるときに最初接収されて、引き続きこれを平和条約によって協定をやったのでございまして、きわめて不公正なる状態における協定であるのでございます。そういうような意味からこの協定をすみやかに改訂されて、そうして真に日本のシンボル、国立公園の中心である富士山の観光の上に支障のないように、また付近の住民の生活を安定していただくように、こういう点からこの改訂について急いでいただきたいと存ずる次第でございます。それにつきまして政府当局の御答弁をお願いいたします。
  211. 福島慎太郎

    ○福島政府委員 演習場の使用条件その他改訂を考えた方がよろしい個所があることはあると思います。たとえば調整という文字で今回紛糾したのでありますが、それなども明確にする必要もあり、それ以外に使用度の薄い演習場は返してもらわなければならないというような問題も多々あると思います。北富士演習場のみならず、日本各地に所在いたします演習場につきまして、全面的にアメリカ側と話をし直してみようという意図は持っております。ただ富士の演習場に関連いたしましては、ただちにということに参りますかどうでございますか、協定の違反を逆に向うから指摘されて参っておるというような状態でもありますので、その口の下からすぐ協定改訂というわけにも参りかるねかとも思いますけれども、富士の演習場問題と申しまするよりは、日本全部の——全土におけるいろいろな多数の演習場がございまして、しかも使用度の薄いものが非常にございますので、再検討を当然申し込む必要があると考えております。
  212. 堀内一雄

    堀内委員 最後に私は現地民の代表としまして、長官を信頼し、政府当局の支援によって問題がすみやかに解決することをお願いして質問を終ります。
  213. 重政誠之

    ○重政委員長代理 小平忠君、引き続き質疑を行って下さい。
  214. 小平忠

    小平(忠)委員 途中関連質問の水が入ったもんですから若干闘争意識が鈍ったんですが、また盛り返して長官に私は一言申し上げたい。というのは、それはもう今日の段階では、現地交渉などやったところで、これはもう現在の政府のいわゆる腹では、私は先が見えている。しかし事の解決の手段として、現地司令官に会って強行談判することは当然でありますから、やってもらわねばならぬ。ただ私は根本的な問題として、富士山麓は、御承知のように、同僚議員からも指摘されたように、わが国のいわゆる文化財保護の見地から、また富士山というものはわが国国民に非常に親しまれている地域であります。そういうところで米軍が射撃をするなんということは、そういうことを許した日米行政協定に根本的な問題があろうと思う。富士山麓においては、問題になっておるところの北富士B地区を必ずしも対象にしなくても、東富士の地域だけでも十分に実弾射撃の演習訓練はなし得る、私も射撃の経験を持っている。別段何も範囲を北富士まで影響しなくてもいい。そういうことから私はこのような重大な行政協定を日本政府が過去において了解をしたところに問題があると思う。だから私はすみやかにこの問題を解決する一つの方法としても、とりあえず総理大臣は本腰を入れて部下の者にただちに中止させ、同時にこの機会に根本的にこの日米行政協定について今後再びこういう問題が起らないように、すみやかに処置をとっていただきたい、これが第一点。  その次は、長官は現地に行くといっているのだから、すみやかに行っていただきたい。同時にあなたの背後には現地の県民が何百人もすわり込んでおる。あなたに続くところの応援者もおるんだから、勇気を出して一つ大いにがんばって来ていただきたいと思うのであります。  次に農林大臣、しばらく時間が途切れたので気抜けされたように思うのでありますが、先ほどきわめて重大な問題を、私は実はここで残したわけでありますが、今日の米の集荷制度を変えるということにつきまして、根本的な問題はやはり米価であります。その米価の決定について、政府予算書に計上されておりますように、予算米価というものをすでに決定されております。一石九千七百三十九円という価格であります。この価格は、近年の二十八、二十九、三十年度のこの三カ年の米価の決定推移を見ましても、現に二十八年は基本米価、そのほか加算額や奨励金等を加えますと、農家の手取りが一万二千五百九十一円となっております。二十九年はわれわれの反対も押し切って、政府は一万八百四十八円、一石千七百四十三円下まわってきめております。さらに本年はこれより一千百九円下まわった九千七百三十九円の予算米価をもってやろう、こういう考えでありますが、一体このような予算米価の考え方でもって集荷が思うようにいくとお考えになりますか。
  215. 河野一郎

    河野国務大臣 今御指摘のような数字は、豊凶によって最終的に違った米価と、予算の米価と比較してお述べになったように私は思いますが、予算米価はいつも相当下値にきまっておって、いよいよそれを決定する場合には諸般の情勢を考慮して決定しておる。御承知通り予算は前年にきめますし、今までの米価はその予算をきめました翌年の出来秋にきめておりますから、その間に、八、九カ月ずれがあります。いつもそういうふうに予算は組まれておると思うのであります。
  216. 小平忠

    小平(忠)委員 農林大臣は、大体この九千七百三十九円の予算米価に対して、本年度の確定米価、これはもちろん米価審議会の答申、米価審議会の意見も聞かなければならぬ。しかしその決定権は政府にある。農林大臣の腹にある。農林大臣は大体豊凶関係から総合して、本年はどのくらいにきめたいとお考えでありますか。大体の見当でよろしゅうございます。
  217. 河野一郎

    河野国務大臣 もちろん私がここで米価をどのくらいにするつもりかということを申し上げるわけには、事情は許さぬことは御承知だろうと思いますが、御承知通り、きめ方がいろいろございまして、先ほど問題になりました価格差を多くするか、それからその他農民自身から見れば、農民のふところから見れば同じてありますけれども、それにどういう名目、理由をつけて、たとえば減税の力を重くするか、それとも価格差の方を重くするか、基本米価の方を高くするか、いろいろやり方があるのであります。そういうことで、それらにつきましては、農業団体の幹部、それからもちろんただいま御指摘の米価審議会の御意見等をしんしやくいたしまして、最終的にきめたいと思っておりますから、お許しをいただきたいと思います。
  218. 小平忠

    小平(忠)委員 もちろんそうでございましょう。しかし私は予算米価をきめるについても、農林省と大蔵省が折衝された経緯から見て、その基本となりましたいわゆる計算の基礎におきまして、一点指摘を申し上げたいことは、結局早場米奨励金、いわゆる予算米価をきめる場合の基礎として、二百八十四円というものを一応はじき出しておる。この二百八十四円につきましても、農林省の意見と大蔵省の意見が対立し、あるいは昨年の買い上げ数量、あるいは金額においても食い違っておる。すべて大蔵省に農林省は常にやられておる。私はそういう経緯から見て非常に憂うる一人であります。だから私はそういうふうに毎年々々問題になるこのような米価の決定の行き方は、この際思い切って——特に今日の民主党が結党されまするその大きな主力となった過去の改進党は、当時の幹事長あるいは政調会長であった松村さんを初めとして、またあなたの女房役であるところの吉川農林政務次官も、二重米価制度を強く主張いたしております。ですからいっそのこと消費者も生産者も理解のいく二重米価制定を実施するお考えはございませんか。
  219. 河野一郎

    河野国務大臣 過去におきまするいろいろな人のいろいろの経緯はございましょうけれども、鳩山内閣もしくはわが民主党におきましては、二重米価を採用する意思はありません。
  220. 小平忠

    小平(忠)委員 そういたしますと、改進党当時主張されておった時代の幹部なり、特にあなたの現在の女房役であるところの農林政務次官は、二重米価制を全くもう捨ててしまった、こう理解してよろしゅうございますか。
  221. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。二重米価制度と厳密にいいますと、いろいろその間には定義もありましょうし、考え方もあると思います。しかし現在の、今実施しておりますこと自体も、これは考え方によれば、買い値と売り値の間に差があるのでございますから、やっぱりこれは二重米価といえば二重米価ということができないことはないのでございます。これらの定義は議論の対象に——定義がはっきりいたしませんから、それを理論づけてこの程度で二重米価といえばいうこともできましょうけれども、これを二軍米価というかいわないかということは主観がきめるのだと思います。私は考え方のスタートを二重米価という考え方でやっていきたくない。けれども結論はあなた方が、それは二重米価じゃないかといわれればそういうことになるかもしれない。この点は議論になりますからこの程度で御了承願いたいと思います。
  222. 小平忠

    小平(忠)委員 私は米価問題は、今後残された大きな問題として保留いたしておきまして、これ以上追究いたしません。私はこの米価問題決定に当りまして、農林大臣にも、大蔵大臣にも、強く指摘しておきたい点は、戦後のわが国の米の集荷制度について、今大きな変更を加えようといたしておりますが、この新しい制度をもし実施する際にガンになるのは、これは本年度の米価であります。ですからこの米価の決定については、今のような結論を出しておいて、それにでたらめなパリティ方式をそこに当てはめてはじき出すような考え方では、とうていおさまらないと思います。私はこの新しい制度を実施する一つの大きな問題点として十分に御善処願いたい。  さらに農村問題として、農民課税の問題、あるいは農業協同組合の課税の問題等、これは多年にわたる懸案事項であります。先般本委員会におきましても、昨年度の農業所得税の確定申告をめぐって、全国的に非常に不満と混乱を来たした問題がございます。さらに固定資産税、あるいは農業協同組合に対するところの法人税、事業税、あるいは一定資産税、これらに対しましても、当然非課税とすべきであるという問題等々、この農村並びに農民に対する課税については、現在内閣がいろいろ税制改正の具体的な方向もきめ、これを進めつつある段階でありますが、私は特にこの農民に対する課税、農業協同組合に対する課税という問題について、根本的に農林大臣はどのようにお考えになっているか、さらにその責任官庁である大蔵大臣は、これに対してどのようにお考えになっておるか。さらに先般私があれほど強く指摘いたしました二十九年度の農業所得税、あるいは同定資産税に対してその後どのような措置をされ、どのようなことになっているかについて、国税庁長官にも私はその意見を承わっておきたいと思うのであります。
  223. 河野一郎

    河野国務大臣 農民に対する課税につきましては、小平さんのお考えになっておりますことと私の意見は全く同じでございます。おそらくたびたび申し上げておりますように、所得税も軽減して参りたいし、その他農村の現状から見て、予算等については十分施策のできない点もありますけれども、われわれといたしましてはそういう点は十分考えて参りたい。しかし御承知通りに、現在の農村に対する課税につきましては、いろいろめんどうなことがありますから、それらを親切に取り扱って参りたいということで、大蔵大臣と私の意見は一致しております。特に協同組合の課税の問題につきましても、党の本部の方の意向も新聞で御承知通りのことでございまして、大体小平さんのお考え、御希望のように、われわれもその線に沿ってやっていくつもりでございます。
  224. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お答えいたします。農民、特に農業協同組合等の課税ないし徴税につきましては、それぞれの特殊性に基いて、むろん公正でなくてはなりませんが、できるだけ配慮を加えたい。農業協同組合については相当特例の扱いもしてあるようであります。なおよく検討を加えてみたい、かように考えております。
  225. 平田敬一郎

    ○平田政府委員 昭和二十九年度分の農業所得税の問題につきまして、先般いろいろ御要望がございまして、それに対しまして、大臣並びに私からとるべき措置をお答え申し上げた次第でございますが、その点につきましては、さっそく同じ趣旨を地方に徹底させる措置をとりまして、その後大体各地におきまして話し合いが順調に進みまして、現在までのところおおむね解決されているようでございます。ただ新潟県の一部におきまして、なお目下さらに念査をし、それに応じましてよく話し合いをしてきめるというところが残っておりますが、こういう点につきましても、今後とも慎重に話し合いをいたしまして、円滑に処理するようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  226. 小平忠

    小平(忠)委員 この農民課税と重要な関連を持つ問題につきましては、農村の金融問題、さらに本会議においても問題になり、農林大臣答弁されておりました小作料の問題、農林大臣は実際に小作料を引き上げようとお考えになっておられるのか伺いたい。
  227. 河野一郎

    河野国務大臣 小作料の問題につきましては、本会議においてお答え申し上げました通り、現在の小作料が固定資産税を下回るような現状に相なっておりますので、この実情はこのまま経過するわけには参らぬということは、おそらく全部の農民の常識だと私は思うのでございます。   〔重政委員長代理退席〕 委員長着ただこれをどの程度に上げるかということが問題になりますので、これにつきましては先般申し上げました通りに、しかるべき委員会を設置いたしまして、その委員会の答申等を持ちまして善処して参りたい。  ただ私はここにつけ加えて申し上げておきたいと思いますことは、先般新聞に出ました数字は決して私の考えではございませんし、私の考えとは非常に相違がございます。これもあまり長く放擲されておりましたので、これを急激に変動するということはよろしくないと思いますから、漸を追って正常に復するということも考えなければならないだろうということも考慮において扱っていきたい、こう考えております。
  228. 小平忠

    小平(忠)委員 これは非常に重大な問題でありますから、私は本委員会においても一般質問において、さらにこの点に対する政府の所見を明らかにいたしたいと思っております。  特に当面する大きな農民問題の一つとして、先ほどの集荷制度の改正から、これを担当せしめる農業協同組合または連合会あるいは全国連合会に対するところの考え方は、今回の予算を見ましてもきわめて冷淡だろうと私は思う。ということは、農業協同組合の指導機関である指導連を、昨年法の一部改正をして都道府県中央会、全国中央会の設立を見ました。これは総合指導体制を強化するという見地から、昨年の五千万円の予算はこれをどうしても一億にしなければやっていけないことは、農林大臣もわかっておるはずである。ところがこれを一向引き上げようとされない。さらに連合会に対して、いわゆる再建整備の一環として、今回政府が五億以上の金を出すことは、これは法の精神からいって当然すぎる当然の問題であります。ところがこれも全く削減してしまっている。さらに農業委員会に対しては、御承知のように、これを削減したのは交付税交付金によってこれをやるのだから支障がないという見解に対して、民主党の政調会で、これは現在の地方自治法からいってできないのだということが明らかになって、問題になっておる諸点であります。こういう点について私は率直に申し上げれば、結局政府は法を改正して、農業団体あるいは農民の育成強化をやると言いながら、具体的にこれを押えつけております。こういうことで政府の大きな集荷業務をやらせるとかいうようなことをしても、なかなかうまくいかない。私は最近非常に遺憾に思いますことは、中央農業団体それ自体が非常に自主性を失いつつある。わが国の政治が、大蔵省のいわゆる官僚意識によって、ある程度押えられておるような面が農業団体においてもある。農林中金のいわゆる官僚化によって、農林中金の意図によって中央の全国中央会なりあるいは全販連、全購連が押えられておる。特に全国中央会は、指導連から全国中央会になっても、現在の体制はどうですか。結局自主性を失っておるということは、非常にそういう金繰りの面から行き詰っておるから、自主性を失っておるのです。この姿を考えてみるときに、私は農林大臣の立場はきわめて重要だろうと思います。そういうことを考えてみましても、国家全体の予算から見ればきわめて少いものであります。これをどうして育成するお考えがないのですか、農林大臣に私は所見を承わっておきたいと思います。
  229. 河野一郎

    河野国務大臣 御参考までに予算数字を申し上げますが、農業協同組合関係予算は前年度昭和二十九年度よりも若干ふやしてあります。こういうことで決して協同組合関係予算は昨年よりも減しておらぬのであり、まして、ふやしておりますことは御承知通りでございます。  なおまた、今指摘になりましたように、農業団体の内部に対して中金からいろいろ示唆があるとか、中金の意図を聞かなければできぬということを私もよく聞きますので、それらにつきましては厳重に私も監視をして、決してそういうことのないようにするつもりであります。決して私はそれに無関心でおるわけではございません。十分話も聞いておりますから、これらにつきましてはそういうことのないようにいたしたいと思います。  なおまた、先ほど来の御質疑の中に、大蔵省の意見によって農林省が非常に動く、大蔵省の制肘を受けて、すべてがきまらないというようなことでございますけれども、そういう点はありませんから、これは一つそのように御了解を願いたいのでございまして、全体の予算がない場合には仕方がありませんけれども、そうでない場合には、決して御指摘のようなことはございません。また食糧制度等につきまして、大蔵省の一部の係の者が意見等を発表したこともございますが、これらは御承知通り結果において全然そういうことをこの内閣で取り上げておるわけではないのでございまして、必ず御期待に沿うように善処いたしたいと思っておりますから、御了承いただきたいと思います。
  230. 小平忠

    小平(忠)委員 きわめて重要な農政問題について、午前中の冒頭に農林大臣は、本年度増産量について、まだ私はそれは計算をしてないとおっしゃった。ところが事務当局から資料を出されて、実はこれこれの増産量なんだという。私はこのきわめて大量な食糧問題の解決という見地から見て、そういった実態を農林大臣が把握してないということ、あるいは予約奨励金についても、農林大臣は絶対これは渡らないといって主張しておきながら、直ちに大蔵大臣はそばでこの奨励金制度は困るのだというようなことで、もう閣僚間においても現に意見の食い違いがある。今日ほど農政問題が重要なときはないと思うが、総理大臣施政方針の演説の中を見ても、あるいは大蔵大臣の財政演説の中を見ても この農政問題について何ら触れてないということは、鳩山内閣が農政に対していかに軽視しているかということを私は指摘したい。この三十年度予算を通じて、特に日本国民生活を左右する、民生安定の基盤であるところの食糧問題に関係する農林行政については、もっと総理以下関係閣僚は、特にその主務大臣である農林大臣は、本腰を入れてやっていただきたい、こう思うのであります。  暗闘もだいぶ過ぎましたので、最後に建設大臣に、中央道路並びに住宅の問題と防衛庁長官に、実は一昨日わが常の今澄委員質問に答えられた点に、若干の疑義を私は持っておりますので、その点をお伺いいたしまして、私の質問を終りたいと思います。  特に建設大臣は、住宅の今年度計画について、本会議におきましても自慢げに発表されました。しかしその中身というものは、御承知のように、政府自体がやるものはわずか十七万五千戸、あとは公団によってやらせよう。これは公約をしたから、しゃにむにそのつじつまを合せようというような点がある。この公団によってやられる計画の住宅は一体どうか。過去においてわれわれが苦い経験をしているところの不良住宅あるいは非常に高いもの、さらに公団という新たなる家主ができる、こういうような面から、われわれ社会党両派は、御承知のように、国設の住宅法案あるいは住宅を建設してこれを貸与するというような法案を、すでに国会に出しておるわけでありますが、建設大臣も一つこの際、こういう方法で、くだらぬ面子にこだわらないで同調できないかという点が第一点。  第二点は、わが国の産業交通の基盤であるところの中央道路の建設について、どのようになっておるか、その計画、今後の構想、これらについてお伺いをいたしたいと思います。
  231. 竹山祐太郎

    ○竹山国務大臣 住宅問題については、社会党の御提出になりました法案は目下検討をいたしておりますので、これについてまだ具体的な私の見解を申し述べるのは、今日の段階としては研究が不十分でありますので、お許しをいただきたいと思いますが、われわれが今回予算に計上をいたしました住宅の計画は、決して公約にこだわっているというつもりはありません。住宅政策というものは、終戦後ずっと続いてきた問題でありまして、前内閣の計画をわれわれが継承いたしておりますのは、前回も本会議で申し上げた通りでありまして、御承知通り、公営住宅の制度と公庫の制度というものは、われわれとしても住宅政策の基本線といたしております。しかしいろいろ御批判の中に、自力建設というものをやるのはおかしいじゃないかという意味の御発言もありますが、この点は社会党の方々が国費をもって全部家を建てようという基本的な考え方と、われわれは——自由党も同様でありますが、いささか立場を異にいたしておりまして、やはり住宅は、低収入の非常に困っておる国民の層に対しては、公営住宅の制度によって、できるだけ国庫の負担を多くして、低家賃の家を数多く供給いたしますが、全部の家を国費で建てるということは、これはできないと同時に、やはり自分の力で建て得る者には、原則としては自分の力で建てることを金融の面、税制の面等で援助いたしていくということが、われわれの考え方であり、前内閣の考え方であったと思いますので、われわれはさような見地から公営及び公庫の制度を拡充いたす反面、これだけではまだ十分われわれの計画達成するに足りませんから、これに公団の制度を加えまして、宅地の造成、それから産労住宅の問題を、民間金融を加えまして拡大いたすために、公団の制度を加えまして、この三本建で四十二万戸の計画を遂行いたして参りたいと考えておるわけでありますから、社会党の計画がそのままわれわれの計画と一致いたしますかどうかは、今後よく検討いたした上で御返答を申し上げるのが順序だと思います。一応われわれの考えを申し上げておきます。  それから中央道路の問題でありますが、これは前内閣以来引続いていろいろ調査をいたしておりまして、先般は、将来外資導入等のことも考慮いたしまして、アメリカの技術者にも頼みまして、共同の調査を続けておるようなわけでありまして、将来実現のために努力を続けておるような状態であります。
  232. 小平忠

    小平(忠)委員 一昨日の本委員会において、わが党の今澄委員から防衛計画について、特に防衛庁長官から空軍の増強計画——防衛庁の六カ年計画を、われわれはあの当時発表していただきたいということを特に指摘したのでありますが、発表された中身は、御承知のように、三カ年計画なんです。長官がおっしゃった中身は、すでにもう新聞にも発表されておるのです。われわれ予算委員会を一旦休憩して、理事会まで開いて、発表することになり、そこで長官がおもむろにトラの子でも出してくるかのようにもったいぶって発表されたものは何かといえば、すでに新聞にも発表され、われわれの手元にもちゃんと来ておるところの三カ年計画なんです。わが国国家予算の中で国民生活に最も大きな影響をもたらす防衛関係費の問題については、これは重大であります。これらの計画に基いてこの予算を組んでおるのでありましょうから、私はこの機会にぜひお手元にある防衛六カ年計画を説明していただきたい。
  233. 杉原荒太

    ○杉原国務大臣 これまでたびたびこの委員会においても申し上げましたように、長期計画について研究中でございますが、事実まだ成案を得ておりません。
  234. 小平忠

    小平(忠)委員 私は、いまだそれが成案を得ていないとか、あるいは試案であるとかいうことは、これはわかるのですけれども、そんなような考え方でもって予算審議をしろというのは、一体無理ではないでしょうか。現に六カ年計画だって、その一部が新聞に発表になっておりますよ。あなたは、前の大村防衛庁長官が防衛庁の幹部と協議された試案は、おそらく引き継ぎになっておられると思う。それから先般あなたは重大な発言をされている。例の三カ年計画で、F八六ジェット戦闘機は非常に優秀なんだというが、ほんとうに優秀ですか。あれは私に言わしむれば、アメリカは、すでにもうF八六については本年度から生産を停止している。もうF八六の時代じゃないのです。F一〇〇の時代です。現在音速よりもおそいような飛行機は間に合わない。音速よりもはるかに早いものを使っている。そういうアメリカのお古をこれから三カ年計画で作って、一体どうしようと思うのですか。
  235. 杉原荒太

    ○杉原国務大臣 F八六が今どういうふうに使われておるかということにつきましても、この間申し上げた通りでございまして、アメリカでもなるほどおっしゃる通り、F一〇〇台の超音速のものをすでに作ってはおりますけれども、やはりまだアメリカでも、F八六は第一線機として使われておりますし、またNATOの諸国に対しても、これはアメリカから特に作って今送りつつあるような現状だと私は承知しております。
  236. 小平忠

    小平(忠)委員 まことに私は了解に苦しむ諸点でございます。しかし防衛問題、外交問題は幾多同僚議員の質問によって明らかにされた点もありますが、これらはまた今後の予算審議を通じてやはり問題が残されております。私もこれらの問題については保留いたしまして、時間も相当経過いたしましたので、私の本日の質問は、この程度にいたしまして終りたいと思います。
  237. 牧野良三

    牧野委員長 この際、今朝起きました連絡船の不幸な事件につきまして、中間報告をいたしたいと政府より発言を求めておられますので、これを許します。運輸政務次官河野金昇君。
  238. 河野金昇

    河野(金)政府委員 大臣が報告いたしましたのは、ちょうど事件が起きてまだ報告もあまり参っておらなかったのでありますが、その後いろいろ報告が参りましたから、中間報告をいたします。  けさの七時一分に衝突をして、七時三分に沈没したという報告がなされたと思います。これは、時間的に考えても少し早過ぎるようにわれわれもその報告を受けたとき感じておったのでありますが、その後の報告によりますと、衝突したのは六時五十五分のようでございます。それから乗組員は、これも午前中推定数を申し上げましたが、その後やや確実に近いと思われる数字は、紫雲丸の乗客は七百十三名、そのうち二等船客が五十名、三等船客が六百六十二名、船員は前と同じ六十名、売店の店員と申しますか、そういうものが五名、郵便局員の一名もその通りでありまして、総計七百七十九名であります。その死体の収容されたものは、午前中に三十五名と報告したと思いますが、それが午後三時の報告によりますと三十九名であります。負傷者は同じく十七名であります。生存者は一名ふえて六百五名であります。不確定の者——不確定と申しますのは、行方不明とかでありますが、百十八名であります。それから団体の学生がだいぶ乗っておりましたが、これは、川津小学校というのを多分鳥取県と報告したと思ったのですが、これは大きな間追いで、島根県であります。それからその次に木ノ江町小学校、これを愛媛県で報得しておきましたが、木ノ江町南小学校で、広島県であります。  中間報告でわかりました点はそういう点でありますが、何か御質問があればお答えいたします。
  239. 上林山榮吉

    ○上林山委員 これに関連して質問があります。ただいま中間報告を承わりましたが、先ほどその原因並びに措置について、政府の大体の方針は承わりましたけれども、もっと積極的に、あるいは適切ないかなる手を打たれておるか、この問題についてお尋ねをいたしておきたいと思います。
  240. 河野金昇

    河野(金)政府委員 これは先年起きました洞爺丸事件と違いまして、非常に簡単であります。濃霧がおりておったとはいいながら、客船の方も貨物船の方もともにレーダーを持っておつたのであります。従って原因は、そのレーダーが故障しておったか、あるいはその操縦を間違えたかのどちらかの二つであります。まっ先に死体収容、あるいはけがをされた方々の手当に重点を置いておりまして、もちろん今その原因等もあわせ調査はしておりまするけれども、運輸当局並びに国鉄当局と話し合った結果、原因はその二つ以外には考えられない、こういうことでございます。
  241. 上林山榮吉

    ○上林山委員 議事進行の動議を提出いたします。本予算の性質にかんがみまして、議事を続行せられるよう、この際その動議を提出いたします。
  242. 牧野良三

    牧野委員長 さようのつもりでおります。相川勝六君。   〔「外務大臣はどうした」と呼ぶ者あり〕
  243. 牧野良三

    牧野委員長 外務大臣はただいま玄関へ参りましたから、すぐここへ参ります。皆さん御協力下さるようお願いをいたします。   〔「委員長、発言者を出してくれ」と呼ぶ者あり〕
  244. 牧野良三

    牧野委員長 相川君、どうぞ御発言を願います。総理大臣はおいでになりますし、外務大臣はすぐ参りますから、お始めを願います。
  245. 相川勝六

    ○相川委員 一緒の質問だから、一緒でなければだめです。   〔「社会党はどうした」と呼ぶ者あり〕
  246. 牧野良三

    牧野委員長 社会党は今迎えに行きました。   〔発言する者あり〕
  247. 牧野良三

    牧野委員長 暫時休憩いたします。    午後四時十七分休憩      ————◇—————    午後四時二十六分開議
  248. 牧野良三

    牧野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日はこの程度にいたし、次会は明十二日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会