○福島
政府委員 北富士の射撃問題について
お答えいたします。今回の昨日から始まりました米軍の射撃が一方的であるという御
指摘でございますが、そういう面も多々あるわけでありますけれども、これに至りました経緯もございますので、一応御説明申し上げておきたいと思います。北富士の演習場と申しますのは、東富士の演習場と相並んで富士のすそ野に二つ設けられてある演習場であります。そうしてその北富士の演習場を二地区に分けまして、
一つの地区を被弾地区、たまの落ちる地区とし、他の地区をたまの落ちない地区と定めたわけであります。たまの落ちない地区において射撃をする場合には、たまを落すことになっている地区の方へたまを撃つということに協定ができておる。ただしそれも七、八、九月の三カ月はできない。七、八、九月以外の月ならば、常時でなければできるということであります。常時は射たない。七、八、九月以外の月においては、B地区
——今回の問題となっております射撃の砲座のありますところと同じでありますが、B地区からA地区へ向けてたまを撃つことはあり得ると定めてある、ただし実際には
日本の現地当局と事前に調整をするということになっておる。これに基きましてアメリカ側は四月に県当局にB地区からA地区に向けて射撃をしたいということを申し出まして、県当局から
選挙の都合その他の
関係でございましょう、都合が悪いということを申しまして、それではということでアメリカは一応やめまして、五月になりましてから再び
——五月九日から六日間と初めは言ったのでありますが、六日間射撃をしたいという話し合いを始めて参ったわけであります。この六日間は後に四日間になりました。それに対する県側の回答は、B地区からA地区に射撃をすることは反対である、今後とも射撃をしてもらいたくないという返事をしたわけです。アメリカ側は、そもそも協定に射撃することができると書き、ただしする場合には事前に調整すると書いたんであるから、その調整を申し込んだ場合にさせないという返事をしたのでは、調整の権利を否認するものであって、アメリカ側は四月以来再三県との話し合いによって時期を変更したりなんかしたのであるから、調整の努力をしたつもりであり、調整をして撃つということになっている協定に対して、撃たせてもらいたいという申し入れにその時期は困るとか、その場所は困るとかいう返事ならともかく、引き続き撃つこと自体が困るという返事は、
日本側の方が協定に違反しておるというのがともかくもアメリカの理屈なんです。それで昨日来射撃が始まったということになりますが、始まりましてもB地区からA地区に向けて撃っております、それからまたそのB地区における立木を切り倒すという事態も起っておりませず、アメリカ側としては、県側と話し合いをした上で、最後に県側が全面的に拒否をしたので、もう調整の意思なしということでもってやっておるのだという、多少小理屈にはなっておりますが、そういうことで撃っておるということになっております。私どもはそれに対して、確かにアメリカ側の
指摘する
通り撃てると定め、撃つ場合には、ただし調整をすると定めてあるのに対し調整をしないという県側の言いぐさは行き過ぎであろう、しかしながら同時に調整が完了してないということも
——日本側に落度があるとしても、完了してないということも事実であるのだから、その際現地限りでそれではということにしないで、なぜ中央に移してわれわれに話をするなり、県側をさらに説得するなりやらなかったかということは
指摘しておりますが、違反云々ということについては、いずれに落度があるかということになりますと、
日本側に先に落度があるということ、これは事実でありますし、またアメリカ側の落度を
指摘いたしましても、いささか水かけ論になると思います。水かけ論をいたしましても、これは昨日始まりましてあさって済んでしまうという射撃でありますので、水かけ論になっている間に済んでしまうということになりましても後々のためによくありませんので、施設
委員会その他の協議機関による水かけ論は
あとの問題といたしまして、できる限り早く射撃をやめさせることが当面の交渉態度であろうと思いまして、
委員会によらず私が司令官に会って話をしよう、
委員会の権限を無視するようであるけれども、
委員会にはその点了承をさせまして、私が極東陸軍の司令官と会って話をするということになっておるのであります。事実、当
委員会その他
国会の方へ伺っておりますので、まだ話はいたしておりません。しかし実際問題として水かけ論の点よりも、
現実の事態を早く是正することが大事だと
考えております。