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今澄委員 そこで私は、この問題は、今
国民が
日本の
予算編成の中でどうして一体その金を
アメリカに払うか、その金がこんなに増加するのだろう、自分の国の防衛は自分の国がやるのだというけれども、どうしてよその国に強制せられて、
日本は防衛庁費をふやすのだろうという大きな疑問が
国民にあるのです。一体
国民生活をどの程度にはじいて、どの程度の分野において
アメリカに金を払い、防衛経費を計上するのか。これは
日本政府の一存では全然だめだとすれば、弱ったものだなと
国民は思っているでしょう。そこで私は申し上げておきたいのですが、大体防衛分担金というものについての吉田
内閣のときからのいきさつをちょっと
総理に申し上げて、私は
総理並びに
外務大臣の今度の
交渉の
過程における
態度をお聞きしたいと思うのです。防衛分担金というのは、
昭和二十七年から
予算に計上された経費を見ると、その性格ははっきりしておるのです。行政協定二十五条二項(b)において「合衆国が輸送その他の必要な役務及び需品を
日本国で調達するのに充てるため、年額一億五千五百万ドルに相当する額の
日本国通貨を合衆国に負担をかけないでその使用に供すること。」としておるのです。そこでこの一億五千五百万ドルは、
昭和二十六年の終戦処理費——これは朝鮮
戦争の翌年で米軍六個師団が駐留しておったときなんです。九百九十九億円に時の物価の高騰率三十%を見込んだ千三百億円を二十七年の米軍駐留費用として推定をして、これを基礎にして割り出し、
日本円の五百五十八億円に相当する金額を在日合衆国軍交付金としてきめたのです。なぜ
日本が負担するかということに対する吉田
内閣の
見方は、これを負担する理由は、在日米軍の共同及び相互防衛のための経費をまかなうためである。駐留軍の経費は二種類に分れておる。その
一つは
基本的な経費で、他国に駐留するのに要する軍人軍属の俸給、軍需品、食糧などの経費、その二番目は派生的経費で、受け入れ国に駐留するための宿舎、土地、受け入れ国の
国民の労務その他の役務、備品、消耗品などに要する経費であって、大体各国が負担をしておるのはこの派生的な経費だけなんです。そこで
基本的な経費は各国とも負担しておらない。負担するのは派生的経費だけで、この負担をする
やり方に三つあるのです。定額負担というのは
イギリス・
アメリカ協定あるいは
アメリカ・イタリア協定による事務処理費の定額負担で、
イギリスは五千四百万ドル、イタリアは一億四千六百万ドル負担をしておるのです。これはいわゆる定額負担の
方式による派生経費の負担であります。第二掛目は一定.種類の経費別負担という。これは
アメリカと豪州が協定しておる米豪協定の場合であります。もう
一つは定額負担と経費別負担との折衷案、これが
日本の場合で、
日本の場合は例外になっておるのです。これが一億五千五百万ドルで役務及び需品の一部を
日本国が負担をすることになっておるのです。だからこの
日本の負担
方式は、つまり派生的経費についての定額経費別負担
方式であるということになるのであります。だから要するに駐留軍の派生的費用を基礎にして算出されたものであって、この点は行政協定と岡崎・ラスク会談の議事録録によって——議事録では明確ではありませんけれども、その本質は駐留軍費に見合うもので、駐留軍が減少し、米側負担が減少すれば、派生的費用を担当すべきわが国の割合いは、それに応じて
日本側角掛も減少しなければならぬのです。岡崎・ラスクの議事録で、岡崎外相は
日本の防衛費の増加にかんがみて防衛支出金の減額を要請したのに対して、ラスク氏はその
ような考慮を払う——いろいろあるけれども、払うと言っているのです。これによって分担金の削減というのは、
日本の防衛力の増強に応じて米側は考慮を払うということになる。当初の趣旨である分担金の削減が、駐留軍の派生的経費と見合って、
向うの経費が下れば
日本の経費も続けて下るという解釈から、岡崎・ラスク会談というのは一歩後退をして、非常に
日本側が不利になったのです。だからこういうこれまでの防衛分担金に関する
アメリカと
日本との折衝、その了解事項、さらに岡崎・ラスク会談によって百歩譲ったけれども、それは間違いであったという
ような、かくのごとき法律的な解釈からいくならば、私は
重光外相はもう少し
アメリカに対して、なぜ今度の場合においても譲歩をしないかということが追究できるはずだと思うのです。
〔
委員長退席、上林山
委員長代
理着席〕
あなたはこの解釈についてどういう御
見解ですか。なぜ一体
アメリカがこの解釈に従わないでやっておるものをやすやすとそれで引き受けて帰ってきたのですか。
鳩山総理はまことに今回の
やり方は
アメリカとしては了解のいくいい
やり方だなどとおっしゃっておりますけれども、この精神と吉田
内閣の
答弁と、この行政協定並びにこういうものの解釈からして
考えてごらんなさい。
一つも
アメリカの
態度は筋が通っておらぬじゃありませんか。
日本の
政府が常に——あなた方吉田
内閣よりもまだもっと押されているじゃありませんか。この
基本的な解釈と
見方について、
外務大臣でよろしゅうございますが、なぜあなたはこれを突っ込まなかったのですか。