○
西村(直)
委員 自由党を代表いたしまして、ただいま提案されております
昭和三十年度の四、五月
暫定予算三件につきまして、以下述べまするところの
意見を付して、
政府の原案に
賛成、両派社会党の組みかえ案には反対を申し上げます。
その第一点でありますが、
意見でありますけれ
ども、
政府の説明にもございましたように、この
暫定予算は四月、五月にわたる経常的事務や事業の
運営に支障を来たさざる程度の、いわゆるこま切れ骨格
予算である。こういう見地から
考えますと、
日本経済や国民経済の建設的発展のためという点からいえば、
暫定予算という措置はできるだけこれを回避するというのが、
政府の当然の責務でなければならぬのであります。ところが第一次
鳩山内閣が旧冬成立早々、あるいは解散を行っておるとか、あるいは進んで三十年度の本
予算をあの当時提出しておりましたならば、今日この四月、五月分の
暫定予算を、しかもこうした年度切れの切迫しした状態のときにあわてて提出をするような必要はない。いわんやその通過を四苦八苦しながら、そうしてしかも国民経済の活動に対しては消極的に、ある意味ではこれを阻害するような財政上の措置は避け得られたと思うのであります。ことに第一次
鳩山内閣は、組閣の早々社会党と野合いたしまして、選挙管理
内閣の名のもとに、約一ヵ月の間というものは政治空白の期間を作ったのであります。しかもその間財政的な裏づけや見通しのない派手な選挙公約を振り回したのであります。今日私
どもが幾多の欠陥を本
暫定予算に発見いたしましても、年度末に追い詰められました今日としては、やむを得ず本院を通過せしめましても、やがて提出されるところの三十年度の本
予算に関しましては、その内容をわれわれは十分検討をいたし、同時に
政府の
誠意のあるところも十分に検討し、そのいかんによっては、下手すると六月、七月も
暫定予算になるという危険性もあり、またそれも想像し得るのであります。これは国民経済の円滑なる運行ということにおきまして、私
どもはまことに残念に思うのでありまして、これは、そもそも第二次
鳩山内閣成立の経緯からこういうような状態が出てきている。しかも現在の第二次
鳩山内閣は、
総理も、副
総理も、経済閣僚もそのまま残っておられるならば、この
暫定予算の国民経済に与えるところの悪影響、ないしは本
予算がその内容、あるいは
政府の出方いかん、
誠意いかんによってはおくれるという責任は、一にかかって第一次
鳩山内閣、それを続いて受け継ぐところの第一次
鳩山内閣が負っていただかなければならぬ、私はこう思います。これが私の
一つの
意見であります。
次に、この短かい
予算委員会の
論議を通じまして、各
委員から
政府の施策をだいぶ、できる範囲は掘り下げられたのであります。それであなた方
総理初め閣僚が非常に非難し、反対されましたところの吉田
自由党内閣時代の施策に、だんだん掘り下げてみるとどうも近づいてくるような感じがするのであります。野にありますときには、ずいぶん今の
政府の方も勇敢にほえていらしったのでありますが、一たび責任ある
政府の
立場に立ちますと、だいぶおとなしく、場合によっては萎縮してくるように私
どもには見えるのであります。従って、こういう状態ですと、
鳩山内閣というものの公約、それから施策を掘り下げて参りますと、国民は何ら新鮮味を感ずるどころではなくて、逆に再び
自由党内閣の実行力に期待するようになると
考えているのであります。たとえて申しますと、あれほど選挙戦当時に派手に宣伝されました
総理の中ソ
国交調整、これも
自由党内閣と同様、大体対米、あるいは自由民主陣営との
協調を基調とした性格から見てみますと、この中ソ
国交調整論も今日漸次掘り下げてみると後退してくる。そして一方では、逆に米国側にはある種の不安感を与えているような感じもするのであります。特に、中共との
国交調整の問題がだいぶ議論されたようでありますが、これはわずかな短かい
国会の
論議におきましても明らかにされたごとく、現在の
日本政府とそれから台湾
政府との間の正常
国交がある以上は、結局中ソ、特に中共との
関係におきましては、わずかに貿易の拡大促進が、現段階に残され、おるところの
政府の施策のようになってくるのであります。それも実際のところは、しぼって参りますと、ただココムの禁輸物資の品目の緩和があって初めて可能である。しかもこの現在の出
内閣になってからもう百日以上もたっているのに、何らの進展も見ていないのであります。こう
考えて参りますると、
防衛分担金の問題におきましても、この
暫定予算におきましては、前年度の三カ月分を予定されておりますが、かっていろいろこれを大削減して住宅に回すんだという
お話でありましたが、今日それが果して御期待のように行けるかどうか、私
どもはこれを鋭く注目して参りたいと思うのであります。またこの間示されました
昭和三十年度の本
予算の骨格に関する大蔵
大臣の構想、これは
予算の総額を一兆億円に押えて、減税は今年度三百億、その他は数字的に裏づけはなく、大体われわれ
自由党内閣のやってきた健全財政を踏襲しているようであります。あの選挙前後の派手な公約説明とはだいぶ隔たりを感じておるのであります。特に第一次
鳩山内閣以来宣伝して参られました住宅政策、社会保障費の充実、軍人恩給の引き上げ等の公約は、その財源を、大体私
どもは
暫定予算、
政府が事務的だと言われるこの
予算を通じても、だんだん調べて参りますと、卸物価が現在二%上っておるのに、旅費、物件費を二割削減する、それ以外は主として
補助金等の大幅な整理にこれを求めていくというような傾向が見受けられるのであります。従って、一応事務的
予算として主張はされております。しかし生活保護費や義務教育補助、地方交付税交付金、災害復旧
補助金等の三カ月分は計上されております。また公共事業のうち、直轄事業の二カ月分は計上されておりますが、それ以外の公共事業の
補助金や普通
補助金は全部切り捨てておる。土地改良については、県営、団体営等は、先ほど
民主党の方も言われたように、
政府において善処しなければならぬというような状況になっておる、二十八年度の
暫定予算の先例を見ましても、継続的な補助費や、こういうものにつきましては、必要最小限度は盛っておったのが恒例なのであります。従って
政府は、口ではこれを交付税交付金や金融措置で一応穴埋めすると言っておりますけれ
ども、今日の窮迫した地方財政のもとにおきまして、いわゆる従来一応認めてきた継続的
補助金等を押えてしまう、
暫定予算に出さぬということは、これをささえとしてやってきた継続事業や、その他の地方行政が手持ちになってしまって、手あきになったり、むだが出たり、あるいは行く先がきまらないというような状態が起ると思うのであります。
こう
考えてみますと、ある意味においては、この
暫定予算は事務的
予算といいながらも、
補助金整理という線においては、将来への財源確保の道を開くという政策的
考え方を秘めておる、いわゆる政策がちょっぴり頭を出していると
考えなければならぬと思うのであります。これを極論いたしますと、住宅や社会保障等のいわゆる
民主党の一枚看板の公約も、結局は農業や漁業や山村、治山治水等の
政府の施策をある程度犠牲にして初めてこういうものができるというような
考え方に漸次近づいてくるわけであります。特に先般河野農相が言われましたが、外国から安い米を買ってくればよいので、土地改良などにあまり金をかける必要はないと言っておられる、この放言放談というものは大分批判されたのであります。この点がやはりこういうところに出ておると思うのであります。わが党といたしましては、もちろん放漫な非能率な
補助金政策というものは、これを検討することにやぶさかでありません。しかしながら
日本農業の特異性、
日本漁業の特異性というものを十分に
考えて、これが必要な限度においては保護、助長の
立場をとって、
補助金の無暴な圧縮に対しては、厳重な監視と警告を
政府に申し上げておきたいと思うのであります。
かく
考えて参りますと、これがたとい
暫定予算にしましても、さらにさらに私
どもは検討しなければならぬ。言いかえれば、時と場合によっては組みかえ
動議、あるいは修正ということも
考えられるのでありますが、いわゆる三月三十一日という会計年度というものを持っております以上、今日これに対しましては、会計年度末を目捷に控えておる以上、いわゆる
鳩山選挙管理
内閣以来の、悪い財政政策がしわ寄せになってこうして参りましたこの
暫定予算というものには、一応この段階では
賛成はしておきたい。しかしながら、この際に特に附帯決議をつけて、そうして
昭和三十年度本
予算編成提出の際の現
内閣の責任を、ここで国民の前に明らかにさせておきたいと
考えるのであります。
ここで私は
暫定予算に対する附帯決議案を申し上げたいと思うのであります。案文を朗読いたします。
暫定予算に対する附帯決議案
(一) 公共事業の補助事業につき、継続的な事業については、四、五月分の補助費を計上すること。
(二) その他の
補助金につき、
昭和二十九年度
予算に計上されたる項目のものについては、
昭和二十九年度まで必要のなくなったもの以外は、四、五月分の補助費を計上すること。
右決議する。
私
どもはこの決議案を出しますにつきまして、実は、でき得るならば
予算修正あるいは組みかえ、あるいはできなくとも
暫定予算の補正という
考え方を持ったのでありますが、今日一応この
暫定予算に対して、こういうような状況下における
補助金は、少くとも四月、五月分から計上する、この附帯決議案を決議され、また皆さんの御
賛成を得ることによって、
政府の将来三十年度本
予算に対する責任をこの際明らかにしておきたいと思うのであります。
次に、両派社会党の組みかえ提案でありますが、これは
防衛分担金百四十七億の金額を削除して、これを社会保障費や義務教育費その他に振り向けてありますが、たとい
防衛分担金は今軽減するということで
折衝中でありましても、これを全部すっぱり切り落してその他の費目に充てるということは、現在の国際環境を急激に変革することであって、これについては、われわれは党の
立場において、この提案には反対であることを申し上げたいのであります。
以上がわが党の
態度でございまして、どうぞこの附帯決議案の提案に対し、御賛同を願う次第であります。
以上をもちまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)