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犬養委員 それは総理の方から新聞発表をなさいまして、近き将来にあたかも沖縄、小笠原島のいわゆる眠れるわが方の主権を回復するのだというがごとき印象を与える声明をしておられるので、お尋ねをしたわけでございます。従って、総理のあのときどきのお話と事態は大分違うという意味に了解をいたしたいと思います。
最後に、今まで伺いました個々の材料につきまして私どもの同僚がさらに質問をいたす時期もあろうかと思います。しかし私は
最後に私の考えも申し上げ、総理の考えも忌憚なく承わりたいと思うのでございます。それは、すべての国からの外交上の呼びかけには当然いろいろの動機がございます。政治的な動機――すこぶる政治的な動機とともに、同時にまたじみちな外交上の
事務的な動機もまじっている。これは不思議ではございません。従ってすべての国からの呼びかけに対しまして、わが方がその動機を分析研究することは決して国交上非礼ではないばかりではなく、当然の義務であると思います。この点について私はまことに非礼なことを申し上げるようでございますが、あなたの、ソ連からの呼びかけに対して、突如みずから衝に当られた御行動に対して、とうてい承服することのできないのを遺憾と存じます。すべての国は政治的な動機あるいは政治的ならざる動機、こもごもまざった総合的な動機で呼びかけてくるものでございますから、よほどわが方としましては、ことに
一般の自由主義国家群とは、従来の私どもの体験から考えましても違う
方法をとっております共産主義国家群からの呼びかけに対しては、慎重にこれを分析することは、かの方に対して今申し上げたように決して非礼ではないのみならず、一国の当然の義務であると思います。そこであなたにドムニッキー氏が文書をもって、そこにおられます外務
大臣をあとにして、のけものにして、突然呼びかけられましたあの一月二十五日という口は、あたかもソ連の最高
会議が対独終戦宣言を行なった日でございまして、しかもその少しく前にモロトフ外相は、もしもドイツがパリ協定の批准に対して同意しないならば、終戦自書をソ連は用意しているという言明もしているのでありまして、これは世界周知のごとく、ほかの動機もございましょうが、すこぶる政治的な動機を含んでいたわけでございます。この政治的な部分と政治的でない部分を、ことに時節柄分析研究せられる慎重さと手がたさ、これが保守党の特徴であるのにかかわらず、あなたが突然自分からお出ましになったことに対しては、広く内外の各国民とともに私どもは遺憾に存じているのでございます。従って今後ニューヨークにおいて御折衝になりますときは、何とぞ今まであなたが内外の人にお与えになりました印象と別個の印象を与えられまして、ことに内閣のみならず、日本人はすばしっこい中立をもくろんでいるなどという、まことに残念千万な外国からの批評を再び受けないように、慎重な御考慮を願いたいと思います。
もう
一つ、私は自分の考えを申し上げると同時に、あなたのお考えを率直にお教え願いたい一事がございます。それは、今協賛主義国家群が外交上最も力を入れておりますのは、ヨーロッパではドイツ、アジアでは日本でございます。その経緯は、今申し上げた
通りで御了解を得ていると思います。私はあなたの最近の外交の御行動が、よく世間が言っておりますように、米英自由国家群から少し離れるかのごとく見せ、中ソ国家群に対して少く近づくように見せて、これが自主外交であるかのごとき錯覚を国民に起している点について、私はまことに失礼でございますが、残念に思っているものでございます。今の世界の平和は、もちろんふだんあなたがおっしゃるように、高い理想というものは不可欠なものでございますが、一方において、今の世界外交は
現実でありまして、競争的な共存などという言葉が力を得るほど
現実的でございまして、その点から申しまして、私はヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本が、
現実な、慎重な、手がたい態度でもって自由国家群の一員として席を占めて、しかも、両国とも過去における軍国主義の傾向を払拭して、平和外交の有力な一員となるということが、かえって戦争を防止するゆえんであると思います。昨日、あなたが衆議院の本
会議でお述べになりました原爆貯蔵についての御答弁については、承服しがたき点が多々ございますけれども、あなたが少くとも
現実的にものを考えて、
現実の上に立って、理想を包含している外交を処理しようと努力しておられるお気持は、私はくみ取ったのでございます。従ってあなたのそういうお考えの傾向からいいますと、あくまでも私ども日本民族は、自由国家群の一員として
現実な、慎重ないすを占めて、しかも今申し上げたように、過去における軍国主義の傾向を払拭して、平和的努力の有力な一メンバーということが、戦争を防止する最も
現実な手段である、こういうふうに私どもは深く信じているのでありますが、この点について御同意でありますか、あるいは別の御異論がございましょうか。