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1955-03-25 第22回国会 衆議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年三月二十四日       上林榮吉君    重政 誠之君       中曽根康弘君    小坂善太郎君       西村 直己君    赤松  勇君       今澄  勇君 が理事に当選した。 昭和三十年三月二十五日(金曜日)    午後四時三十三分開議  出席委員    委員長 牧野 良三君    理事 上林榮吉君 理事 重政 誠之君    理事 中曽根康弘君 理事 小坂善太郎君    理事 西村 直己君 理事 赤松  勇君    理事 今澄  勇君       赤城 宗徳君    稲葉  修君       宇都宮徳馬君    小川 半次君       北村徳太郎君    小枝 一雄君       楢橋  渡君    福田 赳夫君       藤本 捨助君    古井 喜實君       松浦周太郎君    三浦 一雄君       三田村武夫君    村松 久義君       相川 勝六君    犬養  健君       太田 正孝君    北澤 直吉君       倉石 忠雄君    周東 英雄君       野田 卯一君    橋本 龍伍君       平野 三郎君    福永 一臣君       阿部 五郎君    伊藤 好道君       久保田鶴松君    志村 茂治君       田中織之進君    田中 稔男君       福田 昌子君    武藤運十郎君       柳田 秀一君    井堀 繁雄君       岡  良一君    片山  哲君       小平  忠君    杉村沖治郎君       西村 榮一君    川上 貫一君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鳩山 一郎君         外 務 大 臣 重光  葵君         大 蔵 大 臣 一萬田尚登君         文 部 大 臣 松村 謙三君         厚 生 大 臣 川崎 秀二君         農 林 大 臣 河野 一郎君         通商産業大臣  石橋 湛山君         運 輸 大 臣 三木 武夫君         労 働 大 臣 西田 隆男君         建 設 大 臣 竹山祐太郎君         国 務 大 臣 杉原 荒太君         国 務 大 臣 川島正次郎君  出席政府委員         大蔵事務官(主         計局長)    森永貞一郎君  委員外出席者         専  門  員 小林幾次郎君         専  門  員 園山 芳造君         専  門  員 小竹 豊治君     ――――――――――――― 三月二十五日  委員岸信介君及び植木庚子郎君辞任につき、そ  の補欠として宇都宮徳馬君及び犬養健君が議長  の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  昭和三十年度一般会計暫定予算  昭和三十年度特別会計暫定予算  昭和三十年度政府関係機関暫定予算     ―――――――――――――
  2. 牧野良三

    牧野委員長 これより会議を開きます。  昭和三十年度一般会計暫定予算昭和三十年度特別会計暫定予算及び昭和三十年度政府関係機関暫定予算、以上の三案を一括して議題といたします。まず政府より提案理由説明を求めます。大蔵大臣萬田尚登君。
  3. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昭和三十年度の暫定予算につきまして、予算委員会の御審議をお願いいたしますに当りまして、暫定予算編成方針及び概要を御説明申し上げます。  昭和三十年度本予算案につきましては、現在鋭意検討中でありまして、成案を得次第、すみやかに国会に提出いたします所存でありますが、本予算が成立いたしますまでの間、国及び地方の経常的な事務事業運営支障を来たすことがないよう、今回四、五月分につきまして暫定予算を提出することといたした次第であります。  今回の一般会計暫定予算歳出総額は千六百八億円、歳入総額は千二百八十三億円でありまして、差引歳入不足は三百二十五億円となるのであります。これは国庫余裕金をもってまかなうことといたしておりまして、予算の執行には支障はありません。なお、必要に応じまして、大蔵省証券を百億円まで発行できますよう措置することといたしています。  次に、今回の一般会計暫定予算編成方針及びその概要を申し述べますとまず第一に、今回の暫定予算には政策的な諸経費を除外し、人件費事務費その他の経常的な経費につきまして、四、五月中に支出を必要とする最小限度の額を計上することといたしまして、新規の事務事業に伴う経費は、原則として計上しないことといたしました。なお、経費積算に当りましては、大体昭和二十九年度補正予算基準として、原則といたしましてその月割額以内において所要額計上いたしました。この際特に庁費および旅費につきましては、節約の見地から、また通常、年度初めにはその支出が少いこと等を考慮いたしまして、原則としてその月割額の八割以内を計上いたしました。  第二に、補助費につきましては、義務的なものであって特に四、五月中に現実に国からの資金交付を必要といたしますものに限り計上いたしました。  従いまして、一般の奨励的な補助金計上せず、また義務的なものでありましても、四、五月中に現実資金交付する必要のないものは計上いたしておりません。  なお、補助費のうち金額の最も大きいものは公共事業関係費でありますが、そのうち、補助事業費につきましては、災害復旧費を前年度予算額の四分の一程度計上し、緊急就労対策事業費を二カ月分程度計上いたしましたほかは、計上を差し控えることといたしました。  このように、今回の暫定予算におきまして、原則として補助費計上を差し控えましたのは、一つには補助費には政策的なものが少くないこと、二には、補助費につきましては、今後本予算編成に当りまして慎重に検討を要するものが多いこと、また、三には、地方公共団体に対する補助費は、四、五月中に必ずしも現実資金交付する必要がなく、また従来の実情におきましても、現実交付されるものが少いこと等の理由によるものであります。  右に関聯いたしまして、補助費原則として計上しない結果、地方公共団体資金繰りが若干苦しくなることもあると思われまするので、これを緩和いたしますため、地方交付税交付金義務教育費国庫負担金生活保護費につきまして、それぞれ三カ月分程度計上いたしましたので、これらによりまして地方公共団体経常的経費は十分まかなえるものと考えております。なお必要に応じ、資金運用部資金による短期融資をも考慮することといたしております。  第三に、二十九年度限りで有効期限の切れる財政関係諸法令につきましては、租税特別措置法等歳入関係のものは三カ月、補助金等臨時特例等に関する法律等歳出関係のものは暫定予算期間、それぞれその有効期限を延長する措置を講ずるようにいたしたいと存じております。  第四に、財政投融資につきましては、さしあたり一般会計からの出投資計上いたしませず、電源開発会社住宅金融公庫等事業を継続するため必要とする最小限度資金につきましては、資金運用部資金等によりまかなうことといたしておりまするが、四、五月中における資金所要額は、国鉄電電公社公募債を含めまして約百六十億円程度と見込んでおります。  以上が一般会計暫定予算歳出概要でありまするが、歳入につきましては、その総領は千二百八十三億円でありまして、その内訳は、租税及び印紙収入千百五十七億円、官業益金及び官業収入十三億円、政府資産整理収入五億円、雑収入百八億円であります。なお専売納付金及び前年度剰余金は、受け入れの時期の関係から、四、五月中の収入にはなりませんので計上いたしておりません。  次に特別会計及び政府関係機関暫定予算につきましては、一般会計に準じまして編成いたしましたが、その経費計上に当りまして、過去の契約実績等を考慮いたしまして、できるだけ経済界に悪影響を与えないよう特に配意いたしております。なお若干の特別会計または政府関係機関については、歳入または収入金額歳出または支出金額不足いたしますが、この不足額につきましては、それぞれその特別会計法または公社法規定に基きまして、国庫余裕金または資金に属する現金の繰替使用等によりまかなうことといたしております。  以上をもちまして昭和三十年度暫定予算についての概要説明といたします。なお詳細につきましては、政府委員より説明いたさせます。何とぞ政府方針を了とせられまして、木暫定予算に対しましてすみやかに御賛成あらんことをお願いを申し上げる次第であります。
  4. 牧野良三

    牧野委員長 次に補足説明を求めます。主計局長森永貞一郎君。
  5. 森永貞一郎

    森永政府委員 ただいまの大蔵大臣説明を計数的に若干補足して申し上げたいと存じます。昭和三十年度暫定予算説明という薄いパンフレットがお手元にお配りしてあると存じますが、その資料に基きまして、順を追いまして簡単に補足いたします。暫定予算編成方針につきましては、ただいまの大蔵大臣説明に尽きているわけでございまして、従いましてこの予算説明の一ページに総説として書いてございますところは全部省略いたします。  一般会計でございますが、歳出重要経費別内訳は、その二ページの上欄に掲記してある通りでございます。生活保護費児童保護費以下雑件に至るまで、それぞれの経費に分類いたしまして計上いたしました。従来の分類と若干分類方法を異にいたしましたので、あるいはお読みづらい点があるかもしれませんが、主として経常的な、また義務的な経費を前の方に並べるというようなことで、並べ直しただけのものでございます。この重要経費金額の朗読は、ただいまはいたしません。各経費につきまして以下簡単に申し上げます。  まず生活保護費でございますが、暫定予算計上額は七十九億六千八百余万円でございます。この経費内訳は、生活扶助医療扶助その他のいわゆる生活保護費補助金、これが七十八億四千七百万円、保護施設事務費補助金、これが一億二千万円であります。そのほかに社会福祉施設災害復旧費補助金七十三万円等がございます。このうち保護費補助金が、ただいま大蔵大臣説明にもございましたように三カ月分を計上いたしました。四、五月中に地方公共団体に三カ月分の所要額交付することにいたしまして、その所要額計上いたしたわけであります。施設事務費補助金については、原則通り所要額の二カ月分であります。  次いで児童保護費でございますが、計上額は八億百余万円、この経費保育所その他の養護施設等に要する補助費でございます。保育所関係が三億二千六百万円、養護施設が二億九百万円、その他が二億六千五百万円という内訳になっております。この経費原則通り四、五月の二カ月分を計上いたしております。  次は遺族及び留守家族等援護費でございます。計上額は二億五千七百余万円でございます。この経費には、戦傷病者戦没者遺族等援護法に基く遺族年金及び障害年金系統経費と、もう一つは未帰還者留守家族等援護法に基く留守家族手当その他の系統と、二つの系統経費がございますが、前の方の系統遺家族年金等援護費につきましては、前年度からの繰り越し財源が相当ございまして、四、五月の支払いには事欠かない見込みでございますので、この分は計上いたしません。従いまして留守家族等の手当、系統のものを、留守家族手当一億四千三百万円、療養費七千九百万円、その他二千七百万円という内訳計上いたしております。そのほかに旧外地職員等の給与六百余万円も合せて計上いたしております。  その次は社会保険費でございます。この経費計上額五億五千三百余万円でございますが、内訳といたしましては、厚生年金並びに日雇労働者健康保険給付費国庫負担領並びに業務取扱費、これを厚生保険特別会計に繰り入れますものが五億一千百余万円、もう一つは、船員保険特別会計に対するものでございまして、失業給付年金給付国庫負担額及び業務取扱費四千二百万円、この両者を合せて計上いたしております。社会保険費といたしましては、このほかに国民健康保険組合補助その他相当大きな金額があるわけでございますが、これらの補助金交付時期の関係上、四、五月には計上する必要がないわけでございまして、従いまして金額は比較的わずかな金額になっている次第でございます。  その次は失業対策費でございます。計上領は四十六億一千五百万円、内訳失業対策事業費補助が二十一億五千万円、失業保険費が二十三億九千五百万円、政府職員等失業者退職手当七千万円というようなことに相なっております。失業対策事業につきましては、前回の国会昭和二十九年度の補正を行われまして、事業費は相当増額せられまして最近では一日平均吸収人員十七万人を上回っているのでございますが、その最近の状況を基礎にいたしまして、二カ月間の積算基礎といたしましては、十九万人を対象といたしまして所要領計上いたしております。失業保険費につきましては、四、五月に給付を必要とする保険給付の三分の一の国庫負担分並びに事務費計上いたしております。失業保険の最近の状況を申し上げますと、二十九年度予算では月平均四十九万四千人でございましたが、最近は五十万人に及んでおります。その最近の五十万三千人という実績を基礎にいたしまして、この金額計上いたしております。政府職員等失業者退職手当につきましては特別に御説明申し上げることはございません。  その次は結核対策費でございます。計上額は十五億四千四百万円、これは国立結核療養所維持運営に必要な経費でございまして、経営費が十四億三千八百万円、看護婦養成費二千八百万円、施設整備費七千七百万円、こういうようなことに相なっております。二十九年度の予算額百三十二億に対しまして非常に少くなっておりますのは、いわゆる施設整備費系統のものを目下三十年度予算として審議中でございますので、その分を除いた関係金額が少くなっております。  次は義務教育費国庫負担金計上額は百四十五億五千九百万円でございます。この経費積算基礎といたしましては、昭和二十九年度の補正後の予算額基礎といたしまして、第一・四半期四、五、六の三カ月分の所要額を四、五月暫定予算計上いたしました。  次は国立学校運営費でございます。国立大学高等学校付属病院、その他もろもろの施設維持運営に必要なる人件費物件費等でございまして、計上額は四十三億一千四百万円、内訳国立大学三十二億三千七百万円、大学付属病院八億一千四百万円、大学付置研究所二億六千二百万円ということになっております。  次は文教施設費でございまして、計上額は一億六千五百万円、これは文教施設災害復旧のための経費でございまして、国立文教施設費千五百万円、公立文教施設費一億五千万円という内訳に相なっております。  次は育英事業費計上額は五億七千九百余万円でございます。これは日本育英会育英事業のために必要なる育英資金貸付金の二カ月分の所要額並びに事務費でございます。  次は国債費でございまして、計上額は十一億七千七百万円、これは四月並びに五月中に元金または利子支払い期日の到来いたしまするものを積算して計上いたしました。国債償還二億二千百万円、利子九億五千百万円、事務取扱費三百余万円ということに相なっております。  次の文官等恩給費につきましても、四、五月に支払い時期の参りまする金額積算いたしまして、それをそのまま計上いたしております。計上額は三十七億四千六百万円でございます。  旧軍人遺族等恩給費百四十一億九千万円につきましても同様なことでございまして、四、五月に現実に納期の来るその支払いに必要なる資金積算いたしまして計上いたしました。  その次は地方交付税交付金でございます。地方交付税法の規定によりまして年額の四分の一を毎年四月に交付いたすことに相なっておりますので、大体の基準といたしましては二十九年度補正後の予算額基準といたしまして、それを基礎にして所要額積算し、第一・四半期分計上いたしておる次第でございます。  次は地方交付税交付金金額は、三百十九億三千万円であります。  次は地方譲与税譲与金二十五億円でございますが、その経費は昨年入場税を国に移管いたしましてその税額を地方に譲与するということに相なっておりましたが、国会修正によりまして税率が下りました等のために、入場税収入が減収に相なりました。そのために地方譲与税が非常に減少いたしました。その減少に対しまして国庫配賦税百五十五億円の交付をいわば保証いたしておったのでございますが、現実収入は九十五億ぐらいの見込みでございまして、約六十億の不足がございます。そのうち三十五億を二十九年度補正によって補填いたし、その残額二十五億円を今回の暫定予算によって補填いたそうというものでございます。その金額がそのまま計上してございます。  次は防衛支出金でございます。計上額は百四十七億三千六百万円、内訳といたしましては合衆国軍交付金が百三十二億四千七百余万円、合衆国軍事援助顧問団交付金が八千九百余万円、施設提供等諸費が十四億円という内訳に相なっております。合衆国軍交付金、いわゆる防衛分担金につきましては、昭和三十年度の予算編成に関連いたしまして、目下日米間において折衝が行われておる次第でございまして、今回の暫定予算編成に当りましては、前年度の予算額基準といたしまして、その第一・四半期分計上いたしてございます。合衆国軍事援助顧問団交付金につきましては、昨年度の日米間の協議額の二カ月分を計上いたしております。施設提供等諸費につきましては、四、五月における現実所要額積算いたしまして計上いたしました。  次は防衛庁経費でございます。計上額は六十九億二百余万円、これは四、五月における防衛庁の現在の態勢維持に必要なる人件費物件費でございまして、内訳はいわゆる内局関係が二億二千四百万円、陸上自衛隊関係が五十一億二千六百万円、海上自衛隊関係が十一億余万円、航空自衛隊関係が四億一千八百万円というような内訳になっております。  次は公共事業関係費でございます。暫定予算計上額は二百二十一億一千二百万円と相なっております。その事業種類別並びに各省所管別内訳は六ページに詳しく掲げてございますので、御説明を省略いたします。公共事業につきましての暫定予算計上方針でございますが、国の直轄事業並びに補助事業につきましては、災害復旧緊急就労対策事業並びに鉱害復旧、それらの事業につきまして四、五月中に支出を必要とする金額計上した次第でございまして、その他の一般補助事業につきましては予算計上いたしておりません。計上いたしません理由につきましては、先ほど大蔵大臣説明中に詳しく述べられておりますので、これは省略いたします。なお直轄事業につきましては、既定継続事業のみを計上いたしております。その際北海道、東北、北陸等寒冷地におきましては、工事の促進を特にはかる必要があると存じまして、一年分の四分の一、約三カ月分の相当量計上し、その他の地域につきましては、二カ月分を計上いたしました。  なお災害復旧事業につきましては直轄、補助を通じまして三カ月分を計上いたしております。これは出水期を前にいたしまして、少しでも早く工事ができるようにというような配慮に出た次第でございます。  大きな分類といたしましては、治山治水事業費が三十九億五百万円、道路港湾等事業費が十七億二千万円、食糧増産対策事業費が二十五億一千五百万円、災害復旧事業費が百三十一億四千四百万円、緊急就労対策事業費が六億四千万円、鉱害復旧事業費が一億八千五百万円、かような内訳になっております。  次は農業保険費でございまして、四、五月に現実に必要なる資金量積算いたしまして、四十五億七千五百万円を計上いたしました。その内訳は、農業共済保険掛金国庫負担金四十一億六千五百万円、農業共済事業事務費負担金三億九千九百万円、農業共済保険特別会計事務費一千百万円ということになっております。  その次は外航船舶建造資金貸付利子補給でございます。十七億五千九百万円を計上いたしました。これは毎年二回払いになっておりまして、昨年の十月から三月三十一日までの利子補給分を、この四、五月の期間に払う必要がございますので、その分が十七億三千五百万円でございます。そのほかに臨時船質改善助成利子補給法に基く利子補給二千三百万円がございまして、それを合せたものを計上いたしております。  最後に予備費でございますが、四、五月中において予算に超過しまたは予算外に必要とする支出に充てるための経費として二十億円を計上いたしております。  続いて歳入でございますが、歳入総額千二百八十三億一千六百万円、そのうち租税収入は千百五十六億六千二百万円、官業益金及び官業収入八十二億七千四百万円、政府資産整理収入五億七千四百万円、雑収入百八億四百万円というふうに相なっております。租税収入につきましては、昨年度の補正予算並びに最近の収入実績を勘案して、四、五月の収入見込み額計上いたしました。その結果、前年同期に比べれば、十九億六千八百万円の減収と相なっております。その他の歳入につきましては特別に補足して御説明申し上げることはございません。  続いて、特別会計及び政府関係機関でございますが、十ページ、十一ページに、その歳入歳出総括表が掲げてございます。一々の説明は省略いたしますが、その表でごらんいただきます通り歳出超過になっておるものが相当ございます。歳出超過になっておるものにつきましては、各特別会計または政府関係機関関係法規に基いて、あるいは証券を発行し、あるいは借入金をなし、あるいは国庫余裕金を借り入れる、そういう道が開かれておりますので、それらの方法によりましてこの歳出超過をまかなうという次第になるわけでございます。  なお最後に、先ほど大臣説明中に、四、五月における財政投資総額約百六十億円という数字が出ておりましたが、これは資金運用部並びに産業投資特別会計、そのほかにいわゆる公募債を含んでおるわけでございまして、各事業主体別金額財政投融資として国家から受けます大体の金額を申し上げますと、電源開発株式会社が五十億円、国民金融公庫が五億円、住宅金融公庫が十五億円、中小企業金融公庫が十八億円、農林漁業金融公庫が十五億円、特定道路か二億八千万円、国鉄――これは公募債でございますが、十二億五千万円、電電が十二億五千万円、そのほかに金融債が二十八億九千万円、かような内訳に相なっております。  以上きわめて粗雑でございましたが、事務的な予算説明を終ります。
  6. 牧野良三

    牧野委員長 これにて政府提案理由説明は一応終りました。順次質疑を行います。
  7. 小坂善太郎

    小坂委員 議事進行。――昨日の理事会におきまして、この予算審議方針を議しましたる際に、われわれといたしましては、四、五の暫定予算というものがこの際提案されているけれども、これはあくまで三十年度予算すべてのものの一環であって、われわれといたしましては暫定予算審議するに当りまして、これと密接不可分関係を持つ三十年度予算全体の構成を片鱗においても知ることがなければ、これは国会予算審議の都合上、われわれ自身において権威を感ぜないという話をいたしたのであります。これに対しまして与党側といたしましては、政府と連絡をいたしましてこの予算に対する骨格を出してこよう、それも数字を入れたものを出そうというお話があったのであります。本日われわれの手元に「昭和三十年度予算骨格に関する大蔵大臣の構想」という文書が来ておりますが、これに盛られております数字はことごとく前年度の総額を述べております。この予算総額が前年度において幾らであったかということは、われわれ予算審議に携わるものといたしましては当然承知しておることでありまして、かかるものを特にいただくということについては、われわれ御好意はわかりますが、それほど意義を見ないのであります。しかしこれを見ますと、二ページ目に「本件は、閣議の決定を経ていないものである。」ということが書いてある。これほどの内容の文書を、何ゆえに閣議の決定を経ずしてわれわれに配付されたのであるか、この点について大蔵大臣の御説明が願いたいのであります。  言うまでもなく、憲法六十六条には内閣は国会に対して連帯の責任を負うということが書いてある。われわれは政府予算審議している。この予算審議の実権は国権の最高機関として最も重要なものの一つであると思う。最も重要と言うことは差し控えますが、最も重要なものの一つであると思う。この予算審議の席上に特に閣議の決定を経ない文書を配付されたことは何ゆえであるか、この点について大蔵大臣から特に御説明を願いたいと思います。この説明のいかんによりまして、私ども議事進行について相談をしてみたいと思いますので、この点議事進行に関する緊急質問として伺いたいと思います。
  8. 牧野良三

    牧野委員長 ただいまの小坂苗太郎君の議事進行の発言は、お聞き及びの通りでありまするが、これに関し政府においては御発言がありますか。
  9. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 大へんごもっともな御指摘でありますが、ただいま本予算がなおせっかく編成の途次にあります。事務的にもまだ十分にまとまっておりませんので、はなはだ残念に存ずるのでありますが、数字的なものを出すことができないのでございます。しかし、やはり暫定予算の御審議にできるだけそういう数字を示せということでありましたので、今日の段階でできるだけの範囲の数字を入れまして、そうして私の本予算編成に対する基本的な構想としまして配付したものであります。さよう御了承願えれば幸いと存じます。
  10. 小坂善太郎

    小坂委員 実は、その予算編成の途次にあるということは新聞紙を通じても承知しておるのであります。しかしこれは内閣ができましてからすでに百日になるので、いろいろ御弁解もありましょうが、このことについてはまたあとで伺います。いずれにいたしましても相当基本的な構想というものをお出しになる以上、その背後にある数字については御検討になっておることと思う。その数字をそのまま出世ということも、私はあなたができないとおっしゃるものを出せと言っても仕方がないと思いますが、できるものを出さないということはあまりにひどい。前年度の予算数字を善くということはだれにもできる。こういう数字はなくてもいい。  それからもう一つ伺っておきたいのは、こういうふうにわかり切ったことをなぜ閣議で決定されないでわれわれの議場に配付されたのか。私は一片の私見を大蔵大臣から伺いたいと思っていない。
  11. 牧野良三

    牧野委員長 この点に関しまして委員長より……。
  12. 小坂善太郎

    小坂委員 私は大蔵大臣の答弁を要求しております。
  13. 牧野良三

    牧野委員長 委員長より昨日の理事会の内容について申し上げておきます。昨日の理事会の協定におきましては、昨日の状態において明らかにすることのできる事実を明瞭にしてほしいということでありました。閣議の決定を経ていないということもそのままの事実でございます。また与党との調整はまだできていない。従って閣議を経ていないという事実をそのまま率直に大蔵大臣が述べたということだけは了承していただきたいと思います。
  14. 小坂善太郎

    小坂委員 私の言うことを少し曲解していらっしゃると思うのでありますが、私は何も審議の過程にあるものをさらに進めたものを出せということを申しているんじゃないんです。審議の過程にあるものならあるものでよろしいんです。そのままの状態でよろしい。なぜ内閣の責任を持った文書であるということを明確にしないかということです。内閣は連帯して国会に対して責任を負うんです。一萬田君の私見を私どもが聞いても何にもならぬのです。これは内閣の責任ある文書として予算委員会に御提出にならなければ意味がないと思うんです。何ゆえに政府はその措置をとられないのか。   〔「理事会々々々」「答弁々々」と呼び、その他発言する者多し〕
  15. 牧野良三

    牧野委員長 大蔵大臣御答弁になりますか。
  16. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 あるいはまた先ほどのことを繰り返すことになるかもしれませんが、昨日の御要請に基きまして、できるだけのことをして出せと、こういうことで、できるだけの数字を――まだこれがどういうふうに今後変るかもしれません。方針としては責任を持つのでありますけれども、なお今折衝の本予算数字であるのでありますから、これは今なかなか無理なのでございます。そういう点について御了承いただきたいと思うのであります。
  17. 小坂善太郎

    小坂委員 驚き入った御答弁でありまして、私どもさようのことならば御説明を承わるまでもなく承知をしておる。そういう理由は、そういうものであるという事柄の筋は承知しておるのであります。しかし私どもは責任を持った文書をいただかなければ、私どもの昨日の話合いの趣旨に反するのであります。政府がさような態度をとっておられるならば、私どもは、委員長において暫時休憩せられて、理事会等において御相談せられんことを望みます。(発言する者あり)私ただいま理事会のことを申したのでありますが、諸君の意見は、委員各位の意見は、理事会を開くまでもなく、この問題については、政府において閣議を開いて責任ある文書としてあらためて本議場に提案すべき責任がある、かようなことでありまするから、そのように訂正いたします。
  18. 牧野良三

    牧野委員長 昨日理事会において協定いたしましたのは、責任ある文書ではあっても、それは内閣としての責任ある文書を明らかにせよということではなかった。参考となるべき資料を提供せよ、そういう……。(発言する者多し)それは理事会の協定であります。(発言する者多し)理事会の協定であります。
  19. 赤松勇

    赤松委員 先ほどの理事会におきまして、小坂善太郎君より議事進行に関して発言をしたいという申し出がございました。そこで私ただちに理事会におきまして中曽根理事それから上林理事、この二人の理事に、本予算大綱なるものは政府において閣議の決定を見ていないと書いてあるが、責任は持てるものであるかどうかということ、その点についての明確な御答弁を要求したいということは、理事会で了承済みなんであります。従いまして、その了承済みの了解に基いて大蔵大臣の発言を求めておる。理事会の決定なんです。従って本予算委員会において、満場一致理事会において決定した線に沿って、大蔵大臣より責任ある御答弁をお願いしたい。大蔵大臣より特にこの点を明確にしてほしい。それはもしここで即座に言明ができなければ、一度閣議でも開いて、このことを相談してもらう。この時間の余裕はわれわれは十分に与えてよろしいと思う。どうぞ委員長においてよろしく取り計らっていただきたい。
  20. 牧野良三

    牧野委員長 ただいまの赤松勇君の発言に対して、政府より御答弁がありますか。
  21. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 昨日の御要請は、あのときにおいてできるだけのものでいいからということで、それで私はああいうふうに提案をいたしたわけです。それがまた違いますれば、私の聞いたところはまた違うということになるのでありますが、あの書類はそういうことに基いておるということを申し上げておきたいと思います。
  22. 赤松勇

    赤松委員 それでは私この際内閣総理大臣にお尋ねいたします。大蔵大臣よりただいま予算大綱をわれわれ予算委員に提示をしていただいたのでございますが、内閣総理大臣としましては、むろんこれは実行の意思のないものをばお出しになるわけはない。従いまして、本委員会に配付されました以上は、当然政府は実行するという前提の上に立っていると思うが、この点について内閣総理大臣の責任ある御答弁をお願いしたい。
  23. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 大蔵大臣からこういう書面が出るということは承知しております。閣議という形式は踏みませんでしたけれども、大蔵大臣の責任においてこの書面を出すということは、内閣の認めているところであります。
  24. 小坂善太郎

    小坂委員 私は、この文書が内閣から出る以上、これが内閣の責任において出されたものでなければならない、こういう趣旨を申し上げたのでございますが、それに対しまして、大蔵大臣の御答弁では了解できなかったのでございましたが、ただいま総理大臣から、閣議の決定は経なかったけれども、閣議と同様の効力あるものとしてこの文書を認めておる、こういうお話がございましたから、これによって了承いたします。
  25. 赤松勇

    赤松委員 本予算大綱に関する大蔵大臣の所信を一つ明らかにしていただきたい。この説明をやっていただきたい。これを要求しているのです。もし要求しても委員長お取り上げにならなければ私は動議を出します。
  26. 一萬田尚登

    ○一萬田国務大臣 お手元にあります三十年度予算骨格に関しまして、私の考え方を申し上げます。  まず第一に、三十年度の一般会計予算につきましては、一兆円のうちで予算編成する、かように考えておるわけであります。このワクのうちでいろいろとお約束もしております重要施策を重点的に取り上げて、これを予算の上に具現をしよう、かように考えておるわけであります。財政の投融資、これがまた今日におきまして健全財政を堅持する上において一つの大きな目安であるのでありますが、これは前年度の計画額、これに今回は余剰農産物の見返り資金、これができました場合においてこれを加えまして、財政の投融資をしよう、かように考えておるわけであります。  さらに住宅、これも十年間に平均というわけでなしに、十年のうちに大体住宅についてそう心配せぬでもいいような解決方法をとりたい、こういうように考えておるわけであります。これは三十年度におきまして、大体四十二万戸に相当するものができればいいだろう、こういうふうに考えております。  なお今日中小企業あるいは勤労者それから農家等の低額所得の方々は、特に今日の財政経済の施策を実行する途中におきまして、特に負担が多いことになるので、こういう低額所得の方の所得税に減税の措置をとる等、その他税制について改善を加える、こういうふうに考えております。  なお同時にまた失業者は現実にふえておりますので、失業対策費というものは、従来よりも重点的に計上すべきである。こういう考え方を持っております。  なお日本の財政を健全にし、経済を立て画し、さらに国民生活の安定をはかって行く方法としては、何としても輸出を振興することに持っていかなければなりません。ですから、輸出の振興ということについて、特に考えを加え、これに対しましては金融並びに税制の上からも適当な措置をとりたい、かように考えております。  なお今問題になって、とかくいろいろと言われております防衛費につきまして、これは防衛庁費と防衛分担金とを合計いたしまして、防衛支出の総体が前年度のワク内に納まるようにするということが基本的な考え方でありまして、これが実現するように、今防衛庁費の予算及び分担金につきまして、関係方面とそれ、それ交渉をいたしておる、かような状況であります。その他いろいろここに書いてありますが、大きい骨子は大体そういうところであるのでありまして、御了承を得たいと存じます。
  27. 牧野良三

  28. 犬養健

    犬養委員 私は自由党を代表いたしまして、外交に関しまして鳩山総理大臣、並びに要すれば重光外務大臣に対して、若干の質疑をいたしたいと存じます。  鳩山総理大臣が御病気御全快といえども、老躯をひっさげられまして、国政の掌理に当っておられまして、ことに国交の調整ということに対して尽瘁しておられる、この御苦労に対しては多とするものでございます。しかしながら国交調整、ことにソ連邦との国交正常化に当られましたときにとられた手段につきましては、すこぶる異例なものが多々ございまして、これがために諸外国、ことに鳩山総理大臣並びに重光外務大臣が常に外交の基本としておられます米英等自由国家群にも少からざる誤解を招いておる点がございますので、この点は私ども深く憂慮しているのでございます。鳩山総理大臣といたしましては、さぞかし一々それについての理由があることと存じます。この点についてただしたいと存じておる次第でございます。何とぞ明快にして率直なる御答弁をいただきたいと存じます。  ことに私ども最も憂慮をいたしておりますのは、諸外国における反響が、二元外交であるがごとき批評も出ております。さらにその二元外交が、深くたくんだところの、共産主義国家群にも自由主義国家群にも、それぞれ手分けをして親善をしておる。しかも根本においては英米基調を唱えておられる。この矛盾に対して、鳩山総理大臣がおそらく当初意図しておられるよりもなお一層大きい誤解を招いている点を、国家のために憂慮しているのでございまして、この点について特に御説明をいただきたいと思うのでございます。  第一に伺いたいと存じますのは、去る一月二十五日の朝、ソ連邦の官吏であるドムニッキー氏が、同じく他の官吏、名を伴いまして鳩山総理大臣の私邸を訪問せられて、日ソ間の国交正常化に関して申し入れをし、またこれに関する文書を手交せられたということは、当時、その後において外務省でも御発表になった通りでございます。右の文書が日付もなく、あて名もないという点におきまして、いささか通常国際外交上行われているやり方と類を異にしている点において、内外ともに一極の衝動を受けたことは御承知の通りでございます。しかしこの異例な手続を一国の最高の責任者、かけがえのない最高の責任者たる総理大臣がみずからこれをお受け取りになった、面会してお受け取りになったことについては、さぞかし総理大臣として理由も御事情も説明したいと思っておられる点があると存じますので、一応これについての御説明をいただきたいと思います。
  29. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。一月二十何Hかにドムニッキーが持って参りました書面には、御承知の通りに日付もあて名もありません。文書は普通の形式をとっておりませんけれども、ソビエトがそういうような意思があったということには、ドムニッキーの口頭による説明によりまして私は一応了解したものですから、文書は外務省に時を移さず届けまして、そうして中身を私はよく見ませんでした。そのくらいに早く外務省に届けて、外務省から処置を取ってもらいたいと思ったのであります。
  30. 犬養健

    犬養委員 お受け取りになりました総理大臣の御心事は確かにただいま承りました。しかしながら鳩山総理大臣は一国の最高責任者であられまして、かけがえのない最高責任者であられます。従って、説明をお聞きになって鳩山総理大臣自身は御了解をなさったと伺っておりますが、日付もあて名もない文書を直ちにお受け取りになって、そうして外務省にあとで委譲するというようなことについては、世間においても多大な疑念を抱いておりますし、私どもも、遺憾ながらそれだけでは了解しかねるのでありますが、外務省と事前に、おれが受け取るとか、あるいはおれ自身が受け取る方が国家のためによいというようなお打ち合せがなかったのでありますか、それともあったのでありますか、この点についてお答えを得たいと思います。
  31. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。文書を受け取りましたことについては、ドムニッキーの説明において了解をしたのでありますが、果して私の考えた通りに、やはりあの文書はソビエトの政府から正式に出たものである。その後ソビエト政府は、交渉の場所についてもまた手紙を持って参りまして、ニューヨークでもどこででも、日本の望む所で会談をしようというような正式の手紙も参りましたから、やはり最初の手紙は本物であったということが証明されておりますから、御心配になる必要はないじゃありませんか。
  32. 犬養健

    犬養委員 心配の要がなければ御質問もいたさないで済むのでありまして、まことに国家のためにそれは喜ばしいのでございますが、御承知のように、内外の反響は心配の状態を表わしているのでありまして、従って、まことに御苦労千万とは思いましたが、あえて御質疑をいたしている次第でございます。  そこで重光外務大臣に伺うのでありますが、長年外務省の事務に通暁しておられる大臣でありますから、このようなことは異例とお考えになりますか、それともごくありふれたことであり、ごく自然なことであるとお考えでありますか、率直なお考えを伺いたいと思います。
  33. 重光葵

    ○重光国務大臣 さようなことば、特に異例と申すわけのものではないと考えます。
  34. 犬養健

    犬養委員 これはまことに驚き入った次第でございます。私は鳩山総理大臣がいかなる国とも国交の正常化をはかりたい、この御熱意に対しては多とするものでございます。しかしながら、それにはそれなりの一国の品位を保ち、権威を保つ手段というものがあると思います。私は、あえて頭から何でも断わってかかれと申し上げておるのではございません。何ゆえに一国のかけがえのない最高責任者が、そこに最初にして突如たる申し入れをみずから折衝してお受け取りになったか、これについて御感想を伺いたいと思うのであります。
  35. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。私はドムニッキーの説明を聞きまして、これは、やはり交渉に臨んだ方が日本のためになると思ったのであります。そしてあなたは、このソ連との国交を調整しようということが、アメリカその他に非常な悪影響を及ぼしたようにおっしゃいますけれども、そういうおそれは、私はなかったと思っております。
  36. 犬養健

    犬養委員 これも遺憾ながら私は、全然違う考えを持っております。またその材料もございます。  そこで重光外務大臣に伺いたいのでありますが、かかる場合、あるいはこれに類似した場合は過去のわが国の外交史にもございました。そういう場合は、民間の志ある者が他国の志ある者と相談をいたして、事が熟して、いよいよ慎重に協議を重ねて、これならば政府の手に渡してもよいという時期になって、正式に政府の交渉に移譲した例はございます。また、突如として申し出られたこのドムニッキーの文書を一国の総理大臣がみずから最初にお受け取りになることについて、総理大臣と外務大臣との間に意見の相違のあったことは、世間周知の事実でありまして、重光外務大臣がその後新聞にしばしば感想を述べておられる点からいっても、明らかに意見の相違があったわけでありますが、何ゆえに、国交を調整したいという精神の上に立ちながらも、まず民間の志ある者、あるいは重光外務大臣の代理として信用できる者を使うというようなことをなさらなかったのでありましょうか、率直な意見をお伺いたいと思います。
  37. 重光葵

    ○重光国務大臣 お話の通りに、さような場合において、民間の人をわずらわしてまず用意をして、それから政府において取り上げるというようなことをやる場合はたくさんございます。これは犬養さんも、そういうことに、御経験があると思うのです。しかし今総理も言われる通りに、かような重要な問題についてそういうことが起ったのでありますから、それで、総理は、これを取り上げてやることが国家のためにいいことだと、こう考えられて判断をされたのでありますから、私としては全然その通りだと、こう申し上げておきます。
  38. 犬養健

    犬養委員 まことにお苦しい御答弁で、御心中はお察しするわけであります。私もあなたとともに、かって隣国との国交調整に苦心したこともございます。また鳩山総理大臣に、対ソ国交正常化についてしばしば意見を述べられました杉原君も、当時辛苦を共にした仲であります。これらの隣国あるいは外国との非公式な折衝によって、まず一国のかけがえのない総理大臣最後の取っておきにして、代理というものがそこに折衝するという方法をなぜとられなかったのでありましょうか。なぜそれがさしつかえがあったのでありましょうか。その点について、もっと具体的にお話を伺いたいと思います。
  39. 重光葵

    ○重光国務大臣 それは、そういうような手段をとるような余裕はございませんでした。
  40. 犬養健

    犬養委員 余裕がなかったとおっしゃいますが、どうしてそれだけの時日が惜しいのでありますか。外国では御承知のように、これは総選挙のための急いだ手段であるということを、一つの国のみならず、二、三の国の重要な代表的な新聞が堂々と、あるものは社説で書いております。これについて、何ゆえにそのようにお急ぎになったのでありますか、まず外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
  41. 重光葵

    ○重光国務大臣 私は、この問題を総選挙のために使うというような考え方を、外交当局として少しも持っておりませんでした。事の起ったまま順調にこの問題を取り上げて参った次第でございます。
  42. 犬養健

    犬養委員 次に総理大臣に伺いたいのでありますが、何ゆえに――今外務大臣が言われたように、即刻急を要する、重光外務大臣ともろくに相談するひまも惜しいというような、ただちにあなたが折衝しなければならなかったような御事情はどこにあるのですか、一つ御教示を願いたいと思います。
  43. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。受け取った口に遅らす理由はありませんでした。
  44. 犬養健

    犬養委員 今の御答弁の意味がわかりませんので、もう一度御教示を願いたいと思います。
  45. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。受け取りまして、これは早くやった方がよいと思いまして、即日外務大臣に届けたのでありまして、そのときは、選挙のことなどは少しも考えませんでした。ただ、ソ連や中共と国交調整をすることは非常に必要だと思って、前からソ連との国交調整をしたいと思っておりましたときにそういう話があったものですから、これは早く重光君にやってもらった方がよろしい、私の手元に置いておきますとかえってアメリカに誤解が生ずるから、直ちに、アメリカにも同時に――ソ連から文書が来たということを、きょうじゅうにアメリカの大使にそう言って下さいということを重光君に言いまして、その書類を渡したのであります。私のふところに置いておいてソ連と交渉するということは、じんぜんとして日が過ぎますと、むしろアメリカに疑いを受けると思いましたから、即日にしてくださいと、アメリカとの誤解のないように注意をしたつもりであります。
  46. 犬養健

    犬養委員 何度も同じことを伺ってまことに私も不本意でありますが、総理大臣は、受け取ったあと急いで処理したというお話ばかりが出ておるのでございまして、何ゆえに急いで代理の者と非公式に、慎重に手がたく相談をするという余地を与えずに、かけがえのないあなたがみずから飛び出してこれを受け取られたかということについて、だれも合理的な理由を発見することはできないのであります。その点について、もう一度お答えを願いたいと思います。
  47. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ただいま申しました通りに、これを私の手元に置いておいて、そうしてだれかと相談をするというようなことは、かえってアメリカに対して誤解を与えるおそれがあると思ったので急いだのであります。
  48. 犬養健

    犬養委員 総理大臣は、馬島們君、日ソ関係の民間の有志団体の代表者その他に面会されたときに、アメリカに気がねする必要はないと申されて、これが鳩山内閣の自主外交の特徴ある言なりとして印象づけられておられるのでありますが、今のことを伺いますと、早く手元から離さないと、アメリカにも誤解が起るというお話でございまして、アメリカのことを相当気にかけておられることを初めて了承いたしましたのでございます。しかしまことに遺憾でございますが、総理の御答弁は全く見当違いであります。受け取ったあとでなく、かような日付もあて名もない、そうして厳密に申せば、今公的な資格を失っている外国の官吏が突如としてあなたに、外務省にではなく、あなたの私邸において、一国の運命に重大関係のある書類を渡すということに、なぜ御自身が飛び出されたのであるか。今の重光外務大臣のお話から聞くと、相談の余裕もなかったというような、それほど余裕がなかったという事情がどこにありますか。これは鳩山内閣以外の者のすべての者が了解できない点でございます。念のために申し上げますが、この問題について日ソ関係の正常化を望んでいる人々といえども、あなたがまず最初にみずから折衝の相手となられたことについての軽率さについては、まことに痛嘆をいたしている点でございます。従って私がただ意地悪に伺うというのではなく、これらの憂慮をする人々、いろいろ私のところにも手紙が来ております。山間僻地からも来ておりますが、それらの人々も納得するような、かけがえのない、民主党の総理大臣でない、博さんの日本国民全部の大切な総理大臣が、みずから何ゆえに飛び出したか、その点について当を得た御答弁は一つもないのでありまして、まことに不本意でございますが、もう一度この点について、受け取ったあとの説明ではありません、受け取る前の御熟慮に対して御説明を順いたいと思います。
  49. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。私はドムニッキーと話合いをして、ドムニッキーの言を信じたのであります。
  50. 犬養健

    犬養委員 鳩山総理大臣から、意見の相違はあっても、もっとまともなお答えを得られるかと深く期待しておりました。まことに遺憾に存じます。  重光外務大臣に伺いますが、あなたは私どもの過去の経歴にも言及されまして、そういう手段もしばしばあると是認をしてお話になりました。この際、何ゆえにそのような態度がとれなかったのでございましょうか。あなたがまことに大きい負傷をなさったあの日華事件のときも、満洲の宗主権を中華民国に返して、そうしてそのかわりに、五分・五分の経済合作をあの地において行おうという、重大な決意をわが方がいたしましたときも、御承知の通り、まずわが方の総理大臣が飛び出すというような軽率なこともなく、また中華民国の主席を要求するというような軽率のこともなく、両方で熱烈にして純情な民間の有志が話し合いまして、事は破れましたけれども、互いに信じ合って九分通り事を仕上げたことはよく御承知の通りであろうと思います。そういう手段がなぜとれなかったか。あのときも御承知の通りに、日華事件の戦火は広がっておりまして、一刻の猶予も置いておけないというような時代でありましても、なおかつ二国間の国交正常化に対しては、このくらい慎重に心魂を傾けたわけであります。何ゆえに突如として起った話が――あなたがみずから総理大臣を矢面に立てないで、代理の者を立てるだけの研究の時間がなかっということは、どうしても私には納得できないのであります。どうか明瞭なるお答えを願いたいと思います。
  51. 重光葵

    ○重光国務大臣 この問題について今犬養君のおっしゃったような、過去にとったような手段、これは私もよくはっきり記憶はいたしておりませんが、私に関係のあったことのようでございまして、さような手段をとることが非常にいい場合が多々あると思います。しかしながら必ずしもそういう手段によらなければならぬ、またよった方がいつもいいということも言えないと思います。そこで事件の起ったところによって最善の処置をとる、こういうことは、これはそのときの当事者にまかせるよりほかにしようがないと思います。そこで私は今鳩山総理の言われた通り、かような重大な問題で、平和に貢献するという問題でありますから、機会が来たときに総理が判断をされて、それに対処されるということについては、それはけっこうな処置であった、こう考えておる次第であります。
  52. 犬養健

    犬養委員 まことに驚き入った御答弁でございまして、外交の当事者というのはあなたでありまして、総理の御判断にまかせるよりほかはないというならば、外務大臣は要らないということになるのであります。今後といえどもそれでは資格不明の人が、あて名も日付もない文書を持って来ても、再び当事者のあなたが扱わない方がいいのであって、総理大臣みずから直接当った方がいい場合が鳩山内閣においてはあり得ると解釈してよろしゅうございますか、御答弁を願いたい。
  53. 重光葵

    ○重光国務大臣 私は憲法上の職責の上からいっても、総理大臣の考え方を最も重んずるべき地位に外務大臣といえどもあると思います。外交方面のことについて、私が自分の考えによっていろいろ総理を補佐するということは当然のことであります。これはやりたいと思います。またやっているつもりでございます。この問題は、そういうふうにして卒然として起った問題について総理が判断をされて、さような大局からこれを取り扱ったのであります。そこでその跡始末については、私は総理の意向も体し、すぐアメリカの誤解が起らないように手段をとっておるのであります。その経過を御報告申し上げます。
  54. 犬養健

    犬養委員 当事者たる外務大臣があとに控えていて、総理大臣がまず折衝して、その跡始末をするのが外務大臣である、こういう御解釈でよろしゅうございましょうか。これはまたあとにおいて同僚の質問の材料になりますので、一応お伺いをしておきたいと思います。
  55. 重光葵

    ○重光国務大臣 私の考えは先ほど申し上げた通りでございます。
  56. 犬養健

    犬養委員 そこでさらに伺うのでありますが、外務大臣は、ドムニッキー氏が鳩山総理大臣の私邸をたずねて文書を渡したあとの記者会見において、しばしば、これはドムニッキー氏の資格及び持って来た文書の資格がはっきりするまでは何とも言えない、その前には慎重な態度をとらざるを符ないと述べられておりました。ここに材料もあるわけでございますが、この御感想に今も変りはございませんか。
  57. 重光葵

    ○重光国務大臣 その当時の考え方は、大体その通りであります。大体私の考え方を伝えておるものと今も考えております。従いまして、その書類については、最も慎重に処置しなければならぬと考えております。
  58. 犬養健

    犬養委員 法的な資格がはっきりするまでは慎重な態度をとらざるを得ないという御答弁に承わりました。そのような種類の文書を、なぜあなたの上司であり、政府の最高責任者である総理大臣にまず扱わせたのでございましょうか。この点について、また新たな疑問が起りましたので、外務大臣にお尋ねいたします。
  59. 牧野良三

    牧野委員長 外務大臣より答弁がございません。
  60. 重光葵

    ○重光国務大臣 御質問の趣旨がわかりません。
  61. 犬養健

    犬養委員 このくらいのことは、答弁がないというのはまことに迷惑千万であります。あなたはドムニッキー氏の持って来た文書の法的資格がはっきりするまでは、わが外務省としては慎重な態度をとらざるを得ない、こういう御答弁であります。それが当然である、当然なのです。それほどの種類の書類をほかの人に扱わせるというならばまだわかりますが、最高の責任者である総理がこれを扱ったということについて、まことに、何とも感じない、当然だ、こうお考えになるのでありましょうか、これを一応伺っておきたいと思います。
  62. 重光葵

    ○重光国務大臣 この書類が来たことは、今お話によると、いかにも書類が来るまでに、いろいろ私どもがその書類について細工でもするような余地があるようなふうに言われたように思いますが、実はそういうことはなかったのであります。これは向うがすぐ持って来て、それを総理が受け取られた、そうして私が処理したのでございます。そういうわけでございますから、その間に何も細工はございません。
  63. 犬養健

    犬養委員 だれも細工なんということは言っておるのじゃございません。まことにあまりに答弁になっていないので、次の質問がしにくいくらいのものでございます。実は私はあなたの御心事をよく知っております。その根拠は私はここに申し上げません。しかし私はあなたがあの文書について非常に慎重な態度、ちゅうちょをせられた御心理は理解しているのでございます。従って私は、あなたの答弁を心中に見ております。これ以上このことは申し上げないつもりでございますが、私が国のために憂慮しておる点は、よく肝に銘じてお感じ願いたいと思うのであります。  次に鳩山総理大臣に伺いたいのでありますが、新聞の伝えるところでございますから、ことごとく表現が当っておるとも思えない点がございますので、もし御弁明の余地がありましたら、ここで御説明を願いたいことがあるのでございます。それはソ連の共産主義に対するあなたのお話が一、二の新聞に出ておりました。大体同じ表現で出ておりますので、その通りのことを言われたのではないかと、われわれは想像しておるのでございます。それはどういうことかと言いますと、いかにも鳩山総理大臣らしい率直さがありまして、その場のジョークとしてはなかなかおもしろいと思われる点でありますが、しかし国民はそういうユーモアとしてとらずに、その点についていろいろ深い憂慮を巻き起しているのであります。それはドムニッキー氏が初めて訪問しましたそのあとの記者会見におきまして、ドムニッキー氏に対して共産主義の宣伝は困るよと言ったところが、それはしませんと言ったんだ。従ってそういうことはないと思う。こういうまことに無邪気にして明朗なお話なのでありまして、あなたのよい半面を私は感じると同時に、また一国の総理大臣としてはまことにこれは簡単しごくなお話であろうと考えるのであります。従ってこのことについてさらにここにおいて、本委員会において御説明を願いたいと思います。
  64. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えいたします。私はドムニッキー氏が日本と国交調整をしたいというようなお話があったときに、われわれはソビエトと国交を調整していい機会だと思っている。ソ連が日本に来て共産主義の宣伝までされては困る、そういうおそれがあってはどうも国交調整をするということも考えなくちゃならないが、日本に来て共産主義を宣伝するような企てを持っているのではありますまいねと言いました。それからなお歯舞、色丹等の領土の返還も日本は要望するであろう。そういうような事柄についても考えてもらわなくちゃならない。また未帰還の抑留者や戦犯者も帰してもらわなくちゃならぬが、そういうような話もする機会ができるということは、日本においても非常に望むところであるから、そういうことができるのならば進んで国交調整に努力をします。こんな話をしたのであります。向うは承諾する権利も何もございませんけれども、外務大臣もマレンコフも知っておると言いますものですから、私も国交調整をしてひどい目にあっても困るから、その国交調整をしても、無条件に国交調整をするのではないということを、一応言っておく必要があると思いますから、一応それだけは発言をした次第であります。
  65. 犬養健

    犬養委員 まことに冗談としては、ジョークとしては実に明朗で、私もあなたに親しみを感じます。しかしながら、私はここに一つ直剣にあなたと共産主義の問題についてお話をいたしたいと存じます。  私がもしもほんとうに純粋にして、真剣な共産主義者ならば、共産主義化したときにその人たちの一番理想な世界ができると信じているものと思います。ただそれを急ぐあまり、現実の各国間において確執が起る場合は、またその目的にそごを来たすことでもあるし、目の前に要らざる一つの紛争が起るもの不利益である。あるいは自分の心にない結果になると思うときは、共産主義者はこの戦法を緩和しまして、そして国交調整ということでもって、世界の各国間のバランスを保つ場合が多々今までにあったことは御承知の通りでございます。従って共産主義者が真に真剣な共産主義者ならば、自分が一番いいと信じている共産主義の実現が、朝から晩まで一刻たりとも念頭から離れるはずがない。離れればそれは真実な共産主義者じゃない、こう私は考えているのでございます。しかしそう考えておりましても、各国間におきましては、国と国との平和状態というものを望んでおりますし、ことに人類にとって危険な兵器――鳩山総理は、先日原爆の貯蔵についていろいろ質疑応答の矢面に立たれたのでありますが、ああいうまことに人類の不幸になるほどの非常な激しい兵器がここに生まれました時代になりますと、なおさら各国間におきましてはお互いに共産主義者は資本主義の弱点、あるいは特徴というものを研究し、自由国家群の人は、共産主義の弱点や特徴を研究して、万事承知の上で親密関係を結んでいるわけでございます。ダレス・アメリカ国務長官が近ごろ使い始めました競争的な共存、つまりただ共存するのじゃない、両方に、自由国家群は自由国家群のあらゆる国力を用いて発展を目ざしながらも、しかしその思想の全然違う共産主義世界に対しても共存の手を一方打っていくというやり方が、私がただいま平たく申しました万事承知の上で、イデオロギーの違う共産主義国家と親善関係を結ぶということになるのだろうと思います。  鳩山総理大臣は読書家をもって世の中に有名な方でございますから、多分お読みになったことと思いますが、ルーズヴェルト時代には共産主義国家が六〇%くらい、一〇〇%でなく六〇%くらい共産主義理論を引き下げてくれ、そうして資本主義国家、あるいは自由国家群がやはり一〇〇%の資本・主義でなく、六〇%くらいの資本主義に引き下ったならば、世の中はうまくなるというようなことを人に話したということを私は読んだことがありますが、直接の伝記で読んだのではありませんから真偽は知らないにしても、しかしあり得る考え方でございます。これについては遺憾ながらルーズヴェルト大統領は失敗したと言わざるを得ません。その後に起りました考え方が、共産主義は朝から晩まで世界を共産化することを最後の理想として努力していることは承知の上で、しかし自由国家群は万事承知の上で、目の前の親善関係にあらゆる努力をするという時代に入っていると思うのであります。これに比べまして、あなたの今のお話は、ドムニッキー氏に共産主義の宣伝は困るよと言ったら、しませんと言ったんだというだけで事が済むと思っておられますと、まことに私どもは憂慮にたえないのでありまして、この点について総理のお考えを伺いたいと思います。
  66. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 犬養君のおっしゃる通りです。万事承知の上で、そうして親善関係を結ぶということが必要と思います。私は何もドムニッキーが承諾をしたからこれを守るとは思いませんけれども、そういうことは言わなくても大体わかっておるでしょう。
  67. 犬養健

    犬養委員 私の誤解だけならばそれは事は簡単でございます。しかし先ほど申し上げましたように、あなたが友好関係を最も親善に結び、そうして日本の外交の基本にしたいと言っておられます。米英諸国との親善関係のその諸国において、あなたの御行動については多大な疑惑が起っているのでございます。まことにこれは残念なことでございます。民主党内閣だからりゅういんが下るなどというけちな考えは持っておりません。まことにこれは残念なことでございます。ことに一内閣の成功失敗ならばまだいいのでありますが、ある外国の政治雑誌は日本人という名前であなたのとられた外交の行動について、手きびしい批評を書いております。日本人の中立はすばしこい中立であって、共産主義国家からも利益を得、自由主義国家からも同時に利益を得ようとするすばしこい中立だと書いているのでございます。こういう誤解が、日本民族に対して日本人はずるいやつだというふうに、あなたの御行動から日本人全体を結論づけられるということはまことに残念でありまして、この点について御感想を伺いたいと思います。
  68. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 毀誉褒貶のあることはしかたがありませんが、とにかくソ連や中共と国際関係を正常化するということが、世界の第三次大戦を避くる上に最も有力な原因になると思いましてやった次第であります。
  69. 犬養健

    犬養委員 このことについては最後にまた私の考えを申し上げ、また総理大臣の考えも承りたいと存じます。  そこでただいまのように万事承知の上でやっているというお話で、まことにけっこうでございますが、それならば国内の治安組織とかあるいは社会政策などということについて、日ソ国交正常化に伴って何か変化を要すると思っておられますか、あるいはその必要なしと思っておられますか。これは後刻同僚の質問の材料のためにも承っておきたいことであります。
  70. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 どういう変化が生じますかは、国交調整された後によく事実をきわめまして、善処したいと思っております。
  71. 犬養健

    犬養委員 それも一つのお答えと承わっておきます。
  72. 牧野良三

    牧野委員長 時間は六時十分過ぎましたが、適当に御考慮をお願いいたします。
  73. 犬養健

    犬養委員 次に伺いたいのでありますが、中ソ友好共同宣言というものがあるのは御承知の通りでございます。過日あなたに面会を求められましたドムニッキー氏の持って来ました文書には、中ソ友好共同宣言について言及をしております。この内容につきましては御承知の通りサンフランシスコ条約がポツダム宣言の破壊を行なっているという意味が書いてあるのでございますが、この中ソ国交正常化に際しまして、あなたはこの点についてソ連側にだめを押されたことがございますか。それともただ先ほどおっしゃったように共産主義の宣伝はしないという会話におとどめになったのでございましょうか。この点を伺いたいと思います。
  74. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 先刻お話をしただけであります。その他においてはいたしませんでした。
  75. 犬養健

    犬養委員 重光外務大臣に伺いたいのでありますが、日ソ国交正常化というわが国にとってすこぶる重大な事態に際しまして、つい先ごろソ連側において中ソ共同宣言の趣旨に基いてこういう意思表示をしましたときに、このことについて何ら外務省として先方の意見をお尋ねになったことはございませんか。
  76. 重光葵

    ○重光国務大臣 先方の意見を確かめる手段はとりませんでした。
  77. 犬養健

    犬養委員 それはまたどういうわけでございますか。これだけの重大なことを、しかも先方が中ソ共同宣言の精神を日本側に言ってある、こういう前提のもとに国交正常化を言って来たのに対して、まだ何も言っていないというお話でよろしいのでありましょうか。
  78. 重光葵

    ○重光国務大臣 中ソ宝寿はもうはっきりと向うの方で公表しておる文書であります。この文書をそのまま読んで、そしてそのままの意味、それがどういう意味であるかということは、十分に研究をいたしました。しかしこれについて特に問い合せるようなことはいたしませんでした。
  79. 犬養健

    犬養委員 鳩山総理大臣に伺いたいのでありますが、日ソ国交正常化はサンフランシスコ平和条約体制を堅持してのお話でございますか。サンフランシスコ平和条約というものの体系をそのまま維持しながら、日ソ国交正常化をなさろうというのでありますか。
  80. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 もちろんさようであります。
  81. 犬養健

    犬養委員 それならばそれに対して重大な支障を来たすところの中ソ共同宣言を引用したかの方の言い方に対して、だめを押さないでいいというお考えでございましょうか。
  82. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 とにかくソ連代表と日本の代表とが話し合ってみなければ、どういうような発展をするかわかりません。
  83. 犬養健

    犬養委員 そうするとすべては今後に待つ、こういうお考えでございますか。
  84. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 そうです。会議をしてみなければどういうような問題を向うが出すかは不明ですから、あらかじめこちらでそういうことをすることはできないんです。
  85. 犬養健

    犬養委員 まことに残念でございますが、そういうお答えだとまた質問が延びるわけでございます。日ソ国交正常化を向うが呼びかけたときに、黙って呼びかけたんではございません。ただし書きがあります。中ソ共同宣言というものをわがモロトフ外相も言っておる、従ってこれに基いてやるのだ、こういうことに対していずれニューヨークでやればいいんだ、こういうことではまことに国民は不安に思うのであります。この点についてはなぜだめを押されなかったのでございましょうか。総理大臣、恐縮ですが、もう一度お答え願いたいと思います。
  86. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はドムニッキーの持って来た文書に基いて会議を開くような段取りに進んだのでありまして、進んでみて談判をしてみなければ向うの真意が知るに由なしであります。
  87. 犬養健

    犬養委員 そこでさらに一歩進んで伺いたいのでありますが、日ソ国交正常化というのはどういう目的でございましょうか。
  88. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 たびたび申しましたが、とにかくソ連や中共とは、戦争状態終結未確定の事態なんでありますから、戦争状態終結未確定の事態に置いておくことは、第三次世界大戦を誘発する一つの原因になると思いまして、そういう状態を脱却いたしたいと思ったのであります。
  89. 犬養健

    犬養委員 そこで伺いたいのでありますが、戦争終結宣言ということが第一の関門でございますが、それならばしばしば新聞に伝えられます重光外務大臣の御意見と食い違うように思うのであります。電光外務大臣は戦争終結宣言もまことにけっこうであるが、すべてわが方の権益、すなわち領土権の問題であるとか、戦犯抑留者の帰還の問題であるとか、あるいは漁業問題であるとか、あるいは国連加入についてソ連の了解を取得するというような問題を同時にやらなければならぬというお考えのように、しばしば新聞を通じて伺ったのでありますが、総理大臣はまず国交調整、国交の正常化、言いかえれば、戦争終結宣言、これをまず獲得して、あとの話はその次にするというお考えでございますか。これは非常に重大でございますから伺う次第でございます。
  90. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 戦争状態終結の宣言をするということだけで、戦争状態が終結されたものと思いません。それは一つ方法であるにすぎません。私は、戦争状態終結を事実的に示すものは、国交を調整して、貿易を続けて行くということになれば――使臣の取りかわしとか何かがあって、そうして貿易が盛んになれば、だれもかれも戦争をしておるということの観察を下す者はないでしょう。事実上の戦争状態終結ということが確認される道をとった方がよいであろうと思います。
  91. 犬養健

    犬養委員 だんだんお話がわかって参りました。同時に重大なところに差しかかっておるのでございます。そこで戦争終結自書でもって正常化の状態に戻すと同時に、貿易をやりたい、こういうお話でありますが、わが方の権益の問題、すなわち領土権の問題、漁業権の問題、戦犯抑留者の帰還の問題、国連加入の問題は、今の御答弁とどういう関連がございますか、念のために伺っておきたいと思います。
  92. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 こういう事件がすべて解決せられるならば、ますます戦争状態終結が確認せられますから、ぜひ骨を折るべきであると思っております。
  93. 犬養健

    犬養委員 それではこのように了解してよろしゅうございますか。すべてのわが方の権益問題を含めて同時に話し合いを進める、このようにとってよろしゅうございますか。
  94. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 その通りであります。ただ何も話し合いをせずに戦争状態終結宣言だけでもって満足すると、そういう問題が未解決になるおそれがありますから、そういうことのないようにいたしたいと思います。
  95. 犬養健

    犬養委員 ただいまの御答弁でこの点は了承いたしました。何ゆえかと申し上げますと、ここにいろいろ新聞の材料がございますが、当初はあなたを初め鳩山内閣の関係者諸氏は、戦争終結宣言の取得ということを非常に急いでおられるようでございました。この点について私どもは違った意見を持っておりまして、戦争終結宣言によって二つの国の状態が正常化するということはまことにけっこうなことでありますけれども、諸般の過去の情勢から深く考えまして、同時に種々の権益問題も並行してお話し合いをなさらないと悔いがあとに残るというのが私どもの考えでございます。ただいまの御答弁をしかと私どもは記憶いたしておきたいと思うのであります。  そこで次の問題でございますが、総理も御承知のように、先ごろ米国によりましてヤルタ協定の内容の発表がございました。これは驚くべきものでございます。私どもはステッティニアス元国務長官その他の手記によって全貌の幾分かは知っておったのでありますが、あらためて発表せられた内容を読みまして、まことに深刻な感慨に打たれたのでございます。総理はこのヤルタ会談の内容発表に際しまして、ヤルタ会談においてまことに不合理な話し合いのもとに、わが方から失うことをわれが関知せざるうちに取りきめられました千島、樺太等について、将来ニューヨークの会談においても申し入れをなさる用意がありますか、いかん、これを伺っておきたいと思います。
  96. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 ヤルタ協定は、サンフランシスコ平和条約によってほとんど認められてしまって、放棄してしまっている。それですから写本が歯舞、色丹の返還のように、南樺太、千島列島等の返還を主張することはできないだろうと思っております。ただしソ連は、サンフランシスコ条約の当事者ではありませんから、話合いはしてみるのが必要だろうとは思いますけれども、しかし歯舞、色丹の返還を請求するような強い理由は持っていないと考えられます。
  97. 犬養健

    犬養委員 総理は、同時に、同じころに千島、歯舞、色丹の返還を要求すると同時に、沖縄、小笠原島のわが方への完全返還も近き将来において申し入れをしたいという意味の新聞発表をしておられますが、これは事実でございましょうか。
  98. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 歯舞、色丹を日本に返還を請求するということは、間もなくやるわけでありますが、小笠原と沖縄は、これはとにかく日本が領土権を持っているということだけは認められているのでありますけれども、アメリカが必要によってこれの統治権を持っているのだろうと思いますから、やはり歯舞、色丹の返還をすると同様には、そんなに急にアメリカは承知しないだろうと考えられます。今、いつ返還を請求するかという時期などは考えておりません。
  99. 犬養健

    犬養委員 それは総理の方から新聞発表をなさいまして、近き将来にあたかも沖縄、小笠原島のいわゆる眠れるわが方の主権を回復するのだというがごとき印象を与える声明をしておられるので、お尋ねをしたわけでございます。従って、総理のあのときどきのお話と事態は大分違うという意味に了解をいたしたいと思います。  最後に、今まで伺いました個々の材料につきまして私どもの同僚がさらに質問をいたす時期もあろうかと思います。しかし私は最後に私の考えも申し上げ、総理の考えも忌憚なく承わりたいと思うのでございます。それは、すべての国からの外交上の呼びかけには当然いろいろの動機がございます。政治的な動機――すこぶる政治的な動機とともに、同時にまたじみちな外交上の事務的な動機もまじっている。これは不思議ではございません。従ってすべての国からの呼びかけに対しまして、わが方がその動機を分析研究することは決して国交上非礼ではないばかりではなく、当然の義務であると思います。この点について私はまことに非礼なことを申し上げるようでございますが、あなたの、ソ連からの呼びかけに対して、突如みずから衝に当られた御行動に対して、とうてい承服することのできないのを遺憾と存じます。すべての国は政治的な動機あるいは政治的ならざる動機、こもごもまざった総合的な動機で呼びかけてくるものでございますから、よほどわが方としましては、ことに一般の自由主義国家群とは、従来の私どもの体験から考えましても違う方法をとっております共産主義国家群からの呼びかけに対しては、慎重にこれを分析することは、かの方に対して今申し上げたように決して非礼ではないのみならず、一国の当然の義務であると思います。そこであなたにドムニッキー氏が文書をもって、そこにおられます外務大臣をあとにして、のけものにして、突然呼びかけられましたあの一月二十五日という口は、あたかもソ連の最高会議が対独終戦宣言を行なった日でございまして、しかもその少しく前にモロトフ外相は、もしもドイツがパリ協定の批准に対して同意しないならば、終戦自書をソ連は用意しているという言明もしているのでありまして、これは世界周知のごとく、ほかの動機もございましょうが、すこぶる政治的な動機を含んでいたわけでございます。この政治的な部分と政治的でない部分を、ことに時節柄分析研究せられる慎重さと手がたさ、これが保守党の特徴であるのにかかわらず、あなたが突然自分からお出ましになったことに対しては、広く内外の各国民とともに私どもは遺憾に存じているのでございます。従って今後ニューヨークにおいて御折衝になりますときは、何とぞ今まであなたが内外の人にお与えになりました印象と別個の印象を与えられまして、ことに内閣のみならず、日本人はすばしっこい中立をもくろんでいるなどという、まことに残念千万な外国からの批評を再び受けないように、慎重な御考慮を願いたいと思います。  もう一つ、私は自分の考えを申し上げると同時に、あなたのお考えを率直にお教え願いたい一事がございます。それは、今協賛主義国家群が外交上最も力を入れておりますのは、ヨーロッパではドイツ、アジアでは日本でございます。その経緯は、今申し上げた通りで御了解を得ていると思います。私はあなたの最近の外交の御行動が、よく世間が言っておりますように、米英自由国家群から少し離れるかのごとく見せ、中ソ国家群に対して少く近づくように見せて、これが自主外交であるかのごとき錯覚を国民に起している点について、私はまことに失礼でございますが、残念に思っているものでございます。今の世界の平和は、もちろんふだんあなたがおっしゃるように、高い理想というものは不可欠なものでございますが、一方において、今の世界外交は現実でありまして、競争的な共存などという言葉が力を得るほど現実的でございまして、その点から申しまして、私はヨーロッパにおいてはドイツ、アジアにおいては日本が、現実な、慎重な、手がたい態度でもって自由国家群の一員として席を占めて、しかも、両国とも過去における軍国主義の傾向を払拭して、平和外交の有力な一員となるということが、かえって戦争を防止するゆえんであると思います。昨日、あなたが衆議院の本会議でお述べになりました原爆貯蔵についての御答弁については、承服しがたき点が多々ございますけれども、あなたが少くとも現実的にものを考えて、現実の上に立って、理想を包含している外交を処理しようと努力しておられるお気持は、私はくみ取ったのでございます。従ってあなたのそういうお考えの傾向からいいますと、あくまでも私ども日本民族は、自由国家群の一員として現実な、慎重ないすを占めて、しかも今申し上げたように、過去における軍国主義の傾向を払拭して、平和的努力の有力な一メンバーということが、戦争を防止する最も現実な手段である、こういうふうに私どもは深く信じているのでありますが、この点について御同意でありますか、あるいは別の御異論がございましょうか。
  100. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 お答えをいたします。米英自由主義国家群との密接なる関係を保持していきたいということはもとより当然であります。しかしながら自由主義国家群だけが仲よくして、自由主義国家群でない共産主義国家群とはつき合わないという態度は、戦争を誘発するおそれがありますから、一面においては自由主義国家群と密接なる関係を保持しつつ、自由主義国家群でない共産主義国家群とも貿易をして友好関係を続けるということが必要だと思っております。その点さえあなたが御承知なら、あなたの御意見に賛成です。
  101. 犬養健

    犬養委員 私が承知であなたのお考えを伺っているわけであります。従って今のようなお話をなぜあのドムニッキー氏があなたに文書を手交した当時から明確におっしゃらなかったか、これはまことに遺憾に存ずる次第でございます。
  102. 鳩山一郎

    ○鳩山国務大臣 私はただいまの話は、ドムニッキーに会いますもっと前に、二年半前からこれを言っております。
  103. 犬養健

    犬養委員 最後に重光外務大臣に念のために伺っておきます。あなたは今私が申し上げたような考えに御同意でございましょうか。
  104. 重光葵

    ○重光国務大臣 今私が伺った大体のことは、非常にけっこうなことだと思います。またそれについて総理のお考えもありました。私は双方とも同じものだと考えております。
  105. 犬養健

    犬養委員 私はあなたの御苦衷をよく知っております。あなたの当時の御帯心も私はかなりつぶさに聞いております。私があなたにまことに残念に思っておりますのは、あのときに、あなたが真に心の中で考えておられる国交の正常化方式というものをもっと率直に総理に述べられて、そうして意見の調整をして、国論統一の形でこれに乗り出していただきたかったのでございます。ソ連邦との国交調整ということは、お互いよく知っておりますように、口では簡単でございますが、長年月を要するであろう、非常な善意と忍耐を要するであろうということは常々あなたの言っておらるる通りでございます。しかるに当初の呼びかけ方のうち、すこぶる政治的な部分に直ちに応じられて、諸外国においてはこれを日本の選挙と結んでいろいろ論評をしているということは、まことに残念でございます。この点について、あなたが外務大臣としての職責にもう一段の勇気を出していただいたならば、と私は深く遺憾に思っている次第でございます。国交調整はまことに国家の運命として大切なことでございますから、どうか今後総理と意見の相違がありました場合には、外務省がないがしろにされているという国の内外の印象を払拭せられまして、同時に、外務省に話しても何もならないんだ――これまで共産主義国家群によくありましたように、政府と人民とをわけて、政府はものはわからないが人民はわかっているんだ、こういう方式がとられようとしているやさきに、鳩山総理大臣のとられた行動が特に内外の疑惑を招いたことは、あなたは今夜家にお帰りになれば十分御納得になると思うのでございます。この点につきまして、政府はものがわからないが日本の人民はわかるということでなく、対ソ外交のごとき前途になかなか屈折の多い仕事に際しましては、閣内でまず意見の相違があるというようなことでは国論は一致いたしません。この点について特にあなたは勇敢に、今後は心を改められまして、総理と十分な率直な意見の交換を行いながらわが国運の進展に寄与していただきたいと思う次第でございます。私の質問はこれで終ります。
  106. 牧野良三

    牧野委員長 本日はこの程度といたし、次会は明二十六日午前正十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十一分散会