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1955-07-21 第22回国会 衆議院 本会議 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十一日(木曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第四十三号   昭和三十年七月二十一日     午後一時開議  第一 自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 売春等処罰法案神近市子君外十八名提出)  第五 北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 日本海外移住振興株式会社法案内閣提出)  第七 自動車損害賠償保障法案内閣提出)  第八 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案内閣提出)     ――――――――――――― ●本日の会議に付した案件  鉄道建設審議会委員任命について同意を求めるの件  日程第一 自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 売春等処罰法案神近市子君外十八名提出)  日程第五 北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 日本海外移住振興株式会社法案内閣提出)  日程第七 自動車損害賠償保障法案内閣提出)  日程第八 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後三時三十三分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。内閣から、鉄道建設審議会委員佐藤博夫君、平山孝君、今里広記君、関桂三君、湯河元威君、迫静二君、島田孝一君及び山崎匡輔君を任命するため、鉄道敷設法第六条第二項の規定により本院の同意を得たいとの申し出がありました。右申し出通り同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって同意を与えるに決しました。      ――――◇―――――
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一自衛隊法の一部を改正する法律案日程第二、防衛庁設置法の一部を改正する法律案日程第三、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。内閣委員長宮澤胤勇君。     〔宮澤胤勇登壇
  6. 宮澤胤勇

    宮澤胤勇君 ただいま議題となりました三つの法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず、防衛庁設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、現下情勢に対処しまして、防衛力を整備充実するため、自衛官二万七千六百五十四人、自衛官以外の職員三千六百十八人、計三万一千二百七十二人を増加して、防衛庁職員定員を十九万五千八百十人とし、このうち自衛官定数を十七万九千七百六十九人に改めようとするのがその骨子であります。しかして、陸上自衛官二万人の増員大半は、新たに設置されまする西部方面隊及び二つ混成団等に充てる要員であります。海上自衛官二千五百八十三人の増員は、艦艇の新造、完成及び航空部隊増強に伴う要員であります。航空自衛官四千五十九人の増員は、航空団の新設並びに航空操縦学校等充実のための要員となっております。また、自衛官以外の増員職員は、陸上自衛隊におきましては、後方部隊学校及び補給所等に、海上自衛隊におきましては、幕僚監部地方総監部及び学校等に、航空自衛隊におきましては、幕僚監部及び学校等に、その他調達実施本部技術研究所及び防衛大学校等にそれぞれ充てられる要員となっております。なお、陸上幕僚監部事務を円滑に遂行するため、その幕僚副長定数は一人を増して二人といたしております。  次に、自衛隊法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、自衛隊任務遂行に万全を期するため、九州地方西部方面隊を設置し、その方面総監部を熊本市に置くことを初めといたしまして、管区隊に準ずる総合部隊として混成団二つを新設し、北部及び西部の両方面隊編成に一つずつ加え、また、航空自衛隊には、ジェット機を基幹とする航空団を新設して、その司令部を浜松市に置くほか、部隊等の運営の合理化をはかるため所要の改正を行おうとするものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、防衛庁職員に対する給与適正化をはかるため、一般公務員給与に関する法律の趣旨並びに職員の勤務の特殊性に即応した措置を講じようとするものでありますが、その大半は、現に実施されているものを法律に明文化しようとするものであります。  これらの三法案は、五月二十五日本委員会に付託され、政府説明を聞き、六月から質疑に入ったのでありますが、鳩山首相重光外務大臣杉原防衛庁長官等に対し、憲法自衛隊との関係自衛力増強日米安全保障条約ないしは駐留軍撤退との関係防衛力漸増国民生活ないしは国家財政との関係防衛力増強目標並びに限界等々、その他諸般の角度から活発な質疑が展開されまして、慎重に審査を行なったのであります。その詳細につきましては、何とぞ会議録によって御承知をお願い申し上げます。  七月二十日、防衛庁設置法の一部を改正する法律案に対し、民自両派の共同提案により、陸上幕僚副長を二人制することは部隊の統率上適当でないとして、これを現行の通り一人制とする旨の修正案提出せられたのであります。  よって、修正案を含め三法案を一括して討論に入りましたところ、飛鳥田委員及び田原委員は、日本社会党をそれぞれ代表して、いずれも原案及び修正案反対意見を述べられ、大坪委員自由党を、辻委員民主党をそれぞれ代表して、いずれも原案及び修正案賛成意見を述べられたのであります。  採決の結果、防衛庁設置法の一部を改正する法律案は多数をもって修正案通り修正議決し、他の二法案はいずれも多数をもってそれぞれ原案通り可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。茜ケ久保重光君。     〔茜ケ久保重光登壇
  8. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保重光君 私は、ただいま提案されました防衛庁設置法の一部を改正する法律案外二案に対しまして、日本社会党を代表して絶対反対討論をするものであります。(拍手)  わが日本社会党が再軍備反対をし、日米安保条約並びに行政協定に対する反対態度を堅持しておることは、今さら申し上げることもございませんが、今回ここに上程されましたいわゆる防衛三法の改正案を見て参りますと、まことに国民として許しがたい幾多のものを持っておるのであります。私がこの法案審議を通じて感じましたことは、政府並びに民主党は、この増強案を、いわゆる外敵に対する日本防衛、さらにはいわゆる内乱防止の一点、もう一点は、日本自衛力漸増してアメリカ駐留軍撤退させるということを言っておるのであります。しかしながら、長い間慎重に検討いたしました結果によりますと、どうも政府の主張する論点が非常にあいまいであります。  世界の大勢は、御承知のように、今やジュネーヴにおいて四巨頭会談が開催されておる。このことは、皆さんも御承知のように、決して戦争をするための会談ではございません。しかも、世界の平和を確保する上において、アメリカもソ連も、いわゆる自由圏共産圏も、ともに軍備拡張に狂奔した結果、それ自体において非常な国内的な矛盾を持って参っております。国民軍備拡張のために非常に苦しい生活に追い込まれているのであります。従いまして、四巨頭会談内容は、世界平和の確保と、さらには、自分たちが持って参った軍備拡張矛盾から、国内におけるこれに対する非常な反対の空気を、こういったことによって解決じようとする大きな努力であると思うのであります。(拍手)さらに、アジアにおきましては、ネール・インド首相を初め、アジアの平和に対する大きな努力がなされております。こういった際におきましてわが敗戦国日本が、防衛庁長官も申しますように、外敵が攻めて参った際でも、それ自体においては防衛することができないという自衛隊を、今さら何を好んで増強しようとするのであるか、私は不可解千万であります。(拍手)  さらに、皆さん、今回の三万有余の増強に当りまして、われわれは政府のいわゆる防衛六カ年計画なるものを根底からついて参りましたが、これに対して何ら一言の弁明もなければ方針の開陳もございません。この防衛三法の一部改正は、鳩山内閣の、その場当りと申しましょうか、無定見と申しましょうか、全くでたらめほうだいな自衛力増強の一端であると喝破せざるを得ないのであります。(拍手)このような無責任きわまる自衛力漸増ということは、まことに私は遺憾千万にたえぬと思う。いわゆる外敵に対する関係について、きのう、鳩山総理は、いみじくも、四巨頭会談が成功するならば、日本防衛の点も相当考えなくてはならぬし、冷戦の中止も考えられるから、日本の平和の確保が可能であるというお答えをなさいました。もし、しかりとするならば、私が先ほど言うように、外敵に対する防衛力増強というものは、断固ここで排撃しなければならぬと思うのであります。  さらに、国内における内乱防止ということを主張されますけれども鳩山総理並びに杉原防衛庁長官に対して、日本において現在内乱ないしは内乱に類する可能性があるかという私の質問に対して、鳩山総理も、杉原防衛庁長官も、ないという御答弁である。近い将来においても起り得る可能性はないとおっしゃる。にもかかわらず、このような総額二百五十六億という膨大な予算を伴う、使いものにならない自衛隊増強ということは、全く言語道断と言わなければなりません。(拍手)  さらに、私は、第三点に、民主党諸君も忘れはすまい、総選挙において自衛隊増強、再軍備アメリカ駐留軍撤退させるために最も大切であるということを言って参った。ところが、鳩山総理杉原防衛庁長官答弁によると、陸上部隊は六年もすれば帰るかもしれぬけれども、空軍並びに海軍はほとんど永久に帰り得ないという実態がはっきりした。(拍手皆さん、私は、鳩山内閣並びに民主党諸君国民を完全に欺いたと言わなければならぬと思う。(拍手)私は、このような実体を持った三法案に対して、絶対に承服しがたいと思う。  三万一千名の増員に対して二百五十六億という膨大な予算を要しますが、ただいまの学校給食予算がたった六千万円。もし二百五十六億の五分の一をさきますならば、学校給食完全給食として、全児童が毎日給食を受け得るのであります。さらに、皆さん、われわれは地域給の問題を全官公の責任においてやっておりますが、この予算が二百十二億。もしこの防衛予算を削減しますならば、全官公地域給は立ちどころに解決するのであります。いかような点から考えましても、われわれは、このような三法には絶対賛成できません。  私は、最後に、政府並びに民主党自由党諸君に親切な御忠告を申し上げる。今申しますような観点から、諸君は、今からでもおそくはない、この防衛予算を撤回して、このように苦しむ戦争被害者や、あるいはその他あらゆる者にこれを均曝しますならば、日本防衛力軍隊でなくて、国民生活の安定と平和的な友好関係による世界平和への大きな努力こそは真に日本自衛力であるということを、私は御忠告申し上げたい。(拍手)  鳩山首相並びに民主党諸君は、そこに思いをいたされて、一日も早く日本社会党に同調され、このような政策を断行されんことを希望して、私の反対討論を終ります。(拍手
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 田中正巳君。     〔田中正巳登壇
  10. 田中正巳

    田中正巳君 私は、自由党を代表して、政府提出にかかる防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につき、防衛庁設置法の一部を改正する法律案については、自民両党共同提案修正案と、右修正部分を除く政府原案賛成、他の二法案については政府原案賛成意見を申し述べようと存ずるものであります。(拍手)  およそ、独立国家がみずからの存在を守るために自衛の力を持つことは国家主権の一部であるということが、従来より認められできた基本的通念であります。たとい、人類社会において、かくのごときことを次第に止揚せんとする理想的観念が台頭しつつあり、それに向って不断の努力が払われておるとしても、それはあくまで一個の理想的観念であるにとどまり、これをもって現実国家のあり方を律せんとするは、歴史的発展の過程と現実の環境を忘れた暴挙と言わざるを得ないものであります。(拍手)さればこそ、今日、世界の各国は、自由主義国家であれ、共産主義国家であれ、およそ国家と称し得る態様を持つものは、すべてその置かれた客観的情勢財政的負担能力に応じ、しかるべき自衛力を持っておるのであります。かくのごとき基本的観念に立脚して、わが国もまた、たとい憲法において侵略的軍備の保有が禁止されておるとしても、自衛のため必要最小限度の力を持ち得るものであるということは、私どものつとに唱道してきたところであります。かくして、今日、わが国は、防衛庁設置法自衛隊法とを根拠として、かかる意味合いにおける自衛力を維持しつつあるのでありまするが、しかしながら、それは、わが国が真に必要とする体制に対していまだ十分なるものではなく、国の財力の許す限り漸次増強していかなければならないというのが当面の要請であります。(拍手)  また、わが国は、敗戦後の外国軍隊の進駐に引き続き、独立回復後も、わが国自衛力完成まで、すなわち自主的防衛体制確立に立ち至るまで、日米安全保障条約等に基き、米国軍隊の一部をもってわが国防衛を補完しつつあることは、現実の姿であり、また事情やむを得ないものであったのであります。この相互安全保障体制が、一面、米国中心とする自由主義国家群存立のために資するところあるものとしても、反面、わが国自身防衛のために役立っておることは、これを否定し得ないところであり、これをもって万事外国のための防衛体制なりと強弁するがごときは、事の本質の一面のみを見て他の反面を見ざるの愚であると言わなければならないのであります。(拍手)  しかしながら、かくのごとき体制は、わが国が自主的に国を防衛する完全なる力を有しない間の暫定的措置であり、われわれの終局の目標と希望は国の自主的防衛体制確立てあります。今日、われわれ同胞の共通した国民感情は、少くとも平時においては一日も早く外国軍隊駐留を排し、撤退せしむるという点にあるものと思うものてありますが、しかしながら、ただ無為無策外国軍隊撤退を求むることは、よし、それ、今日一時的に国際緊張が若干緩和しておるとしても、かかることは国家としてきわめて軽率なる措置と申さねばならないのであります。(拍手防衛力真空状態、そこに来たるものは侵略混乱であるということを否定し得る客観的保証は全然ないというのがわれわれの認識であり、大多数国民の洞察もまたそこにあることを信じて疑わないものであります。外国軍隊撤退を要求しながら、わが国自衛力増強反対する諸名は、一体祖国存立をいかなる形で維持していこうとするものでありましょうか。  近時、非武装中立論ということを唱える者もありますが、私どもは、歴史的経験に徴し、はたまた現下世界の動向に照らし、かくのごときものをもって手放しの楽観的態度に終始することを得ないものであります。また、わが国を共産化せんとする一部の人々が、彼らのいわゆる日本解放、すなわち日本共産革命のために、このわれわれの祖国を最も都合のよい状態にしておこうなどという考えに対しては、断固反撃を加えなければならないのは論を待たざるところでありますが、さらに、その理論的根拠においては一応異なるものを持つとしても、しょせんかくのごとき共産革命論者の主張に結果的に利用されるがごとき態勢を作り上げるよう主張する者に対しても、私どもは断固反対しなければならないと信ずるものであります。(拍手)  かかるがゆえに、われわれは、外国軍隊撤退を希求しつつ、国の安全を保障する目的をもって自衛体制強化をはからんとするものであります。国の自衛体制強化は、一面、経済力充実社会秩序の安定、国民思想健全化に求めなければならないと同時に、他面、いわゆる防衛力強化によらなければならないのは、論を待たないところのものであります。  以上の観点から、わが党は、さきに民生の安定をはかるとともに、自衛力漸増方式を採用して参ったのでありますが、今日、政府もまた、防衛庁設置法の一部を改正し、陸上自衛官二万名を機軸とし、海空その他防衛庁職員定員を三万一千余名増員せんとすることは、かかる目的のためにとられた措置として、かりにそれが相当の国費を要するものであるとしても、われわれは、これを認めるべきものとして、これが予算措置についてはさきに本院において可決せられたところであり、今日われわれは同様の観点からこの法案賛意を表するものであります。  また、自衛隊法の一部を改正する法律案は、右の増員と表裏の関係にあり、必要部隊の増設を主たる内容として、さらに部隊合理的編成及び隊員の資質の向上等を企図したものとして、同様賛成いたしたいと存ずるものであります。  また、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、隊員給与上の最小限の改善と福利の増進をはかるものとして、今後隊員の素質の向上と士気の高揚に資するところ大なるものとして、これまた賛意を表するものであります。  しかしながら、右三法案のうち、防衛庁設置法の一部改正案において、陸上幕僚副長定員をいま一名増員して二名にする点については、政府は、その答弁において、一名は事務、一名は企画と一応職分を分けておるようでありますが、しかしながら、やはり、自衛隊というものの本質上、命令が二途に出ることの危険性につき特別に警戒しなければならず、また、わが国自衛隊組織体制は、警察予備隊以来そのまま踏襲してきたものが多く、今後の増員に伴い、将来抜本的なる改革を加えなければならないということを考えて、一応これを見合せ、今後の根本的研究に待つことにいたしたのでありまして、この点の修正に私ども賛成いたしたいと存ずるものであります。  最後に、私は政府に対し特に申し述べたいと思うことがあります。それは、本案審議に当り、私どもは、政府より、わが国自衛力漸増計画につき何らの具体的説明を得られなかったことが、その第一点であります。われわれは、本法案内容である自衛隊員増員は、わが国自衛力漸増の一部分であるということを想定して賛意を表さなければならなかったのであります。政府のいわゆる防衛六カ年計画の初年度であったがゆえに、そして、その数が比較的少数であり、この程度ならばわが国財政力にたえ得るものと認められて、これを承認したものであります。しかしながら、今後自衛力漸増していく場合において、政府のかかる態度をもってしては、とうてい国会審議を議了することができなくなることを、政府は今日より銘記しなければならないと思うものであります。もし、それ、政府の言われるごどく、いまだ成案を得るに至らないとしても、はたまた、一部の推測するごとく、諸般情勢よりこれを発表することに重大なる支障があるとしても、それならば、何ゆえに、政府及び日本民主党は、総選挙の前後において、しばしば国民に対し、今後は自衛力漸増につき計画的措置をとるとして、あたかもそれが自己の独特なる政策であるかのごとき宣伝をなしたのでありましょう。このことは、はしなくも、本院内閣委員会におけるわが党同僚委員質疑により、その正体を露呈せざるを得ない醜態を演じたのであります。国の自衛力というきわめて重大かつ厳粛なる問題をもって自己の政党の人気取りのために利用したという軽率かつ不用意なる態度は、今後深く反省自戒されなければならないと存ずるものであります。(拍手)  次に、私どもは、鳩山首相以下、政府首脳者の、憲法第九条に対する解釈の無定見と不用意さを究明しなければならないと存ずるものであります。鳩山首相は、その在野時代、しばしば、自衛隊存在憲法第九条に抵触するがゆえに、憲法第九条はこれを改正しなければならないとして自由党内閣に迫ったことは、今日なお国民の記憶に新たなるところであります。しかるに、その鳩山自身が、一たび総理の職を帯びるや、態度を豹変して、自衛のためならいかなる近代的戦力も持ち得ると言明し、わが党の内閣委員江崎氏の鋭い質疑にあうや、再度意見を変え、自衛のため必要最小限度防衛力を持つことは差しつかえないと一歩後退した答弁をなし、最後には、自由党内閣解釈と大差ないと申したのであります。さらに、また、右の見解に立脚してか、憲法第九条は今日改正する必要が薄らいできたとさえ申しておるのであります。かかる重要な問題について、いやしくも一国の総理大臣の要職を占むる者意見が豹変することは、国民に対し混乱を生じさせるばかりでなく、当時の鳩山氏の意見に賛同し、これが実現を期待した国民、なかんずく……。
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 田中君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  12. 田中正巳

    田中正巳君(続) なかんずく、鳩山内閣ができたならば、われわれは憲法上の日陰者でなくなれると期待して、日本民主党に対し集団投票までした自衛隊員に対し、何をもって弁解するのでありましょう。(拍手)  私は、以上の意見と要望を付して、本案につき、一部修正案とその修正部分を除く政府原案につき賛成意見を表明するものであります。何とぞ、各位におかれても、現下わが国の置かれた客観的情勢を御認識の上、同様の御意見あらんことを切望し、私の討論を終るものであります。(拍手
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 小牧次生君。     〔小牧次生登壇
  14. 小牧次生

    小牧次生君 私は、日本社会党を代表いたしまして防衛庁設置法の一部を改正する法律案自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対しまして反対討論をなさんとするものであります。  以上のいわゆる防衛法案は、御承知通り、現在の自衛隊を拡充強化いたしまして、新たなる編成を行い、かつ各種の給与手当等を規定することを中心とする法案であり、鳩山内閣の再軍備政策の前進を企図するものであることは、申し上げるまでもないところであります。日本社会党は、昨年の七月、吉田内閣当時、国会におきまして、良識ある国民大衆の世論を背景といたしまして、この防衛庁設置法自衛隊法に対して猛然と反対をいたしたのでありますが、遺憾ながら、しゃにむに押し切られまして、これらの法案が成立いたしましたことは周知の通りであります。しこうして、吉田内閣に続く鳩山内閣におきましては、総選挙の際に、完全雇用社会保障制度の拡充、住宅政策等、巨額なる予算を必要とする諸政策を打ち出して選挙民の歓心を買ったにもかかわらず、選挙終了後におきましては、その実、ほとんど吉田内閣の再軍備政策をそのまま踏襲いたして参ったのであります。  従って、ただいま議題となっております防衛法案自衛隊増強のためのものであり、陸上部隊を三十年度末に現在の十三万人より十五万人に増加し、海上部隊を現在の約一万六千人より約一万九千人に、航空部隊を約六千人より約一万人に増加し、自衛官以外の職員を約三千六百人増加し、合計約三万一千人を増加せんとするものであります。さらに、装備におきましては、機械化混成団空挺部隊、あるいは潜水艦や大砲、戦車の試作、ジェット機国産化その他が加味されておりまして、その兵力においても満州事変以前のわが日本常備兵力以上であり、さらに火力においては七倍から十倍に上るものと相なるのであります。  しかるに、一体これだけの軍備が何のために必要であるのか、いかなる国の侵略に備えようとするのか、遺憾ながら、全然これが明らかにされておらないのであります。すなわち、鳩山首相杉原防衛庁長官は、再軍備増強に関する自衛隊の定義、解釈に関しまして、はなはだしい概念の混乱を暴露いたしておるのであります。われわれは、現在の自衛隊が明らかに軍隊であり、その存在憲法違反であるという観点に立って、まっこうから反対をいたしておるのでありますが、鳩山首相も、在野当時におきましては、吉田内閣に対し、自衛隊違憲論をもってきめつけて参ったのであります。ただし、これはもちろん憲法改正して軍隊を持つべしとする立場からであったのでありますが、しかしながら、一たび内閣を組織いたしまするや、きわめて簡単に変節いたしまして、憲法第九条は、自衛に関する限り軍隊を持ってもよろしいと述べ、さらに、その豹変ぶりを攻撃されるや、吉田首相とはほとんど変らない意見を述べて、その無定見ぶりを遺憾なく露呈いたしておるのであります。(拍手)しかも、自衛隊の任務を、防衛のために必要にして相当の兵力であるという一点ばりで押し通して参りまして、自衛とはいかなることか、必要なる兵力とはどの程度のものをいうのか、必要なる兵力は一体だれがきめるのか、こういうような問題に至りましては、客観的情勢がこれをきめると説明し、あるいはまた、現在審議中の国防会議がこれをきめると主張いたしまして、ついにおそるべき本質を現わして参っておるのであります。自衛力の定義を全然明らかにし得ないのみならず、自衛のためなら近代的戦力を持ち得るものと規定いたしまして、ついに吉田前首相の戦力なき軍隊より戦力ある軍隊へと大きく踏み切りまして、さらに、現行憲法下におきましても、場合によっては先刻攻撃すること以上に進むこともできるというところの、実に危険きわまる考え方を包蔵しておることが認められるに至りましては、われわれの断じて承認するあたわざるところであります。これが私の反対の第一の理由であります。  次に、鳩山首相が、いわゆる防衛六カ年計画を言明いたしておりますることは御承知通りでありますが、この防衛六カ年計画こそは、われわれの最も重大なる関心を有する問題であります。すなわち、先年、MSA協定の締結、防衛法律の成立、日米秘密協定の取りきめ、さらに吉田内閣のもとにおいてひそかに取引された日本防衛力増強計画が実施に移されましたるとき、われわれ日本社会党は、これらの協定並びに法律が、日米安全保障条約及び日米行政協定との関連によりまして、国民大衆生活を犠牲にした、無謀きわまる再軍備の強制であり、実質的には外国の傭兵であるとの重大なる警告を発するとともに、全党、全組織をあげてこれに反対をいたして参ったのでございます。果せるかな、先般の防衛分担金に関する日米交渉の結果、なるほど表面におきましては前年度に比べて百二十五億円防衛支出金が削られたのでありますが、その分だけ防衛庁費が増額されまして、しかも、日米共同声明は、三十年度及びその後の日本財政にとってきわめて重大なる影響をもたらすものであり、これは単なる共同声明ではなくして、日本防衛努力に関する誓約書というべき内容を持つものであることはきわめて明らかであります。ジェット機中心とする再軍備強化を約束いたしましたことによりまして今後の日本防衛費は加速度的に膨張していくであろうし、三十一年度以降は、日本経済の実情のいかんにかかわらず、防衛費は必ず増加しなければならない約束をさせられたのであります。  かくのごとくアメリカの軍事政策に従属することから、ここに当然日本防衛力増強のための計画が必要となってくるのでありまして、鳩山首相防衛六カ年計画の言明が生まれてきたのであります。しかしながら、この防衛六カ年計画内容はきわめて不明確であります。いかなる根拠に基き六カ年間を予定したのか、また、六カ年間にいかなる増強をなさんとするのか、確然たる計画を持っていないにもかかわらず、とりあえず三十年度一年分の増強計画を実施せんといたしておるのであります。ただ、六カ年ということについて、鳩山首相は、駐留軍の陸上部隊撤退中心とした考え方から、六年後には陸上部隊撤退するものと予定いたしまして、これに防衛計画を合せ、さらにいわゆる経済六カ年計画に見合うものであると表明をいたしておるのであります。しかしながら、駐留軍がいかなる時期に日本撤退するかということについては、政府としていまだ公式には何ら交渉したこともなく、何らの根拠もない、ばく然たる気持を述べたにすぎないのであります。さらに、経済六カ年計画についてもきわめて不確定のものであり、かつ、実質上百億円内外の防衛分担金を削減してもらったために、将来にわたる日本の財政、経済を拘束するところの重大なる取りきめを行なったことによりまして経済六カ年計画は根本から崩壊し去ることは火を見るよりも明らかであり、従って、かくのごとき経済六カ年計画に見合うところの防衛六カ年計画内容は、必然的に不明確なものにならざるを得ないのであります。  しかしながら、日本の財政、経済を無視せるところのアメリカの強制に従属いたしまして、みずからの力による確然たる防衛計画を全然持っていないにもかかわらず、一年分ずつこま切れにした増強を実施いたしまして、なしくずしに既成事実を積み上げまして、その既成事実をいやおうなしに国民に押しつけていこうとするものであります。しかも、さらに、防衛計画全体が、選挙公約である社会保障制度の問題、あるいは失業対策、あるいは住宅対策等の予算を犠牲にいたしまして、アメリカの軍事政策に従属することによりまして…、
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 小牧君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  16. 小牧次生

    小牧次生君(続) あり余った余剰農産物と過剰兵器をえさにした、アメリカ自身中心とする国防計画に合致せしめんとするものでありまして、かくのごとき計画に基く三法案に対しまして絶対に反対をいたすものであります。  最後に、今や、世界情勢は、原子力平和利用会議、あるいは去る十八日からジュネーヴにおいて開かれておりまする四巨頭会談にも見られるがごとく、明らかに世界の緊張は一応緩和の方向をたどっておる。アイゼンハワー大統領でさえも、侵略戦争はしないと誓っておる。米ソ二大陣営の平和共存の可能性説明いたしておる現状であり、世界の趨勢は軍備縮小の方向さえ指向いたしておるのであります。しかるに、ひとりわが日本が、国民大衆生活を犠牲にいたしまして、憲法をじゅうりんし、膨大なる予算を伴う、全く自主性のない再軍備に進むところのこの三法案に対しまして、いかなる意味においても絶対に反対する次第であります。  以上をもつで反対討論を終ります。(拍手
  17. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  三案を一括して採決いたします。日程第一及び第三の委員長の報告は可決、日程第二の委員長の報告は修正であります。三案を委員長報告の通り決するに賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって三案とも委員長報告の通り決しました。      ――――◇―――――
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第四、売春等処罰法案議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長世耕弘一君。   [世耕弘一君登壇
  20. 世耕弘一

    ○世耕弘一君 ただいま議題となりました売春等処罰法案につきまして、提案の要旨及び委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本法案は衆議院婦人議員十九名の提出者と八十八名の賛成者によって提出されたのでありまして、売春は、健全なる性道徳を破壊し、善良なる風俗を乱し、性病を蔓延させる原因となり、他方において婦女の純潔を害し、その基本的人権を無視するものでありまするから、ぜひとも絶滅を期せねばなりません、それがためには、国民一般の民主主義的自覚、衛生思想の普及に合せて民生安定の諸施策も必要でありますが、さしあたり先行して、売春及び売春させる行為を処罰する立法措置が必要であるというのが、本法案の提案理由であります。  次に、この法律案内容を申し上げます。  第一に、売春の定義を掲げて、「婦女が対償を受け、又は受ける約束で不特定の相手方と性交することをいう。」とし、その売春した者及びその相手方を処罰しております。第二に、売春の周旋並びに場所提供を処罰しておるのであります。第三に、勅令九号の内容を拡大して、売春させた者を広く処罰しております。また、売春施設を経営し、あるいはその資金を供与した者を処罰しております。しかして、本法の施行については三カ月の猶予期間を設けてあります。  さて、本法務委員会におきましては、去る六月十五日この法律案が付託されましてより、審議中、各方面にわたり参考人より意見を聴取し、さらに社会労働委員会との連合審査会を開き、関係政府当局並びに提案者に対し質疑を行い、委員会を開催すること十二回に及び、毎回長時間にわたり熱心なる審議を重ねて参りました次第であります。  その質疑の詳細は会議録に譲りたいと存じますが、おもなるものを申し上げますと、第一に、売春に関する取締り法規としては、現在、刑法、婦女に売淫をさせる者等の処罰に関する勅令第九号、性病予防法、道路交通取締法、労働基準法、職業安定法、児童福祉法、風俗営業取締法、その他各地における五十五の売春に関する条例が施行されておるが、これら現行法による当局の売春取締り状況いかんとの質問があったのであります。これに対し、政府より、現に、昭和二十九年度においては、売春関係により検挙されたる者は三万四千名でありまして、その大部分は再犯者であると述べております。このことは、処罰後における保護更生の諸措置が現段階においてはきわめて不十分であるがために起る大きな原因であると思うと答えられております。なおまた、売春取締りは、立証がすこぶる困難であり、ややもすれば人権じゅうりんのおそれを免れがたく、これが取締りに当る警察当局は困難と常に慎重なる態度をもって臨まざるを得ない現状である旨の答弁がありました。  第二に、売春処罰法案政府提出すべきであるにかかわらず、何ゆえ提出しないのかとの質問がありました。これに対しまして、政府より、売春問題対策協議会を設置して、各方面の権威者を集め、すでに二十数回の会合を開いており、その答申を待って提案したい旨の答弁がありました。  第三に、めかけやオンリーに対して何ゆえに本案の適用がないのかとの質問に対し、提案者より、めかけやオンリーは特定者間の性交であるから適用はないが、刑法の重婚の罪を活用してこれを制限していきたいとの答弁がありました。  次に、地方自治体の制定しておる各種の売春条例は本法案の成立によってどうなるかとの質問があったのであります。これに対して、提案者より、地方自治法により法律に背反する条例は効力を失うので、本法案内容矛盾する条項は失効し、矛盾しない条項はその効力を有するとの答弁がありました。  第四に、単純売春、すなわち男女一回の売春そのものを処罰する立法例があるかとの質問に対しまして、政府より、カナダのインディアンを除いては世界各国の刑法典にその先例がない旨の答弁がありました。  第五に、政府は本法案成立の暁これが施行に関しいかなる対策を持っているかという質問に対し、政府より、売春婦約五十万と見て、その一割の五万人を対衆として、婦人寮、厚生寮、婦人ホーム、婦人相談室等を設ける計画を持っている、これがために予算約八十億円を必要とする旨の答弁がありました。  かくて七月十九日質疑を終了し、討論に入り、民主党椎名隆君、自由党福井盛太君よりそれぞれ反対討論があり、日本社会党神近市子君、日本社会党戸叶里子君より賛成討論がありました。  反対論の内容は、本法案が売春婦女に対する保護更生施策を伴わぬことに最大の欠陥があるとし、むしろ政府の売春問題対策協議会の答申を待ってしかるべく処置すべきであるとの議論であります。  討論を終結し、採決の結果、売春等処罰法案は少数をもって否決されたのであります。  本法案が否決されるや、直ちに売春等に関する決議が民主党を代表して山本粂吉君より提出されました。  決議案を御紹介いたしますると、    売春等に関する決議  いわゆる売春等に関する諸問題は、文教、保健、道義、社会秩序並びに転落貧困家庭の扶助政策など各般に亘り、速かに抜本的総合施策を樹立しこれを隻施する必要がある。  にて政府は、この際内閣に強力なる審議機関を設け、その議を経て行政措置、立法的措置予算措置など総合対策を策定し、国会審議を要するものについては次の通常国会提出し、現行の法令並びに行政措置により可能なる範囲については政府の責任において速かに実施励行すべきである。  右決議する。というのであります。  これに対して、日本社会党の古屋貞雄君、神近市子君及び日本社会党田中幾三郎君より、それぞれ、議員立法権の放棄ではないか、また、政府に責任を負わせてもやらないときはどうするか等の質問があり、提出者の山本粂吉君より、完備したよりよい法律政府提出させるのが目的であって、政府も本決議案の趣旨並びに提出については了解済みである旨の答弁がありました。  本決議案に対する討論に入り、日本社会党福田昌子君、日本社会党細田綱吉君より反対論、自由党永山忠則君より賛成論が述べられました。  次いで、採決の結果、本決議案は多数をもって可決せられました。  結局、神近市子君外十八名提出売春等処罰法案を否決せられた次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 討論の通告があります。順次これを許します。神近市子君。     〔神近市子登壇
  22. 神近市子

    神近市子君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題になっております売春等処罰法案に対し賛成の意を表示するものでございます。  この法案は、売春に転落している婦人の更生を助け、これら婦人たちの肉体の搾取によって利潤を上げている業者をきびしく処罰せんとする意図を持っている点で、画期的な法案であることは自明の形でございます。(拍手)  日本敗戦後の様相は、多方面に解決を要する問題を生み出しておりますが、その最大のものの一つがこの売春の問題であるということは論を待たないところであります。戦前、日本の被管理売春、すなわち公娼は約五万でありました。それが、今日では、公娼とこれに類する被管理売春は十二万四千、これらの婦人の管理搾取によって生活する業者は三万五千四百三十五名、さらにこの業態にダニのように直接寄生して生活している者は数万に及んでおります。このほか、この特殊地域の周辺その他に同一の営業をする婦人の数は四十万に近いと推定されております。この数は、まことに長い日本の売淫史の上でも、かつて見られなかったところでありまして、この問題の解決が一日も急を要する理由というのもここにございます。  この特殊業態が日本の社会全般に及ぼしている害毒は実に深刻なものであります。第一は、教育の破壊であります。第二は、道徳の頽廃であります。第三は、年少男女の正しい勤労意欲の喪失であります。第四は、性病の蔓延による民族健康の衰退であります。これら破壊の様相は、どれ一つをとってみても、明日の民族の繁栄と健康な発展を阻害するものでありまして、今にしてこの弊害を断ち切らなければ、優秀、勤勉な日本民族の将来は失われ、国際間の競争に敗退して、悔いを千載に残さなければなりません。(拍手)  本法案は、このむざんな現実の背景の上に立案されたものでありまして、良識ある国民の圧倒的な支持を得たゆえんも、ゆえなしとしないのであります。私どもも、本法案が完全無欠なものであるとは申しません。しかし、日本では、戦前売春行為は内務省令十六号によった警察犯処罰令によって取り締られていました。それが、昭和二十三年五月二日この処罰令が廃止されて以来、売春行為は無法律のままに今日に及んでいるのであります。今日目をおおわしめるような売春の跳梁は、一半がここに原因したと断じても誤まりではないのであります。(拍手)五十以上の都道府県及び市町村がみずから売春条例を作り、その取締りに当ったのは、この国法の欠如をみずからの手で補てんしようと試みたからであります。しかし、かかる条例の行使も目的を達するのには遠く、独立した国法の制定は久しく待ち望まれていたのであります。  本法案に加えられる最大の非難は、これら転落した婦人たちのための福利更生の施設がないという点であります。しかし、今日、日本国家経済は、社会福祉面には大きく制約されておりまして、議員立法に予算を伴うときには、ほとんど国会の通過は許されないというのが現状でございます。この制約の中にあってこの問題と取り組むためには、逐次的に事を進めるよりほかはないのでありまして、この法案の意図は、ます処罰をもってこの業態の拡大を阻止し、精神的には、この業態は人間の常道ではないことを国民に示すことにより倫理的効果をねらい、さらに、婦人を管理略取する人々を国民の非難の前にさらさんというところにあるのでございます。(拍手)  この法案反対する人々が、この法案の意図するところを深くは洞察できずに、法案が、貧困によってそこに転落した人々の生活の道を断ち、これを罰することによって足れりとするのだと勝手に憶断して、そこから反対論を展開されるのを聞くと、私は不思議な気持がしないではいられません。(拍手)そして、こんな反対が、利得する者を助け、そのおこぼれにあずからんという真の動機を隠して、保護面の不足を口実に使っておるのではないかという疑いを持つのであります。(拍手)  東洋においても、インド、インドネシア、ビルマ、新中国など、すでにこの問題の一応の解決を見ているのであります。政治面または経済面に大革命が起った国では、反対論者の唱道されるような、ぜいたく、完全な施設、保護も可能であります。しかし、日本の貧困な経済状態においても策がないのではないのでありまして、厚生大臣は、すでに、しばしば、その用意があるということを言明されたのであります。この法案が示唆する逐次的な実施のやり方は、今日の日本において最も適切なやり方でありまして今直ちに実施できるのであります。実施をすれば、行政的な効果以外に多大な精神的効果が得られるのでありまして、この中心的なガンである集団的売春を取り去ることによって、ほかの業種に仮託して醜業を行なっておる人々を漸次自粛せしめる効果もあると考えられているのでございます。(拍手)  終りに、この法案の刑量は過酷だと考えておる人もあるようでありますが、前に申し述べたように、諸外国においても業者に対しては仮借なき厳罰を加えることが最良の道と認められているのでありまして、先年来法務省に設置されている売春対策協議会試案の刑量がより以上に重いことも、これを認めているからではないでありましょうか。国会国民の信頼を失ったときにどんな事態になるかを想像する能力を持つ議員の方々が、この全国民の要望に反して社会の敵に味方するというような誤まりをなさらないことを私は希望して、私の討論を終ります。(拍手
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三田村武夫君。     〔三田村武夫君登壇
  24. 三田村武夫

    ○三田村武夫君 ただいま議題となりました売春等処罰法案につき、日本民主党を代表して、神近市子君外十八名提出原案反対し、委員長報告の決議に賛成意見を申し述べます。  冒頭に一言いたしますが、いわゆる売春行為を一日もすみやかにわれわれの社会から一掃したいという念願については、われわれも、もとより異論のないところであります。敗戦後十年を経て正常な社会関係の回復を熱望する国民の中から、最近特に売春問題が大きな社会問題として取り上げられ、本国会審議経過に世論の鋭い批判が向けられている理由もここにあると思います。私は、あたかもこの国民の声にこたえるがごとく、今回の本法案提出に当って、衆参両院の婦人議員が先頭に立ち、全国の婦人団体を総動員して大いに世論を喚起されたことについては深く敬意を表するものでありますが、それだけに、われわれもまた、本問題と真剣に取り組み、この高揚された世論と冷厳な批判の中に立って、問題の本質を深く掘り下げ、堂々と対処したいというのが、わが党の基本的態度であります。(拍手)  このような立場から、以下、第一に問題の本質について、第二に立法技術上の問題について、第三にその対策について、簡潔に意見を申し述べます。  第一に、問題の本質でありますが、労働省の婦人少年局が去る八日発表した、いわゆる売春白書によりますと、御承知通り、集娼、散娼合せて、全国で約五十万の売春婦がいると推定されております。この数字がどこまで正確であるかはわかりませんが、だから、すみやかに厳重な取締り法規を作って断固たる処置をしなければならないという論拠ともなり、また、だから単なる処罰規定を作っただけでは問題の解決にはならないという論拠にもなるのであります。(拍手)  この点はあとで述べますが、この労働省調査の統計によりますと、この社会に転落した動機が、七割まで経済的理由、すなわち本人または家族の生活のためとなっており、好奇心、虚栄心はわずかに一割にすぎません。既婚者、未婚者の割合は、既婚者が四割で、未婚者が六割、既婚者の九割が夫と死離別した者で、その中の七割が一人から五人の子供を持っており、親や親類などに養育費を送っており、未婚、者の半数は親元に送金しておるのであります。しかも、その転落者の七割強までが戦災者、引揚者、水害、凶作、火事、そのいずれか二つ以上を体験し、急激な生活上の変動を受けた者だということになっております。ここに深刻な社会問題があるのであります。  これによって見ますと、問題の根源は、まず第一に経済的困窮にあります。日本が貧乏だということであります。悲惨な社会の落伍者にこの救済の手が伸べられていないということになります。(「だれの責任だ」と呼ぶ者あり)それは政府の責任ではないか、政治家の責任ではないかと言います。その通りであります。ここにわれわれの考えなければならない第二の基本的な問題点があるのであります。家が貧乏で食っていけない、親が病気で寝ている、失業して生活の道が立たない、生きていく道がないから、やむを得ずここに身を落して一家の生計をささえていく、これは誤まった封建主義の親孝行で罪悪だという議論があります。しかし、生きるか死ぬか、毎日の新聞に一家心中の跡を断たない今日の社会において、封建主義の罪悪だと言って片づけてしまうだけの道徳的基礎も社会環境も今の日本においては確立しておりません。夫を失い、子供をかかえて生きる道を失った未亡人に対して、なぜお前はニコヨンをやっても正しく生きていかないかと非難の声を浴せるだけでは、あまりにも残酷であります。  問題の第二は、戦後あまりにも頽廃した風紀上の無秩序、放縦な性生活、道徳の低下をあげなければなりません。これは、あえて日本だけではなく、いずれの国においても、戦後、ことに敗戦国共通の現象でありますが、日本の現象はあまりにもひど過ぎます。占領軍の駐留による、いうところのパンパンのはんらんにも大きな原因がありますが、いわゆるエロ文学の大家が、流行作家として、あるいは一流の文化人として出版界にもてはやされたり、きまりが悪くて見ておれないような映画が興行価値を買われてきた社会にも責任があります。売春婦に身を落すことが死ぬよりもつらいことだ、世間に顔向けのできない罪悪だと自覚するような社会環境は、現在の日本にはないのであります。  以上二つの大きな問題をどうするかということが、本問題の基本的課題として、まず第一に考えられねばなりません。  次に、本法案内容についてどうしても賛成しがたい点を申し上げますが、本法案の最も重要なる点は、その第二条及び第三条に明記するごとく、売春そのものを、刑法学上のいわゆる自然犯、すなわち刑事犯として規定していることであります。つまり、売春行為は、それ自体が窃盗や詐欺と同じように本質的に罪悪だという建前をとっておるのであります。売春は確かに道徳悪であり社会悪であります。しかし、道徳悪、社会悪は、それ自体必ずしも法律観点からいわゆる犯罪とはならないのであります。法律が刑罰を課して保護する法益は、個人の権利と、公益、すなわち公共の利益であります。当事者間でひそかに行われる売春行為は、男女ともに人格権の放棄を意味する場合はあっても、そのこと自体が直接第三者たる他人の権利を侵害せず、また直接社会公共の利益を害しない場合は、刑事上の犯罪とはならないというのが、刑法上の基本理念であります。だから、法の秩序を尊重する近代国家は、世界のいずれの国においても、売春そのものを犯罪として国家法律で処罰している国は皆無に近いのであります。法務委員会において、法務当局の調査研究を尋ねてみましたが、どこかの黒人国に一カ所あるだけだということであります。東京都条例の規定のごとく、地方自治体の法規で売春を処罰しているものは諸外国にもあるようでありますが、これは、その法令の規定によって初めて罪とされる行政犯でありまして、本法案の建前とは本質的に違うのであります。原案のような法律の必要を説いて、売春取締’法のないのは日本だけだと主張される人がありますが、これは曲解であります。なぜ売春そのものを国の法律で処罰しないかといえば、基本的人権を尊重する現代の民主国家においては、他人に迷惑を及ぼさない限り、売春もまた個人の自由だという法理念を守っているからであります。しかし、日本の現況にかんがみて、この建前を守っていくことがいいか悪いかは、もとより議論のあるところでありますがゆえに、売春対策上、立法的措置の重要な研究課題であろうと思います。  第二の問題点は、…
  25. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三田村君、時間が過ぎました。
  26. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 売春そのものを刑事犯とした当然の帰結として、犯罪捜査上の立証問題が起って参ります。これは多く申し上げる必要はありませんが、被害者も加害者もない当事者間の売春行為がいかに立証困難であるかということは、何人も理解されるのであります。その結果は、人権じゅうりん問題が起り、悪質な常習者は黙秘権を行使して免れ、比較的悪意のない弱者が多く犠牲になって参ります。  結論に入ります。私たちは、世論の環視の中に立って、諸君とともに真剣にこの問題と取り組みたいことを念願といたします。委員長の報告にあります通り、われわれは国会の立法権を尊重するものであります。われわれは、国会の立法権を尊重し、その権威を尊重するがゆえに、予算的裏づけのない法律には賛成できないのであります。法律を作って、その法律がいかような効果をあげるかは、われわれ自身の責任において……。
  27. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三田村君に申し上げます。三田村君……。
  28. 三田村武夫

    ○三田村武夫君(続) 以上の趣旨におきまして私は、原案反対し、委員長報告の決議に賛成するものであります。(拍手
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 山口シヅエ君。     〔山口シヅエ君登壇
  30. 山口シヅエ

    ○山口シヅエ君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になりました売春等処罰法案賛成をいたすものであります。(拍手)  売春等処罰法案昭和二十二年第二回国会に提案されましてから八年になるのでありますが、その間今日まで六回の提案がなされましたのにもかかわらず、いずれも廃案あるいは審議未了になりまして、今日では流れ法案の異名をいただいているわけであります。この種法案の成立が何ゆえそんなにむずかしいのか、その理由は種々考えられるのでありますが、今回の場合、表面の理由は、売春婦を経済的に救済するための社会保障制度確立されないままで法案を通すことはできないという名目のもとに否決されたのであります。  今日、労働省の調査によれば、全国の売春婦の数は五十万人と推定されております。集娼地数は戦前に比べ約六百五十カ所もふえ、一年間に少いところで二、三十軒、多いところで百八十軒もの集娼地が百四十二カ所、売春婦の数五千名近くがふえていく現状であります。このように、一方においては売春業者がふえ、泥沼に落ち込んでいく婦人が増加していく現状におきまして、経済的に救済するための社会保障制度確立されるまで処罰法を成立させてはならないという放任対策をとるということは、生活保護費さえもろくに出さず、社会保障の逆行をたどっております政府、与党だけに、全く実現性のないたわごととしか考えられないのでありまして、ためにする法案成立引き延ばしのための詭弁にすぎないと思うのであります。(拍手)  さらに、民自両党の申しわけ的な決議文の中には、審議機関を政府部内に設けて審議検討すると言っておりますが、すでに、自由党吉田内閣時代には売春問題対策協議会が設けられ、近く政府への答申も行われるという段階にまで来ているのであります。しかるに、その協議会を作った自由党が、民主党に同調して、新しく審議機関を設ける決議をされたということは、矛盾もはなはだしいと書わねばなりません。(拍手)これも保守党議員も、法案提出当時は、多数賛成署名をされているのであります。それが、突如としてその態度を豹変し、法案否決の挙に出たということは、新聞報道にも見られる通り、業者の反対運動に引きずり込まれたと言われてもいたし方ないと見なければなりません。(拍手)しかも、業者をして、自分たちのやっている商売が国のなし得ない貧困婦女子及びその家族を救い、社会秩序を保つ役目を果しておるなど暴言を吐はかしめていることは、国会の権威どこにあるかと申し上げたいのであります。(拍手)  さらに申し上げたいことは、この法案を不成立に終らせることによって、売春業者の陳述が正しいということを国全体が誤まって承認するに至ることを私は憂えるのであります。(拍手)  売春婦への転落は、その七割までが本主義のもたらす貧困と無知から、婦人は泥沼に落ちていきます。しかし、貧困の救済方法が売春でなければならないという道理、あるいは売春であっていいという道理はありません。さらに、売春はこの人間の社会からなくすこともできない必要な悪であるという思想は十九世紀末的な考えでありまして、公娼制度を認めていた古い日本において運用した思想であると私は考えるのであります。(拍手)進歩的な国家の制度が絶娼主義をとっておる今日、文化国家を唱える日本として、何でこれがちゅうちょされねばならないのか、まことに了解に苦しむ次第でございます。(拍手)  憲法で人権の擁護が保障され、しかも、九割までが現在の生活を清算したいと望み、その更生を希望しております売春に対し、さらにその転落を強制し、搾取と売春の暗黒の中で吟している婦女子を、同性の私たちといたしましては黙視することはできないのであります。これらの人々を救い出すこと、すなわち、赤線、青線、特飲街に厳重なメスを加え、その温床地帯を絶滅するために努力しようとする法案が、何ゆえ否決されなければならないのか。これら業者を保護するために、婦人の人権をじゅうりんし、人間を売買することが許容されてよいのか。断じて許さるべきではないと私は考えます。(拍手)  売春等処罰法案成立のみによって売春が直ちに絶滅されるということは、だれしも考えておりません。日本にとって、売春禁止法は、アメリカの奴隷廃止にも比すべき一種の社会革命でありますから、立法後にも長い困難の道が横たわっているということも、私どもはよく承知はいたしております。しかしながら、われわれは、売春は人道上許すべからざるものであるということを高々と宣言したいのであります。(拍手)  一方におきまして社会保障制度の一環としての売春婦の更生施設等はもちろん必要であります。教育、貧困からの救済もまた必須条件でありましょう。しかし、これらの基盤となるものは、売春行為、人身売買が犯罪であるということを宣明することであります。東京大田の少女売買事件、鹿児島の松元事件、これらの社会問題が世論の批判を受けたのでありますが、当時の、すなわち五月以降の売春地域、売春婦の増加率は頭打ちになっておる現状でございます。いかに犯罪としての倫理的自覚が大きな抑制の力を持っているかが、これでもわかるのであります。(拍手)  私たち婦人議員、革新政党の叫びは、法務委員会におきましてはついに取り上げられなかったのでありますが、このたびほど世論がわれわれに同調し盛り上ったときは、かつてなかったのであります。この事実は、良識ある国民の大多数の支持を得たことを意味するもので、まことに喜ばしい次第でございます。(拍手)これに力を得まして、私たちの戦いは、いかなる困難をも排除し、最後まで続けられることを宣言いたしまして、ただいまの委員長報告に対する反対討論を終る次第でございます。(拍手
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。この採決は記名投票をもって行います。本案委員長の報告は否決であります。本案委員長報告の通り否決するに賛成諸君は白票、反対諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕
  32. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 三百三十三   可とする者(白票)  百九十一   [拍手〕   否とする者(青票)  百四十二   [拍手
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 右の結果、本案委員長報告の通り否決いたしました。(拍手)     ―――――――――――――  本案委員長報告の通り否決するを  可とする議員の氏名    阿左美廣治君  赤城 宗徳君    赤澤 正道君  秋田 大助君    有田 喜一君  有馬 英治君    安藤  覺君  五十嵐吉藏君    池田正之輔君  石坂  繁君    石田 博英君  稻葉  修君    今井  耕君  宇田 耕一君    植原悦二良君  植村 武一君    臼井 荘一君  遠藤 三郎君    小笠 公韶君  小川 半次君    大石 武一君 大久保留次郎君    大倉 三郎君  大高  康君    大橋 忠一君  大村 清一君    岡崎 英城君  荻野 豊平君    加藤 高藏君  加藤常太郎君    上林山榮吉君  亀山 孝一君    唐澤 俊樹君  川崎末五郎君    川崎 秀二君  川島正次郎君    菅  太郎君  菅野和太郎君    木崎 茂男君  木村 文男君    菊池 義郎君  岸  信介君    北村徳太郎君  吉川 久衛君    清瀬 一郎君  草野一郎平君    楠美 省吾君  小泉 純也君    小枝 一雄君  小島 徹三君    河野 金昇君  高村 坂彦君    纐纈 彌三君  齋藤 憲三君    櫻内 義雄君  笹本 一雄君    笹山茂太郎君  志賀健次郎君    椎名悦三郎君  椎名  隆君    重政 誠之君  島村 一郎君    首藤 新八君  正力松太郎君    須磨彌吉郎君  鈴木周次郎君    世耕 弘一君  園田  直君    田中 久雄君  高岡 大輔君    高木 松吉君  高瀬  傳君    竹内 俊吉君  竹山祐太郎君    千葉 三郎君  渡海元三郎君    徳田與吉郎君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中村 梅吉君    中村三之丞君  中村庸一郎君    中山 榮一君  永田 亮一君    長井  源君  夏堀源三郎君    楢橋  渡君  南條 徳男君    丹羽 兵助君  根本龍太郎君    野田 武夫君  長谷川四郎君    花村 四郎君  浜地 文平君    浜野 溝吾君  林  唯義君    林   博君  平塚常次郎君    廣瀬 正雄君  藤本 捨助君    淵上房太郎君  古井 喜實君    保科善四郎君  坊  秀男君    本名  武君  眞崎 勝次君    眞鍋 儀十君  前田房之助君    牧野 良三君  松浦周太郎君    松浦 東介君  松岡 松平君    松澤 雄藏君  松田竹千代君    松田 鐵藏君  松永  東君    松村 謙三君  松本 瀧藏君    三浦 一雄君  三木 武夫君    三田村武夫君  森下 國雄君    山口 好一君  山手 滿男君    山本 粂吉君  山本 正一君    横井 太郎君  米田 吉盛君   早稻田柳石エ門君 亘  四郎君    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  伊藤 郷一君    池田 勇人君  石井光次郎君    植木庚子郎君  内田 常雄君    内海 安吉君  江崎 真澄君   小笠原三九郎君 小笠原八十美君    小澤佐重喜君  越智  茂君    大坪 保雄君  大野 市郎君    大野 俘睦君  大橋 武夫君    太田 正孝君  加藤鋳五郎君    鹿野 彦吉君  神田  博君    川野 芳滿君  川村善八郎君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    小平 久雄君  小西 寅松君    小林  郁君  小林かなえ君    佐藤 榮作君  坂田 道太君    鈴木 直人君  薄田 美朝君    瀬戸山三男君  關谷 勝利君    田口長治郎君  田中伊三次君    田中 角榮君  田中 正巳君    高橋  等君  塚田十一郎君    徳安 實藏君  永山 忠則君    灘尾 弘吉君  二階堂 進君    野澤 清人君  馬場 元治君    畠山 鶴吉君  八田 貞義君    林  讓治君  福井 順一君    福井 盛太君  福田 篤泰君    古川 丈吉君  水田三喜男君    村上  勇君  山崎  巖君    山本 友一君  横川 重次君    堤 康次郎君  否とする議員の氏名    阿部 五郎君  青野 武一君    赤路 友藏君 茜ケ久保重光君    足鹿  覧君  飛鳥田一雄君    有馬 輝武君  淡谷 悠藏君    井岡 大治君  井谷 正吉君    井手 以誠君  伊藤 好道君    猪俣 浩三君  石田 宥全君    石橋 政嗣君  石村 英雄君    岡本 隆一君  加賀田 進君    加藤 清二君  風見  章君    片島  港君  勝間田清一君    上林與市郎君  神近 市子君    川村 継義君  河野  正君    木原津與志君  北山 愛郎君    久保田鶴松君  栗原 俊夫君    五島 虎雄君  佐々木更三君    佐藤觀次郎君  櫻井 肇夫君    志村 茂治君  島上善五郎君    下川儀太郎君  下平 正一君    鈴木茂三郎君  田中 武夫君    田中 稔男君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    楯 兼次郎君  辻原 弘市君   中村 英男君  永井勝次郎君   成田 知巳君  西村 力弥君   野原  覺君  芳賀  貢君   長谷川 保君  原   茂君   原   彪君  福田 昌子君   古屋 貞雄君  帆足  計君   穗積 七郎君  細迫 兼光君   正木  清君  松原喜之次君   三鍋 義三君  武藤運十郎君   森 三樹二君  森島 守人君   森本  靖君  八百板 正君   八木 一男君  八木  昇君   安平 鹿一君  柳田 秀一君   山口丈太郎君  山崎 始男君   山田 長司君  山花 秀雄君   山本 幸一君  横錢 重吉君   横路 節雄君  横山 利秋君   和田 博雄君  渡辺 惣蔵君   井上 良二君  井堀 繁雄君   伊瀬幸太郎君  伊藤卯四郎君   池田 禎治君  稲富 稜人君   今澄  勇君  受田 新吉君   大西 正道君  大矢 省三君   春日 一幸君  片山  哲君   神田 大作君  川島 金次君   川俣 清音君  河上丈太郎君   菊地養之輔君  小牧 次生君   河野  密君  佐々木良作君   佐竹 新市君  杉山元治郎君   鈴木 義男君  田中幾三郎君   田中 利勝君  田原 春次君   田万 廣文君  竹谷源太郎君   戸叶 里子君  堂森 芳夫君   中井徳次郎君  中崎  敏君   中島  巖君  中村 高一君   中村 時雄君  西尾 末廣君   西村 榮一君  西村 彰一君   日野 吉夫君  甲岡忠次郎君   平田 ヒデ君  前田榮之助君   松尾トシ子君  松岡 駒吉君   松前 重義君  三宅 正一君   三輪 壽壯君  水谷長三郎君   門司  亮君  矢尾喜三郎君   山口シヅエ君  山下 榮二君   吉川 兼光君  吉田 賢一君   石野 久男君  久保田 豊君   小林 信一君  小山  亮君   志賀 義雄君  中原 健次君      ――――◇―――――
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第五、北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。建設委員会理事瀬戸山三男君。     〔瀬戸山三男君登壇
  36. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山三男君 ただいま議題となりました北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、法案の提案理由とその内容について申し上げますと、住宅金融公庫は今年度より住宅の増築に対する融資を行うことになったのでありますが、北海道の区域内において公庫が貸付をすることのできる住宅は、現行の北海道防寒住宅建設等促進法の規定によりますると、防寒住宅であって、しかも簡易耐火構造または耐火構造の住宅に限定されているのであります。従って、北海道においては、既存の木造または防火構造の住宅について増築を行う場合も、その増築にかかる部分が簡易耐火構造または耐火構造の住宅でなければ公庫は資金の貸付をすることができないことになっておりますので、これでは建築技術等の面から現実に即しないうらみがあります。     〔議長退席、副議長着席〕 ひいては、北海道における増築融資の利用度を低下させ、過密居住の解消を目的とする増築融資施策の目的を達成し得なくなるおそれがあるのであります。そこで、北海道においても、既存の木造または防火構造の住宅の増築を行う場合は、防寒住宅である限り、簡易耐火もしくは耐火構造の住宅でなくてもよいように改正せんとするものであります。  本法律案は去る七月十八日本委員会に付託されたのでありますが、質疑内容は速記録に譲ります。  かくて、討論を省略して直ちに採決いたしましたところ、本法案は全会一致をもって原案通り可決すべきものと決定した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  37. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  39. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第六、日本海外移住振興株式会社法案議題といたします。委員長の報告を求めます。外務委員長植原悦二郎君。     〔植原悦二郎君登壇
  40. 植原悦二郎

    ○植原悦二郎君 ただいま議題となりました日本海外移住振興株式会社法案につきまして、外務委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。  この法案は、六月二十二日内閣から国会提出、同日本委員会に付託されましたので、六月二十五日から七月二十日まで八回にわたり外務委員会を、また外務委員会農林水産委員会連合審査会を開き、最も慎重に審議を重ねました。  政府側の説明によりますれば、戦後、中南米諸国に対する移住者の送出は昭和二十七年度末から開始されましたが、政府が送出いたしましたいわゆる計画移民の数は逐年増加いたしまして二十九年度には三千七百四十一名に達し、本年度は約五千五百名を送り出す予定であります。このように海外移住事業が進展いたして参りました直接の原因は、ブラジルを初めとし、アルゼンチン、パラグァイ、ボリビア等の対日感情が好転し、わが移住者を歓迎するに至ったためでありますが、政府が進んで渡航費の貸付を行なったことも大いにあずかって力あるものと考えます。しかしながら、わが移住者受け入れに対する国際情勢の好転に即応して、大量移民送出を可能ならしむるためには、農業移民に加うるに、資本と技術を持つ企業移民の育成強化にも常に留意し、移住者の行う事業及び移住者を受け入れる事業の助成拡大にまで乗り出すことが必要となったものであります。政府はかねてより米国の民間三銀行との間に移民借款の交渉を進めていたのでありますが、話し合いは有利に展開し、三銀行が千五百万ドルの借款を与うる意向を表明いたして参りました。よって、とりあえず予算の許す範囲内でなし得る財政出資をもととし、これに民間資本を加え、海外移住振興業務を行う機関を設立、これにただいま述べました移民借款を受け入れ、もって移住者及びその団体の行う事業に資金を貸し付けるほか、必要あるときは移住者を受け入れる現地事業に投融資し、さらに場合によっては移住者を受け入れる現地事業を経営できるようにして、移住者受け入れの現地側の基盤を積極的に拡大培養せんとするものであります。かような見地から、移住振興業務を行うため、特別法に基く株式会社を組織しようとするので、この法案が作成された次第であります。  この法案は特殊な会社組織と重大な国家的意義を有する移民事業とを規制せんとするものでありますから、この際簡単にその内容説明しておきたいと思います。  まず第一に、この法案に規定されました会社の業務の範囲は、前に述べました移住者のためにする資金の貸付、投融資、事業経営のほかに渡航費の貸付をいたすことになっておりますが、これは外務大臣の指定する団体に委託できることになっております。  第二に、資本関係につきましては、政府の出資額は予算の範囲内となっており、三十年度においては政府は一億円出資することを規定しておるのであります。  第三に、役員に関しては、取締役四名以内、監査役二名以内とする規定になっております。  第四に、社債発行額の限度は、資本及び準備金総額または純財産額、いずれか少い額の五倍以内と規定いたしております。  第五に、政府は、会社の外債償還を確保するために、会社振り出しの外貨手形をその満期前一日までに政府が相手方外国銀行から買い取る旨の契約をなすことができ、また会社の利息債務を政府が保証する規定となっております。  第六に、監督関係の規定において外務大臣が会社を監督することになっておりますが、社債募集、定款の作成変更、毎営業年度の事業計画、一年以上の資金借り入れ、重要財産の処分等については、外務大臣は大蔵大臣と協議して認可することになっております。  最後に、本会社は、一般的に本法律案に規定する場合のほか、もとより株式会社として商法その他の民事法の適用を受けるわけでありますが、会社の業務の公共性にかんがみ、会社に対する政府の監督は業務にまで及び、また役員その他の職員の不正行為に対しては重く罰する規定となっております。  以上は本会社の内容の概略であります。  次に、政府と外務委員との間に活発な質疑応答が行われました。また、参考人、日本海外協会連合会副会長上塚司君、鳥取県海外協会事務局長大久保毅一君を招致し、意見を聴取いたしたのであります。その詳細については委員会議事録によって御了承を願います。  ここにおもなる質疑応答をあげますれば、次の通りであります。  まず、委員から、この会社の総資本額及び経理について質疑があり、これに対して政府側は、この会社に対する政府出資は本年度において一億円でありまして、民間資本を大体五千万円を想定し、総資本額一億五千万円をもって会社は設立せられるはずであります、この金額は国内において諸経費に充てることになるはずで、三銀行から借り受ける外貨一千五百万ドルは外国において移民に関連する事業並びに移民自体に貸付使用される構想であるとの答弁でありました。  委員から、渡航費の貸付は大体政府の事業であり、かつこれが回収もなかなか困難である、この会社は採算を基礎とする株式会社であるので、これを会社の業務の一つとするのは不適当であるので、他の機関にまかすべきではないかとの質問があり、これに対し、政府側は、現在渡航費の貸付は海外協会連合会がこれを行なってくるのでありますが、国家資金の回収を必要とする面から考慮して、この会社の業務とすることが妥当であるとの意見がありまして、かように定められた次第であります、しかしながら、渡航費貸付の業務だけは会社は海外協会連合会に委託することができるように規定されたわけであるとの答弁でありました。  また、委員から、移民の渡航費支出は戦前においては政府の補助で行われたが、これを貸し付けることは当該移民に過重な負担ではないかとの質問があり、これに対し、政府側は、当今中南米への渡航費は一家族当り五十万円を要し、予算関係政府の全額負担とすることは困難であるので、据置期間付長期貸付の形式をとっており、かつ、これが回収に当っても、移民個々の事情を十分考慮し、貸付期間をさらに延長することができるように措置するつもりであるとの答弁でありました。  また、委員から、本法案に関連して外務、大蔵、農林、通産、労働の各省間に意見の相違があって、移民政策の一本化に支障を来たしたようなうわさがあるが、その真相いかんとの質問があり、これに対し、政府は、各省の所管事務からそれぞれの主張があって、十分論議を尽したが、結局海外移住に関する事務調整についての閣議決定その他各省次官間の了解事項等の作成によって調整せられ、そのうち重要なものはこの法案中に織り込まれるに至ったのであるとの答弁でありました。  質疑終了に続いて、大橋委員から、各派共同提案として、日本海外移住復興株式会社法案に関する附帯決議の動議が提出されました。  すなわち   本会社設立の上は、政府は左の事項につき充分留意せられたい。  (一)政府は会社の指導に当り、会社の活動が移民受入国の利益及び需要に合致し誤解を招かないよう万全の配慮を加うること。  (二)外務省は円滑なる運営のため、つねに関係各省と連絡を密にし、ことに事業計画及び資金計画に関する認可を与えるときは農林、通産、労働その他の関係各省に事前に諒解を求めること。  (三)本会社の配当は、如何なる場合に於ても一割を超えないこと。 以上の通りでありました。  最後に、討論に入り、日本民主党大橋忠一君、自由党北澤直吉君、日本社会党左派穗積七郎君及び日本社会党右派戸叶里子君から、それぞれの党を代表し、本案及び附帯決議案に対し賛成意見を表明されました。  採決の結果、本法案は附帯決議を付して全会一致をもって原案通り可決すべきものと議決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  41. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告の通り可決いたしました。      ――――◇―――――
  43. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第七、自動車損害賠償保障法案議題といたします。委員長の報告を求めます。運輸委員長原建三郎君。     〔原健三郎君登壇
  44. 原健三郎

    ○原健三郎君 ただいま議題となりました自動車損害賠償保障法案につき、運輸委員会における審査の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  最近、自動車運送の発達に伴い、自動車事故による死傷者が激増するという憂慮すべき事態にかんがみ、被害者の保護に万全を期するため、自動車損害賠償保障制度を確立しようとするのが本法案目的でありまして、その要旨は次の通りであります。  第一は、自動車による人身事故の賠償責任を適正にしようとする点であります。すなわち、人身事故については、自動車側に故意過失がなく、かつ被害者または第三者に故意過失があったことを証明できない限り、自動車側に賠償責任を負わせることといたしております。  第二は、自動車側の賠償能力を確保しようとする点であります。すなわち、その一は、強制保険制度で、原則としてすべての自動車に賠償責任保険契約の締結を義務づけるものであります。この場合、保険者は民間保険会社といたしますが、本法案目的を達成するために、引受義務、非営利的料率の算定について保険業法等の特例を設けるとともに、免責事故の縮減等について商法の特例を設けることといたしております。さらに、本保険の特殊性にかんがみ、政府が保険会社の保険責任の百分の六十を再保険する措置を講じております。なお、多数両数の所有者に対しては、例外的に自家保障の道を開いております。その二は、自動車損害賠償保障事業でありましてひき逃げ事故のように加害者が不明の場合等において、政府が被害者に損害をてん補する措置を講じようとするものであります。  本法案は、五月二十五日本委員会に付託され、同二十八日政府より提案理由の説明を聴取いたしました後、委員会を開くこと七回、その間、六月十七日には、利害関係者、労働団体関係者等八名を参考人として招致し、その意見を徴する等、慎重に審議をいたしましたが、その詳細については会議録によって御承知を願います。  かくて、本月二十日質疑を打ち切りましたところ、日本民主党自由党日本社会党両派及び小会派を代表し、井岡大治君より、本法案による強制保険の適用除外に五大市を加えること、並びに施行期日を公布の日から六カ月をこえない範囲で政令で定めるとあるを八カ月に改めることについて修正動議がなされ、次いで討論に入り、日本民主党を代表して岡崎英城君より、自由党を代表して山本友一君より、日本社会党を代表して青野武一君より、日本社会党を代表して大西正道君より、それぞれ修正案及び修正部分を除く原案に対し賛成意見を述べられました。  以上をもって討論を終局し、まず修正案について採決の結果、起立総員をもってこれを可決、次いで修正部分を除く原案について採決の結果、これまた起立総員をもって可決せられました。  次に、日本民主党臼井莊一君より、政府は本法の適切かつ円滑なる運営を期するため保険料率の低廉化をはかる等の措置を講ずべきである等、八項目にわたる附帯決議案が提出せられ、これについて採決の結果、異議なく可決せられました。  よって、本法案は附帯決議を付して修正議決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手
  45. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長の報告は修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告の通り決しました      ――――◇―――――
  47. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 日程第八、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案議題といたします。委員長の報告を求めます。社会労働委員会理事松岡松平君。     〔松岡松平君登壇
  48. 松岡松平

    ○松岡松平君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。  本改正案の要旨は、さきに本院を通過いたしました恩給法の改正に対応して、遺族年金額の引き上げを行うほか、援護の措置をさらに強化するため所要の改正を行おうとするものであります。  そのおもなる内容を申し上げますれば、第一は、改正恩給法における旧軍人の公務扶助料の増額に対応して、本法における先順位者の遺族年金額を従来の二万七千六百円から二万八千二百六十五円に引き上げたことであります。  第二は、弔慰金を支給する遺族の範囲を拡大し、戦没者の三親等内の親族で戦没者の死亡当時これと生計関係を有していた者にも支給することとしたことであります。  第三は、軍人恩給が停止された昭和二十一年二月一日以後に遺族以外の養子となった者でも、遺族援護法公布の昭和二十七年四月三十日前に縁組を解消した者に対しては、右の期間における縁組をもって年金失権事由としていた従来の取扱いを改めて、遺族年金を支給することとしたことであります。  第四は、公務上の傷病の範囲に関する規定でありますが、太平洋戦争中戦地で受傷、罹病した軍人、軍属が戦地勤務中死亡した場合または戦地の勤務を離れてから原則として一年以内に死亡した場合、公務以外の事由で死亡したことが明らかでないときは、援護審査会の議決により、公務上死亡したものとして取り扱うこととしたことであります。  以上のほか、日華事変中、事変地で勤務していた、いわゆる雇用人等の軍属、終戦時の特殊事情により責任自殺した者等に対する援護の措置等について規定を整備いたしたものであります。  本法案は、去る五月二十三日本委員会に付託せられ、同二十五日政府より提案理由の説明を聴取した後審議に入り、昨二十日の委員会において質疑を終了した後、各派共同提案による修正案提出せられ、自由党の山下委員からその趣旨の説明がありました。  本修正案の要旨は、   一、公務扶助料の増額に伴い、遺族年金額を政府案の二万八千二百六十五円から三万五千二百四十五円に増額すること。   二、軍人及び準軍人については、故意または重大な過失によるもの以外の死亡を公務死とみなし、また軍     属については戦時災害の要件をはずして公務死の範囲を拡大したこと。   三、満州開拓青年義勇隊の隊員に対しても弔慰金を支給すること。   四、養子でなくなった者の遺族年金の受給権復活の範囲を拡大すること。   五、戦犯として拘禁中死亡した者についての遺族年金、弔慰金の支給を適正化すること。 等であります。  次いで、討論を省略し採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも全会一致可決すべきものと議決いたした次第でございます。  以上、報告いたします。(拍手
  49. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 採決いたします。本案委員長の報告は修正であります。本案委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 杉山元治郎

    ○副議長(杉山元治郎君) 御異議なしと認めます。よって本案委員長報告の通り決しました。  明二十二日は定刻より本会議を開きます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十五分散会