○田口長治郎君 私は、ただいま議題となりました、民主党、自由党、両派社会党の共同提案にかかる第二次
漁港整備計画に関する
決議案について、各派を代表いたしまして、簡単にその趣旨を御説明申し上げます。
まず、
決議案文を朗読いたします。
第二次
漁港整備計画に関する
決議案
政府は、第二次
漁港整備計画を立案し、漁港審議会に諮問し既にその答申を得たとのことである。
よ
つて政府は、第二次
漁港整備計画を速かに決定し、漁港法第十七条第二項の規定に基き、今会期中に
国会に
提出し、その
承認を求むべきである。
右決議する。
食糧を増産いたしまして、その自給度を高め、そうして
輸入食糧の抑制をはかることとともに、輸出の振興によりまして国際収支の改善を期することは、
わが国経済の再建、国民
生活の安定上最も必要でありますことは、今さら申すまでもありません。この施策の一環として、今日すでに国民保健
食糧として必要でありますところの脂肪、蛋白の八〇%を供給しておりまして、輸出貿易におきましては総額の一〇%を占めておりますところの水産業を発展せしむることは、
わが国の地理的条件あるいは国民性等から
考えまして適切かつ不可欠であることは論を待たないどころであります。
御承知の
通り、
わが国の漁業は、世界第一と称せられまして、はなばなしく活躍して参ったのでありますが、敗戦の結果、千島、樺太あるいは朝鮮、台湾、南洋諸島等の領土を喪失いたしました結果、必然的にこれら各地に求めておりました漁業の前進基地をすべて失うとともに、連合軍の占領当時にありましては、いわゆるマッカーサー・ラインがありまして、
日本の公海漁業は極度に制限されておったのであります。これがために、
日本のあらゆる漁業は沿岸漁業に集中をいたしました。この沿岸漁場は、皆さん方も御承知の
通り、戦時中
食糧を確保するために酷漁乱獲し、資源を枯渇しておったのでございますが、ここにあらゆる漁業が集中されたのでありますから、沿岸漁業の荒廃に全く拍車をかけたような
状態となりまして、その結果は、沿岸漁業の不振と沿岸漁民の
生活の困窮、
配給米もとれないような実情を呈して参ったのでございます。
従って、これが打開策といたしましては、いろいろな
方法がありますが、そのうちで最も重大なることは、沿岸から沖合いへ、沖合いから遠洋へと漁業の転換を推進することが最も重要でありまして、今日まで強力にこのことを実施して参りました。すなわち、沖合いに転向する
日本の漁業、また前進基地を失った
日本の漁業は必然的に漁船の大型化と近代化が要請されるのでありまして、これを数字的に見ますと、
昭和二十二年、海水動力船八万九千六百隻、このトン数が六十三万トンでありましたものが、
昭和二十九年十二月末におきまして、十三万七千隻、このトン数実に九十八万五千トンとなりまして、急速に増加いたしておるのであります。従って、漁獲高におきましても、二十二年の六億二千五百万貫から二十八
年度には十二億七千三百万貫という、戦前を凌駕する長足の発展を遂げておる次第でございます。この漁船の近代化、大型化による漁業の発展は、当然漁港の整備を伴わなければならないのであります。
しかるに、漁港の整備は遅々として進まず、今日におきましては、各地ともに著しくアンバランスを呈しておるのであります。一例を申し上げますと、漁港法によりまして指定をせられました漁港が
全国に二千六百余港もあるのでございますが、そのうち修築に着手したものは、わずかに第一次整備
計画として
承認せられた四百五十港のうちで三百七十五港にすぎない実情であります。
全国漁民の漁港整備に対する要望があのように熾烈であるゆえんも実にここにある次第であります。
漁港の使命は、皆さん御承知の
通り、漁民のただ一つの財産でありますところの漁船を保護する施設であるばかりでなしに、ときによりましては漁民の生命を守る施設であります。これがゆえに、漁業の能率は増進し、漁獲物の処理は迅速に運び、魚の鮮度は保たれ、漁業の経営が成り立つのであります。漁港の整備なくしては漁業の発展はあり得ないのであります。従って、私は、
全国漁港の現況から
考えまして、漁港法の定めるところに従い、漁業の発展に即応して、
計画的になるべく数多くその整備拡充をすみやかにはかり、もって危険を未然に防止することはもとより、漁業経営を合理化し、生産の増強をはかるとともに、漁民の
生活の安定に資することは、けだし適切妥当なる
処置と思うのであります。加うるに、
昭和二十六年
国会において
承認いたしました第一次整備
計画漁港中、未着手のものも残り少くなりました。しかも、これら未着手の漁港中には、今日では直ちに着手することが必ずしも妥当でないものもある現状から
考えまして、
政府はさきにみずから立案し漁港審議会に諮問して、すでにその答申を得た改訂整備
計画、すなわち第二次整備
計画案を今会期中に
国会に
提出され、その
承認を求める
処置をとられるよう、院の決議として強く要請いたす次第でございます。
なお、この際
政府に対し一言しておきたいことは、
漁港整備計画と表裏
一体をなしますところの
予算の確保の問題であります。せっかく整備
計画が整いましても、
予算の裏づけがなくては、
計画は画餅に終る次第でありますから、今後特段の考慮を払われ、これが確保についてはいま一段の熱意と御
努力を要望する次第でございます。
何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。(
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