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1955-06-11 第22回国会 衆議院 本会議 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月十一日(土曜日)     ―――――――――――――  議事日程 第二十六号   昭和三十年六月十一日     午後一時開議  第一 租税特別措置法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  第二 登録税法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  第三 農業協同組合中央会不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案大蔵委員長提出)  第四 中小企業金融公庫法の一部を改正する涯律案(内閣提出)  第五 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)     ―――――――――――――  一 農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明  二 地方財政再建促進特別措置法案内閣提出)の趣旨説明  三 恩給法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明     ――――――――――――― ●本日の会議に付した案件  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明及びこれに対する質疑  日程第一 租税特別措置法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  日程第二 登録税法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  日程第三 農業協同組合中央会不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案大蔵委員長提出)  日程第四 中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時十六分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ――――◇―――――  一 農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際、順序を変更して、農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明を求めるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よってその通り決しました。  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明を求めます。外務大臣重光葵君。     〔国務大臣重光葵登壇
  5. 重光葵

    国務大臣重光葵君) 去る五月三十一日私と米国大使との間に署名を了しました農産物購入に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について国会の御承認を求める件に関し、提案の理由をここに申し述べます。  昨年七月米国において成立いたしました農産物貿易促進及び援助に関する法律によりまして、従来のMSA協定に基く農産物買付とは別個に、米国農産物を円によって購入すること及びその贈与を受けることができる道が開かれたので、当時、前内閣は、これを利用するの方針のもとに、昨年秋以来ワシントンで交渉を始めたのでございますが、現内閣におきましても、この問題について慎重な検討を加えた上に、この交渉を継続することに決定をいたしまして、米国政府との間に鋭意折衝を重ねて参ったのでございます。その結果、本年五月両国政府の間で意見一致を見るに至りましたのでございます。  この間の交渉の経緯につきましては、今国会における論議に際し、そのつど、でき得る限り詳細に御説明をいたして参ったのでございますが、さらにその内容をかいつまんでここに申し上げれば、購入または贈与を受ける農産物の品目及び金額、並びに右購入による積立代金のうち、三割を米国側使用分といたしまして七割をわが国に対する借款とすることについて了解が成立したのでございます。右借款使用につきまして、使用計画大綱についての了解ができますその範囲内において、わが国が自由にこれを使用し得ることに相なっております。またその金利と年限については、ドル払いの場合は年三分、円払いの場合は年四分、期間は十年の長期とすることに意見一致を見た次第でございます。  さらに、いわゆるドル・クローズの問題につきましては、わが国通貨及び経済事情に及ぼす影響にかんがみてこれを避け、借款ドル建によるも、その返済は時の事情に応じてドルまたは円によることについて、わが方の完全なる選択権を留保することによって解決することにいたした次第でございます。  この協定によりまして、わが国の必要とする小麦、大麦、米、綿花及び葉タバコを八千五百万ドル金額まで円をもって購入することができるほか、現物贈与として一千五百万ドルまでの農産物贈与を受けて、児童福祉計画を一段と拡大することができるようになりました。さらに、前述の購入によって積み立てられる円資金のうち、ドルに交換された七割、約六千万ドルを、わが国経済開発、すなわち電源開発農業開発及び生産性向上のための借款として受けることができることたなるのでありまして、この協定の実施の暁におきましては、これによってわが方の受ける利益は各方面にわたって少からざるものがあると期待される次第でございます。  以上のような事情でございますから、本協定につきまして、どうか、慎重御審議の上に、すみやかに御承認を賜わらんことを希望する次第でございます。(拍手)      ――――◇―――――  農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件の趣旨説明に対する質疑
  6. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの趣旨説明に対する質疑に入ります。松野頼三君。     〔松野頼三君登壇
  7. 松野頼三

    松野頼三君 ただいま議題となりました農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求めるの件につき、自由党を代表し質疑を行い、関係閣僚答弁を求めます。  ます第一に、この協定の成立についての政府外交は拙劣と言わなければなりません。本件は、すでに昨年十一月、自由党内閣当時、日本アメリカ両国間に十分なる理解と合意が成立しており、その内容も、本協定とは異なり、国内農産物価を完全に保護し、しかもわが国経済に貢献するものでありました。今日、アメリカは非常な膨大なる農産物を有し、わが国食糧不足の国である以上、この食糧輸入を最も効果的に、わが国に最も有利なる条件輸入することが必要であります。また、食糧輸入には各国との取りきめを乱さざることに留意されなければなりません。数量の多きをよしとせず、正常量をこえざること、積立円はこの輸入に最も影響の深いわが国農業増産に重点的に使用すること、決済法はあくまで円建円払いとすること、贈与分をより多くすること等は欠くべからざる要件であります。しかるに、今般の協定は本質的にはなはだしく逸脱したることは、明らかに政府外交上の失敗であります。外交に関してはすでに本院外務委員会において日ソ交渉の軽率の態度の戒告決議が可決され、政府の不明を天下にさらし、また先般は国会で強い批判を受けたる日米共同声明防衛分担金交渉の際、行政協定以上に苛酷なる条件を含む日米共同声明を突然発表したること等は、すでに国民の現内閣外交に対する不信と疑惑はぬぐうべくもございません。真に政府が公明なる国民外交を行わんとするならば、戒告決議趣旨を体して過去を反省て、あらためて法理論上最も幾多の疑惑を有する日米共同声明国会承認を求められる意思ありやなしや、外務大臣にお伺いいたします。  第二に、国内受け入れ態勢の不備であります。国内の産米はもちろん、本年の麦価決定さえもいまだ正式に決定されざるごと等は、この食糧輸入を前にして、農民の非常なる不安と現内閣に対する非難は全農村に満ちております。予算における農業関係経費大幅削減減収加算の不手ぎわ、米の供出制度の不徹底、食糧増産対策の不熱心、これらの農業問題を何ら解決することなく、本協定締結農民にとり必要以上に政府を疑わざるを得ません。国内農産物価格を圧迫せずと言葉ではたびたび言うけども、やはり疑惑を解消することを得ざるは明らかに現内閣交渉に対する信を疑われます。(拍手政府所信いかん。なお、十五口までとたびたび公言されております本年米価政府案決定は、よもや間違いはございますまい。念のために農林大臣にあわせてお伺いをいたします。  第三は、本協定内容の不手ぎわであります。余勢農産物処理法第四百八十条には、現地通貨で買い上げ、返還と明文あるにかかわらす、何ゆえにドル決済方法をとるや。円建円払いであればこそこの協定有利性があるにかかわらす、ドル決済法を原則とすることは、はなはだ不満であります。ドル決済は、将来に対しドル調達の債務を長期にになう結果となる。もし円払い選択制をとるとすれば、明らかに円価値の劣性を国際協定わが国自身が認めたごととなります。かくのごときことこそ、現内閣をもって噴失とする。わが国において他にかくのごとき例ありゃなしや、お伺いをいたします。(拍手大蔵大臣一萬田氏は、日本経済の地固め、円為替レートの維持を一枚看板としながら、円価値軟化をみずから自白するものであります。大蔵大臣答弁を求めます。  農産物購入価格は時価であり、何ら有利性は認められません。せめて贈与分決済法においてこそこの協定の真個を発揮すべきである事項にかかわらず、かくのごとき協定を結ばれたることを満足と政府はお考えでございましょうか、経審長官にお伺いいたします。  次に、輸送費の問題であります。アメリカ国旗を掲げる船で五〇%輸送するとあれば、残額は当然日本船で輸送すべきが妥当と思うが、その際の輸送費は何らの明文もありません。もし借款分より支払うとすれば、本年度予算に計上せる財政投融資総額二百十四億に響き、これを変更することと相なります。いかなる費用より支出するや、また、わが国の純然たる負担なりとせば、本年度予算のどこに何ほど計上せりや、運輸大臣より御答弁を願います。  贈与分学童給食の性格上、学童に対し長期に行うべきものであり、一年一年に変更すべきものではございません。本協定には期限の明文なき来年以降贈与分に対する見込みいかが。  最後に、愛知用水世界銀行よりの借款は、宣伝ばかりで、とんと実現をいたしません。この協定と同時にこの問題も解決すべきであると信じます。交渉見通しいかん経審長官にお尋ねいたします。以上の諸点につき明確なる関係閣僚答弁を求め、私の質疑といたします。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  8. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えをいたします。この協定交渉が前内閣のときに始められておったということは、私が御説明申し上げるまでもないのであります。その交渉を慎重に検討いたしまして、そうして、これはわが内閣においても継続して交渉をまとめたいという方針のもとにこれを進行さして交渉をまとめた次第でございます。  円払いのことを特に御指摘がございましたが、月払いにするかドル払いにするかということは、利息の問題にからんで、そのとき非常に重要な問題となってきたのでございますが、しかし、こちらの事情によって最も利益のあるように、円払いでもドル払いでも、こちらの希望によって、そのときにわが方で決定をするということにして、交渉を妥結いたしたのでございます。  それから、その次に、本件には直接関係のない防衛分担金共同声明の問題をお持ち出しになったと思います。この防衛分擾金共同声明につきましては、分担金の軽減を大幅になしどけたのでございまして、これを廃棄する、また変える意向はないことをお答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣河野一郎登壇
  9. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えを申し上げます。  麦の価格決定が非常におくれておるようにおっしゃいますけれども、これは例年六月末にきめることでございまして、五月末の物価指数基礎にして計算いたすのでございますから、こういう日取りになることは当然でございまして、政府といたしましても従来通りのやり方でやるつもりでおります。  次に、予約制度のことについていろいろお話がございましたが、今までの割当供出制度でやることはすでに行き詰まっておりまして、この制度をもってしては十分な目的を達することはできない羽目に陥って、前内閣の当時すでに予約制度をやるようにそれぞれの委員会等の答申もあったことでございますので、その当時の事情を勘案いたしましてこの制度をとるようにいたしたのでございまして、これはこういうふうにしてやるよりほか仕方がなかろうと思うのでございます。  第三に、十五日を目途として米価決定をするということにいたしております。これは、予約制度を運用いたしまするにつきましては、どうしても十五日前後に価格決定してこの事務を進めていくことの方が適当であるということで、米価審議会懇談会の御意見もございましたから、政府といたしましては、この十五日を目途として、なるべく早く米価決定をして参りたいということに方針をきめている次第でございます。  また、余剰農産物買い入れ価格につきましては、世界市場価格を中心にしてきめることになっておりますから、これよりほかにきめ方はないと思うのであります。(拍手)     〔国務大臣高碕達之助登壇
  10. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 大蔵大臣が見えていないようでございますから、大蔵大臣に対する御答弁もさせていただきます。  最初われわれは円で買い入れて円で払うという方針で進んでおったのでありますが、この取引ほど私は日本に有利なものはないと存じております。これは自由党が私どもに残された一番大きな遺産だと存じております。(拍手)三カ年間据え置いて、そうしてドルを払います場合は三分の利息であります。これを四十年年賦に割り当てますと二分五厘六毛にしかついておりません。それでギフトの千五百万ドルを入れますと一分六厘にしかつきません。こういうふうな安い金をもって、そうして日本が必要とする物資が入ってくる。それは絶対的に日本で必要な物資である。それが入ってくる。そうして、それによって作られたる金が、日本長期計画上最も必要なる電源開発あるいは農地の更生、こういう方面に使われるということにつきましては、日本経済のためによほど寄与するところと存じまして、この取引日本のために非常にいいことだと私は存じております。(拍手
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 大蔵大臣及び運輸大臣参議院予算委員会に出席されておりまするから、適当の機会に答弁を願うことといたします。  稻村隆一君。     〔稻村隆一君登壇
  12. 稻村隆一

    稻村隆一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本協定に対し鳩山総理大臣以下関係大臣質問を行わんとするものであります。要するに、本協定は、アメリカ資本主義経済必然的発展である来たるべき経済恐慌農業恐慌を未然に緩和せんがため、余剰農産物ひもつき他国に押し売りし、その国の経済を犠牲にするおそれがある協定でありますから、デンマークは拒否し、イギリス、ノルウエーは気乗り薄協定であります。  まず、質問の第一点といたしまして、対米輸入量、米麦合せて百十五万ドンの上積みとして、さらに本協定によりアメリカから五十万トンに上る実に膨大な余剰農産物日本に入ってくるのでありますが、昨今の世界農産物市場を見ますと、完全に買手市場となっており、特に小麦市場は、アメリカカナダアルゼンチン等輸出国相互の間には激烈なる市場争奪戦が演ぜられているのであります。ゆえに、どこからでも有利に買うことができるわけであります。アメリカだけからかかる膨大なる量の食糧輸入するがごときことは、日本経済を完全にアメリカ経済に従属せしめ、日本植民地経済に転落せしめるものであると言っても決して過言ではないのであります。そして、日本貿易構造根本よりゆがめるものであり、さらに日本農業生産をいよいよ縮小せしめるものであることは、またあまりにも明白であります。今や政府アメリカ食糧に強度に依存し、国内食糧増産に熱意を欠いておることは、小麦輸入状況を見れば明瞭であります。  河野農林大臣は、今回の協定通常輸入ベースワク内だから心配はないと言明しておられますが、MSA協定あるいは小麦協定により、事実上二十九年度小麦在庫は二十八年度在庫より十万トンふえておる実情でありまして、河野農林大臣の安心は全く架空のものとなっておるのであります。この処理は、必然的に麦の代替制の強制、国内生産の縮小という形をとらざるを得ず、このことはさらに日本食糧需給構造を歪曲し、麦の支持価格を引き下げ、農民べの圧迫という事態を引き起すものであることはきわめて自然であります。(拍手購入見返り資金中の七割、五千九百五十万ドル、すなわち二百十四億円を日本は自主的に使える、ひもつきでないと政府は広言いたしてNいるのでありまするが、事実は、アメリカとの相談の結果、アメリカ了解を得て、農業開発にわずか三十億円、電源開発に百八十二億五千万円、生産性本部に一億五千万円等と重要なる干渉を受けており、従いまして、この円資金の使途におきまして、政府の豪語する経済拡大政策の根幹たるべき農業開発産業合理化への振り当てが実質上ほとんど期待できない実情となっているのであります。しかしながら、アメリカの一九五四年法を基礎とするこの協定のもとでは、まことにこれも当然なることでありまして日本自給体制確立のための農業開発アメリカ農産物市場を狭めることになるのは、子供でもわかることであります。しかも、一九五四年法の根本趣旨アメリカ農産物市場拡大にあるのでありますから、換言すれば、日本経済自立に向ってはならないという趣旨協定が、とりもなおさす、まさしくこの協定であるわけであります。  鳩山内閣総理大臣は、昨日の参議院会議の席上、日本食糧自給度向上を立案して実施し、輸入にたよらすに行きたいと申しておられますが、事実はかくのごとくアメリカに隷属する道を突き進んでいくのでありまして、この協定に調印したことに対し、鳩山総理、高碕経審長官河野農相は、日本経済自立という観点からいたしまして、いかにお考えになっておられるか、まず質問をいたしたいのであります。  第三点といたしまして日本貿易の問題でありまするが、現在、一塁用アジアビルマタイ等米産地諸国は、昨年は非常な豊作であり、在庫はすでに百万トンに上っていると聞いております。また、従来の輸入国たるインド、パキスタンも、かつてない豊作でありまして、今年は輸出可能の状態にもなりかねない勢いであります。従いまして、これら夏南アジア諸国は、米の主たる翰入国日本がどのくらい米を買ってくれるか非常な期待をしていたのであります。日本といたしましては、カナダアルゼンチンなどから小麦を、東南アジアから米を輸入することによって、輸出の増進の裏づけとして参ったのであります。そのやさき今回の協定の調印となったのでありまするが、MSA協定でさえ他国との通常貿易は阻害しない旨の期待があったのでありますが、本協定にはこれが取り除かれているのであります。一特に今回の余剰農産物は三十年度食管会計ワク内だということでありますが、それはアメリカよりの通常輸入量上積みであるので、自然東南アジア諸国よりの買付分影響してくることは当然の理屈であります。  重光外務大臣は、日本の最も必要としている東南アジア方面との貿易について支障がないという結論に達したためこの協定を進めたと参議院で言っイおられまするが、実に事態についての認識が薄弱きわまるもので、現に、タイ国は、以前より、日本が米を買わなければ日本の商品は買わないと言ってきました。ビルマも、本協定アジア経済交流を妨げるものであると非難して参りました。従いまして、本協定により東南アジア貿易は非常なる支障を来たすことは明白でありまするが、政府東南アジア貿易に対しいかなる対策を持っておられるのか、具体的に重光外務大臣石橋通産大臣お答えを願います。(拍手)第三点といたしまして、第五粂の第一項につきまして、この米側使用分一千七百万ドルアメリカ軍住宅建設使用すると昨日の参議院答弁されているのでありますが、共同防衛のための軍事上の装備資材、施設及び役務の調達という言葉がどうして住宅建設だけになるのか、軍事上の装備資材とは具体的に住宅だけをさすのか、その辺の事情防衛庁長官にお竺亨えをお願いたします第四点といたしまして、一九五四年法三百四条は、日ソ交渉日中貿易に悪い影響を及ぼすものではないでしょうか。これはソビエト、中国等とは取引をさせないようにしようとする意味リ条項でありまするが、政府は現在ロン「ンにおいて日ソ国交回復交渉を進めております。しかしながら、一方においてこういう協定に調印するという政府の真意は一体どこにあるのか。重光外務大臣は、米国政策を表わた米国法律であるからと言って、単にこれを割り切っておりまするが、一九五四年法はアメリカ法律であますが、それはアメリカだけの問題はなくて、日本の問題であり、また界の問題であります。だからこそ、の法律に基いて今回の協定が生まれのではないでしょうか。重光外務本の詳細なる説明を望みます。  以下、簡単に二、三の質問をいたますが、鳩山首相は、昨日の参議院で、来年度かかる協定締結するかどうかは来年の情勢判断によってでないと答えられないと発言をなさっています。高碕経審長官は、はっきりと、来年度も受け入れたい旨発表いたしておりますが、情勢見通しは一体どうなのか。鳩山総理と高碕長官にお尋ね、たします。次に、米綿通常輸入量二十七万五千余剰米綿三千五百万ドル、十七万五千俵、さらに贈与綿三百万ドル貧量なる綿が入りまするが、そのうち農産物分十七万五千俵は再輸出ができないことになっておりますので、国内消費ということになります。エジプト綿に比して高い米綿は業者もなかな引き取れぬと聞いておりまするが、の処理について成算があるのか、石橋通産大臣にお尋ねいたします。  次に、松村文部大臣は、学童給食有料にすると昨日参議院で言っておられまするが、これは、アメリカ交渉の際、贈与分であるから無償で鮎食しなければならぬようになってい上のではないか。もし、そうでなくてやはり有料であるならば、一体いかなる意図からであるか。また、その金何に使用するのか。また、その加工佃十八億五千万円との関係はいかになっているか。松村文部大臣にお尋ねいします。  最後に、付属文書についてでありまするが、この国会で本協定について問題になる点はすべて付属文書に譲り、ぞれが事実上のひもになるといううさがありまするが、事実かどうか。しこのうわさが事実ならば、国会無指もはなはだしいと言わなければな亡ず、この協定のみを審議することは片なはだ価値が薄くなると考えられますが、外務大臣の誠意ある御答弁をお願いいたしまして、私の日本社会党を代表する質問を終る次第でございます。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  13. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えいたします。  この協定に盛られております若干の使用分は、その大綱協定にあることは御承知の通りであります。しかし、大綱をきめてあるからといって、これがすべてひもつきであると言うわけには参らないかと思います。また、大網をきめないで、どんなことでも使えるというようなことにするのは、これは日本側より見てもどうかと思いますので、大綱をはっきりきめたわけでございます。しかし、その大綱範囲内にいては、日本は自主的にこれを使用する権利を持っておる次第でございます。それから、東南アジア諸国との貿易関係支障を来たしはしないか。こもは、なるほど、米が東南アジアの主面の輸出品でありますから、非常に考慮をしなければならぬ問題でございました。しかし、いろいろ検討いたしまして、その貿易の米の品質とか、また外資運用関係とか、相手方の政情とかをいろいろ検討いたしまして、この協定を結びましたからといって東南アジの貿易支障を来たすことがないとう結論は得ましたので、この協定は取りきめた次第でございます。  それから、ソ連、中共との貿易をこばみはしないか。ソ連、中共から米を輸入するということは、その条件次第によっては少しも拘束されておらないことを申し上げまして、御答弁といたします。  塚上でございます。     〔国務大臣河野一郎登壇
  14. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えいたします。麦の持ち越し量が多くなっておるが、これをさらに輸入をしてどうか、これが内地の麦の政策影響がありはしないかということでございましたが、この二つのお答えを申し上げます。  第一は、麦の価格決定は、先ほどお答え申し上げました通りに、大体前年度と同様の条件にありますので、前年度と同様の条件で今月中に決定をいたすことにいたしております。さらに、麦の持ち越し量についての御意見がございましたが、これは、御承知の通り、米の持ち越し量が予定の数字になっておりませんので、今日の食糧事情からいたしまして、麦の方で米の持ち越し量の少い分を多少カバーしておるということにいたしておるのでございます。  第二の点といたしまして、今外務大臣からもお答えがありましたが、輸入地が各地に影響しはせぬかということでございます。これは、この機会に申し上げておきますが、品質と価格とこの両点から見合いまして、最もわが国食糧に適当なものを輸入するという建前を私はとっておるのでございまして、それが通商もしくは外交の上においていろいろ勘案せなければならぬ場合に、各省の大臣の申し入れによって勘案いたしますけれども、私といたしましては、この基本線に合致するということでこれをやっておるのでございます。また、輸入量につきましては、御承知の通り、麦にいたしましても、幸にいたしましても、いずれもわが国輸入量の中で計算をいたしまして、これを輸入することによって少しもわが国国内農産物もしくは農産物価に影がないということで御了承いただきたいと思うのでございます。最後に、昨日参議院答弁申し上げましたことを今取り上げて、わが国内の自給度を向上して参るということを言いながら、こういうものを入れるということについていろいろ御意見がございましたが、これは自給計画を六カ年計画の中に入れておりますけれども、これによってわが国が自給自足できるかというととうていできないのでございます。ただ自給度の向上を総合的にはかっていこうということを計画に立ててこれをお答え申し上げたのでございまして、従いまして、わが国といたしまして、当分の間は国内食糧を完全に自給自足するという計画を立てにくいということは御承知と考えます。でございますから、この答弁の中に矛盾はないと思うのでございます。  右、御答弁申し上げます。     〔国務大臣高碕達之助登壇
  15. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  第一の御質問日本食糧増産について措置をしないかということにつきましては、ただいま河野農林大臣からお答えいたしましたことで尽きておると思いますが、余剰農産物を持って参りましても、やはり日本食糧の増産には十分努力するつもりでございますから、これはちっとも差しつかえないと存じます。  なお、来年度の問題につきまして、数量とか品種等につきましては、今後の情勢によってこれを定めたいと存じますから、まだ買うということははっきりきめておりませんが、私どもの希望といたしますれば、数量、品種を変えました上において、相当来年度も同じ条件なれば買ってみたい、こういう希望だけはあるわけでございます。  以上でございます。     〔国務大臣石橋湛山君登壇
  16. 石橋湛山

    国務大臣(石橋湛山君) すでに外務大臣及び農林大臣等からの答弁で尽きておると思いますが、御指名でありますから、私からも一応申し上げます。  第一は、米についてのお尋ねでありました。米は、私もタイやビルマの代表とずいぶんだびたび折衝いたしました。朝鮮ともやりました。これは、できるだけタイやビルマから輸入をして、日本から貿易品を輸出するためには、まず向うから買ってやらなければいけないという建前をとりまして、できるだけ買う努力をして買っております。しかしながら、実際の話は、タイやビルマでも、実はほんとうに日本食糧に適当する米は多くの数量がないのであります。日本に適当する限りのものはほとんど全部買い上げるというほどの処置をとりまして、現在交渉締結して貿易を進めておるわけでありますから、この余剰農産物輸入によって特にタイやビルマの米の輸入が減ったという事実は全然ございません。また、朝鮮についても同様でありまして、これは値段の問題でまだ話が進まないでおりますが、昨年暮れ以来、向うの要求通りこちらでは買うつもりで努力いたしておるのでありますが、残念ながら、まだ話がととのいません。  綿花についても大体同様でありまして私ども、あえてエジプトのみと申さす、たとえばブラジルその他からも綿花をできるだけ買うという方針でやっております。大体ドル地域からほかの地域へ輸入をできるだけ回そうというのがわれわれの気持でございますから、米綿と代用できるものならブラジルからでも何でも買いたいのでありますが、御承知のように、各国の綿花は性質がそれぞれ違いまして、ことにエジプトのごときは非常に上等の綿でありまして、米綿のかわりになるとは申せないのであります。従って、米綿が入りましても、ほかの面からの綿花の輸入には何ら支障を生じません。今後も生じないと考えます。     〔国務大臣杉原荒太君登壇
  17. 杉原荒太

    国務大臣(杉原荒太君)お答え申し上げます。第五条第一項につきましては、別に日米間に了解がありまして、駐留米軍、軍人軍属の住宅の建設に現在充てる、こういう了解になっておる次第でございます。     〔国務大臣松村謙三君登壇
  18. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げます。昨日参議院で申し上げました趣旨は、ただいま細目の交渉中でございますが、原則といたしましては、もちろん給食の際には有料で配給するつもりでおります。たとえば麦のごときも、内地にできるものと、輸入のものと、今度のものとをまぜまして、そして。ハンにして配給をいたす、原則としてすべて有料の計算で配給をする、こういう建前で、ただいま交渉をいたしております。
  19. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 内閣総理大臣参議院予算委員会に出席中でございますから、適当の機会に答弁を願うことといたします。  松本七郎君。     〔松本七郎君登壇
  20. 松本七郎

    ○松本七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっておりまする農産物に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定締結について承認を求める件につきまして、鳩山総理大臣以下関係閣僚の所見を伺わんとするものでございます。  協定内容につきましてはすでに同僚議員よりいろいろ御質問がなされましたので、私はまず大局的な基本方針について御質問を申し上げたいのでございます。政府におかれましても、どうぞ大所高所に立って明確な御答弁をお願いいたしたいのでございます。  質問の第一点は、今回の米国余剰農産物輸入が当面の日本外交の進路に及ぼす影響いかんという点でございます。この余剰農産物輸入の問題は、昨年秋、吉田前内閣当時に、吉田前首相みずからが米国に出向きまして、その大綱について話し合いをつけたものを、現内閣がこれを引き継いでまとめ上げたものでございます。向米一辺倒の外交に終始しておりました吉田内閣は、ことごとにアメリカの意を迎える外交方針をとってきたことは、これはあらためて異とするに足らないのでございます。これに対して、鳩山内閣は、日中、日ソの国交正常化をはかり、平等互恵の立場に立って貿易、産業の進展をもはかろうとする方針を打ち出すことによりまして、吉田内閣との違いを国民の前に明らかに公約いたしたのでございます。従いまして鳩山内閣としましては、吉田前内閣当時の対米外交を漫然と継承することなく、全面的にこれを再検討する責務があるのではなかろうかと思うのでございます。(拍手)  政府は、今回の協定につきましてこれは、米国にとってはもちろん、日本にとっても有利な協定であり、しかも平等な立場に立って締結されたものであると言っておるのでございます。そういう見解をとっておられるようでございます。しかしながら、この協定の基本をなしておりまするところのアメリカ法律、すなわち一九五四年の農産物貿易促進及び援助に関する法律を見てみますると、本協定日本にとって有利であると断定することが誤まりであることは一目瞭然でございます。(拍手)一九五四年の農産物貿易促進及び援助に関する法律の第二条及び第百四条の規定によりますと、この法律は、米国とその友好国との間の協力体制を強化し、さらに米国の立場よりする防衛力の強化に役立たせることをその目的としておるのでございます。すなわち、米国があくまで二つの世界の対立を前提といたしまして、いわゆる友好国とのつながりを強化するために制定された法律が、この一九五四年の農産物処理法なのでございます。従いまして吉田内閣当時と同様に、従属的な対米協力をその基本精神として、初めてこのような協定のごとき性質のものを認めることができるのではないかと思います。政府は、日ソ交渉もすでに進められておる今日におきまして、この農産物協定を結ぶことが平和的共存の妨げにならないという確信が一体あるのか。その確信がありとするならば、本協定にからむところの内外の疑惑をこの際一掃するために、鳩山総理及び重光外務大臣それぞれから、その信念を明らかにしていただきたいのでございます。(拍手)第二の点は、本協定並びに本協定に基くところの投融資計画がわが国長期経済計画にいかなる影響があるかという点でございます。プラスの面もございましょう。けれども、マイナスの面も出て参りまして、将来困ったことになるおそれはないか。それに対して政府は一体どれだけの考慮を払っておられるかをお尋ねしたいのでございます。政府は、さきに、経済六ヵ年計画を樹立いたしまして、それに目標を置いて一切の財政経済政策を実施する旨を言明されておるのでございます。ところで、この総合経済六カ年計画におきましては、政府は相当の外資を当てにしておられるのでございます。すなわち、この余剰農産物円資金世界銀行借款を当てにされておるのでございます。政府はこの余剰農産物輸入は本年限りで打ち切るかのごとき印象を与える説明をされておるのでございますが、それでは経済六カ年計画に現われておるような膨大な投資計画についての説明はできないことになるはずでございましょう。  政府の農地開発計画を拝見いたしましても、円資金分五百四十七億円、それから世界銀行融資分六十二億円が予定されておるのでございまして、しかも円資金分で三十六年度以降に予定しておる分がなお十五億円もあるのでございます。これで明らかな通り政府は、明年も明後年も、いな、三十六年度以降においても、これを予定して計画を立てているのであって、しかも、その規模は、今後ふえることはあっても減らないのであろうと思うのでございます。政府は、この際、余剰農産物受け入れを今後も継続するつもりであるのか、あるいは本年限りとする腹なのかを明らかにすべきであります。もしも本年限リで打ち切るというのであるならば、今年はともかくといたしまして、その後五カ年間の投融資に要する資金の相当部分を一体どこに求めようとするのか。それがはっきり説明できないということになるならば伺の長期計画ぞやと言わなければならないことになりましょう。(拍手)また、外資にのみ多く依存する開発計画がいかに危険なものであるか、万一外資がはずれた場合に、国内資金をもってこれを埋め合せることに何ら心配はないものかどうか、その際の計画全体に与えるところの影響について、政府は一体どれだけの確信を持って対処するつもりか、この点については一萬田大蔵大臣及び高碕経審長官より明らかにしておいてもらいたいのでございます。  第三の点は、わが国食糧自給計画との関係でございます。実は、今回のこの協定の問題は今、世界中、農産物があり余っておる。買手市場の状態になっております。そういうときに、アメリカは、アメリカの農業をいかにして保護するかということに必死になっておるのでございます。日本日本の農業を保護しなければなりません。このそれぞれの国の農業の保護政策が、こうした弱い立場にある国に対して、あり余った農産物を売りつけるという形になって、競争の形が現われておると私どもは考えるのであります。(拍手)これは前内閣も同様でございまするけれども、吉田内閣の場合は五カ年計画、今回の鳩山内閣では六カ年計画、そういった食糧増産計画をもって、政府食糧輸入をだんだんに減らしていく、そして自給度を向上するということを言っておるのでございまするが、計画通りに実施された年は一年もないのでございます。(拍手輸入食糧をだんだん減らしていくためには、少くとも年に二百万石以上の増産をはからなければなりません。しかるに、政府の年年の投融資計画では、いずれも百万石をわすかにこえる程度でございます。従いまして政府食糧輸入の予定数量は決して滅ってはおりません。三十五年度においても、米が百二万トン、小麦が二百十五万トンの輸入となっておるのでございます。そういたしますとアメリカからの余剰農産物輸入は、その他の方法によるところの輸入食糧とともに、今日程度の食糧輸入はすでに恒久的なものとなってしまっていると考えるほかないのでございます。もしも政府が真に食糧国内の増産と完全自給そこまで行かなくても、需給度を高めようという気持があるのならば、少くとも五年後には食糧輸入を半分に減らす、十年後には完全に自給するくらいの気魂のこもった計画が作られねばならぬと思うのでございます。(拍手)しかるに、今後予想し得るところの相当長い期間にわたりまして、現在程度の食糧輸入を漫然と続けるというのであっては、食糧の積極的な国内増産は思いもよらないことでございましょう。これは、河野農林大臣がしばしば言明されておりまするように、高い食糧国内で作るよりは安い外国食糧輸入せよ、こういう基本方針の当然の帰結であろうと思うのでございます。そうしてこの方針は、また、おのれの利益だけを中心に考えるところの日本の財界の支持を得ているのでございます。余剰農産物輸入がこの点で大きな役割を果しているといたしますならば、これは明らかに国内食糧増産を妨げるものと言わなければなりません。そうして、愛知用水その他の農業開発は、結局は国民の目をごまかすものにすぎない結果となることは明らかでございます。政府は、一体、真に国内食糧の増産をはかる熱意があるのか、それとも食糧増産政策を放棄するだけの気持でやっておるのか、農林大臣の所見をお伺いしておきたいのでございます。  第四には、この米国余剰農産物輸入国内農産物価格に及ぼす影響についてでございます。政府は、この余剰農産物輸入政府の予定いたしております輸入数量のワク内で入れるのであるから価格に及ぼす心配はない、影響はない。こういうことを言っております。ところが、政府の予定する輸入数量なるものは、決して一定不動のものではないのでございます。余剰農産物そのものがワク内のものか、あるいはワク外であるかというようなことは問題ではない。全体としての輸入数量がかえていくところに実は根本の問題があるのでございます。また、食糧の国際価格が下って参りますると、その数量は、今年中にも自動的にふえてこなければならぬはずでございましょう。  政府は、輸入食糧がたとい安くなったといたしましても、食管会計内で操作することによって、国内食糧価格には影響のない価格で配給するから心配はないのであるこういう説明をされておるようでございまするけれども、このような操作というものは、一時的には可能でございましても、永久に続けるわけに参りません。国際価格が長きにわたって相当下って参りますと、当然消費者価格もやがて下げざるを得なくなるのでございます。従いまして、間接的に園内の生産者価格に当然影響して参ることは明らかでございます。いわんや、河野農相初め民主党の大部分の方々は食糧の統制撤廃論者でございましょう。従って、米の統制が撤廃された場合、あるいはまた、現在政府考えておられる事前売り渡し制のごとき中途半端な統制が将来瓦解するような暁になりましたときに、この余剰農産物輸入による国内価格への影響を一体どうやって防ごうとされるのか。(拍手政府が、いかに、心配はない、大丈夫だ、こう強調されましても、政府の腹の中を読むことのできない全国五百万の農家は、決して安心することはできません。あらためて、この点に関する河野農林大臣の御答弁をわずらわしたいのでございます。(拍手
  21. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 松本君、申し合せの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
  22. 松本七郎

    ○松本七郎君(続) 最後に、余剰農産物贈与分である学童給食用の小麦、脱脂粉乳についてお尋ねいたします。小麦はしばらくおくといたしまして、脱脂粉乳てございまするが、これは、うまくないことに定評があるのでございます。こういうまずいものを児童に無理に食べさせたのは、結局、これは食生活改善を奨励しようという趣旨からやられておるようでございまするが、それが逆効果になることは明らかでございます。現在、日本の酪農家は、乳価の引き下げで崩壊の危機にさらされておるのでございます。直接のその原因は何であるかと申しますると、結局は牛乳の消費が頭打ちになっておるところにあるのでございます。政府は、なぜ、この際酪農危機の突破のためにも、また食生活改善のためにも、この牛乳を大量に学童に飲ませる方策を考えないのか。  三十年度予算に表われた学校給食の予算は、前年度と全く同額でございます。しかも、一方うまくもないこの外国の脱脂粉乳をもらい受け、また国内の乳業資本の手元にある脱脂粉乳を買い上げて、そうして幾らかの補給金を出そうとしておるわけでございまするが、このなま乳を少しでもよけい飲ませるべきではないか。そうしてそれでも足りない場合は、いたし方がありませんから脱脂粉乳で補うというのならば了解できますが、その方は全然やらずにおいて、ただほど安いものはないというような、こじき根性で、子供にまずいパン食を強要するということは…
  23. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 松本君、申し合せ時間がありますから、結論を願います。
  24. 松本七郎

    ○松本七郎君(続) 愚劣きわまる策であると言わなければならぬのであります。(拍手)この点に関して、河野農林大臣及び松村文部大臣よりその所信を披瀝していただきたいのでございます。  なお、この贈与分について、いま一つ問題がございます。現物贈与の分は一千五百万ドルでございまするが、加工賃は日本側で持つことになっております。その予算として、政府は約十八億五千万円を予算に組んでおるのでございまするが、これは贈与といっても押しつけ贈与であって、はなはだありがた迷惑でございます。私どもは、裕福な国であれば、贈与を受けて、それを使うために金を使っても大した痛痒を感じませんでしよう。しかしながら、生活に困難をきわめておる場合に、贈与を受けたら、それに加工費を相当払って負担をしなければならぬというのでは、せっかく贈与も、これはありがたい贈与にはならないのでございます。こういうことを言っておったのでは、幾ら政府が日米協調を唱えましても、私はこの協調はくずれることをむしろ心配せざるを得ないのでございます。  こういう諸点につきまして政府の明確なる御答弁を要求いたしまして、私の質問を終了いたします。(拍手)   [国務大臣高碕達之助登壇
  25. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) お答え申し上げます。  来年も余剰農産物をやるかやらぬか、こういう御質問でございますが、これにつきましては、先ほど稻村さんの御質問お答え申し上げた通りであります。  また、経済六カ年計画において、この借款ができなかった場合はどうなるか、こういう御心配のようでございます。この借款はその一部分になっておりますが、かりにこれが期待はずれになっても、その他の財源において、経済六カ年計画遂行については何ら心配はございません。  以上、お答え申し上げます。(拍手)     〔国務大臣重光葵登壇
  26. 重光葵

    国務大臣重光葵君) お答えをいたします。外交全般から見た御質問がございましたが、この協定日本外交進路に支障を来たさないかどうかという御趣旨でございましたが、この協定交渉するのに当りましては、もとより日本政府といだしましては自主独立の立場に立って外交を推進して交渉をしてきたのでございまして、その結果この協定に達したのでございます。もとより、米国の方には米国のまた立場があり言い分がございます。しかし、それが日本利益と合するところによってこの協定ができたことは、これは当りまえのことでございます。そういうわけでございますから、日本側の有する利益、享受する利益によってこの協定ができたわけであります。従いまして、この協定をこしらえたから、それで日ソ交渉に差しつかえがあるということは、少しも結論として出ないと思います。日本側としては、いすれにいたしても、自主独立の立場をもって外交を進めていく考えでございます。(拍手)     〔国務大臣河野一郎登壇
  27. 河野一郎

    国務大臣河野一郎君) お答えをいたします。  この余剰農産物の受け入れのためにわが国の農業政策の上において米麦の増産に支障を来たす考えはないかどうかというようなことでございましたが、たびたび申し上げますように、決してそういうことは考えておらないのであります。われわれといたしましては、余剰農産物の受け入れの有無と全然関係なしに、年々国際関係におきまして一定のある量の米の輸入、麦の輸入を必要といたしますことは御承知の通りであります。  なおまた、国内における自給自足の域にすみやかに達するように計画を立てる必要があるという御趣旨でございますけれども、この点につきましては、人口問題の将来がどういうふうに考えられるか、これと食糧の自給関係をどう持っていくかというようなことを勘案して計画を立てなければならぬ必要もございましょうし、さらに、近年特に考えなければなりません問題は、米麦の重要度の問題であります。米が麦に置きかえられて参りつつある現状でございまして、粉乳、粉食奨励が順次に1学童給食影響と私は考えますが、その結果パン食に変りつつあるこの現状は、将来のわが国食糧政策の上におきまして非常に大きく取り上げなければならないと思うのであります。これらの点を総合的に勘案いたしまして、総合食糧の自給度を向上して参るという計画を立てていかなければならないと思うのであります。そういう見地からやっておるのでございまして、この義建物の受け入れの量蓄髪して、これらはわが国食糧政策の大局に影響のあるほど大きな問題とは思わないのでございます。また、これを影響して考えようとは断じていたしません。  この機会に一言申し上げて御了解を得たいと思いますことは、外国の安い米を買ってとおっしゃいますけれども、なるべく安く外国の米麦を買うことは私はいいと思います。しかし、それは、わが国の農家の生産費を基準として考える生産者価格とは関係はないのでございます。(拍手)これを影響して考えようとはいたしておらないのでございます。この点は、たびたび私が申し上げます通り食糧問題と農業振興政策とは別に考えて参りたい、農業振興政策の立場に立っての米麦価とは別だ、こういう解釈で私はやっておるのでございますから、御了解を願いたいと思うのでございます。(拍手)     〔国務大臣松村謙三君登壇
  28. 松村謙三

    国務大臣(松村謙三君) お答えを申し上げます。  この学童に対して麦あるいは脱脂粉乳を無料で受け入れることは、ただであるがゆえに、こじき根性だ。これは言葉の何ですから、かれこれ申すのじゃありませんけれども、これは非常に重大な大本に関することだから申し上げておきますが、学童に対する無料のそういう贈りものを受けた根本考え方は、今日、国際的に見まして、ほとんど国境を越えて、教育の交流、児童の聞の互いの福祉の増進ということが非常に進められておりますことは御承知の通りでございまして、これは、人類平和のためにも、はなはだ好ましいことと思うのでございます。(拍手)従いまして、根本考え方は、こういう意味を基調として考えているわけでございます。  有畜農業の問題に至りましては、これは今日まで足りませんから粉乳を輸入して参りましたが、日本の有畜農業の発達と関連いたしましては、瞥来お話のような生乳にかえたいと考えております。現に、文教委員会におきましても、それが世論になっておりまして、これをできるだけ組織的に具現し得るように、近いうちに委員会を設けてその検討をやり、漸次お話のようなところに立てかえていくという努力をいたすつもりでございます。(拍手
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 内閣総理大臣及び大蔵大臣答弁は適当な機会に願うことといたします。  これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――  第一 租税特別措置法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  第二 登録税法の一部を改正する法律案大蔵委員長提出)  第三 農業協同組合中央会不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案大蔵委員長提出
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第一ないし第三は委員長提出の議案でありますから、委員会の審査を省略するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。  日程第一、租税特別措置法の一部を改正する法律案日程第二、登録税法の一部を改正する法律案日程第三、農業協同組合中央会不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案、右三案を一括して議題といたします提出者の趣旨弁明を許します。大蔵委員長松原喜之次君。     〔松原喜之次君登壇
  32. 松原喜之次

    ○松原喜之次君 ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案外二法律案について、提案の趣旨内容を御説明申し上げます。  この三法律案は、いずれも九日大蔵委員会において全会一致をもって起草提出いたしました法案であります。  ます第一に、租税特別措置法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。現在、医師及び歯科医師の社会保険診療収入に対しては、所得税法第四十二条第二項の規定により百分の十の源泉徴収が行われているのでありますが、近年数次にわたる所得税法の改正に伴って過納となり還付を要するむのが生じてきたところへ、さらに昨年末租税特別措置法の改正で医師及び歯科医師に対する診療報酬に関する必要経費の算定について特例が定められ、これに伴って納め過ぎとなるものがさらに増加すると考えられるのであります。この実情を考慮して、今回その源泉徴収率を現行の一〇%から五彩に引き下げようというのであります。なお、この改正は、源泉徴収税率のみの変更でありまして、この法律施行による税収は著しい変化はないのであります。  次に、登録税法の一部を改正する法律案について申し上げます。現在医療法第三十一条の規定によリ公的医療機関の開設者として厚生省より指定せられているもののうち、日本赤十字社、社会福祉法人国民健康保険組合等に対しては、その医療事業の用に供する津物及び土地の権利の取得または所有権の保存登記に際しての登録税は、登緑税法または国民健康保険組合法の規定によって、これを課さないものとしているのでありますが、ひとり全国厚生農業協同組合連合会の会員である厚生(医療)農業協同組合連合会については免除されていない現状になっております。よって、厚生農業協同組合連合会の医療事業の公的医療機関たるの性格にかんがみ、今回登録税法を改正してこれを課さないこととし、その取扱いを他の公的医療機関と同じくしょうというのであります。なお、本法律案による減収は年間約二百万円弱と見積られるのであります。  最後に、農業協同組合中央会不動産に関する権利を取得する場合における登録税臨時特例に関する法律案について申し上げます。去る第十九国会において、農業協同組合法の一部が改正せられて、指導農業協同組合連合会が改組せられ、全国及び都道府県に農業協同組合中央会が設置されることになり、自来その改組が行われているのでありますが、中央会に引き継がれる土地及び建物等の不動産に関しては、その取得の登記について登録税がかかることになっておりますので、この改組の実態に即してこれを免除しようというのであります。なお、この措置は、昭和三十一年三月三十一日までに登記せられるものに限り免除しようとするのでありまして、これによって免除される税額は約三百万円と見積られるのであります。  大蔵委員会は、以上三法律案の提案を決定するに際しまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により政府に対し意見を求めましたところ、政府においては異存なき旨の意見が開陳せられました。  以上がこの三法律案の提案理由並びにその内容の概要であります。何とぞ御審議の上賛成されんことを切望いたす次第であります。(拍手
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案を可決するに御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案は可決いたしました。      ――――◇―――――  第四 中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案内閣提出
  35. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第四、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案日程第五、商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案日程第六、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。商工委員長田中角榮君。     〔田中角榮君登壇
  36. 田中角榮

    ○田中角榮君 ただいま議題と相なりました中小企業金融公庫淡の一部を改正する法律案外二件につき、商工委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。  まず、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案ついて申し上げます。  中小企業金融公庫は、中小企業者の行う事業の振興に必要な長期資金を供給するために昭和二十八年八月に設立せられたものでありますが、近来とみに窮迫を告げつつある中小企業の金融難を打開し、その近代化を促進し、積極的にその振興をはかるために、資本金を百七十億円に増資、元利金回収とあわせてその運用資金量を増大確保せんとしたものであります。さらに、日本開発銀行からの承継債権で借入金となっておりました金額のうち、約七十億円を産業投資特別会計から公庫への出資金に振りかえることといたしたのであります。  以上が本法律案の要旨並びに目的であります。本法律案は、五月六日当委員会に付託せられ、同月九日政府委員より提案理由の説明を聴取し、同じく二十日質疑に入り、六月一日、二日、三日と熱心な質疑応答が政府委員と当委員との間に行われました。その内容会議録を御参照願うことといたします。  六月十日質疑を終り、民主党、自由党を代表し内田常雄君より、先日本院を通過いたしました三十年度予算案の修正による政府機関への出資の減額に伴い、公庫資金を百六十億円にするとの趣旨の修正案が提出せられました。引き偉き討論に付し、日本社会党田中武夫君、日本社会党松平忠久君よりそれぞれ反対の意見が開陳せられ、討論を終り、修正部分及び修正部分を除く原案につき採決をいたしましたところ、多数をもって修正議決をいたしました。  次に商工組合中央金庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近の金融事情の逼迫にかんがみ、商工組合中央金庫に対し政府より十億円を出資してその機能の強化をはかり、もって中小企業金融の円滑化に資せんとするものでありまして、これにより同金庫に対する政府出資額が、既往の分二百十万円と合して十億二百十万円、優先出資三億七千二百万円、組合出資十三億、合計二十六億七千四百十万円の資本金となるわけであります。従いまして、十億円の新規増資のほかに金融債発行限度を高め、いよいよその資金源は豊富となるわけであります。  以上が提案の趣旨であります。  本法律案は、五月六日当委員会に付託せられ、同月九日政府委員より提案理由の説明を聴取し、同じく二十日、六月一日、二日、三日にわたり政府委員と当委員との間に質疑応答が行われました。その詳細は会議録を御参照願うことといたします。  越えて六月十日、各派を代表し、自由党内田常雄君より本法律案につき修正案が提出せられ、その趣旨弁明が行われました。なお、衆議規則第四十七条の規定に基き、本修正の結果剰余金配当の政府減収については、さしあたり本年度予算影響がないが、昭和三十一年以降において平均約五千万円程度見込まれる旨の文書が提出せられ、これに対し政府より所見の開陳がなされたのであります。  引き続き、討論を省略し、修正部分及び修正部分を除く原案について採決をいたしましたところ、全会一致をもって修正議決いたしました。  なお、本法律案の議決後、日本社会党八木昇君より、商工組合中央金庫金融債に対する引き受け利子の引き下げ、同金庫への直接貸付と金融債消化に極力協力する措置を講ずべしとの趣旨の付帯決議案が提案されましたので、本決議案を議題として採決いたしましたところ、全会一致で本法律案の付帯決議として議決した次第であります。  次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について申し上げます。  最近の財政及び金融情勢のもとにおいて、中小企業の金融は依然として深刻なものがありますので、本制度をよりよく改善し、機能の強化拡充を行い、中小企業金融の緩和に資せんとするのであります。すなわち、第一は、中小企業者の範囲に新たに酒類組合等を加え、保険最終受益者の範囲の拡張をはかったことであります。第二に、融資保険を短期の貸付にも適用し得ることといたしたのであります。第三に、融資保険について、新たに会社更生法の規定による更生手続開始の決定、または商法の規定による会社の整場理開始の命令もしくは特別清算開始の命令があったときにおける貸付金の回収未済を保険事故に加えたことであります。第四に、信用保証協会の保証機能を広げるとともに、同協会を相手とする普通保証保険及び金融機関を相手方とする保証保険について、保険の愼補率を現行の六〇%から七〇%に引き上げたことであります。  以上が提案の要旨であります。  本法律案は、五月十九日付託せられ、同日政府委員より提案理由の説明を聴取いたしました。  本法律案については、その趣旨に異論もなく、大月十日討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決をした次第であります。以上をもって報告を終ります。(拍手
  37. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより採決に入ります。  まず日程第四につき採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  38. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって本案は委員長報告の通り決しました。  次に日程第五及び第六の両案を一括して採決いたします。日程第五の委員長報告は修正、日程第六の委員長の報告は可決であります。両案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって両案は委員長報告の通り決しました。      ――――◇―――――
  40. 長谷川四郎

    ○長谷川四郎君 残余の議案の趣旨説明は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  41. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。   [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後二時四十三分散会