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1955-05-26 第22回国会 衆議院 本会議 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十六日(木曜日)     —————————————  議事日程 第十八号   昭和三十年五月二十六日     午後一時開議  第一 簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第五 自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 計量法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案内閣提出参議院送付)  第八 昭和二十六年度一般会計歳入歳出決算昭和二十六年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十六年度政府関係機関決算報告書  第九 昭和二十七年度一般会計歳入歳出決算昭和二十七年度特別会計歳入歳出決算及び昭和二十七年度政府関係機関決算報告書     ————————————— ●本日の会議に付した案件  日程第五 自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第六 計量法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案内閣提出参議院送付)  日程第一 簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)  昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)  昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)  重光外務大臣の日ソ国交問題に関する演説及びこれに対する質疑     午後二時二十九分開議
  2. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) お諮りいたします。日程第一ないし第四は一時あと回しといたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程第一ないし第四はあと回しといたします。      ————◇—————  第五 自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出)  第六 計量法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第七 ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案内閣提出参議院送付
  5. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 日程第五、自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案日程第六、計量法等の一部を改正する法律案日程第七、ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。商工委員長田中角榮君。     〔田中角榮登壇
  6. 田中角榮

    田中角榮君 ただいま議題となりました自転車競技法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案外二件につき、商工委員会における審議経過並びに結果を概略報告申し上げます。  自転車競技法等の実施の実情につき種々検討を加えて参った結果、現行法に基き通商産業大臣諮問機関として設置されておる競輪運営審議会におきまして、競輪に関する基本問題、すなわち将来における競輪あり方等のごときことを調査審議できる機能を付与しますとともに、その結論が得られますまでは、自転車振興会連合会等業務及び会計に関する規定を整備いたしまして、この法律は当分の間存続せしめることとなしたのであります。  次に、改正の主要点を申し上げます。第一に、自転車振興会連合会等は、この法律によります納入金を財源として、主務大臣が定める計画及び指示に基き関係業務を行うことになっておるのでありますが、法律制度として機械工業振興協議会を設けまして、主務大臣はこの協議会に諮問しなければならないものとすることとなし、主務大臣の定める計画を調査審議し、その妥当性を確保することといたしたのであります。第二は、商工組合中央金庫が自転車振興会連合会等から委託された業務に関する会計運営を誤まりなからしめるため、予算に準じて必ず会計検査院の検査を受けさせることといたしたのであります。以上が本法案提案理由趣旨及び改正点であります。  本改正案は、去る五月十一日当委員会に付託せられ、同日政府委員より提案理由を聴取し、五月十八日質疑に入り、十八、十九、二十日の三日間にわたり政府委員と当委員の間に質疑応答が行われました。その内容会議録を御参照願うことといたします。  越えて二十四日、質疑を終了後、社会党田中武夫君外十二名より本法施行を二カ年とする修正案提出せられました。よって、本法律案並び修正案につき、討論省略し、修正案及び修正部分を除く原案に対し採決いたしましたところ、全会一致をもって修正議決いたしたのであります。  次に、計量法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  本法律案のおもなる改正点の第一は、計量法改正して、従来国が全額収納しておりました手数料のうち、地方公共団体が行なっている事業の許可、検定等手数料当該地方公共団体の収入とすることであり、第二は、計量法施行法改正して、本年九月より検定を実施することになっている十一種の計量器について、さらに三カ年間検定等を延期することといたしましたこと等であります。  本法律案は、四月二十五日商工委員会に付託されましたので、五月九日政府委員より提案理由を聴取いたしました。本法律案審議は五月十八日より四回にわたり行われ、五月二十四日には参考人より意見を聴取いたしました。それらの詳細は会議録を御参照願います。  五月二十五日、質疑が終了しましたので、直ちに討論省略して採決いたしましたところ、本法律案全会一致をもって可決すべきものと議決をいたした次第であります。  なお、本法律案議決後、首藤新八君より、計量行政の円滑なる運営を期するために、これに要する経費を全額国庫負担とすべき趣旨付帯決議案提出されましたので、本決議案議題として採決いたしましたところ、全会一致で本法律案付帯決議議決いたしました次第であります。  次に、ニッケル製錬事業助成臨時措置法を廃止する法律案について申し上げます。  ニッケル製錬事業助成臨時措置法は、昭和二十六年朝鮮動乱の勃発による世界的ニッケル不足に対処して、国の強力なる助成によって国内ニッケル増産をはかる目的もとに制定されたのであります。本法施行によって、わが国におけるニッケルの生産は年を追って順調な伸張を示し、今日において同法の目的は完全に達成せられましたので、同法を廃止しようというのが、本法律案趣旨であります。  本法律案は、四月二十五日予備審査のため商工委員会に付託せられたので、五月二十五日政府委員より提案理由を聴取いたしましたが、本法律案趣旨には別に異論もありませんので、直ちに討論省略して採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決をした次第であります。  以上をもって報告を終ります。(拍手
  7. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 三案を一括して採決いたします。三案中、日程第五の委員長報告修正でありまして、その他の二案の委員長報告可決であります。三案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって三案は委員長報告の通り決しました。      ————◇—————  第一 簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 郵便年金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提出)  第四 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 先刻あと回しにいたしました日程第一以下を議題といたします。日程第一、簡易生命保険法の一部を改正する法律案日程第二、郵便年金法の一部を改正する法律案日程第三、郵便貯金法の一部を改正する法律案日程第四、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。逓信委員長松前重義君。     —————————————     〔松前重義登壇
  10. 松前重義

    松前重義君 ただいま議題となりました簡易生命保険法の一部を改正する法律案郵便年金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、この四つの法案につきまして、逓信委員会における審議経過並びにその結果を御報告申し上げます。  まず、法案提出理由及び内容でございまするが、簡易生命保険法の一部を改正する法律案は、政府におきまして、最近における国民死亡率の低下の傾向にかんがみ、保険料計算基礎を改めるとともに、保険金倍額支払い規定を整備する等の必要を認め、所要改正を行おうとして提出いたされたものでありまして、そのおもなる内容は次の二点であります。  第一点は、保険料計算基礎に関する規定改正でありまして、保険料計算基礎を改め、現行簡易保険経験死亡率もととする死亡生残表のかわりに、厚生省の発表した第九回生命表男子死亡率もとといたしまして作成いたしました死亡生残表を採用するとともに、予定利率を従来の年三分五厘から年四分に引き上げることであります。なお、この死亡生残表改正により、保険料は平均八%程度の引き下げを見、予定利率改正とあわせて、三十年度には、収支の差額におきまして二十一億三千万円程度減少が見込まれておるのであります。第二点は、保険金倍額支払い条項改正でありまして、現在の被保険者が不慮の事故等原因としてニカ月以内に死亡したときは保険金倍額を支払うことになっておるのを、ニカ月以内を三カ月以内に改めるとともに、被保険者が十歳未満で死亡したときは保険金倍額支払いをしないことに改めることであります。  次に、郵便年金法の一部を改正する法律案は、政府におきまして、最近の社会、経済情勢推移にかんがみ、年金最高制限額を引き上げるとともに、年金受取人等福祉を増進するための施設を設ける等の必要を認めまして、所要改正をしようとするものであり、その要点は次の三点であります。  第一点は、年金最高限度現行年額十二万円から二十四万円に引き上げることであり、第二点は、差し押え禁止限度額改正であります。現行法では、年金を受け取るべき権利につきましては、年額一万二千円まで、また、これをこえるものにつきましては、そのこえる額の二分の一を加えた額まで差し押えを禁止し、返還金を受け取るべき権利につきましては五万円まで差し押えを禁止しておりますのを、年金につきましては年額一万二千円を二万四千円に、返還金につきましては五万円を十五万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。第三点は、年金受取人等福祉を増進するため必要な施設を設けることができる旨の規定を新たに置いたことであります。  次に、郵便貯金法の一部を改正する法律案は、貯蓄の増強と預金者利便をはかることを目的とするものでありまして、そのおもな内容は次の三点であります。  第一点は、一預金者貯金総額制限額現行の十万円から二十万円に引き上げることであり、第二点は、これに伴う改正でありまして、積立貯金につき、一回の預入金額現行百円以上四千円以下を、百円以上八千円以下に改めるとともに、小切手による預入を新たに認めておるのであります。第三点は、定額郵便貯金預入金額につき、現行の最低百円から最高一万円までの八種のうち、二百円と三百円を削り、新たに三万円と五万円を加えることであります。  最後に、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案は、国民金融公庫または中小企業金融公庫貸付金償還をする者の利便をはかり、これらの償還金に対しても、地方公共団体、住宅金融公庫の貸付金償還金同様、特殊郵便振替貯金取扱いを行い、一般料金よりも低廉な料金による取扱いをしようとするものであります。  以上、四法案につきまして法案提出理由及び内容概略を御説明申し上げたのでございますが、本委員会は、四法案の付託以来しばしば会議を開き、政府から提案理由の説明を聞きました後、政府との間に、簡易生命保険法改正に関しましては、保険金倍額支払いの対象から十歳未満で死亡した者を除く問題、郵便年金法改正関係におきましては、年金を受け取るべき権利に対する差し押え限度の問題、年金受取人等のための福祉施設問題等につきまして、熱心に質疑応答が重ねられたのでありますが、それらの詳細につきましては会議録に譲りたいと存じます。  かくて、委員会は、去る二十三日、四法案質疑を打ち切ったのでありまするが、その際、各派を代表して橋本委員より、十歳未満倍額支払いは、金額において増加しても、倍額支払い全体に対する金額の比率はむしろ減少傾向にある、サービスの変更は国営事業の信用のためにみだりに行うべきでない、保険加入者全体に及ぼす影響が顕著になったときは倍額支払い制度自体を検討すべきであるという理由で、第三十一条第二項の改正規定中から第四号を削除する修正案提出せられ、次いで簡易生命保険法の一部を改正する法律案を上程、討論省略の上、各派共同提案にかかる修正案及び右修正部分を除く原案一括採決の結果、全員一致をもってこれらを可決、よって簡易生命保険法の一部を改正する法律案修正議決を見た次第であります。次に、本法案に対し、井手委員より、最近の経済情勢推移国民の熾烈な要望にかんがみ、政府はできるだけ早い機会に保険金最高制限額を引き上げるよう措置すべきであるという付帯決議案提出せられ、採決の結果、全員一致をもってこれを議決最後に、郵便年金法の一部を改正する法律案郵便貯金法の一部を改正する法律案及び郵便振替貯金法の一部を改正する法律案につき、討論省略、直ちに一括採決いたしましたところ、同じく全員一致をもって可決すべきものと議決いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。
  11. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 四案を一括して採決いたします。四案中、日程第一の委員長報告修正でありまして、そ一の他の三案の委員長報告可決であります。四案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって四案は委員長報告の通り決しました。  この際暫時休憩いたします。     午後二時四十五分休憩      ————◇—————     午後三時四十八分開議
  13. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ————◇—————  昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)  昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)  昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)
  14. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 議事日程追加緊急動議提出いたします。すなわち、昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)、昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)、右三件を一括議題となし、この際委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  15. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって日程は追加せられました。     —————————————
  17. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) この際一言申し上げます。ただいまブラジル重工業視察団団長上院議員労働商工大臣ナポレオン・アレン・カストロ・ギマランエス氏が傍聴席に見えておられますから、御紹介いたします。     〔拍手
  18. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)、昭和三十年度特別会計暫定予算補正(特第1号)、昭和三十年度政府関係機関暫定予算補正(機第1号)、右三件を一括して議題といたします。委員長報告を求めます。予算委員長牧野良三君。     —————————————     〔牧野良三登壇
  19. 牧野良三

    牧野良三君 委員会報告をいたします。  ただいま議題となった六月分暫定予算に関する三案は、去る五月十七日予算委員会に付託せられ、委員会においては、かねて審議中の総予算案とあわせ審議を進めておりました。しかるところ、昨二十五日、本暫定予算案につき、各党代表者総括質問が行われました。そして、本日午後に至り討論採決の結果、原案可決を見るに至ったのでございます。よって、ここにその内容審議経過とを御報告いたします。  当初、政府の予期したところに反しまして、四月及び五月の暫定予算のほか、さらに六月分を提出するの余儀なきに至りました事情につき政府からるるこれを述べられ、やむを得ざるものと認めたのでありますが、この上さらに七月分の提出を余儀なくされるような事情に陥らないよう政府に対して十分な注意を促したのでありまするが、同時に、委員長は、また、政府をさような事態に陥らしめないよう十分注意しなければならないことを痛感いたしたのでございます。  すでに述べたように、四月、五月の暫定予算は、事務的な経常費最小限度に計上することを趣旨としたのでありましたが、この六月分は、一カ月の経常費のみでなく、本予算成立に至るまでの経済的並びに財政的影響考慮し、最小限度ながら、各種の年間事業計画支障を来たさないよう配慮せられたのでございます。今、その内容を簡単に報告いたします。  第一、一般会計において歳入総額は六百六十億余万円でございます。歳出総額は千二百八十九億余万円で、差引不足が六百二十八億余万円となりまするが、右歳入不足分国庫余裕金をもってまかないまして、予算の執行には差しつかえないようにできております。万一支障を生ずる場合には、大蔵証券を二百億円の限度内で発行ができることになっております。     〔議長退席、副議長着席]  第二、歳出のおもなものについて報告します。  本暫定予算案は、人件費及び事務費の一カ月分のほか、特に注意すべきものは、六月中に支給することを要する公務員の夏季手当でございます。これが六月分暫定予算の大事な点の一つでありまして、所定の〇・七五カ月分、すなわち五十七億円がこれに計上せられております。次は、二として、公共事業費及び食糧増産対策費、これが合計三百六十六億円計上されております。これを四、五月両月分暫定予算と合せますると、三十年度年総額の約三分の一に該当することとなって、全年度にわたり遺憾なきを期することができると信じます。三、次は積雪寒冷地事業費並びに災害復旧事業費等でありますが、これを四、五月両月分暫定予算合計いたしますれば、年総額の約二分の一に該当することとなりまして、もって地域的にも時期的にも影響の多いこの費目に十分な考慮が払われておることを知ることができるのでございます。大体右のような措置によりまして、年間事業計画は大体支障なきを得ることと信じます。  次に、地方財政について報告します。これについては、義務教育費のほか一般補助費所要額が計上され、また、地方交付税交付金のうち、普通交付税分年間の四分の一に当る三百十九億円が計上されて、地方財政の健全な運営に遺憾なきを期しております。  第三、財政投融資について申し上げます。これは、資金運用部資金等の配分により、農林公庫、中小企業公庫その他で合計六十億が支出され、これで所要措置が一応講ぜられたものと思います。  次は、特別会計及び政府関係機関予算でありますが、これはすべて一般会計に準じて編成せられており、特に企業会計については、事業の円滑な遂行に遺憾のない配慮が行われております。  右の暫定予算案に関し、委員会はすこぶる注意すべき重要な質疑応答が重ねられております。ついては、その詳細はすべて諸君が会議録を御参照ありたいと存じます。  討論に先だち、日本社会党両派より本暫定予算三案の編成がえを求める動議提出され、その趣旨弁明が行われました。その内容につきましては、また同じく会議録を参照せられんことを希望します。  討論の後、採決の結果、編成がえを求めるの動議は否決されまして、暫定予算補正三案はいずれも政府原案の通りに可決いたしました。  以上をもって委員長報告といたします。(拍手
  20. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 赤松勇君外十六名から、昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二件の編成がえを求めるの動議提出されております。この際その趣旨弁明を許します。岡良一君。     —————————————    [岡良一登壇
  21. 岡良一

    岡良一君 私は、日本社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題となっております昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二件に関しまして編成かえの動議提出いたし、あわせて政府原案撤回を求めるものであります。(拍手)  われわれが政府原案撤回を求めます根本の理由といたしましては、四月、五月に引き続き、ここに重ねて六月分も暫定予算編成いたさねばならないという、その原因責任の所在を明らかにいたしたいと思うのであります。  言うまでもなく、昭和三十年度一般会計並びに特別会計歳出総額は二兆一千二百億をこえておる。これに政府関係機関の総歳出を含めれば、またさらに地方財政の規模九千八百億を加えるならば、三兆八千億になんなんといたしておるのでありまして、中央地方資金散布の重複を除くといたしましても、実に本年における国民総所得六兆三千二百億の半ばをこえるものであります。従いまして、これらの資金散布が順調に円滑に参るか参らないかということが国民経済に与える影響というものは、まことに重大と申さねばなりません。しかるに、四月、五月に引き続き、六月分も、多少の考慮は加えられたとはいえ、暫定予算をもってまかない切ろうとする、今日国民経済に与えているこのゆゆしい影響というものは、何ら解消されるものではないのであります。  しからば、このような暫定予算をもってという、このような予算の糊塗がなぜに起ったのであるか。その原因は、ひとえに政府の無能力と、その怠慢と、かつは無責任に大きな責任があろうと信ずるのであります。たとえば、防衛分担金削減交渉経過に見ましても、これは本年の一月早々から、あるいはアリソン大使ラドフォード提督との間に瀬踏みの交渉が始められ、じんぜん百数十日を費しまして、ついに予算を執行すべき本会計年度に入って、四月中旬にようやくその妥結を見たのである。このようにいたしまして、予算本格的審議政府の無気力なる防衛分担金削減の折衝にたたられて著しくおくれた。これが予算審議渋滞の大きな原因である。しかも、その結果においては、総選挙の途中においては、二百億の分担金削減をする、うち百億は住宅建設等に回すなどと言いながら、千三百二十七億は依然として据え置かれ、来年、再来年においてはさらに防衛関係の支出百五十四億が義務づけられてしまっておるのである。その結果としては、予算編成権という憲法の条章に明らかなる政府の重大なる国務の自主性国民によって疑われるに至っては、まことに取り返しのつかぬ痛恨事と言わなければならないのであります。(拍手)  あるいはまた、その無責任は、われわれは予算審議の劈頭において防衛年次計画を資料として提出を求めたのであるが、いまだに防衛庁の試案さえも提出されておらないのである。今回における予算審議のわれわれの最も重大な関心事は、政府経済六カ年計画と、これと不可分にある防衛年次計画予算的関係にあったのである。にもかかわらず、われわれの要求を退け、防衛年次計画というものはいまだに提供されておらない。これは明らかに国会の予算審議権に対する政府の重大なる軽視であると言わなければならない。しかも、その結果、裏においては堂々と再軍備のコースが進められ、政府の抱いておる卵は、平和を象徴するハトの卵ではなく、国際的な猜疑と緊張のヘビの卵ではないかということを、今日国を憂うる国民はことごとく心配いたしておるのである。このような形において、まず政府の無責任予算審議の渋滞の大きな原因となっておる。  次にまた政府の怠慢を指摘しなければならないのは、われわれは、今国会の劈頭において、議院運営委員会においても、予算委員会においても、予算を伴うところの法律案はいち早く国会に提出すべきことを要求しておる。にもかかわらず、五月二十日現在において予算を伴うもの九十八件のうちで、わずかに五十七件しか国会に提出を見ておらないのである。法律に基いて予算を執行すべき政府が、法律に基いて予算を執行すべき行政府が、予算を伴う法律案提出することなく、国会に予算審議を強制するというのは、三権分立の建前を乱すものと言わなければならない。(拍手)その意味においてわれわれは、歴代の吉田内閣に対しても、正しき国会運営のルールの確立を要求したのである。鳩山総理は、開会の劈頭において民主政治の確立をうたいながら、しかも今日、このようにして、怠慢にも国会運営のルールというものを踏みにじって顧みないのである。このようなあらゆる事情というものが、今日ついに予算審議の渋滞を来たし、ここに六月分の暫定予算を組まなければならぬことになり、国民経済に大きな不安と動揺を与えねばならないという失態を起したのであって、実にその責任政府にあることを銘記せられたいのである。  また、今日伝えられるところによれば、保守結集の動きに関して、あるいは鳩山総理が引退せられることが予算案の無修正成立の条件になるとかならないとか、その時期がいつであるとか、後継者がだれであるとかいうことが広く全国の新聞によって世上に伝えられておる。このようなことがあってはならないと思うが、このようなことがあるならば、政府はみすから予算の成立、その執行に対するところの誠意を欠くものである。同時にまた予算に盛られたる公約実現の責任を回避するものであると言わなければならない。今度の国会は、諸君も御存じのごとく、特別国会である。総選挙のあとを受けて、ここに鳩山内閣は国民の負託を受けて成立しておる。この内閣がみずから首班の進退をかけて保守結集の道を歩むというがごときに至っては、予算の執行、公約の実現に対する責任を欠除し、実に責任内閣の本分を忘れ果てた醜態と言わなければならないのである。(拍手)  このような意味において、われわれは、政府原案撤回を要求すると同時に、ここに共同の組みかえの動議提出するものであります。  その内容については、お手元に配付をいたしました資料について御検討を願いたいのでありまするが、われわれの本編成がえ動議内容は、国を守る前に守るに足る国を作るべきであるという原則によって貫かれておるのであります。義務教育費国庫負担金、地方交付税交付金の十二億の増、あるいはまた社会保障関係費における二十億の増と、国を守るよりも守るに足る国を作る、この建前において、われわれは、これらの内政費における所要の経費の増額を要求すると同時に、また防衛庁費につきましては、すでに今日明らかになったごとく、あるいはジェット機の編成あるいは重爆撃機の発着のための滑走路の拡張など、すでに自衛隊が攻撃的な性格を帯びるにかんがみ、これに伴うところの機材や軍艦のための経費等はこれを削除いたしたのであります。なおまた、われわれは、この動議の中において、夏季手当一カ月分、従って所要の経費五十億を要求いたしております。政府は、この暫定予算においても、依然として行政費二割天引きを強行しておられる。しかしながら、昨年のデフレ政策の実施以来物価は五分下っておりますが、その後は依然として横ばいであり、あるものは漸騰の気配をさえ示しておる。従いまして、このような形において官庁において行政費二割天引きを強行するということになれば、物価と強行天引きの間にはみ出した公務員の諸君は、首切り、行政整理のやり玉にあげられるよりいたし方がない。この意味において、われわれは、公務員の夏季手当はとりあえず一カ月分、〇・二五、五十億の増額を計上し要求いたすものであります。  以上が、われわれの政府原案に対する撤回理由であり、同時にまた両派共同の組みかえ動議内容でありますが、どうか各位の御賛同を賜わらんことを念願いたしまして、私の説明を終えたいと思うのであります。(拍手
  22. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) これより討論に入ります。村松久義君。   [村松久義君登壇
  23. 村松久義

    ○村松久義君 ただいま議題となりました昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二案につき、日本民主党を代表し、原案に賛成し、日本社会党提出の組みかえを要求する動議に反対するものであります。  本予算の基本方針を見ますると、三十年度予算案がすでに提出されておりまする現在、この予算基礎として大よそ月割計算に従って編成されておることは言うまでもありません。しかし、また、暫定予算を実施することによって経済生活に与えることのあるべき影響をできるだけ緩和しなければならぬのでありまして、この点を配慮しつつ、各経費についてはその所要額を適切に勘案計上するという基本的な考え方をとっておることが、まず目につくのであります。前回の四、五月分の暫定予算におきましては、その編成当時まだ本予算案ができ上っておらなかったのみならず、一般暫定予算の性質上、その内容は、政策的なものは一切除外をし、前年度予算を基準として、その事務的な経常費のみについて、その最小限度所要額を計上するという方針をとったことは、御承知の通りであります。今回の六月分暫定予算は、さらに継続して一カ月間の暫定予算を実施する結果を考えまして、経済に与える影響を、特に本予算通過の場合の年間事業計画の完全円滑な遂行に支障を与えることのないように配意をして、その所要額を計上しておるのであります。この点は、前例にも沿い、また時宜に適したものとして、全面的に賛意を表するものであります。  もちろん、新規経費につきましては、法律の制定ないし改正を必要といたしまするものは計上しておりませんし、その他のものにつきましても、時期的な関係その他の理由によって、特に六年中に支出負担を必要とするものに限って所要額が計上されたにすぎませんが、これは、暫定予算の性質上、この程度の制約はやむを得ないところでありまするが、本予算のすみやかなる通過によってこれを補い得るものと信ずるのであります。  以下、私は、順を追うて、この予算案の二、三の問題について簡単に考えてみたいと思うのであります。  まず一般会計暫定予算案であります。  第一に、補助費につきましては、四、五月の暫定予算には原則として計上されず、ただ義務的なものであって、特に四、五月中に支出を必要とするものに限って計上されておりましたが、今回は、原則として、すでに計上いたしました額と合せて第一・四半期分の所要額となるように、補助金を全般的に計上されております。これは、四、五月暫定予算の際の衆議院付帯決議趣旨に沿うものでありまして、適切なる措置と言うべきであります。ただ、補助金等の臨時特例法の対象となっておりまする補助金及び三十年度に新たに整理対象となりましたる補助金等を今回の暫定予算に計上しておりません点には多少問題が残されておると思われまするが、これは、別途法律ないし本予算案審議において、補助金そのものの存続の問題として検討して、その結果に従うべきものと思うのであります。  第二に、公共事業費及び食糧増産対策事業費につきましては、四、五月分の暫定予算には、災害復旧事業費等を除く補助事業費は原則として計上をしない、直轄事業費についても継続事業費のみを計上することになっておりましたが、今回の暫定予算においては、補助、直轄の区別なく、四、五月分の暫定予算と合せて年額の三分の一程度となるようになっております。また、北海道、東北、北陸等のいわゆる積雪寒冷地帯の事業費につきましては、四、五月分の暫定予算と合せて年額の二分の一程度となるように所要額が計上せられ、住宅施設費、文教施設費、官庁営繕費等の施設費に関しましても、公共事業関係費同様に所要額を計上しておりまするが、これらはすべて事業の性質、地域の特異性に順応したるところの適切なる処置と言うべきであります。従って、事業の実施に当りましては、この特段の予算措置をした事情にかんがみて、政府は、これらの趣旨を十分に生かすように特に努力すべきであると思うのであります。  次に、地方財政につきましては、前同様、公共事業関係費及び一般補助費について所要額が計上せられ、かつ地方交付税交付金のうち、普通交付税につきましては年額の四分の一、三百十九億円を計上しまして、地方公共団体資金繰りにも考慮をめぐらしておりますることは、まことにけっこうと思うのであります。  特別会計及び政府関係機関予算並びに財政投融資につきましても妥当なるものと認められるところでありまするが、実行に当っては、暫定予算の性質上、これに伴う影響最小限度にとどめるように十分配慮されんことを特に要望するものであります。  以上、三案に対して私は賛成の意見を述べたのでありまするが、両社会党より提案をせられましたる組みかえ案については、ただいま原案賛成の理由のうちに申し述べましたことを援用すれば十分であると思うのであります。しかしながら、きわめて簡単に、一、二点についてその批判をいたしてみたいと思うのであります。  生活保護費、また失業対策費、義務教育費の国庫負担金は、いずれも三十年度予算においては増額となっておることは御承知の通りであります。その増額せられたる本予算金額をこの月分として配分をしたものでありますので、従って、この六月暫定予算においても、従前に比して増額せられておることは言うまでもないのであります。ただ、生活保護費に関しましては、三十年度の本予算案においては、数字の面において、総額には減額のように記載せられておるのでありまするけれども、前年度の赤字、前々年度の赤字の差引上より考えてみますると、実質的には大きな増額となっておるのであります。十一億円を越したるところの増額であります。従いまして、この増額分をもっていたしまするならば、この六月の期間において十分にこれらの諸経費をまかない得ることは言うまでもないのであります。この場合において、組みかえの要求動議には、まずこれらの経費を増額せよと言う。この増額はすでに実現をしておる、私はこういう反駁をいたしたいのであります。さらにまた、その財源について述ぶるところはきわめて少いのでありまするけれども、財源として認めらるべきものは、まず防衛庁費の減額二十五億八千万円であります。それによって足りないものについては国庫の余裕金を回せと言う。大蔵証券をもってまかなえと言う。しかしながら、今組みかえ動議に要求せられたる六月分の七十一億円という金額は、これを年間に通算いたしてみまするならば、ちょうど、あたかも防衛庁費の総額に当っておるのであります。そうして、その総額の中から二十五億円をこの月分に差し引き、一方は臨時的の性質を持つもの、また単なる資金繰りの性質を持つところの大蔵証券である。他方においての支出は恒久的なる支出であるのでありまして、かように一時限りの財源をもって恒久的なるところの支出を伴う組みかえの要求は、まさに財政の原則をも破棄するものであると言わなければならぬのであります。(拍手)  もちろん、私はその趣旨を了とせざるわけではありません。しかしながら、かような現実の問題は、財政の現実でございます。単なる主張だけによってそれが実現するものではないのであります。主張は主張、現実に厳格なる財政の原則、この点を踏み誤まってはならないのであって、われわれは、生活保護費その他の増額は、この六月の暫定予算においては十分に組み入れられておることを主張いたしまして、従って、原案に賛成し、この組みかえ動議に反対をいたす次第なのであります。(拍手
  24. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 田中稔男君。     〔田中稔男君登壇
  25. 田中稔男

    ○田中稔男君 私は、両派社会党を代表して、政府提出の六月分暫定予算三案に反対し、両派社会党提出にかかる、これが組みかえ三案に賛成するものであります。(拍手)  私は、まず、六月分暫定予算案提出するに至った政府の重大なる政治的責任を問わんとするものであります。  さきに、政府は、四月及び五月分の暫定予算案編成し、その承認を国会に求めたのであります。その際、政府は、今後再び暫定予算を国会に提出することのない旨をわれわれに断言したのであります。しかるに、政府は、今やここに六月分暫定予算案提出することによって、明らかに食言の罪を犯したのであります。かくのごとく、年度初めの数ヵ月間にわたり暫定予算を繰り返すことによって、中央及び地方を通じて国の経済国民生活は正常な運営を著しく阻害されるに至ったのであります。特に地方財政の窮迫はその極に達し、たとえば佐賀県のごとき、破産寸前という状態に陥っているのであります。  しからば、何ゆえに政府は再びここに暫定予算編成しなければならなくなったのでありましょうか。その第一の事由は、防衛分担金削減交渉が重大なる難関に逢着して、本予算案の国会提出がはなはだしくおくれたためであります。これは明らかに政府の対米外交における一大失態と言わなければなりません。(拍手)第二の事由は、予算案と表裏一体の関係にある各種重要法案の国会提出がまた遅滞しているからであります。第三の事由は、予算委員会における本予算案審議に当り、政府の答弁が誠意を欠き、特に、たとえば何名もの委員が長期防衛計画の提示を求めた場合において、アメリカの軍関係者に対してはこれを明示したと推測される十分な理由があるにもかかわらず、国民代表の府たる国会に対して全くこれを秘匿して、その片鱗だに示さないというがごとき不誠意きわまる態度のために、審議がいたずらに渋滞したからであります。第四の事由は、紫雲丸事件、減収加算問題等予算委員会の論議を紛糾させたのでありますが、これはいずれも政府責任に帰すべきできごとにほかならないのであります。  もしこのままにして推移するならば、あるいはついに七月分暫定予算を国会に提出しなければならなくなるかもしれないのであります。そこで、政府は、保守合同を策することによって本予算案の早急通過をはかろうとしておりますが、その保守合同策は、政策抜きの政治的野合にほかならないのであります。いずれはタヌキの化かし合いに終ると考えられますが、もし万一これが早期に実現したといたしますならば、ロンドンにおける日ソ交渉は中途にして挫折し、いわゆる共産圏諸国との国交回復及び貿易拡大の選挙公約を信頼して民主党に投票した善良なる国民を愚弄するもまたはなはだしいと言わなければなりません。(拍手)私は、ここに、政府に対して重大なる警告を発するものであります。  次に、私は、簡単にこの暫定予算案の政治的性格について一言いたしたいと考えます。  この暫定予算は、単純に事務的であるべき暫定予算本来の性格を逸脱して、明白に政府の重要政策を織り込んだものであります。この暫定予算案は、いわば本予算案の縮図であります。従って、この暫定予算案を分析することによって、われわれは本予算案そのものの性格を理解することができるのであります。  さて、この六月分暫定予算案においてまず第一に目につくことは、防衛分担金が一円も計上されていないことであります。このことは一見奇異に感じられることでありますが、実は、六月分の防衛分担金は、すでに四月及び五月分暫定予算案の中に、三カ月分として、早手回しに一括計上されているのであります。何よりもまず防衛分担金をというのが、政府歳出予算編成における鉄則であります。ここに、われわれは、隷属予算の悲しき姿を露骨に見せつけられたのであります。(拍手)  第二に指摘しなければならないことは、七十一億七千九百万円に達する防衛庁費の、前年度月割額に比べた著しい増加であります。しかも、防衛分担金に関する日米共同声明にも明らかにされておりますように、防衛庁費は今後ますます増額の一途をたどることが予想されるにもかかわらず、防衛分担金削減は本年度限りのこととなっているのであります。従って、明年度以降における防衛関係費全体の増加は驚くべきものとなるに違いありません。両派社会党は、広く平和を愛する国民大衆とともに断じてこれが粉砕のために戦うことを誓うものであります。  しかし、最も重大な問題は、防衛費の絶対的な大きさではなく、社会保障関係費等と比べたその相対的な大きさであります。すなわち、この暫定予算案によりますと、六月分の生活保護費三十六億三千万円は、昨年度月割額に比べてむしろ若干増額されているように見えるのでありますけれども、赤字補てん分を控除いたしますならば、実質的には明らかに減少しているのであります。(拍手政府の発表によりますと、今日わが国における要保護者の数は実に一千万人をこえるのであります。しかし、現実に生活扶助を受けている者は、予算の制約があって、二百万に足りないのであります。今度、政府は、アメリカの強要に屈して、ジェット機の生産を開始いたしますが、その生産費は一機二億円くらいかかるということであります。二億の金がありますならば、一月一万円の扶助金として千六百六十六世帯、一世帯五人家族といたしますならば、実に八千三百三十人の要保護者が救われる計算になるのであります。(拍手)再軍備が大衆の犠牲の上に強行されつつある事実が、ここに如実に現われているのであります。(拍手)また、失業対策費二十六億六千百万円は、昨年度月割額に比べて確かに増額されておりますが、失業者数の増大には、はるかに及ばないのであります。政府のインチキ統計によりましても、完全失業者は、現在すでに八十万をこえ、昨年に比し二十万の増加であります。しかるに、失業対策費は、わすか五万人分だけを加えて、二十二万人分の就労を見込んでいるにすぎないのであります。しかも、失業者数は今後増大するばかりであります。日本の経済の繁栄は輸出の増大にかかっており、輸出の増大のためには生産コストの引き下げを必要とするのでありますが、たとえば、その一方策として近く政府が国会に提案しようとしておる石炭工業合理化法案のごときも、結局大量失業を生み出すにすぎないのであります。最後に、私は、公務員の夏季手当の増額の必要を強調したいと存じます。現在、公務員の給与水準は、人事院勧告を無視して、きわめて低位に押えられておる実情であります。公務員の低給与は一般労働者の低賃金に通じ、さらにそれは農民の低米価に通じるものであります。これは独占資本の冷酷な要請であります。公務員及び公社職員の低賃金が、労働強化と相待って、その非能率、不正及び事故の根因であることを、この際政府は特に反省すべきであります。(拍手)しかるに、公務員の夏季手当が、本年度も、六月分暫定予算案において、わずか〇・七五カ月分しか計上されていないのであります。昨年は苦しい操作によって実質的には一月分に達したようでありますが、民間企業との均衡も考慮して、少くともこれを〇・二五カ月分の増額を見るように主張するものであります。以上の観点に立って、私は両派社会党の六月分暫定予算組みかえ三案に賛成するものであります。(拍手
  26. 杉山元治郎

    ○副議長杉山元治郎君) 植木庚子郎君。     〔植木庚子郎君登壇
  27. 植木庚子郎

    ○植木庚子郎君 私は、自由党を代表いたしまして、ただいま議題と相なっておりまする暫定予算補正三案につきまして、若干の意見を付して政府原案に賛成、社会党両派の組みかえ案に反対の討論を行わんとするものであります。(拍手)本議案は、さきに当院におきまして付帯条件付で可決せられましたところの四、五月分の暫定予算に追加せんとするものであり、将来年間予算成立の場合は、これと一括使用せられるものであります。昭和三十年度年間予算案は、目下予算委員会において審議中でありまして、もっぱら政府の不誠意、不手ぎわ、無為、怠慢によりまして、その五月中成立は全く不可能に相なっておるのであります。私は、もっぱら政府の無為、怠慢によってと申します。何となれば、鳩山内閣は第一次の組閣以来すでに六カ月になんなんとしております。第二次の組閣からでも、もはやニカ月をこえておるのであります。ところが、現内閣は、数多くの国務中でもきわめて重要な国務でありますところの予算編成につきまして、遺憾ながら真剣さ、誠意を欠いております。不手ぎわと怠慢の連続を認めざるを得ないのであります。第一には、鳩山内閣は、その第一次組閣後月余を経た本年一月に第二十一回国会が再開となりましても、世上いわめる選挙管理内閣をもってみずから任じ、いわゆる所信演説や総選挙対策に没頭せられ、なそうとすればなし得るはずの新年度予算編成提出を怠り、加うるに予算編成大綱と称する一種の宣伝文書とでも言いたいものを出しまして、これでお茶を濁しておったのであります。第二には、総選挙後の三月に第二十二回の現国会が召集せられてからも、なお新年度予算提出せず、ついに年度末も押し迫った下旬の半ば近くになりましてから四、五月分の暫定予算案提出せられたにすぎないのであります。その際、政府は、われわれ野党側の要請によりまして、閣議決定さえ経てない「昭和三十年度予算の骨格に関する大蔵大臣の構想」という一夜作りの文書を提出せられただけであります。審議上の不都合は申すまでもありません。いかに選挙管理内閣であったとは申せ、総選挙は二月中に終っております。いかに第二次組閣後日なお浅かったとは申しながら、総理、副総理以下、ことに予算編成責任大臣たる大蔵大臣は、その他主要閣僚とともに第一次以来引き続いて留任しておられ、それぞれ国政に当っておられたのであります。なそうとすればなし得る問題であったのであります。そもそも、ある年度予算をその前年度の通常国会に提出いたしまして国会の審議に付すべきことは、憲法の精神に照らしましても、財政法の規定にかんがみましても、はたはた多年の慣習に徴しましても、政府のなすべき重要な国務であり、内閣の守るべき当然の義務であります。しかも、鳩山内閣は、これらの法規、慣例を無視して、ついに前年度中に新年度予算案の国会提出を実行しなかったばかりでなく、その努力さえなかったのではないかと認められるほどであります。第三には、新年度予算案提出は、防衛分担金交渉の不手ぎわからでありましょうか、あるいは地方選挙対策からでありましょうか、それは存じませんが、国会に対する政府の言明よりもおくれること旬日、年度が開始いたしましてから一カ月近くにもなってからであります。加うるに、あるいは七十五件といい、あるいは四十五件というところの予算に伴う法律案中、この暫定予算補正案が提出せられました五月の十七日現在における提出済みの数は、わずかに八件にすぎません。予算委員会から要求しました資料中、同日現在で提出せられたものは、これまた約半数に満たないというありさまであります。何という体たらくでございましょうか。かような状況下におきまして、本年度年間予算案の五月中成立が不可能となっておることは、あまりにも当然であります。さらに、今後の推移いかんによりましては、七月分の暫定予算さえ必至の勢いになろうとしておるのであります。私は衷心よりこの点をおそれるものであります。しかも、それは、もっぱら政府側の不誠意、不手ぎわに由来するところであり、また、もっぱら政府責任に帰すべきものであることは、全く明瞭でございます。申すまでもなく、暫定予算の連続は、中央、地方を通じて、行政百般の運行に対しまして非常なる不利益を招来するのみならず、国民経済の円滑なる運営に対しましても重大なる悪影響を及ぼすものであります。今や、わが国経済の発展をはかり、国民生活の安定、向上を期することは喫緊の要務でありますのにかかわらず、じんぜん数カ月に及んで財政的欠陥を続けて参りますことは、われわれのきわめて遺憾とするところでありまして、この機会において、政府の深甚なる反省を促し、警告を発しておきたいと存する次第であります。(拍手)   [副議長退席議長着席〕  さて、今回の暫定予算補正案は、さきに成立しました四、五月分の暫定予算と異なりまして、目下審議中に属する本予算案基礎といたしております。これを一般会計について見ますと、四、五月分と合せまして約二千九百億円でありまして、六月末までに支出または支出負担を要するものとのことでございます。他の特別会計及び政府機関につきましても、おおむねこれに準じておるとのことでございます。従いまして、金額的には必ずしも全部的にこれに反対なのではございませんが、その内容の細部に至りましては、必ずしも喜んで賛成することはいたしがたい部分もないことはないのであります。以下、若干の意見を申し述べてみたいと存じます。  まず補助費につきましては、今回は、すでに成立いたしました分と合せ、かつ地方公共団体に対しまするといなとを問わず、おおむね全般的に三カ月分を計上いたしておるのでありますが、これは、先般暫定予算可決の際、わが党の要求による付帯条件の趣旨を部分的ながら尊重したものと認めるのであります。しかしながら、われわれの要求を満たしておらない点がなおそこに残っておることは、はなはだ遺憾にたえないのでございます。地方財政の窮迫に対処いたしますために、地方交付税交付金につきまして、これまたすでに成立した分と合せて半年分を計上いたしておりますが、また公共事業関係費、補助費等におきましても若干の配慮がなされておるのでございますけれども、まだまだ不十分と申すほかございません。  われわれのここに心配をいたしております点の一、二を申し上げます。  第一には、今回同様第一・四半期を暫定予算でもって通しました昭和二十八年度に比較いたしますと、二十八年度におきましては、歳入不足の通計が第一・四半期におきまして五百五十億円であったのでございますが、今回の歳入不足は実に九百五十億円にも及んでおることであります。すなわち、政府原案によりましても、本年度は一兆円というワクに縛られておるというにかかわりませず、その第一・四半期におきまして二十八年度よりもはるかに多額の財政資金がばらまかれまして、第二・四半期以降の資金繰りの調整が果して円滑に行くかどうかということにつきまして、少からぬ心配があるのであります。  第二には、財政投融資にかなりの問題があることであります。さすがに、暫定予算のゆえをもちまして、一般会計からの出資投資を計上することはいたしてございませんが、そのかわり、もっぱら資金運用部資金、簡保資金等に依存いたしておるのであります。従いまして、政府資金繰りがきわめて窮屈になっておるのであります。果して本予算の成立までまかなっていくことができましょうか、いかがでしょうか。まことに心配の点があります。  第三には、目下審議中の本予算案が、超デフレ的政策、換言すれば強度の不況政策を基調といたしておりますだけに、産業経済の萎縮が招かれ、国民生活の低下を来たすのではなかろうかと思われるのでありますが、すなわち、本年度の景気の見通しは先行きすこぶる不安なのでございますが、それにもかかわらず、予算措置が十分にとれていないことであります。たとえば生活保護費の問題、失業対策費の問題のごとき、これであります。  以上申し述べました通り、今回の暫定予算補正案を前回の四、五月分の暫定予算案に比較いたしますれば、若干改善せられたと言い得る部分もないことはないのでありますけれども、われわれが全面的に満足し得るものとは必ずしもなっておらないのであります。なぜなれば、わが党の主張した先般の付帯決議趣旨がなお必ずしも全部的に達成せられておらないばかりでなく、その編成基礎は目下審議中の本予算案に置かれており、その本予算案はそのままではとうていわれわれの同調し得ない政策を含んでおるからでございます。ゆえに、われわれといたしましては、本予算との関連から、本来ならば変更を求めたい個所があるのでございますけれども、本暫定予算案は六月分の必要欠くべからざる経常的経費を含んでおること、及び、今日といたしましては、これを修正変更するだけの時間的余裕がないことに顧みまして、はなはだ不満ではございますけれども、予算案不成立の場合におきましての各方面への混乱は、これを避けなければならないと存じます。ゆえに、この暫定予算案が含んでおりますところの幾多の不満な点に対する変更は、これを本予算審議の際に譲ることといたしまして、この際やむを得ず政府原案に賛成することといたした次第であります。(拍手)  最後に、両派社会党の組みかえ動議につきましては、若干の傾聴すべき部分なしとはいたしませんが、防衛庁費の大幅節減のごとく根本的に賛成しがたい大問題を含んでおりますので、また、それのみならず、月末までに成立を期したいという関係から、遺憾ながら反対せざるを得ないのであります。  これをもって私の討論といたします。(拍手
  28. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、赤松勇君外十六名提出昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二件の編成がえを求めるの動議採決いたします。赤松勇君外十六名提出動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  29. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立少数。よって赤松勇君外十六名提出動議は否決されました。  次に、昭和三十年度一般会計暫定予算補正(第1号)外二件を一括して採決いたします。三件の委員長報告はいずれも可決であります。三件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  30. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 起立多数。よって三件とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  日ソ国交問題に関する重光国務大   臣の演説
  31. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 重光外務大臣から日ソ国交問題に関し発言を求められております。これを許します。外務大臣重光葵君。     〔国務大臣重光葵君登壇
  32. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) ソ連の対日宣戦以来そのままになっておりました日ソの関係を正常化し平和を回復するための交渉はようやく開かれる運びと相なりました。これまでの経緯については、すでに公表せられたところによって御承知の通りでありますが、その大要と、これに対処する政府の方針をあわせてここに明らかにいたしたいと思う次第でございます。(拍手)  御承知のごとく、ソ連は、サンフランシスコ平和条約の調印を拒否いたしまして以来ずっと同じ態度をとり続けて参ったのでございますが、国際情勢の変化に伴い、昨年半ばごろよりその態度を改めて、日本との平和正常の関係を回復するに異存のない意思表示をなすに至りました。昨年十二月鳩山内閣成立直後、両国間の戦争状態をすみやかに終らしめ、平和の正常関係を回復したい日本側の意向にこたえまして、ソ連側はこれに賛意を表するものであるとの趣旨を声明いたしました。越えて一月二十五日以来数次の往復を経て、二月十六日、日ソ関係の正常化を目ざしてとり得べき諸措置について意見の交換をすることに双方の合意が成立いたしました。交渉の場所につきましても、四月二十六日、ロンドンということが決定いたしました。ここにおいて、わが方は、全権委員として外交の経験に富む衆議院議員松本俊一前駐英大使を任命することに決定をして、これに関し国会の御承認を得た次第でございます。松本全権は不日出発し、六月初めに開かるべきロンドンにおける交渉に入ることに相なっておる次第でございます。  以上で明らかになりましたように、今回の交渉目的は、日ソ両国の関係を正常化することを目的といたしまして、両国が相互に受諾し得る条件を発見するために交渉を開始するわけでございます。すなわち、戦争状態を終結して平和を回復するための平和条約を締結し、もって国交を樹立して外交使節を交換し得るようにすることが本交渉目的でございます。  平和を回復するためには、互いに他の立場を認め、領土に対する主権を尊重し、内政に介入せず、紛争は平和的に解決するという精神を互いに確認することが必要と思います。ソ連との間には、戦争状態の結果として、いろいろな問題がありますが、今なおソ連に抑留されておる同胞の釈放、帰還の問題は、まつ先に解決をはかるべき問題であると信ずるのでございます。(拍手)さらに、北海道所属の島々、千島、南樺太等のいわゆる領土問題、北洋漁業問題、通商貿易の問題、または日本の国連加入の問題等、全国民のひとしく大きな関心を持っておる問題が多々あるのでございまして、これらの問題につきましては、国民的要望に従って、極力その解決に努力する所存でございます。(拍手)  今回の対ソ交渉は重大な外交交渉であることは論を待ちません。かかる重大な外交交渉につきましては、全国の力強き世論を背景とするにあらざれば、なし遂げ得るところではございません。この点については、政府も極力努力を惜しまないつもりでございます。  どうぞ、以上政府の所信を了とせられて、各位の有力なる御支持を与えられんことをお願いする次第でございます。(拍手)      ————◇—————  日ソ国交問題に関する重光国務大臣の演説に対する質疑
  33. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) ただいまの演説に対して質疑の通告があります。順次これを許します。大橋武夫君。     〔大橋武夫君登壇
  34. 大橋武夫

    ○大橋武夫君 私は、自由党を代表いたしまして、重光外務大臣のただいまの演説に関連し、日ソ交渉の根本方針について、鳩山総理大臣に対し質疑をいたす次第でございます。  昭和二十年八月、ソ連の宣戦によって日ソ間の平和が破れ、その後わが国のポツダム宣言受諾によって戦闘行為は停止せられましたが、講和条約は今なおこれが締結を見るに至っておりません。よって、一日もすみやかに日ソ両国間の平和関係の確立を希望することは、わが国民としてもとより当然のことであります。(拍手)しかしながら、今日の国際情勢下におけるわが国の外交といたしましては、自由諸国との協力態勢を確立し、自由世界におけるわが国の地位の強化をはかることが根本であって、この線に沿うて全般の外交を進めなければならないということは、わが党の常に強調してきたところであります。(拍手)また、現内閣においても、施政方針の演説において、鳩山総理大臣は、きわめて簡単ではありますが、同様の方針を述べられておるのであります。しかるに、国会における鳩山総理大臣のその後の答弁等を承わりますると、この方針をどこまで守るおつもりであるか、いささか疑念を差しはさまざるを得ない感がいたします。(拍手)  今日、鳩山内閣は、日ソ両国の関係正常化のための交渉に臨まれることとなったのでありますが、この交渉に際しては、わが方としては、もとよりソ連に対し幾多の主張すべき事柄を持っております。かかる主張を貫徹するには、自由諸国の完全なる支持によって、わが国の国際的地位の強化されることが最も肝要であると存じます。(拍手)ことに、本交渉と時期と同じゅうして、他方において英、米、仏、ソの四巨頭会談が催されまする以上、自由陣営諸国の足並みがそろうということは、交渉の成否に至大の影響があると言わなければなりません。従って、自由諸国との協調というわが国外交の基本方針の徹底は、日ソ交渉に際して最も大切なる事柄となる次第なのであります。鳩山総理大臣は、今回の対ソ折衝に当っては、この基本方針をあくまで堅持しつつ行動するという断固たる決意を有しておられるかどうか。少くとも、交渉の初めに当り、まずソ連がサンフランシスコ条約体制を認めるかいなかを確認してから交渉に入るというだけの用意を持っておられるかどうか。まずこの点について第一にお答えを願いたいと存じます。(拍手)  第二に、今日、日ソ間における未解決の問題として、未帰還同胞の引き揚げ問題があります。抑留同胞の引き揚げは前内閣以来逐次実施せられましたが、今なお相当多数の同胞が抑留せられておりますことは周知の事実であります。しかも、これら同胞の抑留は、ポツダム宣言に違反し、国際の法規慣例にもとり、人道上からも黙視することのできない、明らかなる不法行為なのであります。(拍手)従って、この問題は、今日、日ソ交渉の結果、両国間の関係の正常化がなるとならないとに関係なく、一日もすみやかに解決されなければならぬのでございます。(拍手)すなわち、この問題こそは全く国交調整以前の問題であると言わなければなりません。従って、この問題については、当初から国交調整の問題とはこれを切り離して主張すべきものであり、国交調整の問題と関連して取引すべきものでは断じてありません。(拍手)私は、鳩山総理大臣がこの未帰還者引き揚げ問題だけはどこまでも今回の国交調整の問題と切り離して解決するお考えであるかどうか、この点を明確に承わりたいと存じます。(拍手)  第三に、今日、日ソ間においては、国交正常化に際し解決を要する幾多の懸案があります。領土問題、漁業問題、国連加入問題等がそれであります。本来から申しまするならば、これらの問題の解決があって初めて国交調整ということになるべきものと言わなければなりません。しかし、これらの懸案事項は、一つとして解決の困難ならざるものはありません。従って、そのことごとくが解決しなければ国交を回復しないとするならば、国交の回復は遠い将来の夢物語となってしまいます。しかし、いやしくも講和条約を結ぶのでありまする以上は、少くとも和議の基本条項たる領土問題だけは解決されなければならぬということは当然でございます。(拍手)ことに領土問題につきましては、わが国はソ連に対し当然主張すべき幾多の重要な事項を持っております。第一に、歯舞、色丹は言うまでもありません。第二に、南千島については、千島、樺太交換条約以前から長年わが国固有の領土であったものであり、ことに、サンフランシスコ会議においては、吉田全権はこの点を特に演説において明白にいたしておるものなのであります。第三に、北千島、南樺太については、鳩山総理大臣は返還を主張するということをみずから国会においても述べておられます。他のすべての懸案が解決しないといたしましても、少くとも講和の基礎となるべきこれらの領土問題についての原則的な了解がなくては、講和の実は全く失われると言わなければならぬと思います。(拍手)鳩山総理大臣は、従来、いろいろな機会において、まず第一は国交の回復であり、それができてから、だんだんに懸案の解決をはかるのであるという意味を述べられておりますが、これは明らかに本末の転倒もはなはだしいと言わなければなりません、(拍手)今日、鳩山内閣の日ソ交渉に対する心がまえは、交渉に対するわが方の態度として、まず何よりも先に国交の回復をはかり、しこうして後に懸案の解決に進むという行き方をとるか、それとも、まず懸案の解決、少くとも領土問題についての原則的な了解を得て、その上で初めて国交回復をはかるという行き方をとるのか、この点はぜひこの機会にあらためて明確にしていただきたいと存ずる次第であります。(拍手)すなわち、鳩山総理大臣は、少くとも領土問題の原則的了解がない以上は漫然たる国交の回復というがごときことは断じてあり得ないことであるということを、果して断言することができるでございましょうか。  第四に、私は、今回の日ソ交渉においては、率直に申しまして、ソ連が、引き揚げ問題をえさにして、わが国に対し使節の交換をはかるのではないか、そして、選挙の公約に引きずられた現内閣が、功をあせるの余り、むざむざその術中に陥るのではないかという点を、心から心配いたしておるのであります。(拍手)先にも申し述べました通り、引き揚げ問題は、国交調整以前の問題であって、国交調整ができる、できないにかかわらず、必ず解決しなければならぬ問題であります。(拍手)従って、わが国といたしましては、国交調整に当っては、これを引き揚げ問題と引きかえにすべきものでは断じてありません。(拍手)少くとも領土問題と引きかえなければ、この交渉に伴うわが方の現実の利益はなかったという結果となるわけでございます。しこうして、引きかえるべき現実の利益がなくして、漫然国交の回復が行われ、使節の交換を見るに至ったといたしましたならば、その結果はいかがでありましょうか。ソ連の在外公館は、自由諸国に類例のない機構を備えております。百人、二百人という膨大な人員を擁し、しかも、そのうちには、正規の外交官及び駐在武官のほかに、ソ連共産党及び国際共産党の指導連絡要員、ソ連国家秘密警察の諜報要員等を含む共産主義活動のための一大諜報宣伝機関であります。(拍手)かかる共産活動の一大拠点が国内に出現し、しかも、その多数の要員が外交官の特権のもとに自由に活動することに思いをいたすとき、これに対処するわが国内の態勢は現状のままで果して晏如たり得るか、きわめて憂慮にたえない点であります。(拍手)鳩山総理大臣は、これに対応する国内態勢についていかなる用意ありや、つまびらかに承知をいたしたいと存じます。  第五に、日ソ国交回復は鳩山内閣の選挙題目の一つでありました。今回の日ソ交渉は、その当然の跡始末であります。しかし、選挙公約の跡始末としては、現内閣の力に比して、あまりにも問題が大き過ぎるのであります。日ソ間の平和回復ということは、国内に何人も反対する者はありません。しかし、この問題は、いかにも大きな問題であります。従って、この問題を処理するためには、もとより大きな準備が必要となるわけであります。しかるに、現内閣のやり方は、不用意・無準備であったために、今日までいろいろ遺憾な点がありました。わが党としては、その都度、慎重に進まれることを要望し、また警告して参ったところであります。  もとより、日ソ間の平和回復は、国民のひとしく望むところであります。しかし、その平和には、わが方としての現実の利益が伴わなければなりません。領土問題、漁業権問題、国連加入問題等、平和に際し主張すべきわが国の現実の利益については、政府はどこまでも積極的に責任を持って必ず主張し、誠意を持って必ず獲得すべく努むべきものであります。今日、国民諸君が、共産主義の脅威を憂えながら、しかも日ソ交渉にあえて大きな期待をいたしておるところは、漫然たる国交の回復では断じてありません。それこそ、全国民の民族的主張ともいうべきこれらの問題についての現実の国家的利益が交渉を通じて正しく守られるであろうということを心から希望すればこそなのであります。(拍手)もしこの希望が裏切られるようなことがあれば、わが方としては、いたずらにソ連の平和攻勢に利用せられ、ソ連の日本中立化政策の術中に陥り、祖国を共産主義の脅威にさらすのみと言わなければなりません。何分にも、ソ連相手の外交は一筋なわでは行かぬことは、つとに世に定評のあるところであります。私は、この交渉に臨む以上、政府は、十分なる準備と、不退転の決意と、非凡なる忍耐と、賢明なる努力とをもって、この交渉を実質的にかちとるよう、最善を尽されんことを切に望まざるを得ません。(拍手)  しかしながら、目的の達成には、内は国民の圧倒的支持と、外は自由諸国の全面的な支持とが必要なのであります。今日まで果して政府はこの内外の支持を確保する努力において欠くるところがなかったと言えるでしょうか。出発直前の全権を伴って鳩山総理大臣がにわかにあいさつ回りをしなければならないという今日のありさまについては、政府のすでに深く反省せられていることと信じます。政府が今さらのごとく日ソ交渉の重大性を認識して他党の協力を呼びかけるに至った気持については、私もある程度理解できるつもりであります。しかし、およそ一つの問題について他人の協力を求める者の態度として、その事を始めるや、他人と協議しないで独断専行し、困難なる途中に及んで、にわかに、地人に、ついてきて手伝えと言うようなことが、正しいやり方と言えるでしょうか。これでは、全国民的な支持を期待しても、期待する方が無理だと言うべきであります。そして、この関係は、ひとり国内だけのことではありません。いやしくも自由諸国が多大の関心と利害とを有している問題について、不用意に第三国と折衝し、ために自由諸国の疑惑を招くようなことでは、ついには孤立外交の危険に陥るのみであって、他国の支持と協力とを得るゆえんではありますまい。私は、こうした内外のやり方について、鳩山内閣の謙虚にして真華なる猛省を切に期待する次第であります。(拍手)  交渉の前途は、おそらくは、遠く、また険しいことでありましょう。鳩山総理大臣は、この重大かつ困難なる交渉に際して、成功のかぎとなるべき内外の支持を今後いかにして得ようとなさいますか、御所信のほどを明快にお示しいただきたいと存じます。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  35. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 大橋君の御質問に対してお答えをいたします。  自由諸国との協力態勢を推進するということを外交の基調とすることは、たびたび委員会で申しましたごとく、これを外交の方針としております。言うまでもないことでございます。(拍手)  サンフランシスコ条約体制を認めるかどうかを確認してから交渉に入る用意があるかということでありますが、わが国がサンフランシスコ条約の上に立っているということは、ソ連はむろん承知しているのですから、今さら確かめなくても当然わかっていることと思います。(拍手)  それから、引き揚げ問題を切り離して調整前に解決する用意があるかというような御質問でありましたが、この未帰還の抑留者の問題というものは、全国の人々がだれしも例外なく非常に熱望しておることでありまするから、交渉には、一番先にこの問題を掲げて交渉するということは言うまでもないことでございます。(拍手)  国内態勢についての用意があるかどうかということでありますが、共産主義者がだんだんと勢力を得るということについて、これを阻止するということは、いろいろの面があると思います。各方面の意見を聞いて遺憾なきを期するというのが一番いいと思います。  それから、協力問題も、各派の協力を急に私が考えついたというわけでは全然ないのでありまして、各派の協力は自然と得られるものと思っておったのでありますが、事志に反して、得られなくなりそうになったということは、まことに遺憾に思っております。しかしながら、国内の協力態勢を得るということについて今日まで遺憾の点がなかったとは言えますまい。今後は万全を期しまして、内外の信、支援を得て、所期の目的を達することに力を注ぐつもりでございます。(拍手、「領土問題、領土問題」と呼ぶ者あり)  領土の問題——つまり、このたびの日ソ交渉というものは、戦争状態終結を目ざして、戦争状態のなかったようにするための国交調整なのであります。戦争によって起ったところの諸問題、あるいは領土の問題、あるいは未帰還兵の問題とか、北洋漁業の問題だとか、戦争によって起ったところの諸問題を解決するということが国交調整の目的なんですから、そういう目的を達成することに努力するということは、これも言わなくてもわかっておることであります。(拍手
  36. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 森島守人君。     〔森島守人君登壇
  37. 森島守人

    ○森島守人君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま重光外務大臣より御報告のありました日ソ国交調整の問題に関しまして、鳩山総理大臣並びに重光外務大臣に対して、二、三点について御質問をいたす所存でございます。(拍手)  交渉開始に至りました経緯におきましては、あるいはドムニツキー氏との面接、あるいは会議地の選定、もしくは全権の人選等におきまして、総理と外務大臣との間に意見の不一致のありましたことは争うべからざる事実であります。しかし、いよいよ六月初旬より交渉開始の段取りに至りましたことは、まことに欣快の至りにたえない次第でございます。(拍手)しかるに、ただいまの御説明を聞きましては、ただ一片のおざなり的な報告にすぎないのでありまして、その間、世界の平和に貢献せんとする熱意に至りましては、その片鱗をもうかがい得ざることは、私の最も遺憾とするところであります。  元来、ソ連との国交回復は、中共との国交回復とともに、わが党が講和会議以来終始一貫提唱してきたところであります。現存する世界の緊張を緩和し、自由、共産両陣営の共存を促進し、ひいて世界平和の増進に寄与するところきわめて大なることを確信する次第でございます。この点、日ソ国交の正常化に関する限りにおきまして、わが党といたしましては、政府を鞭撻いたしまして、交渉の円満妥結を見るがために協力を惜しまない次第でございます。(拍手)ただ、この間におきまして、最も憂慮にたえませんことは、国内におきましても、また国外におきましても、日ソ国交の正常化を阻害せんとする試みのあることであります。(拍手)対米追従外交に終始いたしました吉田前総理並びにこれと思想を同じゅうする人々は、今日においてもなお、日米両国の基本的関係もしくは中ソ友好同盟相互援助条約の存在などを理由といたしまして、日ソ両国関係の調整を妨害し、これを挫折せしめんとの意図を持っておるようでございます。(拍手)他方、日本をあくまで自己の陣営内に封じ込めんとするアメリカ等第三国におきましては、日ソ交渉の開始自体に対しこれを快しとしない、機会あるごとに干渉の措置にいずるおそれのありますることは、あらかじめ警戒しておかねばならないと存ずる次第でございます。  ここにおきまして、私が第一に鳩山総理大臣に対してお伺いいたしたいのは、総理は、この内外両面から来たる妨害的または干渉的措置を断固として排除し、自主独立の立場から世界平和のために日ソ交渉を妥結に導く決意を有せらるるやいなやという点でございます。(拍手)さらに、最近、保守政党の一部におきまして、保守勢力の結集をはからんとする動きのありますることは、否定し得ない事実であります。もし、日ソ国交の回復をはからんとする民主党、これを快しとしない自由党とが合同ないし連携をはかるがごときことがありましたならば、日ソ国交調整自体に対していかなる影響を及ぼすかは、識者の一様に懸念しておるところであります。かかる情勢のもとにおきまして、総理が、この際国会を通じて、内においては日本の全国民に対し、また外においては世界の輿論に対して、その所信と決意とを表明せらるることは、きわめて機宜に適した措置であると信じておる次第でございます。  なお、全権団の構成を見ますと、外務官僚独占の感なきを得ません。漁業、貿易などに関しましては、官民いずれの方面たるとを問わず、広く国民的規模の上に専門家を起用する意向を有せらるるやいなや、また、今後交渉開始の上は、随時国会を通じて、でき得る限り交渉経過を発表し、民意を問う等の方法によりまして、とかく官僚外交に堕せんとする重光外務大臣のやり口を排除し、国民外交の実をあげられる意図ありやいなや、総理並びに外務大臣の御所見を伺う次第であります。(拍手)  次に、交渉に臨む大体の方針と申しますか、腹がまえの問題でございます。私は、この際松本全権に対する訓令の内容を全部質問するような非常識のことはいたしません。また、交渉に臨む態度につきましては、もとより相手方のあることでございます。相手方の出方を見きわめた上でなければ決定しがたい事情のありますることは、了解に苦しくはないのでございます。ともかくも相当の弾力性を持たすことが必要であると考えておる次第でございます。従って、この際における基本的方針といたしましては、懸案の全部につきましてその完全な解決を終えた上で国交の回復に移るというのではなく、日本国民国民的感情をも考慮に加えまして、抑留邦人の帰国の問題、領土問題中歯舞、色丹の返還につきまして、交渉の過程において確約を取りつけることに努力しまして、大体の見通しがつきますれば、この辺で一応簡単な条約を締結して国交回復をはかることが妥当であると思われるのでございます。  元来、ソ連相手の交渉は、第一次大戦後における日ソ基本条約の締結、また昭和八年より十年に至りまする北満鉄道の買収の経緯、または最近における欧州の問題等から考えましても、相当長期間を要することはもちろんであります。その間幾多の紆余曲折を免れないものと覚悟しておかねばならないのでございます。かくのごとくに見てきますと、すべての懸案の完全解決を前提といたしましては、すでにオーストリア問題も解決し、四国巨頭会談の開催についても一応の見通しがついており、力による解決より話し合いによる解決によって世界の緊張を緩和せんとする現下の世界情勢のもとにおきましては、日ソ国交を軌道に乗せる時期を逸するおそれも多いのでございます。かくのごとき場合におきましては、その他の懸案全部、未解決の領土問題、漁業、貿易、国際連合、文化交流等の諸問題につきましては、国交回復後期を逸せず直ちに交渉に入ることを条件とすべきことはもちろんでございます。(拍手)また、簡単な条約の内容といたしましては、わが党におきましては、領土の相互尊重、内政不干渉、相互不侵略、互恵平等及び平和的共存の五点について原則的了解を遂げることを必要と考えておる次第でございますが、外務大臣のこの点に対する御所見はいかん、その見解の御開示を求める次第であります。  なお、この際、南樺太と千島の問題に関しまして、わが党の立場を明らかにしておくことを必要と存ずるのでございます。南樺太と千島の返還は、全国民国民的要望ではございます。しかしながら、他面におきまして、吉田内閣が共産圏諸国を準敵国視するアメリカ政府の政策に同調いたしまして、日米安全保障条約を締結し、さらに行政協定によって、日本の全土をあげてソ連と中共とに対する軍事基地と化しておる現状を無視することは許されないのでございます。(拍手)私は、ソ連に対しましてはこの際その無条件かつ即時返還を求めますることは、その実現を期する上におきまして、いささか筋が違うではないかと存じておるのであります。従いまして、わが党といたしましては、日米安全保障条約及び行政協定の終局的廃棄及び南樺太、千島にアメリカの軍事基地を設けないことを条件といたしましてその返還を交渉することが妥当であると信じておる次第であります。(拍手)この点に関する政府の御所見はいかん。総理及び外務大臣の御所信を伺いたいのでございます。  この点に関連しまして特に御注意を求めたいのは、私がここに終局的廃棄という表現を用いた点でございます。将来適当と認められる時期においてアメリカに対して廃棄の交渉をせられる意向ありやいなや、あわせて御答弁を得たく存ずる次第でございます。(拍手)  次に内政不干渉の問題でございますが、大正十四年の日ソ国交回復に関する基本条約中にも、宣伝の相互禁止に関する規定がございました。当時の鳩山一郎代議士は、幣原外務大臣に対しまして、宣伝の相互禁止に関する規定のみでは、ソ連政府の直接機関でないコミンテルンの宣伝活動を防止することはできないと、執拗に追及せられたのであります。この間のいきさつは、鳩山総理においても御承知のところと存じますので、万遺漏なきを期しておられることと拝察いたしておる次第であります。念のために御所見を伺いたいのであります。わが党といたしましては、原則的了解のほかに、具体的に内容規定いたしまして、官民いずれの機関によるとを問わず、内政不干渉を全面的に実行することを必要と信じておるのでございます。政府の御意向いかん。総理及び外務大臣の所見を伺いたいのであります。  次に、中ソ友好同盟条約の問題でございますが、吉田内閣以来、この条約の存在を理由として、ソ連並びに中共との国交回復に反対する意見がありましたことは、先に述べた通りでございます。従いまして、この際、わが党といたしましては、ソ連との交渉の過程におきまして、日米安全保障条約並びに行政協定の終局的廃棄を条件として、ソ連に対し中ソ友好同盟相互援助条約中の対日条項の削除を求むべきものと信じておる次第でございます。(拍手政府の御所見はいかん。外務大臣に御答弁を求むる次第であります。  最後に、日本の自主中立の問題でございます。右は、講和条約締結当時以来、わが党が終始一貫堅持してきました原則の一つでございます。世間には、往々にいたしまして、世界が米ソ二大陣営に分れております現状においては中立はあり得ない、中立は要するに観念論である、あるいは非現実であるとの批判を加えまして、わが党の態度を非難攻撃する向きもございました。しかるに、朝鮮の休戦協定、ジュネーヴ会議等の成功いたしましたいきさつを考えまするに、中立は今や現実に存在いたしまする冷厳たる事実であります。インド、ビルマ、インドネシア等のアジアの諸国、ヨーロッパにおきましてはスイス、スエーデン等の諸国が、現に自主中立の外交方針を堅持しておる事実は、わが党の方針の正しかったことを裏書きするものと言うべきであります。ことに、最近解決に至りましたオーストリア問題の経緯、特にオーストリアが憲法のうちに中立を明記せんとする事実から考えまするときに、中立政策をもって非現実だとして排撃することの不当なことは、如実に証明せられたと言っても決して過言ではございません。(拍手)この点から考えまするときに、来たるべき日ソ交渉こそは、日本の中立政策を漸進いたしまする上におきまして絶好の機会を供する次第でございまして、わが党といたしましては、日本が将来自発的に中立を宣言する場合を予想しまして、この場合に処するため、今次の交渉中、ソ連の保障を求めておくことを妥当と信ずる次第であります。政府の所信はいかん。将来外交方針の根本に触れてくる問題と思われますので、特に総理及び外務大臣の所見を求むる次第でございます。  質問が多様にわたったきらいはございますが、事は世界の平和に最も重大なる影響を持つ問題でありまするがゆえに、あらためて総理及び外務大臣がこの機会においてその所信を簡明直截に披瀝せられんことを切望いたしまして、私の質問を終る次第でございます。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  38. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 森島君の御質問に対してお答えをいたします。大体は外務大臣から御返事をいたすべきですが、私から答弁をした方がいいと思う点につきまして私から答弁をいたします。  内外に予期せらるる妨害運動に対してどういう信念を持って対処するかという御質問に対しましては、むろん自主独立の立場に立って断固として善処いたしますというように答弁するよりいたし方がございません。(拍手)  それから保守合同に対して御質問がありましたが、今、日ソの国交調整というのは国民全般の人の望んでいるところでありますから、自由党も必ずや協力してくれるものと考えております。(拍手)  それから、安保条約、行政協定の廃棄については、ただいまのところ、そういうことを考えておりません。  また、中立の措置についてでありますが、これも同様に、ただいまのところ、そういう態度はとれないものと考えております。ただいまのところは考えておりません。  内政については、森島君と同様に考えております。条約文に記入するようなことをした方がいいというように考えております。  以上、御答弁をいたします。(拍手)     〔国務大臣重光葵君登壇
  39. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) お答えをいたします。  私は、世界が今日二つの陣営に分れておるのでありますが、それがなくなって、世界平和が現実的に確立していって、さような世界国家というような時代が来ることをほんとうに熱望します。さような場合が来ますならば、おそらく日本の安保条約もまた中ソ同盟条約もなくなることだと思います。(拍手)しかし、さような事態が到達しない前には、順次に平和政策を進めていかなければなりません。そこで、日ソ交渉をやって、少しでも世界の平和に貢献することをいたしたい、こう考えておるのであります。そうして、中ソの同盟に引きかえて日本の安保条約を解消するというようなことは、その時期でないと思うのであります。(拍手)  それから、日ソの国交調節を問題の解決するのとどういう関連を持たせるか。私は今交渉を始めんとしておるのであります。重要なる案件がたくさんございます。これを一々解決をして、そうして国交を調整したい、こう今決意をして立っておるわけであります。そこで、その交渉を進めていって、その目的を達したい、この一念でございます。しかしすべての細目に至るまで何もかも解決をしなければ目的を達しないと私はここで言うわけではございません。しかし、それは今は重要な問題がすべて解決するという決心をもって努力をすることが必要であると考えております。(拍手)  それから、全権団の組織について御異存がございました。御意見のところは、つつしんで拝聴いたします。しかし、私の考えは、今はとりあえず最小限度の必要な人間を出して、問題が進むに従って、複雑になればなるに従って必要な専門家その他を派遣するの用意をいたそう、こう考えております。  交渉経過については、できるだけ公表いたしまして、そうして国民的の支持を得たい、こう考えております。(拍手
  40. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 松本七郎君。     〔松本七郎君登壇
  41. 松本七郎

    ○松本七郎君 私は、日本社会党を代表いたしまして、日ソ交渉問題につきまして、鳩山総理大臣並びに重光外務大臣に対しまして若干の質問を行わんとするものでございます。  今日、日本の国民は、先ほど総理大臣も言われましたように、全国民がこの日ソの交渉が円満に妥結して国交の回復のできることを待ちあぐんでおるのでございます。従いまして、こういう大切な時期に当りまして、重光外務大臣がみずから進んで本院を通じてその決意を明らかにされましたことは、私どもその気持を了とするのでございます。しかしながら、肝心なその内容に至りましては、はなはだばくとして、とらえどころがございません。雄大な決意は述べられましたが、その内容について、私はさらに具体的に少し御質問を申し上げたいと思うのでございます。(拍手)  鳩山総理大臣は本日緒方自由党総裁を訪問されたように伝えられております。先ほども御答弁にありましたように、自由党も結局は日ソの国交回復には賛成であるから必ず協力してくれるだろう、こういうことをさらに御答弁なさったのでございますが、本日のこの会談は、おそらく日ソの交渉についても話し合いをされたものと思いますが、一体本日の会談でそのような日ソの交渉についての話し合いをされたのか。もしされたとするならば、何らかこの日ソの交渉影響があるものかどうか。この点を明らかにしていただきたいのでございます。(拍手)さらに、鳩山総裁は、社会党両派の委員長の要求によりまして、本日この両派委員長と会見をされておるのでございます。そうして、この両委員長から要望事項を伝えられておられるはずでございますが、この委員長との会談に際して、こちらから伝えられました内容に対し、鳩山首相はどのような見解を抱いておられるのか、本院を通じて国民の前に明らかにしていただく時期であると思うのでございます。(拍手)  先ほどの御答弁でも、総理大臣は、実は各党の協力は当然得られると思ったから今までは協力要請をしなかったのだ、今になってしたのだ、こういう御答弁がございました。これは、はなはだどうも甘い観察だと思いますけれども、とにかく、おそまきながらも各党に協力方を要請された態度は、私どもも了とするのでございます。私どもは、しかし、さらに一歩を進めまして、鳩山総理大臣は、野党各派の代表もこの日ソの交渉にオブザーバーとして参加をしてもらうように要請される気持がないかどうか、この点を鳩山総理大臣から御答弁をお願いいたしたいのでございます。われわれは、自由党も、鳩山首相が期待されるように、これに協力態勢をとることを期待するものでございますけれども、今までの経過、あるいは外務委員会における質疑応答等を通じて私どもが判断いたしますならば、私は自由党の協力を得られると期待することは楽観に過ぎるのではなかろうかと思うのでございます。従いまして、もしも自由党が協力を拒否した場合に、鳩山総理大臣はいかようにされるのか。もちろん、自由党の協力を得ることが望ましい。しかし、どうしても協力が得られない場合に、社会党との協力を得て、この交渉を積極的に進められる御決意があるかどうか。この点、首相から御答弁をお願いしておきたいのでございます。(拍手)そういう態度でなければ、自由党の協力が得られないから自分はしり込みをするのだ、これでは、まるで保守政党の党略外交という烙印を押されても仕方がないことになるのでございます。この点の御決意をはっきりと伺いたいのでございます。  今度の日ソの交渉におきまして一番大切なことは、先ほど森島議員からも指摘されましたように、自主独立の態度を堅持してこれに臨むということであろうと思います。その場合に、私どもは、今まで戦争状態にあった国と平和の回復をするのでございますし、いろいろな問題がまだ残っておるのでございますから、どうしてもお互いが疑い深い態度でこれに臨むならば、円満な解決はできないと思います。お互いは相互信用の原則をもってこれに臨むことが、この交渉を成功させる一番大切な点であると思うのでございますが、鳩山首相のこれに対する御決意を伺いたいのでございます。  日ソの交渉は、何よりもます世界の緊張を緩和いたしまして、日ソ両国の間に友好関係を進めることが基本の原則でなければなりません。領土問題、戦犯問題等は、両国の友好関係の上に立って、平等互恵の立場から平和的にこれを解決すべきでございまして、あくまで日本の自主的立場からなさるべきであると思うのでございます。ところが、今、日本の国民は、せっかく日ソ交渉は始まっても、何か米国の指図やあるいは制約を受けるのではなかろうか、あるいはまた政府は米国に気がねをして、なすべきこともなし得ないのではないかというような疑惑をやはり持っているのが実情でございます。現に、政府は、日ソ交渉について、わざわざ特使を米国に派遣するというようなことを計画しておるやに伝えられておるのでございますが、果してそのような意図があるのかどうか。自主独立の態度堅持について政府の所信を明らかにしておいていただきたいのでございます。この点は特に総理大臣の御答弁をわずらわしたいのであります。  この日ソの国交回復を実現して諸問題を解決いたしますために一番大切な条件は、やはり両国民の間に友好的な空気を盛り上げていくということでございます。幾ら外交的な技術がすぐれておりましても、肝心のこの両国民間の友好関係というものが確立されなければ、土台はくずれてしまうのでございます。従って、あらゆる具体的な政策をもって私どもはこの両国民間の友好促進をはかるべきであると思うのでございますが、一体政府にどのような具体策があるのか、特に外務大臣の御答弁をお願いいたしたいのでございます。  これに関連して、次の三点を特にお伺いいたしたい。  それは、私どもはすでにこの両国民の友好関係樹立についていろいろと問題を考えておるわけでございます。たとえば、すでに外務委員会でも出した問題でございますが、日ソ両国の国会議員団を交換するということがこの際必要ではなかろうか、こういうことを現在衆議院においてわれわれは協議しつつあるわけでございますけれども、かりにそういうことを院議として決定いたしましても、日本から国会議員が向うに行く、向うの国会議員が日本に来ようとする場合に、入国その他について政府がそっぽを向くようでは、まことに醜態に陥るわけでございます。従いまして、これらの点について政府はどれだけ協力する決意があるのか、これは特に首相の御答弁をお願いいたしたいと思います。  また、御承知のように、今、日中、日ソの国交回復国民会議というものが民間の諸団体によって組織され、この日ソの国交回復を国民運動として推進しつつあるわけでありますが、この会議が先般懇談会を持ちました結果、新聞紙上の報道するところによりますと、久原房之助氏あるいは小畑忠良民など数名の者を直ちに民間代表としてロンドンあるいはモスクワに派遣して、そうして両国民の友好促進と日ソ交渉の成功を側面から援助するようなことをやろうではないかという計画があるやに聞いておるのでございます。こういうことをなされる場合に、政府としては一体これを歓迎されるのか。せっかく民間からこういう運動が起っておるのに、政府がそっぽを向いて迷惑がるようでは、はなはだ困りますから、この際首相のこういう運動に対する考え方も承わっておきたいのであります。  また、私どもは、ソ連の元代表部に対する政府の態度についても、もっと融通性のある態度をもって臨むことが、両国の友好促進をしながらこの交渉を妥結するに必要なものであると思うのでありますが、政府は、このことについて、今までのように、あくまでも国交回復ができなければ向うの旧代表部の人々とは話をしないというような、かたくなな態度を堅持されるおつもりかどうか、特に外務大臣にお伺いいたしたいのでございます。  最近、政府は、いよいよ交渉に臨むに当りまして、基本要綱という、いわば松本全権に対する訓令を作ったということでございますが、もちろんその内容をここで発表をお願いするわけにも参りませんが、この政府の作りました訓令に基いて今後いよいよ交渉をされる場合に、一体ソ連の方はどういう態度をもってこれに臨んでくるか、その見通しは全然ないのか、あるいは見通しが多少でもあるとするならば、その見通しについても明らかにしていただきたいのでございます。また、アメリカがこの日ソの交渉に対してどのような態度に出るかということにつきましても、国内にいろいろの憶測がございます。外務省の一部では、あくまでも米国は日ソ交渉を阻止するような挙に出るだろうとも言われておりますし、また一部では、幾ら米国でも、この日ソの国交回復ということについては少しも異存はないのだ、むしろこれを歓迎するであろうと言われておるのでございまするが、政府の見通し、判断はどのようなものであるか、外相並びに首相両者からその見解を明らかにしていただきたいのでございます。先ほどからいろいろ問題が提起されましたように、私どもは、この日ソの交渉に当って何よりも大切なことは、国交の正常化である、これがいろいろな問題を解決する一番賢明な道であると考えているのでございますが、この点については、いろいろと具体的な問題が、今後進展するにつけても、国内にいろいろな面で起ってくると思います。たとえば戦犯の問題についても、先日以来、一部の間では、この戦犯という名称を取り消せというような要求も出てきておりまするし、あるいは抑留者の抑留中の労働に対する損害賠償を要求しろというような言まで吐かれつつあるのでございます。私どもは、今こういうふうな大切な時期に、国民の一部からこのような言が吐かれておるということについては、非常に憂慮をいたしておるのでございます。私どもは、まず第一に、友好的な空気でもって接するということが一番必要ではないか、このように、戦犯の名称を取り消せとか、いろんな因縁のような要求を突きつけるけんか腰では、この交渉は成り立たないと思うのでございまするが、これらについては政府はどのような考えを持っておられるのか、このことを首相から明らかにしていただきたいのでございます。  こうように、私どもは、国交回復という、正常化ということを中心に考えておるわけでございまするけれども、万一平和条約の交渉が長引いておくれるような場合に、とりあえず、日ソ両国においてあらかじめ協議の上、戦争終結の共同宣言を発すべきが妥当な処置だと考えるのでございますが、この点の政府の所信を、これまた総理大臣からお伺いいたしたいのでございます。  この諸問題の中で特にめんどうなのは、もちろん領土の問題であろうと思います。日本はポツダム宣言を受諾して無条件降伏をいたしたのでございまするが、その宣言には「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国竝二吾等ノ決定スル諸小島二局限セラルベシ」こうあるだけでございまして、千島、南樺太のソ連による領有ということは、御承知のように、ヤルタ秘密協定によってこれは定められたものでございます。従いまして、日本政府は、現在のところ、ヤルタ協定には拘束をされない、こういう答弁だけいたしておるわけでございますけれども、幾ら私どもがこれには拘束されないという宣言をいたしましても、ヤルタ協定が存在しておるということは厳粛なる事実でございます。従いまして、当然このヤルタ協定に関係する諸国に対して政府は何らかの働きかけをしなければならなくなるのではなかろうかと思うのでございまするが、一体外国に対してこの問題をどのように訴えられるのか。世界に向って、もうすでに十年もたったヤルタ協定、しかも世界は平和的共存に進んでおる今日、これを破棄するというようなことを訴えられる御意思があるのかどうか。この点を、特に首相にその政治的な考え方、それから外務大臣からは法的な解釈について、お伺いをいたしておきたいのでございます。私どもは、やはり、平和条約である以上は、なるべくならば領土の問題の永久的な解決をこの中に含んだ平和条約であることが望ましいと思うのでございます。しかしながら、こういうふうないろいろな複雑な問題がございまするから、政府の所信をここで明らかにしておいていただきたいのでございます。  最後に、私は、この自主独立の外交を今日日本が確立する絶好の機会に際会しておるのでございますから、どうしても、この問題を解決するに当っては、米国その他のいろいろな関係が出てくるだろうと思います。沖繩の問題とも関連が出てくるでございましょうし、あるいは軍事基地の問題とも関連してくるであろうと思います。政府が自主独立の態度をもってこの外交を推進していく過程においては、当然、今後少くとも日本と米国の安全保障条約あるいは行政協定の根本的改訂問題にも、この政府といえども及ばざるを得ないと思うのでございまするが、その腹がまえのほどを首相から明らかにしていただきたいのでございます。  鳩山総理大臣は、非常にからだの悪いところを、外務委員会等にも非常によく出席をしていただいて努力をして下さっておることは、国会運営上非常に私どもは歓迎するところでございまするけれども、まあ、欲を申しますれば、もう少ししっかりした定見に基いた責任のある答弁をしていただきたいのでございます。昨日はある問題を肯定して答弁をしながら、翌日はこれを否定し、また翌日は肯定するというようなことでは、結局これは答弁をしないのと同じことでございます。従いまして、以上の諸点につきまして、総理大臣並びに外務大臣から責任のある明確な答弁を要求するものでございます。(拍手)     〔国務大臣鳩山一郎君登壇
  42. 鳩山一郎

    ○国務大臣(鳩山一郎君) 松本君の御質問に対してお答えをいたします。  緒方君、鈴木君、河上君等にお目にかかったのは、諸君の日ソ交渉についての御注意を伺ったり、あるいは政府の方針をお話ししたりする方がよいと思いまして、お目にかかったのでありますが、これを国会を通じて国民に周知する必要はないと考えておりますので、ここで説明をするわけには参りません。(「言えないというならわかるが、必要がないとは何だ」と呼ぶ者あり)言えないのです。日ソの交渉の前にいろいろのお話し合いを全部国民に周知する、知らせるということは、害があって益が少いだろうと思います。国民に知らせて益があると思えば必要があると思います。益があまりないと思いまするから、国民に知らせることは必要がないと言っただけであります。  それから、基本的態度というのは、先刻もここで申しました通りに、ソ連との交渉は、戦争状態を終結した、戦争前の状態の国交調整をしたい、国際関係を正常化したいというのでありますから、戦争によって起ったところの、占領せられておる土地だとか、領土の問題であるとか、戦争によって帰ってこない人々の帰還の問題であるとか、その他これに類似した、戦争によって起きたところの諸問題を解決したいということは、これは当然のことでありまして、これが国交調整の基本になると考えておるのであります。それに対して野党議員をオブザーバーとして出すということは考えていないかというお話でありましたが、目下のところは、そういうことは考えておりません。同時に、アメリカに対して特使を出すという気分も持っておりません。もちろん、自主独立の態度を持して日ソ間の国交調整をやりたいと思っておるのであります。(拍手)  ヤルタ協定に対しては、これは当事者ではございませんから、やはりヤルタ協定に拘束されて日本の主張すべきことを主張しないということは不必要なことだと考えております。  安保条約、行政協定等も、現在の状態においては改訂する意思はございません。  他の御質問に対しては、外務大臣その他から答弁することにいたします。     〔国務大臣重光葵君登壇
  43. 重光葵

    ○国務大臣(重光葵君) 私が答弁を申し上げる事項もほとんどなくなったような気がいたします。ただ、若干の点について、米国の態度のことをお話がございましたが、この日ソ交渉について米国が意見を申し述べるとかなんとかいうようなことは少しもございません。これは日本の独自の方針によってやるわけでございます。  それから、友好関係の樹立ということを繰り返しお話がございました。私は世界のいずれの国と友存関係は樹立していかなければならぬと考えます。(拍手)しかし、戦争状態にある国に対しては、まずもって戦争状態の終結をやらなければならぬ、こう考えております。(拍手)その方針をもって日ソ交渉を進めるわけでございます。しかし、友好関係を樹立するからといって、相手方の気に入ることだけ言って、気に入らぬことは何も言わないということならば、私は友好関係の樹立にはならぬと思います。(拍手)これは了解を待って関係を正常化するということになると思います。(拍手
  44. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) これにて外務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  45. 長谷川四郎

    長谷川四郎君 残余の日程は延期し、本日はこれにて散会せられんことを望みます。
  46. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 長谷川君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  47. 益谷秀次

    議長益谷秀次君) 御異議なしと認めます。よって動議のごとく決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後六時二十四分散会