○伊藤好道君 私は、
日本社会党を
代表して、
鳩山内閣の
施政方針に関し、
総理大臣以下
関係閣僚に対して若干の
質疑を行いたいと思い
ます。
総理を初め、
外交、
財政、
経済等に関する
鳩山内閣の
方針には、どうも
一貫性がなく、
思いつきの、出たとこ勝負の傾向がありまして、つかみどころがないのでありましてそれぞれの問題なり
施策なりをいかなる順序段階を経てどう進めていくかについて具体的な根拠、筋道をわれわれに与えておりま
せん。(
拍手)第一次組閣以来依然としてやりたい
希望や念願をただ羅列するにとどまっておる次第であり
ます。(
拍手)
〔
議長退席、副
議長着席〕
私は、まず、こんなことでいいのかというふうに総理の所信を伺っておきたいのであり
ますが、引き続き、そういう
状態を前提にいたしまして、重要な点だけを取り
上げて、以下
質問せんとするものであり
ます。
私の
質疑の第一は
外交政策に関してであり
ます。
鳩山総理は、組閣以来、しばしば、
アメリカとの
協力を保ちながらわが国と中ソ両国との
貿易の拡大ないし
国交の回復をはかりたいと言明されており
ます。われわれは、これを全面講和の達成、自主中立の
立場から歓迎するにやぶさかでありま
せんが、しかし、第一次
鳩山内閣の生誕以来五カ月になり
ますが、この総理の
公約は一向に進んでおらぬ、
解決の見通しを持つことができないというのが実情であり
ます。一昨日の総理の
施政方針演説も、この点について一歩も進んではおりま
せん。これは
一体どこに原因があるかと申し
ますならば、前国会における
政府の言明によれば、わが国と中ソ両国との
関係の好転は、
アメリカ合衆国の許す範囲においてこれを行うと言っておられるようであり
ます。私は、問題の
根本はこの総理及び外相など
政府首脳部の
考え方にあると思うものであり
ます。
われわれの
考えでは、
アメリカとも中ソ両国
とも仲をよくし、通商を
発展させることは、しごくけっこうなことであり
ますが、その目的は、申し
上げるまでもなく、
日本の
国民、
日本の
国家のために絶対に必要であるからこれを
推進しなければならないのであり
ます。この基本的な
立場から見
ますならば、米ソとの
関係をよくするためには、その目標を達成するまでの過程において、今日の国際情勢のもとでは、両者はいずれにせよ今対立する両陣営をなしているのであり
ますから、
アメリカとの間にも、中ソ両国との間にも、一時的な摩擦や対立が起ることのあるべきは当然な次第でありまして、それを乗り越えて、忍耐と努力とによって話し合いを進め、もってその目的を達成しなければならないと信ずるものであり
ます。(
拍手)そして、その場合におけるわが国にとっての有利なる条件は、われわれ
日本国民の平和に対する熱意、
経済生活の
向上に対する
信念、アジアにおける
日本の特殊な
立場、そのすぐれて発達せる
経済、
文化、技術等の問題でありまして、
日本の
外交は、これを国際的に理解させ、認識させることによって初めて
推進されるのであり
ます。(
拍手)
ところが、
鳩山内閣は、困難ではあり
ますが、われわれの進まなければならないこの当然の道、われわれのとるべき正当なる
方針について確たる理解と
信念を欠いており、従って、言うところの目的も達成される見通しを一向与えておらないのであり
ます。たとえば、
政府は、過般重光外相が唐突なる渡米を
アメリカ側から拒否されており
ますが、その際の
政府の示したろうばい振りは天下周知のことであるのであり
ます。(
拍手)これは、ただ単に、重光外相の渡米要請が国際慣例を無視して、軽率、不用意であったという問題ではありま
せん。
政府が
日本の独自の
立場、日米間の基本的
関係に対する認識を欠いていることを示すものであり、明らかに
アメリカが
日本に対していかに
考え、いかなる
態度に出ておるかということの好個の事例であり
ます。
鳩山内閣が
アメリカをいかに
考え、いかなる
態度をもって対しているかの端的な
証拠であり
ます。そこには独立国
日本としての
日本人の持つべき
信念や
態度を遺憾ながらわれわれは少しも見ることができないのが実情であり
ます。(
拍手)
日本が
国民生活を安定させ、
自立経済を再建し、進んで独立と平和をかちとる、いわゆる自主中立の道は、決して安易なものではありま
せん。われわれの多大なる忍耐と努力を必要とし、確固不動の独立
国家としての
信念と方策を必要とするのであり
ますが、われわれは、それ以外には八千六百万の
日本民族の進むべき道はないという深い理解の上に立って、あえてこの道を、大胆に、慎重に、かつ
計画的に進まなければならないと
考えるものであり
ます。
政府は、重光外相の渡米に対する先方の拒否問題に対しまして、
一体どう
考えておられるのか、これに対し今後どういう措置をとろうとするのか、さらに、そんなことで米ソ両陣営と
国交の調整ができると
考えておられるのであるか、私は総理の所信をお伺いいたしたいのであり
ます。
鳩山内閣の
外交政策は、ただ単に
アメリカとの間に問題を起して暗礁に乗り
上げたばかりではありま
せん。
ソ連との間にも、
国交調整のための
会議の開催地問題につき蹉跌を来たし、その予定地だったニューヨークをとりやめてロンドンにしたことは、これまた内外あまねく知るところであり
ます。これは単に
会議の開催地のよい悪いの問題てはありま
せんし、また開催地は先方の要請により変ったということだけの問題ではありま
せん。先方からはわざわざ
日本の首都である東京でもよろしいというように申して来たのに対しまして、
日本の方からわざわざこれをやめて、他国の首都において開かなければならないという理由は
一体どこにあるのか。(
拍手)この点については、
日本の
国民は
了解することができないのであり
ます。世間では、それは
日本政府が
アメリカ側に気がねをしているのではないかといううわさがあり
ます。われわれは
日本人としてそんなうわさを信じたくありま
せんが、このような
独立自主の
態度を欠いたふらふら腰では、
日ソ国交の調整というような困難な問題の
解決をわれわれは今
鳩山内閣に期待することはとうていできないのではないかと憂えるものであり
ます。(
拍手)総理の所信をお伺いいたし
ます。
さらに、今日日中
貿易の増大を阻害する
根本原因がココム・リストの制限にあることは両国
関係者の一致した意見であり
ますし、さらに、今度の日中
貿易の
交渉において緊急な決済問題、支払い
協定の問題等が、
政府の積極的な
態度によってのみ
解決される
政治的問題であるこ
とも、まぎれもない事実であり
ます。そこで、私は、
政府は
一体ソ連との
国交調整についていかなる見通しと対策を持ってこれを
推進せんとするものであるか、また中国
貿易増大のためにいかなる
方針を持っておるのか、ココム・リストの制限撤廃についてあるいは緩和について、
アメリカ政府と
交渉を開始する意向があるかどうか、支払い
協定の問題についても、
政府はいかなる打開策をもってこれに対処
せんとするものであるか、総理及び外相より明確な
答弁を求めたいのであり
ます。
次に、私は、第二点として
財政経済問題について伺い
ます。
政府提案の
昭和三十
年度予算は、各方面に多くの問題を蔵しました近年まれに見る悪い
予算であることは、私は定評のあるところであると思う。私はその点について四、五お伺いいたし
ます。
第一に、この
予算は、
鳩山内閣の大きな看板であった
防衛分担金を減らして
住宅や
社会保障に回すという政策を完全に裏切ったものであるという点であり
ます。本
年度の
防衛関係費の総額は、御存じのように、前
年度と同じ千三百二十七億円でありまして、分担金は名目的には
日本側の計算で百二十五億円削減されているようであり
ます。しかし、
政府の当初の
防衛庁費八百億円案は、
アメリカ側の要求によって六十八億円ほど
増加しました上に、実に百五十四億円に上る大きな
予算外契約を予定しておるのでありまして昨
年度における同じく
予算外契約を含む
防衛庁費八百二十二億円に比べ
ますと、実質的には二百億円
程度増加になっており
ます。(
拍手)そればかりではありま
せん。四月十九日に発表された分担金に関する日米共同声明によれば、この上にさらに
防衛庁費の二十九
年度からの繰り越し分二百二十七億円をも使用することが、はっきりとしるされておるのであり
ますから、
日本側の防衛費の
規模はおそらく千二百億円をこえるものと思われる。従いまして、
防衛関係費の総ワクは昨
年度と大した違いはありま
せんが、その中でわが
日本の負担する経費は大幅に
増加しておるというのが偽わりない実情であり
ます。われわれは、それゆえに、
鳩山内閣は
公約とは正反対に、
防衛関係費を
増加させた反面、しわを
内政関係費に寄せて、これを削減したものであると断定せざるを得ないのであり
ます。
その上に、われわれの見のがすことのできないのは、
防衛関係費の総ワク自体が、今度の日米共同声明によりまして、今後一そうふくれ上ることが必至であるという事実であり
ます。すでに
新聞の伝えるところによれば、
政府は、本
年度において、陸上自衛隊二万二千名増員、海上自衛隊四千名増員、警備艦四隻の建造に着手、航空自衛隊四千七百名増員、ジェット機の国内生産
準備に着手する、こういうような工合に、三十
年度計画を完全に実施することになりました上に、
予算外契約によって五十億円に上るジェット機の国内生産を予定しており、合計航空機百七十機を三カ年間に国内で生産する
計画を本格的に始めたといわれており
ます。これははたして事実であり
ますか。また、
日本の再軍備が、このように質量いずれにおいても飛躍的な
増強を見まして、
日本の原水爆の基地化が
現実の問題となろうとしており
ますときに、総理はさきの原水爆についての御声明をどういうふうに
考えておられるか、お伺いをしたいのであり
ます。
また、防衛庁
関係費のうち、さらに施設費等の経費は、前
年度より二十七億円増額して八十億円足らずとなりまして、その大部分が
アメリカ軍飛行場の拡張になるんだと聞いておるのであり
ます。この問題は、土地の補償問題等、
国民生活にも非常な
影響がござい
ますので、まず、その具体的な内容、すなわち、どの飛行場とどの飛行場をどのように拡張するかを明らかにされたいのであり
ます。防衛庁長官に要求し
ます。
このように、分担金を減らして
内政面に回すという総理のたびたびの言明は、これで完全にほごになっており
ますが、この重大な食言について、総理はいかなる
責任をお感じになっておるか。さらに、この分担金削減
交渉において、
政府が自国の
予算編成に対し安保条約や行政
協定のもとで
独立自主の
態度をとらなかったために、
防衛関係費を通じ
アメリカが
日本の
予算編成にくちばしをいれ、いわゆる
内政干渉的な事態を惹起いたしまして、本
年度の
予算はいわゆるひもつき
予算であるという印象を広く強く
国民に与えており
ますが、
政府はこれに対してどういうようにお
考えになるか、総理及び蔵相より所信を明らかにされんことを要望いたし
ます。また、
政府はこの際安保条約、行政
協定の改訂
交渉を行う意思があるかどうか、これもお伺いいたし
ます。
なお、
国民が分損金をめぐる日米の折衝に関連いたしましてこのような疑惑を大きく持っており
まするときに、
政府は
交渉に関する
会議の議事録を発表しないと言っておるようであり
ますが、これは吉田
秘密外交の轍を踏まんとするものではなかろうか。外務大臣はどういうわけで秘密にされるのか、御説明を願い
ます。
さらに、日米安保条約におきましては、
日本の
防衛力の強化は、自衛力漸増という、いわば抽象的原則の域を出ま
せんでしたが、今後の共同声明では、三十一
年度以降は自己の資力のより大きな部分を防衛目的のために振り向けると、より具体的にうたっており
ます。
政府は、今日このような再軍備の義務を負ってしまって、果して今後
日本経済の再建と
国民生活の安定をはかるという確たる
信念を今なお持つことができるかどうか、この点について所信を御披瀝願いたいのであり
ます。(
拍手)
財政における第二の問題は、本
年度の
経済推移のうちにおきまして、この
財政を施行する結果、
日本経済がどういう
影響を受けるかという点であり
ます。昨
年度においては、一千九百億円
程度の
散布超過がありました。これが一兆円
予算の
デフレ的
影響を緩和するに役立ったことは、今さら申すまでもございま
せん。ところが、本
年度は、そうした
散布超過は、
政府側の概略の説明を聞きましても、せいぜい八、九百億円前後でありまして、この間
散布超過の減少はほぼ一千億前後に上りそうであり
ます。従いまして、今
年度の
財政を実施する結果は、このままでは相当の
デフレ的傾向が現われてくると思われるのであり
ます。そうして、それが一般の見方であり
ますが、
政府は果してそういうふうに
考えておられるかどうか。もしそうであるとすればそれに今日の
日本経済は耐えられると
考えておられるかどうか。もしそうでないとするならば、いかなる対策をお持ちであるか。蔵相より
答弁を求め
ます。
第三には、
公約実現の観点から本
年度予算を見
ますと、まず有名な四十二万戸の
住宅建設の
公約があり
ます。
政府は、
一般会計、資金運用部資金等の
財政投融資を含め、昨
年度より百四十億円増額しておること、
住宅公団の設立、融資準則における
住宅の順位引き
上げ、税制上の優遇措置、
住宅融資保険制度の実施等によって目的を達成するように述べられており
ますが、いずれもきわめてあいまいであって、かつ内容はお粗末のようであり
ます。聞くところによると、
政府の予定では、国が直接間接めんどうを見る
住宅の
増加数はわずかに二万五千戸
程度、改築を加えましでも五万五千戸に満たず、二十五万戸
程度のものは
民間の建設にまかせられておるということであり
ます。作る家の内容といたしましても、六坪半の家が多数あり、家賃の安い公営
住宅ではなくて、家賃の高い公団
住宅が
増加の大半を占めておるといわれており
ます。(
拍手)
政府は
一体どういう人々を対象にして家を建てるのであるか。また、こういう数々の、たくさんの措置によって、それぞれどれだけの家が建つ
計画になっておるのであるか。それらの点について明確なる御
答弁を求め
ます。
失業対策の拡充にいたしましても、昨
年度においては完全失業者は六十二万人、失対の吸収人員十七万人でありましたが、本
年度は、これは通産当局のお
考えでは、失業者は八十二万から百万くらいに上るであろうと見ておられるようであり
ます。失対吸収人員は、この問わずかに二十二万人ですから、六万人ふえたにすぎない。二十万人からの失業者の
増加に対しまして六万人の吸収増の
程度では、失業者の
状態は本
年度において前
年度よりかえって
悪化するようにわれわれは
考えざるを得ない。(
拍手)これらについて労働大臣はどう
考えるか。
最後に、
減税の問題であり
ますが、
政府案により
ますならば、月収二万円未満の親子四人の勤労者は百十一円
減税されるということである。他方、月二万円の同じ配当所得者は、五%の源泉徴収率の引き下げによりまして一千円、すなわち約十倍
程度の
減税になるようであり
ます。これは、
政府の説明によれば、
資本蓄積のためであると言われておるようであり
ますが、低額所得者、すなわち勤労大衆の税を軽減するという
政府当初の言明に対しまして、はっきりとそれを裏切ったものであるとわれわれは断ぜざるを得ないのであり
ますが、
大蔵大臣の所見を伺い
ます。
財政の第四の特徴は、このような
内政費を削減するという、要するにこういうような中において
内政費が全面的に削減されるという事態について、各
関係閣僚は十分認識しておられるかどうかを、二、三の例をもってお伺いいたし
ます。農業
関係費、公共土木事業費、災害復旧費等の圧縮、失対以外の厚生
関係費の全面的な削減、
結核対策費の削減、健保の赤字や遺家族援護に対する糊塗的なごまかし政策、
地方財政の
ますます激化する窮乏化、みな比々としてこの例でござい
ますが、特に農業
関係費の圧縮につきましては、
アメリカの農業恐慌による余剰農産物の受け入れを
促進せんとする
政府の
態度と相待ちまして、
鳩山内閣は
一体日本農業の育成政策、食糧増産政策を完全に放棄したのではないかとわれわれは疑うものであり
ますが、これらの点に対する
関係大臣の所信を承わりたいのであり
ます。(
拍手)
なお、この際これに関連して
質問いたし
ますが、
新聞紙の報ずるところによれば、農林省は、現行の小作料を一挙に四倍
程度に引き
上げると
ともに、土質によって格差を設けようと
考えておられるようであり
ます。ただ、この問題は
経済上、
政治上きわめて重要でござい
ますので、
特別国会の開会中はこれを公表せず、国会が終了してから法制化をはかるというふうに伝えられており
ますが、果して、耕作権を否認するような、このような行為を
政府は
考えられておるかどうか。これを行おうとする理由は一極どこにあるのか。行うとして、これを
特別国会のあとまで引き延ばすということは、明らか
これを
政府のお得意のことではあり
ますが、国会を軽視し、
民主政治を抑圧しようとするものではないかとわれわれは信ずるのであるが、農林大臣の所見はいかがでありましょう。(
拍手)さらに、この際、
アメリカの余剰農産物買い入れ問題につきまして、その条件、見通しについて
政府の所見を承わりたいのであり
ます。
第五には、本
年度予算において、
政府は、予備費を食いつぶし、物件費を切り下げる等、ほとんど
財源をあさり尽しまして、辛うじてつじつまを合せており
ますが、毎年の例にならいましても、また本年の長期気象観測によれば、ことしは特に冷水害の起る可能性が多いといわれておるようであり
ますが、このことを考慮いたし
ますならば、補正
予算の提出は不可避であると
考えられる。ところが、これに対する
財源の見通しはほとんどございま
せん。
政府はさきに百五十四億円の
予算外契約を予定して、実質的にはすでに一兆円
予算のワクをくずそうとしており
ますが、さらに、
予算規模に
関係する
専売益金、三十億円ほどであり
ますが、これを歳入からはずして、いきなり地方に移譲したり、地方道路税を新設しながら、これを
一般会計に計上しなかったり、いろいろな手を使って飾り立てまして、そうして体裁だけは一兆円の
予算を作ろうとしており
ますが、実質的には、われわれはすでに一兆円のワクそのものがくずれつつあると断言せざるを得ないのであり
ます。(
拍手)もしそうであるといたしましたならば、本
年度予算は、すでに申し述べましたように、いろいろな事情から
デフレ的様相を呈して進行するでありましょうが、その中には早くも
インフレ的要因をはらんでおると言うことができるのでありまして、その無性格さ、その一貫せる
方針の欠如につきましては、全く驚き入るのほかありま
せん。こんな事態で、明
年度の
予算は
一体どうなるのか。いや、当面の補正
予算を
一体どうするのか。私は、
日本の将来の
財政をも見渡して、
大蔵大臣より明確な
答弁を求めたいと存じ
ます。
諸君、
政府のこのような内外の諸問題に対する重大な失政の結果、御存じの
通り、
政局は、
選挙後わずかに二カ月たったばかりで、はなはだしく不安な様相を呈して参っており
ます。総理はこの時局を
一体どう切り抜けようとされるのか。
三木民主党総務会長の過日の談話によれば、
保守提携か
合同か、その形は問題でない、
保守勢力の結集によってこれを行おうとするようであり
ます。これに対し、鳩山総理は、定例の記者会見において、私も
保守が
協力しなければ一歩も前進できないところまで来たことは認めている、私はいい相続人さえあればいつでもやめると語っておられるようであり
ます。
そこで私が総理にお尋ねいたしたいのは、
鳩山内閣が過般の総
選挙におきまして、
保守合同については当分これを実行しないと約束されたということであり
ます。これは総理もまだ御記憶に新たなはずであり
ます。総理は、一昨日の
施政方針演説において、
民主政治のあり方について述べておられ
ます。それはきわめて抽象的なお話でありましたが、
自由党に対する今さらのおせじらしい友愛精神論や、
保守合同の暗示的言説では、
日本の
民主政治は確立されないと私は信じ
ます。(
拍手)
民主政治の鉄則は、総
選挙において、率直、正直に、
政府も政党もみずからの政策を
公約すること、この
公約は
選挙後政権をとれば必ず実行するということ、
選挙で
公約しないことは、内外情勢の
根本的変化でも起きない限り実行はいたさない、私はこの三点に尽きると信ずるのであり
ます。諸君、百八十五名の少数与党で
政局の乗り切りが困難であるくらいのことは初めからわかり切っており
ます。それを今になってお気づきになるとすれば、陽気のかげんか、どうも
政府の頭もどうかしておられるのではなかろうか。気づいたかのようにふるまって事実は
保守合同にここで転進されようとするのであれば、総
選挙に対する手前、
民主政治の
根本をじゅうりんする陋劣なる
態度であると私は信ずるのであり
ます。(
拍手)総理が、一歩も前進しないところまで来たと、せっぱ詰まった言い方をしておられるようでありまして、そのことは、総
選挙直後の今日、
保守連携、
保守合同をやろうとするかのように思われ
ますが、果してそうであるか。
政局に処する総理の
信念を伺いたいのであり
ます。しかし、もし総理がそういうふうにするのだと言われるならば、総理はここでも
公約違反を犯すことになることだけは、
日本国民全体が十分に承知しておるということを御記憶願いたいのであり
ます。
民主党の岸幹事長は、この点に関連いたしまして、憲法調査会、長期防衛
計画審議会、公職
選挙法審議会の三大機関を
内閣に設け、これを
中心に民自両党の
合同を進めたい、すでにこのことについては
自由党に対し非公式に申し出で、
了解を得ておるのであって、国会が再開されれば直ちに
交渉を開始する、
合同の目標を
特別国会の末期に置くという談話を発表しておられるようであり
ますが、総理はこのような事実に対して承知しておられるのか、どう対処されようとしておるのであるか。この話は、たとえば憲法調査会については、われわれの記憶では、さしあたりこれを
民主党内に置くということは国会で言明されておるのでありまして、この言明と矛盾しており
ます点にも問題はござい
ますが、この三大機関を設立して公式の軍隊建設、軍備の急速な拡充、革新派抑圧のための小
選挙区制の施行をやろうということであり
ますならば、
鳩山内閣こそはまさに再軍備一辺倒、
保守反動のきわみの
政府とわれわれは断言せざるを得ないのであり
ますが、総理は果してこのような道をお進みになろうとしておられるのであるか、御
答弁を要求いたしまして、私の
質問を終り
ます。(
拍手)
〔
国務大臣鳩山一郎君
登壇〕