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1955-07-05 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月五日(火曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 宇田 耕一君 理事 首藤 新八君    理事 山本 勝市君 理事 瀬戸山三男君    理事 加藤 清二君    森下 國雄君       鹿野 彦吉君    野澤 清人君       石村 英雄君    下川儀太郎君       帆足  計君    田原 春次君  出席政府委員         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (通商局次長) 大堀  弘君  委員外出席者         農 林 技 官         (食糧庁業務第         二部長)    桑原 信雄君         通商産業事務官         (重工業局自動         車課長)    柿坪 精吾君         参  考  人         (国産乗用自動         車振興普及協議         会理事自動車部         品工業会専務理         事)      黒目 武雄君     ――――――――――――― 六月二十九日  委員平野三郎君及び古川丈吉辞任につき、そ  の補欠として野澤清人君及び大坪保雄君が議長  の指名委員に選任された。 七月五日  理事池田正之輔君理事辞任につき、その補欠と  して山本勝市君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  貿易振興に関する件     ―――――――――――――
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事池田正之輔君より理事辞任いたしたいとの申し出がありますので、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 前田榮之助

    前田委員長 御異議がないものと認め、辞任を許可するに決しました。  次に、池田正之輔君理事辞任に伴う理事補欠選任についてお諮りいたします。これは先例によりまして委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 前田榮之助

    前田委員長 御異議ないものと認め、理事補欠には山本勝市君を御指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 前田榮之助

    前田委員長 なお、この際お諮りいたします。先日の理事会協議に基きまして、国産自動車輸出問題に関し、本日出席されております黒目武雄君を参考人として参考意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 前田榮之助

    前田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  この際参考人黒目武雄君に一言ごあいさつ申し上げます。御多忙中御出席いただきまして、お礼を申し上げます。本日は、国産自動車輸出について、日ごろ御経験になっております種種の問題点につきまして忌憚のない御意見を承わり、本件調査参考にいたしたいと存じます。  それでは、ただいまより御意見を聴取いたします。黒目武雄君。
  7. 黒目武雄

    黒目参考人 私、ただいま委員長より御紹介いただきました、自動車部品工業会専務理事をいたしておりまして、かつ国産乗用自動車普及振興協議会常任理事をいたしております者であります。本日の国産自動車振興に関する職責を通じての意見を述べよという御指名に対しまして、常日ごろ業界の仕事に携わっております私といたしまして、ぜひこの機会に抱負の一端を申し述べさせていただきまして、委員皆さんの御支援、御協力をいただきたいと存じます。  私ども立場といたしましては、御承知のように、自動車工業機械産業の重責とも称すべき総合工業でございまして、現在の日本自動車工業は、たくさんな部品工業基盤の上に、ピラミッド型に個々に車の製造メーカーがおりまして組み立っているのが、現在の日本自動車産業構造でございます。むろん関連産業といたしまして大きく鉄鋼部門あり、あるいはゴム部門あり、あるいは非鉄金属部門等、相当広汎にありますが、ことに個々部品が組み立てられて自動車ができ上っている。この構造から見まして、どうしても、基盤をなしておりまする自動車部品工業対策をおろそかにしたならば、国産自動車振興というものは期し得られない、かように考えているわけでございます。しかしながら、この自動車部品は、それぞれの専門工場大半中小企業範疇に属しておりまして、終戦後、いろいろ、国産自動車振興関連いたしまして、この個々部品工場設備改善近代化ということが非常に大きく政府政策面にも取り上げられまして、着々設備改善ということに向っておりますが、われわれの職場を通じまして、国産自助市の振興ということになりますと、まず国内的な問題といたしましては、こういう個々中小企業範疇に属する、何と申し上げましても部品工場技術向上設備改善ということが当然政府政策としても考えられると思いますが、さらに、現在の日本自動車は、非常にたくさんなメーカーがおりまして、現在乗用車のメーカーにいたしますと七つの種類の車ができておりまして、それぞれの車が千台にも満たないような生産状況を続けております。従いまして、部品工場といたしましては、これら七社の車にみなそれぞれ関連を持っておるのでありますが、何分自動車輸出あるいは振興するには車を安くしていかなければならぬということになりますと、かりにもしも五百台ずつの車が平均作られているにしましても、七社になりますとこれが三千五百台という事がまとまってくるわけでございまして、この量産ということが、部品コストダウンということには絶対に必要な条件なのでありますが、何分にも、今日の自由経済のもとにおいて、それぞれのメーカーが車を作って市場に出しているということは、いろいろ業界でも問題になっておりまして、行く行くはすっきりした形が生まれるとは存じますが、いずれにしましてもまずこういう現状を無視したあり方というものはないわけですから、一応部品企画統一ということをぜひ強力に推進していきたい、このように考えて、まず国内的には、コストダウンのためには、部品企画統一ということを業界として取り上げ推進していくように、本年からは特に通産省も力を入れるというふう主なお話なのでございます。あわせて、部品工場設備改善合理化近代化ということ、この二点がまず国内的な対策としては考えられるのではないかと思います。  いま一つ、本日ぜひ委員皆さんに申し上げておきたいことは、輸出を通じての量産による部品コストダウン勢い車コストダウンということに結びつけていきたいと思いますが、現在私どもの方の業界輸出実績というものははなはだ貧弱でございまして、昨年度のデクラレーションの統計から行きますと、わずかに九億円という僅少な願に上っております。しかしながら、この九億円の額を分解してみますと、まず三分の一の三億円が沖縄、台湾朝鮮という、この三つ市場に対しまして輸出されているわけでございますが、これらの三つ市場に対しまする輸出という問題は、日本の車が輸出されておりますので、当然その部品大半国産車のスペア・パーツということが言えるのでございますが、あとの三分の二の六億というものは、日本の車が一台も出ていないで、世界三十二カ国の市場部品で六億円出ているということでございます。この六億円の部品につきましては、ほとんどがアメリカフォード、あるいはGM、あるいはクライスラー系のサービス・パーツと言うことができるのでありまして、これらの方の大きな市場は、現在はブラジルに一億二千万円ほど出ておりますが、こういうふうに、ほとんど日本の車が出てないところに日本部品が出ているということは、今日、日本のわれわれの業界といたしましては、ニッサンの部品だけを作っていたのでは食べていけない。従いましてあらゆる車の部品を現在作っておりまして、ことに年々膨大な部品輸入外貨が計上されていたのでございますが、今年からは、特にある種のものにつきましては、日本部品でもって十分に間に合うという技術的なデータに基きまして、禁止とまでは行きませんでしたが、非常に強い輸入制限措置政府当局においても考えていただくことに相なりまして、外車の部品輸出という面につきまして何とか振興していきたい。ブラジルならブラジルに例をとりますと、ブラジルに五十万台近くの車がある。しかも、その部品が、品質あるいは価格という面においてまずアメリカ部品競争できるということになりますと、相手もあることでございますから、これは振興策を立てるならば必ず出ていく。現在この六億の輸出がされましたのを見ますと、これがほとんどメールによって輸出されておる。輸出商社積極的海外市場開拓ということでなくて、座してメールによってのみ輸出したのか六億ということでございますので、ブラジルに、あるいはアルゼンチンに、あるいは東南アジアに、積極的に輸出商社が現地へ出向きまして開拓することによって、必ず大きな輸出実績が築き上げられるのではないかというふうに考えられておりまして、この対策については、輸出会議その他で現在いろいろ検討はされておりますが、いま一つ、ここに大きな部品業界輸出市場といたしましては中国という市場がございまして、中国につきましては、一九五〇年の三月にようやく中国国内動乱が平定いたしまして、われわれの業界はあげて天津に日本部品のサンプル・ルームを建設いたしまして、それを契機といたしまして、約三月間ほどの間に四万ドルほどの部品が出て行ったのでございますが、五十年の七月の朝鮮動乱契機といたしまして、十月に一応スキャップの方のメモランダムによりまして自動車部品輸出禁止品目に追加されまして、それ以来中国への部品輸出はとだえてきておりますが、今日に至りますもいろいろと折衝を続けまして、特に一昨年は議員の皆様方並びに業界の代表が中国に派遣されまして、そのときに自動車部品のコントラクトをされて帰りまして、私、約二億二千万円ほどの部品を先方と話し合いいたしまして、何とかこれをココム特認申請に持っていきたいと考えまして、通産省並び外務省の方にいろいろお願いいたしまして、特に当時の外務省黄田経済局長は、これを亜鉛鉄板とのコンバインということによって、何とか中国への大豆とのバーターということで、相当なお骨折りいただいたのでございますが、ついこれはその実を結ばずして今日に至っておる。なお依然として中国との部品の引き合いは続けられているわけですが、遺憾ながら、ココム制約によりまして、これが現在禁止品目となっております。この点については、本委員会にも、特に中日貿易促進会と連名で特認申請のお願いを申し上げたはずでございますが、業界といたしまして大半中小企業範疇に属し、かつまた、これから大きく伸びるわれわれ業界輸出という面におきましては、中国というものに即効剤としての輸出市場ということが言えるのでございまして、この点特に御配慮をお願い申し上げたい。  さらに、私承わりますところによりますと、現在中国におきまして、長春とか春陽とか、場所ははっきりいたしませんが、第一汽車廠、いわゆる自動車製造工場という膨大な工場を目下建設中であり、近く工場ラインも流れるというふうに承っております。私は中国事情はよく存じませんが、確かに中国といたしまして自動車は必要であり、また当然自動車は作り上げると思います。しかしながら、非常に関連のたくさんある何百種類部品というものを、いかに中国といえどもこれをプロダクトの段階に持っていくということは非常に困難であり、また中国が早く自動車工業の水準に達するためにも、ぜひ中国自動車生産と私どもの方の部品業界というものが手を握りまして、一応中国のスペシフィケーションによりまして、中国でできない部品、すなわち車輪はどうか、タイヤはどうか、ベアリングはどうかということによって、中国自動車生産日本部品工業との連係をぜひ実現していきたいということを考えまして、今実は中日貿易促進会鈴木一雄さんにもこのお話を申し上げまして、ただいま中国側の意向を打診していただくことになっております。なお、これはぜひ実現したい、かように考えまして、私事になりますが、現在国際貿易促進会におきまして今度中国への使節団を派遣するということにつきまして、役員会でも私承認をいただきまして、ぜひこの問題の解決のために中国に参りたい、このような決意を持っているわけでございます。  国産自動車輸出振興という問題につきましての御意見ということになりますと、どうしても部品を通じましての立場で、国内的な二、三の対策と合せて、国産自動車を発展させ、輸出するためにも、輸出という面に部品が先に出ていきまして、量産ということによって国内組み立て部品コストダウンさしていきたい。たとえば、一例をあげれば、現在バネならバネ工場が五百トンというバネを作っている。今の日本国内事情におきましては、五百トン以上のものをふやすということは非常に困難でございまして、これを八百トンのバネ生産に持っていくならば相当なコストダウンができる。そうするならば、この三百トンというものは、いやでもおうでも、好むと好まざるとにかかわらず、これを輸出に持っていきたい。しかもその最も大きな期待中国市場であるということを重ねて申し上げまして、今後とも御支援をいただきたいと思っておるのでございます。
  8. 前田榮之助

    前田委員長 これにて参考人よりの意見の御発表を終りました。参考人に対する質疑の通告がありますから、これを許します。田原春次君。
  9. 田原春次

    田原委員 私は、参考人黒目さんにお尋ねするとともに、また関係当局の出席されておる方からも答弁を願いたいと思います。  ただいまのお話の中で、部品輸出ということが非常に強調されておったわけであります。私もそう思うのでありますが、その自動車部品輸出振興上障害になる点はどこにありますか。国際間のココムその他の点にありますか、あるいは日本政府の手続その他の点にありますか、あるいは資金その他の点にありますか、価格の点でありますか、品質の点でありますか、そういう点を一つお教え願いたいと思います。
  10. 黒目武雄

    黒目参考人 まず、現在の輸出阻害になっておる原因につきましては、先ほどお話し申し上げましたように、最も業界期待しておる中国市場に対しましては、品質価格の問題にあらずして、あくまでもこれはココム制約外にございません。次に、中国以外の市場に対しましての輸出振興阻害しておる面については、もちろん大半の国につきましては現在特にネックになっておるものはないのであって、これはむしろ業界輸出に対する積極策というものが欠けておるという点を申し上げたいと思います。実はこの積極策が欠けておるという点につきましては、自動車部品というものは種類が非常に多うございまして、私が申しました昨年度の輸出大半国内専門商社によって輸出されておるのでございます。従って、こういう専門商社というものは、国内の販売が主力でございますので、どうしても海外輸出を大きく発展させるためには、海外に組織を持たなければならない。そこで、私ども今考えておりますことは、何とかこのゼネラル・エキスポーターのラインにこの部品を乗っけまして一つ大きく飛躍していきたい、このように考えておるわけでございます。なお、ここで、特に輸出会議におきましても、いろいろな問題を決議しておりますが、特に今後開発していかなければならない部品というものについて――自動車もそうでありますが、鉄鋼とか繊維とか、相当な市場がもうすでに開発されておるものについては別として、確かに、部品とかあるいは自動車というものは、今後相当輸出面については伸びていくだろうし、また伸ばしていかなければならないということから、特にお願い申し上げたいことは、租税特別措置法による輸出所得税控除率でありますが、これが現在、非常に市場が開拓されたものも、これから積極的に開拓していかなければならないというものも、同じ率で三%というふうなことは矛盾しておるのじゃないか。従いまして、これから大いに市場を開発していかなければならないというふうなものにつきましては、やはり業界の熱意をくんでいただきまして、できることならば、この特別措置法によります輸出所得税控除について、こういう部品とか自動車というようなものは一〇%くらいに持っていっていただきたい。ということは、繰り返して申し上げるようですが、非常に輸出市場の開拓されたものも、されないものも、同率に三%ということについての御検討をお願い申し上げたい。特に阻害になっておるというものは部品についてはございません。
  11. 田原春次

    田原委員 今の輸出所得税控除率の問題について、通産省側はどういうお考えでありますか。
  12. 大堀弘

    大堀政府委員 今国会に輸出所得税の減税の問題につきまして修正の法律案をお願いしました。御了解願えるかどうかわかりませんが、ただいまのお話の、一般輸出自動車について差別を設けていくという点については、そういう取扱いにはなっておらないわけであります。この点については、全般といたしまして、やはり国際関係から参りまして、税制の問題についても、あまり極端なことをいたしますと、やはり輸出奨励金であるというような批判も起りますので、現に、西独あたりでは、輸出税の問題はイギリスとの関係でだんだんやめていく段階になっております。従いまして、あまり助成的な形で税を処置するということにいたしますと、やはり問題が出て参るかと考えるのでございまして、現在あります制度の運用合理化程度のところで今回の改正をいたしまして、若干従来よりも進んだ形になっておるかと思います。その程度運用で参りたい、かよに考えております。
  13. 田原春次

    田原委員 その点については政策意見の相違だと思いますが、アメリカでわれわれが自動車を買います場合に、エキスポートプライス輸出価格というのは証明を持ってしますと、三割引いているわけです。ただし、それはアメリカ国内で運転できない。日本へ持ってくる、あるいは諸外国に出す場合の輸出価格は、小売価格の三割を引いております。おそらくそれが税金との関連にもなる。それから逆に、日本の方は、たしか、硫安は、台湾に出す場合の価格日本国内のお役所が買います硫安価格は違っておるようであります。正確なことは覚えておりませんけれども、これはある意味のエキスポートプライス輸出価格になっているのではないかと思うのです。従って、今黒目さんの言われますように、輸出全般振興策、そのうち、特に自動車部品が、ブラジルのように日本の商品がばらばらということであれば、これは絶好の市場ではないかと思います。それから、中国大陸にも戦時中に持って行った日本自動車がたくさんあって、現在では自動車のボディやシャーシーも輸出しなければいかぬけれども、むしろまず部品を出した方が、何万台か残っておる自動車が動くことになる、ほんとうかうそか知りませんが、そういう話が伝わっておる。従って、価格の面、それから税金の面でもし輸出奨励ができるならば、やるべきだと思います。これは私の意見であります。  それから、第二点として次長にお尋ねしておきたいのは、ココム品目の中で、こういった自動車部品を、武器といえば武器でありますけれども、今日のような原水爆時代に、たとえば自動車武器であるということが言われましても、それは重要な武器でないことはわかる。いわんや、部品ともなれば、それが行ったからといって、果して向うで何割が武力になり何割が一般用になるかわからないのです。これはココム武器という品目から全般的にのけることをわれわれは主張したいのでありまするが、その改訂の用意があるかどうか、どういう品目について改訂をすべきものであるか、こういうことについて通産省側で試案を作っておられましょうか、お聞きしたいと思います。
  14. 大堀弘

    大堀政府委員 ココムの問題につきましては、先般来御説明申し上げておりますように、私どもといたしましても、できる限り解除に入るように努力いたしまして、自動車部品等につきましても出せるようにいたしたいと思っております。これは、お話がございましたように、相当折衝もいたしておるわけでありますが、現在の状況ではまだ解除の見通しは得られない段階でございます。全般の問題につきましても、もちろん、われわれといたしましては、現在禁止されておりますものについて、これが軍需品と言えるかどうか、民需品じゃないかということで、かなり議論をしておるわけでございますけれども、そういう状況でございまして、十分御期待に沿えないことを遺憾に思います。  なお、自動車の問題につきましてちょっと先ほど言い落しましたので、私どもの見解をつけ加えさしていただきたいと思いますが、これは世界的に非常に競争の激しい品物の一つでございまして、ことにヨーロッパもアメリカ自動車輸出につきましては積極的にやっております。これは、技術的にも品質的にもまた値段の点でも、やはりまだ全体といたしましてはなかなか競争が困難ではないか。日本競争力の問題については、先ほど参考人から御意見がありましたように、私どもといたしましては、やはり国内生産の単位が小さいためにコストが高い、このことは、国内の消費及び輸出をあわせまして生産が非常に大きくなれば、用途がまとまって参れば、やはり競争力が出るのではないかと考えるわけであります。そういう面につきましても、今後東南アジア市場中共市場等に対してぜひわれわれといたしましては輸出を伸ばしていかなければならぬと考えますが、現状におきましては、ココム制限あるいは経済的ベースにおける競争力の問題においても、なおまだ十分ではないのではないかと考えておるわけでございます。
  15. 田原春次

    田原委員 部分品品質の問題については、確かに公平なところまだ相当研究余地があるのではないかと思われているのです。それは、アメリカフォード、シボレーの部品と比べてみますと、作ったものを不合格品としてはねのけて合格品だけを使うというような大資本と、日本のように作ったものはとにかく一応売ってしまうという国とは大へんな違いがある。それから、鋳物にいたしましても、いろいろ精密検査をするとまだまだ研究余地がある。従って、これは、ひとり業者にまかせるべきものではなくして、自動車輸出政府が着目するならば、部品等試験所研究助成指導といったものに力を注がなければならぬと思いますが、そういう輸出に関する技術指導助成についても何かやっておるのですか、いかがでしょう。
  16. 大堀弘

    大堀政府委員 御趣旨ごもっともだと存じます。実は重工業局の方でやっております。私こまかい点については存じませんので、なお後ほど取り調べて御答弁申し上げます。
  17. 黒目武雄

    黒目参考人 ただいまの御意見によりますと、日本部品アメリカのものと比べまして非常に悪いという御指摘がございましたが、部品個々に分析いたしますと、はなはだしく技術的に劣っているものは特殊なものといたしましてはあるといたしましても、相当技術が今日では進んでいることははっきり申し上げられると思います。これはもちろん昨年でしたら申し上げられなかったわけでございますが、実に、昨年通産省の方の委託事業によりまして、フォードGMクライスラーの各部品を買いまして、われわれの各品目ごと技術部会でそれを取り上げましていろいろな研究をいたし、その結果、国産品はややもすれば非常に部品が悪いというような先入観的な考え方があったのでございますが、あちらの部品を手に入れて分析して研究して参りますと、さほど劣ったものは見受けられなかったわけでございます。結局は、部品をアセンブルする自動車においては、材料その他の面においてまだいろいろ難点があると思いますが、個々部品については、今御指摘になったように、はなはだしく悪い点は今日ではないという技術的なレポートがすでに私の方ででき上りまして、今関係方面にちょうどこれを配付しておるのでございますが、そういう技術的な調査に基いては、大半部品は遜色がないということがりっぱに言えると思います。なお、通産省の方も、この部品工業のいろいろ技術助成のために、特に外車の部品委託事業費を昨年は出していただいたというようなことで、いろいろ助成はいただいておりますことを、私から御報告申し上げます。
  18. 田原春次

    田原委員 自動車輸出奨励のためには、一面内地においても国産自動車をもっと優先して使うように奨励しなければいかぬと私は考えます。それは、外車と比べて、一般的先入観としては、どうもいろいろな条件が悪いというふうに見られておる。価格の点においてもそうですし、乗り心地の点においてもそうです。それから、同じ新しいものを買っても、日本のと外国のを使った場合には、一年後における修理の程度が違うと言われておる。これは事実であるかどうかわかりませんが、一般の国民の間にそういう先入観がある。これはもちろん、各自動車メーカーにおいても改良工夫して、外国品と競争しなければ、輸出はできぬわけであります。ここで政府にお尋ねしたいのは、きょうは通産大臣が来られるから、そのときでもいいし、政府委員でもいいが、この内閣の組閣の当初において、これは、輸出奨励という意味ではなかった、自粛という意味であったのでありますが、各官庁においては外国車を使用せずに、極力国産車を使用しようということが放送されたのでありますが、各省の大臣、次官等の自動車を見ますと、依然として外車を使っている。私は先般これを運輸大臣に質問したことがあるが、今後運輸省では官庁用の自動車としては外国車を買わない。さらに進んで、現在持っておる官庁用自動車――国会もひとり外車を使うわけには行きませんから、国会、裁判所、行政府、すべて新しく購入する場合には日本車を買う。それが第一段階。これが約束できるか、ちょっと質問したい。第二段階は、現在持っておる官庁、裁判所、立法府の自動車も、これを適当な価格日本の車と交換すべきではないかと思うがどうか。たとえばプリンスとか、あるいはダットサンとか、あるいはトヨペット、いろいろありますが、各官庁で現在使っておる中古自動車を一定の価格をもってそれらと取りかえる、これが一つ。次いでは、外車を買わないということになりますと、ここ一、二年の後に、中央官庁のおえら方の通勤用の自動車あるいは奥さんのデパート通いの自動車は、一応国産車ということになるわけです。東京の交通量を見ましても、時速七十キロを走るような場所はありません。一分間か二分間は走りますが、交通量、徒歩通行者等の関係で、十数分にわたって七十キロを走るような場所はない。従って、日本国内、特に東京都内において中央官庁の人が外車を使う理由はありません、進んでは、皇室の方においても、外車をやめて国産車にすべきだと思う。このことは、国産車が悪いという印象をまず払拭する。乗ってみると悪い点がありましょう。しかし、そういうおえら方が乗ることによって、改造の余地もあると思う。国内においては、民間の人が資力に応じて外国車に乗ることは、とめようとは思いません。しかし、この貧乏な敗戦国で、一兆円予算の制約さえある日本において、依然として官庁のおえら方が外車を使うことはよくない。私は、立法府においても近く何かの形で決議案を出したいと思っております。国会で使用する外車も、近く行政府と相前後して全部国産車と取りかえるべきだと思っている。鳩山政府は、組閣の当初こういう約束を放送しましたが、いつの間にか消えまして、現在では国産車を官庁で使うという問題は消えてしまっておる。これははなはだしく公約の違反だと思う。そこで、外国にこれから自動車輸出しようというときに当って、まず通産省だけからでもよろしいから、全部国産車に取りかえるように、私は先般通産省の全商工労働組合の大会に行ってこれを提案した。組合員諸君は賛成すると思う。だから、輸出当局であるあなた方で、まず隗より始めよであります。かって、戦前においては、陸軍が国産車愛用と称して、当時の形の悪いダットサンを何回か使ったことをわれわれは国会におって知っております。要するに、便利だから乗るのではなくて、国産車奨励で乗るという見地でいうならば、多少乗り心地が悪くてもがまんできるはずであります。これに対する通産省国産車奨励の意味から、関係各官庁こぞって外車を国産車に取りかえたいという態度はきまっておるかどうか。きまっておらなければ、これに対して賛成か反対か、この点をお伺いいたしたいと思います。
  19. 島村一郎

    ○島村政府委員 ただいまの御意見はごもっともであろうと存じます。政府といたしましては、決して公約を不履行いたしているのではないと存じます。各省のことは詳しく存じませんけれども通産省としては、ただいま御意見にもありましたように、できる限り国産車を利用しようというので、先般かなり大きな部分を入れかえいたしましたことは、実情をごらんいただきますればはっきりわかります。今後におきましても、あくまでこの方針を貫徹して参りたいという気持でおりますので、どうぞ御了承を願いたいと思います。
  20. 田原春次

    田原委員 まだまだ十分とは言えません。さらに徹底して閣議においてもこれを申し合せをし、各官庁とも実行するようにしてほしいと思います。きょうは私の希望だけを述べて質問を終ります。
  21. 前田榮之助

  22. 山本勝市

    山本(勝)委員 ちょっと二、三お尋ね申したいのですが、先ほどコストダウンのために規格を統一するという考えで、当局の方でも、業界でも、そういう方針で進んでいるというお話であります。規格統一ということが、各般の会社があって実際やれるのですか。これを伺いたい。やれるものとすれば、これまでなぜそれがなかなかできなかったかということであります。根本はこういう点にあるが、しかし、これは今回は取り除かれるんだ、こういうことでありましたら、そのお考えを伺いたいのであります。
  23. 黒目武雄

    黒目参考人 お答えいたします。規格統一の問題につきましては、従来とも業界において議論されてきたのでございますが、終戦以来の自由経済のもとにおきまして、感量自動車メーカーの設計は、自分の技術を立てていくという考え方から、極端に言いますと、とにかく変ることによって自分の会社の車はいいんだという感じがあったのでございますが、今日、日本自動車工業のあり方について、かなり追い詰められて参りまして、業界も一応反省すべき時期が本年あたり相当深刻に到来するんじゃないかというふうな感じがいたすのでございます。つきましては、あらゆる部品について規格を統一することは、困難でございますが、たとえばランプにつきましても、現在アメリカのように六百万台というふうな年間の自動車生産を上げているところにおきましても、ランプの規格は四種類、しかも使用されているサイズはほとんど二種類に限定されているということが、アメリカのランプが、現にシールド・ビームを入れましても、はなはだしく安いという原因が発見されたわけであります。これは非常にむずかしいことでございますが、できるだけできやすいものから一つ二つと本年からぜひ実行していきたい、かように考えまして、政府御当局の方ともいろいろ御相談申し上げているようなわけであります。これを使用する自動車メーカーの側から見ますと、非常に困難性はございますが、しかし、こうすることが一歩でも車のコストダウンに近づくのだということになりますならば、われわれ部品業界といたしましては、ぜひこれをカー・メーカー側に実行に移して採用してもらうように持っていきたい。いわゆる輸出国産自動車振興ということに関連いたしましての部品業界立場からいたしまして、この規格統一問題を私は持ち出したわけでございますが、ぜひこれは一つ一つから築き上げていきたい、このように思っておるわけであります。
  24. 山本勝市

    山本(勝)委員 そうすると、専務としてあるいは常務としてそれをそう持っていきたいという段階ですか。あるいはメーカーがそういうことを決定したとか、あるいは通産省の方でそういう決定をしたという段階まで行っておるのですか。その点どうですか。
  25. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 部品の規格統一の問題につきましては、その必要性は業界でも十分認識をされておりまして、部品メーカーだけでなしに、カー・メーカーの方でも、今までは、新しいものを作ってそれによって販路を自分だけで開くというふうな、新奇を追求するという方向に走っておりましたが、それがだんだん行き詰まって参りまして、安くするということのためには、どうしても小異を捨てて大同につくという必要を自覚されてきたわけです。そういう段階におきまして、これをどうして進めるかということにつきまして、まず業界によく認識していただいて、作る方も使われる方もそういうふうに統一した方が安いのだという考え方を持っていただくということのPRを今まで進めておりました。いよいよ本年から、それに対する実際の技術的な研究自動車業界でやっていただくということで、先ほどきめていただきました競輪等による収入、これを活用いたしまして、自動車技術家を中心にして技術的な点を研究して、技術的にこういうものを統一してもなおよくなるのだということの見きわめがついたものから、実際に使用を勧奨していくという方向に持っていきたいと思っております。
  26. 山本勝市

    山本(勝)委員 それがほんとうにできれば大へんけっこうだと思います。いろいろむずかしい点もあるのではないかと思いますが、できればやっていただきたいと思います。  その次に、部品が六億円ばかり車が一台も行っていないところに行っておるというお話でございます。これは、先ほど田原さんの質問の中にもありましたけれども、あまりこちらで宣伝もしないのにそれだけ行っておるという話を聞くと、非常に有望なように思うのですが、実際にああいう自動車のような非常に精密を要するもので、アメリカとかドイツとかいったようなところではマス・プロをやっておる。おそらく部分品でも相当なマス・プロだろうと思うのですが、こちらでは中小企業者が主としてやっておって、ほんとうに正確なものができておるのですか。私はまるで事情を知らないから伺うのですけれども、こちらから何も宣伝もしないし努力しないでも行っておるというと、非常に有望なように思うのですが、そういう技術的な点で、中小企業者がやっておって少しも支障のないものですか。しろうとの質問ですけれども、何だか、常識的に考えて、ああいう精密なものを中小企業者がやるという場合に、果して世界の競争場裏に立って外国と太刀打ちしていけるようになれるものか。かえって美術的なものとか――精密を要するのではなくて、形がいいとか、そういう趣味に結びついたというようなもので、一つ一つがむしろ形が変っておるところにおもしろみがあるというようなものならば確かに有望だと、これまで常識的に考えてきたわけですけれども、十が十全部きちっと一分一厘も違ってはいけないというふうなもので、中小企業でりっぱにやっていけるのだということならば、相当革命的な考えではないか。それはどういうものでしょうか。
  27. 黒目武雄

    黒目参考人 ただいまのお話でございますと、日本部品工場中小企業の形態で作られてある、しかも先進国の部品につきましては相当大企業で作られているために、果して品質的に十分なのかというお話でございますが、自動車部品個々につきましては、ピストンはピストン、リングはリングとみな専門工場になっておりまして、そのピストンを作るという作業工程においては、大きな資本あるいは大工場というものは必要としないわけでございます。むしろ専門工場として中小企業の形態で作られることの方が望ましい。いわゆる中小企業に適格な工業というふうにこれをお考えいただきますならば、日本で作られる部品海外に出ていくということについてはむしろ理解していただけるのではないか、かように思います。
  28. 山本勝市

    山本(勝)委員 外国の場合はどうですか。外国もやはりそういう部品は中小の専門工場でやっているのですか、どうですか、これが一つ。それから、日本中小企業でやっていく場合に、中小企業は非常にいい点もあるでしょうが、百作ったら百全く同じものができるというふうな点で、外国のものと太刀打ちできていくかどうかという点ですね。外国はどうなっているのかということと、それから日本で百作れば旨きちんと同じものができるということが、今後も自信が持てるかどうかを伺いたい。
  29. 黒目武雄

    黒目参考人 大半部品中小企業範疇に属するということを申し上げたのでございますが、日本におきましても、たとえば、現在でも、日立製作所あるいは日本電装が相当中小企業範疇から出た大企業形態において部品が製造されておりまして、またドイツにおけるボッシュあるいはイギリスのルーカスというような大きな会社もございます。これは、電装品なら電装品といたしまして、非常に広範な業種を生産しているために、たまたまそういう大企業形態の部品工場もございますが、日本の場合には、設備技術その他専門工場という面から見た場合に、大企業という形態よりも中小企業の形態の工場のものの方が価格その他の面において相当格安になっておりまして、輸出という面については、日本の大企業の日立とかあるいは電装というようなところの製品よりも、むしろ中小工場部品がほとんどを占めているわけでございます。
  30. 山本勝市

    山本(勝)委員 通産省の方では、部品輸出について厳重な検査をやっているのですか。あるいは組合でやっているとか……。
  31. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 現在は、まだ強制検査はやっておりませんで、通常の検査はやっておるという形になっておりますが、これにつきましては、まだ値段が安いために出るという可能性は相当ございまして、品質の点で非難を受けてはいけないということで、これを何とか善処したいと考えておるところであります。ただ値段が安ければということは、粗悪品ばかりではございませんで、いいものも逐次出ておるということでございまして、ただ悪いものがなるべく出ないようにしたいということを今考究中でございます。
  32. 山本勝市

    山本(勝)委員 これはやはりよほど注意しないと、ずっと前からやっておるなら何ですけれども、最近にそういうふうな傾向になってきたものなら、政府でも検査をよほど厳重にしてやらぬと、ただ値が安いということに飛びつく、また見かけがいい――日本の品物は見かけはいいのですから、見かけがきれいにできておって値は安いということで相当行ったというようなことですと、これは一ぺん悪い評判をとって、どうも質が悪いということになると、将来非常な悪影響を残す。ですから、やはり最初から検査だけは厳重にしてやることが、将来の貿易の振興の上に絶対的に必要だと私は思うのです。  それから、もう一つ伺っておきたいのですが、それは物品税が輸出の障害になっておることはないかどうかという問題です。もちろん輸出の場合には物品税が免税になっておるのでございましょうが、ちょっと私があるところで聞いたことなんですけれども日本の場合に、国内で一定の大きさ以下のものに対して物品税を特別に安くしておる。その大きさの限定があるために、もう少し大きいと自動車としての本来の力が出るのだけれども、大きさがちょっと小さいために、自動車として百パーセント力が出ない。それは小さい型のものには物品税の上で税率が安いということで、そこに制限されておるのだが、そこをもう少し大きいところまで拡大してもらえば、同じエンジンでも十分に能力が発揮できるのだ。自動車国内向けでよくなるということは、結局またよそへ行くにも――どうせ国内で相当発達しなければ、輸出だけ初めからよくするということはできないのですが、その物品税が障害になっておる。こういうことを聞いておるのですが、そういったことはございませんか。もうちょっと大きいところまで、小型の物品税の特別待遇しておるところの限度をもう少し広げてもらえばいいのだということを、これは、国会関係で、しかも業界関係しておる方からそういう話を私のところに持ってきたのですが、実際はどういうものですか。
  33. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 御説明申し上げます。物品税の関係でおっしゃる通りの実情がございまして、それは二つばかりございます。一つは、二輪車の原動機付の自転車におきまして、前に二サイクルのもので六〇CC以下のものと四サイクルで九〇CCというふうな、これは国際的なカテゴリーから行きますと非常に特異な切り方をしておる。物品税並びに地方税、警察の取締り、すべてでございますが、そういう関係で、変なところで切っておるために、どうしても変なエンジンを作るという傾向がございました。これにつきましては、昨年中にこれを各関係官庁の共同によりまして改正いたしました。あと残っておりますのは物品税だけでございまして、警察の取締り並びに陸運の方の規則はすべて変りまして、新しく物品税を除きましてきまっておりますのは、二輪車で五〇CC以下のもの、これにつきましては二サイクル、四サイクルの区別なしに、原動機付の自転車の第一種ということできまりました。それからもう一つ、それ以上一二五CC――前に六〇CCないし九〇CCのものを一二五CCまで上げまして、それまでを第二種ということで、いろいろな取締りなり地方税の関係を全部それで統一したわけでございます。物品税の関係につきましては、われわれといたしましては、一二五まで今まで通り無税にしてもらいたいということを言っておるわけでごさいますが、まだ今のところその決定に至っておりません。それが一つございます。  もう一つは四輪車の関係でございます。これは三六〇CCのエンジンの排気容量でございますが、それを境にいたしまして、軽四輪と小形四輪ということで区切られておりまして、物品税並びに運転免許、そういうものが端を発しておるわけであります。これにつきましては、ある程度そういう小型のものとそれ以上の大きなものという、どこかで、切らなければならぬという必要があるわけでございますが、その切り方につきまして三六〇で切るのがいいかどうかということは、今後のエンジンの発達なり自動車の発達を見きわめまして、切り場所を変える必要があるんじゃないか。この二点について、税なりあるいは交通取締り、それから生産輸出関係の生ずる可能性がある問題がございます。
  34. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう一つだけ。これは質問じゃありませんが、私は大蔵委員会にずっとおるものですから、税の関係でせっかくの輸出が伸びないので特別に優遇してくれということはこれはなかなかむずかしい問題もあるんでしょうけれども、しかし、もし直せば直されるような税法のために障害になっておるということでしたら、一つ通産省の方からもわれわれの方によく話していただきたいと思うんです。そのことを希望申し上げて、私の質問を終ります。
  35. 前田榮之助

    前田委員長 石村英雄君。
  36. 石村英雄

    ○石村委員 黒目参考人にお尋ねいたします。さっき規格統一お話がありまして、ただいま山本さんからの御質問もあったのですが、規格統一という意味は、結局、現在国産自動車のトヨペットとかダットサンとかいろいろありますが、こうしたものの規格を統一して、たとえばドイツのフォクス・ワーゲンですか、ああいうような形のものにして安くやろう、こういうお考えでございましょうか。それと、もう一点規格統一でお伺いしますか、先ほどの御説明を聞きますと、輸出しておる三分の二は外車の関係部品だということですが、こういう関係に対する規格統一ということがかりにあるとすれば、それは、国内で作る部品メーカーで、クライスラー向けはどこの製作所で作るとか、そういう分野協定でも国内でやろうという御趣旨でございますか、お尋ねいたします。
  37. 黒目武雄

    黒目参考人 お答えいたします。規格統一の問題につきましては、材質という面で、たとえばベアリングならベアリングのバック・メタルの材質が各社まちまちに違っておる。それを、一応その材質をきめまして、そしてあとのメタルのサイズというものは各社の寸法で出てくるわけですが、まず材質の面の規格統一をはかる。あるいはランプについて、日産のランプがトヨタのランプにも一つく、しかも製造上何ら差しつかえないというふうな形で、これが規格を統一することによってあらゆる設計を全部やり変えるというふうなことですと、これは非常にむずかしい問題になって参りますので、できるだけ量産に、コストダウンをしていくという面から、各社の設計に重大なる影響を及ぼさない範囲において材質の規格を統一して、使用材を統一していくとか、あるいはアクセサリーの部分を統一していくというふうにしまして進んでいくという考えであります。それからなお、外車の部品輸出ということにつきましては、各車種ごとにメーカーをきめていくということは非常に理想案でございますが、現状においては実行が困難ではないかと考えられまして、そういう考えは持っておりません。
  38. 石村英雄

    ○石村委員 国産車の規格統一についてのただいまのお話を聞きますと、これは部品メーカーとそれから自動車を作っているところとの話し合いで簡単に解決つく問題のように、しろうとですから、受け取れるわけです。そんな簡単なものではないと思いますが、もしそうしたことについて通産省があっせんの労をとるとかなんとかいうことをやれば、もっと容易にそれは解決つくのではないか、こう考えておりますが、通産当局はそうした点に何かお考えはございますか。
  39. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 お答えいたします。これは、御指摘になりましたように、非常にむずかしい問題を含んでおりまして、カー・メーカーといたしましても、自分の車の特色が失われるということは、強い業者にしましても弱い業者にしましても、いずれもいやがります。また部品メーカーといたしましても、規格の統一がされて参りますと、弱小の企業に落伍する者が出てくるというふうな問題もございまして、営業の成績にかかわる問題もあるわけでございますので、これは両方の話し合いだけではなかなか行かないだろうということで、われわれとしても、そういう点に必要な金も支出して、それで技術的な自信も十分持った上で、これはいろいろ学界並びにユーザーの方にもお話をして推進していきたい、そういうふうに考えております。
  40. 石村英雄

    ○石村委員 日本国産車があまりできないということは、結局価格が高過ぎるのだと思うのです。それは自動車に乗る人の好みとかなんとかいろいろあるとは思うのですが、まだ日本では乗用車なんか普及していない。そうりっぱな形でなくても、安くてうまく走りさえすればいいということで、安いものができれば、需要は相当出てくるのじゃないか、こう考えるのですが、通産省では何か統一した値段の安い自動車を作らせるというような方針でもありますか。
  41. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 今の政治経済態勢で、役所で計画いたしまして、それで一挙にそういうものを作るということもむずかしかろうと考えまして、今作っておる車種をいかにして安く作るかということにつきまして、これは各企業ごとの努力でやってきておるわけでございますが、その限界が非常に近いところで行きどまりというふうな見通しがございますので、それにつきましてはできるだけ業界の大同団結によっていいものを安く作るという方向に進んでいただきたいというふうに考えております。それの一つの現われがこの部品統一でもございますし、また金融面その他におきまするいろいろな行政指導のあり方もそういうところを目ざしてやるべきじゃないか、そういうふうに考えておるところでございます。
  42. 石村英雄

    ○石村委員 ただ一点だけ参考までにお尋ねしておきますが、現在日本でバスとかトラックは大体国産でやられておるときに、乗用車だけは外車、これはどういう関係でこんなことになっておるのか、バス、トラックができることなら、乗用車もできるのじゃないか、これはしろうと考えであまり単純過ぎるかもしれませんが、そういう感じがいたしますが、その理由をお教え願いたい。
  43. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 バス、トラックにつきましては、これは戦争前から引き続いて製作いたしておりますので、経験が続いておるといろ点があるわけでございますが、兼用車につきましては、戦争中、貨物車優先ということで、ほとんど製造ができなく、また終戦後も昭和二十四年の終りまで進駐軍により製造を禁止されておりますので、そういうように技術的に中断がありましたことが、乗用車のおくれた一つの原因と思います。それから、もう一つは、トラック、バス等におきましては、外国におきましても本質的にけたの違うような大量生産をしておる企業はあまりございませんで、大体日本の企業でも相当大きなところになっておりまして、生産単位が外国に比べてそれほど劣っていない。ところが、乗用車の場合は、数百万台作っておるものに対して、こちらは一万台とか一万台足らずでございます。そういうふうにまるっきりけたが違うということが、乗用車をして特に不利にならしめておるものであろうと考えます。全般的に資材が外国に比べて高いという点はあるわけでございますが、その場合に、トラック、バスだけが競争できて、乗用車が競争できないという点は、そういうふうに技術の中断があったという点と、もう一つは、生産単位の問題、この二つでなかろうかというように考えております。
  44. 帆足計

    ○帆足委員 ちょっと関連して、ただいまのトラック、バスの問題ですが、トラック、バスは、乗用車と違って、競争にたえ得る性質もありますので、大いに輸出したらいいと思うのです。アジア諸国では、日本のトラックは非常に評判がいいので、これは、担当の事務当局あるいは業界としまして、たとえばこれを北アジアの大陸などに輸出すれば非常に有望だと思うのですが、そういう御熱意をお持ちでございましょうか。黒目さんにお尋ねします。
  45. 黒目武雄

    黒目参考人 帆足先生から私に答えろとの御質問でございますので、お答えします。実は私は自動車部品の方の部面を担当しておりまして、自動車部品を通じての日本自動車工業振興並びに輸出という面についていろいろ御意見を申し上げたわけでございまして、現に、御指摘の通り、東南アジア市場につきまして日本のトラックは相当台数進出しておりまして、だんだんこれが量的にふえていき、またサービス・ステーションなんかも設けられて、今後は各メーカーとも積極的に今力を入れておられますので、相当進出していくのではないかということが期待されておるようなわけでございます。これは、私が御答弁申し上げるよりも、むしろ通産当局から御答弁がある方がいいと思いますが……。
  46. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまのバス、トラックにつきましては、全地域からかなり活発な引き合いもございまして、最近は相当契約も受けつつありますので、これはわれわれといたしましては相当有望な輸出品として伸ばしていくことができるのではないかと考えておるわけであります。  大陸につきましては、先ほど申し上げましたように、現在のところはココム制限がございまして、われわれといたしましても努力はいたしておりますが、当面急に伸ばすことは現状では困難かと考えております。
  47. 帆足計

    ○帆足委員 自動車輸出が特に、中国に対して多少許されておりますが、かんじんの部品の幹出が許されないように聞いておりますし、日本のトラックが非常に大量に向うで動いているのですが、やはり部品輸出をされない。鉄道の部品輸出されない。世界が平和になりまして、朝鮮は形だけの対立は残っておりますけれども、まさかトラックや戦車で戦争をするという気持はないのではないか。それをするくらいならお互いに水爆でやるようなことにもなるのですから、そういうときに、こういうトラックだとか大型バスだとか自動車部品だとかを戦略物資などと言って、この狭い、パチンコばかりしている国が半分野たれ死にしかかっている状態をほったらかしておくということは、まことに悲惨なことだと思うのです。アメリカから少々援助してもらうからといっても、アメリカに基地を貸すことはアメリカの便宜のために貸してあるのだから、資材でもいただけばけっこうなんで、恩に着せて貸しておけばいいので、もう占領時代も過ぎましたから、お互いに互恵平等で、アメリカ日本を利用するかわり日本アメリカを利用する。何も日本だけがお世話になっているのではなくて、アメリカの青年たちにもずいぶん日本の娘がお世話をし過ぎるくらいしましたし、基地も貸しましたし、騒音にもずいぶん迷惑をこうむりながらお世話をしたのですから、もう敗戦の税金は払ったと思うのです。従って、資本主義の立場に立ちましても、お互いに助け合うのだったら平等の立場で助け合えばいいのですから、基地を多少貸してやるなら、それはそれとして、北アジアにこういうものを出してやりたい。原爆、水爆の時代にこういうものを戦略物資だなどと言うのは、アメリカの上院外交委員長あたりの無学な徒輩が言うくらいのことであろう。無学だというのは、先般日本からおもちゃや自転車を中国に出したらよかろうという重大声明をしました。自分の出しているココムの規定も知らないでおいて、すでに自転車もおもちゃも許可されているのです。そんな許可は何にもならないということも知らないで大演説をしたという無学な徒輩の影響下に日本がおっていいものであろうか。十年前は英鬼米鬼だと言って大いに闘争をして、数百万の青年を殺しておきながら、今はアメリカをマドンナとかなんとか言って、保護者であるがごとくふるまう。しかし英鬼米鬼なんて言った時代の思想が間違っておったことは事実です。同時に、アメリカを保護者だとか神様だとか言うことは、それにも劣らぬあいまいな思想です。どこの国も平等で、そして話し合いでもってお互いに利害を比較考量して、自分の利益を主張しようとするなら、相手の利益もよく考え合って交際するのが、国際的常道だと思うのです。こういう点について私は日本重工業の諸君の努力が足りないと思うのです。かつては六百万トンの鉄を作りながら、大学教授に一台のダットサンも差し上げておらぬ。末弘厳太郎さんがニッサンの大型自動車を運転しているのをわれわれは驚異のまなこで見た。これが唯一の事例なんです。大学教授に一台のダットサンも与えずして、六百万トンの鉄をなぜ作ったかといえば、時代錯誤の軍国主義にだけ使っておった。そのために日本の重工業は大衆に少しも親しまれていない。三菱重工業の社長といえば、まず小学校の生徒からも敬愛の念をもって見られるようなりっぱな仕事をしている。しかるにだれからも尊敬されていない。それは心がけが間違っているからです。実業の任務は国民に奉仕することだという単純な真理を忘れてしまって、そしてこういうような手段のための手段になってしまっておる。日本重工業の大部分が主として戦争の手段に使われていたということだったと思うのです。従って、私は、日本輸出振興日本の産業振興というものは、心がけを改めて、すなわち封建的爬虫類から近代的な人類になって、人間の実業、人間の資本主義、人間の経営者、こういうふうになれば、自動車の売れ行きもおのずから販路が開けるのではないかと思います。  二十年前でしたか、第一相互の社長の矢野恒太という人が、近ごろ百姓がぜいたくになって自転車に乗っておる、自転車に乗っておるだけならいいけれども、ゴムぐつをはいておる、ゴムぐつをはいておるだけならいいけれども、土曜日の午後などうしろにビールを二、三本ぶら下げて乗っておると言っておりました。私はこういうような思想が日本の実業界にはまだ残っておると思う。自転車は百姓に乗ってもらうために作るのだし、わらじをはくかわりにくつをはいてもらうことは、非常に文化的、能率的な進歩であって喜ぶべきことである。近ごろ農民はゴムぐつをはくようになったと言って凱歌を上げるべきであるのに、まことに嘆かわしいことである。二宮尊徳のはき違えをして、そういうことを言っておりました。こういう思想が日本の実業界に根深くあったのが、日本の重工業の発展を阻害した一つの原因だと思う。最近ミキサー、電気洗たく機が流行し始めておる。私など、文化人と称しながら、やっと去年の秋女房に電気洗たく機を買ってやった。ところがこれは、最新のすばらしい機械だけあって、最初の一週間ぐらいは使い方がよくわからないためにまごまごしておったが、このためにねえやさんがどのくらい助かっているか知れない。すべての台所に一台のミキサー、一台の電気洗たく機があれば、私は命が四、五年延びるのではないかと思う。なぜ日本の重工業は奮起して、すべての国民に一台のミキサー、一台の電気洗たく機、そしてすべての活動する者には一台の国産自動車というような、熱意と腕力をもって御努力なさらないか、まことに不思議だと思っております。そういう点において、せっかくこういう参考人としておいで願い、御意見も承わったのでございますから、一段と日本の重工業を平和のために積極的にお使い下さるように、そしてそれが、南北を問わず、アジア諸国民のサービスのために日本の重工業が万丈の気焔を上げ得るように、もう少し業界の方々に、ヒューマニズムというか、人間性に徹して、全従業員が社長の話に対して涙を流して傾聴するような哲学と気魄を持って進まれる、そういう態勢でなければアジア諸国に日本の商品が売れるということは困難だろうと私は思います。旧来のような軍国主義の思想を持って、自動車工業をいつでも戦車に切りかえるというような下心を持ってやったのでは、インドのネールも、インドネシアも中国も受け入れないと思うのです。そうではなくして、この重工業の力を人間の幸福のために使うという哲学か毒あってこそ、私は日本の重化学工業の輸出振興ということが可能であると思います。こういうことを参考人の方に申し上げてもまことに恐縮でありますが、所見を述べまして、また御感想でもありましたら伺っておきたい。
  48. 前田榮之助

    前田委員長 以上で参考人に対する質疑は終りました。  この際参考人に一言お礼を申し上げます。本日は御多用中にもかかわらず長時間御出席下さいまして、種々貴重な御意見を御発表いただき、まことにありがとうございました。本委員会といたしましても、これを十分参考といたしまして調査を進めて参りたいと存じます。     ―――――――――――――
  49. 前田榮之助

    前田委員長 次に、中共よりの大豆輸入について質疑の通告があります。これを許します。帆足計君。
  50. 帆足計

    ○帆足委員 時間が移りましたので、ごく簡単にお尋ねいたす次第ですが、実は、昨日北京から、大豆の買付について中国側も値段を下げて努力したいからよろしくという趣旨の電報が参りました。その電文の中に、品質のことは十分考慮してもらいたいということが入っております。大堀さんの先般の御説明では、輸入品は極力安く買いたい、そうして安くて、いいものを国民にサービスをすることが輸入の重要なる役割であるというお話がありまして、私もその点は全く同感でございます。従いまして、中共貿易といい、東南アジア貿易といい、どこと貿易をします場合にも、日本の国民に安い原料、そしてよい原料を適時適切に入手するということが輸入の任務であります、輸入における国民経済への奉仕、中小企業の利益ということは、一般の消費者並びに中小企業者その他日本の産業界に、安くて、よい原料を提供するのにはどうすればいいか、この一つにすべてのことがかかっておると私は思います。そこで、安い原料を買いますために、一つには、バーターということも、輸出振興とにらみ合してやはり多少は依然として考えておかねばなりませんし、また乏しい為替を適時に最も合理的に使うという技術的配慮も必要でありますが、世界各国から安い原料を入手いたしますためには、大体競争のルールというものができていなくてはならぬと思うんです。  中国の大豆につきましては、一番目には、何といっても品質の相違――これは御承知のように用途の違う点から品質上差異があります点と、大豆の粒の整理、ごみの混入率などを考慮いたしますると、中国の東北の大豆の方がアメリカ大豆よりも非常にすぐれておるということで、国内市場の値段は大体一割以上の開きがあるように聞いております。従いまして、今後安いものを買うという御趣旨から言えば、メリット計算というものが技術的に考えて合理的でなくてはならぬと思いますので、一つ、この問題については、だれが考えてもその辺のところが妥当であろうという基準をいずれ政府からお示し願いたいと思いますが、次長さんはそれをどういうふうにお考えになっておられるか。  第二に、年間六十万トン近い大豆を輸入しておりますが、日本の立地条件からいって、イデオロギーの問題などを除いて考えますれば、一応中国の大豆が割安であるということが常識でございます。もちろん、バーターの問題とか、ドル、ポンド為替等の問題で、多少は輸出振興立場から世界各国からの買付もあわせて考慮しなければならぬ点もあろうと思いますけれども、原則として、品質と値段の点から一番引き合うものを買っていくという御趣旨は、大綱において正しいことであるばかりでなく、国民経済的に見て妥当な線であろうと思います。しかし、その場合に、六十万トンの大豆のほとんど全部を将来中国から買った方が有利だということになりましたときに、アメリカその他の国から政治的反撃がありはしないかということを心配しておりますが、そういうことはしろうと考えで杞憂にすぎないものであるかどうか、第二にはこの点をお尋ねいたしたいと思います。  第三には、せっかく安い大豆を入れましても、消費者に渡りますとき非常に高い値段になりますことを私ども心配いたしておりますがだからといってすべてメーカー割当でよいかどうか、これは貿易振興立場からまだ検討すべき余地があると思います。従いまして、しろうと考えでは、メーカー割当と消費者割当と両方併用でもすればどうかなどというきわめて平凡な常識ですが、そういう気もいたしますが、政府当局としては、大豆を国民に安く適切、妥当な値段で入手できるようにいたしまするためには、どういう施策をお考えになっておられるか。  この三点についてお尋ねしたいと思います。
  51. 大堀弘

    大堀政府委員 ただいまお尋ねの第一点につきましては、先般来いろいろ御相談していただいて参った問題でありますが、逆トーマス方式は放棄して、従ってその意味におきましては、大豆の見送り物資の輸出の点につきましては、こちらとしては相当残念に思うわけでありますけれども、諸般の状況を考えまして、先方が国際価格まで値段を下げるならば、スターリングのストレートで決済しようという考え方をとったのでございまして、けさほど、議員連盟及び国際貿促協会からの電報に対しまして、先方の回答が参っておることにつきまして承知いたしておるわけでありますが、値段の点につきましては、御指摘のように品質は満州大豆はアメリカ大豆に比べまして確かによいわけでありますが、私ども国際価格の判断としましては、アメリカの大豆の先行きは相当安いわけであります。新穀が出回りますならば、現在よりさらに一割以上下るのじゃないかというくらいに考えられる情勢でございます。同時に、品質はよいのでありますが、レートの関係から見れば、日本市場は中共に対してはアメリカよりも約三ポンド以上も有利な市場である。もう一つは、中共か世界各国に売っております大豆の値段は、シフで三十八ポンドというような安い値段であります。さらに、私どもの聞きますところでは、三十四ポンド、三十六ポンドという値域も出ているわけであります。従いまして、これらの事情を勘案して、品質の点も考慮いたしまして、私どもとしましては、今回の五万トンにつきまして、中共が日本市場に売るべき国際価格として適正な値段は幾らであるかという計算を現在いたしております。現在のオファーされておりますFOB大連で四十三ポンドということよりは相当下回った値段のように考えております。将来、下期以降におきましては、全体の大豆の輸入をグローバルに変えまして、もし中共の大豆が値段を下げて参りますれば、中共の大豆を相当入れるという結果になるのではないかと考えておりますが、今回の五方トンにつきましては、一応、過渡的段階といたしまして、中共大豆の適正な国際価格というふうに推定される価格をべースに置きまして、その値段以下でありますれば、私どもとしては中共大豆を優先的に輸入割当するという考え方を持って差しつかえないのではないか、かように考えております。値段の点につきましては目下検討いたしておりますが、今日ないし明日までにきめたいと考えております。割当の方式は、やはり国際価格でやるということでございますから、あくまでグローバル方式にいたしまして、その値段以下に下げますれば中共の大豆を入れたいと思います。それ以下になりません場合には、ほかの安い値段のものを入れるということにいたしたいと考えております。  第二の点につきましては、日本といたしましては、年間六十万トンからの大豆を買っておるわけでありまして、もし品質のいいものが適正な値段で入って参りますれば、それに対して輸入外貨割当をするということは、これは貿易政策といたしまして当然のことでございます。かりに通商関係その他でいろいろ議論がありましても、私どもとしましては、国民の利益になることであれば、文句はありましても、それは適正な値段で入れるのでありますから、それで差しつかえない、かように考えておるわけであります。  なお、国内の問題につきましては、今回のものは輸入業者割当にいたしたいと考えております。国内価格につきましては、農林省においてもいろいろとお考えになっておられますし、私どもといたしましても、入れましたものをできるだけ安く国内の消費者の手に渡るように十分考慮をいたしたい、かように考えております。
  52. 帆足計

    ○帆足委員 そういうような政府の御方針でありましたならば、実際問題としては中国大豆の輸入がふえ、そうして良質の大豆を安く国民に供給することができるものとして、私期待するものでございます。同時に、将来ココムが緩和されました場合は、その場合でも、ポンド・ストレートよりも見返り輸出のワクが広がりましたときは、やはりそういう原料は国際的に安い値段で買うという原則はそのまま残して、なおかつ見返りの輸出をも奨励するというような方法をお取りになることが必要ではないか、その点は含みを浅しておくことが必要ではないかと私は思います。  それから、今までのグローバルは、大体アメリカの大豆のワク内におけるグローバルでございましたから、大して問題はなかったのですが、アメリカの大豆と中国の大豆と両方の分野に分れるといたしますと、どうしても品質ということを考えなければなりませんので、従来政府がお漏らしになったような品質の格差三%ということは、私しろうと考えでも少し実情から離れているように考えます。それを今日何パーセントにするかということば、技術者の方のもっと正確な技術的及び経済的検討が必要と思いますから、今直ちに御発表なさることは困難と思います。しかし、これは、経済学者が考えても、技術者が考えても、妥当な格差というものをやはりこの次から作っていただかなければ、格差の点がいいかげんで、中国大豆が割高であるといわれても困るわけでございます。もちろん、格差の大小いかんを問わず、中国大豆の方がなおかつ割安になると思いますけれども、いやしくも公正な競争という以上は、やはり競争のルールというものが明確でなければならぬと思いますので、この点は経済学的並びに技術的に両面から格差というものをもう少し検討していただきたいと思います。この前非公式にお漏らしになった三%というような数は、私は実情に即していないように思いますが、客観的、科学的にお取り扱い下さる意思があるかどうかそれだけを伺っておきたいと思います。
  53. 大堀弘

    大堀政府委員 品質の比較から参りまして、三%ということはないと思います。これは品質を考慮すればもう少し多くなると思います。問題は、今の国内市場価格は、必ずしも自由にアメリカ大豆なり満州大豆が入って参りまして形成されておる合理的な価格ではありませんで、中共大豆につきまては、やや希少価値的なものが出ておりますが、私どもは、大きな方向から申しますれば、やはり昔満州時代に満州大豆が日本に入りましたように、とてもアメリカ大豆なんか比較にならないほど安い価格で入ってくるべきものだと思います。  それからもう一つ先ほどお話し申しましたように、各国に比ベるとかなり安いのでありまして、これは現にスイスその他でもオファーがありますが、相当安い値段であります。それらの点を考えまして、必ずしも品質だけの計算では、現在満州大豆の国際価格が幾らであるかということについての、適正な厳格な意味の計算は、今日の段階では困難かと考えられます。しかし、諸般の状況を考えまして計算をいたしまして、まず先方がその値段で売ってさほど無理でないのではないかという値段で、こちらとしては妥当と考える線を出していきたい、われわれとしてはさように考えます。メリットの点は、もちろん品質の点では八%か九%くらいのメリットはあると考えられますけれども、これもかりに搾油用の原料として使います場合には、油脂分が少いのであります。そういう点から考えますと、また逆にマイナスの面もあるのであります。従って、もし中共大豆の需要範囲が非常に広範でありますれば、そういう面でまた逆のマイナスのメリットもあるわけでありまして、将来についてはやはりそれらを勘案して参らなければならぬ、かように考えております。
  54. 帆足計

    ○帆足委員 ただいまの中国大豆とアメリカ大豆との値段の開きについて、技術的考慮の方はよくわかりました。経済的考慮の方は、現在多少希少価値が発生しておるという事情もよくわかります。いずれにしましても、競争ということになれば、やはり格差というものはある程度明確でなければならぬと思います。と申しますのは、格差でもってアメリカ大豆よりすれすれでありましても、東北の大豆が国際的に売れている実情を見まして、それよりもさらに安く国際的な値段で買わなければならぬということは、そのための努力はいたさねばなりませんけれども、最終的にどちらを選ぶかということは、やはり規格の大体のウェートを明らかにして比較していただかなければならぬ問題だと私は思います。従って、それはそれとして、やはり格差はある程度まで社会通念として明確にしていただかなければ、グローバルという方式の採用はむずかしいように思いますので、御研究を願います。  それから、東北の大豆が非常に安かったという点は、かって、植民地であって、クーリー的低賃金が行われていたということも考慮に置かねばなりません。従いまして、やはり立地条件の相違やそれから運賃が非常に安いということ等のために、東北の大豆は客観的に安いと思いますけれども、昔のような植民地的安さということは望むことはできない点は、一応の考慮に置いておく必要があると思います。  それから、中国は非常に貧しい国で、いまだに赤貧洗うがごとき国です。従いまして、輸出したものの一滴の為替でも、国の建設、基礎産業の建設に役に立つように使いたいという点に全力を注いでいる。あれほど貧しい、もう果てしなく貧しい国の一つですから、そういう方向に進まねばならぬ気持はわれわれも経済学者として了とするわけです。従いまして、見返り物資が非常に価値あるものであるか価値の少いものであるかによって、輸出する大豆の値段に多少の手かげんを加えているという事実もあるようでございますから、政府当局としては、そういうこともあるということは一応念頭に置いていただきたいと思います。でき得べくんば、西ヨーロッパにおける満州大豆の自由市場のようなものがあれば、その値段が非常に参考になるのでありますけども、私どもも、東北の大豆を買いますのに当って、どういう値段がまずまず妥当なところであるかということを探求する材料として、欧州における、特にハンブルグ等における中国大豆の輸入値段、また市中値段等を始終検討して重要な参考にいたさねばならぬと思います。しかし、見返り物資によって多少違う点と、それから昔のような植民地でなくなったという点等は、政府当局が輸入の許可をいたすに当りまして、やはり重要な参考として御考慮に入れていただきたいと思います。  それから、今度の五万トンの分は、過渡期でございますから、政府が適正なる内面的協力をして輸入をされるという過渡的措置はけっこうだと思いますし、それから商社割当として今度は輸入するということも、およそだれしも異存のないところであると思いますが、バーターの方式を急に切りかえたわけでございまして、昨日の北京からの電報は非常に誠意のある電報でありましたから、多分すらすら事が運ぶと思います。けれども、互いに国情の異なる国同士間のふなれな取引でありますから、相当忍耐強くたびたび電報で折衝して、満足な結果の得られますように、政府当局も内面的に御協力を下さることを、協定に参加した一員としても切望いたす次第でございます。     ―――――――――――――
  55. 前田榮之助

    前田委員長 次に、原産地証明の問題について発一言を求められております。これを許します。野沢清人君。
  56. 野澤清人

    野澤委員 きわめて簡単な事項でありますので、簡明にお答えを願いたいと思います。  通産省公報の一六三六号で、米国向け豚毛の原産地証明書の発給停止ということが行われておりまして、去る四月十三日から当分の間、米国向けの豚毛に対する原産地証明の発給及びこれに伴う検査を停止するということがすでに発表されておりますが、その後これに対する対策はどうなっているか、まだ解決しておらないならば、その経過はどうであるか、それをお伺いしたいと思います。
  57. 大堀弘

    大堀政府委員 アメリカ側といたしましては、中共原産の原料を使います製品について、先方の法律によりまして、当該輸入品が中共原産でないという原産地証明を付して通関を求めるという取扱いをいたしておることは、御承知の通りでございますが、ごく最近でございますけれども、最近と申しましても四月でございますが、日本の豚毛の中に中共原産のものが含まれておるという税関の判定がございまして、通関が差しとめられた。これにつきましては日本政府といたしまして従来原産地証別を発行しておったわけでございます。その間の事情につきまして現在事実を調査いたして参っておりますが、先方といたしましては、かなり化学的な検討の結果、入っておることは間違いないという判定をいたしておりまして、なかなか強硬な態度で来ておるのでございます。現在船積みをいたしまして先方に着いておりますものだけでも、少くとも通関を認めてもらいたい、今後のものにつきましては、なおこちらとして十分検討いたしまして、今後こういうことがないようにいたしたいと考えておるわけでございますが、その間もし船積みにいたしまして先方で滞貨になりますことは、一そう業界に対して迷惑を与える関係にもなりますので、一応その間だけ輸出の原産地証明の発給の停止をいたしておるわけでございます。現在も交渉は継続中でございますが、なかなか現在の滞貨品につきましても先方は通関を拒否しておりまして、政府といたしましても、出先機関を通じまして相当執拗に交渉を継続しておるわけでございます。
  58. 野澤清人

    野澤委員 まだ交渉の継続中であるということだけは了承したのですが、この問題についての解決の見通しは、政府の方ではどういうふうに考えておりますか。
  59. 大堀弘

    大堀政府委員 やはり事柄の性質がかなり政治的な問題もございますので、交渉の見通しとしてはなかなか困難だと考えておりますが、しかしながら、経済問題としましてできるだけ円満に解決をしていきたいということで、現在もせっかく努力中でございます。見通しは、時間的に申しましても、早急に解決できるというふうには考えておらないわけでございます。
  60. 野澤清人

    野澤委員 これは豚毛でありますので、一般には、何だ、たかが豚の毛かというようなことで考えられがちの問題でありますけれども、原産地証明をつける三十五の品目を調べてみますと、かなり広範な内容を持ったものだと思うのです。現在までの輸出の経過から見ましても、大阪付近から月間一億五千万くらいの輸出をやっておる。すでに四月の十四日以降二カ月間もこれが滞貨しておる。しかも、その滞貨しております数量等を概算いたしましても、約五万ポンドからストックしておって、しかもこの業者というものがほとんど家庭工業である。こういう状態で、単にこれは日米の問題だけでなしに、日本中小企業者の立場からも相当大きく取り上げなければならない重要な問題だと思うのであります。特に先ほども満州産の大豆の輸入の問題等も御質疑があったようでありますが、たとえば琉球等に向けますところの、みそとかしょうゆとかいうような問題に対しましても、これを契機として逐次そういう歩調を伸ばされますと、今後せっかく中ソ貿易を再開しようというような日本の国情やあるいは鳩山内閣の二元外交等から見まして、国民も中共に対する貿易を相当大きく期待しております。せっかく安くてよい原料を仕入れながら、一方アメリカへの輸出ができず、本国はともかくとしましても、琉球にさえも出せないという事態が起きますと、これは貿易振興上大きな問題になってくると思うのであります。  そこで、この豚毛の問題は、単に豚毛だからというようなことでなしに、もう少し政府の方で積極的にこれに対する打開策を講じてほしい。特に局長にお願いしたいことは、過去二年間何らの問題なしに今日までこの豚毛の輸出ができ、しかもまた日本人の器用な手先によって豚毛をそろえ、束にし、セロファンに包むという、この家庭工業式のりっぱな輸出源というものを、単に米国からの一片の通牒によって中止されたからということで放任するということは、それでなくとも苦しい現在の中小企業者の立場はもちろんでありますし、さらにこれに波及いたしてきますところの他の業界にも問題点があると思いますので、特に本日この委員会にお願い申し上げたわけであります。  だんだん調べてみますと、米国からこうした爆弾的な動議が出てきたのが、偶然の一致でありましょうけれども、中共の視察団の来朝問題とか、あるいはソ連との国交回復の問題とか、こういう期間にたまたまこの問題が起きてきた。米国の通牒等につきましても一応調べたのでありますが、その内容を見ますと、かなり繊細な材料をもって追及してきている。特に注目されますのは、「豚毛に関する調査並びに報告に基く日本政府の見解を得るまでは、ごく異例の事情として(たとえば大豆製品のごとき)の場合を除き、米国財務省は他の追加品目に関するいかなる新たな証明書発給手続に対しても同意せぬことを日本政府に通告する」という強硬な態度をとってきておるのでありますが、単にこの染め上げた豚毛に対する問題でなしに、今後の原産地証明というものの添付される品目について相当のいざこざが起ると想像しなければならぬ。これに対して、政府自体は、おそらく国会へも報告をしておられぬだろうし、その経過についても御報告願っておらないと思いますので、この際、私といたしましては、幸い局長がこの方の関係になっておるそうですから、責任をもってこの問題に対する経過過程にいて近い将来に一つ御報告を願いたい。また、必要がありますならば国会としても取り上げまして、この原産地証明を要求する三十五品目についての再検討をする。また出先機関である検査所に対しましても、単に適当な証明書を発行するということでなしに、真実に近い証明書を出すようにすることがよろしい。それに関しましては、大阪の輸出品検査所の所長にもお目にかかりまして、よく内容を調べて参りましたが、大体重慶付近の豚毛というものは、世界の市場どこへ出しても一目瞭然だという。こういうものが混毛されておったためにこういう結果を招来した。しかも原産地証明を書く場合には比較的粗漏に書いておった。これは、おそらく政府指導監督の不行き届きもありましょうし、また役人としての立場から好意的に書いたものもあると思うのでありますが、こうした内部事情をよく局長の方で御検討されて、今後万遺漏なきよう御善処方をお願い申し上げたいと存じます。  以上で終ります。
  61. 前田榮之助

    前田委員長 ほかに御質疑はございませんか。――なければ本日はこの程度といたし、次会は公報をもってお知らせいたします。   日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会