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1955-06-06 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月六日(月曜日)    午後一時二十八分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 宇田 耕一君 理事 古川 丈吉君    理事 加藤 清二君       菅野和太郎君    櫻内 義雄君       森下 國雄君    山本 勝市君       鹿野 彦吉君    平野 三郎君       前田 正男君    帆足  計君       田原 春次君    志賀 義雄君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商局輸出課         長)      前田 憲作君         参  考  人         (経済団体連合         会事務局長)  堀越 禎三君         参  考  人         (三菱商事株式         会社常務取締役         日本貿易会常任         理事)     藤野忠次郎君         参  考  人         (第一物産株式         会社常務取締役         日本貿易会常任         理事)     水上 達三君         参  考  人         (東京芝浦電気         株式会社取締役         貿易部長)   玉置 敬三君         参  考  人         (日本商工会議         所理事)    依田信太郎君         参  考  人         (住友商事株式         会社東京支店調         査役)     益岡巳年雄君         参  考  人         (高島屋飯田株         式会社分室業務         部次長)    福士 次郎君     ————————————— 六月六日  委員西村直己君及び川上貫一君辞任につき、そ  の補欠として前田正男君及び志賀義雄君が議長  の指名で委員選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  貿易振興に関する件     —————————————
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議を開きます。  貿易振興に関して調査を進めます。本日は、先日の委員会の決議に基き、参考人各位より御意見を聴取いたします。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人各位には御多忙中のととろ御出席いただきまして、まことにありがたく、厚くお礼申し上げます。  ただいま、本委員会におきましては、貿易振興対策について調査を進めておりますが、御承知の通り、日本経済の再建に関し貿易の及ぼす影響はきわめて大なるものがあり、院議をもって本委員会が特に設置されたゆえんであります。参考人各位には、それぞれの立場より忌憚のない御意見を開陳されまして、本件調査参考に資せられたいと存じます。  これより参考人各位の御意見を聴取いたすのでありますが、時間の都合等もありますので、御意見の開陳はお一人二十分くらいずつにお願いいたします。なお、念のため申し上げておきますが、御発言の際はそのつど委員長に許可を得ることになっております。また、委員参考人に質疑をすることができますが、参考人から委員に対し質疑することはできませんから、念のため御了承を願っておきます。  これより順次参考人より御意見を聴取いたします。堀越禎三君。
  3. 堀越禎三

    堀越参考人 経済団体連合会事務局長をいたしております堀越でございます。  私は、私の立場から、業界におきまして特に強く要望しております点三つばかりを総合的にあげまして申し上げたいと思います。今日は専門のエキスパートの方が皆さんお見えになっておりますので、具体的な問題はその皆様にお譲りいたしまして、ごく抽象的に申し上げたいと思います。  まず第一に私が申し上げたいのは、輸出入取引法が今度改正されまして、近く国会に提出される運びとなっておるようでございます。との輸出入取引法に対して、われわれといたしまして非常に不満である点を申し上げたいのであります。と申しますのは、貿易立国ということがもう以前から叫ばれておりまして、貿易というものは、日本が立つべきための、経済自立にとってなくてはならぬものであるということを言われておりながら、その貿易は、たとえて申し上げますると、日本から外国競争場裏に送る選手だと言っていいのでありますが、その選手に対しまして国内におきましていろいろと制肘をいたしておる。それをせめて、われわれといたしましては、外国業者と対等の立場、つまり何らハンディキヤップのつかない立場で交渉させていただきたい。そうしてもう一つわれわれの非常に不満であり不思議に感じます点は、貿易政策つまり日本経済政策の全責任を負っておりまする官庁通産省でございます。しかるに、貿易政策また日本経済政策というものに最終的な責任を持っていない他の官庁が、この貿易政策に関与してきておるという点であります。はっきり申し上げますれば、独占禁止法というものの存在であります。私は、何も、公正取引委員会そのものが非常に無理解であるとか、あるいはそういうことを申し上げるのではないのであります。公正取引委員会は、独占禁止法というものの運用責任を負った官庁であります。従って、独占禁止法というものがある以上、この運用責任を負った公正取引委員会が現在やっておられますることは、その職責を果すための当然の行動であるのであります。その点におきまして、今度輸出入取引法改正が企画されましたが、私たちは全面的にこの輸出入取引については独占禁止法からはずしていただきたい。つまり、独占禁止法外国との貿易である輸出入取引に対していろいろな制肘をしている国は、世界広しといえども私はまだ寡聞にして聞いておりません。しかるに、日本におきましては、いろいろとその点において制肘されておりますために、今度その点に対する改正案ができましたが、この改正案通産省と公取との妥協案であります。かつて、われわれは、少くとも輸出入取引におきましては事前にこれを予防するような独占禁止法上の建前はよしていただきたい、もし弊害が生じたならば、自後これを矯正されればいいではないか、それには貿易政策及び経済政策に対して全責任を背負っておる通産大臣、この通産大臣がよろしいとお認めになったところでもって、ただちに業者の、何と申しますか、談合といろ言葉は非常にいやな感じでございますが、とにかく業者の結合ができるということをやらしていただきたい、そのゆえに、届出制に一切していただきたい、こう申しておったのでありますが、今度できました改正案を拝見いたしますと、輸出業者輸出に関する国外取引協定は、これは通産大臣に対する届出制になっております。こまかいことを申しますと、その届出制事前届出になっておりますが、やや認可制のにおいが残っております点が不満であります。しかし、まず届出制にされたということにつきましては、われわれは非常に感謝いたした次第でありますが、もっと今日の貿易というものの実態を把握していただきたいのであります。戦前貿易というものは、貿易業者が非常に強く、メーカーからいろいろな品物を買って、これを自分の手持ちにして海外市場模様を見て売り、またあるいは海外市場模様を見てはこれを買うといったように、輸出業者自身に非常な力があったのでありますが、御承知のごとく、終戦後は、財閥解体その他によりまして、輸出業者の力が非常に弱っておるのであります。従って、今日の貿易というものは、輸出業者メーカーとのいわゆる二人三脚の形でもって、ようやく海外各国との競争にたえてきておるというのが現状でございます。しかるに、このたびの輸出入取引法改正案を拝見いたしますと、輸出業者輸出に関する国外取引届出制で直ちにできます。輸出業者国外取引につきましては、輸出業者輸出に関する協定は、これはすぐに届出制でできるのであります。この輸出業者輸出に関する——いわゆる波打ちぎわという言葉を使っておりまして、波打ちぎわから外の協定というものは、通産大臣への届出制ということですぐにできるのでありますが、輸出業者生産業著聞国内取引協定、さらには生産業者間の輸出品に関する協定、これがいずれも認可制になっており、しかも、その認可制は、輸出業者の今の届出制による協定が効果を生じなかった場合に初めて認可の申請ができ、これを認可することができるといったような二段がまえあるいは三段がまえの建前になっております。これは非常に商機を逸するのでありまして、この点において、われわれといたしましては旱天の慈雨のごとく非常に待望いたしておりました輸出入取引法というものが今度改正されましても、依然として日本びっこの貿易をやっていかなくちゃならない。従来のごとく海外から安い物を買おうといたしましてみなで協定をすると、直ちにこれがカルテルだということでおしかりを受ける。さらに、海外に対してダンピングするものがあって、これを防止せんがために協定しようとすれば、これがまたカルテルであるといって禁止されるといったようなことで、そのために、海外へは安く売り、海外からは高く買っているというこの現状をいささか改めることはできても、根本的に改めることができないといったような懸念があるのでございます。この点を十分一つお考え願いたいのであります。極端なことを申し上げますならば、今日海外における日本商品に対する評判は、これはよく皆さん御存じのととろだろうと思います。私が昨年インドへ参りまして特に痛感いたしましたことは、インド業者は、イギリス商品は来年のものを予約しておいても値段が変らない、少し高いけれども、ほとんど値段が変らないので、安心して予約ができる、しかし日本商品は、きょう買ってもあしたまた下るかもしれないと思うので、非常に不安だ、自分の方で先売りをしておいて日本商品を買うというようなことでもしない限りは、自分は非常な損をするというので、日本商品取引が非常にむずかしいということを申しております。そういうふうな点は、一にかかって日本国内におきまして輸出入取引業者にいろいろな手かせ足かせをやっておるというためであります。御承知のごとくドイツは常に一本になって出てきております点を十分お考えいただいて、今度の輸出入取引法改正案につきましてはその点におきましてよく御審議をお願いいたしたいと存ずるのであります。  次に、これは言い古されておることでありますが、経済外交並びに経済交流、これは申すまでもなく通商航海条約の締結あるいは賠償問題の解決ということで、これらは早くやるべきであります。通商代表交換等ももちろんでありますが、特にわれわれの希望いたしますることは、在外事務所強化でございます。御承知のごとく、ドイツ大使館のごときは、東京におきまして多数の経済担当官を置いて、常に情報を本国に送っております。先般経済団体連合会アメリカの有名なテキスタイルの方が見えまして、こういうことを申しております。日本アメリカに対して今ガーメントを売っておるようだ、いわゆる着物に仕立てたものを売り込んでおる、しかし、アメリカの今のテーラーユニオンというものは非常に強い組合である、従って、このテーラーユニオンが、着物の形で輸入されると自分たちが職を失うというので非常に強い反対をしておる、そういうものの扱う百万ドルか二百万ドル近いものを売り込まんがために、数千万ドルあるいは一億ドルに上る大きな貿易を失うような、非常にまずいやり方をやっておる、そういう点をよく考えて、日本がもっと海外事情を研究して、向うの受け入れやすいものをどんどん売り込むといった態度にしてもらわなくてはいかぬということを言っておりましたが、在外事務所貿易エキスパートを置いて真剣になって向う輸入態勢なるものを研究し、そうして日本にその情報を流していただくことが今日最も必要なのでございまして、私のはなはだ狭い経験でございまするが、海外大使館あるいは領事館を訪問いたしまして、わずか一人くらいの経済担当官がおられるという現状は、非常に心細い感じがいたすのでございます。  なお、貿易商社海外支店強化でございます。これは貿易商社の方御自身からはなかなか言いにくいのでございます。と申しますのは、現在貿易商社がたくさんございます。たくさんある貿易商社のうち、実際に日本貿易に資する貿易商社海外支店強化しなければならぬ。これが悪平等に強化されたならば、結局、悪平等な競争をして、日本商品の信用を害するようなことがあります。それで、実際に日本貿易を伸ばし得ると考えられるような貿易商社海外支店強化して、さらに現地事情の把握から、現地での貿易あるいは第三国間の貿易を推進するといったような態勢を一日も早く整える必要があるのではないかと思うのでございます。  なお、これは後にも申しますが、現在の貿易は過去の貿易と非常に形が変って参りました。と申しまするのは、戦前のごときいわゆる海外投資といった短期資金の流動というものは、戦後はほとんどなくなってしまった。海外投資というものは、いわゆる各国為替管理あるいは貿易制限などによりまして、非常にむずかしくなった。そのために、今日物資の形におきましての投資輸出といったものが非常に多くなってきておるのであります。これは御承知のごとくであります。ドイツのごときはこれを非常にうまく利用いたしております。日本においてもこの点に留意いたしますならば、東南アジア、中南米等後進諸国との貿易が大いに伸びるのであります。これらの経済開発に協力して投資あるいは合弁事業をやる、この点をわれわれとしてはもっと強化する必要があるのじゃないかと思うのであります。  この点で一応また触れておきたいと思いますのは、共産圏貿易についてでございますが、私たちも、共産圏貿易についてはもっと伸ばす必要があることは十分存じておるのであります。ところが国内態勢が少しも整っていない。これは業界自体責任でもあり国民自体責任でもありますので、まことに残念であります。先般ICCの東京総会に見えました西ドイ代表の一人ツに、向う東方委員会事務をやっておられる方がおりましたので、西ドイツやり方を伺いましたところが、西ドイツ東方委員会というものを置いておりまして、これは政府も強力にバックいたしておるようであります。そしてそれにすべての業者、すべての団体下部機構として入っておる。この東方委員会というものが実際に共産圏貿易を扱っております。もちろん、貿易代表交換というようなこと、つまり通商代表共産圏国との間に交換するとか、そんなこともいたしておりません。何にもいたしておらないのであります。またトーマス方式もとっておらないようであります。そういうことでその委員会が一本になっていろいろやっておりますが、中共との貿易を見ますと、やはり日本と同じように輸入超過になっておりまして、四千万ドル輸入して二千万ドル輸出したというような格好になっておるようであります。そういう点、もう少し地に足のついたやり方で、各所におけるいろんな貿易を推進していく必要があるのではないかということを、私は痛感いたしておる次第でございます。  次には、ガット体制にいよいよ入ります。このガットに入りましたならば、昨年やっておりましたような砂糖による補助金だとか、あるいはいろいろな面の補助金は一切なくしてしまわなければならない現状になっております。それにはコストの低下あるいは材質の向上ということはもちろん必要でございますが、そういうガット体制に入っても、なおいろいろ国内的になし得る面が二つあるのであります。その点に触れて私のお話を終りたいと思うのであります。  一つは税制でございます。いわゆる免税措置、これが現在では、相当にお考えいただいて、輸出所得控除限度の引き上げとか、あるいは輸出損失準備金制度とか、いろいろ優遇の措置が講ぜられておりますが、元来日本の税か高いのであります。各国と比較いたしまして、日本の税は、法人税にいたしましても、所得税にいたしましても、その形式的なノミナルの上では高くないのでありますが、日本購買力限度から考えますと、非常に高いものになっております。その高いという点をお考えいただけるならば、当初申し上げましたように、貿易海外との競争でありますので、その意味におきまして、外国と比較して日本業者にハンディキャップをつけて競争させるようなことをしないように、できるだけ貿易業者の荷を軽くしてやるのが、ほんとうの貿易輸出立国建前ではないかと思うのであります。その意味から、さらに輸出所得控除限度を引き上げ、輸出準備金制度を設けられますとともに、当初申しました海外市場開拓、つまり貿易商社海外に、いい支店を持って大いに活躍させるということの必要性から、海外市場開拓準備金制度、あるいはこれを損失金に認めるといったいわゆる準備金制度を設けていただきたいのでりあます。また特に、今日の地方の財政上からは非常にむずかしい問題ではありましょうが、地方税事業税等におきましても、輸出に関しての特例を十分認めていただきたいと考えるのであります。  もう一つ国内でできますことは、保険制度でございます。この保険制度につきましては、従来の短期輸出は、戦前の豊富な経験から参りまして、戦前輸出補償法の伝統を継いでおりますので、歴史が非常に古いのであります。現在の保険体制イギリスに次いで整備いたしておりまして、各国に劣らぬ制度はできておるのであります。しかしながら、先ほど申しましたように、終戦後は貿易態勢が非常に変って参りまして、いわゆる投資輸出、長期の輸出というものが出てきた。この投資的な輸出に対する保険制度はまだはなはだ不完備でございます。従いまして、この点におきまして、さらにいろいろ在外支店維持保険でありますとか、海外投資保険といったものを設定されるとともに、さらに包括保険制度をもっと活用していただきたいのであります。この保険制度について、一つの大きな隘路でございますのは——保険制度というものはもちろん独立採算制でなければなりません。われわれも独立採算制に反対するものではありません。保険独立採算というのは、保険制度を長くやっていく間の独立採算でございます。今日大蔵省がやっておりますような年度々々、つまり会計年度ごと独立採算でやったかどうかということを検査して、そして赤字が出ていれば翌年度において保険料を上げるというような措置をとらそうとしているような態勢では、通産省はなかなか弾力的には運用できないのであります。保険制度運用は特に弾力性を持たせる必要がありまして、危険なる地域に対する輸出と見れば、直ちに保険料を高くするとか、あるいはもっと保険の金額を大幅に認めてやるといったような、いろいろ弾力性を持たせなければならない。この弾力性の最もよく認められておりますのはイギリスであって、外国ではほとんどできないようなふうに運用されております。日本ドイツがこの点におきましては非常に提携的になっております。なお、輸出保険の活用につきましては、経団連の六月の雑誌に東京銀行の杉原君が非常に詳しく書いておりますので、お読みいただきたいと思います。こういう点で保険制度運用面におきまして特段のお考えおきを願いたいと思います。  その面におきまして、なお、特産品、いわゆるミシンだとかあるいは真珠といったようなものにも、いろいろな問題が今日出てきているようであります。また、日本自体といたしまして、われわれ常に主張しておりますのは、日本独自のデザイン、つまり日本の三千年来の伝統ある日本独自のデザインを、インターナショナルマインドの人がこれを見て、向う事情に合うようにして輸出をしたならば、必ず伸びるということをわれわれは確信しておるのであります。常に日本海外デザインを模倣して輸出している。そういうばかなことは早くやめて、日本の独自のデザインを、つまり地方的にいろいろ特異なものがあるが、これをもっと取り上げて、インターナショナルマインドの人がさらにこれに工夫を加えてやるというような施策の助長を政府側で考えて、あるいは立法化していただけばなおけっこうでありますが、そういうような点におきましての振興をはかっていただきたいということが私の要望でございます。  時間が過ぎましたので、この辺で終りたいと思います。
  4. 前田榮之助

  5. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私は三菱商事の社員でありますが、同時に日本貿易会の方の常任理事もいたしております。きょうは多分に私の個人的見解が主になると思いますが、さような意味合いでお聞き取りを願いたいと思います。  貿易振興につきましては、今日御承知のように世界各国振興策自体についてしのぎを削っているというふうな現状でありまして、ことにここ一、二年来世界市場はあらゆる農産物と商品であふれ切っている。こういうむずかしい環境にあるので、各国ともにどうして輸出振興しようかということについてあらゆる秘術を尽しているのが今の状態だ、こういうことだろうと思います。ところが、われわれは外国からよく責められるわけですが、こういうことをしている、ああいうことをしている、日本不正輸出競争をやるとか、あるいはこういう補助があるとか、いろいろなことを言って日本だけが責められる場合が多いのですけれども、現実には、御承知のように、オランダにしても、デンマークにしても、それからヨーロッパ各国ドイツフランスイタリア、ベルギー、さらにトルコ、アメリカ、あらゆる国が、それぞれの形において、ある国はごく初歩の方法で、たとえば海外市場開拓費政府が負担する、あるいは宣伝費を負担する、見本送付費を前渡しするとか、輸出商品取引税を払い戻しするとか、あるいは所得税法人税を緩和するとか、形は違いますけれども、それぞれの方法で何らかの形でやっているわけです。南米のブラジルももちろんその一つであります。諸外国でやっている内容はわれわれには調査しないとなかななかわかりにくい点がありますが、こちらのやっている点は、どういうものか相手方は非常によく知っている。それで自然われわれの方だけが非難を受けがちになっておりますけれども、しかし、振興策自体については、程度に多少の違いこそあれ、各国しのぎを削り、頭をしぼっているという現状でございます。  ところで、実際の貿易面につきましては、遺憾ながら、今日までのところ、戦後の日本回復力というのが非常におそいスピードを見せております。たとえば、昭和十二年を一〇〇としますと、昭和十二年の一〇〇に対して英国は一昨年度輸出が一四九になっている。西独は一五五に上っている。フランスといえども一七一、これは相当に上っております。イタリアのごとき国は一二五、アメリカは特別で二四〇、日本は、これらの国に対して、昭和十二年を一〇〇としますと、わずかに三〇、ただし昨年は少しよくなっておりますから、国際収支の面におきましては特需がありますけれども、これを考慮に入れましても差引約一億ドルの受取勘定日本はなっておりますから、指数にして四〇になっております。よかった昨年度でなおかつ四〇、こういう回復力しか示しておらないわけであります。もちろん、日本の場合には、ほかの国々と違った特殊な事情があることは明らかでありますけれども、それにしましても、いろいろ各方面で力を合せて一生懸命やっているにもかかわらず、なかなかスピードがおそい。こういうのが現状であります。こういうことになってきますと、できもしない貿易々々ということに頭を使って、あるいは金を使ってやっても限度がある、これは見込みないのではないか、そういうことをするより、できるだけアンバランスを解消するために輸入を減らし、そうして国内自給力を増して貿易依存度を低くする方が、結局は日本全体としていいのではないか、あまり貿易に将来も期待して熱を上げていくことは、差引不利益になるのではないか、こういう考えも必ずしも出ないわけではないと思うのでありますが、しかし、そうすることは、結局、国内に対して需給の調節をはかるために相当の投融資が行われましょうし、その結果国内の価格つり上げということも起ってくるでしょうし、形だけは収支はとれるかもしれませんけれども、国民の全体の生活水準が総体的に非常に低下するという基本問題に触れてくるだろうと思います。現に貿易も、また目を変えて見ますれば、悪いことは悪いのですが、大体一年に十二、三億しかできまいと思っていた昨年は、先ほど申しましたように十七億に輸出が伸びたわけです。これには伸びた理由がそれぞれあることはあるのですが、それにしてもせいぜい月に一億ドルぐらいの平均で、十二、三億ぐらいが山じゃないだろうかと思われていたところが、総力を結集してみますと、ともかく十七億ドルまで行った。これに特需の六億を加えれば二十三億で、輸入二十二億に比べて一億の受取勘定が残った。こういうこともありまして、やはりやり方によってまだまだ伸張し得る余地はあるように思われます。  のみならず、貿易依存度をよそのある特殊の国のまねをして減らして、そうして形式的に国際収支のバランスをとるということは、どうしてもこれは根本的に実行不可能であります。こういうことがありますから、積極面から見ましても、消極面から見ましても、もうこの際貿易立国ということを基本の政策にしまして、それぞれ施策を進めていただきたい。もちろんこの問題は、ずいぶん前からわれわれもたびたびこちらへも上りまして、貿易業者立場から、たとえば貿易輸出手形の優遇措置とか、商社強化措置とか、金利の低下をお願いするとか、個々の金融面、立法面あるいは貿易振興費という予算面については、いやというほどお願いし続けてきたわけです。従って一つ一つのそういう貿易振興策については、おそらく今日はもうすべてが出尽しておることと思います。いろいろ批判はありましょうけれども、すでにその立法措置も講ぜられており、それから予算面にも一応現われており、また今後こうしようということもあるわけでありますが、ただ、私が考えますのに、結局こういう個々の措置が個々の違った機関でやられるということから起る時間的のギャップ——先ほども申しましたように、今日の貿易振興策はまさに振興策自体競争なんですから、せっかく昨年度十七億の輸出ができても、ちょっと手をゆるめたら、すぐに侵略されてしまうというふうな危ないせとぎわにあるわけですから、それらの政策が、金利一つ下げるにしても、金利体系が乱れて工合が悪いとか、日銀あり、通産省あり、その他いろいろありで、なかなかこれがきまらない。結局はやることがちぐはぐになって時を得ない。今日までこういうことの連続で、それらのことは着々と実行には移されつつありますけれども、まだそのスピードが足らぬと思うのです。そうして国内の各産業の合理化、国際水準まで下げるとか、貿易業者自体は貿易業者として商社の強化をはかっていくということもありますけれども、商社の場合は、ぐずぐずしているとつぶされるという天罰が、自然的に、だれも運動しなくても当然起ってくる。しかし、これらの施策機関については、その辺の責任の所在がはっきりしない。少しぐらい時期を誤まっても、だれが一体責任者なのか、どこが責任を負う機関なのか、そういう功罪がはっきりしない場合が多いわけです。  これはちょっと話がそれますが、日本のこういう非常なハンディキャップを持っておる国で貿易をやっていくということは、非常に特殊の訓練、技術が要るわけです。たとえば、極端に言えば、アメリカ人にしても英国人にしても、これはよく言われることですけれども、彼らはニューヨークにすわっていてワシントンで商売しあるいはフィラデルフィアでやるということとそっくりそのままを、われわれ日本に対してやればいい。国内取引でも貿易でも、一つも彼らは特別の知識を必要としないわけです。使う言葉は全部英語であるし、信用状その他のことも自分の言いなりほうだいです。こまかいことを言いますと、日常のタイプライターを打ち直す必要もありません。そっくりそのままが通用する。ところが、われわれは、国内ではこういうことをやる、それが一たび貿易をやるということになると、全部言葉を違えていかなければならないとか、物を一つ動かすにも、事務自体だけで非常なハンディキャップがあるわけです。そこへ持ってきて三百六十円という問題があります。こちらは商売をする上において絶えず不安におびえ、向うはドルなりボンドの売りっぱなし、買いっぱなしですから、国内で商売をやっているのとちっとも変らない。ところがわれわれは円で商売をやらなければならぬから、常にそういう工合に問題がついてくる。貿易自体のむずかしさのほかに、実に目に見えない事務上のむずかしさも伴ってきております。こういう国がハンディキャップを持ちながらほかの国としのぎを削らなければならぬということですから、もう個々のどういうことをやっていただきたいということでなく、商社はやらなければ自滅ということになってくるんですから、商社の方は商社の方として当然やっていくのですが、そろそろ——貿易振興は国策であるということは言うまでもなくわかっているわけですけれども、それをはっきり形でも打ち出した方がいいのではないか。各官庁がいろいろ企画、立案、実施に当る場合に、それぞれが委員制度でやっていけばできるのではないか。大蔵省なり通産省なり農林省怒りあるいは経済審議庁に、それぞれの委員なら委員通産省自体にもそういう形がたくさんあるのですから、それを活用してやったら事足るのではないかということもありましょうけれども、今日の貿易体系を初め金利体系すべてがあまりに複雑になっておりますので、この国策として口に唱えるばかりでなく、いろいろむずかしいことがずいぶんあると思うのですけれども、結局、今日の段階に来ますと、そういうことはもうどこの党派とかそういうことでなしに、やはり一つの特定の機関を作る。弊害もまた出てくるかとも思うのですけれども、今よりはかえって簡素化されてくるのではないか。そうしてその点を名実ともにはっきりしていかないと、ただそのつどに個々の話題、たとえば金利の引き下げとか輸出検査制度をどうするとか、そういうことにかかずらっておっても、常にちぐはぐが起りがちだということが証明されたのでありますから、やらないよりはけっこうですけれども、そういうことを全部やっていくというような特殊の機関、政府機関を設立して、それを強く実施する。いわば輸出振興ということを国民全体の精神運動ということにしないと、昨年一回の程度で、今こういう工合の足踏みでは、このむずかしさは乗り切っていけないのではないか。そういう機構さえできれば、果して二十三億の昨年の実績が二十五億、三十億になるかということは、やってみなければわかりませんけれども、少くとも今までのことの繰り返しよりは実益があるように思われます。  私の申し上げたいことは、大ざっぱですけれども、そういう基本の線について、ぜひわれわれの方でしたことを逆に皆さんにお願いいたしたい、こう考える次第であります。
  6. 前田榮之助

    前田委員長 堀越参考人藤野参考人の陳述が終ったので、時間をお急ぎのようでありますから、お二人に対する御質問を受けることにいたします。通告がありますので、これを許します。帆足計君。
  7. 帆足計

    ○帆足委員 せっかくの機会でございますので、一、二のことをお尋ねして参考にしたいと思います。  貿易の問題は、御両氏が言われたように、外に向って日本選手を出すという考えをもっていたすべきであるという御所見に私ども全く同感でございまして、この委員会も、貿易と平和の問題については、党派の立場を越えて、また共通の問題をとらえて協力し合って、貿易振興するという雰囲気が強く流れておる次第でございます。  そこで、藤野さんにお尋ねしたいのですが、先ほどあなたのおっしゃった数字は、私多少間違いがあるのじゃないかと思ったのですが、いかがですか。
  8. 藤野忠次郎

    藤野参考人 国連の統計の数字であります。
  9. 帆足計

    ○帆足委員 ありがとうございました。ともかく、世界の平均が一六〇だというのに日本が三、四〇というのでは、そこに非常な隔たりがあるわけですから、この数字の実態を一般国民によく知らせて、島国と言われている日本がどれほど貿易に依存しておるかを知っていただかなければならぬ。いわゆるこの貿易も、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中南米、北アジアの全世界に依存しているわけで、その点貿易依存率の強い植民地を持っている英国と同等くらいに強い。しかも植民地のない国だから、いかに重要であるかということを私知っていただかねばならぬと思います。まだ現在でも日本貿易の国だということが過小評価されておるように思うので、藤野さんの御指摘の点もよくわれわれ肝に銘じて努力いたしたいと思います。  それから、もう一つは、中国との貿易についていろいろ問題がございますが、最近ココムもヨーロッパに近い水準にまで解除されたので、相当額の貿易が行われておることは御承知の通りでありますが、貿易の統制方式について、現在中日貿易会が組織されて、私現在の環境では非常によくやっておるように観察しておりますが、輸出入取引法改正案もできる今日、一体どういう統制方式にしたらよいか、これは慎重な考慮を要する問題だと思うのです。世間では簡単に公団ということもちょいちょい新聞で伝えられますけれども、私はそれはちょっと無理じゃないかと思っております。実際上は、商品別におのずからグループが結成されて、輪番幹事が取り扱っていくという制度もありますが、私は、こういう制度を多少公平に修正すれば、やはり業界の努力、経験、実績、相互関係などから、おのずからそういう方向に進んだらどうかと思っておるのです。  それで、中国との貿易について先日も大豆の発注を受けました。あれも十五、六社か多くとも二十社くらいならよかろうと思っておりましたが、七十社からの注文が来まして、それも一つの考え方ですが、五合ますを持って北京に大豆を買いに行くような結果となりまして、結局コストが高くなって、それを認めますと、実際上は眠り口銭みたいな格好になって参ります。貿易というものは一面競争であるし、他面協力し合わねばなりませんし、国全体としては、堀越さんの言われるように、選手を出したというような形でもありますから、中国との貿易輸出入合計八千万ドル程度で、これからぼつぼつというところでしょうが、多少の統制を必要とする部面も発生してきておるようですし、この問題について、日中貿易会の理事をしておられることですから、藤野さんの御意見をお聞かせ願えれば参考となると思います。
  10. 藤野忠次郎

    藤野参考人 中共貿易については、実はもうわれわれ頭を悩ましておる最中であります。ともかく何億という人が隣に住んで経済行為をやっているわけですから、その貿易の方式についてもいろいろむずかしいわけで、向う側は国家管理の形でやっておるし、こちらとは違うということがあるにしても、非常に大きな組織がつい隣で動いている。だからこれはよほど十分考えていかなければならぬと思います。どうも政治的な要素が非常に多過ぎる。私は今三菱商事に勤務しておりますが、将来どういう形がいいか、また現在八千四百万ですか、ああいうふうなことをやっていく上においてどういう形がいいかということにつきましては、あるいは御承知かと思いますが、大分以前に貿易会でもこれについて数回にわたって検討しました結果、特殊会社の設立あるいは公社組織、そういうものでなしに、商品別組合方式で行った方がいいだろうということになりまして、結局チャンピオンを出して経営の合理化をやる。これは貿易会においてももちろん必要でありましょうし、各産業においても当然必要でありましょうが、同時に、これと矛盾したととがお互いに多いのだし、弱い者を助け合って手をつなぎ合っていこう—こういう面では解決できない二つの相異なった要素がうまくやっていこうというのですから、非常に困っておるわけです。それで、現状の範囲において貿易会がどういう形で中共関係の貿易をやっていくかということについて、政府の方でもいろいろお考えがあるようですけれども、たとえば、ココムの問題でも、ソ連と中共とは相当区別しておるようですし、また禁止品目のワクも順次とれてきておるような傾向にありますけれども、必ずしも両者が一致しておるわけではない。しかし、現状に立脚して、これをどういうような方法でやったら一番よろしいかということになりますと、そういうこと以外にまだ私別段考えておりません。
  11. 帆足計

    ○帆足委員 ただいま、藤野さんから、業界の実際の体験から見て、公社というような形よりも、輸出組合というか、同業組合の商品別の方式の方がよかろうというお話でした。私も、従来の経験から見まして、大体そういう方向が穏健着実でよくはないかと存じますが、今後問題が進みましてからまた御意見を伺うことにいたします。  もう一つ堀越さんにお尋ねしたいのですが、今国際的には自由世界の中に日本政府としては足並みをそろえておりますので、財界もまたおのずから保守に傾くわけでありますから、その政策をおとりになることは、これは自然なことだと思うのです。しかし、国際連合なり、アメリカイギリスフランス等がパリでココムといろ委員会を作りまして、この程度のことは万国通商の自由として認めたがよかろうということで、英国も中国を承認しておりますし、そこでココムで許された範囲の品目があるわけです。硫安などはその中で最も有望な品目であります。従いまして、自由世界で認めております貿易については、日本貿易業者が気持よく、こそこそでなしに、合理的に貿易をして一向差しつかえないのではないか。そのルールすらが非常にもやもやいたすということは、国際連合の決定がもやもやするというようなことと同じで、世界の外交を暗くするゆえんでないかと思うのです。従いまして、ココムを緩和するということも一つの説でしょうが、まだこれは実行に移されておりません。現在としては、ココムのワク内において認められた貿易は明朗にやって差しつかえないのではないかと思いますが、台湾政府その他からの多少の干渉がましいことがありまして、また業界もそれを非常に顧慮いたしまして、仕事がやりにくくなっておる状況であります。現在中国との貿易相当額になっておりますが、日本全体の貿易からいえば小さいものでありますし、また過去において非常に大きなときでも二、三割でございますから、中共貿易だけで何もかも解決するということを主張する人もいないでしょうが、中国貿易に期待し過ぎて、ヨーロッパとの貿易、東南アジア、南北アメリカとの貿易を過小評価するようなことであってはならない。これは言うまでもないことで、中国との折衝を常に念頭に置きながらいたさねばならぬ。それは日本貿易が物理的に全世界に依存しておるということから来ているものでございます。しかし、それにしても、硫安の輸出などは非常に有望なものでして特に硫安輸出の見返りとして大豆、飼料、米が中国から相当安くかつ大量に買い得るとしたならば、私は、硫安の輸出のごときは、現段階において一番中庸を得た貿易一つじゃないかと思うのです。その貿易は、中国側では二十万トンくらいことし楽に買おう、値段も国際値段より多少有利に買おう、見返りは大豆と米があげられておりますのに、これに対しまして応じておりますのが三社だけ、日産と日水と別府化学だけがこれに応じておりまして、他の硫安会社はいろいろな事情取引関係等のために遠慮しておるというような状況になっております。もちろん台湾と日本との関係は非常に長い取引関係でございますから、単にイデオロギーの問題だけから起っていることでなく、古い取引筋を削ることはできません。しかし、政府の方の割当が十数万トンも中国に出し得るとすれば、三社だけでは七、八万トンぐらいの輸出余力よりなかろうと思いますので、あとの数万トンは三社以外の商社が出すというのでなければ、これは円滑に参らないと思うのです。  こういうことにつきまして、やはり世論の重要な因子であられる経団連等において、もう少し理解ある立場で時を得たごあっせんを願えば、円滑に参ると思うこともたびたびあるのです。先般中国から参りましたときも、二十万トン以上の硫安を数カ年間計画的にかりの取りきめをしてもよいというようなことが出ておりましたが、硫安工業は、今後他の化学工業とともに輸出工業として再認識する必要があるのじゃないか。これは単に北アジアだけではなくて、東南アジアの農業が進歩し、また農業が改善されていくにつれまして、電気化学工業のもとで日本の化学肥料の需要が増加する傾向にありますし、最近は尿素のようなさらにすぐれた肥料も出て参りまして、どうしてもアジア十数億の人口、アジアの大地、農業ということを考えますと、中国の問題はその一環にすぎませんが、それを含めて非常に大きな問題ではないか。中国の需要をも加えまして、全東南アジアにおける日本の電気化学工業に対する需要という観点から——繊維工業ももとより重要です。繊維工業は今多少落日の光を浴び始めて、これから転換の試練に耐えていかねばならぬ段階が来ると思います。それにしろ、やはり衣食住の衣でありますから、繊維工業の貿易における比重は依然として非常に重要でありますが、新しい進路として注目されるのは何といっても化学工業だと思います。先日使節団が参りましたときにも、こういう問題についてはだれか適当な人がもう少し突っ込んで話し合えばよかりしものをというように思いました。堀越さんから、先ほど、中国貿易も適当な範囲においてはやはり注目すべきであるという御発言もありましたので、こういう問題については、経団連の方で時局を刺激しない範囲においてもう少し適当な御理解があれば、国民経済全体にも非常に有利なことではないかと思われますが、お考えのほどをお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  12. 堀越禎三

    堀越参考人 私は、共産圏との貿易問題については、伸ばし得るところは伸ばすべきだと思います。ただいまの御質問は、経団連ももっと中共貿易に熱を入れたらどうかという御質問のように伺ったのでありますが、われわれの考えておりますところでは、とにかく現在は日本貿易の大部分が自由諸国との貿易でありますので、従って、自由諸国との貿易に傷のつかない、影響を及ぼさない範囲における共産圏との貿易は、われわれとしても、何らちゅうちょすることなく、大いに歓迎いたしておるところであります。しかし、非常にデリケートな問題でありますので、われわれといたしましては、その政治的な面の判断がつかない限りは動けませんし、さらに、先ほど帆足さんがおっしゃいました硫安のごとき問題は、業者の個々の一つ取引上の問題でありますので、これは長年経済団体事務局長をしておられた帆足さんとしては十分御承知だと思います。これに対しまして、私は、どうもわれわれとしてどうするという手だてを持っていないということでございます。
  13. 前田榮之助

    前田委員長 加藤清二君。
  14. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 ただいま藤野さんから輸出振興状況のパーセンテージを聞きましたが、実は私も、戦後海外に出まして、日本の綿製品の三桃が諸外国のデパートなどに並んでいる様子を見て、はるけくもよく来てくれたものだなあと思って、デパートのショーウインドーにしがみついた記憶を持っておりますが、交通がスピード化されたこと、商品が向上されたこと、それから平和が継続される以上は貿易の進展は一そう拍車をかけられることと存じます。それについて、日本貿易世界貿易状況についていかれないという理由はいろいろあると存じますが、やがてその一つであるところのガット加入も解消の運びになるというお話であり、私もさような見通しをつけておりまするが、そのガット加入について、今のお話によりますと、免税措置をすることと、それから輸出保険制度運用をうまくやってもらいたいという御希望があったように承わったわけでございますが、私は、それに加うるに、為替制度を再検討する時期に到達しているではないかと考えます。一例を申し上げますと、外貨の国内における割当先の問題です。貿易の実権は、何と申しましても、今日の状態では外貨を握ったものが持つ、こういうことになっておるようでございますが、これがいわゆるあなたのおっしやいました船主が持つのでなくして、船主を養成すると申しましょうか、船主を作る側の国内の方に重きを置かれておるようでございます。またかりに一時持たされたといたしましても、それは片道であったり、あるいはバーターであったりして、戦前のように、あるいは諸外国がすでに行なっておりまするように、スイッチができないような状況に相なっている。これが日本貿易進展にある程度阻害を来たしているではないか、かように思うわけでございます。そこでこの点について、もしこの制度を改革するとしたならば、どのような御希望を商社側としては持っていらっしゃるのかを承わりたいのでございます。この点についてはすでにかって水上さんにこういう席で承わったことを記憶しておるわでございますが……。  その次に、もう一つ、どうしても貿易振興する上に当って私が必要だと考えます点は、商社信用の増大ということではないかと存じます。戦後日本の経済について政治面がいずれの点を援助したかとながめてみますと、終戦直後には大体金融面に相当の政治的な援助が行われておったようでございます。やがてその総本山の方は法皇という名前までごちょうだいなさったようでございますが、金融引き締めを口にするところの銀行は、自分の店舗を拡大するに当っては相当の消費投資をやっていらっしゃるようでございます。ところで、その次に行われたのは、工場に対する援助ではなかったか。つまり資本蓄積の美名のもとに盛んに工場投資が行われた。これはけっこうなことでございます。ところがここに、貿易を考える場合には、貿易参加者のうちの商社側が、どちらかというと置き忘れられていたような感がいたすのでございます。商社信用の増大はすでに着々行われておるようでございますが、分散したものを合併するだけでは必ずしも十分とは言えない。今ここへ来ていらっしゃるようですが、飯田高島屋さんと丸紅さんが合併なさっただけでは、これは十分功績を上げることはできないのじゃないか。この商社信用の増大につきましては、相当政府側としても打たねければならないところの具体的措置というものがあるように思いますが、これについて、そういうことはしてもらわぬでもいいのですか、それとも、もしやってもらいたいということであれば、具体的に手っとり早く現状においても手のつけられる点はこれこれであるというようなことがございましたならば、これも商社側から承わりたいのでございます。  次に、もう一点といたしまして、諸外国と比較してみて考えますることは、海外公館にエキスパートを送る必要があるではないか。そこに前田さんが来ておられますが、前田さんも海外公館におられて、私もずいぶん御厄介になったことを記憶しておりますが、前田さんのようなエキスパートはいいとして、およそ機械のことやあるいは商品の知識の薄い、外国語とダンスの上手な方だけがいらっしゃるようでは、イギリスドイツのようなあの公館には太刀打ちができない結果が生ずるではないか。この点は私はもうすでに長年にわたって政府に要望してきたところでございまするけれども、少くとも海外公館に通産省なり外務省でおよそ貿易の知識をたたき上げた人をもっと数多く送る必要がありやいなや。もしそのことが予算的にできない場合においては、商社のエキスパートを、せめて政府の顧問とかあるいは海外公館の顧問というような肩書きをつけて、もっと有利に諸外国との競争をし得べく措置する必要があるではないか、かように考えておりまするが、貿易を一そう進展させるに当って、このようなことは不必要でございまするか。それともやった方がよろしゅうございますか。商社側のお方が三人さんそこにおそろいのようでございますから、どなたさんでもけっこうでございますから、一つお教えを願いたいのでございます。
  15. 水上達三

    ○水上参考人 私、まだ御指名がなかったものですから、まだお話しておりませんが、今の御質問だけにお答えいたします。  まず、外貨の商社割当、これはもちろん私といたしましては当然商社に割り当てるべきである。というのは、言うまでもなく貿易一つの、国際的ではありますが、商売であります。ですから、商売する者がお金を持たないで仕事をする、物を買ったり売ったりするということは、私はちょっとあり得ないことだと思うのです。珍現象だと思うのです。これは、もちろん、私どもは、今までの日本の過渡期の時代におけるやむを得ざる措置でこうなっているものと了解しておりますから、やがてだんだんと改善されていくものと考えてはおりますが、これを、たとえば、先般来特に問題になっております紡績の問題、それからそう大きな問題になっておらないようでありますが、しかし日本としてやはり大きな問題であると思われる——羊毛もそうですし、砂糖もそうですが、それぞれ必要の設備の何倍かの設備を今持っておると思いますが、これらの設備を基準にして、しかも老朽の設備であろうが、非常に新鋭な設備であろうが、おそらく一トンの能力は一トンと査定されて、その上に算術的に割り当てられた外貨を持っていってやるというのが現状じゃないかと思うのです。従って、こういう不合理な問題、しかも国民経済的に見ましても非常にまずい結果になっておるということだと思いますから、やがてだんだんと直っていくと思うのです。そうしますれば、貿績の操短、買い上げというふうな問題も、そう深刻にならないで済むという理由も一つここにあるんじゃないかと考えます。  それから、商社信用の増大の問題ですが、これは、私は後ほど御指名のあった場合に申し上げようと思ったのでありますが、これはまだ、私は、日本貿易会の常務理事としましてお手元に差し上げてあるようですが、正式な手続を経て意見をまとめておるわけではありません。私の個人的の意見でございますが、大体の方は御賛成だと思いますので、申し上げるのであります。貿易業者というのは、先ほど堀越参考人からも申されたそうですが、やはり対外戦士ですから、この戦士を登録しておくということがやはり必要じゃないかと思うのです。そういう意味で、私は貿易業者の登録制度というものをぜひ日本は実行しておいたらどうか、こういう考えをかねがね持っておるのでございますが、いろいろの関係でこれを外部に積極的に推進していくのを今まで控えておったのであります。最近、アメリカ初め各国に対しまして、ダンピングの問題とか、いわゆる一連の不公正取引——イギリス人がよく指摘しますアンフェア・コンテストということを言われるのですが、こういう問題がいろいろ起っております。具体的に例を申し上げますまでもなく、皆さん承知だと思いますけれども、たとえばいろいろのカン詰の問題とか、合板、ベニヤ板とかの問題とか、そのほかいろいろダンピングではないかと向うから疑われまして、向うからいろいろの調査団あるいは調査員などが来ておる実例が最近でも相当ございます。こういうものを今のままほうっておきますと、だれがやったかわからないというわけじゃありませんけれども、非常に国内の、ことに国際的の貿易をする仕事でありますから、内部の貿易業者の戸籍といいますか、そういうものがはっきりしておりませんと——これはたとえがちょっと悪いのでありますが、警察で言うと一つの何か戸籍のようなものになる。ですから、日本の将来のために、今貿易業者にはこういう貿易業者がおって、どういう仕事をしておるということをはっきりさせておく必要があるのじゃなかろうか。これは今すぐには役に立たぬだろうと思いますが、三年、五年と年を経るに従って、いわゆる貿易業者の戸籍簿になってそれで、たとえば先ほどお話の出ました外貨の商社割当の場合にも、そういうものが非常にいい参考記録になるというふうなこともあるかと思います。また一面、今大蔵省、通産省などで統計を出しておりますが、そういうものの集計の助けにももちろんなる。日本の将来の貿易の非常に大きな重要な参考資料になるのではないかということも考えますと、ぜひこれはやられたらどうか。帆足さんが非常に熱心に言われる中共貿易なども、一体、中共貿易に対して、どういう人が、どれだけの実績と経験を持って、どれだけの規模でやっておるのかということも、こういうものができ上りますと非常にはっきりしてくる。しかし、これをやらないと、いつまでたってもできない。だから、先のことを考えまして、ぜひこれを実行するように、取引法の改正などの際にぜひお願いしたい、こう思うのであります。  最後に、在外公館にエキスパートを置いたらどうかということでありますが、これはもちろん問題ございません。しかしながら私どもも要望し、国民もすべてがこれを要望しておると思いますけれども、できないのは予算の関係じゃないかと思います。人は相当おります。適材は探せば相当おるのであります。しかしながら予算の関係でいつもこれは削られる。私は今年は従来にも増してふえると思っていたのですが、今年は今までの傾向に逆行しておるように伺っておりますが、これは非常に間違った方向へ進んでいるのではないかと思うので、ぜひ改めていただきたい、こう思うのであります。  それから、スイッチ貿易のことでありますが、これは従来スイッチ貿易はやっております。今もこれは禁止はしておらないわけです。ただ、御承知のように、スイッチ貿易というのは、一口に言いますと国際貸借のアンバランスを調整してやるわけでございますから、そこで理屈はできるのですけれども、つまり有利でなければだれも買いませんし、売りもしませんから、そういう点で値段とかなんとか出会う機会が非常に少いという点はあるのですね。また特にそういうアンバランスを持っている国が、それに対して手数料を国で取る、そういうふうなことがあります。たとえばインドネシアに今日本が二億ドルになんなんとする不良債権を持っておる。これらを何かの機会にくずしたいというのは、国もわれわれも考えておるわけですが、なかなかそれを実行していくのに値段の点でできない場合があるということが間々あるのです。ですから、これは今別に禁止しておるようにも聞いておりませんが、ただ、物によりまして、たとえば生糸なら生糸のようなものをヨーロッパのある国を通してやるというふうなことは、生糸のニューヨーク市場における打撃ということを考えて、そういう意味からあまり歓迎しないということはあるかと思います。
  16. 前田正男

    前田(正)委員 時間もないようですから、御意見の点は後ほど伺うとしまして、ただいま藤野さんの方からわれわれに要望があったようでありますから、その点についてちょっと聞いておきたいと思うのですが、先ほどの御要望で、貿易に対する特別の役所か官庁のようなものを設けたらどうかというような御要望があったように思うのです。これは、現在の通産省は、通商産業ということで、通商をまとめていくことに主眼を置いたようなつもりで「通商」とついているらしいのです。昔は貿易庁という組織があったようですが、これらの組織が、実際仕事を担当しておられる藤野さんの立場からでは、不十分なところがあるから、そういう御要望があったと思うのですが、新しいそういう官庁を作るとすれば、現在の通商産業省のどういうところに置くか、前の貿易庁のようにするのか、そういう考えがなければ、現在こういうところに欠点がある、貿易庁にはこういう欠点があったから、そういう欠点のないようなものにしてほしいとか、ある程度の構想をお持ちであったならばお聞かせ願いたい。同時に、その貿易を所管する官庁ができました際に、先ほどのお話で、中共貿易に対してはある程度組合でやったらよいじゃないかという意見があったようでありますが、同時に、その官庁ができましたならば、この中共貿易の計画的な半統制的な調整権というものをその官庁に与えるべきかどうか。この二点について一つお聞かせ願えたら幸いだと思います。
  17. 藤野忠次郎

    藤野参考人 現在もちろん通産省が主として貿易行政をやっておるわけでございまして、通産省の権限内で行政措置を講じられる部分が相当あるわけでございます。実際問題としまして、たとえば先ほどからお話がありました硫安を一つ例にとりましても、硫安の輸出ということになって、常に通産省は、ある程度の輸出力があるという結論に達した場合に、国内需給の関係から農林省と話がうまく行かない。もちろん、一つ官庁あるいは特殊機構を作った後といえども、そういうことは起るはずなんです。しかし、そういう意見の食い違いが外部の業者あるいは外国側に漏れる前に、そういう機関で調節ができるだろうと思う。そういう問題は硫安に限ったことじゃございませんで、ほかにもちょいちょいあるわけです。ある場合には大蔵省、ある場合には主食なんかの場合には、厚生省なんかが関係する場合もあります。それぞれ総合力に立つことはもちろんですけれども、そういうことで右往左往してわれわれが一々あっちこっちに当って時間の空費を重ねるということでなしに、先ほど水上さんが言われましたことも、業者として別段政府にお願いするということじゃなくて、あの場合には、貿易業者自身も、力をつけるために安い金を貸してくれとか、あるいは特殊の保護を講じてくれとかいうわけではなくて、業者が進んで自分でできることをやろう、身元をはっきりして、みずから登録をして、そうして自分の力でできる範囲で行儀よくやっていこう、こういう空気があるわけなんです。どこの官庁がいいとか悪いとかいうことではなく、現実に起っていることは、そのために空費されている時間がそれぞれの立場の相違から当然起ることとは思うのですけれども、そういう機関なり一つの組織を作ればもう少し濾過されていく。一つの方針として出てくる。そうでないと、それが一々新聞にも出ますし、一々買手の外国に筒抜けになっておるわけです。それは貿易振興策についても同様なことでありまして、われわれも、現に、オランダがバーターに対してどの程度のことをやっているかということを調査してわかるわけなんです。これが一般常識にはわかっておりません。しかし日本でやっていることはみんなわかっておるわけです。結局そういうことがあらゆる形で発表されてくればわかるのだと思いますが、勝負——やはり一種の勝負ですが、勝負をする場合に、こっちの手を見せて向うの手を見ずにやるわけですから、やはり輸出で損して輸入で損する。それを少しずつ、できるところから、そういう芽をつまんでいこうじゃないか、こういう考え方です。官庁一つ貿易庁というのがありましたけれども、ああいう組織がいいのか、あるいは特殊委員会みたいにしてそれに権限を持たしてやるのがいいのか、その辺のところはわれわれにはわかりませんけれども、民間でできる部分、政府でできる部分があるわけです。お互いに自分のやることをやる。政府側にもそういうふうなことは適当に何か名案があるんじゃないかというふうに考えるのです。  それから、中共貿易に対しまして計画性と調整権を与えるかどうかということは、やはり中共貿易自体が、帆足さんからさっきお話がありましたが、今日本はココムでああいうふうなお許しを得た範囲でやるのは当然じゃないかと思います。やはり統制、計画経済的になっていけば、もう勝手に一商品一地域だけのことでは貿易ができなくなってきますから、自然にそういう機関なり官庁なりがある程度の干渉、監督をしていくということはやむを得ないと思います。  それから、あなたの御質問からちょっとそれると思いますが、その前の御質問ですが、日本貿易は昨年は差引一億ドルよかった。しかし、これをしさいに検討してみますと、ドル地域はアメリカを主として、わけて考えてみますと、ポンド地域の輸出は多かった。しかし、ドルの方は、片一方で売る物がないから、全体の帳じりは一億ドルの利益になっておるような形をとっているけれども、アメリカに対しては五億ドル近いマイナスになってしまった。戦前は、こちらから主として生糸が出まして、そして綿花を輸入する。これとこれとで大体パーパーになっていますから、バランスがとれていた。しかし、戦後、中共その他を失ったために、食糧とか鉄鋼とか石油等いろいろなものをアメリカにスイッチしたために、アメリカからそういう物が入ってくる。そこでバランスが非常に悪くなった。そうしますと、日米間の貿易はマイナスばかりが年々大きくなります。一方、ポンドの方は輸出があるから、ポンドとドルとの交換、もちろんスイッチ・コミッション——スイッチ貿易もやっておりますが、コミッションを取られる。その問題は、日本がそういう立場に置かれていると同時に、ブラジルもヨーロッパ各国もそうなのです。従ってダラー・ギャップの問題は日本だけの問題じゃございません。最近ではブラジルが日本に劣らず相当苦しい立場に追い込まれてきておりますし、ヨーロッパの小さな国がみんなそういう傾向にありますから、アメリカが何とか自分で考えてやってくれるんじゃないかと思うのです。そしてこちらがいろいろ意見を出して、ああしてくれ、こうしてくれという圧力がまだ足らないのじゃないかというような考えがいたします。
  18. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 別なことで一点お伺いいたします。実は外貨割当の問題でございますが、商社側の意見を聞けば当然商社に割当すべきだ、それが本筋だとおっしゃることは、これは自然の理だと思いますが、もしそうなったとした場合に、一体いかなることを基準に割り当てるいいかということが問題になるのではないかと思うのです。たとえば経営陣の手腕を主体にするか、あるいはその会社の資本金によるか、あるいは過去の実績によるか、もし過去の実績によるとするならば、その実績は戦前であるか戦後であるか、あるいは戦後の何年間をとるかということによって、ことに相当な争いも生ずるでしょうし、また伸びるべきものが伸びなくなるではないか。そこで、商社割当にしてもらいたいとおっしゃる以上は、そとに何らかの考え方があってのことだと存じまするので、割当されるとした場合の基礎を一体どこに置くと最も妥当かつ公平にして輸出振興に寄与することができるか。輸出振興に寄与するために外貨割当を変えようとするのでございまするから、寄与しないということであれば、これはもう何をか言わんやでございますので、その点をできたならば少しお漏らし願いたいと存じます。  それからもう一つ、先ほど堀越さんのお話ではなかったかと存じまするが、輸出入取引法、いわゆるカルテルを完全に戦前通りに解消してしまった方が貿易をする場合にはなはだ好都合である、こういうお話がございましたようですけれども、私は、これは日本の経済の現状から言って必ずしもその時宜を得た言葉ではない、時機尚早であると考えるのです。その実例を申し上げますると、カルテル行為をある程度許し認めたがゆえに、せっかく伸びるべき輸出が伸びなくなったという実例を、昨年の中共貿易に対する一番王座の人絹糸で、業界の方々は痛いほど御体験のはずでございます。この点一体どのようにお考えでいらっしゃるのでありましょうか。また最近にこの例をとってみますと、すでに、公取委の輸出入取引法の違反等、一部から非難されておりますトルコ貿易、この商社を限定されたはずでございます。ところが、その限定された中に入っていらっしゃる方がきょうはほとんど来ていらっしゃるようでございますが、これがどうしたもののはずみか、あの協定の数字になかなか追いついていけない。もちろん、その理由は、トルコ国内におけるインフレの高進の速度が早過ぎたとか、いろいろ理由はあるでございましょうけれども、一部その仲間へ入れなかった方々から言わせますと、必ずしもそうでない。それに対する意欲がないんだ。権限だけは取ったけれども、意欲がないから行けないんだ、こういう陳情がすでに政府側へも、通商局へも、外務省へも行われているようでございます。そこで、これも七社と限定されずに、もそっと輸出入に対して日本が不利をこうむらない程度に限定する、つまりワクを七社でなくてもっと広げておいたならば、きっと有利な輸出ができたであろうにと想像されるわけでございますが、こういう状況下においても、なお輸出入取引法の制限は直ちに撤廃したがよろしいとお考えでございましょうか。あるいは、これは徐々に行くべきものだと私どもは考えておるのでありますが、その考え方は間違いでございましょうか。この点を堀越さんにお尋ねしたかったのですが、いらっしゃらないようでございますから、経団連に関係のあるお方、どなたでもけっこうでございますから、御答弁いただきたいと思います。
  19. 前田榮之助

    前田委員長 その点は、経団連のあとの方から御意見を述べられるときに、一緒に加えていただくことでいかがですか。
  20. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 けっこうです。前段の外貨割当については……。
  21. 前田榮之助

    前田委員長 それも水上参考人から一般論を述べていただく中に加えて答弁していただきます。水上参考人
  22. 水上達三

    ○水上参考人 大体重立ったことは前のお二方がお話しでございますが、私が特に申し上げようと思った点は、実は先ほど申し上げました貿易業者の登録制の問題を申し上げて、皆さんの御理解と今後の御支援をいただきたいと思ったんです。ただいま御質問の外貨の商社割当の問題も、あとの問題も、結局どこに貿易業社の中で線を引くかということが問題になる点だろうと思います。従って、今そういう確たる材料を持っておるところは、日本としてはどこもないわけです。通産省が、毎半期ですか、毎一年ですか、全国の貿易業者の状態をとって調べております。これは、調べてはおりますけれども、外へは発表しないという建前で出しておる。こういうものはありますが、しかしこういうものでは活用ができない。従って、私が先ほど申し上げましたような登録制度をしきまして、これは権利を制限することになりますから、初めは幾ら以上とか、あまり強い制限を加えて登録制をしきますと、漏れるおそれのある方々からの反対があるだろうと思います。従って、非常に寛大な基準で、そう反対の起らないような基準で始めたらどうかと思います。そうしてそれを調べておきまして、どういう活動をするかということを一年々々記録にとどめておきまして、おそらく十年くらいたちましたならば非常にりっぱな記録ができて、それが今御質問の、たとえばトルコに対して七社が悪いとかいいとかいう問題にも解決を与えてくれるでしょうし、また外貨の商社割当をどこに基準を置くかという問題に対しても解答を与えてくれるだろうと私は考えております。たとえば外貨の商社割当の問題でも、いつもその点が問題になりまして今までおくれているわけです。しかしながら、御承知のように、今から八年前の、貿易が再開された二十二年八月くらいを顧みていただきますと、よくわかると思います。あのころは三井物産、三菱商事が七月に解散を命ぜられまして非常に混乱しておった。一方紡績会社の方は——紡績会社を例にとりますと非常にあれですが、日本代表的な産業という意味で、また綿花の商社割当てというような問題が大きな問題だと思いますので、紡績会社をあげるのでありますが、八年前の紡績会社と三井物産、三菱商事の解散を命ぜられた直後の貿易業者の状態というものをごらんになりましたら、おのずからよくおわかりになるだろうと思います。現在それから八年経過して、紡績会社はそれほど発展生成したとは私ども思えませんが、貿易会社の方は、我田引水でなく相当進歩してきていると思います。そういう点で先ほどの御質問の点はおわかりになるんじゃないかと思います。私特にことさらに申し上げる点はございません。
  23. 前田榮之助

    前田委員長 水上参考人は時間をお急ぎのようですが、御質問ありますか。——それでは次に進みます。玉置敬三君。
  24. 玉置敬三

    ○玉置参考人 私は、主として機械輸出という点、特に重機械というような点からお話を申し上げたいと思います。  全部知り尽しておいでになると思いますが、日本国内のいろいろな経済のあり方から考え、また海外市場の状況を考えますと、機械の輸出というウェートは非常に大きくクローズ・アップされると思うのであります。しかしながら、機械関係業者、これはメーカー輸出業者も含めていいと思いますが、機械の輸出経験が非常に乏しいのであります。機械の輸出を大いにやらなければならないが、輸出経験から見れば非常に乏しい。それだけ、逆に海外におきまして日本の機械工業力というものに対する認識がまだきわめて不十分であります。日本の機械工業それ自体の各業界の今後のあり方とか現状というものを考えますと、輸出を大いに伸張しなければならないことは申し上げるまでもないところであります。振り返って東南市場、南米市場、特にアルゼンチン、ブラジル等を考えてみますと、それぞれ、各国におきましては、いろいろ五カ年年計画でありますとか、つまり農業国から工業国へという転換が非常に力強く実施されておるのであります。従いまして、機械の国内市場、また需要先、すなわち輸出市場の状況を考えますと、機械の輸出の前途は非常に洋々たるものがある、こう申し上げたいのであります。ところが、日本の機械輸出貿易というものは、日本の機械総貿易のうちで現在はまだ一四%程度であります。これがイギリスとかアメリカドイツというような点を考えますると、いずれも三〇%以上を占めているというような状況であります。また、機械を輸入しておる主要諸国の貿易を考えてみますると、アメリカが四五%、イギリスが二一%、ドイツが一二%、日本はまだわずか一%ちょっというようなウェートなんであります。  こういう状況下に置かれて、私ども関係のものは、プラント輸出、機械輸出という点から、いろいろ振興をはかっておるのでありまするが、さて、現状いかん、こういうことに相なるかと思うのでありますが、最初申し上げましたように、われわれは、国内で、大いに技術が進歩しておるとか、海外が知っておると思いましても、相手方から見ますと、いまだ輸出経験が乏しいために、重機械になればなるほど、日本にああいうものが作れるであろうかというような非常に不信の念が多いのであります。これは想像以上のものがあるのでありまして、この点まず日本の官民が一致こぞって海外に対して宣伝認識を深めしめることが、非常に必要なポイントだろうと思うのであります。すでに在外公館、あるいは国際見本市への参加、あるいは重機室の活動とか、あるいはあっせん所とか、政府補助団体がございますが、これらの積極的な活動と、また業界それ自体の大いなる宣伝をせしむることの必要を最も痛感しているのであります。  それから、いろいろ振興対策について申し上げたい点があります。  すでに前の方々からも相当ポイントに触れられておりますので、私は重複しているところを避けたいと思うのでありますが、一つは、日本の機械の輸出は毎年ふえて参っておりますが、ただいま申し上げましたようにまだ一四%程度で、競争国から見ればきわめてウェートが薄いのであります。これを飜って考えますと、機械のビッドに参加しましてずいぶん成功している場合もございますが、大体におきまして一五%から二〇%くらい値段が高いというのが常識であり、また実績がそういうふうになっておると思うのでありますが、この価格面の高いという点を解決するのが大きな問題だろうと思うのであります。これにつきましては、業者みずから大いに合理化をはかり、でき得る限り価格を安くする。これは第一にやるべきことだと思いますが、機械メーカーから考えますれば、これに対する原材料、ことに鉄鋼、非鉄金属というようなものの価格が適正であって、しかも安定化することが非常に必要なんであります。と申し上げまするのは、重電機になればなるほど、製作期間に一年前後を要する、さらにこれが備付をやりますことになると、それ以上の期間を要するのでありまして、この点、値段がフラクチュエートすることは非常に価格の安定を阻害して、われわれビッドに参加する場合に不利な条件を招くのであります。この原材料価格の安定、適正化ということが常々言われているわけでございますが、この点の実現をさらにわれわれとすればお願い申し上げたいという点が一つであります。  次は、金融の問題でございます。輸出入銀行の金融につきましては、これは財政投資といたしまして大きな金額が毎年御審議を願うことになっていると思います。本年もそれ相当の金が出ていると思いますが、これに二つないし三つの問題があると思う。一つは資金ワクの問題でございまして、プラント輸出振興するにつきまして、これが不足しないと言いますか、十分資金が確保されているということが必要だと思っております。御承知のように、輸出入銀行は、単独融資ではなく、現状は協調融資であります。現在は輸出入銀行が八割、その他の銀行が二割、こういうことになっております。昨年非常に資金が不足いたしましたときに、この協調融資の率が七割五分と二割五分に下るということで、この組み合せが非常に減りますと、それだけ金利が高くなる、こういうことに相なるのでありまして、まず第一に資金ワクの確保ということを十分御留意願いたいと思うのであります。  次は、金利の問題でございまして、現在プラント輸出につきましては四%ということになっておりますが、これは、業界それぞれの代表と言いますか、要望といたしましては、三%というところまで金利の低下をしていただきたいというのが、従来から要望されている点でございます。  それから、いろいろ実際に当ってみますと、日本の機械が出ております一つの有利な条件は、納期が早いということが、ある程度競争に勝ち得る一つの要件になっておりますが、これと相呼応いたしまして、先方つまり需要国からは延べ払いが非常に要求されるのでありまして、現在、輸出入銀行におきましては、大体十年までということが、できる限度になっておりますが、実際の運用面におきましては、あるいは五年とか、せいぜい七年ということになっていると思いますが、これらの点につきましても、具体的ケースによりましてさらに緩和するということが迅速に行われることが望ましいと思うのであります。  次に、輸出保険料、租税特別措置法の問題等につきましては、先ほどお話がございましたから、省略いたしたいと思います。  それから、輸出入取引法との関係でございますが、具体的の問題は、先ほど堀越さんからお話がございましたので避けたいと思うのでありますが、機械の輸出というものは、メーカーと商社とは不即不離の関係にあると私は思うのであります。ただ、その関係の組み合せが、機械の種類によって多少違う面があろうと思うのであります。たとえば扇風機を輸出するというような場合には、これは規格がきわめてはっきりしておりまして、メーカーのいろいろお願いを申し上げる事項が少いと思うのでありますが、一たび発電機というような重電機関係になりますと、設計面から入ることが実は望ましいのであります。それに応じていろいろビッドに参加するということが大体の行き方でございますが、でき得べくんば設計面から日本業界の方が入り込んで、そうしてさらに次のビッドの問題になるというような点まで入りたいと思うのであります。これにつきましては、アメリカその他におきましては、コンサルティング・エンジニアの制度が発達しておりまして、非常に便利な面があるのでありますが、なかなか日本ではまだそこまで発達していないのであります。こういうコンサルティング・エンジニアというものの育成強化ということは、メーカー側もその気持でやることが必要だと思うのでありますが、日本のような非常に経験の浅いところでは、ある程度国のバックアップというものも私は必要じゃないかというふうに考えているのであります。  そういう次第で、メーカーと商社というものは、その機械の種類によりましていろいろ組み合せ方が違ってくると思います。先ほども輸出入取引法改正の内容に、いろいろ波打ちぎわ輸出業者については届出、メーカー認可制度というようなお話が出ておりましたが、こういう点につきましては、一つメーカーと商社は一体であるという点、それからもう一つ加えて申し上げたいことは、もう戦争でございますから、タイムが非常に必要なのであります。いろいろ届出であるとか認可であるというようなことで、非常に日数がかかるとか、あるいはそれによっていろいろな問題が漏れるというようなことになると、非常にこれは遺憾なことでありまして、戦争をやる上においてはタイムが絶対に必要であるということも、少しお考えを願いたいと思うのであります。  それから、もう一つ私が特につけ加えておきたいことは、機械の輸出市場は、先ほど申し上げましたように、非常に潜在購買力はあるのでございますが、東南市場、南米市場いずれを見ましても、どの国を見ましても、外貨の豊かなところはないのであります。きわめて外貨不足で、いろいろ援助のもとに四苦八苦工業化をやっておるというのが現状でございまして、われわれの機械の輸出先は、そういう国が相手で、富める国に輸出をしているところは少い、ほとんどないと言ってもいいくらいなのであります。従いまして、これをバック・アップする方法といたしますれば、直接投資をするというような考え方も必要かと存じますが、一つはでき得る限りそこの当該物資を日本が買ってやるということでございます。つまり大きな意味輸出輸入とを、考えをともどもにいたしまして、輸入の促進をやって、しかしてその反面輸出振興をはかるという点に立っていただきたいと思うのであります。これはいろいろな面からは立場の相違もあると思いますが、機械の輸出というような点から見れば、たとえばブラジルの綿花でありますとか、アルゼンチンの羊毛とか小麦とかというような面は、非常に機械輸出振興策と結びつき得る面が残されておると思いますので、輸入先の輸出市場との結びつきということを、単なる外貨の面からでなく、そういう大きな意味から考えていただきたいというのが私の希望でございます。  その他ございますが、いろいろまた御質問に応じまして申し上げることにいたします。
  25. 前田榮之助

  26. 依田信太郎

    ○依田参考人 商工会議所の依田でございます。私が申し述べたいと思っておりました事柄は、大部分はすでに貿易のそれぞれのエキスパートであられる方々から有益なる御発言がございまして、私の申し上げることがほとんどなくなりました。また、私のあとには、やはり商工会議所で貿易問題のブレーンを願っておりますエキスパートの方が控えておられますので、私は、重複を避けまして、ただ二点だけ、ふだんわれわれの経験しております事柄を申し上げて、あまり御参考にならぬかもしれませんが、責めをふさぎたいと思います。  第一は、貿易立国政策の徹底ということでございます。このことはちょっと藤野参考人からお触れになりましたか、私は、このことをもう少し声を大にして広く国民の間にこの思想を徹底させたい、こういう考えを持っておるのであります。このことは、いろいろ理屈を申し上げぬでも、皆様はよくおわかりになっておりますので、理屈は省きますが、一般国民の間には、まだ貿易がそんなに必要だということが、ふれておるのか、あるいは自覚しないのか、生活に忙しいとか世の中が複雑の結果でありましょうが、徹底しておらないと考えておるのであります。その点の認識を欠きますために貿易貿易業者の方にやってもらえばいい、あるいは貿易品を作る人に熱心にやってもらえばそれでいいんだというように考えて、一般大衆消費者等ははなはだ関心が薄いように見受けられるのであります。先般東京でICCの総会がございましたが、その前の一昨年の五月のICCのウイーンの総会におきましては、この総会のテーマは、世界貿易は各人の仕事である、個人心々のみなの仕事である、こういうテーマをあげております。世界貿易各国民各自の仕事であると、こう申しますならば、日本におきましては、日本貿易日本国民全体の仕事である、こう考えるのが当然であろうと思います。山奥で炭を焼いているから貿易に関係ないとか、あるいは農村の主婦であるから輸出には協力できないとか、こういうような考えを持っているとすれば、これは非常な誤まりでありまして、どうしても貿易立国によらなければ日本は国が立たない、国民は生きていかれないという根本を理解いたしまして、あらゆる機会に国民が貿易に協力するという態勢をとらせることが必要であると思います。堀越さんは、貿易選手外国に出すのであるから、これの活動を妨げるような制約を取り除かなけれならぬ、こういうお説でございます。ごもっともでありますが、私は一歩進めて、この選手を国民があげて応援しばなればならない、こういうように考えるのであります。それでありますから、国内の言動におきましても、行為におきましても、貿易を妨げるような、あるいは外国へ悪い響きを与えるようなことを慎しむというようなところまで行かなければ、ほんとうに日本貿易は伸びないのではないかと考えております。かような考えから、商工会議所におきましては、はなはだ微力でありますけれども、貿易振興運動ということを各会議所とタイ・アップいたしまして細々と続けております。これは、申すまでもなく、短時日の間にその成果を上げることはむずかしいのであります。従いまして、この努力、運動というものをなお継続して、いつかは徹底的にこの目的を達するようにしたいという考え方で進んでおります次第であります。  これを徹底させる上におきましては、まず日本の経済の実態をよく把握させるということが必要であろうと考えます。たとえば、最近エカッフェの調査を読んでみますとちょっと数字は古くなりますが、一九五一年のラテン・アメリカの一人当りの平均輸出額は五十一ドルになっております。さらに、アフリカ地域全体の平均を見ましても、やはり同じく一九五一年で一人当り二十六ドルと相なっております。日本は、これはまだ正確に計算しませんでしたが、概算いたしまして、大体一人当り二十ドルぐらいじゃないかと思います。アフリカ地域の二十六ドルに対して、はるかにそれにも劣っている。こういう状態でありますので、もっと国民全体が貿易に関心を持ち、輸出を伸張することに大いに協力しばなればならぬということを徹底して知らせたいと思います。また、原料品を輸入しまして製品を海外輸出するその割合を見ますると、たとえば、綿織物につきまして、戦前は七五・七%が輸出されておった。生産量のうちで七割五分七厘だけが輸出されておったのが、今日では四割程度に落ちておる。あるいはまた毛織物につきましても、戦前一割二分四厘の輸出力でありましたが、今日ではこれが七分八厘に下っておる。せっかく高い原料を輸入して作ったものが、国内の消費が旺盛であって海外輸出がだんだん減ってくる。これは繊維製品の貿易一つの特徴であるかもしれませんけれども、この点はやはり国民全体が考えて、国内消費を節約しても、こういう輸入原料を使ったものはもっと輸出を第一に考える必要があるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。こういうような点でいろいろ国民大衆の間に啓蒙運動をやっていきたいと思っておりまするが、この点皆様において十分御理解をいただくならば、われわれの運動を非常に有効に進めることができるであろうと思いまして、御参考に申し上げて御指導を仰ぐ次第であります。  もう一つは民間外交の問題であります。経済外交の必要なことは先ほど堀越さんがお述べになりましたから、私は繰り返して申し上げません。しかし、国の外交というものには限界がありまして、通商条約の締結であるとか貿易協定その他いろいろの点で、貿易上の障害を取りのけ日本輸出振興する上に非常に大切な役割を演じておりますけれども、それにはおのずから限界がありまして、その限界に及ばぬところはどうしても、民間外交と申しますか、かりにまあ名づければ民間外交でありますが、向うの実業家とこちらの実業家の話し合いをするとか、あるいは向うの国民大衆に呼びかけるとか、そのほかいろいろの方法も民間では自由でありますから、国家の外交の及ばぬところへ手を延ばして、表裏一体をなしていかなければ、日本貿易がほんとうに振興されないのではないかと考えます。かような意味におきまして、平素、微力ではございますが、会議所といたしまして多少こういう方面の仕事をお手伝いしております。その経験からいたしまして御参考までにお話ししたいと思います。  外国へアピールするためには日本だけで考えてやってもなかなか成功を得ないのであります。どういう筋を押えてどの点を強く訴えるかということは、どうしても向うの専門家の知恵を借りなければ、われわれの考えだけではどうも見当はずれになりやすいのであります。そして始終向うの友好的な人と連絡をとりまして、いろいろな場合その意見に従い、またそういう人に日本のために働いてもらうということで外交を進めておりまするが、これがまたなかなか費用のかかる問題で、無報酬で仕事をお願いしても実費だけは払わなければならぬということでありまして、千ドルくらいの金は一ぺんに飛んでいってしまう。アメリカでありますれば、そういう状態であります。しかしこれは、商工会議所その他経済団体の使命でありますので、何とか費用を捻出してこれを今後も続けていきたいと思っておりますが、あいにく、いろいろな問題が起りがちな業者、たとえば絹スカーフであるとかミシンであるとかいったような業者が多くは中小企業の関係にありまして、業界の結束も十分ではないし、また負担力等も不十分でありますので、それらと一緒に手を握り合ってこういう外交をやっていく上にいろいろ不便、不利を感ずる次第でありますけれども、前に申しましたように、これは経済団体の使命でありますから、乏しい費用の中からもこれを続けていきたいと思っておりますが、国の外交というものと表裏一体をなす関係がありまするので、皆様方の御理解を願っておきますれば、今後この仕事を進めていく上に非常に都合がいいことと考えまして、御参考に申し上げた次第であります。  あとにまだ会議所関係の貿易エキスパートの方が二人控えておられますので、私はこの二点だけを申し述べましてごめんこうむりたいと思います。
  27. 前田榮之助

    前田委員長 あともう二人ですから、質問はそれが終ってからしていただくことにいたします。益岡巳年雄君。
  28. 益岡巳年雄

    ○益岡参考人 私は住友商事に勤めておりまする益岡でございます。今日は商工会議所側から参りまして、貿易振興上いささか御参考になることがあればと思いまして、ここに申し述べる次第であります。  貿易振興上の諸方策につきましては、今までいろいろな方からお述べになりましたので、これを繰り返すことはいたしませんが、私どもは、三年ほど前から、貿易振興策の一環といたしまして、商社強化問題を取り上げたのでございますが、これにつきましてちょっとお話し申し上げたいと思います。  商社が現在非常に弱体化したと申しますのは、これは、御承知の通り、戦後三井、三菱の解体に始まりまして、占領政策といたしまして日本貿易商社がいかに貿易伸張に貴重なものであるかということの認識不足から来たものじゃないかと思われます。ただし、日本におきまして物資不足上生産第一主義がとられました関係もありますし、商社はすべて制度上からも金融上からもはなはだしい虐待を受けまして、かつ商社の持っておりまする固定資産というものは製造業者のごとく持っていないわけでございます。商社の資産は、端的に申しますと、その有する経験とそれから海外に有しますのれん、そういうふうな人材の集まりによって動いているのが実態でございます。そこで貿易再開を許されましてこれを始めますときに、まずそういうよるべき資金的なものが何もなかったわけであります。そのために貿易商社というものは非常に細分化されまして、いわば机一個に電話一本でできるという状態でございました。あまり経験のない者までも貿易商社の看板を上げまして始めたわけでございます。その後日本貿易商社必要性がすべて認められますし、われわれもこれを各方面にお願いしました結果、各政党とも貿易振興上商社が必要であるということをお取り上げ下さいまして、その後いろいろ振興策をとっていただいておりますことは、まことに感謝にたえない次第でございます。  われわれが当初商社強化策として唱えましたものの中には、もちろん金融上、税制上、外貨割当というふうな問題も種々ございますが、一番先に具体化いたしましたのは税制問題であります。すなわち、輸出所得控除、輸出損失準備金あるいは海外支店固定資産特別償却、こういうふうなものから取り上げられたわけでございます。ところが、商社は、その後も依然不況及び種々の制約に災いせられまして、これらの制度すらも十分に活用しておりません。しかも最近はこの過当競争ということが盛んに取り上げられまして、この是正のために商社の整理統合ということがいわれております。そしてデフレ政策との関連もございますし、三菱商事を初め三井物産系あるいは丸紅、日綿など相当実績が上ってきております。ところが、これを実績で見ますと、一昨年通商白書に出ておる数字から見ましても、一昨年商社の数は二千七百六でありましたのが昨年は二千九百四十、すなわち二百社以上むしろ増加したということでありまして、数だけで言いますと、商社を整理統合して過当競争を是正するという方向にむしろ反しているのではないかというような状況が出ております。ところで、一口に商社の整理統合と申されましても、これは算術的に出るものじゃございません。各商社ともそれぞれ伝統もございます。基盤もございます。それから、先ほども申し上げました通りに、商社の資本というものは主として人材によるものであります。これを統合の必要なくして無理に強行した場合にはプラスになるかマイナスになるかわからない。こういうことは言うべくしてなかなか行われないのであります。また、無理に強行しました結果は、被合併会社の社員を全部吸収できればいいのでありますが、その多くはそこに失業者を生ずる。その失業した者はまた自分が食べるために別会社を作り、そのためにむしろある場合においては商社を細分化したというような現象が起っております。こういうふうな意味におきましては、ただ数を減らしていくことが、過当競争是正あるいは商社の強化ということと必ずしも一致しないのではないかと思うところがございます。つまり被整理会社の整理された社員の身分を保障してやるというような措置でもない限りは、必ずそういうことが今後も起るのではないか、こういうふうに思う次第であります。  次に、商社整理の最近の方向といたしましては、いわゆる総合大商社の育成策というものが取り上げられております。もちろん、対外競争力を強くするためには、資本力が強大であり、かつその陣容も充実しております総合大商社の必要があることは認めるわけでございますが、日本の産業構造及び貿易の内容から見ましても、中小企業に当る中小商社が存在する必要が十分あるわけであります。そのうちことに専門商社といわれるもの、商品別に見ても地域別に見ましても、こういう専門商社は昔から相当経験を持っておりまして、こういうふうなものの活用がぜひ必要ではないか。雑貨のごときものは総合大商社においてはなかなか手に負えないものでありますが、こういう専門商社においてはこれを長年手がけておりまして、その必要もあるわけでございます。中小商社が日本の過当競争の名のもとに一挙に整理される、あるいは強化の線からはずれるというようなことは、日本の過剰人口を吸収する上から見ましても、よほど考えていかなければならないのじゃないかと思うわけであります。また、過当競争是正ということは、必ずしも商社を整理統合いたしまして大商社のみでやれるわけではないのであります。これにはむしろ輸出入取引法とか調整組合あるいは一手買取機関のごとき、そのほかの制度もございますし、また業界の自律によりましてこういう点は大いに是正していかなければならぬのじゃないか、こういうふうな面もございます。  次に、現在大総合商社の育成策から見ますと、大商社というものは単に取扱い高が大きいということだけできめようという傾向があることは、われわれとしてにわかに賛成できないのじゃないかと思います。商社を強化するということは対外競争力を増すということでありまして、その商社の取り扱う商品の種類によりまして、たとえば鉄鋼とか繊維製品を扱うところにおきましては、取扱い高は非常に増大いたしますが、雑貨を取り扱う商社におきましては、同じ百万ドルにしましても非常に相違がございます。また、地域的に見ましても、新市場開拓のごときものにつきましては、それは取扱い高でなしに大いに考えなければいけません。その上商社の内容によります。商社の信用が強大であり、かつ対外競争力があるがごとき内容を有するものにつきましては、これは必ずしも取扱い高のみでもって律するわけにいかないじゃないか、つまり、貿易を伸ばすにつきましては、今の取扱い高つまり実績主義というものにつきましては、これは一律にやれることでなし、もう少しその取引の内容につきましても優秀なものがあれば、国家としてこれを当然育成の方向に持っていくべきじゃないかと思うわけでございます。また、この実績主義の結果、最近お話のございました指定商社の問題も起きておりまして、このほか外貨の割当問題とか、そのほか商社の外貨保有問題とか、すべてこれを実績によって律せられることがございますと、そういう弊害がございます。また、実績を重んぜられる結果、かえって過当競争を助長するのじゃないか、実績を上げるために無理をするのじゃないか、こういう面も出てくるわけでございます。  中小商社というものが最も過当競争の対象になりますが、要するに、商社というものは、現在の日本のわずかな貿易量におきまして、とにかく生きていくために非常に薄い口銭で働いておるわけでありまして、外国商社から見ますと、はなはだあわれむべき状態にあるわけでございます。この日本現状から見まして、中小商社もぜひ存在しなければならないという理由があるわけでございますから、中小商社、ことに専門に生きておる商社はぜひ育成していく必要があるのじゃないかと思っております。ちょっと貿易振興策の一環としまして商社の育成策を申し上げた次第であります。
  29. 前田榮之助

    前田委員長 福士次郎君。
  30. 福士次郎

    ○福士参考人 参考人が次々にいろいろの点に触れましてお話を申し上げましたために、私が本日申し上げようと思って用意をして参りましたことが大方尽きたように思いまして、さらに申し上げることがないことになってしまいました。  ただいま益岡参考人からも申し上げましたように、商社というものは現在非常にみじめな姿に置かれてしまった。しかしながら、日本貿易振興のためには、商社がどうしても強力になって海外活動をしなければならないという点を十分に御認識いただきたい。その一点を申し上げるだけでございます。最近貿易振興のために大いに商社を強化しなければならぬということも言われますし、また日本の国民経済を強化するためには貿易を大いに拡大しなければならぬということが言われておりますにもかかわらず、一部では貿易はそんなに必要なのかという意見があちこちになきにしもあらずという点につきましては、先ほど前の参考人からも申し上げた通りでありまして、この点はわれわれとしてももっと貿易振興必要性を御認識いただきたいと思うわけでありまして、そのためには、どうして商社が強力になってほしい。私自身貿易商社の一員であるということだけでなしに、それを非常に痛感しているわけでございます。米国のように国内市場が非常に大きいところでございますと、かりに貿易量がその国の国民所得額に対して非常に比率が低くあったとしても、国内市場における取引によって生産が相当程度発達するということは考えられるのでありますが、日本のように狭いところでは、それができないわけでありまして、日本貿易振興してきたのには、貿易商社海外で活動したために、ここまで来たという歴史的な必然性があるわけであります。この歴史的な必然性ということは現在でも決して違っていないというふうに、私どもは確信しておるわけであります。  にもかかわりませず、大阪の商工会議所で計算したいろいろな資料を参考に申し上げますと、昨年の九月におきましては、商社の自分の持っている自己資金はわずかに三・八%、他人資本が九六・二%という非常にさか立ちした形になっておる。また、資金が非常に少いために、銀行の借入金が非常に大きい。従って、それに支払う金利が総支出の三三%まで到達しているようなありさまでありまして、まさに人件費の二倍という数字を示しているわけでございます。その利益にいたしましても、昨年の九月の決算期を主要商社をとって計算してみますと、総資本の利益率はわずかに〇・四%であり、純益はわずかに〇・一%であるというありさまでありまして、しかも、商社の銀行借入金の三〇%程度のものが、商社がこうむった不良債権のために固定してしまっているものであって、これは、実際から言うと、よほど今後の利益が上りませんと、銀行に返し得ない部分に属するものでございます。このようにいたしまして、こういう焦げついたものが、大体の推定でございますけれども、主要二十社程度の貿易商社の金額を合計いたしますと、六百五十億は下らないだろうというような、おそろしい数字を示しているのでございます。一方におきまして、最近の金融機関、六大市中銀行の三月期の決算を見ますと、償却前の利益が六大銀行合計で百二十九億、償却後、つまり貸し倒れとか、そういうものを償却しましたあとの純益が五十一億三千万円というような膨大な利益を上げておるわけでありまして、商社と比べますと、いかにはなはだしい差を示しているかということがよくわかるわけでございます。  しかも、先ほど申しましたように、日本の歴史的な必然性から、どうしても商社の海外活動は必要である。先ほども玉置参考人から申しましたように、今後われわれの輸出の中心となっていくものは機械であり、機械を中心としたプラントであるというお話がございまして、そのためには市場開拓していかなければならないのでありますが、市場開拓していくわれわれの一番の隘路は、日本開拓する市場がどっちかといえば後進国に属している部分が多いのでありまして、英、米、カナダというような、いわゆる先進国に属するところは、市場の分野がきまっておりまして、なかなか貿易振興といっても一がいに成果はそう短期間に上らないのでありまして、どうしても後進国を開発していかなければならない。そのためには、どうしても商社がメーカーとタイアップいたしまして、最も高度の専門知識を駆使いたしまして、これらの市場に向っていかなければならないということがあるわけでございます。この点からいたしましても、商社が現在のようなみじめな姿であってはならないということを、ぜひ一つ御認識を強くしていただきまして、商社の強化ということについて、特にいろいろな点について御協力、御援助をいただきたいというふうに思うわけでございます。現在までにもいろいろな強化策が講じられておりますけれども、まだまだほど遠いと言いますか、不十分でございまして、この点につきましてはわれわれも具体的な知恵を貸しますが、単に役所がこうしたらいいじゃないかというような具体的な知恵を出すことを受けるだけじゃなしに、各代議士の方々にもこの御認識に立っていただきまして、いろいろな具体的な政策を打ち出すことに御協力、御努力をいただきますことを切にお願いする次第でございます。
  31. 前田榮之助

    前田委員長 山本勝市君。
  32. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 いろいろ有益なお話を承わりましたが、二、三なおお伺い申したいと思います。  ちょっと玉置さんに伺いたい。これまでのプラント輸出に御承知の砂糖のリンク制が相当貢献しておったと実際言われておりますが、その砂糖のリンク制をいろいろな事情でやめた場合に、これまで貢献しておっただけに打撃が来るんじゃなかろうか。それをほかの方法をいろいろ通産当局でも考えているようでありますが、しかし、いろいろ考えられているほかの方法が、果して砂糖のリンクによる力をカバーするだけの的確な効果が見通されるものかどうかということを、芝浦で実際にあなたがぶつかっておられて——あなたのところの問題としてでなくてけっこうです。一般に砂糖リンク制を採用しておったところの問題として伺いたいと思います。
  33. 玉置敬三

    ○玉置参考人 甘いものがなくなった後は一そう甘いものをほしがるのが人情と言いますか、なかなか忘れられないものでありますが、いろいろな事情で対外的な影響その他から廃止になったということになりますと、あっさりとあきらめをもつて、次の段階をどうするかということを今御指摘の通り考えるのが、私どもの考え方かと思います。砂糖の計算方法についてはいろいろ詳しいきめがあったようでありますが、要するに、先ほど申し上げましたように、一五%ないし二〇%の割高なことが大体の標準でございます。その数パーセントというものが砂糖の補償によってカバーされておったというのが現情でございます。この数パーセントを、しからば今御指摘のように何でカバーしてどうして勝てるか、こういうお尋ねだと思います。数字で現わすのは非常に困難でありますが、砂糖はどちらかというと注射のようなものでありまして、速効薬的に非常にいいのであります。しかし、機械の輸出についてまだ土台的にやらなければならぬものが、業界、つまりメーカー・サイド、商社サイドにありますことと、国全体においてまだ非常にやるべき根本があると思います。東南市場を見ましても、また南米市場を見ましても、単なる取引の紹介ということもわれわれの大なる問題でございますが、国力が今までの歴史にバック・アップする程度が非常に大きいのであります。これを数字的にどうするかということは問題なのでありますが、つまり個々の取引以外に、あるいは金融面とかその他全体の経済の大きな動きだとかいうもので、イギリスでありますとかドイツが非常に強く出て来ておるのではないかと思うのであります。その基調の上に立って私どもメーカー・サイドその他から見ますと、まだ日本の実力あるいは内容というものを知らしめるととが非常に不足であります。一つ取引を考えましても、先ほど申し上げましたように、大きなものから言えば、ほんとうに設計から入りまして——数人の人が現場に行って、そしてどこどこのダムを一つ開発するということならば、その最初のダムの開発の設計から入り込むということになりますると、自然に機械まで日本側に有利に展開する、こういう面があるのであります。これは別に値段がどうだとかこうだとかということは最初現われてこないと思うのでありますけれども、そういう入り方をとり得るならばとりたいという点が、これは、業者だけでなくて、国のほかの面からもやらなければならぬと思います。  それから、個々の面になりますと、今のような砂糖の直接的な注射剤がなくなりますると、やはり、機械メーカーから見れば、自分の合理化でありますとか、そんな点でカバーすることをまず第一に考えなければならぬと思います。つまり原材料のフラクチュエートを適正に判定していただく。と言いますのは、鉄鋼とか非鉄金属でありますとか、そういう面からの安定あるいは輸出価格というようなものによりまして相当カバーできるのではないか、つまり原材料が全体の価格の中でどのくらを占めるかというととが大きなウェートになろうかと思います。これは、普通三〇%とか、物によりましては五〇%前後まで行くものがあるのじゃないかと思うのであります。従いまして、ここでかりに鉄鋼価格がもしある水準から二割下るとしますと、三割の鉄鋼の原材料を占めておるものから考えますると、全体で六%下るということに一応計算的にはなるわけであります。そういう原材料のウェートが大きいことと、それから、先ほどもいろいろ出ておりましたように、やはり税制面でありますとか保険料でありますとか、そういう非常に小さなウェート、計算的にはあるいは大きく響かないかもしれませんけれども、そういう面の累積したものが相当大きくカバーできるのではないかというような点もある。それから、私エンジニアでないのであまり大きなことは言えないのでありますが、やはり日本は原材料が非常に高いという点がいろいろな面から議論されて、現実にもそうでありまするが、設計面等におきましても相当工夫、改善をしていく余地がまだまだ残されているのじゃないか。たとえば、今まであるものに百の鋼材を使っておったものを、あるいは八十とか九十で済まし得るならば、それによってもある程度の原価を下げる点に大いに役立つのではないか、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、業界もあぶら汗をかき、国全体もあぶら汗をかかなければ、今お話の点は乗り切れない思います。  それから、価格の面は今も申し上げた点でありますが、とれ以外にウェート的にはそう大きく考えることが間違いかもしれませんが、やはり納期が日本は非常に早いという点があろうかと思います。こういう点につきまして、正確に納期を早く確実に実施をしていく、こういう点も価格面の不利をカバーする一つの材料だと思います。いろいろビッドでかりに第一位をとりましても、南米などに参りますと、日本の機械を使ったことがないから、そういう面からも不振がある。その他使いなれた機械ということで食いつくという点もありまするので、いろいろな要素がかみ合って一つの力として出ていくものだと思います。計算的にはちょっとはかりがたいのでありますが、そういう点で極力業者の力、商社の力というものの総合態勢で乗り切っていくよりしょうがないというふうに考えております。
  34. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 ちょっといま一言でけっこうですが、結局なくなったら仕方がないから何とかほかの方法で乗り切っていくことを考えるほかはない、要するに全力をあげるほかはないのだということであるのか、そうでなしに、それがなくなってもこれまでに劣らず輸出していくことができるという見通しがつくのか、見通しはないけれども、仕方がないから全力をあげるよりしようがない、こういうのか。その点、簡単でけっこうですが、お答え願います。
  35. 玉置敬三

    ○玉置参考人 決してあきらめているわけではないのでありまして、とにかく何らかの手段で克服して輸出量の確保をやっていかなければ、それぞれの業界、それぞれの会社全部がなかなかたいへんなことになると思いまするので、いろいろな施策をやって輸出量というものを確保していかなければならないと思います。決してあきらめるとか勝手になれというような態度ではないのであります。競争でありますから、相手にもいろいろ間隙がございます。そういう点で、いかに間隙があるかということを探していく点もありましょうし、とにかく一本々々勝負で大いにがんばってやっていきたいと思いますが、何といっても、先ほど申し上げましたように、大きな国力のバック・アップによって、つまり官民ともに打って一丸となっていけば相当のことができるのではないかというふうに考えております。
  36. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 依田さんのお話で、貿易の必要ということをもう少し大衆に徹底さす必要があるということで、われわれもごもっともだとかねがね思っておるのですが、かつて委員会で、私は、貯蓄増強ということで予算をとってやっておる、貯蓄の必要ということを国民に徹底させていくために国が費用をとってやっておる、同じような意味貿易が必要だということを徹底さすために、予算をとってやれということを申したことがあるのですが、通産省の方から来ておりますけれども、貿易振興の必要を国民に説く費用を少しとっておるのですか、ちょっと聞いておきたい。
  37. 前田憲作

    前田説明員 今度は特に、輸出振興の国民運動と申しますか、そういった意味振興費はとっておりません。
  38. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 それなら、私はこの際忘れぬように言っておきますけれども、大した費用ではないのですから、二千万円でも三千万円でも、何らかの方法——ほんとうに貿易振興ということに力こぶを入れておるのに、国民自身に普及をしないということは、貯蓄の必要を強調してそのことを宣伝しているのに比べて片手落ちだと思う。おそらくそういうことは予算を組むときについうっかり忘れる、あるいは貿易業者の方でも、ふだんそういうことを陳情しておるけれども、いよいよ予算を組むときになって、言うてこられないために落ちてしまったのではないかと思う。昨年の夏でありましたか、神戸の貿易の会長がそのことをしきりに主張しておった。その際に私は実は政府の方にも申し上げたことがあるのですが、大した金ではないので、幾らかでもやはり必要だと思う。  なお、益岡さんのお話の、商社強化ということについてよほど注意せなければいかぬというお話、私は非常に傾聴せしめられたのであります。こまかな御説明がありましたが、政府は、ただばく然と、強化するということは数を減らすことだといったような考え方で来ておるのではなかろうか。お話を承わって一々ごもっともだと思いますが、いずれこの委員会でも貿易振興に関する何かの決議をしなければねらぬと思う。それについて、きょうすぐとということは必要ありませんけれども、商社の強化ということにはだれも異存はありません。しかし、その強化方法について、今言ったような中小の専門の商社、それは直接外国取引するのじゃないかもしらぬが、一種の下請みたいなものかもしれませんけれども、しかし、貿易会社として看板をかけることを許さぬといったようなことは、確かにおっしゃるような欠点を持ってくるんじゃないかと思うんです。これは一つ御協力願いたいと思うのであります。  それからもう一つ、これはどなたからでもけっこうですけれども、市場開拓の場合に、私もよくは知りませんけれども、二十年、三十年前の記憶ですけれども、小さな貿易商社が、たとえばポート・サイドとかあるいはボンベーとかいったところのエージェントにいい人を見つけ出す。ですから、国内で比較すれば三井物産とは比較にならぬような、たとえば神戸の田島とか、ああいった程度の商社が、存外、外国現地へ行くというと、国内における大会社よりももっと信用の厚い、よいエージェントを向うでつかまえておるということが、実は大きな商社と太刀打ちしていける理由になっておるということがしばしばあったと思う。ですから、そういう点について、新しく戦後に市場開拓する場合に、向うのエージェントにいいものを新しく見つけ出すということは非常にむずかしいことかもしれません。しかし、そういうことをやはりやっておるんですか。やっておるというか、相当進んでおるものでしょうか、伺いたい。ことに住友商事安どはおそらく戦後新しく出てこられたことと思いますが、ただ住友の会社の品物を売るというだけならばこれは別問題でありましょうが、しかし、それにしましても、向うのエージェントを新しく見つけ出す。昔のエージェントは戦争中に消えてなくなっているというのもありましょうし、その辺の苦心といいますか、努力の経過を承わりたいと思います。
  39. 益岡巳年雄

    ○益岡参考人 今お話の海外に優秀なエージェントを有するということは商社の非常に重要な仕事でございまして、われわれも努力しております。ところが、われわれ商社の念願としますところは、そういうエージェントのほかに、自分支店ないし出張所を海外の各地に置きまして、自己の資力をもって輸出し、かつ現地から物を買って輸入する、そういうところまで行きたいわけでございます。ところが、戦後商社の弱体化はそういうエージェント関係以上に外国商社の支配下にありまして、これは通商白書にも出ておりますが、あの割合以上に、たとえば輸入の食糧とか、そのほか重要原材料につきましては、外国商社からいろいろ値段をとりまして持ってくる、こういうふうな現状でございます。戦前におきましては、小麦を買うにしましても、綿花を買うにしましても、商社は、自己の店を外国に持っておりまして、その資金でもって自分輸入しておったのでございますが、現在では外国商社の側の値段によって日本に持ってきておる、こういう状況でございます。そこで、われわれがお願いしたいのは、現在いろいろ政府の方でもお考え下さっておりますが、われわれ商社に日本の持っております外貨を直接使わしていただく、そして商社の在外における活動力を増大していただく、これは単に日本に対する輸出入に関係しませんで、第三国貿易なんかにおきまして戦前日本の商社は非常に大きな働きをしておりましたが、それをやらしていただく、こういう面におきまして日本の外貨獲得及び貿易振興に寄与したい、こういう念願でございます。
  40. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 もう一つ皆さんの御意見を伺っておきたい。これは非常に重大な問題で、今すぐどうという問題ではありませんけれども、現実的な問題としてではないのでありますが、一五%ないし二〇%物価水準が高いということに対して、要するに、そのことは、全般的に一方から言えば、物価が高いということは為替レートが高過ぎるということも私は言えないことはないじゃないかと思う。言いかえますと、そういう状況がつまりノーマルな状態で、自然な状態で、人為的な統制を加えない状態ならば、物価水準が一割五分も二割も高いという状況の場合には、必ず私は貿易を通して為替レートというものは当然下るのでございます。そういう状況が続くわけになります。ですから、ノーマルなレートというもの、つまり自然な状況に落ちつくところがノーマルということならば、高過ぎるではないかということも言えると思う。もちろんこれに対しては、これを変更するということに対しては非常な障害もあります。影響もありまするし、簡単に行けることではないのであります。しかし、貿易商社としてできることならそこまで踏み切ってほしいというのか、ほかのことは別としてそういう空気が強いのか、あるいは、もうレートは変えないで、そうしてあらゆる努力をしてコストを下げるように努力をするとか、いろいろなことでやっていくのがよいという空気なのか、これは商工会議所の方が一番全般的のことに詳しいかもしれませんが、これは参考のために伺っておきたいと思います。
  41. 福士次郎

    ○福士参考人 ただいまのレートの変更の問題は非常にむずかしい問題でございまして、これは、現在新たに始まったことではなく、昭和二十四年の四月二十五日にドッジさんが見えまして、竹馬の足を切ったとき、三百六十円のレートをきめましたときからすでに問題があるわけであります。その年の九月の十八日に御承知の通り英国がポンドのレートを下げまして、ポンド圏に従属しておる各国がすべて右へならえをして下げた。われわれとして円レートを下げるべきか下げざるべきかということは、現在日本輸出ということだけを考えますと、あるいはレートを下げた方が一時的には多く出るかもしれません。ただ、御承知の通り非常に輸入の依存度の高い国でございますので、そのはねっ返りが三カ月か三カ月半あとには輸入商品の値上げになってはね返ってくる。そうなりますと、現在世界市場が自由化の傾向に向っておりまして、現在、ドイツのごとく、たとえば日本との決済ももはや清算勘定の決済をやめようじやないか、九月末をもってポンドあるいはマルクで取引をするようなことにしようじゃないかというようなことを言っております。そういうようなことは、要するにマーシャル・プランによって強化された欧州を中心として世界がだんだんに自由化の傾向を帯びてきたということ、それは自由化し得る力が出てきたということだろうと思います。そうしますと、日本がそれに対抗していくのには、どうしても輸出するものを安くすると同時に、それが確実のものでなければならぬ。そうしますと、輸出の原材料を輸入にまっている比率が非常に多いわが国としては、なるべくレートを下げないで、歯を食いしばってもがんばっていくべきだというふうにわれわれは感じるわけです。その点から言いますと、われわれとしては、もっとがんばってということは、同時にレートを下げるということは、国民生活の水準を下げるということにもなってくる、これはわれわれとしてはできるだけしない、できれば、穴のあいたくつであっても、わらじだけははきたくないという感じを持っておるのであります。その点では、まだまだ朝鮮事変から合理化が完全に進んでいないわが国としては、もう少しがんばってみたいというふうにわれわれれは思うわけであります。しかし、これは非常に大きな問題で、今後とも研究を要する問題だと思います。
  42. 田原春次

    ○田原委員 おそくなって参考人皆さんに恐縮ですが、もう少し勉強したい点がありますので、お尋ねしたいと思いますが、商社の統合強化の問題についてもう少し聞かせていただきたい。現在二千九百四十社あるという益岡さんの御意見と福士さんの答弁とは少し違っているように私聞いたわけであります。ほかの方も商社の信用の増大の点、それから強化の点等については意見がそれぞれ違いますことは、ごもっともだと思うのでありますが、貿易振興上必要とあらば、商社の合同と申しますか、何かそういう形にしなければならぬと思います。それについて考えられることは、どういうふうにするかということなんですが、たとえば公社案も考えられるでしょうが、実際それが有効適切に国際貿易市場に動けるものか、まだわれわれには確信がない。そうしますと、どなたかのお話には、商品別の輸出組合方式でいい、商社の合同強化よりもそういう方がいいという意見もあったようであります。これらのことは、民間側としては商工会議所理事の依田さんがお答えされたことかと思いますが、たとえば今の三井、三菱あるいは東芝、住友、高島屋といったようなAクラス、これをかりにA、B、C、D、たくさんあるかもしらぬが、四クラスくらいにしていって、一年間の取引量、あるいは外貨の使用量、あるいは歴史、いろいろの点から、Aクラスは統合の対象にならぬと思うので、問題はCかDの問題だと思うのです。そこで、Cクラスを分けることはむずかしいでしょうが、CならCクラスを十社なら十社にするとか、DならDを十社にでもさせる、そういう統合方式を十分練った上にできた場合には、外貨の割当の問題やその他政府の便宜というものをAやBと同じ程度にするとか何か、ただいましばしば山本さんからお話があったように、外国の有力商社のエージェントを持っているところもある。小さな店だといっても、それで五人か十人食っているわけですから、それをつぶすわけには行きませんが、さればといって、だまっていれば、優勝劣敗になるか、あるいは今日のように二千九百四十社になるか、いずれにしても統合ということが考えられますが、官僚的統合でなくて、実際にやられる統合は、もし考えるとすれば皆様どういう案をお持ちであるか。依田さん、益岡さん、福士さん、玉置さん、それぞれ簡単でいいですから聞かしてもらいたい。それを、あなた方の責任ということでなく、勉強の種にするわけですから、参考に聞かせて下さい。
  43. 依田信太郎

    ○依田参考人 非常にむずかしい問題でありますが、また必要な問題でもありますので、私どもも今研究中であります。数が多過ぎるからもう少し減らしたい、これはだれも一致する意見でありますが、その減らす方法はたいへんむずかしい。機械的には行かぬと思います。小さくても非常に質のいいものもあります。大きくてもあまり活動ができない。また無理に木に竹を継いだように大きくしたから貿易がうまく行くとも考えられない。それらの実情に即して、業態にもより、実績も見、実際の活動状況も見てやらなければならない非常にむずかしい問題で、ここでこれが一番いいという割り切った名案を持ち合せません。今後研究してみたいと思います。
  44. 益岡巳年雄

    ○益岡参考人 先ほど私が御説明申し上げました商社強化策の一つとしまして、商社の整理統合ということがあります。これは、商社の大小ということを、ただ単に取扱い高が大きいとか小さいとか——これも一つの目安ではございますが、商社の取引の内容及び商社の信用度及びそののれん、そういうふうな見えざる資産というようなものまでも全部入れまして、それをAクラス、Bクラスにもしお分けになるなら分けられたらいいと思います。しかし、もともと個人の自由ということは憲法で認められておりますから、従って、商社を、その大小によりまして、大なるがゆえに国家がそれを優遇する、小なるがゆえにそれを優遇の対象からはずして営業が非常にしにくくなるということは、これは私は小規模の商社としては大いに言い分があるのじゃないかと思います。ただ単に機械的にそういうふうな実績主義によって統合の対象にしてやるということは、大いなる弊害があるのじゃないかと、こういう意見なんでございます。もともと商社の実績というふうなものは、先ほど申し上げました通りに、取扱い商品が鉄鋼とか繊維というふうなものにつきましては一口でも非常に増大いたします。雑貨みたいなものは非常にむずかしいものでございます。そうしてそれを専門に扱っておる商社は、先ほどもお話のありました通りに、過去長い経験を有し、海外とのいい連絡先を有する、こういうふうなものはやはり生かしていかなければならない。そういう意味でございまして、つまり実績主義一本で行くという機械的なやり方については、われわれは商社強化方法としましても再考をお願いしたい、こういうふうな論旨だったわけであります。
  45. 福士次郎

    ○福士参考人 こういう整理統合と言いますが、商社をどういうふうに扱うかということは、今依田さんから申されましたように、非常にむずかしい問題でございます。というのは、通商白書にもありますような、あんな大きな商社の数を持っておる国はおそらく世界中でそうないだろうと思うのです。これはやはり、人口の多い、しかも貧乏な日本として、たとえば電話一本に事務員が三人くらいの小さな店でも、貿易業者という名前で、とにかく食っていかなければならぬというようなことで、一つはそういうものの数がふえたということがあるかもしれません。そこで、そういうものをどうするかという場合に、私どもが考えますことは、大きな総合商社というものは、なるほど世界日本の国益を伸張させる上において大きな力になることはもちろん否定できない。しかしながら、総合商社になり得るということは、いろいろな競争力とか、おのずからその会社に持っておる力によって、そう簡単にあっちもこっちもということはできないわけでございます。そこにおのずから力の制限が出てくるわけでございますから、これはやはり専門商社をどういうふうにして生かしていくかということに落ちつくのじゃなかろうかと思います。たとえば、チェコスロバキアが共産圏の側に入ったために、アメリカに造花が行かなくなったために、日本から造花がずいぶん出るので、小さな会社が造花だけ一生懸命作って、月に純益五十万円もあげて、四、五人の会社でけっこう食っているところがあるわけです。こういうものは、その造花といろ内容がきわめてりっぱであって、アメリカの外貨を獲得するという点からいったら、たった四、五人の会社だといっても、これを軽蔑するわけに行かない。そうかといって、十人も二十人もおっても、一体何をやっているのだか、いつも、どこかが、せっかくいい値段で外貨を獲得し得るような輸出商品を探してくると、そのまたをくぐって安い値段を出してとってしまうというようなやり方をもしするところがあれば、これは会社としてはあまり値打がないというように考えなければならない。そこで、先ほど水上参考人からもお話のありました商社の登録制の問題、これは通産省でも一ころ貿易業法というような案を考えたこともあるようでございますが、こういうようなことによって、いかに小さくてもやっておるその業務の内容が価値があるというようなものであれば、これは生かしていかなければならぬし、また生きていくというふうに考えておりますので、一がいに数を合わせたらいい、あるいは一がいに大商社にならなければいかぬということはなかなかむずかしい問題だ。ただ、非常に商社の数が多いという結果は、どうしても同業相食むというようなことになりまして、たとえば東南アジアその他の各国において商社が競争するというような場面は、確かに実際あるわけでございます。これをどうするかという問題は、たとえば組合の問題その他いろいろな方法が考えられるわけでありますが、なかなかこれはむずかしいので、われわれとしてもすぐには結論が出ないところでございます。まあ非常に抽象的ではありますけれども、大きくても小さくても、これは内容によって必ず生かしていくというふうな立て方を何とかする具体的な方法があればというふうに思っております。
  46. 田原春次

    ○田原委員 その御意見ですと、やはりこういうことは困っているがどうにもしょうがないということですか。
  47. 福士次郎

    ○福士参考人 現在のところでは、ある程度自由競争にまかせられている限りやむを得ないというふうに私は思います。
  48. 玉置敬三

    ○玉置参考人 私も、形式的な整理統合と言いますか、それは排除すべきだと思います。メーカー・サイドから御参考までに申し上げますと、商品によりまして、また地域によりまして、消費者側のお得意芸というものがやはり相当あるのであります。それから逆に、商品によったら大きな会社が好まないような商品もあります。そういうものはやはり中小の方がぴんぴん働き得る商品もあり、またそういう国もあるのであります。そういう面で、百のものを二十にしたらいいという算術的は結論は出ないのじゃないかと思います。ただ、総合的な大きく世界的に伸びるというような性格のものは、何といっても力が足りないという面が相当あるのであります。従って、全部が全部どうしろというのではなくて、たとえば、機械の大きなものをやる場合には、やはり相当内容的にも実力がなければ繰り回しがきかないということもございます。要は実力と長短をどういうふうに相補うかという点であろうと思いますし、また、商社の中におきましても、輸出面と輸入面のウェートの置き方によっても非常に違ってくる面があろうかと思います。今お話がありましたように、単なる画一主義でどうするという結論はなかなかつきがたい問題であろうと思います。
  49. 田原春次

    ○田原委員 私は、質問はこれで終りまして、委員長に希望するのですが、大蔵省の為替局、特に農林、運輸の貿易関係の担任官、外務省の経済局と通産省の通商局の方に毎回委員会に御出席下さるようにお取り計らい願いたいと思います。  もう一つは、適当な機会に参考人をお呼び願いたいのです。小商社の方は小さい事業ですが、実態を知りたいと思いますから、これは数も多いし選定は困難であると思いますが、選任を願います。選任方は委員長に一任しておきます。  第三は、在日外人商社が来てみての感じ日本との取引を盛んにする点において、金融の面とか価格の面あるいは品質の面あるいは日本官庁の手続等の点について所感があるのではないかと思います。これは国会に参考人として呼んで差しつかえないという先例、事例等があれば、これを調べてもらいまして、適当な機会に、なるべく一国一社で七、八社くらいを希望しておきますから、理事会等にかけて御考慮願いたい。本日おいで下さった方は一般貿易商ことに経験のある方で、一流の方が多いようでございますが、今度は業態別、専門別、そのうちの一つとしてこれも適当な機会に御考慮願いたいのは、映画の輸出入産業、これは文化、啓蒙等に関連があるので、お互いに関心がある問題でありますから、大きな映画の輸入商と小さな輸入商もしくは映画の製作者あるいは貿易業者もしくは団体、こういうところを一日で勉強できる程度に、これも適当の機会に御考慮を願って、次々に打ち合せて呼んでいただきたい。これを希望して質問を終ります。
  50. 前田榮之助

    前田委員長 理事会に諮って善処いたします。
  51. 帆足計

    ○帆足委員 委員長に希望を申し上げたいのですが、ソビエトからの貿易代表がやって参りまして、今貿易交渉の途中でありますが、外務省はこれを六月の二十五日に退去せしめると言うのです。ところが、実際は取引額も大きいですし、両方の意思の疎通を欠いておりましたので、非常に交渉に時間を要しまして、あと一カ月か一カ月半かかるということに両方とも意見一致しているわけです。それを外務省は認めないで、六月二十五日に退去すべしというような——これは、従来のお家芸ですから、別に怪しむに足らぬことですが、そういう態度に出られているのです。ちょうどロンドンでソ連との間に今講和談判が進行中でありますときに、あまり手荒なことをなさることば、外務省の趣味とあればいたし方ありませんが、国民の利益に反する趣味、すなわちいやがらせということはやめていただきたいと思いますので、どうぞこの次に外務省当局を呼び出して、委員長からその機会をお作りくださるように、外務省に反省を促したいと思いますから、お取り計らいを願いたい。
  52. 前田榮之助

    前田委員長 承知いたしました。  以上で参考人に対する質疑は終ります。  この際参考人各位に一言御礼申し上げます。各位には、御多用中にもかかわりませず、長時間にわたり御出席下され、種々貴重なる御意見を御発表下さいまして、まことにありがとうございます。なお、委員会といたしましては、これを十分参考といたしまして、調査を進めて参りたいと存じます。  次回は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十七分散会