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1955-06-01 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年六月一日(水曜日)   午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 宇田 耕一君 理事 首藤 新八君    理事 瀬戸山三男君 理事 古川 丈吉君    理事 加藤 清二君 理事 中村 高一君       菅野和太郎君    櫻内 義雄君       森下 國雄君    山本 勝市君       鹿野 彦吉君    田口長治郎君       平野 三郎君    石村 英雄君       下川儀太郎君    帆足  計君       田原 春次君    川上 貫一君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         総理府事務官         (経済審議庁総         務部長)    酒井 俊彦君         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         農林事務官         (農林経済局         長)      大坪 藤市君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君         通商産業事務官         (軽工業局長) 吉岡千代三君         運 輸 技 官         (船舶局長)  甘利 昂一君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局資金課         長)      佐々木庸一君         農林事務官         (農林経済局肥         料課長)    桧垣徳太郎君     ————————————— 六月一日  委員志賀義雄君辞任につき、その補欠として川  上貫一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  貿易振興に関する件(日中貿易問題)     —————————————
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議を開きます。  貿易振興に関して調査を進めます。本日は、日中貿易協定に関して政府に対し質疑の通告がありますから、通告順にこれを許します。
  3. 古川丈吉

    古川委員 議事進行について質問の前にお願いいたします。  この間、委員会で、本委員会所管事項と申しますか、権限について私から発言をいたしたのでございますが、そのときには、共産圏のみならず一般貿易振興に関する調査会という意味で、この委員会は御承知願ったように思っておるのでございます。ところが、五月十九日の商工委員会において、齋藤憲三商工委員発言と、またわが委員会帆足委員のこの問題につきましての発言がありますが、その速記録を見ますと、常任委員会一般的な問題を所管するので、特別委員会というものは原則として特殊な問題を調査するのだ、その意味において貿易振興調査特別委員会共産圏向け貿易に関する問題のみを審議すべきものだ、こういう議論が出て、わが帆足委員も、しかも理事帆足君がそれに賛成をしておられるようなので、その問題については委員長としてあらためて解決を適当にするというふうになっておりますが、その後商工委員長とその方の話し合いをされたのかどうか、また話し合いがいずれにいたしましても、私は、この間も申し上げました通りに、この委員会というものは広く一般的な貿易振興調査の対象とすべきものである。もちろん、われわれといたしましても、中共初め共産圏に対する貿易もいろいろな支障がありますけれども、その打開をしなければならぬと思っておる一人であります。本委員会の性格としては一般的な問題を取り扱うべきである、こう考えておりますが、委員長からその後の経過と本委員会の態度をいま一度はっきりさせていただきたいと存じます。
  4. 中村高一

    中村(高)委員 今の問題に関連して。今御質問のありました委員会審議権限——権限と言うては少し言葉が強過ぎますが、どんな内容の審議ができるかということについて、私は前の委員長でありまして、初代の貿易委員長でありますから、これができたときにその問題について協議をいたしまして、主として共産圏の問題をやる。しかし、ここは貿易委員会でありますから、どういう問題について審議ができないというようなそういう窮屈なものではなくして、すべての貿易に関してできるが、主として共産圏貿易すなわち政府の実際に行なっておらないような貿易の問題をここで取り上げて、そうして一つ国策に協力をするというような趣旨で、この貿易委員会を作ることを私たちが提唱いたしまして、議院運営委員会でもそれはもっともだということでできたのでありますから、ただいまの問題については、前の委員会以来、別に審議方法が変ったわけでないのでありまして、前の委員会と同じであります。ただ、実際問題として、貿易関係をした法案が提出された場合に、どちらでこれを審議するかという問題は出てくると私は存じます。私が委員長でありました当時には、一つもそういう法案が出てこなかったから、別に問題はなかったのでありますが、もし、そういう貿易に関して、どちらの委員会に提出することがいいかという問題があったときには、これはむろん委員長同士で御相談なさるでありましょうが、その場合には、商工委員会の方は常任委員会でありますから、これが優先されるということもあるとは存じます。まだ今までは一つもそういう法案をどちらに出すかという問題はなかったのであります。しかし、審議方法につきまして、共産圏のものだけに限るということは、前の委員会では決してなかったことをはっきりいたしておきまして、今度の委員会でも別にそういう方針に変更は一度もなかったと思いますから、当委員会としてもそうだということだけを私は申し上げておきたいと思います。
  5. 前田榮之助

    前田委員長 古川君にお答えします。私といたしましては、議運の方で、議運委員長商工委員長貿易振興委員長と三者で会談をして適当にきめたらいいじゃないかというようになっておるように、直接は私聞いておりませんが、聞いております。それで、議運委員長のところへ参りまして相談をいたそうといたしましたけれども議運委員長がいなかったので、事務をやっておる人に私が来た旨を申し上げてくれるように言っておきました。それから商工委員長に会いまして、いつか具体的に相談しようじゃないか、こういうことで、それがよかろう、君と僕との間柄だから、その点はうまくやるということで、田中角榮君との間で円満にやっていこう、こういうことの話し合いまでしたが、具体的な話はまだ進んでおりません。これは私ばかりが足を運ぶという筋合いではないと思う。ことに、今古川君がおっしゃったように、貿易振興委員会であるから、何も共産圏だけやるべきものだという筋合いではないと思う。主としてそういうことになりがちであるということはあり得るかもわからぬと思います。従って、今前の委員長も申された通りに、主としてそういう傾向になろうとは思いますけれども貿易一般についての審議を進めるものだと私は信じて、当委員会運営いたしたいと思っておる次第であります。
  6. 古川丈吉

    古川委員 ただいま前委員長中村理事からもお話がありましてよくわかりました。前国会においてそういう工合におきめになったのでございましょうが、その中にも「主として」という言葉がございました。私は何も「主として」とかそういうことにこだわる必要はない。現実の問題として、今委員長の言われたように、そういう問題が多く出てくるかもわからぬけれども、本委員会としてはそんなことにこだわらないで、一般的な貿易振興に関する委員会だ、こういう考え方で行った方がよいと思う。特に帆足君の名前を申し上げましたが、こちらの理事であって商工委員もしておられる帆足さんがそういう考えを持っておられるので、十分それを納得していただかないと、運営の上においていろいろな食い違いが起きると思いますので、念のためあらためて委員長質問申し上げたような次第でありますから、さように委員意見を一致してきめておいていただきたい、かように思うのでございます。
  7. 前田榮之助

    前田委員長 今古川君が御発言になったような取扱いで進むということに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 前田榮之助

    前田委員長 御異議なしと認め、それではさように取り扱うことにいたします。  帆足計君。
  9. 帆足計

    帆足委員 きょうは委員会における最初の討議でございますが、共産圏に対する貿易のただいまの隘路はほとんど政治問題でございます。その上、いわゆるココムの制限取りきめがきまりましたときに比べますと、国際情勢が全く変って参りまして、当時の諸条件と全く異なるものがある次第でございます。その上、国内におきましても、自由党内閣が倒れまして、民主党内閣は、中国その他共産圏との貿易もイデオロギーを離れて大いに拡大しようという公約のもとに多数党になられたわけでございますので、前内閣時代とは、内外情勢を勘案いたしましても、共産圏特に中国向け貿易飛躍的増大を期さなければならぬわけでございますが、その実績の端緒すらあがっていない現状でございます。従いまして、これらの問題についての政府への質問なりわれらの要望に対しては、当然、関係大臣に御出席を願いまして、大臣からしかと腹をきめた御回答をいただかなければ、ほとんど無意味に近いと思います。事務当局の方も、まず大臣方針が積極的にきまらなければ返答しにくいことばかりでございましょうから、大臣の御出席の前に各般の重要問題につきまして逐次御質問いたしましたところで、ほとんど無益なことであろうと思われます。しかしながら、委員各位もおそろいでありますし、議事進行の都合もありますので、大臣の御出席までの間は主として事務的なことをお尋ねいたしまして、大臣が御出席になりましたら、私を含めて逐次同僚委員の皆さんからも、直接大臣にこの問題解決についての要望をいたしたいと思う次第でございます。  ただいま幾つか差し迫った問題がございますが、これまた後ほど大臣出席していただかなければ何一つ解決がつかないのでありますから、前回において通商局長にお願いしておきましたココムの問題につきまして、実は、ココム取扱いにつきましては、私は新しい構想をもってこれに対処すべきであると存じますので、通産大臣に後ほど要望申し上げたいと思うのですが、まず現在の実情を知る必要がございます。これにつきましては、いずれ理事会において御審議願いまして、秘密会を開きまして、ココム実情をあまねく一つ委員にだけは知らせていただきたいと思いますので、詳細はその会に譲ることといたしましても、とりあえずお尋ねいたしたいのは、先日通商局長にお尋ねいたしておきましたように、せめてソ連並みに緩和されました場合に、今次の中国との通商協定に掲げられましたような品目のうち、どれとどれとがなおかつ通商不可能であるかということを具体的にお示し願いたいと思うのでございます。
  10. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまの御質問については、一応私どもで検討したものがございますので、これも秘密会で一緒に御説明申し上げたいと思います。
  11. 帆足計

    帆足委員 それではその次にお尋ねいたしますが、まず事務的な問題といたしまして、ことしになりましてから最近までの中国との貿易実績は、去年と比較いたしましてどういう数字になっておりますか。まずそれを伺いたいと思います。
  12. 板垣修

    板垣政府委員 御承知のように、これを一昨年と比べますると、通産省通商取引承認ベースで申し上げますると、一昨年が輸出が六百四十万ドル、輸入が六百万ドル。それが、昨年一カ年の合計で、輸出三千六百万ドル、輸入が三千五百九十万ドル、大体三千六百万ドルという状況になっております。これは、昨年の下半期ごろから、月別の許可額で見ましても多少出入りがございますが、相当ペースが上ってきております。ただいまのところ、本年は三月までしか資料がございませんけれども、一月が二百万ドル台、二月が九百万ドル、三月が六百万ドルということになっておりまして、昨年の下半期より特に上ったということはありませんが、大体昨年の下半期上昇カーブをたどっておるというふうに考えております。
  13. 帆足計

    帆足委員 それでは逐次お尋ねいたしますが、まず輸出の方ですけれども、昨年硫安輸出は、これは暦年度ですか、会計年度ですか、または肥料年度ですか、それを御明示願って、韓国向け台湾向け中国向けと、どのようになっていますか。それから、中国向け硫安の今まで輸出しました累計はどのくらいになっておりますか。
  14. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 お答え申し上げます。肥料年度でお答え申し上げたいと思います。御承知のように八月から翌年の七月までが肥料年度になっております。二十八年度と二十九年度、二十九年度はまだ本年の七月まであるわけでありますが、中共向けは、二十八肥料年度硫安三万トンでございまして、二十九年度は七万一千トンでございます。それから韓国向けは、二十八年度は十六万五千トン、二十九年度は九万二千トンでございます。それから台湾向けは、二十八肥料年度が二十六万四千トン、二十九肥料年度が二十七万トン、以上でございます。
  15. 帆足計

    帆足委員 今肥料年度における中共向けあと輸出ですね、七万トンに含まれていないものがまだ計画にございますか。
  16. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御承知のように、本肥料年度におきましての輸出額といたしまして、肥料審議会において硫安四十七万トンというワクを定めていただいたわけでございますが、御承知のように、各国からの引き合いが非常に旺盛でございまして、すでに全部のワク契約済みでございます。ただ幸いにある程度の増産を見ておりますので、近く肥料審議会を開いていただきまして、この四十七万トンの輸出額拡大を御審議願う、こういう考えにいたしておりますけれども、現在大口の引き合いが参っておりますのは中共並びに韓国でございますので、その際には、これらの地区を中心にいたしまして輸出をいたすということの御承認を願うことと考えております。
  17. 帆足計

    帆足委員 硫安アジア諸国並びに北アジアに対する輸出は、これは日本の国策上非常に重要な問題でございますから、後ほど通産大臣がお見えになってからさらに突っ込んでお尋ねしたいのですが、今肥料年度における最後の輸出ワク拡大は、時日も急いでおりますので、肥料審議会を急いで開いていただかねばならぬと思いますけれども、いつごろ開けるようになっているのでしょうか。私どもが観察いたしますと、肥料の問題は、国内の農村に対する需給調整という重要な課題と、それから輸出という重要な課題と、二つの均衡を考えねばなりませんが、しかし、輸出拡大はこれまた非常に重要な問題でございますのにかかわらず、従来とかくこの問題が過小評価されていたように思うのです。従いまして、肥料審議会を早急に開いていただいて、そうして通産省としては主張すべき点は十分主張していただきたいと思います。本来ならば、肥料審議会委員に、農林委員のほかに、今後は商工委員から、輸出という観点からの代表が参加するような態勢にならねばならぬのではないかと思いますが、これも大臣のお考えにあることですから、事務当局にお尋ねいたしましても無理と思いますが、肥料審議会の開催の予定はどういうふうになっておりますか。
  18. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま農林省と事務的にお打ち合せをいたしておりますが、大体今月の十日前後に開催いたし得るのではなかろうかと考えております。それで、その時期といたしましては、御承知のように六月一ぱいは内地におきましてもまだ春肥需要期でございますので、あまり早くこれを開催いたしますと、内需見通しを立てることに困難がございます。ことに、今肥料年度内需も非常に旺盛でございまして、ある程度春肥需要見通しを立てませんことには、審議会を開きましても円滑に行かないという関係がございます。なお、国会関係から委員をお願いいたしておりました方々の手続が、先月の中ごろでございましたか、終りましたので、この辺をにらみ合せまして、大体十日前後に開催していただくように、ただいま準備を進めておる次第でございます。
  19. 帆足計

    帆足委員 米と大豆の問題がおわかりになる方、政府委員でお見えでございますか。——米大豆の昨年の輸入実績と昨今の状況を簡単に御報告願いたいのです。中国との貿易と申しますと、輸入品では現在米と大豆と塩が大宗で、あとは粘結炭鉄鉱石ですが、これは今後の問題です。輸出といえば硫安が根幹をなしておりますので、大臣の御出席の前に最近の実情を承わっておきますことは、委員全体の参考になろうと存じますので、一つお伺いいたします。
  20. 板垣修

    板垣政府委員 私の手元にあります資料で昨年の米、大豆輸入量だけがわかっております。昨年の暦年で米が七万五千二百十三トン、大豆が四万五千八百六十四トン入っております。ことしになってからの実情資料がございませんので申し上げられません。
  21. 帆足計

    帆足委員 前回委員から通商局長に御質問がありましたけれども、昨今台湾政府からの干渉がまた露骨になって参りまして、三、四の商社に対しては中国大陸の方と貿易をしないという何か契約書か覚書のようなものを出せというようなことを、台湾政府の出先から言ってきているようなことを聞くのです。こういうようなことになりますと、これは明らかに国際慣例にも反しますし内政干渉の疑いもありますので、至急適切な措置をしていただかねばなりません。これも外務大臣または通産大臣要求すべきことでございますが、一応事務的に、そういうことをお聞及びでしょうが、必要な措置を考究されておりますか、一応お尋ねしておきたいと思います。
  22. 板垣修

    板垣政府委員 ただいま御質問のように、最近国民政府行政院経済部で決議があったという新聞報道がございます。これにつきましては私どもまだ何ら公式に聞いておりません。ただ、それより前に、砂糖などにつきましてそういう要求をされたという話を間接に一、二の業者からは聞いております。これは、従来の硫安輸出問題にも関連しまして、多少そういう事実があるようにも思いますので、政府といたしましては、すでに非公式には国民政府のこちらに来ております代表に申し入れはしておりますが、これを公式にどういう形で取り上げるかにつきましては、まだ結論に達しておりません。
  23. 帆足計

    帆足委員 いずれも直接通産大臣の御決意を促さねばならぬ問題でありますので、後ほどお尋ねすることにいたします。  最近中国との貿易協定ができましたあと、やはり輸出品に引き続いて非常に困っておりまして、せめてココム特免条項申請をいたさねばならぬという品目が次々と業界から要望されておるわけであります。たとえば、カーボン・ブラックとか漁船とか、それから有機ゴム、薬品、自動車部分品等々お聞き及びの通りでございます。特に、漁船に対しましては、早く二、三年前からこの問題の交渉が進んでおりまして、御承知のように、広島を中心としました木造船業者国内の七、八割を占めており、それから四国その他全国各地木造船についての中小メーカーが散在しておるような状況でありますが、現在は非常な深刻な不景気で苦しんでいることも御承知通りであります。今日のような段階になおかつ木造船戦略物資だと言うことは、私はこっけいだと思うのです。小型自動車輸出が許可されておりますときに、木造船が禁止されておるがごときは、アナクロニズムもはなはだしいものと思いますが、次々と業界から要望されておりますこれらの特免申請に対しまして政府ほどのようにお考えでしょうか。特に、木造船に至りましては、御承知のような焼玉エンジン式のもので、漁船であれ引き舟であれ各種のものが要望されておりまして、大豆とかその他重要な商品の見返り物資としても、どうしても輸出をお認め願わなければ、これ以上中国との貿易は一歩も前進し得ないというところに参っているわけでございます。私はある意味では鉄鋼製品よりも認められやすいものでないかとも思いますが、政府当局としては今後どういうふうにお取り上げになりますか、お尋ねいたします。
  24. 湯川盛夫

    湯川政府委員 お答えいたします。  木造船の問題につきましては、しばしばココムの問題になったのであります。私ども、初めはこの木造船というのはあまり戦略性がないと思いまして、その除外ということを非常に主張したのであります。非常に長い時間にわたって論ぜられたのでありますが、実は、この木造船というのが、だんだん各国代表議論をしてみますと、新しい海戦の方式では非常に重要であるという主張が強く出てきたのであります。それは、掃海とかあるいは魚雷の敷設ということについて、アンチ・マグネティックと申しますか、磁気性を持っていないという点が非常に木造船の特徴であって、補助艦船と言いますか、そういったような見地から、これは非常に戦略性ありという論が一般の強い意見であったのであります。そのアンチ・マグネティックという特性を否定するというのは、いろいろまたやってみたのでありますが、それはどうしてもできない。それからもう一つは、中共では運河等が非常に発達しておりますので、兵員の輸送にこういった小さな舟が利用される、これがもう一つ主張であります。従って木造船は初めは私どもも割合簡単に考えていたのでありますが、全体の委員会の空気あるいは大勢というものは、木造船は戦略的価値ありということになっております。  ほかのいろいろ特免物資でありますが、これは、特免と言いましても、結局は禁止の品目をば特殊の除外例を設けるというわけでありますので、これをだんだん説明して、いろいろ今までも除外を求めてきておりますが、そういった緩急順序等いろいろあとでお話しする機会があるかと思いますが、そういった点を考慮して、何でも特免でというわけにも行きません。まあできるだけそういった点で緩和していくということは……。
  25. 帆足計

    帆足委員 こういう事実があるということで逐次事務当局の御注意を促すだけでございまして、お尋ねいたしてみましたところで、前内閣のときと何ら変ることもありませんし、これは結局政治力政府の腹の問題でございます。木造船戦略物資であるかどうか。自転車は非常に敏捷なものであって、あれは連絡、伝令にもってこいのものでありますし、人の輸送にもいいものでありますが、自転車戦略物資でなくて木造船戦略物資であるとか、そろいうようなことを原爆、水爆時代に論議するなどということは、どうも文明国としての恥辱であると一応思うのでありますが、これもコモンセンスの問題でありますので、ここで御注意を促す以外に措置もないのでありますから、一つ大臣に早く出席してもらいたいと思いますが、その大臣が三時でなければ出席できないのですか。実は、中国貿易隘路打開という非常にきびしい課題を、きわめて実際的に、ある程度超党派的に打開しようということで、この委員会が生まれたのです。それで、前回理事会では、どの問題も各省に連関しておりまするし、非常に政府の英断を必要とする問題であるし、米英の間に伍して上手に果断迅速に解決しなければならぬ問題であるから、関係大臣に御出席願って、一つ一挙に論議を集中しようというお打ち合せで、きょうの会議が期待されていたのですが、このようなことでは事務当局に御注意を促すということで終ってしまって、一向効果が上らないと思いますが、委員長の方においてどのようにお取り計らい下さいますでしょうか。
  26. 前田榮之助

    前田委員長 関係大臣出席は、この前の理事会の決定に基いて、それぞれ要求をいたしておりましたが、御承知のように、予算委員会で非常に緊迫した審議が進められておりまして、こちらの方へは来られない情勢は、ある程度までやむを得ないのじゃないかと思うわけであります。従って、本日大臣の御出席ができない場合においては、あらためて大臣に出てもらって審議を進めたいと思う次第であります。
  27. 帆足計

    帆足委員 それでは、大臣の来られる前に、もう一つ二つだけ事務的なことをお尋ねしまして、他の同僚委員の皆さんからも事務的な問題で御注意を促すことがあろうと思いますから、それを先にして、一つ一刻も早く大臣の御出席要望いたしたいと思います。  一つは、貿易の窓口が、向うは一本でありますのに、こちらは自由競争の状況です。と申しまして、特定の商社を中国向け商社と指定することを今直ちに行うことは、非常な困難な事情があると思う。ある程度まで進んでからですと、一定の金額の実績あるものに、業種別に、また商品別に限定するというようなことも、やむなき措置でありますが、必要な措置として考えねばならぬ段階が来るとも思いますけれども、この問題について、これは政府だけの考えできめるべきことでなくて、やはり世論を尊重し業界の実際に即してきめねばならぬ問題でありますが、とりあえず通産当局としてはどういうふうにお考えでありましょうか。当分の間様子を見送っておくというようなお考えでしょうか。それとも何らかの研究の腹案でもお持ち合せでしょうか。
  28. 板垣修

    板垣政府委員 対中共貿易につきまして、何らか日本側で一本になった、あるいはもう少し現状よりはまとまった組織がほしいということは、今おっしゃる通りでございます。実は私どもそういうふうに考えておりまして、昨年ごろから業界には寄り寄り問題として提起をしております。御承知のように、昨年ごろ一時関西方面で会社案なども出ましたが、会社などにつきましてこれに独占的な輸出入権を与えるということは、とうてい法律的にできませんので、業界自体もそういう点を考慮いたしまして、会社案というのはやめになったようであります。その後起りましたのは、結局、ほかに方法がないとしますれば、やはり組合方式ということにならざるを得ないのであります。ただ、現状の輸出入取引法の関係では、地域別の輸出入組合というものがちょっと設立が困難な事情になっておりますので、この点につきましては、私ども業界に諮りまして、今度の輸出入取引法の改正におきまして、ある特定の場合には地域別の輸出入組合を設立できるという条項を入れまして、道を開きたいと思っております。この条項に基きまして、もし業界の方で対中共向け輸出入組合というものを結成することが一番妥当であり、またそれが結成されるという見通しがつきましたならば、政府としましても、これに賛成をしたいというふうに考えております。
  29. 帆足計

    帆足委員 この問題につきましては、当面支払い決済の問題が解決つきません間は、輸出入のバーターの問題にも個別商社が縛られておりますので、いろいろ困難な問題があると思うのです。政府当局の方で、公団は無理であって、輸出入組合、また輸出組合、輸入組合の方式が妥当であろうという御答弁は、私もその方が実際的でなかろうかと思います。同時に、すべての商品について一律にするのでなくて、まず当面は、重要輸出品または重要輸入品について、私は必要に応じて逐次なさる方が妥当じゃないかと思いますが、中国貿易に対しては、非常に早くから莫大な犠牲を払って従事している業者もありますし、また、あとの方で参加した三番ぶろ、四番ぶろの業者もありましょうから、そういうことについての過去の努力などについても十分メリットを認めて御措置なさらなければ、商業道徳にも反するようなことも起りましょうから、それらの点も十分、もし組合法を発動いたしますときには、御勘案下さいまして、各界から見て、まことに妥当である、その辺のところはやむを得ないであろうというような案にしていただくように、ただいまからわれわれ国民代表としては切望いたしておきます。  それから、大豆の見返りの問題が非常に困難でございます。御承知のように、これは甲類になっておりまして、見返りの甲類輸出というものが現在ほとんどない状況であります。これを代行しようとするならば、まず硫安しかない。硫安は乙の上位になっているものでございます。ところが、硫安は、輸出数量に限界がありますし、主として米の見返りに使用されることが慣例となっておりますので、業者の怠慢ではなくして、これは非常に苦労を重ねているように承わっております。前年度の大豆が、逆トーマスの約束で、人絹糸、化学製品等を見返りに中国輸出する予定のものが、いまだに解決がついておりませんが、私ども客観的に観察いたしますと、これは、業者個々の怠慢によることでなくして、やむを得ざる情勢のもとにこのような仕儀になっているものと思います。これについて中国側に交渉いたしましたところ、約束は守るということをたびたび先方は言明いたしまして、速記録にも残っているような状況でございますが、やがて八月になれば期限が参りますし、十月、十一月期限のものもあるように承わっておりますが、この問題は、日中貿易を振興するというお考え政府にあるならば、あまり神経質にお考えにならずに、業者並びに業界団体は責任を感じて努力いたしているのでございますから、政府の為替の取り組み上多少の余裕がおありになりますならば、弾力性を持った運用で、多少期限が延びましても、先方に気持よく、やはり約束通り買ってもらうように交渉を進めるというような方針をおとり願いたい。個々の業者の怠慢からできたことではなくて、客観情勢の困難からできているものでございますし、中国に対しては一種の輸出債権でございますから、この債権をただ機械的に放棄するのでなくして、忍耐強く、多少の譲歩をいたしましても、債権を確保しながら、二、三カ月または数カ月延びましても、輸出が実行に移されるように御指導になることが実情に即しておるのではなかろうかと思いますが、政府当局の、今後のお取扱いについての御意見など承わっておきたいと思います。
  30. 板垣修

    板垣政府委員 過去の大豆の見返りにつきまして、なかなか輸出が困難であるという事情はお話の通りであります。政府といたしましても、多少そこに弾力性を持たせるということは考えてもいいと思います。ただし、これは、今直ちに弾力性を持たすということを早目に断言してしまいますと、業界の中には輸出努力を怠りますので、私どもとしては、やはりできるだけの努力をして、その結果において検討したいと考えております。
  31. 帆足計

    帆足委員 ただいまのような次第でございますので、御答弁のようなお含みで一つ実際的に取り扱っていただきたいと思います。何しろ、中国貿易の問題は、困難な国際情勢のもとで業界の方々も努力しておりまするし、今次参りました使節団の歓迎などにつきましても、業界としては非常な犠牲を払って民間外交の片棒をかついでおるような事情もありまするし、台湾その他との摩擦でいろいろ苦労を重ねながら、民主党の国策に協力しているというような形にもなっておるのでありますから、今日の政府が、自由党内閣でなくて——自由党内閣でも、おそらく、この内外の情勢のもとでは、より革新的な外交政策をおとりになることを私どもは期待するのでありますから、(「自由党内閣でも、とは何だ」と呼ぶ者あり)別に自由党内閣に対してかれこれ申すわけではございません。自由党こそというお声がありますから大いに期待いたしますが、しかし、何分にも、選挙のときの公約はわれわれも拝承して、そういう内閣のもとにおいて現在事が進んでおるのですから、中国貿易に従事している業者が非常な困難にぶつかったときに、それ見たことかというような古い態度をおとりになるのでなくて、さぞかし苦労であったろう、よくぞ民主党内閣に協力してくれた、それではこういう実際的な弾力性ある措置で助けてやろうというのが、私は理解ある政府の態度であろうと思うのです。業者としては申しにくいことを私ども議員が公平な立場から言うことも、これはこの問題解決のために必要なことと思いますので、一つ通商局長にはその辺のコツをしかと御了解下さって御協力下さることを希望いたします。  通産大臣見えましたから、多少激しいことも申さねばならぬと思いまして、材料を準備して参ったのですが、まだお見えになりませんし、次の質問者もございますから、これをもちまして終ります。後ほど大臣がお見えになってからやります。
  32. 平野三郎

    ○平野委員 ただいまの帆足君の御質疑に関連いたしまして、ごく簡単にお尋ねを申し上げたいことがございます。それは硫安輸出の問題でございまして、十日ごろに肥料審議会をお開きになるというお話でございましたので、それについてお尋ね申し上げるのでありますが、特に中共及び韓国から非常に引き合いが多いということでございまするが、中共韓国の現在の引き合いの内容につきまして御説明を願いたいと思います。
  33. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 中共の万は、極端に申しますと、幾らでも出せるだけほしいということでございます。ただ、先ほどお話がございました中共米の見返りとしての数量等から勘案して、本肥料年度にさしあたり五万トン前後を非常に強く要望されておるのではなかろうかと承知しております。来肥料年度におきましては、先般使節団との話し合いの結果、二十万トンという御希望がございますが、これは来年度のことでございます。  それから、韓国につきましては、今月FOA資金による国際入札がある予定でございます。これは日本だけではございませんが、全体といたしまして九万五千トンという数量について国際入札がある。これは申すまでもなくFOA資金でございますので、ドルで決済されるということでございます。それ以外に、別途韓国政府の要請といたしまして、やはりドル払いで五万トンとりあえずきわめて手近の積期でほしいという要望がございました。  そのほかインド、ビルマその他東南アジア多数の国からも引き合いが参っております。
  34. 平野三郎

    ○平野委員 その値段はどのくらいになっておりますか。なお中共の方はバーターによる条件がついておるかどうか。
  35. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 中共の方は、値段につきましては別段約束はいたしておりませんが、最近の実勢から申しまして、大体FOB六十五ドル前後というところで、もしこちらで出し得るということであれば、その辺がまずFOB価格になると思います。韓国につきましても同様でございまして、ドル払いの方は大体六十五ドル見当で取引されるということになると思います。それから中共の方の条件は別にございません。
  36. 平野三郎

    ○平野委員 今御説明を承わりますと、中共だけでも本肥料年度が九万五千トン、さらに来肥料年度になれば二十万トンとかで、これはほとんど限りなき要求があるわけであります。また韓国においてもとりあえず五万トン、さらにビルマ、インドその他非常に需要が多いわけでございまするが、これらはやはり硫安輸出拡大をしなければできないことと思います。十日前後に肥料審議会をお開きになるということになっておりますれば、すでに大体諮問される政府案もできておることと思いますが、政府といたしましては、二十九肥料年度においてどの程度のワク拡大を意図しておられるのであるか、また来年度に対してはどういうふうに思っておられるのであるか、その点を具体的に数字的に御説明をいただきたいと思います。
  37. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま農林省とお打ち合せをいたしておりますので、的確な数字は申し上げかねますが、大体硫安その他の尿素、アンモニア系の肥料を含めまして、七、八万トン見当は、政府原案として肥料審議会にお諮りいたしたい、この程度のところまでは話し合いがまとまっておる事情でございます。
  38. 平野三郎

    ○平野委員 七、八万トン程度というお話でありましたが、それは尿素を含んでのことでありまして、硫安と尿素の内訳はどうなっておりますか。
  39. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 御承知のように、実硫安に対する内需が非常に旺盛でございます。その辺審議会で相当御意見を伺わねばならぬだろうと思っておりますが、ただいま話し合っておりまする実硫安四、五万トン見当のところを、政府原案としてお諮りいたしたいと考えております。
  40. 平野三郎

    ○平野委員 農林省からお見えになっておりますから、ちょっとお尋ねいたしますが、今尿素を含めて七、八万トン、硫安としては四、五万トン程度ということですが、農林省の御調査によりまする二十九肥料年度における日本の肥料の増産はどのくらいになっておりますか、さらに内地需要の増加がどういう比率になっておるか、その点。
  41. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 便宜私の方からお答え申し上げておきますが、二十九肥料年度におきましては、硫安換算二百四十万トンという生産計画を立てまして、実績は、これは七月まででございますが、大体十万トン程度の増産は期待できるのじゃなかろうかと考えております。そのほかに、内需の一割の調整保有といたしまして政府が買い上げを予定しておりますワクが十七万五千トンあるわけでございます。従いまして、需要が当初の計画通りといたしますれば、増産分の十万トンと、さらに調整保有の十七万五千トンが年度末においては余裕ができてくる、こういう計算になるわけでございますが、先ほどちょっと申し上げましたように、内需も非常に旺盛でございまして、増産分は相当内需に出ております。また調整保有として政府買い上げいたしました分もほとんど三分の二以上放出しておるような実情でございます。しかし、これは、現在春肥需要期でございますので、大体今月一ぱいいたしますと春肥需要期が終りますので、その辺の見通しを立てまして、内需に支障のない限り極力輸出ワク拡大をお願いしたい、こう考えておる次第でございます。
  42. 平野三郎

    ○平野委員 内需がどのくらいの見込みであるかということを伺っておるのですよ。その説明を願いたい。
  43. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 硫安肥料内需につきましては、本年度の需給計画においては百七十八万トン程度のアンモニア系肥料を要するということになっておりますが、今日までの実績は、計画に対しまして硫安換算約六万トン程度が工場出荷の内需の増となって現われております。そのほかに、先ほど軽工業局長からお話のございました調整保有分の硫安を約五万六千トン放出いたしておるのであります。従いまして、実質的な内需の増といたしましては、約十一万六千トンのアンモニア系肥料需要増という非常に強い内需の増加傾向を示しているわけでございます。そのほか、五月に入りまして意外に内需の増進傾向が見られておるのでありまして、結果といたしましては、本年度中に大体百九十万トンをこす程度のアンモニア系肥料内需として必要とするであろうという見通しを立てておるのであります。従いまして、当初の計画に対しましては十数万トンの需要増という形で現われるものと考えております。
  44. 平野三郎

    ○平野委員 今の通産、農林御当局の御説明がはなはだしく食い違っております。今、通産省の方の御説明では、十日ごろに肥料審議会を開いて、そこに出すところの政府諮問案というものは大体七、八万トン程度の輸出ワク拡大をしたい、硫安としては四、五万トンだ、こういうお話でありましたが、今農林省の方のお話を伺うと、増産分が十万トンくらいあるというけれども内需の増が十一万トンある、しかも法律によって一割程度の保留になった分に五万六千トン食い込んでいる、それを含んで十一万トンの内需の増ということになると、輸出ワク拡大する余地はないじゃありませんか。ないものを七、八万トンも拡大したいというようなことを通産省が言っておられるのは、まだ政府部内における調整がついておらぬのですか。おらないで、十日ごろに審議会を開くという確信がありますか。ついておるかついておらないか、それを伺いたい。
  45. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 政府部内の話し合いは、先ほど申し上げました限度におきましてはついております。ただ少し説明がはっきりいたさなかったかと思うのでありますが、調整保有は、これは肥料年度末には全部放出するという建前になっております。従いまして、こまかい数字は別といたしまして、ただいま申し上げました内需の増と増産分と、それから調整保有、この辺の数量を勘案いたしまして、大体その程度の輸出ワク拡大はお願いできるのじゃないか、こういうことで準備を進めておるような次第でございます。
  46. 平野三郎

    ○平野委員 農林省の方もいいんですか。それについておるのですか。
  47. 桧垣徳太郎

    ○桧垣説明員 今軽工業局長からお話がありました通りでございまして、政府部内の最終的検討が終ったわけではございませんけれども、大体の目安としては、そういう政府原案になるのではないかという点については、大体同じふうに私ども考えております。ただ、調整保有の問題につきましては、これはいずれ、あらためまして、内需に悪影響を及ぼすことのない数字を御説明申し上げて、肥料審議会で御了承を得るようなことになるのじゃないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  48. 平野三郎

    ○平野委員 ただいまのお話を伺っておりますると、結局、硫安輸出の問題ということは、もう海外における需要というものはほとんど無制限と言ってもいいほどあるわけです。そうしてみれば、これは非常に大きな問題でありまして、大臣出席を願わなければ、帆足君と同様に、解決つかない問題であります。結局は、海外の需要が旺盛であって、これは国内においてもっとどんどん増産をして、そうして輸出を積極的にやっていくということ、この点については何人も異論のないところであると思います。それがためには、国内における硫安の増産ということをしなければならない。それがためには、やはり輸出のための増産の一大計画を政府が立てて推進しなければならぬわけであります。それに対しまして、硫安の増産のための合理化資金というものもどんどん出して、そうしてやっていかなければならぬわけでありまするが、この硫安輸出のための合理化資金というものは、今年の予算においては、政府としては財政投融資の中でどのくらいを開発銀行から出す予定をしておられるのか、さしあたってはどういう構想でありまするか、それを承わって私の質問を終ります。
  49. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、大臣出席しておりませんが、いつも大臣からもやかましく言われておるところでございまして、全くわれわれも一そう努力をしなければならぬと思っておるわけでございます。合理化資金につきましては、二十八年度から申しますと、御承知のように二十八年度を起点といたしまして硫安の合理化五カ年計画を立てておりまして、財政資金の額で申し上げますと、二十八年度が七億二千万円、二十九年度が十億五千万円、三十年度におきましては一応十五億という額を通産省としては設けておりますが、さらにあらゆる可能な方法を講じまして、でき得べくんばさらにこれの拡大をはかりたい、こう考えておるような次第でございます。
  50. 平野三郎

    ○平野委員 私今事務当局に対する質疑は終ったのでありますが、ちょうど親愛なる石橋通産大臣がお見えになりましたので、ちょっとお尋ねいたしたいと思います。  実は、ただいま政府から出ておりますところの予算案に対して私どもが組みかえ案を出したい、こういうことで民主党と折衝いたしております。実は、つらつら観じまするに、われわれの主張しておるところは、石橋さんの代弁をしておる、こういう気持なのです。これは、かねてあなたが野党時代から拡大均衡論を唱えられて、おそらく政府部内におきましては一萬田蔵相と大いに渡り合われたことと推察をいたしておるわけで、むしろ石橋さんとしてはわれわれの今出しておる以上の大規模な拡大均衡論を持っておられる、今日もそのお気持であり、それが実現されないためにはなはだ脾肉の嘆をかこっておられると思うのでありますが、私どもは、石橋さんのお心持をそんたくいたしまして、遠慮しつつも、あなたの御意見のほんの一部を実現したいということで今やっておるわけでございます。ところが、それに対してなかなか政府の方の御同意を得られないということで、まことに遺憾千万に思っておるわけなんです。私は心から申し上げますが、あなたの御意見を代弁して今奮闘努力しておるわけで、あなたから大いに感謝されてしかるべきだと思っておるのでありますが、あなたの率直な御心境を——これは、決してあなたをつるし上げるとか、あげ足をとるとかいうふうな意図はございませんので、親愛なる石橋さんに、ここは貿易振興委員会でございますから、一つほんとうに忌憚のないお心持をここで聞かせていただきたい。ほんとうにあなたの御意見を実現すればいいことなのである。拡大均衡こそやるべきなんですから、民主党の閣僚であるとか、そんなことは一切念頭になしに、一つ個人の御意見でもけっこうですから、率直な御心境をここでお漏らしいただきたいんです。
  51. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 平野君からまことにありがたいお言葉をいただきまして、深く感謝いたします。拡大均衡、非常にけっこうと思います。ただやりようでありましょう。タイミングの問題もあります。それと、やり方が、せっかくですけれども、私は今の自由党の案に必ずしも全面的に賛成できないのです。御趣意は十分わかりますが、やるのなら、もっとやりようが、そこにあるんじゃないか。それは来年度から大いに実現しようと思ってせっかく努力しておる次第でありますから、どうか私どもをお助け下さるようにお願いをいたします。
  52. 帆足計

    帆足委員 きょうは貿易委員会の最初のまとまった会でありますので、先ほど委員長からお話があったのですが、この委員会一般貿易振興にもおのずからタッチしますけれども、主として無条約国、特に共産圏との貿易をゆるがせにすることはできないので、それに重点を注ぐという話でございます。ところが、この問題になりますと、ほとんどすべてが、政治問題であります。直接大臣のお耳に入れて、大臣の御決断を仰がなければ打開できない問題が大部分でございます。もちろん国際情勢に依存することも大きいのですが、国際情勢の突破ということになれば、これは結局大臣の対外的迫力によることでございますから、従いまして御出席を一同お待ちしておったわけなんです。事務的な問題や根本的な問題、いろいろありますが、逐次お尋ねいたします。  前回お願いいたしましたように、今次の貿易協定に基いて、ことしの秋に見本市を開くことを約束いたしておるわけです。これには超党派的に各党の方々もおおむね賛成して下さいました。秋の見本市ということになりますと、即刻準備に取りかからねばならぬ。来年の春には北京、上海で日本側の見本市を同時に開くということでございますので、それの各般の準備について、政府の御理解または御協力をお願いせねばならぬこともあるわけでございます。中国側がこちらで開きます問題につきましては、委員の出入と見本商品の搬出入、それから場所の選定、おおむね民間でできることでございますが、こちらから上海、北京で見本市を開くことになりますと、経済的にも貿易振興費の中から多少の御援助等も研究していただかねばならぬかと存じます。先ほど通商局長から数字を伺いましたが、中国との貿易も、昨年の実績は何分にも輸出入合計すれば七千万ドルをこえておるわけなんですから、相当大きな数量になっております。やがて一億ドルをこえることは間違いないことと思いますから、見本市を開催いたしましても、私はあまりおそ過ぎはしない、適当な時期であろうと思います。新聞の論調など見ましても、おおむねこれは行き過ぎであるという論旨はほとんど見られない状況でございますから、政府としても貿易振興の重要な一環の中に見本市の開催を一つ入れていただきたいと思いますが、これにつきましての大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  53. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 中共との問題は根本的にいろいろ政治的考慮もありましょうから、そういう点でめんどうな点はあることと思いますが、しかし、私ども少くとも通商産業省としては、各国との見本市をやるということは方針としてきめておりまして、相当強力にやりたいと考えて、すでに実行したものもありますし、まさに実行しかけておるものもありますしいたしますから、中共との間の見本市ということも、見本市ということについては、むろん大いにやっていただきたいというのが考えであります。ですから、国としてできるだけの御便宜というか、見本市開催については力を注ぐということにいたしたいと考えております。
  54. 帆足計

    帆足委員 ただいまの御答弁で、見本市につきまして衝に当った同僚議員の皆さんも安心したことと思いますが、そのような趣旨に従いまして通商局において具体的な問題は御研究願うということにいたしまして、大臣のお考えのほどを体して、一つ通商局長に御指導また御協力を願いたいと思います。  それから、ココムの問題につきましては、後ほどまたは後日秘密会を開きまして事情を詳細に承わりたいと思いますが、私どもが感じておりますところでは、いろいろ困難な問題はありますが、一つには国会においてそれらの事情がよく了解されていなかったということ、終戦直後のどさくさにまぎれて、ココムに十分な検討を加えないで引きずり込まれてしまったということ、これは敗戦の当時としてはやむを得ないことでございましょうが、さて今後どういうふうに切り開いていくかということについては、私はもう少し外務省に知恵をつける必要があると思うんです。従いまして、通産省としても、貿易振興のこの特別委員会と一体になりまして、もっと深く検討されて、ココムにオブザーバーを派遣するとか、またはパリの在外事務所に対してココム代表につけて事情のわかっている人を派遣するというようなこと、あるいは通商産業省から派遣するとか、そういうことが必要でないかと思いますが、いかがなものでしょうか。ただいまの湯川さんのお話を承わりますと、十年前の国際情勢のもとにおける御議論ならば、私はきわめて適切だと思いますけれどもココムの運用自身がもう時代の変遷と非常に大きなズレが来ているように思うのです。これは、台湾問題の情勢の推移とも並行してだんだん緩和されるであろうと思いますけれどもココムの出発しました当時とは非常に国際情勢が変っておるにかかわらず、ひとりココムだけが取り残されております。この問題について一番の犠牲者は日本なんです。日本以外にあまり気持の悪い国はないんです。日本のやつが閉じ込められておれば、ちょっと気の毒ではあるけれども、他人の不幸に対してかれこれ言うこともあるまいというのが西ヨーロッパの気分ではないかと思うのです。西ヨーロッパ諸国が中国貿易に対処する立場は、日本やアメリカが中国に手を出さなければ、西ヨーロッパ諸国はあわせて手を出す必要も感じない。西ヨーロッパとしてはむしろ東欧諸国の方に関心の的がある。アメリカとしてはカナダ、中南米に重大な関心を持っておって、北アジアの問題に対して経済的に責任ある立場にあるのは何といっても日本なんです。その日本が閉じ込められておるわけですから、ほかの国がこの囲いを解こうとはしないのが人情の自然だと思うのです。従いまして、ココムのかぎを解くのは日本の仕事でなければならぬ。そうだといたしますと、この問題に対して経済の知識のある通産省が、もう少し、外務省にいろいろ資料も差し上げ、指導鞭撻して適当な手順を考え、能力のある人を派遣してこの困難な問題を解いていかなければならぬと思います。じっとしておって解ける問題と、じっとしておって解けない問題とが世の中にありますが、ココムの特に中共リストの問題は、西ヨーロッパ諸国はあまり悪い気持は持っていないのですから、これはじっとしておったら解けない方の範疇に属していると私は思うのです。従いまして、これを逐次解いて参りますためには、非常な努力と、専門的な知識と、西ヨーロッパ諸国を納得させる論理が必要だと思いますので、もう少し大臣自身もこの問題を考えてもらいたい。これが問題の中核である。先ほども漁船の問題が出ております。木造船中心地は御承知のように広島ですが、四国やその他の各地にもあるのです。焼玉エンジンは中小企業で一番いい品物の一つですが、漁船、引き舟その他非常に大量のオファーが中国から参っております。特に大豆や米などの見返りとしては最もよい輸出品一つでございます。中小企業の振興のためにも適切なものです。木造船の最近の不景気のはげしいことは、ほとんど全滅のような、操業停止のような状況になっておるものの一つでございます。国内問題としてもゆるがせにできない問題でございます。従って、台湾の情勢が急転換しないまでも多少緩和する状況にありますので、この緩和の状況と結びつけて、木造船のごときはもうぼつぼつ解いてもらわねばならぬと思います。両ヨーロッパ諸国が、揚子江沿岸に使う木造船がどういうものであるか、それに対して日本が輸出工業としてどういう立場になっておるかなどということは、それはもっともであると理解してくれるまでには非常な努力が必要だと思いますので、格別の御注意をわずらわしたいと思いますが、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  55. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 シナ大陸に対する貿易は、世界のうちでも特に日本が特別な関心を持たなければならぬ、また非常に重要な位置にあるということは、かねがね私ども考えておりまして、そういう観点から、できるだけ中共に対する貿易の増進をはかりたい、それにはココム関係を何らか打開したいということで、今までもココムについては決して閑却しておったわけではなく、パリには大使館に通商産業省からも人が行っておりまして、それがココムの問題を取り扱っているわけでありますが、ココム自体の制度がもうすでにオブソリートだという今のお説は、いかにもそのように思います。われわれも、ココムというものはすでに存在しておる既成事実であって、これはやむを得ないものであるから、その中において、できるだけある程度の品物についての特別の許可を受けるというようなことに努力しておりましたが、ココムそのものの制度の根本に検討を加える必要は確かにあると思いますから、そういう観点から、外務省とも十分連絡しまして、研究を進めることにいたしたいと思います。
  56. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいま通産大臣の御答弁にあったパリのスタッフの問題ですが、もちろん、重要なことは全部こちらに聞いて参りますから、通産省と密接に連絡してやっております。また通産省の人であちらに派遣されている人もあります。また、問題に応じて、たとえば運輸省の造船のエキスパートというような人に来てもらったこともあります。本件に関しては関係省一致してやっております。ちょっと補足さしていただきます。
  57. 帆足計

    帆足委員 ココムの問題につきましては、中村委員からも関連質問があるということですから、もう一言質問いたしまして、中村さんに関連質問をしていただいて、また続けさしていただきますが、ココムの制度については、同僚議員の方にお尋ねしましても、ほとんど一人としてその内容を今まで知る機会がなかったようです。これは、占領政策の落し子というか、またアメリカの政策の中で最も不明朗なものの一つで、これほど各国の商業的権利を制限する問題が、各国国会等において十分な審議なしにきまったということは、非常な外交上の手落ちであったと思うのです。あの問題を承認するならば、よほどの留保条件なり論議を尽して日本の立場を諸国に知ってもらって、条件付で承認するというようなことにでも持っていきたかったと思いますが、それは過去のことでございますから、従いまして、この問題につきましては、理事会で御相談下さって、他日秘密会を開いて、もう少し詳細にその法的基礎や運用の実情や諸外国の世論や現状などを伺いまして、政府に協力して適切な見通しのもとに上手な手を打ってもらいたいと思いますので、あとで続いて別な問題についてお尋ねしたいと思います。
  58. 中村高一

    中村(高)委員 ココムの問題が今出ておりますから、関連してお尋ねしたいのですが、何か秘密会だというので帆足君は賛成しておるようですが、別にココムの問題などを秘密会などにする必要も何もないはずだと思っております。私は、ココムに対する態度については、今帆足さんからも言われましたけれども、日本としては再検討をしなければならぬではないかと思う。その一つは、特免というのが非常に活用されておるようでありますが、もし各国が勝手にいろいろな情勢や力によって特免ができるということであれば、まじめにやっておる力のないものはばかを見るだけである。要領がよくて特免をしきりに活用するということになれば、ココムの値打というものは全く正直に守っておる方だけがばかを見ることになると思うのであります。各国とも特免々々といって許可を受けて共産圏にいろいろな方法輸出をする、そういうような問題があることは明らかでありますけれども、これに対してはどういうふうにお考えになりますか。あまり特免が多ければ意味のないことだと思うのであります。  もう一つは、ココムの内容がまことに明らかでないことはわれわれ承知をいたしておりますけれども、この委員会に参加したことによって一体どれだけ日本国としては縛られなければならないのか。別にこれが国会承認をされたわけでもないし、政府がこれに加盟をしておるのでありますけれども、もしこれが不当な運用をされるということであるならば、日本の政府としても当然抗議をしなくてはならぬこともあると思うのでありまするが、そういう点については日本の政府ココムに対してどういう態度をとっておるのかどうか。この点をまずお尋ねしたいと思います。
  59. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 特免のことは日本でもその制度を利用して相当特免をとっておりますが、なお詳細のことは政府委員をして答弁させます。
  60. 湯川盛夫

    湯川政府委員 特免のことについてお答えいたしますが、特免による輸出と申しましても、これは結局禁輸物資輸出なんであります。それを特別にいろいろな事情によって承認してもらう、こういうわけであります。そこでこれがみんな勝手にどんどんそれを利用すれば意味がないじゃないかというお話でありますが、これは参加国みんなで議論をしますから、これを通すのはなかなかむずかしいのであります。従って、そうやたらにこれがあるものではありません。それからまた、実際から言いまして、日本の場合は、相当に今まで努力して、かなりの例外輸出を認められております。おそらく一番例外を認められた国であると思います。
  61. 中村高一

    中村(高)委員 われわれが聞いておるのでは、ヨーロッパ方面は非常に特免を自由に利用して、そうして共産圏輸出をしておるけれども、最も窮屈にこれを解釈されて圧迫を受けているのが日本の代表である、これは日本の役人があまりそういう方面の専門家でないために、かけ引きやあるいは交渉の上において態度が非常に軟弱であって、そのために日本は特免についても非常に不利益を受けておるというようなことを聞くのでありまするけれども、こういうことがほんとうだとはおそらくあなたから答えるとは思いませんけれども、その辺のことは、われわれが耳にするのではそういうふうに聞いておりまするが、そういう事実はいかがでありますか。
  62. 湯川盛夫

    湯川政府委員 そういう事実はないことと確信します。
  63. 中村高一

    中村(高)委員 政府としてそういうことがあると言えるはずはないとは思いまするけれども、これは定評がありまして、日本の役人が全く事情にうとく、そういう不利益を受けておるというのであります。きょうは石橋さんがお見えになっておりますが、吉田内閣当時においても、ココムの禁輸の解除に——非常にこまかいものではありまするけれども、順次解除をいたして、その数は相当にはなっておりまするが、実質的にはこちらから売りたいものがあるいは許可になっておらぬのでありまするけれども、今度の鳩山内閣になってから、ココムの解除について通産大臣はどういう努力をおやりになって、何月から何月までにどんなものが解除になりましたか。石橋さんになってからの実績一つお示し願いたい。
  64. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは、この間予算委員会でも申しましたが、昨年の八月くらいまでに解除ができる——西欧並みと言いますか、一般に解除のできるものは全部しちゃったのです。あとは、今度はどこの国にも禁輸で、もう動きがとれぬというところまで行っちゃっているものですから、その後は全面的に解除というものはありません。ただ特免で、ケース・バイ・ケースで、ある種のものが輸出されたということにとどまります。
  65. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それじゃその件について承わりますが、西欧諸国が許されているパリ・リストの範囲と日本が拡大された品目とが同一だということは、あなたはお認めになりますか。そういうことが言えますか。
  66. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは言えます。
  67. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 日本の許されている範囲とパリ・リストが同一だということは言えますか、もう一度お尋ねします。
  68. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 それは言えます。
  69. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 それでは、この次に、私はちゃんと調書を持ってきて、そうして照らし合せてあなたに間違いの指摘をして自覚していただきます。
  70. 帆足計

    帆足委員 私はスタッセン報告のおととしのを見たのですが、それに西ドイツからは鉄鋼製品、それから電気機械、工作機械などを輸出しておるようにスタッセン報告にも書いてありましたが、あれは間違いでしょうか。湯川さんにお尋ねしたいのですが……。  それから西ヨーロッパ諸国にはどういう品物を特免しておりますでしょうか。日本で特免といって許されたものば次々に解除したような、ああいうささたる品目なんです。ところが、西ドイツには相当の機械類の特免をしたように、また薄板などもある数量は特免したように聞いておりますが……。
  71. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいま通産大臣からお話がありましたように、現在日本のやっております調整の程度は他の西欧諸国ココム加盟国と全然同じであります。それで、そのスタッセン報告に何かいろいろドイツから出ているということが書いてあるそうでありますが、ドイツもしかし忠実にこのリストを守っているわけであります。ただこのリストはときどき変っておりますから、当時あるいはある程度のものはよいという時代があったのかもしれません。しかし、ドイツもほかの国も約束したことはちゃんとみな忠実に守っているはずであります。
  72. 帆足計

    帆足委員 その西ヨーロッパ諸国に特免として許された品目はどういうものでしょうか。
  73. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいまちょっと手元にございませんが、また適当の機会に……。
  74. 帆足計

    帆足委員 その程度の特免の事情を御記憶にならないようでは、ちょっと競争相手の西ヨーロッパ諸国と論戦できるはずはないように思うのですが、それは暗話して観音経のように覚えていなければ、論戦するのに私は困難だと思うのです。この問題につきましては、一つ日をきめていただきまして、条約上の基礎やその他詳細に一度承わりたいのです。私は、これほど島国にとって主権を制限する法律が、かくのごとき安易なる形で行われておるという例は、有史以来初めてではないかと思うのであります。実に、ココムという声を聞いただけでも、われわれぞっとする思いがいたします。従いまして、これは一つ国会において超党派的に再検討をする必要があると思いまするし、また高邁自主の精神を持っておられます民主党内閣のもとにおいて解決するにふさわしき課題であると思いますから、特に石橋通産大臣にふさわしき任務の一つであると思いますから、この面においても拡大均衡を一つ実行していただきたいと思います。  それから、台湾から苦情が来ておりますことをたびたび申し上げまして、もちろんぐちを言うことは個人の趣味の問題でございますから、台湾がかれこれ言いますことに対して、趣味の問題ならば、私どもも別に異論は申しません。しかし、正式に他国の商社に対して——たとえば、これは、石橋さんの親友である村田省蔵氏から、きょうも陳情書が参っておるのでありますが、台湾政府から、数社の商社に対して、中共貿易はしないという誓約書を出せ、誓約書を出さなければ、台湾との貿易を取り扱わせないという通達が参っておるそうでございます。ここに至りますと、もうぐちの問題でもなく、趣味の問題でもなく、内政干渉ということにもなるし、万国通商の原則、すなわち自由、平等、博愛の自由世界の原則に反することである。台湾政府は遺憾ながら自由世界から脱落したものとみなさねばならぬというような遺憾な実情にもあります。自由世界というのは、通商の自由のごとき最も大きな要素の一つでございまして、他国の自主権に対しては、それが国際協定で、すなわち国連の線でまとまっている問題に対しては文句を言わない。それが多少自国に不利であろうと、国際的ルールは尊重する。ココムという厳重なわくで縛られておって、そのココムですらが許可しました国際ルールの中における日本の通商が台湾政府からかれこれ言われるということは、私は通産大臣の名誉に関することではないかと思うのです。先日も通産大臣に申し上げましたが、英国の商社の者がモスクワから北京に旅行し、北京でさらにワシントン行きのヴィザまでもらいます。しかるに、日本の商社の者がモスクワに参り、そこでワシントン行きのヴィザをもらうということは絶対にできません。これはイーデンと石橋さんとの両者の比較の問題であると笑いながら答えたと言いますが、私は、まことに失礼なことを言うものだと思って憤慨いたしました。国は小さくても大きくても、国の持っておる尊厳と自由、自尊心というものは対等であるべきである。一萬田さんの一票も、焼鳥屋のおねえさんの一票も、一票であることに間違いはない。これが民主主義の原則でございます。従いまして、戦い敗れて腕力の乏しい国になりましたけれども、そういうことは何ら国際上の権利義務に影響すべきものではないのであって、台湾との貿易は相当額でございますから、やはり慎重な態度が必要でございます。しかし、不条理なことに対しては言って聞かせて、国際的ルールは守るようにしてもらわなければならぬと思います。台湾の背後にはアメリカも事実問題として圧力を持っておるわけでありますから、私は、これは主人のしつけが悪いと言っておるわけです。李承晩にしましても、国際連合のいろいろな決定に対して、いつも李承晩がこれを守らない。有利なことでも不利なことでも国際的ルールにおいてきまったことは守らねばならぬというのが、私は今後の諸国民の行き方ではないかと思うのです。自由世界のチャンピオンであり寵児といわれておる台湾が自由世界のルールを守らないとは、どういう理由であるか。十分言って聞かせて、台湾を正道に戻していただくようにお骨折り願いたいと思います。かくのごときことを商社に言ってこられるというのは、通産大臣のにらみが聞かないからである、こう言われても一言もなかろうと思いますが、いかがなものでしょうか。
  75. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 にらみがきくかきかないか知りませんが、お説の通りで、日本が特別に不当な貿易をしているわけではなく、国際ルールに従ってやっておることに、ああいう文句を言ってくるということは、確かに台湾の間違いだと思います。これは、厳重に、向うとも連絡して、台湾に談判を——談判という言葉を使うことは悪いが、話し合いをするつもりでおります。
  76. 前田榮之助

    前田委員長 ちょっと申し上げますが、大臣予算委員会より出席要求されておりまして、大体三時半ごろまでにはどうしてもという向うの要求ですから、そのおつもりで一つ御質疑を願います。
  77. 帆足計

    帆足委員 他の同僚委員の皆さんの御質問もありますから、もう一つだけ伺いますが、ただいまの問題は、とにかく、抗議をするなら、日本の商社に持っていかずに、ココムに抗議をしたらよい。ココムに決定がふらちであると言って抗議すべきことであって、日本の商社に持ってくることは筋が違うということが論理だと思います。  それから、硫安のことと、その他たくさん申し上げたいこともあるのですが、その他の方は次の機会に譲りまして、先ほど自由党の平野委員からも非常に適切な質問がありましたけれども輸出産業としての硫安が非常に有望なものになって参りました。さらに尿素その他新興科学肥料が非常に重要なものになって参りましたので、硫安工業、尿素工業等の科学肥料工業に対しまして、輸出振興の見地から、もう一度増産計画を再検討すべき段階に来ていると私は思うのです。先般中国の使節団と懇談いたしましたときに、ことし最小限度二十万トン無条件に買いましょう、しかし、一年だけの発注では、あなたの方も心もとないでしょうし、自分の方も農民の増産計画の見通しが立たないから、数カ年、控え目でけっこうだから、数カ年にわたる計画的なお約束をしてよろしい、また、日本の内需の事情、天候の事情等で生産も需要も動きますから、一律的な協定がむずかしいならば、大体何十万トンから何十万トンくらいという見当で一つお互いに彼此融通しましょうという協定を結んでもよいという、まことに好都合な申し入れがあったわけです。しかるに、日本側といたしましては、硫安輸出公社が当然この問題についてあっせんの労をとるべきであるにかかわらず、硫安輸出会社は表立ってこれに対する交渉の任に当ることを避けておりましたような実情でありまして、私はこれは非常に遺憾なことであると思います。硫安工業は、単に硫安メーカー、硫安輸出会社の私すべきものではなくて、国民の富の集中的な力である電力をこれらに供給して、国民の産業として期待されているものでございます。従いまして、日本の輸出振興の観点から、一つ大臣に直接この問題をもう少し検討していただきたいと思うのです。  もう一つの問題はへの中国への割当が、五十万トンないし六十万トンに及ぶ輸出ワクで、せめて三分の一くらいは中国、それから四分の一くらいは韓国、残りを台湾その他というように、大体の大ワクくらいのものはもう当初において設定してしかるべきものであるまいかと私は思うのです。かりに、二十万トンの確約ができませんときは、それでは十五万トンだけは確約しましょう、あとの五万トンは天候のかげんや増産のかげんによって伸縮性を持たすことにするというような約束でありましたならば、中国側としましてはそれを計画的に使うことができますから、台湾の発注する値段よりも多少高い値段で買ってもちろんけっこうですし、お約束してけっこうだ、こういう申し入れが来ているわけです。これに対しまして、日本側としましては準備不足のために応ずることができませんので、中国側は非常に失望落胆いたしまして、これほど自分らは硫安に対して強い要望を提示しているのに、これに対して真剣な努力をしてくれないという態度には非常に失望した、しからば、われわれとしては、農民の硫安の使用を減らすか、または西ヨーロッパ諸国から買付を急ぐかするより残された道はないと漏らして、失望の色を深めたのでございます。この硫安輸出の見返りとしては、米も大豆輸入できることでありまするし、また硫安中国でたくさん使えば、満州の豆かす、ふすま等の今肥料に使っておりますのを節約いたしまして、それらを安い飼料として日本の酪農に供給することも研究してみようということも中国側では言っておるような実情でありますので、今からでも間に合うわけでありますから、せめて十数万トンのものだけでも長期に契約をいたしまして、あとそれ以上の分につきましては、こちらの需給調整と見合って、また買ってもらうというような二段の約束でもよいでしょうから、先方としても農民を相手にしておって、大体協同組合の増産計画というものがあるわけですから、見通しをつけやすいような状況にしてあげることが親切というものだと思うのです。中国がほしいというから、まあほうっておけ、いずれにしろ買いに来るだろうという態度は、今日硫安が国際的に見て少い時代はそれでよいでしょうけれども、やがて余るような時代が来ましたときに大切な顧客を逃がすような結果になりますから、有利な立場に立っておりますときに親切を尽しておくということも、商売の道としてきわめて重要なことだと思うのです。これに対する硫安業界の今日までの態度は、けんもほろろの態度と新聞で批評されていたようなきらいもありますので、台湾との問題は困難な問題でありますけれども、それは別問題としまして、中国に対しましては、事情の許す限り、それはそれとして便宜をはかるという態度が、私は商人としても必要だと思うのです。従いまして、問題の解決のために早く硫安審議会を開いていただいて、そして今年度に来肥料年度における中国向け硫安輸出可能量を測定していただいて、そのうち六、七割のものを確定的な輸出計画として進出口公司の方に通達をして、先方にも輸入の準備をしてもらう、それから今年度における残留分に対しましても早くこれを決定していただく、こういうことに対しては、やはり通産大臣が直接目を通されて積極的政策を立てていただきたいと思います。  硫安の増産計画に対しましては、日を改めまして現状を詳細に承わって、輸出振興という立場から、新たな角度、特に尿素を中心として、新しい技術と立地条件のもとに国家資金も注入して、輸出肥料工業振興のための格段の措置を準備していただくことが適切でないかと思いますが、これに対する大臣の御答弁を承わりたいと思います。
  78. 石橋湛山

    ○石橋国務大臣 いろいろ詳細な御意見を伺いましたが、確かに硫安は手っとり早い輸出品として一番適当のものと思いますから、私どもも、硫安の増産をいたして、できるだけ輸出をいたしたいと考えて、まず第一は増産でありますから、本年度の財政投融資の方から若干の資金を注入しまして増産をさせよう、こう考えております。また、今年度も若干の残りがあるそうでありますから、それもなお一つ考えることにいたします。また明肥料年度については、審議会を開いて十分検討いたしまして、できるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  79. 帆足計

    帆足委員 時間がございませんから自席から申しますが、それでは、来肥料年度における輸出計画につきまして、今のように二段がまえに計画をお示しになることが可能であるかどうか、次回の委員会一つ詳細に承わって、肥料審議会にも盛り込んでいただきたいと思います。事務当局におきましても、今の大臣のお考えを体して、一つ積極的に私ども要望いたしました線に沿うように御準備のほどをお願いしたいと思います。
  80. 前田榮之助

    前田委員長 他に大臣に対する御質疑はありませんか。——それでは中村君。
  81. 中村高一

    中村(高)委員 今の硫安の問題に関連してちょっとお聞きしておきたいのでありますが、台湾に対する二十六、七万トンというものは、場合によったら——昨年のように、輸出ワクが一ぱいになってしまって、せっかく中共から米が買えるというのに、ワクがあって窮屈でどうしようもないという問題が起ったのでありますが、必ずしも台湾にはそう多量のものをやらなければならぬとは思わないのでありますけれども、必要に応じて台湾に対する輸出を調整することを考えておるかどうかを、まずお尋ねいたしたいと思います。
  82. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 本年度の二十七万トンにつきましては、すでに契約済みでございますので、これは当然履行しなければならぬと考えております。来年度につきましては台湾からは三十三万トンの要求がございます。しかし、この点につきましては、台湾、中共韓国各国との通商上の関係または取引の関係、なお台湾につきましては二十八年度から長期契約をやっておりますので、その辺の関係を勘案しまして、全体として最も有利な取引をやって参りたい、こう考えております。
  83. 中村高一

    中村(高)委員 さっき中共から引き合いに出ておりまする硫安の値段を六十五ドル前後と言われたのは非常にいい値段でありますけれども、これは五十六ドル前後ではないのですか。
  84. 吉岡千代三

    吉岡政府委員 中共向けの値段も当初は六十ドルから六十二ドル辺ということでございましたが、最近各国とも需給が逼迫しておりますので、最近の引き合いといたしましては大体六十五ドル前後でいたしております。
  85. 中村高一

    中村(高)委員 先ほど木造船についていろいろ御議論がありましたが、私も、しろうとでありまして、よくわからないのであります。木造船輸出の解除が非常に困難だというのは戦略性が非常に高いからだというお話を承わったのでありますが、それは日本の政府部内の御議論でありますか、それともココム委員会にでも出て特免申請でもなさったときの議論でありますか、どちらでありますか。
  86. 湯川盛夫

    湯川政府委員 それは、先ほどお話ししましたように、ココムで問題になりました。われわれとしては、初め、木造船戦略性はないじゃないかということで、そういうものの禁輸は必要ないという議論をしておったのです。その後長い間これは議論がありまして、各国の専門家が集まりまして議論をしましたが、結局、今の木造船アンチ・マグネティックであるということで、近代艦船としていいじゃないか、こういう結論になったのであります。
  87. 中村高一

    中村(高)委員 これはむろんそういう問題について専門家の御意見があったと思うのでありますが、日本の専門家の意見によりますと、これは政府でもそれ相応の研究はなさっていらっしゃると思いますが、今では、機雷原の突破などの問題について、音響とか水圧というようなものがいずれも作用をしておって、必ずしも磁気の問題ばかりではないのだから、木造船についても、そういう磁気に対すると同様に——感度が今では非常によくなって、強く知ることができるようになっておることから、木造船だからといって鉄鋼船と何ら区別する理由はないというようなことを専門家も非常に言うておるようでありまして、磁気に対する関係だけを主張せられるということ自体が間違いであって、どうも木造船に対する研究が不足じゃないかというような専門家からの意見が出ておりますが、そこまでむろん御議論になったと思いますけれども、日本の政府では、その点について、これに対する関係だけの御議論で終っておるのでありましょうか。
  88. 湯川盛夫

    湯川政府委員 先ほど来お話ししましたように、本件は長い間かかりまして、特に日本の反対でこれはずいぶん時間をとったのであります。もちろん、議論は詳細に報告をして、そのたびにまた政府からの詳細な訓令がありまして、ほとんど今おっしゃったようなあらゆる議論は提出したのであります。しかし、アンチ・マグネティックということを否定することは、日本のどの専門家もどうしてもできなかったわけであります。
  89. 中村高一

    中村(高)委員 これは、日本にとりましても、日本の船の輸出ということが輸出の非常に大きな面を占めるし、しかも、もし船舶の輸出が可能になるということでありますならば、中共貿易はもちろんのこと、金額も非常に多くなるのでありますから、今日のような輸入の超過というようなものも調整ができますし、船舶の輸出というようなことに対する日本の国内状況を見ましても、設備についても戦前と何ら変りのない状況でありますし、まだ幾らでも造船能力というもののある日本において、今日のように船舶の輸出が困難な状況においては、日本の国内の経済問題にも影響して参りますし、設備を持ったままで造船所が遊んでおらなければならないというような今日の実情は、われわれも考えなければならぬ問題だと思うのであります。しかも、日本の造船計画によりますところの船舶の注文もだんだん制限を受けて参りまして、本年度二十万トンくらいしかないというような実情で、造船所の関係などはいずれも多数の工員を持ちまして、失業問題などにも関連するし、非常に窮境に陥っておりますことは、今さら言うまでもないことでございますが、この船舶の輸出禁止の解除については、政府見通しは一体どういう状況にありますか。今まではそういうようないろいろの困難な状況があったといたしましても、最近国際情勢も多少変って参っておりますし、政府で折衝せられた当時とはいろいろの事情も変化しておるようでありまするが、今後の見通しはどういうふうなお考えでありますか。
  90. 湯川盛夫

    湯川政府委員 木造船の問題につきましては、先ほど来お話ししましたように、非常に長い間議論をして一応そういう結論になったので、今すぐまた議論を返しましても、簡単に片づく問題ではないわけでございます。ただ、その船舶の問題をもう少し解除しようではないか、そういった問題は、全部のリストを、国際情勢も変ったから、もう一ぺん再検討しようじゃないか、こういう問題になります。そういう面では、国際情勢の認識ということについて、各国がどういうふうに認識しているかという問題になっていくわけで、その大幅解除ということをば、それではどういうふうにしてやるかというには、やはりそういったみんなの雰囲気がそういうふうになったときにこれを出さなければ、ただいきなり出してそれで否決になっても、かえってあとから工合が悪い。そういう情勢の変化を見きわめながら各国と当っているわけであります。
  91. 中村高一

    中村(高)委員 この問題についてはさらに次の機会にまた申し上げますが、もう一つは、船舶の修理の受注の状況は、鉄鋼船などについても、木造船と区別するわけではございませんが、修理の受注状況、昨年でありましたか、一昨年でありましたか、ソ連船が日本に修理の注文をしたけれでも、何かいろいろのトラブルが起りまして困難であったというような事情も聞いておりますが、修理船の受注の状況なんかはどういうふうになっておりますか。
  92. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 ソ連船の修理に関しては、従来から内地の業者も相当希望しておりましたし、具体的にある程度話がきまっておるのもありますが、実際問題としていろいろバーターする物資輸入との関係、あるいは輸入、特に価格あるいは時期というような関係で、計画通りにはなかなか行っていないというような実情でありますが、最近でも、各造船所で、私の知っている限りでは、おそらく数隻の修繕をやっております。また小さな漁船の建造等もやっておりますので、昨年に比べて決して少くはなっていないと思いますが、むしろ隘路になっておるのは、バーターする物資の価格あるいは数量、品質とか、そういうものであるように考えております。
  93. 中村高一

    中村(高)委員 現在修理の受注を受けております相手国と、その数量等がおわかりになりますか。
  94. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 今の御質問中共なりソ連関係のものでございますか。
  95. 中村高一

    中村(高)委員 ほかの国の関係もわかりましたらお願いいたします。
  96. 甘利昂一

    ○甘利政府委員 それでは、資料がありますので、後ほど整理いたしまして提出いたします。
  97. 中村高一

    中村(高)委員 現在中共向け輸出の特別の許可申請をいたしておりますものが通産省に相当出ておるはずだと思いますが、これはいずれも米であるとか大豆等の見返り物資でありまして、今後日本の輸入物資につきましても関連をするものであって、もし許可が得られますならば、中共との貿易も非常に好転をいたすので、業者側から各種の解除の申請も出ておるはずでございます。たとえばマニラ・ロープ、有機ゴム、薬品、それから重クロム酸ソーダ及びカリの特免、カラー・ブラックの輸出申請等が、いずれも輸入物資との見合いのために引き合いが来ておりまして、許可さえ得られますならば、すぐにでも輸出の準備のできておるものが政府に向って特免申請をいたしておるはずでありますが、これらの物資に対します現状はどういうことになっておりますか、お答えを願いたいと思います。
  98. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまお話のように禁輸物資について特免申請は三十品目出ておりますが、一応、通産省といたしましては、戦略性が比較的稀薄であるという認定のついた物については、外務省と協議をいたしまして、外務省の方で交渉のタイミングなりあるいはココムにおける状況等を推定いたしまして、出し得ると認定したものは随時パリに訓令を出して交渉しておる次第でございますが、今おあげになったようなものにつきましては、まだ交渉中で解決を見ておりません。
  99. 中村高一

    中村(高)委員 それはいつ回答が参りますかおわかりになりますか。いつ来るかわからないのか、すぐ来るのかで、いろいろ受注も違って参りますから、見通しがつきますか。全然つきませんか。
  100. 湯川盛夫

    湯川政府委員 ただいま通商局長からお話のありましたように、これらのものについては、いろいろな説明資料を整えまして、タイミングを十分考えて手続をするつもりでおりますから、いつそれが審議にかかって、いつ認可になるかということは、ちょっと今申し上げられません。
  101. 中村高一

    中村(高)委員 まだこの委員会は七月までも続くのだろうと思いますから、その間にでもわかりましたならば、できるだけの一つ努力をしていただきたいと存じます。
  102. 菅野和太郎

    ○菅野委員 先ほど帆足委員から質問されたことに関連して、二、三お尋ねしたいと思います。  台湾貿易について、中共貿易をやっておる商法に対しては取引させぬということについて、砂糖についてそういうような話を聞いておるがというようなことのお話がありましたが、それ以外について具体的なお話を何か聞いておりませんか。
  103. 板垣修

    板垣政府委員 現在問題になっておりますのは砂糖でございます。以前でも、硫安輸出につきまして、中共硫安を売ったメーカーの品物は引き取れぬという話がありました。これも今後起るかどうかという問題が残っております。その二つであります。それからずっと前に塩についてやったように聞いております。これは政府としては具体的に確実な情報を持っておりません。
  104. 菅野和太郎

    ○菅野委員 中共貿易をいたしませんという誓約を出しておる商社があるということも聞いておりますが、その点はいかがですか。
  105. 板垣修

    板垣政府委員 出した商社があるそうでございます。政府といたしましては確かめておりません。
  106. 菅野和太郎

    ○菅野委員 一昨日台北の商社の出張員から本社あてにこういう電報が来たのでございます。「行政院経済部会議にて中共と取引せざる旨の念書を入れざる日本商社に対しては今後取引上差別待遇することを決議した」ということが入電しておりますが、政府の方ではこういうことをお聞きになっておりますか。
  107. 板垣修

    板垣政府委員 私ども新聞で承知したのでありまするが、ただいま外務省にも伺いましたところ、外務省にも公電は来ていないそうでございます。
  108. 菅野和太郎

    ○菅野委員 外務省の方へは公電がないそうでありますが、かりにこれが事実だとすれば、台湾政府のやっておることについては、日本政府としてはこれを黙視するわけには行かないと思うのです。先ほど通産大臣はこの点について厳重な抗議をするというお話がありましたが、これが三十日にそういう決議をし、そうしてその旨を官公各機関に通達するというようなことも漏れ伝え聞いておりますが、外務省としては、至急この情報を集められて、これに対して善処していただきたい。その点を特にお願いしたいと思います。  なお、これに関連しまして、中共貿易しておるのは日本ばかりではないのでありまして、英国や西ドイツも取引しております。従って、日本だけにこういう処置をすることは不公平だと思いますが、こういう処置を西ドイツや英国に対してもとっておるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  109. 湯川盛夫

    湯川政府委員 今の同様の措置をほかの国にもとっておるかどうかという点は不明でありますが、こういった問題は至急国民政府側と話をしてみたいと思っております。至急したいと思っておりますが、ほかの方が忙しくてなかなか時間がなかったのですが、至急したいと存じます。
  110. 菅野和太郎

    ○菅野委員 こういうような処置に対しては、外務省から厳重な抗議をしても向うはきくものですか。
  111. 湯川盛夫

    湯川政府委員 まずそういう決議はどういう内容のものであるか、新聞の通りであるか、あるいはもう少し別なものであるか、それを確かめる必要がある。それによってもし日本だけに対する差別ということであれば、それは抗議していく。ただ、誓約書の問題は果して抗議の対象となるものかどうか、若干疑問があると思います。しかし、そういうことはいずれにしても困ることでありますから、できるだけないようにしたいと思っております。
  112. 菅野和太郎

    ○菅野委員 誓約書を出している商社が数社あるのでありますが、誓約書を出さなかった商社に対しては、たとえばセメントの取引など断わっている事実がございます。従いまして、通産省としては、こういう誓約を出している商社なり出さない商社があるということは日本の貿易政策上非常に不利だと思いますので、この点に対して通産省はどういうふうに考えておられますか。
  113. 板垣修

    板垣政府委員 これは全体の国民政府との交渉の問題になりますので、その点をにらみ合せて、まず第一に国民政府のとっております処置について取り調べます。その結果において抗議をするかどうかを決定したいと思いますが、私どもとしては、先ほど大臣が答弁されましたように、できるだけ自由通商のルールを守るように国民政府に申し入れをいたしたい、そういうように考えております。
  114. 菅野和太郎

    ○菅野委員 政府の方で善処せられるということであります。この問題につきましては各商社は非常に関心を持っておりますし、また非常に心配をいたしておりますので、至急に情報を集めて善処されんことを特にお願い申し上げて、私の質問を終ることにいたします。
  115. 帆足計

    帆足委員 今の台湾の問題ですが、硫安の割当でも大体公平に見て台湾に多過ぎるというくらいにいわれている。見返りは砂糖とバナナ、バナナなど食べなくても、私どもは青森のリンゴや和歌山のミカンでビタミンはとれるのであるから、四の五の言うならばバナナなど食わなければいい。わがままを言うものはしつけをしなければならない。そういうことでなければ、台湾からおどされるようなことでは仕方がないと思う。もちろん、そうなれば、また中国との貿易をふやしたり、その他の国々との貿易をふやすこともまたできるわけですから……。お互いに国際的のルールを、きまったことは守っていこうということで、国際連合というものがあってやっているのであります。さっき石橋さんは断固として談判をされるというが、湯川さんの言われることは少しあいまいだと思う。そういう心がけでは困ると思う。バナナなど食わなくてもけっこうである。あれは子どもが食べると疫痢にもなる。第一かっこうもあまりよろしくない。ですから、私たちは台湾に非常に親切にしていると思う。硫安でも中国に売れば米が買えるのです。それを、従来の長い取引関係もありますし、困っている国でもありますから、できるだけ台湾のためにもみな好意を持ってしてあげている。それを、ココムで許された程度の貿易にすらくちばしをはさむことをなさるならば、これは身のほど知らずと言わねばならぬ。こういう点は、終戦直後で、今までは日本政府も言うべきことも言えなかった立場もありましたから仕方がないのですが、これから後はそういう隣邦とのよしみは厚くしますけれども、筋は通す。日本という国は筋の通る国であるということは、何ものにもかえがたいことであると思いますから、先ほどの石橋さんのような態度で、これは一日も早く迅速に処理していただきたい。
  116. 菅野和太郎

    ○菅野委員 関連して。今の帆足委員のお話からちょっと思い出したのですが、台湾の砂糖よりもキューバ糖の方が安いということを聞いておりますが、それはどうですか。
  117. 板垣修

    板垣政府委員 非常に安いのであります。
  118. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 私は帆足委員とちょっと考えが違うのです。それで関連して申し上げたいのですが、なるほど、今国民政府というものは非常に弱くなっておることは事実であります。中共の方が非常に強いことは事実であります。しかし、強い弱いということはありましても、一たび正式な政府として一応日本が台湾政府を認めておる。中共の場合には、これからできるだけ仲よくして貿易をやっていきたいというのでありますけれども、まだ正式に国交が結ばれておるわけではない。いろいろ親切にしてやっておるというのは、こっちの方の言い分でありましょうけれども、しかし、台湾の方の立場になって考えれば、すでに蒋介石が、戦争終結の直後において、他の国々に先んじて、暴に報いるには暴をもってしてはいけないということで、賠償も要求しない、戦犯も出さないというきわめて道徳的な態度をもって日本に当ったことは、われわれは今日なお忘れることはできないのであります。それが、その後向うの情勢が変って、今見る影もない状態になったからといって、そのことまでも忘れて、われわれが、あまりに現実的というか打算的というか、そういう態度で対するということには、私は反対である。ですから、このことは決して中共との貿易の促進に対する私の熱意がないというのではありません。おそらく、台湾政府といえども、日本が今日の立場において中共との貿易をするということは、端々の事務官あたりはどうか知りませんけれども、向うの最高首脳部は、これをやむを得ざるものとして承認しておるに相違ないと思う。またそういうことも聞いているのであります。ですから、ただいま菅野委員からいろいろ質問されたような点は、これは交渉しなければなりませんけれども、あくまでもわれわれが正式に承認した国として、またわれわれに対して、先ほど申したような、きわめて東洋的と申しますか、道徳的と申しますか、そう言う態度であの敗戦直後にわれわれに対したという事実を忘れないで交渉することが必要だと私は思います。言葉は足りませんけれども、何だか、承わっておりまして、貿易振興特別委員会という本のが、ただ眼を中共との貿易増加という一点に集中して、その他の事情を閑却するような委員会と誤解されては困るので、私はこのことを一言申し上げておきます。
  119. 帆足計

    帆足委員 今度ココムの問題の委員会をやります機会に、西欧諸国の特免いたしました商品の一覧表を適当な形で発表していただきたいと思います。  それから、台湾政府に対しまする今の問題につきましては、台湾との貿易額はやはり相当の金額でございます。従いまして、どこの国とも貿易をやっていかなければならぬ日本としまして、交渉は、ただいま山本委員の言われるように、穏やかにいたすことは私もよいことだと思います。ただ、筋道としまして、硫安を出しましても見返りの品物が砂糖とバナナである。その砂糖はキューバ島から買えばもっと安い。バナナは買わなくても済むというような事情のあることも、台湾政府側にもよく考えてもらって、実際に即した公正、合意な関係でやっていただきたい。こういう主張において私は一致していると思うのでございます。  ココムの問題につきましては、私はこういう問題があると思うのです。一体条約上からいってどういうことになっているのか、それからココム委員の顔ぶれはどういうことになっているのか、それから専門委員という方々は一体どういう方なのであるか、事務局はどういう人によって構成されているのか、それから会議開催の手続、採決の手続、それから開会の日取り等はどういうふうにきまっているのか、幹事または委員長などはどうなっているのか、等々詳細にわたって知りたいと思います。中村委員からは秘密会でなくてもよいではないかというお話もありまして、私も同感でありますけれども、何か国際条約の都合上それがやむを得ないことでございますならば、それは委員長並びに理事に御一任いたしまして、適当な審議の機会を作っていただきたいと思います。
  120. 前田榮之助

    前田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  121. 前田榮之助

    前田委員長 速記を始めて。  それでは、本日はこの程度にいたし、次会は六月六日月曜日午後一時より参考人七名より意見を聴取いたすことになっておりますので、委員各位の御出席要望いたしておきます。本日はこれにて散会いたします。   午後三時五十八分散会