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1955-05-21 第22回国会 衆議院 貿易振興に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年五月二十一日(土曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 前田榮之助君    理事 池田正之輔君 理事 宇田 耕一君    理事 瀬戸山三男君 理事 古川 丈吉君    理事 帆足  計君 理事 中村 高一君       今松 治郎君    櫻内 義雄君       山本 勝市君    鹿野 彦吉君       田口長治郎君    石村 英雄君       加藤 清二君    田原 春次君  出席国務大臣         通商産業大臣  石橋 湛山君  出席政府委員         外務事務官         (経済局長)  湯川 盛夫君         通商産業政務次         官       島村 一郎君         通商産業事務官         (大臣官房長) 岩武 照彦君         通商産業事務官         (通商局長)  板垣  修君     ————————————— 五月十八日  委員山口喜久一郎君、加賀由進君及び八木一男  君辞任につき、その補欠として鹿野彦吉君、森  島守人君及び下川儀太郎君が議長の指名で委員  に選任された。 同月二十一日  帆足計君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事の互選  貿易振興に関する件     —————————————
  2. 前田榮之助

    前田委員長 これより会議を開きます。  本日は、まず、前回理事一名を保留しておきましたが、帆足計君を指名いたします。     —————————————
  3. 前田榮之助

    前田委員長 それでは、これより貿易振興に関して政府の所見を求めます。通商産業大臣石橋湛山君。
  4. 石橋湛山

    石橋国務大臣 当委員会が始まりますので、最初に一言ごあいさつ申し上げます。  今日のわが国は御承知通り状態でありまして、何をおいても産業を振興して雇用量をふやすということが必要でありまして、そのために、政府でも御承知経済六カ年計画というようなものを作ったわけであります。しかし、日本状態は、同時に国際収支バランスを保っていかなければいかぬ、国際収支バランスを保ちつつ産業を振興していくというところに、特にむずかしい点があると存じております。従ってわれわれは、経済六カ年計画においても、まず輸出産業重点を置きまして、輸出産業から振興していこうという考え計画を立てて、三十年度予算においても、十分とは申せまんが、その方針予算を編成したわけであります。  輸出産業増進方法については、予算の中にございますから、一々申し上げませんが、たとえば、市場を拡大するというためにも、かなりの努力を本年度から払おうといたしております。また、生産品品質を向上し、あるいはコストを引き下げるということについても特に注意をいたしまして、それぞれの手を打っておるわけであります。かようにして、全般的に市場開拓日本輸出商品をよくする。しかし、輸出をするには、やはり輸入をしなければいけないのでありまして、ことに、東南アジア貿易のごときは、たとえばインドネシアのごときは一番いい例でありますが、こちらから輸出しようとすれば幾らでも輸出できるが、しかしながら、向うから持ってくるものに適当なものが少いために片貿易になるというところに難点がございますので、本年度においては、輸入についても十分の考慮を払って、たとえば、外貨の割当などについても、あまりやかましく輸入制限という方向を取らずに、必要なものはできるだけ入れる。ことに輸入先を、できるだけ日本輸出を伸張する必要のある地域からより多く輸入するというような方針を取ろう、こういたしておる次第であります。  中共ないしソ連貿易につきましても、昨年春商社ソ連側とのバーター協定の仮契約ができましたが、それの実際の実行はほとんど本年に持ち越されましたために、昭和二十九年のソ連貿易ははなはだ不振でありましたが、すでにその中で百三十万ドルは政府許可がされておるような次第であります。中共との貿易は、これまた、御承知のように、例のココム等禁輸関係がありまして、せっかく多くの諸君が御努力下さいまして、先般も使節団が参って話し合いができたのでありますが、この禁輸品を解除するということが実際に非常に困難である。普通に西欧並みに解除されるものはすでに解除され尽してしまった。これから先解除するには、特に特別な努力を要する。これは、逐次一品ごとケース・バイ・ケースで特別の許可を受けておることは、この一月以来相当件数に上っております。しかし、全体として中共に対する禁輸制限を解くということは、外交的にこれから相当大いなる努力をしなければならぬ次第でありますが、現在のところは残念ながら問題は進捗しておりません。こういうわけで、先般使節団との間に協定はできたのでありますが、しかし、今の見込みでは、おそらく輸出入ともそれぞれまず四千万ドル程度にしか実際には実行できないのではないかと考えておるような次第であります。また、ソ連との貿易も、ソ連から輸入するものにどうも価格品質についていろいろ難点がありまして、せっかくソ連から木材を出したいとか、あるいは石油を持ってきたいとかいいましても、それがすぐに受け入れができないような——これは価格及び品質等の上からそういうことになる。そういうような関係から、まず、見込みとしては、本年度五百万ドルから六百万ドル程度貿易はできるだろうが、それ以上のものははなはだむずかしいのじゃないか、かようなわけであります。しかし共産圏との貿易もできるだけ進めたいというのが私ども考え方でございまして、これはほかの委員会等でも繰り返して申しているのでありますが、あわててやりましてもなかなかうまくいかないのでありますから、しんぼう強くやっていきたい。この間じゅうから問題になりました支払いの問題とかいうようなことも同様でありまして、すぐにこれを解決しろといわれても、種々なる障害がございますので、われわれ通産大臣ないしは通産省としては、貿易の拡張ということはぜひ希望いたしますから、できるだけの努力はいたして参りますけれども、はなはだなまぬるいようでありますが、そろそろ行くよりほかしようがない、かように考えております。  そのほかのことは、その他の東南アジアに対しては、賠償問題の解決、これは幸いにビルマ賠償問題は一応解決いたしました。現在はその賠償支払い、あるいは経済協定による資本の輸出経済協力態勢を作るということに逐次進展をいたしております。一時ビルマに対する賠償支払いというのは二千万ドルずつというのが、最初は少くてよろしいというような話が、実は向うから賠償使節団が来たときにあったそうであります。従って、日本側としては、最初は少くして逐次ふやすというようなことで話がつかえておりましたが、これも解決いたしまして、そんなけちなことを言わずに、払うものは払えというので、向う希望に応じて払ってやることにしました。また、例のタイでありますが、特別円の問題も解決いたしました。現在は御承知のようにフィリピンとの賠償交渉東京で行われております。なかなかむずかしく、難航しておるようでありますが、これも何とか一つ解決したいと存じて、ただいま努力いたしております。少し楽観的でありますが、何とかできるんじゃないかと考えております。こういうふうにして賠償問題を逐次解決いたしたい、そうして東南アジアとの貿易増進をしていきたい、かようなことで、せっかく努力いたしておる次第でありますから、どうか皆さんにおいてもぜひとも御協力をお願いいたしたいのであります。  非常に簡単でありますが、以上だけ申し上げまして、私のごあいさつにかえます。ありがとうございました。
  5. 前田榮之助

    前田委員長 それでは、次に政府委員より補足説明を求めます。通商局長板垣修君。
  6. 板垣修

    板垣政府委員 今後の貿易振興策に関します根本方針につきましては、ただいま大臣より御説明があった通りでありますが、私より、本年度貿易振興予算要求に関連せしめまして、補足的な御説明を簡単にいたしたいと思います。  ただいまお話がございましたように、貿易振興中心政策といたしまして、御承知のように産業別輸出会議政府といたしましては設置いたしまして、今日まで数回各産業別輸出会議ごとにいろいろ会議を開きまして大体の結論が出たのでありますが、今後の貿易政策方向といたしましては、どうしても人為的な貿易奨励政策は排しまして、正当なる方法貿易を振興しなくちゃならぬというのが骨子であります。今後の貿易振興の大きな眼目といたしましては、第一にはやはり市場維持及び開拓、第二には日本商品国際競争力培養、第三には国内取引体制整備、この三点が中心題目になろうかと存じております。この三点を中心といたしまして本国会にも予算要求しておる次第でございます。  第一の市場開拓及び確保につきましては、もちろん根本的には経済外交の面でまだなすべき点が非常に多くございます。通商局といたしまして、この方面に本年から非常に力を入れたいと存じまして、予算の面におきましても相当大きな要求をいたしておる次第でございます。大体この市場維持及び開拓の問題につきましては、一つ市場調査強化ということが重要と考えましたので、これは従来もやっておりまするが、本年度は特にこの市場調査強化という点につきまして相当重点を置きたいというふうに考えております。一般的な市場調査のために、いわゆる海外貿易振興会に対する補助額を従来よりは増額をいたしまして、日本関係いたしまする各市場調査をもう少し進めていきたいというふうに考えております。なお、特殊の市場、すなわち中近東あるいは西アフリカというような方面には特殊市場調査団を派遣いたしまして、商品市場開拓に資したいというふうに考えております。  第二の点は、本邦商品海外宣伝及び紹介という方面に今後相当力を入れたいと思いまして、海外広報宣伝費相当大幅に増額したいと考えております。これには、映画による方法、あるいはテレビによる方法、さらにはアメリカの特殊ないわゆるPRという専門的な宣伝機関に委嘱をいたしまして、アメリカのアイディアでもって日本商品宣伝してもらう、こういうふうな方面に費用をお出し願いたいというふうに考えておる次第でございます。  それから、従来日本もやっておりましたが、今後さらに力を入れたいと存じますのは、国際見本市への参加及びこの開催ということにもう少し力を入れたいというふうに考えております。本年度は六カ所ないし七カ所国際見本市参加したいと考えておりますし、先ごろ終りました東京国際見本市というのも非常な成果を上げましたが、今後も引き続き東京大阪交互日本における国際見本市開催を続けていきたいというふうに考えております。  それから、特殊の商品につきましては、アメリカその他の重要市場におきまして展示会みたいなものを開きたいと考えておりまして、来年度になると思いまするが、アメリカ一流百貨店と提携をいたしまして日本雑貨類展示会を開きたい、あるいは農機具などにつきましては日本展示会を開きたい、さらに、絹織物につきましては、これもアメリカあたりで特殊な展示会を開いて、こういう方面商品市場開拓に資したいと考えております。  それから、従来設置しておりまする海外における施設というものも、さらにその運営を強化し、あるいは内容を充実するという方面に力を入れますとともに、新しい施設として、主としてこれは農水産物関係が多いのでございますが、輸出組合海外共同施設というものの設置を助長いたしまして、これに対して補助を与えたいということも考えております。さらに、将来もっと拡大したいと考えておりまするが、さしあたり本年度といたしましては農機具につきまして、ラングーンを今予定しておりまするが、ここにサービス・センターというようなものを設定したい。こういう方面の仕事は、従来御承知のように日本商品は出しつばなしであと続きませんので、農機具以外のカメラとかその他の各機械類についても、輸出をいたしたあと、アフター・サービスを続けていくということが非常に重要と思われますので、今後、こういう方面のことにつきまして、業界の力が足りないところを政府としても当分の間助成をしていきたいというふうに考えております。こういう工合に海外市場維持及び開拓につきまして本年度相当力を入れたいと考えております。  次には、輸出商品競争力培養の点でありまするが、これは、今後世界的な貿易自由化の潮流にかんがみまして、この点が一番今後の貿易振興をやっていくに重要な点と考えます。しかしこれは単なる通商施策だけではできない問題でありまして、結局日本経済産業政策全般根本問題につながるわけでございますので、通産省といたしましても、こういう方面の基本的な産業基盤強化輸出産業ないし基礎産業合理化というような方面は進めて参りまするが、これと同時に、通商施策としましても、できる限りこういう方面日本商品競争力の助長をしていきたいというふうに考えます。それで、ただいま私ども考えておりまする点は、何といいましても、雑貨類につきましては雑貨、繊維、二次製品等につきましては意匠改善ということが非常に重大な問題となってきておりますので、この点につきまして本年度意匠改善費を計上いたしまして、ことに中小企業方面助成をいたしたいというふうに考えております。これに関連いたしまして、海外における競争日本の収集というようなことにも力を入れたいというふうに考えております。なお、主としてこれも中小企業でありまするが、新規商品というものの試作を助長する。さらに中小企業技術研究というようなものにつきましても力を入れたいというふうに考えまして、こういう点を中心といたしまして、主として中小企業の産出にかかりまする雑貨類、こういうふうな方面輸出振興助成したいというふうに考えておる次第でございます。  第三の点は、これは直接予算には関係が出て参りませんが、国内取引体制整備という点が非常に重要な問題になってきておりますので、政府といたしましては、この国会輸出入取引法改正案を提出いたしまして、従来の市場競争安値取引というようなものの防止対策につきまして法律的なワクを設定いたしたいというふうに考えまして、ただいま法案を準備中でございます。  それからなお、これに関連いたしまして、商社自体強化という問題もございます。これにはいろいろ財政金融方面から入れなければならぬ大きな問題もございますが、さしあたり、通商政策といたしましては、この商社機能をもう少し正常化するという方面に力を入れたいと考えまして、現在ありまする為替管理貿易管理根本をゆるめるというところまではなかなか参りませんが、このワク内におきまして、もう少し商社が自由に活動ができ、従来よりは商取引機能が正常化するように、いろいろとでき得る限りの緩和措置をとっていきたいというふうに考え、一部は実施をしておりまするし、今後もこういう措置をどんどんやっていきたいというふうに考えております。  簡単でございますが、一応御説明申し上げました。
  7. 前田榮之助

    前田委員長 ちょっとお諮りいたしますが、大臣予算委員会へ御出席の時間の都合もあるのですが、多少余裕があるそうですから、大臣に対する質問から一つ……。
  8. 古川丈吉

    古川委員 ただいま大臣から中共並びにソ連東南アジアに対する御方針を承わったのでございますが、その他の地域に関するお考えをさらにつけ加えて御説明願いたいと存じます。
  9. 石橋湛山

    石橋国務大臣 その他の地域と申しますと、今のところ日本貿易の一番大きいのはアメリカでありますが、アメリカに対しては、今通商局長から申し上げましたように、やはり日本商品宣伝ということがこの際一番大切なように考えておりますので、その点を強化していきたいというのが、今通産省としてやろうとしておるところであります。  それから今のガットの問題があります。これは、きょうの新聞にもガット事務局長の話が出ておりますが、参加ができるだろうと考えておるわけであります。アメリカについては、これも詳しいことは局長あたりから話してもらいますが、関税問題もございますので、アメリカとしてはずいぶん日本に好意を寄せて、ガットにおいても、関税についてはアメリカが特に日本に援助してくれております。ただ各国とも産業界方面日本商品に対して実質以上に非常な恐怖を感じておりますので、そこでアメリカでも国内の問題としてはなかなかめんどうだと見えまして、政府の思う通りにもならぬように思われます。法律の上において最近少しごたごたしております。  それから、英国日本ガット加入に対して幾らか反対的な気配を持っておるので、あるいは、日本ガットに加入した場合に、制限条項を適用して、日本商品に対しての制限ができるようにしようというような考えを持っておりますから、そういうことに対しては、逐次——この間も、たとえば意匠についてでも、日本英国の特に綿布に対する意匠を盗用したというような問題が起りまして、それに対しては日本からミッションを送って向うの了解を得ると同時に、また向うからもこの間うちミッションが参っておりまして、よく当時者と話し合いをして、これからもまた、今局長が言いましたように、海外見本を取り入れて——これは実は、無知識のために、あるいはまた英国日本との元来の制度の相違のために間違いも起ることがありますので、そこで、そういう見本を取り寄せて、広く日本のメーカーその他に見せて、意匠盗用というようなことで不利益をかもさないような手段をとるということで、いろいろこまかいことでありますが、それぞれ手を打っておるつもりであります。
  10. 加藤清二

    加藤(清)委員 輸出振興のために市場開拓をし、市場確保をすることに本年度は第一目標を置いて努力するという点については、私どもも賛成でございますが、私、しろうと考えで見ますところによると、終戦後まだ国交調整されておらないがゆえに、当然開けているところの市場日本商品輸出されずにいる。いや、輸出されるどころか、されていたのを日本の力によって禁止しなければならないというような国が方々に出ておるわけなんでございます。たとえていえばインドネシア、ここは、去年の貿易状況を見ますと、綿の輸出が伸び悩んでいるという大きな特徴がございますけれども、今まで輸出がスムーズに行われていたインドネシアに対する輸出——ここは一番大きい市場でございますが、これをおのれみずからの手によって禁止しなければならないような状況になっちゃったのです。そのおかげで伸び悩みの原因を来たしたということがございますが、インドネシアフィリピンビルマ等々の国交調整は一体どうなっているのか。この国交調整がうまくいかないがために、せっかくの市場が放棄されなければならない、その間にイギリスにけっこう取られてしまったというような状況があるのでございますけれども、これに対して政府としてはどのような手だてをされようとしておるのか、現状及び将来についてお尋ねいたします。
  11. 石橋湛山

    石橋国務大臣 国交調整そのものについてはあるいは外務大臣からお答えした方が適当かと思いますけれども、今のインドネシアあるいはフィリピン等は、御承知のように、賠償問題が片づかないということから、正常な国交の回復ができない状況にございます。これは、今申しましたように、賠償問題を早く片づけよう、相当犠牲を払っても片づけた方がいいと私は考え外務大臣ともそういう話し合いをしておる次第でございます。これができますと、よほど関係はよろしくなるのじゃないか。ただ、インドネシアの方は、いかにも日本自身輸出制限しているようなことになってはなはだ残念でございますが、これは、御承知のように、一つインドネシアからの輸入品制限がありまして、あるいはまたインドネシア価格関係もある、そういうわけで、思うようにインドネシアから輸入ができないのです。従って、輸出しますと、それがいわゆる焦げつきになって、現在相当額焦げつきが出ておる。ところが、そこに賠償問題が片づいておりませんから、聞くところによると、その焦げつき賠償問題以上に自分の方にとってしまうということで、はなはだ不安の状況にあるものでございますから、そこでやむを得ず現在インドネシアに対する輸出制限せざるを得ないようなことになっております。
  12. 加藤清二

    加藤(清)委員 インドネシアへの輸出制限よりも禁止されたその原因はよくわかっておりますが、これは、すでに大使向うに行かれまして、自由党内閣のときでございましたか、帰ってきて、早く国交調整をするようにという要請をされているはずでございます。にもかかわらず、その後遅々として賠償問題が解決しないので、向うの国としては、日本がせっかく輸出した二億ドル余のものを賠償に充ててしまおうというわけで支払いをしてくれない、その焦げつきがこれ以上重なってはいけないというのが、禁止になった一番大きな原因だと考えておりますが、これは政府の怠慢のしからしむるところであって、市場開拓を口にいたした政府とするならば、当然これはすでにしなければならないことであります。また拡大均衡論を唱えなさる大臣さんだったら、いの一番にここへ手をつけて、当然ここの調整をはかられるのが至当だと考えます。なぜかならば、ほかの国と違って、ここは日本にとってはいいお得意さんのはすです。そのことはあなたの方がよく御存じのはずです。そこで、その経過だけでなくして、拡大均衡論著のあなたがどのような手を早急に打って、この市場イギリスの手に奪われるのを防ごうとなさるのか、そこを聞きたいのです。
  13. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろん、インドネシアであっても、現状においできるだけ輸出貿易を拡大したいということは念願をしておりますし、さように努力をしておる次第でありますが、何といっても、やはり賠償問題が片づかぬと、それがいろいろの障害になる。賠償問題は、向うの言いなりに払えばそれは今日でも片づくでありましょうが、これはそうも参りませんから、できるだけ賠償問題は早く片づける。しかしながら同時に、向うさんの言う通りにすべて払うわけにもいかないのでありますから、自然交渉がおくれるということで、今のところではまずフィリピンを片づけたい。これもなかなか大へんなんです。向うさんの言うこととこっちの希望とが非常に差がありますから容易でありませんが、しかし、できるだけのめるだけのことをしてフィリピンをまず片づけよう、次いでインドネシアに及ぼう、かように考えております。
  14. 加藤清二

    加藤(清)委員 向うの言い分が大へんむずかしいようにおっしゃっているようですが、私が大使に聞きましたところによりますと、そんなむずかしい条件ではないのです。ただこっちが勝手にのまないだけの話のように受け取れるのです。すなわち、今焦げついている金額、あれよりも少い金額で、しかも長期に分割して払えばよいことになっておるし、その払うものは、役務でなくして、品物でいいということになっております。このことは業界の方がよく知っております。だから、業界では、せめてサロン前かけを一枚ずつ家庭にもらってもらおうじゃないか、あるいは陶器の中の半磁器でございますが、この家庭用セットを一家庭ずつに賠償としてもらってもらおうじゃないかというような計画も大まじめに立てられているのであります。これをすることによって、やがて、これは消費物資でございますから、商品見本となって、次に送るときにはこれはいわゆる正常貿易商品として売ることができるということでございまして、終戦後あそこの貿易額がどれだけであったかはあなたの方がよく御存じのはずであります。焦げついているだけで二億ドル余になっているはずでございます。その範囲内において十分でき得る賠償額で済まされるはずであります。ただ、問題は、政府部内におけるいざこざのおかげで、スムーズに行くべきはずの賠償問題がなかなかスムーズに行かないという実態も私は聞いております。それから、向う政府に直接会って聞いてきた人の話も聞いております。それから私は、かつて外国に行きましたときに、向うの人間と会いまして、直接意向も聞きました。もちろんこれは政府を代表しての意向ではなかったのでございますが、向う政府を代表しての意向をとってみましても、なるほどフィリピンはむずかしい賠償のことを言うておるようでございますけれどもインドネシアは、フィリピンほどむずかしい条件を出しておりませんし、また国民感情も、フィリピンほど日本人や日本商品を排斥するようなほど恨みには思っていないはずなりであります。行かれたらよくわかります。歓迎されます。あなたが行かれたら最も歓迎されるかもしれませんが、そういうやさきに当って、これを、今通商局長の言われました市場確保の意味においても、政府の費用をたくさんに使って市場拡大と市場確保をしようというやさき、これをほうっておいたら悔いを千載に残すことになるのではないか。なぜかならば、ここは、海外市場の競争が激しくなった今日、イギリスにしてもドイツにしても垂涎の的になっている以上、繊維市場としては一番いいところなんです。これを日本政府が長年の間でき得る貿易を禁止してまでも放置しておくということは、怠慢のそしりは免れないと思うのでありまするが、ただ困難では困りまするから、今日の政府としては、どのような手を打って早期にこれを解決するかという、その解決策ぐらいはあるはずだと思う。それでなければ拡大均衡論は唱えられないと思いますが、拡大均衡論はここを除外されての話でございますか、いかがでございましょう。
  15. 石橋湛山

    石橋国務大臣 いや、先ほど申します通りインドネシアに対しても、どこに対しても、貿易拡大はむろん政府の望むところであるし、それから、あなたのおっしゃるように、政府部内の不一致のために賠償問題がおくれているというような事実は、私の知っている限りではございません。これはあなたのおっしゃるほど簡単でないのですよ。インドネシア要求もなかなか、ときどき向うからの大使の報告も受けて見ておりますが、相当大きな要求をしております。今数字を覚えませんが。今焦げつきなんかは賠償以外に取ろうというほどの考えを持っておるので、従ってその交渉がそう簡単でないのです。だから、幾らでも払っていいというなら、それはもう簡単でございますが、そうも参りませんから、そこでできるだけ早く解決するという方途をもって、しかしながら同時に日本の将来に非常な大きな負担になるのも困りますから、その調整をはかりつつやっておるというわけでございます。
  16. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、すでに国交調整が緒についておりまするところのビルマ賠償問題、これがやはりインドネシアと軌を一にするものでございまして、これが早く解決されるということが、この市場日本確保するという原因になるわけでございます。この賠償については、一体今日政府はどのように解決を進めておられまするか、その点をお伺いしたい。
  17. 石橋湛山

    石橋国務大臣 詳細は記憶しておりませんが、ビルマについては、もう賠償協定はできた、それを今実行の段階に入っております。逐次実行をされつつあります。それのこまかい、どういうふうにやっているかということは、もし必要があれば政府委員か何かから申し上げますが、今その実行の段階に入って、すでにいろいろの交渉が始まって、実際のプラントを輸出するとか、いろいろの話し合いが始まっております。
  18. 加藤清二

    加藤(清)委員 この問題につきましてはウー・チョウ・ニェンとも会って話をいたしましたが、ぜひ日本の繊維紡績繊維織機の機械がほしいというお話でございました。その中で特に最高のものがほしいということでございましたが、ナイロンの直紡機は、アメリカのパテントの関係がありましてそれをすることができないと申しましたところ、それでは人絹、スフの直紡機でけっこうだ、その紡機を作っている工場もぜひ見たいということで、紡機製作工場から、その紡機が活動している工場から、すっかり御案内を申し上げたのでございます。その折に、ぜひこれを賠償の中に入れたいということで、二億五千万ドルのうちの五千万ドル分でございますが、当初には五千万ドルを解決しようというお話になっていたようでございます。もっともこれは前の政府のやったことでございますので、大臣は知らぬとおっしゃれば別でございますが、おそらく事務引き継ぎか何かで話は行われたのではなかろうかと思っております。それから、この国では御承知通りサロンが喜ばれる国でございますけれども終戦直後国交がうまくいかないがために、輸出できるという政府のサゼスチョンによってせっかく作りましたサロンがストックしてしまって、ずいぶん業界では困ったことも御存じだと存じます。業界では、サロン、家庭用の陶器、家庭用の柱時計等を賠償物資として向うの国に提供し、やがてこれを商品見本にしようという計画が行われつつあるようでございますが、大臣としては、賠償の解決を一体いつごろまでに行われようとしておられるのか。また、行われるに当って、その賠償物資の内容に、このような向うのほしいという紡機、織機やあるいはこちらの業界が望んでいるところの向う家庭用品を入れる気があるかないか。この家庭用品を入れるということは、やがて国民感情に及ぼす好影響があると存じます。なぜかならば、日本の国からこういう賠償を取ったのだ、まあこれでというて向うの人も慰められるのではないか。やがてこれがいい商品見本になるということならば、一挙両得ということになるわけであります。これを賠償物資の中に入れる意思ありやいなや、伺います。
  19. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今お話のサロンとか陶器というものを向う賠償物資として取ってくれるならば、私どもとしては何も異論はありませんが、どうも加藤君の言われるようにそんなに楽観はできないように思っております。それから今の紡機、織機については、賠償経済協力等両方御承知通りあるのであります。すでに日本の当業者が幾度も向うに行き、また向うからも来て、たとえば紡績機械どころではない、紡績機械を作る工場をほしいというような申し入れがありましたが、これは向うで取り下げたらしい。そんなものを作ったらとても過剰になってしょうがないというので、結局紡機ないし織機を輸入して工場を作りたいというところに話が来ておるわけであります。むろん、そういうようなものにつきましては、話がつきますならば、賠償なりあるいは経済協力なり、どちらかの方法でわれわれとしても輸出させるようにしたいと考えております。
  20. 加藤清二

    加藤(清)委員 今のお答えを聞いていると、自然の成り行きにまかせるというように聞えますが、現政府は、これに対してすみやかに行えるよう御努力が願いたいわけですが、そういう努力をするプランがあるかないか、こういうことなんです。
  21. 石橋湛山

    石橋国務大臣 これは通産省の中にも係をおきましてむろん推進をするようにいたしております。
  22. 加藤清二

    加藤(清)委員 そのプランがあったらお示し願いたい。
  23. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 私からお答えいたしますが、賠償の方は、目下の段階は、具体的にそれを実施するにはどういうふうな手続でやったらいいか、先方の希望日本側のそれに応ずる態勢とをどうしたらよいかということで、目下ラングーンで折衝しております。だいぶ時間がたっておりますが、そのうち妥結すると思います。それがきまりましてから、具体的に先方のこういう施設とか役務の提供とかいう話が始まってくるわけです。今のところある程度はわかっておるのでございますけれども賠償の点は向うの意向のはっきりしない点が相当あるわけです。それから経済協力の方は、御承知のように両国の——両国と申しましてもビルマ側は国の出資でございますが、日本側は民間出資になっております。この共同出資によりまして合弁事業を作って、今の仕事をして参る、こういうことでございます。この方は、年末に日本側調査団が参りましたときに、相当膨大なプランが、しかもまとまりなく計画されております。非常に理想的な現地の立地状況、ことに原料関係なんかの立地状況なんかを考えないような案もありまして、この協定の中に入っております五千万ドルではなかなかおさまらないだろうという見通しもございます。またビルマ側も、もう少し全体を調整して、緩急順序をつけてやる必要があるということで、目下その辺がビルマ側の出方にかかっておると記憶しております。  なお、通産省の方といたしましても、通産省関係の事業で、向う経済協力なり、あるいは賠償関係の予定されておるものも、予定と言いますより、向う希望しておりますものも若干あるようであります。その点につきましては具体的に検討を進めておりますが、まだそれが双方の合意にまで到達するというふうな段階では目下のところないわけであります。  なお、このビルマ賠償なり経済協力は、これは、消費財の提供、つまり商品の提供ということではございませんで、向うに役務を提供することになっております。従いまして、向うで工場を作るとか、あるいは河川の改修をやるとか、電源の開発をやるというような仕事を手伝うわけでありまして、今のところ消費財の輸出をもって賠償に充てようということは考えておりません。
  24. 加藤清二

    加藤(清)委員 私は向うの国に参りました。それから来られた代表のウー・チョウ・ニェンにも会いましたが、その結果を総合してみまして、ビルマの国は、御承知でございましょうが、繊維については自給自足をしたいという考えを持っておるようでございます。そのために、向う計画としては、国立の技術員養成所を作り、大きな養成所を持って、そこへ優秀な人間を集めて、ここで技術指導をやっておるのでございます。その技術指導をする場合の機械でございまするが、これがまずとりあえず終戦前の機械を集めて発足したようでございます。この織機はほとんど日本のスタイルでございます。ところで、すでにスペアが足りなくなったとか、あるいはもう古くなって新しいスタイルのものがほしいとかいう希望のもとに、これが行われておりますが、新しく輸入されるものが、イギリスを初めとして中には中共の製品も加わっているようでございます。つまり言えば、ここにも市場の競争が行われておるわけでございます。ところが、紡機や織機は、日本の今日の技術をもってすれば、決してイギリスにも劣らないだけの確信を私も持っております。この実情をごらんになったウー・チョウ・ニェン外務大臣は、ぜひ日本のこれがほしい、なろうことならばその機械を十二分に活動させるために日本の技術員を迎えたい。やがてこれがあなたのおっしゃった役務賠償にもなるわけでございます。これはもう願ったりかなったりで、渡りに舟というわけです。にもかかわりませず、それが遅々として進まないということは、これは政府としてどこかに欠陥があるか、ないしは業界の方がもたついておるか、いずれかでございますが、業界の方としては、旱天の慈雨のように喜んで、今か今かと思うて政府の御指示のあるのを待ちかまえているわけなんです。それに対して一向色よい返事が聞えない。これでは困りまするというのが現状でございます。そこで、今承われば、それ相当のプランもあるようでございまするけれども大臣としては、これにあなたの拡大均衡論をプラス・アルファして、やがて日本輸出振興に寄与するというところに持っていっていただきたいと思いまするが、大臣としては早急にこれに対して何らか調査会なり研究会なりをもって推進するところの意思がございますか、ございませんか、それについてお尋ねいたします。
  25. 石橋湛山

    石橋国務大臣 今のお話は私まだ聞いておらない。そういう事実がありますれば、それは推進をしたいと思います。
  26. 加藤清二

    加藤(清)委員 次に、もう一点だけお尋ねいたしまするが、輸出入の場合に、輸入の場場合は、大切な外貨を商社ないしはメーカーに預ける関係上、商社の限定とか指定とかいうことが行われていると聞いておりまするが、輸出の場合に、今日の段階として商社の限定とか指定とかいうことが必要でございますか、ございませんか、大臣にお尋ねいたします。
  27. 石橋湛山

    石橋国務大臣 非常な過当競争ということがございますから、それはある程度制限は必要だと思いまするが、しかし一般的にはそういうことはしておらないと思います。
  28. 加藤清二

    加藤(清)委員 過当競争が行われている国はどこの国でございますか。
  29. 板垣修

    板垣政府委員 輸出の場合の商社の指定の問題につきましては、過当競争あるいは相手国の特殊事情という点を考えまして、やらなくちゃならぬ場合が起っているわけでございますが、今一番問題なのはトルコでございます。トルコは非常に特殊な事情でございますので、これは政府商社の指定をしたわけではございませんが、過去において一定の輸出入の実績があるものという線を引きましたので、数社になっているという実情でございます。一般的には制限はいたしておりません。
  30. 加藤清二

    加藤(清)委員 トルコの特殊事情は、御承知通りインフレが高進いたしまして、ずいぶんと輸出はもうかるわけです。しかし、あの国からも、今の拡大均衡と同じで、やはりある程度のものは買わなければ売れないという状況でございますが、この商社が限定されているということによって、やはり貿易界に大きな波紋を投げかけているようでございます。しかもその限定が過去の実績ということで限定されたようでございますが、その実績は、指定されたあの七商社の実績をつぶさに調べてみますと、これは必ずしも戦後の実績ではなさそうでございます。戦前の実績をもってこれに振り当てておられる向きがあるようで、ございますが、いかような規格によってこれをお定めになるか。その規格が日本のトルコに対する輸出振興にどのように寄与するとお考えに相なっておりますか。この点を大臣にお尋ねしたい。
  31. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは私はトルコのことは実は調べてないから知らないのです。だから必要があれば通商局長からお答えいたします。
  32. 加藤清二

    加藤(清)委員 それでは、限定されているということが、もし調査の結果これではよろしくないということが発見された場合に、大臣としてはこの限定を広げる意思がありますか、ありませんか。業界の意思を反映して、この貿易がスムーズに行われるように道を開く用意がありますか、ありませんか。
  33. 石橋湛山

    石橋国務大臣 それは、お話のように、その限定のために貿易に悪影響を及ぼしているということなら、むろんその場合に改めることは当然のことでありますから、それは改めます。
  34. 加藤清二

    加藤(清)委員 いずれこれは詳細商工委員会において論議をし調査も進めてみたいと存じておりますが、目下のところでは、この限定は方向は間違っていないけれども、質の上において、力の上において、実績の上において、少々限定に過誤があるようでございます。それがあった場合には、確かにあなたはこれを変えるという意思があるのでございますね。
  35. 石橋湛山

    石橋国務大臣 むろん誤りがあれば変えます。
  36. 加藤清二

    加藤(清)委員 もし今日このままで行かれますとすると、私は、公取委の関係からいっても、あまり芳ばしくない結果が生ずるのではないか、いやすでに生じつつあるという警告を発しまして、私の質問を終るわけであります。
  37. 田原春次

    ○田原委員 議事進行について。ただいまの加藤委員の御質問の中に、いずれ詳細は商工委員会でということがありましたが、一体貿易振興委員会と商工委員会との権限いかんという問題は、私の了解しておるところによっては、法律案の審議等については商工委員会で、貿易の実態、実施面については貿易振興委員会でやるということになっておりますが、こういう話し合いをしておるかどうか、これは委員長にお伺いいたします。
  38. 前田榮之助

    前田委員長 田原君にお答えいたします。これは近く商工委員長と相談をすることにいたしておりますから、そこで明確にすることにいたしたいと思います。
  39. 田原春次

    ○田原委員 貿易振興に関する限りはここでやるということにしてはどうかと思います。
  40. 前田榮之助

    前田委員長 その点もよく相談いたして明確にいたします。  山本勝市君。
  41. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 大臣にお伺いします。鳩山内閣は中共ソ連との貿易を大いにやる、それでできる限り国交調整していきたい、こういう大きな考えで出発しておるのでありますが、そこでいろいろやってみると、途中でアメリカ側との間にも非常に問題があるようであります。ことに自由党の諸君などは、その点で非常に危惧の念を持っておるようでございます。まあ、ごもっともな点もあると思うのでありますが、アメリカとの関係が悪くなりはしないかという心配のほかに、もう一つ、盛んにソ連中共貿易をやると、国内が思想的に共産主義国の謀略というか、思想宣伝にひっかかりはせぬかというようなことも、まじめに心配しておる人があるようであります。それでアメリカに心配しないようにさすにはどうしたらいいか。私は鳩山さん自身が行ってほんとうに自分の腹を話すのも一つの案だと思いますが、いろいろお考えがあると思いますけれどもアメリカとの親善関係をより一そう強化するという態勢を一本とりながら、また国内の共産主義の宣伝に乗らないという態勢をとりながら、強力にソ連中共との貿易及び交通をやっていく。これは両方兼ね備えていかなければいかぬということは、特殊な思想的立場の違う人は別としまして、これはだれも異論がないのではないか。そこで貿易はどんどんやる。交通もできるだけやる。これは大臣もその意思に違いないが、その場合に国内の今の思想状況で不安がないという方法については、私は、一つの案として、非常に姑息ですけれども、どこか、昔の出島のように、たとえば中共との関係は長崎、新潟とか小樽とかいうようなところを限定いたしまして、そこでは、一定の地域であるが、そのかわりできる限り自由である。そういうようないろいろな不安にこたえるとともに、また実際上の便宜からいいましても、昔徳川時代にやったような方法考えられる。そうして、たとえば通商代表部というようなものも、一方で外交官としての資格を与えることができないとすれば、外交官の資格を与えない。そして領事なんという昔からの既成概念に当てはまらない何かの代表というようなものがあり得るのじゃないか。つまり、こういう変態な一つの事態でありますから、昔の変態でないときの概念にはまったような役職でなしに、全く字引をくっても国際法規を見てもないような——事実はやるのだけれども、外交官としての資格はないのだ、こういうものがあり得るのじゃないか。そういう新しい通商の事務に当るものを作ることも考えられる。この点は、直ちに大臣のお考えを聞く必要はないのですけれども考えてほしいという希望を申し上げておきます。  それから、これは通商局長でもけっこうなんですが、これまでの貿易で砂糖のリンクをしておったために相当伸びておったことは御承知通りです。この砂糖のリンク制をやめた場合に、それにかわって国が市場開拓するとか、あるいは国際市を開くとか、いろいろなことを先ごろ来考えられておりますが、しかし、砂糖のリンク制というものは、それぞれの会社とか輸出の場合に、的確にこれだけというふうに響いてくるものです。国際見本市をやるとか市場開拓するとかいうのは、これは一般的なものであって、リンクをやめたマイナス面がそういった一般的な貿易振興策というものでカバーできるかどうか。カバーしてなおプラスになるかマイナスになるかという数字的に的確なことはむずかしいでしょうが、大体これまでこれだけくらいの部分は砂糖リンクのおかげであったのだ、今度見本市とかいろいろ一般的なことをやるとこれくらい伸びる、それでこの数字はこれでカバーできるという見通しがつくかどうかということです。リンクをやめてそういう一般的な方法に非常に力こぶを入れたために、予想外にいいかもしれぬが、予想外に悪いかもしれぬ。その辺はどういうふうに考えておられるか、これを伺いたい。  それから、もう一つついでに質問だけ先にやってしまいますが、この間からICCの会議東京でやっておるようであります。あるいは国際見本市をやったようでありますが、ああいうことをやられた結果、そこで幾らかの商売の取りきめをしたということ以外に、将来の日本貿易振興のために、そこへ参加した人々の意見をよく私は聞かれる必要があると思う。新聞で見ますと、二、三ICCに来た方が、日本アメリカとの貿易振興障害はここにあると言ったということも載っておるようでありますが、その中には、これは日本だけではないでしょうけれども、どうも、日本では、向うから商社の人が来た場合に、税金が高過ぎる、所得が大きいので累進税をとられるために非常に税金が大きくて、これが障害だということをはっきり言っておるのもありますが、いろいろそういう国際的な貿易に関する会議をやられた結果、皆さんの考え方にいろいろな効果があったことと思うのでありますが、あったらその点も聞かしてもらいたい。やってみた結果こういう点に気がついた。一応その点でお伺いしたいと思います。
  42. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまのリンクの問題でございまするが、これは、お話の通り、今までリンクのときには直接具体的に商品なりあるいは輸出者なりに結びついたわけでありますが、今後はそういう人為的な施策を排しまする結果、すぐ数字的に、じゃこれをやめて、それが一般的な輸出振興策によってカバーできるかどうかということは、これは全然計算はできません。しかしながら、私どもといたしましては、たとえば砂糖リンクは大体プラントでございますが、かりに昨年は一億数千万ドルのものが砂糖リンクがついておったといたしましても、これは砂糖リンクがあったために出すというだけで出たわけではございません。もし砂糖リンクがなかったとしましても、あるいは半分ぐらいは出たかもしれませんが、その辺の計算はできないわけであります。いずれにいたしましても、今後、国際的な関係からいたしまして、そういう人為的な輸出施策がとれませんので、一般的な輸出振興策でやっていくということにならざるを得ないと思います。ただ、一般的な見通しといたしましては、船舶などの例をとりましても、この砂糖リンクをやめましても、そう急激にこれが落ちるというような状況ではないように見通しを立てております。  それから、次の東京で開きましたトレード・フェアなどにつきましても、海外からのバイヤーの意見を聞くというようなことが非常に重要でございまして、これにつきましては、ただいま主催者である東京都の方でいろいろな資料を集めておりまして、一カ月後ぐらいにはいろいろな資料をまとめて発表するということになっております。それからICCは貿易にはちょっと関係がないのでありますが、だいぶ世界の一流人が来ておりまして、いろいろな意見を述べておるのであります。私どもも全般的にその意見を聞くという余裕がないのでございますが、これもICC総会あたりの方で取りまとめて、そういうような資料でも作れば非常にけっこうじゃないか、そういうふうに考えております。
  43. 田原春次

    ○田原委員 大臣説明の中にも、それから通商局長説明の中にも、市場開拓ということを第一に説いておることは当然だと思います。  それに関連して二、三お尋ねをしておきたいと思うのは、バルカン諸国との通商再開の今後の見通しいかん。バルカンのうちでソ連圏のチェコスロバキア、ルーマニア、その他ブルガリアとかアルバニア等がありますが、ルーマニアとの間には、石油の問題がもう数年前から、今の通商局長が来られない前から業者と通産省の間にあると聞いておるのです。それからチェコスロバキアとの間にも繊維品その他の交易の要望が出ておるようであります。これに対しては、数日前の日本経済新聞であったと思いますが、国別、商品別に書いて貿易再開近しというふうにいっておる。それに対する説明を承わりたい。  それから、ソ連圏以外のバルカンでも、ユーゴスラビアとの関係、ユーゴスラビアはこれまた通商協定がないようでありますが、なぜやらないのか。これに対して外務省の御説明を聞いておきたい。  それから、バルカンの諸国の中で、ユーゴスラビアは特に日本に公使も着任をしており、日本のプラントか何かが出ておる。これに対しては輸出入銀行が貸しておるようでありますが、先方は鉱産品、農産品等を非常に入れたいといっておるようでありますが、いまだにこれらのことが実現しない。そういうような点もありますので、市場開拓として、条約未締結国の中で、特にバルカン方面に対する従来の経過と今後の見通しを通商局長経済局長の両方から聞いておきたい。
  44. 板垣修

    板垣政府委員 バルカンの諸国につきましては、今お話のユーゴスラビアを除きましては国交未回復国でございますので、他の共産圏と同じように、実際の貿易伸張にはいろいろな困難があるわけでございます。私ども承知いたしておりまする限りでは、チェコとルーマニアから日本と通商をもう少し拡大したいというような申し入れもあることは承知いたしておりますが、ルーマニアにつきましてはただいまお話の通り石油に関連しまして多少問題がありましたけれども、この石油の値段の関係もありますし、これを取り扱う商社関係などがありまして、まだ具体的に決定までは至っておりませんが、もちろんそういう道が開けますれば、私どもとしてはできるだけ援助をしていきたいというふうに考えております。  それから、チェコにつきましてもほとんどまだ貿易関係がございませんので、昨年数十万ドル程度日本輸出があった程度で、輸入が皆無という状況でございます。これにつきましては、先般のエカフェ会議に参りましたチェコ代表が私に非公式に連絡して参りまして、ちょっと話をしたのでありますが、まず第一に日本から何をチェコへ出し、チェコから何が買えるかという点をもう少し検討を要しますので、この点につきまして、向う側の人人と、もし民間ベースでも話をやる道が開けますればけっこうと考えております。  ユーゴスラビアにつきましては経済局長から……。
  45. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 バルカン諸国の点につきましては、今通商局長から御説明があった通りでございますが、ユーゴの点につきましては、現在すでに国交が回復しており、両方とも公使を交換しております。そこで、通商航海条約でありますか、これは一応前にユーゴとやっておった条約が復活をされまして、それで今やっておりますが、しかし先方はさらにこれを改訂して経済関係をもっと密接にしたい、こういう希望がありますので、ただいまその新しい条約を交渉中でございます。
  46. 田原春次

    ○田原委員 ユーゴには公使がおりますからいいのでありますが、ただいま通商局長の御答弁の中にあったように、チェコスロバキアとルーマニアに対しては、まだ国交調整ができていない。しかしながら、すでに中共及びソ連との間に対しても民間では相当の議論があり、また成立しておるくらいな状況でありますから、これと並行して、同じような性質であり、市場開拓ともなり、双方有無相通ずる特殊な品物があることだし、至急にバルカン諸国の中のソ連圏に対しては交渉を開始する用意をしてもらいたい。ただいまのところ政府はどういう考えを持っておられるか、それを伺いたい。
  47. 板垣修

    板垣政府委員 今申し上げましたように、国交未回復国につきましては、政府自体としてこの貿易交渉をやるということまでできませんので、もし民間ベースでそういう話が進められて参りますれば、私どもとしては異存がないわけであります。
  48. 田原春次

    ○田原委員 いずれ、バルカン諸国の問題については、もう少し私どもの方で準備して質問することにいたしまして、きょうはこれでやめます。
  49. 加藤清二

    加藤(清)委員 先ほど意匠の盗用の問題が出ておったようでございますが、これは国際的に見て日本の国柄を疑われるゆえんになりまして、まことに遺憾千万なことと私も考えております。わが党としましては、これに対してこういうように考えているのです。先ほど、大臣は、これは業界の無知識のゆえんであるといみじくも喝破しなすったのですが、その点は私も同感でございます。なぜかなれば、意匠の盗用で今まで一番多く問題になったのは、陶器ないしは繊維でございますが、この繊維や陶器は、最後の意匠をつける部門が経済的に非常に弱いのでございます。陶器でいえば、完成部が絵付をし、繊維でいえば機場ないしは最終仕上げ部門が柄をつける。この絵付、柄付の業界は非常に経済力が弱いので、自分の力でもって今日各国にどのような柄が行われているかを調査するにはまことに微々たる力しか持っておりません。やむなくこうなっておる。また輸出をしようとすれば、当然に今日のはやりということを知らなければなりませんが、そのはやりを知るには、外国を回ってみるか、ないしは世界各国の見本を取って見なければなりませんが、これには、陶器の絵付にしても、あるいは繊維の柄付業にしても、それをなし得るだけの経済力を持っておらないのでございます。そこで私は、去年、毛製品の方の側に、世界中の見本をとる必要がある、今までどういうように見本をとっておったか尋ねてみましたが、日本の国へイギリスから輸入された見本から新しい柄の傾向を推理し、そうして自分のところで柄を考案しておられるようでございますけれども、私はここに大きな誤謬を発見した。なぜかならば、繊維はイギリスにとっては日本は大きな競争国なんです。先ほど大臣が言われましたように脅威の国なんです。そこの売り出す品物というものは日本向きのものが行われている。日本輸出しようとしているところのアフリカ地方であるとか、あるいは今お話のありましたバルカン地方であるとか、あるいは東南アジア向けの柄というものを日本には決して送っておりません。従って、せっかく品質はよくできても、柄が悪いので売れなかったり契約ができなかったという面が、バイヤーとの交渉において多く見られる現象であります。そこで、どうしても世界中の見本をとる必要がある、またイギリス日本輸出しようとしている国へどういう柄を送っているかを調べる必要がある、それを取り寄せる必要があるのじゃないかと言うたら、なるほどそうだということになりまして、さてそれじゃその見本を買う代金はとなりますと、ないそでは振れないということになって、すでにこれは通商局や繊維局にも陳情があったはずでございますが、その資金源はわずか七万ドル、その七万ドルばかりの金が思うようにできなかった。それで、日英会談から生じた二百万ポンドの買付の利ざやを政府にためておいて、それを輸出振興に利用しようじゃないかということであったが、あの金は、およそ毛製品輸出とは見当違いのところに多く使われてしまって、このように必要なところには使われずに終ってしまったという結果に相なっておりますが、今回、政府といたしましては、この意匠の盗用というような忌まわしいことは早く払拭した方がよいと存じます。そこで、これを払拭するに当って、工業試験所に意匠の研究部門を設けるとか、あるいはまた、それができなければ、せめて見本を買うくらいの外貨は割り当てる用意があってしかるべきだと存じますが、その用意ありやいなや、これについて、そのいずれでもけっこうでございますから、承わりたいのであります。
  50. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまのお話は私どもも全然同感でありまして、通商局といたしましても、意匠改善につきましては、お話のような線で進んで参ったわけであります。ただ、実際的な措置といたしましては、予算などの関係もございまして、本年度考えております意匠関係の費用は、意匠改善費といたしまして、大体今後の独創的な意匠国内で奨励しそれを助成するという意味から、デザインの研究生を海外に出すための費用を三百万円ばかり計上しております。それから、今の見本の収集につきましては、少し御趣旨の点と違うかもしれませんが、ジェトロが集める費用といたしまして五百万円ばかりを本国会要求しております。従って、それ以外の団体につきまして政府から国内的の補助が出ることは今のところ考えておりませんが、もし、それと関係なしに、ただ外貨の面だけでございましたら、お話のような線でわれわれも研究して参りたいと考えております。
  51. 加藤清二

    加藤(清)委員 それについて、ジェトロが輸出振興に当って非常に貢献しておることは、業界の感謝の的になっておりますし、またここにおられる専務さんが、かつて繊維局長をしておられて、繊維には通暁していらっしやる方でありますから、これはまことにけっこうなことだと存じますが、しかし、この研究生を海外に派遣される費用が三百万円であるとあなたはおっしゃいましたが、これはドルとは違いませんか。
  52. 板垣修

    板垣政府委員 円です。
  53. 加藤清二

    加藤(清)委員 円でありますと、これでは旅費にもなりませんね。何人お送りなさるおつもりか知りませんが……。
  54. 板垣修

    板垣政府委員 四人予定しております。しかしだんだん来年からふやして参りたいと思います。
  55. 加藤清二

    加藤(清)委員 これはまるで旅費であって、業界としては、理屈じゃなくて現物を見せるということが一番よいことなんです。従ってその見本を集めてやる。これは向うの登録になっておる柄だからだめだよ、しかしここの柄の中のここがいけないのだというように説明すれば、しごく簡単でございますけれども、三人や四人の政府の役人なり何なりが研究生として向うに行って帰って来て、その人が一体日本国のあらゆる業界にどれだけのアピールができ、どれだけのPR運動ができるかということになると、まことにこれは心もとない話だと思います。しかも、このジェトロの方のお金は五百万円ですね。五百万円ということになると、これまた陶器のディナー・セット一そろいか二そろいで終ってしまうようなことになるわけです。これは全く見本集めの資金にはならないと思います。そこで、業界がみずから進んで独創的な柄を作り、これがやがて輸出振興に貢献しようとする場合には、当然にここには輸出振興のために外貨を割り当ててしかるべきだ。その外貨は当然見本を買う金でございますが、見本はもちろん円じゃ買えませんから、当然外貨を割り当ててしかるべきだと思いますが、その御同意はございますか。
  56. 板垣修

    板垣政府委員 先ほどもお話申し上げましたように、円の補助関係なしに、外貨の割当の問題だけでしたらば、御希望に沿うように至急に研究したいと思います。
  57. 加藤清二

    加藤(清)委員 その金額はどの程度御用意がございますか。そして何の業界にどのくらいという計画はございますか。それとも今後の交渉に待つことでございますか。
  58. 板垣修

    板垣政府委員 まだ全然具体的な、民間の希望団体に割り当てるという計画もございませんから、どの団体ということも伺ってみないとわかりませんが、なおこの外貨の割当は貿易外になりますので、大蔵省とも相談しなければはっきりしたお答えは今のところまだできかねます。
  59. 前田榮之助

  60. 帆足計

    帆足委員 時間も移りましたので、簡単に今後の資料を二、三お願いしたいと思います。先ほど山本委員から新しい唐人屋敷を作ったらどうかという御意見もありましたが、大臣がいらしたら私も少し意見を申し述べておかねばならないが、おりませんので、二、三の資料の提出をお願いしたいのです。  その一は、ココムの機構と沿革につきまして、従来しばしばお尋ねいたしましたが、十分な御説明が一度もされておりませんので、委員各位もまだ実情を御存じないような状況になっております。幸いに湯川さんが経済局長に御就任になりましたから、次会か、適当な機会に、湯川さんから詳細に承わって、どういうふうにして隘路を打開したらよいかということについて御相談し、また質問、要望もいたしたいと思います。  それから、昨日日中貿易促進議員連盟の総会がございまして、各党派から御参集になって、非常に盛会でございました。そのときに、現在の戦略物資という意味が、終戦後十年たって変ってきた。終戦直後はトラックなども戦略物資であったかもしれぬが、今はもうレーダーとか、ロケット砲とか、ジェット機などに変ってきた。従いまして、戦略物資というよりも商略物資である。商業上の競争相手として日本が不当に押えられている一面もある。そして軍需品、兵器を除いたすべての平和物資を輸出許可すべきであるが、せめて当面はソ連並みにしてもらいたい。これは自由党の諸君も含めて満場一致の要望でございました。ソ連並みに貿易がなったとすると、一体どの程度に緩和されるか。実はソ連並みの輸出許可品目の一覧表のようなものは見たことがあるのですが、膨大な資料なもんですから、ちょっと見当がつかないのです。従いまして、ソ連並みになりましたらば、おもに問題の品目のどういうものが適用になるかという資料をいただきたいのであります。たとえばトラックとか、モーターとか、電源開発の用具とか、電気機関車とか、船舶とか、そういうものの大部分は許されておるといいますが、なおかつどういうものがボーダー・ラインで禁止されているかということを、大体常識で判断し得るような資料を一ついただきたいと思います。  それから、この委員会で後ほど御審議がありますが、貿易の実施面で、主として無条約国との間における隘路打開に重点を置くといたしますと、現在の無条約国の一覧表、できますれば問題点の一覧表でもいただけますれば、一そう仕合せだと思います。  それから、先日の中国との民間貿易協定のときに、見本市を相互に開くという約束がなされまして、それは政府協力しよう、鳩山さんからそういうお話がございました。中国側の商品展示会はことしの秋に東京で開きたい、日本側は来年春までに北京、上海で開く予定になっておりますが、いずれにしても非常な準備を必要としますので、私どもの方でも直ちに準備委員を作りまして相談を始めますが、一つ政府当局においても、敷地のあっせんとか商品の搬入の便宜、委員の往復などについて、理解ある御協力をお願いしたいと思います。また日本側海外に、北京、上海に展示会を開くとしますと、貿易振興費の中から一部の御援助もいただかなければならぬと思いますが、そういうことも御研究願いたいのでございます。  その他多くの問題がありますが、きょうは時間もたっておりますし、他に同僚委員の御質問もあるようでございますから、それらの点につきまして両局長からお気づきの点があったら簡単に承わって、今後適当な機会に資料の準備をしていただけばけっこうだと思います。
  61. 板垣修

    板垣政府委員 ただいまの御要望のうち、ソ連並みにした場合の一種の解説的な表ということでございますが、いろいろ努力いたしましたが、正式には公表しないということになっております。個々の業界から御相談があった場合はいろいろお知らせしますが、一般的な資料として公表しないことになっておりますので、作成した場合、取扱いを……。
  62. 帆足計

    帆足委員 それでは、こういうことでいかがでしょうか。中国との貿易協定に今度入りました品目は、大体常識的に見てあまり問題のない品目です。ああいう品目の中の、さらにどういうものが輸出困難になるかというようなことでけっこうです。ソ連並みに取り扱われた場合でも輸出困難なものですね。
  63. 板垣修

    板垣政府委員 何か研究いたしまして作成いたしたいと存じます。
  64. 湯川盛夫

    ○湯川政府委員 ココムの機構についてお尋ねがありましたので、簡単にお答えいたします。実は、ココムの機構は、初めは名前も秘密ということでありましたが、その後名称は公表できることになりました。現在はココムと一般に言っておりますが、実はココムと、それからチャイナ・コミティと二つ並立しておりまして、ココムの方は一般共産圏、チャイナ・コミティの方はおもに中共貿易というふうに分れております。その上の機構として諮問委員会というものがありまして、そこで大きな方針を決定いたします。その中でやります議事の内容は、今でも公表でないことになっております。大体そういった仕組みでやっているという程度でございますが、いかがでしょうか。
  65. 帆足計

    帆足委員 実は、この問題につきましては、先ほど申したように、もう戦後十年になっておりますのに、ソ連向きに輸出禁止されております物ですら、われわれ国民に深く知らされていないというのも、驚くべきことだと思っているんです。それから、ココムの運用につきましても、ほとんどわれわれ実情を知らないのですが、たいへんこれは民主主義の原則に反することだと思っておりますが、ほかの同僚委員もこの問題については突っ込んで聞きたいという方も多いものですから、多くの同僚委員の御出席のときにもう少し詳しく承わって、またいろいろ要望事項も申し上げたいと思うのです。従いましてきょうはこれでこの点はけっこうです。なお、見本市のことは御協力願えますかどうか。
  66. 板垣修

    板垣政府委員 ただいま敷地のあっせんとかいろいろお話がございました。これは、開くとなりますれば、商品の搬入とか渡航の費用という問題は大切な問題だと思いますが、敷地のあっせんなり費用の問題というものは、もう少し具体的なお話を伺わないときめかねますが、中国側がこちらで聞く場合の費用は全部中国政府持ちでございますね。
  67. 帆足計

    帆足委員 そうです。
  68. 板垣修

    板垣政府委員 ですから、政府は費用の点で何も関係ないわけですが、敷地のあっせん程度なら、もし政府があっせんする力があるかどうかわかりませんが、検討してみたいと思います。それから日本が中国で開く場合の補助の問題はなお検討させていただきたいと思います。ただいま即答はいたしかねます。
  69. 田口長治郎

    ○田口委員 時間がございませんから、ごく簡単に通商局長にお伺いいたしたいと思いますが、最近カツオ、マグロのカン詰及び冷凍の輸出、これは非常に伸びて、この二種類だけでも日本の生糸の輸出よりもずっと多い、こういう状態になっておったのでございます。またそういう見通しをもって生産者が品物を生産する、こういう状態で進んで参りましたが、いろいろな事情で販路が頭打ちの状態になっておりまして、たとえばマグロのカン詰にいたしますと、六十万箱も滞貨が残っておる。冷凍も何だか今の三百ドルではなかなか売れない、こういうような状態になっておるのでございますが、これに対して、通産省としてはどういう手を打ってこの隘路を打開しようというふうにお考えになっておりますか。その点をちょっとお答え願いたいのであります。
  70. 板垣修

    板垣政府委員 御承知のように、マグロのカン詰、ことに冷凍マグロ等につきましては、あるいはダンピングのおそれありという疑いをかけられておりますし、一方値段が非常に下っているために、向うで、国内的に問題が起って、関税問題などを引き起しておりますが、私どもといたしましては、国内で生産されたものだけは、できるだけアメリカに売れれば一番けっこうだと思っておりますが、片や先方でそういう問題が起りますと、やはり国内的にも一時的に輸出数量の調節というようなことを考えないと、無理に出して元も子もなくしてしまうということは非常に危険じゃないかと考えております。ただ、この点につきましては、国内の生産者との関係がございますので、今のところまだ結論には達しておりませんが、鋭意この解決策について協議中でございます。
  71. 田口長治郎

    ○田口委員 結局、マグロ、カツオの問題につきましては、アメリカだけに依存した。そこにも一つ原因があると思うのでございます。従って、南米あるいはヨーロッパに対して新しい販路を求めるということについて、どういうような努力をしておられるのでございますか。それから、アメリカの問題につきましては、結局、現在の価格は高過ぎる、同時に、あまり値を下げると生産者の生産費を償わないようなことになるのでございまして、アメリカで売れる価格で、そうして生産費が償う価格、こういう線を結局出さなければならないと思うのでございますが、そこらの線について、もう少し研究された結果で具体化したものがございませんか。販路拡張の問題と価格の問題、この点についてもうちょっと突っ込んだ答弁がほしいのですが……。
  72. 板垣修

    板垣政府委員 実は、その問題につきましては、事務局の方で研究はしていると思いますが、あいにく私存じませんので、もう少し調べまして、この次の機会にでもお答え申し上げたいと存じます。
  73. 田口長治郎

    ○田口委員 それではそのときにお願いします。
  74. 前田榮之助

    前田委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。    午後零時十五分散会