○中山(マ)
委員 私は、文部大臣がお忙しくいらっしゃいますので、ほかにも質問がございますけれ
ども大臣にだけ先に質問をいたしまして、そしてお帰りを願って
あとで継続したいと思うのでございます。
売春等処罰法案というものが出ておりまするが、結局いろいろな
罰則だとかでちょうど網を張りまして、そうしてウサギをそこへ追い込んでいって、その中に首を突っ込ませてそれだけで済むものではないと私は思うのでございます。結局
売春という問題につきましてはもいわゆる貧困ということが一番大きな原因であることは
中川委員もおっしゃったのでございますが、この貧困とそれから
性道徳というものが二つつき回わされ、その貧困の部に当る者におきましては、ことに私
どもが聞きますところでは農村で貧農がどうしてもやっていけない、それで牛を売るよりも娘を売ろうというような、まことに人権をじゅうりんいたしました
考え方を持っておりまする親
たちが現存しておる、しかもその子供
たちもどうやら学校には出してもらっているようですけれ
ども、長い間の道徳観念と申しますかそういうものがつきまとっておりまして、自分一人がいわゆる苦界に身を沈めるということが親孝行になるのだというような観点からいたしまして、こういうものにひっかかってくるということを
承知いたしておるのでございまするが、このいわゆる親孝行というような封建思想、これを取り去らない限りにおいてはいかなる
法律が出ましょうとも、それをくぐるような
施設もまたできてくるのではないかということを非常に心配するものであります。文部大臣の御管轄下にありまして今度この内閣で新生活運動というものを打ち出すということをおっしゃっていらっしゃいますし、どういうところに七千万円でございますか、そのお金を使うかということがあらかたきょうの
新聞に出ておるようではありまするが、むろんそういうことも大事であり、各
婦人団体にまかせて天下り的ではないところの方法によって、新生活運動を展開するのだというようなこともちらほら聞いておるのでございます。それよりも最も切実なる問題であるところの不道徳のうしろにございます封建思想、それを除き去るために、私はそういう地方に向けて強力にこの七千万円のお金を広報活動なりあるいは指導員なり、そういう
人たちに向けまして、この最も基本をなす問題を打ちくだく御運動にそのお金を使いになる御意思はないかということが一点。
それから私が今日憂えておりますることは、そういう業態の女の
人たちはこの
罰則によって数が減ってくるかもしれません。また
厚生省の御
施策によって
保護もあるいはできるかもしれない。——私はこれに大きな疑いを持っておるのでございまするができるかもしれませんが、今日こういうふうな紊乱した
性道徳というものは敗戦後単なる貧困から来るということだけでなしに、私は一般
社会の生活に困らない、あるいは男女の間にも反米の動きをする
人たちは占領軍の三S政策の
一つである、
日本の青年
たちをそういうふうに性的に惑わして、そうしていろいろなる方面へ向けていって、
日本のいわゆる堅実なる思想を骨抜きにするのだというようなことすら流れておる今日でございまするが、わが党の時代にも文部大臣がいろいろと倫理的なものを
社会科とか学校のいろいろな教科書に織り込むということもございましたが、世間ではすぐにそれを逆コースだというようなことを申しまして、これを打ち破ることをいわゆる文筆に携わっている
人たちが一生懸命にやったのであります。私はまことに残念なことに思いまして、たとい世間が、あるいはそういう学者層が、あるいは
新聞雑誌がそういう反論を書きましょうとも、私はこの大きな壁にぶつかっていくだけの勇気のある文部大臣をほしいと思っておったのでございますが、まことに現文部大臣は政党の活動におきましても、非常に筋金の入ったお方だと私は思っておるのでございます。行政監察
委員会なんかにおきましてもいわゆる教科書の問題でいろいろなる混乱が私
どもの目の前に見せつけられております今日、このいい機会をつかまえて、何とかそういう問題を
一つ改革してもらいたい。この間も東京
新聞でございましたか、放射線のところで、
わが国から中共あるいはソ連へ出ていく学者
たちはいわゆるソ連、中共べたぼれである、向うでは頭のいい人間だけを大学にとどめておいて、頭の悪い者はみんな追い出す、そうしてそういうふうなことに対しては非常なる礼賛をするけれ
ども、同じことをもしわが
日本でやったならば学者
たちは全然反対をするだろうというような、まことに皮肉なことを書いてあったのを私は見受けておるのでございますが、今日混乱せる
性道徳の問題、そういうふうな男女間の問題をもこれに関連して、この機会に文部大臣は何とかそういうふうな文部行政を通じて
一つ洗っていただく御意思はないのでございましょうか。ソ連、中共あたりでは洗脳ということで非常に教育するそうでございますが、向うで洗脳をいたしましても向うの学者、識者
たちは全然これに悪口を言わないのでございます。いわゆる覚悟次第では向う側がやっておることも
日本ではすればできる、こういう
考えを私は持っておりますが、この時期にこの
性道徳、親
たちの封建性あるいは男女学生間にございますところの問題——あの四国におきましては高等学校の女の子、十四才でございましたか、ああいう
人たちが懐妊をしたというような問題は、私はやはりこれに関連性を持つものであると思うのでございまするが、大臣はこういう問題について筋金のある大臣として、抜本的なお
考えはないものか私は伺っておきたいと思います。