運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1955-07-26 第22回国会 衆議院 法務委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十年七月二十六日(火曜日)     午後二時二十三分開議  出席委員    委員長 世耕 弘一君    理事 古島 義英君 理事 山本 粂吉君    理事 三田村武夫君 理事 馬場 元治君    理事 福井 盛太君 理事 古屋 貞雄君    理事 田中幾三郎君       椎名  隆君    林   博君       松永  東君    眞鍋 儀十君       生田 宏一君    小林かなえ君       徳安 實藏君    船田  中君       佐竹 晴記君    細田 綱吉君  出席政府委員         法務政務次官  小泉 純也君  委員外出席者         検     事         (民事局参事         官)      平賀 健太君         参  考  人         (弁護士)   片山 繁男君         専  門  員 小木 貞一君         専  門  員 村  教三君     ————————————— 七月二十五日  委員横錢重吉辞任につき、その補欠として福  田昌子君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員益谷秀次辞任につき、その補欠として徳  安實藏君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 七月二十五日  憲兵隊押収物件返還に関する請願(高津正道君  紹介)(第四四八九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員補欠選任  参考人招致に関する件  接収不動産に関する借地借家臨時処理法案(福  井盛太君外六名提出衆法第五四号)     —————————————
  2. 世耕弘一

    ○世耕委員長 これより法務委員会を開会いたします。  この際小委員補欠選任についてお諮りいたします。すなわち最高裁判所機構改革に関する小委員会及び交通犯罪に関する小委員会の小委員がそれぞれ欠員となっておりますので、この補欠選任は次の通り指名いたしたいと思います。  最高裁判所機構改革に関する小委員には       古島 義英君    高橋 禎一君       古屋 貞雄君    福田 昌子君       田中幾三郎君    佐竹 晴記君 を、それから交通犯罪に関する小委員には       横井 太郎君    眞鍋 儀十君       生田 宏一君    古屋 貞雄君       細田 綱吉君    吉田 賢一君 を、それぞれ御指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 世耕弘一

    ○世耕委員長 異議なければさよう決定いたします。     —————————————
  4. 世耕弘一

    ○世耕委員長 接収不動産に関する借地借家臨時処理法案を議題といたし審査を進めます。  なお本案について日本弁護士連合会の代表でありまする片山繁男君を参考人といたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 世耕弘一

    ○世耕委員長 御異議なければさように決定いたします。  それでは質疑に入る前に片山参考人より御意見を聴取することにいたします。片山繁男君。
  6. 片山繁男

    片山参考人 お招きにあずかりましたのでただいまより接収不動産に関する借地借家臨時処理法案に対して意見を申し述べます。  ただいまより申し上げます意見は、私個人の意見ではなくして、日本弁護士連合会決定いたしました意見でございます。私はただそれを陳述するにすぎないことを御承知願いたいと思います。  日本弁護士連合会司法制度調査委員会というものを常置いたしておりまして、全国の弁護士会から百名の委員を選びまして常時いろいろの法案その他について意見決定いたしております。本法案につきましては数次上程されまして、連合会といたしましても本委員会並びに参議院の委員会へたびたび参りまして意見を申し述べておりますから簡単に申し述べることにいたします。  結論から先に申し上げますと、本法案憲法違反であるという結論日本弁護士連合会決定いたしておるのであります。すなわち憲法二十九条は、御承知のように財産の不可侵を定めております。そうしてこれが例外といたしましては、公共福祉に関する場合に制限を許しております。そういう場合におきましてもなお何らかの補償をこれに与えなければなりません。ある一部の人の利益のために他の財産権を侵すことは絶対に許されないものと解釈するものであります。そうだといたしますならば、本法案は、過去に遡及してある一部の者の不利益のためにある一部の者を救うという結果になるのであります。これはいわゆる公共福祉ではなくて、単なる一部の者を助けるための法律だと考えなければならぬ。なお法は不利益に遡及しないというのが大原則であります。本法案が過去にさかのぼって遡及してその効力を及ぼすのでなければ本法案意味はございますまい。本法案を拝見いたしましても、すべて遡及してその権利を制限するのであります。そうだといたしますならば、法の不遡及の原則はこわされるわけでありまして、これらいずれの議論よりいたしましても、この法案には絶対不賛成なのであります。 なお第二に、本法案は非常に時期を失したといううらみがあるのであります。昭和二十六、七年度から御立案になりまして、意見連合会にも求められたのでありますが、終始一貫して、連合会といたしましてはすでに時期を失しておるということを絶えず申し上げたのであります。それが二十八年度、二十九年度、三十年度とすでに議論を発してから五年間を経過いたしておるのであります。御承知のように終戦後に罹災都市借地借家臨時処理法が制定されましたが、それの十条によりますと、昭和二十六年六月三十日をもって、いわゆる登記のない建物をもって対抗し得るという、あの法律によって定めました対抗要件が消滅したのであります。それでありますから、もしこの接収不動産の中に、あの罹災都市云々法律に含まれるものがあるといたしますならば、その土地あるいは建物については自由に処分して、第三者はこれに対抗し得るのであります。そうだといたしますならば、それ以後に権利を取得いたしました者が、接収地不動産土地等につきまして第三者にこれを一譲渡し、あるいは処分した場合において、本法案適用されるといたしますと、不測損害をこうむらなければならない。時期におくれたということはこれをもってしても明らかなのでありまして、すでに罹災都市借地借家臨時処理法そのものが非常に変態法律でありまして、あの単なる一片の法律をもってあれだけの権利を抑制したのであります。しかしながら、当時は御存じのように、国民はぼう然自失しておりますし、すべて罹災都市は焼け野原になっておりまして、直ちにそこに何らの処置を講ずる人はほとんどなかったのです。そうでありますから、あの法律の制定施行されることによって、一部の混乱を防ぎ得たことは事実であります。しかしながらあの法律のために、いまだに新宿あるいは池袋等においては訴訟ざたが絶えない。仮処分のやりっこをしている場所もあるのであります。不備な法律であり悪法であると称される変態法律でありますがゆえに、そういう事態を生ずるのであります。本法案をもしここに制定、施行されますと、善良なる、いわゆる許されたる権利者を非常に害する結果になることを憂えるのであります。それがゆえに第二には、時期におくれたものであるということを申し上げて反対理由といたします。  第三に、本法案は正当な権利者権利を侵害するにかかわらず、損害補償が十分に与えられていないといううらみがあるのであります。もちろん連合会としては、憲法違反という建前をとりますがゆえに、これらの細目にわたって検討するの要はないかもしれませんが、もしかりにこれが成立いたしますとするならば、接収される当時に所有していた土地建物所有者不測にそれを侵害されているのであります。そうでありますから、これらの者が十年を経過した今日において、罹災都市借地借家臨時処理法その他によって許されたものとして、自己が他に処分し、あるいはどうかしている場合において、単に法案を拝見すると、借賃その他について、あるいは相当な条件という文句がございますが、いずれも統制令のもとにおかれた補償にすぎないと考えられます。そうだといたしますならば、譲渡の対価あるいは借賃等先取特権を与えられましても、十分なる補償にはならないと考えられるのであります。しかも経済状態は非常に変動いたしておりまして、今日この法律を施行することによって害される率ははなはだ多く、それに対する補償ははなはだ少いと考えなければならないのであります。  第四に、本立法によらなければ、いわゆる接収当時の借地人借家人権利擁護ができないだろうか、こういう問題であります。これは本日はいただきませんでしたが、一昨年度いただきました参考資料によりますと、判決が二、三載っております。これらは、這般の事情をすべて考慮いたしまして、権利のある者については判決によってこれを認めておるのであります。それゆえに正当な権利者は保護されているといわなければならない。だからこれらの人たちは、その間において自己の正当な権利裁判所に訴えて、いろいろな事情をしんしゃくして、自己権利の遂行ができたはずであります。今さらこれを法律によって一律にいたしますことは、その権利を有する人自体にとっても、単なるおせっかいにすぎないんじゃないかという気がするのであります。ごらんのようにこの法案においては、単に接収当時に建物が滅失し、あるいは期限が到来したもののみを保護する本法案趣旨のようでありますが、そうでなくて、すべての場合において、裁判所の判断において正当に保護されるものは保護されるようにすべきが当然であって、本法案を今さら十年後に設けてこれを制約することは、当を得たものではないと考えるものであります。  それから第五に、本法案は各条とも不明確な字が多いと申し上げたいのであります。これは皆さんも御存じのように、先ほど申し上げました罹災都市借地借家臨時処理法は天下の悪法とみなす人が多いのであります。一条、二条、三条とたどっていきますと、現在解釈に苦しんで、裁判所もいまだ判例を確立していないものが多々ございます。これらの文字をそのままほとんど踏襲されたのが本法案のようであります。そうだといたしますならば、前の法律混乱の際にできたものでありますからよろしいといたしましても、現在すっかりみな冷静に返り、平和に返っている今日において、問題の残るような文字を羅列して本法案を制定されることは、疑義のみ生じて、あるいは目的とされる権利擁護にならないのではないかというおそれがあると考えるのであります。二、三これらについて申し上げてもわかりますように、最初に本法案の目前として掲げられている第一条は、「安全保障条約第三条に基く行政協定を実施するため日本国に駐留するアメリカ合衆国の軍隊若しくは日本国に駐留する国際連合加盟国軍隊等接収された土地又は建物に関し」云々となっております。そうしてこの定義としての第二条は旧土地工作物使用令、これはもう廃止になった法律でありますが、これによって接収されたもの、または今の国が建物所有権賃借したもの、あるいはこれも問題でありますが、「賃借権者から直接その占有に移した行為」こういうものが列記されているのであります。第一の問題はいわゆる安全保障条約第三条に基く行政協定、これは二十九条もある、しかも長い条文でありまして、こういうものを引用して果して解決ができるでしょうか。しかも土地工作物使用令のごときは、もう数年前に廃止された法律であります。これらのものを引用してこれらの解決を求めようとするには、多大の疑義の起ることが予想されるのであります。しかもただいま申し上げました「賃借権者から直接その占有に移した行為」というのがありますが、これは果してどういうところへ限界を求められるか。進駐軍がお前の家を自分の家にしたいというような場合にはどういうことになるか、これらの問題についても疑義は全然解決されないと考える。なお前の罹災都市借地借家臨時処理法で常に裁判所で問題になりました賃借成立後の対抗要件の問題、申出権者、これは転借人その他の者に認める範囲、権原による使用許可の問題、正当な事由の問題等、多々解決されない文字がこれに使用されておりまして、われわれから考えますと、いす少し洗練された法律であれば別として、疑義は多大に生じてくるものと考えるのであります。いずれにいたしましても連合会といたしましては、第一に根本の問題として、本法案は時期をおくれて、しかも法の大原則に反し、しかも憲法の条章にまっこうから反するものだ、こういう意味において、法の擁護のためにかくのごとき法律成立を阻止したいと考えておるのであります。  簡単でありますが、一応の意見を申し上げます。
  7. 世耕弘一

    ○世耕委員長 次に政府当局より意見を求めます。小泉法務政務次官
  8. 小泉純也

    小泉政府委員 私から本案に対しまする当局意見を申し上げます。実は本法案につきましては、法務省においては種々検討いたしました結果、不適当であるという結論を得まして、岸本事務次官から閣議決定に基きまして内閣官房長官あて意見書提出いたしたのであります。大臣決裁を得て官房長官提出いたしましたのが七月二十日でございまして、大臣決裁を得たのでございますから、当然大臣も同意されたのであります。この意見書をもって当局としての意思表示にかえたいと思いますので、これを一応読み上げさせていただきます。    接収不動産に関する借地借家臨時処理法案について   表記の法律案は、以下述べる理由により、正義と衡平に反し、きわめて当を得ない立法であると考えられる。    第一 法律案の要旨   本法律案の骨子は次の二点に要約することができる。   第一点 終戦連合国占領軍のために土地又は建物接収が行われた当時借地人又は借家人であった者で、接収のために借地法又は借家法による権利の行使を妨げられた結果、借地権又は借家権を失い、あるいはこれらの権利第三者に対抗することができなくなったものがあると考えられる。本法律案は、このように接収のために不利益を被った借地人又は借家人に対し優先的に借地権又は借家権を取得する機会を与え、又はこれらの者のために借地権存続期間を延長し、また登記や引渡を要しないでこれらの者の有する借地権借家権第三者対抗力を与えようとするものである。(第三条から第十一条まで、及び第十三条)。   第二点 戦時中防空法による強制疎開が行われた土地終戦接収対象となったものがあるが、これらの土地については強制疎開当時の借地人終戦後も事実上これに復帰することができなかった。本法律案は、これら強制疎開当時の借地人に対しその土地について優先的に借地権を取得する機会を与えようとするものである。(第十二条)。    第二 右に対する意見  一 本法律案中、前記第一点に該当する事例はきわめて稀有であって、この点に関する本法律案の各規定は実際上殆んどその適用がある場合を予想し得ない。のみならず、もし仮にその適用を見る場合があるとすれば、土地又は建物の現所有者その他の権利者不測損害を与え、甚だしく不公平な結果を招き、また、不動産取引の安全を著しく害することにもなる。  二 本法律案中、前記第二点は、事実上強制疎開当時における借地人借地権復活を図るものであって、第一点が殆んど有名無実であるのに反し、本法律案の生命をなすものであるが、次の理由によりきわめて妥当を欠く。   1 これらの借地人は、強制疎開の際、当時としては相当補償を受け、その借地権は当時すでに完全に消滅しているのであって、いまさらこれが復活を図ることは全く合理的根拠を欠く。   2 もしこれらのすでに消滅した借地権復活させるとすれば、当該土地について適法に所有権賃借権抵当権その他の権利を取得した第三者不測損害を与え、結局これらの善良な第三者の重大な犠牲において旧借地人に不当な利得をさせる結果となり、著しく正義と衡平に反する。   3 罹災都市借地借家臨時処理法第九条は、一見本法律案第十二条と趣旨を同じくするかのようであるが、前者は終戦直後の経済的混乱の時機における特殊事情下の異例の恩恵的措置であって、当時としては右2に述べたような不都合を生ずるおそれもなく、当時の立法としては必ずしも不当とはいえないのであるが、終戦後すでに相当期間を経過し、経済事情の一変した今日、同様の立法をすることはきわめて不当である。   4 強制疎開地の旧借地人で、旧借地に復帰できなかったのはひとり接収対象となった土地借地人だけに限られない。しかるにひとり接収対象となった土地借地人のみについてその旧借地権復活を認めることは、この点においても著しく公平を欠く。  これが岸本事務次官から、閣議決定事項にのっとって大臣決裁を得て、内閣官房長官提出した意見書であるのでございまして、当局としての本法律案に対する見解は、この意見書に尽きておるものと御了承をいただきたいのでございます。  なお一言申し添えておきますが、委員長初め委員の方々すでに御承知の通り、花村法務大臣としてはこの法案趣旨には前国会以来御賛成であったのでございます。しかるところ最近この問題が国会提出されましてから、省議を開いていろいろ事務当局と相談なさいました結果、法務大臣でなかった当時の意見としては自分賛成趣旨を述べたことがあるけれども事務当局のいろいろな意見等を参照をして、法務大臣としてはやはり事務当局意見に同調をして、今までの賛成趣旨をば貫くものではないという意味意思表示がなされまして、本法案取扱いについては、法務省においては政務次官事務次官にあげて一任するから、しかるべく善処してくれという御申出があったことをば御参考までに申果添えておきます。
  9. 世耕弘一

    ○世耕委員長 質疑はございませんか。
  10. 徳安實藏

    徳安委員 政務次官に伺います。この法律案議員提案によって提出されました日にちと、それからただいま御報告を受けました、法務大臣省議を開いて決定された日取り、並びに、閣議報告なさったということは、これは岸本事務次官法務大臣抜きでなさったのですか。あるいはまたその手続等について御説明を願いたいと思います。
  11. 小泉純也

    小泉政府委員 お答え申し上げます。私の先ほどの説明に言葉の不足がありまして、十分に御了解をいただけなかったように一存じますが、これは閣議提出したのではございませんで、前の閣議決定事項の中に、法案に対して特別の意見のあるものは事務次官から官房長官に申し出よという、全般に対することでございますが、閣議決定事項があるそうでございまして、その閣議決定事項にのっとって、この法案に対して岸本事務次官から官房長官あてに、結論から申し上げますれば、不当である、法務省としては反対であるという意思表示をいたしたのでございます。閣議に申し出たのではなくて、閣議決定事項にのっとって、事務次官から官房長官意見書提出いたしたという意味でございます。その意見書提出したのが七月二十日付でございます。もちろんこれは大臣報告をいたしまして、大臣決裁を受けて提出されておりますので、大臣もこの意見賛成をされたということに相なるという意味を申し上げたのでございます。なお大臣事務次官と私と話し合いまして、この法案についてはあげて政務次官事務次官善処方を頼むと、まあ一任をするという大臣からの意思表示を私ども両次官が受け取りましたのは、たしか木曜日か金曜日であったと私は記憶いたしております。また大臣事務当局事務次官民事局長等との意見書を出すについての話合いの行われましたのは、多分大臣が私ども一任をなさいましたやはり先週中あるいは月曜か火曜日か水曜日であったと思いますが、なお後刻事務当局によく明確に調べさせましてお答えをいたします。
  12. 徳安實藏

    徳安委員 今月の二十日の口に事務次官官房長官書類を出した、その書類はもちろん法務大臣決裁を得ておる。その後に至って省議を開いて、そうして事務次官政務次官にその取扱いを善処するように一任したというのですが、私ども考えてみるとどうもそこにふに落ちないような点があるのであります。しかもこの法案提出をされましたのは、御承知のようにそう前ではございません。ほんとうについ二、三日前のことであります。おそらくは二十日にそういう意見書をお出しになりまして、それから後に省議が開かれたのではないかと思う。この法案が出たあとから省議をお開きになったのではないか、こう思うのですが、これはいかがです。本法案が出てからそういう事務次官政務次官一任するという工合になったと思うのですが、まだこの法案は二十日には出ていないのです。その前に意見書が出ておる。そのときには法務大臣は判を押しておるのですが、その間のあやを明確にしていただきたいと思います。
  13. 小泉純也

    小泉政府委員 お答えを申し上げます。この法案が衆議院の事務局提出になったのは十八日と承知をいたしております。もちろん提出になりましたのでこれに対して何らかの態度もきめ、法務省としての対策も講じなくちゃいかぬというようなことで、先ほど申しましたように大臣に御相談申し上げ、大臣賛成を得て官房長官への意見書提出となり、なおまた省議が開かれましと最後においてこの取扱い政務次官事務次官一任をするということに相なったのでございまして、これはありのままざっくばらんに申し上げておりますので、その前後の関係は私もよくきわめておりませんが、この法案提出に対応して、法務省としては今みたいな取りはからいをいたし、措置を講じたということを私は率直に申し上げておるようなわけであります。
  14. 徳安實藏

    徳安委員 率直なお話でございますから、私ども別にそれを取り上げてどうこうということはございませんが、かつて花村現法相も一議員でありました当時は、この問題に対する熱心なる提唱者であり、みずから進んで案をお作りになったり、御討議になっていただいた方であります。これが大臣になられて事務的に考えたら考え違いであった、こうはっきりおっしゃるならば何をか言わんやでありますけれども法務大臣の最近までの御説明を私どもが漏れ承わっておるところによれば、それほど御反対ではなくて、過去における自分の言動に相当深い責任を持っておるかのごとくに考えておりました。しかしもうはっきりと反対だということを打ち出されました以上はやむを得ませんけれども、しかしかようなことは私どもはまことに遺憾なことだと思うのであります。以上で終ります。
  15. 古屋貞雄

    古屋委員 法務省の御意見はただいま承わったのですが、ただ私どもこういうようなことをお尋ねしておいた方がいいと思うのです。せっかく、平賀参事官もおいでになったので伺いたい。平賀参事官はお役人であるにもかかわらず、この問題に終始反対しておった。各議員さんを歴訪したり、ある場所に行って法務省の今の意見を発表する前に御自分がこの法案反対運動をしたという事実を仄聞するのであります。そういう事実があったかどうか、さようなことを法務大臣は御承知の上で本件の決定に従うことになったのかどうか、そういうことを御答弁願いたいと思います。いわゆるお役人さんでありながら本法案に対して議員さんのおるところあるいはその他の場所反対意思表示をしておったという事実を私ども承わっておるのです。そういう事実があるのかないかは別にいたしまして、さようなことについて相当考慮をされての法務大臣の御意思決定であるかどうか、そういうことを伺いたいと思います。
  16. 小泉純也

    小泉政府委員 古屋委員のお尋ねに対して、私の知る限りにおいて御了承を願っておきたいと思うのでございますが、実は大臣反対であるという意思を省内において御発表になったのは、先ほど私が申し上げました官房長官反対意見書をば出すということで大臣決裁を受けたときが、公式には一番の始まりかと私も解釈しておりますし、皆様方もさように御解釈いただいた方がいいのじゃないかと思うのであります。なお先ほどの徳安委員の御意見にも触れるのでございますが、大臣は前は賛成であったということは私もよく承知いたしております。しかしながら最後には先ほど申し上げた通りでございまして、その辺の事情を御賢察をいただきたいと思いまして、先ほどの意見書をば御披露申し上げましたあとにつけ加えて、私から大臣の御態度について申し上げたようなわけであるのでございます。  今古屋委員の御質問の平賀参事官のことでございますが、これは民主党のことに限りましては政務調査会から、この法案が提案されるずっと前に、有志議員の方々からこれを提出したいというお申し出がありまして、清瀬政調会長から要望があって、村上民事局長と平賀参事官を私が帯同いたしまして政務調査会に出席をいたし、いろいろの意見の交換をいたしたときには、民事局長も平賀参事官も当時は大臣の御了解を得たわけではございませんが、民事局としては終始変らざるこういう意見だという、いわゆる結論を申し上げますれば反対意見を陳述されましたことは、私もそばにおってよく承知しております。なおまた聞くところによれば、自由党の政調会からもその話を聞きたいという、そういうのにもたしか平賀参事官は出席をされて民事局としての立場、これに対する意見をば申し述べられておるはずでございまして、これは私どももよく承知をいたしておるところでございます。ただここに平賀参事官反対の運動をされたというようなことは、私ども万あるまいと信じておりますし、あるいは意見を聞かれてその意見を述べられた結論反対であるということからして、受け取り方によっては平賀参事官反対の運動をしているというような誤解も与えたのではないかと存じますので、もしそういう誤解を与えておった点があるといたしますならばあしからず御了承をいただきたいと存じます。
  17. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 昨日の読売新聞の夕刊に「議員立法原則的には反対、政府態度を決定」これは議員立法は大部分予算措置ないしは予算の変更を伴うものなので政府としては原則的に反対する方針を決定した、こういうことが出ておるのですが、これに基いて結局議員立法である本法案反対するということになったのでしょうか。
  18. 小泉純也

    小泉政府委員 ただいま椎名委員のお示しになりましたその新聞記事は私ども承知しておりますし、なお民主党の代議士会等にもそういう点についての意見の交換をされたことがあると私は承わっております。しかしながら本法案とさようないわゆる内閣の決定議員提出法律案には反対であるとかなんとかいうこととは——議員提出法律案であるから、本委員会にかかっております本法案について反対であるというようなことは全然ございません。これは議員提出であるから、あるいはないからというようなことでなしに、本法案そのものの先ほど申し上げましたような趣旨によって——これは私が承わるところでは、法務当局は、これは今回に限ったことではない、前国会以来、ずっと前から終始一貫適当でないという見解を持って反対をしてきておるのであると承わっておりますので、今回本委員会提出されました本案趣旨と申しますか、本法律案そのものが不適当であるから反対をするというのが法務省の見解でございまして、議員提出法律案にはみな反対であるというような内閣の意思に沿ってこれに反対をするというようなことは全然ございませんので、その点を御了承いただきたいと思います。
  19. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 この法案は第十三国会、第十四国会、第十五国会を経て第十八国会まで継続審議の議案であるということも御承知でしょうか。
  20. 小泉純也

    小泉政府委員 それも承知いたしております。その継続審議中も、意見を明らかにしたかどうかは私もよくつまびらかにいたしておりませんが、法務省の民事局においては終始一貫不適当なりという見解をもって法案の成り行きを見守っていたように私は、政務次官就任後承わっております。
  21. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 そうしてこの法案が第十九国会において衆議院で可決せられ、参議院へ送付せられて、そうして参議院へ送付せられたときに解散となって審議未了となったという点はいかがでございましょう。
  22. 小泉純也

    小泉政府委員 その点もよく承知いたしております。当時においても、法務省においてはやはり同じ見解で、この法案成立を希望していなかった。今日まで継続審議、あるいは参議院において審難航未了となって成立をしておりませんでしたので、反対意見をば表面に強く打ち出すというようなことがなかったのではないかと私は推察をいたすのでありまするが、今回はほとんど超党派的にこの法律案議員提出になって成規に提案をせられた。これは私もざっくはらんに申し上げまするが、今までとは様子が違う、これは今までのような態度でおってはどうか、提案された方々の御意思にはそむくかもしらぬけれども法務省法務省としての明確な意見を打ち出して善処していただきたいという態度になったのでございます。
  23. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 法務省が当初から反対であったということはよろしゅうございますが、十九国会において衆議院で可決する前においては、衆議院においてあるいは法務委員会において内容についての審議が相当あったということはいかがでございましょうか。あるいはまた審議をなさずして衆議院で可決せられたのか。
  24. 小泉純也

    小泉政府委員 もちろん前の国会においても種々審議を尽されたことは仰せの通りでございまするが、前の国会におきましては、法務当局としての見解を明らかにする機会がなかったと私は事務当局から承わっております。椎名(隆)委員花村法相は、大臣になったから、事務当局から出た意思に基いて、事務次官政務次官にまかせる、大臣としての意向をまかせる、こういうのですね。
  25. 小泉純也

    小泉政府委員 その点につきましては、私もどういう表現をしたらいいかということを非常に苦慮するわけでありますが、御承知の通り政務次官大臣を補佐する任務でございます。大臣政務次官事務次官におまかせになるという意味は、今までは自分は個人としてこれに賛成してきたものであるが、大臣としての立場においては先ほど来申し上げます通り、事務当局のいろいろな見解に大臣も同調されて、こういう意見書提出にも決裁をされたわけでありますから、大臣としては事務当局の見解に同調していただいたと申し上げて差しつかえないのではないかと思うのであります。ただ、おそらくこれは御賢察に待つよりほかないのでありますが、皆様御承知の通り、今までも大臣本法案に対するお考え、態度は御言明でありましたので、大臣として反対意思表示をする決裁はなさいましたが、案の取扱いについては一つ君らでしかるべくやってくれという意味の、大臣政務次官にまかせるというような御意思だと思っておりまして、大臣のお考えは決してわれわれ両次官に、何と申しますか、権限の委譲的なわけでなくて、御自分のいろいろな前後の立場等にかんがみられまして、表面は政務次官が立って、適当でないという法務省の立場によって本案成立することがないように善処したらいいだろうというようなお言葉であったと解釈をするのでありまして、この辺のことはどうも政務次官である私が、上司である大臣の立場、その他御言説についていろいろ申し上げることははなはだ心苦しく存じますので、練達堪能な委員の方々に、大臣の今までの本法案に対する御言明、気持と、ただいまの心境、立場については、御賢察、御了承を願うよりほかないと思うのでございます。
  26. 椎名隆

    ○椎名(隆)委員 民主党の政務調査会において大臣が出てきたときの話は、法務次官はいらっしゃったと思いますが、それ以上のことは私は申し上げません。ただ十九国会におきまして審議する際には、法務省において十分なる意見を参酌できないうちに衆議院で可決された、こうおっしゃるのですが、ただし法務省意見は十分承知ができなかったけれども、審議だけは相当せられたということをお認めになりますか。
  27. 小泉純也

    小泉政府委員 お答え申し上げます。今椎名委員の仰せられる通りでございまして、審議を行なったということは十分承知しておりますが、審議の途上において、十分法務省としての見解を申し述べる機会がなくて審議が終ったということでございます。
  28. 古屋貞雄

    古屋委員 関連して。今の政務次官の発言はどういうことなんでしょうか。こちらから法務省意見を求めたからそういう意思表示をなさるのか、それとも法務省はみずから進んで、こういう立法をしないから、そういう理由に基いてそういう立法の提案をしなかったとおっしゃるのですか。その点はどうも不明確なんですが、どういうことなんでしょう。少くともわれわれは法務省からかれこれ文句言われる筋はないのです。われわれは、われわれが立法し、われわれが審議をすればいいのであって、こちらから、委員長の方から法務省意見を求めたから法務省意思はそういうことになったのか、その点はどうなんでしょう。われわれからいたしますと、われわれはわれわれとして提案権を持っている、審議権を持っているのですから、意見をわれわれの方から求めて初めてただいまのような意思決定が行われるのが筋だと思う。われわれから意見を求める前に内閣が法務省意見決定して、何もこちらから求めないのに今のような御発言をなさっているのか。その点はどうなんですか。この委員会から法務省意見はどうだ、こういう何がありましてからそういうことをなさったのかどうか。その点を私は明確にしたいと思うのです。私の質問は、法務省が進んでこういう法案に対しては反対だという意思表示は、いらぬお世話なんです。こちらできめればいいのですから、こちらから意見を求めたら、初めてそれに対して意見を述べるというなら筋が通るのです。委員会からいつどういうような意見を求められておるのか。それに対しての御発言か。それからもう一つは、こういうような法案についての、提案をしなかった理由のただ経過の御説明であるのか、その点一つ明確に御答弁願いたい。
  29. 小泉純也

    小泉政府委員 古屋委員お答え申し上げます。私どもの方では本日の委員会本法案に対する政府の所見を求めたいから大臣か、大臣が出られなければ政務次官が出席して本法案に対する法務当局の見解を聞きたい、こういう委員長からの御要求があったということで、今のような意見書等を準備して、大臣がただいま国会図書館で表彰式をやっておりますために出られませんので、私がかわって、先ほど来申し述べた法務当局の見解を申し述べさせていただいたわけでございまして、古屋委員が仰せられます通り、全くこれは議員の権能による議員提出法律案でありますから、われわれがそれに先んじてとやかく申し上げる筋合いはないのでございまして、ただ意見を求められたからそれによって意見を申し述べさせていただいたという形の上において、あるいは古屋委員の仰せられます通り、私の発言に至る経過等には多少の誤解もあったかも存じませんが、本来は委員長から政府の見解を求めるから出てこいということで、実は委員会から求められて、法務当局の見解を明らかにしたわけでございます。さよう御了承願います。
  30. 古屋貞雄

    古屋委員 実は本法案は、椎名委員からもお話がございましたように、十三国会から今日まで継続審議をし、また前国会では衆議院は通過いたしましたが、解散のために参議院は審議未了になったのですが、かつて本日のような経過を経ての意思表示はなかったわけです。法務委員会の求めに応じて、法務省を代表いたしまして従来も法務省から反対意思表示はございましたが、もっと具体的に、こういう理由反対する、こういうお話はございましたけれども、ただいまのように、官房長官を通じて意思決定して意思表示をせられたことは初めてなので、私どもの感じかしりませんけれども、特に今回に限っては強く、本法案成立しないことを要望するという要望がされておるという例はなかったと思うが、そういう理由はどこにあるのですか。その点をもし御説明願えれば御答弁願いたいと思うのです。特に今回だけは諸般の手続をされて大きな意思表示をされておるように見受けられるし、御説明がございまして、従来と異なっております。従来の意思表示は、単にわれわれが本法案を審議いたしまする参考法務省意見を承わって、その参考の御発言があり、御意思の表明がございました。本日のは参考ということよりも、むしろ絶対に私の方は反対だ、本法案の通過しないことを強く、要望するというような意思決定の御表明がございましたので、その間の事情を御説明願えればしていただきたい。
  31. 小泉純也

    小泉政府委員 ただいままでにも、先ほど意見書にありましたような内容は、法務委員会の懇談会等においては事務当局から申し述べておるそうでございます。私も御承知の通り最近の法務政務次官就任でありまして、前後のいきさつは私直接つまびらかにいたさないのでございますが、ただ事務当局からの聞き及びでございまして、今古屋委員から御指摘になっていた、今までと違って今回は特に明確に反対理由を打ち出しておる、それは私も今古屋委員の仰せでなるほどというように感ずるわけでございますがどういうわけで今回に限って特にかように明確に、案の内容についてきっぱりした反対意見を打ち出したかという御質問には、私十分お答えができないのでございます。  なおまた事務次官にもその辺のことを、ただいま古屋委員の御議論を私から伝えまして、なお後日の委員会に詳細申し上げますが、特に強く打ち出したというようなことではなくて、やはり今までいろいろ正式にこういう意見を発表するいい機会がなかったので、多年の懸案であるから、もう今日はやはり理由その他について、も明確に法務当局意見をば申し上げた方がよくないかというような考え方からの措置ではないかと私は拝察をいたしておるのでございまして、なお事務次官によく事情を聞きまして後刻申し述べさせていただきます。
  32. 古屋貞雄

    古屋委員 ただいまの御答弁で事情がよくわかりましたが、そういたしますと本法案審議に対する参考として法務省意見はこうである、こういうように承わってよろしゅうございましょうか。
  33. 小泉純也

    小泉政府委員 ただいま古屋委員の仰せられる通りでございまして、大臣決裁を得て官房長官あて岸本事務次官から申し入れをいたしました意見書が正式の見解であることはもちろんでございます。
  34. 徳安實藏

    徳安委員 もう一つ政務次官に伺いますが、私どもの自由党ではすでに政調会も通り総務会も通り、執行部も通り、あるいは委員会も全部通っております。従ってだてや冗談に出しているわけではございませんので、この問題はもっと的確に政府当局の言質を聞いて参りませんと、あるいは両党間にもこれがためにおかしな空気になってはいけないと思うのですが、一体法務大臣のそういう態度はあとから論議するといたしましても、ただ官房長官にそういう趣旨のものを出された、これまで法務大臣賛成であったけれども省議決定によって自分もそれに賛成せざるを得なかった、それでそういう書類決裁をして官房長官に出したというだけで、これは法務省の見解だ——法務省も政府の一部でありますから、これは政府全体の意思と見ていいかもしれませんが、私は今の言い方はそうじゃないのじゃないか。これが閣議にでも報告されて、総理からもはっきりと閣議決定としてお話になるなら別問題ですが、これまで法案がたくさん出ま果ても必ずしも省そのものが無条件で全部賛成したものばかりもありません。省それ自身は反対するものもあれば、あるいは政府が出された案でも、私どもが修正をしてそれにやむなく乗ってこられた案もあるのですから、必ずしも法務省反対せられたからといってわれわわれ拘束せられることもありませんし、同時にまたそれがそれほど強い大きな制約を及ぼすものとは私は考えていないのです。しかし先ほどから再三お話があるように、前国会におきましても満場一致で決定したのです。しかもそれが時の経過はありますけれども、そう長い間の経過ではございません。これは社会党も民主党、自由党、みなが満場一致で通した案であります。ですからこれが急に事務当局のはっきりした意思が強いので、法務大臣もこれに同意されたのは、これはやむを得ぬと思いますけれども、これは法務省だけの意見としてただ官房長官に出しただけなんだ、だからして鳩山内閣それ自体はまだこれに対しては、内閣がこれはいかぬという意思表示をしたのじゃないんだ、こう理解してもいいのですか。あるいは法務大臣決裁をして出してしまった以上は、これは閣議決定も同様ですから鳩山内閣は絶対に反対です、こうおっしゃるのですか、それを一つはっきりと伺いたい。
  35. 世耕弘一

    ○世耕委員長 徳安君に私からお答えいたします。先ほど小泉政務次官からもお答えがあったようでありますが、小泉政務次官は就任日浅くてこの事件にあまり精通されていないようであります。それから次官と相談して次の委員会に正確にお答えするように私はお聞きしたんですが、さようであるかどうか、一つその点をはっきりこの際小泉次官からお答えを願いたいと思います。
  36. 小泉純也

    小泉政府委員 委員長の非常に御好意あるお取り計らいには感謝申し上げます。ただ本日の意見書意見を求められた場合に、先ほど来申し上げましたような大臣決裁を得て官房長官に法務当局の見解を明らかにしておる。これを一つ読み上げて法務当局の見解の答弁にしていただきたいというこの点は大臣事務次官、民事局長とも打ち合せ済みでございまして、大臣も一つ君、僕にかわって法務委員会に出てさような意見を申し述べたがよかろうということで、今まで申し上げました点は十分相談の上、私が大臣のかわりに出まして、今まで述べたような御答弁を申し上げたわけでございます。なおまたただいま委員長のお計らいの通り、先ほど古屋委員の御質問もございますので、なお詳しいことをば大臣事務当局ともよく御相談を申し上げまして、十分御理解のいくようなお答えを申し上げたいと思います。  ただ一つ、ただいまの官房長官意見書を出したからそれでどうかというお尋ねがございましたが、これはもちろん法務省反対をしたからといって、内閣が反対であるからといって、委員会国会決定、いわゆる議員提出法案をば制約する何ものもないのはお互い十分了解しておる通りでございまして、ただ法務当局としては閣議決定の事項がございますので、それにのっとって——これも私正確には記憶しておりませんが、閣議決定の事項とは議員提出法案について意見がある場合には、その法案の直接関係のある当局としては官房長官あて意見を申し出よというのが閣議決定の事項になっておるそうであります。その閣議決定事項にのっとって、本法案については法務省が管轄と申しますか、担当でございますので、省議を開いて事務次官から官房長官にかような意見書提出したわけでございまして、法務省反対であろうが、内閣が反対であろうが、議員の審議権というものはまた別のものであることは私が申し上げる必要はないはずでございます。なおまた官房長官にさような申し出をいたしましたからといって、それがいわゆる鳩山内閣の意思になるとか、鳩山内閣の閣議決定をどうするかということは法務当局のあずかり知らざるところでございまして、あとはあるいは法務当局意見書提出によって、官房長官がお取り計らいになる事柄でございまして、ただ官房長官まで閣議決定事項にのっとって意思表示をしただけでございます。
  37. 古屋貞雄

    古屋委員 私は意見参考に承わるだけですからそんなにしつこく聞かなくてもよいじゃないかと思うのです。むしろ聞きますなら逐条の内部についての問題を聞きたかったのでございます。  なお片山参考人には意見を伺ったのでありますが、その中で一条、二条の目的並びに定義などの問題について私どもの考えるところと違っているものですから承わりたいと思ったのですが、これも意見の相違になりましょうから、願わくば審議だけはこれで終りまして、懇談会にでもしていただいて態度をきめていただいたらどうかと思います。
  38. 世耕弘一

    ○世耕委員長 本日はこれにて散会いたします。次会は公報をもってお知らせいたします。     午後三時二十六分散会