○古屋
委員 今の
戸叶委員、
猪俣委員の御
質問に関連して
石井長官と
警視総監に
お尋ねしたいのですが、東京都の条例が今のような経過を経て実施されたのであるから、当分の間は寛大にする、しかも四分六のお世話をしたというようなこともあったということでありますが、ただ私
ども見のがしてはならない重大な問題がここにあるのです。
赤線区域や
青線区域ということで、都条例がありながら、これは厳密でなくても都条例にきめられた
通りの
取締りをされていないというところに、私は非常に大きな問題があると思うのです。これは順法精神に対する問題が最も大きな問題なんですが、現に現行法として取り締らなければならぬ性病予防法の
取締りがあるにかかわらず、これは見のがしておるということになる。この点が一番大きな問題になると思うのです。と申しますのは、一昨日の
参考人の市川博士の説を承わりましても、その他の医者の説を承わりましても、今の検診制度ではとうてい性病伝染を防ぐわけにいかないということは常識なんです。従いまして
赤線区域、
青線区域における一週間に一度くらいの検診では、毎日冷々公然と、
法律がありながらあなた方の
取締りの管下では性病の伝染をおやりなさいということを公表していることになるのじゃないか。私はそう思う。一昨日の池上
参考人の説によりますと、
自分の身をもって一日に六人の男を
相手にしたという。一日に六人の男を
相手にしたというような
売春婦が
日本中に何万人かおって、しかも今のような
取締り条例があるにかかわらず、その歴史的な経過がそういうことになって、あまり厳重に取り締らないことにするのだということでありましても、いやしくも現行犯であるその
売春の
取締りを見のがすということで、その裏には、性病予防法違反を公然とやらしている。これを取り締らないということになっておる。この点が重大問題だ、私はそう思うのです。実は私は厚生
大臣がおるところで厚生
大臣に聞いてもらいたいと思っておるのですが、厚生省では性病の予防、
取締りにどのくらいの予算を組んでどういうことをおやりになっておるか知りませんけれ
ども、一方ではただいまのように、条例で
処罰すべき現行犯をそのまま見のがす。その現行犯に表裏のようにくっついて
——厚生
大臣聞いて下さい。これは重大な問題です。あなたの方でおやりになっております性病予防法を御苦心の結果こしらえられて、性病予防をやられておるのですが、今お聞きのように
取締りを緩和して公認をして、
赤線区域は黙認の
売春をやらしておる。その
売春をやらせる、却それにうらはらになって性病が伝染されておるということが問題なんです。この性病は民族の興亡に関する重大な問題である。国を滅ぼす原因はここにあるというまで非常におそろしい病気である。従って性病予防法がここに厳存しておりながら、ただいまのような寛大な
取締りで
——取締りというよりもむしろ黙認をしておいた結果、七年間に一体どのくらい性病というものが伝染したかということを
考えるときに、私はこの怠慢はまことに重大な責任だと思うのです。まず第一に
お尋ねしたいことは、一日に六人から五人の男を
相手にし、その中には病毒を持っておる者があることは間違いないことである、医者の説明によると夫婦生活以外の性
行為がいわゆる伝染の原因だと言っております。従いまして厚生省においてどんなにこういう性病に対する予防に御苦心を賜わりましても、
処罰ばかりしても、その源をとらなければだめである。
処罰をして源を取り除くという点において、ただいまのような
取締りが行われておる。私は、この点に対してどういう責任をお感じになっておるかということを承わりたい。言いかえますならば、結論から申しますならば、なるほど東京都の条例はいろいろな経過を経たものでありますから寛大にするということ、今即時実施をやかましく厳重に取り締っていただかなくてもいいのだ、こういう希望はございましても、少くとも
法律として
処罰法規として制定されておる事実、その
処罰法規をゆるがせにし、もっと申しますならば、われわれはそんな怠慢によって結果づけられた性病の伝染のおそろしかったことを今ここで振り返ってみますときに、大体
取締りの
警視総監におきましても、ことに直接の
関係をお
持ちになっておる
養老さんがいらっしゃいますから、部長さんの方からでもけっこうでございますが、大体そういうような性病の伝播のおそろしいことが行われておるということを存じないでおったのか、存じておったのか、まずこの点
一つ。それから
石井長官に対しましても、そういうような現行犯を見のがしておったということは、これに一体どういうようなお
考えでおったのかということを私はまず承わりまして、次の
質問に移りたいと思うのですが、これは私は重大な問題だと思うのです。ただ東京都条例はいろいろの経過を経ておるから、普通の
処罰法規と違って寛大にしてもらいたいことはよくわかる。しかしその寛大にすることが即性病予防法の現行犯を今日まで七年間見のがしてきた。それがためにこうむった
日本の民族、
日本の青年、
日本のお互いに及ぼした悪影響に対する責任というものは私は重大だと思う。従いましてそういうようなことが
売春を見のがすことによって、表裏の
関係を持った予防法というものに非常な害毒を流された事実、そういうことを認識の上で寛大な
取締りをしてきたのか。ただいまにおけるそういうような伝染の行われた悪結果に対する責任をどう持つかという二つを私は承わりたい。