○藤田
政府委員 私
どもは
転落女性に対しまして非常に深い関心を持っております。私がまだ局長になりません
昭和二十三年のころでございますが、そのときに
婦人少年問題
審議会というものが設けられましたが、その当時から
労働省におきましてはこの問題に非常な深い関心を示しまして、いろいろ
調査をいたしましたり、啓蒙をいたしたりして参ったわけでございます。今日お手元に差し上げてあると思いますところのいろいろの啓蒙資料は、そのときからずっとかかりまして、今日に至りますまでいろいろと
調査研究して整えて参ったものでございます。私
どもはそういった面、すなわち
調査の面においてまた啓蒙の面においてできる限りのことをいたしておるわけでございます。現に今年も六月十日から七月十日まで
売春問題特別活動のときを設けて、いろいろと座談会、講演会、新聞への発表等々いたしておりますが、これは決して今年初めていたしましたわけではございませず、去年も一昨年もこの問題をいたしておるわけでございます。それからまた先生方にはとくと御承知でいらっしゃいます通り、
売春と人身売買というものは非常に大きな
関係がございますので、これもずっと前から、もうこの六年ほど人身売買の
調査と啓蒙をいたしておるわけでございます。初めにおきましては予算が取れませんものですから、いろいろな
調査でもって浮び上って参りました数字とかケースというものを捕えまして、資料
調査というものをいたして参ったのでございますが、この二年間はわずかではございますが、人身売買の資料の
調査費が与えられましたものでございますから、資料
調査ではなくて、たとえば九州地区における、あるいは東北地区における、そして今年は関東、信越地区における
調査をいたしておりますが、その
調査と申しますものも、
転落してしまった、人身売買の対象になってしまった人を捕えるのであっては手おくれと存じますし、またそれは資料
調査の方でなすことができるものでございますから、たとえば東北において、九州において去年、一昨年いたしましたことは小学校、中学校における長期欠席児童、それからまた中学を卒業いたしましたが、三年間にわたってはっきりとしたところの
職業についておらない
人たち、そういう者を対象といたしまして、その実態を
調査し、その
調査の結果を、たとえばここに持っておりますような年少者の不当雇用慣行と題したパンフレットを、各官庁それからまたこの問題について関心を持って下さっている方、関心を持っていただかなければならない方々にお送りいたしておるようなわけでございますから、わずかではございますが、そういったことを
——これは
労働省の中でも
婦人少年局だけの仕事について今御説明申し上げておりますが、ほかのところはまたほかの局長にお願いできると存じますが、そういったような
調査、啓蒙ということを一生懸命にいたしておりますが、何しろ予算的な制約を受けておりまして、思うだけはできておらないような状態でございます。
それからまた先ほど
婦人少年問題
審議会というものが
昭和二十三年からこの問題と取り組んだと申しましたが、その後、この
婦人局少年問題
審議会というものは、ここにいられますところの
神近委員が会長となられまして、この問題と真剣に取り組まれまして、労働大臣からこの問題に対する諮問がございましたのに対して、
売春問題というものは速急に解決されなければならない、たとえば
昭和二十二年でしたかの次官会議決定以来の、赤線区域の黙認ということもやめられなければならない、独立したところの法律が設定されなければならない、適当な世論の啓発がなされなければならない等々のことに関しまして答申をいたしまして、歴代の労働大臣もこれに対して所信を示されたわけでございます。そのほかに現在いたしております活動といたしましては、御承知の通り全国に四十六の
婦人少年室がございますが、
婦人少年局、
婦人少年室は
売春問題または人身売買問題に対する取締り機関ではございませんので、それに対して直接の行動をすることはできませんけれ
ども、
婦人少年室に対して非常にいろいろな問い合せがありましたり、かけ込み訴えがございまして、
昭和二十九年度だけを取り上げましても三百一件の
売春婦また人身売買の対象になった
人たちからの訴えがございますので、そういった人々に対しましてできるだけのことをいたしておるわけでございます。
婦人少年室長またその補佐の方
——去年私
どもの方でわずかに一千名ではございますけれ
ども、
婦人少年室の仕事に協力をし、援助を与えるところの協助員というものが設けられましたが、この協助員と申しますものは、人身売買また
売春というものに対してできるだけの協力援助を
婦人少年室長に与えるということになっておりますので、わずかの
人間ではございますが、この人々が涙ぐましいところの活動によりましてできるだけのことをいたしております。先生方のお手元に差し上げましたところの不当雇用慣行に関する参考資料などにも出ておりますように、たとえば長崎から北海道に、北海道から岩手に売られたところの少女に対しまして、
婦人少年室長が自分の身銭を切りまして追っかけ回し、東京まで連れてくる、そして東京から長崎まで送り帰すというようなことをいたしておりまして、こんなことは決して自慢にはならないことでございまして、もっと予算をたくさん取って、ほんとにこういう
人たちを徹底的に援助しなければなりませんが、今日までできる限りのことをいたしておるのであります。
それからまたすでに、これはあとの御質問に対してお答えする方がいいかと思いますので今省かせていただきますが、たとえば未亡人に対しまして、家政婦になりたい
人たちに対しまして家事サービス研修所または
職業補導、内職補導というようなことを計画いたしておりますが、これはやはり
売春婦に陥るということが未亡人の中にもなきにしもあらずでございますので、そういう人々に対する
対策について今いろいろと講じておるところでございます。